JP2005123220A - ステージ制御方法、露光方法、ステージ制御装置及び露光装置、並びにデバイス製造方法 - Google Patents

ステージ制御方法、露光方法、ステージ制御装置及び露光装置、並びにデバイス製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】走査露光を行う際のレチクルステージとウエハステージとを高精度に制御する。
【解決手段】ステップ705において、各ショット領域の往復スキャン中に、ウエハステージの減速を終了する位置と加速を開始する位置との間にずれが生じると判断される場合には、ステップ707において、その減速が終了するタイミングと加速を開始するタイミングとが一致するようにウエハステージの速度プロファイルが変更される。そして、ステップ711及びステップ713において、変更された速度プロファイルにおける減速距離と、初期設定での速度プロファイルにおける距離のずれがキャンセルされるように補正速度プロファイルが生成され、ステップ715において、ウエハステージの速度プロファイルがその補正速度プロファイルと合成されることにより、補正される。
【選択図】図8

Description

本発明は、ステージ制御方法、露光方法、ステージ制御装置及び露光装置、並びにデバイス製造方法に係り、さらに詳しくは、所定の速度プロファイルに基づいて2つのステージを所定方向に沿って等速同期移動させる工程を少なくとも2工程行うステージ制御方法、該ステージ制御方法を用いる露光方法、2つのステージを制御するステージ制御装置及び該ステージ制御装置を用いる露光装置、並びに前記露光方法又は前記露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを、投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、「ウエハ」と総称する)上に転写する露光装置、例えばステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパに改良を加えたステップ・アンド・スキャン方式の走査型投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)等の逐次移動型の投影露光装置(以下、「走査型露光装置」と略述する)が主として用いられている。
かかる走査型露光装置においては、レチクルを保持するレチクルステージとウエハを保持するウエハステージを走査方向に等速同期移動させた状態で露光を行う、いわゆる走査露光を行っている。そのため、露光中における両ステージの同期ずれの発生を防止することが必要である。
この同期ずれの発生を防止するためには、例えば、レチクルステージをウエハステージに常時同期させておくことが考えられる。しかしながら、ウエハW上の複数のショット領域に対して連続的に露光を行なうため、露光対象のショット領域を変更するに際し、ウエハステージを2次元平面内で随時ステッピングさせる必要があるのに対し、レチクルステージに関しては、レチクルのパターンの転写状態を各ショット領域で均一とするために、往復スキャン中のレチクルステージの軌跡を一定に保つ必要がある。
そこで、走査型露光装置においては、少なくとも露光中(すなわち等速同期移動中)或いはその前後だけレチクルステージをウエハステージに同期させ、両ステージの減速動作及びウエハステージのステッピング動作を行う際には、レチクルステージとウエハステージとを独立して動作させるようにしていた。
また、ウエハ上に形成すべき同一行(走査方向を、行が変化する方向とする)のショット領域の位置は、走査方向に関して完全に同一であるとは限らない。この場合、両ステージの往復スキャンを繰り返しつつ、同一行のショット領域の露光を連続的に行おうとすると、往路のステージの減速が終了する位置と、復路のステージの加速を開始する位置とがずれてしまうため、往路のステージの減速が終了するタイミングと復路のステージの加速を開始するタイミングとを一致させることができず、最大加速度でステージを反転させること(このような反転が、スループットの観点から、最も望ましいとされている)が困難となる。
この場合、走査露光中のウエハステージの移動経路を多少変更することにより、往路の減速が終了するタイミングと復路の加速を開始するタイミングとを一致させることは可能である。しかしながら、このウエハステージの移動経路を変更すると、減速時には両ステージが独立して動作するため、ウエハステージの減速が終了するタイミングと、レチクルステージの減速が終了するタイミングとがずれてしまうこともあり、このずれが、両ステージの露光中の同期ずれにつながってしまう可能性があった。
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、2つのステージを高精度に制御することができるステージ制御方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、高精度な露光を実現することができる露光方法を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、2つのステージを高精度に制御することができるステージ制御装置を提供することにある。
また、本発明の第4の目的は、高精度な露光を実現することができる露光装置を提供することにある。
また、本発明の第5の目的は、デバイスの生産性の向上を図ることができるデバイス製造方法を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、所定の速度プロファイルに基づいて2つのステージを所定方向に沿って等速同期移動させる工程を少なくとも2工程行うステージ制御方法であって、先行する等速同期移動の工程終了後に行われる前記一方のステージの減速が終了する位置と、後に続く等速同期移動の工程に先立って行われる前記一方のステージの加速を開始する位置との間にずれが生じると判断された場合は、前記一方のステージの前記減速が終了するタイミングと、他方のステージが前記先行する等速同期移動の工程終了後に減速を終了させるタイミングとが一致するように前記一方のステージの速度プロファイルを変更する第1ステップと;前記第1ステップにおいて変更された速度プロファイルにおける前記一方のステージの減速に要する区間の長さと、前記所定の速度プロファイルにおける前記一方のステージの減速に要する区間の長さとの間にずれが生じる場合は、該ずれをキャンセルするように前記一方のステージの速度プロファイルを変更する第2ステップと;を含むステージ制御方法である。
これによれば、第1ステップにおいて、先行する等速同期移動の工程終了後に行われる一方のステージの減速を終了する位置(減速終了位置)と、後に続く等速同期移動の工程に先立って行われる前記一方のステージの加速を開始する位置(加速開始位置)との間にずれが生じる場合には、その減速が終了するタイミングと、他方のステージが先行する等速同期移動の工程終了後に減速を終了させるタイミングとが一致するように、一方のステージの速度プロファイルが変更される。このようにすれば、両ステージの加速を開始するタイミングが常に一致するようになる。
しかしながら、一方のステージの速度プロファイルを変更すると、その速度プロファイルにおける減速に要する区間の長さ(減速距離)も変化してしまい、結果的に減速終了位置と加速開始位置との間にずれが残ってしまう。そこで、第2ステップにおいて、変更された速度プロファイルにおける減速距離と、所定の速度プロファイルにおける減速距離とのずれがキャンセルされるように、一方のステージの速度プロファイルが変更される。以上のステップにより、両ステージの加速を開始するタイミングが常に一致するようになるので、両ステージの等速同期移動における同期ずれを防止し、2つのステージを高精度に制御することができる。
なお、「2つのステージの等速同期移動」とは、ここでは、各ステージを一定速度(等速)で、同期移動することを意味し、2つのステージがともに同じ速度で同期移動をする場合に限られるものではない。すなわち、各ステージの移動速度は異なっていても、その速度比が一定であればよい。
この場合、請求項2に記載のステージ制御方法のごとく、前記第1ステップでは、前記減速に要する区間における減速度の絶対値の最大値が、前記加速に要する区間における加速度の絶対値の最大値と一致するように、前記一方のステージの速度プロファイルを変更することとすることができる。
上記請求項1又は2に記載のステージ制御方法において、請求項3に記載のステージ制御方法のごとく、前記第2ステップでは、前記減速に要する区間における減速度が、所定のレベルを超えないように、前記一方のステージの速度プロファイルを変更することとすることができる。
請求項4に記載の発明は、マスクを保持するマスクステージと、感光物体を保持する物体ステージとを、所定方向に同期移動させた状態で、前記マスクに形成されたパターンを前記感光物体上の複数の領域に転写する走査露光を行う露光方法であって、前記物体ステージを前記一方のステージとし、前記マスクステージを前記他方のステージとして請求項1〜3のいずれか一項に記載のステージ制御方法により前記物体ステージを速度制御する際の速度指令群として用いられる速度プロファイルを変更する変更工程と;前記変更された速度プロファイルに基づいて、前記物体ステージを制御し、前記マスクステージを前記物体ステージに同期移動させた状態で、前記パターンを前記感光物体上に転写する露光工程と;を含む露光方法である。
かかる場合には、請求項1〜3のいずれか一項に記載のステージ制御方法により、マスクステージを物体ステージに同期移動させた状態で、パターンを感光物体上に転写することができるため、高精度な露光を実現することができる。
この場合、請求項5に記載の露光方法のごとく、前記変更工程では、前記複数の領域のうち、続けて露光対象となる2つの領域の前記所定方向に関する位置ずれに基づいて、前記物体ステージの減速が終了する位置と加速を開始する位置とのずれを算出することとすることができる。
請求項6に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法において、前記リソグラフィ工程では、請求項4又は5に記載の露光方法を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法である。かかる場合には、請求項4又は5に記載の露光方法を用いて露光を行なうため、高精度な露光を実現することができるので、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、2つのステージを制御するステージ制御装置であって、前記2つのステージのうちの一方のステージに対する目標位置と、その位置の計測値との偏差に基づいて、前記一方のステージを制御する第1制御系と;前記第1制御系から出力される前記一方のステージの位置の計測値に基づいて、他方のステージを制御する際の目標位置を作成する目標位置作成装置と;前記目標位置作成装置によって作成された目標位置と、前記他方のステージの位置の計測値との偏差に基づいて、前記他方のステージを制御する第2制御系と;を備え、前記目標位置作成装置は、前記2つのステージをそれぞれ所定方向に等速同期移動させている間には、前記一方のステージの位置の計測値に基づいて、前記他方のステージを制御する際の目標位置を作成し、前記2つのステージを前記所定方向に加減速移動させるとともに前記一方のステージを前記所定方向の直交方向に移動させている間には、前記一方のステージの前記所定方向及び前記直交方向に関する位置の計測値と、前記一方のステージの前記直交方向に関する推定位置とに基づいて、前記他方のステージを制御する際の前記所定方向及び前記直交方向に関する目標位置を作成するステージ制御装置である。
これによれば、目標位置作成装置は、一方のステージを所定方向の直交方向に移動させている間には、一方のステージの所定方向及び直交方向に関する位置の計測値と、一方のステージの直交方向に関する推定位置とに基づいて、前記他方のステージを制御する際の前記所定方向及び前記直交方向に関する目標位置を作成している。すなわち、例えば、一方のステージの直交方向に関する推定変位に基づいて算出される他方のステージの移動距離を一方のステージの直交方向に関する位置の計測値からキャンセルした状態で、他方のステージの直交方向に関する目標位置を作成している。このようにすれば、他方のステージは、その一方のステージの直交方向に関する所定の移動に対しては不感となり、一方のステージが等速同期移動の移動方向である所定方向以外に移動中であっても、他方のステージを一方のステージに常時同期させた状態で、両ステージの複数回の等速同期移動を実現することができる。これにより、両ステージの同期ずれを防止することができるため、2つのステージを高精度に制御することが可能となる。
この場合、請求項8に記載のステージ制御装置のごとく、前記目標位置作成装置は、前記2つのステージを前記所定方向に加減速させるとともに前記一方のステージを前記所定方向の直交方向に移動させている間には、前記一方のステージの前記所定方向及び前記直交方向に関する位置の計測値に対応する前記他方のステージの前記直交方向に関する目標位置から、前記一方のステージの前記直交方向に関する推定移動距離に対応する前記他方のステージの移動距離を差し引くことによって得られる位置を、前記他方のステージの前記直交方向に関する目標位置とすることとすることができる。
