JP2005128557A - リソグラフィ・シミュレーションの積分範囲の拡張 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光学リソグラフィにおいて光学的近接効果補正に適用されるアルゴリズムを導入する。無限積分の代わりに、ポリゴンの各セクタごとに有限積分を行う。全セクタに対して積分を行うのではなく、2つの三角形にわたって積分を行うことによって有限積分を実現する。セクタの数値積分を解析的な式による計算に変形するために、べき法則カーネルについての解析的な手法を提示する。カーネル関数を切り取る代わりにマスクを切り取ることによって、このマスク・ポリゴンを複数の領域に分割して、中距離および遠距離の影響など相互作用の影響を計算する。
【選択図】図2
Description
画像強度は、以下に示すホプキンス(Hopkin's)の部分コヒーレントの式(双1次変換)によって与えられる。
上記計算では理想的な結像システムを想定している。しかし、瞳位相誤差およびアポディゼーション(apodization)などのレンズの収差が存在するときには、以下に示す瞳関数(pupil function)を含めなければならない。
一般に、フレアは、波面の高周波位相「リップル」によって生成される画像成分として記述される。すなわち、フレアは、光がレンズの位相不規則性のためにかなりの角度で前方散乱するときに生じる。このような不規則性は、以下の3つの理由からしばしば無視される。第1に、時には波面データが低分解能干渉計で取得され、さらに、それよりも低分解能のアルゴリズムを用いて再構成されることがある。第2に、波面のパワー・スペクトル(power spectrum)が既知であるか、あるいは推定されるときでさえ、短いROI距離のところで打ち切られる画像積分に対する高周波波面成分の影響を含めることは不可能であり、そのため散乱光の大部分が無視される。最後に、これらの項を理論(calculated)画像に含めることは簡単なものではない。本発明は、これらの問題に対処するものである。
レジスト画像は、レジスト・カーネルKで
図1に、高周波波面収差による光の散乱の概略図を示す。高周波波面収差10は、波長λのmサイクルで示されている。そのため、散乱12は、波長、サイクル数、周波数、および開口数の関数になる。瞳(pupil)における位相変調の高調波成分(harmonic component)は、開口数(瞳半径)にわたってmサイクルの周期性を有し、像面において散乱距離mλ/NAだけ光を逸脱させることになる。そのため、光学的カーネルの半径を0.5μmに設定すると、無視される強度には、中距離空間周波数ならびに遠距離のフレアが含まれることになる。実際、最初の37個のゼルニケ(Zernike)項以外にさらに、すべての位相周波数からの寄与が無視されることになる。
レジスト処理により、フレア以外の重大な影響が生じる。このレジストの影響の発生箇所は、光酸/塩基の拡散、現像液のローディングの影響、または空気中の汚染物によるものであり得る。レジストの影響は通常、全レジスト化学モデルまたは集中(lumped)パラメータ・モデルによってモデル化される。近似として、このレジストの影響は、実験的に較正されたレジスト・カーネルによる画像強度のインコヒーレント・コンボリューションによって記述することもできる。理論(calculated)画像強度に対してレジスト・カーネルの線形コンボリューションを実施するか、あるいは、双1次変換にレジスト・カーネルを取り込み、SOCS(コヒーレンス源の和)分解を行い、上記で説明したように、マスク関数とコヒーレントな固有カーネルの間でコンボリューションを実施することができる。
本発明の主要な要素は、半無限コーナからの有限積分を求めることである。マスク・ポリゴンの頂点からのセクタ寄与は、セクタに対して発散するカーネル、例えば、べき法則カーネルr−γ(γ≦2)でポリゴンをコンボリューションする状態で正規化される。リソグラフィ技術分野では、マスク・ポリゴンは、本質的に半無限であるコーナを有するオープン・セクタの重ね合わせとして表すことができることが知られているが、これらのセクタはある方向には有界でなく、潜在的に無限大の寄与が生じる可能性がある。
r≧Rminの場合はG(r,θ)、
r<Rminの場合は0(11)
と仮定し、Lを、図に示すhおよびθを伴うクロス・ハッチングした区域42で示す三角形ACDAの積分と定義する。h≧Rminの場合(場合1)は、
