JP2005135723A - 電極用複合粉末及びその製造方法 - Google Patents

電極用複合粉末及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池及びキャパシタの重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させずに電極の高出力化を達成するための普遍的且つ簡便な手段を提供する。
【解決手段】電極活物質どうしが導電材を介して接合してなる電極用複合粉末であって、
(1)電極用複合粉末中の導電材含有量が0.01〜30重量%であり、
(2)100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)50mlを入れて、長さ3cm、中心部断面直径5mmの回転子を毎分600回転させて5分間撹拌しても電極活物質と導電材との接合が剥離しないことにより定義される接合強度を有する
ことを特徴とする電極用複合粉末及びその製造方法に係る。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極用複合粉末及びその製造方法に関する。
近年の多様な機器及びシステムの発展により、動力源としての電池等(一次電池、二次電池、燃料電池、キャパシタ等)の高性能化の要求が益々高くなってきている。
例えば、リチウム二次電池は、近年、携帯通信機器、ノート型パソコン等の電子機器の電源を担う高エネルギー密度の二次電池として広く普及している。また、環境負荷低減の観点から、自動車のモーター駆動用バッテリーとしても期待されている。そして、これら機器の高性能化に応え得る高出力及び高エネルギー密度のリチウム二次電池の開発・実用化が求められている。
ところで、特に車載用のリチウム二次電池には、高電流密度での良好な充放電特性が要求されているが、高電流密度で充放電を繰り返した場合には、電池容量が低下するという問題がある。この原因としては、高電流密度で充放電を繰り返した際のリチウム脱離・挿入に伴う電極活物質の膨張・収縮によって、導電材の分布が不均一になることが考えられている(非特許文献1)。そして、この問題を改善するために、例えば、1)電極活物質を微粒化して電極内のリチウムイオンの拡散距離を短くすることにより活物質の利用率を上げる、2)電極活物質に導電材を被覆又は接合することにより、導電材の分布の不均一を緩和する、等の方策が試みられている。
車載用リチウム二次電池に関しては、特に最近、次世代電池の電極活物質として盛んに研究されているリン酸鉄リチウムが、理論容量170mAh・g-1と大きいものの、電子伝導性が低いために電極活物質の利用率が低く、低電流密度での充放電しか行えないという問題が指摘されている。
この問題に対し、前記1)の微粒化の試みがなされているが、微粒化により活物質のタップ密度が低下するため、電極合剤中における活物質の占める割合が低下して、結果的に電池の重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度の低下が指摘されている。
また、前記2)の試みに関して、非特許文献2には、オリビン型構造の含リチウム化合物を対象として、電極活物質を合成する前後に有機物を混合し、焼成により炭素を含む活物質を得ることが記載されている。しかしながら、2)の試みでは合成中に電極活物質が還元雰囲気に晒されるため、還元雰囲気に比較的安定なオリビン型構造化合物(低価数の遷移金属イオンを含む)には適用可能であるが、高価数の遷移金属イオンを含む他の多くの含リチウム化合物では、遷移金属イオンの価数が低下して目的の電極活物質が得られない。従って、2)の試みは、広範な電極活物質に適用できないため汎用性が低い。
X.Zhang, P.N.Ross,Jr., R.Kostecki, F.Kong,S.Sloop, J.B.Kerr, K.Striebel, E.J.Cairns,and F.McLarnon, J.Electrochem.Soc.,148,A463(2001). Z.Chen and J.R.Dahn, J.Electrochem.Soc.,149,A1184(2002).
本発明は、電池及びキャパシタの重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させずに電極の高出力化を達成するための普遍的且つ簡便な手段を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の製造方法により得られた電極用複合粉末が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の電極用複合粉末及びその製造方法に係る。
1.電極活物質どうしが導電材を介して接合してなる電極用複合粉末であって、
(1)電極用複合粉末中の導電材含有量が0.01〜30重量%であり、
(2)100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)50mlを入れて、長さ3cm、中心部断面直径5mmの回転子を毎分600回転させて5分間撹拌しても電極活物質と導電材との接合が剥離しないことにより定義される接合強度を有する
ことを特徴とする電極用複合粉末。
2.電極活物質が、1)オリビン型構造の含リチウム化合物、2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物、及び3)スピネル型構造の含リチウム化合物から選ばれる少なくとも1種の正極活物質である上記項1記載の電極用複合粉末。
3.電極活物質が、リン酸鉄リチウム;コバルト、マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸鉄リチウム;リン酸コバルトリチウム;マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸コバルトリチウム;リン酸マンガンリチウム;ニッケルを固溶したリン酸マンガンリチウム;リン酸ニッケルリチウム;ニッケル酸リチウム;コバルトを固溶したニッケル酸リチウム;コバルト酸リチウム;鉄酸リチウム;チタン、マンガンの少なくとも1種を固溶した鉄酸リチウム;チタン酸リチウム;マンガン酸リチウム;及びクロムを固溶したマンガン酸リチウムから選ばれる少なくとも1種の正極活物質である上記項1記載の電極用複合粉末。
4.電極活物質が、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、インジウムを固溶した酸化錫、インジウム−錫合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金から選ばれる少なくとも1種の負極活物質である上記項1記載の電極用複合粉末。
5.導電材が、炭素、炭素基導電化合物、鉄、鉄を含む合金、銅、銅を含む合金、アルミニウム、アルミニウムを含む合金、酸化鉄及び酸化鉄を端成分とする固溶体から選ばれる少なくとも1種である上記項1〜4のいずれかに記載の電極用複合粉末。
6.上記項1〜5のいずれかに記載の電極用複合粉末を用いてなる一次電池、二次電池、燃料電池又はキャパシタ。
7.電極活物質及び導電材の混合粉末を、電子伝導性型材内に充填するか又は電子伝導性型材により被覆後、通電焼結法により、導電材を介して電極活物質どうしを接合することを特徴とする電極用複合粉末の製造方法。
