JP2005122874A - 光記録方法及び光記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基準クロック周波数が200MHz以上、線速度が40m/sとなる高データ転送レートの記録に用いる光記録方法を提供する。
【解決手段】記録マーク長nTを形成する際、αT、βTで示されるm個の記録パルスαTとm個のオフパルスβTとを用い、αT(1≦i≦m)は記録パワーPwを照射し、βT(1≦i≦m−1)はPb<Pw且つPb<Pwi+1のバイアスパワーPbを照射し、αTは先頭位置から時間dTtopずれて立ち上げ、一つの記録マークはパルス分割数mを2以上とし、且つ、mが2以上の全ての記録マークは2.5≦n/mとし、複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mで形成する場合は、α及び/又はαを変化させて形成するとともに、αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβを変化させ、αを変化させる場合は、βm−1及び/又はβを変化させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、光記録方法等に関し、より詳しくは、書換え可能な光記録媒体に対する、高速の光記録方法等に関する。
一般にコンパクトディスク(CD)又はディジタルバーサタイルディスク(DVD)は、凹ピットの底部及び鏡面部からの反射光の干渉により生じる反射率変化を利用して2値信号の記録及びトラッキング信号の検出が行われている。
近年、書き換え型光記録媒体として、相変化型の書換え型コンパクトディスク(CD−RW、CD−Rewritable)又は、相変化型の書き換え型DVD(商品名:DVD−RW、DVD+RW、本明細書では書き換え型DVDをRW−DVDという場合がある。)が使用されている。
相変化型のCD−RW又はRW−DVDは、非晶質と結晶状態の屈折率差によって生じる反射率差および位相差変化を利用して記録情報信号の検出を行う。通常の相変化型のCD−RW又はRW−DVDは、基板上に下部保護層、相変化型記録層、上部保護層、反射層を設けた構造を有し、これら層の多重干渉を利用して反射率差および位相差を制御しCD又はDVDと互換性を持たせることができる。なお、CD−RW又はRW−DVDにおける記録とは、記録と消去を同時に行うオーバーライト記録をいう。
上記、オーバーライト記録においては、結晶状態を未記録・消去状態とし、局所的に形成された非晶質状態を記録マークとする。
記録層を記録光ビームによって局所的に融点以上に昇温し、その直後に急冷すれば、記録前の記録層の状態(結晶又は非晶質)の如何にかかわらず、非晶質マークが形成される。冷却は、通常、記録光ビームを瞬時に遮断し、拡散放熱によって実現される。一方、記録層を、記録時より弱いパワーの記録光ビームによって、概ね、結晶化温度以上、融点近傍以下に昇温すれば、記録前の記録層の状態(結晶又は非晶質)の如何にかかわらず、消去・結晶状態となる。以上のように、書き換え型相変化形媒体においては、記録光ビームのパワーと、その強度変化によって、記録層中の昇温、冷却過程を制御して、オーバーライトを実現している。一般に、このような、記録光ビームの強度変化は、数十nsec以下の短時間で行われる。
さて、CD−RW、RW−DVDを利用する場合の問題点のひとつに記録速度と転送レートの遅さがある。
CDの記録再生時の基準速度(以下、1倍速とも称する)は、線速度(本明細書においては、「線速度」を単に「線速」という場合がある。)1.2〜1.4m/sであるが、CD−ROMではすでに最大40倍速程度の高速再生が実現されており、1倍速という低速で利用されるのは音楽や画像の再生程度に限られる。一般に、16倍速再生まではCD本来の一定線速度モード(CLV、Constant Linear Velocity)であるが、24〜40倍速再生は、内周部で部分的に一定回転速度モード(P−CAV、Constant Angular Velocity)を適用することで外周部データの転送レート、アクセス及びシーク時間が飛躍的に高速化されている。
現在コンピュータの外部記憶装置としては、CD−RWがP−CAV方式で最大32倍速が達成されている。一方で、ライトワンス型のCD−Rがすでに最大52倍速記録を達成しており、CD−RWにおいても記録時転送レートをさらに向上させることが望まれている。
一方、DVDの再生時の基準速度(以下、1倍速とも称する)は、線速度3.49m/sであるが、DVD−ROMではすでに最大16倍速程度の高速再生が実現されており、1倍速という低速で利用されるのは音楽や画像の再生程度に限られる。
RW−DVDにおいても記録の高速化は進んでいるがCLVモードで高々4倍速程度までにとどまっている。一方で、やはりライトワンス型のDVD−Rがすでに最大8倍速記録を達成しており、RW−DVDにおいても記録時転送レートをさらに向上させることが望まれている。
このため、より高速で記録できる書き換え型相変化媒体と記録方法が求められていた。しかし、CDの32倍速以上、RW−DVDの10倍速以上の高線速まで記録可能な書き換え型相変化媒体は、未だ実現されていない。
このような書き換え型相変化媒体が実現できない第一の理由は、非晶質マークの高速結晶化による短時間の消去と、非晶質マークの経時安定性とを両立させるのが困難だからである。本発明者らは、すでに、このような高速でオーバーライト可能な、Sbを主成分とする記録層材料を見出している。これらの材料を用いれば、50m/s程度の記録線速度でもオーバーライトそのものは可能である。
このように高線速度でオーバーライト可能な相変化記録材料がいくつか提案されているにもかかわらず、40m/s以上の高いデータ転送レートにおけるオーバーライト可能なCD−RW、RW−DVDが未だ実現できない第二の理由は、すでに知られている記録パルスストラテジー(パルス分割方法)に限界があるためである。
即ち、CD−RW規格オレンジブック・パート3には、図1に示す記録パルスストラテジーが規定されている。従って現在実用化されている記録装置では、上記記録パルスストラテジー発生用IC回路を用いているのが実情である。従って、現在実用化されている記録装置では、上記記録パルスストラテジー又はこれを若干変更した記録パルスストラテジーをもって、1倍速から8倍速〜10倍速又は8倍速〜32倍速までの広範囲な線速度の記録を行わなければならない。
書き換え型DVDの規格である、DVD−RWやDVD+RWでも、同様の記録ストラテジーが規定されている。これら記録ストラテジーの特徴は、nT(Tは基準クロック周期)マーク長の非晶質マークをn−1個の記録パルスと冷却パルス(オフパルス)に分割して記録することである。このため、これら記録ストラテジーでは、一対の記録パルスと冷却パルスの繰り返し平均周期が約1Tとなっている。
図1(a)はCDフォーマットで使用されるマーク長変調方式の例で、3T〜11Tの時間的長さを有するデータ信号であり、図1(b)、図1(c)は、当該データ信号に基づいて発生される実際の記録光のレーザーパワーである。以下では、図1(b)のように、概ね基準クロック周期T(100)に基づいて、記録パルスのオン・オフが繰り返される記録パルスストラテジーを1Tストラテジー、概ね基準クロック周期の2倍の周期2Tで記録パルスのオン・オフが繰り返される記録パルスストラテジーを2Tストラテジーと呼ぶ。Pwは記録層を溶融させ急冷によって非晶質マークを形成するための記録パワー、Peは非晶質マークを結晶化によって消去するための消去パワーである。また、バイアスパワーPbは、通常、再生光の再生パワーPrとほぼ同じである。記録パワーPw照射区間を記録パルス、バイアスパワー照射区間を冷却パルス(「冷却パルス」をオフパルスという場合もある。)と称する。EFM+変調の場合においては、上記3T〜11Tの時間的長さを有するデータ信号に14Tの時間的長さを有するデータ信号が加わる。
ここで、上記記録ストラテジーでは、記録パルスとオフパルスの繰り返しの周期が基本的に、基準クロック周期T又はその2倍周期2Tで一定である。基準クロック周期Tは、高線速記録では、線速度に比例して高周波数化される。
CDの1倍速基準速度では、T=231nsecであるが、40倍速ではT=5.8nsec、48倍速ではT=4.7nsecである。従って、40倍速以上の高線速度記録において図1(c)に示す2Tストラテジーを用いても、上記高速記録に伴う高クロック周波数化により、分割された記録パルス及びオフパルスの時間幅は約6nsec以下となる。
一方、DVDの1倍速基準速度では、T=38.2nsecであるが、10倍速では、T=3.82nsec、12倍速ではT=3.2nsec、16倍速ではT=2.4nsec、である。従って、10倍速以上の高線速度記録においては、図1(c)における2Tストラテジーを用いても、このような高速記録に伴う高周波数化により、分割された記録パルス及びオフパルスの時間幅は約4nsec以下となる。
ところで、通常記録パワーのレーザー光照射では、立ち上がり立下りに1−2nsecは要する。このため、このような高周波においては、上記立ち上がり立下り時間が無視できなくなり、記録パルス区間の長さ及びオフパルス区間の長さは、実質的にはさらに短くなり、5nsec程度(CD−RWの場合)又は3nsec程度(RW−DVDの場合)を大幅に下回ることとなる。この際、記録パルスにおける加熱は不十分となり、必要とされる記録パワーが急激に高くなる。一方、オフパルス区間の冷却も不十分となるために、非晶質化に必要な冷却速度が得られなくなる。また、高線速記録のために、CD−RW又はRW−DVDの記録層には、一般に消去速度即ち結晶化速度の速い材料を用いる。従って、上記オフパルス区間における冷却速度の不足は、いったん溶融された領域の再結晶化を招きやすい。この傾向は、高線速でかつ、高データ転送レート(高密度)記録ほど、顕著になりやすい。
このような問題は、相変化型の書き換え型光記録媒体(本発明においては、「書き換え型相変化媒体」という場合がある。)において、最も顕著となりやすい。但し、図1に示すような分割記録パルスを用い、昇温過程と冷却過程との両方を制御することによってマーク長変調記録を行う場合においては、高クロック周波数化するにつれ、レーザーダイオード光出力の応答時間の限界及び記録層の熱容量による熱応答の遅れの問題は、光記録一般においてますます顕著になりつつある。
本発明者等は、すでに、記録パルスとオフパルスとの繰り返しの周期を2Tとする2Tストラテジーにより、CDの20倍速以上、DVDの5倍速以上でのオーバーライト記録を実現した(非特許文献1〜3、特許文献1参照)。
しかし、非特許文献1〜3、特許文献1において報告したような2Tベースの分割方法を用いてもなお、CDの32倍速以上又はDVDの12倍速以上では、上記した通り、高線速記録のための高い結晶化速度を有する材料を用いる必要がある一方で、このような材料を用いると、冷却速度が不足することによる再結晶化現象がよりいっそう深刻となることが判明した。
このような問題は、相変化型の書き換え型光記録媒体のみならず、分割記録パルスを用いて、加熱と冷却の双方の過程を制御する記録方法を適用する媒体において、高データ転送レート(高基準クロック周期、高線速度)の記録を行う場合に、共通の問題でもある。
上述のように、基準クロック周波数が高くなり、基準クロック周期Tが概ね5nsecを切るような状況では、記録パルス分割数を減らすことが、自然な拡張として考えられる。実際、n/3なる分割方法が、いくつか開示されている(特許文献2、特許文献3参照)。
プロシーディングス オブ ピーシーオーエス2000(Proceedings of PCOS2000)、相変化記録研究会、2000年11月30日、2000年11月30日−12月1日号、p.52−55 プロシーディングス オブ エスピーアイイー(Proc.SPIE)、ザ インターナショナル ソサイティ フォ オプティカル エンジニアリング(The International Society for Optical Engineering)、2002年、第4090号、p.135−143 プロシーディングス オブ エスピーアイイー(Proc.SPIE)、ザ インターナショナル ソサイティ フォ オプティカル エンジニアリング(The International Society for Optical Engineering)、2000年、第4342号、p.76−87 特開2001−331936号公報 特開2003−30836号公報 国際公開第02/089121号パンフレット
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に開示されている分割方法では、パルス発生が基準クロック周期と同期しない問題がある。また、記録パルス分割方法を規定するための独立パラメータが不明確又はパラメータ数が多すぎて記録パルス発生回路の設計が困難である。さらに、概念のみが開示されており、具体的に適用しても良い結果が必ずしも得られない等の問題がある。
本発明の目的は、このように、基準クロック周波数が概ね200MHz以上(基準クロック周期が、概ね5nsec以下)、線速度が概ね40m/sとなる高データ転送レートの記録に用いる光記録方法において、実使用可能な光記録方法を提供することにある。
かかる課題を解決すべく、本発明においては、記録媒体に局所的に光を照射することによって、マーク長変調方式による記録マークを形成する場合において、記録マークを複数の記録パルスと冷却パルスに分割して記録を行う、いわゆる、分割記録パルスによる記録方法を採用している。
即ち、本発明が適用される光記録方法は、記録媒体に局所的に記録光を照射してマーク長変調された情報を記録するための光記録方法であって、一つの記録マークの記録マーク長をnTとしたとき(Tは基準クロック周期であり、nは2以上の自然数である。)、nTの記録マーク長を形成するために、
Figure 2005122874
(ここで、mはパルス分割数を示す自然数である。α(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、β(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βは0以上の実数である。)で示される、m個の記録パルスαT(1≦i≦m)とm個のオフパルスβT(1≦i≦m)を用い、1≦i≦mのいずれかにおけるαTの時間内においては、記録パワーPwの記録光を照射し、1≦i≦m−1のいずれかにおけるβTの時間内においては、Pb<PwかつPb<Pwi+1 なるバイアスパワーPbの記録光を照射し、先頭の記録パルスαTは、nTの長さを有する記録マークの先頭位置から、時間dTtop(nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。)だけずれて立ち上がるものとし、少なくとも2つの記録マークについては上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、mが2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとし、複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mでそれぞれ形成する場合に、α及び/又はαを変化させて異なる長さの記録マーク長をそれぞれ形成するとともに、αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβも変化させ、αを変化させる場合は、βm−1及び/又はβも変化させることを特徴とするものである。
また、本発明が適用される光記録装置は、記録媒体に局所的に記録光を照射してマーク長変調された情報を記録するための光記録装置であって、一つの記録マークの記録マーク長をnTとしたとき(Tは基準クロック周期であり、nは2以上の自然数である。)、nTの記録マーク長を形成するために、
Figure 2005122874
(ここで、mはパルス分割数を示す自然数である。α(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、β(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βは0以上の実数である。)で示される、m個の記録パルスαT(1≦i≦m)とm個のオフパルスβT(1≦i≦m)を用い、1≦i≦mのいずれかにおけるαTの時間内においては、記録パワーPwの記録光を照射し、1≦i≦m−1のいずれかにおけるβTの時間内においては、Pb<PwかつPb<Pwi+1 なるバイアスパワーPbの記録光を照射し、先頭の記録パルスαTは、nTの長さを有する記録マークの先頭位置から、時間dTtop(nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。)だけずれて立ち上がるものとし、少なくとも2つの記録マークについては上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、mが2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとし、複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mでそれぞれ形成する場合に、α及び/又はαを変化させて異なる長さの記録マーク長をそれぞれ形成するとともに、αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβも変化させ、αを変化させる場合は、βm−1及び/又はβも変化させるように構成されることを特徴とする。
本発明によれば、記録時の記録光ビームの記録層に対する走査線速度が概ね40m/s以上、または、クロック周期が概ね200MHz以上(クロック周期5nse以下)、の高線速度、高データ転送レートにおける光記録方法又は光記録装置が提供される。さらに、広範囲の記録線速度で良好な記録を行うことができる光記録方法又は光記録装置が提供される。より具体的には、従来のCD−ROM又はDVD(−ROM)規格などで規定される再生専用媒体と再生互換性を有する書換え可能な光記録媒体に適用できる高速の光記録方法又は光記録装置が提供される。
かくして本発明によれば、高データ転送レートの記録に適用可能な光記録方法又は光記録装置が提供される。
以下に、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態という。)について詳述する。但し、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[1]光記録方法
本実施の形態が適用される光記録方法の、その最も基本となる記録方法は、記録媒体に局所的に光を照射することによって、マーク長変調方式による記録マークを形成する場合において、記録マークを複数の記録パルスと冷却パルスに分割して記録を行う、いわゆる、分割記録パルスによる光記録方法に適用される。この最も基本となる記録方法を、以下に示すとおり記録パルス分割方法(I)と称する。
記録パルス分割方法(I);
一つの記録マークの記録マーク長をnTとしたとき(Tは基準クロック周期であり、nは2以上の自然数である。)、前記nTの記録マーク長を形成するために、
Figure 2005122874
(ここで、mはパルス分割数を示す自然数である。α(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、β(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βは0以上の実数である。)のm個の記録パルスαT(1≦i≦m)とm個のオフパルスβT(1≦i≦m)を用い、1≦i≦mのいずれかにおけるαTの時間内においては記録パワーPwの記録光を照射し、1≦i≦m−1のいずれかにおけるβTの時間内においては、Pb<PwかつPb<Pwi+1なるバイアスパワーPbの記録光を照射し、先頭の記録パルスαTは、前記nTの長さを有する記録マークの先頭位置から、時間dTtop(nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。)だけずれて立ち上がるものとし、少なくとも2つの記録マークについては上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、mが2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとし、複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mでそれぞれ形成する場合に、α及び/又はαを変化させて前記異なる長さの記録マーク長をそれぞれ形成するとともに、前記αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβも変化させ、前記αを変化させる場合は、βm−1及び/又はβも変化させる、というパルス分割方法である。
このような記録パルス分割方法(I)の記録方法に従い光記録を行うことにより、基準クロック周波数が200MHz程度以上(基準クロック周期が5nsec程度以下)での高データ転送レートでのマーク長変調記録が良好にできるようになる。より具体的には、上記記録方法に従って光記録を行うことにより、RW−DVDの4倍速程度以上、CD−RWの32倍速程度以上の記録線速度において情報の書き換えが良好にできるようになる。また、上記記録方法に従って光記録を行うことにより、特に、基準クロック周波数が300MHz程度以上(基準クロック周期が3nsec程度以下)での高データ転送レートでの記録が良好にできるようになる。より具体的には、上記記録方法に従って光記録を行うことにより、RW−DVDの8倍速程度以上の記録線速度において、従来の記録ストラテジーでは実現不可能な良好なマーク長変調によるオーバーライト記録を実現できる。
本実施の形態が適用される光記録方法において、記録用光エネルギービームのエネルギー制御方法を、記録パルスストラテジー又はパルスストラテジーと総称する。特に、nTマークの形成を所定の時間的な長さに分割された複数の記録パワーレベルのパルス列で形成する方法を、分割記録パルスストラテジー、記録パルス分割方法、パルス分割方法、又は、分割記録パルス発生方法と称する。
Pw及びPbは、1≦i≦nにおける記録光の強度であり、特に、Pwを記録パワーと称し、Pbをバイアスパワー、オフパワー、又は冷却パワーと称する。本実施の形態においては、特に断らない限り、パワーとは、光エネルギーの強度のことを意味する。
また、記録パワーPwを照射する区間αTを、オンパルス区間あるいは記録パルス区間と称し、Pwなる強度でαTなる区間に照射する光エネルギーを、オンパルスあるいは記録パルスと称する。Pwを照射することにより、記録層を記録マーク形成に必要な臨界温度Tcm以上に昇温せしめる。より具体的には、書き換え型相変化媒体においては、Tcmは記録層の融点である。
一方、バイアスパワーPbを照射する区間βTを、オフパルス区間あるいは冷却パルス区間と称し、Pbなる強度でβTなる区間に照射する光エネルギーを、オフパルスあるいは冷却パルスと称する。
そして、Pb照射区間において、先行又は後続する記録パルス区間αTで昇温された記録層から熱を放熱冷却させる。より具体的には、書き換え型相変化媒体では、非晶質マーク生成に必要な冷却速度を(単位時間当たりの温度低下率)を確保する。このため、1≦i≦m−1におけるPbは、少なくとも直前の記録パルスの記録パワーPw及び直後の記録パルスの記録パワーPwi+1よりも低くすることが必要である。具体的には、Pb<Pw、Pb<Pwi+1であることが必要である。非晶質マークを形成する書き換え型相変化媒体においては、特に、Pb≦0.2Pw、Pb≦0.2Pwi+1とし、冷却パルス区間において、より、効果的な拡散放熱が行われるようにする。
本実施の形態において、記録パワーPw及びバイアスパワーPbは、iの値によって可変としてもよいが、記録方法を簡便にしてより実使用に近づけるために、Pw及びPbは、原則として一定値、Pw及びPbを取ることが好ましい。特に、nが6以上では、記録パルス区間αT乃至は冷却パルス区間βTの時間幅のパラメータのみの調整で、同一の分割数mをとる複数のマーク長を形成するようにして、Pw、Pbはi及びnによらず、一定値Pw及びPbであることが好ましい。この場合にも、Pbだけは、1≦i≦m−1におけるPb=Pbとは異なる値をとることで、良好な結果が得られる場合がある。
なお、レーザーダイオードの動作の安定化のために、クロック周波数より概ね1桁以上高い高周波数で出力パワーを発振させる、いわゆる高周波重畳を行う場合には、平均パワーレベルをもって記録パワーレベルとする。平均パワーレベルをもって記録パワーレベルとすることは周知である。本発明でも、高周波重畳によるパワー変動は、平均化して考えることとする。
本明細書においては、記録パワーPwをi(1≦i≦m)ごとに考慮する必要のある場合には、「Pw」という表現を用いる。一方、記録パワーPwをi(1≦i≦m)ごとに考慮する必要のない場合、又は、記録パワーPwをi(1≦i≦m)によらず一定値と考える場合、には、「Pw」という表現を用いる。同様に、バイアスパワーPbをi(1≦i≦m)ごとに考慮する必要のある場合には、「Pb」という表現を用いる。一方、バイアスパワーPbをi(1≦i≦m)ごとに考慮する必要のない場合、又は、記録パワーPbをi(1≦i≦m)によらず一定値と考える場合、には、「Pb」という表現を用いる。
本実施の形態において、αT及びβT以外の区間での記録光強度については、特に、定めていないが、適用する記録媒体によって記録光強度が異なる。例えば、オーバーライト可能な書き換え型相変化媒体では、消去パワーPeを照射する。つまり、結晶状態を未記録・消去状態とし、非晶質状態を記録マークとするオーバーライト可能な書き換え型相変化媒体では、消去パワーPeは、記録層を結晶化温度以上、概ね融点以下の温度に昇温せしめる温度である。その場合、Pe/Pwは、通常0.1以上、好ましくは0.2以上とする。一方、Pe/Pwは、通常0.6以下、好ましくは0.4以下とする。上記範囲のうち、Pe/Pwは、0.1〜0.6のいずれかの値であり、特に、0.2〜0.4の範囲の値がより好ましい。この比が上記範囲より小さいと、消去パワーが低すぎて、非晶質マークの消え残りが生じやすくなる。一方、上記範囲より大きいと、Peの照射部が溶融したのち、再び非晶質化してしまう場合がある。尚、この場合、最後端の冷却パルス区間βTにおけるバイアスパワーPbは、Pb<Pw、0≦Pb≦Peとするのが好ましい。
本実施の形態における記録マーク(あるいは、単にマーク)とは、記録層中に局所的に形成された、他の部分と光学的に区別しうる物理的状態として認識される。他の部分と光学的に区別できればよいため、一つの記録マークを連続的に形成してもよいし、一つの記録マークを光学的には連結してみえる程度であっても物理的には分離した複数のマークから形成してもよい。オーバーライト可能な書き換え型相変化記録の場合においては、記録マークは、結晶状態にある未記録・初期状態の記録層中に、局所的かつ空間的に連続的に形成された非晶質マーク、又は分離して形成された複数の非晶質マークから形成される。
上記記録マークを物理的に分離した複数のマークで形成する場合、複数の物理的マークを概ね0.2(λ/NA)の間隔よりも近接させるようにすれば、これらの複数の物理的マークを複数の分離したマークとしてではなく、一個のまとまったマークとして光学的に認識できるようになる。なお、NAは再生光の集束用の対物レンズの開口数であり、λは再生光波長である。
従って、マーク長nTの記録マーク1個を複数の物理的マークから形成する場合には、複数の物理的マークの間隔を0.2(λ/NA)よりも小さくするのが好ましい。
以下、図面に基づき、本実施の形態が適用される光記録方法について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される光記録方法におけるパルス分割方法を実施する場合の、各記録パルスの関係の一例を説明するためのタイミングチャート図である。図2(a)は、形成するnTの記録長の記録マークのタイミングチャートを示す。図2(b)は、この記録マークを形成するための記録パルス分割方法のタイミングチャートを示す。
光記録媒体に情報の記録を行う記録装置における、記録パワーPw、バイアスパワーPb、消去パワーPeそれぞれのレーザ光の照射タイミングを制御する電子回路(集積回路)は、図2に示すタイミングチャートを元に設計される。図2(b)においては、Pb≦Pe≦Pwとし、記録パルス区間αT(i=1〜mの整数)における記録パワーはPwで一定であり、冷却パルス区間βT(i=1〜mの整数)におけるバイアスパワーはPbで一定であり、マークの間及びαT(i=1〜m)及びβT(i=1〜m)以外の区間における光照射のパワーは消去パワーPeで一定である場合が示してある。
図2(a)において、200は長さnTの記録マークに対応した時間幅に対応する。図2(b)は、nTマーク長を形成するために、複数の記録パルス区間αTと冷却パルス区間βTに分割した光エネルギーを照射する時間変化をあらわす波形である。200は、基準クロックに同期して時間T1(nTマークの始点あるいは先頭位置と呼ぶ)で立ち上がり、時間nT経過後、また、基準クロックに同期して、時間T2(nTマークの終点あるいは後端位置と呼ぶ)で立ち下がる。マーク長変調記録では、nとして複数の整数値を取りうる。また、マークとマークとの間も、同様に複数の時間nTをとりうる。これをマーク間長もしくは、スペース長と呼ぶ。
先頭記録パルスαTの立ち上がるタイミング(始点)は、時間幅nTの立ち上がり(T1)から、dTtopの時間的ずれが存在するものとする。本実施の形態が適用される光記録方法では、dTtopは、T1から遅延する場合(nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合)を、正の値とする。dTtopは、図2及び以下の説明では、−2T以上2T以下の範囲を想定するが、nTマークの時間幅の信号図2(a)と、実際の分割記録パルス図2(b)との時間的位置関係は、相対的なものであり、時間T1をどこにとるかは任意性がある。なお、dTtopは、−2T以上2T以下の値を想定しており、当然dTtop=0(時間的ずれのない場合)もあり得る。
一方、βTの終点とT2との時間的ずれがηTであり、T2より遅延する場合を、負の値とする。以上の定義に従えば、Σ(α+β)T+dTtop+ηT=nTとなる。Σ(α+β)Tは、必ずしも正確にnTである必要はないが、通常、nTとの差は、プラス・マイナス2Tの範囲内とするのが好ましい。
図1に示された従来の記録方式に対して、図2で示された本実施の形態が適用される光記録方法の意義は以下のとおりである。即ち、従来のCD−RW又はRW−DVDの規格書に記載の分割方式では、m=n−1、m=n/2又はm=(n+1)/2に固定されている。即ち、記録パルスとオフパルスからなる繰り返しの周期の平均値(本実施の形態においては、この一対の記録パルスとオフ(冷却)パルスからなる繰り返しの周期、即ち、(α+β)T、の平均値を、「分割(記録)パルスの平均周期」という場合がある。)は、約1T又は約2Tである。これに対して、本実施の形態においては、記録パルスの分割数mが2以上となるすべての記録マーク長において、n/mを2.5以上とする。nが6以上では、n/mは、2.5以上、好ましくは3以上とする。一方、n/mは、通常5以下、好ましくは4.5以下、より好ましくは4以下とする。
本実施の形態では、少なくとも2つの記録マーク長は、2個以上の記録パルスに分割して記録する。つまり、m=2以上である記録マーク長が少なくとも2つ存在する。マーク長変調記録では、nとしては2以上の自然数から複数かつ有限の値が選ばれるが、上記規定から、nとして5以上の値を含まれる場合を実質的に想定していることになる。通常CDで使用されるマーク長変調方式では、nとして3以上11以下の自然数を取りうる。また、DVDで使用されるマーク長変調方式では、nとして3以上11以下の自然数と14を取りうる。これらから、実用的なマーク長変調方式は、nとして5以上の値を含まれる場合を実質的に想定している。従って、本実施の形態が適用される光記録方法は、上記実用的なマーク長変調方式での記録に適用可能である。
なお、nは、符号理論によって有限個の値をとることができる。また、nの値に上限を決める必要はない。但し、nは、通常100以下、実用的には50以下、より実用的には20以下の値をとる。nが取りうる最大値をnmaxとする。一方、nの最小値(nmin)は、通常2又は3である。
ここで、仮にdTtop及びηを0とすると、Σ(α+β)/m=n/mであるから、n/mは(α+β)の平均的な長さに対応する値であり、(n/m)Tは、また、分割パルスの平均周期に対応する値となる。従って、本実施の形態では、記録パルスとオフパルスからなる繰り返しの平均周期(分割パルスの平均周期)を概ね3Tとすることができる。
