JP2005148501A - 導電性積層体および、それを用いたディスプレイ用光学フィルター、電磁波シールドならびに建築用窓材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 電磁波遮断性、近赤外線反射性に優れ、かつ、反射性欠陥発生の少ない導電性積層体、ディスプレイ用フィルター、電磁波シールド、建築用窓を提供する。
【解決手段】 透明基体フィルムと、窒素、珪素、インジウム、酸素から選ばれる元素の2種類以上を含有する透明無機薄膜と、シリコーン樹脂層もしくはフッ素樹脂層をこの順に積層して反射防止フィルムを得る。更にこれと銀を含む多層透明導電性薄膜層と、透明基体とを積層させる。
【効果】 上記の様な特定の構成を有する積層体は、驚くべきことに高温、高湿条件下においても白点の発生が極めて少ない上、高い反射防止性能を有している。このため、ディスプレイ用フィルター、電磁波シールド、建築用窓材などに好適に利用できる。
【解決手段】 透明基体フィルムと、窒素、珪素、インジウム、酸素から選ばれる元素の2種類以上を含有する透明無機薄膜と、シリコーン樹脂層もしくはフッ素樹脂層をこの順に積層して反射防止フィルムを得る。更にこれと銀を含む多層透明導電性薄膜層と、透明基体とを積層させる。
【効果】 上記の様な特定の構成を有する積層体は、驚くべきことに高温、高湿条件下においても白点の発生が極めて少ない上、高い反射防止性能を有している。このため、ディスプレイ用フィルター、電磁波シールド、建築用窓材などに好適に利用できる。
Description
本発明は、反射防止機能を備えた導電性積層体に関する。また本発明は、上記の導電性積層体を用いたディスプレイ用光学フィルター、電磁波シールドならびに建築用窓材に関する。
近年の情報化社会においては送受信されるデータの量は飛躍的に増加し、これを表示する表示デバイスはその重要性を増してきている。このようなディスプレイ装置において、例えばテレビを中心に、従来の重く、厚く、大型が困難であるというブラウン管に代わってプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す。)や液晶ディスプレイによる大画面・薄型化、高画質化が進んでいる。そのため、その画面部への光や物体の映りこみの画質に対する影響が大きくなってきており、上記ディスプレイの表示部に反射防止機能を持たせることは必要不可欠になっている。
反射防止能を付与する一つの方法として、反射防止機能のみ、もしくは、表面保護層を付与した反射防止機能を有するフィルム(フィルター)を、表示デバイスの表示部に貼りあわせる方法が用いられていた。具体的には、特開平9−193327号公報(特許文献1)、特開2002−341107号公報(特許文献2)等に開示がある。
また、PDPを表示デバイスとして用いる場合、原理上強度の漏洩電磁波や近赤外線を発生するため、これらをフィルターにこれらを遮蔽する機能を付与することも必須となっている。これらは金属等の導電性材料でPDP全体を覆うことで放出を抑えることができ、その電磁波遮蔽能は導電性材料の比抵抗値の低いものほど優れている。このため、純物質の中で最も比抵抗値の低い金属である銀を安定性、透過率の面で優れた透明導電薄膜層で挟み込んだ透明導電性薄膜フィルムが広く用いられている。上記の透明導電性フィルムと、反射防止フィルムとを貼り合わせたフィルターも知られている。しかしながら銀はきわめて原子の凝集を生じやすいという欠点を有しており、上記のようなフィルムの銀薄膜層で銀原子が凝集すると点状欠陥、反射性欠陥とも称される銀白色の点(本発明においては以下、白点と記す。)を生じ、透明性の低下、電気抵抗の上昇に加え、PDP上に映し出される画像の品位を低下させる大きな問題点を有している。
このような銀の凝集による白点の発生は外部からの水蒸気に溶け込んだ塩素などのイオンの侵入が原因であることが知られており、それらを除去する試みが特公昭59−44993号公報(特許文献3)、特開平9−331488号公報(特許文献4)で報告されている。しかし、今後要請される画面の大型化によってイオン進入の頻度が増加することが予想されるため、より高い水準で外部からのイオンの侵入を防止し、白点の発生を防ぐことが急務となっている。
特開平9−193327号公報
特開2002−341107号公報
特公昭59−44993号公報
特開平9−331488号公報
従って、本発明の課題は上記白点の発生の極めて少ない導電性積層体を提供することにある。更には上記の性能を有するディスプレイ用光学フィルター、電磁波シールド、建築用窓材を提供することにある。
上記の課題を解決するため本発明者らが検討した結果、透明基体フィルムと、特定の元素含有した透明無機薄膜と、透明樹脂層とを特定の順に積層した反射防止機能を有する導電性積層体が、白点発生が著しく少ないことを見出し、本発明を完成した。すなわち本発明は、
(1) 少なくとも
(I)透明基体(D)と、
(II)銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)と、
(III)透明基体フィルム(A)と、
少なくとも窒素および珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含有する透明無機薄膜層(B)と、
透明樹脂層(C)とを有し、
各層の屈折率が、
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を満たし、
(A)/(B)/(C)の順の積層構造を有する反射防止フィルム(F1)
とが、(D)/(E)/(F1)の順の積層構造を有する導電性積層体であり、
(2) 少なくとも
(I)透明基体(D)と、
(II)銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)と、
(III)透明基体フィルム(A)と、
少なくとも窒素および珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含有する透明無機薄膜層(B)と、
透明樹脂層(C)とを有し、
各層の屈折率が、
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を満たし、
(A)/(C)/(B)/(C)の順の積層構造を有する反射防止フィルム(F2)
とが、(D)/(E)/(F2)の順の積層構造を有する導電性積層体であり、