8.電子伝導性型材が、炭素、鉄、酸化鉄、銅、アルミニウム、タングステンカーバイド並びに炭素及び/又は酸化鉄に窒化珪素を混合した混合物の少なくとも1種から形成されている上記項7記載の製造方法。
本発明の電極用複合粉末(特に、正極活物質を用いた粉末)は、リチウム二次電池の正極材料として有用である。本発明の電極用複合粉末を正極材料として用いたリチウム二次電池は、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有する。即ち、高出力化の要請に応え得る二次電池の作製が可能であり、特に車載用のモーター駆動用電源等の用途に好適に利用できる。また本発明の電極用複合粉末は、リチウム二次電池以外の二次電池、一次電池、燃料電池及びキャパシタの分野でも好適に利用できる。
本発明の製造方法によれば、上記特性を有する電極用複合粉末を普遍的且つ簡便に製造
できる。
電極用複合粉末
本発明の電極用複合粉末は、電極活物質どうしが導電材を介して接合してなる電極用複合粉末であって、
(1)電極用複合粉末中の導電材含有量が0.01〜30重量%であり、
(2)100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)50mlを入れて、長さ3cm、中心部断面直径5mmの回転子を毎分600回転させて5分間撹拌しても電極活物質と導電材との接合が剥離しないことにより定義される接合強度を有する
ことを特徴とする。
以下、本発明の電極用複合粉末について、特にリチウム二次電池用電極用複合粉末を具体例に挙げて説明する。
(電極活物質)
電極活物質としては特に限定されず、従来、電池及びキャパシタ用として一般に用いられている正極・負極活物質が使用できる。
リチウム二次電池用電極活物質で具体例を挙げれば、正極活物質としては、例えば、
1)オリビン型構造の含リチウム化合物、
2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物
3)スピネル型構造の含リチウム化合物
等が挙げられる。
具体的には、1)オリビン型構造の含リチウム化合物としては、例えば、リン酸鉄リチウム;コバルト、マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸鉄リチウム;リン酸コバルトリチウム;マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸コバルトリチウム;リン酸マンガンリチウム;ニッケルを固溶したリン酸マンガンリチウム、リン酸ニッケルリチウム等が挙げられる。
2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物としては、例えば、ニッケル酸リチウム;コバルトを固溶したニッケル酸リチウム;コバルト酸リチウム;鉄酸リチウム;チタン、マンガンの少なくとも1種を固溶した鉄酸リチウム;チタン酸リチウム等が挙げられる。
3)スピネル型構造の含リチウム化合物としては、例えば、マンガン酸リチウム;及びクロムを固溶したマンガン酸リチウム等が挙げられる。これらの正極活物質は単独又は2種以上を混合して使用できる。
負極活物質としては、例えば、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、インジウムを固溶した酸化錫、インジウム−錫合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金等が挙げられる。これらの負極活物質は単独又は2種以上を混合して使用できる。
上記した電極活物質は公知のもの又は市販品を使用できる。電極活物質の製造方法は特に限定されない。例えば、正極活物質の一つであるリン酸鉄リチウムは、シュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)、リン酸水素二アンモニウム((NH42HPO4)及び炭酸リチウム(Li2CO3)を固相反応させる方法、水酸化リチウム(LiOH)及び硝酸
鉄(FeNO3)をアスコルビン酸(C686)及びリン酸(H3PO4)溶液中でsol−gel反応させる方法等により製造できる。
電極活物質の平均粒子径は特に限定的ではないが、通常0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μm程度である。
(導電材)
導電材(電子伝導性粉末)としては、常温下で電子伝導性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、炭素、炭素基導電化合物、鉄、鉄を含む合金、銅、銅を含む合金、アルミニウム、アルミニウムを含む合金、酸化鉄及び酸化鉄を端成分とする固溶体等が挙げられる。これらの導電材は単独又は2種以上を混合して使用できる。
上記の導電材のうち、炭素基導電化合物とは、主としてベンゼン骨格等の電子伝導経路を有し、炭素を主成分とする化合物である。例えば、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン等が挙げられる。
合金のうち、鉄を含む合金としては、例えば、Fe−Cr合金、Fe−Ni合金、Fe−Mg合金等が挙げられる。銅を含む合金としては、例えば、Ni−Cu合金、Cu−Sn合金、Cu−Zn合金等が挙げられる。アルミニウムを含む合金としては、例えば、Al−Zn合金、Al−Cu合金、Al−Mg合金等が挙げられる。合金中の各成分の割合は特に限定されず、適宜設定できる。
酸化鉄を端成分とする固溶体としては、例えば、酸化鉄にZn、Mn、Ni、Al、Ti、Co等を固溶させたものが挙げられる。固溶量は特に限定されず、適宜設定できる。
導電材の製造方法は特に限定されない。例えば、炭素粉であれば、アセチレンを高温で分解する方法により製造できる。勿論、市販の黒鉛粉等も使用できる。その他の導電材についても同様である。
導電材の平均粒子径は特に限定的ではないが、通常0.005〜10μm、好ましくは0.01〜1μm程度である。
電極用複合粉末中における導電材含有量は0.01〜30重量%であり、その中でも特に0.02〜25重量%が好ましい。
(電極活物質と導電材との接合強度)
本発明の電極用複合粉末において、電極活物質と導電材との接合強度は、100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)50mlを入れて、長さ3cm、中心部断面直径5mmの回転子を毎分600回転させて5分間撹拌しても剥離しないことにより定義される。
尚、電極活物質と導電材との接合強度は、上記の撹拌試験に基づく定義を満たすとともに、下記の要件についても満たすことが好ましい。
(1)100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び比重0.8〜2である金属塩を含む水溶液又は有機溶媒50mlを入れて、長さ3cm、中心部断面直径5mmの回転子を毎分600回転させて5分間撹拌しても剥離しないこと。
有機溶媒としては、エタノール等のアルコール類、ヘキサン等のパラフィン類等が挙げられる。金属塩としては、ヨウ化リチウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらを組み合わせることにより、比重が0.8〜2の溶液を調製すればよい。溶液の最適比重は電極活物質及び導電材の比重、粒径等により異なるが、例えば、平均粒径約2μm、比重約3g/cm3の電極活物質、平均粒径約50nm、比重約2g/cm3の導電材の場合には、
比重約0.9g/cm3とすればよい。
