JP2005124352A - スライドドア用給電構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】給電構造の簡素化、低コスト化と信頼性の向上を図る。
【解決手段】スライドドア1のガイド部3にドア開閉方向に移動自在に係合するスライダ4と、スライドドアに設けられるハーネス収容部7と、スライダと車両ボディとの間に回動自在に連結され、スライドドアを支持するスイングアーム9,10とを備え、ワイヤハーネス11の一方11aがキャタピラ状の外装部材20で覆われてスライダ4からハーネス収容部7を経てスライドドア側に配索され、ワイヤハーネス11の他方11bがスライダ4からスイングアーム9を経て車両ボディ側に配索され、キャタピラ状の外装部材20がスライダ側の端部においてスライドドア開方向に屈曲自在でスライドドア閉方向に屈曲不能であると共に、端部以外の部分がスライドドア閉方向に屈曲自在である。キャタピラ状の外装部材20を成す多数の駒部材24のうちの数個がスライダ側の端部である。
【選択図】図3
【解決手段】スライドドア1のガイド部3にドア開閉方向に移動自在に係合するスライダ4と、スライドドアに設けられるハーネス収容部7と、スライダと車両ボディとの間に回動自在に連結され、スライドドアを支持するスイングアーム9,10とを備え、ワイヤハーネス11の一方11aがキャタピラ状の外装部材20で覆われてスライダ4からハーネス収容部7を経てスライドドア側に配索され、ワイヤハーネス11の他方11bがスライダ4からスイングアーム9を経て車両ボディ側に配索され、キャタピラ状の外装部材20がスライダ側の端部においてスライドドア開方向に屈曲自在でスライドドア閉方向に屈曲不能であると共に、端部以外の部分がスライドドア閉方向に屈曲自在である。キャタピラ状の外装部材20を成す多数の駒部材24のうちの数個がスライダ側の端部である。
【選択図】図3
Description
本発明は、自動車のスライドドア内の電装品や補機等に電力を常時供給するためのスライドドア用給電構造に関するものである。
自動車のスライドドアにはパワーウィンドモータやドアロックユニット、スピーカ、ドア開閉駆動装置といった種々の電装品や補機が配置されており、それらにスライドドアの開閉に関わりなく電力を供給するために、従来種々のスライドドア用給電構造が提案されている。
図7は、特許文献1で提案された従来のスライドドア用給電構造を示すものである。
このスライドドア用給電構造は、スライドドア62に設けられた水平なガイドレール63と、ガイドレール63にスライド自在に係合したスライダ64と、スライダ64に一端を連結され、他端を車両ボディ側に連結された回動自在な一対のリンクアーム65,66と、ガイドレール63の下側に配設されたハーネス収容ケース67とを備えた給電装置61を用いたものである。
スライダ64から収容ケース67にかけてワイヤハーネス68の一方がキャタピラ状の外装部材69の内側に収容されて配索され、ワイヤハーネス68の他方がリンクアーム66に沿って車両ボディ70側に配索されている。スライドドア62は略L字状の屈曲自在な支持アーム71で車両ボディ70に連結支持されている。図7はスライドドア62の半開状態を示す。
スライドドア62の全閉状態で、支持アーム71及びリンクアーム65,66は前方に伸長し、スライダ64はガイドレール63の前端側に移動し、ワイヤハーネス68の一方はキャタピラ状の外装部材69の屈曲動作で収容ケース67内に収容される。ワイヤハーネス68の他方はリンクアーム71と共に回動する。
スライドドア62の全開状態で、リンクアーム65,66は図7のドア半開時の状態を維持し、支持アーム71が後方に伸長し、スライダ64がガイドレール63の後端側に移動し、ワイヤハーネス68の一方はキャタピラ状の外装部材69と共に収容ケース67から後方へ長く引き出される。ワイヤハーネス68の他方はリンクアーム66と共にほぼ不動に位置する。
特開平10−175483号公報(第3〜6頁、図5,図9)
