JP2005120411A - クラスター製造装置およびクラスター製造方法 - Google Patents

クラスター製造装置およびクラスター製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005120411A
JP2005120411A JP2003355463A JP2003355463A JP2005120411A JP 2005120411 A JP2005120411 A JP 2005120411A JP 2003355463 A JP2003355463 A JP 2003355463A JP 2003355463 A JP2003355463 A JP 2003355463A JP 2005120411 A JP2005120411 A JP 2005120411A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cluster
target
plasma source
gas
source gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003355463A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4521174B2 (ja
Inventor
Kenji Sumiyama
兼治 隅山
Takehiko Hihara
岳彦 日原
Soichi Ogawa
倉一 小川
Yoshihiko Ueda
吉彦 植田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2003355463A priority Critical patent/JP4521174B2/ja
Publication of JP2005120411A publication Critical patent/JP2005120411A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4521174B2 publication Critical patent/JP4521174B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】 効率よくナノサイズのクラスターを生成し得るクラスター製造装置及びクラスター製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明によって提供されるクラスター製造装置(10)は、内部が減圧可能なケーシング(12)と、前記ケーシング内においてターゲットを保持するターゲット保持手段(3A,3B)と、前記ターゲット保持手段により保持されたターゲット近傍にプラズマ源ガスを前記ケーシング内の他の空間よりも高濃度に供給するプラズマ源ガス供給手段(22,22A)と、前記ケーシング内に供給されたプラズマ源ガスをプラズマ状態にするプラズマ発生手段(27A,27B)とを備えるクラスター発生部(20)、および、前記クラスター発生部において発生したクラスターをキャリアガスとともに移送するクラスター流路(36)を備えるクラスター成長部(30)を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、クラスター製造装置及びクラスター製造方法に関する。
基材(基板)上に所望する金属その他の原材料(ターゲット)の蒸気を堆積させて薄膜を形成するために、種々のスパッタリング装置が用いられている。また、粒径数nm程度の微粒子(クラスター)を堆積させて薄膜を基材上に形成する手段が知られている。例えば、容器内にプラズマ源ガス(プラズマ状態とするガスをいう。以下同じ。)としてアルゴンガスを導入し、その中で放電を行って、アルゴンガスをプラズマ化する。そしてプラズマ化したアルゴンがターゲット(金属材料等)に衝突するとターゲットを構成する原子が飛び出す。かかるスパッタリングによって飛び出したターゲット原子を例えば102Pa程度又はそれ以下の低圧雰囲気中で凝縮させることにより粒径数nmのクラスターとし、それを所定の位置に配置された基材上に堆積する。こうして、基材上にターゲット原子と同成分のクラスターが堆積して成る薄膜が形成される。例えば、特許文献1〜7には、種々の態様のクラスター製造装置が記載されている。
特開2000−87226号公報 特開2000−87233号公報 特開2000−96112号公報 特開2000−309866号公報 特開2000−336477号公報 特開2000−345332号公報 特開2001−23563号公報
しかしながら、従来のクラスター製造装置は、単位時間あたり或いはプラズマ源ガス単位供給量あたりのクラスター生産効率が十分に高いものではなかった。従って、クラスターの生産効率を向上させるべく、特にクラスター発生過程における創意工夫が求められていた。本発明はかかる要求に応えるべく開発されたものであり、高速・短時間で所望する性状のクラスターを効率よく製造し得る装置及び方法の提供を目的とする。
本発明によって提供される装置は、ターゲットをスパッタリングして得た蒸気からクラスターを製造するクラスター製造装置である。この装置は、内部が減圧可能なケーシングと、前記ケーシング内においてターゲットを保持するターゲット保持手段と、前記ターゲット保持手段により保持されたターゲット近傍にプラズマ源ガスを前記ケーシング内の他の空間よりも高濃度に供給するプラズマ源ガス供給手段と、前記ケーシング内に供給されたプラズマ源ガスをプラズマ状態にするプラズマ発生手段とを備えるクラスター発生部を有する。また、本装置は、前記クラスター発生部において発生したクラスターをキャリアガスとともに移送するクラスター流路を備えるクラスター成長部を有する。
ここで「プラズマ状態のガス」とは、当該ガス分子の少なくとも一部が放電等により励起分子、ラジカル、イオン等の形態で存在している状態であることをいう。
また、「クラスター」とは、複数の原子、イオン等が凝集して成る集合物をいい、個々のクラスターの形状や質量を限定するものではない。例えば、粒径が50nm程度又はそれ以下の金属微粒子はここでいうクラスターに包含される典型例である。
本発明のクラスター製造装置では、ケーシング内に保持されたターゲット(典型的には金属材料)の近傍に局所的に高濃度のプラズマ源ガスを供給することにより、プラズマ源ガスの利用効率が向上する。また、プラズマ発生手段によりプラズマ化したガスはターゲット近傍において高濃度で存在するため、プラズマ化したガスを高確率(高頻度)にターゲットに衝突させることができる。換言すれば、少なくともターゲット近傍において、プラズマスパッタリングにより高濃度(密度)のターゲット由来の蒸気(気化原子)を発生させることができる。このため、それら蒸気の凝縮産物たるクラスターを高効率に発生させ得る。従って、本発明のクラスター製造装置は、典型的にはナノサイズ、例えば粒径(顕微鏡観察に基づく粒径)が1〜50nmであるクラスターを効率よく製造することができる。