(2)100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び比重0.8〜2である金属塩を含む水溶液、有機溶媒又は水/エタノール混合溶液(体積比率1:99〜99:1)50mlを入れて、40W出力の超音波を1分間照射しても剥離しないこと。
(3)100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び比重0.8〜2である金属塩を含む水溶液、有機溶媒又は水/エタノール混合溶液(体積比率1:99〜99:1)50mlを入れて、5分間遠心分離しても剥離しないこと。
また、電極活物質と導電材との接合強度は、例えば、下記のように、電極用複合粉末の粒径分布及びタップ密度からも評価できる。
(4)電極用複合粉末の粒径分布から接合強度を評価する場合には、複合化前の電極活物質の粒径分布からみた複合化後の電極用複合粉末の粒径分布における、大粒子側の分布の増大及び平均粒径の増大を調べることにより評価できる。粒径分布の観点からは、複合化前の粒径分布の大粒子側に新たな粒径分布が生じて、平均粒径が複合化と比較して10%以上増大していることが好ましい。平均粒径の増大は、電極活物質が導電材を介して凝集・結合したこと、即ち、粒径測定の際に1粒子としてカウントできる程度に強固に接合したことを示している。つまり、平均粒径が有意差と認められる10%以上に増大していることにより、電極用複合粉末が形成されており、本発明の定義を満たす接合が形成されているものと評価できる。
(5)タップ密度により接合強度を評価する場合には、電極用複合粉末のタップ密度と、同一配合組成の混合物のタップ密度との比較により間接的に評価できる。タップ密度の増大は、電極活物質が導電材を介して圧縮・結合し、1粒子としての程度を示す程度に強固に結合したことを示している。つまり、タップ密度に有意差と認められる5%以上の増大があれば、本発明の定義を満たす接合が形成されているものと評価できる。
電極用複合粉末の用途
本発明の電極用複合粉末は、例えば、一次電池、二次電池、燃料電池等の電極用複合粉末として使用できる。またキャパシタ用電極用複合粉末としても有用である。
より具体的に、有機電解液系電池に適用する場合には、例えば、金属箔(又は金属メッ
シュ)上に本発明の電極用複合粉末からなる層を形成して正極シート及び負極シートを得
た後、それらの複合粉末層で電解液を染み込ませたセパレータを挟むことにより、高電流密度で高容量を示す充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を作製できる。尚、電極用複合粉末にバインダー(例えば、ポリビニリデンフルオライド等)を混練することにより、より容易に金属箔(又は金属メッシュ)上に電極用複合粉末層を形成できる。
電極用複合粉末の製造方法
本発明の電極用複合粉末の製造方法は特に限定的ではないが、例えば、電極活物質及び導電材の混合粉末を、電子伝導性型材内に充填するか又は電子伝導性型材により被覆後、通電焼結法により、導電材を介して電極活物質どうしを接合することにより製造できる。
電極活物質と導電材との混合比としては、導電材の量を、電極活物質及び導電材の合算量の0.01〜30重量%とすればよく、0.02〜25重量%が好ましい。導電材の量が0.01重量%未満では、電極活物質の電子伝導性の向上が不十分となり、良好な充放電サイクル特性が得られないおそれがある。30重量%以上では、電極合剤中に占める電極活物質の重量比率及び体積比率の低下に伴って、電池の重量出力密度及び体積出力密度が低下するため好ましくない。
(通電焼結法)
通電焼結法(通電接合法)としては、例えば、放電プラズマ焼結法、放電焼結法、プラズマ活性化焼結法等と称される直流パルス電流を通電する加圧焼結法であればよい。具体
的には、所定形状の治具に電極活物質及び導電材の混合粉を充填し、加圧下において、これにパルス状ON−OFF直流電流を通電できる装置を利用できる。以下、電極活物質及び導電材の混合粉末を、電子伝導性型材内に充填後、通電焼結する場合について具体的に説明する。
電子伝導性型材としては、電子伝導性を有するものであれば特に限定されず、炭素、鉄、酸化鉄、銅、アルミニウム、タングステンカーバイド並びに炭素及び/又は酸化鉄に窒化珪素を混合した混合物の少なくとも1種から形成されているものを好適に使用できる。
電子伝導性型材に直流パルス電流を印加することにより、充填された混合粉の粒子間隙に生じる放電現象を利用して、放電プラズマ、放電衝撃圧力等による粒子表面の浄化活性化作用及び電場により生じる電界拡散効果やジュール熱による熱拡散効果、加圧による塑性変形圧力等が粒子接合の駆動力となって電極活物質どうしが導電材を介して接合される。具体的には、パルス電流の印加により、導電材の一部が気化して電極活物質表面に付着(被覆)し、そこに粒子の状態の導電材が接着し、これらが連続して起こることで電極活物質が導電材を介して強固に接合する。電極活物質の焼結も極一部で起こると考えられるが、導電材が存在しているため、電極活物質どうしが隣接して焼結するよりも導電材を介して接合していく場合が殆どと考えられる。
通電焼結を行う装置としては、電極活物質及び導電材の混合粉を加熱・冷却・加圧等することが可能であり、放電を起こす電流が印加できるものであれば特に限定されない。例えば、市販の通電焼結装置(放電プラズマ焼結装置)が使用できる。このような通電焼結装置及びその原理は、例えば、特開平10−251070号公報等に開示されている。
以下に放電プラズマ焼結機の模式図を示した図8を参考にしながら、電極複合材料の製造方法の具体例を説明する。
放電プラズマ焼結機1は、試料2が装填されるダイ3と上下一対のパンチ4及び5とを有する。パンチ4及び5は、それぞれパンチ電極6及び7に支持されており、このパンチ電極6及び7を介して、ダイ3に装填された試料2に必要に応じて加圧しながらパルス電流を供給することができる。ダイ3の素材は限定されず、例えば、黒鉛等の炭素材料が挙げられる。
ダイ3に装填する試料2としては、電極活物質及び導電材の混合粉が挙げられる。電極活物質及び導電材の混合比は、前記の通り、両者の合算量に対して、導電材が0.01〜30重量%程度となるようにするのが好ましい。電極活物質の導電性が十分に向上し、しかも電極活物質の体積・重量あたりのエネルギー密度の低下が抑制されるからである。混合粉に与える電流の種類としてはパルス電流が好ましい。パルス通電を行うことにより、電極活物質及び導電材並びにその近傍(ダイ3及び上下部パンチ4及び5)が加熱され、その加熱及びパルス電流の両方の効果により、導電材を介して電極活物質どうしが強固に接合する。
電流を供給する際の条件としては、本発明所定の結合強度を有するように導電材を介して電極活物質どうしが接合できれば特に限定されない。電極活物質及び導電材に圧力をかけて(加圧下に)パルス電流を供給することが好ましい。圧力としては、例えば、5〜60MPa程度、好ましくは10〜50MPa程度である。5MPa未満の加圧力では電極活物質と導電材との接合が不十分となり、60MPaを超える加圧力では電極活物質の分解等が促進されるために好ましくなく、10〜50MPa程度の加圧力が好適である。
また、混合粉に電流を供給する際のダイ3の温度は、電極活物質および導電材の種類及
びその粒径等に応じて適宜選択することができるが、通常200〜800℃、好ましくは300〜700℃程度である。200℃未満では電極活物質と導電材との接合が不十分となる場合がある。800℃以上では導電材又は電子伝導性型材の還元効果による電極活物質の分解等が起こるため好ましくない。従って、300〜700℃程度の加熱が好適である。
