JP2007137980A - 高密度アセチレンブラック及びその製造方法 - Google Patents

高密度アセチレンブラック及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させることなく、高電流密度での充放電特性が改善された電極を得ることができる電極用導電材として有用な新規な材料、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】加圧下において直流パルス電流を通電してアセチレンブラック粉末を焼結させて得られる、タップ密度が0.15g/cm以上の高密度アセチレンブラック、及び該高密度アセチレンブラックの粉末からなる電池又はキャパシタ用導電材。
【選択図】図1

Description

本発明は、高密度アセチレンブラック、該高密度アセチレンブラックからなる導電材、該アセチレンブラックを導電材とする電極、該電極を含む電池又はキャパシタ、及び該高密度アセチレンブラックの製造方法に関する。
近年の多様な機器やシステムの発展により、動力源としての電池(一次電池、二次電池、キャパシタ等)の高性能化の要求がますます高くなってきている。例えばリチウム二次電池は、近年、携帯通信機器やノート型パソコン等の電子機器の電源を担う高エネルギー密度の二次電池として広く普及が進んでおり、また環境負荷低減の観点から自動車のモーター駆動用バッテリーとしても期待されている。このため、これら機器の高性能化に対応した高出力及び高エネルギー密度のリチウム二次電池の開発・実用化が求められている。特に車載用としては、高電流密度での良好な充放電特性が求められるが、高電流密度で充放電を繰り返した際に容量が劣化するという問題がある。その原因として、高電流密度で充放電を繰り返した際のリチウム脱離・挿入に伴う電極活物質の膨張・収縮により、導電材が活物質から剥離したり、導電材同士の導電ネットワークが切断するなどして、導電材の分布が不均一になることが挙げられている(例えば、下記非特許文献1)。
この様な問題を解決するためには、(1)電極活物質を微粒化して電極内のリチウムイオ
ンの拡散距離を短くし、活物質の利用率を上げる、(2)電極活物質に導電材を被覆(また
は接合)して導電材の分布の不均一を緩和する、(3)導電材同士の結合を強くして導電ネ
ットワークを保持する、等の方法が考えられる。
しかしながら、上記(1)の方法については、活物質の微粒化により、活物質のタップ密
度が低下するため、電極活物質の電極合剤中に占める割合が低下して電池の重量エンルギー密度及び体積エネルギー密度が低下するという問題がある。(2)の方法としては、例え
ば、電極活物質を合成する前後に有機物を混合し、焼成により炭素を含む活物質を調製する方法が知られている(例えば、下記非特許文献2)。しかしながら、この方法は還元雰囲気で焼成を行うため、耐還元性の比較的高いLiFePO4等のオリビン型構造の活物質以外
には適用は難しい。(3)の方法については、実現できればどのような活物質にも適用可能
で汎用性が非常に高い方法と考えられるが、これを実現するための手法がなく、これまでほとんど検討されていない。このため重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させることなく、また、活物質を還元雰囲気に晒すことなく、電極を高出力化させることができる普遍的かつ簡便な方法を見出すことが必要とされている。
R. Kostecki and F. McLarnon, Electrochem. Solid-State Lett., 5, A164 (2002). Z. Chen and J. R. Dahn, J. Electrochem. Soc., 149, A1184 (2002).
