JP2001229537A - 書換え型光記録媒体及びその記録方法並びに光ディスク記録再生装置 - Google Patents

書換え型光記録媒体及びその記録方法並びに光ディスク記録再生装置

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JP2001229537A
JP2001229537A JP2000144959A JP2000144959A JP2001229537A JP 2001229537 A JP2001229537 A JP 2001229537A JP 2000144959 A JP2000144959 A JP 2000144959A JP 2000144959 A JP2000144959 A JP 2000144959A JP 2001229537 A JP2001229537 A JP 2001229537A
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Natsuko Nobukuni
奈津子 信國
Takashi Ono
孝志 大野
Masae Kubo
正枝 久保
Michikazu Horie
通和 堀江
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少なくとも4倍速において従来のCD−RW
規格と互換性を維持しつつ、8倍速以上の高速記録を可
能とする書換え型コンパクトディスクとその記録方法を
提供する。 【解決手段】 ウォブル溝が形成された基板と相変化型
記録層を有してなり、結晶状態の部分を未記録状態・消
去状態とし、非晶質の部分を記録状態とし、EFM変調
された情報を、記録光を照射し該溝内に非晶質マークを
形成することにより記録するための書換え型コンパクト
ディスクであって、線速1.2m/s〜1.4m/sを
基準速度(1倍速)としたとき、基準速度の2倍速、4
倍速、及び8倍速のいずれにおいても、波長約780n
mの記録光を、開口数NA=0.5又はNA=0.55
の光学系を通して照射し記録した場合、記録信号の変調
度m11が60%〜80%で、アイパターンにおける反射
率の上端値Rtop が15%〜25%で、且つジッタが3
5ns以下であることを特徴とする書換え型コンパクト
ディスク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンパクトディス
クと互換性のある書換え可能な相変化媒体とその記録方
法及び記録再生装置に関する。特に、4倍速以上の高倍
速でのオーバーライト性能の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にコンパクトディスク(CD)は、
凹ピットの底部及び鏡面部からの反射光の干渉により生
じる反射率変化を利用して2値信号の記録及びトラッキ
ング信号の検出が行われている。近年、CDと互換性の
ある媒体として、相変化型の書換え型コンパクトディス
ク(CD−RW、CD−Rewritable)が使用
されている(「CD−ROM professiona
l」誌(米国)、1996年9月号、29−44ペー
ジ、あるいは、相変化光記録シンポジウム予稿集、19
95年、41−45ページ)。
【0003】相変化型のCD−RWは、非晶質と結晶状
態の屈折率差によって生じる反射率差および位相差変化
を利用して記録情報信号の検出を行う。通常の相変化媒
体は、基板上に下部保護層、相変化型記録層、上部保護
層、反射層を設けた構造を有し、これら層の多重干渉を
利用して反射率差および位相差を制御しCDと互換性を
持たせることができる。なお、CD−RWにおいて記録
とは記録と消去を同時に行うオーバーライト記録を言
う。この結果、反射率70%以上という高反射率まで含
めた互換性は困難であるものの、反射率を15〜25%
に落とした範囲内では記録信号及び溝信号の互換性が確
保でき、反射率の低いことをカバーするための増幅系を
再生系に付加すれば現行CDドライブで再生が可能であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、CD−RWを
利用する場合の問題点のひとつに記録速度と転送レート
の遅さがある。CDの記録再生時の基準速度(以下、1
倍速とも称する)は線速度1.2〜1.4m/sである
が、CD−ROMではすでに最大40倍速程度の高速再
生が実現されており、1倍速という低速で利用されるの
は音楽や画像の再生程度に限られる。一般に、16倍速
再生まではCD本来の一定線速度モード(CLV、Co
nstant Linear Velocity)であ
るが、24〜40倍速再生は一定回転速度モード(CA
V、Constant Angular Veloci
ty)を適用することで外周部データの転送レート、ア
クセス及びシーク時間が飛躍的に高速化された。
【0005】CD−RWにおいても記録の高速化は進ん
でいるがCLVモードで1〜4倍速までにとどまってい
る。通常、CD−RWは1倍速で全面に記録すると74
分(又は63分)もの時間を要し、4倍速であっても2
0分近くかかってしまう。しかし8倍速であれば10分
以内で記録ができ、音楽・映像などの大量データ記録に
CD−RWの用途を大きく広げることができる。また、
現在コンピュータの外部記憶装置には、転送レートの速
い光磁気記録媒体(MO)などが主に用いられている
が、CD−RWの転送レートを上げることでこのような
用途にも使用が広がると考えられる。
【0006】このため、より高速で記録できる相変化媒
体と記録方法が求められていた。しかし、より高線速ま
で記録可能なCD−RWは未だ実現されていない。1〜
4倍速でCD−RW記録システムとの互換性を保ったま
ま、下は1倍速乃至は2倍速、上は8倍速乃至は10倍
速に至る広い線速範囲にわたってオーバーライト可能な
媒体の実現は技術的に困難であった。その理由は媒体と
記録方法の両方にあった。第一の理由は、非晶質マーク
の高速結晶化による短時間の消去と、非晶質マークの経
時安定性を両立させるのが困難であるという問題であ
る。例えば、1〜4倍速記録可能なCD−RWの記録層
材料として用いられるAgInSbTeは、Sb含有量
を相対的に増やすことで高速結晶化でき8倍速記録が可
能である。しかし、本発明者らの検討によれば、Sb量
の増大は一方で、非晶質マークの経時安定性を著しく損
ねてしまい、室温なら1〜2年以内で、記録装置内部の
50〜80℃という高温環境であれば数日で、再生不可
能なまでに非晶質マークが再結晶化により消えてしま
う。あるいは、1mm以下のレーザー光ビームによる数
百回〜数千回程度の再生によって非晶質マークが消え始
めるという深刻な問題もあり、記録媒体としての信頼性
を維持できないことがわかった。これらの問題を解決す
る必要があるのに加え、CD−RWは広く普及している
再生専用CD−ROMドライブと再生互換性をとる制約
もある。例えば、再生互換をとるためには変調度55〜
70%という高変調度を始めとして反射率15〜25
%、その他のサーボ信号特性を満足する必要がある。
【0007】第二の理由は、CD−RW規格ではかなり
厳密な記録パルスストラテジー(パルス分割方法)が規
定されていることである。すなわち、CD−RW規格オ
レンジブックパート3のバージョン2.0規定の、図4
に示す記録パルスストラテジー、又はそれに類似してお
り現行の記録パルスストラテジー発生用IC回路を大き
く変更する必要のないパルスストラテジーをもって4倍
速から8〜10倍速までの広範囲な線速の記録を行わな
ければならない。図4(a)はEFM変調された3T〜
11Tの時間的長さを有するデータ信号であり、図4
(b)は、該データ信号に基づいて発生される実際の記
録光のレーザーパワーである。Pwは記録層を溶融させ
急冷によって非晶質マークを形成するための記録パワ
ー、Peは非晶質マークを結晶化によって消去するため
の消去パワーであり、通常、バイアスパワーPbは再生
光の再生パワーPrとほぼ同じである。
【0008】相変化媒体にマーク長変調された情報を複
数のマーク長により記録する場合、一般に、固定した記
録パルスストラテジーでは、最大使用線速と最小使用線
速の比はおよそ2倍が限度である。現行の4倍速で記録
可能なCD−RWライターの多くは上記規格に規定され
た記録パルスストラテジーに準じた固定波形しか発生で
きないため、これら既存のライターとの互換性を維持し
つつ、少なくとも8〜10倍速程度までの高速記録を行
うことは非常に困難であった。
【0009】本発明の目的は、1〜4倍速のような低線
速から8〜10倍速を越えるような高線速までの広い線
速範囲において、EFM変調による、即ちデータの基準
クロック周期Tに対して3Tから11Tまでの時間的長
さのマーク長及びマーク間長さの組み合わせによる非晶
質マークをマークとするマーク長記録を行うことによ
り、記録信号フォーマットについてはCDと再生互換を
有する書換え型媒体とその記録方法を提供することにあ
る。特に、少なくとも4倍速において従来のCD−RW
規格と可能な限り互換性を維持しつつ、8倍速以上の高
速記録をも可能とする書換え型コンパクトディスクとそ
の記録方法を提供することにある。なお、ここで「可能
な限り」の互換性とは、少なくとも4倍速においてハー
ドウエアの変更なくファームウエアの変更のみで対応で
きる程度を意味する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の要旨は、
ウォブル溝が形成された基板と相変化型記録層とを有し
てなり、該相変化記録層の結晶状態の部分を未記録・消
去状態に対応させ、該相変化記録層の非晶質状態の部分
を記録状態に対応させて、記録光を照射することにより
該記録状態に対応する非晶質マークを形成させる書き換
え型光記録媒体において、線速1.2m/sを基準速度
(1倍速)V1としたとき、基準速度の8倍速Vにおい
て、データ基準クロック周期TがVT=V11(ただ
し、T1は231nsである)であるように保ちながら
EFM変調された信号を下記記録方式1の条件内の1つ
の方式で10回オーバーライト記録した後に、1倍速で
の再生によって得られる記録信号のアイパターンの変調
度m11が60〜80%であり、記録信号のアイパターン
の反射率の上端値Rtopが15〜25%であり、且つ各
マーク長及び各マーク間のジッタが35ns以下となる
ことを特徴とする光記録媒体に存する。
【0011】記録方式1;波長780nmの光を、開口
数NAが0.55又は0.5の光学系を介して照射す
る。この際、1つの非晶質マークの時間的長さをnT
(nは3から11までの整数)としたとき、記録マーク
間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パワーPeを
照射し、記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ
(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・αm T、β
m T、 (ただし、m=n−1、α1 =1.0、αi =0.5
(iは2〜mの整数)、βm =0.25〜0.75、α
i +βi-1 =1.0(iは2〜mの整数))の順に、Σ
i (αi +βi )=n−jとなるように分割し(jは0
〜2.0までの実数)、αi Tなる時間(iは1〜mの
整数)内には、記録層を溶融するに足る記録パワーPw
の記録光(ただし、Pwは14〜25mWであり、Pe
/Pw=0.5とする)を照射し、βiTなる時間(i
は1〜mの整数)内には、0.8mWのバイアスパワー
Pbの記録光を照射する。
【0012】本発明の第2の要旨は、ウォブル溝が形成
された基板と相変化型記録層とを有してなり、該相変化
記録層の結晶状態の部分を未記録・消去状態に対応さ
せ、該相変化記録層の非晶質状態の部分を記録状態に対
応させて、記録光を照射することにより該記録状態に対
応する非晶質マークを形成させる書き換え型光記録媒体
において、線速1.2m/sを基準速度(1倍速)V1
としたとき、基準速度の10倍速Vにおいて、データ基
準クロック周期TがVT=V11(ただし、T1は23
1nsである)であるように保ちながらEFM変調され
た信号を下記記録方式1′の条件内の1つの方式で10
回オーバーライト記録した後に、1倍速での再生によっ
て得られる記録信号のアイパターンの変調度m11が60
〜80%であり、記録信号のアイパターンの反射率の上
端値Rtopが15〜25%であり、且つ各マーク長及び
各マーク間のジッタが35ns以下となることを特徴と
する光記録媒体に存する。 記録方式1′ 波長780nmの光を、開口数NAが=0.55又は
0.5の光学系を介して照射する。この際、1つの非晶
質マークの時間的長さをnT(nは3から11までの整
数)としたとき、記録マーク間に対しては、非晶質を結
晶化し得る消去パワーPeを照射し、記録マークに対し
ては、そのうちの時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・αm T、β
m T (ただし、m=n−1、α1 =1.0、αi =0.5
(iは2〜mの整数)、βm =0.25〜0.75、α
i +βi-1 =1.0(iは2〜mの整数))の順に、Σ
i (αi +βi )=n−jとなるように分割し(jは0
〜2.0までの実数)、α1 Tなる時間(iは1〜mの
整数)内には、記録層を溶融するに足る記録パワーPw
の記録光(ただし、Pwは14〜25mWであり、Pe
/Pw=0.5とする)を照射し、βiTなる時間(i
は1〜mの整数)内には、0.8mWのバイアスパワー
Pbの記録光を照射する。
【0013】本発明の第3の要旨は、相変化型記録層を
有する書換え型円盤状光記録媒体にCLV方式にてEF
M変調された情報を複数のマーク長及びマーク間長によ
り記録するにあたり、一つの記録マークの時間的長さを
nTとしたとき(Tは基準クロック周期。nは3〜11
までの整数)、記録マーク間に対しては、非晶質を結晶
しうる消去パワーPeの記録光を照射し、記録マークに
対しては、そのうちの時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 (ただし、m=n−1又はm=n−2)の順に、Σ
i (αi +βi )=n−j(jは0.0≦j≦2.0な
る実数)となるよう分割し、αi T(1≦i≦m)なる
時間内には記録層を溶融させるにたるPw>Peなる記
録パワーPwの記録光を照射し、βi T(1≦i≦m)
なる時間内には0<Pb≦0.5Peなるバイアスパワ
ーPbの記録光を照射してオーバーライトを行い、線速
1.2m/s〜1.4m/sを基準速度(1倍速)と
し、231nsをその際の基準クロック周期としたと
き、(1)4倍速においては、α1 =0.3〜1.5、
αi =0.2〜0.7(2≦i≦m)、αi +βi-1
1〜1.5(3≦i≦m)とし、(2)1又は2倍速に
おいては、α1 =0.05〜1.0、αi =0.05〜
0.5(2≦i≦m)、αi +βi-1 =1〜1.5(3
≦i≦m)とし、(3)6、8、10及び12倍速のい
ずれかの倍速においては、α1 =0.3〜2、αi
0.3〜1(2≦i≦m)、αi +βi-1 =1.0〜
1.5(3≦i≦m)とすることを特徴とする書換え型
光記録媒体への記録方法に存する。
【0014】本発明の第4の要旨は、所定の記録領域を
有する書換え型円盤状光記録媒体を角速度一定で回転さ
せたCAV方式にてEFM変調された情報を複数のマー
ク長により記録するに当たり、線速1.2m/s〜1.
4m/sを基準速度(1倍速)として記録領域最外周で
の線速度が少なくとも10倍速となるように該ディスク
を回転させ、一つの記録マークの時間的長さをnTとし
たとき(Tは基準クロック周期であり、その半径位置に
おける線速度Vとの積VTが一定となるように半径位置
に応じてTは変化する。nは3〜11までの整数)、記
録マーク間に対しては、非晶質を結晶化しうる消去パワ
ーPeの記録光を照射し、記録マークに対しては、その
うちの時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 (ただし、m=n−1 α1 =0.75〜1.25、 αi =0.25〜0.75 (2≦i≦m)、 αi +βi-1 =1〜1.5 (3≦i≦m))、の順に、Σi (αi +βi )=n−
j(jは0.0≦j≦2.0なる実数)となるよう分割
し、 αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録層を溶融させ
るにたるPw>Peなる記録パワーPwの記録光を照射
し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0<Pb≦
0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を照射して
オーバーライトを行い、いずれの半径位置においてもα
1 及びαi +βi-1 (i=3〜m)を一定とし、内周ほ
どαi (i=3〜m)を減少させる光記録媒体への記録
方法に存する。
【0015】また、本発明の第5の要旨は、所定の記録
領域を有する書換え型円盤状光記録媒体を角速度一定で
回転させたCAV方式にてEFM変調された情報を複数
のマーク長により記録するに当たり、線速1.2m/s
〜1.4m/sを基準速度(1倍速)として記録領域最
内周での線速度が少なくとも10倍速となるように該デ
ィスクを回転させ、一つの記録マークの時間的長さをn
Tとしたとき(Tは基準クロック周期であり、その半径
位置における線速度Vとの積VTが一定となるように、
半径位置に応じてTは変化する。nは3〜11までの整
数)、記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化しうる
消去パワーPeの記録光を照射し、記録マークに対して
は、そのうちの時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 (ただし、m=n−1、 αi /α1=0.3〜0.7(ただしiは2〜mの整
数)、 αi +βi-1 =約1 (3≦i≦m))、の順に、Σi (αi +βi )=n−
j(jは0.0≦j≦2.0なる実数)となるよう分割
し、αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録層を溶融
させるにたるPw>Peなる記録パワーPwの記録光を
照射し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0<Pb
≦0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を照射し
てオーバーライトを行い、いずれの半径位置においても
α1 T、αi T(i=2〜m)、αi +βi-1 (i=3
〜m)を一定とする書換え型光記録媒体への記録方法に
存する。
【0016】また、本発明の第6の要旨は、一定の搬送
周波数fL0とアドレス情報によって変調された信号とに
従って蛇行された空間周波数一定の螺旋状の溝及び記録
層を有し、該螺旋状の溝の所定の位置にある記録情報の
単位である記録ブロックを識別するアドレス情報及び該
ブロックの開始位置を識別する同期情報を有するディス
クを、その中心部分を軸として等角速度回転させる手段
と、記録再生のための集束光ビームを発生する光ピック
アップを所定のアドレスに移動させる半径方向の移動さ
せる手段と、該記録層に集束光ビームの焦点をあわせる
フォーカスサーボ手段と、該螺旋状の溝に沿って集束光
ビームを走査させるための溝トラッキングサーボ手段
と、該溝蛇行から搬送周波数fA0、アドレス情報及びブ
ロック同期信号を検出・解読する手段と、該記録ブロッ
クの開始位置及び周波数fd0を有するデータの基準クロ
ックTに同期してマーク長変調された記録データ列を発
生する手段と、該記録データ列に対応して記録レーザー
パワーを変調する手段とを有する光ディスク記録装置で
あって、集束光ビームを所定アドレスの記録ブロックに
半径方向に移動させたときに該半径に反比例して変化す
るデータの基準クロックTを発生する基準信号発生器
と、所定半径における該基準クロックを1/N(Nは整
数)に分周して得られる参照信号fR0と該アドレスにお
いて検出された溝蛇行の搬送周波数fA0を位相比較する
ことで、所定の半径におけるデータの基準クロック周波
数fd0とfA0がいずれの半径位置においてもfd0=N・
A0なる関係を維持するようディスクの回転数を微調整
するとともに、記録ブロックの開始位置と該ブロックに
書き込まれるべきデータ列の同期を達成する手段と、を
有する光ディスク記録再生装置に存する。
【0017】
【発明の実施の形態】1.媒体の特性について 本発明においては、記録光による光スポットの媒体に対
する速度である線速度として1.2m/s〜1.4m/
s、特には1.2m/sを基準速度、即ち1倍速とす
る。まず、本発明の第1及び第2の要旨に係るディスク
について説明する。本発明の書換え型光記録媒体は、通
常円盤状である。そして相変化型記録層の結晶状態の部
分を未記録状態・消去状態とし、非晶質状態の部分を記
録状態とする。記録される情報は、レーザー光などの記
録光を照射し非晶質マークを形成することにより、EF
M変調された信号からなる。媒体の基板には通常螺旋状
の溝が形成される。また、非晶質マークは通常溝内に形
成されるが、溝間部(ランド)に形成されていてもよ
い。該溝は通常、1倍速に換算したときに22.05k
Hzとなる搬送周波数を基準とする周波数で半径方向に
蛇行(ウォブル)しており、このような溝をウォブル溝
と呼ぶ。そして、この蛇行によって周波数は、上記搬送
周波数を±1kHzの周波数で周波数変調され、この微
妙な周波数変化により、ディスク上のアドレス情報が絶
対時間情報として組み込まれている。このような絶対時
間情報はATIP(Absolute Time In
Pre−groove)信号と呼ばれる。
【0018】このウォブル溝は、CLVモードで、CD
の1倍速の線速で記録されてスタンパー上に形成したの
ち、このスタンパーをもとに基板を射出成形することで
形成することができる。記録容量を高めるため、通常搬
送周波数が線速1.2m/s(±0.1m/sの範囲で
許容)において22.05kHzとなるようにウォブル
溝は形成される。データを記録する際には、基準クロッ
ク周期Tが基準となり、この整数倍の長さを有する様々
な時間的長さのマーク及びスペース(マーク間)を形成
することでデータを記録する。EFM変調においては通
常時間的長さ3T〜11Tのマークが形成される。ま
た、基準クロック周期Tはディスク線速に反比例して変
化させるのが通常である。基準クロック周期Tの逆数は
基準クロック周波数と呼ばれ、CDの1倍速(線速度
1.2m/s〜1.4m/s)における基準クロック周
波数はデータの1チャネルビットに相当し、通常4.3
218MHzである。この基準クロック周波数はまた、
上記ウォブルの基準周波数22.05kHzのちょうど
196倍となっている。1倍速における基準クロック周
期Tは通常1/(4.3218×106 )≒231×1
-9(秒)=231(ナノ秒)となる。以下の説明で
は、特に断わりのない限り基準クロック周期Tと線速V
との積VTは線速によらず一定とする。
【0019】図2に、CD−RWをはじめとするCDフ
ァミリーで用いられるEFM変調信号の再生波形(アイ
パターン)の模式図を示す。アイパターンには3Tから
11Tのすべての非晶質マーク及び結晶状態のスペース
の再生波形が実質的にランダムに含まれている。再生波
形は、反射光強度を電圧信号として取り出しオシロスコ
ープ上で観察した波形である。この際、再生信号は直流
成分を含んでいる。アイパターンの上端Itop を入射光
に対する反射率に換算したものがスペースに対応する反
射率の上端値Rtop であり、アイパターンの振幅(実際
上は、11Tマークの振幅)I11をItop で規格化した
ものが下記式(1)で表される記録信号の変調度m11
ある。 m11=I11/Itop ×100(%) (1)
【0020】本発明においては、変調度m11は60%以
上80%以下とする。変調度は光学的分解能に依存する
のでNAが大きな光学系では大きく見える傾向があるた
め、本発明においては波長約780nmのレーザー光
を、開口数NA=0.5又はNA=0.55の光学系を
通して照射し記録する際の変調度m11とする。ただし波
長は厳密に780nmである必要はなく、775〜79
5nm程度の範囲にあれば良い。信号振幅I11は大きい
ほうが好ましいが、大きすぎると信号再生系のアンプの
ゲインが極端に飽和してしまうためm11の上限は80
%、好ましくは78%、さらに好ましくは75%程度で
ある。一方、小さすぎると信号体雑音比(SN比)が低
下してしまうため、下限は60%、好ましくは62%、
さらに好ましくは65%程度である。また、Rtop は1
5〜25%、好ましくは15〜20%、さらに好ましく
は16〜19%の範囲とする。さらに、下記式(2) Asym =(Islice /I11−1/2)(%) (2) で定義されるアシンメトリー値Asym は、できるだけ0
付近にあることが望ましいが、通常は±10%の範囲で
ある。ここで、Isliceは、図2におけるIの中心線2
001と包絡線の底辺との間の電圧差であり、I11は包
絡線(envelop)の上辺2003と底辺2002
との間の電圧値である。
【0021】EFM変調に用いられる3T〜11Tの各
マーク長及びスペース長のジッタ(jitter)、及
びデビエーション(deviation)は、図2にお
ける再生信号を高域通過フィルタを通過させてRF成分
を取り出した後に、信号振幅の実質的な中心値となるゼ
ロレベルを閾値としてDCスライスして得られる、マー
ク長あるいはスペース長の平均値の所定値(nT)から
のずれ(デビエーション)及び標準偏差(ジッター)で
ある。詳細な測定方法は、CD規格であるレッドブッ
ク、CD−RW規格であるオレンジブックや、「CDフ
ァミリー」(オーム社発行、平成8年4月25日)で規
定されている。本発明においては、ジッタについては、
1倍速(基準クロック周期231ナノ秒)で再生したと
きのジッタ値が35ナノ秒以下、好ましくは30ナノ秒
以下、さらに好ましくは25ナノ秒以下とする。なお、
通常3Tのマークもしくはマーク間のジッタが3T〜1
1Tの中で最悪の値となる。本発明においては、デビエ
ーションは通常3Tで±40ナノ秒以下、11Tで±6
0ナノ秒以下とする。なお、4T〜10Tに対しては、
通常3及び11Tに対する規定である±40ナノ秒以下
及び±60ナノ秒以上を補完して得られる値となる。な
お、記録後の信号の品質に関しては、基本的に現行の規
格と同様の特性を満たすのが好ましい。詳細には、オレ
ンジブック・パート3に記載された内容を満足するのが
好ましい。
【0022】変調度m11、反射率の上端値RTOP 及びジ
ッターを上記の値とすることにより、従来のCD−RW
規格と互換性を維持しつつ、8倍速、特に10倍速以上
のような高速記録が可能となる。好ましくは、8倍速に
おいて3Tマークと3Tスペース(マーク間)からなる
単一周期信号を記録後、11Tマークと11Tスペース
からなる単一周期信号をオーバーライトしたときの3T
マークの消去比が25dB以上、特に27dB以上であ
る。より好ましくは10倍速、特に12倍速においても
上記消去比が25dB以上とする。高線速での消去比が
高い媒体ほど非晶質マーク消去時の再結晶化速度が速
く、より高線速でEFM信号のオーバーライトが可能で
ある。例えば、12倍速における上記消去比を25dB
以上としておけば、12倍速で使用した際に良好な特性
が得られるのは勿論、10倍速で使用した際にも良好な
特性が得られる。
【0023】消去比は、オーバーライトを行う線速度範
囲の上限において十分な値であれば、通常より低線速側
で不足することはない。線速Vで移動する開口数NAの
対物レンズで集光された波長λの光ビームで記録層が照
射される時間は、λ/(NA・V)で規格化されるか
ら、低線速ほど照射時間は長くなり再結晶化に要する時
間を十分確保できるからである。また、あらかじめ記録
された記録信号のジッタが1倍速再生において35ns
ec(ナノ秒)に達するまでの時間を該記録媒体のアー
カイバル寿命とするとき、温度、80℃、相対湿度85
%におけるアーカイバル寿命が500時間以上であるこ
とが望ましい。さらに、本発明においては、変調度m11
が温度80℃、相対湿度85%の加速試験環境下で50
0時間後も初期値の90%以上、特に95%以上を維持
するのが好ましい。
【0024】本発明における、線速V(ここでVは8倍
速、10倍速又は12倍速を示す)における変調度
11、Rtop 、ジッター、デビエーション、アシンメト
リー値、消去比等の規定は、線速1.2m/sを基準速
度(1倍速)V1 としたとき、線速Vにおいて、データ
基準クロック周期TがVT=V1 1 (ただし、T1
231nsである)であるように保ちながらEFM変調
された信号を下記記録方式1の条件内のある1つの記録
方式で10回オーバーライト記録した後に、1倍速での
再生によって得られる記録信号から与えられる。
【0025】記録方式1;波長780nmの光を、開口
数NAが0.55又は0.5の光学系を介して照射す
る。この際、1つの非晶質マークの時間的長さをnT
(nは3から11までの整数)としたとき、記録マーク
間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パワーPeを
照射し、記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ
(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、…αm T、βm T (ただし、m=n−1、α1 =1.0、αi =0.5
(iは2〜mの整数)、β m =0.25〜0.75、α
i +βi-1 =1.0(iは2〜mの整数))の順に、Σ
i(αi +βi )=n−jとなるように分割し(jは0
〜2.0までの実数)、
【0026】αi Tなる時間(iは1〜mの整数)内に
は、記録層を溶融するに足る記録パワーPwの記録光
(ただし、Pwは14〜25mWであり、Pe/Pw=
0.5とする)を照射し、βi Tなる時間(iは1〜m
の整数)内には、0.8mWのバイアスパワーPbの記
録光を照射する。また、本発明においては、4倍速にお
いても、変調度m11、Rtop 、ジッター、デビエーショ
ン、アシンメトリー値、消去比の値が上記数値範囲とな
るようにするのが好ましい。4倍速における変調度
11、Rtop 、ジッター、デビエーション、アシンメト
リー値、消去比等の規定は、線速1.2m/sを基準速
度(1倍速)V1 としたとき、基準速度の4倍速Vにお
いて、データ基準クロック周期TがVT=V1 1 (た
だし、T1 は231nsである)であるように保ちなが
らEFM変調された信号を下記記録方式2又は3の条件
内のある1つの記録方式で10回オーバーライト記録し
た後に、1倍速での再生によって得られる記録信号から
与えられる。
【0027】記録方式2;波長780nmの光を、開口
数NAが0.55又は0.5の光学系を介して照射す
る。この際、1つの非晶質マークの時間的長さをnT
(nは3から11までの整数)としたとき、記録マーク
間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パワーPeを
照射し、記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ
(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、…αm T、βm T (ただし、m=n−1、α1 =1.0、αi =0.3〜
0.6(iは2〜mの整数)、βm =0.25〜0.7
5、αi +βi-1 =1.0(iは2〜mの整数))の順
に、Σi(αi +βi )=n−jとなるように分割し
(jは0〜2.0までの実数)、
【0028】αi Tなる時間(iは1〜mの整数)内に
は、記録層を溶融するに足る記録パワーPwの記録光
(ただし、Pwは14〜25mWであり、Pe/Pw=
0.5とする)を照射し、βi Tなる時間(iは1〜m
の整数)内には、0.8mWのバイアスパワーPbの記
録光を照射する。
【0029】記録方式3;波長780nmの光を、開口
数NAが0.55又は0.5の光学系を介して照射す
る。この際、1つの非晶質マークの時間的長さをnT
(nは3から11までの整数)としたとき、記録マーク
間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パワーPeを
照射し、記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ
(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、…αm T、βm T (ただし、m=n−1、α1 =0.4、αi =0.15
〜0.25(iは2〜mの整数)、βm =0.25〜
0.75、αi +βi-1 =1.0(iは2〜mの整
数))の順に、Σi(αi +βi )=n−jとなるよう
に分割し(jは0〜2.0までの実数)、
【0030】αi Tなる時間(iは1〜mの整数)内に
は、記録層を溶融するに足る記録パワーPwの記録光
(ただし、Pwは14〜25mWであり、Pe/Pw=
0.5とする)を照射し、βi Tなる時間(iは1〜m
の整数)内には、0.8mWのバイアスパワーPbの記
録光を照射する。なお、「オーバーライト」とは、一般
に、一旦記録したデータを特定の処理により均一な未記
録・消去状態に戻すことなく新たなデータを上書きする
ことを示す。ただし、本発明においては、初期の均一な
未記録・消去状態に記録を行う場合もオーバーライトと
把える。例えば、上記記録方式1〜3にも記載のある
「10回オーバーライト」とは、初期の結晶状態に最初
の記録(1回オーバーライト)を行ない、次いで9回オ
ーバーライトを行なうことを意味し、以下の説明におい
ても同様の意味とする。また、記録方式1〜3における
「αi+βi-1=1.0」との規定は、(αi+βi-1)が
基準クロック周期Tと同じ時間的長さであることを意味
しており、回路設計上不可避的に生じるゆらぎ程度の誤
差は含みうるものである。さらにまた、記録方式1〜3
における記録光の波長は775〜795nm程度の範囲
でばらついていても大きな問題とはならない。
【0031】2.媒体の記録層について 本発明の書換え型光記録媒体においては、非晶質マーク
の高速結晶化による短時間の消去と、非晶質マークの経
時安定性を両立させることが肝要である。なおかつ、再
生専用CD−ROMドライブと再生互換をとるために、
基準となる光学系において、高変調度を満足すると共
に、反射率をその他のサーボ信号特性等を満足させるの
が好ましい。高速結晶化と経時安定性には基板上に設け
られる相変化型記録層の材料の選択が最も重要である。
本発明では該記録層の結晶化速度を速めることが重要で
あり、これは記録層の組成を微妙に調整することにより
達成される。記録層材料の組成としては特に、SbTe
共晶組成よりも過剰のSbを含有する合金、より具体的
にはSb70Te30共晶点組成を基本として過剰のSbを
含むSb70Te30合金を母体としたものが好ましい。S
bTe共晶組成に過剰のSbを存在させることによって
高速での結晶化が可能となる。この中でも特に、さらに
Geを含む、Mz Gey (Sbx Te1-x 1-y-z 組成
(ただし、0≦z≦0.1、0<y≦0.1、0.72
≦x≦0.8であり、MはIn、Ga、Si、Sn、P
b、Pd、Pt、Zn、Au、Ag、Zr、Hf、V、
Nb、Ta、Cr、Co、Bi、O、N、S及び希土類
金属からなる群から選ばれる少なくとも一種)なる組成
から選択するのが好ましい。
【0032】上記好ましい組成は、SbTe共晶点組成
より過剰のSbを含む2元合金に経時安定性及びジッタ
の改善のためにGeを添加した3元合金をベースとする
ものと考えることができる。この際、Geは過剰Sbに
よる高速結晶化機能を損ねることなく、非晶質マークの
経時安定性を高める機能を有していると考えられる。ま
た、結晶化温度を高めるとともに、結晶化の活性化エネ
ルギーを高めるのに最も有効な元素であると考えられ
る。Ge量は上記式におけるyの値として0.03以
上、特に、0.04以上であることが好ましい。一方G
e量が多すぎると、おそらくGeTeやGeSbTe系
の金属間化合物が析出するために、光学定数の異なる結
晶粒が混在し記録層のノイズが上昇しジッタが増加する
ことがあり、また、あまりに多く添加してもそれ以上経
時安定性は改善されないので、通常Ge量は上記式にお
けるyの値として0.1以下、好ましくは0.08以下
である。
【0033】また、過剰Sbが少なすぎると、再結晶化
速度が低すぎて8倍速以上といった高線速で良好なオー
バーライトができない場合があるので、上記式における
xは0.72以上、好ましくは0.73以上、さらに好
ましくは0.74以上とする。一方、Sb量が過剰すぎ
ると、再結晶化速度が速すぎ、4倍速においてはCD−
RW規格のパルス分割方法では良好な非晶質マークの形
成が困難となりジッタが非常に高くなってしまい、ま
た、非晶質マークの経時安定性も悪化してしまう傾向に
あるため、上記xは0.80以下、好ましくは0.79
以下、さらに好ましくは0.78以下とする。最適な組
成範囲は開口数NAによっても若干異なる。NAが大き
く集束光ビームがより絞られている場合は、ビーム照射
後の記録層冷却速度が若干高い傾向があるためである。
従って、NA=0.5に対してはxは0.73〜0.7
8の範囲が好適であり、NA=0.55に対してはxは
0.75〜0.80の範囲が好適である。この中間のN
Aに対しては、これらの中間の組成領域を用いることが
好ましい。
【0034】前記組成式において、上記Mで示される一
群の元素のうち少なくとも1種を添加することによりさ
らに特性が改善される。In、Ga、Si及びSnはさ
らなるジッタの低減に効果がある。N、O及びSは繰返
しオーバーライトにおける偏析の防止や光学特性の微調
整ができるという効果がある。Bi、Zn、Pd、P
t、Au、Ag及び希土類金属は成膜直後の非晶質膜の
全面結晶化が容易になるという効果がある。Zr、H
f、V、Nb、Ta、Cr、Co及びPbはさらなる経
時安定性の改善に効果がある。ただし、元素Mの量が多
すぎると特定の物質の経時的偏析や繰返しオーバーライ
トによる偏析が起こりやすくなるため、元素Mの添加量
は上記式におけるzのx+y+zに対する量として0.