好ましくは、前記プラズマ源ガス供給手段は、前記ターゲット保持手段により保持されたターゲット近傍に配置される複数のガス供給用毛細管を有する。この構成により、簡易で効率的にターゲット近傍においてケーシング内の他の空間より高濃度でプラズマ源ガスを供給することができる。好ましくは前記毛細管は、その径dmmと長さLmmとの比L/dが、100≦L/d≦500となるように形成される。
また、好ましくは、前記複数のガス供給用毛細管は、各毛細管から供給されたプラズマ源ガスから成るシート状気流(面状気流)が前記ターゲット近傍に形成されるように設けられている。シート状気流を形成してターゲット近傍にプラズマ源ガスを供給することにより、当該ガスを均一にターゲット近傍に拡散させることができる。このため、より効率的かつ高速にスパッタリングによってターゲット由来の気化原子(典型的には金属蒸気)を発生させることができる。
好ましくは前記ターゲット保持手段として、プラズマ源ガスを導入し得るスペースを挟んでターゲットを対向して配置可能な少なくとも一対の対向するターゲット保持部を有しており、ここで該対向するターゲット保持部は、該保持部の対向面にそれぞれ配置されるターゲットにおけるプラズマ源ガス進行方向に沿う径Dmm又は長さWmmと、該対向するターゲット間の距離Tmmとの比D/T又はW/Tが、3≦(D又はW)/T≦15となるように形成される。これにより効率よくプラズマスパッタリングを行い得る。
また、好ましくは、前記クラスター発生部は、前記ターゲット保持手段により保持されたターゲットに磁場を与える磁場発生手段を備える。ターゲット(典型的には金属材料)に磁場を与えることにより、ターゲット表面の磁場強度を向上し、ターゲット周囲のプラズマ密度(例えばイオン化したガス分子密度)を上げることができる。このため、より高効率(高速)にスパッタリングを行うことができる。また、ターゲットが磁性材であっても、安定したスパッタリングが可能となる。
前記磁場発生手段としては永久磁石が好ましい。永久磁石により、容易かつ効果的にターゲットに磁場を与えることができる。
また、本発明のクラスター製造装置は、前記クラスター発生部において発生したターゲット由来の蒸気(典型的には金属蒸気)が凝縮して成るクラスターをキャリアガスとともに移送するクラスター流路を備えるクラスター成長部を有する。
スパッタリングで生じた蒸気(ターゲット由来の気化原子)は、凝縮してクラスターを形成する。ここで開示される装置によれば、効率的に高濃度に蒸気(気化原子)を発生させ得るとともに、ターゲット近傍以外のケーシング内においてはプラズマ化されたガスの濃度が低い。このため、プラズマ化されたガスによるクラスターの形成阻害が低減され、効率よくナノサイズのクラスターを生成することができる。
好ましくは、前記クラスター成長部は、クラスターを加熱するクラスター加熱手段を備える。この構成によれば、クラスター加熱手段によりクラスターにエネルギーを与え、そのサイズ(平均粒径)を制御し得る。即ち本構成の装置では、所望するサイズ(粒径)のクラスターを得ることが容易となる。
また、好ましくは、前記クラスター成長部は、クラスターに反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段を備える。ここで「反応性ガス」とは、クラスターと反応して当該クラスターの表面部を改変(修飾)し得るガスをいう。例えば、金属クラスターの表面に酸化被膜を形成し得る酸素ガス等の酸化性ガスは、ここでいう反応性ガスに包含される典型例である。この構成により、クラスターの機能を向上させ又はクラスターに所望する機能を付与することができる。例えば、クラスター表面に酸化被膜を形成してクラスターの電気抵抗を高めることができる。
前記反応性ガス供給手段としては、複数の反応性ガス供給口を有し、各ガス供給口から供給された反応性ガスから成るシート状気流(面状気流)が前記クラスター流路の少なくとも一部において形成されるように設けられているものが好ましい。この構成により、クラスター流路の少なくとも一部において反応性ガスをほぼ均一に拡散させることができる。この結果、生成したクラスターが反応性ガスと接触又は衝突する割合が増加し、より効果的に反応性ガスによるクラスターの表面改変(例えば酸化物等による被膜形成)を実現することができる。
また、ここで開示されるクラスター製造装置として好ましいものは、前記クラスター流路に連通する基材配置部を備え、該配置部に配置された基材に対して前記クラスター流路から供給されたクラスターを堆積させるクラスター堆積部をさらに有する、これにより、該基材配置部に配置された基材に対してクラスターを効率よく供給することができ、基材上にクラスターが堆積して成る薄膜材を容易に形成することができる。
好ましくは、一つのクラスター堆積部に連通する複数のクラスター発生部及びクラスター成長部を有する。この構成の装置では、複数のクラスター発生部においてそれぞれ異なる組成の蒸気(気化原子)から成るクラスターを発生させ得る。そして2種若しくはそれ以上の性状の異なるクラスターを同時に或いはそれらクラスター(又は蒸気)から成る混成クラスターを一つのクラスター堆積部に導入することができる。この結果、2種若しくはそれ以上の成分を含むクラスターから成るクラスター集合体(典型的には薄膜)を基材上に堆積することができる。
また、本発明はクラスター製造方法を提供する。ここで開示される方法は、減圧可能な容器内にターゲットを配置する工程と、前記容器内を減圧する工程と、前記ターゲット近傍にプラズマ源ガスを前記容器内の他の空間よりも高濃度に供給する工程と、該供給されたプラズマ源ガスをプラズマ状態にする工程と、該プラズマ状態となったガスにより前記ターゲットから蒸気を発生させる工程と、該蒸気からクラスターを生成する工程とを包含する。なお、ここで列挙した各工程(処理)は同時に行われ得る。また、前記プラズマ源ガス供給工程において、典型的には毛細管等を用いて、前記ターゲット近傍に供給されたプラズマ源ガスからなるシート状気流を形成することが好ましい。
ここで開示されるクラスター製造方法によると、ターゲットの近傍に局所的に高濃度のプラズマ源ガスを供給することにより、プラズマ源ガスの利用効率が向上し得る。また、プラズマ化したガスがターゲット(典型的には金属材料)近傍において高濃度で存在するため、プラズマ化したガスを高確率(高頻度)にターゲットに衝突させ得、スパッタリングを効率よく行うことができる。好ましくは、前記ターゲットに磁場を与える工程をさらに包含する。