加熱のために印加するパルス電流は、例えばパルス幅2〜3ミリ秒程度で、周期は3Hz〜300kHz程度のパルス状ON−OFF直流電流を用いればよい。電流値は型材の種類及び大きさにより異なるが、例えば内径15mmの黒鉛型材を用いた場合には200〜800A程度、内径100mmの型材を用いた場合には1000〜8000A程度が好適である。処理時は、型材温度をモニターしながら電流値を増減させ、所定の温度を管理できるように電流値を制御すればよい。
このようにして得られた本発明の電極用複合材料は、電極用複合材料に対する導電材の重量比が、1:0.0001〜0.3程度、好ましくは1:0.0002〜0.25程度である。
所定の温度で通電焼結処理を行った混合粉は冷却後、型材から取り出し、乳鉢等で軽く粉砕することにより導電材が接合した電極活物質を回収することができる。多量の接合処理を行う場合には、大きな型材を用い、上記のプロセスをスケールアップすればよい。このようにして電極活物質/導電材接合粉(即ち、電極用複合粉末)が得られる。
上記では、電極活物質及び導電材の混合粉末を通電焼結法で処理して電極用複合粉末を製造する方法について説明した。尚、1)上記した電極活物質及び導電材の混合粉末からなる層を金属箔(又は金属メッシュ)上に形成したシート、前記1)のシートを巻き取って得られるロール状物を通電焼結法で処理する場合には、本発明の電極用複合粉末が金属箔上に層状に付着した電極材料を効率的に製造できる。上記混合粉末にバインダー(例えば、ポリビリニデンフルオライド等)を添加した場合には、金属箔(又は金属メッシュ)上に電極用複合粉末層をより形成し易くなる。バインダーの添加量は特に限定されず、電極活物質及び導電材の種類等に応じて適宜調整すればよい。通常は、バインダーは通電焼結により除去されるが、炭化した状態で残留した場合には、本発明における導電材と同様に取り扱えばよい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(電極活物質の調製)
リン酸二水素リチウム(LiH2PO4)、水酸化リチウム(LiOH)及びシュウ酸鉄二水和物(FeC24・2H2O)を原子比がLi/Fe/P=1.05/1/1となる
ように秤量・混合後、混合物を窒素気流中700℃で10時間焼成した。
焼成により得られた試料のX線回折パターンを図1(a)に示す。ピークは全て斜方晶系のオリビン型リン酸鉄リチウムの単位胞(空間群Pmnb)で指数付けできた。試料の格子定数は、a=6.0165(2)Å、b=10.3434(4)Å、c=4.70083(16)Åであった。
上記格子定数は、既報(A. K. Padhi, K. S. Nanjundaswamy, and J. B. Goodenough, J. Electrochem. Soc., 144, 1188 (1997).)に記載されたリン酸鉄リチウムの格子定数
値a=6.008(3)Å、b=10.334(4)Å、c=4.693(1)Åと近似しており、得られた試料がリン酸鉄リチウムであることを確認した。
(電極用複合粉末の調製)
得られたリン酸鉄リチウム粉末0.4g及びアセチレンブラック0.1gを均一になるまで混合後、内径15mmの黒鉛型材に充填し、通電焼結機内に収容して約30MPaで加圧しながら約700Aのパルス電流を印加した。黒鉛型材近傍は約140℃/分の昇温速度で加熱され、パルス電流印加開始5分後に700℃に到達した。700℃で5分間保持後、電流印加及び加圧を停止して自然放冷した。室温まで冷却後、リン酸鉄リチウム/アセチレンブラック複合体試料を型材から取り出した。
得られた複合体試料のX線回折パターンを図1(b)に示す。2θ=26°近傍にアセチレンブラック由来の幅広のハローが認められ、それ以外のピークは斜方晶系のオリビン型リン酸鉄リチウムの単位胞(空間群Pmnb)で指数付けできた。複合体試料の格子定数は、a=6.0113(16)Å、b=10.3353(3)Å、c=4.69412(12)Åであった。上記格子定数は、前記既報及び通電焼結処理前のリン酸鉄リチウムの格子定数値に近似していた。
複合体試料を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。その結果を図2(b)に示す。図2(b)からは、リン酸鉄リチウム粉(図2(a))どうしがアセチレンブラック粉を介して接合して10μm程度又はそれ以上の凝集体となっていることが分かった。以上より、アセチレンブラック(導電材)を介して接合したリン酸鉄リチウム電極用複合粉末の生成を確認した。
(電極用複合粉末の物性)
電極用複合粉末中のリン酸鉄リチウム/アセチレンブラックの接合強度を調べるため、100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)50mlを入れて、長さ3cm、中心部断面直径5mmの回転子を毎分600回転させて5分間撹拌した(以下、上記撹拌法を、実施例1の撹拌法と記載する場合がある)。その結果を図3(c)に示す。図3(c)の結果では、肉眼による目視観察により電極用複合粉末は殆ど沈降していることが確認された。
参考のため、リン酸鉄リチウムのみを同じ溶液に入れて同条件で撹拌すると、図3(a)が示すように一部が溶液中に浮遊した。またリン酸鉄リチウム及びアセチレンブラックの混合粉を同じ溶液に入れて同条件で撹拌すると、図3(b)が示すように溶液中にリン酸鉄リチウムが浮遊した。当該結果は、通電焼結処理により、リン酸鉄リチウムどうしがアセチレンブラックを介して強固に接合し、沈降したことを示している。
電極用複合粉末の粒径分布をレーザー回折散乱法により測定した結果を図4に示す。尚、点線は粒径の累積度数50%を示し、これと累積粒径分布曲線が交差する粒径(50%径)を平均粒径とした。図4の結果では、リン酸鉄リチウム(図4(a))及びリン酸鉄リチウム/アセチレンブラック混合粉(図4(b))は近似の粒径分布及び平均粒径(50%径)を示している。これに対し、電極用複合粉末(図4(c))では、10μm以上の大粒子の存在比が増大し、平均粒径も1.5μmから3.2μmに約110%増大していた。この結果からも、通電焼結処理により、リン酸鉄リチウム/アセチレンブラック複合体が得られたことが分かる。
リン酸リチウム/アセチレンブラック混合粉のタップ密度は0.6g/cm3であった
が、通電処理後の複合体では0.7g/cm3であった。この結果も、通電焼結処理によ
る複合体生成の事実を支持している。
電極用複合粉末における鉄の価数を、57Fe Mossbauer分光法(図5及び下記表1)
により評価した。得られたスペクトル(●)は、実施例1及び比較例1ともに異性体シフト値の異なる2種類のダブレットA(異性体シフト=+1.22mm/s)及びB(異性体シフト=+0.3−0.4mm/s)の重ね合わせからなる計算スペクトル(実線)によく合致した。成分Aの異性体シフト値はYamada(参考文献1)らの、LiFePO4中の2価鉄成分の値(+1.22mm/s;下記参考文献1)と一致していることか
ら、目的物質であるLiFePO4中の鉄成分と分かる。これに対し、成分Bの異性体シ
フト値はTabuchiらの、LiFeO2中の3価鉄成分の値(+0.37mm/s;
下記参考文献2)に近いことから、試料中に含まれる3価鉄不純物であると解釈できる。両成分の面積比を比較すると、後述する比較例1では、LiFePO4中の鉄成分が96