概ね3Tであるとは、mが2以上となるすべてのマーク長において、個々の(α+β)T(1≦i≦m−1)の値が2.5T以上、好ましくは3T以上となることをいう。一方、「概ね3T」という場合は、個々の(α+β)T(1≦i≦m−1)の値は、通常5T以下、好ましくは4.5T以下、より好ましくは4T以下となる。また、個々の(α+β)T(1≦i≦m−1)の平均値は、通常、2.5T以上4.5T以下となる。
ここで、(α+β)Tの場合を除外したのは以下の理由による。すなわち、後述のように、βTは、ゼロとなりうる等他のβTと大きく異なる値をとりうる。このため、(α+β)Tが必ずしも2.5T以上4.5T以下の範囲とならない場合があり得るからである。
この場合、同一分割数mで記録すべき、異なる記録マーク長の数が、平均して3個以上となるという特徴がある。即ち、n/mが概ね3であれば、必然的に、同一の分割数mで形成すべき記録マーク長は平均して3個となる。
本実施の形態の説明においては、従来の図1(b)、(c)で規定されたパルス分割方法を、記録パルスの繰り返し周期に注目した「1Tストラテジー」、及び「2Tストラテジー」と呼ぶ。一方、本実施の形態が適用されるパルス分割方法は、特にこの分割パルスの平均周期を概ね3Tとするため、「3Tストラテジー」と称する。
基準クロック周期Tがおよそ3nsecを切ると、従来の「1Tストラテジー」においては、分割パルスの平均周期が概ね3nsecを切る。従来の「2Tストラテジー」における分割パルスの平均周期は6nsecより短くなる。そしてこの場合、記録パルス区間αTの平均値又はオフパルス区間βTの平均値は「1Tストラテジー」では、約1.5nsec以下、「2Tストラテジー」でも約3nsec以下となる。これは少なくとも一つのiに対して、従来ストラテジーでは、αTもしくはβTのいずれかが3nsec以下になることを示す。なお、上記の説明において、どれか特定のαもしくはβを平均値より長くしたとしても、それは別のβもしくはαがさらに短くなることを意味している。このため、やはりαTもしくはβTのいずれかが小さくなることに変わりはない。そして、αTもしくはβTのいずれかが概ね3nsec以下、さらには、2nsec以下となると、高速記録においてビームの照射及び冷却時間が十分に確保されなくなる場合がある。
一方、本実施の形態が適用される光記録方法において、mが2以上となるすべての記録マーク長において、n/mを2.5以上とする。さらにnが6以上では、mを2以上とし、n/mを2.5以上とする。好ましくは、nが6以上では、mを2以上とし、n/mを3以上とすることである。一方、n/mの上限は、5以下とすることが好ましい。
m、n/mを上記のように規定することによって、記録パルスとオフパルスからなる繰り返しの平均周期を概ね3Tとすることができ、αTとβTの長さを十分なものとできるのである。例えば、記録パルス区間αT、オフパルス区間βTを1Tより十分長めに取ることができ、基準クロック周期Tが約3nsec程度になっても、平均的な記録パルス幅、及び、冷却パルス幅を約2nsec以上とできる。このため、記録層の加熱を十分に行うことができるようになる一方、後続パルスによる熱の供給を抑えて十分な冷却効果を得ることができる。このために、mが2以上の場合においては、隣り合う記録パルスの立ち上がり時間の間隔が、少なくとも2.5T以上、さらには3T以上離れており、βTを除く、すべてのβT(1≦i≦m−1)が、1Tより大きいことが好ましい。逆に、本実施の形態においては、基準クロック周期Tが、およそ3nsec以下となっても、βT(1≦i≦m−1)を1Tより大きくすることが容易に実現できる。
mが2以上の記録マーク長のいずれかで、n/mが2.5未満であれば、図1に示された従来のストラテジーの範疇となり、一部の記録マークで上記本発明効果が得られず、ジッタ等が悪化するので、mが2以上のすべての記録マーク長に対してn/mが2.5以上となることが重要である。
一方、n/mは、n=5なる記録マークを一個の記録パルスで形成する場合を除き、通常5以下、好ましくは4.5以下とする。n/mが5より大きい場合、各記録パルス間の間隔が開きすぎて、光学的に見て連続な記録マークの形成が困難となる場合がある。
図2において、少なくともmが2以上となるすべての記録マーク長においては、3T乃至は4T周期のいずれかとなるように、αTの立ち上がり及びαTの立下りをクロック周期に同期させることが好ましい。これは、分割記録パルス発生のための電気回路が簡便化される、等の利点が発揮されるようになるためである。このため、1≦i≦m−1における個々の(α+β)Tの値は、3T乃至は4T(1≦i≦m−1における(α+β)が概ね3又は4のいずれかの値をとる)を基本とする。そして、先端のαT及び後端のαT立ち上がり(乃至は立下り)や、βTの終点のタイミング(PbからPeへの切り替えのタイミング)を、当該3T乃至は4T周期を基準として、若干ずらすことが好ましい。なお、αTと基準クロック周期は、αTの立ち上がり(始点)で同期をとっても良いし、αTの立ち下がり(終点)で同期をとっても良い。
つまり、nTマーク長に対応する時間幅nTの始点T1を基準として、記録パルスは、3Tあるいは、4T周期に同期して立ち上がる(乃至は立下りが同期する)ようにするのが好ましい。3T周期のみでもいいが、一部が4T周期となっていても良い。
ここで、αTは、かかる同期のタイミングT1に対して、dTtopのずれを許容する。また、αTの立ち上がり時間をT3とすると、αTの立ち上がりの時間T1から、x個の3T周期とy個の4T周期(x、yは整数)を経てT3に到る。但し図2(b)に示すように、αTの立ち上がりのタイミングは、かかる同期のタイミングに対して、dTlastのずれを許容するものとする。そして、T3からのずれをdTlastと定義する。dTlastは、T3から遅延する場合を、正の値とする。本実施の形態が適用される光記録方法では、このようなdTtop及びdTlast分のずれを考慮した上での、(α+β)に対する制限を、「(α+β)が概ね3又は4のいずれかの値をとる」という。
さて、本実施の形態が適用される光記録方法では、少なくとも2つ以上、好ましくは3個以上の記録マーク長において、mが2以上、つまり2個以上の記録パルスに分割して記録を行う。前述のように、n/mが概ね3であれば、必然的に、同一の分割数mで形成すべき記録マーク長は平均して3個となる。従って、同一の分割数で、少なくとも3個の異なる長さの記録マークを、それぞれ形成することが好ましい。
本実施の形態が適用される光記録方法では、複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mでそれぞれ形成するために、少なくともα及び/又はαを変化させる。つまり、主として、先頭の記録パルスαT、又は、後端記録パルスαTを変化させて前記異なる長さを有する記録マークを、それぞれ形成る。そして、前記αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβも変化させ、前記αを変化させる場合には、βm−1及び/又はβも変化させる。この場合、上記で変化させる可能性のある「α、dTtop、β」及び/又は「α、βm−1、β」以外の、α(2≦i≦m−1)及びβ(2≦i≦m−2)は、iによらない一定値αc及びβcをとることがより好ましい。
本実施の形態が適用される光記録方法において好ましいのは、複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mでそれぞれ形成するために、少なくともα又はαを変化させることである。そして、前記αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβも変化させ、前記αを変化させる場合には、βm−1及び/又はβも変化させる。この場合、上記で変化させる可能性のある「α、dTtop、β」又は「α、βm−1、β」以外の、α(2≦i≦m−1)及びβ(2≦i≦m−2)は、iによらない一定値αc及びβcをとることがより好ましい。
本実施の形態が適用される光記録方法においてより好ましいのは、以下の方法である。すなわち、同一のパルス分割数mで形成する複数の異なる記録マーク長における、1つの記録マーク長Aを形成するために用いる光記録方法を基準として考える。そしてこの基準とする光記録方法においてα又はαを変化させることにより、前記複数の異なる記録マーク長における前記記録マーク長A以外の記録マーク長を形成することである。このように、同一のパルス分割数mで形成する複数の異なる記録マーク長において基準となるマーク長を決めることにより、独立パラメータ数を削減できる。この結果、レーザー発光制御用の電子回路の設計が簡便となる。
ここで、同一のパルス分割数mで3つ以上の異なる記録マーク長を形成することが好ましい。このように3以上の記録マークを同一分割数mで形成するようにすれば、さらに独立パラメータの数を減らすことができる。この結果、レーザー発光制御用の電子回路の設計をさらに簡便にできるようになる。
(dTtop、αT=Ttop、β)及び(βm−1、αT=Tlast、βT=Tcl)は、それぞれマークの前後端位置とジッタの微調整に用いるパラメータであり、nTに比例したマーク長の補正は、主としてこれらの時間にかかわるパラメータの増減によって実現される。なお、前述のように、(α+β)が概ね3又は4のいずれかの値をとる場合には、βTはβT=(3Tもしくは4T)−(Ttop+dTtop)で自動的に決まり、βm−1Tはβm−1T=(3Tもしくは4T)−αcT+dTlastで自動的に決まる。その場合には、(Ttop、dTtop)で、マーク前端における調整を行い、(Tlast、dTlast、Tcl)で、マーク後端における調整を行う。
本発明者等は、前述した文献(例えば、Proceedings of PCOS2000、相変化記録研究会、2000年11月30日、2000年11月30日−12月1日号、p.52−55)において、同一の分割数mにおける偶数長マークと奇数長マークとの1T分のマーク長の差を良好に実現させるために、主としてβTとβm−1Tの長さをそれぞれ補正してβ’T、βm−1’Tとすることを提案している。
しかしながら、さらに検討を行った結果、上記βとβm−1との補正だけでは、同一分割数mにおける複数の異なるマーク長を良好に形成することができなくなることが判明した。特に、同一分割数mで3個以上の異なるマーク長を、それぞれ形成する場合、β、βm−1更にはその他のオフパルス区間の長さのみを調節して、同一分割数mにおける複数のマーク長を調整し、かつ、記録パワーがある程度変動した場合においても良好な記録特性を実現することは困難となることが判明した。
従来の記録パルス分割方法において、オフパルス区間βT、(主としてβT、βm−1T)だけで、同一分割数mにおける複数の異なるマーク長を形成する場合、上記マーク形成のために付与される記録パルス区間の総和ΣαTは、これらのマーク長で同一となる。また、本実施の形態において、好ましくは、一つの記録マークを形成する際の記録パルス区間における記録パワーPwが一定(つまり、αTからαTまでの各区間において記録パワーPwを一定とする。)である場合を想定している。このため、マーク長が異なるにもかかわらずΣαTが同じであるということは、同一分割数の複数のマーク長形成にかかわる記録エネルギーの総和:Pw×(ΣαT)が同一となることを意味する。
ところで、光記録媒体に記録を行うための記録装置(ドライブ)は、個々の記録装置間でレーザ発生装置の出力に若干のばらつきを有するのが通常である。これは、上記記録パワーPwが記録装置間でばらついているか、同一装置でも記録を行うごとに上記記録パワーPwがばらつくことを意味する。本発明者らが鋭意検討を加えた結果、上記した同一分割数の複数のマーク長形成に用いる記録エネルギーの総和:Pw×(ΣαT)を一定とする記録エネルギーの照射方法では、上記記録装置間のPwのばらつき又は同一装置における記録毎のPwのばらつきにより、同一分割数mにおける各マーク長のPwによる変化率ΔTmarkが同一とならない問題があることがわかった。つまり、PwがばらついてΔPwの変化があったときに、各マーク長の変化率ΔTmarkがほぼ同一であれば問題はないが、記録方法としてオフパルス区間のみの補正(Pw×(ΣαT)を一定とする方法)を行うと、ΔPwによって、各マークのΔTmarkの異なりが顕著になることが分かった。この場合、特に、マーク間長のジッタ(スペースジッタ又はランドジッタという)が大きくなりやすくなる。
尚、図1に示す従来の1Tベースの記録パルス分割方法では、マーク長が1T変化するたびに記録パルスを1個追加していたので、マーク長が長ければ、記録エネルギーの総和が単調増加するという規則が維持されていた。このため、記録装置間のPwのばらつき又は同一装置における記録毎のPwのばらつきに伴う、ΔTmarkは、ほぼ一定であったので、この問題は現れなかった。
一方、本発明「3Tストラテジー」の記録パルス分割方法では、上記Pwが変動したときのΔTmarkを同一分割数mで形成される複数のマーク長においてほぼ一定とする必要があるために、格別の工夫が必要になる。
このため、本発明者らは、記録装置間のΔPwに伴って生ずるΔTmarkを、同一分割数mで形成される複数のマーク長の間においてほぼ一定とするために、以下の方法が有効であることを見出した。すなわち、同一分割数mにおける、異なるマーク長を形成する場合に、αT又はαTの少なくともいずれか一方を必ず補正し、記録エネルギーの総和Pw×(ΣαT)を、マーク長ともに単調に増加させることが有効であることを見出したのである。
即ち、マーク長を短くする場合には、αT乃至はαTの少なくとも一方を減少させることが好ましい。一方、マーク長を長くする場合には、αT乃至はαTの少なくとも一方を増加させることが好ましい。
一方、記録パルスαT(1≦i≦m)のうちのいずれを調整するかについては、mが増減する毎に最後尾のαTが1個増えるのと同様の機能を持たせるために、同一のmにおいては最後尾のαT即ち、αTの長さを調節することが最も好ましい。αT〜αm−1Tまでの、分割記録パルス発生方法を一定とできるので、独立パラメータ数を少なくできるからである。
次いで、Ttop=αTを調整することが好ましい。このように、最前部α及び最後尾のαを調節することが好ましいのは、このような調整により、少なくとも中間記録パルス、αT(2≦i≦m−1)を一定に保つこと、α+β(2≦i≦m−1)を概ね3又は4のいずれかの値とすること、が可能となるからである。
そして、基準とするマーク長に対して、マーク長を±1T増減させる場合には、まず、Tlast=αTを概ね1T以内で増減することが好ましい。2T以上のマーク長の増減を行う場合、これに加えて、Ttop=αTを概ね1T以内で増減するのが好ましい。
さらに、本発明者等の検討により、Ttop=αTを変更した場合には、dTtop及び/又はβTを調整し、αTを調整した場合には、βm−1T及び/又はβTをあわせて調整することが、1T分のマーク長の補正と共に、マーク端における低いジッタを得ることに有効であることがわかった。
αTの長さの変化は、αT照射による記録層溶融領域の前後への広がりを発生させるだけではない。つまり、この記録層溶融領域の前後への広がりに伴って、余熱効果も変化する。従って、αTの長さを変えると、マーク先端の再結晶化の状態が変化する傾向となる。このため、本発明においては、上記再結晶化の状態の変化を補うために、βTを調整する。そして、さらに好ましくはdTtopを微調整する。
つまり、αTを長くした場合には、上記余熱効果が増すため、βTも長くして、冷却効果を増すようにする。そして、必要に応じてdTtopの長さを調整することにより、マーク先端位置をより正確に制御する。一方、αTを短くした場合には、上記余熱効果が減るため、βTも短くして、冷却効果を減らすようにする。ただし、αT及びβTを短くすることは、(α+β)Tの周期を3Tより大幅に小さくすることとなる場合がある。このため、αTを長くするように調整を行うことが好ましい。
αTの長さの変化は、αTの長さを変化させる場合と同様に、αT照射による記録層溶融領域の前後への広がりを発生させるだけではない。つまり、この記録層溶融領域の前後への広がりに伴って、余熱効果も変化する。従って、αTの長さを変えると、マーク後端の再結晶化の状態が変化する傾向にある。このため、本発明においては、上記再結晶化の状態の変化を補うために、βm−1Tを調整する。そして、さらに好ましくはβTを調整する。
つまり、αTを長くした場合には、上記余熱効果も増すため、βm−1T又はβTを長くして冷却効果を増すようにする。一方、αTを短くした場合は、上記余熱効果が減るため、βm−1T又はβTを短くして冷却効果を減らすようにする。ただし、αTを短くする場合にβm−1TやβTを短くする操作と、αTを長くする場合にβm−1TやβTを長くする操作と、を比較すると、より重要なのは、αTを短くする場合にβm−1TやβTを短くする操作である。このため、αTを長くする場合には、βm−1TやβTを長くする操作は省略できる場合がある。
本実施の形態では、αを調整する際にはdTtop及び/又はβを調整し、αを調整する際にはβm−1及び/又はβを調整する。しかしながら、同一分割数mで3以上の記録マーク長を形成する場合に2つの記録マーク長で上記条件が満足されていれば、ある程度の効果が得られる場合もある。このため、例えば以下の様な制御方法の例も本発明に含まれる。すなわち、例えば、同一分割数mで形成する3以上の記録マーク長における2つの記録マーク長を、αを減ずると同時にβm−1及び/又はβを調整して形成する。そして、上記2つの記録マーク長とは異なる記録マーク長を形成するために、αを増やす場合には、βm−1、βを変えないようにしてもよい。
これより、良好な高速記録が確実に行えるようになるとともに、特に、後述のCAVやP−CAV記録のように幅広い線速度範囲で良好な記録を行えることもわかった。
さらに、本発明者等の検討によれば、αを増減して1T分のマーク長差を付与する場合に、その増減量は正確に1であるよりも、0〜1の範囲にあることが好ましいこともわかった。同様に、αを増減して1T分のマーク長差を付与する場合に、その増減量は正確に1であるよりも、0〜1の範囲にあることが好ましいこともわかった。
さて、図2に示すような、実際の分割記録パルス光をレーザーダイオードから出力させるには、図3に例として示すようなタイミングチャートでゲート信号を発生する論理レベルの集積回路出力を、レーザードライバー回路に入力する。そして、レーザー駆動のための大電流を制御し、レーザーダイオードからの光出力を制御して記録パワーの制御をすることで、図2に示すような分割記録パルス光の制御が達成される。
図3は、本実施の形態が適用される光記録方法において、記録パルス分割方法を発生する(論理)回路のタイミングチャートの具体的な例であり、特に、n=11、m=4である場合に、各記録パルス及び冷却パルス区間が、基準クロック(300)とできるだけ同期するように設定された例である。つまり、1≦i≦m−1における(α+β)Tが、概ね3T周期となる例であるが、この一部または全部に4T周期が混じってもかまわない。図3では、論理レベルの高低2値レベルの切り替えに対応して、各パルスの生成(ON)と休止(OFF)とが決まる。
図3(a)は、時間幅nTのnTマーク長信号(301)であり、図3(b)〜(e)に示すように、302、303、304、305にそれぞれ示された複数の記録パルス制御用ゲートを組み合わせて生成される。即ち、先頭記録パルスαTを生成するゲート信号G1(302)、中間記録パルス群αT(2≦i≦m−1)を生成するゲート信号G2(303)、および後端記録パルスαT(304)を生成するゲートG3、Pe及びPbを印加する区間を定義して冷却パワーパルスを生成するための冷却パルス/消去パワー切り替えゲート信号G4(305)を別々に生成し、これを合成する。G1、G2、G3においては、ONレベルにおいて、記録パワーが発光されるものとする。なお、ゲート信号G4はそのオン区間は、αTの立ち上がりを基点として(即ち、T1からdTtopだけ遅延後)、Σ(α+β)Tの区間として設定される。
このようなゲート信号の優先関係は、ゲートのオン/オフを論理的な1(High)、0(Low)レベルに対応させて、各ゲート制御の論理信号の和演算を行うことによって達成される。具体的には、G1、G2、G3のオン信号が、G4のオン信号に優先し、G4オン期間中(Pb照射中)でも、G1、G2、G3がオンとなれば、Pwを照射するようにする。その結果、ゲート信号G4は、G1、G2、G3がいずれもオフとなる区間において、オフパルス区間βTのタイミングを規定することになる。また、G1、G2、G3、G4の全てがオフの場合にPeが照射される。
図33は、本発明の光記録方法を実施するための光記録装置の一例であり、コンピュータ用のデータを記録するための光ディスク記録・再生装置としての実施形態の例である。
図33において、2001は、図示しないホストコンピュータとのデータの受け渡しをするためのインターフェース(I/F)回路、2002は記録するデータを符号変調するための変調回路、2003は該変調回路2002で変調された信号に基づき分割記録パルスを生成するための分割記録パルス生成制御回路である。また、2004は、分割記録パルス生成制御回路2003の出力する論理レベルの制御信号に基づいてレーザー光出力を制御するためのLDドライバ、2005は光ディスク記録・再生装置の光源となる半導体レーザー(LD)である。さらに、2006は、半導体レーザー2005からのレーザー光を記録媒体である光ディスク2007上に出射光として出力させ、光ディスク2007からの反射光を分離してフォトディテクタ2008に導くためのビームスプリッタである。
レーザー光は対物レンズ2009により、光ディスク2007上に集束する。なお、フォトディテクタ2008は反射光を受光して電気信号に変換するための部品である。
また、2010はフォトディテクタ2008の出力する電気信号から光ディスク2007上に記録された信号を検出し、そのための基準クロック(周期T)を生成する再生回路である。また、2011は上記再生回路2010より再生された光ディスク2007上に記録されたデータを復調するための復調回路であり、2012は光ディスク2007の記録・再生装置全体を制御するためのドライブマイコンである。さらに、2013は光ディスク(記録媒体)2007を回転させるためのスピンドルモーターである。
光ディスク(記録媒体)2007上に記録される記録データは、上記変調回路2002より符号変調されたパラレルデータをさらに、シリアルなNon Return to Zero Inverted(NRZI)信号に変換するマーク変調記録方式が採用されている。その際の動作クロックは上記再生回路2010から出力される基準クロックである。通常は、再生回路2010においては、光ディスク2007上にあらかじめ形成された案内溝の溝蛇行(wobble)信号を検出して、基準クロックを抽出する。このため、記録線速度に応じた基準クロックが得られる。
本実施の形態によれば、この分割記録パルス生成制御回路2003では、nTマーク長を形成するための分割記録パルスを、図3のタイミングチャートの例に示すような複数の部分パルスからなるゲート信号を分割生成する。そして、これらのうち記録パルスにかかわるゲート信号G1,G2,G3を合成した分割記録パルス制御信号Gsと、G4とを出力する。一連のnTマーク長が順に発生されるにつれ、対応するゲート信号Gsとマーク間の消去パワーレベルを規定するゲート信号G4が順次発生される。
なお、図3のタイミングチャートでは、4つの部分パルス群G1,G2,G3、G4を生成するゲート信号を用いたが、本発明における分割記録パルスの生成においては、必要に応じて、異なる組み合わせのゲート信号を用いることもできる。
一方、この4つのゲート信号発生において、たとえば、記録媒体Aに対して最適化された記録パルスを発生するためのゲート信号GA(G1A,G2A,G3A,G4A)、記録媒体Bに対して最適化された記録パルスを発生するためのゲート信号GB(G1B,G2B,G3B,G4B)のように、複数の記録媒体のそれぞれに適したゲート信号を用意し、ドライブマイコン2012からの選択信号2020によって選択することもできる。さらに、記録線速度のそれぞれに応じた分割記録パルスを生成するためのゲート信号を選択して使用する事もできる。
LDドライバ2004は、図34に示すような構成となっている。セレクタ2030は、複数(ここでは3個)のチャネル(出力端子)へそれぞれディジタル電圧制御信号を出力するためのものである。セレクタ2030で出力される3個のチャネルに対してそれぞれ指定されたディジタル電圧制御信号は、各チャネル(Ch1,Ch2,Ch3)から供給されるLD駆動用電流の大きさを示している。上記ドライブマイコン2012が設定した光ディスク2007に最適な分割記録パルスに基づき、例えば、ch1には、バイアスパワーPbに相当する値の電圧値、ch2にはバイアスパワーPbと合わせて消去パワーPeとなる値の電圧値、ch3には、バイアスパワーPb及び消去パワーPeと合わせて記録パワーPwになる値の電圧値を出力する。
このようなセレクタ2030の各チャネルからのディジタル電圧出力は、次に、ディジタル・アナログ変換器(Digital Analog Converter(以下DACという場合がある。)1,DAC2,DAC3(それぞれ、2031,2032,2033で示す)へ入力されてアナログ電圧に変換され、さらに、それぞれの電圧―電流(V/I)変換器2034,2035,2036により電流に変換される。その後、これら各チャネルの電流は、それぞれ、電流を増幅するためのイネーブル端子つきの電流増幅アンプ2037,2038,2039を介して電流加算器2040へ導かれる。その出力として半導体レーザー2005を制御・駆動するLD(制御電流)が得られる。
上記各チャネルch1、ch2の電流増幅アンプ2037,2038のイネーブル端子には、それぞれ分割記録パルス生成制御回路2003からのゲート信号GsとG4から生成した2種のチャネルイネーブル信号(ch1 enb,ch2 enb)が入力されている。
なお、各チャネルイネーブル信号(ゲート信号)とチャネル信号(各パワーレベルレベル)との関係を以下の表1に示す。こうして所望の電流パターンのLD制御信号が得られる。
Figure 2005122874
なお、セレクタ2030においては、通常は、上記ch1、ch2に加え、再生光パワーレベルを出力するためのチャネルch3、チャネルイネーブル信号ch3 enbが追加される。また、G1、G2,G3のそれぞれに対して異なる記録パワーレベルを用いる場合には、それぞれを異なるチャネルに入力する。
中間記録パルス群αT(2≦i≦m−1)は、mが3以上の場合に存在しうるが、その値は、iによらず一定値αcTを取ることが、ゲートG2を簡便化する上で好ましい。さらに、αcはnによって異なる値を取ることも可能であるが、nによらず一定値をとることが回路を簡便にするためには好ましい。
マーク後端位置は、最後端の後端記録パルスαT=Tlastの立下り位置や、その後の記録層温度の冷却過程に依存する。また、マーク後端位置は、マーク最後端の分割パルス周期(α+β)Tにおける、記録パワーPw、バイアスパワーPb、βm−1、α、及びβの値に依存する。本実施の形態が適用される光記録方法では、最後端の記録パルス区間αT=Tlast及びオフパルス区間βT=Tclの値が、記録層の冷却速度に大きな影響を与える。
lastの立下り(終点)は、Tclの開始位置(始点)である。Tlastの立ち上がり(始点)は、やはり、dTlastによって基準クロックT3からのずれをもって規定される。dTlastは、T3より遅れる方向を正とする。後述のdTlast+及びdTlast−も同様に定義する。
dTlastは、通常−1.5T以上、好ましくは−T以上、より好ましくは−0.5T以上とする。一方、dTlastは、通常1.5T以下、好ましくはT以下、より好ましくは0.5T以下とする。αm−1Tの立ち上がり(始点)からT3までの時間が、3T又は4Tであれば、βm−1Tは、βm−1T=(3T又は4T)−αcT+dTlastで自動的に決まる。
先ず、Tlastを概ね1T、より好ましくは、0以上1T以下の範囲で増減して、マーク長を1T増減し、Tclで、ジッタが低くなるように調整し、dTlastで正確に1T分のマーク長差が得られるように微調整する。Tclの調整とdTlastの調整は、いずれか一方でもよい場合もある。また、βm−1が、上述のように、周期3T又は4T、Tlast、dTlastで自動的に決まってもかまわない。その場合、独立パラメータ数を少なくできる。
一方、マーク前端の位置は、ほぼ先頭記録パルスαT=Ttopにおける記録パワーレーザー光の立ち上がり位置で決まり、そのジッタは、αTとβTにおけるパワーPw、Pb、さらには、αTとβTのデューティー比で決まる。また、αT=Ttopの立ち上がり位置は、クロック周期を基準にして、dTtopのずれにも依存する。dTtopは、T1より遅れる方向を正とする。
dTtopは、通常−1.5T以上、好ましくは−T以上、より好ましくは−0.5T以上とする。一方、dTtopは、通常1.5T以下、好ましくはT以下、より好ましくは0.5T以下とする。T1からαTの立ち上がり(始点)までの時間が、3T又は4Tであれば、βTは、βT=(3T又は4T)−(Ttop+dTtop)で自動的に決まる。
先ず、Ttopを概ね1T、より好ましくは0以上1T以下の範囲で増減して、マーク長を1T増減する。そして、βでジッタが低くなるように調整する。さらに、dTtopで正確に1T分のマーク長差が得られるように微調整する。
βの調整とdTtopとの調整は、いずれか一方でもよい場合もある。また、βが、上述のように、周期3T又は4T、Ttop、dTtopで自動的に決まってもかまわない。その場合、独立パラメータ数を少なくできる。
分割数mが3以上である場合は、先頭のパルスと最後尾のパルスと間に存在する中間記録パルス群のうち、i=2〜m−1のαTは一定値αc、(αcT=Tmp)とすることでパルス発生回路を簡便化できることはすでに述べた。さらに、(α+β)Tも3T又は4Tのいずれかの値のみを取ることも、パルス発生回路を簡便化でき好ましいことをすでに述べた。ここで、「一定値」と言う場合、電子回路等の実性能上不可避的に発生するずれは許容されるものとする。即ち、良好な記録が可能となる本実施の形態の効果を奏する限り、多少のずれが生じてもよいのである。例えば、±0.2T程度のずれは、電子回路等の実性能上不可避的に発生するずれに含まれることになる。
以上のようにすることにより、記録パルスストラテジーの記録パルス及びオフパルスのレーザー光(パルス光)発生を制御する制御回路(論理回路、及びレーザードライバー回路)の設計がより簡便化されるようになる。
本実施の形態が適用される光記録方法では、図3に示したような論理回路レベルでの時間幅を基準にパルス幅を規定することとする。即ち、αTの時間幅は、図3に示したタイミングチャートのような分割パルス発生論理回路におけるPwとPbとの間のパワーレベルの遷移、あるいはPwとPeとの間のパワーレベルの遷移に対応する論理レベルの遷移において、論理レベルの電圧又は電流出力が一方のレベルから他のレベルの半分に達した時間(半値幅)で定義する。Pe→Pwの遷移、Pb→Pwの遷移のいずれであっても、論理レベルでは2値レベル間の遷移となるので、半値幅の定義に区別はない。ここで論理レベルとは、例えば、TTLにおける、Lowレベル(通常0V)とHighレベル(通常3.5〜5V)との2値の電圧に対応するレベルのことである。
実際の出力光波形は、1〜2nsec程度の遅延を生じると共に、オーバーシュート、アンダーシュートを伴うので、その記録パワーの時間変動は、図2で示すような単純な方形波形状をしているわけではない。しかし、本実施の形態が適用される光記録方法における記録パルス分割方法では、記録パルス区間αT(i=1〜m)が概ね2nsec以上あれば、記録光の立ち上がり/立ち下がりの問題はあるものの、記録パワーPwを上げることで記録に必要な照射エネルギーを確保できる。その場合も、記録レーザー光パルスの立ち上がり及び立下りを、2nsec未満、より好ましくは1.5nsec未満、さらに好ましくは1nsec未満とすることで、必要な記録パワーPwを抑制することができる。
尚、実際の記録パワー立ち上がり、立下り時間は、通常、それぞれ、Pe又はPbとPwのパワーレベル間でパワーが遷移するとき、一方のレベルから、他方のレベルの差の10%から90%までの遷移に要する時間をいう。立ち上がり、立下り時間の合計は、通常αTより小さく、αTの80%以下であることが好ましく、αTの50%以下であることがより好ましい。
本実施の形態が適用される光記録方法における記録パルス分割方法においては、論理レベルの時間幅と、実際の記録パワーの応答にずれがあったとしても、上記、立ち上がり、立下り時間程度の遅延であれば問題はなく、後述の記録パルス分割方法を規定する各パラメータ(論理レベルで規定)の、好ましいとする可変範囲において、良好な特性を得ることができる。逆に、そのような遅延やオーバーシュート等を必然的に伴う、レーザーダイオード出力であっても、概ね5nsec未満のクロック周期での分割記録パルスによるマーク長変調記録が可能となるのが本実施の形態が適用される光記録方法の重要な特徴である。
