JP2003250819A - 人工血管用フランジ部材および人工血管 - Google Patents

人工血管用フランジ部材および人工血管

Info

Publication number
JP2003250819A
JP2003250819A JP2002058281A JP2002058281A JP2003250819A JP 2003250819 A JP2003250819 A JP 2003250819A JP 2002058281 A JP2002058281 A JP 2002058281A JP 2002058281 A JP2002058281 A JP 2002058281A JP 2003250819 A JP2003250819 A JP 2003250819A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood vessel
artificial blood
flange member
flange
artificial
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002058281A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Tanigawa
隆洋 谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP2002058281A priority Critical patent/JP2003250819A/ja
Publication of JP2003250819A publication Critical patent/JP2003250819A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Prostheses (AREA)
  • Surgical Instruments (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実かつ容易に宿主血管と外翻縫合させるこ
とができるとともに、縫合後の針穴からの出血を防ぐこ
とができる血管移植片を提供する。 【解決する手段】 人工血管に移行する移行部と、該移
行部に連続して他の血管の側面に接続する接続部を有す
るフランジ部材であって、該接続部は該移行部から全周
に亘って広がっており、該接続部は辺縁部を有し、該移
行部の周囲長より増大した該辺縁部周囲長を有し、該人
工血管と該他の血管との間に介在して、該人工血管と該
他の血管との成す角を15°〜90°の角度で連続させ
る、強度支持層および再シール性に優れた材料で構成す
る無孔質層の多層材料からなることを特徴とする人工血
管用フランジ部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、疾患を持つ血管や閉
塞した血管の代わりに用いて血行再建を行い、あるいは
血液透析のためのブラッドアクセス用シャントとして用
いる人工血管に用いるフランジ部材および該フランジ部
材を有する人工血管に関する。
【0002】
【従来の技術】 瘤形成や閉塞等の疾患を持つ部分の血
管を、合成材料を用いた人工血管を用いて置換し、ある
いは患部をバイパスして血行の再建が行われている。ま
た、血液透析の為の脱血と返血に用いるブラッドアクセ
スには、まず第1に自己の末梢動静脈を吻合してシャン
トを作製し、必要な血流量を確保することが行われてい
るが、使用する動脈の周囲に適当な吻合すべき静脈がな
い場合、第2の選択として人工血管を用いて離れた位置
にある動脈と静脈を連絡するように人工血管を用いたシ
ャントにより接続することが行われている。
【0003】通常、細い血管の端部同士を吻合する場
合、血栓等による閉塞を防ぐため、図1のごとく、血管
吻合の基本技術として、宿主血管101と宿主血管10
2の接合端部をそれぞれ外翻させて吻合することとされ
ている。これにより、吻合部の内腔を十分確保するだけ
でなく、元々血液と接触する部分である血液適合性の良
い血管内面のみ血液と接触させることができる。しか
し、宿主血管は薄く柔軟な場合が多く外翻することが容
易であるのに比べ、従来の人工血管の多くは宿主血管に
比べ、柔軟性に乏しく拡径することが困難であり、外翻
させることができなかった。
【0004】この問題を解決する手法として、人工血管
(延伸加工ポリテトラフルオロエチレン)の末端に自家
静脈を縫合、接合してカフを作製し、自家静脈を介して
接合端部を外翻させて端部同士を吻合する手法(ミラー
カラー)が知られている。しかし、この手法は移植前に
患者から静脈を採取しなければならず、また、吻合前に