また、好ましくはクラスターをキャリアガスとともに移送して基材に供給する工程をさらに包含する。特に好ましくは、生成したクラスターを加熱してクラスターの粒径を制御する工程を包含する。また好ましくは、生成したクラスターに反応性ガスを供給する工程を包含する。特に前記反応性ガス供給工程において、前記移送されるクラスターの進行方向と交差する何れかの方向に反応性ガスから成るシート状気流を形成する方法が好ましい。さらに好ましくは、生成したクラスターを基材上に堆積する工程を包含する。
本発明のクラスター製造方法は、ここで開示されるクラスター製造装置を用いて好適に実施することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の具体的な実施形態に係るクラスター製造装置10について図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係るクラスター製造装置10の構成の概略を模式的に示すブロック図である。本装置10は、大まかにいって、内部が減圧可能なケーシング12,42と、クラスター発生部20及びクラスター成長部30(以下、これらをまとめてクラスター製造部50という場合がある。)と、クラスター堆積部40とから構成されている。
クラスター発生部20には、ケーシング12内部にプラズマ源ガスを供給するプラズマ源ガス供給手段(ここでは外部の図示しないプラズマ源ガス供給源と接続するガス導入管22)と、供給されたガスをプラズマ状態にするプラズマ発生手段と、ケーシング12内部の予備排気をするべく図示しない外部ポンプ(真空ポンプ)に連通する排気管25及びバルブ24が設けられている。
本実施形態に係るプラズマ発生手段は、直流電源28に接続されるとともにケーシング12内に配置されたカソード27A,27B、及びターゲットシールドカバー(アノードとして機能し得る)26A,26Bを有する。カソード27A,27Bは、カソード27A,27B間にプラズマ源ガスを導入し得るスペースが形成されるようにして設けられている。図示されるように、カソード27A,27Bの互いに対向する面には、ターゲットとなる金属材料2A及び2Bを対向して配置可能なターゲット保持部3A,3Bがそれぞれ形成されている。また、カソード27A,27Bの内部(ターゲット保持部3A,3Bの近傍)には、永久磁石4A,4BがそれぞれN極とS極とが互いに対向するように内蔵され、金属材料2A及び2B間に垂直に磁場を発生可能としている(図1中の矢印参照)。カソード27A,27Bには、図示されるように、位置変更手段29(モータ、ソレノイド等)が付設されており、該位置変更手段29を作動させることによって、カソード27A,27Bとターゲットシールドカバー26A,26Bとの間の距離(間隙)及び金属材料2A,2B間の距離を適宜調節することができる(図1中の両矢印参照)。
本実施形態に係るプラズマ発生手段は、電極間に適当な電圧を印加することによって、カソード27A,27B周辺において好適なグロー放電を形成することができる。また、永久磁石4A,4Bにより金属材料2A,2Bの周囲、例えば金属材料2A,2B間の中央部2Cにおける磁場の強さを調整可能としている。
特に限定するものではないが、金属材料2A,2B(ターゲット保持部3A,3B)の端面が円形である場合には、図2に示すように、その直径Dmmと金属材料2A,2B間の距離Tmmとの比D/Tは、好ましくは3≦D/T≦15、更に好ましくは3≦D/T≦10、特に好ましくは5≦D/T≦8となるように設定する。また、金属材料2A,2B(ターゲット保持部3A,3B)の端面が矩形である場合には、図3に示すように、その幅Wmm(即ち、プラズマ源ガスの進行方向に沿う長さ)と金属材料2A,2B間の距離Tmmとの比W/Tは、好ましくは3≦W/T≦15、更に好ましくは3≦W/T≦10、特に好ましくは5≦D/T≦10となるように設定する。このような範囲内であると、特に効率のよいプラズマスパッタリングをすることができる。例えば100〜500W程度の電力を電極に印加することにより、プラズマ源ガス(Ar等)をプラズマ状態とするのに好適なグロー放電を形成することができる。
プラズマ源ガス供給手段であるガス導入管22は、上面から見た拡大図である図4に模式的に示されているように、その先端部に多数のプラズマ源ガス供給毛細管22Aが並列して設けられている。供給毛細管22Aの先端は、対向する金属材料(ターゲット)2A,2B間のほぼ中心に向って延びており(図1)、その先端には開口部22Bが設けられている。これら開口部22Bからプラズマ源ガスを放出することにより、金属材料2A,2B間にシート状気流を供給することができる(図4)。特に限定しないが、好ましい一実施形態として、ガス導入管22に供給されるガス流量が100〜500sccm(ここでsccmは1気圧(1013hPa)0℃における流量cm3/minである。以下同じ。)であって、金属材料2A,2B間の距離が20〜100mmである場合に、毛細管22Aの直径dmmとその長さLmmとの比L/dは、好ましくは100≦L/d≦500、特に250≦L/d≦350となるように設定するとよい。この範囲内であると、金属材料2A,2B近傍(典型的には対向する金属材料2A,2Bの間)に均一にプラズマ源ガスを拡散させることができる。
図1に示すように、前記構成のクラスター発生部20に続く筒状のクラスター成長部30には、その中心部を貫通して前述のクラスター発生部20と後述するクラスター堆積部40とを繋ぐクラスター流路36が設けられている。また、クラスター成長部30内のガスを排出して該成長部30内をクラスター発生部20よりも陰圧にすべく図示しない外部ポンプ(真空ポンプ)に連通する排気管34A,34B及びバルブ35A,35Bが設けられている。また、クラスター堆積部40との境界部分には、クラスター成長部30からクラスター堆積部40へのガス流通を規制するバルブ37が設けられている。
クラスター成長部30には、典型的には透明石英ガラス製の円筒管31(或いは金属製の導波管)及びスキマー32,33がクラスター流路36の上流(クラスター発生部20方向)から下流(クラスター堆積部40方向)に向かって設けられている。図示されるような円筒管31の場合、その外周には高周波印加コイル39が配置され、高周波マッチングボックス39A及び高周波電源39Bに接続されている。この構成の結果、コイル39(或いは導波管)に高周波(或いはマイクロ波)を印加することにより、円筒管31(或いは導波管)内を加熱可能とし、熱交換により成長部30を移送されるクラスターの加熱を行うことができる。尚、高周波印加コイル39(或いは導波管)の一部周辺に冷却水供給口39Cから冷却水を供給・循環させることにより、円筒管31(或いは導波管)の温度を下げ又は適当な温度に調整することができる。また、円筒管31(或いは導波管)の下流方向先端部には、円筒管31(或いは導波管)の本体部分の開口面積よりも小さなノズル31Aが設けられている。図1に示すように、このノズル31A形成位置とスキマー32,33の開口部32A,33A形成位置とを本装置10の長軸方向に沿って一致させることにより、クラスター流路36を流れるクラスターをビーム状に後述する基材に供給することができる。
