JP2005307331A - 金属基複合材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 表面処理を施さなくとも耐食性に優れた金属基複合材を提供する。
【解決手段】 本発明の金属基複合材は、溶融したマトリックス金属3aからなる浴8に、プリフォーム2を内包する成形体7を浸漬して、プリフォーム2を内包するマトリックス金属3を溶融させて得られる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、プリフォームにマトリックス金属を含ませた金属基複合材(Metal Matrix Composite)及びその製造方法に関する。
従来、補強繊維からなる所定形状のプリフォームに高圧鋳造法(High Pressure Die Casting)を使用してマトリックス金属を含ませる金属基複合材の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この製造方法では、まず、プリフォームが成形型内に配置される。次いで、成形型内には、溶融したマトリックス金属が高圧で注入される。その結果、プリフォームには、溶融したマトリックス金属が含浸される。次に、成形型内に注入したマトリックス金属が冷却されて凝固すると、成形型内には、プリフォームを内包するマトリックス金属塊からなる成形体が形成される。そして、凝固したマトリックス金属を含むプリフォームがマトリックス金属塊(成形体)から切り出されて、金属基複合材が得られる。このような製造方法で得られた金属基複合材は、プリフォームに凝固したマトリックス金属が含まれているので、無垢のマトリックス金属塊と比較して軽量であって、しかも高い剛性及び熱伝導率を発揮する。
特公平3−78177号公報(第1頁右欄第20行乃至第2頁左欄第26行)
ところで、このような製造方法で得られた金属基複合材は、その表面にプリフォームを構成する補強繊維が露出している。その一方で、このようにプリフォームが露出した金属基複合材の表面は、マトリックス金属及びプリフォーム(補強繊維)といった異材間で生じる電位差によって腐食し易い。そのため、このような金属基複合材の表面には、腐食を防止するために、無電解めっきや表面改質等の表面処理が施される。しかしながら、このような表面処理を金属基複合材に施す工程は、煩雑を極める。
そこで、本発明は、表面処理を施さなくとも耐食性に優れた金属基複合材及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、金属基複合材の表面をマトリックス金属で覆うことによって前記課題が解決されるとの知見に基づいて本発明に到達した。周知のとおり、溶融したマトリックス金属のプリフォームに対する濡れ性は悪い。つまり、プリフォームの表面に溶融したマトリックス金属を保持させることが困難であることから、従来、マトリックス金属で覆われた金属基複合材を得ることは困難であると考えられていた。しかしながら、本発明者は、後記する特定の工程を経ることによって、プリフォームの表面に溶融したマトリックス金属を保持させることができることを見出した。
すなわち、前記課題を解決するための請求項1に記載の金属基複合材の製造方法は、成形型内で加圧しながら溶融したマトリックス金属をプリフォームに含浸させる含浸工程と、前記成形型内で前記マトリックス金属を凝固させて前記マトリックス金属が前記プリフォームを内包した成形体を得る成形体作製工程と、溶融した前記マトリックス金属からなる浴に前記成形体を浸漬して、前記プリフォームを内包する前記マトリックス金属を溶融させる溶融工程とを備えることを特徴とする。
この製造方法では、まず、プリフォームに溶融したマトリックス金属を含浸させると共に、このプリフォームを内包する凝固したマトリックス金属からなる成形体が作製される。そして、この成形体は、溶融したマトリックス金属からなる浴に浸漬されることによって、プリフォームを内包する凝固したマトリックス金属が溶融される。つまり、プリフォームの周囲を取り囲む凝固したマトリックス金属を浴中で溶融することによって、成形体からプリフォームが取り出される。そして、浴からプリフォームが引き上げられると、プリフォームには、その表面を覆うように、溶融したマトリックス金属が層状に保持される。その結果、浴から引き上げることによってプリフォームの表面に保持されたマトリックス金属が冷却されて凝固すると、その表面がマトリックス金属で覆われた金属基複合材が得られる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属基複合材の製造方法において、前記プリフォームの体積率が、目標の金属基複合材の体積に対して5%以上、95%以下であることを特徴とする。