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度を低下させることなく、高電流密度での充放電特性が改善された電極を得ることができる電極用導電材として有用な新規な材料、及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記のような従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、アセチレンブラック粉末を原料として用い、これを導電性を有する型に充填し、加圧下で直流パルス電流を通電して焼結させる方法によれば、導電ネットワークが強固に保持された高密度アセチレンブラック粉末が得られることを見出した。そして、得られた高密度アセチレンブラック粉末を導電材として使用し、各種の電極用活物質と混合して電極を作製することによって、重量エネルギー密度、体積エネルギー密度等を低下させることなく、高電流密度での充放電が可能な電池、キャパシタ等が得られることを見出し、ここに本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、高密度アセチレンブラック、該高密度アセチレンブラックからなる導電材、該アセチレンブラックを導電材とする電極、該電極を含む電池又はキャパシタ、及び該高密度アセチレンブラックの製造方法を提供するものである。
1. 加圧下において直流パルス電流を通電してアセチレンブラック粉末を焼結させて得られる、タップ密度が0.15g/cm以上の高密度アセチレンブラック。
2. 上記項1に記載の高密度アセチレンブラックの粉末からなる電池又はキャパシタ用導電材。
3. 上記項2に記載の導電材を含む電池又はキャパシタ用電極。
4. 上記項3に記載の電極を含む一次電池、二次電池又はキャパシタ。
5. アセチレンブラック粉末を導電性を有する型に充填し、加圧下において直流パルス電流を通電して該アセチレンブラック粉末を焼結させることを特徴とする高密度アセチレンブラックの製造方法。
以下、まず、本発明の高密度アセチレンブラックの製造方法について説明する。
高密度アセチレンブラックの製造方法
原料として用いるアセチレンブラック粉末については特に限定はなく、通常の市販品等を用いることができる。例えば、アセチレンを高温で熱分解させて得られる粉末、いわゆる爆発法によって得られる粉末など公知のアセチレンブラック粉末を使用できる。アセチレンブラック粉末の粒径については特に限定はないが、例えば5nm〜100nm程度の平均粒子径の粉末を用いればよい。
本発明によれば、上記のアセチレンブラック粉末を導電性を有する型に充填し、圧粉体として、放電プラズマ焼結法、パルス通電焼結法、プラズマ活性化焼結法等と呼ばれる直流パルス電流を通電する通電焼結法によって該アセチレンブラック粉末を焼結させることによって、目的とする高密度アセチレンブラックを得ることができる。
具体的には、所定の形状の導電性を有する型に原料のアセチレンブラック粉末を充填し、加圧しながらパルス状のON−OFF直流電流を通電することによって、加圧下における通
電焼結を行うことができる。
原料を充填するために用いる導電性を有する型の材料としては、電子伝導性を有する材料、例えば、炭素、鉄、酸化鉄、銅、アルミニウム、タングステンカーバイド等の超硬合金、これらの混合物、これらに窒化ケイ素等の補強材を添加した混合物等を適宜組み合わせて用いることができる。
通電処理を行う装置としては、原料のアセチレンブラック粉末を加熱・冷却および加圧することが可能であって、放電を起こすだけの電流を通電できるものであれば特に限定されず、例えば、市販の通電焼結装置(放電プラズマ焼結装置)を用いることができる。このような通電焼結装置およびその作動原理は、例えば特開平10−251070号公報などに開示されている。
通電処理を行う際に、原料のアセチレンブラック粉末には5MPa程度以上、好ましくは10MPa程度以上の圧力を加える。5MPa未満の加圧力ではアセチレンブラック粒子間の接合が
不十分となるため好ましくなく、10MPa程度以上の加圧力が好適である。圧力の上限につ
いては特に限定はないが、通常、500MPa程度とすればよく、300MPa程度とすることが好ましい。
通電処理の際の加熱温度は、原料とするアセチレンブラックの粒径やその表面状態などにより異なるが、通常500℃程度以上、好ましくは600℃程度以上とすればよい。加熱温度が500℃程度未満ではアセチレンブラック粒子間の接合が不十分となるため好ましくなく