1以下、特に0.09以下とするのが好ましい。偏析が
生じると、記録層が初期に有する非晶質の安定性や再結
晶化速度等が変化して当初のオーバーライト特性が得ら
れなくなるので好ましくない。特に、O、S及びNはそ
の合計量がこれらとSb、Te及びGeの合計量に対し
て5原子%以下であることがより好ましい。
【0035】元素Mとしては、特にInやGaがジッタ
低減、対応線速マージンを拡大するのに効果がある。特
にA1 a2 b Gec (Sbd Te1-d 1-a-b-c 組成
(ただし、0≦a≦0.1、0<b≦0.1、0.02
<c≦0.2、好ましくは0.02<c≦0.1、0.
72≦d≦0.8であり、A1はZn、Pd、Pt、
V、Nb、Ta、Cr、Co、Si、Sn、Pb、B
i、N、O及びSからなる群から選ばれる少なくとも一
種。A2は、Ga及びInからなる群から選ばれる少な
くとも一種。)のような、InGeSbTe4元合金又
はInGaSbTe4元合金をベースとする記録層組成
がより好ましい。InやGaの量は、多すぎると前述の
ように偏析を生じ易いので、通常bの値は0.1以下、
好ましくは0.06以下とする。こうすることによっ
て、10000回を超えてオーバーライトした場合でも
偏析を生じにくくすることができる。なお、上記組成式
においてdの値は、前述のxの値と同様、好ましくは
0.73以上、さらに好ましくは0.74以上、また好
ましくは0.79以下、さらに好ましくは0.78以下
とするが、開口数によってもその最適値は変化し、NA
=0.5ではx=0.73〜0.78、NA=0.55
ではx=0.75〜0.80程度がよい。ここで、上述
の記録層組成が他の組成に比して特に好ましいことを説
明する。InGeSbTe合金については特開平1−6
3195号公報、特開平1−14083号公報、特開平
5−16528号公報、特開平9−293269号公報
にも記載があるが、いずれもGeTe−Sb2 Te3
似2元合金近傍組成を好ましいとしている。
【0036】本発明の前記組成はこれらとは異なり、S
bTeを共晶組成を主成分とし過剰のSbを含む組成で
ある。1〜2倍速程度であれば上記GeTe−Sb2
3 擬似2元合金に過剰のSbを添加したものであって
も書換え型コンパクトディスクが実現可能である(特開
平4−212735号公報、特開平5−62193号公
報)。GeTe−Sb 2 Te3 を結ぶ線上ではGe1
4 Te7 、Ge1 Sb2 Te4 あるいはGe 2 Sb2
Te5 組成が最も高速の結晶化速度を示し、Sbを添加
することで結晶化速度を遅くするのである。しかし、1
〜2倍速でオーバーライトができるように過剰のSbを
添加しているため、4倍速以上の高速記録には結晶化速
度が遅すぎて消去比が低く、オーバーライトができな
い。逆に4倍速記録に合わせてSb量を少なくすれば
1,2倍速での再結晶化が著しくなるため、非晶質マー
クの形成が再凝固時の再結晶化によって損なわれる。す
なわち、Sb量だけを調整しても、CD−RW規格との
互換性を維持しつつ2〜4倍速でのオーバーライトを実
現することは困難である。4〜8倍速記録でも同様であ
る。4倍速に合わせた媒体設計を行うと、8倍速で同じ
ストラテジーで良好な記録特性を得ることが困難となる
のである。また、従来の2〜4倍速用CD−RWに広範
に用いられている、AgInSbTe及びAuInSb
Te合金(特開平10−326436号公報など)組成
に比べて、本発明における上記組成は室温における保存
安定性が優れている。
【0037】例えばAgInSbTe合金においても、
8倍速乃至10倍速でのオーバーライト自体は可能とな
る。しかし、おそらく同時に結晶化の活性化エネルギー
が低下するか結晶化温度が低下するために、非晶質マー
クの安定性が劣化しやすい。高線速オーバーライト時に
おける高速結晶化速度と室温における非晶質マークの安
定性という両方の要望が満足しにくいのである。AgI
nSbTeと本発明の上記GeSbTe系の上記特性の
差異が生じる理由は必ずしも明らかではない。しかしG
eSbTe系では、過剰のSbが単に再結晶化の結晶核
形成に関与するとともに4配位のGeが関与することで
局所的に原子のネットワーク構造が強固になり、特に室
温近傍の低温では、該結晶核を中心とする核成長(ネッ
トワークの局所構造変化)を抑制しているのではないか
と考えられる。なお、特開平1−303643号公報、
特開平4−28587号公報及び特開平10−1120
28号公報には、本発明において好ましい上記GeSb
Te系記録層が記載されているが、これらの組成がコン
パクトディスクという特定のフォーマットに適用できる
ことや、その中において8倍速以上といった高線速記録
に用いられること、さらには高線速記録と低線速記録の
両方に適用できることについての記載はない。また、記
録層組成のみで前記変調度m11、Rtop、及びジッター
の値は決まるものでもない。
【0038】本発明においては、前記記録層が、上記結
晶状態において、面心立方晶及び/又は六方晶構造から
なるのが好ましい。この場合、記録層は、単一の結晶相
からなっていてもよく、複数の結晶相からなっていても
よいが、複数の結晶相からなる場合、格子不整合を有し
ないのが好ましい。その結果、ノイズを減少させる、保
存安定性が向上する、高速での結晶化が容易である等特
性を向上させることができる。これは、Sb2Te3等の
六方晶構造を有する結晶相やSb等の立方晶ではあるが
格子定数が大きく異なる結晶相、さらにはSb7Te、
Sb2Te3等のその他の空間群に属する他の結晶相が同
時に存在する場合、格子不整合の大きな結晶粒界が形成
された結果、マークの周辺形状が乱れたり、光学的なノ
イズが発生したりすると考えられるのに対し、上記結晶
相からなる場合には、このような結晶粒界が生じないた
めと考えられる。
【0039】前記好ましい結晶相の単位格子定数は、面
心立方晶の場合、通常5.5Å以上、好ましくは5.8
Å以上であり、また通常6.8Å以下、好ましくは6.
5Å以下である。六方晶の場合、通常a軸4〜4.5
Å、c軸30〜35Åである。複数の結晶相が存在する
場合、格子不整合を生じず、実質的に単一相とみなすた
めには、同じ結晶構造を有するとともに、単位格子定数
の差異が±5%程度以下であることが好ましい。結晶相
は、熱平衡状態で安定結晶相であってもよく、また、製
造条件によって現れる準安定結晶相であってもよい。準
安定相結晶相は、熱力学的には必ずしも最低エネルギー
状態に対応するものではないが、全く不安定というもの
でもなく、光学的情報記録用媒体に使用する相変化型記
録層において実質的に安定に存在することが可能な結晶
相である。
【0040】本発明において好ましい上記結晶相は,f
m3m空間群及び/又はF43m空間群に属すると考え
られる。図32は、後述する実施例において製造された
相変化型光学的情報記録用媒体と同様の製造方法によっ
て得られた媒体から、記録層(厚さ約20nm)を剥離
して得られたIn3Ge5Sb70Te22薄膜の透過電子顕
微鏡(TEM)による電子線回折像である。図中、A,
B,C,Dの各点は、それぞれミラー指数(220)、
(002)、(222)、(111)に帰属できる。こ
の回折像で現れるA,B,C,Dの各点に対するミラー
指数を矛盾なく説明し、かつ、同様に得られる異なるパ
ターンの回折像をも矛盾なく説明しうるものは、面心立
方晶構造であり、Fm3mもしくはF43m空間群に属
する結晶構造である。また、電子線回折像には、面方位
の回転はあるものの実質的に図5しか得られておらず、
ほぼ単一の結晶相から形成されていると推定される。ま
た、X線回折法において、Sb相のような他の結晶構造
にかかわるピークは観察されないことも確認した。
【0041】図32の電子線回折像から、記録層は、格
子定数約6.4ÅのF43m空間群に属するか、又は、
格子定数約6.1ÅのF43m空間群に属するかのいず
れであることが分かる。前者は、面心立方晶であるGe
3In13Sb7Te3固溶体、又はAgInTe2のF43
m空間群に属する結晶型と同じ構造を有するものであ
り、後者は、AgInTe2のFm3m空間群に属する
結晶系、又はAgSbTe2のFm3m空間群に属する
結晶型と同じ構造を有するものである。
【0042】なお、GaSbやInSbにも同じ空間群
に属する結晶系が存在し、やはり単位格子定数もそれぞ
れ、約6.1Å、及び約6.5Åと上記図32の電子線
回折像から得られる単位格子定数の値と極めて近い。こ
のことは、本発明の記録層組成においてIn及び/又は
Gaの存在が好ましいことと考え合わせると、これらの
結晶が母体となるSb−te−Ge固溶体における準安
定構造の形成を促進していることを示唆している。
【0043】なお、Sb/Te比が大きい組成ほど、六
方晶の単一相が面心立方晶よりも優先的に得られる傾向
にある。SbTe共晶組成よりもSbが過剰の組成にお
いては、特に、上記他の結晶相が形成されやすいので、
後述するような初期化の工夫をするなどの手段を施すこ
とによって、実質的に単一の相、特に単一の面心立方晶
構造からなるようにする必要がある。記録層の結晶相の
形態は、記録層の初期化方法に大きく依存する。即ち、
本発明において好ましい上記結晶相を形成させるために
は、記録層の初期化方法を下記のように工夫するのが好
ましい。
【0044】記録層は通常スパッタ法等の真空中の物理
蒸着法で成膜されるが、成膜直後のas−deposi
ted状態では、通常非晶質であるため、通常はこれを
結晶化させて未記録消去状態とする。この操作を初期化
と称する。初期化操作としては、例えば、結晶化温度
(通常150〜300℃)以上融点以下での固相でのオ
ーブンアニールや、レーザー光やフラッシュランプ光な
どの光エネルギー照射でのアニール、溶融初期化などの
方法が挙げられるが、上記好ましい結晶状態の記録層を
得るためには、溶融初期化が好ましい。固相でのアニー
ルの場合は、熱平衡を達成するための時間的余裕がある
ために、他の結晶相が形成されやすい。
【0045】溶融初期化においては、記録層を溶融させ
て再凝固時に直接再結晶化させてもよく、また、再凝固
時にいったん非晶質状態とした後、融点近傍で固相再結
晶化させてもよい。この際、結晶化の速度が遅すぎると
熱平衡を達成するための時間的余裕があるために他の結
晶相が形成されることがあるので、ある程度冷却速度を
速めるのが好ましい。
【0046】例えば、融点以上に保持する時間は、通常
2μs以下、好ましくは1μs以下とすることが好まし
い。また、溶融初期化には、レーザ光を用いるのが好ま
しく、特に、走査方向にほぼ平行に短軸を有する楕円型
のレーザ光を用いて初期化を行う(以下この初期化方法
を「バルクイレーズ」と称することがある)のが好まし
い。この場合、長軸の長さは、通常10〜1000μm
であり、短軸の長さは、通常0.1〜10μmである。
なお、ここでいうビームの長軸及び短軸の長さは、ビー
ム内の光エネルギー強度分布を測定した場合の半値幅か
ら定義される。走査速度は、通常1〜10m/s程度で
ある。使用する相変化媒体のオーバーライト記録可能な
最高使用線速度より高い速度で走査した場合、初期化操
作で一旦溶融した領域が非晶質化してしまうことがあ
る。また、概ね最高使用線速度より約30%以上低い速
度で走査すると相分離が生じて単一相が得られにくい。
そこで、最高使用線速度の50〜80%の走査速度が好
ましい。なお、最高使用線速度そのものは、その線速度
で消去パワーPeの光を照射したときに、消去が完全に
行われるような線速度の上限として定まる。レーザ光源
としては、半導体レーザ、ガスレーザ等各種のものが使
用できる。レーザ光のパワーは通常100mWから2W
程度である。
【0047】バルクイレーズによる初期化の際、例えば
円盤状の記録媒体を使用した際、楕円ビームの短軸方向
をほぼ円周方向と一致させ、円盤を回転させて短軸方向
に走査するとともに、1周(1回転)ごとに長軸(半
径)方向に移動させて、全面の初期化を行うことができ
る。1回転あたりの半径方向の移動距離は、ビーム長軸
より短くしてオーバーラップさせ、同一半径が複数回レ
ーザー光ビームで照射されるようにするのが好ましい。
その結果、確実な初期化が可能となると共に、ビーム半
径方向のエネルギー分布(通常10〜20%)に由来す
る初期化状態の不均一を回避することができる。一方、
移動量が小さすぎると、かえって前記他の好ましくない
結晶相が形成されやすいので、通常半径方向の移動量
は、通常ビーム長軸の1/2以上とする。
【0048】溶融初期化の際、2本のレーザビームを使
用し、先行するビームで一旦記録層を溶融させ、後続す
る2番目のビームで再結晶化を行うことによって溶融初
期化を行うこともできる。ここで、各々のビーム間の距
離が長ければ、先行ビームで溶融された領域は、いった
ん固化してから、2番目のビームで再結晶化される。溶
融再結晶化を行ったかどうかは、実際の1μm程度の記
録光で非晶質マークのオーバーライトを行った後の消去
状態の反射率R1と、初期化後の未記録状態の反射率R
2が実質的に等しいかどうかで判断できる。ここでR1
の測定は、非晶質マークが断続的に記録されるような信
号パターンを用いた場合、複数回のオーバーライト、通
常は5から100回程度のオーバーライト後に行う。こ
うすることで、一回の記録だけでは未記録状態のまま残
りうるマーク間の反射率の影響を除去する。
【0049】上記消去状態は、必ずしも記録用集束レー
ザー光を実際の記録パルス発生方法に従って変調しなく
ても、記録パワーを直流的に照射して記録層を溶融せし
め、再凝固させることによっても得られる。本発明に
は、R1とR2とで定義される下記式(F1)の値が1
0(%)以下、特には5(%)以下となるようにするの
が好ましい。
【0050】
【数1】 2|R1−R2|/(R1+R2)×100(%) …(F1)
【0051】例えば、R1が17%程度の相変化媒体で
は、概ねR2が16〜18%の範囲にあればよい。かか
る初期化状態を達成するためには、概ね実際の記録条件
と等しい熱履歴を初期化によって与えるのが好ましい。
【0052】3.媒体の層構成について 次に、本発明に用いられる媒体の層構成及び記録層以外
の層について説明する。層構成及び記録層以外の層の組
成は、記録層の高速結晶化及び経時安定性を両立させつ
つ、媒体の光学特性を特定範囲としCDとの再生互換性
を保つために重要である。本発明の媒体の基板には、ポ
リカーボネート、アクリル、ポリオレフィンなどの透明
樹脂、あるいは透明ガラスを用いることができる。なか
でもポリカーボネート樹脂はCDにおいて最も広く用い
られている実績もあり安価でもあるので最も好ましい。
基板の厚さは通常0.1〜20mm、好ましくは0.3
mm〜15mmである。一般的には1.2mm程度とさ
れる。記録層は、記録時の高温による変形を防止するた
めその上下を保護層で被覆されていることが望ましい
(説明の便宜上、記録層に対して入射される光の側にあ
る保護層を下部保護層、反対側にある保護層を上部保護
層と称することがある。)。
【0053】さらに望ましくは、基板上に、下部保護
層、記録層、上部保護層及び反射層を設けてなる。この
場合、基板と反対側の表面を紫外線もしくは熱に対して
硬化性の樹脂で被覆(保護コート)することができる。
好ましくは、現行CDシステムとの互換性を維持するた
め、基板上に下部保護層、記録層、上部保護層及び反射
層をこの順に設けてなる。記録層、保護層及び反射層
は、スパッタリング法によって形成することができる。
この場合、記録膜用ターゲット、保護膜用ターゲット及
び必要な場合には反射層材料用ターゲットを同一真空チ
ャンバー内に設置したインライン装置でスパッタリング
による膜形成を行うことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点
で望ましい。
【0054】保護層に用いられる材料としては、屈折
率、熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性等に
留意して決定される。一般的には透明性が高く高融点で
ある金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物やCa、M
g、Li等のフッ化物を用いることができる。これらの
酸化物、硫化物、窒化物、フッ化物は必ずしも化学量論
的組成をとる必要はなく、屈折率等の制御のために組成
を制御したり、混合して用いることも有効である。繰返
し記録特性を考慮すると誘電体の混合物が好ましい。よ
り具体的には、ZnSやZnO、希土類硫化物と酸化
物、窒化物、炭化物等の耐熱化合物との混合物が挙げら
れる。これらの保護層の膜密度はバルク状態の80%以
上であることが機械的強度の面から望ましい。本発明に
おいては、保護層、特に上部保護層の熱伝導率をできる
だけ小さくするのが好ましい。具体的には、熱伝導率が
1J/(m・k・s)以下のものを使用するのが好まし
い。このような材料としては、ZnSやこれを50mo
l%以上含む混合物を挙げることができる。
【0055】下部保護層膜厚は通常30nm以上である
が、50nm以上、特に60nm以上、さらには80n
m以上が好ましい。繰返しオーバーライト時の熱ダメー
ジによる基板変形を抑制するためには、ある程度の膜厚
が必要であり、下部保護層の膜厚が薄すぎると、繰返し
オーバーライト耐久性が急激に悪化する傾向にある。特
に、繰返し回数が数百回未満の初期に急激にジッタが増
加する傾向にある。繰返し初期のジッタの悪化は、下部
保護層膜厚に著しく依存する。本発明者等の原子間力顕
微鏡(AFM)による観察によれば、この初期劣化は基
板表面が2〜3nm程度へこむ変形によるものであるこ
とがわかった。基板変形を抑制するためには、記録層の
発熱を基板に伝えないために熱絶縁効果があり、かつ、
機械的に変形を押さえ込むような保護層膜厚が必要であ
り、そのために上記の膜厚が好ましい。
【0056】一方、反射率RTOPの下部保護層膜厚依存
性をみた場合、60〜80nmで反射率最小となり、0
及び150nm程度で最大となるのが通常である。波長
780nmに対して、通常用いられる屈折率2.0〜
2.3程度の誘電体からなる保護層では、該下部保護層
膜厚相当ごとに、反射率は最大と最小を取る周期的な変
化を示す。従って、あまり厚くすることは光学的には意
味がなく、また材料コストの増大、厚膜成膜による溝カ
バレッジの問題等が発生することがあるので、下部保護
層は通常150nm以下、好ましくは120nm以下と
する。一方、上部保護層の膜厚は30nm以上、特に3
5nm以上が好ましい。上部保護層は、主に記録層と反
射層の相互拡散を防止する。上部保護層が薄すぎると記
録層溶融時の変形等によって破壊されやすくなり、また
放熱効果が大きすぎて記録に要するパワーが不必要に大
きくなる傾向にある。特に本発明のように8倍速以上の
高倍速で記録を行おうとする場合、記録感度の低下は好
ましいことではない。
【0057】一方、上部保護層が厚すぎると、保護層内
部の温度分布が急峻になり、保護層自体の変形が大きく
なり、それがオーバーライトにより蓄積されやすくなる
ので、通常60nm以下、好ましくは55nm以下とす
る。記録層の膜厚は10nm以上、特に15nm以上が
好ましい。記録層の厚みが薄すぎると十分なコントラス
トが得られにくく、また結晶化速度が遅くなる傾向があ
る。また短時間での記録消去も困難となりやすい。
【0058】一方、記録層の膜厚は、通常40nm以下
であるが、30nm以下、特に25nm以下が好まし
い。膜厚が大きすぎるとやはり光学的なコントラストが
得にくくなり、また、熱容量が大きくなるために記録感
度が悪くなることがある。さらにまた、相変化に伴う記
録層の体積変化は記録層が厚くなるほど大きくなるた
め、記録層が厚すぎると、繰返しオーバーライト時に保
護層及び基板表面等に微視的な変形が蓄積され、ノイズ
の上昇につながることもある。
【0059】記録層及び保護層の厚みは、機械的強度や
信頼性の面(特に繰返しオーバーライト耐久性)からの
制限の他に、多層構成に伴う干渉効果も考慮して、レー
ザー光の吸収効率が良く、記録信号の振幅、すなわち記
録状態と未記録状態のコントラストが大きくなるように
選ばれる。これらすべてのバランスを取りうる層構成と
しては、上下の保護層の屈折率を2.0〜2.3とし、
下部保護層膜厚dL 、記録層膜厚dR 、上部保護層膜厚
U とするとき、15≦dR ≦20nm、30≦dU
60nmであって、dU とdR とがdU ={−5dR
130}±10nmの関係を満たし、かつ、再生時の結
晶状態に対する反射光Rtop のdL 依存性において、R
top のdL 60〜80nmの中での極小値から厚膜方向
への次の極小値迄の間で∂Rtop /∂dL >0であるよ
うに選択することが望ましい。
【0060】本発明の媒体は、反射層の放熱効果を従来
の1〜4倍速互換CD−RW媒体に比較してさらに高め
るのが重要である。この組成を微妙に調整し前記の特定
記録層と組合せることによって、より容易に高線速及び
低線速の両方での記録が可能となる。特に、上記保護層
として低い熱伝導率の材料を用いることを併用すること
によってより大きな効果を得ることができる。非晶質の
形成及び再結晶化過程と、反射層の放熱効果及び記録時
線速度の関係を図3により説明する。図3において横軸
は記録線速度であり、左の縦軸は記録層を溶融し再凝固
させたときの冷却速度を示したもので、この冷却速度γ
が記録層材料で決まる臨界冷却速度Rc より大きければ
記録層は非晶質となり、非晶質マークが形成される。図
3の左の縦軸において、Sb/Te比をSb70Te
30(Sb/Te≒2.33)の共晶点を越えて高くする
ことは、Rc が大きくなって上方に移動することを意味
する。
【0061】曲線aは通常構成のディスクに図4の固定
パルスストラテジーを印加した場合の記録層の冷却速度
の記録時線速度依存性を表している。曲線bは同じディ
スクの反射層のみ後述の放熱効果の高い組成のものに変
え、放熱効果を高めた場合である。曲線bは曲線aの上
方にあり、非晶質マークが形成されやすくなることがわ
かる。高線速度ではもともと冷却速度が記録層非晶質化
の臨界冷却速度Rc より十分大きいために、非晶質形成
に及ぼす反射層放熱効果の差は顕著ではないが、低線速
度では全体として記録層冷却速度が低下し、Rc 近傍よ
り低くなるために、非晶質形成に及ぼす反射層放熱効果
が顕著になる。
【0062】一方、これら曲線は記録層が消去パワーP
eの記録光によってマーク間で再結晶化される場合の、
記録層が結晶化温度以上に保持される時間τの逆数1/
τの線速度依存性ともみなせる(図3中右側の縦軸)。
この保持時間τが記録層材料で決まる臨界結晶化時間τ
c より大きければ、つまり1/τ<1/τc であれば非
晶質マークは十分に再結晶化されて消去されることにな
る。なお、3Tマークと3Tスペースからなる単一周期
信号を記録後、11Tマークと11Tスペースからなる
単一周期信号をオーバーライトしたときの3Tマークの
消去比を25dB以上とすれば、通常、1/τ<1/τ
c となる。本発明においては、高線速でのオーバーライ
トで十分な消去ができるよう1/τ<1/τc を満足さ
せると同時に、低線速での冷却速度γがγ>Rc を満足
させるという相反する要求を満足する曲線cのような特
性を有することが重要であり、そのため、各層の組成や
厚さを選択する必要があるのである。曲線cは、4倍速
(4X)未満において記録層冷却速度の低下が補償され
ることがわかる。
【0063】なお、曲線cは、曲線bの媒体に、後述す
る好ましいパルス分割方法を併せ用いた場合に容易に達
成できる。上記のような観点から、反射層の材料として
は、熱伝導率が高く放熱効果が大きいAlあるいはAg
を主成分とする合金を用いるのが好ましい。反射層の比
熱はAlやAgを主成分とする合金では純Al及び純A
gに準じており、微量元素添加や薄膜化でほとんど変化
しないと考えられる。従って放熱効果は反射層の熱伝導
率と厚みに依存する。
【0064】一般には薄膜の熱伝導率はバルク状態の熱
伝導率と大きく異なり、小さくなっているのが普通であ
り、成長初期の島状構造の影響で熱伝導率が1桁以上小
さくなる場合もある。さらに、成膜条件によって結晶性
や不純物量が異なり、これが同じ組成でも熱伝導率が異
なる要因になる。ここで、熱伝導の良否は電気抵抗を利
用することによって見積もることができ、良好な特性を
示す高熱伝導率の反射膜を規定することができる。金属
膜のように電子が熱もしくは電気伝導を主として司る材
料においては熱伝導率と電気伝導率は良好な比例関係が
あるためである。薄膜の電気抵抗はその膜厚や測定領域
の面積で規格化された抵抗率値で表す。体積抵抗率と面
積抵抗率(比抵抗)は通常の4探針法で測定でき、JI
S K 7194によって規定されている。これによ
り、薄膜の熱伝導率そのものを実測するよりもはるかに
簡便かつ再現性の良いデータが得られる。反射層の放熱
効果は熱伝導率と膜厚の積で示されるから、結局、放熱
効果は面積抵抗率で規定できることとなる。本発明にお
いては、反射層の面積抵抗率を0.2〜0.6Ω/□、
特に0.22〜0.55Ω/□とするのが好ましい。
【0065】また、好ましい反射層は、体積抵抗率15
0nΩ・m以下、特に100nΩ・m以下を有する。一
方、体積抵抗率の極端に小さい材料は薄膜状態では実質
的に得にくいので、通常20nΩ・cm以上である。
【0066】反射層の厚さは、通常40〜300nm、
好ましくは50〜200nmである。厚すぎると面積抵
抗率を下げることはできても十分な放熱効果は得られな
いのみならず、記録感度が悪化しやすい。厚い膜では単
位面積当たりの熱容量が増大しそれ自体の放熱に時間が
かかっててしまい、放熱効果がかえって小さくなるため
と考えられる。また、このような厚膜では成膜に時間が
かかり、材料費も増える傾向にある。また、膜厚が小さ
すぎると、一部膜成長初期の島状構造の影響が出やす
く、反射率や熱伝導率が低下することがある。
【0067】反射層の材料としてはAl合金やAg合金
を挙げることができる。本発明に適した反射層の材料を
より具体的に述べると、AlにTa、Ti、Co、C
r、Si、Sc、Hf、Pd、Pt、Mg、Zr、Mo
及びMnからなる群から選ばれた少なくとも1種の元素
を含むAl合金を挙げることができる。これらの合金
は、耐ヒロック性が改善されることが知られているの
で、耐久性、体積抵抗率、成膜速度等考慮して用いるこ
とができる。上記元素の含有量は、通常0.1〜2原子
%、好ましくは0.2〜1原子%である。Al合金に関
しては、添加不純物量が少なすぎると、成膜条件にもよ
るが、耐ヒロック性は不十分であることが多い。また、
多すぎると上記の低抵抗率が得られにくい。
【0068】Al合金として、Mnを0〜2重量%、S
iを0〜2重量%、Mgを0.5〜2重量%、Tiを0
〜0.2重量%含有するAl合金を使用することもでき
る。MnはAl合金の製造工程で不可避的に混入する有
害元素のうち、完全な除去が非常に困難なFeに対し
て、Al6MnがFeを固溶して、FeAl3の析出を防
止し、もって、Feに由来する耐食性の低下を防止する
のに効果がある。ただし、Mn自体は多量に含まれる
と、反射層中に経時的にAl6Mnが析出して熱伝導率
の経時的変化をもたらすことがあるのでその含有量は、
通常2重量%以下、より好ましくは1重量%以下とす
る。Siは微細剥離欠陥を抑制するのに効果があるが、
含有量が多すぎると経時的に熱伝導率が変化することが
あるので、通常2重量%以下、好ましくは1.5重量%
以下とする。またMgは、反射層の耐食性を向上させる
が、含有量が多すぎて経時的に熱伝導率が変化すること
があるので、通常2重量%以下、好ましくは1.5重量
%以下とする。Tiは、スパッタリングレートの変動を
防ぐという効果があるが、含有量が多すぎると、熱伝導
率を低下させるとともに、Tiがミクロレベルで均一に
固溶したバルクの鋳造が困難となり、ターゲットコスト
を上昇させるので通常0.2重量%以下とする。
【0069】また、反射層材料の他の好ましい例として
は、AgにTi、V、Ta、Nb、W、Co、Cr、S
i、Ge、Sn、Sc、Hf、Pd、Rh、Au、P
t、Mg、Zr、Mo及びMnからなる群から選ばれた
少なくとも1種の元素を含むAg合金を挙げることがで
きる。経時安定性をより重視する場合には添加成分とし
てはTi、Mg又はPdが好ましい。上記元素の含有量
は、通常0.2〜5原子%である。本発明においては、
このような高熱伝導率な反射層材料を用いることによ
り、300nm以下の比較的薄い反射層であって、面積
抵抗率が0.2〜0.6Ω/□と適切に小さい範囲の反
射層とすることができる。Alへの不純物元素の添加、
Agへの不純物元素の添加によってその添加濃度に比例
して、体積抵抗率が増加するのが通常である。不純物の
添加は一般的に結晶粒径を小さくし、粒界の電子散乱を
増加させて熱伝導率を低下させると考えられる。従っ
て、添加不純物量を調節することは、結晶粒径を大きく
することで材料本来の高熱伝導率を得るために重要であ
る。
【0070】なお、反射層は通常スパッタ法や真空蒸着
法で形成されるが、ターゲットや蒸着材料そのものの不
純物量や、成膜時に混入する水分や酸素量も含めて全不
純物量を2原子%未満とするのが好ましい。このために
反射層をスパッタリングによって形成する際、プロセス
チャンバの到達真空度は1×10-3Pa未満とすること
が望ましい。また、10-4Paより悪い到達真空度で成
膜するなら、成膜レートを1nm/秒以上、好ましくは
10nm/秒以上として不純物が取り込まれるのを防ぐ
ことが望ましい。あるいは、意図的な添加元素を1原子
%より多く含む場合は、成膜レートを10nm/秒以上
として付加的な不純物混入を極力防ぐことが望ましい。
【0071】成膜条件によって結晶粒径が変化する場合
もある。たとえば、AlにTaを2原子%程度混入した
合金膜は、通常結晶粒の間に非晶質相が混在するが、結
晶相と非晶質相の割合は成膜条件で変化する。たとえ
ば、低圧でスパッタするほど結晶部分の割合が増え、体
積抵抗率が下がる(熱伝導率は増加する)。膜中の不純
物組成あるいは結晶性は、スパッタに用いる合金ターゲ
ットの製法やスパッタガス(Ar、Ne、Xe等)にも
依存する。すなわち薄膜状態の体積抵抗率は金属材料、
組成のみによっては決まらない。高熱伝導率を得るため
には、上記のように、不純物量を少なくするのが望まし
いが、一方で、AlやAgの純金属は耐食性や耐ヒロッ
ク性に劣る傾向があるため、両者のバランスを考慮して
最適組成が決まる。
