JP2005126057A - 油圧パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車速等の運転状態に応じて操舵補助力を変化させる油圧パワーステアリング装置において、低コストで簡単な構造により良好な操舵フィーリングを得る。
【解決手段】制御バルブ30は、操舵補助力発生用油圧アクチュエータ20に供給される圧油の油圧を入出力シャフト2、3の弾性的な相対回転量に応じて制御する。入出力シャフト2、3の相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段50は、油圧調節機構60により、入出力シャフト2、3の中の一方に形成されるガイド孔51に挿入される球形のプランジャ52を介して、入出力シャフト2、3の中の他方を押し付ける油圧を車両の運転状態に応じて調節する。プランジャ52はオイルシール機能を有する摩擦低減部材53を介してガイド孔51の内周により入出力シャフト2、3の相対回転時に入出力シャフト2、3の中の他方に対して近接する方向と離隔する方向とに案内される。
【選択図】図1
【解決手段】制御バルブ30は、操舵補助力発生用油圧アクチュエータ20に供給される圧油の油圧を入出力シャフト2、3の弾性的な相対回転量に応じて制御する。入出力シャフト2、3の相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段50は、油圧調節機構60により、入出力シャフト2、3の中の一方に形成されるガイド孔51に挿入される球形のプランジャ52を介して、入出力シャフト2、3の中の他方を押し付ける油圧を車両の運転状態に応じて調節する。プランジャ52はオイルシール機能を有する摩擦低減部材53を介してガイド孔51の内周により入出力シャフト2、3の相対回転時に入出力シャフト2、3の中の他方に対して近接する方向と離隔する方向とに案内される。
【選択図】図1
Description
本発明は、車速等の運転状態に応じて操舵補助特性を変更可能な油圧パワーステアリング装置に関する。
操舵補助力発生用油圧アクチュエータに供給される圧油の油圧を、操舵トルクに応じた入力シャフトと出力シャフトの弾性的な相対回転量に応じて制御する制御バルブを備える油圧パワーステアリング装置においては、操舵トルクに応じて操舵補助特性を変化させることができる。そのような油圧パワーステアリング装置において、出力シャフトに形成されるガイド孔にプランジャを挿入し、そのプランジャを介して入力シャフトを押し付ける油圧を車両の運転状態に応じて調節する油圧パワーステアリング装置が知られている。そのプランジャの外周は円柱面に沿うものとされ、また、プランジャは入力シャフトを直接にではなく球体を介して押し付けている(特許文献1参照)。これにより、入力シャフトと出力シャフトの相対回転量を車速等の運転状態に応じて規制することで操舵補助力を変化させ、高車速での走行安定性や低車速での操舵に対する応答性を向上することができる。
実登第2509939号公報
上記従来の油圧パワーステアリング装置においては、図14に示すように、操舵トルクの変化に対する操舵補助力発生用油圧の変化時におけるヒステリシスHが大きく、操舵フィーリングが低下するという問題がある。また、プランジャがガイド孔内でがたつき、入力シャフトを押し付ける力が変動するために操舵フィーリングが低下するという問題がある。さらに、プランジャの外周とガイド孔の内周との間のシールが必要なことから組み立てが煩雑になるという問題がある。本発明は、そのような問題を解決することのできる油圧パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、入力シャフトと、前記入力シャフトに、操舵トルクに応じて弾性的に相対回転するよう連結される出力シャフトと、操舵補助力発生用油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータに供給される圧油の油圧を、前記入力シャフトと前記出力シャフトの相対回転量に応じて制御する制御バルブと、前記入力シャフトと前記出力シャフトの相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段とを備え、前記規制手段は、前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の一方に形成されるガイド孔と、前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の他方に対して近接する方向と離隔する方向とに往復移動可能に前記ガイド孔に挿入されるプランジャと、前記プランジャを介して前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の他方を押し付ける油圧を車両の運転状態に応じて調節する油圧調節機構とを有する油圧パワーステアリング装置において、前記プランジャは球形とされ、前記ガイド孔の内周と前記プランジャの外周との間に介在するオイルシール機能を有する摩擦低減部材が設けられ、前記入出力シャフトの相対回転時に、前記プランジャは前記摩擦低減部材を介して前記ガイド孔の内周により前記往復移動方向に案内されることを特徴とする。