、600℃程度以上の加熱が好適である。加熱温度の上限については特に限定的ではないが
、通常、1500℃程度とすればよく、1200℃程度とすることが好ましい。
加熱のために通電するパルス電流としては、例えばパルス幅2〜3ミリ秒程度で、周期が3Hz〜300kHz程度のパルス状のON−OFF直流電流を用いることができる。電流値は型材の種類、大きさ、昇温速度等により異なるので、型材の温度をモニターしながら電流値を増減させて、所定の温度になるよう電流値を制御すれば良い。例えば、内径15mm程度の黒鉛型材を用いて10℃/分で昇温させる場合には、100〜600A程度の電流値とすることが好まし
く、内径100mm程度の型材を用いる場合には1000〜8000A程度の電流値とすることが好ましい。
通電焼結による焼結時間については、使用する原料の量、焼結温度などによって異なるので、一概に規定できないが、通常、上記した加熱温度範囲に1分〜2時間程度保持すればよい。
上記した方法によって直流パルス電流を通電して加圧下に通電焼結を行うことによって、充填されたアセチレンブラック粉末の粒子間隙に生じる放電現象を利用して、放電プラズマ、放電衝撃圧力等による粒子表面の浄化活性化作用および電場により生じる電界拡散効果やジュール熱による熱拡散効果、加圧による塑性変形圧力などがアセチレンブラック粒子接合の駆動力となって粒子間結合が促進され、高密度アセチレンブラックを得ることができる。得られた高密度アセチレンブラックは、冷却後、型から取り出し、例えば、乳鉢等で軽く粉砕することにより粒子間が強固に接合した高密度アセチレンブラック粉末として回収することができる。
尚、多量の通電処理を行う場合には、大きな型材を用いて、上記のプロセスをスケールアップして行えば良い。
高密度アセチレンブラック
上記した方法で得られる高密度アセチレンブラックは、原料とするアセチレンブラックの粉末同士が強固に結合されて高密度化されたものであり、良好な導電ネットワークが形成されている。このため、例えば、リチウム二次電池の電極用導電材として用いる場合に、高密度で充放電を繰り返した場合であっても、導電ネットワークの切断が生じ難く、優れた充放電特性を長期間安定に維持することができる。
また、上記方法で得られる高密度アセチレンブラックは、従来にはないタップ密度が0.15g/cm以上という高密度を有するものである。このため、該高密度アセチレンブラックを導電材として用いることによって、重量エネルギー密度及び体積エネルギー密度の高い電極を得ることができる。該高密度アセチレンブラックのタップ密度の上限については特に限定的ではなく、加圧通電焼結の際の温度、圧力などによって異なるが、通常、1.0g/cm程度以下のタップ密度とすることが好ましい。タップ密度が1.0g
/cm程度を上回る場合には、活物質との混合が難しくなり、良好な充放電特性を示す電極を作製することが困難になると考えられる。尚、本願明細書におけるタップ密度は、約0.2gの試料を25mlのメスシリンダーに入れて100回タップを行った後、測定した
値である。
上記した方法で得られる高密度アセチレンブラックは、例えば、一次電池、二次電池、キャパシタなどの電極用の導電材として有効に使用できる。該高密度アセチレンブラックを電極用導電材として用いる場合には、上記した方法で得られた焼結体を、例えば、乳鉢等で軽く粉砕して粉末状として用いればよい。この場合、高密度アセチレンブラック粉末の粒径については特に限定はなく通常の導電材と同様とすればよく、例えば、10nm〜1
μm程度の範囲の平均粒子径の粉末として用いればよい。
本発明の高密度アセチレンブラックを導電材として使用する際には、一次電池、二次電池、キャパシタ等の用途に応じて、従来の導電材と同様にして用いることができる。活物質についても、その用途に応じて従来の活物質と同様のものを使用できる。
