JP2005152178A - 人工血管 - Google Patents

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Abstract

【課題】延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間に存在する無孔質体からなる中間層との接着性の向上した人工血管を提供することにある。
【解決手段】延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間に無孔質体からなる中間層を少なくとも有し、該無孔質体がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなる、穿刺耐性を有する人工血管を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、人工血管に関するものである。
慢性腎不全患者に対しては人工透析で治療を行うことが一般的であるが、人工透析療法に先立ち、動静脈吻合による内シャント術を行うことで血液の出し入れが可能となる。また、患者の高齢化や糖尿病などの原疾患により内シャント術を行うことができなくなった患者にはテフロン(登録商標)製の人工血管など移植して用いることが多い。
しかしながらこのような人工血管を人工透析などの頻度に穿刺が行なわれる部位に使用すると、人工血管から血液が漏れて、平均週3回行われる治療に支障が出たり、瘤や血腫の形成、感染などを引き起こす危険性が指摘されている。また、血液が漏れやすいため、透析終了後長い時間をかけて止血操作を行ったり、場合によっては帰宅後に再出血したり重篤な事態を引き起こすこともある。さらには、血管縫合時に針穴からの出血も問題となっており、手術時間が長引いたり、術後の合併症の原因ともなる。
特許文献1には、繊維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織を有する延伸PTFE多孔質体およびその製造方法が記載されている。管状のPTFE多孔質体は、人工血管としてこれまでに使用されている。しかしながら、この材料は、一度開いた穴が塞がらないという素材物性に起因する課題を有している。したがって、人工血管に針を刺して行う治療において、縫合糸で縫い合わせたり、透析針を刺したりした後に生じた穴から出血するという問題がある(特許文献1参照)。
特許文献2には、多孔質の内層と外層との間に無孔質の中間層を有する人工血管において、内層がポリエステル系樹脂多孔体、中間層がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなる穿刺耐性体であることを特徴とする人工血管が記載されている(特許文献2参照)。
特許文献3には、延伸PTFEの内層及び外層と、該内層及び外層との間に自己維持性であり、再シール性であるエラストマーの層を有する自己シール性の人工血管が記載されている(特許文献3参照)。
しかしながら、延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間に無孔質体からなる中間層を少なくとも有し、該無孔質体がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなる、穿刺耐性である人工血管に関する記載はない。
また、テフロン(登録商標)素材同士あるいはテフロン(登録商標)素材と他材料との接着性は技術的に難しく、化学的に表面改質したのち接着する方法やアンカリング効果等物理的な方法が知られている。しかしながら、化学的な方法は安全性の面から問題が多く、また、人工血管が備えるべき物理特性を保持させながら物理的接着性を得ることが困難であった。
さらに延伸PTFEの管状体を内層及び外層とし、内層と外層の間に穿刺耐性を有する管状体を中間層として備えた人工血管において、内層及び外層と中間層との接着性を向上させ引裂き強度を改善させたことは知られていない。
特公昭42−13560号公報 特許3229776号公報 米国特許6428571号明細書
本発明は、ブラッドアクセスに使用し得る人工血管を提供することを目的とする。さらに本発明は、穿刺に対する血液シール機能を有し、生体適合性に優れ、その上で延伸PTFEからなる内層及び外層と無孔質体との接着性と引裂き強度が優れ、良好な柔軟性と加工性を付与した人工血管を提供することを目的とする。
即ち、本発明により、以下のような人工血管が、上記課題を解決するための手段として提供される。
(1)延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間に無孔質体からなる中間層を少なくとも有し、該無孔質体がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなる、穿刺耐性を有する人工血管。
(2)引裂き強度が4N(ニュートン)以上である(1)の人工血管。
(3)少なくとも内層と中間層の接着強度が150 gf以上である(1)又は(2)の人工血管。
(4)150℃、30分の加熱処理により、中間層の無孔質体が延伸PTFE多孔質体の壁厚の1/3以上の孔内に進展する、(1)〜(3)のいずれか一つの人工血管。
(5)延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層の少なくとも一層がテープを巻いて形成された管状体である、(1)〜(4)のいずれか一つの人工血管。
(6)(1)〜(5)のいずれか一つの人工血管からなる、ブラッドアクセス用グラフト。
本発明は、延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間に無孔質体からなる中間層を少なくとも有することより、延伸PTFEの特性である生体適合性と穿刺に対する血液シール機能と合わせもつ特性を付与した人工血管を提供する。また、