さらに、クラスター成長部30には、図示しない外部の反応性ガス供給源と接続する反応性ガス(例えば、酸素(O2)ガス、空気、アンモニア(NH3)ガス、炭化水素(HC)ガス等)を供給する手段としての反応性ガス供給管38が、前記円筒管31よりも上流部及び下流部にそれぞれ設けられている。上流部及び下流部のいずれにおいても、反応性ガス供給管38は、クラスター流路36を挟んで互いに対向して2箇所に設けられている。図1及び図5に模式的に示すように、それら反応性ガス供給管38の先端部には、それぞれクラスター流路36の進行方向に延びる多数の反応性ガス供給毛細管38Aがクラスター流路36の幅方向に並列して(ここでは一列に並んで)形成されている。かかる反応性ガス供給毛細管38Aは、その先端開口部38Bから反応性ガスを放出する。このことにより、反応性ガスより成るシート状気流をクラスター流路36中に形成することができる。すなわち、互いに対向する反応性ガス供給管38からクラスター流路36に気流を供給することによって、クラスター流路36の少なくとも一部分に高濃度の反応性ガスで充たされたガス帯が形成される。
特に限定しないが、好ましい一実施形態として、反応性ガス供給管38に供給されるガス流量が0.1〜10sccmであって、クラスター流路36の長さLが50〜200mmである場合に、毛細管38Aの直径dmmと、その長さLmmとの比L/dは、好ましくは100≦L/d≦300、特に150≦L/d≦250となるように設定するとよい。この範囲内であると、クラスター流路36に反応性ガスを均一に拡散させることができ、クラスターが反応性ガスに衝突する割合を向上させることができる。また、反応性ガス供給管38から供給されるガスを、クラスターを堆積部40に移送するキャリアガスとして利用することができる。換言すれば、所定のガス圧で前記反応性ガス供給管38から所望の反応性ガスをクラスター流路36に供給することによって、クラスター流路36を流れるクラスターの表面を改変しつつ(例えば酸化被膜の形成)、当該クラスターを迅速にクラスター堆積部40方向に移送することができる。
尚、反応性ガス供給管は、反応性ガスをクラスターに供給する構成を有すればよく、特に前述の構成の反応性ガス供給管38に限定されない。例えば、図6に示す反応性ガス供給管138のように、クラスター流路136内に互いに対向して設けられた一対の反応性ガス供給管138であって、それらの先端部138Aがクラスター流路136の進行方向に対して略垂直の方向に延びているものであってもよい。その先端部138Aには多数の供給口138Bがクラスター流路36に向かって並列して形成されている。この構成によれば、図6に模式的に示すように、供給口138Bから放出された反応性ガスはクラスター流路36の幅方向にエアーカーテンを形成するようにシート状に拡散し得る。この結果、クラスターは当該シート状の反応性ガス拡散域(即ちエアーカーテン状の反応性ガス帯)を通過するため、クラスター流路36を流れるクラスターの反応性ガスに衝突する確率が向上する。典型的には、クラスター流路36を流れてシート状反応性ガス拡散域を通過するクラスターの反応性ガスに衝突する確率(又は反応性ガスに接触し得る時間)が個々のクラスター粒子について略均一になり得る。このため、クラスター堆積部40に移送されるクラスターの反応性ガスによる改変程度(例えば酸化被膜の形成程度)を個々のクラスター粒子について略均一にすることができる。
次に、本装置10のクラスター堆積部40を説明する。図1に示されるように、クラスター堆積部40のケーシング42内には、基材を保持するためのホルダー41が配置されている。特に限定しないが、本装置10のホルダー41は板状基材(即ち基板)を保持するように構成されている。ホルダー41は、クラスター供給方向(即ち成長部30からビーム状クラスターが放出される方向)に基板の幅広面が面するように配置されている。これにより、当該基板の幅広面に対し、ビーム状にクラスターを効率よく供給し堆積させることができる。なお、図示されるように、ホルダー41には位置変更手段49(モータ、ソレノイド等)が付設されており、該位置変更手段49を作動させることによって、ホルダーを動かすことができる。このことによって、クラスター供給方向(即ちクラスターが供給されてくる上流方向)に対し、ホルダー41に保持された基材の相対位置を異ならせることができる。例えば、該ホルダー41の配置位置を移動させることによって、クラスター成長部30のスキマー32,33を通ってビーム状に供給されてくるクラスターの基材上における衝突位置を適宜選択することができる(図1中の両矢印参照)。
この他、本装置10のクラスター堆積部40には、ケーシング42内のガスを排出して該ケーシング42内を成長部30内よりも陰圧とすべく図示しない外部ポンプ(真空ポンプ)に連通する排気管44及びバルブ47が設けられている。また、ケーシング42内には、可動式の水晶振動子膜厚計43が配置されている。これにより、基板表面の任意の位置に堆積するクラスターから成る薄膜の膜厚をモニタリングすることができる。
また、図7にその構成の概略を模式的に示すクラスター製造装置100のように、一つのクラスター堆積部40に対して、図1に示した構成のクラスター発生部20、20’とクラスター成長部30,30’とから成るクラスター発生部50,50’を複数連通するように設けてもよい(図7では2つであるがこれに限られない。)。この構成の装置100では、金属材料の材質を相互に異ならせる等によって複数のクラスター発生部50,50’においてそれぞれ異なる性状のクラスターを発生させ得る。そして2種若しくはそれ以上の性状の異なるクラスターを同時に一つのクラスター堆積部40に導入することができる。この結果、当該一つのクラスター堆積部40において2種若しくはそれ以上のクラスターから成るクラスター集合体(典型的には薄膜)を基材上に堆積することが容易に実現できる。
本発明のクラスター製造装置10,100は、典型的には次のようにして使用することができる。すなわち、クラスター発生部20のカソード27A,27Bのターゲット保持部3A,3Bに、ターゲット2A,2Bを配置する。磁性クラスター(延いては該クラスターの堆積物たる薄膜状の磁性材料)を製造する場合、ターゲットはFe、Co、Ni等の金属材料が好ましい。
なお、使用する金属材料は、クラスター源として金属蒸気を発生させ得るものであれば特に制限はない。例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)又はこれらの合金(例えばFeとCo又はFeとNiの合金)から成る金属材料が好ましい。或いは、合金クラスターを生成する場合、2種類以上の金属材料を使用することが好ましい。例えば金属材料として、Feと、Co及び/又はNiとを使用し、Fe蒸気とCo蒸気及び/又はNi蒸気とを発生させ、それら蒸気よりFeとCoの合金クラスター、FeとNiと合金クラスター又はFeとCoとNiの合金クラスターを生成することができる。