一方、オフパルス区間βT(i=1〜m−1)も2nsec以上あれば、バイアスパワーPbを再生光パワーPrと同程度、あるいはトラッキングサーボ等他に支障の無い限り0まで下げることで冷却効果が確保できる。
さらに大きな冷却効果を得るためには、総ての記録マークの時間的長さについてΣ(α)は0.5nよりも小さくするのが好ましい。より好ましくはΣ(α)は0.4n以下とする。即ち、記録パルス区間の総和Σ(αT)をΣ(βT)より短くして、各マーク内でオフパルス区間が長くなるようにする。特に好ましくは、i=2〜m−1の総てのiに対してαT≦βTとし、少なくとも2番目以降の記録パルス列においてβTをαTよりも長くする。
本実施の形態において、βを0として最後のオフパルス区間であるTcl=βTにバイアスパワーのレーザ光を照射しなくてもよいが、通常は、マーク後端部の熱蓄積を避けるためにβTを設けるのが好ましい。βは0以上の実数とする。βの上限は、通常10以下である。
具体的には、βTは、通常2nsec以上とし、好ましくは3nsec以上とする。ここで、βTのパルス時間幅は、上記αTと同様に規定すればよい。すなわち、PwとPbとの間のパワーレベルの遷移及びPbとPeとの間のパワーレベルの遷移において、Pw−Pbの半分のパワーレベルに達した時間からPe−Pbの半分のパワーレベルに達した時間までをβTのパルス時間幅とすればよい。そして、このパルス時間幅は、論理レベルの時間幅で代替しても良い。
本実施の形態が適用される記録方法において、α(i=1〜m)及びβ(i=1〜m−1)の値は、記録パルス区間αT(i=1〜m)やオフパルス区間βT(i=1〜m−1)等の値によって適宜設定されるが、それぞれ0より大きく、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上であり、他方、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。特に、α(i=1〜m)については、記録パルス区間αTが長いと、溶融領域に熱がこもって非晶質マーク形成のための急冷が阻害される場合があるので、上限を2以下とすることが好ましい。一方、β(i=1〜m−1)については、冷却効果を十分に確保するために、1以上とするのが好ましい。
オフパルス区間を大きくする効果は、マーク先端の形状に大きな影響を与える最初のオフパルス区間βT及びマーク後端の形状に大きな影響を与える最後のオフパルス区間βTにおいて特に大きい。
本実施の形態において、記録パルス区間αT(i=1〜m)に照射する記録光のパワーPw及びオフパルス区間βT(i=1〜m−1)に照射する記録光のパワーPbは、Pb<Pw、Pb<Pwi+1なるものとする。但し、i及びnによらず、一つの記録パルス区間及びオフパルス区間中においては、Pw及びPbをそれぞれ一定値とすることが好ましい。大きな冷却効果を得るためには、総ての記録マークの時間的長さについて0≦Pb<Pwとするのが好ましい。より好ましくは0≦Pb/Pw≦0.2であり、さらに好ましくは0≦Pb/Pw≦0.1である。また、バイアスパワーPbは再生時に照射する光のパワーPrと等しくすることができる。その結果、パルス分割に必要な分割パルス回路の設定が簡便になる。
パルス幅に関するパラメータα(i=1〜m)及びβ(i=1〜m−1)は、1/16T以上の高分解能で指定できることが好ましい。より好ましくは、1/20T以上、さらに好ましくは1/32T以上の光分解能で指定できることである。1/8Tより荒い低分解能では、良好な記録が可能な最適なパルス幅に関するパラメータ値を見出せない場合がある。
そのような場合に、特定の一つの記録マークの時間的長さに対して、iに応じてPb及び/又はPwとして異なる2以上の値を用いることもできる。例えば、先頭の記録パルス区間αT及び最後尾の記録パルス区間αTにおける記録パワーPw及びPwを、中間の記録パルス区間αT(i=2〜m−1)における記録パワーPw(i=2〜m−1)と異なる値とすることで、マークの始端部・終端部のマーク形状を正確に制御することができるようになる。この場合、中間の記録パルス区間αT(i=2〜m−1)における記録パワーPwは、総て同じパワー値にするのが、分割パルス回路の設定が簡便となり好ましい。オフパルス区間βT(i=1〜m−1)におけるバイアスパワーPbについても同様に、総てのiで同じパワー値とし、βTにおけるバイアスパワーPbのみを補助的に他のPbと異なる値とするのが好ましい。また、mが1である複数のマーク長のマークを良好に記録するために、異なるnを有する少なくとも2つの記録マークの間で、同じiに対して異なるPw及び/又はPbの値としてもよい。その場合も、Pbは一定とするのが好ましい。
バイアスパワーPbは再生光の再生に要する再生パワーPrとほぼ同じ値であることが好ましく、CD−RWにおいては、通常は2mW以下、好ましくは1.5mW以下、より好ましくは1mW以下、より一層好ましくは0.5mW以下の値とする。フォーカスやトラッキングサーボに支障が無い限りできるだけ0に近づけたほうが、Pb照射区間(オフパルス区間)における記録層の急冷効果が促進されて好ましい。なお、Pw、Pe及びPbの値は、必ずしも直流的に一定である必要はなく、例えばクロック周期Tの1/10程度以下の周期で高周波重畳を加えてレーザーの動作を安定させることができる。この場合のPw、Pe及びPbはそれらの平均値となる。
本実施の形態において、第1義的には、Ttop=αT、dTtop、βT、Tlast=αT、dTlast、及びβT=Tclのいずれかの時間の(パルス幅に関する)パラメータの制御のみで、正確なマーク長の制御と、低ジッタを実現できる。このため、上記時間のパラメータの設定になんらかの制限がある場合においてのみ、Pw、Pw、Pbを個別に微調整することが回路を簡素化する上で好ましい。上記制限とは、具体的には、パルス幅に関するパラメータ値を設定するための分解能が荒く、パルス幅設定だけでは良好な記録ができないような場合である。
より具体的には、αT、βTは、1/8T、好ましくは、1/10Tより細かい時間刻みで、設定値を最適化できることが望ましい。しかしながら、電子回路の性能上、通常は、0.0l〜0.2nsecが、設定の限界であることが多い。たとえば、0.2nsecが限界となる場合、基準クロック周期がその10倍となる2nsecより短い場合には、記録パルスや冷却パルスの時間幅の制御だけでは、記録品質(ジッタ等)が不十分な場合がある。そのような場合には、補助的にαT、αT、βTの期間における記録パワー強度や冷却パワー強度を、上記αT、αT、βTの期間内において段階的に変化させたり、他のαT、βTにおける記録パワー強度や冷却パワー強度と異なる値とすることが、有効となる場合がある。
本実施の形態が適用される光記録方法における「3Tストラテジー」は、分割数mのnに対する周期性を維持することが望ましい。即ち、「分割数mのnに対する周期性」を維持する場合としては、nが3増える毎にmが1増える場合と、nが4増える場合にmが1増える場合とが考えられる。それぞれを、以下では、「n/3ストラテジー」及び「n/4ストラテジー」と呼ぶ。尚、同様の表記法を用いれば、記録パルスの繰り返し周期に注目した図1(b)の「1Tストラテジー」及び図1(c)の「2Tストラテジー」は、それぞれ、「n/1ストラテジー」及び「n/2ストラテジー」と呼ぶことができる。
以下において、「n/3ストラテジー」や「n/4ストラテジー」につき、その周期性に注目したより具体的な方法を述べるが、以下において、n=2、3、4、そして、場合によっては、n=5の場合は、このような周期的な分割数の増減や、図5のパラメータ(α、β、dTtop、dTlast)の周期的な変化の規則に従わないことが多い。
n=5の場合は、m=1乃至は2のいずれかをとりうるが、m=1でのみ、n/m=5となり、m=2とすれば、n/m=2.5となる。つまり、nが5以上の場合には、n/mの最小値は2.5をとりうるが、nが6以上の場合における、n/mは概ね3とするのが好ましく、具体的には、2.5<n/m≦4.5の範囲の値とするのが好ましい。尚、基準クロック周期が、概ね2nsecをきる場合には、m=1とし、それ以上の場合はm=2とするのが好ましい場合がある。5Tマーク(n=5)をm=2で形成する場合は、他のm=2である記録マーク長とのマーク長の差を正確に形成するために、PwやPbの値を、他のm=2であるマーク長とは異なる値とすることも有効である。
さらに、n=2、3、4の場合には、m=1とする。これら短いマーク(2Tマーク、3Tマーク、4Tマーク)を2個以上の記録パルスに分割して記録すると、記録パルス区間、冷却パルス区間の幅を平均して2Tより大きくすることが困難となる。このため、本実施の形態が適用される光記録方法の趣旨である、基準クロック周期を短くした場合に、記録区間の時間長又は冷却区間の時間長のいずれかが不十分となる傾向にある。
分割数mが1の場合、α、βがα、βを兼ねるから、他のnとは異なる値として、α、βのみで、マーク長とマーク前端のジッタと後端のジッタとを調整する必要がある。n=2、3、4の場合も、主として、パルス幅のパラメータであるα、βを調整して、異なるマーク長を、それぞれ形成するのであるが、特に、これらのマーク長においては、他のマーク長における記録パワーPw、バイアスパワーPbとは異なるPwやPbを補助的に用いて、異なるマーク長を、それぞれ形成することがより有効である。
さて、「n/3ストラテジー」の具体例として記録パルス分割方法(II)を以下に説明する。
記録パルス分割方法(II);
n=2、3、4のマーク長においてはm=1、n=5、6、7のマーク長においてはm=2、n=8、9、10のマーク長に対してはm=3、n=11、12、13のマーク長に対しては、m=4、n=14、15、16のマーク長に対しては、m=5である記録方法を挙げることができる。即ち、「n/3ストラテジー」では、同じ分割数mに対して、異なるマーク長が3つずつ組になっている。n=2〜16を、mが同じ3個のnごとに区切って、n/mを計算した値を順に並べると、(2、3、4)、(2.5、3、3.5)、(2.67、3、3.3)、(2.75、3、3.25)、(2.8、3、3.2)となる。nが17以上の場合にも同様に、n=3L−1、3L、3L+1(Lは自然数)を一組として、m=Lとすればよい。
この場合、全マーク長におけるn/mの平均値は、ちょうど3となる。また、mが2以上の場合のn/mの平均値もちょうど3となる。さらに、nが5以上(mが2以上)のマーク長においては、個々のn/mも2.5以上となるので、α+βも2.5以上とすることが可能となる。また、n/mが3以下となるn=5、8、11、14のマーク長においても、n=5(m=2)の場合を除いて、n/mは、約2.7より大きくできる。このため、αTの繰り返し周期を、概ね3に近い値とすることができる。
尚、nに関する3ごとの周期性を、n=6以上に限って適用し、6以上のすべてのnにおいてn/mを3以上とでき、α+βをより確実に3以上とすることができる方法として、以下の記録パルス分割方法(III)法が挙げられる。
記録パルス分割方法(III);
n=2、3、4のマーク長においてはm=1、n=5、6、7、8のマーク長においてはm=2、n=9、10、11のマーク長に対してはm=3、n=12、13、14のマーク長においてはm=4、n=15、16、17のマーク長に対しては、m=5である記録方法を挙げることができる。nが6以上では、同じ分割数mに対して、異なるマーク長が3つずつ組になっている。n=2〜17を、mが同じものごとに区切って、n/mを計算した値を順に並べると、(2、3、4)、(2.5、3、3.5、4)、(3、3.3、3.67)、(3、3.3、3.67)、(3、3.3、3.67)となる。nが18以上の場合も同様に、n=3L、3L+1、3L+2(Lは自然数)を一組として、m=Lとすればよい。
「n/3ストラテジー」(II)に対する、(III)の利点は、6以上のnに対して、α+βを3以上とできることと、後述のように、独立パラメータの数を少なくし、記録パルスの立ち上がり、立下りを基準クロックに同期させやすいということである。
一方、「n/4ストラテジー」の具体例としては、記録パルス分割方法(IV)が挙げられる。
記録パルス分割方法(IV);
n=2、3、4のマーク長においてはm=1、n=5、6、7、8のマーク長においてはm=2、n=9、10、11、12のマーク長に対してはm=3、n=13、14、15、16のマーク長に対しては、m=4である記録方法を挙げることができる。即ち、「n/4ストラテジー」では、n=2、3、4の場合を除いて、同じ分割数mに対して、異なるマーク長が4つずつ組になっている。n=2〜16を、mが同じものごとに区切って、n/mを計算した値を順に並べると、(2、3、4)、(2.5、3、3.5、4)、(3、3.3、3.67、4)、(3.25、3.5、3.75、4)となる。nが17以上の場合にも同様に、n=4L−3、4L−2、4L−1、4Lを一組として、m=Lとすればよい。
「n/3ストラテジー」に対する、「n/4ストラテジー」の利点は、n=2、5の場合を除いて、すべてのnにおいてn/mを3以上とでき、個々のα+βを3乃至は4とすることができる点である。これにより、αT及びβTを確実に1Tより大きな値とすることができる。さらには、αT及びβTを概ね1.5Tより大きな値とできるので、基準クロック周波数がより高い(基準クロック周期がより短い)場合まで適用できる。
以下において、各記録パルス分割方法を、独立パラメータの数を少なくし、記録パルスの立ち上がり、立下りを基準クロックに同期させるという観点から、より具体的で好ましい形態をもって説明する。以下の説明は、さらにまた、先頭記録パルスαT=Ttop、中間記録パルス群αT=αcT=Tmp(2≦i≦m−1、αcはこれらのiによらない一定値)、後端記録パルスαT=Tlastの3つの部分に分けて、分割記録パルスを発生させるという、図3に示した論理回路に適応した方法となっている。
図4は、記録パルス分割方法(II)を、n=2〜16からなるマーク長に適用したタイミングチャートの具体例である。そして、各記録パルスの立ち上がり、または、立下りの位置を、基準クロックとできるだけ同期させている。それととともに、複数のマーク長における各パラメータを、nに関する周期性を考慮して、できるだけ規則的に変化させたものである。図4では、特に、mが2以上では、n=3L−1(図4(a))、n=3L(図4(b))、n=3L+1(図4(c))(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組として考え、Lが1増減すれば、mを1増減させている。そして、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、プラス・マイナス1Tのマーク長差を、原則として、Lによらない一定のパラメータを用いて実現している。
具体的には、同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L−1、n=3L、n=3L+1の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増減することによって、n=3L−1とn=3L+1の記録マーク長をそれぞれ形成する。そして、n=3Lの系列、n=3L−1の系列、n=3L+1の系列のそれぞれで、Lに依存しない独立パラメータを決める。このようにすることで、独立パラメータの数を大幅に少なくできる。以下では、この具体例を記録パルス分割方法(IIa)とする。
図5は、特にL=4の場合の例である。図4におけるn=3L−1、n=3L、n=3L+1(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組とする、周期的なパラメータ変化に注目して詳細な説明を行う。
先ず、記録パルス幅は一定値、Tmp=αcTを基本とする。そして、原則として、記録パルスは、周期3Tをもって基準クロック周期Tに同期して発生される。そして、nが3増える毎(マーク長が3T増える毎、Lが1増える毎)に、時間的長さTmpの中間記録パルスとそれに続くオフパルスの1組が、周期3Tで追加される。図5(a)に示すように、基準クロック周期Tは500の一箱の区間で表され、nTマークは、基準クロックに同期した一点である時間T1を先頭とする。
そして、図5(c)に示すように、n=3Lの場合には、Ttop=αT(501)が、T1からdTtop(503)の時間的ずれをもって発生される。dTtopは、この図では、T1から遅延する場合を正の値とする。dTtopは、Ttopの先頭位置におけるnTマークの先頭位置(T1)からの同期のずれ時間を定義しており、正確なマーク前端位置の調整に利用される。通常は、先頭記録パルスには、それに先行する記録パルスからの余熱がないので、Ttop≧Tmpとして、後続のTmp区間における加熱と同等の加熱効果が得られるようにするのが好ましい。この場合には、βT(504)は、βT=3T−(Ttop+dTtop)で決まるので、独立パラメータではない。
topの後、周期3Tで、基準クロックに同期してm−2個のTmp(502)と、Tlast=αT(505)との順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βT(506)のオフパルスが発生される。よって、オフパルス区間βT(2≦i≦m−2)は、3T−Tmp=(3−αc)T=βcT(507)となる。また、βm−1T(508)は、やはりβm−1T=3T−Tmpで決まるから、独立パラメータではない。Tmpは、前述のように、3T周期ごとに基準クロック周期に同期して繰り返し発生される。もちろん、n=5、6、7の場合には、中間記録パルス区間Tmpは発生されない。なお、Tlastの始点にdTlastのずれを付加することは適宜可能であるが、dTlast=0とすることが好ましい。
一方、図5(d)に示すように、n=3L+1の場合は、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。また、Ttopの後、m−2個のTmpとTlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生される。ここで、Tlast及びTclは、n=3Lの場合とは異なる値Tlast+(510)、Tcl+(511)をとりうる独立パラメータである。また、Tlast+(510)は、補正値dTlast+(512)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast+、Tcl+、及び、dTlast+により、n=3Lの場合より、1T長いマーク長が形成される。通常は、Tlast+>Tlastとし、0<(Tlast+−Tlast)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(513)は、βm−1T=3T−Tmp+dTlast+で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast+の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
図5(b)に示すように、n=3L−1の場合には、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。また、Ttopの後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生される。ここで、Tlast、Tclは、n=3Lの場合とは異なる値Tlast−(520)、Tcl−(521)をとりうる独立パラメータである。また、Tlast−(520)は、補正値dTlast−(522)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast−、Tcl−、及び、dTlast−により、n=3Lの場合より、1T短いマーク長が形成される。通常は、Tlast>Tlast−とし、0<(Tlast−Tlast−)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(523)は、βm−1T=3T−Tmp+dTlast−で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast−の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
ただし、n=5は、他のn=3L−1の場合とは異なるdTtop、Ttop、Tlast、dTlast、Tclをそれぞれ決める自由度があることが望ましい。このため、独立パラメータであることを明らかにするため、図4においては、dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5と表記している。5Tマーク長では、n/m=2.5であるため、他のn=3L−1であるマーク長と異なり、記録パルスの繰返し周期が2.5T程度と小さくなる。このため、5Tマーク長は、他のn=3L−1であるマーク長と同じパラメータでは、正確なマーク長と、低ジッタの実現が難しい場合がある。
n=2、3、4の場合は、m=1である。このため、一対の記録パルス区間Ttopとオフパルス区間βT=Tclで、n=2、3、4のマーク長をそれぞれ形成すると同時に、低いマーク端ジッタを実現する。いずれの場合も、dTtop、Ttop、Tclの3つのパラメータで定義される。そして、それぞれのパラメータは、他のいずれのマーク長におけるdTtop、Ttop、Tclとは別に独立して、定められるものとする。即ち、図4に示すように、2Tマーク長においては、dTtop2、Ttop2、Tcl2、3Tマーク長においては、dTtop3、Ttop3、Tcl3、4Tマーク長においては、dTtop4、Ttop4、Tcl4をもって、それぞれ異なるマーク長を形成する。
以上をまとめると、図4で定義される記録パルス分割方法(IIa)における独立パラメータの数は、n=2、3、4におけるそれぞれ3個を合計した9個のパラメータ(dTtop2、Ttop2、Tcl2、dTtop3、Ttop3、Tcl3、dTtop4、Ttop4、Tcl4)、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)、及びn=6以上における11個のパラメータ(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、dTlast+、Tlast−、Tcl−、dTlast−)である。パラメータの数は、全部で9+5+11=25個となる。
また、通常は、dTlast+、Tcl+のうちのいずれか一方は、dTlast+=0、乃至は、Tcl+=Tclとして、独立パラメータの数を一つ減らすことができる。同様に、dTlast−、Tcl−のうちのいずれか一方は、dTlast−=0、乃至は、Tcl−=Tclとして、独立パラメータの数を一つ減らすことができる。即ち、n=6以上における独立パラメータを(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、dTlast+、Tlast−、dTlast−)の9個、または(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、Tlast−、Tcl−)の9個とすることもできる。
n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)が、n=6以上の場合のn=3L−1におけるパラメータ(dTtop、Ttop、Tlast−、dTlast−、Tcl)と一部又は全部が同じであれば、独立パラメータの数をさらに減らすことができ好ましい。
記録パルス分割方法(IIa)の利点は、後端記録パルス区間αT=Tlastの及びその前後の区間(βm−1T、βT=Tcl)の調整で、n=3L−1、3L、3L+1の3つのマーク長をそれぞれ形成できる点にある。尚、βm−1Tの調整は、dTlastの調整を介して行っている。そして、n=6以上における11個のパラメータ、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、dTlast+、Tlast−、Tcl−、dTlast−)がLによらず一定であるということは、n=5の場合を除いて、n=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定ということになる。
さらに、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)が、L≧3の場合のn=3L−1の場合におけるパラメータと同じであれば、L≧2のすべての場合においてn=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定ということになる。
図22は、記録パルス分割方法(II)の他の一例である。図22では、特に、mが2以上では、n=3L−1、3L、3L+1(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組として考え、Lが1増減すれば、mを1増減するようにしている。そして、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、プラス・マイナス1Tのマーク長差を、原則として、Lによらず、一定のパラメータを用いて実現している。具体的には、同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L−1、3L、3L+1の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを減ずることによって、n=3L−1の記録マーク長を形成し、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させることにより、n=3L+1の場合の記録マーク長を形成する。そして、n=3Lの系列、n=3L−1の系列、n=3L+1の系列のそれぞれで、Lに依存しない独立パラメータを決める。このようにすることで、独立パラメータの数を大幅に少なくできる。以下では、この具体例を記録パルス分割方法(IIb)とする。
特に、L=4の場合を例とする図23で、図22におけるn=3L−1、3L、3L+1(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組とする、周期的なパラメータ変化に注目して詳細な説明を行う。
まず、記録パルス幅は一定値、Tmp=αcTを基本とする。そして、原則として、記録パルスは、周期3Tをもって基準クロック周期Tに同期して発生される。そして、nが3増える毎(マーク長が3T増える毎、Lが1増える毎)に、時間的長さTmpの中間記録パルスとそれに続くオフパルスの1組が、周期3Tで追加される。基準クロック周期Tは、図23(a)の600の一箱の区間で表され、nTマークは、基準クロックに同期した一点である時間T1を先頭とする。
そして、n=3L(図23(c))の場合には、Ttop=αT(601)が、T1からdTtop(603)の時間的ずれをもって発生される。dTtopは、この図では、T1から遅延する場合を正の値とする。dTtopは、Ttopの先頭位置におけるnTマークの先頭位置(T1)からの同期のずれ時間を定義しており、正確なマーク前端位置の調整に利用される。通常は、先頭記録パルスには、それに先行する記録パルスからの余熱がないので、Ttop≧Tmpとして、後続のTmp区間における加熱と同等の加熱効果が得られるようにするのが好ましい。βT(604)は、この場合には、βT=3T−(Ttop+dTtop)で決まるので、独立パラメータではない。
topの後、周期3Tで、基準クロックに同期してm−2個のTmp(602)と、Tlast=αT(605)との順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βT(606)のオフパルスが発生される。よって、オフパルス区間βT(2≦i≦m−2)は、3T−Tmp=(3−αc)T=βcT(607)となる。また、この場合には、βm−1T(608)も、βm−1T=3T−Tmpで決まるから、独立パラメータではない。なお、Tlastの始点にdTlastのずれを付加することは適宜可能であるが、dTlast=0とすることが好ましい。
mpは、前述のように、3T周期ごとに基準クロック周期に同期して繰り返し発生される。もちろん、n=5、6、7の場合には、中間記録パルス区間Tmpは発生されない。
一方、n=3L+1(図23(d))の場合には、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生されるが、Ttop、dTtopは、n=3Lの場合とは異なる値、Ttop+(610)、dTtop+(611)をとりうるものとする。
また、Ttop+の後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生される。主として、Ttopをn=3Lとは異なる値Ttop+とし、dTtop+で補正することにより、n=3Lよりも1T長いマーク長を形成する。この際、αTは、T1から4T周期をもって立ち上がるものとする。通常は、Ttop+>Ttop、とし、0<(Ttop+−Ttop)≦Tとするのが好ましい。これに伴い、βT(612)は、βT=4T−(Ttop++dTtop+)により決まるので、独立パラメータではない。つまり、dTtop+及びTtop+の調整は、βTの調整を行っていることを意味する。
このように、Ttopを増減する場合、T1からαTの立ち上がりまでの周期を1T増減することで、後続の記録パルスの発生が1Tのずれで、基準クロック周期との同期を維持できる。また、Ttopを減少させる場合、T1とαTの立ち上がりまでの時間が2Tとなって、十分な冷却時間βTが維持できなくなる。このため、Ttopを可変して1Tのマーク長差を付ける場合は、1T増加させることが好ましい。
n=3L−1(図23(b))の場合には、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。また、Ttopの後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生される。ここで、Tlast、Tclは、n=3Lの場合とは異なる値Tlast−(620)、Tcl−(621)をそれぞれとりうる独立パラメータである。また、Tlast−(620)は、補正値dTlast−(622)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast−、Tcl−、及び、dTlast−により、n=3Lの場合より、1T短いマーク長を形成する。通常は、Tlast>Tlast−とし、0<(Tlast−Tlast−)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(623)は、βm−1T=3T−Tmp+dTlast−で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast−の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
ただし、n=5は、他のn=3L−1の場合とは異なるdTtop、Ttop、Tlast、dTlast、Tclをそれぞれ決める自由度があることが望ましい。このため、それぞれ、独立パラメータであることを明らかにするため、図22においては、dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5と表記する。5Tマーク長ではn/m=2.5であるため、他のn=3L−1であるマーク長と異なり、記録パルスの繰返し周期が2.5T程度と小さくなる。このため、5Tマーク長は、他のn=3L−1であるマーク長と同じパラメータでは、正確なマーク長と、低ジッタの実現が難しい場合がある。
n=2、3、4の場合は、m=1である。このため、一対の記録パルス区間Ttopとオフパルス区間βT=Tclで、n=2、3、4のマーク長をそれぞれ形成すると同時に、低いマーク端ジッタを実現する。いずれの場合も、dTtop、Ttop、Tclの3つのパラメータで定義される。そして、それぞれのパラメータは、他のいずれのマーク長におけるdTtop、Ttop、Tclとは別に独立して、定められるものとする。すなわち、図4に示すように、2Tマーク長においては、dTtop2、Ttop2、Tcl2、3Tマーク長においては、dTtop3、Ttop3、Tcl3、4Tマーク長においては、dTtop4、Ttop4、Tcl4をもって、それぞれ異なるマーク長を形成する。
以上をまとめると、図22で定義される記録パルス分割方法(IIb)における独立パラメータの数は、n=2、3、4におけるそれぞれ3個を合計した9個のパラメータ(dTtop2、Ttop2、Tcl2、dTtop3、Ttop3、Tcl3、dTtop4、Ttop4、Tcl4)、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)、及びn=6以上における10個のパラメータ(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、dTtop+、Ttop+、Tlast−、Tcl−、dTlast−)である。すなわち、パラメータの数は、全部で9+5+10=24個となる。