術者が人工血管に自家静脈を縫合しカフを準備しなけれ
ばならず、患者や術者に負担をかけることになる。
【0005】また、この問題を解決するために、予め人
工血管の末端を局部的に拡径させたフランジ加工したポ
リテトラフルオロエチレン製の人工血管を用いて、患者
や術者に負担をかけることなく移植可能であるものが開
示されている(特表2000−503572)。これ
は、予め人工血管の端部が外翻されているため、吻合す
る宿主血管と外翻して吻合することができる。さらに、
血管縫合時、通常の人工血管では、硬い人工血管を外側
に捲り上げながら縫合糸を掛けていかなければならず、
作業が困難であるが、末端をフランシ゛加工した人工血管
は、予め捲れあがった形状を取っているので、捲り上げ
ながら縫合する術者の負担を軽減させることができる。
【0006】しかし、延伸加工したポリテトラフルオロ
エチレンは、弾性に乏しく、縫合時の針穴が人工血管材
料に開口したまま残存する。このため、血流再開後、こ
の穴から出血が生じ、手術時間を延長させるだけでな
く、時に合併症発生の原因となりこともある。
【0007】他の血管との接合部となる人工血管端部
を、上記のようなフランジ加工した場合、縫合される部
分の辺縁長は長くなり、必然的に針穴が多く生じ、針穴
と縫合糸の間の隙間が塞がることなく出血量も増大す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、確実
かつ容易に宿主血管と外翻縫合させることができるとと
もに、縫合後の針穴からの出血を防ぐことができる血管
移植片を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は下記
(1)〜(5)の本発明によって達成される。
【0010】(1) 強度支持層および再シール性に優
れた材料で構成する無孔質層の多層材料からなり、人工
血管に移行する移行部と、該移行部に連続して他の血管
に接続する接続部を有し、該移行部から該接続部に向か
って拡径している人工血管用フランジ部材。
【0011】(2) 人工血管に移行する移行部と、該
移行部に連続して他の血管の側面に接続する接続部を有
するフランジ部材であって、該接続部は該移行部から全
周に亘って広がっており、該接続部は辺縁部を有し、該
移行部の周囲長より増大した該辺縁部周囲長を有し、該
人工血管と該他の血管との間に介在して、該人工血管と
該他の血管との成す角を15°〜90°の角度で連続さ
せる、強度支持層および再シール性に優れた材料で構成
する無孔質層の多層材料からなることを特徴とする人工
血管用フランジ部材。
【0012】(3) 前記再シール性に優れた材料がス
チレン系エラストマーである上記(1)または(2)に
記載の人工血管用フランジ部材。
【0013】(4) 該強度支持層がポリエステル系繊
維の編物もしくは織物である上記(1)または(3)に
記載の人工血管用フランジ部材。
【0014】(5) 上記(1)ないし(4)に記載の
人工血管用フランジ部材を少なくとも一方の端部に有す
る人工血管。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の人工血管用フラン
ジ部材および人工血管を添付図面に示す好適な実施の形
態に基づいて詳細に説明する。
【0016】図2は本発明の人工血管用フランジ部材3
と人工血管本体2が連続して作製された人工血管1の末
端部付近の縦断面図である。図3は本発明の人工血管1
が宿主血管105に接合された時の斜視図である。本発
明の人工血管1は、人工血管本体2および人工血管の末
端周囲に外側に向かって広がったフランジ部材3を有す
る。フランジ部材3、人工血管部2は双方とも、強度支
持層5と無孔質層4の2層よりなる。人工血管部2は、
人工血管の内腔の中心線である管軸7を有する。このフ
ランジ部材3は、人工血管部2の管軸7方向(A−B方
向、人工血管の管腔中心線を管軸とする。)の先端に向
かって(図2の場合、AからBに向かって)その内径が漸
増し、仮想の他の血管の管軸(E−F)と平行なG−H
面より先は急激に広がったフランジ状をなし、これによ
り容易に、外翻させた宿主血管と外翻させた状態で吻合
を行うことができる。図2の人工血管1において、人工
血管端部(フランジ部材としては人工血管本体側端部。
本実施例の場合、人工血管本体と人工血管用フランジが
連続して作製されているので、人工血管端部とフランジ
の本体側端部は同一となる。)10、11を通る管軸7
に垂直な断面(C-D面)から端部方向では、その内径が
増加しており、人工血管用フランジ部材3を形成してい
る。他方C-D面から人工血管中央部方向は、人工血管本
体2を形成している。