使用する材料の形状は特に限定されず、金属蒸気を発生させる態様や使用する装置に応じて適宜異なり得る。例えば、板状や円盤状の金属材料を用いることができる。
例えば、ターゲット保持部3A,3Bに、直径80〜100mm、厚さ5〜10mm程度の円盤形状ターゲット2A,2Bをそれぞれ配置する。
複数のカソード27A,27Bのターゲット保持部3A,3Bに、それぞれ、異なる金属種のターゲットを配置し、スパッタリングすることによって、それら金属種から成る合金クラスターを生成することができる。例えば、対向する一方のカソード27Aのターゲット保持部3AにFeを配置し、他方のカソード27Bのターゲット保持部3BにCoを配置する。これにより、Fe蒸気とCo蒸気とを発生させ、これら金属蒸気から成るFe−Co合金クラスターを得ることができる。
而して、バルブ24を開け、外部の真空ポンプ(メカニカルブースターポンプ等)を作動させて概ね1×10−5Pa程度までケーシング12内を減圧する(予備排気)。次いで、プラズマ源ガス導入管22の供給毛細管22Aからプラズマ源ガス(典型的にはArガス又はHe/Ar混合ガス、或いはAr以外の希ガス、例えばNe、Xe等)をクラスター発生部20内において金属材料2A,2Bに向けて吹き付ける。なお、ケーシング12の一部に別のガス導入口(図示せず)を設け、キャリアガス(He、Ar等)を低圧で導入してもよい。この場合、スパッタリングによって生じた金属蒸気はその周囲にあるキャリアガスによってエネルギーを奪われ、凝縮即ちクラスター生成が促進される。
次いで、成長室30のバルブ35A,35Bを開け、外部の真空ポンプを作動させるとともに前記バルブ24を閉める。これにより、ガス導入管22からクラスター発生部20に導入されたプラズマ源ガスは金属材料2A,2B間にシート状に拡散して集中的に、即ち高濃度で金属材料2A,2B周囲に存在する。そして、成長室30へと所定の流速(流量)で流動し得る。好ましくは、クラスター発生部20内における平均プラズマ源ガス圧がおよそ1×10−2〜1×10Pa程度となるようにプラズマ源ガス供給量及び真空ポンプの仕事量を調整する。
このような条件下、例えば300〜400W程度の電力をプラズマ発生用電極27A,27Bに印加し、生じたグロー放電によってプラズマ源ガス(Ar等)をプラズマ状態とし(典型的にはArをイオン化)、金属材料2A,2Bの表面をスパッタリングする。これにより、金属蒸気を発生させることができる。即ち、金属材料の周囲をプラズマ状態とし、該雰囲気中に含まれるArイオン等によって金属材料をスパッタリングすることができる。この方法では、プラズマ放電に投入する電力、プラズマ源ガスの種類又は濃度、ガス圧、或いは処理温度を適宜調節することによって、金属蒸気の発生量や発生した金属微粒子のイオン化の程度、延いてはクラスターの生成効率及びイオン化効率を容易に制御することができる。
発生した金属蒸気は、He等のキャリアガス(プラズマ源ガスとして導入されたArガスでも構わない。)と共に流動して成長室30のクラスター流路36に移送される。金属蒸気(気化原子)は、流動過程においてキャリアガス種(He、Ar等)と衝突し、運動エネルギーを失い(換言すれば冷却され)、相互の衝突を繰り返す結果、凝集してクラスターの核生成及び成長が行われる。このとき、高周波印加コイル39(或いは前記導波管)に高周波(或いはマイクロ波)を印加することによって、円筒管31(或いは導波管)の内壁に接触するキャリアガス及びクラスターをより効率よく加熱することができる。印加する高周波の周波数、投入電力を変化させることにより、クラスターの粒子サイズ、構造、組成及び表面改変の程度(例えば酸化度、窒化度)を制御することができる。特に限定するものではないが、好適に使用可能な印加高周波の周波数は10〜100MHz(或いは周波数1〜10GHzのマイクロ波)である。
クラスターを加熱することによって、クラスターの成長速度、延いては最終的なクラスターのサイズを調整することができる。このようにして、典型的には単分散性の比較的粒径の小さいナノレベルのクラスターを生成させることができる。生成(粒成長を含む。以下同じ。)されるクラスターのサイズ(即ち金属蒸気の集合化の程度)は、クラスター流路36の長さ、クラスター生成空間のガス圧、金属蒸気の発生量等を制御することによって適宜調整することができる。例えば平均粒径(典型的には顕微鏡観察に基づく粒径)1〜50nm、好ましくは2nm〜30nm、より好ましくは3〜20nm、特に好ましくは5nm〜15nmのクラスターを効率よく生成することができる。このような粒径範囲のクラスター(典型的には前記いずれかの粒径範囲内に平均粒径の値が含まれる単分散系クラスター)を使用することにより、クラスターの崩壊を防止するとともに充填率の向上した緻密な金属薄膜を製造することができる。
また、所望する場合は、反応性ガス供給管38から反応性ガス、例えば酸素ガス若しくは酸化剤として作用し得る所定の流量のガスを導入する。これにより、クラスター堆積部40に導入される前のクラスターの表面の改変処理(例えば酸化被膜形成)を容易に行うことができる。例えば、かかる処理によってクラスターの電気抵抗を高くすることにより、該クラスターが堆積(集合)して成る高電気抵抗と低保磁力(高透磁率)及び/又は高飽和磁束密度とを兼備する、高周波領域での使用に優れる軟磁性材料を製造することができる。
反応性ガスによる処理は、クラスターの機能、特に電気抵抗を高め得るものが好適である。例えばクラスターの表面を酸化物或いは非磁性体によって被覆する処理が好ましい。或いは、クラスターの表面を酸化物,窒化物,炭化物等の化合物で被覆することが好適である。特に好ましい処理は、クラスターの表面に酸化物から成る膜(酸化被膜)を形成する処理である。酸化被膜が形成されたクラスター(好ましくは単分散系クラスター)をその形状を破壊することなく緻密に堆積(集合)させることによって、酸化被膜が形成されていないクラスターを用いた場合よりも高い電気抵抗値を有するクラスター集合体(軟磁性材料)を得ることができる。
例えば、適当な温度条件下(好ましくは酸化は常温又は高温域、窒化及び炭化は高温域で行う)、ケーシング及びクラスター流路内の減圧状態(例えば10−4〜10−1Pa程度)を維持しつつ酸素(O2)ガス、アンモニア(NH3)ガス、炭化水素(HC)ガス等を反応性ガス供給管38から導入する。これにより、クラスター表面の金属原子と導入ガス種とが反応し、結果、反応生成物である酸化物,窒化物,炭化物等の化合物でクラスター表面が被覆された状態となる。