なお、m=2以上のn=3L−1のマーク長を形成する際に、dTlast−をゼロとするか、Tcl−=Tclとすることも可能である。つまり、n=3L−1における、dTlast又はTclの一方だけを、n=3Lの場合と異なる値とすることでも良好な結果が得られる場合が多い。この場合、n=6以上における独立パラメータを(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、dTtop+、Ttop+、Tlast−、Tcl−)の9個、または、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、dTtop+、Ttop+、dTlast−、Tlast−)の9個とすることができる。
n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)が、n=3L−1(L≧3)における独立パラメータ(dTtop、Ttop、Tlast−、dTlast−、Tcl−)の一部又は全部と同じであれば、独立パラメータの数をさらに減らすことができ好ましい。
記録パルス分割方法(IIb)の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=3L−1、3L、3L+1となる3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において、後端記録パルス区間αT=Tlast及びその前後の区間(βm−1T、βT=Tcl)の調整でn=3L−1の記録マーク長を形成する点にある。
また、記録パルス分割方法(IIb)の別の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=3L−1、3L、3L+1となる3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において先端記録パルス区間αT=Ttop及びその後の区間βTの調整でn=3L+1の記録マーク長を形成する点にある。
なお、βm−1Tの調整は、dTlastの調整を介して行っており、βTの調整は、Ttop=αTとdTtopの調整を介して行っている。
そして、n=6以上における10個のパラメータ、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、dTtop+、Ttop+、Tlast−、Tcl−、dTlast−)がLによらず一定であるということは、n=5の場合を除いて、n=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定ということになる。さらに、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)が、n=6以上の場合のn=3L−1の場合におけるパラメータと同じであれば、L≧2のすべての場合においてn=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定ということになる。
なお、記録パルス分割方法(IIa)、(IIb)において、n=3L−1においてαを小さくするのではなく、αを小さくすることでマーク長を調整することも可能である。但し、αを小さくすることによりα+βが3より短くなる場合があるため、この場合にはαを小さくすることが好ましい。
図6は、記録パルス分割方法(III)を、n=2〜17からなるマーク長に適用した具体例である。そして、各記録パルスの立ち上がり、または、立下りの位置を、基準クロックとできるだけ同期させている。それとともに、複数のマーク長における各パラメータを、nに関する周期性を考慮して、できるだけ規則的に変化させたものである。以下では、この具体例を記録パルス分割方法(IIIa)とする。
nが6以上の場合には、n=3L、n=3L+1、n=3L+2(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組として考える。そして、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、プラス1T及びプラス2Tのマーク長差を、原則として、Lによらない一定のパラメータを用いて実現している。具体的には、同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L、n=3L+1、n=3L+2の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=3L+1の記録マーク長を形成し、さらに、n=3L+1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させることにより、n=3L+2との記録マーク長を形成する。そして、n=3Lの系列、n=3L+1の系列、n=3L+2の系列のそれぞれで、Lに依存しない独立パラメータを決める。このようにすることで、独立パラメータの数を大幅に少なくできる。
図7は、特にL=4の場合の例である。図6におけるn=3L、n=3L+1、n=3L+2(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組とする、周期的なパラメータ変化に注目して詳細な説明を行う。
先ず、記録パルス幅は、一定値Tmp=αcTを基本とする。そして、原則として、記録パルスは、周期3Tをもって基準クロック周期Tに同期して発生される。そして、nが3増える毎(マーク長が3T増える毎、Lが1増える毎)に、時間的長さTmpの中間記録パルスとそれにつづくオフパルスとの1組が周期3Tで追加される。図7(a)に示すように、基準クロック周期Tは700の一箱の区間で表され、nTマークは、基準クロックに同期した一点である時間T1を先頭とする。
そして、図7(b)に示すように、n=3Lの場合には、Ttop=αT(701)が、T1からdTtop(703)の時間的ずれをもって発生される。dTtopは、この図では、T1から遅延する場合を正の値とする。dTtopは、Ttopの先頭位置におけるnTマークの先頭位置(T1)からの同期のずれ時間を定義しており、正確なマーク前端位置の調整に利用される。通常は、先頭記録パルスには、それに先行する記録パルスからの余熱がないので、Ttop≧Tmpとして、後続のTmp区間における加熱と同等の加熱効果が得られるようにするのが好ましい。この場合には、βT(704)は、βT=3T−(Ttop+dTtop)で決まるので、独立パラメータではない。
topの後、周期3Tで、基準クロックに同期してm−2個のTmp(702)と、Tlast=αT(705)との順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βT(706)のオフパルスが発生される。よって、オフパルス区間βT(2≦i≦m−2)は、3T−Tmp=(3−αc)T=βcT(707)となる。また、βm−1T(708)は、やはりβm−1T=3T−Tmpで決まるから、独立パラメータではない。Tmpは、前述のように、3T周期ごとに基準クロック周期に同期して繰り返し発生される。もちろん、n=5、6、7、8の場合には、中間記録パルス区間Tmpは発生されない。なお、Tlastの始点にdTlastのずれを付加することは適宜可能であるが、dTlast=0とすることが好ましい。
一方、図7(c)に示すように、n=3L+1の場合は、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。また、Ttopの後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生されるのである。ここで、Tlast及びTclは、n=3Lの場合とは異なる値Tlast+(710)、Tcl+(711)をとりうる独立パラメータである。また、補正値dTlast+(712)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast+、Tcl+、dTlast+により、n=3Lの場合より、1T長いマーク長を形成する。通常は、Tlast+>Tlastとし、0<(Tlast+−Tlast)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(713)は、βm−1T=3T−Tmp+dTlast+で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast+の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
図7(d)に示すように、n=3L+2の場合には、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。但し、Ttop、dTtopは、他の3L、3L+1の場合とは異なる値、Ttop+(720)、dTtop+(721)をとりうるものとする。また、Ttop+の後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生される。ここで、Tlast、Tclは、n=3L+1の場合と同じ値Tlast+(723)、Tcl+(724)及び補正値dTlast+(725)をとりうるものとする。主として、Ttopをn=3L+1とは異なる値Ttop+とし、dTtop+で補正することにより、n=3L+1よりも1T長いマーク長が形成される。この際、αTは、T1から4T周期をもって立ち上がるものとする。通常は、Ttop+>Ttop、とし、0<(Ttop+−Ttop)≦Tとするのが好ましい。これに伴い、βT(722)は、βT=4T−(Ttop++dTtop+)により決まるので、独立パラメータではない。つまり、dTtop+及びTtop+の調整は、βTの調整を行っていることを意味する。
このように、Ttopを増減する場合、T1からαTの立ち上がりまでの周期を、1T増減することで、後続の記録パルスの発生が1Tのずれで、基準クロック周期との同期を維持できる。また、Ttopを減少させる場合、T1とαTの立ち上がりまでの時間が2Tとなって、十分な冷却時間βTが維持できなくなる場合がある。このため、Ttopを可変して1Tのマーク長差をつける場合は、1T増加させることが好ましい。
n=5は、他のn=3L+2の場合とは異なるdTtop、Ttop、Tlast、dTlast、Tclをそれぞれ決める自由度があることが望ましい。このため、それぞれ、独立パラメータであることを明らかにするため、図6においては、dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5と表記する。5Tマーク長ではn/m=2.5であるため、他のn=3L+2であるマーク長と異なり、記録パルスの繰返し周期が2.5T程度と小さくなる。このため、5Tマーク長は、他のn=3L+2であるマーク長と同じパラメータでは、正確なマーク長と、低ジッタの実現が難しい場合がある。
n=2、3、4の場合は、m=1である。このため、一対の記録パルス区間Ttopとオフパルス区間βT=Tclで、n=2、3、4のマーク長をそれぞれ形成すると同時に、低いマーク端ジッタを実現する。いずれの場合も、dTtop、Ttop、Tclの3つのパラメータで定義される。そして、それぞれのパラメータは、他のいずれのマーク長における、dTtop、Ttop、Tclとは別に独立して、定められるものとする。即ち、図6に示すように、2Tマーク長においては、dTtop2、Ttop2、Tcl2、3Tマーク長においては、dTtop3、Ttop3、Tcl3、4Tマーク長においては、dTtop4、Ttop4、Tcl4をもって、それぞれ異なるマーク長を形成する。
以上をまとめると、図6で定義される記録パルス分割方法(IIIa)における独立パラメータの数は、n=2、3、4におけるそれぞれ3個を合計した9個のパラメータ(dTtop2、Ttop2、Tcl2、dTtop3、Ttop3、Tcl3、dTtop4、Ttop4、Tcl4)、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)、及びn=6以上における10個のパラメータ(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、dTlast+、Tcl+、dTtop+、Ttop+)である。すなわち、パラメータの数は、全部で9+5+10=24個となる。
尚、m=2以上のn=3L+2のマーク長を形成する際に、さらに、Tlast+、Tcl+を、n=3L+1のマーク長の場合と異なる値Tlast+2、Tcl+2としてもよい。Tlast+2及びTcl+2を独立パラメータとして別途定めることで、より良いジッタが得られる場合がある。一方で、dTlast+、dTlast+2をゼロとするか、Tcl+=Tcl、Tcl+2=Tclとすることも可能である。つまり、n=3L+1、3L+2における、dTlastもしくは、Tclの一方だけをn=3Lの場合と異なる値とすることでも良好な結果が得られる場合が多い。この場合、n=6以上における独立パラメータを(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、dTtop+、Ttop+)又は(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、dTlast+、dTtop+、Ttop+)の9個とすることができる。
n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)が、n=3L+2(L≧2)における独立パラメータ(dTtop+、Ttop+、Tlast+、dTlast+、Tcl+)の一部又は全部と同じであれば、独立パラメータの数をさらに減らすことができ好ましい。
記録パルス分割方法(IIIa)の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=3L、3L+1、3L+2となる3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において、後端記録パルス区間αT=Tlast及びその前後の区間(βm−1T、βT=Tcl)の調整のみでn=3L+1の記録マーク長を形成する点にある。
記録パルス分割方法(IIIa)の別の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=3L、3L+1、3L+2となる3つの記録マーク長を一組とし、n=3L+1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において先端記録パルス区間αT=Ttop及びその後の区間βTの調整でn=3L+2の記録マーク長を形成する点にある。
なお、βm−1Tの調整は、dTlastの調整を介して行っており、βTの調整は、Ttop=αTとdTtopの調整を介して行っている。
そして、n=6以上における10個のパラメータ、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、dTlast+、Tcl+、dTtop+、Ttop+)が、Lによらず一定であるということは、n=3L、3L+1、3L+2(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定であるということに他ならない。
図24は、記録パルス分割方法(III)の他の一例である。以下では、この具体例を記録パルス分割方法(IIIb)とする。
nが6以上の場合には、n=3L、3L+1、3L+2(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組として考える。そして、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、プラス1T及びプラス2Tのマーク長差は、原則として、Lによらない一定のパラメータを用いて実現している。具体的には、同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L、3L+1、3L+2の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=3L+1の記録マーク長を形成し、n=3L+1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させることにより、n=3L+2の場合の記録マーク長を形成する。そして、n=3Lの系列、n=3L+1の系列、n=3L+2の系列のそれぞれで、Lに依存しない独立パラメータを決める。このようにすることで、独立パラメータの数を大幅に少なくできる。
特に、L=4の場合を例とする図25において、図24におけるn=3L、3L+1、3L+2(L≧2の整数)の3つのマーク長を一組とする、周期的なパラメータ変化に注目して詳細な説明を行う。
まず、記録パルス幅は、一定値Tmp=αcTを基本とする。そして、原則として、記録パルスは、周期3Tをもって基準クロック周期Tに同期して発生される。そして、nが3増える毎(マーク長が3T増える毎、Lが1増える毎)に、Tmpの中間記録パルスとそれにつづくオフパルスとの1組が周期3Tで追加される。基準クロック周期Tは、図25(a)の800の一箱の区間で表され、nTマークは、基準クロックに同期した一点である時間T1を先頭とする。
そして、n=3L(図25(b))の場合には、Ttop=αT(801)が、T1からdTtop(803)の時間的ずれをもって発生される。dTtopは、この図では、T1から遅延する場合を正の値とする。dTtopは、Ttopの先頭位置におけるnTマークの先頭位置(T1)からの同期のずれ時間を定義しており、正確なマーク前端位置の調整に利用される。通常は、先頭記録パルスには、それに先行する記録パルスからの余熱がないので、Ttop≧Tmpとして、後続のTmp区間における加熱と同等の加熱効果が得られるようにするのが好ましい。この場合には、βT(804)は、βT=3T−(Ttop+dTtop)で決まるので、独立パラメータではない。
topの後、周期3Tで、基準クロックに同期してm−2個のTmp(802)と、Tlast=αT(805)との順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βT(806)のオフパルスが発生される。よって、オフパルス区間βT(2≦i≦m−2)は、3T−Tmp=(3−αc)T=βcT(807)となる。また、βm−1T(808)も、βm−1T=3T−Tmp決まるから独立パラメータではない。なお、Tlastの始点にdTlastのずれを付加することは適宜可能であるが、dTlast=0とすることが好ましい。
mpは、前述のように、3T周期ごとに基準クロック周期に同期して繰り返し発生される。もちろん、n=5、6、7、8の場合には、中間記録パルス区間Tmpは発生されない。
一方、n=3L+1(図25(c))の場合には、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生されるが、Ttop、dTtopは、他の3Lの場合とは異なる値、Ttop+(810)、dTtop+(811)をとりうるものとする。
また、Ttop+の後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生される。主として、Ttopをn=3Lとは異なる値Ttop+とし、dTtop+で補正することにより、n=3Lよりも1T長いマーク長を形成する。この際、αTは、T1から4T周期をもって立ち上がるものとする。通常は、Ttop+>Ttop、とし、0<(Ttop+−Ttop)≦Tとするのが好ましい。これに伴い、βT(812)は、βT=4T−(Ttop++dTtop+)により決まるので、独立パラメータではない。つまり、dTtop+及びTtop+の調整は、βTの調整を行っていることを意味する。
n=3L+2(図25(d))の場合には、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生されるが、Ttop及び、dTtopは、n=3L+1と同じ値、Ttop+(820)及びdTtop+(821)をとるものとする。この際、αT=Tmpは、T1から4T周期をもって立ち上がるものとする。これに伴い、βT(822)は、βT=4T−(Ttop++dTtop+)により決まるので、独立パラメータではない。つまり、dTtop+及びTtop+の調整は、βTの調整を行っていることを意味する。
αTを含めてm−2個のTmpが発生された後、Tlastの記録パルスが発生され、最後に冷却パルスTclが発生される。ここで、Tlast及びTclは、n=3L+1の場合とは異なる値Tlast+(823)、Tcl+(824)をとりうる。また、補正値dTlast+(825)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast+、Tcl+、dTlast+により、n=3L+1の場合より、1T長いマーク長をするのである。通常は、Tlast+>Tlastとし、0<(Tlast+−Tlast)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(826)は、βm−1T=3T−Tmp+dTlast+で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast+の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
n=5は、他のn=3L+2の場合とは異なるdTtop、Ttop、Tlast、dTlast、Tclをそれぞれ決める自由度があることが望ましい。このため、それぞれ、独立パラメータであることを明らかにするため、図24においては、dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5と表記する。5Tマーク長ではn/m=2.5であるため、他のn=3L+2であるマーク長と異なり、記録パルスの繰返し周期が2.5T程度と小さくなる。このため、5Tマークは、他のn=3L+2であるマーク長と同じパラメータでは、正確なマーク長と、低ジッタの実現が難しい場合がある。
n=2、3、4の場合は、m=1である。このため、一対の記録パルス区間Ttopとオフパルス区間βT=Tclで、n=2、3、4のマーク長をそれぞれ形成すると同時に、低いマーク端ジッタを実現する。いずれの場合も、dTtop、Ttop、Tclの3つのパラメータで定義される。そして、それぞれのパラメータは、他のいずれのマーク長における、dTtop、Ttop、Tclとは別に独立して、定められるものとする。すなわち、図24に示すように、2Tマーク長においては、dTtop2、Ttop2、Tcl2、3Tマーク長においては、dTtop3、Ttop3、Tcl3、4Tマーク長においては、dTtop4、Ttop4、Tcl4をもって、それぞれ異なるマーク長を形成する。
以上をまとめると、図24で定義される記録パルス分割方法(IIIb)における独立パラメータの数は、n=2、3、4におけるそれぞれ3個を合計した9個のパラメータ(dTtop2、Ttop2、Tcl2、dTtop3、Ttop3、Tcl3、dTtop4、Ttop4、Tcl4)、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)、及びn=6以上における10個のパラメータ(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、dTtop+、Ttop+、Tlast+、dTlast+、Tcl+)である。すなわち、パラメータの数は、全部で9+5+10=24個となる。
なお、m=2以上のn=3L+2のマーク長を形成する際に、さらに、Ttop+、dTtop+を、n=3L+1のマーク長の場合と異なる値Ttop+2、dTtop+2としてもよい。Ttop+2及びdTtop+2を独立パラメータとして別途定めることで、より良いジッタが得られる場合がある。一方で、dTlast+をゼロとするか、Tcl+=Tclとすることも可能である。つまり、3L+2における、dTlastもしくは、Tclの一方だけをn=3L、3L+1の場合と異なる値とすることでも良好な結果が得られる場合が多い。この場合、n=6以上における独立パラメータを(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、dTtop+、Ttop+、Tlast+、Tcl+)の9個、もしくは、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、dTtop+、Ttop+、dTlast+、Tlast+)の9個とすることができる。
n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)が、n=3L+2(L≧3)における独立パラメータ(dTtop+、Ttop+、Tlast+、dTlast+、Tcl+)の一部又は全部と同じであれば、独立パラメータの数をさらに減らすことができ好ましい。
記録パルス分割方法(IIIb)の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=3L、3L+1、3L+2となる3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において、前記光記録方法において先端記録パルス区間αT=Ttop及びその後の区間βTの調整でn=3L+1の記録マーク長を形成する点にある。
記録パルス分割方法(IIIb)の他の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=3L、3L+1、3L+2となる3つの記録マーク長を一組とし、n=3L+1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、後端記録パルス区間αT=Tlast及びその前後の区間(βm−1T、βT=Tcl)の調整でn=3L+2の記録マーク長を形成する点にある。
なお、βm−1Tの調整は、dTlastの調整を介して行っており、βTの調整は、Ttop=αTとdTtopの調整を介して行っている。
そして、n=6以上における10個のパラメータ、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、dTlast+、Tcl+、dTtop+、Ttop+)が、Lによらず一定であるということは、n=3L、3L+1、3L+2(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定ということになる。
図8は、記録パルス分割方法(IV)を、n=2〜16からなるマーク長に適用したタイミングチャートの具体例である。そして、各記録パルスの立ち上がり、または、立下りの位置を、基準クロックとできるだけ同期させている。それとともに、複数のマーク長における各パラメータを、nに関する周期性を考慮して、できるだけ規則的に変化させたものである。図8では、特に、mが2以上では、n=4L−3、n=4L−2、n=4L−1、n=4L(L≧2の整数)の4つのマーク長を一組として考え、Lが1増減すれば、mを1増減させる。そして、原則として、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、プラス2T・マイナス1Tのマーク長差を、原則として、Lによらない一定のパラメータを用いて実現している。
具体的には、同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=4L−3、n=4L−2、n=4L−1、n=4Lの4つの記録マーク長を一組とし、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増減して、それぞれn=4L−1とn=4L−3との記録マーク長をそれぞれ形成し、さらに、n=4L−1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法(記録パルス分割方法)を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=4Lの記録マーク長を形成する。そして、n=4L−3の系列、n=4L−2の系列、n=4L−1の系列、n=4Lの系列のそれぞれで、Lに依存しない独立パラメータを決める。このようにすることで、独立パラメータの数を大幅に少なくできる。以下では、この具体例を記録パルス分割方法(VIa)とする。
図9は、特にL=3の場合の例である。図8におけるn=4L−3、n=4L−2、n=4L−1、n=4L(L≧2の整数)の4つのマーク長を一組とする周期的なパラメータ変化に注目して詳細な説明を行う。
先ず、記録パルス幅は、一定値Tmp=αcTを基本とする。そして、原則として、記録パルスは、周期3T乃至は4Tをもって基準クロック周期Tに同期して発生される。そして、nが4増える毎(マーク長が4T増える毎、Lが1増える毎)に、Tmpの中間記録パルスとそれに続くオフパルスの1組が周期4Tで追加される。基準クロック周期Tは、図9(a)の900の一箱の区間で表され、nTマークは、基準クロックに同期した一点である時間T1を先頭とする。
そして、図9(c)に示すように、n=4L−2の場合には、Ttop=αT(901)が、T1からdTtop(903)の時間的ずれをもって発生される。dTtopは、この図では、T1から遅延する場合を正の値とする。
dTtopは、Ttopの先頭位置におけるnTマークの先頭位置(T1)からの同期のずれ時間を定義しており、正確なマーク前端位置の調整に利用される。通常は、先頭記録パルスには、それに先行する記録パルスからの余熱がないので、Ttop≧Tmpとして、後続のTmp区間における加熱と同等の加熱効果が得られるようにするのが好ましい。βT(904)は、この場合にはβT=3T−(Ttop+dTtop)で決まるので、独立パラメータではない。
topの後、周期3Tで、基準クロックに同期して最初のTmp(902)がT4で発生され、以後は周期4Tとなって、最後にT5でTlast=αT(905)の順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βT(906)のオフパルスが発生される。よって、オフパルス区間βT(2≦i≦m−2)は、4T−Tmp=(4−αc)T=βcTとなるが、図9に示す例では現れない。また、βm−1T(907)は、この場合には、4T−Tmp=(4−αm−1)Tとできる。この記録パルス分割方法においては、Lが一個増えればTmpが、4T周期ごとに基準クロック周期に同期して繰り返し発生される点が、記録パルス分割方法(IIa)、(IIIa)とは、異なる。もちろん、n=5、6、7、8の場合には、中間記録パルス区間Tmpは発生されない。なお、Tlastの始点にdTlastのずれを付加することは適宜可能であるが、dTlast=0とすることが好ましい。
図9(b)に示すように、n=4L−3の場合は、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。また、Ttopの後、周期3Tで、基準クロックに同期して最初のTmpがT4で発生され、以後は周期4Tとなって、T5でTlast=αTの順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βTのオフパルスが発生される。ここで、Tlast、Tclは、n=4L−2の場合とは異なる値Tlast−(910)、Tcl−(911)をそれぞれとりうる独立パラメータである。また、Tlast−(910)は、補正値dTlast−(912)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast−、Tcl−、及び、dTlast−により、n=4L−2の場合より、1T短いマーク長を形成する。通常は、Tlast>Tlast−とし、0<(Tlast−Tlast−)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(913)は、この場合にはβm−1T=4T−Tmp+dTlast−で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast−の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