【0072】さらなる高熱伝導と高信頼性を得るために
反射層を多層化することも有効である。この場合、少な
くとも1層は全反射層膜厚の50%以上の膜厚を有する
上記低体積抵抗率の材料とするのが好ましい。この層は
実質的に放熱効果を司り、他の層が耐食性や保護層との
密着性、耐ヒロック性の改善に寄与するように構成され
る。例えば、金属中最も高熱伝導率および低体積抵抗率
であるAgは硫黄を含む上部保護層との相性が悪く、繰
返しオーバーライトした場合の劣化がやや速いという傾
向がある。また、高温高湿の加速試験環境下で腐食を生
じやすい傾向があるので、この場合Agを含む反射層と
上部保護層との間に界面層として、Agを含む反射層よ
りも薄いAlを主成分とする合金層を設けることも有効
である。Al合金としては前述と同様に例えば、Ta、
Ti、Co、Cr、Si、Sc、Hf、Pd、Pt、M
g、Zr、Mo及びMnからなる群から選ばれる少なく
とも1種を0.2原子%以上2原子%未満含むAl合金
が挙げられる。界面層の厚さは、薄すぎると保護効果が
不十分で、厚すぎると放熱効果が不十分になる傾向にあ
るので通常5〜100nm、好ましくは5〜50nmで
ある。一方、Agを含む層の膜厚は通常10〜200n
mである。薄すぎると放熱効果が不十分となることがあ
り、厚すぎると消去不足となりやすい。
【0073】さらに、Agを含む反射層とAlを含む界
面層とを用いる場合、AgとAlとは比較的相互拡散し
やすいので、AlのAgに接する表面を酸化して界面酸
化層を設けることがいっそう好ましい。界面酸化層が厚
すぎるとそれが熱抵抗となり、本来の趣旨である、極め
て放熱性の高い反射層としての機能が損なわれることが
あるので通常その厚さは10nm以下、好ましくは5n
m以下とする。一方、薄すぎると界面酸化層としての機
構が不十分となることがあるので、通常は1nm以上と
する。このような界面酸化層は、Alを含む界面層を形
成後1分〜100時間大気中に放置することによって形
成させることができる。
【0074】反射層の多層化は、高体積抵抗率材料と低
体積抵抗率材料を組み合わせて所望の膜厚で所望の面積
抵抗率を得るためにも有効である。すなわち、合金化に
よる体積抵抗率調節は、合金ターゲットの使用によりス
パッタ工程を簡素化できるが、ターゲット製造コスト、
ひいては媒体の原材料比を上昇させる要因にもなるた
め、場合によっては、純AlやAgの薄膜と上記添加元
素そのものの薄膜を多層化して所望の面積抵抗率を得る
ことが有効である。総数が3層程度までであれば、初期
の装置コストは増加するが個々の媒体コストはかえって
抑制できる場合がある。
【0075】本発明においてはさらに、CDとの互換性
を確保するよう基板に設けられた溝の構成に配慮する必
要がある。溝のトラックピッチは通常1.6μm ±0.
1μm 程度である。また溝の深さは通常30〜45nm
であるが、特に30〜40nm程度が好ましい。溝深さ
が大きすぎると、記録後のプッシュプル値が大きくなり
すぎる傾向がある。また、記録後のラジアルコントラス
ト値が記録前の値に比べて大きくなりすぎ、サーボの安
定性に問題が生じることもある。
【0076】一方、溝深さが小さすぎるとラジアルコン
トラスト値やプッシュプル値がオレンジブック・パート
3のようなCD−RW規格の下限値を下回ってしまうこ
とがある。また、溝壁による記録層閉じ込め効果が薄
れ、繰返しオーバーライトによる劣化が促進される傾向
にある。さらに、溝深さを浅くしすぎるとスタンパ製造
や基板の成形が困難にもなる。上記の範囲とすることに
よって、溝内反射率が十分に高くなり、CD−RW規格
の下限値である15%を満たしやすく、また、記録後の
プッシュプルの振幅PPaが大きくなりすぎず、既存の
凹凸ピット再生回路でもプッシュプル検出回路のゲイン
が飽和してしまうことを少なくすることができる。溝幅
は、通常0.4μm以上、好ましくは0.45μm以上
であり、また通常0.6μm以下、好ましくは0.55
μm以下である。溝幅が小さすぎると記録後のラジアル
コントラストの絶対値が0.6未満という規格値を満た
しにくくなる。また、大きすぎると、ウォブルの存在に
よって生じるオーバーライト耐久性の劣化が顕著になる
傾向にある。
【0077】なお、ウォブルの存在による耐久性劣化促
進のメカニズムは必ずしも明らかではないが、記録用光
ビームの一部が溝の側壁に照射されやすくなるためでは
ないかと考えられる。すなわち、トラッキングサーボが
かかった集束光ビームはウォブルの蛇行には追従せず溝
中心部を直進して行くため、溝壁の蛇行があれば、光ビ
ームが、わずかではあるが溝壁に照射されやすくなる。
薄膜の密着性が悪い溝壁部や溝角部で応力集中が起きや
すい等により繰返しオーバーライト時の熱ダメージによ
る劣化が起きやすいと考えられるので、ここに光ビーム
の一部でも照射されれば、劣化は促進されると考えられ
る。一般に、相変化媒体の溝内記録では深溝、細溝であ
るほど耐久性が良いという傾向があるが、ウォブルが存
在する場合には、溝幅が狭すぎるとかえって上述の溝壁
部の劣化現象が顕著になると考えられる。
【0078】なお、溝幅や溝深さは、例えば波長633
nmのHe−Neレーザー光等によるU溝近似による光
学回折法で求めることができる。また、走査型電子顕微
鏡や走査型プローブ顕微鏡で溝形状を実測することがで
きる。この場合の溝幅は通常溝深さの半分の位置におけ
る値を用いるのがよい。本発明の光記録媒体は、後述す
るようなCAV方式による記録が可能である。即ち、本
発明の媒体は、データの記録を記録の行なわれる半径位
置に関わらず回転速度一定のまま行うことができる。こ
の場合、再生も一定の回転速度で行なうことができる
が、好ましくは記録と再生とを同一の回転速度で行う。
【0079】4.一般的な記録方法について 本発明においては、上記の書換え型光記録媒体に対し
て、少なくとも8倍速、特に8倍速及び10倍速、又は
8倍速及び4倍速、さらには4倍速、8倍速及び10倍
速で記録を行なうのが好ましい。この場合、以下のよう
なパルス分割方法(I)でオーバーライトを行うことが
できる。その結果、既存のCD再生システムとの互換性
が良好な信号の記録が可能になる。すなわち、EFM変
調された情報を複数のマーク長により記録するにあた
り、一つの記録マークの時間的長さをnTとしたとき
(Tは基準クロック周期。nは3〜11までの整数)、
記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化しうる消去パ
ワーPeの記録光を照射し、記録マークに対しては、そ
のうちの時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 ただし、m=n−1又はm=n−2 の順に、Σi (αi +βi )=n−j(jは0.0≦j
≦2.0なる実数)となるよう分割し、
【0080】αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録
層を溶融させるにたるPw>Pe好ましくはPw=Pe
/0.3〜Pe/0.6なる記録パワーPwの記録光を
照射し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0<Pb
≦0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を照射し
てオーバーライトを行う。このパルス分割方法のうちm
=n−1の場合は、現行CD−RW規格に規定されたパ
ルス分割方法によるオーバーライトに相当するものなの
で、既存の回路と互換性をとる上で好ましい。
【0081】上記において、形成されるマークの長さを
正確に制御するために、区間jTを設定することができ
る。区間jTは通常上記分割パルスの先頭及び/または
最後尾に付加され、この間には消去パワーPeの記録光
を照射する。バイアスパワーPbは再生光の再生に要す
る再生パワーPrとほぼ同じ値であることが好ましく、
通常は1.5mW以下、特に1.0mW以下の値とす
る。フォーカスやトラッキングサーボに支障が無い限り
できるだけ0に近づけたほうが、Pb照射区間(オフパ
ルス区間)における記録層の急冷効果が促進されて好ま
しい。なお、Pw、Pe及びPbの値が必ずしも常に一
定である必要はなく、例えばクロック周期TのV10程度
の周期で高周波重畳を加えてレーザーの動作を安定させ
ることができる。この場合のPw、Pe及びPbはそれ
らの平均値となる。図1は上記パルス分割法を説明する
図であり、(a)マーク長変調データとそれを記録する
際のパルス分割方法として(b)にm=n−1の場合、
(c)にm=n−2の場合を示す。なお(b)、(c)
では図を簡略にするためにα及びβの後にかけるべきT
を省略している。
【0082】上記の記録方法において、少なくともm=
n−1においてオーバーライト可能であれば、CD−R
W規格との互換性をとりつつ良好なオーバーライトが行
える。すなわち、EFM変調信号をオーバーライトした
後の信号特性が、上述の変調度m11が60%以上、アシ
ンメトリーが0付近でCDと互換性があり、さらに再生
信号の各マーク及びマーク間(スペース)のジッタが3
5nsec以下(1倍速再生時)、かつマーク長及びマ
ーク間がほぼnT×V(Tはデータの基準クロック周
期、nは3〜11までの整数、Vは再生時の線速度)の
長さを有するような記録品質を保つことができる。これ
は、実際上は、CD−RWディスク再生可能な市販のC
D−ROMドライブで低エラーレートで再生できること
を意味する。
【0083】なお、上記において、ジッタの測定は再生
信号を高周波通過フィルタを通した後、信号振幅の中心
を閾値としてDCスライスでマーク長を検出して行う。
本発明の媒体に対して、好ましくはm=n−1及びm=
n−2の2通りのパルス分割方法のいずれでもオーバー
ライトを行なう。本発明の上記媒体は、後述のような様
々な線速で記録され得る。この際、いずれの線速におい
ても通常は長さnTのマークを複数にパルス分割し、記
録パワーPwとバイアスパワーPbとを交互に照射する
図1(b)、(c)に示すようなパルス分割方式を採用
するが、その具体例方式を決定するパラメータの最適値
は線速によって変わるのが一般的である。そこで、本発
明の媒体には、記録線速に応じた最適記録パワーP
0 、最適消去パワーPe0 、最適バイアスパワーPb
0 やαi(iは1〜mの少なくとも1つ)、βi(iは1
〜mの少なくとも1つ)、分割数m等のパルス分割情報
のうちの少なくとも1つを媒体上に記入しておくのが好
ましい。本発明の媒体は、その記録方法を定めれば、4
倍速から10倍速における任意の線速でのオーバライト
特性をほぼ一義的に決定できる。すなわち、図3におい
て、記録パルスストラテジーを加味した、曲線cを4倍
速、10倍速において定義し、媒体に求められる冷却速
度Rc及び、結晶化のための保持時間τをほぼ一義的に
決定することに他ならない。
【0084】そして、少なくとも4から10倍速の間の
任意の線速、好ましくはさらに1倍速までの任意の線速
において、書き換え型光記録媒体として従来のCD−R
W再生可能なシステムで良好な再生が可能となると同時
に、媒体及びドライブとの互換性を取りやすくすること
ができる。
【0085】5.CLV方式による記録方法について 次に、本発明の第3の要旨に係る記録方法について説明
する。前述のように、従来、CD−RWにおいて高速記
録が行えなかった理由の1つとして、CD−RW規格で
は厳密な記録パルスストラテジー(パルス分割方法)が
規定されていることを挙げた。すなわち、CD−RW規
格オレンジブックパート3のバージョン2.0規定の、
図4に示す記録パルスストラテジーをもって4倍速から
8〜10倍速あるいはそれ以上までの広範囲な線速の記
録を行わなければならない。しかしながら、相変化媒体
にマーク長変調された情報を複数のマーク長及びマーク
間長により記録する場合、一般に、固定した記録パルス
ストラテジーでは、最大使用線速と最小使用線速の比は
およそ2倍が限度である。
【0086】そこで、本発明の記録方法は、1〜10倍
速などの複数個の広い線速範囲において線速を一定とし
たCLV(constant linear velo
city)方式による記録を行うに際し、前記パルス分
割方法(I)に準じた以下の3種類のパルス分割方法を
線速度に応じて適用する。相変化型記録層を有する書換
え型光記録媒体にEFM変調された情報を複数のマーク
長及びマーク間長により記録するにあたり、一つの記録
マークの時間的長さを前記同様nTとしたとき、記録マ
ーク間に対しては、非晶質を結晶化しうる消去パワーP
eの記録光を照射し、記録マークに対しては、そのうち
の時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 (ただし、m=n−1又はm=n−2、)の順に、Σi
(αi +βi )=n−j(jは0.0≦j≦2.0なる
実数)となるよう分割し、αi T(1≦i≦m)なる時
間内には記録層を溶融させるにたるPw>Pe、好まし
くはPw=Pe/0.3〜Pe/0.6なる記録パワー
Pwの記録光を照射し、βi T(1≦i≦m)なる時間
内には0<Pb≦0.5PeなるバイアスパワーPbの
記録光を照射してオーバーライトを行い、この際線速
1.2m/s〜1.4m/sを基準速度(1倍速)と
し、231nsをその際の基準クロック周期としたと
き、 (1)4倍速においては、α1 =0.3〜1.5、αi
=0.2〜0.7(2≦i≦m)、αi +βi-1 =1〜
1.5(3≦i≦m)とする。 (2)1又は2倍速においては、α1 =0.05〜1.
0、αi =0.05〜0.5(2≦i≦m)、αi +β
i-1 =1〜1.5(3≦i≦m)とする。 (3)6、8、10及び12倍速のいずれかの倍速にお
いては、α1 =0.3〜2.0、αi =0.3〜1(2
≦i≦m)、αi +βi-1 =1〜1.5(3≦i≦m)
とする。
【0087】上記の記録方法において、各線速におい
て、αi (2≦i≦m)及び/又はα i +βi-1 (3≦
i≦m)は、iによらずそれぞれほぼ一定の値をとって
いるのが好ましく、その結果、後述のような簡便なパル
ス発生回路を利用することができる。その点において、
上記(1)〜(3)の各線速において、αi +βi-1
2≦i≦mでiによらず約1で一定とするのが好まし
い。また、先頭パルスα1を後続のパルスαi (2≦i
≦m)より長くする、特にはαi/α1=0.3〜0.
7、好ましくは0.4〜0.7とすれば、3T,4T等
の短マークと5T以上の長マークのそれそれを正確なマ
ーク長で記録し、アシンメトリーを0に近づけることが
できる。これは特に4倍速以上において有効である。上
記(1)〜(3)の各線速において、β1 及びβm は独
立したパラメータとして選択し、可変とできるが、その
値はそれぞれ0〜1.5とするのが好ましく、より好ま
しくは0.25〜1.25とする。また、Pw、Pe、
及びPbについては常に一定である必要はなく、例えば
α 1 T又はαm Tなる区間に照射する記録光のパワーP
wとαi T(i=2〜m−1)なる区間に照射する記録
光のパワーPwとを相異なる値としてもよい。
【0088】記録パルスの分割数mは、上記(1)〜
(3)の各線速において、n−1もしくはn−2のいず
れを選択しても良いが、4倍速以下では図1(b)に示
すようにn−1個に分割し4倍速以上では図1(c)に
示すようにn−2個に分割するというように、分割数m
を線速に応じて変更することもできる。本発明の上記記
録方法において、使用する各線速において、記録パルス
幅αiT(i=1〜m)及びオフパルス区間βi T(i
=1〜m−1)はそれぞれ10ナノ秒以上、特に15ナ
ノ秒以上とすることが望ましい。αi Tやβi Tが小さ
すぎると、現行の通常の記録装置における記録用レーザ
ーの立ち上がり、立下り時間は少なくとも2,3ナノ秒
は必要であることから、パルスの正確な制御は困難にな
ることがある。従って基準クロック周期Tは、12倍速
に対応できる19.3ns、特に10倍速に対応できる
23.1ns迄とするのが好ましい。なお、オフパルス
区間βi T(i=1〜m−1)が小さすぎると、記録層
の冷却速度が不十分になることがある。
【0089】現行のCD−RW媒体は4倍速では正確に
図4の記録パルス分割方法(α1 =1、αi =0.5
(i=2〜m)、αi +βi-1 =1(i=2〜m)、β
m =0.5)でCD互換の信号を記録できなけれななら
ないが、記録装置側で±0.3T程度の補正を加えてよ
り良好な特性を得ることは装置の大幅な改良なく達成可
能である。従って、4倍速においては、(1)のごとく
α1 =0.75〜1.25、αi =0.2〜0.7(2
≦i≦m)、αi +βi-1 =1〜1.5(3≦i≦
m)、とする。4倍速より低線速である1又は2倍速に
おいては、上記(2)のα1 =0.05〜1.0、αi
=0.05〜0.5(2≦i≦m)、αi +βi-1 =1
〜1.5(3≦i≦m、好ましくは2≦i≦m)、とす
るパルス分割方法をとることにより、記録パルスPwの
幅を狭め、付随するオフパルスPb照射区間(オフパル
ス区間)を長くすることで、低線速における記録層冷却
速度を低下を抑制し、低線速における溶融記録層の再凝
固時の再結晶化を抑制して、4倍速オーバーライト時と
ほぼ同じ幅、長さの非晶質マークを得ることができる。
【0090】4倍速より高線速である6、8、10及び
12倍速のいずれかの線速においては、上記(3)のα
1 =0.3〜2、αi =0.3〜1(2≦i≦m)、α
i +βi-1 =1〜1.5(3≦i≦m、好ましくは2≦
i≦m)とするパルス分割方法をとることにより、記録
パルスαi Tの幅を広くし、高線速における記録層の溶
融に十分な記録パワーが与えられるようにすることで、
4倍速オーバーライト時とほぼ同じ幅、長さの非晶質マ
ークを得ることができる。
【0091】ここで、上記(3)の方法は、10倍速以
上の線速に対しても適用できるが、高線速になると相対
的に基準クロック周期が短くなってレーザーパルスの正
確な制御が困難となることがあるので、通常は20倍速
以下、好ましくは12倍速以下、より好ましくは10倍
速以下の線速に適用する。分割数mをいずれの線速にお
いてもm−1又はn−2で一定とした際α1 =約1、α
i =0.3〜0.6(2≦i≦m)とし、さらにはαi
+βi-1 (3≦i≦m、好ましくは2≦i≦m)を一定
とした上で、低線速ほどαi を単調に減少させる(ただ
しiは2〜mの整数)のが回路の簡略化の上で好まし
い。また、使用するいずれの線速においても、α1 T及
びαi T(i=3〜m)及びαi +β i-1 (ただしiは
3〜mの整数)を一定とするとさらに好ましい。ここで
αi は約1とするのが好ましいが、0.9〜1.1程度
の範囲に入ればよい。
【0092】本発明の前記記録方法において、βm は、
いずれの線速においても一定の値としても良いが、αi
(i=1〜m)やβi (i=1〜m−1)を一定とした
ままβm のみを変化させて、それを高線速ほど単調に小
さくすることも好ましい。この場合、高線速側ではβm
=0であっても良い。なお、記録装置側のパルス発生回
路を簡略にするため、いずれの線速においてもmはn−
1かn−2のどちらかで統一されることが望ましい。4
倍速を越える高線速ではデータの基準クロック周期Tが
短くなるので、4倍速と同じパルス分割方法を適用しよ
うとすると、たとえば8倍速では通常0.5T≒15n
sec、10倍速では0.5T≒12nsecとなり、
記録レーザーパルス発生回路を極めて高速にしなければ
追従しにくくなる。
【0093】従って、4倍速を越える線速度において
は、パルス分割数をm=n−2として各パルス幅を長く
し、αi +βi-1 (3≦i≦m)を1〜1.5程度と
し、α1を1.2〜2、αi を0.5〜1.0と長めに
するのが、記録用レーザーの応答速度が好ましい。特に
8倍速以上では有効である。なお、4倍速以下では通常
は、同一線速ではPe/Pw=0.3〜0.6、好まし
くは0.4〜0.6の範囲でPe/Pw比を一定にする
ようPe及びPwを設定したほうが広い記録パワーマー
ジンが得られて良い。しかし、4倍速より高線速では、
Pe、Pwを独立に設定し、それぞれの線速で最適パワ
ーを決めるほうが良い場合がある。4倍速以上の線速に
おいてPwの最適値Pwoを決めるために、予め複数の
記録パワーPwの記録光で試し書きを行ない、図2にお
けるアシンメトリー値や変調度m11が所定の範囲となる
記録パワーPwをもって最適記録パワーPwoとするこ
とができる。この場合、得られた最適記録パワーPwo
の記録光で実際の記録を行なう。なお、上記において最
適記録パワーPwoを決めるためのアシンメトリー値や
変調度m11の範囲は、ディスク上の凹凸ピット信号やウ
ォブル溝による信号として媒体上に記入しておくことが
できる。
【0094】なお、本発明の記録方法の好ましい態様と
しては、パルス分割回路の簡略化のため4倍速から少な
くとも8倍速、場合によっては10倍速まで、同一のパ
ルス分割方法を用いる。具体的には、分割数mはn−1
又はn−2で一定とする。より好ましくはαi(iは1
〜mの整数)をいずれの線速においても同一とする。こ
の際、いずれの線速においても、αi +βi-1(i=2
〜m)を1とし、且つαi を同一の値とするのが特に好
ましい。図5は本発明の記録方法におけるパルス発生方
法の一例の説明図である。(a)はクロック信号、
(b)はマーク長変調されたデータ信号であり、
(c)、(d)及び(e)は記録パルス発生回路中の3
種のゲート発生回路から発生するゲート信号Gate
1、Gate2、Gate3である。これら3種のゲー
ト信号の優先順位を決めておくことで、本発明のパルス
分割方法が達成できる。Gate1は記録パルス発生区
間α1 Tのみを、Gate2は後続パルスαiT(2≦
i≦m)を所定個数発生させるタイミングを決める。こ
こでパルス幅α i は2≦i≦mにおいて一定値αc とす
る。Gate3はオフパルス発生区間β i Tを発生す
る。Gate3がオン(レベル高)の間はPbを発生
し、オフの間(レベル低)はPeを発生する。
【0095】α1 のみ立ち上がりのタイミングを独立し
て決めることで、β1 をβi と異なる値とすることがで
きる。Gate3とGate1の立ち上がりは同期させ
るのが良い。Gate1、Gate2はそれぞれPwを
発生させるが、Gate1、2がオンのときはGate
3に優先する。Gate1の遅延時間T1 とα1 、Ga
te2の遅延時間(T 1 +T2 )とαc を指定すれば、
本発明の記録方法におけるパルスストラテジーを指定で
きる。ここで、T1 を1T以上とすれば、図1(b)の
m=n−1の場合のパルスとなり、1T未満として後続
パルスの数を一個減らせば、図1(c)のm=n−2の
場合のパルスとなる。あるいは、βm-2 ≧1.0となる
ようにしても良い。
【0096】この場合、β1 はα1 、T1 及びT2 の組
み合わせにより、βm はGate3の終端で決まる独立
したパラメータとして扱える。図1(c)において、α
i +βi-1 =1〜1.5とするには、Gate2で発生
させるαi のパルスの周期を1〜1.5とする。α
i (i=1〜m)等は、データの基準クロックTもしく
はその1/2、1/4等のベースクロックに同期して元
の基準クロックTを所定倍した形で発生させることで、
線速に応じたTの変化に追従して実際のパルス幅を容易
に変えることができる。
【0097】以上述べた記録方法は広くCD−RW媒体
一般に適用可能であるが、本発明の第一又は第二の要旨
に係る媒体に対して用いると、いっそうアクセスパフォ
ーマンスが向上して好ましい。特に、高線速で再結晶化
速度の速い記録層と特に熱効果に留意した層構成とを組
み合わせ、1倍速でαi Tが10ナノ秒以上で良好なオ
ーバーライトが可能であることが望ましい。より好まし
くはαi Tが15ナノ秒以上で良好なオーバーライトが
可能である。その理由は、低線速の1倍速ではオフパル
ス区間βi Tを長くし記録パルス区間はαi Tを短くし
たいが、1倍速では最小で0.05T≒12ナノ秒とな
り、これ以上はαi Tを短くしにくいためである。
【0098】6.CAV方式による記録方法について 次に、本発明の第4の要旨及び第5の要旨に係る記録方
法について説明する。これは、従来CLVモードでのみ
記録が行われてきたCD−RWをCAVモードで記録可
能とするものであり、これにより、常に回転同期が必要
であったCD−RW媒体の弱点であるアクセス、シーク
パフォーマンスの悪さを大幅に改善するものである。特
に、ランダムパケット記録で飛び飛びの半径位置のパケ
ットにアクセスを行う場合に効率が良く、コンピュータ
の外部記憶装置用媒体としての利便性が大きく増す。ま
た、CLVでは回転速度変更のためにモーターの加速・
減速のために多大な電力を消費するが、その必要も無く
ドライブの消費電力を大幅に改善できる利点もある。
【0099】CD−RWは通常、直径12cmの円盤形
状をしており、半径少なくとも23mm〜58mm、好
ましくは22〜58mmに記録領域(インフォメーショ
ンエリア)を有する。これを、記録領域最内周で4倍速
相当となるように約2000rpmでディスクを回転さ
せると、記録領域の最外周58mmにおいては線速度は
ほぼ10倍速となる。即ち、通常CAV方式にて最内周
を4倍速にすると最外周は概ね10倍速となる。このと
き、データ基準クロック周期Tを各半径位置における線
速度Vとの積VTが一定となるように半径距離と反比例
して変化させればマーク長nTは回転角速度によらず一
定となり、CAVモードでの記録ながらCDと互換性の
ある一定線密度の記録ができる。ここで、記録領域には
ユーザーデータの記録領域以外に、システムが使用する
試し書き領域、リードイン、リードアウト領域等も含
む。従って、22mm及び58mmという半径位置につ
いては±1mm程度の誤差を含んでいってもよい。ま
た、この許容誤差に対応して以下で用いられる周波数値
等にも若干のずれが生じるが、それも許容される。
【0100】本発明に係る記録方法を実現する記録装置
の構成の一例を示す概念図を図6に示す。図6において
光ディスクD1は、空間周波数一定の搬送周波数fL0
有しアドレス情報によって変調された信号に従って蛇行
された螺旋状の溝を有する基板及び記録層を有し、該螺
旋状の溝の所定の位置にある記録情報の単位である記録
ブロックを識別するアドレス情報及び該ブロックの開始
位置を識別する同期信号を有する。図6では、特に具体
的に書き換え型コンパクトディスクを光ディスクとして
想定しており、fL0=22.05kHzでアドレス情報
はfL0を搬送周波数として±1kHzで周波数変調され
たATIP情報である。また、ウォブルは線速度1.2
m/s〜1.4m/sの線速度で再生したときに、その
搬送周波数f L0が22.05kHzとなるように溝蛇行
によって形成されている。
【0101】光ディスク記録再生装置1には、該ディス
クの中心部分を軸として等角速度回転させる手段である
スピンドルモーターM1と、記録再生のための集束光ビ
ームを発生する光ピックアップを所定のアドレスに移動
させる半径方向の移動機構(LM1)としてのリニアモ
ーターを有する。ピックアップPU1には、光ディスク
の記録層面にレーザーダイオードを光源とする集束光ビ
ームの焦点をあわせるフォーカスサーボ回路(FE1)
と、該螺旋状の溝に沿って集束光ビームを走査させるた
めの溝トラッキングサーボ回路(TE1)が組み込まれ
ている。フォーカスサーボ回路には、非点収差法、フー
ユー法等の公知の手法が用いられる。トラッキングサー
ボ回路には、プッシュプル法や3ビーム法の公知の手法
が用いられる(以上、「コンパクトディスク読本」第3
版、オーム社、中島平太郎、小川博共著参照)
【0102】光ディスク記録再生装置1は、さらに溝蛇
行から搬送周波数fA0、アドレス情報及びブロック同期
信号を検出・解読する回路(WAD1)と、該記録ブロ
ックの開始位置及びデータの基準クロックT(周波数f
d0)に同期してエンコーダED1及びED2によってマ
ーク長変調された記録データ列を発生する回路と、該記
録データ列に対応して記録レーザーパワーを変調する回
路(WP1)とを有する。光ディスクD1はモーターM
1によりCAV駆動されている。ディスクは、特に、半
径22mm程度の記録領域最内周で、線速度が1.2m
/s〜1.4m/sの4倍速、より好ましくは1.2m
/sの4倍速となるように、1900〜2000rpm
の間の回転速度ω0 でCAV回転されている。CAV回
転は、スピンドルモータM1の回転をタコメータでモニ
アし、所定回転数との誤差をフィードバックすること
で、回転ジッタ数%以内の精度で維持される。
【0103】アンプ/フィルター系AF1を通してプッ
シュプル信号P1を再生し、ウォブル信号を検出し、A
TIP信号をデコードしてから含まれる同期信号及びア
ドレス情報をデコードする。アドレス情報、同期信号は
アクセス/サーボ制御用CPU1にて参照され、CPU
1において所定アドレス移動を制御する。アドレス移動
はトラッキングサーボTE1をオフとした状態でのリニ
アモータLM1駆動による粗動機構による半径移動と、
所定アドレス近傍でのトラッキングサーボオン、ATI
Pアドレス参照しながらの微調整(PU1の対物レンズ
の傾きの微調整)からなるがいずれもCPU1で制御さ
れる。
【0104】所定アドレスに到達したことが確認されれ
ば、データの基準クロック発生器である回路CK1のク
ロックとATIPの同期信号を同期させ、所定のATI
Pフレームに記録を行う。CD−ROMデータであれ
ば、ROMデータのエンコードをED1にて行った後、
CDとしてのエンコードをED2にて行う。該データビ
ット列はやはりデータの基準クロックに同期しており、
該データ列はさらにWP1において記録用パルス列に変
換され、レーザードライバーLD1を駆動してオーバー
ライトを行う。
【0105】なお、再生は所定アドレス到達後、再生信
号をアンプ系AF1、RF信号2値化回路系RF1を通
して再生し、データの基準クロックとEFMフレームの
同期をとりながら、ED2でCDとしてのデータデコー
ドを行い、さらにED1にてCD−ROMとしてのデー
タデコードを行う。さて、CAVモードでの記録の際の
パルス分割による光記録方法として、前記パルス分割方
法(I)に準じた以下の2種類を用いることができる。
第一は、所定の記録領域を有する書換え型円盤状光記録
媒体を角速度一定で回転させてEFM変調された情報を
複数のマーク長により記録する方法であって、線速1.