このようにして得られたクラスター(イオンを含む)は、円筒管39(或いは導波管)及びスキマー32,33のノズル31A,開口部32B、33Aを通過しつつ、クラスター堆積部40に供給される。このとき、バルブ47を開けて真空ポンプによってクラスター堆積部40(ケーシング42)内を成長部30よりも真空度の高い雰囲気(好ましくは1×10−3〜1×10−5Pa)にしておくことによって、クラスターを含むキャリアガスをスキマー33からホルダー41方向にビーム状に噴出させることができる。例えば、1〜50m/s程度の流速(好ましくは5〜20m/s)で、クラスターが分散しているキャリアガスをノズルから基材に向けて噴出させることによって、クラスターをビーム状にして基材に供給することを実現することができる。
また、カーボン、異種金属、半導体等でクラスターの表面を修飾する場合には、クラスター堆積部40に別のスパッタリング装置を付設し、所定の材料(ターゲット)をスパッタリングし、得られたカーボン、異種金属、半導体等の蒸気をクラスターと反応させてもよい。このことによって、クラスター表面をカーボン、異種金属、半導体等によって被覆することができる。なお、これら材料をスパッタリングする方法は、従来公知の方法でよい。例えば高周波電源を備えたプラズマ発生装置を使用してスパッタリングを行うことができる。さらに、図7に示すようにクラスター発生部50,50’を複数設けた場合には、性状の異なる2種以上のクラスターから成る複合クラスター集合体(堆積物)を基材に堆積させることができる。
基材としては、用途に応じて適宜その材料を選択することができる。例えば、シリコン基板、金属基板、セラミック基板、ガラス基板等を用いることができる。基材は、ホルダー41の位置変更手段49を作動させてクラスター供給方向(クラスター流路36)に対して相対位置を移動させる。このことによって、基材におけるクラスターの衝突位置を変化させることができる。この結果、基材上に全体に亘って均質で緻密なクラスター堆積層(典型的には薄膜状にクラスターが堆積して成る軟磁性材料)を形成することができる。
本装置10によると、プラズマ源ガス供給手段としてのプラズマ源ガス供給管22が金属材料2A,2B近傍に集中的にプラズマ源ガスを供給するため、ケーシング内における他の空間よりも金属材料2A,2B近傍におけるプラズマ源ガス濃度が高い。このため、プラズマ化されたガス(例えばイオン化されたAr)を高頻度に金属材料2A,2Bに衝突させ、効率よく高速に金属材料2A,2Bをスパッタリングすることができる。また、気化した金属原子の冷却、衝突、核生成・成長の促進効果を高めて、サイズの揃ったナノサイズクラスターを効率よく生成、堆積することができる。
以下に説明する実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
上述した装置10を使用し、室温条件下において種々の条件で基板上にクラスターを堆積した。先ず、バルブ35A,35B,47を開けるとともに真空ポンプ(ここでは排気管34A,34Bに連通する複合分子ポンプ、排気管44に連通するターボ分子ポンプ)を作動させて、クラスター発生部20、クラスター成長部30及びクラスター堆積部40内を、それぞれ、226Pa、9.0Pa及び1.3×10−1Paになるまで排気・減圧した。一方、予め水冷しておいたステンレス板(直径:約70mm、厚さ約5mmのディスク)をターゲットとして円筒形状のカソード27A,27Bの端面に配置した。このときのターゲット間の距離は80mmに設定した。
次いで、ターゲットから金属蒸気を発生させるためのスパッタリングを以下のように行った。すなわち、成長部30のバルブ35A,35Bを開け、図示しないポンプ(排気管35A,35Bに接続した複合分子ポンプ)を作動してクラスター発生部20、クラスター成長部30、及びクラスター堆積部40内の前記減圧状態を維持しつつ、ガス導入管22から毛細管22Aを介してArガスを350sccmの流量でプラズマ発生部20のターゲット2A,2B近傍に導入した。この状態で直流電源28から350W程度の電力を投入し、電極27A,27Bに−200Vの直流高電圧を印加した。これにより生じたグロー放電によって電極26A,26B,27A,27B周囲をプラズマ状態とし、ターゲット2A,2Bから金属蒸気を発生させた。金属蒸気はガス流とともに成長部30へと搬送され、その過程において金属蒸気原子はAr及びHe(キャリアガス)と衝突してエネルギーを失い、相互に凝集して単分散系のクラスターが生成された。生成したクラスターはキャリアガス(Ar/He混合ガス)とともに約10m/sの流速でビーム状にスキマー33の開口部33Aからクラスター堆積部40に噴出させた。
本実施例では、ホルダー41に表面がポリイミド膜(カプトン(登録商標)膜)でコートされた各辺30mmの矩形状ガラス基板をセットし、そのポリイミド膜上にクラスターを堆積させた。堆積時間は5分間とした。膜厚計43により堆積速度を測定したところ、約4Å/分であった。5分間の堆積時間終了後、基板表面のクラスター堆積状況を電子顕微鏡(TEM)により観察した。図8の(A)はノズル31A及びスキマー開口部32A,33Aの長軸方向と交差する基板部分(即ちクラスタービーム進行方向と対面する部分)の表面を示すTEM写真であり、図8の(B)は該部分から基板面方向に20mm移動した部分の表面を示すTEM写真である。これらTEM像から明らかなように、本クラスター製造装置10によると、効率よく所望する粒径のクラスターを基材(基板)表面に堆積させることができる。
以上、本発明の好適な実施態様を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した態様を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
クラスター製造装置の構成の一例を模式的に示すブロック図である。 円板状ターゲットの直径と距離との関係を示す説明図である。 矩形板状ターゲットの幅と距離との関係を示す説明図である。 プラズマ源ガス供給管の構成の一例を説明する模式図である。 反応性ガス供給管の構成の一例を説明する模式図である。 反応性ガス供給管の構成の他の一例を説明する模式図である。 クラスター製造装置の構成の一例を模式的に示す要部ブロック図である。 クラスターの堆積状況を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真であり、(A)はノズル31A及びスキマー開口部32A,33Aの長軸方向と交差する基板部分の表面を示し、(B)は該部分から基板面方向に約20mm移動した部分における基板表面を示す。
符号の説明
2A,2B 金属材料(ターゲット)、3A,3B ターゲット保持手段、10,100 クラスター製造装置、20 クラスター発生部、22 プラズマ源ガス導入管、26A,26B ターゲットシールドカバー、27A,27B カソード、30 クラスター成長部、36 クラスター流路、38 反応性ガス供給管、40 クラスター堆積部