なお、前記した「目標の金属基複合材」とは、この製造方法を使用して作製しようとする目標の金属基複合材をいう。また、ここでの「プリフォームの体積率」は、目標の金属基複合材の体積を100%としたときの体積率をいい、プリフォームの空隙部分は含まない。
この製造方法では、その体積率が5%以上、95%以下となるプリフォームが使用されることによって、プリフォームには、溶融したマトリックス金属が十分に含浸され、しかも、目標とする形状及びサイズの金属基複合材を確実に得ることができる。
このような製造方法において、マトリックス金属は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金が好ましい。
すなわち、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の金属基複合材の製造方法において、前記マトリックス金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金であることを特徴とする。
請求項4に記載の金属基複合材は、成形型内で加圧しながら溶融したマトリックス金属をプリフォームに含浸させる含浸工程と、前記成形型内で前記マトリックス金属を凝固させて前記マトリックス金属が前記プリフォームを内包した成形体を得る成形体作製工程と、溶融した前記マトリックス金属からなる浴に前記成形体を浸漬して、前記プリフォームを内包する前記マトリックス金属を溶融させる溶融工程とを経て得られたことを特徴とする。
この金属基複合材は、前記したように、その表面がマトリックス金属で覆われている。その結果、この金属基複合材では、プリフォームがその表面に露出した従来の金属基複合材のように、マトリックス金属とプリフォームとの間(異材間)で電位差が生じることがない。したがって、この金属基複合材は、従来の金属基複合材と比較して耐食性に優れる。
また、この金属基複合材は、その表面がマトリックス金属で覆われているので、その表面に、例えば、塗装、表面改質等の表面処理を行う際には、無垢のマトリックス金属部材と同様に取り扱うことができる。その結果、この金属基複合材によれば、その表面にマトリックス金属とプリフォームとの両方が存在する従来の金属基複合材と比較して、適用可能な表面処理の範囲を広げることができる。
本発明によれば、表面処理を施さなくとも耐食性に優れた金属基複合材を提供することができる。
(第1実施形態)
以下に、本発明の金属基複合材の第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図1(a)は、第1実施形態に係る金属基複合材の斜視図であり、一部に切り欠きを含む図、図1(b)は、図1(a)中のA方向からみた金属基複合材の部分断面図である。
<金属基複合材>
図1(a)に示すように、金属基複合材1は、プリフォーム2とマトリックス金属3とで構成されており、本実施形態における金属基複合材1は、円筒形状を有している。そして、この金属基複合材1は、その表面がマトリックス金属3で覆われている。
ここで図1(b)を併せて参照すると明らかなように、プリフォーム2は、絡み合う補強繊維2aの集合体であって、本実施形態におけるプリフォーム2は、円筒形状を有している。プリフォーム2を構成する補強繊維2aとしては、例えば、炭素繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維等が挙げられ、中でも炭素繊維が好ましい。これら補強繊維2aは、短繊維及び長繊維のいずれであってもよい。
マトリックス金属3は、図1(b)に示すように、プリフォーム2の空隙であった部分2bに充填されていると共に、プリフォーム2の表面近傍における空隙であった部分2bに充填されたマトリックス金属3は、金属基複合材1を覆うマトリックス金属3と一体になっている。
このマトリックス金属3としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金等が挙げられる。
<金属基複合材の製造方法>
次に、本実施形態に係る金属基複合材の製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図面において、図2、図3及び図4は、本実施形態に係る金属基複合材の製造方法の工程を説明する図であり、図2(a)は、成形型内に配置するプリフォームの斜視図、図2(b)は、成形型内でプリフォームにマトリックス金属を含浸させる際の様子を示す図、図3(a)は、成形型から取り出された成形体の模式図、図3(b)は、溶融したマトリックス金属の浴に成形体を浸漬したときの様子を示す図、図4は、溶融したマトリックス金属からなる浴内で、プリフォームを内包するマトリックス金属を溶融させた際の様子を示す図である。