このポリゴン・コンボリューション法は、前に述べ、かつ図3に示すように、1つの頂点当たり2つの三角形からの寄与を計算するというものである。これらの三角形の寄与をすべての頂点にわたって合計した後で、このポリゴンの正味の寄与が得られる。このポリゴンは任意の形状のものとすることができ、かつ観察ポイントx0はポリゴンの内側にも外側にもし得るので、各三角形の寄与の符号に関するルールが必要である。ほとんどの場合、リソグラフィ用マスク・パターンは、水平、垂直、および45°の線分だけで形成されたポリゴンを含む。したがって、アルゴリズムは、90°のセクタに加えて45°のセクタを取り扱わなければならない。このため、任意のポリゴン内に存在し得る可能なセクタのタイプは96個になる。時計周りの頂点横断方向と反時計周りの頂点横断方向の間の対称性と、凸状セクタと凹状セクタの間の非対称性を考慮に入れることによって、一意的に決まるセクタ数は24に減る。頂点の内角が180°以下のときセクタは凸になり、そうでない場合にはセクタは凹になる。さらに、別の研究から、セクタ・コンボリューションは、他の4つの特定のセクタ間で大きさが同じであることが示される。図7に示すように、6つの基本グループA〜Fに24個の異なるセクタを示す。
図10および図11を参照すると、90°および45°のセクタについての符号の決定に関する一般ルールは次のように確定される。第1三角形の符号をΨ1とし、第2三角形の符号をΨ2とする。Ψ1についてのルールは、このセクタ内の辺#1側の2つの区画およびそれらの反対側の区画についてはΨ1=+1になることを単に示している。それ以外では、Ψ1には−1が割り当てられる。セクタが凹である場合、Ψ1には−1が掛けられ、そうでない場合には+1が掛けられ変化しない。セクタは、その内角が180°よりも大きい場合に凹になり、そうでない場合には凸になる。Ψ2についてのルールでは単に、2つの三角形が重なり合わない場合にはΨ2=Ψ1になり、そうでない場合にはΨ2=−Ψ1になる。
上述したように、フレアの影響は、点像分布関数のコヒーレンス距離Rminの外側の寄与を検討している限り、インコヒーレント・カーネルとして扱うことができる。一般に、フレア計算に関するインコヒーレント・カーネルは、以下の式G(r)のべき法則に従う。
Q(Ψ,h,θ)=ΨLi(h,θ)、(i=1,2,3) (18)
L3(Ψ,h,θ)=0 (23)
になる。
L1(h,θ)=Ψ[θ ln(2h/Rmin)−1/2f(π−2θ)] (24)
ただし、f(x)はクラウゼン(Clausen)積分である。
Ix(a,b)=1−I1−x(b,a)
I1(a,b)=1 (29)
および式(26)を用いて、以下の式が得られる。
Rminは、ポリゴン・コンボリューションがROIの内側からの寄与を二重に計算しないように決める。このROIは本質的に、回折限界PSFおよび最初の37個のゼルニケ項の収差に相当するものである。この理由から、半径Rminを有するフレア・カーネル内に「ホール」を配置する。Rminは、ほぼλ/NAで与えられるものである。Rmin内からのすべてのフレア(Flare)の寄与は、ROI内で計算される部分コヒーレント双1次コンボリューションによって取り扱われる。
べき法則カーネルの広さが無限(γ≦2)である場合など、遠距離の影響では、セクタ・コンボリューションは、フル・チップに対して適用しなければならない。しかし、マスク上のすべてのポリゴンに対してセクタ・コンボリューションを行うことは実際的ではなく、その必要もない。効率の理由から、フル・マスク・パターンMを2つの領域に分割する。点像分布関数を収差の影響とフレアにさらに分割するのとは異なり、このフレア・カーネルは遠距離および中距離に分割せず、その代わりにマスクを分割することに留意されたい。第1に、図14に示すように、M1に対する遠距離コンボリューションを、粗いグリッド110に対する高速フーリエ変換によって行う。各グリッド・ポイント112は、この特定のグリッド・ポイント内部のパターンの平均パターン密度を表す。このステップは、1枚のマスク当たり1回行わなければならない。というのは、各グリッド・ポイント内のパターン密度は、光学的近接効果補正の後でも大きく変わらないことを想定しているからである。第2に、近距離コンボリューションを、図15に示すように、領域M2内でポリゴン・コンボリューションによって行う。もちろん、M2と同じサイズのものである領域M3を、寄与を二重に計算しないように減ずる必要がある。直線性および加算性は、以下に示すようにコンボリューション演算子において利用される。ここで、マスク強度関数およびカーネル(Kernel)は、次のように定義される。
10 高周波波面収差
12 散乱
102 右上方向
104 右方向
110 グリッド
112 グリッド・ポイント
114 ポリゴン
116 矩形
Claims (30)
- モデルに基づく光学的近接効果補正を実施する方法であって、