請求項9に記載の発明は、マスクを保持するマスクステージと、感光物体を保持する物体ステージとを、所定方向に同期移動させた状態で、前記マスクに形成されたパターンを前記感光物体上の複数の領域に転写する走査露光を行う露光装置であって、前記物体ステージを前記一方のステージとし、前記マスクステージを前記他方のステージとする請求項7又は8に記載のステージ制御装置と;前記ステージ制御装置により、前記マスクステージ及び前記物体ステージが制御された状態で、前記パターンを前記感光物体上の複数の領域に転写する転写装置と;を備える露光装置である。かかる場合には、請求項7又は8に記載のステージ制御装置を用いて、マスクステージと物体ステージとの制御を行った状態で、感光物体上にパターンを転写することができるようになるため、高精度な露光を実現することができる。
請求項10に記載の発明は、リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法において、前記リソグラフィ工程では、請求項9に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法である。かかる場合には、請求項9に記載の露光装置を用いて露光を行なうため、高精度な露光を実現することができるので、高集積度のデバイスの生産性を向上させることができる。
≪第1の実施形態≫
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。
図1には、本発明のステージ制御方法が適用される第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。この露光装置100は、照明系IOP、マスクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、感光物体としてのウエハWを保持するウエハステージWST、及び装置全体を統括制御する主制御装置20等を備えている。
露光装置100は、投影光学系PLを中心に構成されている。そこで、以下では、その投影光学系PLの光軸方向をZ軸方向とし、Z軸方向に直交する平面内でレチクルR(レチクルステージRST)とウエハW(ウエハステージWST)とが相対走査する走査方向をY軸方向、該Y軸に直交する非走査方向をX軸方向として、説明を行う。
前記照明系IOPは、例えば特開平6−349701号公報等に開示されるように、光源、オプティカル・インテグレータを含む照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、可変視野絞り(レチクルブラインド又はマスキング・ブレードとも呼ばれる)、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)を含んで構成されている。オプティカル・インテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)、あるいは回折光学素子などが用いられる。
この照明系IOPでは、回路パターン等が描かれたレチクルR上で、レチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域(X軸方向に細長い矩形状の照明領域)部分を照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)などの遠紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光などが用いられる。照明光ILとして、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)を用いることも可能である。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、リニアモータ、ボイスコイルモータ等を含む不図示のレチクルステージ駆動系によって、照明系IOPの光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、走査方向であるY軸方向に、設定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTの上面には、移動鏡38が設けられており、この移動鏡38に対向した位置には、該移動鏡38に対してレーザビームを投射し、その反射光を受光することによりレチクルステージRSTの位置を検出するレチクルレーザ干渉計40(以下、「レチクル干渉計40」と略述する)が設けられている。
ここで、実際には、図2(A)の平面図に示されるように、レチクルステージRSTのX軸方向の一側(+X側)の端部にはY軸方向に延びたX軸移動鏡38Xが固定され、+Y側の端部には、レトロリフレクタより成る2個のY軸移動鏡38YL,38YRがそれぞれ固定されている。また、これに対応してX軸移動鏡38Xに対向する位置には、図1のレチクル干渉計40を構成するレチクルX軸干渉計40Xが設けられ、Y軸移動鏡38YL,38YRそれぞれに対向する位置には一対のレチクルY軸干渉計40YL,40YRがそれぞれ設けられている。レチクルX軸干渉計40Xからは、X軸移動鏡38Xに向けて、X軸に平行にレーザビームLRXが照射され、レチクルY軸干渉計40YL,40YRのそれぞれからは、Y軸移動鏡38YL,38YRに向けてそれぞれY軸に平行にレーザビームLRL,LRRが照射されている。
この場合、走査方向であるY軸方向の移動鏡(レトロリフレクタ)38YL,38YRで反射されたレーザビームLRL,LRRは、それぞれ反射ミラー39A,39Bで反射され、再び移動鏡38YL,38YRで反射されてレチクルY軸干渉計40YL,40YRに戻されている。なお、レチクルステージRSTの端面を鏡面加工して反射面を形成し、この反射面を移動鏡の代わりに用いても良い。
上記3軸のレチクル干渉計の出力は、図1に示されるように、主制御装置20に供給されており、主制御装置20では、レーザビームLRXを測長軸とする干渉計40Xの出力(RX)に基づいてレチクルステージRSTのX位置を計測し、レーザビームLRL,LRRをそれぞれ測長軸とする2つのY軸干渉計40YL,40YRそれぞれの出力(RL,RR)の平均値に基づいてレチクルステージRSTのY位置を算出し、干渉計40YL,40YRの出力の差分と、レーザビームLRL,LRRの間隔Lとに基づいてレチクルステージRSTのXY面内での回転角を算出するようになっている。
図1に戻り、投影光学系PLとしては、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率β(ここでは、β=1/4とする)を有する屈折光学系が用いられている。このため、照明系IOPからの照明光ILによって、レチクルR上のスリット状の照明領域IARのパターンが照明されると、レチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が投影光学系PLを介して前記照明領域と共役なウエハW上の露光領域IAに投影され、ウエハW表面のフォトレジスト層に転写されるようになっている。
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で、不図示のベース上に配置されている。そして、このウエハステージWST上には、ウエハホルダ(不図示)が載置されており、このウエハホルダ上にウエハWが例えば真空吸着等によって固定されている。ウエハステージWSTは、不図示のウエハステージ駆動系により、X、Y、Z、θz(Z軸回りの回転方向)、θx(X軸回りの回転方向)、及びθy(Y軸回りの回転方向)の6自由度方向に駆動可能な単一のステージである。
ウエハステージWST上には、移動鏡46が設けられており、この移動鏡46にレーザビームを投射し、その反射光を受光することによりウエハステージWSTの位置を検出するウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」と略述する)48が、移動鏡46に対向して設けられている。ここで、実際には、図2(B)の平面図に示されるように、ウエハステージWSTの上面のX軸方向の一側(+X側)の端部にはY軸方向を長手方向とするX軸移動鏡46Xが固定され、Y軸方向の一側(+Y側)の端部にはX軸方向を長手方向とするY軸移動鏡46Yがそれぞれ固定されている。また、これに対応してX軸移動鏡46Xに対向した位置には、図1のウエハ干渉計48を構成するウエハX軸干渉計48Xが設けられ、Y軸移動鏡46Yに対向した位置には、ウエハ干渉計48を構成するウエハY軸干渉計48Yが設けられている。移動鏡46Xには、ウエハX軸干渉計48Xから、X軸に平行な光路に沿って間隔DでレーザビームLWXB及びLWXMがそれぞれ照射され、移動鏡46Yには、Y軸に平行な光路に沿ってレーザビームLWXB,LWXMと同じ間隔Dで2本のレーザビームLWYL及びLWYRがそれぞれ照射されている。この場合、2本のレーザビームLWXB,LWXMは、投影光学系PLの光軸AXを通るX軸から等距離(D/2)にあり、2本のレーザビームLWYL、LWYRは、投影光学系PLの光軸AXを通るY軸から等距離(D/2)にある。
なお、ウエハステージWSTの端面を鏡面加工して反射面を形成し、この反射面を移動鏡46の代わりに用いても良い。このとき、ウエハステージWSTのX,Y方向の位置及びZ軸回り(XY面内で)の回転量(ヨーイング量)に加えて、ウエハX軸干渉計48Xを用いてY軸回り(ZX面内で)の回転量(ローリング量)を計測し、ウエハY軸干渉計48Yを用いてX軸回り(YZ面内で)の回転量(ピッチング量)を計測することが好ましい。また、ウエハステージWSTに斜設される反射面と、投影光学系PLの保持部材(不図示)に設けられる反射面とにレーザビームを照射して、投影光学系PLの光軸AXに沿った方向(Z軸方向)に関するウエハステージWSTの位置(投影光学系PLとの間隔)を計測するウエハ干渉計を設けても良い。
ウエハX軸干渉計48Xの出力(WXB,WXM)及びウエハY軸干渉計48Yの出力(WYL,WYR)は、図1の主制御装置20に供給されている。主制御装置20は、レーザビームLWXB,LWXMを測長軸とする干渉計の出力(WXB,WXM)の平均値に基づいてウエハステージWSTのX位置を計測し、レーザビームLWYL,LWYRを測長軸とする2つのY軸干渉計の出力(WYL,WYR)の平均値に基づいてウエハステージWSTのY位置を計測し、レーザビームLWXBを測長軸とするX軸干渉計48Xの出力(WXB)とレーザビームLWXMを測長軸とするX軸干渉計48Xの出力(WXM)との差と、間隔Dとに基づいてウエハステージWSTのXY面内での回転角を算出するようになっている。
制御系は、図1中、主制御装置20によって主に構成される。主制御装置20は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され、装置全体を統括して制御する。
また、主制御装置20には、読み書き可能な記憶装置88、不図示の表示装置及び入力装置が併設されている。記憶装置88には、露光装置100の動作を規定する装置パラメータ(例えば後述する速度プロファイルを生成するための条件となるスキャン速度、整定時間などを含む)などが記憶されており、主制御装置20は、その記憶装置88に記憶された装置パラメータに基づいて各種動作を行う。また、主制御装置20の処理結果として得られる情報を保存する際にも、この記憶装置88が用いられる。また、表示装置としては、例えばCRTディスプレイや液晶表示装置が用いられ、入力装置としては、キーボードやマウス等のポインティングデバイス等が用いられる。
主制御装置20は、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTを制御するステージ制御系を含んで構成されている。このステージ制御系は、例えば、不図示のウエハステージ駆動系を介してウエハステージWSTを−Y方向(又は+Y方向)に所定の走査速度(スキャン速度)で走査するのと同期して、不図示のレチクルステージ駆動系を介してレチクルステージRSTを所定の走査速度で+Y方向(又は−Y方向)に走査し、この際に生ずるウエハステージWSTとレチクルステージRSTとの相対速度誤差(同期誤差)をできるだけ吸収し、レチクルRとウエハWとの速度比が4:1になるように両ステージWST,RSTを制御する。これにより、転写装置としての主制御装置20の制御の下、照明系IOPからの照明光ILにより照明される領域であるスリット状の照明領域IARに対して、レチクルRが+Y方向(又は−Y方向)に走査されるのと同期して、その照明領域IARと共役な露光領域IAに対してウエハWが投影光学系PLの投影倍率1/4に応じた速度で−Y方向(又は+Y方向)に走査された状態で、レチクルRのパターン形成面に形成されたパターンがウエハW上のショット領域に逐次転写される。
ここで、複数のショット領域を順次露光する場合のウエハステージWSTの動作について説明する。図3には、連続して露光対象となる、隣接するショット領域(ファーストショットSA1、セカンドショットSA2、…)が図示されている。