%程度であるのに対し、実施例1では99%に向上している。この結果は、通電焼結処理により、活物質表面の3価の鉄が還元されて、結果として試料純度が向上したものと解釈できる。
(リチウム二次電池の充放電試験)
電極用複合粉末をリチウム二次電池の正極材料とし、負極としてリチウム金属、集電体としてアルミニウムメッシュ、電解液としてLiPF6をエチレンカルボネート/ジエチ
ルカルボネート混合液に溶解させたものを使用してリチウム二次電池を作製した。次いで、電流34mA/g(0.2C)、カットオフ電位4.0−2.5Vにおける定電流測定により充放電試験を行った。比較のため、正極材料として、通電焼結処理を行わないリン酸鉄リチウム/アセチレンブラック混合粉を用いた場合についても充放電試験を行った。
図6に、リチウム二次電池の充放電特性を示す。電極用複合粉末を用いた場合には、約100mAh/gの充放電容量が得られた。この容量は、通電焼結処理を行わない混合粉を用いた場合の容量(図7)に比べて2倍以上の高容量であり、活物質の利用率が増大(高重量エネルギー密度化)していることを示している。またサイクル毎の充放電容量のバラツキも少なく、10サイクル後でも1サイクル目とほとんど同様の放電容量を示した。このことは、電極活物質が導電材を介して強固に接合して電子伝導性が向上したこと及び通電焼結処理後にFe3+の比率が減少した(図5)こと(参考文献1)に基づくものと考えられる。尚、参考のため、実施例1の撹拌法(撹拌試験)を実施後の電極用複合粉末を用いて同様の充放電試験を行った場合にも、前記同様の放電容量が得られた。これより、所定の撹拌試験において接合が剥離していないことが分かる。
以上より、本発明の電極用複合粉末は、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池の正極材料として好適に使用できることが分かる。
比較例1
実施例1と同様に、リン酸二水素リチウム及びシュウ酸鉄二水和物からリン酸鉄リチウムを合成した。次いで、リン酸鉄リチウム:アセチレンブラック=8:2(重量比)となるように混合した(リン酸鉄リチウム0.4g、アセチレンブラック0.1g)。
混合粉の状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。結果を図2(c)に示す。図2(c)からは、リン酸鉄リチウム表面がそのまま観察でき、アセチレンブラックに覆われていない部分が多く、図2(b)のような凝集体が少ないことが確認された。混合粉をエタノールと水の混合溶液(体積比率1:1)に入れて軽く撹拌すると、図3(b)が示す通り、リン酸鉄リチウムが水中に浮遊し、アセチレンブラックに接合していないものが多いことが分かった。また粒径分布を図4に示す。図4からは、アセチレンブラック混合前と類似の分布及び平均粒径を示していることが分かる。このことは、リン酸鉄リチウムが分散して存在していることを示唆している。
混合粉を、実施例1と同様にリチウム二次電池の正極材料として用いて、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。次いで、実施例1と同様の条件で充放電試験を行った。図7にリン酸鉄リチウム/アセチレンブラック混合粉を正極としたリチウム二次電池の充放電サイクル特性を示す。実施例1の結果と比較すると、充放電容量が50mAh/g以下に減少しており、その値もサイクル毎に低下している。10サイクル後には1サイクル目の60%程度の放電容量であった。
以上より、リン酸鉄リチウム及びアセチレンブラックを混合しただけでは、両者の接合はほとんど形成されておらず、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を作製することは困難であることが分かる。
実施例2
(電極活物質の調製)
0.20molの硝酸ニッケル(II)六水和物(Ni(NO32・6H2O)58.
16g及び0.05molに相当する硝酸コバルト(II)六水和物(Co(NO32・6H2O)14.55gをチタン製ビーカー中に秤量し蒸留水300mlを加え撹拌する
ことにより完全に溶解させ、Ni−Co硝酸塩水溶液(原子比がNi/Co=8/2)を調製した。これに100mlのメタノールを添加後、ビーカーを低温恒温水槽に入れ、溶液温度を−10℃に保った。別のガラス製ビーカーに水酸化カリウム(KOH)50gを秤量し、蒸留水300mlを加えて水酸化カリウム水溶液を調製し、室温まで冷却した後に上述のNi−Co硝酸塩溶液に対して徐々に滴下し、Ni−Co共沈物を得た。
滴下終了時、溶液のpHが11以上になっていることを確認後、チタン製ビーカーを低温恒温水槽より取り出し、小型コンプレッサーにより得られた沈殿に空気を吹き込みつつ室温で数日間沈殿熟成を行った。得られる共沈物を蒸留水にて数回洗浄後濾過し、100℃で12時間乾燥した。得られた共沈物0.25molに対し等モル(Li/(Ni+Co)=1に相当)の水酸化リチウム1水和物10.49gを蒸留水100mlに溶解させることによって調製した水酸化リチウム水溶液を加え、100℃乾燥後、乾燥物を乳鉢にて粉砕後、アルミナルツボ上に薄く敷き詰めて、酸素気流中700℃で20時間焼成した。得られた粉末を粉砕し、330メッシュのふるいを通して評価試料とした。
得られた試料のX線回折パターンを図9(a)に示す。ピークは全て六方晶系の層状岩塩型ニッケルコバルト酸リチウム(LiNi0.8Co0.22)の単位胞(空間群R3m)
で指数付けできた。構造精密化プログラムRIETAN−2000(F. Izumi and T. Ikeda, Mater. Sci. Forum, 321-324 (2000) 198-203.)により、試料の格子定数は、a=
2.87028(6)Å、c=14.1809(3)Åと見積もられ、既報(C. Delmas and I. Saadoune, Solid State Ionics, 53-56, 370 (1992).)の値(a=2.877
Å、c=14.22Å)とよい一致を示した。また、エネルギー分散型X線分析(EDX)から見積もられたCo/Ni比は79.3(3)/20.7(3)であり、得られた試料がニッケルコバルト酸リチウム(LiNi0.8Co0.22)であることを確認した。更
に、上記の構造精密化プログラムにより同時に得られた遷移金属イオン分布は、[Li1-zz3a[M]3b2の組成式表示でz=0.023(2)と推定された。充放電特性向
上の観点からは、リチウム位置(3a位置)に共存する遷移金属イオン量に相当するzはできるだけ0に近づけることが望ましい。即ち、より理想的なイオン分布にする(すべての遷移金属イオンを正規位置である3b位置にのみ存在させることに相当)ことが必要である。本実施例2で得られたz値は既報(H. Arai, S. Okada, H. Ohtsuka, M. Ichimura, and J. Yamaki, Solid State Ionics, 80, 261-269 (1995). )の値(0.095)に
比べて低く、ほぼ理想的な遷移金属イオン分布を有するニッケルコバルト酸リチウムが生成していることが見出せた。
(電極用複合粉末の調製)
得られたニッケルコバルト酸リチウム粉末0.45g及びアセチレンブラック0.05gを均一になるまで混合後、内径15mmの黒鉛型材に充填し、通電焼結機内に収容して約30MPaで加圧しながら約300Aのパルス電流を印加した。黒鉛型材近傍は約100℃/分の昇温速度で加熱され、パルス電流印加開始3分後に300℃に到達した。300℃で5分間保持後、電流印加及び加圧を停止して自然放冷した。室温まで冷却後、ニッケルコバルト酸リチウム/アセチレンブラック複合体試料を型材から取り出した。