一方、図9(d)に示すように、n=4L−1の場合は、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。また、Ttopの後、周期3Tで、基準クロックに同期して最初のTmpがT4で発生され、以後は周期4Tとなって、最後にT5でTlast=αTの順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βTのオフパルスが発生される。ここで、Tlast、Tclは、n=4L−2の場合とは異なる値Tlast+(920)、Tcl+(921)をそれぞれとりうる独立パラメータである。また、Tlast+(920)は、補正値dTlast−(922)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast+、Tcl+、及び、dTlast+により、n=4L−2の場合より、1T長いマーク長を形成する。通常は、Tlast+>Tlastとし、0<(Tlast+−Tlast)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(923)は、βm−1T=4T−Tmp+dTlast+で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast+の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
図9(e)に示すように、n=4Lの場合には、Ttopは、やはり、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生されるが、Ttop、dTtopは、他の4L−3、4L−2、4L−1の場合とは異なる値、Ttop+(930)、dTtop+(931)をそれぞれとりうるものとする。
また、Ttop+の後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に、周期4Tで記録パルスが発生され、最後にTclが発生されるのであるが、Tlast、Tclは、n=4L−1の場合と同じ値Tlast+(933)、Tcl+(934)及び補正値dTlast+(935)をとりうるものとする。主として、Ttopをn=4L−1とは異なる値Ttop+とし、dTtop+で補正することにより、n=4L−1よりも1T長いマーク長を形成する。通常は、Ttop+>Ttop、とし、0<(Ttop+−Ttop)≦Tとするのが好ましい。これに伴い、βT(932)は、βT=4T−(Ttop++dTtop+)により決まるので、独立パラメータではない。つまり、Ttop+、及びdTlast+の調整は、βTの調整を行っていることを意味する。
ただし、n=5は、他のn=4L−3の場合とは異なるdTtop、Ttop、Tlast、dTlast、Tclをそれぞれ決める自由度があることが望ましい。このため、それぞれ、独立パラメータであることを明らかにするため、図8においては、dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5と表記する。5Tマーク長ではn/m=2.5であるため、他のn=3L−1であるマーク長と異なり、記録パルスの繰返し周期が2.5T程度と小さくなる。このため、5Tマーク長は、他のn=3L−1であるマーク長と同じパラメータでは、正確なマーク長と、低ジッタの実現が難しい場合がある。
n=2、3、4の場合は、m=1である。このため、一対の記録パルス区間Ttopとオフパルス区間βT=Tclで、n=2、3、4のマーク長をそれぞれ形成すると同時に、低いマーク端ジッタを実現する。いずれの場合も、dTtop、Ttop、Tclの3つのパラメータで定義される。そして、それぞれのパラメータは、他のいずれのマーク長におけるdTtop、Ttop、Tclとは別に独立して、定められるものとする。即ち、図8に示すように、2Tマーク長においては、dTtop2、Ttop2、Tcl2、3Tマーク長においては、dTtop3、Ttop3、Tcl3、4Tマーク長においては、dTtop4、Ttop4、Tcl4をもって、それぞれ異なるマーク長を形成する。
以上をまとめると、図8で定義される記録パルス分割方法(IVa)における独立パラメータの数は、n=2、3、4におけるそれぞれ3個を合計した9個のパラメータ(dTtop2、Ttop2、Tcl2、dTtop3、Ttop3、Tcl3、dTtop4、Ttop4、Tcl4)、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)、及びn=6以上における13個のパラメータ(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、dTlast+、Tlast−、Tcl−、dTlast−、dTtop+、Ttop+)である。すなわち、パラメータの数は、全部で9+5+13=27個となる。
また、通常は、dTlast+、Tcl+のうちのいずれか一方は、dTlast+=0乃至は、Tcl+=Tclとして、独立パラメータの数を一つ減らすことができる。同様に、dTlast−、Tcl−のうちのいずれか一方は、dTlast−=0、乃至は、Tcl−=Tclとして、独立パラメータの数を一つ減らすことができる。即ち、n=6以上における独立パラメータを(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、dTlast+、Tlast−、dTlast−、dTtop+、Ttop+)の11個、または(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、Tlast−、Tcl−、dTtop+、Ttop+)の11個とすることもできる。
記録パルス分割方法(IVa)の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=4L−3、4L−2、4L−1、4Lとなる4つの記録マーク長を一組とし、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において後端記録パルス区間αT=Tlast及びその前後の区間(βm−1T、βT=Tcl)の調整でn=4L−3とn=4L−1との記録マーク長を形成する点にある。
記録パルス分割方法(IVa)の他の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=4L−3、4L−2、4L−1、4Lとなる4つの記録マーク長を一組とし、n=4L−1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において先端記録パルス区間αT=Ttop及びその後の区間βTの調整でn=4Lの記録マーク長を形成する点にある。
なお、βm−1Tの調整は、dTlastの調整を介して行っており、βTの調整は、Ttop=αTとdTtopの調整を介して行っている。
そして、n=6以上における13個のパラメータ、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、dTlast+、Tlast−、Tcl−、dTlast−、dTtop+、Ttop+)がLによらず一定であるということは、n=4L−3、4L−2、4L−1、4L(L≧2)の4つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、n=5である場合をのぞいて、Lによらず一定であるということに他ならない。より好ましくは、n=5の場合も含めてLによらず一定とすることである。
図26は、記録パルス分割方法(IV)の他の一例である。図26では、特に、mが2以上では、n=4L−3、4L−2、4L−1、4L(L≧2の整数)の4つのマーク長を一組として考え、Lが1増減ずれば、mを1増減させる。そして、原則として、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、プラス2T・マイナス1Tのマーク長差を、原則としてLによらない一定のパラメータを用いて、実現している。
具体的には、同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=4L−3、4L−2、4L−1、4Lの4つの記録マーク長を一組とし、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを減じて、n=4L−3の記録マーク長を形成し、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=4L−1の記録マーク長を形成し、さらに、n=4L−1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=4Lの記録マーク長を形成する。そして、n=4L−3の系列、n=4L−2の系列、n=4L−1の系列、n=4Lの系列のそれぞれで、Lに依存しない独立パラメータを決める。このようにすることで、独立パラメータの数を大幅に少なくできる。以下では、この具体例を記録パルス分割方法(IVb)とする。
特にL=3の場合を例とする図27で、図26におけるn=4L−3、4L−2、4L−1、4L(L≧2の整数)の4つのマーク長を一組とする周期的なパラメータ変化に注目して詳細な説明を行う。
まず、記録パルス幅は、一定値Tmp=αcTを基本とする。そして、原則として、記録パルスは、周期3T乃至は4Tをもって基準クロック周期Tに同期して発生される。そして、nが4増える毎(マーク長が4T増える毎、Lが1増える毎)に、Tmpの中間記録パルスとそれに続くオフパルスの1組が周期4Tで追加される。基準クロック周期Tは、図27(a)の1000の一箱の区間で表され、nTマークは、基準クロックに同期した一点である時間T1を先頭とする。
そして、n=4L−2(図27(c))の場合には、Ttop=αT(1001)が、T1からdTtop(1003)の時間的ずれをもって発生される。dTtopは、この図では、T1から遅延する場合を正の値とする。
dTtopは、Ttopの先頭位置におけるnTマークの先頭位置(T1)からの同期のずれ時間を定義しており、正確なマーク前端位置の調整に利用される。通常は、先頭記録パルスには、それに先行する記録パルスからの余熱がないので、Ttop≧Tmpとして、後続のTmp区間における加熱と同等の加熱効果が得られるようにするのが好ましい。βT(1004)は、βT=3T−(Ttop+dTtop)で決まるので、独立パラメータではない。
topの後、周期3Tで、基準クロックに同期して最初のTmp(1002)がT4で発生され、以後は周期4Tとなって、T5でTlast=αT(1005)の順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βT(1006)のオフパルスが発生される。よって、オフパルス区間βT(2≦i≦m−2)は、4T−Tmp=(4−αc)T=βcTとなるが、図27に示す例では現れない。また、βm−1Tも、4T−Tmpとなるので、独立パラメータではない。この記録パルス分割方法においては、Lが一個増えれば、Tmpが4T周期ごとに基準クロック周期に同期して繰り返し発生される点が、記録パルス分割方法(IIb)、(IIIb)と異なる点である。もちろん、n=5、6、7、8の場合には、中間記録パルス区間Tmpは発生されない。なお、Tlastの始点にdTlastのずれを付加することは適宜可能であるが、dTlast=0とすることが好ましい。
以下、n=4L−3、n=4L−2及びn=4L−1における記録方法の関係は、記録パルス分割法法(IIb)における、n=3L−1、n=3L及びn=3L+1における記録方法の関係と同じである。また、以下、n=4L−2、n=4L−1及びn=4Lにおける記録方法の関係は、記録パルス分割法法(IIIb)における、n=3L、n=3L+1及びn=3L+2における記録方法の関係と同じである。
すなわち、n=4L−3(図27(b))の場合には、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生される。また、Ttopの後、周期3Tで、基準クロックに同期して最初のTmpがT4で発生され、以後は周期4Tとなって、T5でTlast=αTの順に記録パルスが発生され、最後にTcl=βTのオフパルスが発生される。ここで、Tlast、Tclは、n=4L−2の場合とは異なる値Tlast−(1010)、Tcl−(1011)をそれぞれとりうる独立パラメータである。また、Tlast−(1010)は、補正値dTlast−(1012)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast−、Tcl−、及び、dTlast−により、n=4L−2の場合より、1T短いマーク長を形成する。通常は、Tlast>Tlast−とし、0<(Tlast−Tlast−)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(1013)は、βm−1T=4T−Tmp+dTlast−で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast−の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
一方、n=4L−1(図27(d))の場合には、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生されるが、Ttop、dTtopは、他の3Lの場合とは異なる値、Ttop+(1020)、dTtop+(1021)をとりうるものとする。
また、Ttop+の後、m−2個のTmpと、Tlastとの順に記録パルスが発生され、最後にTclが発生される。主として、Ttopをn=4L−2とは異なる値Ttop+とし、dTtop+で補正することにより、n=4L−2よりも1T長いマーク長を形成する。この際、αTは、T1から4T周期をもって立ち上がるものとする。通常は、Ttop+>Ttop、とし、0<(Ttop+−Ttop)≦Tとするのが好ましい。これに伴い、βT(1022)は、βT=4T−(Ttop++dTtop+)により決まるので、独立パラメータではない。つまり、dTtop+及びTtop+の調整は、βTの調整を行っていることを意味する。
n=4L(図27(e))の場合には、Ttop=αTが、T1からdTtopの時間的ずれをもって発生されるが、Ttop及び、dTtopは、n=4L−1と同じ値、Ttop+(1030)及びdTtop+(1031)をとるものとする。この際、αT=Tmpは、T1から4T周期をもって立ち上がるものとする。これに伴い、βT(1032)は、βT=4T−(Ttop++dTtop+)により決まるので、独立パラメータではない。つまり、dTtop+及びTtop+の調整は、βTの調整を行っていることを意味する。
αTを含めてm−2個のTmpが発生された後、Tlastの記録パルスが発生され、最後に冷却パルスTclが発生されるのであるが、Tlast及びTclは、n=4L−1の場合とは異なる値Tlast+(1033)、Tcl+(1034)をそれぞれとりうる独立パラメータである。また、Tlast+(1033)は、補正値dTlast+(1035)を付加して、基準クロックからの同期をずらすことができるものとする。Tlast+、Tcl+、dTlast+により、n=4L−1の場合より、1T長いマーク長を形成するのである。通常は、Tlast+>Tlastとし、0<(Tlast+−Tlast)≦Tとするのが好ましい。なお、βm−1T(1036)は、βm−1T=4T−Tmp+dTlast+で決まるから、独立パラメータではない。つまり、dTlast+の調整は、βm−1Tの調整を行っていることを意味する。
ただし、n=5は、他のn=4L−3の場合とは異なるdTtop、Ttop、Tlast、dTlast、Tclをそれぞれ決める自由度があることが望ましい。このため、それぞれ、独立パラメータであることを明らかにするため、図26においては、dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5と表記する。5Tマーク長では、n/m=2.5であるため、他のn=3L−1であるマーク長と異なり、記録パルスの繰返し周期が2.5T程度と小さくなる。このため、5Tマーク長は、他のn=3L−1であるマーク長と同じパラメータでは、正確なマーク長と、低ジッタの実現が難しい場合がある。
n=2、3、4の場合は、m=1である。このため、一対の記録パルス区間Ttopとオフパルス区間βT=Tclで、n=2、3、4のマーク長をそれぞれ形成すると同時に、低いマーク端ジッタを実現する。いずれの場合も、dTtop、Ttop、Tclの3つのパラメータで定義される。そして、それぞれのパラメータは、他のいずれのマーク長におけるdTtop、Ttop、Tclとは別に独立して、定められるものとする。すなわち、図26に示すように、2Tマーク長においては、dTtop2、Ttop2、Tcl2、3Tマーク長においては、dTtop3、Ttop3、Tcl3、4Tマーク長においては、dTtop4、Ttop4、Tcl4をもって、それぞれ異なるマーク長を形成する。
以上をまとめると、図26で定義される記録パルス分割方法(IVb)における独立パラメータの数は、n=2、3、4におけるそれぞれ3個を合計した計9個のパラメータ(dTtop2、Ttop2、Tcl2、dTtop3、Ttop3、Tcl3、dTtop4、Ttop4、Tcl4)、n=5における5個のパラメータ(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)、及びn=6以上における13個のパラメータ(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast−、Tcl−、dTlast−、dTtop+、Ttop+、Tlast+、Tcl+、dTlast+)である。すなわち、パラメータの数は、全部で9+5+13=27個となる。
また、通常は、dTlast+、Tcl+のうちのいずれかを、dTlast+=0乃至は、Tcl+=Tclとして、独立パラメータの数を一つ減らすことができる。同様に、dTlast−、Tcl−のうちのいずれか一方は、dTlast−=0、乃至は、Tcl−=Tclとして、独立パラメータの数を一つ減らすことができる。すなわち、n=6以上における独立パラメータを(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast−、dTlast−、dTtop+、Ttop+、Tlast+、dTlast+)の11個、または(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast−、Tcl−、dTtop+、Ttop+、Tlast+、Tcl+)の11個とすることもできる。
記録パルス分割方法(IVb)の利点は、同一分割数m=L(L≧2)における、n=4L−3、4L−2、4L−1、4Lとなる4つの記録マーク長を一組とし、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において後端記録パルス区間αT=Tlast及びその前後の区間(βm−1T、βT=Tcl)の調整のみでn=4L−3とn=4L−2との記録マーク長をそれぞれ形成し、n=4L−1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において先端記録パルス区間αT=Ttop及びその後の区間βTの調整のみでn=4L−1と4L−2の記録マーク長をそれぞれ形成し、n=4L−1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において後端記録パルス区間αT=Tlast及びその前後の区間(βm−1T、βT=Tcl)の調整のみでn=4L−1とn=4Lとの記録マーク長を、それぞれ形成する点にある。なお、βm−1Tの調整は、dTlastの調整を介して行っており、βTの調整は、Ttop=αTとdTtopの調整を介して行っている。
そして、n=6以上における13個のパラメータ、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast−、Tcl−、dTlast−、dTtop+、Ttop+、Tlast+、Tcl+、dTlast+)がLによらず一定であるということは、n=4L−3、4L−2、4L−1、4L(L≧2)の4つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、n=5である場合をのぞいて、Lによらず一定であるということに他ならない。より好ましくは、n=5の場合も含めてLによらず一定とすることである。
以下に、上記のいずれの記録方式にも共通する留意点について述べる。
上記説明における分割記録パルスストラテジーを定義する独立パラメータ、即ち、n=2、3、4、5における独立パラメータ(dTtop2、Ttop2、Tcl2、dTtop3、Ttop3、Tcl3、dTtop4、Ttop4、Tcl4)、(dTtop5、Ttop5、Tlast5、dTlast5、Tcl5)、n=6以上における独立パラメータ、(dTtop、Ttop、Tmp、Tlast、Tcl、Tlast+、Tcl+、dTlast+、Tlast−、Tcl−、dTlast−、dTtop+、Ttop+)等は、基準クロック周期Tで規格化した値に置き換えても良い。Ttop2、Ttop+、Tlast2、Tlast+、Tcl2、Tcl+等を基準クロック周期Tで規格化したものは、添字はそのままで、α12、α1+、αm2、αm+、βm2、βm+等で表記する。一方、dTtop2、dTtop+、dTlast2、dTlast+等をTで規格化したパラメータは、それぞれの添字はそのままにして、ηtop2、ηtop+、ηlast2、ηlast+等のように表記することとする。
また、いずれの方法においても、Ttop=Tmp−dTtop*、Tlast=Tmp−dTlast*(*は、2、3、4、5、+、−等の添え字を表す。)とすることで、Ttop*やTlast*を従属パラメータとすることもできる。
上記の記録パルス分割方式は、基準クロック周期との同期とマーク長のnに関する周期性とを元に可能な限り規則性を保持することにより、独立パラメータ数を少なくする。
そして、上記記録パルス分割方式は、記録パルス発生回路を簡便化すること、最適パラメータの決定を容易にすること、を実現している。
当然ながら、本目的に反しない程度に、特定の記録パルスや冷却パルスの立ち上がり、立下りのタイミングを上記記録パルス分割方法で示したタイミングから、±0.2T程度ずらすことは、適宜可能である。また、特に、dTtopやβT等を、当該記録マークに先行する記録マーク長や記録マーク間長に応じて、又は、当該記録マークに後続する記録マーク長や記録マーク間長に応じて、当該記録マーク毎に細かく調整することも可能である。これにより、隣り合う記録マークの間での熱干渉を抑制することができる。このように、付加的に独立パラメータの数が増えても、本発明の趣旨を超えるものではない。
上記の説明では、nとして、2〜16あるいは、2〜17の場合を例示したが、これらのnの取りうる値に限定されるものではない。n=16又は17以上については、例えば記録方法(IIa)、(IIIa)、(IVa)において、βm−1の前に、一対の冷却パルスと記録パルスTmpを周期3T又は4Tで追加していけばよいので、独立パラメータの数は増加しない。一方、nとしてこれらの値(2〜16、2〜17)を全部用いる必要もない。一方、nの最大値nmaxは16又は17に限定されるものではない。
例えば、本実施の形態が適用される光記録方法をCD−RWに適用する場合は、EFM変調された情報を複数の記録マーク長及び記録マーク間長により記録するにあたり、nmax=11とし、nとしては3〜11までの整数値をとる。そして、消去パワーPeと記録パワーPwとの比を、通常Pe/Pw=0.1〜0.6とし、バイアスパワーPbを、Pb≦0.2Peとするのが好ましい。
また、本実施の形態が適用される光記録方法をRW−DVDの記録方法として適用する場合は、EFM+変調された情報を複数の記録マーク長及び記録マーク間長により記録するにあたり、nmax=14とし、nとしては3〜11までの整数値、及び14をとる。そして、消去パワーPeと記録パワーPwとの比を、通常Pe/Pw=0.1〜0.6とし、バイアスパワーPbを、Pb≦0.2Peとするのが好ましい。
CD−RW及びRW−DVDにおける記録パルス分割方法(IIa)、(IIIa)、(IVa)の場合の独立パラメータ数は、n=2の場合の独立パラメータ数3個を差し引いた数となる。
さらにまた、本実施の形態が適用される光記録方法を最近話題となっているBlu−Ray等の記録方法として適用する場合には、nmax=8とし、nとしては2〜8までの整数値をとる。そして、消去パワーPeと記録パワーPwとの比を、通常Pe/Pw=0.2〜0.6とし、バイアスパワーPbを、Pb≦0.2Peとするのが好ましい。
また、本実施の形態が適用される光記録方法をCD−RWに適用する場合においては、記録パルス区間αT(i=1〜m)の平均値およびオフパルス区間βT(i=1〜m−1)の平均値をともに3nsec以上とすることが好ましい。これにより、照射する光パワーの時間追従性を確保しやすくなる。より好ましくは、個々のαT(i=1〜m)およびβT(i=1〜m−1)を3nsec以上とするのが好ましい。
一方、本実施の形態が適用される光記録方法をRW−DVD及びそれ以上の高密度の媒体に適用する場合においては、記録パルス区間αT(i=1〜m)の平均値およびオフパルス区間βT(i=1〜m−1)の平均値をともに2nsec以上とすることが好ましい。これにより、照射する光パワーの時間追従性を確保しやすくなる。
ここで、パルスαT(i=1〜m)の時間幅は、PwとPb(又はPw−Pe)との間のパワーレベルの遷移において、Pw−Pb(又はPw−Pe)の半分のパワーレベルに達した時間で定義する。従って、例えば、図5のαTの記録パルスの時間幅は、前記パルスの立ち上がり部のPeからPwへ変化する際のPe−Pwの半分のパワーレベルに達した時間から、前記パルスの立ち下がり部のPwからPbへ変化する際のPw−Pbの半分のパワーレベルに達する時間までの間をいう。
CDにおいてはαT(βT)を3nsec以上とするのが好ましいのに対し、DVD以上の高密度記録においてはαT(βT)を2nsec以上とするのが好ましい理由を説明する。即ち、DVD系以上の高密度記録の場合は、記録用集束光ビームの径がCD系の場合の約70%程度以下であるから、1回の記録パルス照射があたえる空間的な影響も70%程度になる。このように集束光ビームの径が小さくなり空間分解能が向上するため、3nsecの約70%となる2nsec程度の短時間のパルス照射が有効となるのである。また、小さいビーム系の場合のほうが、昇温される面積が少ないので、冷却が速く、オフパルス区間に関しても、2nsec程度まで短縮しても十分な冷却効果が得られるのである。
さらに、以上の記録パルス分割方法において、n=4の場合に限って分割数mを2とすることで、良好な結果が得られる場合がある。上記の操作は、CD−RWにおいて適用することが最も好ましい。これは、CD−RWの場合、4T記録マークの長さが、約1.1μmと、RW−DVD(4Tマーク長 約0.53μm)以上の高密度媒体よりも倍以上大きいため、単一の記録パルスでは、溶融領域に蓄積された熱が逃げにくく、再結晶化が起こりやすいためである。この場合には、例えば図4の5Tマークにおいて、マークの基点T1から、dTlastの起点となる基準クロックの位置までの時間は、必ずしも3Tではなく、2T乃至2.5Tを基準としても良い。つまり、T1から、2T乃至2.5T経過したタイミングをdTlastの基準と考えても良い。
なお、この4Tマーク長における冷却不足を補うための別法として、記録パルスの分割数は1のままで、むしろ、αTに先行して、概ね1T程度より短い、冷却パルスβTを挿入することも有効である。
なお、βTの挿入は、全てのnTマークに対して適用することもできる。
本実施の形態が適用される光記録方法(I)では、その記録方法を定めれば、おおむね40m/s以上の高線速を上限とし、その半分以下の任意の線速においても、良好な記録再生が可能となる。そして、上記の分割記録パルス発生方法(II)、(III)、(IV)を用いれば、記録パルス群の切り替え周期は概ね3T又は4Tで一定とし、分割数mを一定としたまま、αとβ(ここでi=1〜m−1)の比を変化させることで、同一の媒体を異なる線速で使用できるようになる。さらに、上記の分割記録パルス発生方法(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(IVb)を用いれば、分割数m、基準クロックとの同期、nの3に関する周期性による所定の規則性を保ったまま、αとβ(ここでi=1〜m−1)の比を変化させることで、同一の媒体を異なる線速で使用できるようになる。
この際、いずれの線速においても、通常は、図6に示すような、長さnTのマークを形成するために記録パワーPwとバイアスパワーPbとを交互に照射するパルス分割方式を採用するが、その具体的な方式を決定するパラメータの最適値は線速によって変わるのが一般的である。そこで、本実施の形態が適用される媒体には、記録線速に応じた最適記録パワーPw、最適消去パワーPe、最適バイアスパワーPbやα(iは1〜mの少なくとも1つ)、β(iは1〜mの少なくとも1つ)、分割数m等の記録パルス分割方法情報のうちの少なくとも1つを媒体上あらかじめ記録しておくのが好ましい。
そして、記録パルス分割方法(I)を基本として、記録パルス分割方法(V)を適用する。
(記録パルス分割方法(V))
書き換え型光記録媒体が円盤状のディスクであり、同一ディスク面内において、複数の記録線速度で、記録マークの空間線密度を概ね一定としながら、記録を行う光記録方法であって、最大線速度Vmaxにおけるα=αimax(i=1〜m)を0.5〜2とし、低線速度ほど、mは一定のまま、α及びα’(i=1〜m)をそれぞれ単調に減少させるように上記記録パルス分割方法(I)を用いる方法である。記録マークの空間線密度を概ね一定とするということは、基準クロック周期を線速度に反比例して変化させることで達成される。この際、(α+β)を概ね3又は4に保つことが望ましく、さらに、α+β(2≦i≦m−1)を線速によらずほぼ一定とすることが好ましい。
記録パルス分割方法(I)から派生した(II)、(III)、(IV)、(IIa)、(IIb)、(IIIa)、(IIIb)、(IVa)、(IVb)の各々に対しても同様に、記録パルス分割方法が定義でき、それぞれを(VI)、(VII)、(VIII)、(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)と呼ぶこととする。
mが一定のまま、良好な記録ができる記録線速度の下限を、Vminとする。
記録パルス分割方法(VIa)、(VIb)、(VIIa)、(VIIb)、(VIIIa)、(VIIIb)は、mを一定とし、さらには、α+β(2≦i≦m−1)を概ね3又は4に保ったまま、Vmax/Vminの比を少なくとも2以上とすることが可能である。これにより、広い線速度範囲で、変化する基準クロック周期との同期、及びnに関する周期性を保つことができる。さらに、分割記録パルス発生のための論理回路を簡便化できる。ひいては、各線速度で最適化する必要のある独立パラメータ数を少なくできる。
特に、これらの記録パルス分割方法においては、Tmp=αTにおいては、線速度とαとをほぼ比例する関係とするのが好ましい。特に、αTの絶対時間幅をほぼ一定とすることで、正確に線速度とαとを比例関係とできる。また、Tmp=αcT(2≦i≦m−1)に関しては、絶対時間幅を一定とする部分Tmp0と、基準クロック周期(従って線速度)に依存して、γTで定義される部分とを合わせて、Tmp=αcT=Tmp0+γTとしても良い。通常、γは0<γ<3、好ましくは0<γ≦2なる実数とする。この場合でも、αcは、線速度とほぼ比例させることが望ましい。αT=Ttop=dTtop−Tmpと定義する場合には、Tmpの絶対時間幅をほぼ一定とし、一方で、dTtopは、各線速度で独立に変化させることも好ましい。
なお、具体例としてCD−RW及びRW−DVDに適用する場合、1倍速基準線速度、最大線速度Vmax、最小線速度VminについてCD−RWとRW−DVDで値を使い分ける。即ち、1倍速基準線速度Vとは、CD−RWの場合、1.2m/s〜1.4m/sであり、RW−DVDの場合、3.49m/sである。また、最大線速度Vmaxとは、CD−RWの場合、上記CD−RWの基準線速度の通常32倍〜約48倍速の範囲におけるいずれかの線速度であり、特に、40倍速又は48倍速をいう。RW−DVDの場合、上記RW−DVDの基準線速度の通常10倍速〜約16倍速の範囲におけるいずれかの線速度であり、特に10倍速、12倍速、及び16倍速をいう。
同様に、最小線速度Vminとは、CD−RWの場合、通常約12倍速以下のいずれかの線速度であり、RW−DVDの場合、通常約6倍速以下のいずれかの線速度である。当然のことながら、VmaxとVminが対で用いられる場合、Vmax>Vminとなる、線速度範囲から選ばれる。