本件発明者は、従来の油圧パワーステアリング装置において操舵トルクの変化に対する操舵補助力発生用油圧の変化時におけるヒステリシスが大きくなる原因は、外周が円柱面に沿うプランジャの軸方向がガイド孔の内周による案内方向に対して傾き、プランジャの外周とガイド孔の内周との間にこじれが生じて摩擦が増大し、プランジャの移動が阻害されることに起因することを見い出した。そこで、プランジャを球形とすると共に摩擦低減部材を介してガイド孔の内周により案内されるようにすることで、プランジャの外周とガイド孔の内周との間のこじれをなくし、そのヒステリシスを低減することを想到した。すなわち、プランジャは球形であるため、プランジャの外周とガイド孔の内周との間にこじれが生じることはなく、また、摩擦低減部材に接することでプランジャは円滑に移動する。これにより、図13に示すように操舵トルクの変化に対する操舵補助力発生用油圧の変化時におけるヒステリシスHを小さくできる。
本件発明者は、従来の油圧パワーステアリング装置において操舵トルクの変化に対する操舵補助力発生用油圧の変化時におけるヒステリシスが大きくなる原因は、外周が円柱面に沿うプランジャの軸方向がガイド孔の内周による案内方向に対して傾き、プランジャの外周とガイド孔の内周との間にこじれが生じて摩擦が増大し、プランジャの移動が阻害されることに起因することを見い出した。そこで、プランジャを球形とすると共に摩擦低減部材を介してガイド孔の内周により案内されるようにすることで、プランジャの外周とガイド孔の内周との間のこじれをなくし、そのヒステリシスを低減することを想到した。すなわち、プランジャは球形であるため、プランジャの外周とガイド孔の内周との間にこじれが生じることはなく、また、摩擦低減部材に接することでプランジャは円滑に移動する。これにより、図13に示すように操舵トルクの変化に対する操舵補助力発生用油圧の変化時におけるヒステリシスHを小さくできる。
前記摩擦低減部材は、前記ガイド孔の内周に形成される周溝に嵌め合わされる環形状を有すると共に、前記プランジャに作用する油圧によって前記周溝の内部側面に押し付けられ、前記摩擦低減部材の外周面と前記周溝の内部底面との間に、前記油圧調節機構により油圧調節される圧油を導入するための隙間が形成され、前記隙間に導入される圧油の油圧により、前記摩擦低減部材の内周は前記プランジャの外周に押し付けられるのが好ましい。これにより、摩擦低減部材は油圧により周溝の内部側面とプランジャの外周に押し付けられるので、摩擦低減部材とプランジャとの間からの圧油漏れを確実に防止できる。また、摩擦低減部材がプランジャの外周に押し付けられることで、プランジャのがたつきが防止され、これによりプランジャが入出力シャフトの中の他方を押し付ける力が変動することはなく、操舵フィーリングを向上できる。
前記摩擦低減部材は、一端開口と他端開口とを有する筒形状とされ、その外周と前記ガイド孔の内周との間が油密状となるように前記ガイド孔に同心状に挿入され、前記ガイド孔に対する自身の軸方向への相対変位が規制され、前記プランジャは前記摩擦低減部材に前記一端開口から挿入され、前記摩擦低減部材の前記他端開口は前記プランジャの抜けを阻止できるよう前記一端開口よりも小径とされ、前記摩擦低減部材の内周における前記他端開口の周囲部分は、前記プランジャの外周面に面接触するよう球面に沿って形成され、前記油圧調節機構により調節される油圧が前記プランジャを介して作用することで、前記摩擦低減部材は前記他端開口が前記プランジャにより押し広げられるように弾性変形され、前記摩擦低減部材の弾性変形により、前記プランジャが前記他端開口からの露出部分において前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の他方に押し付けられるのが好ましい。これにより、摩擦低減部材の外周とガイド孔の内周との間は油密状にシールされ、プランジャの外周面は摩擦低減部材の内周における他端開口の周囲部分に面接触する。また、摩擦低減部材の弾性変形によりプランジャは入出力シャフトの中の他方に押し付けられるので、プランジャは入出力シャフトの径方向に沿って往復移動しても弾力により摩擦低減部材の内周における他端開口の周囲部分に押し付けられる。これにより、摩擦低減部材とプランジャとの間からの圧油漏れを確実に防止できる。また、ガイド孔に摩擦低減部材を油密状に挿入し、摩擦低減部材にプランジャを挿入するだけで、ガイド孔と摩擦低減部材との間における圧油のシール構造を構成でき、組み立てを簡単化してコスト低減を図ることができる。
