JP2005152181A - 埋込み可能な管状体治療具 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、管状臓器、器官病変の治療に使用し、耐キンク性、血液シール性を兼ね備えた埋込み可能な管状体治療具を提供することを目的としている。
【解決手段】延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから少なくとも構成され、複数の端部を有する管状体において、前記管状体の内面は皺を認めないスムースな内腔表面を示し、かつ、前記管状体の外面の少なくとも一部に皺が形成されている管状体からなる埋め込み可能な管状体治療具を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから少なくとも構成され、複数の端部を有する管状体において、前記管状体の内面は皺を認めないスムースな内腔表面を示し、かつ、前記管状体の外面の少なくとも一部に皺が形成されている管状体からなる埋め込み可能な管状体治療具を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、生体適合性を有する、延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから少なくとも構成される埋込み可能な管状体治療具に関する。
病変を有する管状体臓器、器官の治療方法として、人工血菅や人工気管、人工食道など種々の治療具を用いた治療が行われている。例えば、閉塞した動脈に対して人工血菅にてバイパスする治療法や癌などで切除された気管に対して人工的な管状体で置換する治療が施されている。
また、慢性腎不全患者に対して人工透析療法などが施され、この人工透析療法には動静脈や人工血菅などを吻合することで血液の出し入れすることで治療が可能となる。これら治療に用いる管状体として、ポリエステルやポリウレタン、テフロン(登録商標)等の素材が使用されており、特に、テフロン(登録商標)素材は生体適合性に優れるため広く用いられている。
繊維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織を有する延伸PTFE多孔質体およびその製造方法が報告されている。管状のPTFE多孔質体は、人工血管としてこれまでに使用されている(特許文献1)。
この材料は、繊維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織を有することから、耐キンク性、取扱い性を示す。しかしながら、縫合針などで縫合した場合や、透析針などで針をさす場合、針穴から血液が漏れ、止血に苦渋することがある。場合によっては、血腫形成や感染、敗血症など重篤な状態に至る問題が指摘されている。
このように延伸PTFE多孔質体は、強い配向に基づいて長軸方向は高い強度を有するため、高い気孔率構造でも実用に耐え得る十分な強度を維持することが可能となる。しかしながら、その反面、ゴム弾性的性質と相反する性質を持つ。
そこで、延伸PTFE多孔質体の多孔質構造を利用して、予め収縮状態にしてゴムを塗布する方法が報告されている(特許文献1および特許文献2)。
また、延伸PTFE多孔質体と弾性繊維を複合したものなどゴム弾性的性質の付与を試みているが、これら複合体は、本来延伸PTFE多孔質体が有している、優れた耐キンク性を失わせてしまうという欠点を解決するまでには至っていない(特許文献4)。
布製チューブに皺を形成する方法が報告されている(特許文献5)。
多孔質の内層と外層との間に無孔質の中間層を有する人工血管において、内層がポリエステル系樹脂多孔体、中間層がスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料からなる穿刺耐性体であることを特徴とする人工血管がされている(特許文献6)。
しかしながら、延伸PTFE多孔質体を含む管状体治療具において、耐キンク性、血液シール性を兼ね備えたものは従来において存在しなかった。
本発明は、上記問題点を鑑みて、管状臓器、器官病変の治療に使用し、耐キンク性、血液シール性を兼ね備えた、少なくとも延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから構成される埋込み可能な管状体治療具を提供することを目的としている。
即ち、本発明により、以下のような管状体治療用具およびその製造方法が、上記課題を解決するための手段として提供される。
(1)延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから少なくとも構成され、複数の端部を有する管状体において、前記管状体の内面は皺を認めないスムースな内腔表面を示し、かつ、前記管状体の外面の少なくとも一部に皺が形成されている管状体からなる埋め込み可能な管状体治療具。
(2)前記管状体の一端を固定した状態で、常温において、他端に1kgの長軸方向の外力を負荷した時に、皺形成後の長さLO(mm)と外力負荷後の長さL(mm)とが同じである関係(LO(mm)=L(mm))か、外力負荷後の長さL(mm)が110%以内である関係(1.1LO(mm)≧L(mm))にある(1)の管状体治療具。