しかしながら、上記従来の構造にあっては、リンクアーム65,66の他に支持アーム71を必要とするために、部品点数が増えて構造が複雑化すると共に、スライドドア62側に三本のアーム65,66,71のための大きな配設スペースを必要として、スライドドア側の電装品や補機等の配設スペースが制限されてしまうという問題があった。また、キャタピラ状の外装部材69を水平にU字状ないしJ字状に配索した構造であるために、スライドドア開閉時における外装部材69の屈曲スペースが大きくなりやすく、スライドドア側の補機等の配設スペースが制限されかねないという懸念があった。
本発明は、上記した点に鑑み、スライドドア開閉時におけるワイヤハーネスの弛みを確実になくすことができることは勿論のこと、且つ部品点数が少なく低コストで、しかもワイヤハーネスの屈曲等を少ないスペースで確実に行うことができて、構造を小型化することのできるスライドドア用給電構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るスライドドア用給電構造は、スライドドアのガイド部にドア開閉方向に移動自在に係合するスライダと、該スライドドアに設けられるハーネス収容部と、該スライダと車両ボディとの間に回動自在に連結され、該スライドドアを支持するスイングアームとを備え、ワイヤハーネスの一方がキャタピラ状の外装部材で覆われて該スライダから該ハーネス収容部を経て該スライドドア側に配索され、該ワイヤハーネスの他方が該スライダから該スイングアームを経て該車両ボディ側に配索され、該キャタピラ状の外装部材が該スライダ側の端部においてスライドドア開方向に屈曲自在でスライドドア閉方向に屈曲不能であると共に、該端部以外の部分がスライドドア閉方向に屈曲自在であることを特徴とする。
上記構成により、スライドドアの全閉時に、スライダがガイド部の一端側に位置して、ワイヤハーネスの一方がハーネス収容部内に完全に収容され、且つスイングアームが閉じてスライドドアと車両ボディとの間に前後方向にほぼ直線的に位置し、ワイヤハーネスの他方はスイングアームに沿って一体的に位置する。スライドドアの開き初期時にスライドドアが車両ボディから外側に離間した際に、スライダは動かず、ワイヤハーネスの一方はドア全閉時と同様に収容された状態で、スイングアームが開いてスライドドアと車両ボディとの間を横断し、ワイヤハーネスの他方はスイングアームに沿ってスライドドアと車両ボディとの間でほぼ直線的に位置する。スライドドアをさらに開くと、スイングアームはそのままの姿勢を維持し、スライダがガイド部に沿って相対的に移動し(ガイド部がスライダを残した状態でドアと一体に移動し)、それに伴ってワイヤハーネスの一方がハーネス収容部から引き出されてスライダと一体に移動する(スライダの方向に引き出される)。スライドドアを全開から閉じる際には上記とは逆の動作となる。何れの状態においてもスイングアームはスライドドアの支持とハーネスの配索との二つの役目を担っている。スライドドアの開閉に伴ってワイヤハーネスの一方がキャタピラ状の外装部材によって屈曲方向を規制され(外装部材の幅方向には屈曲しない)、ハーネス収容部内に確実に収容されると共に、ハーネス収容部からドア開閉方向に確実に引き出される。
キャタピラ状の外装部材はスライドドア閉時にスライダから垂直にハーネス収容部内に進入し、スライドドア開時にスライダからドア開き方向に屈曲する。スライドドア開き初期時においてはドア閉時と同様の形状を維持する。外装部材はスライダ側の端部とそれ以外の部分とで異なる方向すなわち二方向に屈曲自在である。二方向に屈曲させるには、例えば外装部材を構成する駒部材のストッパの位置や形状を変化ないし反転させることで容易に行うことができる。
従来のキャタピラ状の外装部材は全長に渡って一方向にのみ屈曲自在であるから、ドア閉時にはスライダ側の端部とそれに続く部分がドア開き方向に屈曲して大きく突出し、ドア開時においてはスライダからドア開き方向に水平に高い位置で延長される。本発明のキャタピラの外装部材によればドア閉時における突出がなく、且つドア開時にスライダよりも低い位置でドア開き方向に延長され、外装部材の屈曲スペースが従来よりも省スペース化される。
請求項2に係るスライドドア用給電構造は、請求項1記載のスライドドア用給電構造において、前記キャタピラ状の外装部材を構成する多数の連結された駒部材のうちの数個が前記スライダ側の端部であることを特徴とする。
