JP2005140714A - 電磁流量計 - Google Patents

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Abstract

【課題】方形波励磁方式の電磁流量計で、励磁周波数に近い周波数のノイズを除去する。電池駆動の低消費電力の電磁流量計を実用化する。
【解決手段】プリアンプA1の出力e1は方形波の流量信号とノイズを含む。信号アンプ3は、励磁の半周期毎に励磁が切り換わる直前にスイッチS1を閉じて、出力e2を零に補償する。補償直後の流量信号極性の反転を増幅して次の補償期間まで保持する。ノイズアンプ4は保持期間においては、ノイズ成分だけを増幅し、演算処理回路A2で信号アンプ3の出力e2とノイズアンプ(ノイズ抽出回路)4の出力e3を引算して、ノイズ成分を除去する。こうして、流量信号成分だけの出力e4を求める。
【選択図】 図1

Description

本発明は電磁流量計に関する。
電磁流量計の電極には、流体の流速に比例した信号電圧の他、電気化学ノイズと呼ばれる直流又は低周波のオフセット電圧が発生する。また流体の流れに起因する流体ノイズも発生し、計測の妨げとなる。
流体ノイズには、様々な周波数帯のノイズが含まれていて、低周波になるほど振幅が大きくなる1/f特性を持つ1/fノイズがある。このようなノイズを除去するものが公知である(例えば特許文献1参照)。しかし上記の事例も含めて従来のノイズ除去回路では励磁と同一周波数のノイズは除去できないため、1/fノイズの影響で電磁流量計変換器の出力に大きなフラツキを生じることは良く知られている。
この点について説明する。
図14は従来技術の回路で、図15はタイミングと各部の波形を示す。e1はプリアンプA1の出力信号で、正負の2つの値の励磁磁界に対応して電極に発生するピーク値がE1の方形波の流量信号に、低周波のノイズであるオフセット電圧Uが重畳した波形である。励磁は方形波で期間TaとTbが1方向で、TcとTdで逆方向の励磁となり、Ta〜Tdで励磁の1周期、つまり電磁流量計として計測の1周期となる。
v2はオフセット補償アンプ3の出力波形である。L1は励磁回路11を駆動するタイミングで、励磁磁界の極性の切り換わりを示している。
オフセット補償アンプ3は期間TbとTdでスイッチS1が信号Ts1によってONする補償回路で、アンプ31の出力から積分回路32を介してアンプ31を構成するオペアンプOP1の+入力側にフィードバックループが形成される。このフィードバックによって、オペアンプOP2はC1・R1の時定数でアンプ31の出力v2を積分しC1に充電する一方、その出力e5を補償電圧としてアンプ31の+入力側に加える。補償電圧e5はプリアンプA1の出力e1と同極性の電圧であるため反転アンプ31の入力が打ち消される方向のフィードバックとして働き、時定数C1・R1が充分小さな値であるため期間Tb又はTdの間にv2はゼロ値に補償される。
このための補償値は積分回路32の出力に期間Tbの最終の時刻tcにe5(tc)として、期間Tdの最終の時刻teにe5(te)として生じる。
S1がOFFの間は積分回路32はホールド回路として動作し前記補償電圧e5(tc)又はe5(te)はC1の充電電圧として保持される。
図15においてe1はプリアンプA1の出力電圧で低周波のオフセット電圧Uが方形波の流量信号E1に重畳した波形として示してある。前半周期の期間Taではe1は図15のように正の値であり反転アンプ31の出力v2は負の値となり、TbでS1がONすると積分回路32は負の値v2を積分して、e1と同極性つまり正値の補償電圧e5を出力する。
S1がONしたことによるフィードバック動作が働くにつれ、e5の電圧値はe1に近づき、アンプ31の出力v2は指数関数的にゼロに向かい、期間Tbの間にゼロ値に補償される。
時刻tcで積分回路32が補償電圧e5(tc)を保持した直後に、励磁の切り換わりに伴い流量信号が正から負に変り、プリアンプ出力e1は+E1+U(tc)から−E1+U(tc)に変る。補償値e5(tc)は+E1とオフセット電圧U(tc)の両方をゼロ値に補償する値である。
またノイズであるオフセット電圧Uは時刻tcの前後で急変しないと仮定すると、流量信号分だけが+E1から−E1に切り換わったことになる。
E1が切り換わった後も、積分回路32は時刻tcにおける補償電圧e5(tc)を保持しているため、アンプ31の−入力側はe5(tc)を基準レベルとして負方向に2・E1だけ変化したことに等しい。この一連のフィードバック動作により時刻tcにおける反転アンプ31の出力v2(tc)は低周波のオフセット電圧Uが除去されて、励磁の切り換わりに伴う流量信号の変化分2・E1だけが−Ga倍された値であり、補償されたゼロ値を基準レベルとして正方向への出力変化となる。−Gaは反転アンプ31の利得である。
次に後半周期を説明する。
流量信号はピーク値E1が一定の方形波で期間Tcではオフセット電圧Uだけが直線的に変化する。つまりアンプ31の−入力側はe1に重畳するオフセット電圧Uが直線的に変化する。一方+入力端子は補償値e5(tc)が一定に保持されている。
このためe1に重畳するオフセット電圧Uの変化分だけが反転アンプ31で−Ga倍されて期間Tcにおける図15のv2の波形となる。
期間TdにおいてS1がONしてフィードバック動作が働くと、アンプ31の出力v2がゼロ値に補償され、時刻teでS1がOFFすると、OFFする直前のe5の値が補償電圧e5(te)として保持されると同時に、励磁の極性が反転する。
励磁の切り換わりに伴い、流量信号が負の−E1から正の+E1に変ると、変化分2・E1がアンプ31で増幅されて、時刻teにおける負方向の変化幅v2(te)が補償されたゼロ値を基準レベルとして発生するが、ここからの動作は時刻ta以後の前半周期の繰り返しとなる。
以上が図15のv2に示すオフセット補償アンプ3の出力波形である。このv2は大きなオフセットが除去され変化分だけが流量信号に重畳した波形となった。
上記のv2がサンプルホールド回路5でスイッチSWaとSWbがTsaとTsbのタイミングでONして、波形v2の斜線部分Sa1とSa2がサンプリングされ、SWaとSWbのOFF期間は保持される。