この製造方法では、まず、作製しようとする目標の金属基複合材1(図1(a)参照)の形状にニアネットシェイプとなるようなプリフォーム2(図1(a)参照)が準備される。このプリフォーム2は、目標の金属基複合材1の体積を100%としたときの体積率(但し、プリフォーム2中の空隙部分は含まない)が、50%以上、95%以下であることが好ましい。このプリフォーム2の体積率が50%未満の場合には、プリフォーム2の空隙率が大きくなるために、後記する溶融工程において、溶融したマトリックス金属3aからなる浴8(図4参照)中に、プリフォーム2内に充填されたマトリックス金属3(図1(b)参照)をもが溶け出していく場合がある。その結果、目標の金属基複合材1(図1(a)参照)が得られない場合がある。また、プリフォーム2の体積率が95%を超える場合には、プリフォーム2の空隙率が小さくなるために、後記する含浸工程において、溶融したマトリックス金属3a(図2(b)参照)がプリフォーム2に十分に含浸されない場合がある。
本実施形態に係る金属基複合材1(図1(a)参照)は、このようなプリフォーム2を使用すると共に、以下に説明する「含浸工程」、「成形体作製工程」及び「溶融工程」を経ることによって得ることができる。
「含浸工程」では、図2(b)に示すように、まず、予熱されたプリフォーム2が成形型6内に配置されると共に、この成形型6内には、溶融したマトリックス金属3aが満たされる。このプリフォーム2は、図2(a)に示すように、中心に孔5aが穿たれた円盤状の支持板5上に取り付けられている。この支持板5は、溶融したマトリックス金属3aが満たされた成形型6の底部に、プリフォーム2を安定して配置するためのものであり、溶融したマトリックス金属3a中でプリフォーム2が沈むように、本実施形態では支持板5が鉄で形成されている。また、支持板5の孔5aは、後記する溶融工程が終了した後に、溶融したマトリックス金属3aからなる浴8(図4参照)からプリフォーム2を引き上げる際に、円筒形状のプリフォーム2の内側に溜まった、溶融したマトリックス金属3aをその内側から外側に向けて流し出すためのものである。このような支持板5へのプリフォーム2の取り付けは、例えば、ファイバーキャストが使用されればよい。
そして、この「含浸工程」では、図2(b)に示すように、成形型6の上部の開口に嵌め入れられたパンチ6aによって、成形型6内が加圧される。このことによってプリフォーム2には溶融したマトリックス金属3aが含浸されて、この「含浸工程」は終了する。なお、このとき、前記したように、その体積率が95%以下のプリフォーム2が使用されると、プリフォーム2内には、溶融したマトリックス金属3aが十分に含浸される。
「成形体作製工程」では、成形型6(図2(a)参照)内に満たされた、溶融したマトリックス金属3aを冷却して凝固させることによって、図3(a)に示すような成形体7が得られる。この成形体7は、プリフォーム2を内包する凝固したマトリックス金属3で構成されている。そして、図示しないが、このプリフォーム2の内部には、凝固したマトリックス金属3が充填されている。このような成形体7が作製されることによって、この「成形体作製工程」は終了する。
「溶融工程」では、図3(b)に示すように、溶融したマトリックス金属3aからなる浴8に成形体7が浸漬される。その結果、浴8を構成する溶融したマトリックス金属3aからの熱によって、プリフォーム2を内包する成形体7のマトリックス金属3は溶融していく。そして、図4に示すように、プリフォーム2を内包するマトリックス金属3(図3(b)参照)が溶融すると、プリフォーム2は、浴8から引き上げられる。このプリフォーム2を浴8から引き上げる時期としては、プリフォーム2を内包するマトリックス金属3(図3(b)参照)が完全に溶融し切ったときであってもよいし、比較的に厚めのマトリックス金属3(図1(a))が金属基複合材1(図1(a))の表面を覆うようにするために、プリフォーム2を内包するマトリックス金属3(図3(b)参照)が完全に溶融し切る前であってもよい。そして、このようにして浴8から引き上げられたプリフォーム2には、その内部にマトリックス金属3(図1(b)参照)が充填されていると共に、プリフォーム2には、その表面の全体に渡って、溶融したマトリックス金属3aが層状になって保持されている。なお、プリフォーム2を内包するマトリックス金属3が完全に溶融し切ったときにプリフォーム2を引き上げる場合にあっては、前記したように、その体積率が50%以上のプリフォーム2が使用されると、溶融したマトリックス金属3aからなる浴8(図4参照)中にプリフォーム2内に充填されたマトリックス金属3(図1(b)参照)をもが溶け出すことはない。その結果、目標の金属基複合材1(図1(a)参照)を確実に得ることができる。
