JP2005131676A - 繊維強化金属複合材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製品形状の離型板を必要とせず、複雑形状のFRMの取り出しが可能で、機械加工に時間をかけないようにした新規なFRMの製造方法を提供する。
【解決手段】 プリフォームの非含浸部をグラファイトシートで被覆した含浸用素材1が加熱溶融した溶融塩などの充填物2に埋設された状態で収容された容器3を型7の中に載置する工程と、前記型7の中に、溶湯した金属5を注入し、含浸用素材1の含浸部4から溶湯した金属5を加圧含浸させる工程と、成形体を型7から取り出し、含浸部4を覆う金属5を切除して充填物2を露出させる工程と、前記露出させた部分から充填物2を水で溶かし去ったあと、成形体から含浸用素材1を取り出してグラファイトシートを分離する工程と、を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、繊維強化金属複合材料の製造方法に関する。
アルミニウム、マグネシウムなどの金属を母材として炭素繊維、ガラス繊維などの各種繊維により機械的性質を強化した繊維強化金属複合材料が知られている。この繊維強化金属複合材料を製造する方法として、より高強度で、かつ弾性率の高い繊維強化金属複合材料を得る高圧鋳造法と呼ばれる方法がある(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載された繊維強化金属複合材料の製造方法は、成形用の型の中に、離型板で挟んだ補強繊維集合体を配置し、次いで前記型内にマトリクス金属の溶湯を加圧、注入して成形した後、成形体を型から取り出し、その成形体を前記離型板の部分で分離するようにした製造方法である。
この製造方法を具体的に説明すると、予め補強繊維よりもやや大きめな離型板を用意し、これを例えば板状の集合体に整えた補強繊維の両面に当接する。そして、補強繊維集合体と該補強繊維集合体を挟んだ2枚の離型板とで重ね合せ体を形成し、この重ね合せ体の四隅においてボルトを渡して締め付ける。ボルト締めした前記重ね合せ体を加熱された成形用の型に入れ、その型の中にマトリクス金属の溶湯を加圧、注入して成形体を造る。その後、マトリクス金属の固化、冷却を待って成形体を型から取り出し、成形体の周囲の4つの側面を前記ボルトごと切断する。そうすると、重ね合せ体をハンマーなどで軽く叩くことにより、成形体は離型板の部分で簡単に剥離するので、繊維強化金属複合材料のみを分離して取り出すものである。
特開平3−78177号公報(第1頁右欄第20行〜第2頁左欄第26行)
しかしながら、前記特許文献1に記載の繊維強化金属複合材料の製造方法においては、離型板や機械加工を要する製法であるため、製品形状よりもやや大きめな離型板が必要で、かつ離型板の取り出しが困難な湾曲したパイプなどの複雑形状には対応できない問題がある。また、加工機を用いた成形体の位置出しをしながらの切削工程が必要となり、機械加工に時間がかかる問題があった。
本発明の課題は、前記問題点に鑑み、製品形状よりもやや大きめな離型板を必要とせず、複雑形状の繊維強化金属複合材料の取り出しが可能で、機械加工に時間をかけないようにした新規な繊維強化金属複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために講じた本発明の手段は、次のとおりである。
請求項1では、繊維強化金属複合材料の製造方法において、非含浸部に離型材を配置した含浸用素材が塩から構成されて除去可能な充填物により埋設された状態で収容された容器を成形用の型の中に入れる工程と、次いで、前記成形用の型の中に、溶融金属を注入し、前記含浸用素材の含浸部から溶融金属を加圧含浸させる工程と、その後、成形体を型から取り出し、前記含浸部を覆う金属を切除して前記充填物を露出させる工程と、次いで、前記成形体の切除部分から前記充填物を溶媒で溶かし去ったあと、前記含浸用素材を取り出して前記離型材を分離する工程と、を含む繊維強化金属複合材料の製造方法。