例えば、本発明の高密度アセチレンブラックをリチウム二次電池電極の導電材として用いる場合には、電極活物質としては、一般にリチウムイオン二次電池に用いることのできる各種の正極活物質及び負極活物質を使用できる。例えば、正極活物質としては、オリビン型構造の含リチウム化合物(リン酸鉄リチウム、リン酸コバルトリチウム、リン酸マンガンリチウム、リン酸ニッケルリチウム、およびこれらの固溶体)、層状岩塩型、立方晶岩塩型に代表される岩塩類縁構造の含リチウム化合物(ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、鉄酸リチウム、チタン酸リチウム、およびこれらの固溶体)、スピネル型構造の含リチウムマンガン酸化合物(マンガン酸リチウム、およびこれにクロム等の異種金属を添加した固溶体)およびこれらの固溶体などを用いることができ、負極活物質としては、炭素、珪素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、アルミニウム、インジウム、リチウム、酸化スズ、チタン酸リチウム、窒化リチウム、およびこれらの固溶体、ならびにこれらを含む合金などを用いることができる。各電極活物質は単独で用いても良く、2種以上の混合物を用いても良い。これら電極活物質の製法などについては、特に限定はなく、固相反応法、共沈法、sol-gel法、水熱法等により合成したものを使用することができ、
あるいは市販の粉末等を用いても良い。
高密度アセチレンブラックからなる導電材と電極活物質との混合割合については、特に限定的ではないが、通常、重量比で活物質/導電材=99/1〜70/30程度とすればよい。
本発明の高密度アセチレンブラック粉末を用いて、一次電池、二次電池、キャパシタ等を作製する方法については常法に従えばよい。
例えば有機電解液系リチウム二次電池を作製する場合には、該高密度アセチレンブラックを活物質(例えば、正極活物質としてはコバルト酸リチウムなど、負極活物質としては黒鉛など)及びバインダ(例えば、ポリビニリデンフルオライドなど)と混錬して電極合剤を形成し、それらで電解液を染み込ませたセパレータを挟むことにより、高電流密度で高容量を示す充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を作製できる。
本発明によれば、高密度アセチレンブラックを簡便に作製することができる。得られた高密度アセチレンブラックは、粉末同士が強固に結合されて高密度化されたものであり、良好な導電ネットワークが形成されている。
このため、該高密度アセチレンブラック粉末を導電材として使用し、各種の電極用活物
質と混合して電極を作製することによって、重量エネルギー密度、体積エネルギー密度等を低下させることなく、高電流密度での充放電が可能な電池、キャパシタ等を得ることができる。
例えば、該高密度アセチレンブラック粉末を活物質と混合して作製した電極を用いることによって、高電流密度で高容量を示す充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を作製することができる。また高密度化されているため、製品を流通させる場合の体積当たりのコストを大幅に下げることができる。この様にして得られるリチウム二次電池は、例えば、モバイル機器、車載用のモーター駆動用電源などとして好適に使用できる。
以下、実施例を示し、本発明の特徴を更に明確にする。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
市販のアセチレンブラック(電気化学工業(株)製、デンカブラック)粉末約2gを内径25mmの黒鉛型材に充填し、通電焼結機内にセットして約30MPaで加圧しながら約1200Aのパルス電流(パルス幅2.5ミリ秒のON−OFF直流電流、周期29Hz)を通電した。黒鉛型材近傍は約10℃/分の昇温速度で加熱され、パルス電流の通電開始80分後に800℃に到達した。こ
の温度で1分間保持した後、電流の通電と加圧を停止し、自然放冷させた。室温に冷却後
、焼結体を型材より取り出し、メノウ乳鉢で粉砕して粉末状の生成物を回収した。
得られた粉末は通電処理前の原料粉末と比較して大きく体積が減少しており、タップ密度は、通電処理前の粉末が0.03 g/cm3であったものが、通電処理後には、約6倍の0.17 g/cm3となっており、高密度アセチレンブラック粉末が得られたことが確認できた。
この高密度アセチレンブラック粉末を正極活物質であるLiNi0.5Mn0.5O2(LiOH、Ni(NO3)2、及びMnCl2を原料に用い、共沈法により作製)と重量比で1:9で混合してリチウム二次電池の正極材料として用い、負極にリチウム金属、集電体にアルミニウムメッシュ、電解液としてLiPF6をエチレンカルボネート/ジエチルカルボネート混合液に溶解させたものを
用いて、電流56mA/g(0.2C)および280mA/g(1C)、カットオフ電位4.3−2.5Vにおける定電流測定で充放電試験を行った。図1および図2に0.2Cおよび1Cレートでの放電容量を示す。それぞれ、約124、100mAh/gの放電容量であった。
