JP4136208B2 - 鋳造用中子、鋳造用中子の製造方法 - Google Patents

鋳造用中子、鋳造用中子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は例えばシリンダヘッド等を鋳造する際に使用する鋳造用中子、この鋳造用中子の製造方法及びこの鋳造用中子を用いた鋳造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリンダヘッドを例にとって説明すると、シリンダヘッドにはポートやウォータジャケット等の型抜き成形ができない箇所があり、これらポートやウォータジャケットを鋳造の際に同時に成形するため、鋳型内に予めポート形状やウォータジャケット形状をした中子をセットし、鋳造後に中子を崩壊して除去するようにしている。
【0003】
上記中子はシェル砂を有機バインダ等で固めてコアとし、このコア表面に鋳造時の溶湯圧に耐えるための耐圧コーティング層を焼成にて形成し、更にこの耐圧コーティングの外側に剥離コーティング層を形成している。
【0004】
上記の鋳造用中子を用いて鋳造すると、耐圧コーティング層及び剥離コーティング層が溶湯(アルミ合金)と一体となり、ポートやウォータジャケットの内表面に残ってしまい、その除去が面倒である。
【0005】
そこで、特願昭56−160854号公報に提案される技術が知られている。この公報には、図7(a)〜(c)に示すように、水溶性材料からなる中子100の表面に、プラズマアーク溶射、または酸水素炎溶射等によって、ZnやAl等の金属被膜101を形成し、この中子100を鋳造型102にセットし、溶湯103を充填し、鋳造後に上記金属被膜101を中空部周壁面104に残す内容が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した先行技術によれば、耐圧コーティング及び剥離コーティングが溶湯と一体になって成形面に差し込む不利はなくなるが、金属被膜としては溶湯温度よりも融点が高いものを選定する必要があるため、金属被膜と中空部周壁面との間の接合力はそれほど高くならず、金属被膜が剥離しやすい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく本発明に係る鋳造用中子は、シェル砂などを固めてなるコアの外側がアルミ箔等の金属層で被覆され、この金属層の表面に低融点合金層が形成された構成とした。
【0008】
低融点合金層を設けることで、アルミ箔等の金属層とアルミニウム等の金属溶湯との間で金属拡散が促進され、鋳造後に金属箔を鋳造品側に残した際の接合力を高めることができる。
ここで、低融点合金としては、Zn(亜鉛):85〜96wt%、Sn(錫):10〜15wt%、Mg:1.0〜1.5wt%で、融点が400℃以下であるものが好ましい。
Zn(亜鉛)を85〜96wt%とし、Sn(錫)を10〜15wt%としたのは、鋳造品と金属箔間に所定の接合強度を確保するためであり、Mgを1.0〜1.5wt%としたのは、金属箔の金属溶湯への拡散性を向上するためである。
【0009】
また、本発明に係る鋳造用中子の製造方法は、予めアルミ箔等の金属箔の一面側に低融点合金層を形成しておき、この金属箔を中子成形用金型のキャビティ内に前記低融点合金層を形成した面が外側になるようにセットし、次いで、金属箔で内側面が被覆されたキャビティ内にシェル砂を吹き込んで充填し、更に加熱してシェル砂をバインダで固めるようにした。
【0010】
前記方法では、予め金属箔の一面側に低融点合金層を形成しておいたが、中子のコアを金属箔で被覆した後に、金属箔表面に低融点合金層を形成してもよい。これにより、鋳造工程において、低融点合金を媒介として金属箔と金属溶湯との金属拡散層が効果的に形成される。
【0011】
更に、上記の鋳造用中子を用いた本発明に係る鋳造法は、鋳造用中子を鋳型のキャビティ内にセットし、次いで溶湯を充填し、冷却固化せしめた後に離型し、この後鋳造用中子を崩壊除去するとともに低融点合金層を介して金属箔を鋳造品側に残す構成とする。
即ち、金属箔は低融点合金を介して、溶湯と拡散接合され、そこに金属拡散層を形成しつつ、鋳造品側に残される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る鋳造用中子の斜視図、図2は同鋳造用中子の断面図であり、実施例で示す鋳造用中子1はシリンダヘッドのポート形状をしており、シェル砂を有機バインダで固めたコア2の外表面にアルミ箔3が設けられ、このアルミ箔3の外表面に低融点合金層4が形成されている。
尚、コア2とアルミ箔3との間に耐圧層を設けるようにしてもよい。
【0013】
前記低融点合金層4の組成としては、Zn(亜鉛):85〜96wt%、Sn(錫):10〜15wt%、Mg:1.0〜1.5wt%で、融点が400℃以下のものを用いている。
【0014】
上記の鋳造用中子1の製造方法の一例を図3(a)〜(c)に基づいて説明する。
先ず、図3(a)に示すアルミ箔3を用意する。このアルミ箔3の少なくとも一面側には予め低融点合金層4が形成されている。低融点合金層4の形成方法は任意であり、CVD、ディッピング、スプレー等任意である。
【0015】
次いで、上記シート状のアルミ箔3からバルジ成形によってほぼポート形状に近い形に成形する。尚、バルジ成形する際には、低融点合金層4を形成した面が外側になるようにする。そして、袋状に成形されたアルミ箔3を、図3(b)に示すように、中子成形用金型5のキャビティ内にセットする。
【0016】
この後、図3(c)に示すように、充填機からシェル砂をキャビティ内即ち袋状に成形されたアルミ箔3内にブローし、加熱することでシェル砂を有機バインダにて固める。これにより、コア2がアルミ箔3で被覆され、且つアルミ箔3の外側面に低融点合金層4が形成された鋳造用中子1が得られる。
【0017】
図4は別実施例に係る製造方法を説明した図である。図3に示した実施例では、予めアルミ箔の少なくとも一面側に低融点合金層を形成しておいたが、図4に示す実施例では、表面に低融点合金層を形成していないアルミ箔3にてコアを被覆し、これをヒータ6にて加熱溶融せしめられている低融点合金浴7内に浸漬し、浴から引き上げることでアルミ箔3の外側面に低融点合金層4が形成された鋳造用中子1を得るようにしている。
【0018】
そして、以上によって得られた鋳造用中子1を、図5に示すように、シリンダヘッド鋳造用金型10のキャビティ内にセットし、このキャビティ内にアルミ合金溶湯を注湯し、冷却固化せしめた後、離型し、更に鋳造用中子1を崩壊除去することで、図6に示すシリンダヘッド11が得られる。
【0019】
ところで、前記したように本発明の鋳造用中子1にあっては、アルミ箔3の外側面に低融点合金層4が形成されているので、キャビティ内に溶湯を充填した際に、溶湯の熱によって低融点合金が溶け、冷却後にこの低融点合金にてシリンダヘッド11のポート内側面にアルミ箔3が強固に拡散接合されて残る。
【0020】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、鋳造用中子の表面をアルミ等の金属層で覆い、鋳造後には鋳造品側に当該金属層を残すようにしたので、コーティング組成物と溶湯とが一体になったものが成形面に差し込む不利がなくなり、更に、金属層の外側面に低融点合金層を形成したので、この低融点合金層が溶湯の熱で軟化若しくは溶解し、金属層と鋳造品本体側とを強固に接合することができる。
また、金属箔としてある程度厚みがあるものを選定すれば、金属箔自体が耐圧層として作用するので、従来中子の使用が出来ないとされていた高速高圧成形にも適用することが可能になる。
したがって、シリンダヘッドのように型抜き成形ができない形状部を有する部材を効率よく鋳造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋳造用中子の斜視図
【図2】同鋳造用中子の断面図
【図3】(a)〜(c)は本発明に係る鋳造用中子の製造方法を工程順に説明した図
【図4】別実施例に係る製造方法を説明した図
【図5】本発明に係る鋳造用中子を用いて鋳造している状態を示す図
【図6】本発明に係る鋳造用中子を用いて鋳造した後の状態を示す図
【図7】(a)〜(c)は従来の鋳造法を説明した図
【符号の説明】
1…鋳造用中子、2…コア、3…アルミ箔、4…低融点合金層、5…中子成形用金型、6…ヒータ、7…低融点合金浴、10…シリンダヘッド鋳造用金型、11…シリンダヘッド。