この図3において太線で示される軌跡は、露光領域IAの中心P(すなわち投影光学系PLの光軸AX)のウエハWに対する相対移動の軌跡を示す。なお、実際には、固定された露光領域IAに対しウエハステージWSTが移動するのであるが、図3では、説明を分かり易くするために、露光領域IAの中心PがウエハW上を移動するものとし、その移動の軌跡を示している。また、ショット領域のY軸方向に関するショット長をLscanとし、X軸方向に関する各ショットの中心間の距離をLstepとする。また、露光領域IAのY軸方向に関する幅をLslitとする。
図3に示されるように、前提として、露光領域IAの中心Pが点O、すなわちショット領域SA1を露光するための加速開始位置Oに位置しているものとする。ウエハステージWSTが+Y方向への加速移動を開始すると、露光領域IAは、ウエハW上をショット領域SA1の方向(−Y方向)に進むようになる。ウエハステージWSTの+Y方向の移動速度が所定のスキャン速度(これをVscanとする)に到達すると、ウエハステージWSTは、その+Y方向の加速度が0となって、スキャン速度Vscanを維持したまま、+Y方向に進むようになり、これにより、露光領域IAはそのスキャン速度Vscanで、ウエハWに対して−Y方向に進むようになる。そして、ウエハステージWSTがスキャン速度Vscanに到達してから整定時間(Tsettとする)経過後、露光領域IAが、ショット領域SA1にさしかかるようになると、露光領域IAとショット領域SA1とが重なった部分に対し、主制御装置20の制御の下、照明系IOPにより照明光ILの照射が開始され、露光が開始されるようになる。
そして、露光領域IAとショット領域SA1とが重なっている間は、ウエハステージWSTは、スキャン速度Vscanを維持したまま+Y方向に進み、その重なっている部分に対し照明光ILが照射される。そして、露光領域IAが、ショット領域SA1から完全に−Y側に抜けて点A(露光終了位置)に到達してから戻り整定時間(整定時間と同じTsettとする)を経過するまでは、ウエハステージWSTは、+Y方向への移動に関しては、スキャン速度Vscanを維持しつつ移動し続けるが、それと同時に、ステッピング動作を開始し、−X方向にも移動するようになる。これにより、露光領域IAは、−Y方向に移動し続けるとともに、+X方向にも移動する。そして、戻り整定時間Tsett経過後、ウエハステージWSTは、+Y方向に対して減速を開始し、+Y方向に関する速度が0になると、速やかに−Y方向への加速を開始する(図3では、Y軸方向の減速が終了したときの露光領域IAの中心Pは点Bで示される)。
ウエハステージWSTの−Y方向への加速により、露光領域IAの中心Pは、ショット領域SA2の方向(+Y方向)に進むようになる。そして、ウエハステージWSTは、最終的にX軸方向にステップ長Lstepだけ移動し、点Cに到達するとX軸方向への移動を停止する。さらに、ウエハステージWSTの−Y方向の移動速度がスキャン速度−Vscanに到達すると、−Y方向に対する加速を停止するので、露光領域IAはそのスキャン速度VscanでウエハWに対して+Y方向に進むようになる。そして、ウエハステージWSTがスキャン速度−Vscanに到達してから整定時間Tsett経過後、露光領域IAの中心Pが、ショット領域SA2にさしかかるようになると、主制御装置20の制御の下、照明系IOPにより照明光ILの照射が開始され、ショット領域SA1のときと同様にして、ショット領域SA2に対する露光が開始されるようになる。以降、ショット領域SA1を露光した時及び露光した後と同様にして、ショット領域SA2に対する露光とウエハステージWST(すなわち露光領域IA)の加減速制御とが実行され、さらに、ショット領域SA3以降のショット領域SAk(k=3,4,…)の走査露光が継続して行われるようになる。
このようなウエハステージWSTの動作に対し、レチクルステージRSTは、主制御装置20(ステージ制御系)の制御により、ウエハステージWSTに対して同期移動するように制御される。すなわち、ウエハステージWSTがY軸方向(+Y方向又は−Y方向)に対して加速を開始したとき(例えば、露光領域IAの中心Pが点O又は点Bにあるとき)から、レチクルステージRSTは、ウエハステージWSTの移動方向とは反対の方向に、ウエハステージWSTの4倍の速度比で等速同期移動するように制御される。
ウエハステージWSTは、露光が終了した時点(例えば、露光領域IAの中心に点Aがあるとき)から次のショット領域を露光するため、X軸方向に対してステッピング動作を行う必要がある。これに対し、レチクルステージRSTは、次のショット領域を露光する際も、今回のショット領域と同じパターンを逆方向に走査すればよいのでステッピング移動を行なう必要はない。したがって、レチクルステージRSTは、ウエハステージWSTが、露光終了位置(例えば、点A)から、加速開始位置(例えば、点B)に移動するまでは、ウエハステージWSTに同期移動せず、Y軸方向のみの加減速(ショット領域SA1の露光と次のショット領域SA2の露光との間における、−Y方向に関する減速と+Y方向に関する加速)のみを行う。ただし、この場合でも、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTにおいて、それぞれの加減速のタイミングをある程度一致させておかないと、次のショット領域SA2の露光の際にレチクルステージRSTとウエハステージWSTとの同期ずれが発生し、パターンをウエハW上に精度良く転写することができなくなってしまう。そのため、ウエハステージWSTの加速を開始するタイミングと、レチクルステージRSTの加速を開始するタイミングとを一致させることが重要である。
ここで、本第1の実施形態におけるショット領域SA1,ショット領域SA2に対する一連の走査露光でのウエハステージWSTの加減速制御について詳細に説明する。図4(A)には、走査露光中のウエハステージWSTの走査方向(Y軸方向)に関するジャーク(jerk)曲線Jy(t)が実線で示され、非走査方向(X軸方向)に関するジャーク曲線Jx(t)が点線で示されている。ここで、ジャークとは、加速度が変化する割合、すなわち時間による位置の3階微分のことである。
また、図4(B)には、図4(A)に対応するウエハステージWSTの走査方向に関する加速度曲線Ay(t)が実線で示され、非走査方向に関する加速度曲線Ax(t)が点線で示されている。また、図4(C)には、図4(A)及び図4(B)に対応するウエハステージWSTの走査方向に関する速度曲線Vy(t)が実線で示され、非走査方向に関する速度曲線Vx(t)が点線で示されている。また、これら図4(A)〜図4(C)において、横軸は時間tを示す。
上述したように、本第1の実施形態では、ショット領域SA1、ショット領域SA2に対し順次走査露光を行い、その走査露光中には、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを、等速同期移動させて、往復スキャンを行う。このとき、両ステージWST,RSTの高精度な等速同期移動を実現するためには、その等速同期移動前後におけるY軸方向に対する両ステージWST,RSTの加減速を滑らかに行う必要がある。したがって、露光装置100においては、図4(A)に示されるように、ウエハステージWSTのY軸方向に関するジャークを、±Jaを上限下限として、一定の傾きで増減させることにより、加速度が連続的に変化するようにしている。また、ジャークの増減後はジャークの値を0に維持することにより、図4(B)に示されるように加速度(又は減速度)をあるレベル(±Amax)に飽和させ、ウエハステージWSTに対する加速度(又は減速度)を制限している。
図4(C)に示される時点t1は、露光領域IAの中心Pが、図3に示される点Aに到達した時刻を示す。この時点t1から時点t2までの時間が、戻り整定時間Tsettである。図4(C)に示されるように、走査露光終了後の戻り整定時間Tsett中は、前述のように、ウエハステージWSTは、Y軸方向に関してはスキャン速度Vscanでの移動を維持するとともに、X軸方向に関しては一定の傾きでジャークを増加させ、その後一定の傾きで減少させていくジャーク曲線Jx(t)に基づいて、加速度を大きくしながら−X方向への加速移動を開始していく(図4(B)のAx(t)、図4(C)のVx(t)参照)。
そして、その時点t2を経過した後は、ウエハステージWSTは、ジャーク曲線Jy(t)に基づいて一定の傾きでジャークを負の方向に大きくし、Y軸方向の減速度Ay(t)を徐々に大きくしていきながら、減速を開始する。そして、ジャークの値が−Jaに達すると、今度はジャーク曲線Jy(t)に従ってジャークを一定の傾きで小さくし、減速度Ay(t)の傾きを小さくしていき、ジャークの値が0となったところで、ジャークの値をそのまま0に維持し、減速度Ay(t)を−Amaxに飽和させたまま減速を継続する。そして、ウエハステージWSTの減速度Ay(t)をそのまま−Amaxに維持し続けると、ウエハステージWSTの速度Vy(t)は時点t3で0となり、逆方向(−Y方向)への加速を開始するようになる(この場合、維持させている減速度−Amaxは、そのまま逆方向の加速度となる)。そして、一定の加速度(−Amax)での加速を一定時間継続した後、Y軸方向に関する加速度が小さくなるように、一定の傾きでジャークを大きくし、ジャークの値がJaとなり、ウエハステージWSTの加速度Ay(t)が、−Amaxの1/2となると、今度は、一定の傾きでジャークJy(t)を小さくする。そして、ジャークJy(t)が0となり、加速度Ay(t)が0となった時点t4で、ウエハステージWSTのY軸方向に関する移動速度Vy(t)がスキャン速度−Vscanに到達するようになる。一方、X軸方向のステップ移動に関しても、一定の傾きでジャークVx(t)を増減させ、移動速度Vx(t)を単調増加、単調減少させて、少なくとも時点t4までには、ステッピング移動を終了させるようにする。時点t4から整定時間Tsett経過後、そのスキャン速度−Vscanでショット領域SA2に対する露光が行われる。
上述のように、往復スキャン中のウエハステージWSTの反転は、スループットの観点から、最大加速度を維持した状態で行われる。すなわち、ウエハステージWSTの減速が終了するタイミングと、加速を開始するタイミングとが一致した状態で、ウエハステージWSTが反転するようになる。本第1の実施形態では、ウエハステージWSTの速度プロファイルの変更を行うが、ウエハステージWSTの減速が終了するタイミングと、加速を開始するタイミングとは、速度プロファイル変更後も必ず一致させるものとする。
なお、レチクルステージRSTに関する加減速については、Y軸方向に関しては、最大スキャン速度がウエハステージWSTの4倍(±Vscan×4)となるが、そのY軸方向に関する速度曲線は、図4(A)〜図4(C)に示されるジャーク曲線Jy(t)、加速度曲線Ay(t)、速度曲線Vy(t)とほぼ同等の加減速を行う曲線となる(レチクルステージRSTは、ステッピング移動を行わないので、速度曲線Vx(t)に示されるようなX軸方向の速度プロファイルに基づく動作を行わない)。そして、前述したように、ウエハステージWSTが加速を開始するタイミングと、レチクルステージRSTが加速を開始するタイミングとを一致させる必要があるため、レチクルステージRSTの加速開始時点も図4(C)に示される時点t3となっている。
ところで、上述のようなウエハステージWSTの加減速を実現するには、まず、その加減速を行わせるための速度指令プロファイルを生成する必要がある。すなわち、露光装置100では、例えば、図4(C)に示されるような速度プロファイルを示す速度曲線を予め生成しておき、その曲線が示すその時点での速度の値を、ウエハステージWSTの速度指令として、ウエハステージWSTの速度制御を行なうのである。
図5には、主制御装置20内に構成された、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTの制御を行うステージ制御系の機能ブロック図が示されている。この図5は、図1の主制御装置20を構成するマイクロプロセッサにより実行される、種々の制御プログラム(ソフトウェア)によって実現される機能をブロック化して示したものである。なお、図5に示される各構成要素を対応する個々のハードウェアにて構成しても良いことは勿論である。
このステージ制御系は、ウエハステージWSTの速度指令群である速度プロファイルを生成する速度プロファイル生成部51と、ウエハステージWSTを駆動するウエハステージ駆動系に対する指令値を算出して、ウエハステージ駆動系を介してウエハステージWSTを制御するウエハステージ制御部52と、ウエハ干渉計48から得られるウエハステージWSTの位置に基づいて、後述する行列式を用いてレチクルステージRSTの同期位置を演算する同期位置演算部62と、露光終了後から次のショット領域に対する露光のための加速開始までの減速時のレチクルステージRSTの速度指令群である減速プロファイルを生成する減速プロファイル生成部61と、同期位置演算部62の演算結果である同期位置又は減速プロファイル生成部61から出力される速度指令の積分値に基づいてレチクルステージ駆動系への指令値を算出し、レチクルステージ駆動系を介してレチクルステージRSTを制御するレチクルステージ制御部60と、そのレチクルステージ制御部60への入力を切り替える切り替え部76と、ウエハ干渉計48の計測値を監視する監視部78と、を備えている。
