JP2005149891A - バイポーラ電池、及びそれを用いた組電池 - Google Patents

バイポーラ電池、及びそれを用いた組電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 電池の投影面積を上げることなく容量増加を図ることのできるバイポーラ電池を提供する。
【解決手段】 正極と負極の組み合わせの構成が複数存在するバイポーラ構造の電池において、少なくとも1電極単位の対峙する基準集電体の片面に、該片面の正極材と同一の正極材を有する凸形状の集電部を有し、且つ対峙する対極の基準集電体から対極の負極材と同一の負極材を有する凸形状の対極の集電部を有し、それらの凸形状の集電部が電解質層を挟んで対峙し、少なくとも対峙する集電部の凸形状面にそれぞれ正極及び負極材を有することを特徴とするバイポーラ電池。
【選択図】 図2

Description

本発明は、正極と負極の組み合わせの直列構成が少なくとも1以上存在するバイポーラ構造の電池および該電池を用いた組電池とこれを搭載した車両に関する。
近年、環境保護運動の高まりを背景として電気自動車(EV)、ハイブリット自動車(HEV)、燃料電池車(FCV)の導入を促進すべく、これらのモータ駆動用電池の開発が行われている。この用途には、繰り返し充電可能な二次電池が使用される。EV、HEV、FCVのモータ駆動電源のような高出力及び高エネルギー密度が要求される用途では、単一の大型電池は事実上作れず、複数個の電池を接続して構成した組電池を使用することが一般的であった。また、このような組電池を構成する一個の電池として、リチウムイオン二次電池が提案されている。
一方、携帯用の電話やパソコンなどの電子機器用(民生用途)の電池でも放電容量の大きいリチウムイオン二次電池が利用されているが、さらに、スペースファクター並びに軽量の点からシート型とし、さらにシート型電池の電圧や容量を大きくするためにバイポーラ電極ユニットを採用してなるシート型のバイポーラ電池が提案されている(例えば、特許文献1、2参照のこと。)。
かかるバイポーラ電池の構造としては、例えば、一方の面が正極用集電体層であり他方の面が負極用集電体層である複合集電体の正極用集電体層の上に正極活物質層を有し、負極用集電体層の上に負極活物質層を有するバイポーラ電極ユニットを有し、且つ電解質として固体電解質を使用することを特徴とするシート型のバイポーラ電池や、バイポーラ電極ユニットの一または直列接続された二以上を有する第1組と第1組と同数のバイポーラ電極ユニットを有する第2組とが端子電極に接続される電極板を中央として互いに鏡像関係となるように並列接続されており、且つ第1組に含まれる少なくとも一のバイポーラ電極ユニットとそれと鏡像関係にある第2組中のバイポーラ電極ユニットの各複合集電体同士がリード線により直接電気的に接続されてなることを特徴とするものである(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開2000−100471号公報 特開2000−195495号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載のバイポーラ電池のように、薄いシート状の集電体層上に所定の厚さに活物質層を形成し、これらを複数積層する構造にあっては、容量を上げるには電池の投影面積を上げる必要があった。そのため、こうしたバイポーラ電池を上記したようなEV、HEV、FCVのモータ駆動電源等や補助電源として搭載して利用しようとする場合には、電池の搭載スペースに制限があるため、電池の投影面積を上げるこができず、容量増加が困難であり、出力を高めるのも難しかった。すなわち、電池の投影面積を上げることなく、容量増加に道を開くことのできる有用な記載は無かった。
そこで、本発明が目的とするところは、バイポーラ電池構造であっても、電池の投影面積を上げることなく容量増加を図ることのできるバイポーラ電池、および該電池を用いた組電池とこれらを搭載した車両を提供するものである。
本発明は、正極と負極の組み合わせの構成が複数存在するバイポーラ構造の電池において、
少なくとも1電極単位の対峙する基準集電体の片面に、該片面の正極または負極材と同一の電極材を有する凸形状の集電部を有し、且つ
対峙する対極の基準集電体から対極の負極または正極材と同一の電極材を有する凸形状の対極の集電部を有し、
それらの凸形状の集電部が電解質層を挟んで対峙し、
少なくとも対峙する集電部の凸形状面にそれぞれ正極材及び負極材を有することを特徴とするバイポーラ電池により達成できる。
従来構造のバイポーラ電池は、電圧は高いが容量が小さいという特徴を有する。従って、容量を増加させるために面積を大きくする必要があった。これは、電池の投影面積が大きくなるため、設置スペースに制限のある車両等の電源に適用するには都合が悪い。そこで、本発明では、容量を維持しつつ投影面積を小さくするために1電極(単セル)単位の中に並列構造(電気的な意味での並列接続をいうものではない。図1(b)の基準箔12に対してサブ箔14、16がいわば並列構造となっているという意味内容である。)を構成することで、投影面積を小さくし、適当な容量を有するバイポーラ電池を構成することを達成したものである。即ち、本発明によれば、バイポーラ電池構造であっても、凸形状の集電部を形成した新たな電極構造を設けて、1単位電池(単セル)の電極を並列化することにより、電池の投影面積を上げることなく電極面積を増加させることができ、出力を向上させる効果を有する。また内部抵抗を低減させることもできる。更に防振効果も付与できる。その結果、バイポーラ電池の容量及び出力を増加させ、内部抵抗を低減させることができ、更には防振効果にも優れるバイポーラ電池を提供することができるものである。これにより、一般民生用、特に携帯電話や携帯用パソコンなどの電子機器の高機能化・小型軽量化に併せて電池の設置スペースの小型化を実現し、さらには電池の高容量化により、一回の充電による使用時間を伸ばしたいという要望に応えることのできる一般民生用電源に好適に利用することができる。さらに、車両への搭載スペースに制約があり、また急加速の際など追従性が要求される場合にも大電流を安定供給し続けることができるだけの高容量化が図れる。そのためEV、HEV、FCVのモータ駆動電源等や補助電源として好適に利用することができる。
本発明に係るバイポーラ電池は、(1)正極と負極の組み合わせの構成が複数存在するバイポーラ構造の電池において、
(2)少なくとも1電極単位の対峙する基準集電体の片面に、該片面の正極または負極材を有する(複数の)凸形状の集電部を有し、且つ
(3)対峙する対極の基準集電体から対極の負極または正極材を有する(複数の)凸形状の対極の集電部を有し、
(4)それらの正極側と負極側の複数の凸形状の集電部が電解質層を挟んで互いに対峙し、
(5)少なくとも対峙する正極側と負極側の複数の集電部の凸形状面にそれぞれ正極及び負極材を有していることを特徴とするものである。
好ましくは、上記(1)〜(5)に加えて、更に、
(6)それらの正極側及び負極側の複数の凸形状の集電部の根本が、それぞれの基準集電体表面に対し、略均一に分散されるように設置されていることが望ましいものである。
まず、本発明の対象となるバイポーラ電池としては、特に制限されるべきものではなく、例えば、バイポーラ電池の構造・形態で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など特に制限されるべきものではなく、従来公知のいずれの構造にも適用し得るものである。同様にバイポーラ電池の電解質の種類で区別した場合にも、特に制限されるべきものではなく、電解液をセパレータ(不織布セパレータを含む)に含浸させた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用し得るものである。これらの電解質のうち高分子ゲル電解質および固体高分子電解質(全固体電解質)に関しては、これらを単独で使用することもできるし、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質(全固体電解質)をセパレータ(不織布セパレータを含む)に含浸させて使用することもできるなど、特に制限されるべきものではない。また、一次電池および二次電池のいずれにも適用し得るものであるが、本発明の使用目的が設置スペースの限られた車両や携帯電話の電源であり、繰り返し充放電して用いることができるのが便利であることから、二次電池に適用するのが望ましい。さらに、バイポーラ電池の電極材料ないし電極間を移動する金属イオンで見た場合には、バイポーラリチウムイオン二次電池、バイポーラナトリウムイオン二次電池、バイポーラカリウムイオン二次電池、バイポーラニッケル水素二次電池、バイポーラニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素電池など特に制限されるべきものではなく、従来公知のいずれの電極材料等にも適用し得るものである。好ましくは、バイポーラリチウムイオン二次電池である。これは、バイポーラリチウムイオン二次電池では、1電極単位(セルないし単電池層ともいう)の電圧が大きく、高エネルギー密度、高出力密度が達成でき、車両の駆動電源用や補助電源用として優れているためである。したがって、以下の説明では、バイポーラリチウムイオン二次電池を例にとり説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるべきものではない。
以下、本発明のバイポーラ電池の好適な実施形態につき、上記(1)〜(6)の要件に沿って図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明に係るバイポーラ電池の一実施形態を模式的に表した断面概略図である。図1(b)は、図1(a)のバイポーラ電池の積層構造のうち、1電極単位(1セル分ないし1単電池分)の構造を模式的に表した断面概略図である。図2は、バイポーラ電池の積層構造の一実施形態として、図1(b)の1電極単位(1セル分ないし1単電池分)を積層して2セル(2対)構造とした際の、電池の積層構造を模式的に表した断面概略図である。図3は、図1(b)の1電極単位(1セル分ないし1単電池分)の構造をより分かりやすくするために、正極、セパレータ、負極を組み合わせる前の状態に分解して表した分解断面図である。図4は、図1(b)の1電極単位(1セル分ないし1単電池分)の構造における電流の流れを模式的に表した断面概略図である。図5(a)〜(d)は、基準箔への正極ないし負極サブ箔の付け根部分の取り付け形状(サブ箔の配置)の例を模式的に表した概略平面図である。図6は、基準箔内のサブ箔の根本形状の配置が、防振構造に優れる、基準箔面の重心位置、基準箔面の頂点、及び該頂点を結ぶ辺の中点を連結する線上(直線上)に有するように配置(形成)した例(A〜C,E)を模式的に表した概略平面図である。尚、同じ部材には、同じ符号を付しており、各図面での重複説明は避けている。
上記(1)の要件について
本発明のバイポーラ電池は、正極と負極の組み合わせの(電気的に直列な)構成が複数存在する、いわゆるバイポーラ構造を有するものである(図1(a)参照のこと)。本要件は、バイポーラ電池の基本的な構成を規定したものであり、通常、一般的に説明されているバイポーラ構造と変わるものではない。即ち、バイポーラ構造とは、1枚または2枚以上で構成される集電体の片面に正極材(正極活物質層ともいう)を設け、もう一方の面に負極材(負極活物質層ともいう)を設けたバイポーラ電極、電解質層を挟み隣合うバイポーラ電極の正極と負極とが対向(対峙)するようになっている構造をいうものである。そして、これら正極と負極の組合せの(電気的に直列な)構成が複数存在することでバイポーラ電池が構成できる。すなわち、バイポーラ電池では、集電体の片方の面上に正極材(正極活物質層)を有し、他方の面上に負極材(負極活物質層)を有するバイポーラ電極を、電解質層を介して複数枚積層した構造の電極積層体(発電要素、電池素子ないしバイポーラ電池本体とも称する)を有するものである。
即ち、本発明でも、図1(a)に示すように、上記したバイポーラ電極(簡略化して表す)を複数枚積層した電極積層体19の最外部である最上層の電極と最下層の電極は、バイポーラ電極でなくてもよく、例えば、図2に示すように、最上層と最下層の集電体(基準箔+サブ箔)である端部集電体の必要な片面のみに正極材(正極活物質層)ないし負極材(負極活物質層)を設けた構造(非バイポーラ電極構造)としてもよい。なお、最上層と最下層以外の集電体(基準箔+サブ箔)は、一般部集電体とも称する。また、該一般部集電体や端部集電体を単に集電体ということもある。この一般部集電体や端部集電体(基準箔+サブ箔)同士が接触したり、電解液が漏れ出したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で、各電極の周囲には絶縁層20が形成されているのが望ましい。
また、本発明のバイポーラ電池では、最外部の端部集電体とは別にそれぞれ正極端子板および負極端子板(図示せず)を接合してもよい。さらに図1(a)に示すように、電池外部に取り出される正極及び負極タブ21、22と最外部(最上層と最下層)の電極(詳しくは図示せず)の端部集電体(または電極端子板)との間を電気的に接続するために正極及び負極リード23、24で電気的に接続してもよいが、最外部の電極の集電体(または電極端子板)に電池外部に取り出される正極及び負極タブを直接接続しても良いし、最外部の電極の集電体(または電極端子板)の一部を延長して正極及び負極リードとしてもよいなど、特に制限されるべきものではない。該正極及び負極タブ21、22には、図示されていない車両の負荷(モータ、電装品など)が接続され、これら電極タブ21、22には、例えば、車両用電源として用いるような場合にあっては、有効面積増加による高容量化・高出力化により非常に大きな充放電電流が流れ得る。そのため、正極タブ21と負極タブ22の幅および厚み(換言すれば断面積)は、主にそれに流れるであろう充放電時の電流値により決定される。また、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電極積層体19を電池外装材25に減圧封入し、正極及び負極タブ21、22を電池外装材25の外部に取り出した構造である。電池外装材25には、軽量化の観点から、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)の薄膜乃至箔(金属層25b)をポリプロピレンフィルム等の絶縁性の樹脂フィルム(表皮樹脂層25aと金属層−タブ間樹脂層25c)で被覆した高分子金属複合ラミネートフィルムが用いられている。そして、電池外装材25の周辺部の一部または全部を熱融着等にて接合することにより、電極積層体19を収納し減圧封入(密封)し、正極及び負極タブ21、22を電池外装材25の外部に取り出した構成としている。