そして、図4中、点線で示すように、プリフォーム2を浴8から引き上げると同時に支持板5から取り外すと共に、プリフォーム2の表面に保持された、溶融したマトリックス金属3aが凝固すると、本実施形態に係る金属基複合材1が得られる。
以上のような本実施形態に係る金属基複合材1の製造方法によれば、従来の製造方法ではその製造が困難であると考えられていた、マトリックス金属3でその表面が覆われた金属基複合材1を容易に得ることができる。
そして、このような製造方法で得られた金属基複合材1は、その表面がマトリックス金属3で覆われているので、プリフォームがその表面に露出した従来の金属基複合材のように、マトリックス金属とプリフォームとの間(異材間)で電位差が生じることがない。したがって、この金属基複合材1は、従来の金属基複合材と比較して耐食性に優れる。
また、この金属基複合材1は、その表面がマトリックス金属3で覆われているので、その表面に、例えば、塗装、表面改質等の表面処理を行う際には、無垢のマトリックス金属部材と同様に取り扱うことができる。その結果、この金属基複合材1によれば、その表面にマトリックス金属とプリフォームとの両方が存在する従来の金属基複合材と比較して、適用可能な表面処理の範囲を広げることができる。
(第2実施形態)
以下に、本発明の金属基複合材の第2実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。参照する図面において、図5(a)は、第2実施形態に係る金属基複合材の斜視図、図5(b)は、図5(a)中のB−B線における断面図、図6(a)は、第2実施形態に係る金属基複合材に使用されるプリフォームの斜視図、図6(b)は、図6(a)中のC−C線における断面図である。
<金属基複合材>
図5(a)に示すように、第2実施形態に係る金属基複合材11は、プリフォーム12と、マトリックス金属3とで構成されており、本実施形態における金属基複合材11は、第1実施形態に係る金属基複合材1(図1(a)参照)と比較して、半径方向に厚みのある円筒形状を有している。そして、この金属基複合材11は、第1実施形態に係る金属基複合材1と同様にその表面がマトリックス金属3で覆われている。なお、この金属基複合材11におけるプリフォーム12及びマトリックス金属3の材質は、第1実施形態の金属基複合材1と同様のものである。また、プリフォーム12は、図1(b)に示す第1実施形態でのプリフォーム2と同様に、絡み合う補強繊維2aの集合体で構成されている。
この金属基複合材11は、第1実施形態に係る金属基複合材1で、プリフォーム2の空隙であった部分2b(図1(b)参照)にマトリックス金属3が充填されていると同様に、プリフォーム12の空隙であった部分(図示せず)にマトリックス金属3が充填されている。そして、プリフォーム12の表面近傍における空隙であった部分に充填されたマトリックス金属3は、金属基複合材11を覆うマトリックス金属3と一体になっている。
また、この金属基複合材11は、図5(b)に示すように、プリフォーム12の後記する中空部12dにもマトリックス金属3が充填されている。
本実施形態におけるプリフォーム12は、図6(a)に示すように、略円筒形状を有しており、外筒部12aと、この外筒部12aの内側に配置された内筒部12eとを備えている。そして、このプリフォーム12は、複数の板状リブ12cを備えており、これら板状リブ12cは、内筒部12eから外筒部12aに向かって放射状に延びると共にプリフォーム12の高さ方向に延びて、外筒部12aと内筒部12eとを接合している。このようなプリフォーム12には、図6(b)を併せて参照すると明らかなように、外筒部12aと、内筒部12eと、板状リブ12cとによって区画された中空部12d、及び内筒部12eの内側に中空部12bが形成されている。このようなプリフォーム12は、公知の製造方法によって得ることができ、例えば、中空部12d及び中空部12bを形作る樹脂製の中子を内包する円柱状のプリプレグを形成すると共に、プリプレグの焼成に中子を気化させる方法や、プリフォーム12を構成する外筒部12a、内筒部12e及び板状リブ12cを別個に作製して、これらを貼り合せる方法、円柱状に形成された炭素繊維成形体から中空部12d及び中空部12bを削り出す方法等によって得ることができる。
<金属基複合材の製造方法>
次に、本実施形態に係る金属基複合材の製造方法について適宜図面を参照しながら説明する。この製造方法では、まずプリフォーム12(図6(a)参照)が準備される。このプリフォーム12は、目標の金属基複合材11(図5(a)参照)の体積を100%としたときの体積率(但し、プリフォーム12中の空隙部分は含まない)が、5%以上、70%以下であることが好ましい。