Claims (5)

  1. 成形体に中空部或いは凹部を成形するための鋳造用中子であって、この中子はコアの外側が金属層で被覆され、この金属層の表面には低融点合金層が形成され、前記低融点合金はZn(亜鉛):85〜96wt % Sn(錫):10〜15wt % 、M g :1.0〜1.5wt % で、融点が400℃以下であることを特徴とする鋳造用中子。
  2. 金属箔の一面側に低融点合金層を形成し、この金属箔を中子成形用金型のキャビティ内に前記低融点合金層を形成した面が外側になるようにセットし、次いで、金属箔で内側面が被覆されたキャビティ内にシェル砂を吹き込んで充填し、更に加熱してシェル砂をバインダで固めることを特徴とする鋳造用中子の製造方法。
  3. 金属箔を中子成形用金型のキャビティ内にセットし、次いで、金属箔で内側面が被覆されたキャビティ内にシェル砂を吹き込んで充填し、更に加熱してシェル砂をバインダで固め、この後、金属箔で被覆された中子を金型から取り出し、低融点金属浴にディッピングして金属箔表面に低融点金属層を形成することを特徴とする鋳造用中子の製造方法。
  4. 請求項または請求項に記載の鋳造用中子の製造方法であって、前記金属箔はアルミ箔であることを特徴とする鋳造用中子の製造方法。
  5. 請求項乃至請求項に記載の鋳造用中子の製造方法であって、前記低融点合金はZn(亜鉛):85〜96wt%、 Sn(錫):10〜15wt%、Mg:1.0〜1.5wt%で、融点が400℃以下であることを特徴とする鋳造用中子の製造方法。
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