上記バイポーラ電極(最外部の非バイポーラ電極を含む)の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。例えば、車両用では、単電池の端子間電圧を4.2Vにしているので、数十〜百数十セル分の単電池層(1電極単位)が直列接続されてなる構成の電池要素(電極積層体)19の端子間電圧(電池電圧)は400Vを超えるような高電圧になる。このようにバイポーラ電池は、1つの単電池層の端子間電圧がバイポーラ電極を用いない、例えば、リチウムイオン二次電池などのような一般的な二次電池の端子間電圧に比較して高いので、容易に高電圧の電池を構成することができる。
上記(2)(3)の要件について
本発明では、図1〜4に示すように、こうしたバイポーラ構造の電池11において、少なくとも1電極単位の対峙する基準集電体(以下、単に基準箔ともいう)12−1の片面に、正極材(正極活物質層)13を有する複数の凸形状の正極集電部(以下、単に正極サブ箔ともいう)14を有する構造とするものである。一方、対峙する対極の基準集電体(基準箔)12−2から対極の負極材(負極活物質層)15を有する複数の凸形状の負極集電部(以下、単に負極サブ箔ともいう)16を有する構造とするものである。基準箔に凸形状のサブ箔を設定することで、容量・内部抵抗を決定する有効電極面積(基準箔面積+サブ箔面積)を増加させることができる(図1〜4参照のこと。)。
本発明では、上記サブ箔と基準箔からなる集電体全体の形状(立体的な構造)は、そのままの形で押出成形、若しくは箔同士の接合で形成することができる。接合方法は、スポット溶接、振動溶着(超音波溶着)、リベット接合が可能であるが、接触抵抗を下げるためには振動溶着が好ましいが特に限定されるものではない。また、振動溶着は、接触抵抗が低く、スポット溶接の様に高温にならないため、電極の熱劣化を防止できる点でも好ましいといえる。また基準箔にサブ箔を溶着等することで、基準箔の振動をサブ箔が低減する効果を付与することが可能となる(図5参照のこと)。従って、基準箔の振動レベルを減少させることが可能となる。(図6参照のこと)。なお、サブ箔と基準箔は、属インゴットから押出成形法などを用いて一体的に成形することもできる。
ここで、基準箔の材質としては、従来の集電箔と同様のものを用いることができるものであるが、実際にバイポーラ電池の基準箔に使用する材質は、SUS、Ti、CuとAlのクラッド材から選ばれるものが望ましい。この中で高温使用や寿命等を考えるとCuとAlのクラッド材が好ましい。またクラッド材はCuとAlが貼りあわされた構成を有すればよく、銅箔にアルミ箔を接合する仕様の他、Cu箔にAlを蒸着、スパッタ、メッキ、ディッピングなどで製造する場合、逆にAl箔にCuを蒸着等する場合も含まれ、どの構成でも発明の目的を達成しうる。また、CuはLiイオンを比較的透過しやすいため、銅のマトリックスを強固にする方が望ましい。従って、基準箔をCuにし、それにAl等の蒸着等を行うのが望ましい。また、蒸着等する物質もある程度の厚さ(5μm程度)がある方が信頼性が高まるため、厚塗りのし易いメッキが望ましいが特に限定しない。
また、基準箔の形状としては、従来の集電箔と同様にシート状(平板状)ものを用いることができる。なお、積層型電池では、シート状(平板状)のままであるが、巻回型(円筒型)電池では、最終的には、該シート状の箔が渦巻状に巻回した形状となる。
また、基準箔の厚さとしては、従来の集電箔と同程度のものを用いることができるものであり、具体的には、1〜100μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmの範囲である。なお、該基準箔の厚さを決定する際には、以下に説明するサブ箔の凸部長さとの関係を満足するように設定するのが望ましい。
即ち、サブ箔の凸部長さが、基準箔の厚さに対し、1倍以上、好ましくは1〜数百倍、より好ましくは1〜100倍、特に好ましくは20〜50倍の範囲になるように調整するのが望ましい(図3、表1参照のこと)。1倍未満では、有効電極面積の増加に対する寄与が小さく、数百倍、更には100倍を超える場合には、電池が厚くなってしまい体積効率が悪化する可能性が高くなる。よって、サブ箔の凸部長さは、具体的には、1〜5000μm、好ましくは100〜3000μm、より好ましくは200〜1000μmの範囲である。ただし、本発明では、上記範囲を外れる場合であっても、サブ箔を持たない集電体を用いた従来構造のバイポーラ電池(図8(b)参照のこと)に比して、サブ箔による容量増加、更には内部抵抗低減効果を奏するものであれば本発明の範囲に含まれる。また、防振効果のためにも凸部形状の長さが長くなると凸形状での共振が無視できなくなる可能性がある。例えば、図1(b)には、本発明のバイポーラ電池の単電池層の構造を示すが、この図で凸形状サブ箔の凸部長さは、正極、負極とも基準箔の厚さの5倍であり、これらで1電極(=1電池)単位となり、Liイオン電池の場合4.2Vとなる。また、サブ箔を持たない従来構造の一般のバイポーラ電池(図8(b))に対し、有効面積が5倍になり、容量は約5倍、内部抵抗は約1/5になる。
また、上記サブ箔の材質としては、上記基準箔と同様の材質を用いることができるが、Cu及びAlから選ばれることが望ましい。具体的には、サブ箔の正極側はAl、負極側はCuであることが望ましい。Alは正極の高電位のなかでも酸化皮膜の存在により安定に成立し易いため望ましい。また、負極はLiとの間で合金を形成しずらいCuが望ましい。合金を形成し易い物質だと電極が劣化し易く寿命が短くなる可能性があるからである。
また、サブ箔の形状としては、図1(b)〜図4に示すように、凸形状であればよい。具体的には、基準箔面に対して垂直に形成されているのが防振効果等の観点から望ましいが、容量増加の観点からは、基準箔面に対して垂直でなくてもよく、一定の角度で斜め傾斜されて形成されていてもよいが、こうした場合には、正極、電解質層、負極を組み合わせるのが難しくなることから、基準箔面に対して略垂直に形成され、凸形状となっているものが望ましい。また、図1〜5に示すように、サブ箔の凸形状部分は、真っ直ぐなシート状の箔としているが、これらに制限されるものではなく、例えば、基準箔に対して垂直な方向や平行な方向に波板状や蛇腹状や屏風状などのようにある程度、波打った形状であってもよい。これらは比較的加工が容易であり、こうすることで、表面積が増加し、容量増加効果が得られるためである。なお、積層型電池では、凸形状のままであるが、巻回型(円筒型)電池では、最終的には、該凸形状の箔が渦巻状に巻回した形状となる。
サブ箔の厚さとしては、取り扱い強度や防振効果などの観点から、従来の集電箔と同程度のものを用いることができるものであり、具体的には、1〜100μm、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmの範囲である。なお、該サブ箔の厚さは、正極側および負極側で同じ厚さとするのが望ましい。
また、サブ箔の凸部長さは、上記に説明した通りである。なお、該サブ箔の凸部長さは、正極側および負極側で同じ長さとするのが望ましい。
更に、サブ箔の基準箔への設置間隔(設置数)は、電極材の厚さ及び電解質層の厚さ、更には図5(a)〜(d)に示すように、その配置から適宜決定されるものである。
上記(4)の要件について
さらに本発明では、図1〜4に示すように、それらの正極側と負極側の複数の凸形状のサブ箔14、16が電解質層(電解液含浸セパレータや高分子ゲル電解質や高分子固体電解質)17を挟んで対峙している。電解質層(電解液含浸セパレータや高分子ゲル電解質や高分子固体電解質)17を挟んで対峙することにより、その部分で1電極単位=1電池単位(単セル)18を構成することができる。
ここで、本発明に用いることのできる電解質層に関しては、特に制限されるべきものではなく、従来の電解質層(電解液含浸セパレータや高分子ゲル電解質や高分子固体電解質)と同様のものを用いることができる。これらに関しては後述する。
電解質層の形状としては、図1(b)等に示すように、正極及び負極サブ箔が該電解質層を挟んで対峙されるように形成されればよい。例えば、図5(a)や図5(b)のようなサブ箔の配置では、セパレータを用いて電解質層を形成することが容易であるが、図5(c)や(d)のようなサブ箔の配置では、セパレータを用いると皺などになりやすいため、セパレータを用いない高分子ゲル電解質や高分子固体電解質により電解質層を形成するのが望ましいといえる。
電解質層の厚さとしては、特に制限されるべきものではなく、従来の電解質層(電解液含浸セパレータや高分子ゲル電解質や高分子固体電解質)と同程度のものを用いることができる。具体的には、5〜100μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは10〜30μmの範囲である。
上記(5)の要件について
さらに本発明では、少なくとも対峙するサブ箔14、16の凸形状面にそれぞれの電極材である正極材13、負極材15を有するものである。凸形状の正極及び負極サブ箔表面、及び、基準箔表面に正極材及び負極材を塗布等により形成することも可能であるが、少なくとも対峙する正極及び負極サブ箔表面に正極材及び負極材を形成すれば、有効電極面積を増加させる効果がある。
即ち、サブ箔と基準箔の表面に電極材を形成することが可能であるが、基準箔への電極材形成部分は、正極材と負極材が近い位置で対峙できないため、内部抵抗が下げにくい。従って、サブ箔同士の対峙が内部抵抗低減には効果が大きいが特に限定されるものではない。よって、図1に示すように、対峙するサブ箔14、16の凸形状面に、それぞれ正極材13、負極材15を有するだけでもよいし、図3の分解断面図に示すように、さらに基準箔の表面にも同一の電極材である正極材13a、負極材15aを設けてもよいし、この場合には、図3の分解断面図に示すように、正極及び負極サブ箔14、16とが直接対峙していないが、基準箔の表面と対峙するサブ箔の凸形状の上部面にも同一の電極材である正極材13b、負極材15bを設けてもよい。
ここで、上記正極材(正極活物質層)に用いられる構成材料(正極材料)、及び負極材(負極活物質層)に用いられる構成材料(負極材料)としては、特に制限されるべきものではなく、従来の正極および負極材料と同様のものを用いることができる。これらに関しては後述する。
上記凸形状のサブ箔に形成する正極及び負極材の厚さ、さらに必要に応じて基準箔に形成する正極及び負極材の厚さは、電池の使用用途に応じて適宜決定されるものであり特に制限されないが、高出力のバイポーラ電池を構成するためには、いずれも1〜100μmの範囲にあることが望ましい。これら正極及び負極材の厚さが1μm未満の場合には、出力を稼ぐための電極面積が広くなりすぎて実用的にならない可能性がある。また100μmを超える場合には、厚すぎてリチウムイオンの拡散が層全体に届かず、表面だけになってしまうため、効率が悪くなる可能性が高い。最適な厚さ範囲は、サブ箔電極及び基準箔に形成する正極材及び負極材のいずれも、5〜30μmである。また、正極材と負極材の厚さは略同一か、若干負極リッチな場合が望ましい。
上記(6)の要件について
さらに、図1〜4に示すように、それらの凸形状の正極及び負極サブ箔14、16の根本(基準箔面の付け根部分)が基準箔12−1,2面に対し、略均一に分散されるように設置されていることが望ましい。本要件では、基準箔にサブ箔が接合(ないし一体化)させている構造をとるが、サブ箔の基準箔への接合部(付け根部分)は、基準箔の表面上で略均一になっていることが必要である。均一にすることで電極間距離を一定に保つレベルの安定性が得られるからである。
ここで、略均一とは、基準箔を、例えば、n等分したとき、サブ箔の付け根の面積(図5の符号14(16)で示される部分の面積)が、n等分の中でほぼ同等、具体的には、平均に対し±20%以内であればよい。ただし、本発明の作用効果である容量増加効果、更には内部抵抗低減効果に関しては、本要件を必ずしも満足しなくとも達成し得る場合もあることから、本要件を満足しない場合であっても本発明の技術範囲に含まれる場合はあり得る。すなわち、サブ箔の付け根の面積が平均に対し±20%を超える場合であっても本発明の技術範囲に含まれる場合はあり得る。
本要件では、凸形状サブ箔14、16の基準箔12への付け根の形状(サブ箔の配置)は特に制限されるものではない。即ち、図5(a)〜(d)に示すように、サブ箔の基準箔への付け根部分の形状(配置)にかかわらず、本要件であるサブ箔の根本(付け根)が基準箔に対して略均一に分散されるように、接合などにより設置されていることにより、基準箔の振動を低減することが可能となるものである。言い換えれば、基準箔の振動、ひいては電池の振動を低減するためには、この付け根の分布が基準箔面に対し、略均一に分散されるのが好ましいといえる。
また、本要件においては、図5に示すように、凸形状のサブ箔14(16)の根本面積(図5の符号14(16)で示される部分の面積)が、前記基準集電体(基準箔)12を4等分した際に、4つに分けた領域(12A〜D)に略均一に分散されていることが望ましい。これは、サブ箔14(16)から集まった電流が、基準箔12の中をスムーズに移動させるためには、凸形状サブ箔14(16)が基準箔12に対して略均一に分散されることが望ましいからである。この分散が不均一になるとバイポーラ電池の内部抵抗を上昇させる要因になる可能性がある。ただし、本発明にあっては、上記した理由から、この分散が不均一であっても、電極間距離を一定に保つレベルの安定性が得られ、バイポーラ電池の内部抵抗を上昇させるものでなければ、本発明の技術範囲に含まれるものである。図4には、図1(b)の1電極単位の構造における電流の流れ(図中には、電流の流れを矢印(→)で表した)を模式的に表した断面概略図を示す。このように電池内を均一に電流が流れることで電池の内部抵抗が低減できる。即ち、この構造では、複数のサブ箔を通じて電子の流れが分散・均一化し、箔に起因する内部抵抗が低減できるため、出力がさらに上がる(詳しくは実施例の表1参照のこと)。