得られた複合体試料のX線回折パターンを図9(b)に示す。2θ=26°近傍にアセチレンブラック由来の幅広のハローが認められ、それ以外のピークは六方晶系の層状岩塩型ニッケルコバルト酸リチウムの単位胞(空間群R3m)で指数付けできた。構造精密化プログラムRIETAN−2000により見積もられた複合体試料の格子定数は、a=2.86830(5)Å、c=14.1728(2)Åであり、上記の通電焼結処理前のニッケルコバルト酸リチウムの格子定数とよい一致を示した。また同時に得られた遷移金属イオン分布は、[Li1-zz3a[M]3b2の組成式表示でz=0.024(2)と推
定され、上記の通電焼結処理前のニッケルコバルト酸リチウムの値(z=0.023(2))とよい一致を示した。更にエネルギー分散型X線分析より見積もられたNi/Co比は79.40(13)/20.60(13)であり、通電焼結処理前の試料とほぼ同じ値であることから、通電焼結処理による試料の変質は無視できうるほど小さいことが分かる。
複合体試料をSEMにより観察した結果を図10(b)に示す。図10(b)からは、ニッケルコバルト酸リチウム粉(図10(a))がアセチレンブラック粉を介して接合し、10μm程度の凝集体となっていることが分かった。以上より、アセチレンブラック(導電材)を介して接合したニッケルコバルト酸リチウム電極用複合粉末が得られた。
(電極用複合粉末の物性)
電極用複合粉末の粒径分布をレーザー回折・散乱法により測定した結果を図11に示す。なお、点線は粒径の累積度数50%を示し、これと累積粒径分布曲線が交差する粒径(50%径)を平均粒径とした。図11の結果から、ニッケルコバルト酸リチウム(図11(a))及びニッケルコバルト酸リチウム/アセチレンブラック混合粉(図11(b))は類似の粒径分布及び平均粒径(それぞれ0.67μm、0.69μm)を示すが、電極用複合粉末(図11(c))は10μm近傍に大粒子の存在が認められ、平均粒径も0.
76μmに約13%増大していた。以上から、通電焼結処理により、ニッケルコバルト酸リチウム/アセチレンブラック複合体が得られたことが分かった。
この電極用複合粉末を水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)中に入れ、実施例1の撹拌法により撹拌後に再度粒径分布を測定したところ、図11(c)とほぼ同様の粒径分布及び平均粒径値(0.75μm)が得られ、ニッケルコバルト酸リチウムがアセチレンブラックを介して強固に接合していることが確認できた。
タップ密度については、ニッケルコバルト酸リチウム/アセチレンブラック混合粉は1.2g/cm3であり、通電処理後の複合粉末では1.3g/cm3となり、タップ密度も、通電焼結処理による複合体生成を支持する結果を与えた。
(リチウム二次電池の充放電試験)
上記の方法で得られた電極用複合粉末をリチウム二次電池の正極材料とし、負極としてリチウム金属、集電体としてアルミニウムメッシュ、電解液としてLiPF6をエチレン
カルボネート/ジエチルカルボネート混合液に溶解させたものを使用してリチウム二次電池を作製した。これを、電流55mA/g(0.2C;1〜10及び21サイクル)及び274.5mA/g(1C;11〜20サイクル)、カットオフ電位2.75−4.2Vにおける定電流/定電圧測定(但し、定電流定電圧充電は8時間)により充放電試験を行った。比較のため、正極材料として、通電焼結処理を行わないニッケルコバルト酸リチウム/アセチレンブラック混合粉を用いた場合についても充放電試験を行った。
図12にリチウム二次電池の充放電特性を示す。電極用複合粉末を用いた場合には、0.2Cで約170mAh/g、1Cで約150mAh/gの充放電容量が得られた。この容量は、通電焼結処理を行わない混合粉を用いた場合の容量(図13)に比べて高容量(0.2Cで5〜6%増大、1Cで約10%増大)であり、特に1Cでの容量増大が大きく、高電流密度時の活物質の利用率が増大していることを示している。また、サイクル毎の充放電容量のバラツキも少なく、10サイクル及び21サイクル後は1サイクル目のそれぞれ99%、97%、20サイクル後は11サイクル目の98%の放電容量を示した。これは、電極活物質が導電材を介して強固に接合して電子伝導性が向上したことによるものと考えられる。尚、参考のため、実施例1の撹拌法(撹拌試験)を実施後の電極用複合粉末を用いて同様の充放電試験を行った場合にも、前記同様の放電容量が得られた。これより、所定の撹拌試験において接合が剥離していないことが分かる。
以上より、本発明の電極用複合粉末は、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池の正極材料として好適に使用できることが分かる。
比較例2
実施例2と同様に、硝酸ニッケル六水和物、硝酸コバルト六水和物、水酸化カリウム、水酸化リチウムを用いてニッケルコバルト酸リチウムを合成し、ニッケルコバルト酸リチウム/アセチレンブラック=9/1(重量比)となるように混合した(ニッケルコバルト酸リチウム0.45g、アセチレンブラック0.05g)。
混合粉の状態をSEMで観察したところ、図10(c)に示す通り、図10(b)のような凝集体が少ないことが確認できた。また粒径分布は図11(b)に示す通り、アセチレンブラック混合前(図11(a))と同様の分布及び平均粒径を示し、ニッケルコバルト酸リチウムがアセチレンブラックと複合化せず分散して存在していることが示唆された。
実施例2と同様に、混合粉をリチウム二次電池の正極材料として用いてリチウム二次電
池を作製し、実施例2と同様の条件で充放電試験を行った。図13にニッケルコバルト酸リチウム/アセチレンブラック混合粉を正極としたリチウム二次電池の充放電サイクル特性を示す。実施例2の結果(図12)と比較すると、充放電容量は0.2Cで約160mAh/g、1Cで約130mAh/gに低下しており、サイクル毎の劣化も大きくなっている。10サイクル及び21サイクル後は1サイクル目のそれぞれ94%、93%、20サイクル後は11サイクル目の98%の放電容量であった。
以上より、ニッケルコバルト酸リチウム及びアセチレンブラックを混合しただけでは、両者の接合はほとんど形成されておらず、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を作製することは困難であることが分かった。
実施例3
(電極活物質の調製)
蓚酸マンガン二水和物(Mn(C24)・2H2O)を400℃で熱処理してMn23
粉末を得、これと水酸化リチウム一水和物(LiOH・H2O)を原子比がLi/Mn=
0.540となるように乾式混合した。この混合粉を500kg/cm2で加圧成形して
ペレットを作製し、850℃で10時間焼成した。得られたペレットを粉砕して圧粉体に成形し、これをオートクレーブに入れ、室温で酸素ガスを導入して1気圧にし、昇温速度5℃/分で400℃に加熱し、20時間保持した後、ペレットを粉砕して評価試料とした。
得られた試料のX線回折パターンを図14(a)に示す。試料の格子定数はa=8.2379(2)Åと見積もられ、既報(Y. Gao and J. R. Dahn, J. Electrochem. Soc., 143, 100 (1996).)の値(a=8.2375(5)Å)とよい一致を示し、得られた試料
がマンガン酸リチウム(LiMn24)であることを確認した。