本発明によれば、車速等の運転状態に応じて操舵補助力を変化させる油圧パワーステアリング装置において、低コストで簡単な構造により良好な操舵フィーリングを得ることができる。
図1に示す第1実施形態のラックピニオン式油圧パワーステアリング装置1は、車両のステアリングホイール(図示省略)に連結される金属製入力シャフト2と、入力シャフト2に操舵トルクに応じて弾性的に相対回転するようトーションバー6を介して連結される金属製出力シャフト3を備えている。すなわち、トーションバー6は、ピン4を介して入力シャフト2に連結され、セレーション5を介して出力シャフト3に連結され、これにより入力シャフト2と出力シャフト3は同軸中心に弾性的に相対回転する。入力シャフト2の一端側はベアリング8を介してハウジング7により支持される。入力シャフト2の他端側は、出力シャフト3の一端側の端部に形成された凹部に挿入されると共に、トーションバー6の外周によりブッシュ12を介して支持されている。出力シャフト3は、ベアリング10、11を介してハウジング7により回転可能に支持されている。出力シャフト3にピニオン15が一体的に形成され、ピニオン15に噛み合うラック16に車輪(図示省略)が連結される。これにより、操舵による入力シャフト2の回転は、トーションバー6を介してピニオン15に伝達され、ピニオン15の回転によりラック16は車両幅方向に移動し、ラック16の移動により車両の舵角が変化する。なお、ラック16を支持するサポートヨーク40がバネ41の弾力によりラック16に押し付けられている。
操舵補助力発生用油圧アクチュエータとして油圧シリンダ20が設けられている。油圧シリンダ20は、ハウジング7と一体のシリンダチューブと、ラック16に一体化されるピストン21を備え、シリンダチューブ内にピストン21により仕切られる油室22、23が形成されている。
油圧シリンダ20に供給される圧油の油圧を、入力シャフト2と出力シャフト3の相対回転量に応じて制御するロータリー式油圧制御バルブ30が設けられている。制御バルブ30は、ハウジング7に回転可能に挿入されている筒状の第1バルブ部材31と、第1バルブ部材31に同軸中心に相対回転可能に挿入されている第2バルブ部材32を備えている。第1バルブ部材31は出力シャフト3にピン33を介して同軸中心に同行回転するよう連結されている。第2バルブ部材32は入力シャフト2の外周に一体的に成形され、これにより第2バルブ部材32は入力シャフト2と同軸中心に同行回転する。ハウジング7に、圧油吐出用ポンプ42に接続されるポートと、タンク43に接続されるポートと、油圧シリンダ20の一方の油室22に接続されるポートと、他方の油室23に接続されるポートが設けられ、各ポートは第1バルブ部材31と第2バルブ部材32の間における弁間流路27を介して互いに連通する。弁間流路27における絞り部の開度が入出力シャフト2、3の相対回転量に応じて変化する。例えば図2に示すように、制御バルブ30は、第1バルブ部材31の内周における複数の第1溝48の軸方向縁と、第2バルブ部材32の外周における複数の第2溝49の軸方向縁との間が絞り部A、B、C、Dとされ、一方の油室22に通じる第1溝48と他方の油室23に通じる第1溝48とが周方向において交互に配置され、ポンプ42に通じる第2溝49とトーションバー6と入力シャフト2との間を介してタンク43に通じる第2溝49とが周方向において交互に配置される。これにより、図3に示す油圧回路が構成される。操舵が行なわれていない時は、各絞り部A、B、C、Dが開き油圧は上昇しないので操舵補助力は発生しない。右操舵時は、入力シャフト2と出力シャフト3の相対回転量に応じて絞り部A、Dの開度が大きくなり、絞り部B、Cの開度が小さくなり、一方の油室22に圧油が供給され、他方の油室23からタンク43に油が還流し、その相対回転量に応じた右方向への操舵補助力を油圧シリンダ20は発生する。左操舵時は、絞り部A、B、C、Dの開度が右操舵時と逆になり、その相対回転量に応じた左方向への操舵補助力を油圧シリンダ20は発生する。
入力シャフト2と出力シャフト3の相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段50が設けられている。規制手段50は、出力シャフト3に形成された複数(本実施形態では4つ)のガイド孔51と、各ガイド孔51に挿入されたプランジャ52と、油圧調節機構60を有する。本実施形態において、出力シャフト3はピニオン側部材3aとプランジャ側部材3bとをボルト等により一体化することで形成されているが、単一部材から形成されてもよい。