【0017】該フランジ部材3は、人工血管本体側端部
10、11およびフランジ端部12、13を有する。該
フランジ部材3は、人工血管本体部側端部10、11か
らフランジ端部12、13へ、拡径あるいは周囲長が増
大している。図2の実施態様においては、人工血管端部
(C−D面)と該G−H面の間が移行部を形成し、該移
行部と連続する、拡径あるいは周囲長が増大するG−H
面からフランジ端部までが接続部を形成する。該接続部
の長さは、特に限定されないが縫合時の少なくとも縫い
代が確保できる2mm以上あることが望ましい。より好ま
しくは2〜50mmである。この部分は長めに作製し、
移植時、宿主血管の形状に合わせて任意に切除して調整
させることもできる。
【0018】図2のフランジ付き人工血管1のフランジ
部材3は、宿主血管の側面を切開し、宿主血管の側部よ
り吻合する場合に適した形状となっている。即ち、フラ
ンジがフランジ端部12、13に向かって広がってお
り、仮想の直線状の宿主血管の軸線(E-F)に漸近する
曲面を形成している。該フランジ部材3の側面6は、該
仮想の宿主血管の側面に沿うような曲面を形成してい
る。この仮想軸線(E-F)と管軸(A-B)とが角θで交差
している。図3に、宿主血管105の側面に本発明のフ
ランジ部3を有する人工血管1を吻合した状態の斜視図
を示す。該角θは15°〜90°が好ましい。より好ま
しくは、20°〜80°である。これにより、吻合部周
辺での血流の乱れを少なくすることができる。図3に示
すように人工血管端部2をフランジ3を介して、宿主血
管側部108に吻合することができる。
【0019】図1に示されている宿主血管の端部吻合に
適するように、フランジ部材が人工血管の管軸について
略線対称にラッパ状に拡径したフランジであってもよい
ことは言うまでもない。上記のフランジを用いることに
より、確実かつ容易に宿主血管と外翻縫合させることが
できるのである。この場合、該フランジ部材の移行部
は、用いる人工血管と接続に用いる部分である。また、
接続部は、ラッパ状に拡径した部分である。
【0020】本発明の人工血管用フランジ部材は、人工
血管に移行する移行部と、該移行部に連続して他の血管
の側面に接続する接続部を有するフランジ部材であっ
て、該接続部は該移行部から全周に亘って広がってお
り、該接続部は辺縁部を有し、該移行部の周囲長より増
大した該辺縁部周囲長を有し、該人工血管と該他の血管
との間に介在して、該人工血管と該他の血管との成す角
を15〜90°の角度で連続させる、強度支持層および
再シール性に優れた材料で構成する無孔質層の多層材料
からなる。
【0021】図2は、本発明の人工血管用フランジ部材
を端部に有する人工血管である。本実施の態様におい
て、人工血管端部(C−D面)で人工血管本体部を切り
離せば、本発明の人工血管用フランジ部材となる。フラ
ンジ部材3は、人工血管と接続あるいは連続する移行部
を有する。本発明の人工血管用フランジ部材は、上記移
行部の端部であるG−H面において接続部に連続し、該
接続部が該移行部の全周に亘って、広がっている。した
がって、該移行部の周囲長(C−D面での周囲長あるい
はG−H面での周囲長)よりも増大した辺縁部周囲長を
有する。
【0022】本発明のフランジ部材は、人工血管と他の
血管との間に介在して、該人工血管と該他の血管との成
す角を15〜90°の角度で連続させるものである。上
記の通り、該接続部が該移行部の全周に亘って、広がっ
ているので、図2において、フランジ端部12,13は
辺縁部を形成するが、該人工血管の管軸(A−B)に対
して最小角を有する領域であるフランジ端部13は、上
記人工血管と他の血管との成す角度に対応する該管軸と
15°〜90°の角度を有し、該管軸に対して該フラン
ジ端部13と対向する該管軸と最大角を有する領域であ
るフランジ端部12は、管軸(A−B)と90°〜16
5°の角度を有するのが好ましい。この構成により、吻
合術直後より吻合部からの血液の漏れを改善することが
でき、さらに人工血管を他の血管の側方より吻合すると
き、吻合部周辺での血流の乱れを少なくすることができ
る。好ましくは、該人工血管と該他の血管との成す角度
は、20〜80°である。
【0023】本発明の人工血管用フランジ部材3は、再
シール性を有する無孔質層4と強度支持層5を有する。
再シール性とは、縫合針の刺通により材料に形成された
針孔が該材料の特性により実質的に閉塞し、血液の漏出
をほとんど無くすことができる特性を言い、特開平8−
294529の実施例で示されている血液の漏れ状態を
大きく改善できるものである。さらに本発明において
は、室温における破断強度が15〜100kgf/cm
であって、破断伸度が300〜2500%の材料で形