規定のコーナを有するマスク・ポリゴンの各セクタごとに有限積分を計算して、前記マスク・ポリゴンの頂点からのセクタ寄与を求めるステップと、
前記セクタ内の有限形状に対して積分を行うステップと、
前記マスク・ポリゴンの前記セクタ寄与を合計するステップと、
前記有限積分計算からの相互作用の影響を計算するステップとを含む、方法。 - 前記有限形状が少なくとも2つの三角形を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記ポリゴンの前記各コーナにおいて積分を行うステップを含む、請求項1に記載の方法。
- 非有界セクタに三角形コンボリューションを用いるステップを含む、請求項2に記載の方法。
- べき法則によるインコヒーレント・カーネルに三角形コンボリューションを用いるステップを含む、請求項2に記載の方法。
- 前記三角形コンボリューションを、不完全ベータ関数を含む解析的な式に変形して、数値積分を容易にするステップを含む、請求項5に記載の方法。
- 前記コンボリューションが関心領域(ROI)内部からのいかなる寄与も二重に計算しないように、最小半径Rminを決めるステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
- 前記寄与の正負の符号のルールを設けるステップを含み、このステップが、
セクタ内の第1辺側の2つの区画および前記区画の反対側の区画について、第1三角形の前記符号を+1に割り当て、それ以外では第1三角形の前記符号を−1に割り当てるステップと、
前記第1三角形と第2三角形が重なり合わない場合には、第2三角形の前記符号を前記第1三角形の前記符号に割り当て、そうでない場合には、前記第2三角形の前記符号を前記第1三角形の前記符号の反対の符号に割り当てるステップとを含む、請求項7に記載の方法。 - 前記半径Rminを有するフレア・カーネル内で解析的にホールを定義するステップと、前記フレアからの寄与のうちRmin内にあるものはどれも部分コヒーレント双1次コンボリューションで処理するステップとを含む、請求項7に記載の方法。
- 前記半径Rminをほぼλ/NAに等しくするステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
- 前記相互作用の影響を計算する前記ステップが、複数のマスク・ポリゴンからなる粗いグリッドにわたって積分するステップを含む、請求項1に記載の方法。
- 中距離および遠距離スケールが含まれるようにリソグラフィ・シミュレーションの積分を拡張する方法であって、
少なくとも2つのマスク・ポリゴンを、コーナおよび辺を有する三角形からなるセクタに分割し分解するステップと、
複数の前記少なくとも2つのマスク・ポリゴンのコーナからの距離スケールの計算を実施するステップと、
ポリゴン・ピンニング・アルゴリズムを実施するステップと、
前記複数のマスク・ポリゴンの三角形コンボリューションを実施するステップと、
前記セクタの寄与を合成して、前記複数の前記マスク・ポリゴンのコンボリューションを得るステップと、
前記複数の前記マスク・ポリゴンを合成するステップと、
前記合成されたセクタ寄与から、光学的近接効果補正用の空間像を計算するステップとを含む、方法。 - 距離スケール計算を実施する前記ステップが、前記マスク・ポリゴンの半無限コーナからの有限積分を実施するステップを含む、請求項12に記載の方法。
- 画像サンプリング・ポイントにおいて前記ポリゴンのうち前記それぞれのものからの寄与を計算するステップと、
第1および第2位置ベクトルを用いて、面積コンボリューションを、周辺構造体の周りで位置ベクトルに依存する積分に変換するステップと、
前記辺に対して得られた不定積分を割り当てて、前記第1位置ベクトルの頂点と第2位置ベクトルの頂点の間で、ある辺からの寄与が各位置ベクトルにおいて求められた不定積分の差になるようにするステップと、
前記得られた不定積分を、前記辺の向き、前記位置ベクトルから前記辺までの垂直距離、および前記第1位置ベクトルから第2位置ベクトルまで定義された極座標角度の関数としてパラメータ化するステップとをさらに含む、請求項12に記載の方法。 - 前記寄与の正負の符号のルールを設けるステップを含む、請求項14に記載の方法。
- 前記ルールが、45°および90°のセクタを含む6つの基本セクタを含めて前記セクタに適合される、請求項15に記載の方法。
- 前記コンボリューションの値を、前記位置ベクトルの様々な値について第1ルックアップ・テーブルに記憶するステップを含む、請求項15に記載の方法。
- 前記ルールが、
セクタ内の第1辺側の2つの区画および前記区画の反対側の区画について、第1三角形の前記符号を+1に割り当て、それ以外前記第1三角形の前記符号を−1に割り当てるステップと、