上記構成により、ドア閉時に数個(二〜三個)の駒部材がスライダ側で垂直に伸び、他の駒部材がそれに続いてスムーズに湾曲し、ドア開時に数個の駒部材がドア開き方向に屈曲し、他の駒部材がそれに続いて大きな径で水平方向に湾曲しつつハーネス収容部に向けて円弧状にスムーズに折り返される。
請求項3に係るスライドドア用給電構造は、請求項1又は2記載のスライドドア用給電構造において、前記スイングアームが強い剛性をもって一対平行に設けられたことを特徴とする。
上記構成により、二本のスイングアームでスライドドアを安定に支えることができ、ドア支持用のスイングアームを利用してワイヤハーネスを配索することで、部品点数が削減される。平行な二本のスイングアームはスライドドアの開閉時にスムーズに回動する。
請求項4に係るスライドドア用給電構造は、請求項1〜3の何れか1項に記載のスライドドア用給電構造において、前記スライダが、前記ガイドレールに係合するスライダ本体と、前記スイングアームを支持し、且つ前記ワイヤハーネスの一方を導出させるブラケットとで構成されたことを特徴とする。
上記構成により、スライダの役割分担が明確化され、スライダの作製が容易化すると共に、スライダの強度アップが可能となる。また、スライド本体の下側にブラケットを設けることで、スイングアームの位置を下げて乗員等との干渉防止を図ることができる。
請求項5に係るスライドドア用給電構造は、請求項1〜4の何れか1項に記載のスライドドア用給電構造において、前記ワイヤハーネスの他方が前記スイングアームのヒンジ軸の近傍で導出ないし固定されたことを特徴とする。
上記構成により、スライドドアの開閉時に、スイングアームとワイヤハーネスの他方の部分との間にずれや弛みや引張を生じることなく、ワイヤハーネスの他方がスイングアームと一体にスムーズに回動する。
請求項1記載の発明によれば、スイングアームがスライドドアの支持とハーネスの配索との両方を担っているので、従来のドア支持用のアームが不要となり、ドア側スペースが拡大され、スライドドア側の電装品や補機等の配置の自由度が高まる。また、キャタピラ状の外装部材がドア閉時に従来のようにハーネス収容部から湾曲状に突出することがなく、且つドア開時に従来よりも低く位置するから、不要な弛みが起こらず、引っ掛かり等の心配がなくなると共に、外装部材の屈曲スペースが省スペース化され、上記スイングアームと共に給電構造が小型化される。スライドドアと車両ボディとの間でワイヤハーネスが垂れ下がりの心配なくスイングアームで支持され、ドア閉時におけるワイヤハーネスの挟み込みの心配が皆無となると共に、従来の板ばねでワイヤハーネスの弛みを吸収する構造が不要となるから、部品点数が削減され、構造が簡素化されて、コストが低減されることは言うまでもない。
請求項2記載の発明によれば、例えば数個の駒部材を他の駒部材とは反対に(反転させて)組み付けることで、容易に且つコストを上げることなくキャタピラ状の外装部材を形成することができ、しかも請求項1同様の大きな効果を挙げることができる。
請求項3記載の発明によれば、一対のスイングアームでスライドドアを安定に支持することができ、しかもドア支持用のスイングアームを利用してワイヤハーネスを配索することで、ハーネス支持用のアームを特別に設ける必要がなくなり、コストが低減される。
請求項4記載の発明によれば、スライダ本体でガイド部に沿う移動を確実に行い、ブラケットでスイングアームの支持を確実に行い、スライダ全体としての強度を高めることができ、スイングアームによるスライドドアの支持を確実に行わせることができる。
請求項5記載の発明によれば、ワイヤハーネスの他方が弛みや引っ張りを生じることなくスイングアームと一体に回動するから、ワイヤハーネスの他方の部分の屈曲や摩耗等が起こらず、ワイヤハーネスの寿命が延び、常時給電の信頼性が向上する。
図1〜図6は、本発明に係るスライドドア用給電構造の一実施形態を示すものである。図1〜図3のスライドドア1は車両右側のものを示し、図1はスライドドア1の全閉状態、図2はスライドドア1の開き操作開始直後の状態、図3はスライドドア1の全開状態をそれぞれ示している。各図で向かって右側が車両後方、左側が車両前方である。図4はキャタピラ状の外装部材の一実施形態、図5〜図6はキャタピラ状の外装部材の作用をそれぞれ示している。