このプリフォーム12の体積率が5%未満の場合には、プリフォーム12の空隙率が大きくなるために、後記する溶融工程において、プリフォーム12内に充填されたマトリックス金属3(図5(b)参照)をもが溶け出していく場合がある。その結果、目標の金属基複合材11(図5(a)参照)が得られない場合がある。また、プリフォーム12の体積率が70%を超える場合には、プリフォーム12の空隙率が小さくなるために、後記する含浸工程において、溶融したマトリックス金属(図示せず)がプリフォーム12に十分に含浸されない場合がある。
そして、本実施形態に係る金属基複合材11は、第1実施形態でのプリフォーム2(図2(a)参照)に代えてプリフォーム12を使用した以外は第1実施形態に係る金属基複合材1(図1(a)参照)の製造方法と同様にして得ることができる。
このようにして得られた金属基複合材11は、その表面がマトリックス金属3で覆われているので、プリフォームがその表面に露出した従来の金属基複合材のように、マトリックス金属とプリフォームとの間(異材間)で電位差が生じることがない。したがって、この金属基複合材11は、従来の金属基複合材と比較して耐食性に優れる。
また、この金属基複合材11は、その表面がマトリックス金属3で覆われているので、その表面に、例えば、塗装、表面改質等の表面処理を行う際には、無垢のマトリックス金属部材と同様に取り扱うことができる。その結果、この金属基複合材11によれば、その表面にマトリックス金属とプリフォームとの両方が存在する従来の金属基複合材と比較して、適用可能な表面処理の範囲を広げることができる。
また、この金属基複合材11では、中空部12dにマトリックス金属3が充填されることによってプリフォーム12の体積率が低減される。その結果、この金属基複合材11によれば、従来の金属基複合材と比較して製造コストを抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、補強繊維2aからなるプリフォーム2を使用した金属基複合材1(図1(b)参照)及びプリフォーム12を使用した金属基複合材11(図5(a)参照)を例示したが、本発明はこれらプリフォーム2やプリフォーム12に代えて、例えば、中空シリカ粒、中実シリカ粒等からなる耐熱性粉体を所望の形状に成形した多孔質部材を使用するものであってもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、円筒形状のプリフォーム2及びプリフォーム12を使用した円筒形状の金属基複合材1、金属基複合材11及びこれらの製造方法を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、平板状のプリフォームや、他の立体形状のプリフォームを使用して、平板状の金属基複合材や、他の立体形状の金属基複合材を製造するものであってもよい。
以下に、本発明の実施例に基づいて、本発明に係る金属基複合材及びその製造方法についてさらに具体的に説明する。
(実施例1)
製造されるべき目標の金属基複合材として、直径50mm、長さ100mm、肉厚2mmの円筒形状の金属基複合材1(図1(a)参照)(体積:3.0×104mm3)を想定した。そして、その酸化消費分を考慮して、目標の金属基複合材1と同形状のカーボンパイプからなるプリフォーム2(図2(a)参照)を準備した(直径50mm、長さ100mm、肉厚2mm)。なお、目標の金属基複合材1の体積を100%とした場合のプリフォーム2の体積率は、50%であった。また、本実施例の場合において、目標の金属基複合材1の体積と、プリフォーム2の体積とは等しいので、プリフォーム2のVf(Volume Fraction)は、本発明にいう「プリフォームの体積率」と等しくなっている。
次に、図2(a)に示すような支持板5にプリフォーム2をファイバーキャストで取り付けた後、このプリフォーム2が750℃になるように予熱した。そして、予熱したプリフォーム2を支持板5ごと成形型6(図2(b)参照)内に配置した。次いで、成形型6内に溶融したアルミニウム(A1050:純度99.5%)(溶融したマトリックス金属3a(図2(b)参照))を投入した。そして、溶融したアルミニウムの温度が780℃になるように維持すると共に、成形型6内の圧力が85MPaになるようにパンチ6a(図2(a)参照)で加圧することによって、プリフォーム2内に溶融したアルミニウムを含浸させた。なお、加圧時間は3分に設定した。
次に、成形型6内の溶融したアルミニウムが冷却されて凝固するのを待って、成形型6から、図3(a)に示すような、プリフォーム2を内包する凝固したアルミニウム(マトリックス金属3)で構成された成形体7を取り出した。