(3)前記管状体の断面において、皺の凹部の厚みX(mm)と凸部の厚みY(mm)とが、X≦Yの関係にある(1)の管状体治療具。
(4)前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる一つの内層と高分子弾性材料からなる一つの外層からなる二層構造である、(1)〜(3)のいずれか一つの管状体治療具。
(5)前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と内層及び外層の間に高分子弾性材料からなる一つの層を含む三層構造である、(1)〜(3)のいずれか一つの管状体治療具。
(6)(1)〜(5)のいずれか一つの管状体治療具の製造方法であって、少なくとも延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから構成され、複数の端部を有する管状体に線材を巻きつける工程および該管状体の長さを固定した状態で該管状体を加熱する工程からなる、製造方法。
(7)前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層からなる二層構造である、(6)の製造方法。
(8)前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と内層及び外層の間に高分子弾性材料からなる一つの層からなる三層構造である、(6)の製造方法。
内面は皺を認めないスムースな内腔表面を示し、かつ、前記管状体の外面の少なくとも一部に皺を形成することにより、延伸PTFE多孔質体を含む管状体治療具において、耐キンク性、血液シール性を兼ね備えたものを提供する。内面にスムースな内腔表面を有することにより、内面の凹凸により血液の滞留が生じたり、感染を引き起こす危険性を回避することが可能となる。
本発明の埋め込み可能な管状体治療具は、延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから少なくとも構成され、複数の端部を有する管状体において、前記管状体の内面は皺を認めないスムースな内腔表面を示し、かつ、少なくとも前記管状体の外面の一部に皺が形成されている管状体からなる。
図1に本発明の実施の形態の一つを示す。図1は本発明の埋め込み可能な管状体治療具の断面図を示す。また、図2に本発明の実施の形態の一つを示す。図2において、延伸PTFE多孔質体ならなる内層Aと延伸PTFE多孔質体からなる外層Bとの間に高分子弾性材料からなる中間層Cを有する管状体の一例である。
「管状体」は、延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層との少なくとも二層から構成される。この二層の他に本発明の目的を達成する限り他の層を含むことができる。
管状体は延伸PTFE多孔質体からなる一つの層を内層とすることにより、その無毒性、非分解性、血液適合性や細胞、組織適合性に優れ、かつ、耐圧強度の向上が図れ、かつ、縫合時の血液の漏れ防止や、頻回にわたって薬物を注入することによる治療を可能にすることができる。したがって、延伸PTFE多孔質体からなる一つの層は血液などの体液との接触面として使用することが好ましい。
「延伸PTFE多孔質体」は、PTFE(polytetrafluoroethylene;ポリテトラフルオロエチレン)を延伸して得られた多孔質体を意味する。延伸PTFEは繊維と該繊維によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組織を有する。
延伸PTFE多孔質体からなる一つの層からなる管状体は、例えば、特公昭42−13560号公報に記載する方法によって製造することができる。すなわち、まず、押出し工程でPTFEパウダーと潤滑剤の混合ペーストをチューブ状に押出す。次に延伸工程で押出し、圧着された樹脂パウダー同志が延伸により延伸方向に裂けるように離れる。
パウダー間の亀裂によって生じた孔には延伸方向に糸を引くようにPTFE高分子の繊維が複数平行して形成される。その後または同時に、得られた延伸体を少なくともPTFEの融点327℃以上に加熱し、焼結することによって管状の延伸PTFE多孔質体を得ることができる。
延伸PTFE多孔質体からなる一つの層からなる管状体は、液体シール機能がないことからそのまま液体シール機能を必要とする治療具として用いることが困難であり、また、液体シール機能を付与しようと他の材料と組み合わせようとすると耐キンク性が著しく低下し実用に耐えない。
「高分子弾性材料からなる一つの層」に用いる「高分子弾性材料」としては、特に限定しないが高分子の弾性樹脂を挙げることができる。弾性樹脂としては、特に限定されないがスチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーン、シリコーンゴム、フルオロシリコーンなどが挙げられる。
スチレン系エラストマーとしては、特に限定されないがスチレンを主成分とする部分と、ブタジエンおよび/またはイソプレンおよび/またはそれらの水素添加物からなる部分から構成された共重合体を主成分とするものが例示される。