本発明では、さらに図5、6に示すように、基準箔12内の凸形状のサブ箔14、16の根本形状の配置が、少なくとも基準箔面の重心位置(図中、一点破線の丸を表した)を有することが望ましい。図5、6は、サブ箔を基準箔表面に配置する上での好適な防振構造となる例を模式的に表した概略平面図を示したものであるが、少なくとも基準箔の平面状の重心位置にサブ箔の設置部(付け根部分)があることで、基準箔の振動を効果的に防振することが可能となる。図5の一点破線の○で囲った部分がこの形状の基準箔の重心位置であるが、この位置を含む様にサブ箔が形成(接続)されることが望ましい。詳しくは、サブ箔は正極側と負極側とで図1〜4に示すよう対峙する並列構造をとするため、いずれか一方のサブ箔が重心位置にあれば、他方のサブ箔は、これよりも若干外れるが、こうした場合も上記にいう重心位置を有するものの範囲に含まれるものとする。同様に、正極及び負極の間に挟持される電解質層が重心位置にあるような場合も、極わずかではあるが正極及び負極サブ箔は重心位置からずれるが、こうした場合も上記にいう重心位置を有するものの範囲に含まれるものとする。
図7に、図5(a)の配置に形成されたサブ箔を用いた場合の電池の振動スペクトル(図中、「発明構造」として表示した)を示す(詳しくは、実施例1の例であり、実施例の試験方法参照のこと)。また、図7に、従来構造(図8(b)の、サブ箔を用いない基準箔のみの集電体を用いた電池の振動スペクトル(図中、「従来構造」として表示した)を示す(詳しくは、比較例1の例であり、実施例の試験方法参照のこと)。図7に示すように、サブ箔を用いた本発明の電池構造(発明構造)では、従来構造に対し、振動レベルが低下し、防振が出来ていることが確認できる。
本構造は、少なくとも重心位置を含むことで効果的な防振が可能となる。したがって、重心位置以外にもサブ箔が設定されていてもよく、振動は低減可能である(図5(a)〜(d)参照のこと)。
本発明では、さらに図5、6に示すように、基準箔内の凸形状集電部(サブ箔)の根本形状の配置が、少なくとも基準箔面の頂点(基準箔の4隅であり、図6に○で示す部分)および/または該頂点を結ぶ辺の中点(基準箔の4辺の中点であり、図6に□で示す部分)を連結する線状に有することが望ましい。具体的には、図6に示すA〜C,Eのサブ箔がこれらに該当する。また、図5(c)のサブ箔は全て本要件を満足するほか、図5(a)(b)(d)でも図6に示すA〜C,Eと同様のサブ箔が含まれており、本要件を満足するものである。
図6には、基準箔12の重心(一点破線の○印)、頂点(○印)、頂点を結ぶ辺の中点(□印)を示しているが、これらの点を結ぶ直線上にサブ箔(具体的にはA〜C,Eで示すサブ箔14(16))を有することで、基準箔12の効果的な減衰が可能となる。これは、基準箔の共振の腹の位置を示唆しており、振動の腹の位置にサブ箔が接合されることで防振され、振動レベルが低減されるからである(表1の平均減衰量を参照のこと)。より詳しくは、図6のAで示すサブ箔14(16)の例は、中点と中点を結んでできた辺にサブ箔を接合する位置を示し、Bで示すサブ箔14(16)の例は、中点と重心を結ぶ辺、Cで示すサブ箔14(16)の例は、頂点と重心を結ぶ辺、Eで示すサブ箔14(16)の例は、中点と中点を結ぶ辺を示す。
以上、本発明にかかるバイポーラ電池の主要構成要件を中心に説明したが、本発明のバイポーラ電池の他の構成要素に関しては特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを適宜利用して構成することができるものである。以下、バイポーラリチウムイオン二次電池を例にとり、これら構成要件につき説明するが、本発明がこれらに何ら制限されるべきものでないことはいうまでもない。
[集電体]
本発明で用いることのできる集電体に関しては、本発明の主要構成要件として上述したとおりであるので、ここでの同様の説明は省略する。
ただし、その材質に関しては、上記において、従来公知のものを利用することができるとしているが、具体的には、基準箔及びサブ箔のいずれにおいても、例えば、アルミニウム箔、ステンレス(SUS)箔、チタン箔、ニッケルとアルミニウムのクラッド材、銅とアルミニウムのクラッド材、SUSとアルミニウムのクラッド材あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが使える。また、金属表面に、アルミニウムを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の金属箔を張り合わせた複合集電体を用いてもよい。複合集電体を用いる場合、正極集電体の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、SUS、チタンなどの導電性金属を用いることができるが、Alが特に好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えば、銅、ニッケル、銀、SUSなどの導電性金属を用いることができるが、Cuが特に好ましいことは上記したとおりである。また、複合集電体においては、正極集電体と負極集電体とは、互いに直接あるいは第三の材料からなる導電性を有する中間層を介して電気的に接続していれば良い。
[正極材(正極活物質層)]
ここで、正極材(正極活物質層)を構成材料としては、正極活物質を含むものであれば良く、さらに必要に応じて、電子伝導性を高めるための導電助剤、バインダ、イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)、高分子電解質、添加剤などが含まれ得るが、電解質層に高分子ゲル電解質や液体電解質を用いる場合には、正極活物質微粒子同士を結びつける従来公知のバインダ、電子伝導性を高めるための導電助剤などが含まれていればよく、高分子電解質の原料のホストポリマー、電解液やリチウム塩などは含まれていなくても良い。電解質層に液体電解質を用いる場合にも、正極層には高分子電解質の原料のホストポリマー、電解液やリチウム塩などは含まれていなくても良い。
正極活物質としては、遷移金属とリチウムとの複合酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)を好適に使用できる。具体的には、LiMnO、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物、LiCoOなどのLi−Co系複合酸化物、LiCr、LiCrOなどのLi−Cr系複合酸化物など、LiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物、LiFeO、LiFeOなどのLi−Fe系複合酸化物、LiなどのLi−V系複合酸化物およびこれらの遷移金属の一部を他の元素により置換したもの(例えば、LiNiCo1−x(0<x<1)等)などが使用できるなど、Li金属酸化物から選択し使用するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。これらリチウム−遷移金属複合酸化物は、反応性、サイクル耐久性に優れ、低コストな材料である。そのためこれらの材料を電極に用いることにより、出力特性に優れた電池を形成することができる点で有利である。この他、LiFePOなどの遷移金属とリチウムのリン酸化合物や硫酸化合物;V、MnO、TiS、MoS、MoOなどの遷移金属酸化物や硫化物;PbO、AgO、NiOOHなどが挙げられる。
上記正極活物質の中では、Li−Mn系複合酸化物が望ましい。これは、Li−Mn系複合酸化物を用いることにより、プロファイルを傾けることが可能となり、異常時信頼性が向上するためである。詳しくは、正極活物質をLi−Mn系複合酸化物にすることで、電圧−SOCプロファイルを傾けることが出来るようになる。これより、電圧を計測することで電池の充電状態(SOC)が判明するため、電池が特に不安定な過充電、過放電状態を検知し、対処することが出来るようになるため、電池の信頼性を向上させることが可能となる。また、Li−Mn系複合酸化物は過充電、過放電で電池が故障するときにも反応が穏やかであり、異常時の信頼性が高いといえる。その結果、各単電池層及びバイポーラ全体の電圧の検知が容易になる。
正極活物質の粒径は、バイポーラ電池の電極抵抗を低減するために、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池で一般に用いられる粒径よりも小さいものを使用するとよい。具体的には、正極活物質微粒子の平均粒径が0.1〜5μmであるとよい。0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは0.5〜5μmの範囲とするのが望ましい。
上記導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、種々炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。ただし、これらに限られるわけではない。
上記バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、SBR、ポリイミドなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
上記電解質のうち高分子ゲル電解質は、イオン導伝性を有する固体高分子電解質に、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池で用いられる電解液を含んだものであるが、さらに、リチウムイオン導伝性を持たない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも含まれるものである。よって、上記電解質のうち高分子固体電解質は、イオン導伝性を有する高分子固体電解質となる。
ここで、高分子ゲル電解質に含まれる電解液(電解質塩および可塑剤)としては、特に制限されるべきものではなく、従来既知の各種電解液を適宜使用することができるものである。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);LiBETIともいう)等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の可塑剤(有機溶媒)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
イオン導伝性を有する固体高分子電解質としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知の固体高分子電解質が挙げられる。
高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。なお、PAN、PMMAなどは、どちらかと言うとイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する高分子とすることもできるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるリチウムイオン導伝性を持たない高分子として例示したものである。
上記イオン伝導性を高めるための電解質支持塩(リチウム塩)としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
高分子ゲル電解質中のホストポリマーと電解液との比率(質量比)は、使用目的などに応じて決定すればよいが、2:98〜90:10の範囲である。すなわち、電池電極中の電解質材料からの電解液の染み出しについては、図1(b)に示すように、絶縁層7を形成することで効果的にシールすることができる。そのため、上記高分子ゲル電解質中のホストポリマーと電解液との比率(質量比)に関しても、比較的電池特性を優先したものとすることができる。
上記添加剤としては、例えば、電池の性能や寿命を高めるためのトリフルオロプロピレンカーボネート、補強材として各種フィラーなどが挙げられる。
正極材の厚さ(正極活物質膜厚)に関しては、本発明の主要構成要件として上述したとおりであるので、ここでの同様の説明は省略する。
正極材の構成材料である、正極活物質、導電助剤、バインダ、高分子電解質(ホストポリマー、電解液など)、リチウム塩等の配合量は、電池の使用目的(出力重視、エネルギー重視など)、イオン伝導性を考慮して決定すべきである。
[負極材(負極活物質層)]
負極材の構成材料は、負極活物質活物質を含む。この他にも、電子伝導性を高めるための導電助剤、バインダ、高分子電解質(ホストポリマー、電解液など)、イオン伝導性を高めるためのリチウム塩、添加剤などが含まれ得るが、高分子電解質層に高分子ゲル電解質を用いる場合には、負極活物質微粒子同士を結びつける従来公知のバインダ、電子伝導性を高めるための導電助剤などが含まれていればよく、高分子電解質の原料のホストポリマー、電解液やリチウム塩などは含まれていなくても良い。電解質層に溶液電解質を用いる場合にも、負極層には高分子電解質の原料のホストポリマー、電解液やリチウム塩などは含まれていなくてもよい。負極活物質の種類以外は、基本的に「正極層」の項で記載した内容と同様であるため、ここでは説明を省略する。
負極活物質としては、溶液系のリチウムイオン電池でも使用される負極活物質を用いることができる。具体的には、カーボン、金属化合物、金属酸化物、Li金属化合物、Li金属酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物を含む)、ホウ素添加炭素、グラファイトなどを用いることができる。これらは1種単独で使用しても良いし、2種以上を併用して用いても良い。上記カーボンとしては、例えば、グラファイトカーボン、ハードカーボン、ソフトカーボンなど、従来公知のカーボン材料が挙げられる。上記金属化合物としては、LiAl、LiZn、LiBi、LiCd、LiSd、LiSi、Li4.4Pb、Li4.4Sn、Li0.17C(LiC)等が挙げられる。上記金属酸化物としては、SnO、SnO、GeO、GeO、InO、In、PbO、PbO、Pb、Pb、AgO、AgO、Ag、Sb、Sb、Sb、SiO、ZnO、CoO、NiO、FeO等が挙げられる。Li金属化合物としては、LiFeN、Li2.6Co0.4N、Li2.6Cu0.4N等が挙げられる。Li金属酸化物(リチウム−遷移金属複合酸化物)としては、LiTi12などLiTiで表されるリチウム−チタン複合酸化物等が挙げられる。上記ホウ素添加炭素としては、ホウ素添加カーボン、ホウ素添加グラファイト等が挙げられる。ただし、本発明では、これらに制限されるべきものではなく従来公知のものを適宜利用することができる。上記ホウ素添加炭素中のホウ素の含有量は0.1〜10質量%の範囲が望ましいが、これに制限されるべきものではない。