一方、比較例1として、通電処理を施していないアセチレンブラック粉末を重量比で1:9の比率でLiNi0.5Mn0.5O2と混合し、この混合粉を上記した実施例1と同様にリチウム二次電池の正極材料として用い、同様の手順でリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池についての0.2Cおよび1Cレートでの放電特性も図1及び図2に示す。それぞれ120
、90mAh/g程度という低い値であった。
また、実施例1のリチウム二次電池の平均電圧が、それぞれ3.81と3.64Vであるのに対して、比較例1のリチウム二次電池では、それぞれ3.78及び3.50Vという低い平均電圧であ
った。
以上の通り、実施例1で得られたリチウム二次電池は、通電処理を行わないアセチレンブラック粉末を用いた比較例1のリチウム二次電池と比べて高容量を示しており、特に高電流密度での放電容量が高く、活物質の利用率が増大していることが明らかとなった。これは、加圧下で通電焼結を行うことによって導電材粒子がお互いに強固に結合して電極内で良好な導電ネットワークを形成した効果によるものと考えることができる。
これに対して、通電処理を施されていないアセチレンブラックを混合しただけでは導電材同士の結合が十分でなく、良好な電極内の導電ネットワークがほとんど形成されず、高電流密度で優れた充放電特性を有するリチウム二次電池を作製することが困難であることが判る。
このように、本発明で得られた高密度アセチレンブラック粉末は、高電流密度での充放電特性を改善したリチウム二次電池の正極用導電材として好適に使用できる。
実施例2及び比較例2
実施例1と同様の方法で高密度アセチレンブラック粉末を作製し、これを正極活物質であるLi1.2Fe0.4Mn0.4O2(LiOH、Fe(NO3)3、MnCl2を原料に用い、水熱合成法により作製)と重量比で1:9で混合してリチウム二次電池の正極材料として用い、実施例1と同様の手順で実施例2のリチウム二次電池を作製した。充放電試験は、電流42.5mA/g(0.33C)および212.5mA/g(1.67C)、カットオフ電位4.8−2.5Vにおける定電流測定で行った。図3および図4に、0.33Cおよび1.67Cレートでの放電容量を示す。それぞれ、約155、80mAh/gの放電容量であった。
一方、比較例2として、通電処理を施していないアセチレンブラック粉末を重量比で1:9の比率でLi1.2Fe0.4Mn0.4O2と混合し、この混合粉を上記した実施例2と同様にリチウム二次電池の正極材料として用い、同様の手順でリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池についての0.33Cおよび1.67Cレートでの放電特性も図3及び図4に示す。それぞれ約148、67mAh/gの低い値であった。
また、実施例2のリチウム二次電池の平均電圧が、それぞれ3.38Vと3.08Vであるのに対
して、比較例2では、それぞれ3.37と3.03Vであり、平均電圧も低い値を示した。
以上の通り、実施例2で得られたリチウム二次電池は、実施例1と同様に、通電処理を
行っていないアセチレンブラック粉末を用いた比較例2のリチウム二次電池と比べて高容
量であり、特に高電流密度での放電容量が高く、活物質の利用率が増大していることが明らかとなった。
これに対して、通電処理が施されていないアセチレンブラックを混合しただけでは導電材同士の結合が十分でなく、良好な電極内の導電ネットワークがほとんど形成されず、高電流密度で優れた充放電特性を有するリチウム二次電池を作製することが困難であることが判る。
このように、本発明で得られた高密度アセチレンブラック粉末は、様々な活物質を対象として、高電流密度での充放電特性を改善したリチウム二次電池の正極用導電剤として好適に使用できる。
実施例3及び比較例3
実施例1と同様の方法で高密度アセチレンブラック粉末を作製し、これを正極活物質で
あるLiCoO2(日本化学工業(株)製セルシードC5)と重量比で1:9で混合し、これにポリビニ
リデンフルオライド(PVDF)をアセチレンブラックと同重量加え、これらをN-メチルピロリドン(NMP)液(活物質の50%重量)に入れて手撹拌した。更に撹拌器にて5500Paおよび2500Paに減圧しながら撹拌し、脱泡した。これをアルミニウム箔の上に塗布し、140℃で乾燥後、ロールプレス機で圧延し、膜厚圧縮率65%になるようプレスした。得られた塗布電極をリチウム二次電池の正極材料として用い、負極に天然グラファイト、電解液としてLiPF6