なお、本発明において、前記「塩から構成されて除去可能な充填物」とは、塩の粉末、粒状物または溶融塩、およびその混合物を含み、「塩」とは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩類もしくはこれらの混合物を意味する。
請求項2では、請求項1の繊維強化金属複合材料の製造方法に先立って、補強繊維集合体の非含浸部に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程と、次いで、前記含浸用素材を前記容器に収容し、前記容器内に溶融した溶融塩を注入して前記含浸用素材を埋設する工程と、前記溶融塩が凝固した後、溶融塩から前記含浸用素材の一部が露出する含浸部を形成する工程と、を行うことを含む繊維強化金属複合材料の製造方法。
請求項3では、請求項1の繊維強化金属複合材料の製造方法に先立って、補強繊維集合体の非含浸部に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程と、次に、前記容器と前記含浸用素材とのあいだの空間を区画する複数の仕切り材を前記含浸用素材に配設する工程と、次いで、前記仕切り材を配設した前記含浸用素材を前記容器内に収容する工程と、その後、前記容器内に溶融した溶融塩を注入して前記含浸用素材を埋設する工程と、前記溶融塩が凝固した後、溶融塩から前記含浸用素材の一部が露出する含浸部を形成する工程と、を行うことを含む繊維強化金属複合材料の製造方法。
請求項4では、請求項2又は3の繊維強化金属複合材料の製造方法において、複雑形状の補強繊維集合体の非含浸部に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程と、を含む繊維強化金属複合材料の製造方法。
本発明によれば、表面の非含浸部に離型材を配置した補強繊維集合体が溶融金属を含浸する含浸部以外を塩から構成されて除去可能な充填物(溶融塩)で埋設され、マスキングされているので、非含浸部の補強繊維集合体の表面に溶融金属が回り込まないようにすることができる。また、補強繊維集合体に溶融金属を加圧含浸させたあと、得られる繊維強化金属複合材料の周囲の充填物(溶融塩)を溶媒(水)で溶かすことで、繊維強化金属複合材料を短時間で取り出すことができる。さらに、従来の離型板では、平板な繊維強化金属複合材料しか成形できなかったが、本発明によれば、従来のような製品形状よりもやや大きめな離型板が不要で湾曲したパイプなどの複雑形状にも対応することができるものである。さらにまた、本発明によれば、肉厚の薄い繊維強化金属複合材料でも製作することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る繊維強化金属複合材料の製造方法を行う本工程を説明する説明図である。(a)は、型の中にセットした含浸用素材に溶融金属を含浸させる工程の例を示す。(b)は、型から取り出した成形体の一部を切除する工程の例を示す。(c)は、塩から構成される充填物を溶媒(水)で溶かす工程の例を示す。図2は、図1に続く繊維強化金属複合材料の製造方法を行う本工程を説明する説明図である。(a)は、充填物を除去したのち、含浸用素材を取り出す工程の例を示す。(b)は、含浸用素材から離型材を取り除く工程の例を示す。(c)は、製造工程を経て得られる繊維強化金属複合材料を示す。図3は、実施形態に係る繊維強化金属複合材料の製造方法を行う前処理工程を説明する説明図である。(a)は、補強繊維集合体に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程の例を示す。(b)は、容器に含浸用素材を収容する工程の例を示す。(c)は、容器の中に溶融塩を注入して含浸用素材を埋設する工程の例を示す。図4は、実施形態に係る繊維強化金属複合材料の製造方法を行う別の前処理工程を説明する説明図である。(a)は、仕切り材を配設した含浸用素材を容器に収容する工程の例を示す。(b)は、仕切り材を配設した含浸用素材に溶融塩を注入して容器の中に埋設する工程の例を示す。図5は、実施形態に係る製造方法に用いる溶融塩と通常の塩の粒子間の界面構造を示す模式図である。(a)は、溶融塩の界面構造を示す図であり、(b)は、通常の塩の界面構造を示す図である。