上記負極活物質の中では、結晶性炭素材、非結晶性炭素材から選ばれるものが好ましい。これらを用いることで、プロファイルを傾けることが可能となる。詳しくは、負極活物質を結晶性炭素材、非結晶性炭素材から選ばれるものにすることで、電圧−SOCプロファイルを傾けることが出来るようになる。これより、電圧を計測することで電池の充電状態(SOC)が判明するため、電池が特に不安定な過充電、過放電状態を検知し、対処することが出来るようになるため、電池の信頼性を向上させることが可能となる。この効果は非晶質炭素において特に顕著であり、有効であるが特に限定は行わない。その結果、各単電池層及びバイポーラ全体の電圧の検知が容易になる。ここでいう結晶性炭素材とは、グラファイト系炭素材料をいい、上記グラファイトカーボンなどがこれに含まれる。非結晶性炭素材とは、ハードカーボン系炭素材料をいい、上記ハードカーボンなどがこれに含まれる。
負極材の厚さ(負極活物質膜厚)に関しては、本発明の主要構成要件として上述したとおりであるので、ここでの同様の説明は省略する。
[電解質層]
本発明では、その使用目的に応じて、(a)高分子ゲル電解質、(b)高分子固体電解質または(c)これらポリマー電解質ないし電解液を含浸させたセパレータ(不織布セパレータを含む)、のいずれにも適用し得るものである。
(a)高分子ゲル電解質
高分子ゲル電解質としては、特に制限されるべきものではなく、従来のゲル電解質層に用いられているものを適宜利用することができる。ここで、ゲル電解質とは、ポリマーマトリックス中に電解液を保持させたものをいう。なお、本発明において、全固体高分子電解質(単に、高分子固体電解質ともいう)と、ゲル電解質との違いは、以下のとおりである。
・ポリエチレンオキシド(PEO)などの全固体高分子電解質に、通常のリチウムイオン電池で用いられる電解液を含んだものがゲル電解質である。
・ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など、リチウムイオン伝導性をもたない高分子の骨格中に、電解液を保持させたものもゲル電解質にあたる。
・ゲル電解質を構成するポリマー(ホストポリマーないしポリマーマトリックスとも称する。)と電解液の比率は幅広く、ポリマー100質量%を全固体高分子電解質、電解液100質量%を液体電解質とすると、その中間体はすべてゲル電解質にあたる。
上記ゲル電解質の、ホストポリマーとしては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを利用することができるが、好ましくは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびそれらの共重合体が望ましく、溶媒には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、およびそれらの混合物が望ましい。
上記ゲル電解質の、電解液(電解質塩および可塑剤)としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを利用することができる。具体的には、通常リチウムイオン電池で用いられるものであればよく、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩の中から選ばれる、少なくとも1種類のリチウム塩(電解質塩)を含み、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから1種類または2種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)を用いたものなどが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。
本発明におけるゲル電解質中の電解液の割合としては、特に制限されるべきものではないが、イオン伝導度などの観点から、数質量%〜98質量%程度とするのが望ましい。本発明では、電解液の割合が70質量%以上の、電解液が多いゲル電解質について、特に効果がある。
また、本発明では、ゲル電解質に含まれる電解液の量は、ゲル電解質内部で略均一になるようにしてもよいし、中心部から外周部に向けて傾斜的に少なくしていってもよい。前者は、より広範囲で反応性を得ることができるため好ましく、後者は、外周部の全固体高分子電解質部の電解液に対するシール性を高めることができる点で好ましい。中心部から外周部に向けて傾斜的に少なくしていく場合には、上記ホストポリマーには、リチウムイオン伝導性のあるポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)およびそれらの共重合体を用いることが望ましい。
(b)高分子固体電解質
全固体高分子電解質としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを利用することができる。具体的には、イオン伝導性を有する高分子から構成される層であり、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。全固体高分子電解質としては、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体のような公知の固体高分子電解質が挙げられる。固体高分子電解質中には、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれる。リチウム塩としては、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO、またはこれらの混合物などが使用できる。ただし、これらに限られるわけではない。PEO、PPOのようなポリアルキレンオキシド系高分子は、LiBF、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SOなどのリチウム塩をよく溶解しうる。また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。
(c)上記ポリマー電解質ないし電解液(電解質塩および可塑剤)を含浸させたセパレータ(不織布セパレータを含む)
セパレータに含浸させることのできる電解質としては、既に説明した(a)および(b)または上記(a)で説明した電解(電解質塩および可塑剤)液と同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
上記セパレータとしては、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを用いることができるものであり、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーからなる多孔性シート(例えば、ポリオレフィン系微多孔質セパレータなど)などを用いることができる。有機溶媒に対して化学的に安定であるという性質を持つ上記ポリオレフィン系微多孔質セパレータは、電解質(電解液)との反応性を低く抑えることができるという優れた効果を有するものである。
該ポリマーの材質としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、PP/PE/PPの3層構造をした積層体、ポリイミドなどが挙げられる。
上記セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできないが、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。セパレータの厚さが、かかる範囲にあることでセパレータに微粒が食い込むことによって発生する短絡の防止と、高出力のために電極間を狭くすることが望ましいという理由から、厚さ方向の機械的強度と高出力性の確保という効果がある。また電池を複数接続する場合には、電極面積が増大することから、電池の信頼性を高めるために上記範囲のなかでも厚形のセパレータを用いることが望ましい。
上記セパレータの微細孔の径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)であることが望ましい。セパレータの微細孔の平均径が、上記範囲にあることで熱によってセパレータが溶融して微細孔が閉じる「シャットダウン現象」が速やかに起きるという理由から、異常時信頼性が上がり、その結果として耐熱性が向上するという効果がある。すなわち、過充電で電池温度が上昇していったとき(異常時)に、セパレータが溶融して微細孔が閉じる「シャットダウン現象」が速やかに起きることで、電池(電極)の正極(+)から負極(−)側にLiイオンが通れなくなり、それ以上は充電できなくなる。そのため過充電できなくなり、過充電が解消する。その結果、電池の耐熱性が向上するほか、ガスがでて電池外装材の熱融着部(シール部)が開くのを防止できる。ここでセパレータの微細孔の平均径は、セパレータを走査電子顕微鏡等で観察し、その写真をイメージアナライザ等で統計的に処理した平均径として算出される。
上記セパレータの空孔率は20〜50%であることが望ましい。セパレータの空孔率が、上記範囲にあることで電解質(電解液)の抵抗による出力低下の防止と、微粒がセパレータの空孔(微細孔)を貫くことによる短絡の防止という理由から出力と信頼性の両方を確保するという効果がある。ここでセパレータの空孔率とは、原材料レジンの密度と最終製品のセパレータの密度から体積比として求められる値である。
上記セパレータへの電解質の含浸量は、セパレータの保持能力範囲まで含浸させればよいが、当該保持能力範囲を超えて含浸させてもよい。これは、電解質にシール部を設け、電解質層からの電解液の染み出しを防止できるため、該電解質層に保持できる範囲であれば含浸可能である。
電解質を保持させる為に用いる不織布セパレータとしては、特に制限されるべきものではなく、繊維を絡めてシート化することにより製造することができる。また、加熱によって繊維同士を融着することにより得られるスパンボンド等も用いることができる。すなわち、繊維を適当な方法でウェブ(薄綿)状またはマット状に配列させ、適当な接着剤あるいは繊維自身の融着力により接合して作ったシート状のものであればよい。上記接着剤としては、製造及び使用時の温度下で十分な耐熱性を有し、ゲル電解質に対しても反応性や溶解性等がなく安定したものであれば、特に制限されるべきものではなく、従来公知のものを利用できる。また、使用繊維としては、特に制限されるものではなく、例えば、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを用いることができ、使用目的(電解質層に要求される機械強度など)に応じて、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性を得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。すなわち、あまり不織布のかさ密度が大きすぎると、電解質層中の非電解質材料が占める割合が大きくなりすぎ、電解質層におけるイオン伝導度などを損なうおそれがあるためである。
不織布セパレータの空孔率は50〜90%であることが好ましい。空孔率が50%未満では、電解質の保持性が悪化し、90%超では強度が不足する。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
なお、上記(a)〜(c)の電解質層は、1つの電池の中で併用してもよい。
また、高分子電解質は、電解質層、正極活物質層、負極活物質層に含まれ得るが、同一の高分子電解質を使用してもよく、層によって異なる高分子電解質を用いてもよい。
ところで、現在好ましく使用される高分子電解質用のホストポリマーは、PEO、PPOのようなポリエーテル系高分子である。このため、高温条件下における正極側での耐酸化性が弱い。従って、溶液系のリチウムイオン電池で一般に使用される、酸化還元電位の高い正極剤を使用する場合には、負極の容量が、高分子電解質層を介して対向する正極の容量より少ないことが好ましい。負極の容量が対向する正極の容量より少ないと、充電末期に正極電位が上がり過ぎることを防止できる。なお、正極および負極の容量は、正極および負極を製造する際の理論容量として、製造条件から求めることができる。完成品の容量を測定装置で直接測定してもよい。
ただし、負極の容量を対向する正極の容量と比べて少ないと、負極電位が下がりすぎて電池の耐久性が損なわれる恐れがあるので充放電電圧に注意する必要がある。例えば、一のセル(単電池層)の平均充電電圧を使用する正極活物質の酸化還元電位に対して適切な値に設定して、耐久性が低下しないように注意する。
電池を構成する電解質層の厚さに関しては、本発明の主要構成要件として上述したとおりであるので、ここでの同様の説明は省略する。
[絶縁層]
絶縁層は、電解液による液絡、電池内で隣り合う集電体同士が接触したり、積層電極の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で、各電極の周囲に形成されてなるものである。本発明では、必要に応じて、電極の周囲に絶縁層を設けてもよい。これは、車両駆動用ないし補助用電源として利用するような場合には、たとえ固体電解質を用いて電解液による短絡(液落)を完全に防止したとしても、電池への振動や衝撃が長期にわたり負荷される。そのため、電池寿命の長期化の観点からは、絶縁層を設置することがより長期間の信頼性、異常時信頼性を確保する上で望ましく、高品質の大容量電源を提供できる点で望ましいためである。
該絶縁層としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、エポキシ樹脂、ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドなどが使用できるが、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点からは、エポキシ樹脂が好ましい。
[正極および負極端子板]
正極および負極端子板は、必要に応じて使用すればよい。すなわち、バイポーラ電池の積層(ないし巻回)構造によっては、最外部の端部集電体から正極及び負極タブ(電極端子)を直接または電極リードを介して取り出しても良く、この場合には正極および負極端子板は用いなくとも良い(図1(a)参照のこと)。