をエチレンカルボネート/ジエチルカルボネート混合液に溶解させたものを用い、リチウム二次電池を作製した。充放電試験は、電流55mA/g(0.2C)、274mA/g(1C)、548mA/g(2C)、
821mA/g(3C)、および1369mA/g(5C)、カットオフ電位4.2−3.0Vにおける定電流測定で行った。図5及び図6に、0.2C、1C、2C、3Cおよび5Cレートでの放電容量を示す。それぞれ、約140、122、79、34、10mAh/gの放電容量であった。
一方、比較例3として、通電処理を施していないアセチレンブラック粉末を重量比で1:9の比率でLiCoO2と混合し、この混合粉を用いて上記した実施例3と同様にして塗布型電極を作製し、これをリチウム二次電池の正極材料として用い、同様の手順でリチウム二次電池を作製した。このリチウム二次電池について、実施例3と同様の条件で充放電試験を行った。比較例3のリチウム二次電池についても、図5及び図6に、0.2C、1C、2C、3Cおよび5Cレートでの放電容量を示す。それぞれ、約134、113、73、26、9mAh/gという低い値であった。
また、比較例3のリチウム二次電池は、実施例3のリチウム二次電池と比較して、平均電圧がやや低く、例えば、2Cレートの場合、実施例3のリチウム二次電池の平均電圧が3.39Vであるのに対して、比較例3のリチウム二次電池の平均電圧は3.37Vであった。
以上の通り、実施例3のリチウム二次電池は、通電処理を施していないアセチレンブラック粉末を用いた場合と比較して高容量を示しており、活物質の利用率が増大していることが明らかとなった。
これに対して通電処理を施していないアセチレンブラックを混合しただけでは導電材同士の結合が十分でなく、良好な電極内の導電ネットワークがほとんど形成されず、高電流密度で優れた充放電特性を有するリチウム二次電池を作製することが困難であることが判る。
このように、本発明で得られた高密度アセチレンブラック粉末は、高電流密度での充放電特性を改善したリチウム二次電池の正極用導電剤として好適に使用できる。
実施例1および比較例1で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の0.2Cおよび1Cレートにおける初期放電特性を示すグラフ。 実施例1および比較例1で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の0.2Cおよび1Cレートにおける放電容量のサイクル特性を示すグラフ。 実施例2および比較例2で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の0.33Cおよび1.67Cレートにおける初期放電特性を示すグラフ。 実施例2および比較例2で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の0.33Cおよび1.67Cレートにおける放電容量のサイクル特性を示すグラフ。 実施例3および比較例3で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の0.2C、1C、2C、3Cおよび5Cレートにおける初期放電特性を示すグラフ。 実施例3および比較例3で得られた試料を正極としたリチウム二次電池の0.2C、1C、2C、3Cおよび5Cレートにおける放電容量のサイクル特性を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 加圧下において直流パルス電流を通電してアセチレンブラック粉末を焼結させて得られる、タップ密度が0.15g/cm以上の高密度アセチレンブラック。
  2. 請求項1に記載の高密度アセチレンブラックの粉末からなる電池又はキャパシタ用導電材。
  3. 請求項2に記載の導電材を含む電池又はキャパシタ用電極。
  4. 請求項3に記載の電極を含む一次電池、二次電池又はキャパシタ。
  5. アセチレンブラック粉末を導電性を有する型に充填し、加圧下において直流パルス電流を通電して該アセチレンブラック粉末を焼結させることを特徴とする高密度アセチレンブラックの製造方法。
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