図4、図5に示すように、各ガイド孔51の一端は出力シャフト3の内周において入力シャフト2の外周に対向するように開口し、他端は出力シャフト3の外周において開口する。各ガイド孔51の内周は円柱面に沿うものとされている。
各プランジャ52は球形とされ、入力シャフト2に対して近接する方向と離隔する方向とに入出力シャフト2、3の径方向に沿って往復移動可能にガイド孔51に挿入されている。入力シャフト2の外周において各プランジャ52と対向する部分に、入出力シャフト2、3の軸方向に沿う溝2′が、その深さが溝中央に向かうに従い深くなるように形成されている。プランジャ52は溝2′の底面に直接に押し付けられる。入出力シャフト2、3が相対回転していない直進状態で、溝2′の中央位置とプランジャ52の中心は入出力シャフト2、3の径方向において互いに対向するように配置される。これにより、入出力シャフト2、3が相対回転すると、プランジャ52と溝の底面との接触位置が変化し、プランジャ52は入出力シャフト2、3の径方向に沿って移動する。
図4に示すように、出力シャフト3の外周とハウジング7の内周との間を油密状にシールする一対のシール部材55、56が軸方向間隔をおいて設けられ、両シール部材55、56の間に各プランジャ52が位置される。これにより、各プランジャ52の他端とハウジング7の内周との間は油室57とされ、各油室57は周溝3b′を介して連通する。油室57はポンプ42に油圧調節機構60を介して接続される。油圧調節機構60は、プランジャ52を介して入力シャフト2を押し付ける油圧を車両の運転状態に応じて調節する。これにより、各プランジャ52を介して油圧により入力シャフト2を押し付け、入力シャフト2と出力シャフト3との相対回転を規制することができる。
図6に示すように、本実施形態の油圧調節機構60は、ハウジング7に形成された保持孔61に相対回転しないように挿入された筒状スリーブ62と、スリーブ62に自身の軸中心に相対回転可能に挿入されたスプール63を備えている。スリーブ62に、制御バルブ30を介してポンプ42に通じる圧油導入ポート62aと、油室57に通じる圧油送り出しポート62bが形成されている。スプール63に、圧油導入ポート62aに通じる外周溝63aと、圧油送り出しポート62bと重なる位置に配置される通孔63bと、外周溝63aと通孔63bを接続する圧油通路63cと、通孔63bを保持孔61に接続する絞り通路63dが形成される。保持孔61内はドレン流路を介してタンク43に通じる。図7に示すように、スリーブ62の圧油送り出しポート62bとスプール63の通孔63bとの重なり部分(図においてハッチングで示す)は可変絞り60aを構成し、可変絞り60aの開度はスプール63の回転量に応じて変化する。スプール63は減速機構65を介してモータ66に接続され、モータ66の回転量は制御装置67により制御される。モータ66として例えばステッピングモータを用いることができる。制御装置67は、車両の運転状態を検知するセンサからの信号に応じてモータ66を制御する。本実施形態の制御装置67は、車両の運転状態として車速を検出するセンサからの車速信号に基づき、車速が高速になる程に可変絞り60aの開度が大きくなるようにモータ66を制御する。すなわち、高速走行時には可変絞り60aの開度を大きくすることでプランジャ52を介して入力シャフト2を押し付ける油圧を大きくし、入出力シャフト2、3の相対回転の規制力を増加させる。車速が低下する程に可変絞り60aの開度を小さくして入力シャフト2を押し付ける油圧を小さくし、入出力シャフト2、3の相対回転の規制を緩和する。これにより、高車速時は入力シャフト2と出力シャフト3の相対回転量に応じた操舵補助力発生用油圧の増加が規制されて走行安定性が図られ、低車速時は操舵補助力発生用油圧の増加規制が緩和されて操舵の高応答性が図られる。
ガイド孔51の内周とプランジャ52の外周との間にオイルシール機能を有する摩擦低減部材として環状シール部材53が介在する。プランジャ52はガイド孔51の内周により環状シール部材53を介して上記往復移動方向に案内される。図8に示すように、本実施形態の環状シール部材53は、ガイド孔51の内周に形成される周溝51″に嵌め合わされる環形状を有し、摩擦係数の小さい例えばポリテトラフルオロエチレンのような合成樹脂材や砲金のような金属材や、金属材の表面を合成樹脂材でコーティングしたもの等が用いられる。油室57に圧油が導入されることでプランジャ52に作用する油圧によって、環状シール部材53は周溝51″の内部側面51a″に押し付けられる。また、環状シール部材53の外周面と周溝51″の内部底面との間に、油圧調節機構60により油圧調節される圧油を導入するための隙間90が形成されている。図9に示すように、本実施形態では、環状シール部材53の外周に周方向ノッチ53aと幅方向ノッチ53bとが形成されることで隙間90に圧油が確実に導入される。隙間90に導入される圧油の油圧により、環状シール部材53の内周はプランジャ52の外周に押し付けられる。なお、図10に示すように環状シール部材53に割り53′を設けることで径方向に弾性変形し易いようにし、環状シール部材53の内周によるプランジャ52の外周の押し付けを促進してもよい。
上記実施形態によれば、入出力シャフト2、3の相対回転時にプランジャ52はガイド孔51の内周により環状シール部材53を介して入出力シャフト2、3の径方向に沿う往復移動方向に案内される。この際、プランジャ52は球形であるため、プランジャ52の外周とガイド孔51の内周との間にこじれが生じることはなく、また、環状シール部材53に接することでプランジャ52は円滑に移動する。よって、操舵トルクの変化に対する操舵補助力発生用油圧の変化時におけるヒステリシスを小さくできる。さらに、環状シール部材53は油圧により周溝51″の内部側面51a″とプランジャ52の外周に押し付けられるので、環状シール部材53とプランジャ52との間からの圧油漏れを確実に防止できる。また、環状シール部材53がプランジャ52の外周に押し付けられることでプランジャ52のがたつきが防止され、これによりプランジャ52が入力シャフト2を押し付ける力が変動することはなく、操舵フィーリングを向上できる。
図11、図12は本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態との相違は、摩擦低減部材として環状シール部材53に代えて筒状シール部材70を備えている。筒状シール部材70は、一端開口70aと他端開口70bとを有する筒形状とされる。プランジャ52は、筒状シール部材70に一端開口70aから挿入されると共に、他端開口70bからの露出部分において入力シャフト2に押し付けられる。筒状シール部材70の他端開口70bは、プランジャ52の抜けを阻止できるよう一端開口70aよりも小径とされている。筒状シール部材70の内周における他端開口70bの周囲部分は、プランジャ52の外周面に面接触するよう球面に沿って形成され、また、他端外周も球面に沿うことで入力シャフト2に向かうに従い小径とされている。
筒状シール部材70は、その外周とガイド孔51の内周との間が油密状となるようにガイド孔51に同心状に挿入されている。例えば、筒状シール部材70はガイド孔51に圧入され、あるいは筒状シール部材70の外周とガイド孔51の内周との間の隙間が微小とされる。さらに筒状シール部材70は、ガイド孔51に対する自身の軸方向への相対変位が規制され、例えば、ガイド孔51の内周に形成された凹部に筒状シール部材70の外周に形成された凸部が嵌め合わされる。
油圧調節機構60により調節される油圧がプランジャ52を介して作用することで、筒状シール部材70は他端開口70bがプランジャ52により押し広げられるように弾性変形する。この筒状シール部材70の弾性変形により、プランジャ52は他端開口70bからの露出部分において入力シャフト2に押し付けられる。すなわち、操舵補助力の規制力が付与される時はプランジャ52は入力シャフト2に押し付けられ、この際、筒状シール部材70は弾性変形した状態になるため、プランジャ52は入出力シャフト2、3の径方向に沿って往復移動しても他端開口70bの内周側周囲部に弾力により押し付けられる。これにより、筒状シール部材70とプランジャ52との間からの圧油漏れを確実に防止できる。また、ガイド孔51に筒状シール部材70を油密状に挿入し、筒状シール部材70にプランジャ52を挿入するだけで、ガイド孔51とプランジャ52との間における圧油のシール構造を構成でき、組み立てを簡単化してコスト低減を図ることができる。他は第1実施形態と同様で、同様部分は同一符号で示す。
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態ではガイド孔とプランジャは4つとされているが、その数は特に限定されない。摩擦低減部材の形態は特に限定されず、例えばプランジャの外周にポリテトラフルオロエチレンのような合成樹脂材や二硫化モリブデン等を摩擦低減部材としてコーティングしたり、プランジャそのものを摩擦低減部材により成形してもよい。入力シャフトにガイド孔を形成し、プランジャを介して出力シャフトを押し付ける油圧を作用させるようにしてもよい。プランジャにより入力シャフトあるいは出力シャフトを直接押し付けるのではなく、他部材を介して押し付けるようにしてもよい。車両の運転状態として車速以外の例えば舵角に応じて油圧調節機構により油圧を調節するようにしてもよい。本発明はラックピニオン式以外の油圧パワーステアリング装置にも適用でき、例えば出力シャフトがボールスクリューシャフトに一体化されているボールスクリュー式油圧パワーステアリング装置に適用してもよい。