図1〜図3の如く、本実施形態のスライドドア用給電構造は、スライドドア1に設けられた水平なガイドレール(ガイド部)3にスライド自在に係合したスライダ4と、スライドドア1に固定された水平なハーネス収容ケース(ハーネス収容部)7と、車両ボディ(図示せず)側に固定されたブラケット8と、スライダ4とブラケット8との間で水平方向に回動自在に設けられ、スライドドアの支持を兼ねる二本の平行なスイングアーム9,10とを備えたスライドドア用給電装置2において、スライダ4からハーネス収容ケース7内に、二方向に屈曲自在なキャタピラ状の外装部材20で覆われたワイヤハーネス11の一方11aを配索すると共に、スイングアーム9に沿ってワイヤハーネス11の他方11bを配索したものである。
ワイヤハーネス11の一方(一方のハーネス部分)11aは、スライダ4からハーネス収容ケース7内に配索されてスライドドア1内の電装品や補機に接続され、ワイヤハーネス11の他方(他方のハーネス部分)11bは、スライダ4から一方のスイングアーム9に沿ってブラケット8まで配索されて車両ボディ側(電源側)に続いている。
スライダ4はスライダ本体5と、スライダ本体5の下側に一体的に固定されたブラケット6とで構成され、このブラケット6と車両ボディ側のブラケット8とに前記一対のスイングアーム9,10の各端部が各ヒンジ軸12で回動自在に支持されている。
スライダ本体5はガイドレール3に水平方向スライド自在に係合している。一例としてガイドレール3は金属を材料として、上下一対の縦断面略L字状の横長な水平部分3a(図2)と、前後端の垂直な停止壁3bとで枠状に形成され、スライダ本体5は例えばガイドレール3内に係合する前後一対のローラ部分(図示せず)を有している。スライド本体5とガイドレール3の形状は必要に応じて適宜変更可能である。
図1で少なくとも前側のスイングアーム9は外側面に長手方向の凹溝9aを有し、凹溝9a内にワイヤハーネス11の他方11bの一部ないし多くの部分を収容可能である。両スイングアーム9,10は中間になだらかな傾斜状の屈曲部9b,10bを有して、スライドドア寄りのアーム部分が車両ボディ寄りのアーム部分よりも少し高く位置し、全体の剛性を高めて、スライドドア1を一対のスイングアーム9,10で安定に支持可能となっている。
スライダ4のブラケット6は上下の平行な壁部13(図2)と、その間の水平な空間14と、前端側の壁部15とを有し、水平な空間14内に一対のスイングアーム9,10の基端側が進入してヒンジ軸12で枢着され、図1のスライドドア1の全閉時に後側のスイングアーム10の真直な基半部が空間14内に収容される。前側のスイングアーム9のヒンジ軸12の近傍で前端側の壁部15の凹溝16(図2)からワイヤハーネス11の他方11bが導出されて前側のスイングアーム9に沿って配索されている。他方のハーネス部分11bはバンド17等でスイングアーム9に固定され、スイングアーム9と一体に回動する。
ワイヤハーネス11の他方11bは車両ボディ側のブラケット8のヒンジ軸12の真上ないし近傍でクランプ18に固定され、クランプ18から車両ボディ側に配索されている。少なくともスライダ4のブラケット6から車両ボディ側のブラケット8までの間でワイヤハーネス11の他方11bは例えば網状の保護チューブで覆われている。スイングアーム9に沿う他方のハーネス部分11bには若干の弛み11cを持たせてある。
車両ボディ側のブラケット8は縦断面略コの字状に形成され、平行な上壁19と下壁との間の空間内に一対のスイングアーム9,10の先端部が進入してヒンジ軸12で枢着されている。ブラケット8は車両ボディのドア開口の後部下側に固定される。
ワイヤハーネス11の一方11aはキャタピラ状の外装部材20で覆われない状態でスライダ4のブラケット6の裏側を通って図2の如くブラケット6の下側の壁部13の後端側からキャタピラ状の外装部材20に覆われてハーネス収容ケース7内に導出されている。
ハーネス収容ケース7は合成樹脂で水平な略樋状に形成され、横長スリット状の上部開口7aと、上部開口7aに続く狭い前端開口7bと、キャタピラ状の外装部材の外幅よりも少し幅広で横長なハーネス収容空間(符号7aで代用)とを有している。