(3) 好ましくは、透明樹脂層(C)が、シリコーン樹脂層(C1)である導電性積層体であり、
(4)好ましくは、透明樹脂層(C)が、フッ素樹脂層(C2)である導電性積層体であり、
(5)好ましくは、透明無機薄膜層(B)が、窒化珪素薄膜層(B1)である導電性積層体であり、
(6)好ましくは、上記の導電性積層体を用いたディスプレイ用光学フィルターであり、
(7)好ましくは、上記の導電性積層体を用いた電磁波シールドであり、
(8)好ましくは、上記の導電性積層体を用いた建築用窓材
である。
(1) 少なくとも
(I)透明基体(D)と、
(II)銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)と、
(III)透明基体フィルム(A)と、
少なくとも窒素および珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含有する透明無機薄膜層(B)と、
透明樹脂層(C)とを有し、
各層の屈折率が、
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を満たし、
(A)/(B)/(C)の順の積層構造を有する反射防止フィルム(F1)
とが、(D)/(E)/(F1)の順の積層構造を有する導電性積層体であり、
(2) 少なくとも
(I)透明基体(D)と、
(II)銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)と、
(III)透明基体フィルム(A)と、
少なくとも窒素および珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含有する透明無機薄膜層(B)と、
透明樹脂層(C)とを有し、
各層の屈折率が、
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を満たし、
(A)/(C)/(B)/(C)の順の積層構造を有する反射防止フィルム(F2)
とが、(D)/(E)/(F2)の順の積層構造を有する導電性積層体であり、
(3) 好ましくは、透明樹脂層(C)が、シリコーン樹脂層(C1)である導電性積層体であり、
(4)好ましくは、透明樹脂層(C)が、フッ素樹脂層(C2)である導電性積層体であり、
(5)好ましくは、透明無機薄膜層(B)が、窒化珪素薄膜層(B1)である導電性積層体であり、
(6)好ましくは、上記の導電性積層体を用いたディスプレイ用光学フィルターであり、
(7)好ましくは、上記の導電性積層体を用いた電磁波シールドであり、
(8)好ましくは、上記の導電性積層体を用いた建築用窓材
である。
本発明における反射防止フィルムは、特定の屈折率の関係を有する透明基体フィルムと、少なくとも窒素、珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含有する透明無機薄膜層と、透明樹脂層とを特定の順に積層させた構成を有するので、ガスバリア機能と反射防止機能を併せ持つ。このため本発明の導電性積層体は、光や物体の画面への映り込みが抑制されると共に、水蒸気等の進入も防ぐことが出来、結果、塩素などのイオンの侵入も防げるので、白点発生を防止する事が出来る。
本発明の導電性積層体は、透明基体(D)と、銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)と、特定の反射防止フィルム(F1)、(F2)をこの順に積層させた構成を有する。
上記の反射防止フィルム(F1)は、後述する透明基体フィルム(A)と、少なくとも窒素および珪素もしくは酸化インジウムのいずれかを含有する透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなり、A/B/Cの順の積層構造を有することを特徴とする。また上記の反射防止フィルム(F2)は、後述する透明基体フィルム(A)と、少なくとも窒素および珪素もしくは酸化インジウムのいずれかを含有する透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなり、A/C/B/Cの順の積層構造を有することを特徴とする。また、必要に応じて防汚層、帯電防止層、調光層などの機能透明層(G)や粘着材層(H)が含まれていても良い。
本発明において、透明とは、可視光線透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは、80%以上であることを言う。可視光線透過率の上限値は、100%であるが、実際には表面反射や、材料による吸収があるので95%以下である場合が多い。
先ず、各層について説明する。
先ず、各層について説明する。
<反射防止フィルム(F1)、(F2)>
(透明基体フィルム(A))
本発明にかかる透明基体フィルム(A)としては、プラスチックフィルムが好適に使用される。上記プラスチックフィルムは、透明性を有するフィルムであれば特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエステル、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセテート、ポリアミド、ポリ‐4−メチルペンテン−1、セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂等の透明性を有する樹脂からなるフィルムを例示できる。
(透明基体フィルム(A))
本発明にかかる透明基体フィルム(A)としては、プラスチックフィルムが好適に使用される。上記プラスチックフィルムは、透明性を有するフィルムであれば特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエステル、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアセテート、ポリアミド、ポリ‐4−メチルペンテン−1、セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂等の透明性を有する樹脂からなるフィルムを例示できる。
また、本発明の透明基体フィルム(A)の屈折率は、後述する無機薄膜層(B)や透明樹脂層(C)の屈折率によって異なるが、一般的には1.4〜1.7であり、好ましくは1.5〜1.7である。
本発明の透明基体フィルム(A)の厚さも特に制限はないが、フィルムの自立性、ハンドリング性、耐衝撃性等を考慮すると、10μm〜250μm、好ましくは50μm〜200μmであることが好ましい。