図1ないし図3に示すように、本実施形態の繊維強化金属複合材料の製造方法は、補強繊維集合体(以下、プリフォームという)1aの非含浸部にシート状の離型材1bを配置した含浸用素材1が塩から構成されて除去可能な充填物2により埋設された状態で収容された容器3を成形用の型7の中に入れる工程と、次いで、前記成形用の型7の中に、溶湯状態の金属5を注入し、前記含浸用素材1の含浸部4から溶湯状態の金属5を加圧含浸させる工程と、その後、成形体6を型7から取り出し、前記含浸部4を覆う金属5を切除して前記充填物2を露出させる工程と、次いで、前記露出させた部分から前記充填物2を溶媒、例えば水で溶かし去ったあと、前記成形体6から前記含浸用素材1を取り出して前記離型材1bを分離する工程と、を含むものである。なお、前記塩から構成されて除去可能な充填物2としては、塩の粉末、粒状物または後記する溶融塩、およびその混合物を含む。‘塩’としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩類もしくはこれらの混合物が挙げられる。また、含浸させる金属5としては、アルミニウム、マグネシウム、銅、ニッケル、チタンなどや、これらの少なくとも1種を主成分とする合金のようなものを含む。
図1(a)には、プリフォーム1aに金属5を型7の中で含浸させるまでの工程を一図に示している。本実施形態の製造方法では、まず、図3に示すように、予めシート状の離型材1bで円筒状のプリフォーム1aの非含浸部を被覆した含浸用素材1を塩から構成されて除去可能な充填物2で埋設した容器3を用意する。そして、図1(a)に示すように、容器3の高さよりも深い成形機の型7の中に容器3を入れる。成形機の型7の上方には、押圧材8が配置されている。この成形機は、例えば、溶湯鍛造機を使用する。前記容器3に収容された含浸用素材1の上端部は、容器3の上部に露出して、前記離型材1bおよび前記充填物2で被覆されない円環状の含浸部4として形成されている。
次いで、この容器3の上部からアルミニウムなどの金属5の溶湯を該容器3が埋没するように型7内に注入する。含浸用素材1の周囲に溶湯が流れ込んでも、周りに容器3の壁部と塩の充填物2があるので、プリフォーム1a内に溶湯が回り込んで入ってくるおそれは全くない。そして、溶湯を注入した型7の上方から前記押圧材8により圧力を加え、プリフォーム1aの含浸用素材1の円環状の含浸部4から金属5を含浸させる。そうすると、円環状の含浸部4から一方向に含浸させる金属5が滲み込んでいき、繊維の中への充填が進むと、図1(a)に示す含浸工程を終える。この含浸工程終了ののち、冷却して成形体6を型7から取り出す。
この含浸工程においては、例えば、容器3ごとプリフォーム1aを750℃で予熱し、溶湯鍛造機に入れ、800℃のアルミニウム(A1050)を圧力70MPaでアルミニウムを含浸させる。そして、プリフォーム1aを埋設した前記充填物2は、容器3の中に収容されているので、加圧してもプリフォーム1aが前記充填物2の中で壊れることはない。
次に、図1(b)に示すように、型7から取り出した成形体6における含浸部4の上方のアルミニウムなどの金属5の切除部分5aを機械加工などにより適宜切除する。このとき、前記含浸用素材1内のプリフォーム1aには、金属5が含浸されて繊維強化金属複合材料(以下、FRMという)1cが形成されている。したがって、切除する分量は、この場合、図示するように含浸部4が表面に露出する分量とすれば充分である。
次いで、図1(c)に示すように、金属5が含浸された含浸用素材1の含浸部4を露出させた成形体6の上方よりノズル9などから水をかけて前記充填物2の塩を溶かして除去する。含浸用素材1の周りの塩の充填物2は、容器3の深い底部分にあるものでも放水により比較的簡単に溶かすことができる。この場合、先に別途用意した水槽などに入れて、暫く水の中に浸しておいてから取り出し、水をかけて塩を溶かすと、より短時間で除去できるので都合がよい。