こうして、正と負の値をとる流量信号が、サンプルホールド回路5でEo=−Sa1+Sa2として直流電圧Eoに変換される。
v2の波形で、斜線部分Sa1とSa2が含まれる期間TaとTcには、オフセット電圧Uの変動が重畳している。期間Taの変化幅Δv−aはSa1の面積が大きくなる+誤差で、期間TcのΔv−cはSa2の面積が小さくなる−誤差であるが、オフセット電圧の変動が一定と見なせる場合はサンプルホールド回路5の機能Eo=−Sa1+Sa2で除去することができる。
この方法によれば低周波のオフセットがあっても、S1のONによる補償動作で除去することができ、方形波の流量信号だけを増幅できる。
しかしながら励磁と同一周波数のノイズが重畳した場合には、これを除去できず大きなフラツキを生じる。
この点について、励磁と同一周波数のノイズをサイン波に置き換えて説明する。
オフセット補償回路の基本動作はS1のONでアンプ31の出力をゼロ値に補償し、S1のOFF中は補償電圧を一定に保持することによりそれ以後の入力変化だけを−Ga倍して補償されたゼロ値を基準として出力することである。この基本動作は入力がサイン波の場合も同一であり、これまでの動作説明が成り立つので、以下もこの考え方で説明する。
図16が励磁と同一周波数のノイズの影響を説明するためのタイミングと各部の波形でノイズをサイン波に置き換えたもので、サイン波に置き換えたノイズを以後、サイン波のイズと記述する。なお、図16では説明をしやすくするために、方形波の流量信号がないとしている。
プリアンプA1の出力e1に重畳する励磁のタイミングと同位相のサイン波ノイズをe1c,e1cに対応するオフセット補償アンプ3の出力v2cとする。
また同様に励磁のタイミングと90°の位相差を有する場合をe1dとv2dとする。
図16で、同位相のe1cとv2cについて説明する。
オフセット補償アンプ3のS1が期間TbでONするフィードバック動作でv2cがゼロ値に補償され、時刻tcでS1がOFFすると期間Tcでは入力e1cの変化分が−Ga倍された波形となる。
期間TdでS1がONするとv2cはゼロ値に補償され、時刻teでS1のOFF後はe1cの変化分が−Ga倍されるが、te以後の動作は1周期前のta以後の動作の繰り返しであるが、プリアンプA1の出力であるオフセット補償回路3の入力e1cはゼロ位相のサイン波であるため、S1がOFFする時刻tcとteでサイン波はゼロクロスし、増幅されたv2cはe1cを単純に−Ga倍した波形に一致する。
サイン波が90°の位相差の場合の動作を図16のe1dとv2dで説明する。
S1がTbでONするとv2dがゼロ値に補償され、時刻tcでS1がOFFすると期間Tcでは入力e1dの変化分が−Ga倍された波形となる。
期間TdでS1がONするとv2dはゼロ値に補償され、時刻teでのS1のOFF後はサイン波ノイズe1dの変化分が−Ga倍されるが、te以後の動作は前半周期のta以後の波形と同一である。以上が1周期の動作であるが、入力e1dが励磁タイミングと90°位相差を持つため、S1がONしてゼロ補償し、再びOFFする時刻tcとteはサイン波ノイズe1dの瞬時値がピークの時点であり、期間TbとTdで大きな段差を持ってゼロ値に補償される。
期間Tcではサイン波入力e1dの−ピークから+ピークにわたる半周期間の全変化幅が−Ga倍されるため、v2dは時刻tcでゼロからスタートし負方向への三角波状の出力変動となる。
期間Taでは前周期の期間Tdで補償されたサイン波入力e1dの半周期間の変化幅が
−Ga倍されて正方向への三角波状の出力変動となり、全体としてv2dの波形となる。
同位相の時、出力波形v2cの斜線部Sc1とSc2の面積が、サンプルホールド回路5によりTsaとTsbのタイミングでサンプリングされる。
v2cは流量信号がある時の出力図15のv2と同位相であるため、サンプルホールド回路5の出力電圧Eocは正値の出力となる。
一方90°位相の時、出力波形v2dがサンプルホールド回路5に入力されると、SWaとSWbがONして斜線部の面積Sd1とSd2がサンプリングされ、SWaとSWbのOFF時に保持され直流の出力電圧Eodとなる。v2dにおける斜線部の面積Sd1とSd2の極性は流量信号波形図15のv2とは逆位相であり、サイン波形としても最大に近い部分であるため出力Eodは負の極性で、ほぼ最大値の出力となることが図形的に容易に推定できる。
上記v2cとv2dは位相差がゼロと90°の2例だが、同一振幅のサイン波入力でサンプルホールド回路の出力は正値と負値の大きな差が生じた。この2例だけからも励磁と同一又はほぼ同一周波数のノイズの位相が変動することによって直流出力Eoに大きなフラツキを生じることがわかる。
励磁と同一周波数のノイズは流量信号とも同一周波数であり、サンプルホールド回路で流量信号が入力された場合と同等に出力に変換される。
位相によって流量信号と同様の大きな出力となったり、90°位相差では逆方向の流れと等価な信号として検知される。+大から−大の出力が生じ、大きなフラツキの原因となることが知られている。このように励磁と同一周波数のノイズは、信号と区別できないため除去できない。図14のオフセット補償回路でも除去できず、励磁周波数前後の周波数帯のノイズを減衰させるのが限度であり、前後の周波数のノイズをなるべく急峻に減衰できることが良いノイズ除去回路とされてきた。
図17は上記の関係を示す図で、横軸は励磁周波数fexの前後のノイズ周波数fで、縦軸はフラツキの大きさを示している。
方形波励磁はゼロ点の安定性が高く、回路構成も簡素にできるため広く普及している。
励磁周波数としては1Hz〜20Hzの低周波が一般的だが、この周波数は1/f特性の流体ノイズにとってノイズレベルの高い周波数帯であり、影響が大きい。このため1/fノイズが小さくなる高い周波数帯に励磁周波数を移すことにより、1/fノイズの影響を避ける方法がとられている。しかしこのような高周波励磁は増幅回路の消費電力や、励磁に使用する電力が増大する。
特に高周波励磁にしてしまうと、低周波励磁にするほど消費電力を減らせる残留磁気励磁方式(例えば特許文献2参照)のメリットを生かすことができない欠点がある。このため電池駆動などの低消費電力型の電磁流量計では、低周波励磁のまま1/fノイズを除去することが不可欠の問題となっている。
他の従来技術として、電磁流量計検出器で方形波信号を加えて励磁し、検出器から出力される流量信号を直流信号に変換する電磁流量計変換器において、電磁流量計検出器から出力される流量信号を前記方形波信号よりも半周期遅延させて出力し、この遅延された流量信号により、前記電磁流量計検出器から出力される流量信号に含まれる低周波の誤差(ノイズ)成分を除去する電磁流量計変換器が提案されている(例えば特許文献3参照)。
しかし、この従来技術は、励磁周波数よりも低い周波数の低周波ノイズでには有効であっても、励磁周波数と同一またはほぼ同一周波数のノイズ成分を除去することができないという問題点があった。
図14に示した従来の技術はスイッチS1がONして出力をゼロ値に補償し、OFFした後は補償したゼロ値を基準として入力の変化分だけを増幅する動作である。この動作は前半周期でS1がONしてノイズの情報を積分回路で保持し、S1がOFFした後半周期の間じゅう信号とノイズの両方を含む瞬間値から前半周期に保持した一定のノイズ情報を引算することと言える。
後半周期においてもS1がONして、後半周期のノイズ情報を保持して次の前半周期に変化する瞬間値から引算することと言える。この方法では、低周波のオフセットに対しては、周期の前半と後半に保持したノイズ情報がほぼ同等であり除去できたが、励磁と同一周波数のノイズは除去できない。
励磁と同一周波数のサイン波ノイズは、周期の前半と後半で逆の極性となるためノイズ情報として保持した値も逆の関係となり、励磁信号とノイズの位相差の変動により大きなフラツキを生じる。
図14の例に限らず、従来のノイズ除去回路は半周期間におけるノイズを何らかの方法でノイズの代表値として保持し、次の半周期の瞬間値から引算的な処理によりノイズを除去している。これらは低周波ノイズには有効であっても励磁と同一周波数のノイズは除去できない。
特開昭63−255620号公報 特公昭59−7930号公報 特公平4−77853号公報
そこで本発明は、前記問題点を解消できる電磁流量計、特に、励磁周波数と同一又はほぼ同一周波数のノイズを除去できる電磁流量計(変換器)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、方形波励磁方式の電磁流量計であって、方形波の流量信号とノイズが混在するプリアンプの出力が入力され、励磁が切り換わる直前の各半周期毎に出力値をゼロに補償し、補償された直後の励磁の切り換わりに伴う流量信号極性の反転を増幅して次の補償期間まで保持する信号アンプを持つ電磁流量計変換器において、励磁が切り換わった直後の各半周期毎に出力値をゼロにリセットすることにより流量信号をリセットし、次のリセット期間まで保持して、保持期間においてはノイズ分だけを増幅するノイズ抽出回路を有し、信号アンプの出力とノイズ抽出回路の出力を演算処理することによりノイズを打ち消して方形波信号だけを取り出すことを特徴とする電磁流量計である。
請求項2の発明は、請求項1の電磁流量計において、プリアンプの出力が、信号アンプと、信号アンプと同じ増幅度を持つノイズ抽出回路の両方に並列に接続され、両方の出力を演算処理する演算処理回路を備えたことを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1の電磁流量計において、信号アンプの出力とノイズ抽出回路の出力を演算処理する演算処理回路を備え、プリアンプの出力を信号アンプで増幅して演算処理回路の一方の入力に印加し、信号アンプの出力を増幅度が1のノイズ抽出回路に接続して方形波信号をリセットした後、前記演算処理回路の他方の入力に印加して演算処理することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1,2又は3の電磁流量計において、演算処理回路が加算回路であることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項1,2又は3の電磁流量計において、演算処理回路が差動増幅回路であることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの電磁流量計において、演算処理は、信号アンプの出力に含まれるノイズの極性と、ノイズ抽出回路の出力に含まれるノイズの極性が同じである場合は引算し、互いに逆極性である場合は加算する演算処理であることを特徴とするものである。
本発明の電磁流量計は上記解決手段の構成を備えているので、次の(1)〜(6)の効果が得られる。
(1)励磁と同一又はほぼ同一の周波数のノイズが除去できるようになった。
この効果は信号アンプの出力である(信号+ノイズ)からノイズアンプの出力の(ノイズ)だけを引算することにより得られる。この引算において、信号アンプの出力とノイズアンプの出力はともに瞬間値である。
本発明の効果は、信号とノイズの両方を含む信号アンプの出力からノイズアンプの出力を、両方とも時々刻々変化する瞬間値として引算することにより得ている。
(2)低周波励磁方式の電磁流量計に特に有効である。
流体ノイズのうち、スラリー流体の場合は1/f特性であり低周波になるほどノイズレベルが大きくなる。低周波励磁の励磁周波数はノイズレベルが大きい周波数帯と重なり、測定困難になる場合もあった。このため高周波励磁として、ノイズレベルの小さい周波数帯で励磁する対策がとられている。
本発明によれば励磁周波数と同一周波数のノイズが除去できるため、高周波励磁にする必要がない。
(3)電池動作など低消費電力型の電磁流量計に適す。
高周波励磁では高速動作に適した消費電力の大きな素子や高速マイコンを使う必要があるが、本発明では(2)項のように低周波励磁のままで良いため、励磁周波数が低いほど励磁の消費電力を減らせる残留磁気励磁方式のメリットを最大限に発揮して低消費電力化できるため、電池動作の電磁流量計を低コストで実用化できる。
(4)簡素でゼロ点安定の良い、低周波励磁方式のメリットが生じる。
低周波電磁波は簡素な構成でゼロ点の安定性が高いことはよく知られており、1/fノイズに弱い欠点があり高周波励磁も作られたが、構成が複雑になりゼロ点安定をある程度犠牲にするという難点があった。ところが本発明では低周波励磁を容易に実現できる。
(5)励磁と同一周波数のノイズに限らず、ノイズ全般に除去能力が高いため、低消費電力タイプだけでなく、スラリー流体などの計測に有利な電磁流量計が、構成が簡素な低周波励磁方式で実現できる。
(6)応答が速い。
ノイズ除去に、フィルター的要素が無いので応答が遅くならない。このため低消費電力タイプの電磁流量計で応答を遅らせることなくスラリー性流体が計測可能になった。
次に本発明の好ましい実施の形態を図面の実施例に従って説明する。
図1と図2で本発明の実施例1を説明する。1は被測定流体を流す円筒形の流管、2aと2bは流管1の内周壁に対向配置されて誘起した流量信号を取り出す一対の電極、2cはアース電極である。
A1は、電極2a,2bの信号電圧を増幅するプリアンプ、3はプリアンプA1の出力e1を増幅するとともに直流〜低周波の電気化学ノイズからなるオフセット電圧を除去するためのオフセット補償回路である。
オフセット補償回路3は、抵抗Ra1,Rb1とオペアンプOP1を図のように接続したアンプ31と抵抗R1とコンデンサC1とオペアンプOP2を図のように接続した積分回路32と、後述するマイクロプロセッサ(MPU)12で操作されるスイッチS1とを図のように接続して構成する。アンプ31の増幅度GaはRb1/Ra1で決まる。3は電極2a−2b間に発生する流量信号と重畳するノイズを増幅する役割を持つ回路であり後述するノイズだけを増幅するノイズアンプ4と対比するための信号アンプ3と呼ぶ。
ノイズアンプ4は信号アンプ3と同一の回路構成で同一回路定数(CとRが同一の値)を持ち、スイッチS2がONするタイミングだけがS1と異なる。S2は励磁の各半周期において早い時点でONするため、プリアンプA1の出力e1のうち方形波の流量信号をリセットし、e1に重畳するノイズ成分だけを増幅する、ノイズアンプとして動作する。ノイズアンプ4をノイズ抽出回路とも呼ぶ。
プリアンプA1の出力に信号アンプ3とノイズアンプ4が並列に接続され、各々の出力が演算処理回路としての差動回路A2に接続され、差動回路A2は、例えばオペアンプを用いた差動増幅回路で構成されている。A2の出力はサンプルホールド回路5に接続され、スイッチSWaとSWbのONで方形波の入力信号をサンプリングしOFFにより保持して直流信号に変換する。
6はA/D変換器でサンプルホールド回路5のアナログ出力をデジタル値に変換してMPU12に送る。TscはMPU12からのタイミング信号で、A/D変換器6がA/D変換する時期をA/D変換器6に伝える。
11は磁気回路10に方形波状の磁界を発生させる励磁回路で、励磁周波数は数Hz以下の低周波である。
図2は図1の動作を示すタイミングと出力波形である。L1は励磁のタイミングで、期間T1〜T8が励磁の一周期つまり電磁流量計としての計測動作の一周期である。前半周期のT1〜T4ではL1はHレベル、後半周期のT5〜T8ではLレベルであり、正逆の方向に切り換わる方形波磁界に対応している。T1〜T8の開始時刻t0〜t7とし一周期の終了時刻をT8とする。このt8は次の周期の開始時刻に一致する。Ts1はスイッチS1が期間T4とT8でONするタイミングであり、Ts2は期間T2とT6でS2がONするタイミングである。なお、図2のタイミング幅は、T3とT7以外は説明上、実際より広く書いてある。
図1の動作を説明する。
信号アンプ3は期間T4とT8でS1がONするいわゆるオフセット補償回路で、アンプ31の出力から積分回路32を介してアンプ31を構成するオペアンプOP1の+入力側にフィードバックループが形成される。
このフィードバックによって、OP2はC1,R1の時定数でアンプ31の出力e2を積分し、C1に充電する一方その出力e5を補償電圧として、アンプ31の+入力側に加える。補償電圧e5はプリアンプA1の出力e1と同極性の電圧であるため反転アンプ31の入力が打ち消される方向のフィードバックとして働き、時定数C1・R1が充分小さな値であるため期間T4又はT8の間にe2はゼロ値に補償される。この補償値は積分回路32の出力で、期間T4の最終にe5(t4)として、期間T8の最終にe5(t8)として生じる。
S1のOFF中は積分回路32はホールド回路として動作し、前記補償電圧e5(t4)又はe5(t8)はC1の充電電圧として保持される。一方、アンプ31のRa1側にはプリアンプA1から時々刻々変化する電圧であるe1が印加されて、e1の変化分が増幅される。
図2において、e1はプリアンプA1の出力電圧で、低周波のオフセット電圧Uが流量信号E1に重畳した波形として示してある。
前半周期におけるS1のONによる補償動作を説明する。期間T1〜T4ではe1は図2のように正の値であり反転アンプ31の出力e2は負の値となり、T4でS1がONすると積分回路32は負の値のe2を積分して、e1と同極つまり正値の補償電圧e5を出力する。S1がONしたことによりフィードバック動作が働くにつれ、e5の電圧値はe1に近づき、アンプ31の出力e2は指数関数的にゼロに向かい、期間T4間にゼロ値に補償される。
時刻t4で積分回路32が補償電圧e5(t4)を保持した直後に、励磁の切り換わりに伴い流量信号が正から負に変り、プリアンプA1の出力e1は+E1+U(t4)から−E1+U(t4)に変る。
補償値e5(t4)は+E1とオフセット電圧U(t4)の両方をゼロ値に補償する値である。またオフセット電圧Uは時刻t4の前後で急変しないと仮定すると、流量信号だけが+E1から−E1に変ったと見なすことができる。
E1が切り換わった後も、積分回路32は時刻t4における補償電圧e5(t4)を保持していて、アンプ31の−入力側はe5(t4)を基準レベルとして、負方向に2・E1だけ変化したことになる。
このフィードバック動作により時刻t4における反転アンプ31の出力e2(t4)は低周波のオフセット電圧が除去されて、励磁の切り換わりに伴う流量信号の変化分2・E1だけが−Ga倍された値であり、補償されたゼロ値を基準レベルとして正方向への変動となる。
次に後半周期の説明をする。
流量信号はピーク値E1が一定の方形波でオフセット電圧Uだけが直線的に変化する。このため、アンプ31の−入力はe1に重畳するオフセット電圧Uが変化する一方、+入力端子は補償値e5(t4)が一定の保持されている。このためe1に重畳するオフセット電圧Uの変化分だけが反転アンプ31で−Ga倍されて期間T5〜T7における図2の
e2の波形となる。
期間T8においてS1のONによるフィードバック動作が働くと、アンプ31の出力e2がゼロ値に補償された後、時刻t8でS1がOFFすると同時に励磁の極性が反転し、S1がOFFする直前の補償電圧がe5(t8)として保持される。
励磁の切り換わりに伴い、流量信号が負から正に変ると、変化分2・E1がアンプ31で増幅されて、時刻t8における負方向の変化幅e2(t8)が補償されたゼロ値を基準レベルとして発生するが、ここからの動作は時刻t0以後の前半周期の繰り返しとなる。
以上が図2のe2に示す信号アンプ3の出力波形である。
ノイズアンプ4は信号アンプ3と全く同一の構成と回路定数で、Ra1=Ra2、Rb1=Rb2、R1=R2、C1=C2である。このため入力信号やノイズに対して同一の増幅度を持つが、フィードバック用のスイッチをON−OFFするタイミングだけが異なり、回路の役割も異なる。
信号アンプ3は図2のe2のように各半周期の最終期間にS1がONするため、方形波を増幅すると同時に、重畳するオフセットの変化分を増幅する。これに対しノイズアンプ4は、各半周期の早い時点でS2がONするため方形波入力をゼロ値にリセットし、オフセットの変化分だけを増幅する。オフセット以外の一般的なノイズが重畳する場合にもノイズだけを増幅するノイズアンプとして動作する。
ノイズアンプ4の動作を説明する。
ノイズアンプ4は期間T2とT6でS2がONする補償回路で、アンプ41の出力から積分回路42を介してアンプ41の+入力側にフィードバックループが形成される。このフィードバックによってOP4はC2・R2の時定数でアンプ41の出力e3を積分し、C2に充電する一方、その出力e6を補償電圧としてアンプ41の+入力側に加える。
補償電圧e6はプリアンプA1の出力e1と同極性の電圧であるため、反転アンプ41の入力が打ち消される方向のフィードバックとして働き、時定数C2・R2が充分小さな値であるため期間T2又はT6の間にe3はゼロ値にリセットされる。このための補償値は積分回路42の出力で期間T2の最終にe6(t2)として、期間T6の最終にe6(t6)として生じる。
S2のOFF時は積分回路42のホールド回路として動作し、前記補償電圧e6(t2)又はe6(t6)はC1の充電電圧として保持される。
次に図2のe1とe3でノイズアンプ4の動作を説明する。
時刻t0において入力e1が負から正に切り換わると、その変化分2・E1が反転アンプ41で−Ga倍されて、図2のe3の時刻t0で負方向に変化する波形となる。
期間T2でS2がONすると、出力e3は指数関数的にゼロ値にリセットされ、補償電圧e6が積分回路42の出力に発生する。
このリセット動作は信号アンプ3において、S1がONすることによるフィードバック動作と全く同一機能である。
時刻t2でS2がOFFする直前の補償電圧e6(t2)がC2の充電電圧として保持される。流量信号は一定の方形波であるため期間T3とT4ではリセットされたままでノイズアンプ4の出力には増幅された値にならないが、低周波のオフセットは時刻t2以後の変化分が−Ga倍されて図2のe3の期間T3とT4に生じる。入力e1が時刻t4において正から負に切り換るとその変化分2・E1がアンプ41で−Ga倍されて2・E1・Gaの変化が出力e3に生じる。
この時刻t4においては、期間T3とT4間のオフセット電圧の変化分が存在するので、その変化分に前記2・E1・Gaが加算されて(図2のe3では引算された値となる)時刻t4の瞬間値e3(t4)として生じる。
この値は期間T6でS2がONしてフィードバックループが形成されると、前半周期と同様に指数関数的にゼロ値にリセットされる。
時刻t6において、S2がOFFする直前の積分回路42の出力電圧e6(t6)がC2の充電電圧として保持されたものが、補償電圧である。その後のT7とT8で補償電圧e6(t6)が一定の保持値としてアンプ41の+入力側に印加され続けるため流量信号分はリセットされたままのゼロ値に保持される。
一方、低周波のオフセット電圧は時刻t6以後の変化分が−Ga倍されて図2のe3の期間T7とT8のような波形となる。
このように期間T2とT6でのS2のONで、方形波の流量信号は各半周期の早い時点でゼロ値にリセットされ、OFF後の低周波のオフセット電圧だけが増幅されてe3に発生する。なお、短くて分かりにくいが、期間T1とT5のピーク時にもオフセット電圧の変動が重畳している。以上の説明が、図2のe3の波形である。
図2のe4は差動回路A2の出力で、e4=e2−e3の引算動作(減算)が、図2のe2とe3の時々刻々の瞬間値として行われる。
こうして図2のe4では期間T3とT7の波形に重畳していた低周波のオフセット電圧は除去され、方形波の流量信号分だけになる。
サンプルホールド回路5で、スイッチSWaとSWbが図2のTsa,TsbのタイミングでONすることによりe4の斜線部分の値をサンプリングし、OFF期間はそのサンプリング値を保持することにより、e4のような正負に切り換る流量信号を直流の電圧値に変換する。
この電圧値はA/D変換器6でデジタル値に変換して電磁流量計の出力として表示したり、外部へ出力される。
以上が方形波の流量信号だけを増幅し、ノイズを除去する実施例1の動作説明である。なおノイズは低周波のオフセット電圧として説明したが、他の周波数でも同様に除去可能である。
次に本発明の主目的である励磁と同一周波数のノイズ除去について、図3と図4のタイミングチャートで説明する。
励磁と同一周波のサイン波ノイズが、方形波の流量信号に位相差ゼロで重畳した場合を図3に、90°の位相差で重畳した場合を図4に示す。
図3は位相差ゼロの場合で、e1aがプリアンプA1の出力であり、このうち流量信号だけをesとし、励磁タイミングと同位相のサイン波で表したサイン波ノイズをeNaとして分離して表した。つまりesとeNaの合成がe1aである。e1a,e2a,e3a,e4aは図2のe1,e2,e3,e4と同一回路の出力であるが、同位相のサイン波ノイズを表す波形としてaを付けた。図4は、励磁のタイミングと90°の位相差のサイン波ノイズについての波形で、図2の同一波形にbを付けて表した。
信号アンプ3におけるフィードバックの基本動作はS1のONでアンプ31の出力をゼロ値に補償し、S1のOFF時は補償電圧を一定に保持することにより、それ以後の入力の変化分だけを−Ga倍して補償されたゼロ値を基準にして出力することである。この動作はS2のONによるノイズアンプ4でも全く同一であり、入力が方形波でもサイン波でも同様である。
サイン波ノイズの除去について、上記の考え方により少し簡略して図3で位相差ゼロの場合を説明する。
プリアンプA1の出力e1aは方形波の流量信号esと励磁と同位相のサイン波ノイズeNaの合成である。
信号アンプ3のS1がT4でONするとフィードバック動作で、e2aがゼロ値に補償された後S1がOFFすると、時刻t4におけるe1aの変化分2・E1が−Ga倍され、その後のT5〜t7ではe1aの変化分、つまりサイン波ノイズeNaの変化分が増幅されて、時刻t4時の変化に重畳したe2aの波形となる。
期間T8でS1がONするとe2aはゼロ値に補償され、時刻t8でのS1のOFF後はサイン波ノイズeNaの変化分が−Ga倍されるが、t8以後の動作は1周期前のt0以後の動作の繰り返しとなる。これが波形のe2aが出力される説明だが、esとeNaを別個に信号アンプに入力し、そのときの出力を合成すればe2aとなることが容易に推定できる。
ノイズアンプ4の動作は、T2でS2がONして、アンプ41の出力をゼロ値にリセットした後、時刻t2でS2がOFFすると、その後の入力変動はサイン波ノイズeNaだけであるため、このeNaの変化分だけが−Ga倍され期間T3とT4の波形e3aとなる。
これに時刻t4でのesの変化分が−Ga倍されて重畳し期間T5の波形となった後、T6でS2のONによりゼロ値にリセットされる。
時刻t6でS2がOFFすると、その後の入力e1aの変動はeNaの変化分だけであり、これが−Ga倍される。この一連の動作によりノイズのアンプ4の出力は図3のe3aの波形となる。
以上が波形e2aとe3aが出力される説明で、e2aは方形波の流量信号とサイン波ノイズの和であり、e3aはサイン波だけが出力される。ここでe2aとe3aに含まれるサイン波ノイズについて比較する。
信号アンプ3では時刻t4でS1がOFFした時刻t4以後のeNaの変動が−Ga倍された波形としてT5〜T7に重畳する。一方ノイズアンプ4では時刻t6でS2がOFFした時刻t6以後のeNaの変動が−Ga倍されて出力される。このため期間T7におけるサイン波ノイズは、期間T5とT6でeNaが変化した分だけe3aの方が小さくなる。
図3(図4も)のタイミングでは、表記しやすくするためT1〜T8の期間の幅を実際の値と変えてある。実用的なタイミングではT1とT5はゼロに近く、T2とT6は計測の一周期に比べ充分短いパルスであることが望ましい。
S2がONするタイミングT2とT6をS1のON後に、隣接する短期間のパルスとすることによりe3aのサイン波をe2aに重畳するサイン波に一致させることができる。
このような条件で得た2つの出力、e2aからe3aを引算(減算)することによりサイン波ノイズは打ち消されて除去され、e2aが持つ方形波の流量信号だけがe4aのT3とT7に生じる。
図4は励磁のタイミングに対してサイン波が90°の位相差を持つ場合の各部の波形で、動作はサイン波の90°の位相差以外は図3のと同一である。プリアンプA1の出力e1bは方形波の流量信号esと90°の位相差を持つサイン波ノイズeNbの合成である。
信号アンプ3のS1がT4でONするとe2bがゼロ値に補償され、時刻t4におけるe1bの変化分2・E1が−Ga倍され、T5〜T7ではe1bの変化分、つまりサイン波ノイズeNbの変化分が−Ga倍されて、時刻t4の変化に重畳したe2bの波形となる。
期間T8でS1がONするとe2bはゼロ値に補償され、時刻t8でのS1のOFF後はサイン波ノイズeNbの変化分が−Ga倍されるが、t8以後の動作は1周期前のt0以後の動作の繰り返しとなる。
ノイズアンプ4の動作は、T2でS2がONしてアンプ41の出力をゼロ値にリセットした後、時刻t2でS2がOFFすると、その後の変動はサイン波ノイズノイズだけであるため、このeNbの変化分だけが−Ga倍され、期間T3とT4の波形になる。これに時刻t4でのes変化分が−Ga倍されて重畳し期間T5の波形となった後、T6でS2のONによりゼロ値にリセットされる。
時刻t6でS2がOFFするとその後の入力e1bの変化分つまりeNbの変化分が−Ga倍されるこの一連の動作によりノイズアンプ4の出力は図4のe3bの波形となる。
以上がe2bとe3bの波形が出力される説明で、e2bは方形波の流量信号とサイン波ノイズの和であり、e3bはサイン波だけが出力される。S2のONタイミングをS1のOFF後に隣接する短期間のパルスとすることにより、e3bのサイン波をe2bにおいて方形波に重畳するサイン波と同じ波形と振幅にすることが可能であり、e2bからe3bを引算することによりサイン波が除去され、方形波だけとなったe4bが生じる。
図3と図4で位相差ゼロと90°を代表例として示したが、どのような位相においてもS1のONとOFFで信号アンプの出力は方形波とサイン波の和となり、S2のONとOFFでノイズアンプの出力はサイン波だけになる。つまりどのような位相においても(信号アンプの出力)−(ノイズアンプの出力)の引算(減算)動作により、励磁と同一周波数のノイズが除去されて流量信号だけが出力される。
図2において、e2はs1のONでゼロ値に補償され、S1のOFF直後に流量信号変化分2・E1が−Ga倍され、その後はオフセットの変化分だけが倍増された(流量信号)+(ノイズ)の波形である。e3は流量信号が切り換わった直後にS2がONして流量信号がリセットされ、その後はオフセットの変化分だけが倍増された(ノイズ)だけの波形である。
差動回路A2で、このe2からe3が時々刻々の波形として全期間において引算される。この結果e4は期間T3とT7において、流量信号だけの波形となる。
図3と図4も同様であるが、励磁と同じ周波数のノイズがe4=e2−e3の引算により打ち消されて除去されることを明確にするものである。
図3と図4においてe2aとe2bは信号アンプ3の出力でS1のONにより(流量信号)+(ノイズ)となった波形である。
e3aとe3bはノイズアンプ4の出力でS2のONにより(ノイズ)だけとなった波形であり、差動回路A2での引算により励磁と同一周波数のノイズが、どの位相においても除去され流量信号だけとなったことをe4aとe4bが示す。
これまで説明してきたようにS1とS2がONする関係を図2〜図4のように選ぶことにより、信号アンプ3の出力e2は流量信号とノイズの両方を含む波形となり、ノイズアンプ4の出力e3は流量信号がリセットされてノイズだけとなった。
時々刻々変化する信号波形として(流量信号)+(ノイズ)のe2と(ノイズ)だけのe3を作り出し、e4=e2−e3の引算を行うことによって本発明の優位性が生じる。これにより励磁と同じ周波数のノイズの除去が可能となった。
図3と図4の例では、励磁と同一周波数のノイズ除去を強調したが、本発明でノイズ全般を除去できることは容易に理解できる。図2においてもオフセット的な低周波ノイズを除去した例を示した。サイン波のように繰り返しのあるノイズだけでなく、1回だけの突変ノイズも(信号アンプの出力)−(ノイズアンプの出力)での引算を打ち消すことが可能である。
引算してノイズが除去された後は、一般的な電磁流量計と同様に、e4をS/H(サンプルホールド)して流量信号が取り出される。
ところで、実施例1の図1に示す図の要部を簡略化したブロック図が図5(a)である。信号アンプ3の出力e2からノイズ抽出回路(ノイズアンプ)4の出力e3を差動回路(減算回路)A2で減算してe2−e3=e4を演算することで、ノイズ成分を打ち消して除去する。
同図(b)のように、ノイズ抽出回路(ノイズアンプ)4の出力e3を反転アンプA´で反転して−e3とすると、A2では、この反転アンプA´の出力−e3と、信号アンプ3の出力e2との和をとることで、結果的にe2−e3=e4を求めることができる。このときのA2は、e2と−e3とを加算する加算回路でよい。
また、同図(c)のように、プリアンプA1の出力e1を反転アンプA´で反転したものをノイズ抽出回路(ノイズアンプ)4を介して、信号アンプ3の出力e2と加算しても、e2−e3=e4を求められる。このときのA2は、信号アンプ3の出力e2と、ノイズ抽出回路(ノイズアンプ)4の出力−e3との代数和を求める演算処理回路としての加算回路として働くものを用いればよい。
こうして、図5の(a)に示す差動回路(減算回路)A2と、同図(b)に示す加算回路A2と、同図(c)に示すような代数和を求める演算回路A2は、何れも信号アンプ3の出力e2とノイズ抽出回路4の出力e3又は−e3を演算処理することにより、ノイズ成分を打ち消して除去し、結果として方形波の流量信号だけを取り出す演算処理回路であるという点で本質的に同じである。要するに両出力の代数和を演算してノイズ成分だけを打ち消して、流量信号e4だけを出力する回路であれば良い。このような回路としては、オペアンプを用いた周知の加算回路とか差動増幅回路が好適である。
図6は第2実施例である。
プリアンプA1と信号アンプ3は図1の実施例1と同一回路である。ノイズアンプ(ノイズ抽出回路)8は、信号アンプ3の出力に直列に接続され、出力e3Fは演算処理回路としての加算回路A3は印加される。
反転アンプ81では、Ra3=Rb3で増幅度GFは1倍である。
積分回路82で、C3・R3はフィードバックループとしての時定数が図1の積分回路42と同等になるように決められる。
図7は図6のタイミングと波形である。
S1とS2がON、OFFするタイミングは図2と同一である。図7においてe1は図2のe1と同一波形であり、信号アンプ3は同一回路であるためその出力e2も図2のe2と同一の出力波形となる。
ノイズアンプ8の出力はe3Fとして区別する。加算回路A3の出力もe4Fとする。
ノイズアンプ8のS2は図1のS2と同一タイミングでON、OFFする。
S2のONで出力をゼロ値にリセットし、S2がOFFした後は入力の変化分だけを−GF倍してゼロ値を基準として出力する基本動作は図1の回路と同様である。ノイズアンプ8の出力e3Fと図2のe3の差異は、入力がe1からe2に変ったことによるものである。出力e3Fは期間T2でゼロ値にリセットされた後、T3では入力e2の変化分だけが−GF倍、つまり−1倍され、T4とT5では信号アンプ3におけるS1のONと流量信号の極性反転に伴う入力e2の変化が−1倍された波形となる。この結果e3Fの波形は図2のe3に比べ逆極性であり、期間T4とT5では入力e2の変化分が出力e3に生じるのでe3Fの変化幅は図2のe3の約2倍となる。図7のe4Fは加算回路A3の出力で、e4F=e2+e3Fの関係にある。期間T3ではe2とe3Fの変化幅が同一で逆極性であるため上記加算で打ち消しあって、オフセット電圧の変動は除去される。また、期間T7でも同様に除去される。この場合も加算回路A3は、演算処理回路として働く。
図8と図9は励磁と同一周波数のノイズを検討した波形で、図8が位相差ゼロの場合で実施例1の図3に対応し、図9は90度位相差の場合で図4に対応する。
図8でe1aは図3のe1aと同一波形で、信号アンプ3の出力も図3と同一であるためe2aとした。e3Faはノイズアンプ8の出力で、図3のe3aとの差異は図7においてe3Fが図2のe3と異なるのと同一の理由であり、e3aに対して逆極性であり期間T4〜T6においてe3aと少し異なる波形である。信号アンプ3の出力e2aは図3の説明と同様に流量信号とサイン波ノイズの和であり、ノイズアンプ8の出力e3Faはサイン波ノイズだけが重畳する。ノイズアンプ8は反転回路であるため、e3Faはe2aと逆極性であり、加算回路A3で加算した出力e4Faの波形は期間T3とT7において、サイン波ノイズが除去されている。
図9においても、上記図8の説明と全く同一であり、期間T3とT7におけるサイン波ノイズが除去されていて、図6の第2の実施例でも図1と同様に低周波のオフセット電圧や励磁と同一周波数のノイズを除去することができる。
図10は第3実施例である。
信号アンプ3は実施例1の図1及び実施例2の図5と同一回路である。ノイズ抽出回路としてのリセット回路9は図6のノイズアンプ8と同一の役割を簡素な回路で実現したもので、増幅機能はなく1倍に限定される。