2m/s〜1.4m/sを基準速度(1倍速)として記
録領域最外周での線速度が少なくとも10倍速となるよ
うに該ディスクを回転させ、一つの記録マークの時間的
長さをnTとしたとき(Tは基準クロック周期であり、
その半径位置における線速度Vとの積VTが一定となる
ように、半径位置に応じてTは変化する。nは3〜11
までの整数)、記録マーク間に対しては、非晶質を結晶
化しうる消去パワーPeの記録光を照射し、記録マーク
に対しては、そのうちの時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 (ただし、m=n−1、 α1 =0.75〜1.25、 αi =0.25〜0.75 (2≦i≦m、)、 αi +βi-1 =1〜1.5 (3≦i≦m、))、の順に、Σi (αi +βi )=n
−j(jは0.0≦j≦2.0なる実数)となるよう分
割し、
【0106】αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録
層を溶融させるにたるPw>Pe、好ましくはPw=P
e/0.3〜Pe/0.6なる記録パワーPwの記録光
を照射し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0<P
b≦0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を照射
してオーバーライトを行い、いずれの半径位置において
も、α1 、及びαi +βi-1 (i=3〜m、好ましくは
i=2〜m)を一定とし、内周までαi(i=2〜m)
を単調に減少させる方法である。
【0107】すなわち、パルス分割数をm=n−1に固
定し、α1 は0.75〜1.25の間の値とし、α
i (i=2〜m)は0.25〜0.75とし、αi +β
i-1 (i=3〜m)は1.0〜1.5とし、なおかつ、
これらを半径位置によらず一定とする。これによって、
図5に示すような簡単な回路で基準クロック周期Tのみ
を変更することによって容易に記録パルスを発生でき
る。ここで、αi(i=2〜m)及び/又はαi+β
i-1(i=3〜m)はiによらず一定の値とするのが好まし
い。また、α1も一定の値、特には1で固定するのが好
ましい。α1=1とし且つαi +βi-1 =1(i=2〜
m)とすれば、すべての記録パルスαiT(i=1〜
m)は基準クロックTに同期して発生されるので、分割
パルス発生回路がより簡素化できる。
【0108】この記録方法は、4〜10倍速というよう
な広い線速範囲においてオーバーライトが可能な本発明
の書換え型コンパクトディスクに適用することで、特に
良好な記録再生が行える。CAVモードでの記録の際の
第二の光記録方法は、所定の記録領域を有する書換え型
コンパクトディスクを角速度一定で回転させてEFM変
調された情報を複数のマーク長により記録する方法であ
って、線速1.2m/s〜1.4m/sを基準速度(1
倍速)として記録領域最外周での線速度が少なくとも1
0倍速となるように該ディスクを回転させ、一つの記録
マークの時間的長さをnTとしたとき(Tは基準クロッ
ク周期であり、その半径位置における線速度Vとの積V
Tが一定となるように、半径位置に応じてTは変化す
る。nは3〜11までの整数)、記録マーク間に対して
は、非晶質と結晶化しうる消去パワーPeの記録光を照
射し、記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ
(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 (ただし、m=n−1、 αi /α1=0.3〜0.7、特にはαi/α1=0.4
〜0.7(ただしiは2〜mの整数)、 αi +βi-1 =約1 (3≦i≦m))、の順に、Σi (αi +βi )=n−
j(jは0.0≦j≦2.0なる実数)となるよう分割
し、
【0109】αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録
層を溶融させるにたるPw>Pe、好ましくはPw=P
e/0.3〜Pe/0.6なる記録パワーPw(>P
e)を照射し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0
<Pb≦0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を
照射してオーバーライトを行い、いずれの半径位置にお
いてもαi T(i=2〜m)及びαi +βi-1 (i=3
〜m、好ましくはi=2〜m)を一定とする方法であ
る。この場合、αi はiによらず一定(2≦i≦m)と
し、αi +βi-1 は1〜1.5の間でiによらず一定
(3≦i≦m)とし、なおかつ、α1 T、αi T(i=
2〜m)、αi +βi-1 (i=3〜m)を線速によらず
一定とするのがより好ましい。αi Tについては、線速
によらない一定の時間Ttopと一定のα1′を組み合わせ
て、α1T=Ttop+α1′Tとしてもよい。α1 T、α
i T(i=2〜m)を線速によらず一定にするために
は、低線速ほどTが単調増加するのに対して、Tとの積
が一定となるように、α1 、αi を低線速ほど単調に減
少させることで達成される。これにより、低線速ほど記
録層の冷却速度を増加させることができ、同時にパルス
発生回路も簡単なものですむ。なお、上記第二の記録方
法において、「α1TやαiT(i=2〜m)が一定であ
る」とは、分割パルス発生回路の設定値の分解能の許容
する範囲で一定であるということであり、±10%程度
のばらつきは許容される。
【0110】第一、第二の方法いずれにおいても、βm
は線速度によらず一定であっても変化させてもよい。変
化させる場合、内周、即ち低線速になるほどβmを増加
させるのが好ましい。より好ましくは、半径方向を仮想
的な複数のゾーンに分割し、βm を該ゾーンごとに変化
させる。特にβm を0〜1.5の範囲において内周、即
ち低線速のゾーンほど単調に大きくなるようにするのが
好ましくてそれによって、低線速における記録層の冷却
速度の低下をより有効に防止することができる。この場
合、β m が大きすぎると、比較的低線速であってもマー
ク後端に続くマーク間部分の消去が不完全になることが
ある。βm を変化させる上記パルスストラテジーを実現
するためには、図5において、クロック周期Tに同期さ
せて(一定の遅延を付加することも含む)幅α1 Tの固
定長パルス1個(Gate1)と、後続する幅αi
(i=2〜m)の固定長パルスを複数個(Gate2)
発生させる一方、最終オフパルス長を決めるGate3
のみ線速に応じて変化させれば良い。また、前述の本発
明の第2の要旨に係る発明の説明で記載したように、い
ずれの半径位置においてもαi T(i=1〜m)及びβ
i T(i=1〜m−1)を10ナノ秒以上とするのが好
ましい。
【0111】上記第一及び第二の方法において、オーバ
ーライト時の最高線速度におけるβ m をβHm、最低線速
度におけるβm をβLmとして、各オーバーライト時の線
速度におけるβm をβLmとβHmの値から補完して得るも
のとするのが好ましい。また、Pb、Pw及びPe/P
w比がオーバーライト時の線速度によらず一定とするの
が好ましい。この場合、記録パワー等に関する情報とパ
ルス分割情報を予めディスク上に凹凸ピット信号あるい
は溝変形信号として記載しておくのが好ましい。その結
果、最適なパルスストラテジーを自動的に選択すること
ができる。記載しておく情報としては、例えば、Pe/
Pw比、最適記録パワーPw0 、最適消去パワーPe
0 ,最適バイアスパワーPb0 、α1 、αi 、α1 T、
αi T、αi +βi-1 、βLm、及びβHmの全部または一
部の数値である。ここで、記録パワー情報は絶対値とし
ての最適記録パワーPw0 を記載するほか、Pw0 を決
定するための試し書きにおいて参照されるパラメータで
あっても良い。
【0112】本発明の記録方法において、半径距離に反
比例したデータの基準クロック及び基準クロック周期T
を発生させる方法は種々考えられるが、好適な例として
以下の(i)〜(vii)が考えられる。ここではCL
Vモードの1倍速でのウォブル搬送周波数fLOが約2
2.05kHz、CAVモードでの記録領域の最内周及
び最外周での線速度がそれぞれ4倍速及び10倍速、デ
ータの基準クロックが搬送周波数の196倍であるケー
スを例として説明する。ここで、搬送周波数fLOは2
2.05kHzから±0.1程度の誤差を許容できる。
【0113】[データの基準クロックを発生させる方法
(i)]媒体は、1倍速に換算して周波数fL0=約2
2.05kHzの搬送周波数を有するウォブルが付与さ
れた螺旋状の溝を有する。この媒体は通常のCLVモー
ドの高倍速記録用CD−RW媒体としても使用可能であ
る。ウォブル溝(蛇行溝)のウォブルが搬送周波数fL0
=約22.05kHzに相当する周波数で一定の場合、
CAV回転時には、半径位置に応じて、即ち半径位置に
対応した線速度に応じて再生されるウォブルの搬送周波
数fAOが見かけ上変化する。そしてCAV回転時にその
半径位置で再生されるウォブルの搬送周波数fA0を19
6倍することで、半径に比例した基準データクロック周
波数を得ることができる。
【0114】この半径に比例したデータ基準クロック周
波数に同期して記録を行えば、CAVモードでありなが
ら、一定線密度でマーク長変調記録を行うことができ
る。すなわち、ウォブル信号がCLV回転の1倍速モー
ドで基板上に記載されていれば、媒体をCAV回転させ
たときは、半径位置によらず同じ倍率を用いてデータの
基準クロック周波数を発生させれば、空間周波数を一定
とする、即ち、線密度を一定とすることができる。例え
ば、記録領域最内周での線速度が4倍速、記録領域最外
周での線速度が10倍速とすれば、CAVモードで再生
されるウォブルの搬送周波数fA0はそれぞれ、記録領域
最内周で約22.05×4=88.2KHz、記録領域
最外周で約22.05×10=220.5kHzとな
る。これを196倍した周波数、約17.287MHz
(記録領域最内周)及び約43.218MHz(記録領
域最外周)がデータの基準クロック周波数となる。この
場合、データの基準クロック周期Tは記録領域最内周で
約57.8nsec、記録領域最外周で約23.1ns
ecとなる。中間の半径位置においては、この間で半径
に反比例したデータの基準クロック周期を発生させれば
よい。
【0115】一方、ウォブル信号は通常、ATIP信号
によって±1kHzで周波数変調されるため実際の周波
数は22.05kHz±1kHzであり、ウォブル信号
の一周期は、約±4.5%の変動を伴う。このようにゆ
らいでいる信号をそのまま所定倍してデータの基準クロ
ック周期を得た場合、やはり±4.5%のマーク長のゆ
らぎ(deviation)が発生する。通常、マーク
長記録においてこのゆらぎは位相シフトと呼ばれ、この
シフト量が5%近くあると正しい復調ができない恐れが
ある。
【0116】従って、このような場合、周波数変調され
たウォブル信号から搬送周波数fA0のみを抽出してから
所定倍する必要がある。以下にその方法を述べる。まず
通常と同様に、ディスクを回転させながら、プッシュプ
ル信号を検出してウォブル信号を再生する。fA0は前述
のように最内周半径Rinから最外周半径Rout にわたっ
て88.2kHzから220.5kHzまで132.3
kHzの幅で変化し、それに応じてデータの基準クロッ
クも17.287MHzから43.218MHzまで変
化する。(11Tのマークとスペースの繰返しの周波数
としては約786kHz〜1.96MHzで変化す
る)。
【0117】そこで、次に上記fA0を含みできるだけ範
囲の狭い帯域フィルタもしくは低域通過フィルタでプッ
シュプル信号に混じったデータ成分をカットする。次
に、半径方向に移動するピックアップが位置する半径R
の情報を駆動系より得、これに同調して、近似的にfA0
を予測するための予測周波数fR0(kHz)を下記式に
従って発生させる。 fR0=88.4+132.3×(R−Rin)/(Rout −Rin) (3) そして、予測周波数fR0付近の狭い範囲で参照周波数を
掃引しながら搬送周波数fA0を抽出(同調させる)する
ことで、搬送周波数fA0が容易に検出できる。それを1
96倍することによってディスク半径に応じた基準デー
タクロックが得られる。通常は、±1kHzの変調によ
ってディスク上のアドレス情報がATIP情報として組
み込まれているので、検出した搬送周波数fA0を用いて
ウォブル再生信号を周波数検波し、ATIP情報を検出
し、サブコードに絶対時間で記録されたアドレスを確認
し、ATIP信号に含まれる同期(sync)パターン
からデータ同期の確立を行う。即ちATIP信号の同期
パターンとディスク回転とに同期したデータ基準クロッ
クを得る。
【0118】その後、該同期パターンに同期して、特定
のEFMフレームへユーザーデータのオーバーライトを
行うための記録パルス列を発生させ、記録を行う。図7
(a)に、本方法(i)に準じてCAVモードで所定の
アドレスへ移動し、ウォブルの搬送周波数を抽出して基
準データクロックを発生する流れの一例を示す。なお、
図7(a)において、点線はfA0及びfd0なる信号の流
れを示すもので作業の流れを示すものではない。まず、
通常のCAV方式で再生されるCDと同様に、ステップ
A1においてトラッキングサーボをオフとして、ステッ
プA2においてリニアモータの粗動で所定の半径に移動
するとともに、ステップA3においてトラッククロス信
号をカウントして移動トラック数を把握し、ステップA
4において狙いのトラックまでに必要なカウント数に近
づいたことを判断し、ステップA5においてトラッキン
グサーボをかける。
【0119】次に、ステップA6においてプッシュプル
信号からウォブル信号を再生しfA0を抽出する。このと
き、必要に応じて、前記式(3)によって求められる、
そのトラックがある半径位置におけるウォブルの搬送周
波数の予測値fR0を参照して同調させることでfA0を抽
出する。fA0抽出後あるいは同時に、ステップA7にお
いてATIP情報を復調し、ATIP情報に含まれる絶
対時間情報を読み取る。ステップA8において該絶対時
間を参照しながら、データを記録したい所定のアドレス
に移動する。ステップA9においてfA0を196倍して
得られたデータの基準クロック信号fd0とATIP情報
に含まれるsyncパターンの同期を取りながら、記録
すべきEFMデータに基づく記録パルス列を発生させス
テップA10においてオーバーライトを行う。
【0120】以上、アドレス情報や同期パターンがAT
IP情報として記録されている場合について述べたが、
ATIP情報のかわりにミニディスク(MD)で使われ
るようなADIP(Address In Pregr
oove)情報など(「MDのすべて」、河村正行著、
電波新聞社(1998))として記録されている場合で
あってもこの流れは全く同様に使用できる。一般に、1
00倍以上の周波数逓倍は誤差を伴うので、下記(ii)
または(iii )の方法を併用してデータの基準クロック
周波数の精度を上げることも可能である。
【0121】[データの基準クロックを発生させる方法
(ii)]媒体の記録が行われるべきアドレスにおける絶
対時間情報mm:ss:ee(mm分、ss秒、eeフ
レームの意)から、計算によりそのアドレスの半径位置
を割り出す。ATIP信号の1フレームの時間的長さは
通常周波数75Hzの逆数に相当するから、一倍速の線
速度をv0 とすると1フレームの空間的長さはv0 /7
5であり、00:00:00からmm:ss:eeフレ
ームに至る総フレーム長さは(v0 /75)×{75×
(60×mm+ss)+ee}である。ここで、絶対時
間00:00:00の半径をRinとみなし、トラックピ
ッチをTPとすると、Rinを0番目のトラックとしてN
T 番目のトラックまでの溝の総延長は下記式(4)で表
される。
【0122】
【数2】
【0123】また、NT+1番目のトラックまでの溝の
総延長は下記式(5)で表される。
【0124】
【数3】
【0125】上述の総フレーム長さが、式(4)の値と
式(5)の値の間となるようなNTがそのアドレスのト
ラック位置となる。これは、ピックアップの移動時に、
ターゲットであるアドレスまでのトラック数を導出する
のと同じ手順である。このような最内周からのトラック
数NT から、下記式(6)により半径位置Rが求められ
る。 R=Rin+NT ×TP (6) このRに対応して式(3)を用いて予測周波数fR0を発
生させる。ATIPのアドレス情報の最小単位の1フレ
ームは1/75秒であるから、少なくとも1/75秒ご
とにfR0は更新される。これは半径位置22mmの位置
でもトラックの約1/10周分にすぎないので半径位置
のずれは無視できる。
【0126】なお、試し書き領域やリードイン領域な
ど、00:00:00より内側にある記録領域において
も、NT を負の数となるようにして、適宜、Rinから減
じていくようにすることで正確なRが算出できる。ある
いは、式(6)で求めた、アドレス情報から計算された
半径位置Rは高々トラック数本分程度の誤差しかないか
なり正確な値であるため、Rから直接、 fd0=fin+25.9308(R−Rin)/(Rout −Rin) (7) なる式に従い、該半径における線速度及び該線速度にお
けるデータの基準クロックfd0(MHz)=1/Tを予
測することもできる。ここで、finはRinにおけるデー
タの基準クロック周期で、通常17.2872MHzで
ある。
【0127】図7(b)はかかる参照信号fR0を利用し
た回転に同期した基準クロック発生方法を示す。図7
(b)において点線は、作業の流れではなく参照信号等
の流れを示す。図7(b)においてステップB1からB
5までは図7(a)のステップA1からA5と同じであ
る。図7(b)のフローの平行に進行するステップB1
1において、まず、移動先の絶対時間アドレスから計算
によりもとめた半径位置情報から(7)式に基づいて発
生した基準クロック周期fd0を得、1/196に分周す
ることで、ウォブルの搬送周波数の参照信号fR0が得ら
れ、ステップB6でfR0を直接、搬送周波数としてFM
復調し、ATIPをデコードする。デコード開始後は、
ATIPの絶対時間情報を参照してfd0は変化するもと
する。所定アドレスに到達したことをステップB7で確
認後、fd0をATIPの同期パターンと同期させること
で、ディスク回転に同期した基準クロックが得られ、ス
テップB8における記録パルス列発生を可能ならしめ
る。そして、かかる記録パルス列をもってステップB9
においてオーバーライトを行う。記録情報が多量でオー
バーライトの進行に伴ってアドレスが大幅に移動したと
しても、fd0は随時ATIPのアドレス情報により、自
動的に更新されるものとすれば、半径位置が変化したと
しても、マーク長の誤差の許容範囲内で、実質的に一定
線密度の記録が達成できる。この許容範囲とは概ね±1
%である。
【0128】[データの基準クロックを発生させる方法
(iii)]ディスク基板に、ウォブル溝のほかに、CLV
モードでfL0=22.05kHzよりも高周波の単一周
波数のクロックマークを付与しておき、ディスクを角速
度一定で回転させながら、該クロックマークを分離・検
出した上でこの繰返し周波数を所定倍してデータの基準
クロックを発生させる方法である。基準クロックが得ら
れた後は、前記方法(1)に記載したのと同様の方法
で、ATIP信号等のアドレス信号の同期パターンとデ
ィスクの回転とに同期した基準クロックとすることがで
きる。クロックマークの周波数はウォブル信号の周波数
帯域とデータの周波数帯域の中間の帯域とすると、ウォ
ブル周波数とデータの周波数のいずれからも容易に帯域
フィルタで選別できる。すなわち、好ましくは1倍速換
算でウォブル周波数の2倍以上、かつ1倍速データの基
準クロックの1/22(11Tマークとスペースの繰返
しの空間周波数に相当)程度以下とする。より具体的に
は60〜196kHz程度、すなわち22.05kHz
の2倍〜8倍の周波数の第2の周波数fL2で配置された
クロックマークを媒体上に付与する。
【0129】さらに、fL2はデータの基準クロック周波
数4.3218MHzの整数分の1としておき、データ
の基準クロックを得るにはfL2を該整数で倍してデータ
の基準クロックを得る。以上の条件を総合すると、fL2
として22.05KHzの2倍、4倍もしくは7倍を採
用すれば、ウォブル周波数及びデータ周波数領域から区
別され、かつ4.3218MHzの整数分の1となり好
適である。しかしながら、上述のように同一媒体上で線
速度を記録領域の最内周から最外周に亘って4倍速から
10倍速まで変化させる場合には、ウォブル、クロック
マーク、データの周波数帯域はそれぞれ最内周から最外
周にかけて2.5倍程度の分布を有するので、帯域の分
離が若干複雑になる。
【0130】具体的には、4倍速〜10倍速において、
ウォブルの搬送周波数は前述のように88.2kHzか
ら220.5kHzに分布し、データ成分は11Tのマ
ークとスペースの繰り返し周波数として約786kHz
〜1.96MHzに分布する。fL2をfL0=22.05
kHzの4倍、すなわちfL2=88.2kHzとした場
合、4〜10倍速のCAVモードでは該クロックマーク
の繰返し周波数は352.8kHz〜882kHzの周
波数で分布する。従って、全記録領域で一つの帯域フィ
ルタでクロックマークの周波数を区別するのは困難で、
各半径ごとに複数の仮想的ゾーンを設け、ゾーンごとに
フィルタの帯域を切り替えるのが好ましい。また、fL2
をウォブル周波数の半整数倍まで許せば、一個の帯域フ
ィルタでクロックマークの繰返し周波数を切り出すこと
ができる。例えばfL2をfL0=22.05kHzの3.
5倍(4.3218MHzの1/56にあたる)、すな
わちfL2=77.175kHzとすれば、4〜10倍速
のCAVモードでクロックマークの繰返し周波数は30
8.7kHz〜771.75kHzとなり、10kHz
ほどの幅ではあるが、データの周波数成分約786kH
z〜1.96MHzと区別できる。
【0131】クロックマークを設ける形態としては、例
えば、溝間に設けられたピットや非晶質マークであって
も良いし、溝に、特異的に大きく空間波長の短い孤立し
たウォブルを付与しても良い。後者の場合、通常のCD
−RWのウォブル振幅(peak−to−peak)は
20〜50nm程度に対し、クロックマーク用のウォブ
ルを50〜200nm程度の大きな振幅とするのがよ
い。そして、これを通常のウォブルの山、谷、またはそ
の半分の位置に重畳させて大きな振幅とするのがさらに
よい。上記クロックマークは物理的長さが3Tマーク
(約0.8μm)より短いことが好ましい。データの周
波数から帯域フィルタで選別しやすいからである。な
お、上記の説明から明らかなように、方法(iii)を採用
するに当たっては、媒体として、前記第1の要旨に係る
媒体であって、ウォブル溝が、1倍速に換算したときに
搬送周波数約22.05kHzであって、ATIP情報
により±1kHzで周波数変調されたウォブル信号を有
し、かつ22.05kHzの2〜8倍の繰り返し周波数
で溝に沿ってクロックマークが配置されているのが好ま
しい。このようなクロックマークから発生された周波数
L2=77.15kHzで図7(a)のfA0を読み替
え、fL2の56倍をデータの基準クロック周波数fd0
みなせば、図7(a)のフローチャートをそのまま使用
することができる。
【0132】[データの基準クロックを発生させる方法
(iv)]ディスク基板に、線速一定のときに周波数が一
定のウォブル信号を有する溝を設けるとともに、該ウォ
ブルが位相変調されているか又は特定位置のウォブルが
欠けている(振幅をゼロとする)ことによってアドレス
情報及び同期情報が付与されている媒体を使用する方法
である。即ち、この方法においては、媒体として上記媒
体であって本発明の第一の要旨に係る媒体を使用するの
が好ましい。この場合、ATIP信号がないため、既存
のCD−RWとの完全な互換性は失われるが、周波数変
調による溝蛇行周期の揺らぎに影響されない、角速度一
定でディスクを回転させながら該周波数を検出した後、
ウォブルの周波数を直接逓倍することで正確な基準クロ
ックが発生できる。そして、この基準クロックは、前記
方法(i)に記載したのと同様の方法で、上記アドレス
情報及び同期情報によって、アドレス情報の同期パター
ン及びディスクの回転に同期させることができる。この
場合のウォブルの周波数をデータの基準クロック周波数
d0の整数分の1で、1/22〜1/50程度とする
と、逓倍誤差を少なくし、データの周波数帯域と分離さ
れるので好ましい。このウォブルの周波数で、図7
(a)のfA0を置き換えれば図7(a)のフローチャー
トをそのままで使用できる。
【0133】以上は、未記録状態のブランクディスク、
あるいは記録部と未記録部を有するディスクにおいて基
板に溝蛇行(ウォブル)等によってあらかじめ記載され
た情報から、半径に反比例し回転に同期したデータの基
準クロックを発生させ、かつアドレス情報を読み取り、
該アドレスに同期した書き込み信号を発生させる方法の
例である。
【0134】一方、ディスク製造時に、もしくは未記録
ディスクの最初の使用時に、フォーマット処理を行って
ディスク記録領域全面にEFM変調信号でアドレス情
報、同期情報等を記録してしまい、以後はこの記録済信
号を利用することとしてもよい。フォーマット処理は、
ディスク全面に所定データを均一に記録するだけであ
り、必ずしもCAVモードで記録を行う必要はなくCL
Vモードで8倍速等の高速で行えば良い。あるいは、C
AVモードであっても、ディスク回転に同期し半径位置
に比例して高周波化していくようなデータの基準クロッ
ク発生回路を別途用意して、データの基準クロックを動
的に掃引しながら記録を行えばよい。記録済みのEFM
変調信号からは、直接にデータの基準クロックが抽出で
き、クロック周期の精度、同期の精度を高めることがで
き好適である。フォーマット処理にも以下のような複数
の方法(v)、(vi)が考えられる。
【0135】[データの基準クロックを発生させる方法
(v)]媒体にあらかじめサブコードによる絶対時間情
報をEFM変調信号として記録領域全面に記録しておく
方法である。角速度一定で回転させ記録する時に該EF
M変調信号を検出し、データの基準クロック及びアドレ
ス情報を得る。このクロックは半径に反比例し、回転及
びサブコードの同期パターンに同期している。その後、
前記同様クロック及びアドレス信号に同期した書き込み
信号を発生させる。あらかじめ、記録領域全面にサブコ
ードにより絶対時間をEFM変調信号として記録する場
合は、ユーザーデータは任意(通常は0の羅列)として
記録を行う。
【0136】このフォーマット処理されたディスクで
は、EFM変調信号及びそれに含まれるサブコード情報
はすべて、CAVモードで再生されるCD−ROMと同
じ方法によってアクセス可能となる。そして、EFM変
調信号から、データの基準クロック周期を抽出すること
ができる。この方法はいわゆるマルチセッション方式で
の追記のように、追記されるデータが比較的長く、内周
側からの記録済み領域が連続していて、その外側に追記
する場合に適している。
【0137】[データの基準クロックを発生させる方法
(vi)]媒体にあらかじめCD−ROM規格(いわゆる
イエローブック)におけるブロック構造をEFM変調信
号として記録領域全面に記録しておく方法である。角速
度一定で回転させ記録する時に該EFM変調信号を検出
し、データの基準クロック及びアドレス情報を得る。こ
のクロックは半径に反比例し、回転及びサブコードの同
期パターンに同期している。その後、前記同様クロック
及びアドレス信号に同期した書き込み信号を発生させ
る。
【0138】具体的には、まず、CD−ROMフォーマ
ットに従い、98EFMフレーム(2,352バイト)
を1単位とするブロック構造をあらかじめ記録領域全面
に記録する。ブロック構造はCD−ROM規格に規定さ
れた論理データ構造である。各ブロックにはユーザーデ
ータの一部に、ヘッダーと呼ばれる論理アドレスと同期
信号が含まれており、フォーマット時にはこのデータも
記録する。データは98フレームごとのまとまりで記録
される。まず、記録すべきデータは、2,048バイト
ごとに分割され、各々同期情報12バイトとヘッダー4
バイトが付加される。
【0139】次に、同期パターンを除くヘッダー及びデ
ータにスクランブルをかけ、ECC(データ訂正符号、
Error Correction Code)データ
が付加される。これに先の同期情報を付加したものに対
して、データの順番を入れ替えるインターリーブをかけ
た後、98個のフレームに分割する。各フレームには先
頭にEFMフレーム同期パターン及びサブコードが付加
され、更に、フレーム途中とフレーム最後に、各フレー
ムのデータから計算されたECCデータがあらためて付
加される。なお、上記サブコードには絶対時間情報など
いろいろな情報が含まれるが、特に98フレーム中の第
0フレーム及び第1フレームにのみフレーム同期信号が
含まれている。このようにして、記録すべきEFM変調
信号が作られる。
【0140】なお、UDF(Universal Di
sk Format)バージョン1.5以降に対応した
ランダムパケットライト方式でフォーマット処理を行う
と、未記録ディスクに対してフォーマット処理を行う際
にも上記ブロック構造が記録されるので好ましい。な
お、ランダムパケットライト方式はOSTA(Opti
cal Storage Technology As
sociation、米国内の業界団体)により制定さ
れている。また、パケットライト用のフォーマット処理
はCD−RWの規格であるオレンジブック・パート3に
も規定されている。
【0141】ただし、部分的上書きなどにより、パケッ
ト(1パケットは16もしくは32ブロックからなる)
間のリンク部分で若干のサブコードデータの不連続が発
生しうるので、サブコードに含まれるアドレス情報より
も、各ブロックのユーザーデータ部分に記録されたブロ
ックアドレスを参照してアクセスするほうが好ましい。
この方法は、追記されるデータが短くて固定長のパケッ
トであって、ランダムな位置にオーバーライトを行う、
いわゆるランダムパケットライト方式の場合に適してい
る。
【0142】上記方法(v)もしくは(vi)に準じてC
AVモードで所定のアドレスへ移動し、ウォブルの搬送
周波数を抽出して基準データクロックを発生するスキー
ムの一例をそれぞれ図8、図9に示した。まず、CAV
方式で再生される普通のCDと同様に、トラッキングサ
ーボをオフとしてリニアモータの粗動で所定の半径に移
動するとともに、トラッククロス信号をカウントして移
動トラック数を把握し、狙いのトラックまでに必要なカ
ウント数に近づいたところでトラッキングサーボをかけ
る。
【0143】ここで、ステップC6もしくはD6におい
てやはりCAVモードのCD−ROM再生システムと同
様に、記録済みのRF信号からEFMデータを再生し、
該EFMデータより基準データクロックを抽出する。サ
ブコードを利用する場合、ステップC6においてサブコ
ードのフレーム同期信号から基準データクロックとディ
スク回転との同期を確立し、ステップC7でサブコード
Qチャネルからアドレス情報を取得する。CD−ROM
データのブロック構造を利用する場合、ステップD6に
おいて各ブロック先頭の12バイトの同期情報を利用し
て同期を確立するとともに、ステップD7において引き
続くヘッダーからアドレス情報を取得する。そして、い
ずれの場合もステップC8もしくはD8において所定ア
ドレスに到達したことを判定した後、ステップC9もし
くはD9において記録パルス列に変換して、ステップC
10もしくはD10において、所定のデータを所定のア
ドレスにオーバーライトする。
【0144】[データの基準クロックを発生させる方法
(vii)]以上で述べた上記の方式は、基本的にCAV
回転そのものは独立して回転精度を維持されているとい
う前提である。しかし、CAV回転系と基準クロック参
照信号fR0との間で、フィードバックループを構成する
とさらに回転系とデータ基準クロックの同期が正確にな
るので好ましい。即ち、CAV回転を基準として、所望
の半径におけるウォブル再生信号やクロックマークある
いは、記録済信号のサブコードから直接あるいは参照信
号を参照して、基準クロック周波数を発生するのではな
く、所望の半径における計算上のクロック周波数(すな
わち参照信号fR0)に同期するように、CAV回転をP
LL(pahse lock loop)制御するので
ある。
【0145】図15は、所定のアドレス(半径)に到達
し、回転とデータの基準クロックの同期を達成し、オー
バーライトを行う方式の手順を示すフロー図である。図
16は、そのような制御システムの概念図である。図1
5及び図16はCAV方式でありながら、半径位置によ
らず等線密度記録を達成する光ディスク記録再生装置と
その動作フローを示している。図16は、図6の一般的
な概念図に対して、特に集束光ビームを所定(ターゲッ
ト)アドレスの記録ブロックに半径方向に移動させたと
きに該半径に反比例して変化するデータの基準クロック
T(周波数fd0)を発生する基準信号発生器(VCO
1)と、所定半径における該基準クロックTを1/N
(Nは整数)に分周して得られる参照信号fR0と該アド
レスにおいて検出された溝蛇行の搬送周波数fA0を位相
比較することで、所定の半径におけるデータの基準クロ
ック周波数f d0とfA0が半径位置にかかわらずfd0=N
・fA0なる関係を維持するようディスクの回転数を微調
整するとともに、記録ブロックの開始位置と該ブロック
に書き込まれるべきデータ列の同期を達成する手段につ
いて、詳細に記載したものである。
【0146】図15、図16では、特に書き換え型コン
パクトディスクを例としてN=196としている。この
方法では、まず、半径位置移動支持、アドレス到達判
定、データの基準クロックの計算をドライブ内の特定の
CPU1で司る。初期状態として、例えば記録領域最内
周を基準半径Rinとし、基準半径にある記録トラックに
フォーカス及びトラッキングがかかっているとする。本
発明の媒体を用いる場合には、特に、この記録領域最内
周での線速度がCD線速の4倍速(4.8m/s)程度
になるよう、基準回転数ω0 がω0 =1900〜220
0rpmの範囲となるように設定する。具体的には、基
準半径Rin=21mmなら、2180rpm、Rin=2
4mmなら1910rpm程度とする。
【0147】図16においては、図6を基本として点線
で囲まれるような回転制御のためのPLL(phase
locked loop)系を詳細に記載したもので
ある。逆に図16では回転制御系以外の要素は簡便化し
ている。例えば図6のエンコーダED1,ED2はまと
めてエンコーダEDとされ、レーザードライバーLD1
は記録パルス変換回路WP1の一部として省略されてい
る。また、フォーカスサーボ機構FE1、トラッキング
サーボ機構TE1は省略されている、アクセスサーボ制
御CPU1は、制御用CPU1の一部に含まれる機能と
みなされる。
【0148】図6の基準クロック発生回路CK1は図1
6では、制御CPU1からの信号を受け、D/A変換
器、電圧制御発信器VCO1で構成されている。ここ
で、fd0はアドレス情報に基づき、半径に比例したデー
タの基準クロック周波数であり、例えば(4)〜(7)
式を用いて、制御用CPU1で計算されたデジタルの出
力結果をA/D変換器でfd0に比例した電圧Vd0に変換
した後、該Vd0に比例した周波数をVCO1で発生する
などして生成する。この部分は一例であって、アドレス
情報から計算によって半径に比例したデータの基準クロ
ック周波数さえ生成されれば、他のデジタルシンセサイ
ザーによって置き換え可能である。前述のように、最外
周がCDの10倍速なる場合、最内周は4倍速程度であ
り、fd0は17.287MHzから43.218MHz
まで変化するので、かかるデジタルシンセサイザーは、
この周波数範囲を0.1MHz程度の分解能で掃引でき
ることが望ましい。半径に比例する基準クロック周期と
はいえ、この程度の分解能で段階的に変化するものであ
っても、各半径位置においてマーク長の誤差は許容範囲
内(通常±1%程度)に維持できる。
【0149】fd0は分周器で1/196に分周され、所
定の半径におけるウォブルの搬送周波数の参照値fR0
して用いられる。なお、図16においてBPFはウォブ
ル信号から搬送波成分fA0を抽出するための帯域フィル
ター、HPFはウォブル信号をFM復調するための高域
通過フィルタである。位相比較器PCOにおいては、f
R0を参照信号としてfA0と位相比較を行う。また、PC
Oの位相比較結果はLPFで平均された電圧Vmoに変換
されるが、V moは位相差が大きいほど大きい、フィード
バック信号である。VmoはVCO2によってスピンドル
モータM1の周波数制御用の周波数fPMに変換される。
PCO,LPF,VCO2の組み合わせは通常のPLL
制御に用いられる一般的な構成である。このPLL制御
により、fA0がfR0と同期する、つまりPCOでの位相
差がゼロになるようにディスクの回転数が調整される。
【0150】図15のフローに従って、まず、ステップ
G1でアドレス移動の指令と所望の移動先アドレス(タ
ーゲットアドレス)DA1が外部インターフェースを通
じて制御用CPU1に入力される。ステップG2でアド
レス移動のためにトラッキングサーボをoffにする。
同時に平行ステップGa1においてCPU1は該アドレ
スAD1(ここではATIPを例に取る)から、ターゲ
ットとするATIPアドレスの半径やトラック番号を式
(4)〜(6)によって計算する。また、(7)式によ
って、ターゲットアドレスの半径における基準クロック
周波数fDAを計算し、該周波数をVCO1により発生す
る。またこのfDAは1/196に分周され、ターゲット
アドレスにおけるウォブルの搬送周波数fRAを生成す
る。fDA及びfRAは予測周波数として参照される。
【0151】より一般的には、上記光ディスクD1の記
録領域の始端もしくは終端における基準半径Rref にお
けるデータの基準クロックをTref (周波数fref )、
記録領域の最内周から最外周までの半径幅をΔRとし、
データの記録を行うべき所定ATIPアドレスから計算
された半径Rと、該アドレスにおける基準クロックT
(周波数fd0)が、 fd0=fref +(R−Rref )/ΔR (100) なる関係を維持するようにfd0を半径に応じて計算す
る。また、計算による(R−Rref )から横断すべきト
ラック数等を算出し、リニアモータM1に半径移動信号
を出す。
【0152】ステップG3においてCPU1からの指令
でリニアモータLM1で駆動されたピックアップPU1
は半径方向に移動し、ステップG4でトラックカウント
による粗動機構で所定のターゲットアドレスに向かって
移動する。ステップG5でターゲットアドレスの直前に
十分近づいたことをトラックカウント数により確認した
のち、粗動機構にブレーキをかけて、ステップG6にお
いてターゲットアドレス近傍(通常は直前)のトラック
においてトラッキングサーボをonとし、以後はトラッ
キングサーボを維持したまま再生レベルにあるレーザー
光ビームを案内用溝に沿って走査する。
【0153】この状態で、ウォブルの搬送周波数fA0
抽出する。ピックアップPU1はターゲットアドレスに
近接しているので、ターゲットアドレスから計算したf
RAと抽出されたfA0は、位相比較によりPLLロックで
きる範囲である。したがって、ステップG7でfA0とf
RAを位相比較し、fA0がfR0に同期するようスピンドル
モータM1にフィードバックをかけ、CAV回転同期さ
せる。
【0154】次に、ステップG7において予測ウォブル
搬送周波数fRAにより、スピンドルモーターM1のCA
V回転をロックした後、トラッキングサーボを維持しな
がら、光ビームをトラックに沿って走査する。ステップ
G8においてはピックアップPU1においてプッシュプ
ル信号P1を再生し、BPFによりウォブルの搬送周波
数fA0を抽出するとともに、ATIPデコーダWDA1
でATIP情報のデコードを開始する。ステップG9に
おいては、該リアルタイムで再生された刻々と更新され
るアドレス情報をもとに、平行ステップGa2において
d0を計算してこれを時々刻々更新し、VCO1より所
定の基準クロック周波数fd0を発生する。また、同時に
該fd0を1/196に分周して得られる最新のfR0を参
照して、fR0とfA0の位相比較をPCOにおいて行い、
R0とfA0が同期するように、ディスクのCAV回転制
御がスピンドルモーターM1に対して行われる。ステッ
プG8,G9,Ga2はfd0を基準信号とするPLLフ
ィードバックループを構成し、スピンドルモーターM1
の回転を実質的なCAV回転に維持する。
【0155】ステップG8〜G10では、かかるフィー
ドバックの作用のもと、記録再生光ビームを走査し、刻
々と変わるATIPアドレス及びfd0に応じてCAV回
転数も微調整しながら、ターゲットアドレスに近づく。
ステップG10においてターゲットアドレスに到達した
ことが判定されれば、ステップG11において記録パル
ス列が発生される。制御用CPU1の指令のもと2値化
データがEFM変調信号にエンコードされ、VCO1で
生成されたfd0に同期して、本発明記録方式に従って記
録パルス補正され、図5のごときα1T,β1T,・・・
・・,αmT,βmTなる記録パルス列のゲートが生成さ
れ、該ゲート信号に基づいて記録パルス発生回路WP1
において、ピックアップPU1のレーザーダイオード駆
動電流が生成される。ステップG11においてピックア
ップPU1から記録パワーPw、バイアスパワーPb、
消去パワーPeがターゲットアドレスのトラックに照射
され、所定のEFM変調データがオーバーライトされ
る。ここで、ステップG11の記録パルス列発生時に
は、fd0と同時にATIP情報中の同期信号が参照さ
れ、ATIPフレームとの位置の同期が達成される。
【0156】さらに、入力データをCDフォーマットに
エンコードされたデータをさらに記録パルス列発生回路
WP1において記録パルス列を発生する。図16ではア
ドレスに対応した線速度に応じて記録パルス列の補正を
行うことも考慮している。以上の手順は、市販のCD−
R/RWドライブぶ、ウォブル周波数と基準クロック周
波数を比較してCLV回転同期を達成し、記録を行うた
めの制御系とフロー的には一見類似している。CLV回
転同期では、基準クロック周波数は半径位置によらず一
定のfd0が参照信号として用いられる。このfd0を参照
信号として、fR0を発生し、むしろ強制的にモータの回
転を大幅に変化させて回転同期を取る。この際、半径方
向移動量が大きい場合には、回転数自体をあらかじめ半
径から計算によって決まる回転数に粗調整しないと、f
A0とfR0の差が大きすぎてPLL制御のキャプチャレン
ジからはずれてしまう。
【0157】一方、図16の装置は、粗動中はCAV駆
動されているので、M1が半径移動開始前の初期のCA
V回転数をたもっており、半径移動による大幅なfR0
びf A0の変動があっても両方が半径に比例して変化する
ので、PLLのキャプチャレンジをはずれることはな
い。つまり、半径方向素動機構でターゲットアドレスの
トラックから十分近いところに移動できていれば、その
ままATIPデコードをしてアドレスを読みながら半径
位置の微調整をしつつ、CAV回転をPLL制御でき
る。つまり、所定アドレス近傍に達してATIPデコー
ドを開始して後は、厳密にはCAV回転数はATIPア
ドレスに応じてリアルタイムで変化するfd0に基づい
て、PLL制御により微調整されている。図16におい
て点線で囲まれた部分がPLL制御回路を構成してい
る。
【0158】ここで、fd0の更新の最小単位であるAT
IPフレーム(CD1倍速で1/75秒単位)ごとに、
R0=(1/196)fd0に同期させてディスク回転を
PLL制御でロックさせるから、前記CAV回転制御方
式は、換言すれば、ATIPフレームごとに仮想ゾーン
を設けたZCLVとしても機能している。しかし、各ゾ
ーンの長さであるATIPフレームはディスク1周にも
満たないために、実質的にはCAV回転とみなせるので
ある。かかる、CAV回転制御は、スピンドルモーター
M1を独立に機械的にCAV回転制御する場合よりも、
いっそう正確に、各半径におけるデータの基準クロック
とディスク回転の同期を確立でき、各半径位置における
マーク長のゆらぎを極めて小さくできるという利点を有
する。
【0159】なお、図16では省略したが、ピックアッ
プ祖動時のCAV回転は、念のため、スピンドルモータ
M1の回転数を速度センサ(通常はホールセンサ等を用
いる)でモニタして、±1〜10%程度の荒い精度の回
転維持制御機構を平行して用いることがより好ましい。
回転数ゼロからPLLのキャプチャレンジに至るまでの
回転の立ち上がり時までは、むしろ該回転数の直接制御
は必要であり、所定回転数に到達後、アドレスに応じて
発生された基準クロック信号fd0を参照するPLL制御
に移行する必要がある。また、万が一、祖動中にCAV
回転が大きくずれてもPLLのキャプチャレンジをはず
れないようにするためにも有効である。さらに、原理的
にはPLLでは最内周の4倍速記録と、中周よりやや外
側での8倍速記録のような倍周波数の区別ができないの
で、突然4倍速で同期取るべきところを、8倍速で同期
がとれたりするような暴走を防ぐためにも、スピンドル
モーターM1の回転数の直接モニタによる比較的荒い回
転数制御をあわせ用いることは有効である。
【0160】このCAV方式は、従ってATIPアドレ
スから計算された参照周波数fd0及びfR0で微調整され
たCAVである点で従来のCLVモードのPLL回転制
御系とは異なる。この微調整幅はPLL制御を維持する
ために、また、実質的に等線密度の記録を維持しCLV
モードで再生可能とするために、通常、基準回転数ω 0
の±1%以内とすることが望ましい。つまり半径方向粗
動機構は、この関係を維持できる程度にターゲットアド
レス近傍に接近できることが望ましい。
【0161】図16の装置においては、扱う周波数帯域
が最内周から最外周で約2.5倍の帯域があるので、B
PF、HPF、及びLPFの設定帯域には留意を要す
る。特にPLL制御系内のLPFについては、場合によ
っては、半径を数個のゾーンに分割して切り替える必要
がある。
【0162】本発明においては、以上の方法によって、
半径に反比例して変化する基準データクロックを発生さ
せることができる。ただし、本発明の基準データクロッ
ク発生方法がこれらに限定されるものではない。以上で
述べたようなCD互換の等線密度記録をCAVモードで
実現するためのアクセス方法、データの基準クロックの
発生及び回転同期方法は、どのような回転数であっても
広くCD−R/RW媒体に適用可能であるが、本発明の
媒体及び記録方法に用いると、いっそうアクセスパフォ
ーマンスが向上して好ましい。なお、CDには直径8c
mの小径サイズのものもあるが、その場合のCAV方式
での最内周/最外周での線速差は高々2倍なので、本発
明の媒体、記録方法及び記録再生装置をそのまま適用で
きる。この場合、転送レートを高めるため、最外周での
線速を10倍速以上とするのが好ましい。
【0163】7.CAV方式による記録を用いた応用例
について さて、以下では、CAV方式による記録が可能な本発明
書き換え型コンパクトディスク及びCAV方式で書き換
え型コンパクトディスクに記録を行う本発明記録方式に
より、異なる半径位置のアドレスへのアクセス時間が大
幅に短縮されるが、かかる利点を最大限に生かした応用
例について述べる。
【0164】より具体的には語学や音楽の反復練習のた
めの教本をCD化したものがあげられる。このようなア
プリケーションでは、まず、手本(デモンストレーショ
ン)となる外国語のセンテンスや音楽の小節がアプリケ
ーションのデータとして再生され、その反復をユーザー
に促し、ユーザーがただちに、反復復唱した内容を録音
して新たな入力情報とし、ユーザーデータ領域に記録す
る。そこで、一枚のCD−RWディスクに、アプリケー
ションプログラムを格納し、該プログラムを再生し、デ
モンストレーションデータを再生してデモンストレーシ
ョンを実行した後、反復復唱されたユーザーデータを同
じCD−RWディスクに記録できれば同じ記録再生装置
で記録再生ができ非常に便利である。
【0165】通常、デモンストレーションは、反復復唱
が容易なように、数秒から数十秒の単位に分割されてお
り、デモンストレーションとユーザーデータの記録は、
かかる時間範囲で繰り返し行われる必要があるが、アプ
リケーションプログラム領域とユーザーデータ領域との
間の光ピックアップのアクセス時間を極力短くできる、
CAV回転方式での記録が可能な記録媒体及び記録方式
が特に有効となる。また、最近はCDの再生をCAVで
行うことが多いが、記録及び再生のいずれもがCAVの
まま行われれば、記録から再生、再生から記録への切り
替えプロセスが簡単になるし、短時間で完了するという
好ましい特性が得られる。
【0166】本応用に適したCD−RW媒体は、プログ
ラム領域の連続した特定領域に所定のアプリケーション
プログラムのデータが格納されたアプリケーションプロ
グラム領域と、残りの領域に少なくとも上記アプリケー
ションプログラムに関連するユーザーデータが記録可能
なユーザーデータ記録領域とが設定されてなり、該アプ
リケーションの再生及び該アプリケーションに関連した
ユーザーデータの記録が同一回転速度のまま行われる。
【0167】上記アプリケーションプログラム領域は、
未記録の書き換え型CD−RWの一部に、製造者側で記
録を行って作成しても良いし、あらかじめ凹状のプレピ
ット(位相差ピット)によって基板上に形成されたRO
Mデータとして記録されていても良い。いずれの場合
も、アプリケーションプログラム自体は、実際上再生専
用(ROM)データとして扱われるので、本CD−RW
ディスクは、部分的にROM領域を有すると解され、従
って、パーシャルROM(Partial−ROM,P
−ROM)と称されることもある。
【0168】かかるP−ROM型のCD−RWディスク
においては、通常は、ATIPアドレスに沿ったデータ
配置に示すようにアプリケーションプログラムを格納す
る領域(アプリケーションプログラム領域)とユーザー
データ記録領域がそれぞれ連続的なアドレスを占めるひ
とかたまりの領域として、確保されるのが一般的であ
る。図25は、ATIPアドレスに沿ったデータ配置の
模式図である。
【0169】図25にはCD−RWディスクの斜視図1
00と断面図101が示してある。CD−RWディスク
100の最内周から順にPCA(Power Cali
bration Area)、PMA(Program
Memory Area)、リードイン領域、プログ
ラム領域、リードアウト領域からなるデータ構造を有す
る。このうち、PCAはパワー決定のための試し書き領
域、PMAは、CD−RやCD−RWに特有の一時的な
ファイル管理情報記録領域、リードイン領域は本来CD
−ROMフォーマットで用いられるTOC(Tabel
of Contents)と呼ばれるファイル管理情
報やディスク管理情報を記載する領域、リードアウト領
域は、EFMデータの終わりを示すための領域であり、
プログラム領域はユーザーデータを記録すべき領域であ
り、本発明においては、このプログラム領域にアプリケ
ーションプログラム領域と書き換え可能なユーザーデー
タ領域との両方を有する。従来のCD−ROMとの再生
互換を維持するためには、必ず、リードインおよびリー
ドアウト領域に所定情報を記録することが必要である。
【0170】本発明においては、少なくともPCA領域
の始端Bからリードアウト領域の終端Dまでのインフォ
メーション領域(図25の100で斜線の領域)は、同
一の相変化媒体で構成されている。プログラム領域にお
いてアプリケーションプログラムを格納するための部分
的なROM機能を実現する領域は2種類あって、一つ
は、予め基板表面に形成された凹部によるプレピット列
(予め基板上に射出成形等で形成されたピットの列)を
用いてデータを記録し、基板上に記録層を設けた領域
(マスターROM領域)である。他方は、CD−RWデ
ィスク100全面を書き換え可能な領域として記録層を
形成して、その中の一部の領域にデータを記録した後、
記録ドライブ装置がその一部の領域に再び書き込みする
ことを禁止された領域(ポストROM領域)である。
【0171】少なくとも、ポストROM領域及びRAM
領域においては、図26(a)のごとくレーザ光を誘導
すべく、螺旋状に設けられた案内溝105が設けられて
いる。案内溝105は溝壁105a及び105bにより
囲まれており、その断面はCD−RWでは通常、深さ
0.03〜0.05μm、幅約0.5μm程度の台形状
になっている。レーザー光は該溝にそって円盤状ディス
クの回転により周方向に走査される。案内溝105は、
半径方向の蛇行によりATIP情報や同期信号等の付加
データ付与のためのウォブルが形成されている。図26
では溝蛇行の振幅が誇張されており、実際上は溝幅約
0.5μmに対して、蛇行の振幅は約0.03ミクロン
程度である。一方、マスターROMデータによるマスタ
ーROM領域を有する場合には、図26(b)のごとく
複数のピットかなるピット列106を結ぶ中心線107
が案内溝105と同程度の振幅の蛇行を有するように構
成されることが望ましい。
【0172】いずれにせよ、PCA領域の始端Bからリ
ードアウト領域の終端Dにかけて、広義の案内溝にそっ
てアドレス情報を付与するために、ウォブルにより絶対
時間によるアドレス情報及び同期信号が与えられている
ことが望ましい。絶対時間アドレスは、1/75秒を最
小単位(フレーム)とし、分、秒、フレーム単位で表記
される。図25においてプログラム領域の始点Aにおい
てATIPは0分0秒0フレーム(以後00:00:0
0のように記載)から始まり、最大79:59:74フ
レームまで続く。データ容量に応じて、プログラム領域
の最大ATIPアドレス、すなわちリードアウト領域の
開始時間(図25(c)点)は変化しうる。さて、プロ
グラム領域は図25のC点において、リードアウト領域
に移行する。リードアウト領域のATIPアドレスは、
プログラム領域の最終ATIPアドレスを引き継いで連
続して増加する。通常、リードアウト領域の長さは1−
2分程度である。一方、PCA,PMA,リードイン領
域は、図25のB点からA点にかけて配置される。その
ATIPアドレスはA点で00:00:00としてリセ
ットされたのち、A点からB点(PCAの最初のアドレ
ス)に向かって、99:59:74から順次減少してい
く。PCA,PMA,リードインにおけるATIPアド
レスは80あるいは90分台しか使用できないことにな
っている。
【0173】図27はデータの配置を示した例である。
図27において、A,B,C,Dの各点は図25のA,
B,C,Dと同じATIPアドレス上にある。そして、
BAがPCA/PMA領域110とリードイン領域11
1からなり、ACはプログラム領域112であり、CD
がリードアウト領域113である。図27において、ア
プリケーションプログラム領域120は、内周部すなわ
ち、ATIP時間の初めのほうに設けられており、ユー
ザーデータ領域121は、外周部の相対的にATIP時
間の後ろのほうに設けられている。
【0174】図27において、アプリケーションプログ
ラム領域120とユーザーデータ領域121は、単純に
内外周に分離して配置されているが、どちらが内周であ
ってもかまわない。また、例えば、該プログラム領域が
マルチセッション・フォーマットの規程に従って2つの
セッションに分割されており、一方が、アプリケーショ
ンプログラムを格納したセッションであり、他方がユー
ザーデータを自由に書き込めるセッションであるような
データ構造を有していても良い。
【0175】アプリケーションプログラム領域120に
は実行可能なプログラムとして、ユーザとの対話形式で
の作業が可能な入出力を制御するメインメニュープログ
ラムやメインメニューに基づいて作業をサブルーティン
に割り振る基本ルーティンプログラム、メニューを通じ
てユーザーの選択に応じて機能する、種々の作業やデモ
ンストレーションの実行を司るサブルーティンプログラ
ムなどの実行形式プログラムを格納する実行プログラム
領域123と、アプリケーションプログラムで参照され
るデモンストレーションのデータ集を格納するデモデー
タ領域124からなる。以下では両方を総称してアプリ
ケーションプログラム領域と呼ぶ。デモンストレーショ
ンデータ集には、例えば、複数のサブデモンストレーシ
ョンである、デモ1、デモ2・・・・、デモnから構成
され、ユーザはいずれかを選択したり、複数を連続的に
再生できるものとする。ユーザーデータ領域には、例え
ば、デモ1,デモ2、・・・、デモnに対して、ユーザ
ーが復唱した内容がそれぞれ復唱データ1、復唱データ
2、・・・・、復唱データnというように格納される。
【0176】アプリケーションプログラム領域120と
ユーザーデータ領域121間の頻繁なアクセスを行うに
際し、両領域の論理データ構造が同一であり、ファイル
管理方法が同一であることが、データの再生に当たって
デコード方式を切り替える必要がないので好ましい。特
に、後述のように音声データを扱うような場合、実際の
ディスク上でのデータ再生・転送ルートと実時間での音
声再生レートとのギャップを解消するために、また、細
切れアプリケーションデータの再生とユーザーデータの
記録とを切り替えながら行うために、ディスク上のデー
タは、いわゆる固定長のパケット構造を有することが望
ましい。ここで改めてCD−RWにおける固定長パケッ
ト記録について説明する。CD−ROMフォーマットに
おいては、図28に示すように、ユーザーデータ204
8kバイトに付加データを含む2352バイトの単位を
ブロック130としてひとまとめにしてデータ処理を行
う。1ブロック130にはエラー訂正のためのECC符
号(131)等、ヘッダーと呼ばれるATIPに対応す
るアドレス情報を含む4バイトのデータ(132)、及
びECCを含むデータでコードの際に必要となる同期信
号8バイト(133)を付加してなる。
【0177】該2352バイトを24バイト×98のマ
トリックスに分割したとき、一行24バイトのデータ単
位(135)をフレームと称するが、これは、EFM変
調データに変換するときの基本多淫にであり、ユーザー
側からは操作できない。該フレーム135に属する24
バイトのデータにさらにエラー訂正用のパリティーと、
サブコードと呼ばれるアドレス情報等を付加して、EF
M変調してのちディスク上に記録される。
【0178】CD−RWの固定長パケット記録は、該C
D−ROMフォーマットの使用を前提として、米国のO
STA(Optical Storage Techn
ology Association)においてユニバ
ーサル・ディスク・フォーマット(Universal
Disk Format、UDF)のバージョン1.