(透明無機薄膜層(B))
本発明における、透明無機薄膜層(B)は、少なくとも窒素、珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種類以上の元素を含有しており、可視光域において透明な層である。更にガスバリア性能の高い層であることが好ましく、具体的な例として、窒化珪素薄膜や酸化窒化珪素薄膜、酸化インジウムと酸化すずからなるITO薄膜等のインジウムを含む薄膜が挙げられる。特には窒化珪素薄膜(B1)もしくはインジウムを含む酸化物薄膜(B2)が好ましい。可視光域における透明性、かつ所望のガスバリア性能を満たす範囲内であれば、これら無機薄膜に水素や炭素等が含有されていても、なんら本発明を阻害するものではない。
本発明における、透明無機薄膜層(B)は、少なくとも窒素、珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種類以上の元素を含有しており、可視光域において透明な層である。更にガスバリア性能の高い層であることが好ましく、具体的な例として、窒化珪素薄膜や酸化窒化珪素薄膜、酸化インジウムと酸化すずからなるITO薄膜等のインジウムを含む薄膜が挙げられる。特には窒化珪素薄膜(B1)もしくはインジウムを含む酸化物薄膜(B2)が好ましい。可視光域における透明性、かつ所望のガスバリア性能を満たす範囲内であれば、これら無機薄膜に水素や炭素等が含有されていても、なんら本発明を阻害するものではない。
本発明における透明無機薄膜層(B)の好ましい屈折率は1.5〜2.4、より好ましくは1.8〜2.4である。上記の屈折率は、透明無機薄膜層(B)を形成する化合物の種類や組成、成膜条件などによって制御することが出来る。具体的には、窒化珪素薄膜については1.8〜2.1程度、酸化窒化珪素薄膜については1.5〜2.1程度、ITO薄膜については2.0〜2.4程度の範囲で制御することが可能である。
本発明における透明無機薄膜層(B)の膜厚は、ガスバリア性能、およびガスバリア性能に対する耐屈曲性の観点から、好ましくは5〜500nm、より好ましくは10〜200nmであり、各種用途に応じて設定される反射防止性能や製造コスト等に応じて適宜選択される。
本発明における透明無機薄膜層(B)は、1層である必要はなく、構成する化合物の種類、屈折率、膜厚等の異なる2層以上から構成されていても良い。多種多層の構成にする事により、反射防止機能を向上出来ると言う好ましい結果が得られる場合がある。
本発明において、窒化珪素薄膜や酸化窒化珪素薄膜、さらにはITO薄膜を代表例とする透明無機薄膜層(B)は、公知の成膜方法で形成することが出来る。具体的には、スパッタやプラズマCVD(化学気相堆積)法により成膜を行う方法を例示することが出来る。
なかでもスパッタリング法は電力、ガス圧等を変えることで膜質を制御できるために好ましい。具体的には窒化珪素、もしくは酸化インジウムと酸化すずの焼結体等をターゲットとし、スパッタガスにアルゴン等の不活性ガス、もしくはアルゴンと酸素の混合ガスを用い、直流(DC)あるいは高周波(RF)マグネトロン方式でプラズマ発生させる方法を例として挙げることができる。
窒化珪素膜は適当な条件を選ぶことにより、珪素/窒素組成比や所望のガスバリア性能ならびに屈折率を有する膜を得ることができる。また、酸窒化珪素薄膜については、珪素/酸素/窒素組成比、ITO膜は、ターゲットである酸化すず/酸化インジウム質量比、スパッタガスのアルゴン/酸素の分圧の調整によって、所望のガスバリア性能ならびに屈折率を得ることが可能である。これにより、後に示す実施例で示される特性に限らず、所望のガスバリア性能および低反射率を有する反射防止フィルムを実現することができる。
(透明樹脂層(C))
本発明における、透明樹脂層(C)は、透明で後述する屈折率の条件を満たす物であれば特に限定されるものではないが、フィルム内への水蒸気混入を防ぐ観点から、吸水率3%以下の樹脂であることが好ましく、より好ましくは吸水率1%以下であることが望ましい。特に好ましくはシリコーン樹脂層(C1)やフッ素樹脂層(C2)を例示することが出来る。シリコーン樹脂は、珪素、酸素、水素を主成分とする樹脂であり、様々な組成、分子量等を有する製品が市販されている。本発明のシリコーン樹脂層(C1)を形成する樹脂には、透明、低吸水率且つ後述する屈折率の要件を満たせば、これらの公知の樹脂を特に制限無く用いることが出来る。 本発明におけるフッ素樹脂層(C2)を形成する樹脂としては、透明且つ後述する屈折率の要件を満たせば、公知の樹脂を制限無く用いることが出来る。具体的には例えば、フッ化エチレン樹脂、フッ化塩化エチレン樹脂、フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等を挙げることが出来る。
本発明における、透明樹脂層(C)は、透明で後述する屈折率の条件を満たす物であれば特に限定されるものではないが、フィルム内への水蒸気混入を防ぐ観点から、吸水率3%以下の樹脂であることが好ましく、より好ましくは吸水率1%以下であることが望ましい。特に好ましくはシリコーン樹脂層(C1)やフッ素樹脂層(C2)を例示することが出来る。シリコーン樹脂は、珪素、酸素、水素を主成分とする樹脂であり、様々な組成、分子量等を有する製品が市販されている。本発明のシリコーン樹脂層(C1)を形成する樹脂には、透明、低吸水率且つ後述する屈折率の要件を満たせば、これらの公知の樹脂を特に制限無く用いることが出来る。 本発明におけるフッ素樹脂層(C2)を形成する樹脂としては、透明且つ後述する屈折率の要件を満たせば、公知の樹脂を制限無く用いることが出来る。具体的には例えば、フッ化エチレン樹脂、フッ化塩化エチレン樹脂、フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂等を挙げることが出来る。
本発明における透明樹脂層(C)の屈折率は、後述する透明基体フィルム(A)や透明無機薄膜層(B)の屈折率によって適宜選択されるので、一概には規定できないが、一般的には1.3〜1.6、好ましくは1.3〜1.5である。また、本発明における透明樹脂層(C)の膜厚は、後述する透明無機薄膜層のアンダーコートとして用いる場合においては、各種用途により要求される製造コストや表面平滑性などの要件に応じての観点から適宜決定されるので特に制限はないが、一般的には0.1〜20μm、より好ましくは0.1〜10μmであり、また、透明無機薄膜層上のコーティングとして用いる場合には、各種用途により要求される反射性能や製造コスト、表面平滑性などの要件に応じての観点から適宜決定されるので特に制限はないが、一般的には0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜2μmである。