正極および負極端子板を用いる場合には、端子としての機能を有するほか、薄型化の観点からは極力薄い方がよいが、積層されてなる電極、電解質および集電体はいずれも機械的強度が弱いため、これらを両側から挟示し支持するだけの強度を持たせることが望ましい。さらに、電極端子板から電極タブまでの内部抵抗を抑える観点から、正極および負極端子板の厚さは、通常0.1〜2mm程度が望ましいといえる。
正極および負極端子板の材質は、通常のバイポーラ型でないリチウムイオン二次電池で用いられる材質を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。
正極端子板と負極端子板との材質は、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これら正極および負極端子板は、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。これら正極および負極端子板でも、電池外装材と近接ないし密着することもあることから、必要があれば、電極タブと同様の高抵抗層を電極端子板の外表面上の必要とされる部分に適宜に設けても良いことはいうまでもない。
[正極および負極リード]
正極および負極リードは、必要に応じて使用すればよい。正極および負極リードは、既存のバイポーラ型ではない通常のリチウムイオン二次電池で用いられる公知の電極リードを用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。正極リードと負極リードとの材質は、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これら正極および負極リードは、材質の異なるものを多層に積層したものであってもよい。また、これら正極および負極リードでも、電池外装材と近接ないし密着することもあることから、必要があれば、本発明の電極タブと同様の高抵抗層を電極リード表面上の必要とされる部分に適宜に設けても良いことはいうまでもない。
[正極および負極タブ]
図1(a)に示すように、本発明に用いられる正極および負極タブ21、22は、最外層の電極の端部集電体(ないしこれに接続された電極端子板)に接続された正・負極リード23、24との間で接続されていてもよし、最外層の電極の集電体に接続された正・負極端子板ないし正・負極リードに接続してよいし(図示せず)、最外層の電極の集電体の一部を延長して形成しても良い(図示せず)など、特に制限されるべきものではない。なお、電池外装材25から電池外部に取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆しておいてもよい。
また、本発明に用いられるタブは、既存のバイポーラ型ではない通常のリチウムイオン二次電池で用いられる公知の電極タブを用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。正極タブと負極タブとの材質は、同一の材質を用いてもよいし、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、これら正極および負極タブは、材質の異なる金属(合金を含む)を多層に積層したものであってもよい。
また、本発明では、車両特有の高電圧を付加するための高い絶縁性を確保することができるように、正極タブと負極タブ21、22の金属表面に少なくともタブ金属の金属抵抗よりも高い抵抗層(好ましくは10V/m以上、より好ましくは2×10V/m以上の抵抗層)を設けてもよい。高抵抗層としては、金属の酸化皮膜、絶縁めっき皮膜、樹脂コーティングによる皮膜などがあるが、タブ金属の抵抗よりも高い抵抗を有する皮膜(以下、単に高抵抗皮膜、または皮膜とも称する)であれば、特に限定は行わない。好ましくは、高抵抗層が金属の酸化皮膜、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモンなどの陽極酸化皮膜が挙げられるが、これらに制限されるべきものではない。これらの金属の陽極酸化皮膜は、これらの金属をタブとし、その表面に陽極酸化皮膜を形成してもよいし、アルミニウムやニッケルのタブの表面に前記陽極酸化皮膜形成用の金属をメッキ、蒸着等を行った後、陽極酸化皮膜を形成してもよい。上記高抵抗層(皮膜)の基準となるタブ金属の金属抵抗は、タブ金属の種類にもよるが、通常1〜50Ω・m程度であり、比較のために便宜的にV/mで示すと10−7〜10−6V/m程度である。
タブの厚さは、外装材シール部に挟まれている部分の気密性や防水性を高める観点からは薄い方が望ましく、一方、電気抵抗低減の観点からは厚い方が望ましいことから、電池の使用目的に応じて適宜決定すればよいが、通常50〜1000μm、好ましくは100〜300μmの範囲である。
また、タブの電池外部への取り出し方としては、図1(a)に示すように、正極タブと負極タブとを対向する辺から別々に取り出しても良いし、正極タブと負極タブとを同じ辺から取り出しても良いし、正極タブと負極タブとを隣接する辺から別々に取り出しても良いなど特に制限されるものではないが、これらの電池を複数接続して組電池を形成するには、後述する図9や図10に示すような構成とするのが配線などの関係から都合が良いため、好ましくは図1(a)に示すように、正極タブと負極タブとを対向する辺から別々に取り出すのが望ましいといえる。
[電圧検知タブ]
本発明では、電池内のセル(単電池層)ごとの電圧を検知し、過充電や過放電状態になったセルをバイパスして充放電が行えるような電圧検知タブを各セルに設けておくのが望ましい。この電圧検知タブの一端はセルの集電体に接続し、もう一方の端を電池外部にまで取り出し、これらタブを電圧検知・バイパス制御回路等に接続するのが望ましい。これにより数十〜百数十セル(単電池層)ある電池内部の各単電池層の容量バラツキによる電池性能の低下を抑制することができ、電池寿命を高めることができる。特に、バイポーラ電池を車両の動力源として使用する場合には、信頼性と安定性が要求されるため、それぞれのバイポーラ電池及び該電池内の各単電池層(セル)が正常に機能しているか否かを常に監視する必要がある。このため、すべてのバイポーラ電池(通常、複数のバイポーラ電池を接続した組電池を、更に複数接続した複合組電池として車両に搭載されている)及び電池内のセルの電圧を常時監視し、劣化したバイポーラ電池及び電池内のセルが検知できるようにするのが望ましいためである。
また、電極タブである正極タブ及び負極タブと、電圧検知タブとは、電池の異なる辺から取り出すのが配線などの都合上便利であるほか、シール部の気密性確保の観点からも望ましいといえる。
更に、電圧検知タブには、各セルごとの電圧(4.2V程度)しか加わらないため、本発明の電極タブのように高抵抗層を形成する必要はない。
該電圧検知タブには、上記電極タブと同様の材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金などを利用することができる。各電圧検知タブの材質は、同一の材質を用いるのが望ましいが、異なる材質のものを用いてもよい。さらに、電圧検知タブは、材質の異なる金属(合金を含む)を多層に積層したものであってもよい。
[電池外装材]
本発明では、従来と同様に電池の防水性、シール性を確保し、更に電池の軽量化を図り、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止する観点から、電池本体である電池積層体(ないし電池巻回体)全体を収納するための電池外装材として、高分子金属複合フィルムを用いてなるものである。かかる高分子金属複合フィルムとしては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜適用することができるものであり、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、銅などの金属(合金を含む)の層25bの両面をポリプロピレンフィルム等の絶縁体(好ましく耐熱性の絶縁体)の樹脂層(表皮樹脂層25a、金属層−タブ間樹脂層25c)で被覆した高分子金属複合フィルムなどを用いることができる。上記絶縁体(好ましく耐熱性の絶縁体)の樹脂層としては、例えば、ポリエチレンテトラフタレートフィルム(耐熱絶縁性フィルム)、ナイロンフィルム(耐熱絶縁性フィルム)、ポリエチレンフィルム(熱融着絶縁性フィルム)、ポリプロピレンフィルム(熱融着絶縁性フィルム)等が挙げられ、これらを目的に応じて、表皮樹脂層25a側と金属層−タブ間樹脂層25c側とに適用すればよい。高分子金属複合フィルム全体の膜厚は、電池外装材に求められる上記機能を発揮することができるものであれば特に制限されるものではないが、通常50〜150μm、好ましくは80〜120μmの範囲である。
本発明では、高分子金属複合フィルムを用いて、その周辺部の一部または全部を熱融着にて接合することによりシール部を形成し、電池積層体19を収納し密封した構成とするのが望ましい。また熱伝導性に優れた高分子金属複合フィルムなどを用いることが、自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を電池動作温度まですばやく加熱することができる点で好ましい。
次に、本発明のバイポーラ電池の用途としては、例えば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)や燃料電池自動車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高エネルギー密度、高出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。この場合には、本発明のバイポーラ電池を複数個接続して構成した組電池とすることが望ましい。すなわち、本発明のバイポーラ電池、特にバイポーラ型ポリマーリチウムイオン二次電池を少なくとも2個以上を用いて、並列接続、直列接続、並列−直列接続および直列−並列接続の少なくとも一つの接続方式を用いて構成した組電池、さらには複合組電池とすることにより、高容量、高出力の電源を形成することが出来る。そのため、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に、比較的安価に対応することが可能になる。これらに関しては、後述する。
次に、本発明のバイポーラ電池の製造方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の各種の方法を適宜利用することができる。以下に、簡単に説明する。
(1)集電体(基準箔+サブ箔)の形成
本発明の基準箔+サブ箔からなる一般部及び端部集電体構造は、従来公知の集電箔上にサブ箔を適当な接合方法、例えば、スポット溶接、振動溶着、リベット接合で形成することができるが、接触抵抗を下げるためには振動溶着で形成するのが好ましい。この点に関しては、本発明の主要構成要件として上述したとおりであるので、ここでの同様の説明は省略する。なお、本発明の基準箔+サブ箔からなる集電体は、上記のように別々の部材を接合して形成してもよいが、この他にも、例えば、金属インゴットから押出成形等により、基準箔+サブ箔からなる集電体を一体成形してもよいなど、従来公知の技術を適用することができる。
また、微細なサブ箔を形成するときには、微粉末を電極材に噴射し、微細な凹凸形状を形成するマイクロブラスト工法、または金属表面をエッチングすることにより微細な凹凸形状を形成するドライエッチング、ウエットエッチング手法をとることが望ましいが特に限定は行わない。
(2)正極用組成物の塗布
上記(1)で得られた一般部集電体を準備する。正極用組成物は通常はスラリー(正極用スラリー)として得られ、集電体の一方の面に、例えば、スプレー噴霧法やディッピング法(浸漬法)等により塗布される。さらに、塗布後に、正極材が付着されたサブ箔間の隅間に適当な幅を持つ歯車を表面に形成したローラーにより、正極材の厚さが均一になるように2次加工してもよい。なお、端部集電体においても一般部集電体と同様に行うことができる。
正極用スラリーは、正極活物質を含む溶液である。他成分として、導電助剤、バインダ、重合開始剤、電解質の原料(固体電解質用高分子ないしホストポリマー、電解液など)、支持塩(リチウム塩)、その他添加剤およびスラリー粘度調整溶媒などが任意で含まれる。すなわち、正極用スラリーは、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池と同様に、正極活物質のほか、導電助材、電解質の原料、支持塩(リチウム塩)、スラリー粘度調整溶媒、重合開始剤等を任意で含む材料を所定の比率で混合して作製することができる。
電解質層に高分子ゲル電解質を用いる場合には、正極活物質微粒子同士を結びつける従来公知のバインダ、電子伝導性を高めるための導電助材、溶媒などが含まれていればよく、高分子ゲル電解質の原料のホストポリマー、電解液やリチウム塩などは含まれていなくても良い。電解質層として電解液を含浸させたセパレータを用いる場合も同様である。
電解質の高分子原料(高分子ゲル電解質の原料のホストポリマーないし高分子固体電解質の高分子原料)は、PEO、PPO、これらの共重合体などが挙げられ、分子内に架橋性の官能基(炭素−炭素二重結合など)を有することが好ましい。この架橋性の官能基を用いて高分子電解質を架橋することによって、機械的強度が向上する。
正極活物質、導電助剤、バインダ、リチウム塩に関しては、前述した化合物を用いることができる。
重合開始剤は、重合させる化合物に応じて選択する必要がある。例えば、光重合開始剤としては、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられ、熱重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、t−ヘキシルパーオキシピバレートなどが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
NMPなどのスラリー粘度調整溶媒は、正極用スラリーの種類に応じて選択する。
正極活物質、リチウム塩、導電助剤の添加量は、バイポーラ電池の目的等に応じて調節すればよく、通常用いられる量を添加すればよい。重合開始剤の添加量は、高分子原料に含まれる架橋性官能基の数に応じて決定される。通常は高分子原料に対して0.01〜1質量%程度である。
(3)正極材(正極活物質層)の形成
正極用スラリーが塗布され、必要に応じてローラー掛けされた一般部および端部集電体を乾燥して、含まれる溶媒を除去する。それと同時に、正極用スラリーによっては、架橋反応を進行させて、高分子固体電解質の機械的強度を高めてもよい。乾燥は真空乾燥機などを用いることができる。乾燥の条件は塗布された正極用スラリーに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。