本発明は、無孔質体がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなることより、穿刺耐性を付与した人工血管を提供する。さらに、本発明は、中間層の無孔質体が延伸PTFE多孔質体の孔内に進展するため、内層及び外層と中間層の接着性と引裂強度が向上した結果、耐圧強度が優れた人工血管を提供する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の穿刺耐性の人工血管は、延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間に無孔質体からなる中間層を少なくとも有し、該無孔質体がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなる。
本発明の人工血管の好ましい形態の一つを図1に示す。図1は人工血管の断面図である。多孔質体からなる管状体層1と無孔質体からなる中間層2を少なくとも具備する人工血管1であり、管状体層1が延伸PTFE多孔質体、無孔質体がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料である。
本発明の人工血管は、例えば内層を延伸PTFE多孔質体とすることにより血液適合性に優れた血液接触面とすることができる。そして、無孔質体からなる中間層を設けることで、長期間生体に埋め込まれても安全であり、かつ、優れた血液シール機能を付与することができる。また、外層を延伸PTFE多孔質体とすることで、周囲組織との摩擦低減につながり、さらに、長期的な組織適合性に優れる特性を付与することができる。
「延伸PTFE多孔質体」は、PTFE(polytetrafluoroethylene;ポリテトラフルオロエチレン)を延伸して得られた多孔質体を意味する。延伸PTFEは繊維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織を有する。多孔質体とは、実質的に細胞や体液の進展、侵入を許容し、および/またはコラーゲンやエラスチン等膠原繊維組織の形成、侵入を可能とする空隙を有する構造体を示す。したがって、延伸PTFE多孔質体からなる一つの層を管状体として本発明に用いることができる。
延伸PTFE多孔質体からなる一つの層からなる管状体は、例えば、特公昭42−13560号公報に記載する方法によって製造することができる。すなわち、まず、押出し工程でPTFEパウダーと潤滑剤の混合ペーストをチューブ状に押出す。次に延伸工程で押出し、圧着された樹脂パウダー同志が延伸により延伸方向に裂けるように離れる。
パウダー間の亀裂によって生じた孔には延伸方向に糸を引くようにPTFE高分子の繊維が複数平行して形成される。その後または同時に、得られた延伸体を少なくともPTFEの融点327℃以上に加熱し、焼結することによって管状の延伸PTFE多孔質体を得ることができる。
延伸PTFE多孔質体は、無毒性、非分解性、血液適合性や細胞、組織適合性を有する。したがって、延伸PTFE多孔質体からなる一つの層は血液などの体液との接触面として使用することができる。
しかしながら、延伸PTFE多孔質体からなる一つの層は、液体シール機能がないことからそのまま液体シール機能を必要とする人工血管として用いることが困難である。また、液体シール機能を付与しようと他の材料と組み合わせようとすると耐キンク性が著しく低下し実用に耐えない。
また、本発明の目的を達するために、人工血管は延伸PTFE及び無孔質体と同じ材料または異なる材料からなる層を含むことができる。各々の層は管状体として形成され、本明細書において記載した方法により積層することができる。積層した管状体は融着することが可能である。また、延伸PTFE及び無孔質体と同じ材料または異なる材料からなる層は、テープをリング状または螺旋状に巻きつけ、成形することにより、形成することができる。
無孔質体とは、実質的に細胞や体液の進展、侵入を許容し、および/またはコラーゲンやエラスチン等膠原繊維組織の形成、侵入を可能とする空隙を有さない構造体を意味する。この構造体はスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料である。具体的には、スチレンエチレンプロピレンスチレン(水素添加スチレンイソプレン)共重合体(SEPS)とスクワランとが1:1で混合された樹脂が例示される。
スチレン系エラストマーとしては特に限定されないが、スチレンを主成分とする部分と、ブタジエン及び/又はイソプレン及び/又はそれらの水素添加物からなる部分から構成された共重合体を主成分とするものがある。具体的には、クレイトン,カリフレックス(シェル化学)、タフプレン,タフテック(旭化成工業)、アロンAR(アロン化成)、ラバロン(三菱油化)、JSR−TR,JSR−SIS,ダイナロン(日本合成ゴム)、セプトン(クラレ)などが挙げられる。
また、オレフィン系エラストマーとしては特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体などエチレンとプロピレンの共重合体、それに第三成分としてα−オレフィンやジエンモノマーを添加したものがあげられる。具体的には、ミラストマー,タフマー(三井石油化学)、住友TPE(住友化学工業)、サーモラン(三菱油化)などが挙げられる。
無孔質体は、スクワランをスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対して20重量部以上混混合して得ることができる。このようにして得られた無孔質体は、硬度が低下し、そして流動性が向上する。