次に、得られた成形体7を、溶融したアルミニウム(A1050:純度99.5%)(溶融したマトリックス金属3a(図3(b)参照))からなる浴8(図3(b)参照)に浸漬した。このときの浴8の温度は、780℃に設定した。
そして、図4に示すように、浴8中で、プリフォーム2を内包する凝固したアルミニウム(マトリックス金属3(図3(b)参照))が溶融するのを待って、プリフォーム2を浴8から引き上げた。このときプリフォーム2には、その表面の全体に渡って、溶融したアルミニウム(溶融したマトリックス金属3a(図4参照))が層状になって保持されていた。そして、引き上げたプリフォーム2の表面に保持された、溶融したアルミニウムを冷却し、凝固させることによって金属基複合材1(図1(a)参照)を得た。
このようにして得られた金属基複合材1の表面を目視で観察したところ、金属基複合材1の表面は、その全面に渡ってアルミニウム(マトリックス金属3(図1(a)参照))で覆われていた。そして、この金属基複合材1を切断すると共に、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、プリフォーム2の空隙であった部分2b(図1(b)参照)には、均一にアルミニウム(マトリックス金属3(図1(b)参照))が充填されていた。
次に、得られた金属基複合材1と、比較例としてのアルミニウム板とに塩水を噴霧し、両者の耐食性についての評価を行った。耐食性の評価は、塩水を噴霧した表面の腐食度合いを目視で観察することによって行われた。その結果、両者の耐食性は同等であることが確認された。
また、得られた金属基複合材1と、比較例としてのアルミニウム板とにアクリル系塗料を塗布することによって、両者の塗料の付着性を評価した。この塗料の付着性の評価は、碁盤目法によって行った。その結果、両者の塗料の付着性は同等であることが確認された。
(実施例2)
実施例1において使用したプリフォーム2に代えて、目標の金属基複合材1の体積を100%とした場合のプリフォーム2の体積率が、95%のものを使用した以外は、実施例1と同様にして金属基複合材1を得た。
このようにして得られた金属基複合材1の表面を目視で観察したところ、金属基複合材1の表面は、その全面に渡ってアルミニウムで覆われていた。そして、この金属基複合材1を切断すると共に、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、プリフォーム2の空隙であった部分2bには、均一にアルミニウムが充填されていた。
次に、得られた金属基複合材1と、比較例としてのアルミニウム板とについて、実施例1と同様にして、耐食性の評価及び塗料の付着性の評価を行った。その結果、両者の耐食性及び塗料の付着性は同等であることが確認された。
(実施例3)
実施例1において使用したプリフォーム2に代えて、目標の金属基複合材1の体積を100%とした場合のプリフォーム2の体積率が、40%のものを使用した以外は、実施例1と同様にして金属基複合材1を得た。
このようにして得られた金属基複合材1の表面を目視で観察したところ、金属基複合材1の表面は、その全面に渡ってアルミニウムで覆われていた。そして、この金属基複合材1を切断すると共に、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、プリフォーム2の空隙であった部分2bには、均一にアルミニウムが充填されていた。しかしながら、金属基複合材1の表面の一部でプリフォーム2の空隙部分と思われる箇所が陥没していた。
(実施例4)
実施例1において使用したプリフォーム2に代えて、目標の金属基複合材1の体積を100%とした場合のプリフォーム2の体積率が、97%のものを使用した以外は、実施例1と同様にして金属基複合材1を得た。
このようにして得られた金属基複合材1の表面を目視で観察したところ、金属基複合材1の表面は、その全面に渡ってアルミニウムで覆われていた。しかしながら、この金属基複合材1を切断すると共に、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、プリフォーム2内にはアルミニウムが充填されていない空隙部(ボイド)が確認された。
次に、得られた金属基複合材1と、比較例としてのアルミニウム板とについて、実施例1と同様にして、耐食性の評価及び塗料の付着性の評価を行った。その結果、両者の耐食性及び塗料の付着性は同等であることが確認された。
次に、得られた金属基複合材1と、比較例としてのアルミニウム板とについて、実施例1と同様にして、耐食性の評価及び塗料の付着性の評価を行った。その結果、両者の耐食性及び塗料の付着性は同等であることが確認された。
(実施例5)