これを更に詳述すると、前記速度プロファイル生成部51は、記憶装置88に記憶されている走査露光の速度プロファイルの生成に必要なスキャン速度Vscanや、スキャン長Lscanなどの情報に基づいて、走査露光時のウエハステージWSTに対する速度指令群である図4(C)に示されるVx(t),Vy(t)に対応する速度プロファイルを生成する。そして、速度プロファイル生成部51は、後述する加速開始位置到達信号が入力されると、速度プロファイルから得られる、その時点に対応する速度プロファイルの値を、各軸方向の速度指令(VX,VX,VY,VY)として、サンプリング周期Ts毎に出力する。なお、速度プロファイル生成部51から出力される速度指令の各要素は、ウエハ干渉計48の4つの計測値(WXB,WXM,WYL,WYR)にそれぞれ対応するものである。
この速度指令は、積分器53に入力され、この積分器53による各速度指令の積分値、すなわちウエハステージWSTに対する位置指令(WXB ,WXM ,WYL ,WYR )がサンプリング周期Ts毎に作成され、出力される。この位置指令(WXB ,WXM ,WYL ,WYR )は、減算器73に入力されている。そして、この減算器73には、ウエハ干渉計48から入力されたウエハステージWSTの位置の計測値(現在位置)(WXB,WXM,WYL,WYR)もサンプリング周期Ts毎に入力されており、減算器73は、ウエハステージWSTに対する位置指令(WXB ,WXM ,WYL ,WYR )と現在位置(WXB,WXM,WYL,WYR)との偏差(ΔWXB,ΔWXM,ΔWYL,ΔWYR)をサンプリング周期Ts毎に計算して、出力する。
この減算器73から出力された、ウエハステージWSTに対する位置指令と現在位置との偏差(ΔWXB,ΔWXM,ΔWYL,ΔWYR)は、ウエハステージ制御部52に入力される。前記ウエハステージ制御部52は、例えば、上記入力に基づいて(比例+積分)制御動作を行うPIコントローラ等(いずれも図示せず)によって構成されている。このコントローラの動作により、不図示のウエハステージ駆動系に対する駆動指令が生成され、その駆動指令は、主制御装置20のインタフェースを介して、ウエハステージ駆動系に出力される。この駆動指令に基づいて、ウエハステージ駆動系が、ウエハステージWSTを駆動制御する。
前記同期位置演算部62は、ウエハ干渉計48から得られるウエハステージWSTの現在位置(WXB,WXM,WYL,WYR)に基づいて、次式に示されるような行列式を演算し、その現在位置に対応するレチクルステージRSTの目標値(RX’,RL’,RR’)を、サンプリング周期毎Ts毎に演算し、出力する。
Figure 2005123220
ここで、上記式(1)において、右辺第1項の3行4列の行列は、ウエハ干渉計48の測長軸に関するウエハステージWSTの位置を、その位置に対応するレチクル干渉計40の測長軸に関するレチクルステージRSTの同期位置に変換するための変換係数行列であり、右辺第2項の3行1列の行列はオフセットである。上記式(1)をまとめると次式のようになる。
Figure 2005123220
ここで、Rは、レチクルステージRSTの同期位置の列ベクトルを示し、Aは、3行4列の変換係数行列を示し、Wは、ウエハステージWSTの現在位置の列ベクトルを示し、Bはオフセットの列ベクトルを示す。
一方、前記監視部78は、ウエハ干渉計48から得られるウエハステージWSTの現在位置を監視し、ウエハステージWSTが露光終了位置に到達したか、又は加速開始位置に到達したかを判断している。この監視部78は、ウエハステージWSTが加速開始位置に到達したと判断した場合には、加速開始位置到達信号を出力する。さらに、ウエハステージWSTが露光終了位置に到達したと判断した場合には、露光終了位置到達信号を出力する。
前記監視部78から出力された加速開始位置到達信号及び露光終了位置到達信号は、速度プロファイル生成部51及び減速プロファイル生成部61に出力されている。この減速プロファイル生成部61は、露光終了位置到達信号が入力されてから、次に、加速開始位置到達信号が入力されるまで、予め設定されているスキャン速度等の生成条件に基づいて、レチクルステージRSTの制御に用いられる減速プロファイルを生成し、その時点における減速プロファイルが示す速度指令のサンプリング周期Ts毎の出力を開始する。減速プロファイル生成部61から出力された速度指令は、積分器77で積分され、位置指令となって切り替え部76に入力される。なお、積分器77においては、その積分値の初期値を、その時点での同期位置演算部62から出力される同期位置としている。
前記監視部78から出力された加速開始位置到達信号及び露光終了位置到達信号は、切り替え部76にも入力される。この切り替え部76は、加速開始位置到達信号が入力されると、同期位置演算部62から出力された同期位置が目標位置指令として減算器74に入力されるようにし、露光終了位置到達信号が入力されると、積分器77から出力された位置指令が目標位置指令として減算器74に入力されるようにする。
減算器74には、レチクル干渉計40から得られるレチクルステージRSTの現在位置(RX,RL,RR)もサンプリング周期Ts毎に入力されており、減算器74は、上記目標位置指令と、この現在位置との偏差(ΔRX,ΔRL,ΔRR)を、サンプリング周期Ts毎に出力する。
前記レチクルステージ制御部60は、減算器74により算出された、レチクルステージRSTの目標値(RX’,RL’,RR’)と、現在位置(RX,RL,RR)との偏差(ΔRX,ΔRL,ΔRR)に対し(比例+積分)制御動作を行うPIコントローラ等(いずれも図示せず)によって構成されている。このコントローラの動作により、不図示のレチクルステージ駆動系に対する駆動指令が生成され、主制御装置20のインタフェースを介して、レチクルステージ駆動系に出力される。この駆動指令に基づいて、レチクルステージ駆動系が、レチクルステージRSTを駆動する。
上述したように、本第1の実施形態では、ウエハ干渉計48の計測値を監視する監視部78の制御により、ウエハステージWSTが加速開始位置に到達してから露光終了位置に至るまでは、レチクルステージRSTの制御に用いられるレチクルステージRSTの目標位置指令として、同期位置演算部62から出力された同期位置が用いられる。また、露光終了位置から加速開始位置に到達するまでの間は、その目標位置指令として、減速プロファイル生成部61から出力された速度指令の積分により得られる位置指令が用いられる。これは、前述のように、露光終了位置から、加速開始位置に至るまでの間では、レチクルステージRSTをウエハステージWSTから独立して駆動する必要があるためである。
次に、露光装置100における露光動作の流れについて簡単に説明する。なお、ここでは、ウエハW上への1層目の露光がすでに終了しており、2層目以降の露光を行うものとして説明する。
まず、主制御装置20(図1等参照)の管理の下、不図示のレチクルローダ、ウエハローダによって、レチクルロード、ウエハロードが行われ、不図示のアライメント系を用いて、レチクルアライメント及び前述したアライメント系のベースライン計測等の準備作業が所定の手順で行われる。
その後、主制御装置20により、アライメント系を用いて例えば特開昭61−44429号公報などに開示されるEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)等のウエハアライメントが実行される。このようなアライメントの終了後、以下のようにしてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われる。
図6(A)には、ウエハステージWST上に配置されたウエハWが示されている。まず、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果に基づいて、ウエハステージ駆動系を介してウエハステージWSTを駆動し、図6(A)に示されるようにマトリクス状に配置された区画領域としてのショット領域SAkのうちの、1番目のショット領域(ファーストショット)SA1の露光のための走査開始位置(加速開始位置)にウエハステージWSTを移動させる。そして、不図示のレチクルステージ駆動系及びウエハステージ駆動系を介してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY軸方向の走査を開始し、両ステージWST、RSTがそれぞれスキャン速度に達し、両ステージWST、RSTが等速同期状態に達すると、照明光IL、すなわち紫外パルス光によってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。そして、照明領域IARを、レチクルRのパターン領域がY軸方向に横切って、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上のファーストショットに対する走査露光が完了する。
このようにして、ファーストショットの走査露光が終了すると、ウエハW上のショット領域に対する走査露光動作と、ウエハステージWSTのショット間ステッピング動作(及びこれに並行して行われるレチクルステージRSTの反転動作)とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象となる全てのショット領域にレチクルRの回路パターンがステップ・アンド・スキャン方式で順次転写される。
ところで、図6(A)に示されるように、ウエハW上の前工程のショット領域(図6(A)では、点線で示されている)によって規定されるウエハ座標系と、XY座標系との間には、ウエハステージWST上のウエハWの保持状態によって、若干の回転ずれθrotが生じるようになる。したがって、今回の露光により形成されるショット領域SAkを元工程のショット領域に精度良く重ねあわせるようにするためには、その回転ずれθrotを考慮した露光を行う必要がある。
例えば、図6(B)に示されるように、n番目の露光対象であるショット領域SAnの露光終了位置(ショット領域SAnの+Y側の端部のY位置)と、その次の露光対象であるn+1番目の露光対象であるショット領域SAn+1の露光開始位置(ショット領域SAn+1の+Y側の端部のY位置)は、上記回転ずれθrotにより、LrotだけY軸方向にずれるようになる。また、n+1番目の露光対象であるショット領域SAn+1の露光終了位置(ショット領域SAn+1の−Y側の端部のY位置)と、その次の露光対象であるn+2番目のショット領域SAn+2の露光開始位置(ショット領域SAn+2の−Y側の端部のY位置)とは、上記回転ずれθrotにより、LrotだけY軸方向にずれるようになる。したがって、各ショット領域の露光を行っていく度に、露光開始(終了)位置はLrotだけずれていくようになり、最終的に、同一行における最初の露光対象のショット領域の露光開始位置と、最後の露光対象となるショット領域の露光開始(終了)位置とは、無視することができない程度にずれるようになる。
上述したように、連続して露光対象となるショット領域SAk間のウエハステージWSTの走査方向(Y軸方向)の反転は、減速度(加速度)を維持したまま行なうようにするのが、スループットの観点から望ましいが、上記回転ずれθrotがあった場合には、n番目のショット領域SAnの露光終了位置と、n+1番目のショット領域SAn+1の露光開始位置とのY軸方向に関する位置ずれLrotに伴い、n番目のショット領域SAnの減速終了位置と、n+1番目のショット領域SAn+1の加速開始位置もY軸方向に関してずれてしまうようになるので、減速度(加速度)を維持したままのステージの反転動作が困難となる。
そこで、本第1の実施形態の露光装置100では、図6(B)に示されるように、例えば、ショット領域SAnに対する露光の際にY軸方向にウエハステージWSTがスキャン速度Vscanで移動する等速移動区間を、Lrotだけ延長するようにする。このようにすれば、Y軸方向に関して、ショット領域SAnに対する露光を行う際の減速終了位置と、ショット領域SAn+1に対する露光を行う際の加速開始位置とを一致させることができるので、回転ずれθrotがない場合と同様の加減速が可能となり、減速度(加速度)を維持したままのウエハステージWSTの反転動作が可能となる。
しかしながら、このようにウエハステージWSTのスキャン速度Vscanで移動する区間をLrotだけ増やした場合、図7に示されるように、ウエハステージWSTが減速を開始するタイミングが、そのLrotに対応する時間trotだけ遅れてしまい、ウエハステージWSTが、等速移動区間延長前と同様な減速を行ったとすると、ウエハステージWSTの速度が0となるタイミング(すなわち加速を開始するタイミング)も時間trotだけずれてしまい、レチクルステージRSTの速度が0となるタイミング(加速を開始するタイミング)と一致しなくなる。
一方、n+1番目のショット領域SAn+1の露光終了位置と、n+2番目のショット領域SAn+2の露光開始位置とのY軸方向に関する位置ずれに伴い、n+1番目のショット領域SAn+1の減速終了位置と、n+2番目のショット領域SAn+2の露光開始位置もY軸方向に関してLrotずれてしまうようになる。そこで、本第1の実施形態では、ショット領域SAn+1に対する露光の際にY軸方向にウエハステージWSTがスキャン速度−Vscanで移動する区間を、Lrotだけ短縮するようにする。このようにすれば、Y軸方向に関して、ショット領域SAn+1に対する露光を行う際の減速終了位置と、ショット領域SAn+2に対する露光を行う際の加速開始位置とを一致させることができる。