(4)負極用組成物の塗布
一般部集電体の正極材が塗布された面と反対側の面に、負極活物質を含む負極用組成物(負極用スラリー)を、例えば、スプレー噴霧法やディッピング法(浸漬法)等により塗布する。さらに、塗布後に、負極材が付着されたサブ箔間の隅間に適当な幅を持つ歯車を表面に形成したローラーにより、負極材の厚さが均一になるように2次加工してもよい。なお、端部集電体においても一般部集電体と同様に行うことができる。
負極用スラリーは、負極活物質を含む溶液である。他成分として、導電助材、バインダ、重合開始剤、(固体電解質用高分子ないしホストポリマー、電解液など)、支持塩(リチウム塩)およびスラリー粘度調整溶媒などが任意で含まれる。使用される原料や添加量については、「(2)正極用組成物の塗布」の項での説明と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(4)負極材(負極活物質層)の形成
負極用スラリーが塗布され、必要に応じてローラー掛けされた一般部および端部集電体を乾燥して、含まれる溶媒を除去する。それと同時に、負極用スラリーによっては、架橋反応を進行させて、高分子ゲル電解質の機械的強度を高めてもよい。この作業により、バイポーラ電極が完成する。乾燥は真空乾燥機などを用いることができる。乾燥の条件は塗布された負極用スラリーに応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は40〜150℃で5分〜20時間である。かかる乾燥処理により、集電体上に負極材を形成する。
(5)電解質層の形成
高分子固体電解質層を用いる場合には、例えば、高分子固体電解質の原料高分子、リチウム塩等をNMPのような溶媒に溶解させて調製した溶液を硬化させることによって製造される。また、高分子ゲル電解質層を用いる場合には、例えば、高分子ゲル電解質の原料として、ホストポリマーと電解液、リチウム塩、重合開始剤等からなるプレゲル溶液を不活性雰囲気下で加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって製造される。また、不織布セパレータに高分子ゲル電解質を保持させてなる高分子ゲル電解質層を用いる場合には、セパレータに、例えば、高分子ゲル電解質の原料として、ホストポリマーと電解液、リチウム塩、重合開始剤等からなるプレゲル溶液を含浸させて、不活性雰囲気下で加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって製造される。不織布セパレータに固体高分子電解質を保持させてなる高分子固体電解質層を用いる場合には、セパレータに、例えば、高分子固体電解質の原料として、ホストポリマーと電解液、リチウム塩、重合開始剤等を粘度調整剤に溶解してなる溶液を含浸させて、不活性雰囲気下で加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって製造される。また、セパレータに電解液を保持させてなる液体電解質層を用いる場合には、セパレータに電解液を含浸させればよく、例えば、電解液含浸前のセパレータとバイポーラ電極を積層した後に、電解液を各セパレータに含浸させてもよい。
例えば、上記電極の正極材および/または負極材上に、調製された上記溶液またはプレゲル溶液を、正極ないし負極用スラリーと同様に、スプレー噴霧法やディッピング法(浸漬法)等により塗布し、所定の厚さの電解質層またはその一部(電解質層厚さの半分程度の電解質膜)を形成する。さらに、塗布後に、電解質層またはその一部が付着されたサブ箔間の隅間に適当な幅を持つ歯車を表面に形成したローラーにより、電解質層の厚さが均一になるように2次加工してもよい。その後、電解質層(膜)が積層された電極を不活性雰囲気下で硬化または加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって、電解質の機械的強度を高め、電解質層(膜)を製膜形成する(完成させる)。
あるいは、別途、電極間に凸形状のサブ箔が電解質層を挟んで対峙して積層できるように電解質層またはその一部(電解質層厚さの半分程度の電解質膜)(図3参照のこと)を準備する。電解質層(膜)ないしセパレータに高分子ゲル電解質を保持させてなる高分子ゲル電解質層(膜)は、上記溶液またはプレゲル溶液を、予めサブ箔を形成した基準箔と同じ表面構造を有するように成形して得られたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど適当な凹凸面を有するフィルム上に塗布し、不活性雰囲気下で硬化または加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって製造されるか、あるいは、上記溶液またはプレゲル溶液を、ポリプロピレン(PP)製など適当な不織布セパレータに含浸し、不活性雰囲気下で硬化または加熱乾燥と同時に重合(架橋反応を促進)させることによって製造される。この場合にも、塗布後であって硬化前に、電解質層(膜)等が付着されたフィルムの凸形状部間の隅間に適当な幅を持つ歯車を表面に形成したローラーにより、電解質層(膜)の厚さが均一になるように2次加工してもよい。
硬化または加熱乾燥は真空乾燥機(真空オーブン)などを用いることができる。加熱乾燥の条件は溶液またはプレゲル溶液に応じて決定され、一義的に規定できないが、通常は30〜110℃で0.5〜12時間である。
電解質層(膜)の厚さや凹凸形状は、適当なスペーサなどを用いても制御できる。光重合開始剤を用いる場合には、光透過性のギャップに流し込み、乾燥及び光重合ができるような紫外線照射装置を用いて紫外線を照射して、電解質層内のポリマーを光重合させ架橋反応を進行させて製膜するとよい。ただし、この方法に限定されないことは勿論である。重合開始剤の種類に応じて、放射線重合、電子線重合、熱重合などを使いわける。なお、加熱などにより重合硬化すると電解質(膜)材料の流動性(形状変形能ないし易加工性)が失われるため、好ましくは正極及び負極間に挟持した後に硬化させるのが望ましい。
また、上記で用いるフィルムは、製造過程で80℃程度に加熱されることもありえるため、当該温度程度での十分な耐熱性を有し、さらに溶液またはプレゲル溶液との反応性がなく、製造過程で剥離し除去する必要上、離型性に優れたものを用いるのが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンフィルムなどを使用することができるが、これらに制限されるべきものではない。
なお電解質層の幅は、バイポーラ電極の集電体サイズよりも若干小さくすることが多い。
上記溶液またはプレゲル溶液の組成成分やその配合量などについては、使用目的に応じて適宜決定されるべきものである。
なお、電解液を染み込ませたセパレータは、バイポーラ型でない従来の溶液系のバイポーラ電池に用いられる電解質層と同様の構成であり、従来公知の各種製造方法、例えば、電解液を染み込ませたセパレータをバイポーラ電極に挟み込んで積層する方法や真空注液法などにより製造できるため、以下、詳しい説明は省略する。
(6)バイポーラ電極と電解質層との積層
(i)電解質層(膜)が一面または両面に形成されたバイポーラ電極の場合には、高真空下で十分加熱乾燥してから、電解質層(膜)が形成された電極を適当なサイズに複数個切りだし、切り出された電極を直接貼り合わせて、バイポーラ電池本体(電極積層体)を作製する。
(ii)別々にバイポーラ電極と電解質層(膜)を作製した場合には、高真空下で十分加熱乾燥してから、バイポーラ電極と電解質層(膜)をそれぞれを適当なサイズに複数個切りだす。切りだされたバイポーラ電極と電解質層(膜)とを所定数張り合わせて、バイポーラ電池本体(電極積層体)を作製する。
上記電極積層体の積層数は、バイポーラ電池に求める電池特性を考慮して決定される。また、正極側の最外層には、集電体上に正極層のみを形成した電極を配置する。負極側の最外層には、集電体上に負極層のみを形成した電極を配置する。バイポーラ電極と電解質層(膜)とを積層、あるいは電解質層(膜)が形成された電極を積層させてバイポーラ電池を得る段階は、電池内部に水分等が混入するのを防止する観点から、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。例えば、アルゴン雰囲気下や窒素雰囲気下でバイポーラ電池を作製するとよい。
(7)絶縁層の形成
本発明では、例えば、電極積層体の電極形成部の周囲を、所定の幅でエポキシ樹脂(前駆体溶液)等に浸漬または樹脂を注入ないし含浸する。いずれの場合にも、事前に電圧検知タブや電極端子板や電極リードや電極タブ、あるいはこれらを接続する必要のある集電体部分等を離型性マスキング材等を用いてマスキング処理しておく。その後エポキシ樹脂を硬化させて、絶縁部を形成し、その後、マスキング材を剥がせばよい。
(8)端子板、電極リード及びタブ(端子)の接続
バイポーラ電池本体(電池積層体)の両最外層の集電体上にそれぞれ、正極端子板、負極端子板を設置して接続し、該正極端子板、負極端子板に正極リード、負極リードに接合(電気的に接続)し、さらに正極リード、負極リードに正極タブ、負極タブを接合(電気的に接続)する(図1(b)参照のこと。)。これら端子板、リードおよびタブの接合方法としては、接合温度の低い超音波溶接等が好適に利用し得るものであるが、これに限定されるべきものではなく、従来公知の接合方法を適宜利用することができる。また、本発明では、単電池層の電圧を検知し、過充電や過放電状態になれば、バイパスすることができるような電圧検知タブを各集電体に接続し、これらを電池外部にまで取り出し、これらタブを電圧検知・バイパス制御回路に接続するのが望ましい。これにより数十〜百数十セル(単電池層)ある電池内部の各単電池層の容量バラツキによる電池性能の低下を抑制することができ、電池寿命を高めることができる。
(9)パッキング(電池の完成)
最後に、電池積層体全体を、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、電池外装材で封止し、バイポーラ電池を完成させる。封止の際には、正極タブ、負極タブ、更には電圧検知タブの一端を電池外部に取り出す。
次に、本発明では、上記のバイポーラ電池を、少なくとも2以上バイポーラ電池を直列、並列、直列と並列の混合に接続して組電池とすることができる。これにより、種々の車両用ごとの容量・電圧の要望を基本のバイポーラ電池の組み合わせで対応が可能になる。その結果、必要エネルギー、出力の設計選択性を容易にすることが可能になる。そのため種々の車両用ごとに異なるバイポーラ電池を設計、生産する必要がなく、基本となるバイポーラ電池の大量生産が可能となり、量産化によるコスト削減が可能となる。以下に、当該組電池の代表的な実施形態につき、図面を用いて簡単に説明する。
図9に本発明のバイポーラ電池(24V、50mAh)を2直20並に接続した組電池(42V1Ah)の模式図を示す。並列部分のタブは銅のバスバー56、58で接続し、直列部分はタブ21、22同士を振動溶着して接続した。直列部分の端部を端子42、44に接続して、正負の端子を構成している。電池の両側には、バイポーラ電池1の各層の電圧を検知する検知タブ26を取り出し、それらの検知線53を組電池50の前部に取り出している。詳しくは、図9に示す組電池50を形成するには、バイポーラ電池11を5枚並列にバスバー56で接続し、5枚並列にしたバイポーラ電池11をさらに電極タブ同士を接続して2枚直列にし、これらを4層積層して並列にバスバー58で接続して金属製の組電池ケース55に収納する。このように、バイポーラ電池11を任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池50を提供することができる。該組電池50には、正極端子42、負極端子44が金属製の組電池ケース55の側面前部に形成されており、電池を直並列に接続後、例えば、各バスバー56と各正極端子42、負極端子44とが端子リード59で接続されている。また、該組電池50には、電池電圧(各単電池層、更にはバイポーラ電池の端子間電圧)を監視するために検知タブ端子54が金属製の組電池ケース55の正極端子42及び負極端子44が設けられている側面前部に設置されている。そして、各バイポーラ電池11の電圧検知タブ26が全て検知線53を介して検知タブ端子54に接続されている。また、組電池ケース55の底部には、外部弾性体52が取り付けられており、組電池50を複数積層して複合組電池を形成するような場合に、組電池50間距離を保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
また、この組電池50には、使用用途に応じて、上記検知タブ端子54以外にも各種計測機器や制御機器類を設けてもよい。さらにバイポーラ電池1の電極タブ(21、22)同士や検知タブ26と検知線53とを連結するためには、超音波溶接、熱溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接により、または、リベットのようなバスバー56、58を用いて、またはカシメの手法を用いて、連結するようにしてもよい。さらにバスバー56、58と端子リード59等とを連結するためにも、超音波溶接、熱溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。
上記外部弾性体52にも、本発明の電池で用いた樹脂群と同様の材料を用いることができるが、これらに制限されるものではない。
また、本発明の組電池では、本発明のバイポーラ電池と、該バイポーラ電池と正負極電極材料を同一とし該バイポーラ電池の構成単位数を直列することにより電圧を同一にした電池(バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池等)と、を並列に接続したものであってもよい。すなわち、組電池を形成するバイポーラ電池は、本発明のバイポーラ電池と従来のバイポーラ型ではないリチウムイオン二次電池等とを混在させても良い。これにより、出力重視のバイポーラ電池と、エネルギー重視の一般リチウムイオン二次電池の組み合わせでお互いの弱点を補う組電池ができ、組電池の重量・サイズを小さくすることができる。それぞれのバイポーラ電池とバイポーラ型でない電池をどの程度の割合で混在させるかは、組電池として要求される異常時信頼性能、出力性能に応じて決める。