従って、CD−RWを想定する場合には、1倍速基準線速度、Vmax、Vminとして上記記載のCD−RWの値を用い、RW−DVDを想定する場合には、1倍速基準線速度、Vmax、Vminとして上記記載のRW−DVDの値を用いる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、本発明の例示であり、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
また、本発明が適用可能な、具体的な例として、10倍速以上の高線速記録に用いる書き換え型DVD記録媒体が実現できる。より具体的には、記録層が非晶質の状態を記録マークとし、EFM+変調(データの基準クロック周期Tに対して3Tから11Tまで、及び14Tの時間的長さのマーク長及びマーク間長さの組み合わせ)によるマーク長変調記録を行うことにより、記録信号フォーマットについてはDVDと再生互換を有する書換え型記録媒体の記録方法を提供することができる。
また、40倍速以上の高線速記録に用いるCD−RWを実現できる。より具体的には、CD−RWでは、記録層が非晶質の状態を記録マークとし、EFM変調による(即ちデータの基準クロック周期Tに対して3Tから11Tまでの時間的長さのマーク長及びマーク間長さの組み合わせによる)マーク長変調記録を行うことにより、記録信号フォーマットについてはCDと再生互換を有する書換え型記録媒体の記録方法を提供することができる。
さらに、200Mbps以上の高データ転送レート記録に用いるDVRを実現できる。より具体的には、記録層が非晶質の状態を記録マークとし、(1、7)Run−Lnght−Limited変調による(即ちデータの基準クロック周期Tに対して2Tから8Tまでの時間的長さのマーク長及びマーク間長さの組み合わせによる)マーク長変調記録を行うことにより、高密度の書換え型記録媒体の記録方法を提供することができる。
[2]光記録方法に用いる記録媒体
本実施の形態が適用される光記録方法に用いる記録媒体としては、例えば、相変化型の記録層を有する光記録媒体を挙げることができる。このような光記録媒体の具体例としては、ディスク状の基板上に、第一保護層(下部保護層)、記録層(相変化型記録層)、第二保護層(上部保護層)、反射層、及び保護コート層をこの順に有する層構成をとり、基板を通してレーザ光を照射することにより信号の記録再生を行なう光記録媒体(基板面入射型の光記録媒体として用いられる)を挙げることができる。
また、相変化型記録層を有する光記録媒体の他の具体例としては、ディスク状の基板上に、反射層、第二保護層(下部保護層)、記録層(相変化型記録層)、第一保護層(上部保護層)、及び保護コート層をこの順に有する層構成をとり、上部保護層を通じてレーザ光を照射することにより信号の記録再生を行なう記録媒体(膜面入射型の光学的情報記録用媒体として用いられる。)を挙げることができる。この膜面入射型の光学的情報記録用媒体では、基板を通さずに上部保護層側からレーザ光を照射することにより信号の記録再生を行なうため、記録層と光ヘッドの距離を数百ミクロン以下に接近させることが可能となり、開口数が0.7以上の対物レンズを使用することで媒体の記録密度を向上させることが出来る。
尚、上記基板面入射型の光記録媒体及び膜面入射型の光記録媒体それぞれの層構成は例示である。例えば、基板面入射型の光記録媒体及び膜面入射型の光記録媒体のいずれにおいても、保護層と反射層との間に界面層を設けることができるし、膜面入射型の光記録媒体において、基板と反射層との間に下地層を設けてもよい。
本発明において好ましいのは、高データ転送レートを可能とする、結晶化速度の速い記録材料を記録層に用いた記録媒体を用いることである。
以下、基板、記録層、その他の層(保護層、反射層、保護コート層)の各層について説明する。
(1)基板
基板には、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなどの樹脂、あるいはガラスを用いることができる。なかでもポリカーボネート樹脂はCD−ROM等において最も広く用いられている実績もあり安価でもあるので最も好ましい。基板の厚さは、通常0.1mm以上、好ましくは0.3mm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは15mm以下である。一般的には0.6mm〜1.2mm程度とされる。基板面入射型の光記録媒体においては、基板はレーザ光を透過する必要があるため、レーザ光に対して透明である必要がある。一方、膜面入射型の光記録媒体においては、基板は必ずしも透明である必要はない。
基板には、通常、同心円状又はスパイラル状のトラック(グルーブ)が形成されている。また、基板の形状はディスク状とするが、ここで、「ディスク状」とは、回転可能な形状をいい、通常は平面円盤形状をいうが、平面円盤形状に限られるものではない。例えば、光学的情報記録用媒体の意匠を魅力的にするために、平面楕円形状や平面四角形状としてもよい。
(2)記録層
記録層としては、例えば、GeSbTe、InSbTe、AgSbTe、及びAgInSbTeといった系列の化合物が繰り返し記録可能な材料として選ばれる。これらの中で、SbTeとGeTeの疑似2元合金を主成分とする組成、より具体的には、{(SbTe1−α(GeTe)α1−βSbβ組成(ただし、0.2≦α≦0.9、0≦β≦0.1)、あるいは、Sbを50原子%以上含むSbを主成分とする組成のいずれかであることが多い。
本実施の形態が適用される光記録方法は、結晶化速度の速い材料を記録層に用いた記録媒体に適用することが好ましい。結晶化速度を高めるために、前記記録層にSbを主成分とする組成を用いることがより好ましい。なお、本発明において、「Sbを主成分とする」とは、記録層全体のうち、Sbの含有量が50原子%以上であることを意味する。Sbを主成分とする理由は、Sbの非晶質は、非常に高速で結晶化できるため、非晶質マークを短時間で結晶化することが可能となる。このため、非晶質状態の記録マークの消去が容易となる。この点から、Sbの含有量は60原子%以上であることが好ましく、70原子%以上であることがより好ましい。しかし、一方で、Sb単独で用いるよりも、非晶質形成を促進させ、かつ非晶質状態の経時安定性を高めるための添加元素をSbと共に併用することが好ましい。記録層の非晶質形成を促進させ、かつ非晶質状態の経時安定性を高めるためには、上記添加元素の含有量を、通常1原子%以上、好ましくは5原子%以上、より好ましくは10原子%以上とし、一方、通常30原子%以下とする。
非晶質形成を促進させ、かつ非晶質状態の経時安定性を高める上記添加元素は、結晶化温度を高める効果もある。このような添加元素としては、Ge、Te、In、Ga、Sn、Pb、Si、Ag、Cu、Au、希土類元素、Ta、Nb、V、Hf、Zr、W、Mo、Cu、Cr、Co、窒素、酸素、及びSe等を用いることができる。これら添加元素のうち、非晶質形成の促進、非晶質状態の経時安定性の向上、及び結晶化温度を高める観点から、好ましいのはGe、Te、In、Ga、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1つとすることであり、特に好ましいのは、Ge及び/又はTeを用いるか、In、Ga、及びSnの少なくとも1つを用いることである。
上述の通り、記録媒体の記録層においては、高速での結晶化や非晶質の形成及び非晶質状態の経時安定性向上のために、記録層の材料として、SbとGe及び/又はTeとを併用することが特に好ましい。Ge及び/又はTeをSbに添加する際に、記録層中におけるGe又はTeそれぞれの含有量を、1原子%以上30原子%以下とすることが好ましい。つまり、Ge及びTeは、それぞれ単独で1原子%以上30原子%以下ずつ含有されていることが好ましい。但し、記録層の主成分をSbとした場合にSbの含有量は50原子%以上となるため、Sbと共にGe及びTeを記録層に含有させる場合、Ge及びTeの合計量は50原子%よりは少なくなる。
記録層中におけるGe又はTeのそれぞれの含有量は、より好ましくは3原子%以上、さらに好ましくは5原子%以上とする。この範囲とすれば、非晶質マークを安定化する効果が十分に発揮されるようになる。一方、記録層中におけるGe又はTeのそれぞれの含有量は、より好ましくは20原子%以下、さらに好ましくは15原子%以下とする。この範囲とすれば、非晶質が安定になりすぎて逆に結晶化が遅くなるという傾向を良好に抑制することができるようになり、結晶粒界での光散乱によるノイズを抑制することができるようになる。
上記Sbを主成分とする組成は、記録層中に含有されるTeの量によって、2種類に分類することができる。一つは、Teを10原子%以上含有する組成であり、もう一つはTeを10原子%未満含有する組成(Teを含有しない場合を含む)である。
そのひとつは、記録層材料を、Teを概ね10原子%以上含みつつ、Sb70Te30共晶組成よりも過剰のSbを含有する合金が主成分である組成範囲とすることである。この記録層材料を、以下において、SbTe共晶系と呼ぶ。ここで、Sb/Teは3以上とすることが好ましく、4以上とすることがより好ましい。
記録層中に含有されるTeの量によって分類することができる、上記Sbを主成分とするもう一つの組成としては以下のものをあげることができる。すなわち、記録層の組成を、Sbを主成分としつつ、Teを10原子%未満とし、さらにGeを必須成分として含有するようにするのである。上記記録層の組成の具体例としては、Sb90Ge10近傍組成の共晶合金を主成分とし、Teを10原子%未満含有する合金(本明細書においては、この合金をSbGe共晶系と呼ぶ。)を好ましく挙げることができる。
Te添加量が10原子%未満の組成は、SbTe共晶系ではなく、SbGe共晶系としての性質を有するようになる。このSbGe共晶系の合金は、Ge含有量が10原子%程度と高くても、初期結晶化後の多結晶状態の結晶粒径は比較的微細なために結晶状態が単一相となりやすく、ノイズが低い。SbGe共晶系の合金においては、Teは、付加的に添加されるにすぎず必須元素とはならない。
SbGe共晶系合金では、Sb/Ge比を相対的に高くすることで、結晶化速度を速めることができ、再結晶化による非晶質マークの再結晶化が可能である。
記録層にSbを主成分とする組成を用い、結晶状態を未記録・消去状態とし、非晶質マークを形成して記録を行なう場合、冷却効率を良くすることが非常に重要となる。これは以下の理由による。
すなわち、上記SbTe共晶系又はSbGe共晶系等のSbを主成分とする記録層は、高速記録に対応するために、Sb70Te30共晶点あるいはSb90Ge10共晶点近傍よりもさらにSbを過剰に添加して、結晶核生成速度ではなく結晶成長速度を高めることにより結晶化速度を高めている。このため、これら記録層においては、記録層の冷却速度を速くして、再結晶化による非晶質マークの変化(非晶質マークが所望のサイズよりも小さくなること)を抑制することが好ましい。従って、記録層を溶融した後に非晶質マークを確実に形成するために記録層を急冷することが重要となり、記録層の冷却効率を良くすることが非常に重要となるのである。そのため、上記記録層組成においては、反射層に放熱性の高いAg又はAg合金を用いることが特に好ましい。
上記、SbTe共晶系又はSbGe共晶系等のSbを主成分とする組成を用いる記録層において、さらに、In、Ga、及びSnの少なくとも1つを含有し、前記記録層中におけるIn、Ga、及びSnのそれぞれの含有量が1原子%以上30原子%以下であることが特に好ましい。
以下、Sbを主成分とする組成の具体例についてさらに説明する。
Sbを主成分とする組成としては、まず、(SbTe1−x1−y(ただし、0.6≦x≦0.9、0≦y≦0.3、MはGe、Ag、In、Ga、Zn、Sn、Si、Cu、Au、Pd、Pt、Pb、Cr、Co、O、S、Se、V、Nb、及びTaより選ばれる少なくとも1種)合金を主成分とするSbTe共晶系の組成を好ましく挙げることができる。なお、上記組成式は、原子数比で組成を表している。従って、例えばx=0.6は、60原子%を意味する。
上記(SbTe1−x1−y組成においては、Mとしては、Ge、Ga、Ag又はInを単独又は併用して用いることが、オーバーライト特性等の記録特性の観点から特に好ましい。
上記(SbTe1−x1−y組成においては、xは、通常0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.75以上であり、一方、通常0.9以下とする。また、yは、通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、一方、通常0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である。x、yを上記範囲とすれば、高速記録に対応可能な記録層を得ることができるようになる。
上記(SbTe1−x1−y組成においてMとしてGeを用いる組成について更に説明する。この組成としては、Sb70Te30共晶点組成を基本として大幅に過剰のSbを含むSb70Te30合金を母体とし、さらにGeを含む、Ge(SbTe1−x1−y(ただし、0.01≦y≦0.06、0.7≦x≦0.9)であらわされる組成を用いることが好ましい。Ge量は、Ge(SbTe1−x1−yにおけるyの値として0.01以上、特に、0.02以上であることが好ましい。一方、このようにSb含有量が多いSbTe共晶組成では、Ge量が多すぎると、GeTeやGeSbTe系の金属間化合物が析出するとともに、SbGe合金も析出しうるために、記録層中に光学定数の異なる結晶粒が混在すると推定される。そして、この結晶粒の混在により、記録層のノイズが上昇しジッタが増加することがある。また、Geをあまりに多く添加しても非晶質マークの経時安定性の効果が飽和する。このため、通常Ge量は、Ge(SbTe1−x1−yにおけるyの値として、0.06以下、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下である。
上記GeSbTe共晶系の組成においては、さらにIn、Ga、Snを含有させることが特に好ましい。すなわち、M1Ge(SbTe1−x1−y−z(0.01≦z≦0.4、0.01≦y≦0.06、0.7≦x≦0.9であり、M1は、In、Ga及びSnからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を表す。)で表される組成を用いることが特に好ましい。上記M1をIn、Ga及びSnで示される一群の元素のうち少なくとも1種を添加することによりさらに特性が改善される。In、Ga、Snの元素は、結晶状態と非晶質状態の光学的コントラストを大きくでき、ジッタを低減する効果もある。M1の含有量を示すzは、通常0.01以上、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.05以上、一方、通常0.15以下、好ましくは0.1以下とする。この範囲とすれば、上記特性改善の効果が良好に発揮されるようになる。
上記、In,Snを含むGeSbTe合金において、好ましい別の組成範囲として、Ge(InSn1−wTeSb1−x−y−zを挙げることができる。ここで、Sbの含有量は、Geの含有量、Inの含有量、Snの含有量、及びTeの含有量のいずれよりも多く、原子数比を表すx、y、z、及びwは下記(i)から(vi)を満たすようにする。
(i)0≦x≦0.3
(ii)0.07≦y−z
(iii)w×y−z≦0.1
(iv)0<z
(v)(1−w)×y≦0.35
(vi)0.35≦1−x−y−z
上記記録層組成では、20m/s以上の線速度で良好にオーバーライトを行うことが可能になる。以下、上記記録層組成における、各元素含有量と特性との関係を詳細に説明する。
(Sb、式(vi))
Sbの含有量は、Geの含有量、Inの含有量、Snの含有量、及びTeの含有量のいずれよりも多い。すなわち、本発明の記録材料はSbを主体とする。具体的には、Sb含有量は35原子%以上であり他の含有元素のどれよりも含有量が多い。本発明の効果を十分に得るためにはSb含有量は40原子%以上であることが好ましく、45原子%以上であることがより好ましい。
(Sn、式(ii)、(v))
Sn含有量が結晶状態の反射率や結晶と非晶質の反射率差(信号振幅)に与える影響と、In含有量が結晶状態の反射率や結晶と非晶質の反射率差(信号振幅)に与える影響とはほぼ同等である。このため、上記記録層組成にはSn又はInの一方を含有させる。そして、Sn含有量とIn含有量との合計を、Te量より一定量の範囲内で多くすることにより結晶の反射率や信号振幅を大きくできる。一方、Te含有量が多くなると結晶の反射率や信号振幅が低下する。したがって、所望する結晶状態の反射率及び信号振幅を得るためには、Sn及び/又はInの含有量とTeの含有量との関係を制御することが重要となる。
このため、上記一般式における(y−z)の値は0.07以上とし、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.13以上、特に好ましくは0.15以上とする。yの値が大きくなると最適パワーが小さくなり好ましい。
また、Snが多すぎる場合にはジッタ特性が悪化する傾向にあるため、上記一般式における(1−w)×yの値は、0.35以下とし、好ましくは0.3以下とする。したがって、Teを多く含有させる場合、信号振幅を制御する観点からIn含有量とSn含有量との合計を多くする必要があるが、ジッタ特性を考慮するとSnはあまり多くすることができないため、Teの含有量を多くするときは、Snに加えInも含むようにすることが好ましくなる。具体的には、Snを35原子%を超えて含有させないとTeによる結晶の反射率や信号振幅の低下を抑えきれないほどTe含有量を多くするような場合は、Inを含有させればよい。
(In、式(iii))
Inを用いることにより、結晶状態の反射率や結晶と非晶質との反射率差(信号振幅)を大きくすることができるため、記録層に含有させる元素としてInを用いることが好ましい。
Inを用いることにより、結晶状態の反射率や結晶と非晶質の反射率差(信号振幅)を大きくすることができる上、Snに比べてジッタ特性への影響を少なくできるという利点がある。Sn,Teよりは、結晶粒界ノイズを低下させる機能があるものと推定される。一方で、Inは準安定結晶状態に由来すると思われる、長期保存による反射率の低下を引き起こす。これに対し、Teは長期保存による反射率低下を抑える傾向にある。したがって、長期保存における光学的情報記録用媒体の反射率の低下を抑制する観点から、In含有量とTe含有量とを所定の関係とすることが重要となる。
すなわち、上記一般式において、(In含有量−Te含有量)の値を所定の範囲内とすることで、長期保存による反射率の低下を抑制できるようになる。具体的には、上記一般式におけるw×y−zの値が小さいと長期保存による反射率の低下率が小さくなるので、w×y−zの値は0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0以下とすることがさらに好ましい。ここで、w×y−z=0はIn含有量とTe含有量とが同一となることを意味する。したがって、In含有量がTe含有量と同一か、又はIn含有量がTe含有量よりも少ないことが本発明では更に好ましいのである。
このように長期保存による反射率低下をなるべく小さくしようとすると、InをTeに対して過度に多く含有させることができないので、前述の関係式0.07≦y−zを満たすためには、上記記録層組成において、Inに加えSnも含むようにすることが好ましい。具体的には、w×y−z<0.07となった場合には、Inに加えSnも含有させないと0.07≦y−zを満たすことができなくなる。また、Snを含有させずにInとTeの含有量を多くすると高速記録に適した結晶化速度を得にくくなるという点でもInとSnの両方を含有することが好ましくなる。すなわち、0<w<1とするのが好ましい。
なお、Inが過度に多いと、光学的情報記録用媒体の長期保存における信号品質が劣化する傾向にある。また、Snを含まずInを多くするとIn−Sb系で見られる低反射率の安定結晶層が出現する場合がある。このため、In含有量すなわちw×yの値は、0.35以下とすることが好ましい。
(Te、式(iv))
上記記録層組成においてはTeを含有させる。Teは繰り返し記録耐久性を向上させることができる。このためTe含有量はある程度多くすることが好ましいが、上述のとおり、In及び/又はSnとTeとの関係、及びInとTeとの関係を所定の範囲内に制御する必要がある。具体的には、上記一般式におけるTeの含有量を示すzを、0<zとするが、好ましくは0.01≦z、より好ましくは0.05≦z、さらに好ましくは0.08≦z、特に好ましくは0.1≦z、最も好ましくは0.1<zとする。
Te含有量を表わすzは通常0.29未満となるが、これは上記一般式に規定された他の関係式により必然的に決まる値である。上述のようにIn、Teはある程度含有量を多くすることが好ましいが、特にTeは結晶化速度を遅くするはたらきがあるため、高速記録に適した結晶化速度を得るためにはTe含有量を表わすzは、0.25以下とすることが好ましく、0.20以下とすることがより好ましい。
(Ge、式(i))
結晶化速度を調整するため、Geを用いることができる。すなわち、Geは、反射率、信号振幅(結晶と非晶質との反射率差)、媒体の長期保存による反射率低下等の特性には大きくは関係しない。このため、Geは、使用したい記録条件に適した結晶化速度を得るために用いることができる。Geが多くなると結晶化速度は遅くなるため、例えばより高速記録用の光学的情報記録用媒体ではGe含有量を少なくし、結晶化速度を調整することもできる。ただし、結晶化速度は他の元素含有量にも関係し、Snが多くなると結晶化速度は速くなり、In、Teが多くなると結晶化速度は遅くなる。したがって、前述の諸特性を考慮してGe以外の元素の含有量比を決めた後、Geの含有量を調整することにより記録条件に応じた結晶化速度の調整を行うことが好ましい。Ge含有量が多すぎると結晶化速度は遅くなりすぎるので、上記一般式におけるxは0.3以下とし、好ましくは0.25以下とし、より好ましくは0.2以下とする。なお、含有量が結晶化速度に与える影響は、GeとTeが特に大きい。
また、Ge含有量が多いと、記録された非晶質マークを長期保存した場合に保存前における記録直後よりも結晶化しにくくなる傾向にある。この現象が顕著になると、記録された光学的情報記録用媒体を長期保存した後にオーバーライトを行う場合に、重ね書きした記録信号の信号品質が不十分となってしまう。つまり、長期保存後の古いマークが十分に消えないため新しい記録マークの信号品質を悪化させるのである。この結晶化がしにくくなる現象は、長期保存後の第一回目の記録においてのみ問題となり、長期保存後に新たに記録される非晶質マークは正常な結晶化速度をもつようになる。いずれにせよ、Ge含有量を少なくすることによりこの現象は軽減される。この意味において、Ge含有量は少ない方が好ましく、上記一般式におけるxの値を0.1以下とすることが特に好ましく、0.07以下とすることが最も好ましい。
上述のように、TeやInは結晶化速度を遅くする効果があるので、結晶化速度を遅くする場合に同一の結晶化速度を得るにはTe、Inの含有量が多い方がGe含有量を少なくできる。この意味においてTe含有量、すなわちzの値は0.05以上であることが好ましく、0.08以上がより好ましく、0.1以上であることが最も好ましい。さらにこのとき、In含有量、すなわちw×yの値は0.05以上が好ましく0.08以上がより好ましい。また、前記のようにTe含有量が多い場合はInとSnの両方を含むことが好ましくなる。すなわち、最も好ましい組成ではGe、In、Sb、Sn、Teすべてを含有することとなる。
一方、Ge含有量が少なすぎると、非晶質マークの保存安定性が悪化し長期保存により結晶化する傾向にある。非晶質マークの保存安定性はInを多くすることによっても改善される傾向にあるが、Geの影響の方が強い傾向にある。一方、他の元素の影響により、Ge含有量がゼロであっても非晶質マークの保存安定性が比較的良い場合もある。したがって、上記一般式におけるxの値は0以上とするが、0より大きいことが好ましく、0.01以上がより好ましく、0.02以上がさらに好ましい。
上記GeSbTe共晶系の組成においてIn、Ga、Sn以外に含みうる元素としては、窒素、酸素及び硫黄を挙げることができる。これら元素は、繰返しオーバーライトにおける偏析の防止や光学特性の微調整ができるという効果がある。窒素、酸素及び硫黄の含有量は、Sb、Te及びGeの合計量に対して5原子%以下であることがより好ましい。 また、Sn、Cu、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Coを上記GeSbTe共晶系の組成に含有させることもできる。これらの元素は、ごく微量の添加により、結晶成長速度を低下させることなく、結晶化温度を上昇させ、さらなる経時安定性の改善に効果がある。ただし、これら元素の量が多すぎると特定の物質の経時的偏析や繰返しオーバーライトによる偏析が起こりやすくなるため、添加量は5原子%以下、特に3原子%以下とするのが好ましい。偏析が生じると、記録層が初期に有する非晶質の安定性や再結晶化速度等が変化して、オーバーライト特性が悪化することがある。
一方、Sbを主成分とする組成であるSbGe共晶系組成としては、SbGe共晶系にTeを添加するTeGeSb系を主成分とする組成、SbGe共晶系にIn、Ga又はSnを添加した、InGeSb系、GaGeSb系、又はSnGeSb系3元合金を主成分とする組成を挙げることができる。SbGe共晶系の合金に、Te、In、Ga、又はSnを添加することにより、結晶状態と非晶質状態の光学的特性差を大きくする効果を顕著とすることができるが、特にSnを添加することが好ましい。
このようなSbGe共晶系合金の好ましい組成としては、TeγM2δ(GeεSb1−ε1−δ−γ(ただし、0.01≦ε≦0.3、0≦δ≦0.3、0≦γ<0.1、2≦δ/γ、0<δ+γ≦0.4であり、M2はIn、Ga、及びSnからなる群から選ばれる一つである。)を挙げることができる。SbGe共晶系合金に、In、Ga、又はSnを添加することにより、結晶状態と非晶質状態との光学的特性差を大きくできる効果を顕著とすることができる。
元素M2としてIn、Gaを用いることで、超高速記録におけるジッタが改善され、光学的なコントラストも大きくすることができるようになる。このため、In及び/又はGaの含有量を示すδは、通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上とする。ただし、In又はGaが過度に多いと、消去状態として使用する結晶相とは別に、非常に低反射率のIn−Sb系、又はGa−Sb系の他の結晶相が形成される場合がある。従って、δは、通常0.3以下、好ましくは、0.2以下とする。尚、InとGaとを比較すると、Inの方がより低ジッタを実現できるため、上記M2はInとすることが好ましい。
一方、元素M2としてSnを用いることで、超高速記録におけるジッタが改善され、光学的なコントラスト(結晶状態と非晶質状態の反射率差)が大きくとれるようになる。このため、Snの含有量を示すδは、通常0以上、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上とする。ただし、Snが過度に多いと、記録直後の非晶質相が、低反射率の他の非晶質相に変化する場合がある。特に、長時間保存した場合に、この安定化非晶質相が析出して消去性能が低下する傾向がある。従って、δは、通常0.3以下、好ましくは0.2以下とする。
元素M2として、In、Ga、及びSnのうち複数の元素を用いることもできるが、特に、In及びSnを含有させることが好ましい。In及びSnを含有させる場合、これら元素の合計含有量は、通常1原子%以上、好ましくは5原子%以上とし、通常40原子%以下、好ましくは30原子%以下、より好ましくは25原子%以下とする。
上記TeM2GeSb系の組成においては、Teを含有することで超高速記録における消去比の経時的変化を改善することができるようになる。このため、Teの含有量を示すγは、通常0以上とするが、好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.05以上とする。ただし、Teが過度に多いと、ノイズが高くなる場合があるため、γは、通常0.1より小とする。
尚、上記TeM2GeSb系の組成において、Teと元素M2とを含有させる場合は、これらの合計含有量を制御することが有効である。従って、Te及び元素M2の含有量を示すδ+γは、通常0より大きくするが、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上とすることである。δ+γを上記範囲とすることで、Te及び元素M2を同時に含有させる効果が良好に発揮されるようになる。一方、GeSb系共晶合金を主成分とする効果を良好に発揮されるために、δ+γは、通常0.4以下、好ましくは0.35以下、より好ましくは0.3以下とする。一方、元素M2とTeとの原子数比を表すδ/γは2以上とするのが好ましい。Teを含有させることによって光学的コントラストが低下する傾向にあるため、Teを含有させた場合には、元素M2の含有量を若干多くする(δを若干大きくする)ことが好ましい。
上記TeM2GeSb系の組成に添加しうる元素としては、Au、Ag、Pd、Pt、Si、Pb、Bi、Ta、Nb、V、Mo、希土類元素、N、O等があり、光学特性や結晶化速度の微調整等に使われるが、その添加量は、最大で10原子%程度である。
以上において最も好ましい組成の一つは、InSnTeGeSb(0≦p≦0.3、0≦q≦0.3、0<p+q≦0.3、0≦r<0.1、0<s≦0.2、0.5≦t≦0.9、p+q+r+s+t=1)なる合金系を主成分とする組成である。TeとIn及び/又はSnとを併用する場合は、(p+q)/r≧2とするのが好ましい。
記録層の膜厚は、十分な光学的コントラストを得、また結晶化速度を速くし短時間での記録消去を達成するためには5nm以上あるのが好ましい。また反射率を十分に高くするために、より好ましくは10nm以上とする。
一方、クラックを生じにくく、かつ十分な光学的コントラストを得るためには、記録層膜厚は100nm以下とするのが好ましいが、より好ましくは50nm以下とする。これは、熱容量を小さくし記録感度を上げるためである。また、上記範囲とすれば相変化に伴う体積変化を小さくできるため、上下の保護層に対する、繰り返しオーバーライトによる繰り返し体積変化の影響を小さくすることもできる。ひいては、不可逆な微視的変形の蓄積が抑えられノイズが低減され、繰り返しオーバーライト耐久性が向上する。
書き換え可能型DVDのような高密度記録用媒体では、ノイズに対する要求が一層厳しいため、より好ましくは記録層膜厚を30nm以下とする。
上記記録層は、通常、所定の合金ターゲットを不活性ガス、特にArガス中でDCまたはRFスパッタリングして得ることができる。
また、記録層の密度は、バルク密度の通常80%以上、好ましくは90%以上とする。ここでいうバルク密度ρとは、通常下記(1)式による近似値を用いるが、記録層を構成する合金組成の塊を作成して実測することもできる。
ρ=Σmρ・・・(1)
(ここで、mは各元素iのモル濃度であり、mρは元素iの原子量である。)
スパッタ成膜法においては、成膜時のスパッタガス(通常、Ar等の希ガス。以下、Arの場合を例に説明する。)の圧力を低くしたり、ターゲット正面に近接して基板を配置するなどして、記録層に照射される高エネルギーAr量を多くすることによって、記録層の密度を上げることができる。高エネルギーArは、通常スパッタのためにターゲットに照射されるArイオンが一部跳ね返されて基板側に到達するものか、プラズマ中のArイオンが基板全面のシース電圧で加速されて基板に達するものかのいずれかである。
このような高エネルギーの希ガスの照射効果をAtomic peening効果というが、一般的に使用されるArガスでのスパッタではAtomic peening効果により、Arがスパッタ膜に混入される。膜中のAr量により、Atomic peening効果を見積もることができる。すなわち、Ar量が少なければ、高エネルギーAr照射効果が少ないことを意味し、密度の疎な膜が形成されやすい。
一方、Ar量が多ければ、高エネルギーArの照射が激しくなり、膜の密度は高くなるものの、膜中に取り込まれたArが繰り返しオーバーライト時にvoidとなって析出し、繰り返しの耐久性を劣化させやすい。従って、適度な圧力、通常は10−2〜10−1Paのオーダーの範囲で放電を行なう。
(3)その他の層
(保護層)
記録層の相変化に伴う蒸発・変形を防止し、その際の熱拡散を制御するため、通常記録層の上下一方または両方、好ましくは両方に保護層が形成される。保護層の材料は、屈折率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に留意して決定される。一般的には透明性が高く高融点である金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物やCa、Mg、Li等のフッ化物等の誘電体を用いることができる。
この場合、これらの酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、フッ化物は必ずしも化学量論的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成を制御したり、混合して用いることも有効である。繰り返し記録特性を考慮すると誘電体の混合物が好ましい。より具体的には、ZnSや希土類硫化物等のカルコゲン化合物と酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物等の耐熱化合物の混合物が挙げられる。例えば、ZnSを主成分とする耐熱化合物の混合物や、希土類の硫酸化物、特にYSを主成分とする耐熱化合物の混合物は好ましい保護層組成の一例である。
保護層の材料としては、通常、誘電体材料を挙げることができる。誘電体材料としては、例えば、Sc、Y、Ce、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Zn、Al、Cr、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びTe等の酸化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Sb、及びPb等の窒化物、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Zn、B、Al、Ga、In、及びSi等の炭化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。また、誘電体材料としては、Zn、Y、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、及びBi等の硫化物、セレン化物もしくはテルル化物、Mg、Ca、Li等のフッ化物、又はこれらの混合物を挙げることができる。
さらに誘電体材料の具体例としては、ZnS−SiO、SiN、GeN、SiO、TiO、CrN、TaS、YS等を挙げることができる。これら材料の中でも、ZnS−SiOは、成膜速度の速さ、膜応力の小ささ、温度変化による体積変化率の小ささ、及び優れた耐候性から広く利用される。ZnS−SiOを用いる場合、ZnSとSiOとの組成比ZnS:SiOは、通常0:1〜1:0、好ましくは0.5:0.5〜0.95:0.05、より好ましくは0.7:0.3〜0.9:0.1とする。最も好ましいのはZnS:SiOを0.8:0.2とすることである。
より具体的には、La,Ce,Nd,Y等の希土類の硫化物、硫酸化物を50mol%以上90mol%以下含む複合誘電体や、ZnS,TaSを70mol%以上90mol%以下含有する複合誘電体が望ましい。
繰り返し記録特性を考慮すると、保護層の膜密度はバルク状態の80%以上であることが機械的強度の面から望ましい。誘電体の混合物を用いる場合には、バルク密度として上述の一般式(1)の理論密度を用いる。
保護層の厚さは、一般的に通常1nm以上500nm以下である。1nm以上とすることで、基板や記録層の変形防止効果を十分確保することができ、保護層としての役目を十分果たすことができる。また、500nm以下とすれば、保護層としての役目を十分果たしつつ、保護層自体の内部応力や基板との弾性特性の差等が顕著になって、クラックが発生するということを防止することができる。
特に、記録層からみて光の入射側に位置する第一保護層を設ける場合、第一保護層は、熱による基板変形を抑制する必要があるため、その厚さは通常1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上、特に好ましくは40nm以上である。このようにすれば、繰り返し記録中の微視的な基板変形の蓄積が抑制され、再生光が散乱されてノイズ上昇が著しくなるということがなくなる。
一方、第一保護層の厚みは、成膜に要する時間の関係から、通常400nm以下、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは150nm以下、特に好ましくは100nm以下である。このようにすれば、記録層平面で見た基板の溝形状が変わるということがなくなる。すなわち、溝の深さや幅が、基板表面で意図した形状より小さくなったりする現象が起こりにくくなる。
一方、記録層からみて光に入射側と反対側に位置する第二保護層を設ける場合、第二保護層は、記録層の変形抑制のために、通常その厚さは1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上である。また、繰り返し記録に伴って発生する上部保護層内部の微視的な塑性変形の蓄積を防止し、再生光の散乱によるノイズ上昇を抑制するため、好ましくは200nm以下、より好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは60nm以下、特に好ましくは50nm以下、最も好ましくは30nm以下である。また、保護層は多層に設けてもよい。
なお、記録層及び保護層の厚みは、機械的強度、信頼性の面からの制限の他に、多層構成に伴う干渉効果も考慮して、レーザ光の吸収効率がよく、記録信号の振幅が大きく、すなわち記録状態と未記録状態のコントラストが大きくなるように選ばれる。
保護層は通常スパッタ法で形成されるが、ターゲットそのものの不純物量や、成膜時に混入する水分や酸素量も含めて全不純物量を2原子%未満とするのが好ましい。このために保護層をスパッタリングによって形成する際、プロセスチャンバの到達真空度は1×10−3Pa未満とすることが望ましい。
(反射層)
光記録媒体においては、さらに反射層を設けることができる。反射層の設けられる位置は、通常再生光の入射方向に依存し、入射側に対して記録層の反対側に設けられる。すなわち、基板側から再生光を入射する場合は、基板に対して記録層の反対側に反射層を設けるのが通常であり、記録層側から再生光を入射する場合は記録層と基板との間に反射層を設けるのが通常である。
反射層に使用する材料は、反射率の大きい物質が好ましく、特に放熱効果も期待できるAu、AgまたはAl等の金属が好ましい。その放熱性は膜厚と熱伝導率で決まるが、熱伝導率は、これら金属ではほぼ体積抵抗率に比例するため、放熱性能を面積抵抗率で表すことができる。面積抵抗率は、通常0.05Ω/□以上、好ましくは0.1Ω/□以上、一方、通常0.6Ω/□以下、好ましくは0.5Ω/□以下とする。
これは、特に放熱性が高いことを保証するものであり、上記記録層に用いる組成のように、非晶質マーク形成において、非晶質化と再結晶化の競合が顕著である場合に、再結晶化をある程度抑制するために必要なことである。反射層自体の熱伝導度制御や耐腐蝕性の改善のために、上記の金属にTa、Ti、Cr、Mo、Mg、V、Nb、Zr、Si等を少量加えてもよい。添加量は通常0.01原子%以上20原子%以下である。
本実施の形態に適した反射層の材料をより具体的に述べると、AlにTa,Ti,Co,Cr,Si,Sc,Hf,Pd,Pt,Mg,Zr,Mo及びMnからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むAl合金を挙げることができる。これらの合金は、耐ヒロック性が改善されるため、耐久性,体積抵抗率,成膜速度等を考慮して用いることができる。上記元素の含有量は、通常0.1原子%以上、好ましくは0.2原子%以上、一方、通常2原子%以下、好ましくは1原子%以下である。Al合金に関しては、添加不純物量が少なすぎると、成膜条件にもよるが、耐ヒロック性は不十分であることが多い。また、多すぎると十分な放熱効果が得られにくい。
アルミニウム合金の具体例としては、Ta及びTiの少なくとも一方を15原子%以下含有するアルミニウム合金は、耐腐蝕性に優れており、光記録媒体の信頼性を向上させる上で特に好ましい反射層材料である。
反射層材料の好ましい例としては、純AgまたはAgにTi,V,Ta,Nb,W,Co,Cr,Si,Ge,Sn,Sc,Hf,Pd,Rh,Au,Pt,Mg,Zr,Mo、Cu、Zn、Mn、及び希土類元素からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含むAg合金を挙げることができる。経時安定性をより重視する場合には添加成分としてはTi,Mg又はPdが好ましい。上記元素の含有量は、通常0.01原子%以上、好ましくは0.2原子%以上、一方、通常10原子%以下、好ましくは5原子%以下である。
特に、AgにMg、Ti、Au、Cu、Pd、Pt、Zn、Cr、Si、Ge、希土類元素のいずれか一種を0.01原子%以上10原子%以下含むAg合金は、反射率、熱伝導率が高く、耐熱性も優れていて好ましい。
なお、上部保護層の膜厚を40nm以上50nm以下とする場合には特に、反射層を高熱伝導率にするため、含まれる添加元素を2原子%以下とするのが好ましい。
反射層の材料として特に好ましいのは、Agを主成分とすることであり、最も好ましいのは純Agとすることである。Agを主成分とすることが好ましい理由は以下のとおりである。すなわち、長期保存した記録マークを再度記録すると、保存直後の第一回目の記録だけ、相変化記録層の再結晶化速度が速くなる現象が発生する場合がある。このような現象が発生する理由は不明であるが、この保存直後における記録層の再結晶化速度の増加により、保存直後の第一回目の記録で形成した非晶質マークの大きさが所望するマークの大きさよりも小さくなるのではないかと推測される。したがって、このような現象が発生する場合には、反射層に放熱性が非常に高いAgを用いて記録層の冷却速度を上げることにより、保存直後における第一回目の記録時の記録層の再結晶化を抑制して非晶質マークの大きさを所望の大きさに保つことができるようになる。
反射層の膜厚としては、透過光がなく完全に入射光を反射させるために通常10nm以上とするが、20nm以上とすることが好ましく、40nm以上とすることがより好ましく、50nm以上とすることがさらに好ましい。また、あまりに厚すぎても、放熱効果に変化はなくいたずらに生産性を悪くし、また、クラックが発生しやすくなるので、通常は500nm以下とするが、400nm以下とすることが好ましく、300nm以下とすることがより好ましく、200nm以下とすることがさらに好ましい。
なお、反射層は通常スパッタ法や真空蒸着法で形成されるが、ターゲットや蒸着材料そのものの不純物量や、成膜時に混入する水分や酸素量も含めて全不純物量を2原子%未満とするのが好ましい。このために反射層をスパッタリングによって形成する際、プロセスチャンバの到達真空度は1×10Pa未満とすることが望ましい。
また、10Paより悪い到達真空度で成膜するなら、成膜レートを1nm/秒以上、好ましくは10nm/秒以上として不純物が取り込まれるのを防ぐことが望ましい。あるいは、意図的な添加元素を1原子%より多く含む場合は、成膜レートを10nm/秒以上として付加的な不純物混入を極力防ぐことが望ましい。
さらなる高熱伝導と高信頼性を得るために反射層を多層化することも有効である。この場合、少なくとも1層は全反射層膜厚の50%以上の膜厚を有する上記の材料とするのが好ましい。この層は実質的に放熱効果を司り、他の層が耐食性や保護層との密着性、耐ヒロック性の改善に寄与するように構成される。特に、純AgまたはAgを主成分とする反射層を、硫黄を含むZnS等を含む保護層と接して設ける場合には、Agの硫黄との反応による腐食を防ぐために、通常、硫黄を含まない界面層を設けるが、界面層が、反射層として機能するような金属であることが好ましい。界面層の材料としては、Ta、Nbを挙げることができる。
記録層用ターゲット、保護層用ターゲット、必要な場合には反射層材料用ターゲットを同一真空チャンバー内に設置したインライン装置で膜形成を行なうことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で望ましい。また、生産性の面からも優れている。
(保護コート層)
光記録媒体の最表面側には、空気との直接接触を防いだり、異物との接触による傷を防ぐため、紫外線硬化樹脂や熱硬化型樹脂からなる保護コート層を設けるのが好ましい。保護コート層は通常1μmから数百μmの厚さである。また、硬度の高い誘電体保護層をさらに設けたり、その上にさらに樹脂層を設けることもできる。
(その他)
なお、ここでは、CD−RWのような1層構造のものを例に説明したが、これに限られるものではなく、他の構造のもの(例えば2層構造のものやそれ以上の多層構造のもの、2層構造で片面入射型のものや両面入射型のものなど)にも本発明を適用することができる。
以下に実施例を示して、本実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
〔基本例〕
トラックピッチ0.74μmで厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基板を射出成形によって形成した。溝幅は約0.31μm、深さは約28nmとした。溝形状は、いずれも波長441.6nmのHe−Cdレーザー光を用いたU溝近似の光学回折法で求めた。溝蛇行(ウォブル)はさらに、ADIPによるアドレス情報を位相変調により付与した。
つづいて、基板上に、下部保護層、相変化型記録層、上部保護層、反射層、紫外線硬化樹脂層をこの順に形成した。各層の成膜は上記基板上に、真空を解除することなく、順にスパッタリング法によって積層した。ただし、紫外線硬化樹脂層(厚さ約4μm)はスピンコート法によって塗布した。その後に、未成膜の0.6mm厚みの基板を接着剤を介して、上記記録層面が内側になるように貼り合せた。
成膜直後の記録層は非晶質である。このため、長軸約75μm、短軸約1.0μmに集光した波長約810nmの長楕円形状のレーザー光を記録層に照射して、全面結晶化させ初期(未記録)状態とした。この初期化工程は、初期結晶化後の記録特性を良好とするために、線速と初期化パワーを適当な範囲で選んで行った。
各層の膜厚は成膜レートを正確に測定した後、スパッタ成膜時間によって制御した。記録層組成は、蛍光X線法による各元素の蛍光強度を、別途化学分析(原子吸光分析)によって求めた絶対組成によって校正した値を用いた。
記録再生評価は、パルステック社製DDU1000テスター(波長約650nm、NA=0.65、スポット形状は1/e強度で0.86μmの円形、以下このテスタをテスター1という。)を用い、上記初期結晶化後の記録層に非晶質マークを形成した。DVDの標準線速度3.49m/sを1倍速とし、4倍速以上でのオーバーライト特性を評価した。各線速度におけるデータの基準クロック周期は、1倍速におけるデータの基準クロック周期38.2nsecに対して各線速度で反比例させたものとした。
再生は特に断わらない限り1倍速で行った。DDU1000からの出力信号を5〜20kHzにカットオフのある高周波通過フィルタを通した後、タイムインターバルアナライザー(横河電機社製)でジッタを測定した。変調度m14(=I14/Itop )、Modulation、はオシロスコープ上でアイパターン観察により読み取った。m14は、信号振幅I14をアイパターンの上端の値(Itop、消去状態高反射率に対応)で除した値である。
EFM+ランダムデータを10回オーバーライト記録した後、当該記録データのデータ・ツー・クロック・ジッタ(Data to clock jitter、以下では、基準クロック周期Tで規格化し%値で表したものを単にジッタ(jitter)と称する。)、変調度m14、Rtop及びアシンメトリー値を測定した。オーバーライト特性の評価は特に断りのない限り、単一のトラックに10回オーバーライト(未記録状態に初回記録後、同一トラックに9回のオーバーライト)を行った後に評価した。
記録パルス分割方法を制御するための論理レベルの生成は、任意信号発生器(AWG710、ソニーテクトロニクス社製)を用いた。同信号発生器から、概ね図3のG1、G2、G3を合成したものに相当する論理信号と、G4に相当する論理信号の2チャンネルのゲート信号と、を取り出した。そして、ECLレベルの論理信号として上記テスターのレーザードライバーに対するゲート信号として入力した。
(実施例1、比較例1)
上記基本例において、下記のようにディスクを製造し記録を行なった。
基板上に、(ZnS)80(SiO20(保護層組成は、ZnSとSiOのモル%、以下同様)らなる下部保護層を約70nm、GeIn11Sn22Sb52Te11合金(記録層組成は原子%である。以下同様である。)からなる記録層を約13nm、(ZnS)80(SiO20からなる上部保護層を約14nm、Taからなる界面層を約2nm、Agからなる反射層を約200nmをこの順にスパッタ法により形成した。
初期化は、長軸約75μm、短軸約1.0μmの楕円形スポット形状を有する波長約810nmのレーザーダイオード光を用いた。そして、初期化は、このレーザーダイオード光の短軸を周方向に揃えた状態において線速約24m/sで走査し、長軸を1回転ごとに約50μmずつ半径方向に移動させながら行なった。照射パワーは、約1500mWである。
このディスクに、NA=0.65のテスター1を用いて、10倍速でDVD互換のEFM+変調信号のオーバーライトを行ない、その特性を評価した。消去パワーPe、バイアスパワーはPbで一定とし、Pwを20mW程度から30mW程度まで1mW刻みで変化させ、それぞれの記録パワーでオーバーライト特性を評価した。いずれも10回オーバーライト後の値で評価した。
図10は、実施例1として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。図10において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図10中において、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。これらの値は、基準クロック周期Tの(1/15)T刻みで各パラメータ値の最適化を行い、ジッタ値ができるだけ低くなるように選ばれたものであるので、15を分母とした値で記載されている。
図10の記録パルスストラテジーは、図4で示した記録パルス分割方式(IIa)に相当する。表2は、これを、図4及び図5で定義された独立パラメータを用いて表したものである。表2に示すように、Tcl+=Tcl−=TclかつdTtop=0となっているので、独立パラメータ数が全部で19個となっている。
Figure 2005122874
図11は、比較例1として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。図11において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図11中に、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。図11から、分割パルス方法が「2Tストラテジー」ゆえ、m=2以上の総ての記録マークにおいて、n=5の場合を除きn/mが2.5未満となっている。つまり「2Tストラテジー」では、m=2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとなっていないことが分かる。
図12(a)、(b)は、実施例1(3Tストラテジー)及び比較例1(2Tストラテジー)において、オーバーライト9回(初回記録を含めると10回記録)後の、ジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示したグラフである。また、図12(c)は、繰り返しオーバーライト(Direct Overwrite、DOW)した場合の、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。図12(c)の横軸は、オーバーライト回数(DOW回数であり、0回とは、未記録状態へのディスクへの初回記録である。
図12(a)、(b)の記録パワー依存性の測定においては、「3Tストラテジー」では、Pe=6.0mW、「2Tストラテジー」では、Pe=5.7mWと一定としている。また、図12(c)においては、「3Tストラテジー」では、Pw=24mW、Pe=6.0mW、「2Tストラテジー」では、Pw=26mW、Pe=5.7mWで測定を行った。いずれの場合にもPb=0.8mWは一定である。
図12(a)、(b)から、実施例1の「3Tストラテジー」は、比較例1の「2Tストラテジー」にくらべて、ジッタも低く、変調度も高い値が得られる。「3Tストラテジー」を用いることにより、ジッタ値10%以下、変調度0.55以上の良好な記録特性が得られていることがわかる。また、良好な特性が得られる記録パワーも「3Tストラテジー」の方が低い値となり、記録感度も改善されている。
(実施例2、比較例2)
実施例1において使用したディスクに、NA=0.65のテスター1を用いて、4倍速でDVD互換のEFM+変調信号のオーバーライトを行ない、その特性を評価した。
図13は、実施例2として「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。図13において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図13中に、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。これらの値は、基準クロック周期Tの(1/15)T刻みで各パラメータ値の最適化を行い、ジッタ値ができるだけ低くなるように選ばれたものであるので、15を分母とした値で記載されている。
図13に示した記録パルスストラテジーは、図4において示した記録パルス分割方式(IIa)を低線速で適用した記録パルス分割方式(VIa)に相当する。表3は、これを、図4及び図5で定義された独立パラメータを用いて表したものである。表3に示すように、Tcl+=Tcl−=TclかつdTtop=0となっているので、独立パラメータ数が全部で19個となっている。
Figure 2005122874
図14は、比較例2として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。この場合は(1/16)T刻みでパラメータ値の最適化を行っている。図14において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図14中に、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。図14をみてわかるように、分割パルス方法が「2Tストラテジー」ゆえ、m=2以上の全ての記録マークにおいて、n=5の場合を除いてn/mが2.5未満となっている。つまり「2Tストラテジー」では、m=2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/m≦5となっていないことが分かる。
図15(a)及び(b)は、実施例2(3Tストラテジー)及び比較例2(2Tストラテジー)において、オーバーライト9回(初回記録を含めると10回記録)後の、ジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示したグラフである。また、図15(c)は、繰り返しオーバーライトした場合の、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。図15(a)及び(b)の記録パワー依存性の測定においては、「3Tストラテジー」では、Pe=6mW、「2Tストラテジー」では、Pe=7mWと一定としている。また、図15(c)においては、「3Tストラテジー」では、Pw=22mW、Pe=6mW、「2Tストラテジー」では、Pw=26mW、Pe=7mWで測定を行った。いずれの場合にもPb=0.5mWは一定である。
実施例2の「3Tストラテジー」は、比較例2の「2Tストラテジー」にくらべて、ジッタも大幅に低く、変調度も高い値が得られる。「3Tストラテジー」を用いることにより、ジッタ値約10%、変調度0.6以上の良好な記録特性が得られていることがわかる。また、良好な特性が得られる記録パワーも「3Tストラテジー」の方が低い値となり、記録感度も改善されている。
(実施例3、比較例3)
前述した基本例において、下記のとおりディスクを製造し記録を行なった。
基板上に、(ZnS)80(SiO20からなる下部保護層を約80nm、GeIn10Sn15Sb62Te合金からなる記録層を約13nm、(ZnS)80(SiO20からなる上部保護層を約20nm、Taからなる界面層を約2nm、Agからなる反射層を約200nmをこの順にスパッタ法により形成した。
初期化は、長軸約75μm、短軸約1.0μmの楕円形スポット形状を有する波長約810nmのレーザーダイオード光を用いた。そして、初期化は、このレーザーダイオード光の短軸を周方向に揃えた状態において線速約24m/sで走査し、長軸を1回転ごとに約50μmずつ半径方向に移動させながら行なった。照射パワーは、約1500mWである。
このディスクに、NA=0.65のテスター1を用いて、10倍速でDVD互換のEFM+変調信号のオーバーライトを行ない、その特性を評価した。消去パワーPe、バイアスパワーはPbで一定とし、Pwを20mW程度から30mW程度まで1mW刻みで変化させ、それぞれの記録パワーでオーバーライト特性を評価した。いずれも10回オーバーライト後の値で評価した。
図16は、実施例3として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。図16において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図16中に、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。これらの値は、基準クロック周期Tの(1/15)T刻みで各パラメータ値の最適化を行い、ジッタ値ができるだけ低くなるように選ばれたものであるので、15を分母とした値で記載されている。
図16に示した記録パルスストラテジーは、図8で示した記録パルス分割方式(IIIa)に相当する。表4は、これを、図8、9で定義された独立パラメータを用いて表したものである。Tcl+=TclかつdTtop=0となっているので、独立パラメータ数が全部で18個となっている。なお、表4では、5Tマークについては、T1から3T経過時点を基準として、dTlast5を規定している。
Figure 2005122874
図17は、比較例3として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。図17において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図17中に、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。図17をみてわかるように、分割パルス方法が「2Tストラテジー」ゆえ、m=2以上の全ての記録マークにおいて、n=5の場合を除いてn/mが2.5未満となっている。つまり「2Tストラテジー」では、m=2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとなっていないことがわかる。
図18(a)及び(b)は、実施例3(3Tストラテジー)及び比較例3(2Tストラテジー)において、オーバーライト9回(初回記録を含めると10回記録)後の、ジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示したグラフである。また、図18(c)は、繰り返しオーバーライトした場合の、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。図18(a)及び(b)の記録パワー依存性の測定においては、「3Tストラテジー」では、Pe=5.8mW、「2Tストラテジー」では、Pe=5.6mWと一定としている。また、図18(c)においては、「3Tストラテジー」では、Pw=24mW、Pe=5.8mW、「2Tストラテジー」では、Pw=24mW、Pe=5.6mWで測定を行った。いずれの場合にもPb=0.5mWは一定である。
実施例3の「3Tストラテジー」は、比較例3の「2Tストラテジー」にくらべて、ジッタも低く、変調度も高い値が得られる。「3Tストラテジー」を用いることにより、ジッタ値10%台、変調度0.6以上の良好な記録特性が得られていることがわかる。また、良好な特性が得られる記録パワーも「3Tストラテジー」の方が低い値となり、記録感度も改善されている。
(実施例4、比較例4)
実施例3において使用したディスクに、NA=0.65のテスター1を用いて、4倍速でDVD互換のEFM+変調信号のオーバーライトを行ない、その特性を評価した。
図19は、実施例4として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。図19において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図19中に、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。これらの値は、基準クロック周期Tの(1/16)T刻みで各パラメータ値の最適化を行い、ジッタ値ができるだけ低くなるように選ばれたものであるので、16を分母とした値で記載されている。
図19に示した記録パルスストラテジーは、図8で示した記録パルス分割方式(IIIa)を低線速で適用した記録パルス分割方式(VIIa)に相当する。表5は、これを図8、9で定義された、独立パラメータを用いて表したものである。Tcl+=TclかつdTtop=0となっているので、独立パラメータ数が全部で18個となっている。なお、表5では、5Tマークについては、T1から3T経過時点を基準としてdTlast5を規定している。
Figure 2005122874
図20は、比較例4として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。図20において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図20中に、上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。図20をみてわかるように、分割パルス方法が「2Tストラテジー」ゆえ、m=2以上の全ての記録マークにおいて、n=5の場合を除いてn/mが2.5未満となっている。つまり「2Tストラテジー」では、m=2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとなっていないことが分かる。
図21(a)及び(b)は、実施例4(3Tストラテジー)及び比較例4(2Tストラテジー)において、オーバーライト9回(初回記録を含めると10回記録)後の、ジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示したグラフである。また、図21(c)は、繰り返しオーバーライトした場合の、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。図21(a)及び(b)の記録パワー依存性の測定においては、「3Tストラテジー」では、Pe=5.5mW、「2Tストラテジー」では、Pe=5.5mWと一定としている。また、図21(c)においては、「3Tストラテジー」では、Pw=23mW、Pe=5.5mW、「2Tストラテジー」では、Pw=22mW、Pe=5.5mWで測定を行った。いずれの場合にもPb=0.1mWは一定である。
実施例4の「3Tストラテジー」は、比較例4の「2Tストラテジー」にくらべて、ジッタ、変調度とも同等の値が得られる。「3Tストラテジー」を用いることにより、ジッタ値約10%、変調度0.6以上の良好な記録特性が得られていることがわかる。また、良好な特性が得られる記録パワーは、「3Tストラテジー」の方が低い値となり、記録感度、及び繰り返しオーバーライト耐久性も改善されている。
(実施例5及び実施例6)
上記基本例において、下記のようにしてディスクを製造し記録を行なった。
基板上に、(ZnS)80(SiO20(保護層組成は、ZnSとSiOのモル%、以下同様)らなる下部保護層を約65nm、GeN界面層を約5nm、GeInSn24Sb56Te合金(記録層組成は原子%である。)からなる記録層を約13nm、GeN界面層を約5nm、(ZnS)80(SiO20からなる上部保護層を約10nm、Taからなる界面層を約2nm、Agからなる反射層を約150nmをこの順にスパッタ法により形成した。
初期化は、長軸約75μm、短軸約1.0μmの楕円形スポット形状を有する波長約810nmのレーザーダイオード光を用いた。そして、初期化は、このレーザーダイオード光の短軸を周方向に揃えた状態において線速約30m/sで走査し、長軸を1回転ごとに約50μmずつ半径方向に移動させながら行なった。照射パワーは、約1600mWである。
上記、ディスクに、NA=0.65のテスター1を用いて、12倍速(実施例5)及び4倍速(実施例6)でDVD互換のEFM+変調信号のオーバーライトを行ない、その特性を評価した。