しかしながら、このようにウエハステージWSTのスキャン速度で移動する区間をLrotだけ短縮した場合、ウエハステージWSTが減速を開始するタイミングが、そのLrotに対応する時間trotだけ速くなってしまい、ウエハステージWSTが、等速移動区間短縮前と同様な減速を行ったとすると、ウエハステージWSTの速度が0となるタイミング(すなわち加速を開始するタイミング)も時間trotだけずれてしまい、レチクルステージRSTの速度が0となるタイミング(加速を開始するタイミング)と一致しなくなる。
ウエハステージWSTと、レチクルステージRSTとの同期ずれを防止するためには、ウエハステージWSTの加速を開始するタイミング(すなわち減速を終了するタイミング)と、レチクルステージRSTとの加速を開始するタイミング(すなわち減速を終了するタイミング)とを一致させる必要がある。そこで、本第1の実施形態では、速度プロファイル生成部51において、ウエハステージWSTの速度指令として用いられる速度プロファイルを生成する場合には、等速移動区間を増減させた場合でも、その速度プロファイルの減速の終了のタイミングを、レチクルステージRSTの速度プロファイルの減速の終了のタイミングに一致させるような条件を求め、その条件に従って、速度プロファイルを生成する。
《速度プロファイルの生成方法》
以下に、速度プロファイルの生成方法について具体的に説明する。図8には、速度プロファイル生成部51において行われる速度プロファイルの生成処理を示すフローチャートが示されている。まず、この速度プロファイルの生成を行う場合の前提として、記憶装置88には、以下の表1に示す各項目の初期設定値が記憶されているものとする。
Figure 2005123220
ここで、ショット長Lshot、ステップ長Lstep、スリット幅Lslit、サンプリング周期Ts、スキャン速度Vscan、整定時間(戻り整定時間)Tsettに関しては、上述したとおりの情報であり、そのウエハWのショットマップや装置パラメータ等としてすでに規定されているものであり、この速度プロファイルの生成処理においては、初期設定値をそのまま用いるものとする。ウエハ回転量θrotに関しては上述のウエハアライメントによって算出されており、記憶装置88に記憶されているものとする。
Ja(k)は、ショット領域SAkに対する露光でのスキャン方向におけるジャークの絶対値の最大値を示し、Amax(k)は、ショット領域SAkに対する露光でのスキャン方向における最大加速度(絶対値)を示す。ta(k)は、ショット領域SAkに対する露光でのジャークが一定の傾きで変化するジャーク変化時間を示し、ts(k)は、ショット領域SAkに対する露光での加速度が飽和する加速度飽和時間を示す。図9(A)〜図9(C)には、ショット領域SAnに対する露光での減速時間Tdec(n)と、ショット領域SAn+1に対する露光での加速時間Tacc(n+1)の初期設定値を用いて速度プロファイルを生成したときに得られる、ウエハステージWST反転時のジャーク曲線と、加速度曲線と、速度曲線とがそれぞれ示されている。図9(A)〜図9(C)に示される期間は、例えば、n=1の場合には、図4(A)〜図4(C)の時点t1〜t4付近に対応している。図9(A)〜図9(C)に示されるように、減速時間Tdec(n)は、ジャーク変化時間ta(n)と、加速度飽和時間ts(n)とに分けることができ、加速時間Tacc(n+1)は、ジャーク変化時間ta(n+1)と、加速度飽和時間ts(n+1)とに分けることができる。また、初期設定では、減速時間Tdec(n)と加速時間Tacc(n)とは等しくなっているものとする。
本第1の実施形態では、ウエハ回転量θrotに伴いショット領域SAkに対する露光での等速区間がLrotだけ増減した場合に、ウエハステージWSTの減速を終了するタイミングを、レチクルステージRSTの減速を終了するタイミングに一致させるべく、減速時間Tdec(k)の値、すなわちジャーク変化時間ta(k)の値と、加速度飽和時間ts(k)の値を調整する。
すなわち、本第1の実施形態では、ジャーク変化時間ta(k)、加速度飽和時間ts(k)の値を、初期設定値から変更することにより、ウエハステージWSTに対する速度指令群である速度プロファイルを、所定の速度プロファイルから、ウエハ回転量θrotに伴う等速区間の増減量Lrotに対応する速度プロファイルに変更する。
まず、ステップ701において、記憶装置88から上記表1の各項目の初期設定値を読み込む。そして、ステップ703において、ショット領域SAnを露光する際の等速移動区間の長さをLrotだけ増加させた場合にサンプルずれが発生したか否かを判断する。ここで、サンプルずれとは、ウエハステージWSTが等速移動区間にある間における、図5に示されるステージ制御系におけるサンプリング回数(以下、「サンプリング数」という)が増減することである。
ここで、等速移動区間の長さの増減とサンプリング数の増減との関係について説明する。図10には、等速移動区間とサンプリング数との相関関係が模式的に示されている。まず、等速移動区間の長さを増減させる前の等速移動区間の長さLscan_wo_rotは、図10に示されるように、Y軸方向に関するショット長Lshotと、Y軸方向に関する露光領域IAの幅(スリット長)Lslitと、整定時間Tsett及び戻り整定時間Tsett中にウエハステージWSTが移動する距離との和であるため、次式で表される。
Figure 2005123220
したがって、増減前の等速移動区間の長さLscan_wo_rotから、その等速移動区間Lscan_wo_rotに対応するサンプリング数Nscan_wo_rotは、次式のように表される。
Figure 2005123220
なお、fix(*)は、零方向への丸めを意味する。上記式(4)のように、等速移動区間Lscan_wo_rotから、1サンプリング間にウエハステージWSTが進む距離Vscan・Tsを除算することによって得られる値に0.5を加算するのは、丸め誤差を最小とするためである。図10には、このサンプリング数Nscan_wo_rotと等速移動区間Lscan_wo_rot等との関係の一例が示されている。
ここで、Lrotだけ等速移動区間を増減させたとする。このときの等速移動区間に要するサンプリング数Nscanは、次式のようになる。
Figure 2005123220
図10には、サンプリング数Nscanの一例が示されている。
等速移動区間を増減させたことによるサンプリング数の変化Nrotは、次式で表される。
Figure 2005123220
図10には、増減前の等速移動区間のサンプリング数Nscan_wo_rotと、増減後の等速移動区間のサンプリング数Nscanとの関係の一例が示されている。なお、Nrot=0となる条件式は次式で表される。
Figure 2005123220
したがって、等速移動区間の増減によるサンプルずれが発生しない場合の等速移動区間の増減量Lrotの範囲は、次式で示される。
Figure 2005123220
図10には、上記式(8)から得られる下限値Lrot_lowerと、上限値Lrot_upperとが模式的に示されている。
一方、ウエハ回転量θrotと、それに伴う等速移動区間の増減量Lrotとのステップ長Lstepとの関係は、次式のように表される(図6(B)参照)。
Figure 2005123220
したがって、サンプルずれが発生しない、すなわちNrot=0となるウエハ回転量θrotの範囲は、次式で表される。
Figure 2005123220
図8に戻り、ステップ703では、ウエハ回転量θrotが上記式(10)に示される範囲に入っているか否かを算出し、等速移動区間の増減によりサンプルずれが発生するか否かを判断する。この判断が肯定されれば、ステップ705に進み、否定されれば、ステップ717に進む。
ステップ717では、予め設定されている上記表1の各項目の初期設定値の下で、速度プロファイルを生成する。ステップ717終了後は、処理を終了する。
すなわち、本第1の実施形態では、上記表1の各項目の初期設定値によって、すでにウエハステージWSTに対するデフォルトの速度プロファイルが仮に決定されているとみなすことができ、ウエハ回転量θrotにより、等速移動区間におけるサンプルずれが発生する場合には、後述するステップ705〜ステップ715により、その決定されている速度プロファイルを変更する。
ステップ705では、上記式(6)を計算してサンプルずれ量Nrotを算出する。図9(C)に示されるショット領域SAnに対する露光の減速期間Tdec(n)は、前述のように、ジャークの絶対値が一定の傾きで大きくなるジャーク変化時間ta(n)と、ジャークの絶対値が一定の傾きで小さくなるジャーク変化時間ta(n)と、ジャークの値が0で維持される加速度飽和時間ts(n)とに分けることができる。また、ショット領域SAn+1に対する露光の加速期間Tacc(n+1)は、ジャークの絶対値が一定の傾きで大きくなるジャーク変化時間ta(n+1)と、ジャークの絶対値が一定の傾きで小さくなるジャーク変化時間ta(n+1)と、ジャークの値が0で維持される加速度飽和時間ts(n+1)とに分けることができる。したがって、n番目のショット領域SAnに対する露光での減速時間Tdec(n)と、n+1番目のショット領域SAn+1に対する露光での加速時間Tacc(n+1)は、次式で表される。
Figure 2005123220
通常、ウエハステージWSTに対する速度指令として用いられる速度プロファイルを生成する際には、すべてのショット領域において加速時間Tacc(n)の初期設定値と減速時間Tdec(n)の初期設定値とを一致させている。そのため、n番目のショット領域SAnの減速時間Tdec(n)の初期設定値と、n+1番目のショット領域SAn+1の加速時間Tacc(n+1)の初期設定値とは一致している。
しかしながら、本第1の実施形態では、サンプルずれ(Nrot≠0)があった場合には、そのサンプルずれ分だけ減速時間Tdec(n)を増減させる。このようにすれば、等速移動区間が、サンプルずれ分だけ増減しても、そのサンプルずれを、減速時間Tdec(n)を増減させることによりキャンセルすることができるので、ウエハステージWSTの減速が終了するタイミングを、初期設定のままで生成された速度プロファイルにおいて、レチクルステージRSTの減速が終了するタイミングと一致させることができる。すなわち、本第1の実施形態では、n番目のショット領域SAnの減速時間Tdec(n)を、次式で表すものとする。
Figure 2005123220
上記式(12)を、上記式(11)を用いて変形すると、次式のようになる。
Figure 2005123220
また、n番目のショット領域SAnに対する露光後の減速区間、n+1番目のショット領域SAn+1に対する露光前の加速区間における最高速度Vmax(n)、Vmax(n+1)は、次式で表される。
Figure 2005123220
各ショット領域SAk(k=1、2…)のスキャン速度Vmax(k)及び最高加速度Amax(k)はそれぞれ等しいので、上記式(14)に基づいて次式が成立する。
Figure 2005123220
ここで、ジャーク変化時間ta(n),加速度飽和時間ts(n),ジャーク変化時間ta(n+1),加速度飽和時間ts(n+1)を、それぞれサンプリング周期Tsを用いて表現すると、次式のようになる。
Figure 2005123220
ここで、na(n)、na(n+1)は、ジャーク変化時間ta(n)、ta(n+1)にそれぞれ対応するサンプリング数であり、ns(n)、ns(n+1)は、加速度飽和時間ts(n)、ts(n+1)にそれぞれ対応するサンプリング数である。また、上記式(16)の関係から、上記式(15)を次式のように変形することができる。
Figure 2005123220
さらに、上記式(17)を変形すると、各サンプリング数の間には、次式に示されるような関係があることがわかる。
Figure 2005123220
この関係を時間で表すと、次式のようになる。
Figure 2005123220
したがって、上記式(19)を満足するような各時間に基づいて、速度プロファイルを生成するようにすれば、ウエハステージWSTの減速を終了するタイミングと、レチクルステージRSTの減速を終了するタイミングとを一致させることができるようになる。
そこで、次のステップ707では、上記式(19)を計算して、ジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)を算出し、ステップ709では、算出された時間に基づいて速度プロファイルを生成する。
しかしながら、上述のようにジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)を初期設定値から変更してしまうと、減速に要する区間の長さ、すなわち減速距離が変化してしまう。図11には、ジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)を初期設定値としたときに生成される速度プロファイルの一部の減速曲線(実線)と、調整後のジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)を用いて生成される速度プロファイルの一部の減速曲線(点線)の一例が示されている。図11では、各速度曲線の時間積分である斜線で示される部分の面積が、それぞれ、ジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)を初期設定値としたときに生成される速度プロファイルにおける減速距離と、調整後のジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)を用いて生成される速度プロファイルにおける減速距離である。図11に示されるように、両者の面積は、異なっている。ウエハステージWSTの減速が終了する位置と、加速を開始する位置とを一致させるためには、調整後の速度プロファイルにおける減速距離を、ジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)を初期設定値での減速距離に一致させる必要がある。