Claims (12)

  1. ターゲットをスパッタリングして得た蒸気からクラスターを製造するクラスター製造装置であって:
    内部が減圧可能なケーシングと、前記ケーシング内においてターゲットを保持するターゲット保持手段と、前記ターゲット保持手段により保持されたターゲット近傍にプラズマ源ガスを前記ケーシング内の他の空間よりも高濃度に供給するプラズマ源ガス供給手段と、前記ケーシング内に供給されたプラズマ源ガスをプラズマ状態にするプラズマ発生手段とを備えるクラスター発生部;および
    前記クラスター発生部において発生したクラスターをキャリアガスとともに移送するクラスター流路を備えるクラスター成長部;
    を有するクラスター製造装置。
  2. 前記プラズマ源ガス供給手段は、前記ターゲット保持手段により保持されたターゲット近傍に配置される複数のガス供給用毛細管を有する、請求項1に記載の装置。
  3. 前記複数のガス供給用毛細管は、各毛細管から供給されたプラズマ源ガスから成るシート状気流が前記ターゲット近傍に形成されるように設けられている、請求項2に記載の装置。
  4. 前記毛細管は、その径dmmと長さLmmとの比L/dが、100≦L/d≦500となるように形成されている、請求項2又は3に記載の装置。
  5. 前記ターゲット保持手段として、プラズマ源ガスを導入し得るスペースを挟んでターゲットを対向して配置可能な少なくとも一対の対向するターゲット保持部を有しており、
    ここで該対向するターゲット保持部は、該保持部の対向面にそれぞれ配置されるターゲットにおけるプラズマ源ガス進行方向に沿う径Dmm又は長さWmmと、該対向するターゲット間の距離Tmmとの比D/T又はW/Tが、3≦(D又はW)/T≦15となるように形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
  6. 前記クラスター発生部は、前記ターゲット保持手段により保持されたターゲットに磁場を与える磁場発生手段を備える、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
  7. 前記クラスター成長部は、クラスターを加熱するクラスター加熱手段を備える、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
  8. 前記クラスター成長部は、クラスターに反応性ガスを供給する反応性ガス供給手段を備える、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
  9. 前記反応性ガス供給手段は複数の反応性ガス供給口を有し、各ガス供給口から供給された反応性ガスから成るシート状気流が前記クラスター流路の少なくとも一部において形成されるように設けられている、請求項8に記載の装置。
  10. 前記クラスター流路に連通する基材配置部を備え、該配置部に配置された基材に対して前記クラスター流路から供給されたクラスターを堆積させるクラスター堆積部をさらに有する、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
  11. 一つのクラスター堆積部に連通する複数の前記クラスター発生部及びクラスター成長部を有する、請求項10に記載の装置。
  12. 減圧可能な容器内にターゲットを配置する工程と、
    前記容器内を減圧する工程と、
    前記ターゲット近傍にプラズマ源ガスを前記容器内の他の空間よりも高濃度に供給する工程と、
    該供給されたプラズマ源ガスをプラズマ状態にする工程と、
    該プラズマ状態となったガスにより前記ターゲットから蒸気を発生させる工程と、
    該蒸気からクラスターを生成する工程と、
    を包含するクラスター製造方法。
JP2003355463A 2003-10-15 2003-10-15 クラスター製造装置およびクラスター製造方法 Expired - Fee Related JP4521174B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003355463A JP4521174B2 (ja) 2003-10-15 2003-10-15 クラスター製造装置およびクラスター製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003355463A JP4521174B2 (ja) 2003-10-15 2003-10-15 クラスター製造装置およびクラスター製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005120411A true JP2005120411A (ja) 2005-05-12
JP4521174B2 JP4521174B2 (ja) 2010-08-11