中間層はスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対して20重量部以上混合させて得られた材料を、常法、例えば、熱プレス機でシート状に成形することにより得ることができる。中間層を管状構造体として得るときは、シート状に成形したものを芯棒に巻き付け熱処理する方法や、一般的な押し出し成形、コンプレーション成形等を用いればよい。
本発明の人工血管は穿刺耐性を有する。穿刺耐性とは、穿刺針や留置針などの医療用針の頻回の穿刺に対するシール性を意味する。シール性とは人工血管に医療用針を刺して抜いたときに形成された穴を、材料の特性により塞ぐ性質を意味する。穿刺耐性を有することにより、治療用具として生体に適用される際に、医療用針を穿刺する時の体液(血液、血漿など)の漏出を防ぐことが可能となる。
本発明の人工血管の厚さ(壁厚)は、通常内径1mm〜40mmの範囲である。人工血管を構成する各層の厚さは以下の範囲である。延伸PTFE多孔質層は約100μm〜1mmである。無孔質体は厚い程シール性能は向上するが、通常の人工血管として用いるには100μm〜1mm程度が好ましい。
延伸PTFEが人工血管の内層及び外層である場合、無孔質体からなる中間層を加熱して接着させると、低温度領域での流動性に優れた特性を示す。したがって、低温度領域で延伸PTFE多孔質体の内部に無孔質体が侵入しやすいことが明らかとなった。
したがって、無孔質体からなる中間層を延伸PTFEの内層及び外層と組み合わせることにより、無孔質体は内層及び外層への優れた接着性を示す。そして、この組み合わせは、得られた人工血管自体の加工性が優れているという特性を示す。具体的には、少なくとも内層と中間層の接着強度が150 gf以上であり、好ましくは200gf以上であり、より好ましくは300gf以上である。
また、中間層の引裂き強度に加え、前述のように中間層樹脂が延伸PTFE多孔内部に侵入することから延伸PTFEとの接着が得られやすく、これらのことから引裂きに強い性質を付与することが可能となる。具体的には、人工血管の引裂き強度が4N(ニュートン)以上であり、好ましくは6N(ニュートン)以上であり、より好ましくは8N(ニュートン)以上である。
具体的には、延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間の無孔質体からなる中間層を、150℃、30分間、加熱処理することにより、中間層の無孔質体が延伸PTFE多孔質体の壁厚の孔内に進展する。好ましくは、中間層の無孔質体が延伸PTFE多孔質体の壁厚の孔内の1/3以上、より好ましくは1/2以上、さらに好ましくは2/3に進展する。
医療用途の穿刺耐性を有する材料としてポリウレタンやシリコーンゴムなどのエラストマーが知られている。これらは熱硬化性樹脂であるため、複数層への加工が難しい。また、有機溶剤などを使用して溶液状態とした場合も残留溶媒により安全性に影響を及ぼすことが知られている。
これらのエラストマー材料は、生体内で変化、劣化を起こしやすい。さらには異物反応を発現するなどの組織反応性に問題があることが知られていることから、長期間生体に埋め込む材料としては多くの課題を残している。
米国特許公報US6428571には、シール性を有するエラストマーとしてC-Flexが示されている。C-Flexに含まれるシリコンオイルは人体に入ると障害を起こす可能性が米国で指摘されている。また、ディスポーザブルタイプの注射器への使用に対しても厳密に規定(厚生省告示第442号)されているように、安全性の証明に課題を残している。
したがって、本発明は穿刺耐性を有し、接着性、引裂き強度が優れるとともに安全性も向上した人工血管を提供する。この人工血管はその特質からブラッドアクセス用グラフトとして有用である。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 延伸PTFEからなる内層及び外層と無孔質体からなる中間層を備えた三層構造の人工血管の製造(1)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径6mmのステンレス丸棒を管状体に挿入した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)20gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工した。その結果、厚み0.3mmからなる無孔質体の管状体を得た。
この無孔質管状体を拡張させながら延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、オーブンで100℃、30間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と無孔質体の管状体を熱融着させた。さらに、厚さ50μm幅1cmの延伸PTFEテープを無孔質体管状体の外側周囲に巻きつけ、オーブンで120℃、20分間加熱処理し熱融着させることで、延伸PTFEからなる内層及び外層と無孔質体からなる中間層を備えた三層構造の人工血管1を得た。
実施例2 延伸PTFEからなる内層及び外層と無孔質体からなる中間層を備えた三層構造の人工血管の製造(2)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径6mmのステンレス丸棒を管状体に挿入した。次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)20gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工した。その結果、厚み0.2mmからなる無孔質体の管状体を得た。