5及びマルチリード(Multiread)フォーマッ
トとして制定された。上記ブロック単位で、32ブロッ
クユーザーデータをまとめて一単位とし、図29に示し
たような、ランインブロック141、ランアウトブロッ
ク142及びリンクブロック143を付加してなる単位
を、パケットと称する。すなわち一パケットには64k
バイトのユーザーデータからなる、ユーザーデータブロ
ック群140が含まれる。
【0179】このようなフローチャートは、例えば、図
30に示すように、本発明の部分的にアプリケーション
プログラム領域とユーザーデータ領域を有するCD−R
Wディスク153と、該ディスクをCAVモードで回転
させながら記録再生するための装置であるCD−RWド
ライブ150、及び、該記録再生装置に接続されたホス
トコンピュータ151を少なくとも含むシステムによっ
て実現される。CD−RWドライブ150とホストコン
ピュータ151は、相互にデ−タ転送が可能なように、
データ転送路200で接続されている。データ転送方式
としては、ATAPIあるいはSCSI方式が用いられ
る。データ転送の際のCD−RWドライブ150側のデ
ータ処理速度と、ホストコンピュータ151側のデータ
処理速度の差を解消するために、また、データ転送の同
期をはかるために、それぞれにデータ転送用のバッファ
メモリ206と207がある。バッファメモリ206と
207では、例えば、図29のパケットごとにデータが
処理される。また、ドライブ150内ではEFM変調信
号の増幅、帯域フィルタによる抽出、エンコード、デコ
ード、CDフォーマットのエンコード、デコード、記録
パルスの生成等は、データ処理系204でなされる。デ
ィスクの回転制御は回転制御系203で処理され、光ピ
ックアップ201の移動、トラッキングサーボ、フォー
カスサーボはピックアップサーボ系202で処理され
る。これらの機械的制御と、データ処理との相互の連携
は、システム制御CPU205で制御されている。CP
U205はこれら機械制御、データ処理、電気信号の記
録再生等を統括する上位のシステムの総称で、必ずしも
1個のICで実現されるとは限らない。
【0180】ホストコンピュータのCPU210によっ
て、アプリケーションプログラムは解読実行される。デ
ータ転送路200及びバッファメモリ207を介して得
られたデータは、キャッシュメモリ209を介してCP
U210で処理され、やはりキャッシュメモリを介して
作業用メモリ211に保管される。また、作業用メモリ
211はRAMメモリ212もしくはハードディスク2
12であり、プログラム実行中のワークスペースとして
利用される。CPUで処理される最小限のデータがキャ
ッシュメモリ209に一時的に保管される。バスコント
ローラは、CPU210を助けてホストコンピュータ内
のデータの流れを制御する。
【0181】ホストコンピュータ151のシステムは、
ユーザーインターフェースとして、マイク・カメラ等の
AV(audio−visual)入力機器群217と
スピーカー・ディスプレイ等のAV出力機器群219及
び、キーボードやマウス等の機器群220を有する。A
D(アナログデジタル)変換回路216もしくはDA
(デジタルアナログ)変換回路218を介して、ユーザ
ーとの入出力処理をデジタルデータとして処理できるよ
うになる。通常は、音声や画像処理をCPU210だけ
で司ることはなく、専用の処理回路215で処理するの
が普通である。音声・画像処理回路215及びその上位
のサウンド/ビデオコントローラ214では、データの
サンプリング、補間、圧縮/解凍等が行われる。また、
音声と映像の両方のデータを含む場合、音声と映像デー
タの同期を確立するためのデータ処理も行われる。これ
らの処理は、音声/画像を別々のICで処理することも
あるが、ここではひとまとめに記載する。同様にキーボ
ードやマウス等からのデータも、IO制御回路221で
代表されるシステムで処理される。
【0182】アプリケーションのデータを再生する際に
は、ドライブ装置150において、ディスク153はC
AV回転しており、光ピックアップ201から出射され
る光ビームの走査により、固定長のパケットごとにディ
スク上のデータが読み出される。該パケット単位のデー
タは、データ処理系204においてEFM復調され、C
D−ROMフォーマットのブロック単位のデータ(2K
バイト単位)に出コードされた後、バッファメモリ20
6に転送され、さらにインターフェースの転送路200
を介して、ホストコンピュータ151に転送される。デ
ータ転送は、ホストコンピュータのCPU210及びド
ライブのシステム制御CPU205の連携によって制御
されている。バッファメモリ206と207は通常、D
RAM等の固体メモリ素子が用いられ、ドライブ装置本
体150とデータ処理用のホストコンピュータシステム
151とのそれぞれに設けられるが、データ転送の同期
を達成を達成するために必要である。しかし、ドライブ
本体とホストコンピュータシステム、特にCPU210
と205の機能が一体化されたようなシステムでは、バ
ッファメモリ206,207は必ずしも別個に設ける必
要はない。実際のディスク上でのデータ再生は高速倍速
再生であるから、音声データの再生時間の数分の一で再
生が完了するし、バッファメモリ206と207間の転
送時間もインターフェースとして通常のSCSIやAT
API方式を使用すれば、問題にならないほど極めて短
時間で終了する。
【0183】ここで、書き換え型コンパクトディスク1
53では、記録再生時の速度は例えばプログラム領域の
最内周での4倍速から、最外周における10倍速の範囲
にわたる。一方、音声データの再生は通常は1倍速で行
われるので注意が必要である。かかる再生速度のギャッ
プを解消するために、再生速度の変換が必要となる。し
かし、上記データ読み出し過程を経て、読み出されたデ
モ1のデータは、すべて一旦、作業用メモリ211に保
管された後は、CD−RWの回転速度や、データ転送路
200のデータレートとは無関係にサウンド(/ビデ
オ)コントローラ214に転送され、該作業用メモリ2
11内のデータを通常の音声のサンプリングレートに同
期させてDA変換器218においてデジタルアナログ変
換した後、スピーカ219において再生する。ここで、
CDフォーマットにおけるデジタル音声データとCD−
ROMフォーマットにおけるデジタルデータの論理構造
が異なるが、音声データもデジタル化した後、CD−R
OMフォーマットで記録しておくことが望ましい。そう
すれば、デモデータ及びユーザーの復唱データともに、
同じCD−ROMフォーマットに基づく固定長パケット
記録を適用できる。かかる音声等のデータ処理に関して
は、通常のパーソナルコンピュータに内蔵されている機
能で十分であり、詳細な説明は省略する。
【0184】CAV記録可能なCD−RWを用いたCA
V方式での記録再生の手順を一般化して示したフローチ
ャートが図31である。ステップS1からS3は、CD
−RW153をドライブに挿入するとCD−RWドライ
ブ150内においてシステム制御CPU205の制御の
もとに実行される。まず、ステップS1においてCD−
RWディスク153がドライブ150に装着される。こ
こで、通常、システム制御CPU205の制御のもと、
ディスクの回転開始、フォーカス及びトラッキングサー
ボ等が確立される。ディスクは所定のCAV回転速度に
保たれる。
【0185】ピックアップ201は、まず、ステップS
2において、リードイン領域111、PMA/PCA領
域110にアクセスし、ディスクの管理情報等が読み込
まれる。ディスクの管理情報は、記録時の最適記録パワ
ーや線速度に関する情報とともに、ディスクのタイプが
CD−RWであること、さらには、CAV記録可能なC
D−RWディスクであることが判定される。また、PC
A領域において試し書きを実施し、最適記録パワーを決
定する。引き続きステップS3により、リードイン領域
111及びプログラム112領域の先頭のほうのアドレ
ス特定のアドレスからファイル管理情報が取得され、プ
ログラム領域112のファイル情報が取得される。
【0186】自動実行可能なアプリケーションがアプリ
ケーションプログラム領域120にあれば、ただちに、
ステップS4において、ディスク153のアプリケーシ
ョンプログラムのメインルーティンのデータ125がホ
ストコンピュータ151に読み込まれ、以後のステップ
はホストコンピュータ151のCPU210により、ド
ライブ150とデータ転送路200を介してデータのや
りとりをしながら実行される。自動実行可能なプログラ
ムでなければ、ユーザーが、アプリケーションプログラ
ム領域120内のCD−RWの実行可能ファイルを選択
してからステップ4が開始される。
【0187】通常は、ステップS5にあるように、ま
ず、ユーザーインターフェースであるメニュー画面が起
動され、AV機器群219にあるディスプレイ等に表示
される。ユーザーにキーボード等220を使用して、以
後の実行プログラムの動作を選択させる。ここで、ステ
ップS6において、デモンストレーションの実行と、実
行すべきデモンストレーションの内容が選択され、デモ
ンストレーションの実行開始がユーザーにより指示され
る。最初に選択されたデモンストレーションをデモ1と
称することにする。
【0188】ステップS7において、デモンストレーシ
ョンの具体的内容126が記載されたディスク153の
デモデータ領域124の所定アドレスにアクセスし、デ
モ1のデータを取得する。通常は、このデータは一旦ホ
ストコンピュータ内のRAMメモリ212もしくはハー
ドディスク213等の作業用メモリ211に一時記憶さ
れ、該作業用メモリ211より読み出されて、ステップ
S8において、サウンド/ビデオコントローラ214、
音声画像処理回路215、DA変換回路218を介し
て、AV機器群219のいずれかにおいて音声や画像に
変換されてデモンストレーションとして実行される。
【0189】ここで、上記アプリケーションプログラム
を実行する過程は、例えば、言語学習のようなアプリケ
ーションを想定すれば、所定のセンテンスの発声デモン
ストレーションの再生を行い、該デモンストレーション
に従ってユーザーからの情報入力、すなわち、復唱を促
す。ステップS9においてキーボード等220を介して
ユーザーからの割り込み1によりユーザーからのデータ
入力モードに移行しない場合には、ルートR1により繰
り返しデモンストレーションが行われる。
【0190】ユーザーからのデータ入力に移行する旨の
割り込み1が実行された場合には、ステップS10にお
いて、ピックアップ201はディスク153のユーザー
データ領域121にアクセスし待機する。この際にCD
−RWディスク153は再生時と一定のCAV回転速度
に保たれたままであるので,ピックアップ201のアク
セスは極めて短時間に完了できる。
【0191】ステップS11においてユーザーからのデ
ータ入力がなされるが、これは、言語学習を例にとる
と、ユーザーがデモ1の内容を復唱することに相当す
る。該音声データ(復唱データ1)は、ホストコンピュ
ータ151においてAV機器群217にあるマイク、A
D変換器216、音声処理回路215、サウンドコント
ローラ214を介して、ホストコンピュータ151内の
作業用メモリ211に一時記憶される。ユーザーデータ
とデモ1のデータをそれぞれ、左右のチャネルに割り当
てて合成し、ステレオ録音としてもよい。デモ1の内容
とユーザーの復唱内容の比較が容易になる。
【0192】ステップS12において、CD−RWドラ
イブ150に作業メモリ211よりデータが転送され、
ディスク153のユーザーデータ領域121に該ユーザ
ーデータが記録される。必要に応じてステップS13に
おいて、ユーザーの入力データが即時再生される。ステ
ップS14のユーザー割り込み2において、ユーザーデ
ータの再入力のルートR2もしくはデモ1の繰り返し実
行まで戻るルートR3が選択できるが、その必要がなけ
れば、ステップ15において次のデモンストレーション
(デモ2)に移るか、デモンストレーションを終了する
かの選択がなされる。次のデモンストレーションに移行
するならば、ルートR4を経由して、ステップS6に復
帰し、デモ選択操作がなされる。
【0193】終了する場合には、ステップS16におい
て、ユーザーデータ領域121に新たに記録されたユー
ザーデータに基づき、ファイル管理情報が更新され、ス
テップS17において、デモンストレーションを終了
し、ルートR5によりメニュー画面に復帰する。このよ
うにして、ピックアップ201のアプリケーションプロ
グラム領域120とユーザーデータ領域121の間のア
クセスが、CAV回転速度を一定の保ったままなされる
ので、デモンストレーションデータの再生とそのユーザ
ーによる復唱データの記録が、瞬時のうちに切り替えら
れ、ユーザーを待たせることなく、スムーズなヒアリン
グと発声復唱による言語学習が可能となる。なお、デモ
ンストレーションは音声だけでなく、音楽の小節ごとの
再生とユーザーの復唱、あるいは、デモ動画の再生と、
ユーザーの追従のカメラによる動画記録といった内容で
もかまわないことはいうまでもない。
【0194】
【実施例】〔基本例〕トラックピッチ1.6μmで1倍
速(1.2m/s)換算で基準周波数22.05kHz
で蛇行する螺旋状の溝を設けた厚さ1.2mmのポリカ
ーボネート樹脂基板を射出成形によって形成した。溝幅
は0.52μm、深さは37nmとした。これらはいず
れも波長633nmのHe−Neレーザー光を用いたU
溝近似の光学回折法で求めた。溝蛇行(ウォブル)には
さらに、ATIPによるアドレス情報が±1kHzの周
波数変調により付与した。
【0195】つづいて、基板上に、下部保護層、記録
層、上部保護層、反射層、紫外線硬化樹脂層をこの順に
形成した。各層の成膜は上記基板上に、真空を解除する
ことなく、順にスパッタリング法によって積層した。た
だし、紫外線硬化樹脂層(厚さ約4μm)はスピンコー
ト方によって塗布した。成膜直後の記録層は非晶質であ
り、長軸約70〜90μm、短軸約1.3μmに集光し
た波長810〜830nmのレーザー光により線速3.
0から6.0m/sの範囲内で適当な線速度を選んで、
初期化パワー500〜700mWを照射して全面結晶化
させ初期(未記録)状態とした。
【0196】各層の膜厚は成膜レートを正確に測定した
後、スパッタ成膜時間によって制御した。記録層組成
は、蛍光X線法による各元素の蛍光強度を、別途化学分
析(原子吸光分析)によって求めた絶対組成によって校
正した値を用いた。記録層、保護層膜の密度は基板上に
数百nm程度に厚く成膜したときの重量変化から求め
た。膜厚は蛍光X線強度を触針計で測定した膜厚で校正
して用いた。
【0197】反射層の面積抵抗率は4探針法抵抗計{L
oresta MP、(商品名)三菱油化(現ダイアイ
ンスツルメント)社製}で測定した。抵抗測定は、絶縁
物であるガラスもしくはポリカーボネート樹脂基板上に
成膜した反射層で測定するか、あるいは上記4層(下部
保護層/記録層/上部保護層/反射層)成膜後、最上層
となる反射層で測定した。上部保護層が誘電体薄膜で絶
縁物であるため、面積抵抗率測定に影響はない。また、
実質的に無限大の面積とみなせる、直径120mmのデ
ィスク基板形状のまま、半径30〜40mmの位置にプ
ローブを接触させて測定している。
【0198】得られた抵抗値Rを元に以下の式から面積
抵抗率ρS 及び体積抵抗率ρV を計算した。 ρS =F・R (8) ρV =ρS・t (9) ここで、tは膜厚である。Fは測定する薄膜領域の形状
で決まる補正係数で通常4.3〜4.5の値をとる。こ
こでは4.4とした。記録再生評価はパルステック社製
DDU1000テスタ(波長約780nm)を用いた。
NA=0.55のDDU1000テスタをテスター1
(スポット形状は1/e2 強度で約1.25μmの円
形)、NA=0.5のDDU1000テスターをテスタ
ー2(スポット形状は1/e2 強度で約1.3μmの円
形)として、いずれかのテスターを用いた。
【0199】CDの標準線速度1.2m/sを1倍速と
し、1倍速から12倍速までのオーバーライト特性を評
価した。各線速度におけるデータの基準クロック周期
は、1倍速におけるデータの基準クロック周期231n
secに対して各線速度で反比例させたものとした。再
生は特に断わらない限り2倍速で行った。DDU100
0からの出力信号を5〜20kHzにカットオフのある
高周波通過フィルタを通した後、タイムインターバルア
ナライザー(横河電機社製)でジッタを測定した。変調
度m11(=I11/Itop )はオシロスコープ上でアイパ
ターン観察により読み取った。また、Rtop は別途、C
D基準ディスクCD5B(Philips社より販売)
で校正して求めた。
【0200】EFMランダムデータを記録した後、該記
録データの3Tマークジッタ及び3Tスペースジッタを
測定し、どちらかジッタの高いほうを3Tジッタとして
採用した。特に断わらない限り、消去パワーPeと記録
パワーPwの比Pe/Pwは0.5で一定とし、Pwを
9mWから20mW又は25mW程度まで1mW刻みで
変化させた。また、特に断らない限りバイアスパワーP
bは再生光パワーPrと同じで、0.8mWで一定とし
た。3T/11Tオーバーライト消去比の測定では、3
Tマークおよび3Tスペース(マーク間)からなる繰り
返しパターン(3Tパターン)を一回記録後、11Tマ
ークおよび11Tスペース(マーク間)からなる繰り返
しパターン(11Tパターン)をオーバーライトして3
Tマークのキャリアレベルの低下量(dB単位)を測定
し、消去比(erasability)とした。キャリ
アレベルの測定は、Advantest製のスペクトラ
ムアナライザー(TR4171)もしくは、HP製85
67Aを用い、テスター1もしくはテスター2の再生信
号出力を入力として用いた。オーバーライトは各線速で
行ったが、再生はすべてCD線速(1.2m/s)で行
った。スペクトラムアナライザーのResolutio
n band widthは30kHz、Video
band widthは100Hzとし、入力インピー
ダンスは50Ωとした。さらに、オーバーライト特性の
評価は特に断りのない限り、10回オーバーライト(未
記録状態に初回記録後、同一トラックに9回のオーバー
ライト)を行った後に評価した。なお、加速試験後の記
録信号の評価は、加速試験前に10回オーバーライト記
録した信号を、加速試験後に再生のみ行って評価した。
【0201】(実施例1)上記基本例において、下記の
ようにしてディスクを製造し記録を行なった。基板上
に、(ZnS)80(SiO220からなる下部保護層を
97nm、In 8 Ge5 Sb66Te21からなる記録層を
19nm、(ZnS)80(SiO220からなる上部保
護層を40nm、Al99.5Ta0.5 からなる反射層を2
50nm、紫外線硬化樹脂層を約4μmをこの順に形成
し、書換え型コンパクトディスクを作製した。このAl
99.5Ta0.5 反射層の体積抵抗率ρv は100nΩ・
m、面積抵抗率ρs は0.4Ω/□であった。初期化
は、長径約70μm、短径約1.3μmの楕円形スポッ
ト形状を有する波長約810nmのレーザーダイオード
光を線速約3〜4m/sで走査して行なった。照射パワ
ーは600〜700mWである。このディスクに、NA
=0.55のテスター1を用いて、1、2、4、6、8
及び10倍速でEFM変調信号のオーバーライトを行な
い、その特性を評価した。消去パワーPeと記録パワー
Pwの比Pe/Pwは0.5で一定としPwを9mWか
ら20mWまで1mW刻みで変化させ、それぞれの記録
パワーでオーバーライト特性を評価した。いずれも10
回オーバーライト後の値で評価した。記録パルス分割方
法は以下のとおりである。
【0202】一つの記録マークの時間的長さをnTとし
たとき(Tは基準クロック周期。nは3〜11までの整
数)、記録マーク間には、非晶質を結晶化しうる消去パ
ワーPeの記録光を照射し、時間的長さnTのマークに
は、時間的長さ(n−j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
βm T、 ただし、m=n−1 の順に、Σi (αi +βi )=n−j(jは0.0≦j
≦2.0なる実数)となるよう分割し、
【0203】αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録
層を溶融させるにたるPw>Peなる記録パワーPwの
記録光を照射し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には
0<Pb≦0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光
を照射してオーバーライトを行うにあたり、線速1.2
m/sを基準速度(1倍速)としたとき、(1)4倍速
においては、α1 =0.75〜1.25、αi =0.2
5〜0.75(2≦i≦m)、αi +βi-1 =1(2≦
i≦m)とし、(2)4倍速より低線速においては、α
1 =0.05〜1.0、αi =0.05〜0.5(2≦
i≦m)、αi +βi-1 =1(2≦i≦m)とし、
(3)4倍速より高線速においては、α1 =0.5〜
2、αi =0.5〜1(2≦i≦m)、αi +βi-1
1(2≦i≦m)とした。
【0204】各速度での具体的なα1 、αi 、βm を表
−1に示す。特に、4〜10倍速では、現行のRW規格
(オレンジブック・パート3・バージョン2.0)ルス
分割方法に厳密に従った。オーバーライト特性の評価結
果を図10に示す。それぞれ(a)3Tマークジッタ、
(b)3Tスペースジッタ、(c)変調度m11、(d)
top 、(e)3Tマーク長、(f)3Tスペース長、
のPw依存性を表す。表−1に示すように最適記録パワ
ーは15〜16mW付近であり、オーバーライト特性も
このパワーにおける値で評価される。図10(c)、
(d)から、いずれの線速においても、変調度m11は6
0%〜80%(0.6〜0.8)、Rtop は15〜25
%の値が得られている。
【0205】図10(e)、(f)の図中の横線は2倍
速再生時の3Tマーク長=3Tスペース長=231×3
×1/2=346.5(nsec)を示す。マーク長、
スペース長については通常±10%程度のずれは許容さ
れるから、±30〜40nsec以内であればよいが、
図から、マーク長及びスペース長のずれはほとんどなく
許容範囲内であることが分かる。同様に、Pw=15〜
16mWにおいては、4T〜11Tのマーク長及びスペ
ース長においても、±10%程度の範囲内で所望のマー
ク長及びスペース長が得られた。図10(a)、(b)
の図中の横線は2倍速再生時の3Tジッタ規格上限値=
=35×1/2=17.5(nsec)を示す。いずれ
の線速においても17.5nsec以下の良好なジッタ
ー値が得られている。
【0206】以上まとめると、いずれの線速においても
良好な記録特性が得られており、なおかつ4〜10倍速
においてはCD−RW規格の記録パルス分割法によって
良好な記録特性が得られている。次に、2〜10倍速に
おけるオーバーライト耐久性の評価結果を図11に示
す。それぞれ、Pw/Pe=15mW/7.5mWで繰
返しオーバーライトを行ったときの、(a)3Tマーク
ジッタ、(b)3Tスペースジッタ、のオーバーライト
回数依存性を表す。いずれの線速においてもCD−RW
に要求される1000回というオーバーライト耐久性は
十分満たされている。さらに、表−1に、各線速におけ
る記録パルス分割方法、記録パワー、消去パワーと3T
/11Tオーバーライト消去比をまとめた。3T/11
Tオーバーライト消去比とは、3Tマークと3Tスペー
スからなる単一周期信号を記録後、11Tマークと11
Tスペースからなる単一周期信号をオーバーライトした
ときの3T信号の消去比である。線速は、1倍速を1.