Family

ID=34613045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003355463A Expired - Fee Related JP4521174B2 (ja) 2003-10-15 2003-10-15 クラスター製造装置およびクラスター製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4521174B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007208156A (ja) * 2006-02-06 2007-08-16 Nagoya Institute Of Technology 高周波軟磁性体膜及びその製造方法
JP2007332405A (ja) * 2006-06-13 2007-12-27 Osaka Vacuum Ltd クラスター製造装置及びクラスター製造方法
JP2014165179A (ja) * 2013-02-21 2014-09-08 Universal Display Corp パターン化有機薄膜の堆積
JP2015534269A (ja) * 2012-09-17 2015-11-26 ナノ リソーシーズ リミテッドNano Resources Limited 磁気構造体

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS64263A (en) * 1987-03-20 1989-01-05 Leybold Ag Method for forming high resistance layer by cathode sputtering and device therefor
JPH01502279A (ja) * 1987-02-27 1989-08-10 ヒューズ・エアクラフト・カンパニー 加熱状態にあるクラスター用のキャリアガス供給源
JPH03503425A (ja) * 1988-03-23 1991-08-01 ハーバーラント、ヘルムート 基板上に薄層を形成する装置およびその方法
JP2000087226A (ja) * 1998-09-07 2000-03-28 Japan Science & Technology Corp クラスタ生成装置
JP2000336477A (ja) * 1999-05-28 2000-12-05 Japan Science & Technology Corp 高効率プラズマガス中凝縮クラスター堆積装置
JP2000345332A (ja) * 1999-06-04 2000-12-12 Japan Science & Technology Corp 層状クラスターの製造方法
JP2003247064A (ja) * 2002-02-26 2003-09-05 Japan Science & Technology Corp 半導体又は絶縁体/金属・層状複合クラスタの作製方法及び製造装置
JP2003277915A (ja) * 2002-03-26 2003-10-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜の製造方法及び製造装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01502279A (ja) * 1987-02-27 1989-08-10 ヒューズ・エアクラフト・カンパニー 加熱状態にあるクラスター用のキャリアガス供給源
JPS64263A (en) * 1987-03-20 1989-01-05 Leybold Ag Method for forming high resistance layer by cathode sputtering and device therefor
JPH03503425A (ja) * 1988-03-23 1991-08-01 ハーバーラント、ヘルムート 基板上に薄層を形成する装置およびその方法
JP2000087226A (ja) * 1998-09-07 2000-03-28 Japan Science & Technology Corp クラスタ生成装置
JP2000336477A (ja) * 1999-05-28 2000-12-05 Japan Science & Technology Corp 高効率プラズマガス中凝縮クラスター堆積装置
JP2000345332A (ja) * 1999-06-04 2000-12-12 Japan Science & Technology Corp 層状クラスターの製造方法
JP2003247064A (ja) * 2002-02-26 2003-09-05 Japan Science & Technology Corp 半導体又は絶縁体/金属・層状複合クラスタの作製方法及び製造装置
JP2003277915A (ja) * 2002-03-26 2003-10-02 Matsushita Electric Ind Co Ltd 薄膜の製造方法及び製造装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007208156A (ja) * 2006-02-06 2007-08-16 Nagoya Institute Of Technology 高周波軟磁性体膜及びその製造方法
JP2007332405A (ja) * 2006-06-13 2007-12-27 Osaka Vacuum Ltd クラスター製造装置及びクラスター製造方法
JP2015534269A (ja) * 2012-09-17 2015-11-26 ナノ リソーシーズ リミテッドNano Resources Limited 磁気構造体
JP2014165179A (ja) * 2013-02-21 2014-09-08 Universal Display Corp パターン化有機薄膜の堆積

Also Published As

Publication number Publication date
JP4521174B2 (ja) 2010-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4814986B2 (ja) カーボンナノチューブ成長方法
Vizireanu et al. Plasma techniques for nanostructured carbon materials synthesis. A case study: carbon nanowall growth by low pressure expanding RF plasma
US6417111B2 (en) Plasma processing apparatus
WO2004107825A9 (ja) プラズマ源及びプラズマ処理装置
JP2005350342A (ja) カーボンナノチューブの作製方法及びその方法を実施するプラズマcvd装置
US11821086B2 (en) Particle coating method and particle coating apparatus
JP4257808B2 (ja) 磁性材料のエッチング方法及びプラズマエッチング装置
JP5089898B2 (ja) カーボンナノチューブの成長方法
JP3386175B2 (ja) ガスクラスターイオン援用による化合物薄膜の形成方法
JP4716510B2 (ja) クラスター製造装置及びクラスター製造方法
JP4521174B2 (ja) クラスター製造装置およびクラスター製造方法
JP4485164B2 (ja) 軟磁性材料の製造方法及び製造装置
JPH0380190A (ja) ダイヤモンド様薄膜を形成する方法
JP2017534000A (ja) 金属部片の表面を熱化学処理するためのプラズマプロセスおよびリアクタ
JPH0770058B2 (ja) 磁気記録媒体の製造方法及び製造装置
JPH05117087A (ja) ダイヤモンド様薄膜の保護膜付き物品
CN111663106A (zh) 一种制备高遮挡基体涂层的装置
JP3056827B2 (ja) ダイヤモンド様炭素保護膜を有する物品とその製造方法
US20070110644A1 (en) System for manufacturing a fullerene derivative and method for manufacturing
JPH0758027A (ja) プラズマcvd装置
JP2717853B2 (ja) ダイヤモンド様薄膜、その製造法及び製造装置
JPH01111876A (ja) プラズマ処理による薄膜形成装置
JPS5943988B2 (ja) 超微粒子膜の製造方法および製造装置
JPH01154315A (ja) 磁気記録媒体
CN2661701Y (zh) 一种制备无机化合物薄膜的装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060725

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060728

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061013

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20061013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061013

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091112

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100422

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100524

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130528

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140528

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees