JPH075004A - 電磁流量計 - Google Patents

電磁流量計

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JPH075004A
JPH075004A JP731691A JP731691A JPH075004A JP H075004 A JPH075004 A JP H075004A JP 731691 A JP731691 A JP 731691A JP 731691 A JP731691 A JP 731691A JP H075004 A JPH075004 A JP H075004A
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sampling
noise
voltage
exciting
frequency
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Application number
JP731691A
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English (en)
Inventor
Takashi Torimaru
尚 鳥丸
Yoshinori Matsunaga
義則 松永
Kenichi Kuromori
健一 黒森
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Yokogawa Electric Corp
Original Assignee
Yokogawa Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高周波と低周波の2つの周波数を含む励磁電
流で励磁する2周波形の電磁流量計において測定流体中
に発生する微分ノイズの影響を受けないようにする。 【構成】 サンプリング手段により高周波のタイミング
で測定流体に発生した電圧をサンプリングしてサンプリ
ングデ−タとして出力する。また、ノイズ演算手段によ
り低周波の周期内でこのサンプリングデ−タの時系列的
変化を用いて測定流体の流量に無関係なノイズ成分を算
出する。流量演算手段は低周波をベ−スとして算出した
このノイズ成分を用いて先の高周波でサンプリングした
サンプリングデ−タを補正してノイズの影響を受けず応
答の速い流量信号を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、高い周波数で励磁する
電磁流量計に係り、特に測定流体の中に発生する微分ノ
イズなどの影響を受けないように改良した電磁流量計に
関する。
【0001】
【従来の技術】図7は本出願人が平成2年6月5日に
「発明の名称:電磁流量計」(特許願(3))として出
願した従来の電磁流量計の構成を示す構成図である。以
下、この概要について説明する。
【0002】10はセラミックパイプ或いは内面に絶縁
のためのライニングが施されたステンレススチ−ルなど
の非磁性の導管である。更に、導管10とは絶縁して一
対の検出電極11、12が固定されている。また、測定
流体Qを接地するために接液電極13が共通電位点CO
Mに接続されている。
【0003】導管10の外部には励磁コイル14が固定
されており、ここに励磁電流I1が励磁回路15の内部
の定電流源からから一定の電流として供給されている。
一方、検出電極11、12は、差動増幅器16(簡単な
ため、増幅度は1とする)の各入力端に接続されてお
り、ここでコモンモ−ドノイズなどが除去された後でサ
ンプリング回路17に出力される。
【0004】サンプリング回路17はサンプリングスイ
ッチSW、ホ−ルドコンデンサC、バッフア増幅器Qな
どで構成され、サンプリング信号SMPにより差動増幅
器16の出力電圧をサンプリングしてホ−ルドコンデン
サCにホ−ルドする。ホ−ルドされたホ−ルド電圧VH
はアナログ/デジタル変換回路18を介してマイクロプ
ロセッサ19に取り込まれる。マイクロプロセッサ19
は、取り込まれたデ−タを用いて所定の演算を実行して
流量信号FSとして出力端20に出力すると共に所定の
タイミング信号TS1をアナログ/デジタル変換回路1
8に出力してアナログ/デジタル変換を制御する。
【0005】また、マイクロプロセッサ19はサンプリ
ング回路17のサンプリングスイッチSWを制御するサ
ンプリング信号SMPをサンプリングスイッチSWに出
力する。この他、マイクロプロセッサ19は励磁回路1
5に励磁電流を切換えるタイミング信号TS2を出力し
て定電流を切換えて励磁電流I1の波形を制御する。
【0006】次に、以上のように構成された実施例の動
作について図8に示す波形図を用いて説明する。励磁回
路15からはマイクロプロセッサ19からのタイミング
信号TS2により内部の定電流源の定電流を図8(a)
に示すように2つの定常値+I0、−I0に切り換えて
励磁コイル14に励磁電流I1として供給する。
【0007】これにより、検出電極11、12には測定
流体Qの流量に対応した信号電圧Vs、磁場が入力回路
で形成されるル−プを切ることによって測定流体に流れ
る渦電流などによって発生する微分ノイズVz、測定流
体Qと検出電極11、12が接触することによって発生
する直流電圧Vdがそれぞれ加算された電極間電圧Es
が発生する。
【0008】従って、電極間電圧Esは Es=Vs+Vz+Vd …(1) となる。ここで、直流電圧Vdは、信号処理期間の間で
は一定であるものとみなす。
【0009】また、微分ノイズVzは図8(b)に示す
ようにほぼ励磁電流I1を微分したノイズ波形をしてい
る。ところで、この微分ノイズVzの波形は時間の経過
と共に低減し、一般に次式で示す形をする。 Vz=N・exp(−t/τ) …(2) 但し、Nは励磁電流を定常値から切換えた当初の微分ノ
イズの大きさ、τは時定数である。
【0010】このような微分ノイズVzを持つ電極間電
圧Esは、図8(c)に示すサンプリングの各タイミン
グT1、T2、T3を持つマイクロプロセッサ19から
のサンプリング信号SMPによりサンプリングされ、ア
ナログ/デジタル変換回路18を介してマイクロプロセ
ッサ19に取り込まれて所定のメモリ領域に格納され
る。
【0011】マイクロプロセッサ19は、各サンプリン
グのタイミングT1、T2、T3で格納されたデ−タを
e1+ 、e2+ 、e3+ とすれば、それぞれ e1+ =Vs+ +N+ exp(−t1/τ+ ) +Vd …(3) e2+ =Vs+ +N+ exp(−t2/τ+ ) +Vd …(4) e3+ =Vs+ +N+ exp(−t3/τ+ ) +Vd …(5) となる。
【0012】マイクロプロセッサ19は、あらかじめ
(1)〜(2)式に対応する演算式を内蔵しており、各
デ−タe1+ 、e2+ 、e3+ を用いて、(3)式〜
(5)式に対応する連立方程式を立てて図8(d)の正
励磁期間だけで微分ノイズのパラメ−タN+ 、τ+ を算
出することができる。従って、これ等のパラメ−タ
+ 、τ+ を用いて正励磁期間だけで微分ノイズを除去
することができる。
【0013】この結果、基本的には信号電圧Vsと直流
電圧Vdとの和の電圧に相当するデ−タが正励磁期間だ
けで得ることができる。同様にして、図8(d)に示す
負励磁期間に対してもタイミングT1、T2、T3に対
応してデ−タe1- 、e2- 、e3- をサンプリング回
路17でサンプリングし正励磁の場合と同様にしてマイ
クロプロセッサ19により負励磁期間だけで信号電圧V
sと直流電圧Vdとの和の電圧に相当するデ−タを得る
ことができる。
【0014】従って、これ等の正励磁期間と負励磁期間
のデ−タの差を演算すれば、正負の励磁により符号が変
化しない直流電圧Vdの影響を受けない信号電圧のみを
得ることができ、しかも各励磁期間だけで微分ノイズが
除去できるので、正励磁のときと負励磁のときとで発生
する微分ノイズの大きさなどが異なっていても誤差要因
とはならない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ように構成された電磁流量計では以下に説明する問題が
ある。この点について図9に示す説明図を用いて説明す
る。図7に示す構成では磁束密度が安定した後に各励磁
の周期ごとに電極電圧を複数回サンプリングしこれを用
いて微分ノイズを算出している。したがって、 (A)短い励磁周期の間に多数回のサンプリングをする
結果、サンプリング時間が制約され、またスパイク状の
ノイズにより誤差を受けやすい。 (B)磁束密度の時間変化により測定流体中に誘起され
る微分ノイズ成分は(2)式で示されるが、このN、τ
はノイズ起電力、検出電極の持つ電極インピ−ダンス、
測定流体の流体インピ−ダンス等で定まり、図9に示す
ように検出電極11、12を結ぶ線に対して上流側と下
流側とに非対称性(非対称度β)があるとNは0となら
ず、電極11、12間に図10に示す等価回路で算出さ
れる微分ノイズen が発生する。
【0016】この場合の時定数τは、図9においてノイ
ズ起電力を上流側でe1 、下流側でe2 とし、上流側の
流体インピ−ダンスをR11、R12、下流側の流体インピ
−ダンスをR21、R22、上流側の電極容量をC11
12、下流側の電極容量をC21、C22とし、 C1 =(C11・C12)/(C11+C12) (6) C2 =(C21・C22)/(C21+C22) (7) R1 =R11+R12 (8) R2 =R21+R22 (9) とおけば、時定数τは τ=C1 2 (R1 +R2 )/(C1 +C2 ) (10) で算出できる。実際には、C1 、C2 は1μF〜10μ
Fであり、R1 、R2 は1KΩ〜1MΩであるので、τ
は10秒のオ−ダとなることがある。
【0017】この様に時定数τが大きくなり励磁周波数
を数10〜数100Hzとすると図8に示す構成では微
分ノイズを算出する間隔が狭いので各サンプリングデ−
タに差がなくなる。この結果として微小な外来ノイズが
信号側に混入するとこれが微分ノイズの算出に大きく影
響し、大きな誤差要因となり、励磁周波数を高くするこ
とができない。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決するために、励磁コイルに高周波電流とこれより低
い周波数の低周波電流を重畳して流し測定流体にこれ等
の複合磁場を印加する励磁手段と、この高周波電流にお
ける高周波のタイミングにより測定流体に発生した電圧
をサンプリングしてサンプリングデ−タとして出力する
サンプリング手段と、先の低周波電流における低周波の
周期内でこのサンプリングデ−タの時系列的変化を用い
て測定流体の流量に無関係なノイズ成分を算出するノイ
ズ演算手段と、このノイズ成分とサンプリングデ−タと
を用いてノイズの影響を受けない流量信号を演算する流
量演算手段とを具備することを主要な構成要素としたも
のである。
【0019】
【作 用】励磁手段により励磁コイルに高周波電流とこ
れより低い周波数の低周波電流を重畳して流して測定流
体にこれ等の複合磁場を印加する。次に、サンプリング
手段でこの高周波電流における高周波のタイミングによ
り測定流体に発生した電圧をサンプリングしてサンプリ
ングデ−タとして出力し、更に、ノイズ演算手段により
低周波電流における低周波の周期内でこのサンプリング
デ−タの時系列的変化を用いて測定流体の流量に無関係
なノイズ成分を算出する。この後、流量演算手段により
このノイズ成分とサンプリングデ−タとを用いてノイズ
の影響を受けない流量信号を演算する。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について図を用いて説
明する。図1は本発明の1実施例の構成を示す構成図で
ある。なお、従来の構成と同一の機能を有する部分には
同一の符号を付して適宜にその説明を省略する。
【0021】マイクロプロセッサ21は励磁電流I2を
切り換えるタイミング信号TS3を励磁回路22に出力
する。この励磁電流I2は周期がTH の高周波成分IH
と周期がTL の低周波成分I L をそれぞれが有する複合
電流として励磁コイル14に励磁回路22から供給され
る。したがって、測定流体Qには高周波成分と低周波成
分を有する磁場が印加されることとなり、検出電極1
1、12にはこれ等の周波数成分を含む電極間電圧E
S 1 が発生する。この電極間電圧Es1は差動増幅器16
で増幅されてサンプリング回路17に出力される。
【0022】サンプリング回路17はマイクロプロセッ
サ21からのサンプリング信号SMPHのサンプルタイ
ミングにしたがって電極間電圧Es1をサンプリングして
アナログ/デジタル変換回路18を介してマイクロプロ
セッサ21にサンプリングデ−タDS として取り込み格
納する。マイクロプロセッサ21はこのサンプリングデ
−タDS を用いてこのマイクロプロセッサ21の中に格
納されたノイズ算出のための演算プログラムにしたがっ
て微分ノイズ成分を算出し、さらに算出されたこの微分
ノイズ成分を用いてマイクロプロセッサ21の中に格納
された流量演算プログラムにしたがって流量演算を行い
流量信号FQとして出力端20に出力する。
【0023】次に、以上のように構成された実施例の動
作について図2に示す波形図を用いて説明する。励磁コ
イル14に図2(a)に示す様な励磁電流I2を流すと
これに対応する波形の磁場Bが測定流体Qに印加され
る。この励磁電流I2は図2(c)に示すような周期T
H を持つ高周波成分IH と図2(d)に示すような周期
H より長い周期TL を持つ低周波成分IL とを合成し
た励磁波形となっている。そして、図2(b)に示す高
周波成分に対応したサンプリング信号SMPHにより電
極間電圧Es1をサンプリングする。
【0024】一方、励磁電流I2には図2(c)、
(d)に示す様な電流の切り換えがあるので、電極間電
圧Es1には信号電圧VS の上にこの電流切換に対応する
微分ノイズが重畳している。すなわち、励磁電流の高周
波成分IH (図2(c))の電流切換によって図2
(e)に示すような微分ノイズVZHが、励磁電流の低周
波成分IL (図2(d))の電流切換によって図2
(f)に示すような微分ノイズVZLがそれぞれ発生し、
電極間電圧Es1にはこれ等の微分ノイズVZH、VZLが重
畳されて図2(g)に示すような微分ノイズVZTが発生
する。
【0025】ところで、図2(e)による場合も図2
(f)による場合も共に磁束密度が定常値に達した後に
指数関数的に減衰するが、微分ノイズは図9で説明した
ように同一の電極容量C1 、C2 、および流体抵抗
1 、R2 などで決定されるので、その減衰の時定数τ
は高周波成分による微分ノイズVZHの場合も低周波成分
による微分ノイズVZLの場合も同一である。
【0026】以上の点を考慮すると、サンプリング信号
SMPH(図2(b))でサンプリングされる高周波成
分に含まれる微分ノイズVZHは図2(e)に斜線で示す
ように各サンプリングでその絶対値は常に等しいが、低
周波成分に含まれる微分ノイズVZLは図2(f)に示す
ように指数関数的に減少する。
【0027】したがって、流量が一定で信号電圧Vsが
一定の場合は、低周波成分の周期T L 内での電極間電圧
の変化は低周波成分に起因する微分ノイズVZLが変化す
ることによるものである。そして、この減衰の割合は高
周波成分での減衰の割合と等しい。このため、低周波成
分の周期TL 内で微分ノイズVZLの変化ΔVZL(1)、
ΔVZL(2)、…ΔVZL(i)、…などから VZL(1)=N・exp(−t1/τ) (11) VZL(2)=N・exp(−t2/τ) (12) の様にして、正確に切換え当初の微分ノイズN、時定数
τを算定することができる。
【0028】以上の演算はマイクロプロセッサ21に格
納されたデ−タと演算プログラムにより実行することに
よりサンプリング時点iでの微分ノイズの大きさが確定
できる。同様にして、マイクロプロセッサ21によりこ
の微分ノイズを用いて高周波の周期TH でサンプリング
して内部に格納されたサンプリングデ−タから微分ノイ
ズを除去し、さらに例えばサンプリング信号SMPHの
隣り合うタイミングでサンプリングされたデ−タの差を
求めることにより直流成分Vdを除去して流量信号成分
Vsのみを算出することができる。
【0029】以上の説明では、高周波の周期TH と低周
波の周期TL とを固定して説明したが、実際には微分ノ
イズの時定数τは数ms〜数10sの範囲で変化するの
でこの微分ノイズの変化をチエックして低周波の周期T
L をマイクロプロセッサ21で最適の大きさに切り換え
るようにしても良い。これは、ノイズ時定数が大きい場
合には必要な精度を得るためには周期TL を大きくしな
ければならないが、周期TL を大きくすると微分ノイズ
を算出するのに時間がかかり過ぎ流量変化に対する高速
のレスポンスが出来なくなるので、周期TL をマイクロ
プロセッサ21で切り換え実際の流体に最適な条件を選
定するためである。
【0030】また、本発明は電磁流量計の検出部、増幅
器の構成によって制限されない。したがって、図3に示
すように測定流体を流す導管として絶縁性の導管23と
して構成しこの外部に測定流体Qとは絶縁して検出電極
24、25を配置した容量検出形の検出器とし、この検
出電極で検出された電圧は高入力インピ−ダンスの差動
増幅器26で受信する構成としても良い。
【0031】特に、本発明では信号周波数を高くするこ
とができるので容量検出形の検出器としても信号検出が
容易になる。なお、図1では微分ノイズの減衰波形を指
数関数として説明したが、これに限らず減衰波形を例え
ば時間に関する多項式で近似して計算するようにしても
良い。
【0032】さらに、図2では低周波分と高周波分の波
形を乗算的に合成した波形の励磁電流として説明した
が、図4(a)に示す励磁電流の様に同図(b)の高周
波電流と同図(c)に示す低周波電流を加算的に合成し
た波形の励磁電流を励磁コイル14に流しても良い。な
お、本発明によれば高周波の励磁が可能になるので、励
磁電力を低減することができ2線式の電磁流量計として
も実現できる。
【0033】図5は図1に示す構成をベ−スしてこれを
更に具体化した演算を説明する波形図である。図5
(a)は時間スケ−ルを、図5(b)はサンプリング手
段で電圧をサンプリングするサンプルタイミングを、図
5(c)は励磁電流I3の波形を、図5(d)は励磁電
流I3を切り換える高周波のタイミングを、図5(e)
は励磁電流I3を切り換える低周波のタイミングを、図
5(f)は測定流体内に発生するピ−ク値がEn の高周
波のノイズ起電力en0 H を、図5(g)は測定流体内に
発生するピ−ク値がEn の低周波のノイズ起電力en0 L
を、図5(h)は電極間に発生する高周波の微分ノイズ
nHを、図5(i)は電極間に発生する低周波の微分ノ
イズenLをそれぞれ示している。
【0034】まず、図5を用いて説明する前に、電極間
に発生するノイズ起電力について図9、図10を用いて
説明する。図9に示す等価回路において電極11と12
を結ぶ線に対して上流側、下流側の測定流体中に発生す
るノイズ起電力e1 、e2 の和をen0とし、ノイズ起電
力e1 、e2 の上流側と下流側とに非対称性(非対称度
β)が生じると、電極11と12との間には次式で示す
微分ノイズen (t)が発生する。この微分ノイズen
(t)は、図9を書き替えた図10に示す回路を参照し
て、ラプラス変換及びラプラス逆変換を実行することに
より計算することができる。
【0035】
【数1】
【0036】但し、 K1 =[(βC2 −C1 )/(1+β)(C1 +C2 )] −[(βR1 −R2 )/(1+β)(R1 +R2 )] (14) K2 =C1 2 (R1 +R2 )/(C1 +C2 ) (15) K3 =(βR1 −R2 )/(1+β)(R1 +R2 ) (16) ここで、Aは各時間領域で微分ノイズの連続条件を満た
すように決定する初期値である。
【0037】(13)式の第1項は測定流体中に発生す
るノイズ起電力en0に比例して生じる値であり、第2項
はこのノイズ起電力en0の積分を含んでいる。従って、
第1項はノイズ起電力en0がゼロのサンプルタイミング
でサンプリングすることにより除去することが可能であ
るが、第2項以下は積分を含むので除去できない。そこ
で、励磁電流が定常状態でノイズ起電力がゼロの状態の
ときに信号のサンプリングを実行することとして第1項
を無視して以下の説明をする。
【0038】マイクロプロセッサ21はタイミング信号
Ts3を励磁回路22に与えて図5(c)に示すような
低周波と高周波の2種類の周波数を含む励磁電流I3を
励磁コイル14に流す。従って、この励磁電流I3は図
5(d)、(e)に示す高周波成分と低周波成分を含ん
でいることとなり、これが測定流体に磁場として印加さ
れる。このため、測定流体中には図5(c)に示す波形
と相似の波形を持つ信号電圧Vsとノイズ起電力en0
発生するが、いずれも図5(d)、(e)に示す高周波
成分と低周波成分を含んでいる。この測定流体中に発生
するノイズ起電力en0は図5(f)に示す高周波成分e
n0 H と図5(g)に示す低周波成分en0 L の2つに分離
して考えることができる。
【0039】電極11、12を結ぶ線に対して上流側と
下流側に非対称性が存在すると、図9に示す等価回路か
ら分かるように、この等価回路は所定の時定数を有する
ので、後述するように、電極間には測定流体中に発生す
るノイズ起電力en0の高周波成分en0 H (図5(f))
と低周波成分en0 L (図5(g))に対応して、それぞ
れ図5(h)に示すような高周波の微分ノイズen H
図5(i)に示すような低周波の微分ノイズen L が発
生する。
【0040】いま、簡単のため、図5(c)に示すよう
に励磁電流I3の立ち上げ、立ち下げを既知の一定の割
合trで変化させる場合を前提として説明する。そうす
ると、励磁電流が一定の割合trで変化している期間の
み一定のノイズ起電力+En、−En が発生する(図5
(f)、(g))。
【0041】そこで、これ等のノイズ起電力en0 H 、e
n0 L をそれぞれ式(13)に代入し高周波成分について
は連続条件、低周波成分については微分ノイズが充分に
減衰した後でノイズ起電力が反転するという条件を用い
て電極11、12間に現れる微分ノイズen H 、en L
を求めると以下の式(17)〜式(22)を得る。この
ときの微分ノイズen H 、en L が図5(h)、(i)
に示してある。
【0042】まず、高周波成分の微分ノイズen H は、
Tを高周波の周期として、0≦t≦te1 では、 en H =En 1 (1−e-t/k2 ) +En 1 -(T/2)/k2 (1−etr/k2 )e-t/k2 /(1+e-(T/2)/k2 ) (17) te1 ≦t≦T/2では、 en H =En 1 (1−e- Δt/K2)e-(t-tr)/k2/(1+e-(T/2)/k2 ) (18) T/2≦t≦te2 では、 en H =−En 1 (1−e-(t-(T/2))/k2 ) −En 1 -(T/2)/k2 (1−etr/k2 )e-(t-(T/2))/k2 /(1+e-(T/2)/k2 ) (19) te2 ≦t≦Tでは、 en H =−En 1 (1−e-tr/k2)e-(t-tr)/k2 /(1+e-(T/2)/k2 ) (20) となる。
【0043】一方、低周波成分の微分ノイズen L は、
0≦t≦te1 では、 en L =En 1 (1−e-t/k2 ) (21) te1 ≦t≦(2n+1)Tでは、 en L =−En 1 (1−e-tr/k2)e-(t-tr)/k2 (22) 低周波成分の微分ノイズen L の後半の半周期について
も、ここでは省略するが、同様にして求めることができ
る。
【0044】励磁電流I3が定常値になったタイミング
1 、T2 、nT1 、nT2 、2nT1 、2nT2
…、で電極11、12間の電圧をサンプリングすると、
そのサンプリング電圧は流量信号es、電極直流ノイズ
D 、低周波成分の微分ノイズen L 、高周波成分の微
分ノイズen H の重畳したものとなる。微分ノイズ成分
n については式(17)〜式(22)を用いて図6の
微分ノイズen の欄で演算番号1、2、4、5、7、8
に示す結果を得る。これ等の演算は、マイクロプロセッ
サ21を用いて内蔵するメモリに格納された演算手順に
従って演算される。
【0045】第1に、低周波の半周期(2n+1)Tの
中で流量が一定とみなせる場合について説明する。つま
り、es(T1)=es(nT1)=es(2nT1)
の場合である。高周波の周期T内では電極直流ノイズe
D は一定とみなしてサンプル電圧et1とet2との差(e
t1−et2)はeT として演算番号3に示すようにマイク
ロプロセッサ21により演算される。同様にして、サン
プル電圧enT1 とent2 の差(enT1 −ent2 )はent
として演算番号6に、サンプル電圧e2nT1とe2nT2の差
(e2nT1とe2nT2)はe2nTとして演算番号9にそれぞ
れ演算されてある。
【0046】次に、これ等の電圧eT 、enT、e2nT
用いてこれ等相互の比率を演算すると次のようになる。 (eT −enT)/(enT−e2nT )=enT/K2 (23) すなわち、
【0047】
【数2】 を得る。
【0048】この(24)式から微分ノイズの時定数K
2 を知ることができる。さらに、この(24)式の結果
を(eT −enT)(演算番号3、6の差)に示す式に代
入することにより、高周波成分en H と流量信号(es
(T)=es(nT))は除去されかつtrは既知なの
で、この中には低周波成分のみが含まれ、微分ノイズの
パラメ−タEn 1 を算定することができる。流量信号
esは、高周波の各周期ごとに、K2 、En 1 を用い
て演算番号3に示すeT から求めることができる。な
お、微分ノイズのパラメ−タK2 、En 1 は低周波の
半周期ごとにその時点の測定流体、電極状態により修正
される。
【0049】第2に、低周波の周期内で電極直流ノイズ
が一定とみなせる場合について説明する。つまり、eD
(T1)=eD (T2)=eD (nT1)=eD (nT