続いて、図2(a)に示すように、含浸用素材1の周りを被覆していた塩を流し去ると、離型材1bごとFRM1cを成形体6から容易に取り出すことができる。
次いで、図2(b)に示すように、FRM1cに配置していたシート状の離型材1b,1bを剥ぎ取る。このシート状の離型材1bは、例えば、グラファイトシートを用いる。FRM1cを塩から隔離していた部分は、このグラファイトシートであるので、隔離していたグラファイトシートを除去してやる。このグラファイトシートなどの離型材1bは、プリフォーム1aに塩が浸透(侵入)することを防ぐ機能を持っている。また、同時に、このグラファイトシートなどの離型材1bがないと、溶融金属の加圧含浸時にプリフォーム1aの内側から含浸する金属5が逆に外側の溶融塩側へ染み出す可能性があるので、グラファイトシートなどの離型材1bはその染み出しを防止して、余計な形状が付与されないようにする機能も持っている。
そして、図2(c)に示すように、最後の工程でグラファイトシートなどの離型材1b,1bを剥ぎ取ると、FRM1cの単体を得ることができる。このFRM1cの中には、補強繊維部分とアルミニウムなどの金属5が複合化された状態で成形されている。このグラファイトシートなどの離型材1bは、FRM1cの製品を取り出す際に、離型を容易にする。なお、本実施形態では、「離型材」をグラファイトシートなどのシート状の離型材1bで説明しているが、本発明の「離型材」は、シート状のものに限定されるものではない。例えば、前記したように溶融塩が含浸用素材1中に浸透(侵入)したり、または溶融金属が逆に溶融塩側へ染み出すのを防ぎ、かつ、非含浸部の形状にフィットして離型の容易な性質を有する材質のものであればよい。
以上の製造方法によれば、プリフォーム1aと同形状のFRM1cが得られる。したがって、ほぼ製品として出来上がった状態のものを得ることができるので、駄肉を削るような後加工の手間を省略することができる。また、従来のような離型板が不要で、しかも、湾曲したパイプなどの複雑形状にも対応することができるものである。さらに、本実施形態の製造方法によれば、肉厚の薄いFRMでも容易に製作することができる。
次に、本発明の前処理工程の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図3(a)に示すように、まず、前処理工程では、本発明の製造方法の目的物であるFRMを製造するための素材であるプリフォーム1aを用意する。このプリフォーム1aは、円筒状に形成されている。プリフォーム1aの材料は、補強繊維から構成される。補強繊維は、長繊維に限らず、短繊維でもよい。また、紡績糸を用い、織物、編物、不織布などを用いてもよい。補強繊維は、公知のバインダにより円筒状に予備成形したものを使用する。プリフォームとして使用する目的の形態によっては、その目的に応じて適宜シート状などの形態に予備成形したものを使用するとよい。
図3(a)に示すように、本実施形態の円筒状に形成したプリフォーム1aをシート状の離型材1bにより、その両端面を除いた内外周面を被覆する。このシート状の離型材1bには、グラファイトシートを使用している。グラファイトシートなどの離型材1bを用いるのは、主としてプリフォーム1a内に溶融塩が入り込むことを防止するとともに、プリフォーム1aの内側から外側へ含浸金属が流出するのを防止することである。このようにして、プリフォーム1aをグラファイトシートなどの離型材1bで被覆した含浸用素材1を形成する。なお、シート状の離型材1bを被覆しないプリフォーム1aの端面は、アルミニウムなどの溶融金属を含浸させるための含浸部4(図1(a)参照)を構成するものである。
次に、図3(b)に示すように、この含浸用素材1を鉄製の容器3の中にセットする。この容器3は、後工程で含浸用素材1の外周に塩を充填して埋設できる空間が形成可能な大きさのものを用意する必要がある。
その後、図3(c)に示すように、含浸用素材1の上から溶融塩2aを注入し、円筒状の含浸用素材1の内側および外側に溶融塩2aを充填して容器3の中に該含浸用素材1を埋没させる。この前処理工程においては、塩から構成されて除去可能な前記充填物2として、溶融塩2aを使用する点が特徴である。