具体的には、クレイトン、カリフレックス(シェル化学)、タフプレン、タフテック(旭化成工業)、アロンAR(アロン化成)、ラバロン(三菱油化)、JSR−TR、JSR−SIS、ダイナロン(日本合成ゴム)、セプトン(クラレ)などが挙げられる。
また、オレフィン系エラストマーとして、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレンとプロピレンの共重合体や、それに第三成分としてα−オレフィンやジエンモノマーを添加したものが挙げられる。
具体的には、ミラストマー、タフマー(三井石油化学)、住友TPE(住友化学工業)、サーモラン(三菱油化)などが挙げられる。
好ましい形態の一つとしては、特許第3229776号で示したようにスチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマーとスクワランを混合したエラストマーなどが挙げられる。
具体的には、スチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した材料が例示される。より具体的には、スチレンエチレンプロピレンスチレン(水素添加スチレンイソプレン)共重合体(SEPS)とスクワランとが1:1で混合された樹脂が例示される。
高分子弾性材料からなる一つの層は、上記樹脂を常法によってシート状、例えば、熱プレス機によってシート状にすることによって得られる。また高分子弾性材料からなる一つの層を高分子弾性材料の管状体として得るときは、特に限定されないがシート状に成形したものを芯棒に巻き付け熱処理する方法や、一般的な押し出し成形、コンプレーション成形等を使用することができる。
このようにして得られた高分子弾性材料管状体は多孔体の構造または無孔体の構造のいずれの形状でも本発明に使用可能である。
「端部」とは、管状体の開口部を意味する。ストレート形状(直管形状)の管状体については二つの両端開口端(一端と他端)を示し、複数の分岐形状の管状体については両端開口端に加え分岐管の開口部をも意味する。分岐形状の管状体は二つ以上の端部を有する。
内面とは、管状体の二つ又は二つ以上の層の内、管状体内腔面を意味する。管状体治療用具の体液と接触する面であり、治療用具が人工血管の場合は血液と接触する層を意味する。通常、内面は延伸PTFEからなる層である。外面とは、管状体の外側に存在する層を意味する。管状体治療用具を埋め込まれる生体の細胞や組織と接触する層を示す。
「埋め込み可能」とは、管状体治療用具の全てが生体の内部に完全に埋め込まれること及び管状体治療用具の一部が生体に埋め込まれることを意味する。通常、外面は延伸PTFEからなる層または高分子弾性材料ならなる層である。しかしながら、内面及び外面はこれらに制限されない。
本発明の管状体治療具は、一つ又は二つ以上の延伸PTFE管状体と一つ又は二つ以上の高分子弾性材料管状体を積層させてなる。体液と接触する管状体の内面は皺を認めないスムースな(凹凸が少なく、滑らかな)内腔表面(内層の内側表面)を示す。管状体治療用具を埋め込まれる生体の細胞や組織と接触する層である外面は、その少なくとも一部に皺が形成されている。
米国特許第3337673号明細書には皺の一般的な形成方法が記載されている。この技術は、丸棒表面に布製のチューブを嵌め込み、チューブの上から糸を等間隔に螺旋状に巻き付け、そのままチューブを軸方向に圧縮して縮めることにより皺を形成する。次いで加熱して熱セットすることに係わる。
この方法によると、布製チューブを軸方向に圧縮することから布製チューブの壁厚全体に皺が形成され、特に内腔表面において凸凹が形成される。したがって、得られた布製チューブは皺を有するため血栓や液体が溜まりやすい。
この方法で得られた布製チューブを血液や体液流路として使用する場合は血栓形成により閉塞したり、溜まった液体が汚染され細菌などが増殖しやすくなり、感染症を起こすという問題がある。
また、この方法によると、布製チューブを全長にわたり押し縮めることにより皺を形成するため、得られた布製チューブを体内に移植すると、経時的に伸長して蛇行やつぶれが生じたり、これらが原因で閉塞に至るなど致命的な事象を引き起こす危険性がある。したがって、この方法は本発明とは異なることを目的とする。
本発明において、「皺」とは管状体の外面の少なくとも一部に形成される凹部(谷部)及び凸部(山部)からなる。皺の形状は、成形時に適用する線材に影響を受ける。
線材を螺旋状に管状体に巻きつけたときは、巻きつけた線材が管状体に食い込んで凹部が形成される。また、リング状の線材を用いた場合は、リング状の線材によって凹部が形成される。線材と線材との間には、凹部と凹部にはさまれた凸部が形成される。皺はこれらの凹部と凸部とからなる。
管状体治療用具の断面を示す図1及び2において、谷部は線材が管状体に食い込んで形成された凹部である。山部は線材と線材との間に形成された凸部である。凸部と凹部は、管状体に皺を形成する。皺のサイズは、管状体に適用する線材の径に影響を受け、皺のサイズは線材の径とほぼ同様である。
本発明の管状体治療用具は穿刺耐性を有する。穿刺耐性とは、穿刺針や留置針などの医療用針の頻回の穿刺に対する耐性を意味する。穿刺耐性を有することにより、治療用具として生体に適用される際に、医療用針を穿刺する時の体液(血液、血漿など)の漏出を防ぐことが可能となる。