本発明における透明樹脂層(C)は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により形成することができる。
(反射防止フィルムの構成)
本発明における反射防止フィルム(F1)は、上記の透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなり、(A)/(B)/(C)の順の積層構造を有することを特徴とする。また、本発明の反射フィルムは、本発明の目的の範囲であれば、上記の3種3層構造である必要はなく、(A)/(B)/(C)の順となる組合せが存在すれば、より多層の積層構造であっても構わない。ただし、少なくとも一方の主面の最外層は透明樹脂層(C)であることが好ましい。層数が増加することで製造コストが高くなったり、反射防止性能の制御が困難になることがあるので、各層の層数の上限は、10層以下、好ましくは5層以下である。
本発明における反射防止フィルム(F1)は、上記の透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなり、(A)/(B)/(C)の順の積層構造を有することを特徴とする。また、本発明の反射フィルムは、本発明の目的の範囲であれば、上記の3種3層構造である必要はなく、(A)/(B)/(C)の順となる組合せが存在すれば、より多層の積層構造であっても構わない。ただし、少なくとも一方の主面の最外層は透明樹脂層(C)であることが好ましい。層数が増加することで製造コストが高くなったり、反射防止性能の制御が困難になることがあるので、各層の層数の上限は、10層以下、好ましくは5層以下である。
本発明における反射防止フィルム(F2)の構成は、(A)/(C)/(B)/(C)となる透明樹脂層(C)を2層形成した構成であり、特にガスバリア性に特に優れた性能を示す。この場合、透明樹脂層(C)は透明無機薄膜層(B)の所謂アンダーコート層としての機能も有している。
本発明において透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)の屈折率は、
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を有する。上記した各層の屈折率の範囲は、一部重なる領域が存在するが、実際に本発明の反射防止フィルムを形成する各層の屈折率が、上記の関係を満たしていればよい。
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を有する。上記した各層の屈折率の範囲は、一部重なる領域が存在するが、実際に本発明の反射防止フィルムを形成する各層の屈折率が、上記の関係を満たしていればよい。
また、本発明の反射防止フィルムは、本発明の目的を損なわない限り、他の層を形成する事もできる。具体的例としては、透明基体フィルム(A)と無機透明薄膜層(B)の間に、密着性や表面平滑性、およびガスバリア性を高めるためのアンダーコート層が挙げられる。上記のアンダーコート層を形成する材料としては、例えば、エチレン/ビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコーン樹脂等を例示することが出来る。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
本発明における、プラスチックフィルム基板と無機薄膜層の間に配備される透明樹脂層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等により形成することができる。
<導電性積層体>
(透明基体(D))
本発明における透明基体(D)は、透明であれば特に制限はないが、プラスチックフィルム、透明プラスチック板やガラス板等を例示できる。プラスチックフィルムとしては、反射防止フィルムで用いた透明基体フィルム(A)と同様のものを用いることができる。
(透明基体(D))
本発明における透明基体(D)は、透明であれば特に制限はないが、プラスチックフィルム、透明プラスチック板やガラス板等を例示できる。プラスチックフィルムとしては、反射防止フィルムで用いた透明基体フィルム(A)と同様のものを用いることができる。
また後述する多層透明導電性薄膜層(E)作製時に好適に用いられる高分子フィルムを透明基体(D)とすることも出来るし、耐衝撃性を有する柔軟な透明シートを透明基体(D)とすることも出来る。これらを用いて得られる積層体をディスプレイ用光学フィルターに利用した場合、上記フィルターは直接ディスプレイ装置、例えばPDPモジュール等に貼合して用いることが好ましい。
(多層透明導電性薄膜層(E))
本発明の多層透明導電性薄膜層(E)は、公知の物を制限無く用いることが出来る。例えば透明基体(D)上に直接形成された物や、透明基体(D)とは別の高分子フィルムや樹脂層上に形成させることもできる。これらの中では生産効率や品質管理の面等から高分子フィルム上に多層導電性薄膜を形成した透明導電性薄膜積層体フィルムを多層透明導電性薄膜層(E)として用いる方法が特に好ましい。また多層透明導電性薄膜層とは、銀を有する金属薄膜層と透明高屈折率薄膜層とを積層させた薄膜層であることが好ましく、その両最外層が透明高屈折率薄膜層であることが特に好ましい。ここで銀を有する金属薄膜層とは、銀薄膜層の他、銀を主体とする銀合金の薄膜層であっても良い。
本発明の多層透明導電性薄膜層(E)は、公知の物を制限無く用いることが出来る。例えば透明基体(D)上に直接形成された物や、透明基体(D)とは別の高分子フィルムや樹脂層上に形成させることもできる。これらの中では生産効率や品質管理の面等から高分子フィルム上に多層導電性薄膜を形成した透明導電性薄膜積層体フィルムを多層透明導電性薄膜層(E)として用いる方法が特に好ましい。また多層透明導電性薄膜層とは、銀を有する金属薄膜層と透明高屈折率薄膜層とを積層させた薄膜層であることが好ましく、その両最外層が透明高屈折率薄膜層であることが特に好ましい。ここで銀を有する金属薄膜層とは、銀薄膜層の他、銀を主体とする銀合金の薄膜層であっても良い。