また、図10に本発明のバイポーラ電池A(42V、50mAh)と一般リチウムイオン二次電池B(4.2V、1Ah)10直(42V)を並列に連結した組電池を示す。一般電池Bとバイポーラ電池Aは電圧が等しくなり、その部分で並列接続を形成している。この組電池50’は、出力の分担をバイポーラ電池Aが有し、エネルギーの分担を一般電池Bが有する構造である。これは、出力とエネルギーを両立することが困難な組電池において、非常に有効な手段である。この組電池50’でも、並列部分及び図の横方向に隣り合う一般電池B間を直列接続する部分のタブは銅のバスバー56で接続し、図の縦方向に隣り合う一般電池B間を直列接続する部分はタブ21、22同士を振動溶着して接続した。一般電池Bとバイポーラ電池Aを並列接続している部分の端部を端子42、44に接続して、正負の端子を構成している。バイポーラ電池Aの両側には、バイポーラ電池Aの各層の電圧を検知する検知タブ26を取り出し、それらの検知線(図示せず)を組電池50の前部に取り出している以外は、図9の組電池50と同様であるので、同じ部材には同じ符号を付した。詳しくは、図10に示す組電池50’を形成するには、一般電池B10枚を端から順番にバスバー56および振動溶着して直列に接続した。さらに、バイポーラ電池Aと直列接続された両端の一般電池Bとをそれぞれバスバー56で並列に接続して金属製の組電池ケース55に収納する。このように、バイポーラ電池Aを任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池50’を提供することができる。該組電池50’にも、正極端子42、負極端子44が金属製の組電池ケース55の側面前部に形成されており、電池A、Bを直並列に接続後、例えば、各バスバー56と各正極端子42、負極端子44とが端子リード59で接続されている。また、該組電池50’には、電池電圧(バイポーラ電池Bの各単電池層、更にはバイポーラ電池B及び一般電池Aの端子間電圧)を監視するために検知タブ端子54が金属製の組電池ケース55の正極端子42及び負極端子44が設けられている側面前部に設置されている。そして、各バイポーラ電池A(更には一般電池B)の検知タブ26が全て検知線(図示せず)を介して検知タブ端子54に接続されている。また、組電池ケース55の低部には、外部弾性体52が取り付けられており、組電池50’を複数積層して複合組電池を形成するような場合に、組電池50’間距離を保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
また本発明の組電池では、更に上記のバイポーラ電池を直並列接続して第1組電池ユニットを形成するとともに、この第1組電池ユニットの端子間電圧と電圧を同一にするバイポーラ電池以外の二次電池が直並列接続されてなる第2組電池ユニットを形成し、この第1組電池ユニットと第2組電池ユニットを並列接続することによって組電池としても良いなど、特に制限されるものではない。
なお、組電池の他の構成要件に関しては、何ら制限されるべきものではなく、既存のバイポーラ型でないリチウムイオン二次電池を用いた組電池の構成要件と同様のものが適宜適用することができるものであり、従来公知の組電池用の構成部材および製造技術が利用できるため、ここでの説明は省略する。
次に、上記の組電池を、組電池を少なくとも2以上直列、並列、または直列と並列の複合接続した複合組電池とすることで、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に、新たに組電池を作製することなく、比較的安価に対応することが可能になる。すなわち、本発明の複合組電池は、組電池(本発明のバイポーラ電池だけで構成したものの他、本発明のバイポーラ電池と他のバイポーラ型でない電池とで構成したものを含む)を少なくとも2以上直列、並列、または直列と並列の複合接続したことを特徴とするものであり、基準の組電池を製造し、それを組み合わせて複合組電池とすることで、組電池の仕様をチューニングできる。これにより、仕様の異なる多種の組電池種を製造しなくてよいため、複合組電池コストを減少することができる。
複合組電池としては、例えば、図9に記載のバイポーラ電池を用いた組電池(42V、1Ah)6並に接続した複合組電池(42V、6Ah)の模式図が図11である。複合組電池を構成する各組電池は連結版と固定ねじにより一体化し、組電池の間に弾性体を設置して防振構造を形成している。また、組電池のタブは板状のバスバーで連結している。すなわち、図5に示したように、上記の組電池50を6組並列に接続して複合組電池60とするには、各組電池ケース55の蓋体に設けられた組電池50のタブ(正極端子42および負極端子44)を、板状のバスバーである外部正極端子部、外部負極端子部を有する組電池正極端子連結板62、組電池負極端子連結板64を用いてそれぞれ電気的に接続する。また、各組電池ケース55の両側面に設けられた各ネジ孔部(図示せず)に、該固定ネジ孔部に対応する開口部を有する連結板66を固定ネジ67で固定し、各組電池50同士を連結する。また、各組電池50の極端子42および負極端子44は、それぞれ正極および負極絶縁カバーにより保護され、適当な色、例えば、赤色と青色に色分けすることで識別されている。また、組電池50の間、詳しくは組電池ケース55の底部に外部弾性体52を設置して防振構造を形成している。
このように、組電池を複数直並列接続されてなる複合組電池は、一部の電池、組電池が故障しても、その故障部分を交換するだけで修理が可能である。
また、本発明の車両は、上記組電池および/または上記複合組電池を搭載することを特徴とするものである。これにより、軽く小さい電池にすることでスペース要望の大きな車両要望に合致できる。電池のスペースを小さくすることで、車両の軽量化も達成できる。
図12に示したように、複合組電池60を、車両(例えば、電気自動車等)に搭載するには、電気自動車70の車体中央部の座席(シート)下に搭載する。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、電池を搭載する場所は、座席下に限らず、車両の床下、シートバック裏、後部トランクルームの下部でも良いし、車両前方のエンジンルームでも良い。
なお、本発明では、複合組電池60だけではなく、使用用途によっては、組電池50を車両に搭載するようにしてもよいし、これら複合組電池と組電池を組み合わせて搭載するようにしてもよい。また、本発明の複合組電池または組電池を駆動用電源や補助電源として搭載することのできる車両としては、上記の電気自動車、燃料電池自動車やこれらのハイブリッドカーが好ましいが、これらに制限されるものではない。また、本発明の組電池および/または複合組電池を、例えば、駆動用電源や補助電源等として搭載することのできる車両としては、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド燃料電池自動車等が好ましいが、これらに制限されるものではない。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
<電極の形成>
1.基準箔であるSUS箔(厚さ20μm)の片面に、図5(a)に示すように、基準箔を4等分した際に、それぞれ4つに分けた領域に凸形状の根本面積が均一に分散されるように(即ち凸形状の根本面積比が1:1:1:1に4分割されるように)、正極サブ箔であるAl箔(厚さ20μm、凸形状の凸部長さ1000μm)、もう一方の面に負極サブ箔であるCu箔(厚さ20μm、凸形状の凸部長さ1000μm)を振動溶着により接合し、バイポーラ電極用の一般部集電体(図4、図8(a)参照のこと)を形成した。同様に、基準箔の片面にのみ正極サブ箔ないし負極サブ箔のみを振動溶着により接合し、最外部電極用の端部集電体(図4、図8(a)参照のこと)を形成した。
2.正極
正極活物質としてLi−Mn系複合酸化物である平均粒子径2μmのスピネルLiMn[85質量%]、導電助剤としてアセチレンブラック[5質量%]、バインダとしてPVdF[10質量%]およびスラリー粘度調整溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(NMPは、電極乾燥時にすべて揮発させて除去するので、電極の構成材料ではなく、適当なスラリー粘度になるように適量を加えた。)からなる材料を上記比率(スラリー粘度調整溶媒を除く成分で換算した比率を示す。)にて混合して正極スラリーを作製した。
上記1により得られた一般部集電体の片面に上記正極スラリーをスプレー噴霧により正極サブ箔面及び基準箔面の双方に塗布し、真空オーブンに入れ、120℃で10分間乾燥させて正極材(正極活物質層)厚さが30μmの正極を形成した。
併せて、上記1により得られた最外部正極用の端部集電体の片面(正極サブ箔を形成した面側)に上記正極スラリーを塗布し、真空オーブンに入れ、120℃で10分間乾燥させて正極材(正極活物質層)厚さが30μmの最外部の正極を形成した。
3.負極
負極活物質として非結晶性炭素材である平均粒子径4μmのハードカーボン[90質量%]、バインダとしてPVdF[10質量%]およびスラリー粘度調整溶媒としてNMP(適当なスラリー粘度になるように適量を加えた。)からなる材料を上記比率(スラリー粘度調整溶媒を除く成分で換算した比率を示す。)にて混合して負極スラリーを作製した。
正極を形成した一般部集電体の反対面に、上記負極スラリーをスプレー噴霧により負極サブ箔面及び基準箔面の双方に塗布し、真空オーブンに入れ、120℃で10分間乾燥させて正極材(正極活物質層)厚さが30μmの負極を形成した。
併せて、上記1により得られた最外部負極用の端部集電体の片面(負極サブ箔を形成した面側)に上記負極スラリーを塗布し、真空オーブンに入れ、120℃で10分間乾燥させて負極材(負極活物質層)厚さが30μmの最外部の負極を形成した。
一般部集電体の両面に正極と負極がそれぞれ形成されることにより、バイポーラ電極が形成された。また、正極および負極の端部集電体の片面に正極ないし負極が形成されることにより、最外部の電極が形成された。
<ゲル電解質層の形成>
厚さ約50μmのポリプロピレン製不織布(空孔率;約50%)をセパレータとして用いた。尚、必要があれば、該セパレータを型押しして、図8(a)ないし図5(a)〜(d)の形状に形成された正極及び負極サブ箔の凸形状がセパレータを挟んで対峙するように、所定の形状に加工してもよいが、正極及び負極で挟み込むだけでも、該セパレータは柔軟性があり、形状追従性があるため、特に型押しせずに用いた。
<電池積層体(電池要素)の形成>
上記バイポーラ電極及び最外部の電極と、セパレータを、図2に示すように、正極と負極がゲル電解質層を挟むような構成で、図4に示すように正極と負極の組み合わせ10層(単セル=単電池層10セル分;42Vバイポーラ電池)の積層構造となるように積層して電極積層体(電池要素)を作製した。この電極積層体の電極形成部の周囲を、その一部を残して所定の幅でエポキシ樹脂(前駆体溶液)に浸漬し、その後エポキシ樹脂を硬化させて、絶縁部を形成した。
上記絶縁部で絶縁していない部分から、各単セル内のセパレータに、ホストポリマーとしてポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合体(共重合比が5:1、重量平均分子量が8000のものを用いた。)[5質量%]と、電解液EC+DMC(EC:DMC=1:3(体積比))に1.0Mでリチウム塩LiBFを溶解させたもの[95質量%]、および重合開始剤としてAIBN[ホストポリマーに対して1質量%]からなるプレゲル溶液を浸漬させて、不活性雰囲気下で90℃で1時間熱重合させることにより、不織布セパレータにゲル電解質を保持させてなるゲル電解質層を形成した。これにより図8(a)に示すように、得られたゲル電解質層の厚さは約60μmであった。
絶縁部を形成後の電池積層体(電池要素)の両最外部の端部集電体上に超音波溶接により、それぞれ正極端子板、負極端子板を設置して接続し、該正極端子板、負極端子板に正極リード、負極リードに接合(電気的に接続)し、さらに正極リード、負極リードに、正極タブ及び負極タブを接合(電気的に接続)した(図1(a)参照のこと。)。
<バイポーラ電池の完成>
最後に、電池積層体全体を、外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、図1(a)に示すように、厚さ120μmの高分子金属複合ラミネートフィルム(表皮樹脂層:ナイロンとポリエステルの積層フィルム、金属層:アルミニウム、金属層−タブ間樹脂層:ポリプロピレン(PP)の3層ラミネートフィルム)からなる袋体(電池外装材)内に収納し、電池外装材の外縁部分を熱融着により封止することで、図1に示すように正極および負極タブが電池外部に取り出されたバイポーラ電池を作製した。
実施例2
下記表1に示すように、正極及び負極サブ箔の凸形状の凸部長さ1000μmを200μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例3
下記表1に示すように、正極及び負極サブ箔の凸形状の凸部長さ1000μmを2000μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例4
下記表1に示すように、基準箔をSUS箔に代えてTi箔とし、図5(a)に示すように基準箔を4等分する代わりに図5(b)に示すように基準箔を4等分した点を除いては、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例5
下記表1に示すように、基準箔をSUS箔に代えてクラッド材(正極側に厚さ10μmのAl箔、負極側に厚さ10μmのCu箔を用いて接合形成したもの)とした点、及び
図5(a)に示すように基準箔を4等分する代わりに図5(c)に示すように基準箔を4等分した点を除いては、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例6
下記表1に示すように、図5(a)に示すように基準箔を4等分する代わりに図5(d)に示すように基準箔を4等分した点を除いては、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例7
図5(a)に示すように基準箔を4等分する代わりに図5(d)に示すように基準箔を4等分した点、及び
正極材(正極活物質層)及び負極材(負極活物質層)厚さ30μmを共に10μmとなるように調整した点を除いては、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例8