リセット回路9はS3がONすると出力をゼロ値にリセットし、S3のOFF期間はC4・R4からなるハイパスフィルター91として動作する。このため、S3がリセットして出力をゼロ値にリセットした後、OFF後は入力の変化分だけを出力に伝える。
図11は図10の動作を示す波形とタイミングである。
e1は図1と図6のe1と同一入力波形であり、信号アンプ3は同一回路であるため、その出力e2も図2及び図7のe2と同一の出力波形である。リセット回路9のS3が期間T2でONすると、出力e3Gはゼロ値にリセットされる。この時C4の両端にはe2の全電圧が加わり、時刻t2ではS3がOFFする直前の入力電圧e2(t2)が充電される。期間T3〜T5では、S3はOFFであり時定数C4・R4がこのOFF期間に比べて充分長いと仮定してC4の両端電圧の変化を無視すると、リセット回路9の出力e3Gは入力eの変化分だけが、T2でリセットされたゼロ値を基準にして発生する
期間T6でS3が再びONして、出力e3Gをゼロ値にリセットし、時刻t6でS3がOFFした後の期間T7〜T8では時刻t6以後の入力e2の変化分だけがゼロ値を基準とした、e3Gの出力電圧となる。
以上のリセット回路9の動作は、図6におけるノイズアンプ8の動作と同一であるが、リセット回路9には反応機能が無く、S3がOFFした後は入力e2の変化をそのまま出力するのでe3Gは図7のe3Fと逆の極性である。e4Gは差動回路A2の出力でe4G=e2−e3Gの引算で、e4Gの期間T3とT7ではオフセットの変動が除去されている。以上のように図10において、S1とS3のON,OFFを図7のS1とS2がON,OFFするタイミングと同一にすることにより、図11のe3Gは図7のe3Fと極性が逆である点以外は同一波形となるため、差動回路A2での引算によりオフセット電圧の変動を除去できる。
サイン波ノイズの除去機能も、図8及び図9と同様の波形となるため省略するが、励磁と同一周波数のノイズが除去できることは明らかである。
図12は図6のノイズアンプ4の増幅度を大きくした場合の例で、この場合も本発明の範囲に含まれる。図12ではノイズアンプ8bと同じ増幅度を持つアンプA4を、信号アンプ3と加算回路A3の間に入れた例である。この例でも増幅度が大きくなっただけで、ノイズを除去する動作は図6の例と全く同じである。
図13は図12のアンプA4を反転増幅器A5とし、加算回路A3を差動回路A2に置き換えたものである。図13の基本機能は図12、すなわち図6と同一であり、このような組み合わせの変更は本発明の範囲に含まれる。
本発明の実施例1の電気回路図である。 本発明の実施例1のタイミングと波形を示す図である。 本発明の実施例1のタイミングと波形を示す図である。 本発明の実施例1のタイミングと波形を示す図である。 本発明の実施例の要部のブロック図で、(a)(b)(c)はそれぞれわずかに違う構成のものを示す。 本発明の実施例2の要部電気回路図である。 本発明の実施例2のタイミングと波形を示す図である。 本発明の実施例2のタイミングと波形を示す図である。 本発明の実施例2のタイミングと波形を示す図である。 本発明の実施例3の要部電気回路図である。 本発明の実施例3のタイミングと波形を示す図である。 本発明の実施例4の要部電気回路図である。 本発明の実施例5の要部電気回路図である。 従来技術の電気回路図である。 従来技術のタイミングと波形を示す図である。 従来技術のタイミングと波形を示す図である。 従来技術のノイズ周波数とフラツキの関係を示す説明図である。
符号の説明
A1 プリアンプ
e1 プリアンプA1の出力
3 オフセット補償回路(信号アンプ)
4,8,8b ノイズ抽出回路(ノイズアンプ)
e2 オフセット補償回路の出力
e3,e3F ノイズ抽出回路(ノイズアンプ)の出力
5 サンプルホールド回路
A2 演算処理回路としての減算(引算)回路
A3 演算処理回路としての加算回路
A´ 反転増幅回路
9 ノイズ抽出回路(リセット回路)
e3G ノイズ抽出回路(リセット回路)の出力

Claims (6)

  1. 方形波励磁方式の電磁流量計であって、方形波の流量信号とノイズが混在するプリアンプの出力が入力され、励磁が切り換わる直前の各半周期毎に出力値をゼロに補償し、補償された直後の励磁の切り換わりに伴う流量信号極性の反転を増幅して次の補償期間まで保持する信号アンプを持つ電磁流量計変換器において、励磁が切り換わった直後の各半周期毎に出力値をゼロにリセットすることにより流量信号をリセットし、次のリセット期間まで保持して、保持期間においてはノイズ分だけを増幅するノイズ抽出回路を有し、信号アンプの出力とノイズ抽出回路の出力を演算処理することによりノイズを打ち消して方形波信号だけを取り出すことを特徴とする電磁流量計。
  2. プリアンプの出力が、信号アンプと、信号アンプと同じ増幅度を持つノイズ抽出回路の両方に並列に接続され、両方の出力を演算処理する演算処理回路を備えたことを特徴とする請求項1記載の電磁流量計。
  3. 信号アンプの出力とノイズ抽出回路の出力を演算処理する演算処理回路を備え、プリアンプの出力を信号アンプで増幅して演算処理回路の一方の入力に印加し、信号アンプの出力を増幅度が1のノイズ抽出回路に接続して方形波信号をリセットした後、前記演算処理回路の他方の入力に印加して演算処理することを特徴とする請求項1記載の電磁流量計。
  4. 演算処理回路が加算回路であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の電磁流量計。
  5. 演算処理回路が差動増幅回路であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の電磁流量計。
  6. 演算処理は、信号アンプの出力に含まれるノイズの極性と、ノイズ抽出回路の出力に含まれるノイズの極性が同じである場合は引算し、互いに逆極性である場合は加算する演算処理であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電磁流量計。
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