図1のスライドドア1の閉じ状態でハーネス収容ケース7はブラケット6の下側に位置し、ワイヤハーネス11の一方11aは上側のブラケット6からキャタピラ状の外装部材によって垂直に垂下され、上部開口7aから収容空間内に進入し、水平方向に屈曲してハーネス収容ケース7内でほぼ直線的に配索され、前端開口7b(図2)からスライドドア1側に配索されている。
ワイヤハーネス11の一方11aは合成樹脂製のキャタピラ状の外装部材20の内側に収容され、外装部材11aによって図1,図2の如くスライドドア1の全閉及び半開時にブラケット6から垂直な方向に垂下しつつハーネス収容ケース7に沿って前向きに水平にスライドドア1と平行に屈曲し、図3の如くスライドドア1の全開時にブラケット6から後向きに屈曲しつつハーネス収容ケース7の上側で大きな半径の湾曲形状で位置する如く、二方向の屈曲性を付与されている。
外装部材11aは複数の駒部材24(図3,図4)を屈曲自在に連結させたものであり、各駒部材24は両側の略長円形の壁部24aと、両壁部24aを連結する壁部24bと、両側の壁部24aに設けられた一方の軸部25と他方の孔部26とで構成され、一方の駒部材24の軸部25が隣接の他方の駒部材24の孔部26に係合して各駒部材24が相互に連結されている。
図4の如く、各駒部材24は両壁部24aの一端側において長手方向の真直なストッパ27を一側に有し、傾斜状のストッパ28を他側に有している。各ストッパ27,28は隣接の駒部材24の連結壁24bに当接して屈曲(回動)を規制される。真直なストッパ27が一方の連結壁24bに当接した状態で駒部材24は回動できずに真直に位置し、傾斜状のストッパ28が他方の連結壁24bに当接するまで駒部材24は回動する。図4で符号37は外装部材20内に挿通される複数本の電線を示す。
本実施形態の外装部材20は上側すなわちブラケット6(図3)に続く二つないし三つ(図4)の駒部材241〜243とそれ以外の駒部材244〜24nとで組付方向を左右180度反転させてストッパ27,28の位置を逆転させることで、ブラケット6に続く上側の二つないし三つ(数個)の駒部材241〜243を図3のスライドドア全開時に後向き(図4の矢印C方向)に屈曲させ、図1,図2のスライドドア全閉及び半開時に上側の二つないし三つの駒部材241〜243を屈曲させずに真直に垂下させている。
キャタピラ状の外装部材11aの一端は上側のブラケット6の下部後端側に連結部材21(図3)を介して連結されており、外装部材11aの他端はハーネス収容ケース7の前端開口7b寄りの部分に固定されている。
なお、図4における各駒部材24のストッパ27,28の形状は真直部や傾斜部に限らず種々の形態を採用可能であり、駒部材24の軸部25と孔部26とにストッパを形成することも可能である。
以下に上記スライドドア用給電構造すなわち給電装置2の作用を説明する。
図1のスライドドア1の全閉状態でスライドドア1は車両ボディ側に密着し、スライダ4はガイドレール3の後端寄りに位置し、スイングアーム9,10は後向きに閉じた状態すなわち一対のスイングアーム9,10が相互に近接してほぼ車両前後方向に真直に位置し、車両ボディ側のブラケット8はスライダ4よりも後方に位置している。
ワイヤハーネス11の一方11aはキャタピラ状の外装部材20に覆われた状態でスライダ4のブラケット6から垂下してハーネス収容ケース7の後端側から前方にかけてハーネス収容ケース7内に長く水平に収容されている。ワイヤハーネス11の他方11bはスイングアーム9に沿ってほぼ真直に近い状態でさほど弛みなく位置している。
図5に実線で示す如く、スライドドア1の全閉状態で、連結部材21から三つ目までの駒部材24(241〜243)が曲がりなく垂直に位置し、四つ目の駒部材244から前向きにハーネス収容ケース7の長手方向に円弧状にほぼ90度の内角で屈曲する。
図5に鎖線で示す如く、従来例(図9)のようなキャタピラ状の外装部材30を用いた場合は、一方向にのみ屈曲可能であるから、連結部材21から後方に大きく突出した状態に湾曲し(突出部分を符号33で示す)、その突出分だけワイヤハーネスの配索スペースが増大する。図5で符号31は、外装部材20の基端を収容ケース7の底部に固定するための連結部材を示す。従来の外装部材30の基端を固定する連結部材32は本発明の外装部材20における連結部材31よりも突出部分33の長さ分だけ後方に位置する。