図5(a)に示すように基準箔を4等分する代わりに図5(d)に示すように基準箔を4等分した点、
負極活物質として非結晶性炭素材である平均粒子径4μmのハードカーボンに代えて結晶性炭素材である平均粒子径1μmのグラファイトを用いた点、及び
正極材(正極活物質層)及び負極材(負極活物質層)厚さ30μmを共に50μmとなるように調整した点を除いては、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例9
図5(a)に示すように基準箔を4等分する代わりに図5(d)に示すように基準箔を4等分した点、及び
正極材(正極活物質層)及び負極材(負極活物質層)厚さ30μmを共に5μmとなるように調整した点を除いては、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
実施例10
下記表1に示すように、正負極構成(単電池)の積層数が10層の42Vバイポーラ電池に変えて正負極構成(単電池)の積層数が100層の420Vバイポーラ電池とした点を除いては、実施例1と同様にしてバイポーラ電池を作製した。
比較例1(従来例)
下記表1に示すように、図8(a)に示すような一般部及び端部集電体に代えて、図8(b)に示すような一般部及び端部集電体として基準箔であるSUS箔(厚さ20μm)のみを用い、いずれもサブ箔を形成していない点を除いては、実施例1と同様にして、バイポーラ電池を作製した。
(バイポーラ電池の評価)
上記実施例1〜10及び比較例1で得られたバイポーラ電池を用いて、本発明にかかるバイポーラ電池が車両に搭載された場合に、車両から受ける振動等に対するバイポーラ電池性能を評価すべく、下記試験を行った。得られた試験結果を下記表1にまとめた。併せて上記実施例1〜10及び比較例1で得られたバイポーラ電池の構成要件も下記表1にまとめた。
1.容量比の測定
比較例1の10層バイポーラ電池を42Vまで充電し、30Vまで放電したときの放電容量を基準とした場合の各実施例における同様の放電容量を比として示した。従って、容量比=1の場合は、比較例1と実施例の放電容量が同等であることを示し、容量比=2の場合は、比較例1に対する実施例の放電容量が2倍であることを示す。
2.内部抵抗比の測定
比較例1の42Vのときの内部抵抗をテスタで測定して基準抵抗とし、各実施例の内部抵抗を同様の測定で求め、比較例1との比を内部抵抗比とした。従って、内部抵抗比=1の場合は、比較例1と実施例の内部抵抗が同等であることを示し、内部抵抗比=0.5の場合は、比較例1に対する実施例の内部抵抗が0.5倍であることを示す。
3.平均低減量の測定
上記の各実施例の方法によって得られた電池の略中央部に加速度ピックアップを設定し、インパルスハンマーによってハンマリングしたときの加速度ピックアップの振動スペクトルを測定した。設定方法は、JIS B 0908(振動及び衝撃ピックアップの校正方法・基本概念)に準拠した。測定スペクトルは、FFT分析器により解析し、周波数と加速度の次元に変換した。この得られた周波数に関して平均化とスムージングを行い、振動伝達率スペクトルを得た。この加速度スペクトルの10〜300Hzまでの平均を振動平均値とした。実施例1(発明構造)と比較例1(従来構造)の振動伝達率スペクトル(の結果を図7に示す。
比較基準を比較例1のスペクトルの振動平均値とし、各基準の振動平均値に対する比を平均低減量とした。
従って、平均減衰量=0%の場合は、比較例1と実施例の振動平均値が同等であり減衰が起きていないことを示し、平均減衰量=30%の場合は、比較例1に対する実施例の振動平均値が30%低減されたことを示す。
Figure 2005149891
(注)単電池層(単セル)の断面構造は、図5(a)の集電体を用いた場合には、図8(a)のようなサブ箔が等間隔に配置した断面構造になるが、図5(b)〜(d)の集電体を用いた場合には、当然のことながら、図8(a)と全く同じようにサブ箔が等間隔に配置した断面構造にならない。よって、上記表1中の実施例4〜9で「図8(a)」としたのは、あくまで従来例である比較例1との対比の意味での、図8(a)と同様のサブ箔を用いる構成をとることを表す目的で記載したものである。
本発明の実施例では、凸形状の集電部(サブ箔)を設け、1電極(単セル)単位の中に並列構造を構成することで、従来例である比較例1に比して、電池の投影面積を上げることなく電極面積を増加させることができるため、バイポーラ電池の容量を増加させることができ(表1の容量比から、従来例である比較例1の容量を基準とした場合に1.5倍〜7倍程度に容量を増加できた)、内部抵抗を低減させることができる(表1の内部抵抗比から従来例である比較例1の内部抵抗を基準とした場合に0.15〜0.7倍程度に内部抵抗を低減できた)ことが確認できた。とりわけ実施例中でも実施例3に示すように、サブ箔の凸部の長さを、基準集電体の厚さの100倍程度まで高めることにより、極めて有効かつ顕著(格段)に電池容量を増加(従来例の7倍に増加)させ、内部抵抗を低減(従来例の0.15倍に低減)させることができることがわかった。また、実施例3では防振効果も優れており、更にサブ箔の凸部の長さを数百倍程度まで高めることは十分に可能であり、これにより、より一層の容量増加及び内部抵抗低減効果が得られることもわかった。さらに、サブ箔の根本(付け根部分)の基準箔への取り付け形状(配置)を図5(a)〜(d)に示すように、少なくとも基準集電体面の頂点および/または頂点を結ぶ辺の中点を連結する線状に有するようにしたことにより、防振構造とすることができる(図7及び表1の平均減衰量から従来例である比較例1の振動平均値を基準とした場合に10〜50%程度振動平均値を低減できた)ことも確認できた。特に、サブ箔を形成するのが比較的容易である図5(a)の配置が今回行った配置例の中でも最も防振効果が認められたものであり、実用性(実効性)に優れる配置例の1つが確認できたといえる。
また、実施例10からわかるように、本発明の電池構造は、より一層の高出力・高容量化の観点から多層積層化が望まれる車両用電源用のバイポーラ電池にも十分適用できることが確認できた。
図1(a)は、本発明に係るバイポーラ電池の一実施形態を模式的に表した断面概略図である。図1(b)は、図1(a)のバイポーラ電池の積層構造のうち、1電極単位(1セル分ないし1単電池分)の構造を模式的に表した断面概略図である。 バイポーラ電池の積層構造の一実施形態として、図1(b)の1電極単位(1セル分ないし1単電池分)を積層して2電極単位=2電池単位(2セル;2対)構造とした際の、電池の積層構造を模式的に表した断面概略図である。 図1(b)の1電極単位(1セル分ないし1単電池分)の構造をより分かりやすくするために、正極、セパレータ、負極を組み合わせる前の状態に分解して表した分解断面図である。 図4は、図1(b)の1電極単位(1セル分ないし1単電池分)の構造における電流の流れを模式的に表した断面概略図である。 図5(a)〜(d)は、基準箔への正極ないし負極サブ箔の付け根部分の取り付け形状(サブ箔の配置)の例を模式的に表した概略平面図である。図5(a)は基準箔面の長手方向に対して、垂直にサブ箔の付け根部分の長手方向が配列するように配置し、基準箔内のサブ箔の根本形状の配置が、少なくとも基準箔面の重心位置、頂点および/または頂点を結ぶ辺の中点を連結する直線上に有するようにした例である。図5(b)は、基準箔面の長手方向に対して、平行にサブ箔の付け根部分の長手方向が配列するように配置し、基準箔内のサブ箔の根本形状の配置が、少なくとも基準箔面の重心位置、頂点および/または頂点を結ぶ辺の中点を連結する直線上に有するようにした例である。図5(c)は、基準箔内のサブ箔の根本形状の配置が、少なくとも基準箔面の重心位置、頂点および/または頂点を結ぶ辺の中点を連結する直線上にのみ有するようにした例である。図5(d)は、図5(a)〜(c)の配列を組み合わせたものであり、基準箔内のサブ箔の根本形状の配置が、少なくとも基準箔面の重心位置、頂点および/または頂点を結ぶ辺の中点を連結する直線上に有するようにした例である。 基準箔内のサブ箔の根本形状の配置が、防振構造に優れる、基準箔面の重心位置、基準箔面の頂点、及び該頂点を結ぶ辺の中点を連結する線状に有するように配置(形成)した例(A〜C,E)を模式的に表した概略平面図である。 図5(a)の配置に形成されたサブ箔を用いた場合の電池(詳しくは、実施例1の電池である)の振動スペクトル(図中、「発明構造」と表示)を示すと、従来構造のサブ箔を用いない基準箔のみの集電体を用いた電池(詳しくは、比較例1の電池である)の振動スペクトル(図中、「従来構造」と表示)の結果をに示す図面である。 図8(a)は、サブ箔を有する集電体を用いた本発明のバイポーラ電池の概要を模式的に表した図面であり、詳しくは図3と同様の構成であり、図8(b)は、サブ箔を持たない集電体を用いた従来構造のバイポーラ電池の概要を模式的に表した図面である。 本発明のバイポーラ電池を2直20並に接続した組電池の一例を示す模式図である。図9(a)は組電池の平面図であり、図9(b)は組電池の正面図であり、図9(c)は組電池の右側面図であって、これら図9(a)〜(c)では、いずれもバイポーラ電池を直列と並列の混合に接続した様子がわかるように外部ケースを透過して組電池内部を表わしたものである。 本発明のバイポーラ電池Aと一般リチウムイオン二次電池B10直を並列に連結した組電池の一例を示す図である。図10(a)は組電池の平面図であり、図10(b)は組電池の正面図であり、図10(c)は組電池の右側面図であって、これら図10(a)〜(c)では、いずれもバイポーラ電池Aおよびリチウムイオン二次電池Bを直列と並列の混合に接続した様子がわかるように外部ケースを透過して組電池内部を表わしたものである。 本発明の複合組電池の一例を示す図である。図11(a)は複合組電池の平面図であり、図11(b)は複合組電池の正面図であり、図11(c)は複合組電池の右側面図である。 複合組電池を搭載した状態の電気自動車を示す模式図である。
符号の説明
11 バイポーラ電池、
12 基準箔、
12−1 対峙する一方の基準箔、
12−2 対峙するもう一方の基準箔
13 正極材(正極活物質層)、
14 正極サブ箔、
15 負極材(負極活物質層)、
16 負極サブ箔、
17 電解質層、
18 1電極単位=1電池単位(単セル)、
19 電極積層体、
20 絶縁層、
21 正極タブ、
22 負極タブ、
23 正極リード、
24 負極リード、
25 電池外装材、
25a 表皮樹脂層、
25b 金属層、
25c 金属層−タブ間樹脂層、
26 検知タブ、
42 正極端子、
44 負極端子、
50、50’ 組電池、
52 外部弾性体、
53 検知線、
54 検知タブ端子、
55 組電池ケース、
56、58 バスバー、
59 端子リード、
60 複合組電池、
62 複合組電池正極端子連結板、
64 複合組電池負極端子連結板、
66 連結板、
67 固定ネジ、
70 電気自動車、
A バイポーラ電池、
B 一般リチウムイオン二次電池。

Claims (15)

  1. 正極と負極の組み合わせの構成が複数存在するバイポーラ構造の電池において、
    少なくとも1電極単位の対峙する基準集電体の片面に、該片面の正極または負極材と同一の電極材を有する凸形状の集電部を有し、且つ
    対峙する対極の基準集電体から対極の負極または正極材と同一の電極材を有する凸形状の対極の集電部を有し、
    それらの凸形状の集電部が電解質層を挟んで対峙し、
    少なくとも対峙する集電部の凸形状面にそれぞれ正極材及び負極材を有することを特徴とするバイポーラ電池。
  2. 前記凸形状の正極及び負極集電部の根本が、基準集電体面に対し、略均一に分散されるように設置されていることを特徴とする請求項1に記載のバイポーラ電池。
  3. 前記凸形状の集電部の根本面積が、前記基準集電体を4つに分けた領域に略均一に分散されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバイポーラ電池。
  4. 前記凸形状の集電部の凸部長さが、基準集電体の厚さの1〜100倍の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  5. 前記基準集電体及び前記凸形状の集電部に形成する正極及び負極材の厚さが、共に1〜100μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  6. 前記基準集電体内の凸形状の集電部の根本形状の配置が、少なくとも基準集電体面の重心位置を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  7. 前記基準集電体内の凸形状集電部の根本形状の配置が、少なくとも基準集電体面の頂点および/または頂点を結ぶ辺の中点を連結する線上に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  8. 前記基準集電体が、SUS、Ti、及びCuとAlのクラッド材から選ばれることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  9. 前記凸形状の集電部が、Cu、及びAlから選ばれることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  10. 前記正極材の正極活物質が、Li−Mn系複合酸化物であることを特徴とする特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  11. 前記負極材の負極活物質が、結晶性炭素材、非結晶性炭素材から選ばれることを特徴とする特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイポーラ電池。
  12. 請求項1〜11に記載のバイポーラ電池を直列、並列または直列と並列の混合に接続することを特徴とする組電池。
  13. 請求項1〜11に記載のバイポーラ電池と、
    該バイポーラ電池と正負極の電極材を同一とし、該バイポーラ電池の構成単位数を直列することにより電圧を同一にした電池と、
    を並列に接続することを特徴とする組電池。
  14. 請求項12および/または13に記載の組電池を少なくとも2以上直列、並列、または直列と並列の複合接続したことを特徴とする複合組電池。
  15. 請求項12、13に記載の組電池および/または請求項14に記載の複合組電池を搭載することを特徴とする車両。
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