成されていることが好ましい。さらに好ましくは、破断
伸度が500〜2000%である。この材料としては、
基本樹脂として特開平8−294529に開示されてい
るスチレン系エラストマーの他、フッ素系エラストマ
ー、やポリウレタン等を用いることができる。
【0024】本発明に使用するスチレン系エラストマー
は、スチレンまたはエチレンを主成分とする部分と、ブ
タジエンおよび/またはイソプレンおよび/またはそれ
らの水素添加物からなる部分から構成された共重合体を
主成分とするものを基本樹脂として用いることができ
る。具体的には、市販されているもので、クレイトン,
カリフレックス(シェル化学)、タフプレン,タフテッ
ク(旭化成工業)、アロンAR(アロン化成)、ラバロ
ン(三菱油化)、JSR−TR,JSR−SIS,ダイ
ナロン(日本合成ゴム)、セプトン(クラレ)などが挙
げられる。また、オレフィン系エラストマーは、エチレ
ンとプロピレンの共重合体や、それに第三成分としてα
−オレフィンやジエンモノマーを添加したものなどで、
具体的には、ミラストマー,タフマー(三井石油化
学)、住友TPE(住友化学工業)、サーモラン(三菱
油化)などが挙げられる。
【0025】さらに本発明の無孔質層は、柔軟化剤とし
てイソプレン関連化合物等の添加剤を混合することによ
り硬度の低下、およびゴム弾性が向上し、適度な伸度が
えられる。添加剤の量は、該基本樹脂100重量部に対
して20重量部以上混合させることが好ましい。イソプ
レン関連化合部としては、特に限定しないがスクアラ
ン、スクアレンが好ましく使用でき、それは天然物で
も、天然物からの誘導されるものでも、化学合成で得ら
れた物でも構わない。他にも、ゲラニルゲラン酸、ゲラ
ニルゲラニオール、ゲラニルリナルール、イソフィトー
ル、フィトール、フィチルアセテート、ヘキサハイドロ
ファルニシルアセトン、ファルニシルアセトン、ネロリ
ドール、ファルネセン、ビサボレン、ビサボロール、フ
ァルネソール、ゲファルネート、ファルネサール、ファ
ルネシル酸、ゲラニルアセトン、シュードイオノン、α
−ロノン、β−ロノン、α−メチルイオノン、γ−メチ
ルイオノンなどが挙げられる。これらのイソプレン関連
化合物は、ヒトの体内に代謝経路があるため、医療用材
料として使用中にブリードなどにより体内に吸収されて
も、安全性が高い。
【0026】この無孔質層の厚さは、厚くなればなるほ
ど高い再シール機能が得られるが、一方でフランジの壁
厚が厚くなるため、1mm以下とすることが望ましい。
【0027】また、強度支持層5は、該無孔質層4が常
時負荷される拍動に対して過度に変形することを防止
し、また、該無孔質層4が縫合後の引張り等により断裂
することを防止するものである。材料としては現在市販
されているポリエステルの編物もしくは織物や延伸加工
したポリテトラフルオロエチレンやポリウレタン等のの
人工血管を用いることができる。上記の特性を有するも
のでれば強度支持層として使用することが可能である。
特にポリエステル系繊維は、既に人工血管として実績を
有し、強度、安全性等が充分であるので、好ましい。こ
れらの材料は強度支持層の材質及び形状を考慮して種々
選択することができる。
【0028】無孔質層は強度支持層の内側または外側に
設けることができる。さらに、無孔質層の外側または内
側にさらなる層を設けて、3層の構造体とすることも可
能である。特に、フランジ部材の最外層に多孔質層を設
けることにより、生体に埋入後、該多孔質層内に細胞が
侵入し、フランジ部材と埋入後に形成される生体組織を
一体化させることができる。
【0029】本発明のフランジ部材は、その内表面にお
いて人工血管本体と連続していることが望ましく、これ
により不連続面での血栓形成を抑えることができる。ま
た、該強度支持層が、フランジ部材と人工血管本体と連
続していれば、人工血管本体部と同様の強度を持たせる
ことができ、これにより接合面での物性の違いによる人
工血管のつぶれや、不良を抑制することができる。
【0030】本発明のフランジ部材は以下のように作製
することができる。
【0031】無孔質層は、通常のチューブ成形の技術に
より作製することができる。該基本樹脂としてスチレン
系エラストマーを用いる場合には、通常の押出し成形機
によりチューブ状に成形する。スクアランなどの該柔軟
化剤を混合して成形することにより、最終物性を調整す
ることができる。成形条件は、用いる基本樹脂、柔軟化
剤混合割合、チューブ厚さ、チューブ径等により適宜設
定する。場合により、押出し成形機の押出し量、チュー
ブの巻き取り速度等を調節して、拡径した部分を有する
チューブとしてもよい。
【0032】強度支持層は、従来の人工血管材料を用い