そこで、本第1の実施形態では、以下の処理においては、ジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)の初期設定値に対する減速距離と、ジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)調整後の減速距離とのずれを算出し、そのずれがキャンセルされるように上記ステップ709で生成された速度プロファイルを補正するための補正速度プロファイルを生成する。
まず、ステップ711において、初期設定値におけるジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)に基づいて生成された速度プロファイルの減速距離Pd(n)と、調整後のジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)に基づく速度プロファイルでの減速距離Pd_crrct(n)とのずれを算出する。
初期設定値のジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)の下での速度プロファイルにおける減速に要する減速距離Pd(n)は、n+1番目のショット領域SAn+1に対する露光での加速に要する区間の距離Pa(n+1)に等しい。その距離Pa(n+1)と、調整後のジャーク変化時間ta(n)及び加速度飽和時間ts(n)の下での速度プロファイルにおける減速距離Pd_crrct(n)とは、次式のように定義することができる。
Figure 2005123220
上記式(20)より、変更された速度プロファイルにおける減速距離Pd_crrct(n)は、次式のように変形することができる。
Figure 2005123220
以上のことから、減速時間Tdec(n)を調整したときの位置ずれ量Lcrrctは、次式のようになる。
Figure 2005123220
また、位置ずれ量Lcrrctに関する上記式(22)を、次式のように変形することができる。
Figure 2005123220
そこで、ステップ711では、上記式(23)を計算して、位置ずれ量Lcrrctを算出する。
次のステップ713では、算出された位置ずれ量Lcrrctに基づいて、その位置ずれ量Lcrrctをキャンセルするために上記ステップ709で生成された速度プロファイルを補正する補正速度プロファイルを生成する。
位置ずれ量Lcrrctをキャンセルするための補正速度プロファイルとしては、種々の加減速パターンの速度プロファイルを適用することができるが、図12(A)〜図12(C)には、本第1の実施形態に適用可能な補正速度プロファイルに対応するジャーク曲線、そのジャーク曲線に対応する加速度曲線、その加速度曲線に対応する速度曲線の一例がそれぞれ示されている。
図12(A)に示されるように、この補正速度プロファイルにおいては、一定の傾きのジャークの下での加減速を行う。すなわち、最初の時点0から時点tc(k)の間では、一定の傾きでジャークを大きくし、時点tc(k)から時点2tc(k)の間は、ジャークの値が0となるまで、一定の傾きでジャークを小さくする。そして、続く時点2tc(k)から時点3tc(k)の間でも、引き続き一定の傾きでジャークを小さくし、その後の時点3tc(k)から時点4tc(k)までの間は、ジャークの値が0となるまで、一定の傾きでジャークを大きくする。以降、時点4tc(k)〜時点8tc(k)では、時点0〜時点4tc(k)とは全く逆のジャークの増減を行う。なお、ジャークの一定の傾きをdJc(k)とすると、ジャークの最大値の絶対値Jc(k)は次式で表される。
Figure 2005123220
ジャーク曲線が図12(A)に示されるようであると、その加速度曲線は、図12(B)に示されるようになる。すなわち、時点0〜時点2tc(k)の間では、加速度は大きくなり、時点2tc(k)で最大値Acmax(k)に達し、時点2tc(k)〜時点4tc(k)の間では、加速度が減少し、時点4tc(k)で、0となる。そして、時点4tc(k)〜時点6tc(k)の間で、負の加速度(減速度)は大きくなり、時点6tc(k)で最大値に達し、時点6tc(k)〜時点8tc(k)の間で、減速度が減少し、時点8tc(k)で0となる。なお、補正速度プロファイルにおける加速度の最大値Acmax(k)は次式のように表される。
Figure 2005123220
加速度曲線が図12(B)に示されるようであると、その速度曲線は、図12(C)に示されるようになる。すなわち、時点0〜時点4tc(k)の間で、速度は大きくなり、時点4tc(k)でVcmax(k)に達し、時点4tc(k)〜時点8tc(k)の間で、速度は減少し、時点8tc(k)で0となる。なお、最大値Vcmax(k)は次式で表される。
Figure 2005123220
結果的に、この補正速度プロファイルにおける移動量Lc(k)は、次式のようになる。
Figure 2005123220
したがって、この移動量Lc(k)に、位置ずれ量Lcrrct(k)を対応させれば、位置ずれ量Lcrrct(k)をキャンセルする補正速度プロファイルを生成する条件を決定することができる。すなわち、次式を解くことによって、位置ずれ量Lcrrctをキャンセルするためのジャークの傾きdJを求めることができる。
Figure 2005123220
なお、位置ずれ量Lcrrct(k)が負であった場合には、図12(A)〜図12(C)に示されるジャーク曲線、加速度曲線、速度曲線は、すべて正負が逆となることはいうまでもない。
ところで、上記式(28)を計算するためには、補正速度プロファイルにおける加減速単位時間tc(k)を決定する必要がある。補正速度プロファイルによる補正が可能なのは、露光終了後の戻り整定時間Tsett及び減速時間Tdec(n)内に限られるため、補正速度プロファイルの時間8tc(k)が、それらの時間内に入るようにすることを条件としなければならない。補正速度プロファイルにより速度補正をする期間を(戻り整定時間Tsett+減速時間Tdec(n))内で終了させるためには、その補正速度プロファイルにおける時間tc(n)に対応するサンプリング数nc(n)を、以下のように設定する必要がある。
Figure 2005123220
ここで、nsett(n)は、整定時間Tsettに対応するショット領域SAnでのサンプリング数であり、ndec(n)は、ショット領域SAnに対する露光後の減速時間tdec(n)に対応するサンプリング数である。サンプリング数は、0以上の整数であるから、上記式(29)を展開すると、次式が得られる。
Figure 2005123220
上記式(30)を8・nc(n)に対する不等式として展開すると、次式のようになる。
Figure 2005123220
8・nc(n)をncend(n)とすると、上記式(31)を、次式のように変換することができる。
Figure 2005123220
ここで、ns(n)≧9であれば、次式の不等式が導かれる。
Figure 2005123220
この不等式は、補正速度プロファイルによる速度補正が終了する時点が、加速度がすでに飽和している時点となることを示している。さらに、ns(n)≧9+4nc(n)であれば、次式の不等式が導かれる。
Figure 2005123220
この不等式は、減速プロファイルが最大加速度(絶対値Amax(n))へ到達した後に補正速度プロファイルの半分が終了することを表す。そこで、ステップ713においては、上記式(33)又は式(34)の条件が満たされる場合には、速度プロファイルと補正速度プロファイルとの合成の結果得られる速度プロファイルによる速度制御が最大加速度を超えないように補正速度プロファイルを再調整する必要がある。
次のステップ715では、上記ステップ709で生成した速度プロファイルに、上記ステップ713で生成した補正速度プロファイルを合成する。このとき、補正速度プロファイルにおける補正開始時点が、速度プロファイルにおける露光終了時点と一致するように、両プロファイルが合成される。このように合成された速度プロファイルに対応する速度曲線の一例を図13に示す。図13に示される例では、初期設定値での速度プロファイルに対応する速度曲線が一点鎖線で示され、調整後の速度プロファイルに対応する速度曲線が点線で示され、合成後の速度プロファイルに対応する速度曲線が実線で示されている。この実線の速度曲線と、点線の速度曲線との差が、補正速度プロファイルに対応する。ステップ715終了後は、処理を終了する。
以上述べたような速度プロファイル生成部51の動作により、ショット領域SAnを露光する際の速度プロファイルが生成されるが、この動作は、少なくともショット領域SAnに対する露光が行われる前に実行されることはいうまでもない。
そして、速度プロファイル生成部51は、ウエハステージWSTがショット領域SAnに対する加速開始位置に到達し、加速開始位置到達信号が入力されると、上記ステップ715において生成された速度プロファイルに基づいて速度指令をサンプリング周期Ts毎に出力していく。そして、図5に示されるステージ制御系の各部の動作によって、ウエハステージWST及びレチクルステージRSTが駆動され、ショット領域SAnに対する走査露光が実現される。
これまでの説明から明らかなように、本第1の実施形態では、主制御装置20のCPUが行う、ステップ705〜ステップ709(図8)が第1ステップに対応し、ステップ711〜ステップ715(図8)が第2ステップに対応している。
以上詳細に述べたように、本第1の実施形態によれば、各ショット領域の往復スキャン中に、ウエハステージWSTの減速を終了する位置と加速を開始する位置との間にずれが生じる場合には、その減速が終了するタイミングと加速を開始するタイミングとが一致するようにウエハステージWSTの速度プロファイルが変更される。そして、変更された速度プロファイルにおける減速距離と、初期設定での速度プロファイルにおける距離のずれがキャンセルされるように補正速度プロファイルが生成され、ウエハステージWSTの速度プロファイルがその補正速度プロファイルを用いて補正される。このようにすれば、両ステージWST,RSTの加速を開始するタイミングが常に一致するようになるので、両ステージWST,RSTの同期ずれを防止することができるようになり、両ステージWST,RSTを高精度に制御することができる。
なお、本第1の実施形態では、図面及び本文中の説明が、Lrot>0である場合についてのものであったが、当然Lrot<0の場合についても、速度プロファイル生成部51において、図8に示される処理が実行されて速度プロファイルにおける減速時間が変更され、両ステージWST,RSTの加速を開始するタイミングが常に一致するようになることはいうまでもない。
また、本第1の実施形態では、補正速度プロファイルに対応する速度曲線を、図12(C)に示されるような曲線としたが、これに限らず、最大加速度が所定値以内の滑らかな加減速が可能な曲線であれば、どのような曲線を用いても良い。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態を、図14に基づいて説明する。この第2の実施形態に係る露光装置は、主制御装置20内のステージ制御系の構成及び動作が前述の第1の実施形態と相違するのみである。従って、以下においては、重複説明を避ける観点から上記の相違点を中心に説明する。また、同様の趣旨から同一若しくは同等の構成部分について同一の符号を用いるとともに、その説明を省略するものとする。
図14には、本第2の実施形態における主制御装置20のステージ制御系の構成が示されている。図14に示されるように、本第2の実施形態における主制御装置20は、同期位置演算部62の代わりに同期位置演算部62’を備えている点と、減速プロファイル生成部61と、積分器77と、切り替え部76とを備えていない点と、監視部63から出力される信号が同期位置演算部62’に入力されている点とが、上記第1の実施形態の主制御装置20のステージ制御系と異なっている。
監視部78は、上記第1の実施形態と同様に、ウエハ干渉計48の計測値を監視することにより、同期位置演算部62’及び速度プロファイル生成部51に対して、ウエハステージWSTが露光終了位置に到達したときには、露光終了位置到達信号を出力し、加速開始位置に到達したときには、加速開始位置到達信号を出力している。
同期位置演算部62’は、監視部78から、加速開始位置到達信号が送られてから、次に露光終了位置到達信号が送られてくる間は、上記式(1)を用いて(すなわちベクタA,Bを用いて)同期位置を算出している。しかしながら、監視部78から露光終了位置到達信号が送られてきたときには、次式を用いて同期位置を算出する。