図1の全閉状態からスライドドア1を矢印Aの如く後方にスライドさせて開けた際に、図2の如くスライドドア1は車両ボディから外側に離間する方向に移動し、これに伴ってガイドレール3上のスライダ4の位置は変わらずに、一対のスイングアーム9,10が開き方向に平行に回動(スイング)する。すなわちスイングアーム9,10が車両ボディ側のブラケット8のヒンジ軸12を支点にスライドドア1の移動方向(後方)にほぼ90°の角度で回動して、スライドドア1の後方への初期スライド量を吸収する。
この際、ワイヤハーネス11の一方11aは図1のスライドドア1の全閉時と変わらずに、ハーネス収容ケース7内に長い状態で収容され、ワイヤハーネス11の他方11bはスライダ4のブラケット6の凹溝16(図2)を支点にスイングアーム9と一体に回動する。ハーネス収容ケース7はスライドドア1と一体に移動する。キャタピラ状の外装部材20の作用は図5と同じである。
図2の状態からスライドドア1をさらに後方にスライドさせて開くに伴って、図3の如く一対のスイングアーム9,10は図2と同じ姿勢を確保しつつ、スライダ4がガイドレール3に沿って前方にスライド移動する。ハーネス収容ケース7はスライドドア1と一体に移動する。
ワイヤハーネス11の一方11aはキャタピラ状の外装部材20と共にハーネス収容ケース7から上方及び前方に引き出されて、略U字状ないし略J字状に屈曲しつつスライダ4と一体に前進する。
図6に実線で示す如く、スライダ4(図3)の前進に伴ってキャタピラ状の外装部材20の上から二番目と三番目の駒部材242,243が連結部材21から後方に屈曲し(一番目の駒部材241は連結部材21に垂直に固定されていることが好ましい)、四番目以降の駒部材244が大きな半径で一番目〜三番目までの駒部材241〜243とは逆向きに湾曲しつつ折り返し方向の小径の屈曲部34に続いている。
図6に鎖線で示す如く、従来例(図9)のようなキャタピラ状の外装部材30を用いた場合は、連結部材21から水平に真直に各駒部35が延長されて、折り返し方向の大きな半径の屈曲部36に続く。本発明における外装部材20は従来の外装部材30よりも低く位置し、且つ折り返し方向の屈曲部34が従来の屈曲部36よりも前方に位置して前後方向のスペースを有効に使用して屈曲することで、スライドドア側のワイヤハーネス11の配索が従来よりも小さなスペースで行われる。
図3においてワイヤハーネス11の他方11bは図2と同様にスイングアーム9に沿ってスライドドア1と車両ボディとの間(渡り部22)を横断する。
図3のスライドドア1の全開状態からスライドドア1を矢印Bの如く前方にスライドさせると、スライダ4がガイドレール3に沿って後方にスライドすると同時に、キャタピラ状の外装部材20がハーネス収容ケース7内の基端側の部分を支点にスライダ4と一体に後方に移動しつつハーネス収容ケース7内に収容(回収)されて、図2,図5のドア閉じ直前の状態となる。
図2の状態からさらにスライドドア1を前方(B方向)にスライドさせると、スライドドア1が車両ボディ側に近接しつつ、渡り部22がなくなって、図1の如く一対のスイングアーム9,10が平行に近接しつつ前方に回動(スイング)して閉じ、スライドドア1が全閉する。
キャタピラ状の外装部材20は図2,図5と同様にハーネス収容ケース7内に収容され、ワイヤハーネス11の他方11bは車両ボディ側のブラケット8のヒンジ軸12を支点にスイングアーム9と一体に回動してほぼ前後方向に真直に位置する。
このように、スライドドア1の開閉に伴うワイヤハーネス11の余長吸収がスライドドア1側のハーネス収容ケース7で行われ、この際、キャタピラ状の外装部材20が小さなスペースで屈曲するから、スライドドア内の電装品や補機等の配設を大きなスペースで行うことができる。この効果は、スライドドアの支持アームとして一対のスイングアーム9,10を用い、スイングアーム9にワイヤハーネス11を配索したことによっても促進される。また、図5の如く、従来の外装部材30のように後方に突出したり(符号33の部分)、図6の如く上方に高く突出(位置)したりしないから、引っ掛かり等の干渉の心配がなく、ワイヤハーネス11が確実に保護される。
スライドドア1と車両ボディとの間(渡り部22)においては常にワイヤハーネス11がスイングアーム9に沿ってほぼ真直に渡り部22を横断することで、渡り部22におけるワイヤハーネス11の垂れ下がりが起こり得ず、従来の給電装置の余長吸収用の板ばねが不要であると共に、渡り部22におけるワイヤハーネス11の挟み込みが確実に防止される。