2m/sとしてその何倍速であるかで表現した。
【0207】
【表1】
【0208】表−1に示すように、1倍速〜6倍速で3
T/11Tオーバーライト消去比29〜30dBが得ら
れており、8倍速という高線速においても、Pw=16
mW、Pe=8mWのときに28dBという十分な消去
比が得られている。また、10倍速においても27dB
という高い消去比が得られている。また、上記ディスク
を、記録領域最内周(半径22mm)で4倍速、記録領
域最外周(半径58mm)で10倍速となるようにCA
Vモードで回転させ、約5mmごとに半径位置をずらし
ながらディスク全面に、各半径位置に相当する基準クロ
ックで記録を行った。このディスクを80℃/85%R
H(相対湿度)の加速試験に投入したところ、500時
間経過しても記録済み信号の劣化はほとんど見られなか
った。ジッタは2倍速再生で17.5ns以下であり、
変調度m11もほとんど低下しておらず、初期値の90%
以上を維持していた。
【0209】(実施例2)前記基本例において、下記の
ようにディスクを製造し、記録を行なった。記録層をI
8 Ge5 (Sbx Te1-x 87とし、xとして74.
4、75.4及び76.3の3種類の組成とした以外は
実施例1と同様にディスクを作製した。NA=0.55
のテスター1を用いてオーバーライト特性を評価した。
2、4、6及び8倍速において、Pe/Pw=0.5で
一定としてPwを9〜20mWの範囲で1mWずつ変化
させて3Tマーク間ジッタを測定した。記録パルス分割
方法は実施例1と同様の分割方法において、 m=n−1、 α1 =1、αi =0.5(2≦i≦m)、 βm =0.5、αi +βi-1 =1.0(2≦i≦m) とした。
【0210】即ち、図4に示すCD−RW規格に準拠し
たパルス分割方法である。なお、xが何れの場合も、8
倍速における3T/11Tオーバーライト消去比は、P
w=15〜18mWで30dB以上あった。オーバーラ
イト特性の評価結果を図12に示す。それぞれ(a)x
=76.3,(b)x=75.4,(c)x=74.4
の場合の、2倍速再生時のジッタ値の線速度及び記録パ
ワー依存性を表す。
【0211】図12の格子点上で実際に測定を行い、各
測定点におけるジッタ値を等高線図として表記した(マ
イクロソフト社製ソフトウェアEXCEL97使用)。
使用したソフトウェアのデータ補間機能により、等高線
に若干のくびれや歪みが見られるが、全体像を把握する
のには支障がない程度である。図12の(a)〜(c)
を見比べると、xが大きいほど低ジッタ領域が高線速よ
りに存在するが、いずれの場合も、ジッタが17nse
c(1倍速換算で34nsec)以下の領域が4〜8倍
速(4.8〜9.6m/s)をカバーできている。デビ
エーションも規格範囲内である。図12(b)では、ぎ
りぎり2倍速から8倍速までCD互換品質の信号記録が
可能であった。図12(c)のディスクを市販の4倍速
ドライブ(ヤマハ製CRW4416ソニー製CRX12
0E及びリコー製7040AD)により記録したとこ
ろ、いずれも良好な記録が可能であり、記録済み信号の
ブロックエラーレートも一桁台で、少なくとも4倍速に
おける互換性が確認できた。また、80℃/85%RH
(相対湿度)の加速試験を行なったところ、500時間
経過後も記録済み信号の劣化はほとんど見られなかっ
た。変調度は初期値の90%以上を維持していた。
【0212】(実施例3)前記基本例において、下記の
ようにディスクを製造し、記録を行なった。記録層をG
5 Sb73Te22(Sb/Te≒3.32)とした以外
は実施例1と同様にディスクを作製した。8倍速におけ
る、3T/11Tオーバーライト消去比はPw/Pe=
17mW/8.5mWにおいて31dBであった。実施
例2と同様にオーバーライト特性を評価した。図13
に、図12と同様のジッタの等高線図を示した。Sb/
Te比が実施例1及び2より高いため低ジッタ領域が高
線速側に片寄っているが、4〜8倍速ではCD−RW規
格に準拠したパルス分割方法で良好なオーバーライト特
性が実現できた。
【0213】(比較例1)記録層をGe5 Sb68Te27
(Sb/Te≒2.52<2.57)とした以外は実施
例1と同様にディスクを作製した。実施例1と同様にテ
スター1で評価を行ったところ、4倍速でも消去比が不
足気味であり、8倍速では全くオーバーライト不可能で
あった。8倍速における3T/11Tオーバーライト消
去比は20dB未満であった。なお、パルス分割方法を
変化させても、1倍速再生ジッタが35ns以下とはな
らなかった。
【0214】(比較例2)記録層をGe5 Sb77Te18
(Sb/Te≒4.28>4.0)とした以外は実施例
1と同様にディスクを作製した。実施例1と同様にテス
ター1で評価を行ったところ、8倍速における3T/1
1Tオーバーライト消去比はPw/Pe=17mW/
8.5mWで32dBであった。しかし、4倍速でCD
−RW準拠のパルス分割方法で評価したところ、非晶質
マークの再結晶化が著しく、2倍速再生ジッタ17.5
nsec以下(1倍速再生ジッタ35nsec以下)と
なるような特性は得られなかった。また、結晶粒による
高ノイズのために、8倍速での記録では、2倍速再生で
17.5nsec以下のジッターは得られない。
【0215】(比較例3)記録層をGe12Sb67Te21
(Sb/Te≒3.2)とした以外は実施例1と同様に
ディスクを作製した。実施例2と同様の評価を行ったと
ころ、8倍速における3T/11Tオーバーライト消去
比はPw/Pe=17mW/8.5mWで30dBであ
った。しかし全体にジッタが高く、8倍速では、2倍速
再生ジッタ17.5nsec以下(1倍速再生ジッタ3
5nsec以下)となるような特性は得られなかった。
【0216】(実施例4〜5、比較例4〜5)記録層を
InGeSbTe系、又はCD−RW用記録層として従
来公知のInAgSbTe系とした以外は実施例1と同
様にディスクを作製した。具体的な各記録層の組成を表
−2に示す。
【0217】
【表2】
【0218】比較例4、比較例5の記録層は、CD−R
W規格(オレンジブック・パート3、バージョン2.0
規格)に準拠した1〜4倍速互換性を有する現行CD−
RW規格を満足する記録層である(2〜4倍速は実施例
2と同様のパルス分割方法を適用する)。InGeSb
Te系、InAgSbTe系とも線速依存性はSb/T
e比でほぼ一義的に決まる。そして比較例4、比較例5
の記録層にSb量を相対的に増やしてSb/Te=2.
95としたのが実施例4及び実施例5である。
【0219】実施例4及び実施例5の媒体は4〜8倍速
において実施例2と同様のパルス分割方法で良好なオー
バーライト特性が可能であった。実施例4及び実施例5
の媒体の8倍速における3T/11Tオーバーライト消
去比はともに28dBであった。いずれもPe/Pw=
0.5の場合である。これらのディスクを80℃/85
%RH環境下で100時間の加速試験に投入した前後の
特性を表−3、表−4にまとめた。表−3は4倍速記録
後、表−4は8倍速記録後(いずれも10回オーバーラ
イト)に加速試験に投入し、100時間後に該記録済み
信号の特性を再評価したものである。
【0220】
【表3】
【0221】
【表4】
【0222】表−3、表−4からわかるように、実施例
4のディスクは既存の1〜4倍速互換媒体(比較例4、
比較例5)をより高線速度対応とするためにSb/Te
比を高くしても、初期特性のみならず経時安定性にも優
れた媒体を提供できている。一方、同じくSb/Te比
を高くした実施例5のディスクでは、4倍速でも8倍速
でも100時間加速試験後の変調度低下とジッタ増加が
著しかった。非晶質マークが消えて信号振幅が低下して
おり、非晶質マークの経時安定性の点で実施例4のディ
スクの方が優れる。なお、実施例4の媒体に対して、引
き続き500時間迄加速試験を行なったが、初期に記録
した信号はほとんど劣化しておらず、変調度m11も初期
値の90%以上を維持していた。
【0223】このことから、1〜4倍速互換媒体のSb
/Te比を単に高くすれば高線速用媒体となるわけでは
ないことが分かる。本発明者らがこれら記録層材料を8
倍速対応CD−RWへ適用し比較検討したことで初め
て、GeSbTe系記録層の特異的な効果が明らかとな
ったのである。
【0224】(実施例6)前記基本例において、下記の
ようにディスクを製造し、記録を行なった。基板上に
(ZnS)80(SiO220からなる下部保護層を10
5nm、In 8 Ge5 Sb66Te21からなる記録層を1
9nm、(ZnS)80(SiO220からなる上部保護
層を45nmとしてこの順に設け、その上に反射層をA
99.5Ta0.5 (10nm)/Ag(200nm)とい
う順で2層とした以外は実施例1と同様にディスクを作
製した。この際AlTa反射層まで成膜した後、一旦大
気開放して数時間放置して、表面を自然酸化させて界面
酸化層を設けてからAg層をスパッタした。界面の酸化
層はAlとAgの相互拡散を防ぐためである。最後にこ
の2層反射膜上に紫外線硬化樹脂層約4μmを設けた。
2層構成全体としての面積抵抗率は0.23Ω/□であ
った。
【0225】テスター1を用い実施例2と同様に評価を
行った結果を図14に示す。実施例2と同様の良好なオ
ーバーライト特性が得られた。8倍速ではPw/Pe=
16mW/8mWで3T/11Tオーバーライト消去比
は31dBであった。また、Rtop =17%,m11
0.71であった。4倍速ではPw/Pe=15mW/
7.5mWでRtop =17%,m11=0.65であっ
た。
【0226】(実施例7)前記基本例において、下記の
ようにディスクを製造し、記録を行なった。同様の基板
上に、(ZnS)80(SiO220からなる下部保護層
を100nm、In5 Ge5 Sb67Te23からなる記録
層を21nm、(ZnS)80(SiO220からなる上
部保護層を40nm、Al99.5Ta0.5 からなる反射層
を250nm、紫外線硬化樹脂層を約4μmとしてこの
順に設けた。このAl99.5Ta0.5 反射層の体積抵抗率
ρv は100nΩ・m、面積抵抗率ρs は0.4Ω/□
であった。NA=0.55のテスター1を用い、1、
2、4、6、8及び10倍速で、EFM変調信号のオー
バーライトを試みた。記録パルスストラテジーは実施例
2と同様にm=n−1とし、Tは線速に反比例して変化
させて記録密度は一定とし、α1 T及びαi T(2≦i
≦m)、αi+βi-1(2≦i≦m)はそれぞれ線速によ
らず一定となるようにし、βm Tのみを線速に応じて可
変とする方式を用いた。すなわち、α1 T=23.1
n、αi T=13.9ns(2≦i≦m)とした。オー
バーライト特性は10回オーバーライト後の3Tジッ
タ、マーク長、変調度を計測して評価した。各線速にお
ける記録パルスストラテジーを表−5にまとめた。線速
は1倍速を1.2m/sとして、その何倍速であるかで
表現した。1倍速1.2m/sにおけるT=231ns
ecである。
【0227】
【表5】
【0228】なお、いずれの場合も上記Pwにおいて、
反射率Rtop17%、変調度m1165〜70%、アシン
メトリー±10%以内が得られた。また、10倍速にお
いて、αi(i=2〜m)を0.5とした場合には、3
Tジッタは25nsecであり、αi(i=2〜m)が
0.6の場合とほとんど同じオーバーライト特性が得ら
れた。表−5より、記録パルス幅そのものは固定して、
線速に応じてクロック周期を変化させ、かつ、最後端の
オフパルス区間βmを低線速ほど大きくなるようなパル
ス分割方法を用いることによって、比較的単純な記録パ
ルス発生回路で広い線速範囲に対応できることが分か
る。
【0229】(実施例8)前記基本例において、下記の
ようにディスクを製造し、記録を行なった。基板上に、
(ZnS)80(SiO220からなる下部保護層を97
nm、In 8 Ge5 Sb66Te21からなる記録層を19
nm、(ZnS)85(SiO215からなる上部保護層
を40nm、Al99.5Ta0.5 からなる反射層を250
nm、紫外線硬化樹脂層を約4μmとしてこの順に設け
た。このAl99.5Ta0.5 反射層の体積抵抗率ρv は1
00nΩ・m、面積抵抗率ρs は0.4Ω/□であっ
た。NA=0.55のテスター1及びNA=0.5のテ
スター2を用いてオーバーライト特性を評価した。2、
4、6、8及び10倍速において、Pw=9〜20mW
まで1mWおきに、Pe/Pw=0.5で一定として、
Pwを変化させて3Tマーク間ジッタを測定した。いず
れの線速でも3T/11Tオーバーライト消去比はPw
=15−20mWで25dB以上であった。パルススト
ラテジーは図1のストラテジーに固定しており、データ
の基準クロック周期のみ線速に反比例して変化させて3
Tジッタを測定した。結果を図13と同様の等高線図に
して図17に示す。図17(a)はNA=0.5の場
合、(b)はNA=0.55の場合である。いずれの場
合も4倍速から10倍速にかけて、ジッタ17.5ns
未満の領域が得られている。また、NAが大きい場合の
方が、より広い線速マージンが得られている。
【0230】(実施例9)上記基本例において、下記の
ようにディスクを製造し、記録を行なった。同様の基板
上に、(ZnS)80(SiO)20からなる下部保護層を
100nm、Ga5 Ge5 Sb68Te22からなる記録層
を20nm、(ZnS)80(SiO)20からなる上部保
護層を40nm、Al99.5Ta0.5 からなる反射層を2
50nm、紫外線硬化樹脂層を約4μmとしてこの順に
設けて書換え型コンパクトディスクを作製した。このA
99.5Ta0.5 反射層の体積抵抗率ρvは100nΩ・
m、面積抵抗率ρsは0.4Ω/□であった。NA=
0.55のテスター1を用いてオーバーライト消去比を
測定したところ、8倍速及び10倍速において、3T/
11Tのオーバーライト消去比25dB以上が得られ
た。さらに、実施例8と同様のジッタの線速及び記録パ
ワー依存性を測定を行った結果を図18に示す。用いた
記録パスストラテジーはm=n−1、α1 =1、α i
0.5、βm =0.5、αi +βi-1 =1(2≦i≦m
なるiに対して一定)、Pe/Pw=0.5で一定であ
る。
【0231】4倍速(4.8m/s)から10倍速(1
2m/s)において、良好なジッタが得られた。ジッタ
が最小となる記録パワーで変調度0.6〜0.8、R
top 約17%、アシンメトリー±10%以内が得られ
た。該記録済み媒体を80℃/85%RHの加速試験環
境に500時間放置後、再生を行ったところ、上記記録
信号の変調度、Rtop 、ジッタ、アシンメトリーはほと
んど変化していなかった。特に変調度は加速試験前の値
の90%以上の値を確保していた。
【0232】(実施例10)上記基本例において、下記
のようにディスクを製造し、記録を行なった。同様の基
板上に(ZnS)80(SiO2 20からなる下部保護層
を95nm、In3 Ge5 Sb71Te21からなる記録層
を16nm、(ZnS)80(SiO220からなる上部
保護層を38nm、Al合金(Mg1.01at.%、
Si0.85at%、Mn0.33at%、Ti0.0
02at%、その他の不可避的不純物を最大0.1at
%含む。重量比としては、Mg0.91重量%、Si
0.88重量%、Mn0.67重量%、Ti0.014
重量%)からなる反射層を250nm、紫外線硬化樹脂
層を約4μmとしてこの順に設けて書換え型コンパクト
ディスクを作製した。このAl合金反射層の体積抵抗率
ρvは90nΩ・m、面積抵抗率ρsは0.36Ω/□
であった。NA=0.55のテスター1を用いてオーバ
ーライト消去比を測定したところ、8、10倍速及び1
2倍速において、3T/11Tのオーバーライト消去比
25dB以上が得られた。さらに、実施例8と同様のジ
ッタの線速及び記録パワー依存性を測定を行った結果を
図19に示す。用いた記録パルスストラテジーはm=n
−1、α1 =1、αi =0.5、βm =0.5、αi
βi-1 =1(2≦i≦mなるiに対して一定)、Pe/
Pw=0.5で一定である。6倍速(4.8m/s)か
ら12倍速(14.4m/s)において、良好なジッタ
が得られた。ジッタが最小となる記録パワーで変調度
0.6〜0.8、Rto p 約17%、アシンメトリー±1
0%以内が得られた。
【0233】(実施例11)上記基本例において、下記
のようにディスクを製造し、記録を行なった。同様の基
板上に(ZnS)80(SiO2 20からなる下部保護層
を97nm、In3 Ge5 Sb72Te20からなる記録層
を15nm、(ZnS)80(SiO220からなる上部
保護層を38nm、Al99.5Ta0.5 からなる反射層を
250nm、紫外線硬化樹脂層を約4μmとしてこの順
に設け、書換え型コンパクトディスクを作製した。この
Al99.5Ta0.5 反射層の体積抵抗率ρvは100nΩ
・m、面積抵抗率ρsは0.4Ω/□であった。長軸約
100μm(半径方向)、短軸約1.3μm(円周方
向)に集束した波長約830nmのレーザー光を記録層
に照射し、初期結晶化を行った。該集束光ビームがディ
スクに対して2.5m/sで走査されるようディスクを
回転させ、かつ、ディスク一回転につき約50μmを半
径方向に移動させながら、700〜900mWのパワー
を連続的に照射した。同一個所に2回繰り返し照射した
ことになる。該初期結晶化操作により、未記録状態の反
射率は、後述のオーバーライト記録時の消去状態の反射
率とほとんど同じになった。本実施例の以下の評価は、
NA=0.5の光学系を有するテスター2を用いて評価
を行った。
【0234】クロック周期はCD線速の1倍速で231
ナノ秒とし、線速に反比例して変化させた。再生条件は
1.2m/sで一定として、ジッタ等の直接比較ができ
るようにした。まず、未記録領域に3Tパターンを9回
オーバーライト記録後、10回目に11Tパターンをオ
ーバーライトして消去比を測定した。Pe/Pw=0.
5で一定として、Pwを変化させてオーバーライト消去
比のPw依存性を評価した。結果を図20に示す。再生
は1倍速にて行なった。図20に示すように、特に12
倍速までオーバーライト消去比25dB以上を確保した
ことで、12倍速までの使用も可能となるが、10倍速
までの使用に対して、特に10倍速における消去パワー
マージンが広がった。
【0235】図20から、Pwとして14−18mW、
Pe/Pw=0.5とすればオーバーライト消去比25
dB以上が得られることがわかったので、次に、Pw=
15mW、Pe/Pw=0.5を暫定的な記録及び消去
パワーとして、記録パルスストラテジーの検討を以下の
ように行った。各線速における、最適な記録パルス分割
方法をm=n−1、α1 =1、αi +βi-1 =1(2≦
i≦m)で固定し、αi (2≦i≦mで一定)、βm
可変として、3Tマークもしくはマーク間(スペース)
ジッタの悪いほうの値(3Tジッタ)がほぼ最小とな
り、変調度が0.6以上、アシンメトリーが±10%以
内に入るような分割方法を見い出した。図21に4倍
速、10倍速における3Tジッタのαi 及びβm 依存性
の等高線図を示す。測定点はやはり格子点上の条件であ
り、マイクロソフト社製エクセルにより、自動的に補間
を行っている。また、測定はEFMランダムパターンを
10回オーバーライト後に行っており、消去性能も加味
した結果である。再生は1倍速で行なった。10倍速に
おいては、αi =0.5近傍、βm =0.3〜0.6で
ジッタの最小値が得られている。また、4倍速において
は、αi =0.3〜0.35、βm=0.5〜0.6で
ジッタの最小値が得られている。
【0236】次に、ここまでPe/Pw=0.5とした
のに代えて、記録パルスストラテジーを4倍速ではα1
=1、αi =0.3、βm =0.5、10倍速ではα1
=1、αi =0.5、βm =0.3で一定とし、Pe/
Pw及びPwを変化させた場合の、3Tジッタの変化を
調べた。図22に結果を示す。Pe/Pw比は4倍速、
10倍速ともに0.5より小さくするのがよく、Pe/
Pw=0.4〜0.5の範囲が広いPwマージンが得ら
れて好ましいことがわかる。なお、この図には示されて
いないが、Pe/Pwが0.6より大きいと全体にジッ
タが高く、特に高Pw側での特性が急激に劣化する。4
倍速及び10倍速ともに広く記録パワーマージンが得ら
れるように、Pe/Pw=0.43を選択した。
【0237】また、記録パワーはいずれの倍速でも17
mWを選択した。この条件で、4、8及び10倍速にお
けるαi 、βm 依存性を再度測定した結果を図23に示
す。再生は1倍速にて行なった。4及び10倍速におけ
る最適なαi 、βm の範囲はほとんど図21と同じで、
特に10倍速においてジッタが低下し、αi の変化に対
してより広いマージンが得られた。8倍速では、αi
0.4〜0.5、βm =0.2〜0.5でジッタの最小
値が得られている。6倍速でも同様の結果が得られてお
り、この実施例での媒体は、α1 =1で一定したとき
に、各倍速で、αi 、βm を0.5を基準として±0.
25の範囲で最適化して、各倍速で最適な記録パルスス
トラテジーを得られることがわかった。また、α1 一定
として、低線速ほどαi を小さくするようなパルススト
ラテジーを用いることが好ましく、βm は0.3程度で
一定とするか、低線速ほど大きくすることが好ましいこ
とがわかる。
【0238】そこで、4倍速でα1 =1、αi =0.2
5、βm =0.5、8倍速でα1 =1、αi =0.4
(2≦i≦m)、βm =0.3、10倍速でα1 =1、
αi =0.5、βm =0.3とし、すべての線速でPw
=17mW、Pe/Pw=0.43としてEFMランダ
ムパターンのオーバーライト特性を評価したところ、い
ずれの倍速でも3Tジッタ35ナノ秒以下、Rtop =1
6〜18%、変調度m11=0.7程度、アシンメトリー
0〜−10%の値が得られた。この信号品質は、既存の
CD−RW対応の再生システムで低エラーレートで再生
可能なレベルであった。このような記録パルスストラテ
ジーは、現行の規格をもとに設計された記録パルス発生
回路で容易に実現できることが確認されており、既存の
技術をもとに、CLV方式で4、6、8及び10倍速記
録を行うのに適している。
【0239】一方、10倍速でα1 =1、すなわち、α
1 T=23.1nsとし、この時間長が各倍速で一定と
なるようにα1 を変化させる場合、4倍速ではα1
0.4、8倍速ではα1 =0.8となる。このように、
10倍速でα1 =1、8倍速でα1 =0.8、4倍速で
α1 =0.4として、3Tジッタのαi (2≦i≦m)
及びβm 依存性を示したのが図24である。再生は1倍
速にて行なった。ここで、4倍速、8倍速、10倍速と
もに、Pe/Pw=0.43、Pw=17mWとした。
なお、10倍速については、図21の場合と同じ条件で
ある。すなわち、10倍速では、αi =0.45〜0.
55、βm =0.3程度でジッタ最小となるのは図21
と同じである。ここで、8倍速ではαi =0.35〜
0.45、β m =0.3〜0.5、4倍速ではαi
0.2以上(測定は0.3まで)、βm=約0.3以上
(測定は0.65まで)ジッタの最小値が得られた。
【0240】4倍速、8倍速、10倍速において、α1
T=23.1ナノ秒、αi T=11.6ナノ秒(2≦i
≦m)で一定としたまま、βm =0.3で一定とする
か、4倍速でβm =0.5、8倍速でβm =0.35、
10倍速でβm =0.3のように低線速ほどβm を大き
くすれば、4〜10倍速の範囲で良好なオーバーライト
が可能となる。すなわち、本実施例での媒体は、従来記
録パルスストラテジーを基本としたCLV方式及び、本
発明で新規に提案したCAV方式での記録パルスストラ
テジーのいずれにも対応できる幅広い応用が可能であ
る。以下では、図24の結果をもとに、α1 T=23.
1ns、αi T=11.6nsで一定とするCAV方式
に適した記録パルスストラテジーに注目する。さらに、
半径23mmの位置がちょうど4倍速となるように、デ
ィスクを約2000rpmでCAVモードで回転させ
た。記録領域最外周は半径約58mmで、半径58mm
における線速は約10倍速である。
【0241】各半径における線速度およびデータのクロ
ック周期を表−6のように変化させて、CAVモードで
のCD互換信号の記録を行った。m=n−1、Pw=1
7mW、Pe/Pw=0.43、α1 T=23.1ナノ
秒、αi T=11.6ナノ秒(2≦i≦mなるすべての
iにおいて一定)は、すべての半径において一定とし
た。βm のみを線速に応じて変化させた。すなわち、最
外周部で10倍速となるときに、0.3とし、最内周部
で4倍速となるときに、0.5とし、中間の半径(線
速)では、この中間の値を直線的に補間して用いた。各
半径で用いた記録パルスストラテジーをデータのクロッ
ク周期Tに対する割合で示した値、すなわち、α1 、α
i 、βm も同様に表−6に示した。さらに、同表に記録
済みのEFMランダム信号の1倍速再生における3Tス
ペースジッタ、変調度、アシンメトリーを示した。反射
率Rtop はいずれの場合も18%程度で一定であった。
各マークのマーク長及びマーク間長のデビエーションも
±40ナノ秒未満で良好であった。この他のプッシュプ
ル信号や、ウォブル信号は基板の溝形状で決まってお
り、やはり既存のCD−RWと同等の値が得られた。
【0242】
【表6】
【0243】表−6からわかるように、極めて簡単な記
録パルスストラテジーで、広い線速範囲をカバーできて
おり、最内周を約4倍速とするCAV方式での記録が実
現できることがわかる。これにより、半径の異なるアド
レスにアクセスした場合に、回転数を変化させることな
く、また、記録パルスストラテジーでは、クロック周期
とβm のみ調整するだけで、記録パワー等は一定にした
まま、記録を行うことができ、アクセス性能が大幅に改
善できる。なお、βm =0.3で一定としても、4〜6
倍速でのジッタが高々2〜3ナノ秒悪化するのみであ
り、βm 一定でもCAV方式での記録は可能である。本
実施例の媒体に、4倍速及び10倍速で上記CAVに適
した記録方式で、EFMランダムパターンを記録後、8
0℃/85%RH(相対湿度)の環境下に500時間放
置後、再度記録済み信号の測定を行ったところ、ジッ
タ、デビエーション、Rtop 及び変調度はほとんど変化
していなかった。変調度は初期の90%以上の値を十分
維持していた。ジッタはほとんど全く変化していなかっ
た。
【0244】さらに、4倍速及び10倍速において、テ
スター2を用い、それぞれの線速で表−5に示された記
録パルスストラテジーを用い、Pw=18mW、Pe/
Pw=0.5、Pb=0.8mWとして、繰り返しオー
バーライトを行ったところ、1000回後にも、1倍速
再生時の3Tスペースジッタは35ナノ秒未満であり、
良好な繰り返しオーバーライト耐久性を示した。
【0245】上記と同じ組成、層構成で同等のオーバー
ライト特性を有するディスクを数枚用意し、それぞれ異
なる初期化条件での検討を行った。長軸約100μm
(半径方向)、短軸約1.3μm(円周方向)に集束し
た波長約830nmのレーザー光を記録層に基板側から
照射し、初期結晶化を行う際の、ディスクに対する該集
束光ビームの走査速度を2、2.5、3、7、10m/
sと変化させて、それぞれのディスクに初期化を行っ
た。ディスク一回転で約50μmずつ半径方向にビーム
を移動させた。初期化レーザーパワーは500〜150
0mWの範囲で、それぞれの走査速度において、溶融再
結晶化が行われ、前記式(F1)における値が10%以
下となるように選んだ。ただし、走査速度10m/sで
初期化したディスクでは、初期化部分の反射率R2が大
きく低下し、記録層が一部溶融後非晶質化していると考
えられた。
【0246】その他のディスクで表−6の半径56.3
mmにおける10倍速記録条件で、テスター2でEFM
ランダムパターンの初回記録、1回オーバーライト、1
0回オーバーライトを行った。2〜7m/sの範囲のい
ずれの走査速度でも、初回記録、及び10回オーバーラ
イト後の3Tスペースジッタは、それぞれ、18〜22
nsec、20−25nsecで、初期化ビームの走査
速度依存性はほとんどなかった。
【0247】しかし、1回目オーバーライト記録後の3
Tスペースジッタは、2m/sで45nsec、2.5
m/sで33nsec、3m/sで28nsec、7m
/sで23nsecとなった。1回目オーバーライト後
のジッタ上昇は、初期化状態と消去状態の結晶形、結晶
サイズ、あるいは結晶の配向方位の差によるものと考え
られ、10回オーバーライト後は、ほとんどすべて消去
状態となるため、ジッタが低下すると考えられた。この
観点から、初期化条件は概ね2.5〜7m/sの範囲に
あることが望ましいことがわかった。
【0248】(実施例12)実施例11の媒体に、α1
T=23.1ナノ秒、α1T=11.6ナノ秒(2≦i
≦m−1)を表−6の場合と同じに保ったまま、1倍速
(1.2m/s、T=231ナノ秒)、2倍速(2.4
m/s、T=116ナノ秒)におけるオーバーライトを
試みた。Pw=17mW、Pe=0.43はいずれの場
合も表−6と同じとした。さらに、α1=1を固定して
α1及びβmを各線速度で最適化した場合も検討した。こ
の場合は、記録半径位置は約40mmでディスクの回転
数を調整して、該半径位置において1倍速及び2倍速と
なるように調整した。表−7に表−6と同様に1倍速で
再生した場合の3Tスペースジッタ、βm、変調度、ア
シンメトリー値をまとめた。いずれの方式でもβmを各
線速度で調整すれば、良好なオーバーライトが可能であ
った。
【0249】
【表7】
【0250】さらに、同じ実施例11の媒体に、12倍
速(14.4m/s、T=19.3ナノ秒)でテスター
2を用いて、オーバーライト記録を行った。m=n−
1、α 1=0.5、βm=0.3、αi+βi-1=1(2≦
i≦m)、Pw=18mW、Pe/Pw=0.4という
記録パルスストラテジーを用いて10回オーバーライト
を行ったのち1倍速にて再生を行った。3Tスペースジ
ッタ29.3ナノ秒、11Tスペースジッタ31.8ナ
ノ秒、変調度0.61、アシンメトリー−0.093で
良好なオーバーライトが可能であった。
【0251】(比較例6)上記基本例において、下記の
ようにディスクを製造し、記録を行なった。基板上に、
(ZnS)80(SiO220からなる下部保護層を97
nm、In5Ge5Sb70Te20からなる記録層を20n
m、(ZnS)80(SiO220からなる上部保護層を
40nm、Al97.5Ta2.5からなる反射層250n
m、紫外線硬化樹脂層約4μmとして、この順に設けて
書き換え型コンパクトディスクを作製した。反射層の体
積抵抗率は270nΩ・m、面積抵抗率は1.1Ω/□
であった。テスター1を用い、実施例2と同様にしてオ
ーバーライト特性の評価を行なった。結果を図33に示
す。図33より、上記のコンパクトディスクにおいて
は、ジッターが17nsec以下の領域が極めて狭く、
4倍速から8倍速までの広い領域をカバーできていない
ことが分かる。
【0252】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも4倍速にお
いて従来のCD−RW規格と互換性を維持しつつ、8倍
速以上の高速記録が可能となる。ひいては、CD−RW
の記録速度及び転送レートを高めることができ、音楽・
映像などの大量データ記録やコンピュータの外部記憶装
置用としてCD−RWの用途を大きく広げることができ
る。また、本発明によれば、従来CLVモードでのみ記
録が行われてきたCD−RWをCAVモードで記録可能
とすることができ、ドライブの消費電力を大幅に低減す
るとともにCD−RW媒体のアクセス、シーク速度が大
きく改善される。さらに、ランダムパケット記録が効率
的に行えるためコンピュータの外部記憶装置用媒体とし
ての性能が大幅に増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパルス分割方法の一例の説明図
【図2】EFM変調信号の再生波形(アイパターン)の
模式図
【図3】非晶質形成及び再結晶化過程と、反射層の放熱
効果及び記録時線速度の関係の説明図
【図4】パルス分割方法の説明図
【図5】本発明の記録方法によるパルス発生方法の一例
の説明図
【図6】本発明に係る記録方法を実現する記録装置の構
成の一例を示す概念図
【図7】本発明において基準データクロックを発生し記
録を行う流れの一例を示す図
【図8】本発明において基準データクロックを発生し記
録を行う流れの他の一例を示す図
【図9】本発明において基準データクロックを発生し記
録を行う流れの他の一例を示す図
【図10】実施例1におけるオーバーライト特性を示す
グラフ
【図11】実施例1におけるオーバーライト耐久性を示
すグラフ
【図12】実施例1におけるオーバーライト特性を示す
グラフ
【図13】実施例3におけるオーバーライト特性を示す
グラフ
【図14】実施例6におけるオーバーライト特性を示す
グラフ
【図15】本発明の記録方法を達成するための一例を示
すフロー図
【図16】本発明の記録再生装置の一例を示す概念図
【図17】実施例8におけるオーバーライト特性を示す
グラフ
【図18】実施例9におけるオーバーライト特性を示す
グラフ
【図19】実施例10におけるオーバーライト特性を示
すグラフ
【図20】実施例11におけるオーバーライト消去比の
Pw依存性を示すグラフ
【図21】実施例11におけるオーバーライト特性を示
すグラフ
【図22】実施例11における他のオーバーライト特性
を示すグラフ
【図23】実施例11におけるさらに他のオーバーライ
ト特性を示す図
【図24】実施例11におけるさらに他のオーバーライ
ト特性を示す図
【図25】ATIPアドレスに沿ったデータ配置の模式
【図26】媒体の案内溝の蛇行の様子又はピット列n蛇
行の様子を示す模式図
【図27】本発明の媒体のデータの配置の一例を示す模
式図
【図28】CD−ROMフォーマットにおけるブロック
の構造を示す模式図
【図29】CD−ROMにおけるパケットの構造を示す
模式図
【図30】P−ROMを用いた際の、CD−RWドライ
ブとホストコンピュータとを示した模式図
【図31】P−ROMを用いたCAV方式による記録再
生の手順を示すフローチャート
【図32】In3Ge5Sb70Te22薄膜の透過電子顕微
鏡による電子線回折像
【図33】比較例6におけるオーバーライト特性を示す
グラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 535 G11B 7/24 538F 538 561Q 561 565F 565 B41M 5/26 X (72)発明者 久保 正枝 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 堀江 通和 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 2H111 EA04 EA12 EA23 FA01 FA12 FA14 FA23 FB05 FB06 FB07 FB09 FB10 FB12 FB16 FB17 FB19 FB21 FB22 FB23 FB25 FB29 FB30 5D029 JA01 JB35 LB07 MA14 WA02 WA31 WD08 5D090 AA01 BB05 CC05 DD03 EE05 FF21 GG03 KK05

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウォブル溝が形成された基板と相変化型
    記録層とを有してなり、該相変化記録層の結晶状態の部
    分を未記録・消去状態に対応させ、該相変化記録層の非
    晶質状態の部分を記録状態に対応させて、記録光を照射
    することにより該記録状態に対応する非晶質マークを形
    成させる書き換え型光記録媒体において、 線速1.2m/sを基準速度(1倍速)V1としたと
    き、基準速度の8倍速Vにおいて、データ基準クロック
    周期TがVT=V11(ただし、T1は231nsであ
    る)であるように保ちながらEFM変調された信号を下
    記記録方式1の条件内の1つの方式で10回オーバーラ
    イト記録した後に、1倍速での再生によって得られる記
    録信号のアイパターンの変調度m11が60〜80%であ
    り、記録信号のアイパターンの反射率の上端値Rtop
    15〜25%であり、且つ各マーク長及び各マーク間の
    ジッタが35ns以下となることを特徴とする光記録媒
    体。 記録方式1;波長780nmの光を、開口数NAが0.