図5(a)の顕微鏡写真からの模式図に示すように、溶融塩は、原料となる塩を高温に加熱溶融して冷却した状態では塩の粒子同士が融着して粒子間の界面が実質的にない状態の構造を有している。一方、図5(b)に示すように、通常の塩の粉末を型の中に入れて、圧縮した状態の顕微鏡写真からの模式図に示す構造をみると、塩の粒と粒とがはっきりしたつながり状態となった構造となっているのが分かる。この通常の圧縮した状態の塩粒子S1の粒子間の界面構造と比較してみると、溶融塩という形で一度溶かし込んだものを冷却して固める方法をとると、粒のような形ではなくて、結晶が成長したようになっていて、粒と粒とのつながりというよりは、溶融して密着した形状となっている。したがって、溶融塩は、粒子間の隙間がなく、さらに全ての箇所で均一な構造を有している。
本発明の溶融塩2aに使用できる塩は、本発明の目的、効果を奏するものであれば、特に限定されるものでなく、金属を含浸させる成形機の前記型7より融点が低く、かつ溶媒としての水と溶解する塩類、具体的には塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩類あるいはこれらの混合物が挙げられる。入手容易性の観点から塩化ナトリウムが好ましく後記する所定の状態の結晶構造を得るという観点から、できる限り純度が高く、なおかつ粒度のそろった塩化ナトリウムが好ましい。このような原料となる塩を本発明の溶融塩に使用する。
原料となる塩の粒度分布にばらつきがある場合には、塩の溶融をゆっくりと撹拌することによって適切な溶融塩が得られる。この際の条件は、原料となる塩が溶融して流体となれば特に制限されるものではない。したがって、実施上は完全な溶融が可能でありさえすれば、前記撹拌も絶対必要な要件ではない。本実施形態に使用する溶融塩は、塩を850℃で溶融して得たものである。図3(c)に示す注入工程では、溶融した塩を手動で容器3に注入している様子を示しているが、FRMを大量に連続生産することも可能である。
次いで、容器3中で溶融した塩を冷却する。この際の冷却条件は、大気中の放冷却でもよいが、より均一な溶融塩を製造するという観点から、冷却速度をコントロールすることも可能である。一般に、冷却速度が遅いほど均一な結晶構造を有する溶融塩が得られると考えられる。そのため、好ましくは、急冷すると内外の温度差により溶融塩が凝固収縮する際にクラックが発生しやすくなるおそれがあるので、急冷することは避けた方がよい。このようにして得られる溶融塩は、表面部分に凝固収縮の際に生じるいわゆるヒケを有している状態である。
前記溶融塩が凝固した後、前記含浸用素材1の端面の上部を覆っている溶融塩を削って除去し、溶融金属の含浸口となる含浸部4が表面に露出するように加工する。この場合、容器3の高さと同じ高さとなるように形成しておくと、容器3の端面と含浸用素材1の端面とのレベルが揃うので削り取りがしやすく好ましい。
前記含浸部4の表面露出加工の工程が済むと、前処理工程が終了する。
この前処理工程で得られた前記含浸用素材1を収容した鉄製の容器3を、前記溶融金属を含浸させるFRMの製造方法を行う本工程において、成形機の型7(図1参照)の中にセットして使用する。
次に、図4に示す別の前処理工程について説明する。この前処理工程の特徴は、溶融塩の凝固時に発生するいわゆるヒケ対策を施すことである。図4(a)に示すように、含浸用素材1には、その外周面に放射状に複数の仕切り材(パーティション)10を配置する。この含浸用素材1は、前記した図3の実施形態と同様に、プリフォーム1aをグラファイトシートなどの離型材1bで被覆して形成したものを使用する。前記仕切り材10の高さは、含浸用素材1の高さと同じであり、仕切り材10の幅は、容器3の内周壁に接する幅に形成する。そして、この仕切り材10を備えた含浸用素材1を容器3の中に入れてセットする。この容器3の中では、含浸用素材1の外周面と容器3の内壁との間の空間に、仕切り材10による小区画が形成される。