ることができるが、ポリエステル系樹脂の繊維を用いて
構成する場合、2成分以上のポリエステル系樹脂を同時
に紡糸した複合繊維を用いることが好ましい。複合繊維
の複合の仕方は特に限定されず、例えば、接合型(2成
分以上が張り合わされた状態で接合されたもの)、芯鞘
型(1成分を芯として他成分がこれを取り囲んだも
の)、多芯鞘型(1成分を多数の芯層として成形として
他成分がこれを取り囲んだもの)、多層接合型(2成分
が交互に接合された形式で多層を成形したもの)などが
挙げられるが、弾性および弾性回復性の保持などから接
合型が好ましい。PETとPBTを同時に紡糸した接合
型の複合繊維を編み、織り、組み処理を行った繊維構造
体を用いることが好ましい。
【0033】強度支持層は、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)とポリブチレンテレフタレート
(PBT)の接合型弾性繊維(30デニール/18フィ
ラメント)を、ラッセル編み機で図4のような分岐2
3,24を有する編物管状体(分岐編物管状体)21と
して得ることができる。このとき、分岐の一方の内径を
フランジが適用される人工血管の内径に合わせ、フラン
ジ作製側分岐23とする。
【0034】上記の分岐編物管状体21の基幹部22、
分岐部23、24のそれぞれの外径に適合した無孔質チ
ューブを予め、押出し成形により作製しておく。図4の
分岐編物管状体21の内径に適合した図5のフッ素樹脂
製芯棒31に上記分岐編物管状体21を被せ、さらに基
幹部(32、22)、分岐部(33、23、34、2
4)にそれぞれ無孔質チューブ被せる。さらに基幹部
(32、22)、分岐部33、23、34、24)それ
ぞれに無孔質層のガラス転移温度と融点の間の温度で収
縮する熱収縮チューブを被せ、該収縮温度で熱処理し、
無孔質層と分岐編物管状体とが一体となった分岐管状体
を作製する。必要により、該分岐管状体には、従来公知
の方法により蛇腹構造や螺旋補強構造を付加することが
できる。例えば、蛇腹構造では特開昭52−70597
号等に開示されている。
【0035】ついで、熱収縮チューブを取り去った該分
岐管状体を、基幹部とフランジ作製側分岐とにおいて、
作製したい形状を有する図6のような成形用フッ素樹脂
製芯棒41に被せ換える。そして、該分岐編物管状体を
構成する材料および無孔質層を構成する材料のいずれの
ガラス転移温度よりも高い温度で、かつ本熱処理時の形
状が固定されるだけの時間の間、熱処理し、所望の形状
のフランジ部材を成形する。このとき、成型用フッ素樹
脂製芯棒41を、図6の分割部45から分割して該成形
用フッ素樹脂製芯棒を二つの部分42、43から構成
し、初めに第1パーツ43を該分岐管状体のフランジ側
分岐に挿入し、次に第2パーツ42を他方の分岐に挿入
することにより、所望のフランジ形状を成形することが
できる。
【0036】最後に、成形した該分岐管状体51を、図
7に示す所望のフランジ辺縁切除線53に沿ってカット
することにより、本発明の人工血管用フランジ部材ある
いはフランジ付き人工血管を作成することができる。
【0037】予め人工血管の端部が末端が拡径したフラ
ンジ状に加工されたePTFE人工血管の外側に0.3mm
厚、無孔質のフッ素系エラストマーで被覆して、再シー
ル性に優れた層を付与することができ、従来のePTFE人
工血管にその外面あるいは内面に再シール性に優れた無
孔質層を有するフランジを有する人工血管を作製するこ
とができる。また、無孔質層をポリウレタンエラストマ
ーとすることにより、鋳型を用いて末端がフランジ構造
となった無孔質ポリウレタン人工血管を作製することも
可能である。
【0038】以下、実施例を用いて詳細に説明する。
【0039】
【実施例1】無孔質層として、スチレン系エラストマー
であるセプトン((株)クラレ社製)とスクアラン
((株)クラレ社製)を重量比1:1で混合した後、射
出成形機にて150℃の溶融温度で押出し、6mmφと
14mmφで、それぞれ厚さ0.4mmの無孔質チュー
ブを得た。
【0040】次に30デニール/18フィラメントのポ
リエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレー
ト(重量比1:1)よりなる接合型弾性繊維をラッセル編
み機(マイヤー社製)を用いて基幹部内径12mmφ、
二つの分岐部内径がそれぞれ6mmφ、6mmφの図4
に示すようなY字構造の編物管状体を得た。これを同じ
く基幹部外径14mmφ、二つの分岐部の外径がそれぞ
れ6mmφ、6mmφの図5に示すY字構造のフッ素樹
脂製芯棒に通し、上記で作製した無孔質層であるスチレ
ン系エラストマーチューブを基幹部、分岐部それぞれに