実施例1において使用したプリフォーム2に代えて、図6(a)に示すプリフォーム12を使用した以外は実施例1と同様にして金属基複合材11(図5(a)参照)を得た。なお、プリフォーム12は、目標の金属基複合材11の体積を100%とした場合のプリフォーム12の体積率が、70%となるものを使用した。
このようにして得られた金属基複合材11の表面を目視で観察したところ、金属基複合材11の表面は、その全面に渡ってアルミニウム(マトリックス金属3(図5(a)参照))で覆われていた。そして、この金属基複合材11を切断すると共に、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、プリフォーム12の空隙であった部分には、均一にアルミニウムが充填されていた。
次に、得られた金属基複合材11と、比較例としてのアルミニウム板とについて、実施例1と同様にして、耐食性の評価及び塗料の付着性の評価を行った。その結果、両者の耐食性及び塗料の付着性は同等であることが確認された。
(実施例6)
実施例5において使用したプリフォーム12に代えて、目標の金属基複合材11の体積を100%とした場合のプリフォーム12の体積率が、5%のものを使用した以外は、実施例5と同様にして金属基複合材11を得た。
このようにして得られた金属基複合材11の表面を目視で観察したところ、金属基複合材11の表面は、その全面に渡ってアルミニウムで覆われていた。そして、この金属基複合材11を切断すると共に、その断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、プリフォーム12の空隙であった部分には、均一にアルミニウムが充填されていた。
次に、得られた金属基複合材11と、比較例としてのアルミニウム板とについて、実施例1と同様にして、耐食性の評価及び塗料の付着性の評価を行った。その結果、両者の耐食性及び塗料の付着性は同等であることが確認された。
図1(a)は、第1実施形態に係る金属基複合材の斜視図であり、一部に切り欠きを含む図、図1(b)は、図1中のA方向からみた金属基複合材の部分断面図である。 図2(a)は、成形型内に配置するプリフォームの斜視図、図2(b)は、成形型内でプリフォームにマトリックス金属を含浸させる工程を説明する図である。 図3(a)は、成形型から取り出された成形体の模式図、図3(b)は、溶融したマトリックス金属からなる浴に成形体を浸漬したときの様子を示す図である。 溶融したマトリックス金属の浴内でプリフォームを内包するマトリックス金属を溶融させた際の様子を示す図である。 図5(a)は、第2実施形態に係る金属基複合材の斜視図、図5(b)は、図5(a)中のB−B線における断面図である。 図6(a)は、第2実施形態に係る金属基複合材に使用されるプリフォームの斜視図、図6(b)は、図6(a)中のC−C線における断面図である。
符号の説明
1 金属基複合材
2 プリフォーム
3 マトリックス金属
3a 溶融したマトリックス金属
6 成形型
7 成形体
8 浴
11 金属基複合材
12 プリフォーム

Claims (4)

  1. 成形型内で加圧しながら溶融したマトリックス金属をプリフォームに含浸させる含浸工程と、
    前記成形型内で前記マトリックス金属を凝固させて前記マトリックス金属が前記プリフォームを内包した成形体を得る成形体作製工程と、
    溶融した前記マトリックス金属からなる浴に前記成形体を浸漬して、前記プリフォームを内包する前記マトリックス金属を溶融させる溶融工程とを備えることを特徴とする金属基複合材の製造方法。
  2. 前記プリフォームの体積率が、目標の金属基複合材の体積に対して5%以上、95%以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属基複合材の製造方法。
  3. 前記マトリックス金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウムまたはマグネシウム合金であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属基複合材の製造方法。
  4. 成形型内で加圧しながら溶融したマトリックス金属をプリフォームに含浸させる含浸工程と、
    前記成形型内で前記マトリックス金属を凝固させて前記マトリックス金属が前記プリフォームを内包した成形体を得る成形体作製工程と、
    溶融した前記マトリックス金属からなる浴に前記成形体を浸漬して、前記プリフォームを内包する前記マトリックス金属を溶融させる溶融工程とを経て得られたことを特徴とする金属基複合材。
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