    55又は0.5の光学系を介して照射する。この際、1
    つの非晶質マークの時間的長さをnT(nは3から11
    までの整数)としたとき、 記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パ
    ワーPeを照射し、 記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−
    j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・αm T、β
    m T、 (ただし、m=n−1、α1 =1.0、αi =0.5
    (iは2〜mの整数)、 βm =0.25〜0.75、αi +βi-1 =1.0(i
    は2〜mの整数)) の順に、Σi (αi +βi )=n−jとなるように分割
    し(jは0〜2.0までの実数)、 αi Tなる時間(iは1〜mの整数)内には、記録層を
    溶融するに足る記録パワーPwの記録光(ただし、Pw
    は14〜25mWであり、Pe/Pw=0.5とする)
    を照射し、 βiTなる時間(iは1〜mの整数)内には、0.8m
    WのバイアスパワーPbの記録光を照射する。
  2. 【請求項2】 ウォブル溝が形成された基板と相変化型
    記録層とを有してなり、該相変化記録層の結晶状態の部
    分を未記録・消去状態に対応させ、該相変化記録層の非
    晶質状態の部分を記録状態に対応させて、記録光を照射
    することにより該記録状態に対応する非晶質マークを形
    成させる書き換え型光記録媒体において、 線速1.2m/sを基準速度(1倍速)V1としたと
    き、基準速度の10倍速Vにおいて、データ基準クロッ
    ク周期TがVT=V11(ただし、T1は231nsで
    ある)であるように保ちながらEFM変調された信号を
    下記記録方式1′の条件内の1つの方式で10回オーバ
    ーライト記録した後に、1倍速での再生によって得られ
    る記録信号のアイパターンの変調度m11が60〜80%
    であり、記録信号のアイパターンの反射率の上端値R
    topが15〜25%であり、且つ各マーク長及び各マー
    ク間のジッタが35ns以下となることを特徴とする光
    記録媒体。 記録方式1′ 波長780nmの光を、開口数NAが=0.55又は
    0.5の光学系を介して照射する。この際、1つの非晶
    質マークの時間的長さをnT(nは3から11までの整
    数)としたとき、 記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パ
    ワーPeを照射し、 記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−
    j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・αm T、β
    m T (ただし、m=n−1、α1 =1.0、αi =0.5
    (iは2〜mの整数)、 βm =0.25〜0.75、αi +βi-1 =1.0(i
    は2〜mの整数)) の順に、Σi (αi +βi )=n−jとなるように分割
    し(jは0〜2.0までの実数)、 α1 Tなる時間(iは1〜mの整数)内には、記録層を
    溶融するに足る記録パワーPwの記録光(ただし、Pw
    は14〜25mWであり、Pe/Pw=0.5とする)
    を照射し、 βiTなる時間(iは1〜mの整数)内には、0.8m
    WのバイアスパワーPbの記録光を照射する。
  3. 【請求項3】 線速1.2m/sを基準速度(1倍速)
    1としたとき、基準速度の4倍速Vにおいて、データ
    基準クロック周期TがVT=V11(ただし、T1は2
    31nsである)であるように保ちながらEFM変調さ
    れた信号を下記記録方式2の条件内の1つの方式で10
    回オーバーライト記録した後に、1倍速での再生によっ
    て得られる記録信号のアイパターンの変調度m11が60
    〜80%であり、記録信号のアイパターンの反射率の上
    端値Rtopが15〜25%であり、且つ各マーク長及び
    各マーク間のジッタが35ns以下となることを特徴と
    する請求項1又は2に記載の光記録媒体。 記録方式2 波長780nmの光を、開口数NAが0.55又は0.
    5の光学系を介して照射する。この際、1つの非晶質マ
    ークの時間的長さをnT(nは3から11までの整数)
    としたとき、 記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パ
    ワーPeを照射し、 記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−
    j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
    βm T (ただし、m=n−1、α1 =1.0、αi =0.3〜
    0.6(iは2〜mの整数)、βm =0.25〜0.7
    5、αi +βi-1 =1.0(iは2〜mの整数))の順
    に、Σi (αi +βi )=n−jとなるように分割し
    (jは0〜2.0までの実数)、 α1 Tなる時間(iは1〜mの整数)内には、記録層を
    溶融するに足る記録パワーPwの記録光(ただし、Pw
    は14〜25mWであり、Pe/Pw=0.5とする)
    を照射し、 βiTなる時間(iは1〜mの整数)内には、0.8m
    WのバイアスパワーPbの記録光を照射する。
  4. 【請求項4】 線速1.2m/sを基準速度(1倍速)
    1としたとき、基準速度の4倍速Vにおいて、データ
    基準クロック周期TがVT=V11(ただし、T1は2
    31nsである)であるように保ちながらEFM変調さ
    れた信号を下記記録方式3の条件内の1つの方式で10
    回オーバーライト記録した後に、1倍速での再生によっ
    て得られる記録信号のアイパターンの変調度m11が60
    〜80%であり、記録信号のアイパターンの反射率の上
    端値Rtopが15〜25%であり、且つ各マーク長及び
    各マーク間のジッタが35ns以下となることを特徴と
    する請求項1乃至3のいずれか1つに記載の光記録媒
    体。 記録方式3;波長780nmの光を、開口数NAが0.
    55又は0.5の光学系を介して照射する。この際、1
    つの非晶質マークの時間的長さをnT(nは3から11
    までの整数)としたとき、 記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化し得る消去パ
    ワーPeを照射し、 記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−
    j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
    βm T (ただし、m=n−1、α1 =0.4、αi =0.15
    〜0.25(iは2〜mの整数)、βm =0.25〜
    0.75、αi +βi-1 =1.0(iは2〜mの整
    数))の順に、Σi (αi +βi )=n−jとなるよう
    に分割し(jは0〜2.0までの実数)、 αi Tなる時間(iは1〜mの整数)内には、記録層を
    溶融するに足る記録パワーPwの記録光(ただし、Pw
    は14〜25mWであり、Pe/Pw=0.5とする)
    を照射し、 βiTなる時間(iは1〜mの整数)内には、0.8m
    WのバイアスパワーPbの記録光を照射する。
  5. 【請求項5】 相変化型記録層が、SbTe共晶組成よ
    りも過剰のSbを含有する合金組成を有する請求項1乃
    至4のいずれか1つに記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 変調度m11が、温度80℃、相対湿度8
    5%の加速試験環境下で500時間後もその初期値の9
    0%以上を維持する請求項1乃至5のいずれか1つに記
    載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 ウォブル溝が形成された基板と相変型記
    録層とを有してなり、該相変化記録層の結晶状態の部分
    を未記録・消去状態に対応させ、該相変化記録層の非晶
    質状態の部分を記録状態に対応させて、記録光を照射す
    ることにより該記録状態に対応する非晶質マークを形成
    させる書き換え型光記録媒体であって、線速1.2m/
    s〜1.4m/sを基準速度(1倍速)V1としたと
    き、基準速度の8〜10倍速のいずれかの線速で記録さ
    れる書き換え型光記録媒体において、 基板上に、下部保護層、相変化型記録層、上部保護層及
    び反射層を設けてなり、該相変化型記録層が、Mz Ge
    y (Sbx Te1-x 1-y-z (ただし、0≦z≦0.
    1、0<y≦0.1、0.72≦x≦0.8であり、M
    はIn、Ga、Si、Sn、Pb、Pd、Pt、Zn、
    Au、Ag、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、C
    o、Bi、O、N、S及び希土類金属元素からなる群か
    ら選ばれる少なくとも一種の元素を表す)で表される組
    成から選択されたものであることを特徴とする書換え型
    光記録媒体。
  8. 【請求項8】 結晶状態における結晶相が、面心立方晶
    構造を有する単一もしくは複数の結晶相からなる請求項
    7に記載の書き換え型光記録媒体。
  9. 【請求項9】 8倍速での記録において、3Tマーク
    (時間的長さ3Tを有するマーク。ただしTは基準クロ
    ック周波数)と3Tスペース(時間的長さ3Tを有する
    マーク間部)からなる単一周期信号を記録後、11Tマ
    ーク(時間的長さ3Tを有するマーク)と11Tスペー
    ス(時間的長さ3Tを有するマーク間部)からなる単一
    周期信号をオーバーライトしたときの3Tマークの消去
    比が25dB以上である請求項1乃至8のいずれかに記
    載の書き換え型光記録媒体。
  10. 【請求項10】 10倍速での記録において、3Tマー
    クと3Tスペースからなる単一周期信号を記録後、11
    Tマークと11Tスペースからなる単一周期信号をオー
    バーライトしたときの3Tマークの消去比が25dB以
    上である請求項1乃至9のいずれかに記載の書き換え型
    光記録媒体。
  11. 【請求項11】 相変化型記録層の膜厚が10〜30n
    mの範囲から選択される請求項7乃至10のいずれか1
    つに記載の書き換え型光記録媒体。
  12. 【請求項12】 下部保護層の膜厚が50〜150nm
    の範囲から選択される請求項7乃至11のいずれか1つ
    に記載の書き換え型光記録媒体。
  13. 【請求項13】 上部保護層の厚さが30〜60nmの
    範囲から選択される請求項7乃至12のいずれか1つに
    記載の書き換え型光記録媒体。
  14. 【請求項14】 反射層の膜厚が40〜300nmの範
    囲から選択される請求項7乃至13のいずれか1つに記
    載の書き換え型光記録媒体。
  15. 【請求項15】 相変化型記録層が、A1 a2 bc(S
    dTe1-d 1-a-b- c (ただし、0≦a≦0.1、0
    <b<0.1、0.02<c≦0.2、0.72≦d≦
    0.8であり、A1はZn、Pd、Pt、V、Nb、T
    a、Cr、Co、Si、Sn、Pb、Bi、N、O及び
    Sからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を表
    す。また、A2はGa及びInからなる群から選ばれた
    少なくとも一種の元素を表す。)で表される組成から選
    択されたものである請求項7乃至14のいずれか1つに
    記載の書換え型光記録媒体。
  16. 【請求項16】 反射層がAl合金又はAg合金から選
    択されたものである請求項1乃至15のいずれか1つに
    記載の書き換え型記録媒体。
  17. 【請求項17】 ウォブル溝が、1倍速に換算したとき
    に搬送周波数約22.05kHzであってATIP情報
    により±1kHzで周波数変調されたウォブル信号を有
    し、該ATIP情報が記録線速に応じた最適記録パワー
    Pw0 、最適消去パワーPe0 、最適バイアスパワーP
    0 及びパルス分割情報の少なくとも1つを含む請求項
    1乃至16のいずれか1つに記載の書換え型光記録媒
    体。
  18. 【請求項18】 ウォブル溝が、1倍速に換算したとき
    に搬送周波数約22.05kHzであってATIP情報
    により±1kHzで周波数変調されたウォブル信号を有
    し、かつ、22.05kHzの2倍から8倍の繰返し周
    波数で溝に沿って配置されたクロックマークを有する請
    求項1乃至17のいずれか1つに記載の書換え型光記録
    媒体。
  19. 【請求項19】 ウォブル溝が、線速一定のときに周波
    数が一定となるウォブル信号を有し、該ウォブルが位相
    変調されているか又は特定位置のウォブルが欠けている
    ことによってアドレス情報及び同期情報を有している請
    求項1乃至18のいずれか1つに記載の書換え型光記録
    媒体。
  20. 【請求項20】 相変化型記録層を有する書換え型円盤
    状光記録媒体にCLV方式にてEFM変調された情報を
    複数のマーク長及びマーク間長により記録するにあた
    り、一つの記録マークの時間的長さをnTとしたとき
    (Tは基準クロック周期。nは3〜11までの整数)、 記録マーク間に対しては、非晶質を結晶しうる消去パワ
    ーPeの記録光を照射し、 記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−
    j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
    βm T、 (ただし、m=n−1又はm=n−2)の順に、Σ
    i (αi +βi )=n−j(jは0.0≦j≦2.0な
    る実数)となるよう分割し、 αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録層を溶融させ
    るにたるPw>Peなる記録パワーPwの記録光を照射
    し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0<Pb≦
    0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を照射して
    オーバーライトを行い、 線速1.2m/s〜1.4m/sを基準速度(1倍速)
    とし、231nsをその際の基準クロック周期としたと
    き、 (1)4倍速においては、α1 =0.3〜1.5、αi
    =0.2〜0.7(2≦i≦m)、αi +βi-1 =1〜
    1.5(3≦i≦m)とし、 (2)1又は2倍速においては、α1 =0.05〜1.
    0、αi =0.05〜0.5(2≦i≦m)、αi +β
    i-1 =1〜1.5(3≦i≦m)とし、 (3)6、8、10及び12倍速のいずれかの倍速にお
    いては、α1 =0.3〜2、αi =0.3〜1(2≦i
    ≦m)、αi +βi-1 =1〜1.5(3≦i≦m)とす
    ることを特徴とする書換え型光記録媒体への記録方法。
  21. 【請求項21】 使用するいずれの線速においても、 mを一定とし、 α1 =約1、αi =0.3〜0.6(ただしiは2〜m
    の整数)として、αi+βi-1(但しiは3〜mの整数)
    を一定の値とし、且つ低線速ほどαi (ただしiは2〜
    mの整数)を単調に減少させる請求項20に記載の書き
    換え型光記録媒体への記録方法。
  22. 【請求項22】 使用するいずれの線速においても、 mを一定とし、且つα1 T、αi T(ただしiは3〜m
    の整数)、及びαi+βi-1(但しiは3〜mの整数)を
    一定の値とする請求項20に記載の書き換え型光記録媒
    体への記録方法。
  23. 【請求項23】 使用するいずれの線速においてもmを
    一定とし、且つ全てのi(ただしiは2〜mの整数)に
    対してαi+βi-1=約1とする請求項21又は22に記
    載の書き換え型光記録媒体への記録方法。
  24. 【請求項24】 αi/α1=0.3〜0.7(ただし、
    iは2〜mの整数)である請求項23に記載の書き換え
    型光記録媒体への記録方法。
  25. 【請求項25】 使用するいずれの線速においてもβm
    =0〜1.5とし、かつ、βm をいずれの線速において
    も一定とするか又は線速が低いほど大きくする請求項2
    0乃至24のいずれか1つに記載の書換え型光記録媒体
    への記録方法。
  26. 【請求項26】 使用するいずれの線速においても、α
    i T(1≦i≦m)及びβi T(1≦i≦m−1)を1
    0ナノ秒以上とする請求項20乃至25のいずれかに記
    載の書換え型光記録媒体への記録方法。
  27. 【請求項27】 所定の記録領域を有する書換え型円盤
    状光記録媒体を角速度一定で回転させたCAV方式にて
    EFM変調された情報を複数のマーク長により記録する
    に当たり、 線速1.2m/s〜1.4m/sを基準速度(1倍速)
    として記録領域最外周での線速度が少なくとも10倍速
    となるように該ディスクを回転させ、 一つの記録マークの時間的長さをnTとしたとき(Tは
    基準クロック周期であり、その半径位置における線速度
    Vとの積VTが一定となるように半径位置に応じてTは
    変化する。nは3〜11までの整数)、 記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化しうる消去パ
    ワーPeの記録光を照射し、 記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−
    j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
    βm T、 (ただし、m=n−1 α1 =0.75〜1.25、 αi =0.25〜0.75 (2≦i≦m)、 αi +βi-1 =1〜1.5 (3≦i≦m))、 の順に、Σi (αi +βi )=n−j(jは0.0≦j
    ≦2.0なる実数)となるよう分割し、 αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録層を溶融させ
    るにたるPw>Peなる記録パワーPwの記録光を照射
    し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0<Pb≦
    0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を照射して
    オーバーライトを行い、 いずれの半径位置においてもα1 及びαi +βi-1 (i
    =3〜m)を一定とし、内周ほどαi (i=3〜m)を
    減少させる光記録媒体への記録方法。
  28. 【請求項28】 所定の記録領域を有する書換え型円盤
    状光記録媒体を角速度一定で回転させたCAV方式にて
    EFM変調された情報を複数のマーク長により記録する
    に当たり、 線速1.2m/s〜1.4m/sを基準速度(1倍速)
    として記録領域最外周での線速度が少なくとも10倍速
    となるように該ディスクを回転させ、 一つの記録マークの時間的長さをnTとしたとき(Tは
    基準クロック周期であり、その半径位置における線速度
    Vとの積VTが一定となるように、半径位置に応じてT
    は変化する。nは3〜11までの整数)、 記録マーク間に対しては、非晶質を結晶化しうる消去パ
    ワーPeの記録光を照射し、 記録マークに対しては、そのうちの時間的長さ(n−
    j)Tを、 α1 T、β1 T、α2 T、β2 T、・・・・、αm T、
    βm T、 (ただし、m=n−1、 αi /α1=0.3〜0.7(ただしiは2〜mの整
    数)、 αi +βi-1 =約1 (3≦i≦m))、の順に、Σi (αi +βi )=n−
    j(jは0.0≦j≦2.0なる実数)となるよう分割
    し、 αi T(1≦i≦m)なる時間内には記録層を溶融させ
    るにたるPw>Peなる記録パワーPwの記録光を照射
    し、βi T(1≦i≦m)なる時間内には0<Pb≦
    0.5PeなるバイアスパワーPbの記録光を照射して
    オーバーライトを行い、 いずれの半径位置においてもαi T(i=2〜m)及び
    αi +βi-1 (i=3〜m)を一定とする書換え型光記
    録媒体への記録方法。
  29. 【請求項29】 記録領域を半径毎に仮想的な複数のゾ
    ーンに区切り、βm=0〜1.5とし、かつ、βm を内
    周のゾーンほど単調に大きくする請求項27又は28の
    いずれかに記載の書換え型光記録媒体への記録方法。
  30. 【請求項30】 少なくとも半径23mm〜58mmの
    領域を記録領域とする書換え型コンパクトディスクを用
    いる請求項27乃至29のいずれか1つに記載の書換え
    型光記録媒体への記録方法。
  31. 【請求項31】 いずれの半径位置においても、αi
    (1≦i≦m)及びβi T(1≦i≦m)を10ナノ秒
    以上とする請求項27乃至30のいずれかに記載の書換
    え型光記録媒体への記録方法。
  32. 【請求項32】 使用するいずれの線速においても、P
    b、Pw、及びPe/Pwの値が実質的に一定である請
    求項27乃至31のいずれか1つに記載の書き換え型光
    記録媒体への記録方法。
  33. 【請求項33】 書換え型円盤状光記録媒体は、基板上
    に、1倍速に換算して搬送周波数約22.05kHzで
    ATIP情報により±1kHzで周波数変調されたウォ
    ブル信号を有するウォブル溝を有しており、 角速度一定で該ディスクを回転させながら該搬送周波数
    を検出し、検出された周波数を196倍してディスク半
    径に応じたデータ基準クロックを得、 さらに該ATIP信号を検出し、検出されたATIP信
    号の同期パターンとディスク回転とに同期したデータ基
    準クロックを得る請求項27乃至32のいずれかに記載
    の書換え型光記録媒体への記録方法。
  34. 【請求項34】 書換え型円盤状光記録媒体は、基板上
    に、1倍速に換算して搬送周波数22.05kHzでA
    TIP情報により約22.05kHz±1kHzに周波
    数変調されたウォブル信号を有するウォブル溝と、2
    2.05kHzの2倍から8倍の繰返し周波数で溝に沿
    って配置されたクロックマークが設けられてなり、 角速度一定で該ディスクを回転させながら該クロックマ
    ークを検出し、クロックマークの繰返し周波数を所定倍
    してデータの基準クロックを得る請求項27乃至32の
    いずれかに記載の書換え型光記録媒体への記録方法。
  35. 【請求項35】 書換え型円盤状光記録媒体は、基板上
    に、線速一定のときに搬送周波数が一定のウォブル信号
    を有するウォブル溝が設けられ、該ウォブルが位相変調
    されているか又は特定位置のウォブルが欠けていること
    によってアドレス情報及び同期情報が付与されてなり、 角速度一定で該ディスクを回転させながら該周波数を検
    出し、検出された周波数を所定倍してデータの基準クロ
    ックを得る請求項27乃至32のいずれかに記載の書換
    え型光記録媒体の記録方法。
  36. 【請求項36】 書換え型円盤状光記録媒体は、あらか
    じめサブコードのQチャネルによる絶対時間情報がEF
    M変調された信号として記録領域全面に記録されてな
    り、 角速度一定で該ディスクを回転させながら該EFM変調
    信号を検出し、データの基準クロック及びアドレス情報
    を得る請求項27乃至32のいずれかに記載の書換え型
    光記録媒体の記録方法。
  37. 【請求項37】 書換え型光記録媒体は、あらかじめC
    D−ROM規格におけるブロック構造がEFM変調され
    た信号として記録領域全面に記録されてなり、 角速度一定で該ディスクを回転させながら該EFM変調
    信号を検出し、データの基準クロック及びアドレス情報
    を得る請求項27乃至32のいずれかに記載の書換え型
    光記録媒体の記録方法。
  38. 【請求項38】 一定の搬送周波数fL0とアドレス情報
    によって変調された信号とに従って蛇行された空間周波
    数一定の螺旋状の溝及び記録層を有し、該螺旋状の溝の
    所定の位置にある記録情報の単位である記録ブロックを
    識別するアドレス情報及び該ブロックの開始位置を識別
    する同期情報を有するディスクを、その中心部分を軸と
    して等角速度回転させる手段と、 記録再生のための集束光ビームを発生する光ピックアッ
    プを所定のアドレスに移動させる半径方向の移動させる
    手段と、 該記録層に集束光ビームの焦点をあわせるフォーカスサ
    ーボ手段と、 該螺旋状の溝に沿って集束光ビームを走査させるための
    溝トラッキングサーボ手段と、 該溝蛇行から搬送周波数fA0、アドレス情報及びブロッ
    ク同期信号を検出・解読する手段と、 該記録ブロックの開始位置及び周波数fd0を有するデー
    タの基準クロックTに同期してマーク長変調された記録
    データ列を発生する手段と、 該記録データ列に対応して記録レーザーパワーを変調す
    る手段とを有する光ディスク記録装置であって、 集束光ビームを所定アドレスの記録ブロックに半径方向
    に移動させたときに該半径に反比例して変化するデータ
    の基準クロックTを発生する基準信号発生器と、 所定半径における該基準クロックを1/N(Nは整数)
    に分周して得られる参照信号fR0と該アドレスにおいて
    検出された溝蛇行の搬送周波数fA0を位相比較すること
    で、所定の半径におけるデータの基準クロック周波数f
    d0とfA0がいずれの半径位置においてもfd0=N・fA0
    なる関係を維持するようディスクの回転数を微調整する
    とともに、記録ブロックの開始位置と該ブロックに書き
    込まれるべきデータ列の同期を達成する手段と、を有す
    る光ディスク記録再生装置。
  39. 【請求項39】 光ディスクの記録領域の始端もしくは
    終端における基準半径Rref におけるデータの基準クロ
    ックをTref (周波数fref )、記録領域の最内周から
    最外周までの半径幅をΔRとし、データの記録を行うべ
    き所定アドレスから計算された半径Rと、該アドレスに
    おける基準クロックT(周波数fd0)が、 fd0=fref +(R−Rref )/ΔR なる関係を維持するようにfd0を半径に応じて変化させ
    る請求項38に記載の光ディスク記録再生装置。
  40. 【請求項40】 ディスクの回転数の制御範囲が基準回
    転数ω0 に対して±0.01ω0 以内である請求項38
    又は39に記載の光ディスク記録再生装置。
  41. 【請求項41】 溝蛇行の搬送周波数fL0が22.05
    kHzであり、アドレス情報はfL0を搬送周波数として
    ±1kHzで周波数変調されたATIP信号であり、ω
    0 が1900〜2200rpmである請求項38乃至4
    0のいずれかに1つに記載の光ディスク記録再生装置。
  42. 【請求項42】 情報領域に対するデータの記録が、記
    録が行われる半径位置にかかわらず、回転速度一定のま
    ま行われることを特徴とする書き換え型光記録媒体。
  43. 【請求項43】 情報領域に対するデータの記録及び再
    生が、それぞれ一定の回転速度を保ったまま行われる書
    き換え型光記録媒体の記録再生方法。
  44. 【請求項44】 情報領域に対するデータの記録及び再
    生が記録と再生が同一の回転速度を保ったまま行われる
    書き換え型光記録媒体の記録再生方法。
  45. 【請求項45】 プログラム領域の連続した特定領域に
    所定のアプリケーションプログラムのデータが格納され
    たアプリケーションプログラム領域と、残りの領域に少
    なくとも上記アプリケーションプログラムに関連するユ
    ーザーデータが記録可能なユーザーデータ記録領域とが
    設定されてなり、該アプリケーションの再生及び該アプ
    リケーションに関連したユーザデータの記録がそれぞれ
    一定の回転速度のまま行われることを特徴とする請求項
    1乃至19及び請求項42のいずれか一つに記載の書き
    換え型光記録媒体。
  46. 【請求項46】 アプリケーションプログラム及びユー
    ザーデータが同一のファイル管理構造を有する固定長パ
    ケット単位で記録される請求項45に記載の書き換え型
    光記録媒体。
  47. 【請求項47】 プログラム領域の内周もしくは外周側
    の連続した領域に所定のアプリケーションプログラムの
    データが格納されたアプリケーションプログラム領域
    と、残りの領域に少なくとも上記アプリケーションプロ
    グラムに関連するユーザーデータが記録可能なユーザー
    データ記録領域とが設定されてなり、該アプリケーショ
    ンプログラム及びユーザーデータが同一のファイル管理
    構造を有する固定長パケット単位で記録されており、該
    アプリケーションの再生及び該アプリケーションに関連
    したユーザーデータの記録がそれぞれ一定の回転速度の
    まま行われる書き換え型光記録媒体に対して記録再生を
    行う記録再生装置であって、 上記書き換え型光記録媒体の上記特定の領域にアクセス
    してディスクをCAV回転させながら上記アプリケーシ
    ョンプログラムのデータを再生して、そのプログラム内
    容を実行させるためのプログラム実行手段と、 上記プログラム実行手段により実行されるアプリケーシ
    ョンプログラムに従って、所要の情報を入力することの
    できる情報入力手段と、 ディスクをCAV回転させたまま、上記ユーザーデータ
    領域にアクセスして、上記情報入力手段により入力され
    た情報をユーザーデータとして記録することの出来る記
    録手段と、を備えて構成されることを特徴とする記録再
    生装置。
  48. 【請求項48】 上記アプリケーションプログラムを実
    行する過程において、所定のデモンストレーションの再
    生を行い、該デモンストレーションに従って上記ユーザ
    ーからの情報入力を促す手段と、上記ユーザーデータ領
    域にアクセスして、上記入力情報をユーザーデータとし
    て記録することのできる記録手段と、を有して成る請求
    項47に記載の記録再生装置。
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