本発明の好ましい形態の一つとして、「管状体」は延伸PTFE多孔質体からなる内層と内層の外側に高分子弾性材料からなる外層を含む二層構造である。本発明の別の好ましい形態の一つとして、「管状体」は延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と内層及び外層の間に高分子弾性材料からなる一つの層を含む三層構造である。
また、本発明の目的を達するために、治療用具は延伸PTFE及び高分子弾性材料と同じ材料または異なる材料からなる層の管状体を含むことができる。各々の層は本明細書において記載した方法により積層することができる。積層した管状体は融着することが可能である。
本発明本発明の管状体治療具の製造方法は、少なくとも延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから構成され、複数の端部を有する管状体に線材を巻きつける工程および管状体の長さを固定した状態で該管状体を加熱する工程を含む。
まず、延伸PTFE多孔質体と高分子弾性材料から構成される管状体を作製した後、線材を管状体の外側(外面)に巻き付ける。
巻き付けに使用する線材は、特に限定されないが熱セット時の加温に対する耐熱性と巻き付け張力に抗する強度を有し、チューブを変質させないものが好ましい。線材は、高分子弾性材料の種類にもよるが、内腔表面に皺が形成されず、かつ、内腔表面以外の部位に所望の皺形状が得られるに必要な充分な張力を加えることができるものを使用することができる。
線材の素材としては、特に限定されないが可塑性素材や金属性素が挙げられる。可塑性素材としては、特に限定されないがポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、テフロン(登録商標)などが例として挙げられる。金属性素材としては、特に限定されないがSUS線材や純チタン線材、Ni-Ti線材などが例として挙げられる。
管状体に対する線材の巻きつけ方は、特に限定されないが螺旋状、リング状が挙げられる。管状体に線材を巻きつける際に、線材と線材の間のピッチ間隔は0.1〜5mmであることができ、好ましくは1〜3mmであり、より好ましくは1〜2mmであり、さらに好ましくは1mmmまたは2mmである。
線材の径(線径)は皺のサイズを規定する。線径とは線材の直径であり、それは特に限定されないが0.1mm〜5mmであり、好ましくは0.1〜3mmであり、より好ましくは0.2〜0.5mmである。
次いで、管状体の端部をバンドなどで固定する。そうすると、管状体の長さが変化しない状態に保つことができる。このように管状体を固定した状態で加熱により塑性変形させる。
管状体を加熱するには、通常の方法が用いられ加温熱処理することが好ましい。加温処理は、特に限定されないが120℃で20分、150℃で30分などの条件を選択することができる。加熱されると、管状体は高分子弾性材料が塑性変形を生じ、加熱後に冷却しても、加熱の形態を保つことができる。
延伸PTFE多孔質体からなる層は、液体シール性がないだけでなく、長期的に塑性変形状態を固定していくことは困難である。延伸PTFE多孔質体からなる層は高分子弾性材料からなる層との複合(組み合わせ)により長期的に固定された所望の塑性変形が可能となる。そして、本発明の管状体治療具の外面の少なくとも一部に皺を有するが、内面(内腔面)に皺を形成しない。すなわち、管状体治療具の内面に皺形成の影響を与えない。
本発明の製造方法により得られた管状体治療具は、皺形成前と皺形成後のチューブ長さに変化がないことが重要である。また、管状体治療具の内腔表面に皺形成の影響がないことが、その性能を発揮していく上で重要である。さらに、内面(内腔表面)に皺形成の影響を及ぼさないことは、内腔の凹凸により血液の滞留が生じたり、感染を引き起こす危険性を回避していく上で重要である。
「管状体」の一端を固定した状態で、常温において、他端に1kgの長軸方向の外力を負荷した時に、皺形成後の長さLO(mm)と外力負荷後の長さL(mm)とが同じである関係(LO(mm)=L(mm))か、外力負荷後の長さL(mm)が110%以内である関係(1.1LO(mm)≧L(mm))である。
好ましくは、外力負荷後の長さL(mm)が108%以内である関係(1.08LO(mm)≧L(mm))である。より好ましくは外力負荷後の長さL(mm)が105%以内である関係(1.05LO(mm)≧L(mm))である。さらに好ましくは外力負荷後の長さL(mm)が103%以内である関係(1.03LO(mm)≧L(mm))である。
管状体の長軸方向に対して外力が負荷されることにより長さに変化がある場合は、前述したように埋め込まれたあと長期間経過することにより蛇行の原因となったり、キンクによりつぶれてしまう危険性を招き易くなる。また、手術時に長さが変化すると適切な張力で埋め込むことが難しくなり、場合によっては宿主血管に応力が集中し、外力負荷により閉塞に至る危険性がある。常温とは通常の室温の範囲であることができる。特に限定されないがたとえば15℃〜25℃をあげることができる。
「管状体」の断面において凹部の厚みX(mm)と凸部の厚みY(mm)とが、X≦Yの関係にある。凹部の厚みXは、最外層上の線材が食い込んで形成された凹部の最も内層に近い点から内層(延伸PTFE層)の内腔表面へ下ろした垂線の距離である。管状体治療用具が二層からなる場合、「凹部の最も内層に近い点」は高分子弾性材料からなる層上に存在する。管状体治療用具が三層からなる場合、「凹部の最も内層に近い点」は延伸PTFEなる層上(外層上)に存在する。
凸部の厚みYは、最外層上の凸部の頂点から内層におろした垂線において、「凹部の最も内層に近い点」と同じ高さまでの距離である。すなわち、距離Xと距離Yの和が管状体の最大の厚み(凸部が存在する部分の総壁厚)に等しい。
管状体治療用具が二層からなる場合、「凹部の最も内層に近い点」は高分子弾性材料からなる層上に存在する。管状体治療用具が三層からなる場合、「凹部の最も内層に近い点」は延伸PTFEなる層上(外層上)に存在する。
管状体治療用具が二層からなる場合、「凹部の最も内層に近い点」は高分子弾性材料からなる層上に存在する。管状体治療用具が三層からなる場合、「凹部の最も内層に近い点」は延伸PTFEなる層上(外層上)に存在する。
X>Yの関係にある場合は、特に複数の層構造を形成する管状体においては実用に耐えられるキンク耐性を得ることができない。
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体とからなる二層管状体の製造(1)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)30gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工し、高分子弾性材料からなる厚み0.4mmの管状体を得た。
高分子弾性材料管状体を延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、積層した。得られた管状体をオーブンで150℃、30分間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体を熱融着させた。
管状体に線径0.2mmのポリエステル線材をピッチ間隔1mmにて螺旋状に巻き付け、オーブンにて120℃、20分加熱処理を加えた。室温中に放置後、周囲に巻きつけた線材を外した。延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体との二層からなる管状体1を得た。
得られた管状体の長さを測定したところ30cmであった。管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ30cmであった。
さらに剃刀にて管状体を切断し、その断面を観察した。各層の皺の形状を測定したところ、皺の凸凹間の距離が0.7mmであり、皺の凹部から内腔表面までの距離が0.2mmであった。
実施例2 延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体とからなる二層管状体の製造(2)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)30gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工し、高分子弾性材料からなる厚み0.4mmの管状体を得た。
高分子弾性材料管状体を延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、積層した。得られた管状体をオーブンで150℃、30分間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体を熱融着させた。
管状体外周囲に線径0.2mmのポリエステル線材をピッチ間隔2mmにて螺旋状に巻き付け、オーブンにて120℃、20分加熱処理を加えた。室温中に放置後、周囲に巻きつけた線材を外した。延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体との二層からなる管状体2を得た。
得られた管状体の長さを測定したところ30cmであった。管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ30cmであった。
さらに剃刀にて管状体を切断し、その断面を観察した。各層の皺の形状を測定したところ、皺の凸凹間の距離が0.8mmであり、皺の凹部から内腔表面までの距離が0.1mmであった。
実施例3 延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体とからなる二層管状体の製造(3)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)30gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工し、高分子弾性材料からなる厚み0.4mmの管状体を得た。
高分子弾性材料からなる管状体を延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、積層した。得られた管状体をオーブンで150℃、30分間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体を熱融着させた。
管状体外周囲に線径0.1mmのポリエステル線材をピッチ間隔1mmにて螺旋状に巻き付け、オーブンにて120℃、20分加熱処理を加えた。室温中に放置後、周囲に巻きつけた線材を外した。延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体との二層からなる管状体3を得た。
得られた管状体の長さを測定したところ30cmであった。管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ30cmであった。
さらに剃刀にて管状体を切断し、その断面を観察した。各層の皺の形状を測定したところ、皺の凸凹間の距離が0.6mmであり、皺の凹部から内腔表面までの距離が0.3 mmであった。
実施例4 延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体とからなる三層管状体の製造(1)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を延伸PTFE多孔質管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)30gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工し、高分子弾性材料からなる厚み0.3mmの管状体を得た。
高分子弾性材料管状体を延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、積層した。得られた管状体をオーブンで150℃、30分間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体を熱融着させた。次に、内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体に外径8mmのステンレス丸棒を挿入することで拡張し高分子弾性材料に被覆し、オーブンにて120℃、30分間加熱処理を加えた。
さらに線径0.2mmのポリエステル線材をピッチ間隔2mmにて螺旋状に巻き付け、オーブンにて120℃、20分加熱処理を加えた。室温中に放置後、周囲に巻きつけた線材を外すことで、延伸PTFE多孔質管状体からなる内外層、高分子弾性材料管状体とからなる中間層で構成される三層管状体を得た。
得られた管状体の長さを測定したところ30cmであった。管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ30cmであった。
さらに剃刀にて管状体を切断し、その断面を観察した。各層の皺の形状を測定したところ、皺の凸凹間の距離が0.6mmであり、皺の凹部から内腔表面までの距離が0.3mmであった。
比較例1 延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体とからなる二層管状体の製造(1)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)30gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工し、高分子弾性材料からなる厚み0.4mmの管状体を得た。
高分子弾性材料からなる管状体を延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、積層した。得られた管状体をオーブンで150℃、30分間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体を熱融着させた。
さらに管状体外周囲に線径0.2mmのポリエステル線材をピッチ間隔2mmにて螺旋状に巻き付け、管状体の軸方向の長さが20cmとなるように圧縮して皺を形成し、オーブンにて120℃、20分加熱処理を加えた。室温中に放置後、周囲に巻きつけた線材を外した。延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体との二層からなる管状体Aを得た。
得られた管状体の長さを測定したところ20cmであった。さらに剃刀にて管状体を切断し、その断面を観察した。各層の皺の形状を測定したところ、皺の凸凹間の距離が2mmであり、皺の凹部から内腔表面までの距離が0mmであった。
管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ29cmに伸張した。
比較例2 延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体とからなる二層管状体の製造(2)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)30gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工し、高分子弾性材料からなる厚み0.4mmの管状体を得た。
高分子弾性材料からなる管状体を延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、積層した。得られた管状体をオーブンで150℃、30分間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体を熱融着させた。
さらに管状体外周囲に線径0.1mmのポリエステル線材をピッチ間隔1mmにて螺旋状に巻き付け、管状体の軸方向の長さが18cmとなるように圧縮して皺を形成し、オーブンにて120℃、20分加熱処理を加えた。室温中に放置後、周囲に巻きつけた線材を外した。延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体との二層からなる管状体Bを得た。得られた管状体の長さを測定したところ18cmであった。
剃刀にて管状体を切断後、その断面を観察した。各層の皺の形状を測定したところ、皺の凸凹間の距離が2.2mmであり、皺の凹部から内腔表面までの距離が0mmであった。
管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ27cmに伸張した。
管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ27cmに伸張した。
比較例3 延伸PTFE多孔質管状体からなる一層管状体の製造
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に管状体外周囲に線径0.2mmのポリエステル線材をピッチ間隔2mmにて螺旋状に巻き付け、オーブンにて120℃、20分加熱処理を加えた。室温中に放置後、管状体の周囲に巻きつけた線材を外した。延伸PTFE多孔質管状体からなる一層管状体Cを得た。
得られた管状体の長さを測定したところ30cmであった。剃刀にて管状体を切断後、その断面を観察した。一層の皺の形状を測定したところ、皺の凸凹間の距離が0.4mmであり、皺の凹部から内腔表面までの距離が0.1mmであった。
管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ30cmであった。
比較例4 延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体とからなる二層管状体の製造(3)
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
内径6mmφ、長さ30cm、厚み0.5mmの延伸PTFE多孔質管状体(Gore-Tex、ゴア社)を用意した。外径5.8mmのステンレス丸棒を管状体に挿入し、加工時に管状体の長軸方向の長さが変化しないよう二つの端部をバンドで固定した。
次に、スチレン系エラストマーであるクレイトン(シェル化学社製)100gとスクワラン(スクアテック社)30gを混合し、得られた混合物を押し出し成形機により内径6mm、長さ30cmのチューブ状に加工し、高分子弾性材料からなる厚み0.4mmの管状体を得た。
高分子弾性材料からなる管状体を延伸PTFE多孔質管状体に被覆し、積層した。得れらた管状体をオーブンで150℃、30分間加熱処理し、延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体を熱融着させた。延伸PTFE多孔質管状体と高分子弾性材料管状体との二層からなる管状体Dを得た。
得られた管状体の長さを測定したところ30cmであった。管状体の一端を固定台に固定し、室温にて管状体を垂直にして、管状体の他端に重さ1kgの金属製おもりを付け、長さを測定したところ30cmであった。
さらに剃刀にて管状体を切断後、その断面を観察した。各層の厚みを測定したところ、延伸PTFE多孔質層が0.5mmであり、高分子弾性材料からなる層が0.4であった。皺の形成はいずれの部位において認めなかった。
試験例1 穿刺耐性確認のための漏水試験
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、C、Dの穿刺耐性確認のための漏水試験をした。各々の管状体に16Gの針を刺し、針を抜去した後に、管状体内部に生理食塩水にて水圧60mmHgをかけた。漏水の程度について観察した。
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、C、Dの穿刺耐性確認のための漏水試験をした。各々の管状体に16Gの針を刺し、針を抜去した後に、管状体内部に生理食塩水にて水圧60mmHgをかけた。漏水の程度について観察した。
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、Dにおいては、管状体の針を抜いた部位周辺に僅かな滲みを認めるのみであった。一方、比較例Cは針穴は開口したまま復帰せず、針穴から大量の漏れが認められた。
試験例2 抗キンク性試験(1)
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、C、Dの抗キンク性試験をした。各々の管状体を15cmの長さに切り取り、曲率半径4mmから11.5mmまでの円筒に密着させて曲げ、キンク現象を観察した。