被覆し、さらに外側から熱収縮チューブ(材質:ポリ塩
化ビニル)を被せ、熱処理し熱収縮チューブを収縮さ
せ、無孔質層と編物管状体とを融着させた。
【0041】図5に示すY字構造の接合用フッ素樹脂製
芯棒を抜き取り、替わりに図6に示す成形用芯棒を挿入
し、熱処理(温度100℃)した。その後、芯棒を抜去
して図7にしめす辺縁線に沿って切り離し、フランジ部
材として、再シール性に優れた層をもつフランジ付き人
工血管を作製した。人工血管の管軸とフランジ端部の成
す最小角領域の角度は30°、最大角領域の角度は15
0°であった。
【0042】
【実施例2】実施例1で作製した無孔質層と編物管状体
が接合された中間体に、該中間体の基幹部および分岐部
に0.85mmφのポリエステルモノフィラメントを約
3mm間隔でらせん状に巻き付け、さらに、外側よりオ
レフィン系エラストマーのタフマー(三井石油化学
(株)社製)をホットメルトアプリケータシステム(ノ
ードソン(株)社製)を用いて線径10〜15μmの細
繊維からなる約0.2mm厚の不織布層を塗布した後、
該ポリエステルモノフィラメントをはずして凹凸の溝加
工を施した。全体を作製後、図5に示すY字構造の接合
用フッ素樹脂製芯棒を抜き取り、替わりに図6に示す成
形用芯棒を挿入し、熱処理(温度100℃)した。その
後、芯棒を抜去して図7にしめす辺縁線に沿って切り離
し、フランジ部材として、再シール性に優れた層をもつ
フランジ付き人工血管を作製した。
【0043】(試験例)雑犬左右総頚静脈を採取し、6
mmφの上記実施例1、2で作製したフランジ付き人工
血管と6mmφのePTFE製フランジ付き人工血管(Vena F
low:インプラ社製)にそれぞれ6−0ナイロン製血管縫
合糸にて吻合し、40mmHg(5.33kPs)の水圧
下での吻合部での漏水量を測定した。
【0044】その結果、ePTFE製フランジ付き人工血管
では79.6ml/minであったのに対して、本発明
の上記再シール性に優れた無孔質層を付与したフランジ
付き人工血管では、実施例1では、0ml/min、実
施例2では、0ml/minであった。縫合後の針穴か
らの漏れを抑えることができた。
【0045】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
生体血管と人工血管との吻合に際して、吻合部の出血を
起こさずかつ外翻した吻合を容易にかつ確実に行うこと
ができる。
【0046】本発明は、強度支持層および再シール性に
優れた材料で構成する無孔質層の多層材料からなり、人
工血管に移行する移行部と、該移行部に連続して他の血
管に接続する接続部を有し、該接続部は該移行部から拡
径している人工血管用フランジ部材であるので、長い縫
合部長さを有する拡径したフランジであっても、吻合部
の出血を起こさずかつ外翻した吻合を容易にかつ確実に
行うことができる。
【0047】また、本発明は、人工血管に移行する移行
部と、該移行部に連続して他の血管の側面に接続する接
続部を有するフランジ部材であって、該接続部は該移行
部から全周に亘って広がっており、該接続部は辺縁部を
有し、該移行部の周囲長より増大した該辺縁部周囲長を
有し、該人工血管と該他の血管との間に介在して、該人
工血管と該他の血管との成す角を15°〜90°の角度
で連続させる、強度支持層および再シール性に優れた材
料で構成する無孔質層の多層材料からなることを特徴と
する人工血管用フランジ部材であるので、血管の側面に
人工血管を接続する場合であっても、吻合部の出血を起
こさずかつ外翻した吻合を容易にかつ確実に行うことが
でき、かつ、血液の流れを乱すことが改善される。
【0048】また、本発明は、前記再シール性に優れた
材料がスチレン系エラストマーである上記(1)に記載
の人工血管用フランジ部材であるので、上記効果が高
い。
【0049】また、本発明は、該強度支持層がポリエス
テル系繊維の編物もしくは織物である上記(1)または
(2)に記載の人工血管用フランジ部材であるので、強
度が高く、生体適合性に優れた上記効果を有する人工血
管用フランジ部材とすることができる。
【0050】さらに、本発明は、上記(1)ないし
(3)に記載の人工血管用フランジ部材を少なくとも一
方の端部に有する人工血管であるので、容易に上記の効
果を得ることができる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】血管の外翻縫合の模式図。
【図2】本発明のフランジ付き人工血管の1の実施の形
態の縦断面図。
【図3】本発明のフランジ付き人工血管を宿主血管に接
合したときの斜視図。
【図4】本発明のフランジの1実施例を作製するための
1の中間体である分岐編物管状体。