なお、上記実施形態においては、スライダ4をスライダ本体5とブラケット6とで構成したが、ブラケット6を廃止してスライダ本体5にスイングアーム9,10の支持構造やワイヤハーネス11の導出構造を一体的に設けることも可能である。また、車両ボディ側のブラケット8は車両ボディに一体に形成することも可能である。
また、上記実施形態においては、スライドドア1にスペーサ壁23(図1)を介してハーネス収容ケース7を設けているが、ブラケット6からのワイヤハーネス11の導出(垂下)位置がドア面1aに接近していれば、スペーサ壁23は不要である。
また、上記実施形態においては、スイングアーム9,10を二本としてスライドドア1の荷重をスイングアーム9,10で受け止めているが、他にスライドドア1の荷重を受けるガイドレール等(図示せず)を車両ボディに設けた場合には、スイングアームは一本であっても可能である。この場合、スイングアームは金属材ではなく合成樹脂材で形成することも可能である。
1 スライドドア
2 スライドドア用給電装置
3 ガイドレール(ガイド部)
4 スライダ
5 スライダ本体
6 ブラケット
7 ハーネス収容ケース(ハーネス収容部)
8 ブラケット
9,10 スイングアーム
11 ワイヤハーネス
11a 一方(一方のハーネス部分)
11b 他方(他方のハーネス部分)
12 ヒンジ軸
20 外装部材
24 駒部材
2 スライドドア用給電装置
3 ガイドレール(ガイド部)
4 スライダ
5 スライダ本体
6 ブラケット
7 ハーネス収容ケース(ハーネス収容部)
8 ブラケット
9,10 スイングアーム
11 ワイヤハーネス
11a 一方(一方のハーネス部分)
11b 他方(他方のハーネス部分)
12 ヒンジ軸
20 外装部材
24 駒部材
Claims (5)
- スライドドアのガイド部にドア開閉方向に移動自在に係合するスライダと、該スライドドアに設けられるハーネス収容部と、該スライダと車両ボディとの間に回動自在に連結され、該スライドドアを支持するスイングアームとを備え、ワイヤハーネスの一方がキャタピラ状の外装部材で覆われて該スライダから該ハーネス収容部を経て該スライドドア側に配索され、該ワイヤハーネスの他方が該スライダから該スイングアームを経て該車両ボディ側に配索され、該キャタピラ状の外装部材が該スライダ側の端部においてスライドドア開方向に屈曲自在でスライドドア閉方向に屈曲不能であると共に、該端部以外の部分がスライドドア閉方向に屈曲自在であることを特徴とするスライドドア用給電構造。
- 前記キャタピラ状の外装部材を構成する多数の連結された駒部材のうちの数個が前記スライダ側の端部であることを特徴とする請求項1記載のスライドドア用給電構造。
- 前記スイングアームが強い剛性をもって一対平行に設けられたことを特徴とする請求項1又は2記載のスライドドア用給電構造。
- 前記スライダが、前記ガイドレールに係合するスライダ本体と、前記スイングアームを支持し、且つ前記ワイヤハーネスの一方を導出させるブラケットとで構成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスライドドア用給電構造。
- 前記ワイヤハーネスの他方が前記スイングアームのヒンジ軸の近傍で導出ないし固定されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに1項に記載のスライドドア用給電構造。
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JP2003359111A JP2005124352A (ja) | 2003-10-20 | 2003-10-20 | スライドドア用給電構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-10-20 JP JP2003359111A patent/JP2005124352A/ja not_active Withdrawn
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