2)=eD (2nT1)=eD (2nT2)とみなせる
場合である。この場合は、低周波の周期内で高周波周期
のゼロ励磁の状態同志のサンプリング電圧間の差を求め
る。
【0050】サンプリングタイミングでいえば、図5
(b)に示すT2、nT2、2nT2の各タイミングで
サンプリングされた電圧eT2(図6、演算番号2)、e
nT2 (図6、演算番号5)、e2nT2(図6、演算番号
8)を用いてこれ等の相互の差(eT2−enT2 )、(e
nT2 −e2nT2)を求め、(23)式、(24)式と同様
にして微分ノイズのパラメ−タK2 、En 1 を求める
ことができる。このようにして得られたK2 、En 1
を図6の演算番号3に示すサンプル電圧eT (=e n
d +es )に代入して高周波の周期Tで流量信号es
を得る。
【0051】以上の演算によるノイズ除去は図3に示す
ような容量検出形の電磁流量計にも適用することができ
る。また、低周波の半周期(2n+1)Tの中で流量が
一定とみなせる場合(es(T)=es(nT)=es
(2nT))については、既述のように(24)式で算
出された時定数K2 、微分ノイズのパラメ−タE
n 1 、演算番号3に示す式を用いて流量信号esを求
めることができるし、また低周波の周期内で電極直流ノ
イズが一定とみなせる場合については、(eT2
nT2 )、(enT2 −e2n T2)を演算し、(23)式、
(24)式と同様にして微分ノイズのパラメ−タK 2
n 1 を求め、これを演算番号3に示すサンプル電圧
T に代入して流量信号esを求めることができる。
【0052】しかし、これ等の演算ではそれぞれ流量が
所定期間で一定、或いは電極直流ノイズが所定期間で一
定等の条件が満足されたときに成立するものであるが、
測定流体の状況によってこれ等の演算を測定状態に適合
するように切り換える切換手段をマイクロプロセッサ2
1に設けることによって適用範囲をさらに拡張させるこ
とができる。
【0053】
【発明の効果】以上の各実施例によれば、微分ノイズの
広範囲の変化に対してこれに対応して低周波の励磁成分
の周期を変更して微分ノイズを算出することが出来るの
で、高周波の励磁周波数を高くしても高周波成分の中に
含まれる微分ノイズをこの算出された微分ノイズを用い
て高周波をベ−スとして除去することができる。したが
って、信号周波数が高くなる分だけ流量の変化に対する
応答が速くなる。また、電磁流量計で発生する流体に含
まれる固形物などによるスラリ−ノイズ、低導電率流体
が移動するときに発生する流体ノイズ、低レベル信号を
受信する入力アンプのポップコ−ンノイズなどのノイズ
スペクトラムは1/fの周波数特性を持つので励磁周波
数を高くして信号周波数を高周波化するとS/Nを改善
することが可能となる。また、逆に従来の低周波励磁と
同じS/Nレベルとするならノイズ低減の効果により信
号レベルを小さくできるので励磁電力の低減が可能とな
り例えば2線式電磁流量計も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の1実施例の構成を示す構成図で
ある。
【図2】図2は図1に示す実施例の動作を説明する波形
図である。
【図3】図3は本発明の第2の実施例の構成を示す構成
図である。
【図4】図4は本発明の他の励磁方式を説明する波形図
である。
【図5】図5は図1に示す実施例を更に具体的に説明す
る波形図である。
【図6】図6は図5に示す実施例における演算を説明す
る演算図である。
【図7】図7は従来の電磁流量計の構成を示す構成図で
ある。
【図8】図8は図7に示す電磁流量計の動作を説明する
波形図である。
【図9】図9は図7に示す電磁流量計の問題点を説明す
る説明図である。
【図10】図10は図9に示す説明図における等価回路
を示す等価回路図である。
【符号の説明】
10、23 導管 11、12、24、25 検出電極 14 励磁コイル 15、22 励磁回路 17 サンプリング回路 19、21 マイクロプロセッサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】励磁コイルに高周波電流とこれより低い周
    波数の低周波電流を重畳して流し測定流体にこれ等の複
    合磁場を印加する励磁手段と、この高周波電流における
    高周波のタイミングにより前記測定流体に発生した電圧