【図5】本発明のフランジの1実施例を作製するための
接合用芯棒。
【図6】本発明のフランジの1実施例を作製するための
成形用芯棒。
【図7】本発明のフランジの1実施例の中間体である成
形された中間体。
【符号の説明】
1 フランジ付き人工血管 2 人工血管本体部 3 フランジ部材 4 無孔質層 5 強度支持層 6 側面 7 管軸 10、11 人工血管端部(フランジ人工血管本体側端
部) 12、13 フランジ端部 21 分岐編物管状体 31 接合用芯棒 22、32 基幹部 23,24,33,34 分岐部 41 成型用芯棒 42 第2パーツ 43 第1パーツ 45 分割部 51 成形された分岐管状体 52 フランジ付き人工血管 53 辺縁切除線 101、102、 105 宿主血管 103 縫合糸 108 宿主血管側部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強度支持層および再シール性に優れた材
    料で構成する無孔質層の多層材料からなり、人工血管に
    移行する移行部と、該移行部に連続して他の血管に接続
    する接続部を有し、該接続部は該移行部から拡径してい
    る人工血管用フランジ部材。
  2. 【請求項2】 人工血管に移行する移行部と、該移行部
    に連続して他の血管の側面に接続する接続部を有するフ
    ランジ部材であって、該接続部は該移行部から全周に亘
    って広がっており、該接続部は辺縁部を有し、該移行部
    の周囲長より増大した該辺縁部周囲長を有し、該人工血
    管と該他の血管との間に介在して、該人工血管と該他の
    血管との成す角を15°〜90°の角度で連続させる、
    強度支持層および再シール性に優れた材料で構成する無
    孔質層の多層材料からなることを特徴とする人工血管用
    フランジ部材。
  3. 【請求項3】 前記再シール性に優れた材料がスチレン
    系エラストマーである請求項1または2に記載の人工血
    管用フランジ部材。
  4. 【請求項4】 該強度支持層がポリエステル系繊維の編
    物もしくは織物である請求項1または3に記載の人工血
    管用フランジ部材。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4に記載の人工血管用フ
    ランジ部材を少なくとも一方の端部に有する人工血管。
JP2002058281A 2002-03-05 2002-03-05 人工血管用フランジ部材および人工血管 Pending JP2003250819A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002058281A JP2003250819A (ja) 2002-03-05 2002-03-05 人工血管用フランジ部材および人工血管

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002058281A JP2003250819A (ja) 2002-03-05 2002-03-05 人工血管用フランジ部材および人工血管

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003250819A true JP2003250819A (ja) 2003-09-09

Family

ID=28668295

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002058281A Pending JP2003250819A (ja) 2002-03-05 2002-03-05 人工血管用フランジ部材および人工血管

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003250819A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012005086A1 (ja) * 2010-07-07 2012-01-12 日機装株式会社 人工血管
JP2013504370A (ja) * 2009-09-14 2013-02-07 サーキュライト・インコーポレーテッド 血管内吻合コネクタデバイス、供給システム、ならびに供給および使用方法
CN103211662A (zh) * 2010-07-02 2013-07-24 日机装株式会社 人工血管

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013504370A (ja) * 2009-09-14 2013-02-07 サーキュライト・インコーポレーテッド 血管内吻合コネクタデバイス、供給システム、ならびに供給および使用方法