「4Tストラテジー」の実施例5及び実施例6として、各マーク長に対して、図28及び図29に示した分割記録パルスを用いた。図28及び図29において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図中に上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。これらの値は、実施例5及び6でそれぞれ基準クロック周期Tの(1/12)T及び(1/15)T刻みで各パラメータ値の最適化を行い、ジッタ値ができるだけ低くなるように選ばれたものであるので、12もしくは15を分母とした値で記載されている。
図28及び図29の記録パルスストラテジーは、図8で示した記録パルス分割方式(IVa)及び、それを低線速で適用した記録パルス分割方式(VIIa)に相当する。図8で定義された、独立パラメータを用いて表すと、図28及び図29の分割記録パルスは表6のような値で規定される。独立パラメータ数が全部で24個となっている。このうち、ゼロとなっているパラメータ数を差し引けば、独立パラメータ数は、18個である。なお、表6では、5Tマークについては、T1から3T経過時点を基準としてdTlast5を規定している。
Figure 2005122874
図30(a)、(b)に、オーバーライト9回(初回記録を含めると10回記録)後の、ジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示した。また、図30(c)は、繰り返しオーバーライトした場合の、ジッタのオーバーライト回数依存性である。実施例5、実施例6の結果は、それぞれ、図中の「12倍速」、「4倍速」という凡例に従って区別されている。図30(a)、(b)の記録パワー依存性の測定においては、「12倍速」では、Pe=6.4mW、Pb=0.3mW、「4倍速」では、Pe=6.2mW、Pb=0.mWと一定としている。また、図30(c)においては、「12倍速」では、Pw=30mW、Pe=6.4mW、Pb=0.3mW、「4倍速」では、Pw=30mW、Pe=6.2mW、Pb=0.1mWで測定を行った。
実施例5、実施例6の「4Tストラテジー」は、ジッタ、変調度とも同等の値が得られた。「4Tストラテジー」を用いることにより、ジッタ値約10%以下、変調度0.6以上の良好な記録特性が得られていることがわかる。また、記録感度、及び繰り返しオーバーライト耐久性も良好な結果となった。
一方、本実施例の記録媒体に対して、「2Tストラテジー」を適用しても、12倍速、4倍速いずれにおいても、冷却区間における冷却効果が不十分であった。具体的には「2Tストラテジー」では、良好な非晶質マークの形成が困難であり、13%程度より低いジッター値は得られなかった。また、「1Tストラテジー」では、記録パワーで溶融した部分が、ほぼ完全に再結晶化してしまい、非晶質マークの形成は困難であった。
(実施例7)
下記のようにして、CD−RWフォーマットに基づく、ディスクを製造し記録を行なった。トラックピッチ1.6μmで厚さ1.2mmのポリカーボネート樹脂基板を射出成形によって形成した。溝幅は約0.6μm、深さは約30nmとした。
続いて、基板上に、(ZnS)80(SiO20(保護層組成は、ZnSとSiOのモル%、以下同様)らなる下部保護層を約80nm、Sn25Ge13Sb62合金(記録層組成は原子%である。)からなる記録層を約15nm、(ZnS)80(SiO20からなる上部保護層を約30nm、Taからなる界面層を約3nm、Agからなる反射層を約150nmをこの順に形成し、最後に、紫外線硬化樹脂層をこの順に形成した。各層の成膜は上記基板上に、真空を解除することなく、順にスパッタリング法によって積層した。ただし、紫外線硬化樹脂層(厚さ約4μm)はスピンコート法によって塗布した。
成膜直後の記録層は非晶質であり、長軸約75μm、短軸約1.0μmに集光した波長約810nmの長楕円形状のレーザー光により線速12m/sと初期化パワー約800mWで全面結晶化させ初期(未記録)状態とした。
記録再生評価は、パルステック社製DDU1000テスタ(波長約780nm、NA=0.5、スポット形状は1/e強度で約1.42×1.33μmの楕円形、以下このテスターをテスター2という。)を用いた。
データの基準クロック周期は、1倍速におけるデータの基準クロック周期231nsecに対して各線速度で反比例させた値、約5.8nsecとした。
再生は特に断わらない限り1倍速で行った。DDU1000からの出力信号を5〜20kHzにカットオフのある高周波通過フィルタを通した後、タイムインターバルアナライザー(横河電機社製)でジッタを測定した。変調度m11(=I11/Itop)はオシロスコープ上でアイパターン観察により読み取った。
記録パルス分割方法を制御するための論理レベルの生成は、任意信号発生器(AWG620又はAWG710、ソニーテクトロニクス社製)を用いた。上記信号発生器から、概ね図5のG1、G2、G3を合成したものに相当する論理信号とG4に相当する論理信号との2チャンネルのゲート信号とを取り出し、ECLレベルの論理信号として上記テスター2のレーザードライバーに対するゲート信号として入力した。
EFMランダムデータを10回オーバーライト記録した後、マーク長及びスペース長ジッタ、m11を測定した。EFMランダムデータは、3Tから11Tまでのマーク長とスペース長がランダムに現れる。40倍速におけるデータの基準クロック周期は、1倍速におけるデータの基準クロック周期231nsecに対して線速度で反比例させた値(約5.8nsec)とし、EFM変調によるマーク長変調記録を行った。再生は、1倍速で行った。
「3Tストラテジー」の実施例7として、各マーク長に対して、図31に示した分割記録パルスを用いた。図31において、各マーク長におけるα及びβの値は、それぞれ、図中に上辺に罫線のある欄と、下辺に罫線のある欄で表されている。これらの値は、実施例7でそれぞれ基準クロック周期Tの1/15T刻みで各パラメータ値の最適化を行い、ジッタ値ができるだけ低くなるように選ばれたものであるので、15を分母とした値で記載されている。
図31の記録パルスストラテジーは、図4及び図5で示した記録パルス分割方式(IIa)に相当するが、4Tマーク長の形成に2個の分割記録パルスを用いている点、6T、7Tマーク長と8T、9T、10T、11TのdTtopとが異なっている点でさらに独立パラメータ数が増えている。本実施例では、所定の記録マークとその前後の記録マークとの間に熱干渉効果が見られたので、dTtopによる補正を行っている。図4で定義された独立パラメータに、4Tマーク形成のためのパラメータ、dTtop4、Ttop4、dTlast4、Tlast4、Tcl4と、6−7Tマーク長及び8−11Tマーク長に対するdTtop値である、dTtop6、dTtop8を加えると、図31の分割記録パルスは表7のような値で規定される。独立パラメータ数が全部で23個となっている。なお、表7では、4T及び5Tマークについては、T1から3T経過時点を基準としてdTlast4、dTlast5を規定している。
Figure 2005122874
図32(a)、(b)に、オーバーライト9回(初回記録を含めると10回記録)後の、ジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示した。CD−RWでは、通常、個々のマーク長、マーク間(スペース)長ごとにジッタ(クロック周期で規格化しない。)を測定するが、ここでは、3Tと11Tマーク長及びマーク間長についてのジッタを代表として示した。
また、図32(c)は、繰り返しオーバーライトした場合の、ジッタのオーバーライト回数依存性である。図32(a)、(b)の記録パワー依存性の測定においては、Pe/Pw=0.27(Peの値を一定にするのではなく、Pe/Pwの比を一定とする)、Pb=0.8mWで一定としている。また、図32(c)においては、Pw=42mW、Pe=11mW、Pb=0.8mWとした。実施例7の「3Tストラテジー」は、ジッタ、変調度とも良好な値が得られた。すなわち、CD−RW規格で必要とされるジッタ値35nsec以下、変調度0.6以上の良好な記録特性が得られている。
一方、本実施例の記録媒体に対して、「2Tストラテジー」を適用しても、冷却区間における冷却効果が不十分であった。「2Tストラテジー」を用いても、良好な非晶質マークの形成が困難であり、40nsec程度より低いジッター値は得られなかった。また、「1Tストラテジー」では、記録パワーで溶融した部分が、ほぼ完全に再結晶化してしまい、非晶質マークの形成は困難であった。
(比較例5)
実施例1のディスク及び表2の記録パルスストラテジー及び測定条件において、L=3の8T,9T,10Tマークの場合に注目し、αだけを変化させてマーク長を調整することを試みた。
9Tマークに用いたα=21/15Tをベースとした。そして、8Tマークではαを短くしてマーク長の調整を行った。また、10Tマークではαを長くしてマーク長の調整を行った。具体的には、8Tマークではα-=14/15Tとすることにより、8Tマーク長が得られた。一方、10Tマークではα=25/15Tとすることにより、10Tマーク長が得られた。
マーク長ごとのジッタを個別に測定したところ、8T,9T,10Tのそれぞれのマークにおいて、ジッタは、それぞれ、16.7%、9.5%、10.2%となった。
実施例1では、8T、9T、10Tのそれぞれのマークにおいて、ジッタは、それぞれ、10.4%、9.2%、8.8%となった(なお、この場合のデータ・ツー・クロックジッタは、約9%である。)。
以上の結果から、αだけの調整では、マーク長の後端のジッタが高くなる傾向にあることが分かる。これは、αを変化させることにより、αT照射前後での熱分布も変わるためであると考えられる。従って、αを変化させる場合には、βm−1又はβのいずれかを少なくとも調整する必要があることが分かる。
(比較例6)
実施例3のディスク、表4の記録パルスストラテジー及び測定条件において、L=3の10T、11Tマークの場合に注目し、αだけを変化させてマーク長を調整することを試みた。
10Tマークに用いたα=25/15Tをベースとした。そして、11Tマークではαを長くしてマーク長の調整を行った。しかしながら、いくらαを長くしても、11Tマーク長(1倍速で約420nsec)が得られなかった。ここで、得られた最長マーク長は400nsec程度であった。
αを単に大きくすると、先頭パルスαTの蓄熱効果のために、かえってマーク先端が再結晶化する傾向がある。このため、いくらαを長くしてもマーク長が一定値以上は伸びないと考えられる。そこで、αTとαTの間を4Tとすることにより(正確には、図7で、T1からαT立ち上がりまでを4Tとすることにより)、βTを長くした。その結果、実施例3と同等の良好な結果が得られた。これは、βTを長くすることにより、αTによる蓄熱効果を抑制してマーク先端の再結晶化を抑制できたためであると考えられる。
以上、本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
尚、本出願は、2003年7月18日付けで出願された日本出願(特願2003−199522)及び2003年9月25日付けで出願された日本出願(特願2003−334342)に基づいており、その全体が引用により援用される。
本発明によれば、高データ転送レートの記録に適用可能な光記録方法又は光記録装置が提供される。
従来のCD−RW規格オレンジブックパート3に示された記録パルスストラテジーを説明するための図であり、図1(a)はCDフォーマットで使用されるマーク長変調方式の例で、3T〜11Tの時間的長さを有するデータ信号であり、図1(b)及び図1(c)は、当該データ信号に基づいて発生される実際の記録光のレーザーパワーである。 本実施の形態が適用される光記録方法におけるパルス分割方法を実施する場合の、各記録パルスの関係を説明するためのタイミングチャートの図であり、図2(a)は、形成するnTの記録長の記録マークを示し、図2(b)は、この記録マークを形成するための記録パルス分割方法のタイミングチャートを示す。 本実施の形態が適用される光記録方法の記録パルス分割方法を発生する論理回路のタイミングチャートの具体例を説明するための図であり、図3(a)は、時間幅nTのnTマーク長信号(301)を示し、図3(b)〜図3(e)は、それぞれ記録パルス制御用ゲート信号を示す。 記録パルス分割法(IIa)を、n=2〜16からなるマーク長に適用したタイミングチャートの具体例を説明するための図であり、図4(a)は、n=3L−1の場合であり、図4(b)は、n=3Lの場合であり、図4(c)は、n=3L+1の場合である。 図4においてL=4の場合の、n=3L−1、n=3L、n=3L+1の3つのマーク長を一組とする周期パラメータ変化を説明する図であり、図5(a)は、3L−1、3L、3L+1の3つのマーク長であり、図5(b)は、n=3L−1の場合であり、図5(c)は、n=3Lの場合であり、図5(d)は、n=3L+1の場合である。 記録パルス分割方法(IIIa)を、n=2〜17からなるマーク長に適用した具体例を説明するための図であり、図6(a)は、n=3Lの場合であり、図6(b)は、n=3L+1の場合であり、図6(c)は、n=3L+2の場合である。 図6においてL=4の場合の、n=3L、 n=3L+1、n=3L+2の3つのマーク長を一組とする周期パラメータ変化を説明する図であり、図7(a)は、3L−1、3L、3L+13つのマーク長であり、図7(b)は、n=3Lの場合であり、図7(c)は、n=3L+1の場合であり、図7(d)は、n=3L+2の場合である。 記録パルス分割法(IVa)を、n=2〜16からなるマーク長に適用したタイミングチャートの具体例を説明するための図であり、図8(a)は、n=4L−3の場合であり、図8(b)は、n=4L−2の場合であり、図8(c)は、n=4L−1の場合であり、図8(d)は、n=4Lの場合である。 図8においてL=3の場合の、n=4L−3、n=4L−2、n=4L−1、n=4Lの4つのマーク長を一組とする周期パラメータ変化を説明する図であり、図9(a)は、4L−3、4L−2、4L−1、4Lの4つのマーク長であり、図9(b)は、n=4L−3の場合であり、図9(c)は、n=4L−2の場合であり、図9(d)は、n=4L−1の場合であり、図9(e)は、n=4Lの場合である。 実施例1として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 比較例1として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 図12(a)及び(b)は、実施例1及び比較例1において、オーバーライト9回後のジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示すグラフであり、図12(c)は、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。 実施例2として「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 比較例2として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 図15(a)及び(b)は、実施例2及び比較例2において、オーバーライト9回後のジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示すグラフであり、図15(c)は、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。 実施例3として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスである。 比較例3として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 図18(a)及び(b)は、実施例3及び比較例3において、オーバーライト9回後のジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示すグラフであり、図18(c)は、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。 実施例4として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 比較例4として示した「2Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 図21(a)及び(b)は、実施例4及び比較例4において、オーバーライト9回後のジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示すグラフであり、図21(c)は、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。 記録パルス分割法(IIb)を、n=2〜16からなるマーク長に適用したタイミングチャートの具体例を説明するための図であり、図22(a)は、n=3L−1の場合であり、図22(b)は、n=3Lの場合であり、図22(c)は、n=3L+1の場合である。 図22においてL=4の場合の、n=3L−1、n=3L、n=3L+1の3つのマーク長を一組とする周期パラメータ変化を説明する図であり、図23(a)は、3L−1、3L、3L+1の3つのマーク長であり、図23(b)は、n=3L−1の場合であり、図23(c)は、n=3Lの場合であり、図23(d)は、n=3L+1の場合である。 記録パルス分割方法(IIIb)を、n=2〜17からなるマーク長に適用した具体例を説明するための図であり、図24(a)は、n=3Lの場合であり、図24(b)は、n=3L+1の場合であり、図24(c)は、n=3L+2の場合である。 図24においてL=4の場合の、n=3L、n=3L+1、n=3L+2の3つのマーク長を一組とする周期パラメータ変化を説明する図であり、図25(a)は、3L、3L+1、3L+2の3つのマーク長であり、図25(b)は、n=3Lの場合であり、図25(c)は、n=3L+1の場合であり、図25(d)は、n=3L+2の場合である。 記録パルス分割法(IVb)を、n=2〜16からなるマーク長に適用したタイミングチャートの具体例を説明するための図であり、図26(a)は、n=4L−3の場合であり、図26(b)は、n=4L−2の場合であり、図26(c)は、n=4L−1の場合であり、図26(d)は、n=4Lの場合である。 図26においてL=3の場合の、n=4L−3、n=4L−2、n=4L−1、n=4Lの4つのマーク長を一組とする周期パラメータ変化を説明する図であり、図27(a)は、4L−3、4L−2、4L−1、4Lの4つのマーク長であり、図27(b)は、n=4L−3の場合であり、図27(c)は、n=4L−2の場合であり、図27(d)は、n=4L−1の場合であり、図27(e)は、n=4Lの場合である。 実施例5として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 実施例6として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 図30(a)及び(b)は、実施例5及び実施例6において、オーバーライト9回後のジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示すグラフであり、図30(c)は、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。 実施例7として示した「3Tストラテジー」に用いた、各マーク長に対する分割記録パルスを説明するための図である。 図32(a)及び(b)は、実施例7において、オーバーライト9回後のジッタ及び変調度の記録パワー依存性を示すグラフであり、図32(c)は、ジッタのオーバーライト回数依存性を示すグラフである。 本実施の形態が適用される光記録方法を実施するための光記録装置の一例の構成図である。 本実施の形態が適用される光記録方法を実施するための光記録装置におけるLDドライバの一例の構成図である。
符号の説明
2001…インターフェース(I/F)回路、2002…変調回路、2003…分割記録パルス生成制御回路、2004…LDドライバ、2005…半導体レーザー(LD)、2006…ビームスプリッタ、2007…光ディスク、2008…フォトディテクタ、2009…対物レンズ、2010…再生回路、2011…復調回路、2012…ドライブマイコン、2013…スピンドルモーター、2020…選択信号、2030…セレクタ、2031,2032,2033…ディジタル・アナログ変換器(Digital Analog Converter DAC1,DAC2,DAC3)、2034,2035,2036…電圧―電流(V/I)変換器、2037,2038,2039…電流増幅アンプ、2040…電流加算器

Claims (25)

  1. 記録媒体に局所的に記録光を照射してマーク長変調された情報を記録するための光記録方法であって、
    一つの記録マークの記録マーク長をnTとしたとき(Tは基準クロック周期であり、nは2以上の自然数である。)、
    前記nTの記録マーク長を形成するために、
    Figure 2005122874
    (ここで、mはパルス分割数を示す自然数である。α(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、β(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βは0以上の実数である。)で示される、m個の記録パルスαT(1≦i≦m)とm個のオフパルスβT(1≦i≦m)を用い、
    1≦i≦mのいずれかにおけるαTの時間内においては、記録パワーPwの記録光を照射し、
    1≦i≦m−1のいずれかにおけるβTの時間内においては、Pb<PwかつPb<Pwi+1 なるバイアスパワーPbの記録光を照射し、
    先頭の記録パルスαTは、前記nTの長さを有する記録マークの先頭位置から、時間dTtop(nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。)だけずれて立ち上がるものとし、
    少なくとも2つの記録マークについては上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、mが2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとし、
    複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mでそれぞれ形成する場合に、α及び/又はαを変化させて前記異なる長さの記録マーク長をそれぞれ形成するとともに、 前記αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβも変化させ、
    前記αを変化させる場合は、βm−1及び/又はβも変化させることを特徴とする光記録方法。
  2. 前記パルス分割数mが2以上である総ての記録マークについて、n/m≦5とすることを特徴とする請求項1に記載の光記録方法。
  3. 前記パルス分割数mが2以上である総ての記録マークにおいて、1≦i≦m−1における(α+β)が、概ね3又は4のいずれかの値をとることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録方法。
  4. 同一のパルス分割数mで形成する複数の異なる記録マーク長における、1つの記録マーク長Aを形成するために用いる光記録方法を基準として、
    前記光記録方法においてα又はαを変化させることにより、前記複数の異なる記録マーク長における前記記録マーク長A以外の記録マーク長を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光記録方法。
  5. 同一のパルス分割数mで3つ以上の異なる記録マーク長を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光記録方法。
  6. nが3又は4増える毎に、mが1増えるようにすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光記録方法。
  7. n=2、3、4となる記録マーク長に対してはm=1、
    n=5、6、7となる記録マーク長に対してはm=2、
    n=8、9、10となる記録マーク長に対してはm=3、
    n=11、12、13となる記録マーク長においては、m=4、
    n=14、15、16となるマーク長においてはm=5、
    とすることを特徴とする請求項6に記載の光記録方法。
  8. 同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L−1、3L、3L+1の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増減することによって、n=3L−1とn=3L+1の記録マーク長をそれぞれ形成することを特徴とする請求項7に記載の光記録方法。
  9. n=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定であることを特徴とする請求項8に記載の光記録方法。
  10. n=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、βm−1、β)の値が、n=5の場合を除いて、Lによらず一定であることを特徴とする請求項8に記載の光記録方法。
  11. 同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L−1、3L、3L+1の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを減ずることによって、n=3L−1の記録マーク長を形成し、
    さらに、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させることにより、n=3L+1の場合の記録マーク長を形成することを特徴とする請求項7に記載の光記録方法。
  12. n=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定であることを特徴とする請求項11に記載の光記録方法。
  13. n=3L−1、3L、3L+1(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、n=5の場合を除いて、Lによらず一定であることを特徴とする請求項11に記載の光記録方法。
  14. nが6以上のすべての記録マーク長において、n/mを3以上とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光記録方法。
  15. n=2、3、4の記録マーク長に対してはm=1、
    n=5、6、7、8の記録マーク長に対してはm=2、
    n=9、10、11の記録マーク長においてはm=3、
    n=12、13、14の記録マーク長においてはm=4、
    n=15、16、17の記録マーク長においてはm=5、
    であることを特徴とする請求項14に記載の光記録方法。
  16. 同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L、3L+1、3L+2の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=3L+1の記録マーク長を形成し、
    さらに、n=3L+1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させることにより、n=3L+2の記録マーク長を形成することを特徴とする請求項15に記載の光記録方法。
  17. 同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=3L、3L+1、3L+2の3つの記録マーク長を一組とし、n=3Lの記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=3L+1の記録マーク長を形成し、
    さらに、n=3L+1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させることにより、n=3L+2の場合の記録マーク長を形成することを特徴とする請求項15に記載の光記録方法。
  18. n=3L、3L+1、3L+2(L≧2)の3つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定であることを特徴とする請求項16又は17に記載の光記録方法。
  19. n=2、3、4の記録マーク長においてはm=1、
    n=5、6、7、8の記録マーク長においてはm=2、
    n=9、10、11、12の記録マーク長においてはm=3、
    n=13、14、15、16の記録マーク長においてはm=4
    であることを特徴とする請求項14に記載の光記録方法。
  20. 同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=4L−3、4L−2、4L−1、4Lの4つの記録マーク長を一組とし、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増減して、n=4L−1とn=4L−3との記録マーク長をそれぞれ形成し、
    さらに、n=4L−1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=4Lの記録マーク長を形成することを特徴とする請求項19に記載の光記録方法。
  21. 同一の分割数m=L(L≧2)で形成する、n=4L−3、4L−2、4L−1、4Lとなる4つの記録マーク長を一組とし、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを減じて、n=4L−3の記録マーク長を形成し、n=4L−2の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=4L−1の記録マーク長を形成し、
    さらに、n=4L−1の記録マーク長を形成するために用いる光記録方法を基準として、前記光記録方法において少なくともαを増加させて、n=4Lの記録マーク長を形成することを特徴とする請求項19に記載の光記録方法。
  22. n=4L−3、4L−2、4L−1、4L(L≧2)の4つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、Lによらず一定であることを特徴とする請求項20又は21に記載の光記録方法。
  23. n=4L−3、4L−2、4L−1、4L(L≧2)の4つの記録マーク長におけるそれぞれの(α、dTtop、β、α、βm−1、β)の値が、n=5の場合を除いて、Lによらず一定であることを特徴とする請求項20又は21に記載の光記録方法。
  24. n=4の場合に、n/m=2であることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の光記録方法。
  25. 記録媒体に局所的に記録光を照射してマーク長変調された情報を記録するための光記録装置であって、
    一つの記録マークの記録マーク長をnTとしたとき(Tは基準クロック周期であり、nは2以上の自然数である。)、
    前記nTの記録マーク長を形成するために、
    Figure 2005122874
    (ここで、mはパルス分割数を示す自然数である。α(1≦i≦m)は0より大きい実数であり、β(1≦i≦m−1)は0より大きい実数であり、βは0以上の実数である。)で示される、m個の記録パルスαT(1≦i≦m)とm個のオフパルスβT(1≦i≦m)を用い、
    1≦i≦mのいずれかにおけるαTの時間内においては、記録パワーPwの記録光を照射し、
    1≦i≦m−1のいずれかにおけるβTの時間内においては、Pb<PwかつPb<Pwi+1 なるバイアスパワーPbの記録光を照射し、
    先頭の記録パルスαTは、前記nTの長さを有する記録マークの先頭位置から、時間dTtop(nTの長さを有する記録マークの先頭位置から遅れる場合を正とする。)だけずれて立ち上がるものとし、
    少なくとも2つの記録マークについては上記パルス分割数mを2以上とし、かつ、mが2以上の総ての記録マークについて2.5≦n/mとし、
    複数の異なる記録マーク長を同一のパルス分割数mでそれぞれ形成する場合に、α及び/又はαを変化させて前記異なる長さの記録マーク長をそれぞれ形成するとともに、 前記αを変化させる場合は、dTtop及び/又はβも変化させ、
    前記αを変化させる場合は、βm−1及び/又はβも変化させるように構成されることを特徴とする光記録装置。
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