(電極用複合粉末の調製)
得られたマンガン酸リチウム粉末0.45g及びアセチレンブラック0.05gを均一になるまで混合後、内径15mmの黒鉛型材に充填し、通電焼結機内に収容して約30MPaで加圧しながら約300Aの直流パルス電流を印加した。黒鉛型材近傍は約100℃/分の昇温速度で加熱され、パルス電流印加開始3分後に300℃に到達した。300℃で5分間保持後、電流印加及び加圧を停止して自然放冷した。室温まで冷却後、マンガン酸リチウム/アセチレンブラック複合体試料を型材から取り出した。
得られた複合体試料のX線回折パターンを図14(b)に示す。2θ=26°近傍にアセチレンブラック由来の幅広のハローが認められ、それ以外のピークは立方晶系のスピネル型マンガン酸リチウムの単位胞(空間群Fd3m)で指数付けできた。複合体試料の格子定数は、a=8.2384(2)Åであり、上記の通電焼結処理前のマンガン酸リチウムの格子定数とよい一致を示した。
複合体試料をSEMにより観察した結果を図15(b)に示す。図15(b)からは、マンガン酸リチウム粉(図15(a))がアセチレンブラック粉を介して接合し、10〜15μm程度の凝集体となっていることが分かった。以上より、アセチレンブラック(導電材)を介して接合したマンガン酸リチウム電極用複合粉末が得られた。
(電極用複合粉末の物性)
電極用複合粉末の粒径分布をレーザー回折・散乱法により測定した結果を図16に示す。なお、点線は粒径の累積度数50%を示し、これと累積粒径分布曲線が交差する粒径(50%径)を平均粒径とした。図16の結果から、マンガン酸リチウム(図16(a))及びマンガン酸リチウム/アセチレンブラック混合粉(図16(b))は類似の粒径分布及び平均粒径(それぞれ2.4μm、2.3μm)を示すが、電極用複合粉末(図16(
c))は10μm近傍に大粒子の存在が認められ、平均粒径も3.0μmに約20%増大していた。以上から、通電焼結処理により、マンガン酸リチウム/アセチレンブラック複合体が得られたことが分かった。
この電極用複合粉末を水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)中に入れ、実施例1の撹拌法により撹拌後に再度粒径分布を測定したところ、図16(c)とほぼ同様の粒径分布及び平均粒径値(2.9μm)が得られ、マンガン酸リチウムがアセチレンブラックを介して強固に接合していることが確認できた。
タップ密度については、マンガン酸リチウム/アセチレンブラック混合粉は0.76g/cm3であり、通電処理後の複合粉末では0.82g/cm3となり、タップ密度も、通電焼結処理による複合体生成を支持する結果を与えた。
(リチウム二次電池の充放電試験)
上記の方法で得られた電極用複合粉末をリチウム二次電池の正極材料とし、負極としてリチウム金属、集電体としてアルミニウムメッシュ、電解液としてLiPF6をエチレン
カルボネート/ジエチルカルボネート混合液に溶解させたものを使用してリチウム二次電池を作製した。これを、電流30mA/g(0.2C;1〜10及び21サイクル)及び148mA/g(1C;11〜20サイクル)、カットオフ電位3.0−4.3Vにおける定電流測定により充放電試験を行った。参考のため、正極材料として、通電焼結処理を行わないマンガン酸リチウム/アセチレンブラック混合粉を用いた場合についても充放電試験を行った。
図17にリチウム二次電池の充放電特性を示す。電極用複合粉末を用いた場合には、0.2Cで約110mAh/g、1Cで約100mAh/gの充放電容量が得られた。この容量は、通電焼結処理を行わない混合粉を用いた場合の容量(図18)に比べて高容量(0.2Cで約10%増大、1Cで約25%増大)であり、特に1Cでの容量増大が大きく、高電流密度時の活物質の利用率が増大していることを示している。また、サイクル毎の充放電容量のバラツキも少なく、10サイクル及び21サイクル後は1サイクル目のそれぞれ96%、95%、20サイクル後は11サイクル目の99%の放電容量を示した。これは、電極活物質が導電材を介して強固に接合して電子伝導性が向上したことによるものと考えられる。尚、参考のため、実施例1の撹拌法(撹拌試験)を実施後の電極用複合粉末を用いて同様の充放電試験を行った場合にも、前記同様の放電容量が得られた。これより、所定の撹拌試験において接合が剥離していないことが分かる。
以上より、本発明の電極用複合粉末は、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池の正極材料として好適に使用できることが分かる。
比較例3
実施例3と同様に、蓚酸マンガン二水和物、水酸化リチウムからマンガン酸リチウムを合成し、マンガン酸リチウム/アセチレンブラック=9/1(重量比)となるように混合した(マンガン酸リチウム0.45g、アセチレンブラック0.05g)。
混合粉の状態をSEMで観察したところ、図15(c)に示す通り、図15(b)のような凝集体が少ないことが確認できた。また粒径分布は図16(b)に示す通り、アセチレンブラック混合前(図16(a))と同様の分布及び平均粒径を示し、マンガン酸リチウムがアセチレンブラックと複合化せず分散して存在していることが示唆された。
実施例3と同様に、混合粉をリチウム二次電池の正極材料として用いてリチウム二次電池を作製し、実施例3と同様の条件で充放電試験を行った。図18にマンガン酸リチウム
/アセチレンブラック混合粉を正極としたリチウム二次電池の充放電サイクル特性を示す。実施例3の結果(図17)と比較すると、充放電容量は0.2Cで約95mAh/g、1Cで約80mAh/gに大きく低下していた。
以上より、マンガン酸リチウム及びアセチレンブラックを混合しただけでは、両者の接合はほとんど形成されておらず、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池を作製することは困難であることが分かった。
実施例4〜7
(電極複合粉末の調製)
下記表2に示された組み合わせで電極活物質粉末0.45g及び導電材粉末0.05gを均一になるまで混合後、内径15mmの黒鉛型材に充填し、通電焼結機内に収容して約30MPaで加圧しながら約300Aのパルス電流を印加した。黒鉛型材近傍は約100℃/分の昇温速度で加熱され、パルス電流印加開始3分後に300℃に到達した。300℃で5分間保持後、電流印加及び加圧を停止して自然放冷した。室温まで冷却後、電極活物質/導電材複合体試料を型材から取り出した。
(電極活物質/導電材の接合強度)
100mlビーカーに電極複合粉末0.5g及び水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)50mlを入れて、実施例1の撹拌法により撹拌した。撹拌後、接合剥離の有無を目視にて確認した。接合剥離の有無の確認結果を下記表2に併せて示す。
(リチウム二次電池の充放電容量)
実施例1と同様に、電極用複合粉末をリチウム二次電池の正極材料とし、負極としてリチウム金属、集電体としてアルミニウムメッシュ、電解液としてLiPF6をエチレンカ
ルボネート/ジエチルカルボネート混合液に溶解させたものを使用してリチウム二次電池を作製した。次いで、0.2C相当の電流(例えば、実施例4では25mA/g)、カットオフ電位4.0−2.5Vにおける定電流測定により充放電試験を行った。リチウム二次電池の充放電容量の測定結果を下記表2に併せて示す。尚、参考のため、実施例1の撹拌法を実施した電極用複合粉末を用いて同様の充放電試験を行った場合にも、同様の放電容量が得られた。