上記の透明高屈折率薄膜層は、公知の物を制限無く用いることが出来る。透明性の高い、例えば、膜厚100nm程度の薄膜を形成したときに、その薄膜の波長400〜700nmの光に対する透過率が60%以上であるような、透明性に優れた材料が好ましく、また、550nmの光に対する屈折率が、1.4以上の材料であるような、高屈折率材料が好ましい。 かかる透明高屈折率薄膜層用に好適に用いることができる材料としては、例えば、インジウムとスズとの酸化物(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、カドミウムとスズとの酸化物(CTO)、酸化アルミニウム(Al2O3)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化トリウム(ThO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(LaO2)、酸化シリコン(SiO2)、酸化インジウム(In2O3)、酸化ニオブ(Nb2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ビスマス(BiO2)等が好ましく使用される。また、透明高屈折率硫化物を用いてもよく、具体的に例示すると、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化アンチモン(Sb2S3)等があげられる。
透明高屈折率薄膜用材料としては、中でも、ITO、ZnO及びTiO2が特に好ましい。ITO及びZnOは、導電性を持つ上に、可視領域における屈折率が、2.0程度と高く、さらに可視領域にほとんど吸収を持たないためであり、TiO2は、絶縁物であり、可視領域にわずかな吸収を持つが、可視光に対する屈折率が2.3程度と大きいことによる。
銀を有する金属薄膜層と透明高屈折率薄膜層の多層積層体形成は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の従来公知の手法によることができる。なかでもスパッタリング法は、膜厚を制御した多層積層の形成には好適であり、金属薄膜層と透明高屈折率薄膜層の積層、例えば、銀または銀を含む合金からなる金属薄膜層と主として酸化インジウムで構成される透明高屈折率薄膜層とを容易に繰り返して連続的に成膜できるため好ましい。具体的には、銀を有する金属薄膜層の形成には、銀または銀を含む合金をターゲットとし、スパッタガスには、アルゴン等の不活性ガスを用い、通常、圧力0.01〜2.5Pa、直流(DC)あるいは高周波(RF)マグネトロンスパッタリング法を好ましい例として挙げることが出来る。
透明高屈折率薄膜層の形成方法として酸化インジウム薄膜層を例に挙げると、インジウムを主成分とする金属ターゲットまたは酸化インジウムを主成分とする焼結体ターゲットを用い、スパッタガスにはアルゴン等の不活性ガスを、反応性ガスには酸素を用い、通常圧力0.01〜2.5Pa、直流(DC)あるいは高周波(RF)マグネトロンスパッタリング法による反応性スパッタリングを適用することができる。
上記の多層透明導電性薄膜層としてより詳細には、特開平10−217380号公報や特開2002−323861号公報等に記載の内容を採用することが出来る。
(機能性透明層(G))
機能性透明層(G)としては、防眩層やハードコート層、防汚層、帯電防止層、調色層、反射防止層等の公知の層を採用できる。これらの層は上記の多層透明導電性薄膜層(E)の形成に用いる高分子フィルムや透明基体(D)に形成することができる。これらの機能性透明層については、より詳細には特開平10−217380号公報や特開2002−323861号公報等に記載されているものを採用することが出来る。また上記の反射防止層として、本発明の反射防止フィルム(F1)、(F2)も含まれ、透明基体(D)の多層透明導電性薄膜層(E)と反対側にも積層する構成を例示することが出来る。
機能性透明層(G)としては、防眩層やハードコート層、防汚層、帯電防止層、調色層、反射防止層等の公知の層を採用できる。これらの層は上記の多層透明導電性薄膜層(E)の形成に用いる高分子フィルムや透明基体(D)に形成することができる。これらの機能性透明層については、より詳細には特開平10−217380号公報や特開2002−323861号公報等に記載されているものを採用することが出来る。また上記の反射防止層として、本発明の反射防止フィルム(F1)、(F2)も含まれ、透明基体(D)の多層透明導電性薄膜層(E)と反対側にも積層する構成を例示することが出来る。
(粘着材層(H))
本発明において、透明基体(D)と多層透明導電性薄膜層(E)と反射防止フィルム(F1)、(F2)は必要に応じて粘着材層(H)を介して貼合される。勿論、前述の機能性透明層(G)の貼合に用いることも可能である。具体的な例としては、透明基体(D)−多層透明導電性薄膜層(E)を形成した高分子フィルム間、多層透明導電性薄膜層(E)−反射防止フィルム(F1)、(F2)間、透明基体(D)−機能性透明層(G)間、多層透明導電性薄膜層(E)を形成した高分子フィルム−機能性透明層(G)間などの貼合に用いられる。
本発明において、透明基体(D)と多層透明導電性薄膜層(E)と反射防止フィルム(F1)、(F2)は必要に応じて粘着材層(H)を介して貼合される。勿論、前述の機能性透明層(G)の貼合に用いることも可能である。具体的な例としては、透明基体(D)−多層透明導電性薄膜層(E)を形成した高分子フィルム間、多層透明導電性薄膜層(E)−反射防止フィルム(F1)、(F2)間、透明基体(D)−機能性透明層(G)間、多層透明導電性薄膜層(E)を形成した高分子フィルム−機能性透明層(G)間などの貼合に用いられる。
本発明の粘着材層としては、透明であれば、公知の粘着材を制限無く用いることが出来る。具体的には、特開平10−217380号公報や特開2002−323861号公報等に記載されているものを採用することが出来る。
(導電性積層体の組み立て)
本発明の導電性積層体は透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなる反射防止フィルム(F1)、(F2)と、透明基体(D)と、銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)とを、反射防止フィルムが最外層となるように積層させたものである。上記積層の方法としては、粘着層(H)を用いて貼り合わせる方法が好ましい例である。