    をサンプリングしてサンプリングデ−タとして出力する
    サンプリング手段と、前記低周波電流における低周波の
    周期内でこのサンプリングデ−タの時系列的変化を用い
    て前記測定流体の流量に無関係なノイズ成分を算出する
    ノイズ演算手段と、このノイズ成分と前記サンプリング
    デ−タとを用いてノイズの影響を受けない流量信号を演
    算する流量演算手段とを具備することを特徴とする電磁
    流量計。
  2. 【請求項2】励磁コイルに高周波電流とこれより低い周
    波数の低周波電流を重畳して複数の定常励磁レベルを繰
    返す励磁電流を流し測定流体にこれ等の複合磁場を印加
    する励磁手段と、この高周波電流における前記定常励磁
    レベルのタイミングにより前記測定流体に発生した電圧
    をサンプリングしてサンプリングデ−タとして出力する
    サンプリング手段と、高周波周期内の異なる励磁レベル
    間の前記サンプリング手段によりサンプリングされたサ
    ンプル電圧の差を演算して第1差電圧を出力する第1差
    電圧演算手段と、前記低周波の周期内で繰り返される少
    なくとも2つの前記第1差電圧相互間の差の第1比率を
    演算する第1比率演算手段と、前記第1比率を用いて微
    分ノイズのパラメ−タを算出する第1パラメ−タ演算手
    段と、算出された前記パラメ−タを用いて高周波の各周
    期で前記測定流体の流量を演算する流量演算手段とを具
    備することを特徴とする電磁流量計。
  3. 【請求項3】励磁コイルに高周波電流とこれより低い周
    波数の低周波電流を重畳して複数の定常励磁レベルを繰
    返す励磁電流を流し測定流体にこれ等の複合磁場を印加
    する励磁手段と、この高周波電流における前記定常励磁
    レベルのタイミングにより前記測定流体に発生した電圧
    をサンプリングしてサンプリングデ−タとして出力する
    サンプリング手段と、高周波のサンプル電圧のうちゼロ
    励磁のときのサンプル電圧と同一低周波周期内の他のゼ
    ロ励磁のときのサンプル電圧との差を演算して第2差電
    圧を出力する第2差電圧演算手段と、前記低周波の周期
    内で繰り返される少なくとも2つの前記第2差電圧相互
    間の差の第2比率を演算する第2比率演算手段と、前記
    第2比率を用いて微分ノイズのパラメ−タを算出する第
    2パラメ−タ演算手段と、算出された前記パラメ−タを
    用いて高周波の各周期で前記測定流体の流量を演算する
    流量演算手段とを具備することを特徴とする電磁流量
    計。
  4. 【請求項4】適用される測定流体あるいは電極の状態に
    応じて前記第2請求項あるいは前記第3請求項に記載し
    た演算を切り換える切換手段を具備することを特徴とす
    る電磁流量計。 【0001】
JP731691A 1990-08-27 1991-01-24 電磁流量計 Pending JPH075004A (ja)

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JP22491690 1990-08-27
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1464930A3 (en) * 2003-04-02 2007-03-14 ABB Limited Electromagnetic flow meter
JP2011033491A (ja) * 2009-08-03 2011-02-17 Yokogawa Electric Corp 電磁流量計
JP2015198276A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 株式会社ケーヒン 電圧検出装置
JP2020034557A (ja) * 2018-08-27 2020-03-05 フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフトVolkswagen Aktiengesellschaft アナログデジタル変換のための方法および装置ならびに電気的ネットワーク

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