本発明の電極用複合粉末(特に、正極活物質を用いたもの)は、高電流密度で高エネルギー密度を示す、優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池の正極材料として好適に使用できる。即ち、高出力化の要請に応え得る二次電池の作製が可能であり、特に車載用のモーター駆動用電源等の用途に好適に利用できる。また、本発明の電極用複合粉末は、リチウム二次電池以外の二次電池、一次電池、燃料電池及びキャパシタ用の電極用複合粉末としても好適に利用できる。
実施例1で得られた試料のX線回折図である。 実施例1及び比較例1で得られた試料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真図である。 実施例1及び比較例1で得られた試料を、水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)中に入れた際の様子を示す図である。 実施例1及び比較例1で得られた試料の粒径分布(棒グラフ)及び累積粒径分布(●)を示す図である。 実施例1及び比較例1で得られた試料の57Fe Mossbauer分光スペクトルである。尚、(●)が実測スペクトルを示し、実線が計算スペクトルを示し、破線及び一点鎖線は各ダブレット成分を示す。 実施例1で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の充放電特性を示す図である。右上がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がりの曲線が放電曲線に対応する(上図)。数字はサイクル数を示す。下図は充放電容量のサイクル数依存性を示す。 比較例1で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の充放電特性を示す図である。右上がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がりの曲線が放電曲線に対応する(上図)。数字はサイクル数を示す。下図は充放電容量のサイクル数依存性を示す。 放電プラズマ焼結機の概略図である。 実施例2で得られた試料のX線回折図である。 実施例2及び比較例2で得られた試料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真図である。 実施例2及び比較例2で得られた試料の粒径分布(棒グラフ)及び累積粒径分布(●)を示す図である。 実施例2で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の充放電特性を示す図である。右上がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がりの曲線が放電曲線に対応する(上図)。数字はサイクル数を示す。下図は充放電容量のサイクル数依存性を示す。 比較例2で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の充放電特性を示す図である。右上がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がりの曲線が放電曲線に対応する(上図)。数字はサイクル数を示す。下図は充放電容量のサイクル数依存性を示す。 実施例3で得られた試料のX線回折図である。 実施例3及び比較例3で得られた試料の走査型電子顕微鏡(SEM)写真図である。 実施例3及び比較例3で得られた試料の粒径分布(棒グラフ)及び累積粒径分布(●)を示す図である。 実施例3で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の充放電特性を示す図である。右上がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がりの曲線が放電曲線に対応する(上図)。数字はサイクル数を示す。下図は充放電容量のサイクル数依存性を示す。 比較例3で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の充放電特性を示す図である。右上がりの曲線が充電曲線に対応し、右下がりの曲線が放電曲線に対応する(上図)。数字はサイクル数を示す。下図は充放電容量のサイクル数依存性を示す。

Claims (8)

  1. 電極活物質どうしが導電材を介して接合してなる電極用複合粉末であって、
    (1)電極用複合粉末中の導電材含有量が0.01〜30重量%であり、
    (2)100mlビーカーに電極用複合粉末0.5g及び水/エタノール混合溶液(体積比率1:1)50mlを入れて、長さ3cm、中心部断面直径5mmの回転子を毎分600回転させて5分間撹拌しても電極活物質と導電材との接合が剥離しないことにより定義される接合強度を有する
    ことを特徴とする電極用複合粉末。
  2. 電極活物質が、1)オリビン型構造の含リチウム化合物、2)層状岩塩型又は立方晶岩塩型の結晶構造を有する岩塩類縁構造の含リチウム化合物、及び3)スピネル型構造の含リチウム化合物から選ばれる少なくとも1種の正極活物質である請求項1記載の電極用複合粉末。
  3. 電極活物質が、リン酸鉄リチウム;コバルト、マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸鉄リチウム;リン酸コバルトリチウム;マンガン及びニッケルの少なくとも1種を固溶したリン酸コバルトリチウム;リン酸マンガンリチウム;ニッケルを固溶したリン酸マンガンリチウム;リン酸ニッケルリチウム;ニッケル酸リチウム;コバルトを固溶したニッケル酸リチウム;コバルト酸リチウム;鉄酸リチウム;チタン、マンガンの少なくとも1種を固溶した鉄酸リチウム;チタン酸リチウム;マンガン酸リチウム;及びクロムを固溶したマンガン酸リチウムから選ばれる少なくとも1種の正極活物質である請求項1記載の電極用複合粉末。
  4. 電極活物質が、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、インジウムを固溶した酸化錫、インジウム−錫合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−インジウム合金から選ばれる少なくとも1種の負極活物質である請求項1記載の電極用複合粉末。
  5. 導電材が、炭素、炭素基導電化合物、鉄、鉄を含む合金、銅、銅を含む合金、アルミニウム、アルミニウムを含む合金、酸化鉄及び酸化鉄を端成分とする固溶体から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の電極用複合粉末。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電極用複合粉末を用いてなる一次電池、二次電池、燃料電池又はキャパシタ。
  7. 電極活物質及び導電材の混合粉末を、電子伝導性型材内に充填するか又は電子伝導性型材により被覆後、通電焼結法により、導電材を介して電極活物質どうしを接合することを特徴とする電極用複合粉末の製造方法。
  8. 電子伝導性型材が、炭素、鉄、酸化鉄、銅、アルミニウム、タングステンカーバイド並びに炭素及び/又は酸化鉄に窒化珪素を混合した混合物の少なくとも1種から形成されている請求項7記載の製造方法。
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