この無孔質体管状体を拡張させながら延伸PTFE多孔質管状体に被覆したのち、オーブンで150℃、15間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と無孔質体の管状体を熱融着させた。さらに、内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体を心棒に挿入することで拡張させ、それを無孔質体管状体の外側周囲に被覆した。その後、オーブンで150℃、30分間加熱処理し熱融着させることで、延伸PTFEからなる内層及び外層と無孔質体からなる中間層を備えた三層構造の人工血管2を得た。
比較例1 延伸PTFE管状体の一層からなる人工血管
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.8mmの延伸PTFEのみからなる人工血管(Gore-Tex、ゴア社)を用意し、以下の試験の比較例1として用いた。
比較例2 ポリウレタン製管状体の一層からなる人工血管
内径6mmφ、長さ30cm、厚み1.0mmのポリウレタンのみからなる人工血管(Vectra、ソラテック社)を用意し、以下の試験の比較例2として用いた。
試験例1 穿刺耐性確認のための漏水試験
実施例1および2で得られた人工血管1、2および比較例1、2で得られた人工血管について、16Gの針を刺し、抜去した後に管状体内部に生理食塩水を用いて水圧120mmHgをかけることで漏水の程度について比較を行った。実施例1および2で得られた人工血管においては、針を抜いた管状体周囲に僅かな滲みを認めるのみであった。
一方、比較例1の人工血管は針穴は開口したまま復帰せず、針穴から大量の漏れが認められた。さらに、比較例2の人工血管は比較例1の人工血管に比べて漏れは少なかった。下記に示したように、水の漏れ量は実施例1および2で得られた人工血管において優れていることがわかった。
Figure 2005152178
比較例3 延伸PTFEからなる内層及び外層とポリウレタンの中間層を備えた人工血管の製造
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径6mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入した。次に、厚み0.3mmのポリウレタン(ルビセル、東洋ポリマー)を幅1cmのテープ状に切断し、延伸PTFE多孔質管状体に螺旋状に巻き付け、オーブンで150℃、20分間熱処理を行った。
さらに、内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体を心棒に挿入することで拡張させたのち、ポリウレタンからなる中間層周囲に被覆し、オーブンで150℃、30分間加熱処理をすることで人工血管3を得た。
比較例4 延伸PTFEからなる内層及び外層とシリコーンの中間層を備えた人工血管の製造
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径6mmのステンレス丸棒を管状体に挿入した。次に、医療用シリコーン(ダウコーニング社製)をアプリケーターを用いて延伸PTFE多孔質管状体に塗布した。
さらに、内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体を心棒に挿入することで拡張させたのち、シリコーンを塗布した延伸PTFE多孔質管状体に被覆した。得られた管状体をオーブンで100℃、6時間の熱処理を加えることでシリコーン層からなる中間層を備えた人工血管4を得た。
試験例2 延伸PTFEと各種中間層との引裂き強度確認
実施例1、2および3で得られた人工血管1、2、3および比較例3、4で得られた人工血管3、4について、人工血管ガイドライン(ISO7198)を参考に引裂き強度試験を実施したところ、人工血管1、2、3において優れた引裂き強度を示すことがわかった。
試験例3 延伸PTFEと各種中間層との接着強度確認
実施例1、2および3で得られた人工血管1、2、3および比較例3、4で得られた人工血管3、4について内層と中間層との接着性について確認したところ、人工血管3、4については剥離が容易であったのに対し、人工血管1、2、3においては優れた接着性を示した。
符号の説明
1 延伸PTFE多孔質管状体
2 スチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した無孔質体からなる中間層
3 延伸PTFE多孔質管状体
図1は人工血管の断面図である。

Claims (6)

  1. 延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と、該内層及び外層の間に無孔質体からなる中間層を少なくとも有し、該無孔質体がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなる、穿刺耐性を有する人工血管。
  2. 引裂き強度が4N(ニュートン)以上である請求項1に記載の人工血管。
  3. 少なくとも内層と中間層の接着強度が150 gf以上である請求項1又は2に記載の人工血管。
  4. 150℃、30分の加熱処理により、中間層の無孔質体が延伸PTFE多孔質体の壁厚の1/3以上の孔内に進展する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の人工血管。
  5. 延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層の少なくとも一層がテープを巻いて形成された管状体である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の人工血管。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の人工血管からなる、ブラッドアクセス用グラフト。
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