本発明の導電性積層体は透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなる反射防止フィルム(F1)、(F2)と、透明基体(D)と、銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)とを、反射防止フィルムが最外層となるように積層させたものである。上記積層の方法としては、粘着層(H)を用いて貼り合わせる方法が好ましい例である。
本発明の導電性積層体の具体的な構成としては、透明基体(D)と多層透明導電性薄膜層(E)と反射防止フィルム(F1)、(F2)がこの順に積層されていれば特に制限はない。多層透明導電性薄膜層(E)が透明フィルムに多層透明導電性薄膜が形成された透明導電性薄膜積層体フィルムである場合、多層透明導電性薄膜が反射防止フィルム(F1)、(F2)と隣り合うように積層されることが好ましい。この際、粘着剤(H)等が介在していても構わない。
本発明の導電性積層体の製法は、具体的な好ましい例として、以下の2例を挙げることが出来る。
(1)透明明基体(D)としてガラス板、多層透明導電性薄膜層(E)として透明フィルムに多層透明導電性薄膜層を形成した透明導電性薄膜積層体フィルム、反射防止フィルムとして透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなり、(A)/(C)/(B)/(C)の構成をもつ反射防止フィルム(F2)をこの順に粘着剤(H)で貼合する。この際、透明基体(D)と多層透明導電性薄膜層(E)の透明フィルム間、および、多層透明導電性薄膜層(E)の多層透明導電性薄膜と透明基体フィルム(A)間が粘着剤(H)で貼合される。
(2)透明基体(D)としてガラス板、多層透明導電性薄膜層(E)は上記ガラス板上に形成された薄膜、反射防止フィルムとして透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなる、(A)/(C)/(B)/(C)の構成をもつ反射防止フィルム(F2)とからなり、多層導電性積層薄膜(E)と透明基体フィルム(A)とを粘着剤(H)で貼合する。
(1)透明明基体(D)としてガラス板、多層透明導電性薄膜層(E)として透明フィルムに多層透明導電性薄膜層を形成した透明導電性薄膜積層体フィルム、反射防止フィルムとして透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなり、(A)/(C)/(B)/(C)の構成をもつ反射防止フィルム(F2)をこの順に粘着剤(H)で貼合する。この際、透明基体(D)と多層透明導電性薄膜層(E)の透明フィルム間、および、多層透明導電性薄膜層(E)の多層透明導電性薄膜と透明基体フィルム(A)間が粘着剤(H)で貼合される。
(2)透明基体(D)としてガラス板、多層透明導電性薄膜層(E)は上記ガラス板上に形成された薄膜、反射防止フィルムとして透明基体フィルム(A)と透明無機薄膜層(B)と透明樹脂層(C)とからなる、(A)/(C)/(B)/(C)の構成をもつ反射防止フィルム(F2)とからなり、多層導電性積層薄膜(E)と透明基体フィルム(A)とを粘着剤(H)で貼合する。
本発明の導電性積層体の製法は、当然ながら、反射防止フィルム(F1)、(F2)を得た後、透明基体(D)、多層透明導電性薄膜層(E)と積層させる方法に限定されるわけではなく、本発明の積層体の構成を有していれば、透明基体フィルム(A)、透明無機薄膜層(B)、透明樹脂層(C)、透明基体(D)、多層透明導電性薄膜層(E)を任意の順に製造しても良い。
本発明の導電性積層体は、電磁波や近赤外線を遮断できるだけでなく、白点の発生が殆ど無い。このため、ディスプレイ用光学フィルターに用いると画像の品位を長期間維持することが出来る。このため、特にPDP用の光学フィルターとして特に好ましく使用することが出来る。白点の発生が少ないことは、実施例に示したような常圧、60℃、湿度90%の環境下に24時間さらす条件での加速耐蝕試験によって評価することが出来る。
ディスプレイ用光学フィルターのより具体的な例としては、図1、図2の構成を例示することが出来る。すなわち、図1に記載のディスプレイ用光学フィルターは、透明基体10と、透明導電性薄膜積層体フィルムと、反射防止フィルムとが、粘着層13によって貼合され、周縁部に電極20を形成した構成を有している。上記の透明導電性薄膜積層体フィルムはフィルム基板11と銀を含む多層透明導電性薄膜層12とを積層させたものであり、反射防止フィルムは透明基体フィルム14と窒化珪素薄膜15とシリコーン樹脂16とをこの順に積層したものである。粘着層13は透明基体10とフィルム基板11との貼合、および、銀を含む多層透明導電性薄膜層12と透明基体フィルム14との貼合に用いられている。図2に記載のディスプレイ用光学フィルターは、反射防止フィルムが透明基体フィルム14とシリコーン樹脂16と窒化珪素薄膜15とシリコーン樹脂16とをこの順に積層したものである以外は図1と同様の構成を有している。
本発明の導電性積層体は、また、白点の発生が殆ど無いことから透明電磁波シールド材や、建築用窓材などにも好適に使用することが出来る。
以下に、本発明の実施形態例を示す。尚、当然のことながら本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術範囲において、種々の形態に変更することが可能である。
実施例1
図1のような構成のディスプレイ用光学フィルターを作製した。
(1)反射防止フィルムの作成
透明基体フィルム14には可視域での屈折率が1.65、厚みが125μmのPETフィルム(帝人・デュポン(株)社製)を用い、当該フィルム上に、直流マグネトロンスパッタリング法によって当該フィルムが配備されている真空容器内にアルゴンガスを導入し、可視域の屈折率が1.87である窒化珪素薄膜15を膜厚50nmとなるように形成を行った。
図1のような構成のディスプレイ用光学フィルターを作製した。
(1)反射防止フィルムの作成
透明基体フィルム14には可視域での屈折率が1.65、厚みが125μmのPETフィルム(帝人・デュポン(株)社製)を用い、当該フィルム上に、直流マグネトロンスパッタリング法によって当該フィルムが配備されている真空容器内にアルゴンガスを導入し、可視域の屈折率が1.87である窒化珪素薄膜15を膜厚50nmとなるように形成を行った。