Figure 2005123220
上記式(35)において、右辺第1項の3行4列の行列は、上記式(1)と同様に、ウエハ干渉計48の測長軸に関するウエハステージWSTの位置を、その位置に対応するレチクル干渉計40の測長軸に関するレチクルステージRSTの同期位置に変換するための変換係数行列であり、オフセットの各要素は、時間の関数となっている。Bx_1(t)において、Bx_1は、上記式(1)のオフセット(定数)であり、Wx[i]は、露光終了開始時点からiサンプリング目のウエハステージWSTのX軸方向に関するトラジェクトリを示す。
図15(A)に示されるように、このトラジェクトリWx[i]は、そのサンプリング時点i(i=0、1、2、…)における、ウエハステージWSTのX軸方向に関するステッピングによる推定移動距離である。図15(B)には、図15(A)に対応するウエハステージWSTの減速時のY軸方向に関する速度曲線(細い実線)、X軸方向に関する速度曲線(一点鎖線)とともに、ウエハステージWSTのX軸方向に関する変位が太い実線で示されている。図15(B)に示されるように、トラジェクトリWx[i]は、その時点tに対応するウエハステージWSTのステッピング前の位置を基準とするi番目のサンプリングでの変位に対応するものである。したがって、上記式(35)を用いて同期位置を算出するようにすれば、同期位置演算部62’におけるレチクルステージRSTの同期位置から、ウエハステージWSTのX軸方向に関するステップ移動に伴う成分をキャンセルすることができるようになる。
なお、Bl_1(t)、Br_1(t)において、Bl_1、Br_1は、それぞれ上記式(1)のオフセット(定数)であり、Lrotは、図15(A)に示されるように、上記第1の実施形態と同様に、ウエハ回転量θrotに伴う隣接するショット領域のY軸方向に関する位置ずれを示す。また、weightは重みであり、露光終了時点では0とし、その後サンプリング周期毎にその値が一定の割合で増加し、ウエハステージWSTのY軸方向に関する減速が終了する時点で1となるように設定される。オフセットをBl_1(t)、Br_1(t)とすることにより、ウエハ回転量θrotに伴うサンプルずれが発生しても、レチクルステージRSTをウエハステージWSTに常時同期させることが可能となる。
ところで、トラジェクトリWx[i]は、ステップ長Lstepにおいて、その値などが異なる。露光装置100においては、ステップ長Lstepが最大値LmaxであるときのトラジェクトリWx[i](i=1、2、3…)の値だけが記憶装置88に記憶されており、同期位置演算部62’は、実際のステップ長LstepにおけるトラジェクトリWx[i]を、ステップ長Lstepが最大値LmaxであるときのトラジェクトリWx[i](これをWx’[i]とする)から生成する。具体的には、次式を用いてWx[i]を算出する。

Figure 2005123220
ただし、j、Inc[j]、Off[j]は、次式で表される。
Figure 2005123220
すなわち、jは、サンプリングカウント数である。Inc[j]は、j番目のサンプリングにおけるWx’[i]の傾きを示し、Off[j]は、j番目のサンプリングにおけるWx’[i]の切片を示す。本第2の実施形態において、ウエハステージWSTのX軸方向に関する移動に関しては、図15(B)にも示されるように、速度が時間の2次関数となっているため、結果的に、時間は、距離の3乗根に比例するようになる。したがって、時間の次元を有するサンプリングカウント数は、移動距離の比(Lstep/Lmax)の3乗根に比例する。また、Inc[j]は、サンプル間の変化率を示し、速度の次元を有するため、時間の二乗に比例する。また、Off[j]は、距離の次元を有するため、移動距離の比(Lstep/Lmax)に比例する。以上のことから上記式(36)が得られ、上記式(36)を用いれば、ステップ長LstepがLmaxでなかったときの終了時間TendまでのWx[i]を求めることができる。なお、終了時間Tendは、ステップ長(Lstep)が最大(Lmax)であったときの終了時間をTend_maxとした場合に、次式で表される。
Figure 2005123220
さらに、監視部78から、加速開始位置到達信号が送られてくると、同期位置演算部62’は、一定の期間だけ、次式を用いて同期位置の演算を行う。
Figure 2005123220
上記式(39)においても、右辺第1項の3行4列の行列は、ウエハ干渉計48の測長軸に関するウエハステージWSTの位置を、その位置に対応するレチクル干渉計40の測長軸に関するレチクルステージRSTの同期位置に変換するための変換係数行列であり、オフセットの各要素が、時間の関数となっている。Bx_2(t)、Bl_2(t)、Br_2(t)において、Bx_2、Bl_2、Br_2は、ショット領域SAn+1の中心位置と、レチクルRの中心位置とのオフセット(定数)となっている。また、Bx_1F、Bl_1F、Br_1Fは、加速開始時点直前に用いられた上記式(35)におけるBx_1(t)、Bl_1(t)、Br_1(t)の値を示す。weightは、重みであり、ウエハステージWSTの加速開始時点では0とし、その後サンプリング周期Ts毎に一定の割合で値が増加し、一定の期間経過後に1となるように設定される。
一定の期間経過後、ショット領域SAn+1の露光が終了するまでは、同期位置演算部62’は、再び、同期位置の演算式を上記式(1)に置き換える。ただし、この場合、オフセットの項として、(Bx_1、Bl_1、Br_1)の代わりに、(Bx_2、Bl_2、Br_2)を用いるものとする。
このようにすれば、レチクルステージRSTは、ウエハステージWSTが走査露光中及びステップ移動中であるかにかかわらず、ウエハステージWSTの実際の位置に常時同期させる形で、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTとの同期移動を実現することができるようになるため、高精度な走査露光を実現することができるようになる。
これまでの説明から明らかなように、本第2の実施形態では、主制御装置20がステージ制御装置に対応している。すなわち、ウエハステージ制御部52が第1制御系に対応しており、同期位置演算部62’が目標位置作成装置に対応しており、レチクルステージ制御部60が第2制御系に対応している。
以上詳細に述べたように、本第2の実施形態によれば、同期位置演算部62’は、ウエハステージWSTをX軸方向に移動させている間には、ウエハ干渉計48の計測値と、ウエハステージWSTのX軸方向に関する推定位置(トラジェクトリWx[i]によって推定される位置)とに基づいて、レチクルステージRSTを制御する際のX軸方向及びY軸方向に関する目標位置を作成している。すなわち、例えば、ウエハステージWSTのX軸方向に関する移動距離(トラジェクトリWx[i])に対応する距離(W[i]・4)をウエハX干渉計48Xの計測値(WXB,WXM)からキャンセルするようにすると、レチクルステージRSTは、そのウエハステージWSTのX軸方向に関する上記ステッピング移動に対しては不感となる。このようにすれば、ウエハステージWSTがスキャン方向であるY軸方向以外に移動する場合であっても、レチクルステージRSTをウエハステージWSTに常時同期させた状態で、両ステージWST,RSTの複数の等速同期移動(往復スキャン)を実現することが可能となるので、両ステージWST,RSTを高精度に制御することが可能となる。
なお、上記第2の実施形態では、同期位置演算部62’の同期位置演算式を上述したように適宜変更して、レチクルステージRSTがウエハステージWSTに所定方向に関して常に同期させることを可能とした。このように、同期位置演算部62’の同期位置演算式を変更することにより、レチクルステージRSTやウエハステージWSTに対するフレキシブルなステージ制御が可能となる。
例えば、ウエハステージWSTを所定の位置に位置決めしたまま、レチクルステージRSTをY軸方向に走査させたい場合には、同期位置演算部62’が用いる同期演算式を次式のようにすれば良い。
Figure 2005123220
ここで、Ytは、レチクルステージRSTの目標プロファイル位置であり、Y0は、プロファイル開始時のレチクルステージRSTの位置であり、Rceは、レチクル中心位置である。すなわち、実際には、ウエハステージWSTを所定の位置に位置決めしておいたとしても、Ytを、レチクルステージRSTを走査したときの仮想的なY位置として随時変化させていけば、同期位置演算部62’は、あたかも走査しているかのようなウエハステージWSTのY位置を生成し、そのY位置に対するレチクルステージRSTの同期位置を算出するようになる。このようにすれば、レチクルステージRSTは、Ytの変化によるウエハステージWSTの仮想的なY軸方向の移動(すなわちYtの変化)に同期して移動するようになり、外乱などの要因により若干変動するウエハステージWSTの変位に対してレチクルステージRSTを同期させたままの状態で、レチクルステージRSTだけのY軸方向の走査が可能となる。なお、この場合、レチクルステージRSTの走査が行われているときでも、外乱などの要因により、ウエハステージWSTの実際の位置が変動すれば、レチクルステージRSTは、その変動に追従するように動作することはいうまでもない。
また、レチクルステージRSTを所定の位置に位置決めしたまま、ウエハステージWSTをY軸方向に走査させたい場合には、同期位置演算部62’は、次式を用いて同期位置を演算するようにすれば良い。
Figure 2005123220
すなわち、実際には、ウエハステージWSTをY軸方向に移動させて、ウエハY干渉計48Yの計測値(WYL、WYR)が変化しても、Ytとして、その走査を行うときの例えばレチクルステージRSTの軌跡(トラジェクトリ)に沿った値を随時入力していけば、同期位置演算部62’は、ウエハステージWSTのY位置があたかも動いていないかのような同期位置を算出するようになる。このようにすれば、レチクルステージRSTは、ウエハステージWSTの実際のY軸方向の移動にかかわらず、Y軸方向にほぼ静止するようになり、ウエハステージWSTだけをY方向に走査することができるようになる。なお、このときでも、外乱などの要因により、ウエハステージWSTの実際のY位置とトラジェクトリに対応する位置に偏差が生じれば、レチクルステージRSTは、その偏差に追従するように動作することはいうまでもない。
なお、上記式(40)、式(41)は、次式のようにまとめることができる。
Figure 2005123220
ここで、flag=1とすれば、上記式(42)は式(40)となり、flag=−1とすれば、上記式(42)は式(41)となる。このように、flagの値を切り替えるだけで、レチクルステージRSTのみの走査やウエハステージWSTのみの走査が可能となる。
また、上記各実施形態では、レチクルステージRSTをウエハステージWSTに追従させようなステージ制御系について説明したが、ウエハステージWSTをレチクルステージRSTに追従させるステージ制御系に本発明を適用することも勿論可能である。
また、上記各実施形態では、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTとを相互に逆向きに相対走査する場合について説明したが、これに限らず、投影光学系として正立像を投影する光学系を用い、あるいは投影光学系を用いることなく、ウエハステージWSTとレチクルステージRSTとを同じ向きに同期して走査する走査露光装置にも本発明を適用可能である。
なお、上記各実施形態では、照明光ILとしては、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)等の近紫外光(遠紫外光)、あるいはF2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(g線、i線等)などを用いるものとしたが、これに限らずAr2レーザ光(波長126nm)などの他の真空紫外光を用いても良い。また、例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。ところで、露光装置のレチクルステージあるいはウエハステージとして、粗動ステージと微動ステージとで構成されるステージ(以下、「粗微動型ステージ」という)が知られている。この場合、微動ステージは、レチクル又はウエハを保持すると共に、比較的短いストロークで移動可能であるが、その位置制御性(位置決め精度を含む)は高精度かつ高応答性となるように構成される。また、粗動ステージは、微動ステージを比較的長い距離に渡って移動させることができるように構成される。本発明は、このような粗微動型ステージを有する露光装置においても適用することができる。この場合、上記各実施形態におけるレチクルステージRSTは、レチクルを保持するレチクル微動ステージに対応するように、また、上記各実施形態におけるウエハステージWSTは、ウエハを保持するウエハ微動ステージに対応するよう設定すればよい。
なお、複数のレンズから構成される照明光学系、投影光学系を露光装置本体に組み込み、光学調整をするとともに、多数の機械部品からなるレチクルステージやウエハステージを露光装置本体に取り付けて配線や配管を接続し、更に総合調整(電気調整、動作確認等)をすることにより、上記実施形態の露光装置を製造することができる。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