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、C、Dの抗キンク性試験をした。各々の管状体を15cmの長さに切り取り、曲率半径4mmから11.5mmまでの円筒に密着させて曲げ、キンク現象を観察した。
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、Cの最小キンク半径は、5.5mmであり優れたキンク耐性を示した。一方、比較例4で得られた管状体Dは、最小キンク半径10.5mmであった。管状体Dはキンク性に劣るだけでなく、キンク癖が生じた。
試験例3 抗キンク性試験(2)
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、C、Dの抗キンク性試験をした。各々の管状体を15cmの長さに切り取り、接着テープにて管状体の二つの端部を固定した。管状体内部に生理食塩水を用いて水圧150mmHgを負荷し、蛇行やキンク発生の有無について観察した。
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例1、2、3、4で得られた管状体A、B、C、Dの抗キンク性試験をした。各々の管状体を15cmの長さに切り取り、接着テープにて管状体の二つの端部を固定した。管状体内部に生理食塩水を用いて水圧150mmHgを負荷し、蛇行やキンク発生の有無について観察した。
実施例1−3で得られた管状体1、2、3および比較例4で得られた管状体Dは内圧負荷後において、蛇行やキンクの発生を認めなかった。一方、比較例1、2、3で得られた管状体A、B、Cにおいてキンクや折れが発生し、管状体内腔は完全に閉鎖した。
1 延伸PTFE多孔質管状体
2 スチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した高分子弾性材料からなる中間層
3 延伸PTFE多孔質管状体
2 スチレン系エラストマー及び/又はオレフィン系エラストマー100重量部に対してスクワランを20重量部以上配合した高分子弾性材料からなる中間層
3 延伸PTFE多孔質管状体
Claims (8)
- 延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから少なくとも構成され、複数の端部を有する管状体において、前記管状体の内面は皺を認めないスムースな内腔表面を示し、かつ、前記管状体の外面の少なくとも一部に皺が形成されている管状体からなる埋め込み可能な管状体治療具。
- 前記管状体の一端を固定した状態で、常温において、他端に1kgの長軸方向の外力を負荷した時に、皺形成後の長さLO(mm)と外力負荷後の長さL(mm)とが同じである関係(LO(mm)=L(mm))か、外力負荷後の長さL(mm)が110%以内である関係(1.1LO(mm)≧L(mm))にある請求項1に記載の管状体治療具。
- 前記管状体の断面において、皺の凹部の厚みX(mm)と凸部の厚みY(mm)とが、X≦Yの関係にある請求項1又は2に記載の管状体治療具。
- 前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる一つの内層と高分子弾性材料からなる一つの外層からなる二層構造である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管状体治療具。
- 前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と内層及び外層の間に高分子弾性材料からなる一つの層を含む三層構造である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管状体治療具。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の管状体治療具の製造方法であって、少なくとも延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層とから構成され、複数の端部を有する管状体に線材を巻きつける工程および該管状体の長さを固定した状態で該管状体を加熱する工程からなる、製造方法。
- 前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる一つの層と高分子弾性材料からなる一つの層からなる二層構造である、請求項6に記載の製造方法。
- 前記管状体が延伸PTFE多孔質体からなる内層及び外層と内層及び外層の間に高分子弾性材料からなる一つの層からなる三層構造である、請求項6に記載の製造方法。
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Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-11-25 JP JP2003393365A patent/JP2005152181A/ja active Pending
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