次いで、図4(b)に示すように、容器3にセットした含浸用素材1の上から前記図3の工程と同様に溶融塩2aを注入し、円筒状形成した含浸用素材1の内側および外側に溶融塩2aを充填して容器3の中に該含浸用素材1を埋没させる。そして、容器3中で溶融した塩を冷却する。この冷却の過程では、一般に表面にくぼみができるいわゆるヒケが発生する。本実施形態では、前記仕切り材10により溶融塩2aを注入する空間を小さく区画してあるので、このヒケをほとんど発生しないようにできる。
そして、注入した溶融塩2aが冷却されて凝固した後は、前記図3の工程と同様に、含浸用素材1の端面の上部を覆っている溶融塩を削って除去し、溶融金属の含浸口となる含浸部4が表面に露出するように加工する。
前記含浸部4を形成する表面露出加工の工程が済むと、本実施形態の前処理工程が終了する。その後、本前処理工程で得られた含浸用素材1を収容した鉄製の容器3を、前記溶融金属を前記含浸部4からプリフォーム1aに含浸させてFRMの製造を行う前記本工程に使用する。
図4に示す前処理工程によれば、溶融塩2aの凝固収縮により発生するプリフォームへの応力を複数の仕切り材(パーティション)10を配設することにより緩和することができる。
図3および図4に示した実施形態では、プリフォーム1aは、円筒状の形態の例で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において、その他の形態や複雑な形態にも適用が可能であることは理解されよう。例えば、円環状以外の断面形状を有する中実体や中空体、平板、曲面板、折り曲げ板などのほか、複雑な立体形状を有する形態のものにも適用が可能である。
また、溶融塩は溶融状態では流体として扱えるので非常にハンドリング性がよく、凝固後の圧縮強度も高いので、FRMを大量に連続生産する製造方法に適用することも可能である。連続生産する場合には、所定に制御された溶融塩注入手段により成形用の型にマスキング材として注入することにより行う。その際、注入する溶融塩の冷却速度のコントロールと、溶融塩を注入する前にプリフォーム1aの予熱を行う必要性などについても適宜考慮する。また、高い加圧力に耐えるので、溶融金属のプリフォームへの浸透圧力も高くすることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
<手法1>
1)直径50mm、長さ100mm、厚さ2mmのC/Cパイプをプリフォームとし、表面にグラファイトシート(ジャパンマテックス株式会社MAC・FOIL#8000)を貼る。
2)プリフォームを直径90mmの鉄製容器に入れ、プリフォームと鉄製容器の間にグラファイトシートでパーティションを設置し、ニチアス株式会社製無機粘土のファイバーキャストで固定する。
3)850℃に加熱溶融した塩をプリフォームの入った鉄製容器に流し込む。プリフォーム端末に付着した塩は凝固後削り落とす。
4)プリフォームを鉄製容器に入れたまま、750℃に予熱し、溶湯鍛造用の型に入れ、70MPaの圧力でアルミニウム(A1050)の溶湯をプリフォームに含浸する。
5)溶湯鍛造後、アルミニウムの端末を塩が出るまで削り、水中に3〜4時間浸漬して塩を溶かし、FRM部を取り出す。
6)表面のグラファイトシートを剥離する。表面に残った部分はワイヤーブラシなどで除去し、FRMを得る。
従来、成形体からFRMを取り出すのに、機械加工で約2日かかっていたが、この方法では、約5時間でFRMを取り出せた。