US9050419B2 (en) 2009-09-14 2015-06-09 Circulite, Inc. Endovascular anastomotic connector device, delivery system, and methods of delivery and use
US11241231B2 (en) 2009-09-14 2022-02-08 Circulite, Inc. Endovascular anastomotic connector device, delivery system, and methods of delivery and use
CN103211662A (zh) * 2010-07-02 2013-07-24 日机装株式会社 人工血管
WO2012005086A1 (ja) * 2010-07-07 2012-01-12 日機装株式会社 人工血管
JP2012030047A (ja) * 2010-07-07 2012-02-16 Nikkiso Co Ltd 人工血管
KR101515129B1 (ko) 2010-07-07 2015-04-24 니기소 가부시키가이샤 인공 혈관

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4975918B2 (ja) 移植片―カテーテル脈管アクセス装置
US5197976A (en) Manually separable multi-lumen vascular graft
US4441215A (en) Vascular graft
US5607464A (en) Prosthetic vascular graft with a pleated structure
KR101681346B1 (ko) 심장 폐색 장치
US3993078A (en) Insert for use preferably in vascular surgery
JP3748881B2 (ja) 多孔度の調節された移植可能な第一内腔装置
US20040073282A1 (en) Distally-narrowed vascular grafts and methods of using same for making artery-to-vein and artery-to-artery connections
WO1999063910A9 (en) Thermal securing anastomosis systems
US20070249986A1 (en) Arteriovenous access for hemodialysis employing a vascular balloon catheter and an improved hybrid endovascular technique
CA2264289A1 (en) Catheter apparatus and method using a shape-memory alloy cuff for creating a bypass graft in vivo
JPH10258073A (ja) 軟組織用の植え込み式管状人工器官
WO1982001647A1 (en) Vascular graft
JP2001527453A (ja) 血管を部分的に閉塞するための装置
JP2002511309A (ja) 改良された形状−記憶合金カフスおよび生体内でバイパス移植片を作成するために要求に応じて膨張可能なバルーンを有するカテーテル装置
CA2419055A1 (en) Distally narrowed vascular grafts
US20030114923A1 (en) Graft and method of making
JP2003250819A (ja) 人工血管用フランジ部材および人工血管
JP2739420B2 (ja) 人工血管
US20040215125A1 (en) Bifurcated graft for dialysis
JPH1199163A (ja) 血管補綴材
CN218220393U (zh) 一种多分支人工血管
JP2005152181A (ja) 埋込み可能な管状体治療具
CN218220394U (zh) 一种具有打结位点的人工血管
WO2023037860A1 (ja) 血管カバー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080115

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080520