前記第1三角形と第2三角形が重なり合わない場合には、第2三角形の前記符号を前記第1三角形の前記符号に割り当て、そうでない場合には前記第2三角形の前記符号を前記第1三角形の前記符号の反対の符号に割り当てるステップとを含む、請求項15に記載の方法。 - 第2ルックアップ・テーブルに前記三角形コンボリューションの前記符号を記憶するステップを含み、前記第2テーブルが、行インデックスおよび列インデックスを有し、前記行インデックスが前記セクタの前記第1辺に割り当てられ、前記列インデックスが第2辺の方向に割り当てられて、前記セクタ・タイプが一義的に指定され、前記行および列のインデックスが、前記第1および第2の辺の方向に基づいて、考慮中の任意のセクタに対して決定される、請求項18に記載の方法。
- 前記第2ルックアップ・テーブルに関して、第1符号マトリックスMat1(edge1,edge2)および第2符号マトリックスMat2(edge1,edge2)を有するステップを含み、前記マトリックスが、前記第1および第2の辺の関数として表現され、それによって、前記第1符号マトリックスMat1(edge1,edge2)により、前記方向ベクトルが存在し得る前記区画のどれが、前記第1三角形に正の符号を与えるかが決まり、前記第2マトリックスMat2(edge1,edge2)により、前記方向ベクトルが存在し得る前記区画のどれが、前記第1三角形と比較して前記第2三角形に同じ符号を与えるかが決まる、請求項19に記載の方法。
- 各マトリックスの前記行および列のインデックスが、上、下、右、左、右上、左上、右下、および左下を含む8つの基本区画によって与えられる、請求項20に記載の方法。
- 前記符号に、前記セクタが凸である場合には−1を掛け、前記セクタが凹の場合には+1を掛けるステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
- 前記第1マトリックスが、前記区画のサブセットのうち、どのサブセットが正の符号を有し、どのサブセットが負の符号を有するかを示し、それによって、前記区画がマトリックス入力と一致する場合、前記第1三角形コンボリューションの前記符号に正の値が割り当てられる、請求項20に記載の方法。
- 前記第2三角形コンボリューションの前記符号を、前記方向ベクトルが存在した前記第1三角形の区画の前記符号に等しく設定し、そうでない場合には、前記符号を、前記第1三角形コンボリューションの符号の反対の符号に設定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
- 各辺ごとに積分定数を不定積分に加えるステップをさらに含み、前記積分定数が前記極座標角度に無関係であり、前記積分定数により、分離した頂点からの無限大の寄与を排除することができる、請求項24に記載の方法。
- 前記積分定数を、前記不定積分中にしか存在させないようにするステップをさらに含み、前記積分定数が、前記辺の2つの端点における前記不定積分の差を取るときにゼロになる、請求項25に記載の方法。
- 複数の辺を有する個々のマスク・ポリゴンからの寄与が、前記辺の各コーナごとに、前記積分定数が前記不定積分から減算されるように、前記マスク・ポリゴンの各辺にわたって加算されることによって表される、請求項25に記載の方法。
- 個々の非有界コーナから生じる特異点を、各コーナの寄与が、前記三角形コンボリューションの1対の前記三角形からのフレアの和になるように、コーナの寄与を有限のままにする積分定数項を加えることによって解くステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
- 前記コーナの寄与が、1つの頂点当たり前記三角形のうちの2つの三角形からの寄与の計算を含み、その結果、前記三角形コンボリューションからの前記寄与をすべての頂点にわたって合計した後で、前記マスク・ポリゴンの正味の寄与が得られる、請求項28に記載の方法。
- モデルに基づく光学的近接効果補正を実施する方法ステップを実施するための、マシンが実行可能な命令からなるプログラムを確実に実施する機械可読プログラム記憶装置であって、前記方法ステップが、
規定のコーナを有するマスク・ポリゴンの各セクタごとに有限積分を計算して、前記マスク・ポリゴンの頂点からのセクタ寄与を求めるステップと、
前記セクタ内の有限形状に対して積分を行うステップと、
前記マスク・ポリゴンの前記セクタ寄与を合計するステップと、
前記有限積分計算からの相互作用の影響を計算するステップとを含む、プログラム記憶装置。
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