実施形態に係る繊維強化金属複合材料の製造方法を行う本工程を説明する説明図である。(a)は、型の中にセットした含浸用素材に溶融金属を含浸させる工程の例を示す図であり、(b)は、型から取り出した成形体の一部を切除する工程の例を示す図であり、(c)は、塩から構成される充填物を溶媒(水)で溶かす工程の例を示す図である。 図1に続く繊維強化金属複合材料の製造方法を行う本工程を説明する説明図である。 (a)は、充填物を除去したのち、含浸用素材を取り出す工程の例を示す図であり、(b)は、含浸用素材から離型材を取り除く工程の例を示す図であり、(c)は、製造工程を経て得られる繊維強化金属複合材料を示す図である。 実施形態に係る製造方法を行う前処理工程を説明する説明図である。 (a)は、補強繊維集合体に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程の例を示す図であり、(b)は、容器に含浸用素材を収容する工程の例を示す図であり、(c)は、容器の中に溶融塩を注入して含浸用素材を埋設する工程の例を示す図である。 実施形態に係る製造方法を行う別の前処理工程を説明する説明図である。 (a)は、仕切り材を配設した含浸用素材を容器に収容する工程の例を示す図であり、(b)は、仕切り材を配設した含浸用素材に溶融塩を注入して容器の中に埋設する工程の例を示す図である。 実施形態に係る製造方法に用いる溶融塩と通常の塩の粒子間の界面構造を示す顕微鏡写真からの模式図である。 (a)は、溶融塩の界面構造を示す図であり、(b)は、通常の塩の界面構造を示す図である。
符号の説明
1 含浸用素材
1a 補強繊維集合体(プリフォーム)
1b シート状の離型材
1c 繊維強化金属複合材料(FRM)
2 充填物(塩)
2a 溶融塩
3 容器
4 含浸部
5 金属
6 成形体
7 型
10 仕切り材(パーティション)

Claims (4)

  1. 繊維強化金属複合材料の製造方法において、
    補強繊維集合体の非含浸部に離型材を配置した含浸用素材が塩から構成されて除去可能な充填物により埋設された状態で収容された容器を成形用の型の中に入れる工程と、
    次いで、前記成形用の型の中に、溶融金属を注入し、前記含浸用素材の含浸部から溶融金属を加圧含浸させる工程と、
    その後、成形体を型から取り出し、前記含浸部を覆う金属を切除して前記充填物を露出させる工程と、
    次いで、前記露出させた部分から前記充填物を溶媒で溶かし去ったあと、前記成形体から前記含浸用素材を取り出して前記離型材を分離する工程と、
    を含むことを特徴とする繊維強化金属複合材料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の繊維強化金属複合材料の製造方法に先立って、
    補強繊維集合体の非含浸部に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程と、
    次いで、前記含浸用素材を前記容器に収容し、前記容器内に溶融した溶融塩を注入して前記含浸用素材を埋設する工程と、
    前記溶融塩が凝固した後、溶融塩から前記含浸用素材の一部が露出する含浸部を形成する工程と、
    を行うことを含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化金属複合材料の製造方法。
  3. 請求項1に記載の繊維強化金属複合材料の製造方法に先立って、
    補強繊維集合体の非含浸部に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程と、
    次に、前記容器と前記含浸用素材とのあいだの空間を区画する複数の仕切り材を前記含浸用素材に配設する工程と、
    次いで、前記前記仕切り材を配設した前記含浸用素材を前記容器内に収容する工程と、
    その後、前記容器内に溶融した溶融塩を注入して前記含浸用素材を埋設する工程と、
    前記溶融塩が凝固した後、溶融塩から前記含浸用素材の一部が露出する含浸部を形成する工程と、
    を行うことを含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維強化金属複合材料の製造方法。
  4. 繊維強化金属複合材料の製造方法において、
    複雑形状の補強繊維集合体の非含浸部に離型材を配置して含浸用素材を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の繊維強化金属複合材料の製造方法。
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