また、上記各実施形態では、本発明が半導体製造用の露光装置に適用された場合について説明したが、これに限らず、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、薄膜磁気へッド、撮像素子、マイクロマシン、DNAチップなどを製造するための露光装置などにも本発明は広く適用できる。
また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。
《デバイス製造方法》
次に、上述した露光装置100をリソグラフィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
図16には、デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートが示されている。図16に示されるように、まず、ステップ201(設計ステップ)において、デバイスの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップ202(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ203(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップ204(ウエハ処理ステップ)において、ステップ201〜ステップ203で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップ205(デバイス組立てステップ)において、ステップ204で処理されたウエハを用いてデバイス組立てを行う。このステップ205には、ダイシング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
最後に、ステップ206(検査ステップ)において、ステップ205で作成されたデバイスの動作確認テスト、耐久テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
図17には、半導体デバイスにおける、上記ステップ204の詳細なフロー例が示されている。図17において、ステップ211(酸化ステップ)においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ212(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップ213(電極形成ステップ)においてはウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ214(イオン打ち込みステップ)においてはウエハにイオンを打ち込む。以上のステップ211〜ステップ214それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、上述の前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ215(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光剤を塗布する。引き続き、ステップ216(露光ステップ)において、上記実施形態の露光装置100を用いてマスクの回路パターンをウエハに転写する。次に、ステップ217(現像ステップ)においては露光されたウエハを現像し、ステップ218(エッチングステップ)において、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ステップ219(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらの前処理工程と後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
以上説明した本実施形態のデバイス製造方法を用いれば、露光工程(ステップ216)において上記実施形態の露光装置100が用いられるので、高精度な露光を実現することができる。この結果、より高集積度のデバイスを生産することが可能になる。
以上説明したように、本発明に係るステージ制御方法は、所定の速度プロファイルに基づいて2つのステージを所定方向に沿って等速同期移動させるのに適しており、本発明の露光方法は、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程に適しており、本発明に係るステージ制御装置は、2つのステージを等速同期移動させるのに適しており、本発明の露光装置は、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程に適しており、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
本発明の第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的に示す図である。 図2(A)は、図1の露光装置を構成するレチクルステージの概略平面図であり、図2(B)は、ウエハステージの概略平面図である。 本発明の第1の実施形態の露光装置でウエハW上の複数のショット領域に対する露光を行う際の照明スリット中心の移動軌跡を示す図である。 図4(A)は、露光動作における、ウエハステージのジャーク曲線を示す図、図4(B)は露光動作におけるウエハステージの加速度曲線を示す図、図4(C)は、露光動作におけるウエハステージの速度曲線を示す図である。 本発明の第1の実施形態の露光装置における主制御装置内のステージ制御系を示すブロック図である。 図6(A)は、ウエハステージ上に保持されたウエハを示す平面図であり、図6(B)は、ウエハ回転ずれによる露光領域の移動軌跡の変化を示す図である。 レチクルステージとウエハステージとの減速の様子を示す図である。 速度プロファイル生成部の処理を示すフローチャートである。 図9(A)は、速度プロファイルにおけるジャーク曲線を示す図であり、図9(B)は、速度プロファイルにおける加速度曲線を示す図であり、図9(C)は、速度プロファイルにおける速度曲線を示す図である。 サンプルずれ等の計算過程を模式的に示す図である。 減速時間の調整により発生する位置ずれ量を説明するための図である。 図12(A)は、補正速度プロファイルにおけるジャーク曲線を示す図であり、図12(B)は、補正速度プロファイルにおける加速度曲線を示す図であり、図12(C)は、補正速度プロファイルにおける速度曲線を示す図である。 最終的に生成される速度プロファイルを示す図である。 本発明の第2の実施形態の露光装置における主制御装置内のステージ制御系を示すブロック図である。 図15(A)は、ウエハW上におけるトラジェクトリを示す図であり、図15(B)は、変位曲線上におけるトラジェクトリを示す図である。 本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を説明するためのフローチャートである。 図16のステップ204の詳細を示すフローチャートである。
符号の説明
20…主制御装置(ステージ制御装置)、51…速度プロファイル生成部、52…ウエハステージ制御系(第1制御系)、60…レチクルステージ制御系(第2制御系)、62、62’…同期位置演算部(目標位置作成装置)、100…露光装置、R…レチクル(マスク)、RST…レチクルステージ(マスクステージ)、W…ウエハ(感光物体)、WST…ウエハステージ(物体ステージ)。

Claims (10)

  1. 所定の速度プロファイルに基づいて2つのステージを所定方向に沿って等速同期移動させる工程を少なくとも2工程行うステージ制御方法であって、
    先行する等速同期移動の工程終了後に行われる前記一方のステージの減速が終了する位置と、後に続く等速同期移動の工程に先立って行われる前記一方のステージの加速を開始する位置との間にずれが生じると判断された場合は、前記一方のステージの前記減速が終了するタイミングと、他方のステージが前記先行する等速同期移動の工程終了後に減速を終了させるタイミングとが一致するように前記一方のステージの速度プロファイルを変更する第1ステップと;
    前記第1ステップにおいて変更された速度プロファイルにおける前記一方のステージの減速に要する区間の長さと、前記所定の速度プロファイルにおける前記一方のステージの減速に要する区間の長さとの間にずれが生じる場合は、該ずれをキャンセルするように前記一方のステージの速度プロファイルを変更する第2ステップと;を含むステージ制御方法。
  2. 前記第1ステップでは、
    前記減速に要する区間における減速度の絶対値の最大値が、前記加速に要する区間における加速度の絶対値の最大値と一致するように、前記一方のステージの速度プロファイルを変更することを特徴とする請求項1に記載のステージ制御方法。
  3. 前記第2ステップでは、
    前記減速に要する区間における減速度が、所定のレベルを超えないように、前記一方のステージの速度プロファイルを変更することを特徴とする請求項1又は2に記載のステージ制御方法。
  4. マスクを保持するマスクステージと、感光物体を保持する物体ステージとを、所定方向に同期移動させた状態で、前記マスクに形成されたパターンを前記感光物体上の複数の領域に転写する走査露光を行う露光方法であって、
    前記物体ステージを前記一方のステージとし、前記マスクステージを前記他方のステージとして請求項1〜3のいずれか一項に記載のステージ制御方法により前記物体ステージを速度制御する際の速度指令群として用いられる速度プロファイルを変更する変更工程と;
    前記変更された速度プロファイルに基づいて、前記物体ステージを制御し、前記マスクステージを前記物体ステージに同期移動させた状態で、前記パターンを前記感光物体上に転写する露光工程と;を含む露光方法。
  5. 前記変更工程では、
    前記複数の領域のうち、続けて露光対象となる2つの領域の前記所定方向に関する位置ずれに基づいて、前記物体ステージの減速が終了する位置と加速を開始する位置とのずれを算出することを特徴とする請求項4に記載の露光方法。
  6. リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法において、
    前記リソグラフィ工程では、請求項4又は5に記載の露光方法を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。
  7. 2つのステージを制御するステージ制御装置であって、
    前記2つのステージのうちの一方のステージに対する目標位置と、その位置の計測値との偏差に基づいて、前記一方のステージを制御する第1制御系と;
    前記第1制御系から出力される前記一方のステージの位置の計測値に基づいて、他方のステージを制御する際の目標位置を作成する目標位置作成装置と;
    前記目標位置作成装置によって作成された目標位置と、前記他方のステージの位置の計測値との偏差に基づいて、前記他方のステージを制御する第2制御系と;を備え、
    前記目標位置作成装置は、
    前記2つのステージをそれぞれ所定方向に等速同期移動させている間には、前記一方のステージの位置の計測値に基づいて、前記他方のステージを制御する際の目標位置を作成し、
    前記2つのステージを前記所定方向に加減速移動させるとともに前記一方のステージを前記所定方向の直交方向に移動させている間には、前記一方のステージの前記所定方向及び前記直交方向に関する位置の計測値と、前記一方のステージの前記直交方向に関する推定位置とに基づいて、前記他方のステージを制御する際の前記所定方向及び前記直交方向に関する目標位置を作成するステージ制御装置。
  8. 前記目標位置作成装置は、
    前記2つのステージを前記所定方向に加減速させるとともに前記一方のステージを前記所定方向の直交方向に移動させている間には、前記一方のステージの前記所定方向及び前記直交方向に関する位置の計測値に対応する前記他方のステージの前記直交方向に関する目標位置から、前記一方のステージの前記直交方向に関する推定移動距離に対応する前記他方のステージの移動距離を差し引くことによって得られる位置を、前記他方のステージの前記直交方向に関する目標位置とすることを特徴とする請求項7に記載のステージ制御装置。
  9. マスクを保持するマスクステージと、感光物体を保持する物体ステージとを、所定方向に同期移動させた状態で、前記マスクに形成されたパターンを前記感光物体上の複数の領域に転写する走査露光を行う露光装置であって、
    前記物体ステージを前記一方のステージとし、前記マスクステージを前記他方のステージとする請求項7又は8に記載のステージ制御装置と;
    前記ステージ制御装置により、前記マスクステージ及び前記物体ステージが制御された状態で、前記パターンを前記感光物体上の複数の領域に転写する転写装置と;を備える露光装置。
  10. リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法において、
    前記リソグラフィ工程では、請求項9に記載の露光装置を用いて露光を行うことを特徴とするデバイス製造方法。

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