さらに、この窒化珪素膜15上に可視域での屈折率1.42のシリコーン樹脂(昭和電工(株)社製)の30質量%溶液(溶媒:イソプロピルアルコール)とし、スピンコートにより厚み100nmとなるようにコーティングしシリコーン樹脂層16を形成した。(2)透明導電性積層体の作製
フィルム基体11として、ポリエチレンテレフタレートフィルム〔帝人・デュポン(株)社製厚さ75μm〕を使用し、その一方の主面に、直流マグネトロンスパッタリング法を用いて、インジウムとスズとの酸化物からなるITO薄膜層と銀薄膜層(透明導電性薄膜層)とからなる銀を含む多層透明導電性薄膜層12を順次積層し、透明導電性薄膜積層体フィルムを得た。透明導電性薄膜積層体フィルムの構成は、透明フィルム基体(75μm)/ITO(40nm)/Ag(15nm)/ITO(80nm)/Ag(20nm)/ITO(80nm)/Ag(15nm)/ITO(80nm)であった。
フィルム基体11として、ポリエチレンテレフタレートフィルム〔帝人・デュポン(株)社製厚さ75μm〕を使用し、その一方の主面に、直流マグネトロンスパッタリング法を用いて、インジウムとスズとの酸化物からなるITO薄膜層と銀薄膜層(透明導電性薄膜層)とからなる銀を含む多層透明導電性薄膜層12を順次積層し、透明導電性薄膜積層体フィルムを得た。透明導電性薄膜積層体フィルムの構成は、透明フィルム基体(75μm)/ITO(40nm)/Ag(15nm)/ITO(80nm)/Ag(20nm)/ITO(80nm)/Ag(15nm)/ITO(80nm)であった。
ここで、インジウムとスズとの酸化物からなる薄膜層の形成には、ターゲットとして、酸化インジウム・酸化スズ焼結体〔In2O3:SnO2=90:10(質量比)〕、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa、酸素分圧5mPa)を用いた。また、銀薄膜層の形成には、ターゲットとして銀を用い、スパッタガスにはアルゴンガス(全圧266mPa)を用いた。
(3)導電性積層体、ディスプレイ用光学フィルターの組み立て
まず、上記の透明導電性薄膜積層体フィルム(100mm×100mm)の透明導電薄膜層12側の面と、上記の反射防止フィルム(100mm×100mm)の透明基体フィルム14側の面とを、粘着層13により貼り合わせた。また、当該透明導電性薄膜積層体フィルムのフィルム基体11の側の面と、透明基板10として用いる厚さ2mmのPMMA基板の一方の主面とを、粘着層13により貼り合わせ、導電性積層体を得た。さらに銀ペーストを上記積層体の周縁部に10mm幅でスクリーン印刷して乾燥し、厚さ15μmの電極20を形成し、ディスプレイ用光学フィルターとした。
まず、上記の透明導電性薄膜積層体フィルム(100mm×100mm)の透明導電薄膜層12側の面と、上記の反射防止フィルム(100mm×100mm)の透明基体フィルム14側の面とを、粘着層13により貼り合わせた。また、当該透明導電性薄膜積層体フィルムのフィルム基体11の側の面と、透明基板10として用いる厚さ2mmのPMMA基板の一方の主面とを、粘着層13により貼り合わせ、導電性積層体を得た。さらに銀ペーストを上記積層体の周縁部に10mm幅でスクリーン印刷して乾燥し、厚さ15μmの電極20を形成し、ディスプレイ用光学フィルターとした。
(4)ディスプレイ用光学フィルターの評価(反射率、白点発生頻度)
以上のごとくして得られたディスプレイ用光学フィルターを、60℃、90%RHの高温高湿度処理装置内にセットし、24時間後、直径0.1mm以上の白点の発生頻度を、顕微鏡写真によって観察・測定した。(以下、加速耐蝕試験と記す。)
また、(株)島津製作所製UV-3100PCにより当該フィルターの550nmでの反射率測定を行った。それぞれの結果を表1に示した。
以上のごとくして得られたディスプレイ用光学フィルターを、60℃、90%RHの高温高湿度処理装置内にセットし、24時間後、直径0.1mm以上の白点の発生頻度を、顕微鏡写真によって観察・測定した。(以下、加速耐蝕試験と記す。)
また、(株)島津製作所製UV-3100PCにより当該フィルターの550nmでの反射率測定を行った。それぞれの結果を表1に示した。
実施例2
反射防止フィルムの作製においてPETフィルム上にスパッタ法により窒化珪素膜を形成する前にシリコーン樹脂層16を厚み2μmとなるようにコーティングを行った以外は実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルターを組み立て、反射率測定、加速耐蝕試験を行った結果を表1に示した。図2は本実施例の構成概略を示す断面図である。
反射防止フィルムの作製においてPETフィルム上にスパッタ法により窒化珪素膜を形成する前にシリコーン樹脂層16を厚み2μmとなるようにコーティングを行った以外は実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルターを組み立て、反射率測定、加速耐蝕試験を行った結果を表1に示した。図2は本実施例の構成概略を示す断面図である。
実施例3
反射防止フィルム作製において窒化珪素層の代わりにターゲットとして、酸化インジウム・酸化スズ焼結体〔In2O3:SnO2=90:10(質量比)〕、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa、酸素分圧5mPa)を用いてスパッタリングを行い屈折率2.12のITO薄膜を膜厚50nmとなるように形成した以外は実施例2と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、反射率測定、加熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。
反射防止フィルム作製において窒化珪素層の代わりにターゲットとして、酸化インジウム・酸化スズ焼結体〔In2O3:SnO2=90:10(質量比)〕、スパッタリングガスとしてアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa、酸素分圧5mPa)を用いてスパッタリングを行い屈折率2.12のITO薄膜を膜厚50nmとなるように形成した以外は実施例2と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、反射率測定、加熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。
以下、本発明の比較形態例を示す。
比較例1