2 入力シャフト
3 出力シャフト
20 油圧シリンダ(操舵補助力発生用油圧アクチュエータ)
30 制御バルブ
50 規制手段
51 ガイド孔
51″ 周溝
52 プランジャ
53 環状シール部材(摩擦低減部材)
60 油圧調節機構
90 隙間
70 筒状シール部材(摩擦低減部材)
3 出力シャフト
20 油圧シリンダ(操舵補助力発生用油圧アクチュエータ)
30 制御バルブ
50 規制手段
51 ガイド孔
51″ 周溝
52 プランジャ
53 環状シール部材(摩擦低減部材)
60 油圧調節機構
90 隙間
70 筒状シール部材(摩擦低減部材)
Claims (3)
- 入力シャフトと、
前記入力シャフトに、操舵トルクに応じて弾性的に相対回転するよう連結される出力シャフトと、
操舵補助力発生用油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに供給される圧油の油圧を、前記入力シャフトと前記出力シャフトの相対回転量に応じて制御する制御バルブと、
前記入力シャフトと前記出力シャフトの相対回転を車両の運転状態に応じて規制する規制手段とを備え、
前記規制手段は、前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の一方に形成されるガイド孔と、前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の他方に対して近接する方向と離隔する方向とに往復移動可能に前記ガイド孔に挿入されるプランジャと、前記プランジャを介して前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の他方を押し付ける油圧を車両の運転状態に応じて調節する油圧調節機構とを有する油圧パワーステアリング装置において、
前記プランジャは球形とされ、
前記ガイド孔の内周と前記プランジャの外周との間に介在するオイルシール機能を有する摩擦低減部材が設けられ、
前記入出力シャフトの相対回転時に、前記プランジャは前記摩擦低減部材を介して前記ガイド孔の内周により前記往復移動方向に案内されることを特徴とする油圧パワーステアリング装置。 - 前記摩擦低減部材は、前記ガイド孔の内周に形成される周溝に嵌め合わされる環形状を有すると共に、前記プランジャに作用する油圧によって前記周溝の内部側面に押し付けられ、
前記摩擦低減部材の外周面と前記周溝の内部底面との間に、前記油圧調節機構により油圧調節される圧油を導入するための隙間が形成され、
前記隙間に導入される圧油の油圧により、前記摩擦低減部材の内周は前記プランジャの外周に押し付けられる請求項1に記載の油圧パワーステアリング装置。 - 前記摩擦低減部材は、一端開口と他端開口とを有する筒形状とされ、その外周と前記ガイド孔の内周との間が油密状となるように前記ガイド孔に同心状に挿入され、前記ガイド孔に対する自身の軸方向への相対変位が規制され、
前記プランジャは前記摩擦低減部材に前記一端開口から挿入され、
前記摩擦低減部材の前記他端開口は前記プランジャの抜けを阻止できるよう前記一端開口よりも小径とされ、
前記摩擦低減部材の内周における前記他端開口の周囲部分は、前記プランジャの外周面に面接触するよう球面に沿って形成され、
前記油圧調節機構により調節される油圧が前記プランジャを介して作用することで、前記摩擦低減部材は前記他端開口が前記プランジャにより押し広げられるように弾性変形され、
前記摩擦低減部材の弾性変形により、前記プランジャが前記他端開口からの露出部分において前記入力シャフトと前記出力シャフトの中の他方に押し付けられる請求項1に記載の油圧パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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---|---|---|---|---|
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JP2000065226A (ja) * | 1998-08-21 | 2000-03-03 | Koyo Seiko Co Ltd | 油圧制御弁 |
-
2004
- 2004-09-14 JP JP2004266904A patent/JP2005126057A/ja active Pending
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