反射防止フィルムを貼り合わせない透明導電積層体のみで構成されるディスプレイ用光学フィルターを作製した。実施例1と同様の方法で測定した反射率および加速耐蝕試験の結果を表1に示した。
比較例1
反射防止フィルムを貼り合わせない透明導電積層体のみで構成されるディスプレイ用光学フィルターを作製した。実施例1と同様の方法で測定した反射率および加速耐蝕試験の結果を表1に示した。
比較例2
シリコーン樹脂層16を形成しなかった以外は実施例1と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、同様に反射率測定、加熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。図3は本比較例で作製したディスプレイ用光学フィルターの構成の概略を示す断面図である。
シリコーン樹脂層16を形成しなかった以外は実施例1と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、同様に反射率測定、加熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。図3は本比較例で作製したディスプレイ用光学フィルターの構成の概略を示す断面図である。
比較例3
窒化珪素薄膜15を形成しなかった以外は実施例1と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、反射率、および過熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。
窒化珪素薄膜15を形成しなかった以外は実施例1と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、反射率、および過熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。
比較例4
窒化珪素薄膜15上にシリコーン樹脂層16を形成しなかった以外は、実施例2と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、反射率、および過熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。図4は、本比較例で作製したディスプレイ用光学フィルターの構成の概略を示す断面図である。
窒化珪素薄膜15上にシリコーン樹脂層16を形成しなかった以外は、実施例2と同様にディスプレイ用光学フィルターを作製し、反射率、および過熱耐蝕試験を行った。結果を表1に示した。図4は、本比較例で作製したディスプレイ用光学フィルターの構成の概略を示す断面図である。
上記の様に本発明の導電性積層体は、反射率が極めて低く、かつ白点の発生が少ないすなわち極めて優れた耐環境性を有することが分かる。
10 透明基体(PMMA基板)
11 フィルム基板(PETフィルム)
12 銀を含む多層透明導電性薄膜層
13 粘着層
14 透明基体フィルム(PETフィルム)
15 窒化珪素薄膜
16 シリコーン樹脂層
20 電極
11 フィルム基板(PETフィルム)
12 銀を含む多層透明導電性薄膜層
13 粘着層
14 透明基体フィルム(PETフィルム)
15 窒化珪素薄膜
16 シリコーン樹脂層
20 電極
Claims (8)
- 少なくとも
(I)透明基体(D)と、
(II)銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)と、
(III)透明基体フィルム(A)と、
少なくとも窒素および珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含有する透明無機薄膜層(B)と、
透明樹脂層(C)とを有し、
各層の屈折率が、
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を満たし、
(A)/(B)/(C)の順の積層構造を有する反射防止フィルム(F1)
とが、(D)/(E)/(F1)の順の積層構造を有する導電性積層体。 - 少なくとも
(I)透明基体(D)と、
(II)銀を含む多層透明導電性薄膜層(E)と、
(III)透明基体フィルム(A)と、
少なくとも窒素および珪素、インジウム、酸素から選ばれる2種以上の元素を含有する透明無機薄膜層(B)と、
透明樹脂層(C)とを有し、
各層の屈折率が、
透明樹脂層(C) < 透明基体フィルム(A) < 透明無機薄膜層(B)
の関係を満たし、
(A)/(C)/(B)/(C)の順の積層構造を有する反射防止フィルム(F2)
とが、(D)/(E)/(F2)の順の積層構造を有する導電性積層体。 - 透明樹脂層(C)が、シリコーン樹脂層(C1)である請求項1または請求項2記載の導電性積層体。
- 透明樹脂層(C)が、フッ素樹脂層(C2)である請求項1または請求項2記載の導電性積層体。
- 透明無機薄膜層(B)が、窒化珪素薄膜層(B1)である請求項1または請求項2記載の導電性積層体。
- 請求項1または2に記載の導電性積層体を用いたディスプレイ用光学フィルター。
- 請求項1または2に記載の導電性積層体を用いた電磁波シールド。
- 請求項1または2に記載の導電性積層体を用いた建築用窓材。
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JP2007041438A (ja) * | 2005-08-05 | 2007-02-15 | Toppan Printing Co Ltd | 導電性反射防止積層体 |
KR20140049655A (ko) * | 2012-10-18 | 2014-04-28 | 삼성디스플레이 주식회사 | 광원 모듈 및 이를 포함하는 백라이트 유닛 |
JP2015134456A (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-27 | 尾池工業株式会社 | 積層フィルムおよび該フィルムを用いた窓ガラス |
JP2015169765A (ja) * | 2014-03-06 | 2015-09-28 | 大日本印刷株式会社 | 表示装置用前面板およびその製造方法 |
-
2003
- 2003-11-17 JP JP2003387195A patent/JP2005148501A/ja active Pending
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