JP2005119920A - 親水膜付き基板の製造方法および親水膜付き基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上にTiO膜とSiO膜とをこの順に有する積層体を、親水性ミラー用の基板として用いることができるように、表面に親水性を持たせるように生産する方法であって、生産効率に優れる方法の提供。
【解決手段】表面に光触媒性のTiO膜を有する基板の前記TiO膜上に、モノシランおよびアルコールを含有する原料ガスを用いて、化学蒸着法によりSiO膜を形成させて、基板上にTiO膜およびSiO膜をこの順に有する親水膜付き基板を得る工程を具備する、親水膜付き基板の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、親水膜付き基板および親水膜付き基板の製造方法に関する。
親水性ミラーは、表面が親水性であり、有機物等の汚れが付着しにくく、汚れが付着しても紫外線の照射により落ちやすいという性質を有する鏡である。親水性ミラーは、このような性質から、自動車等に用いられている。
従来、親水性ミラー用の基板として、ガラス基板上にTiO膜とSiO膜とをこの順に有する積層体を用いることが知られている。ここで、TiO膜は、光触媒性により親水性ミラーの表面に付着した有機物を分解するという役割を果たし、その上のSiO膜は、表面に親水性を持たせるという役割を果たしていると言われている。
そのような積層体として、例えば、特許文献1には、基板部材の表面に、光触媒反応を呈する透明な光触媒反応物質膜を成膜し、その上に透明な無機酸化膜を多孔質状に成膜してなり、該無機酸化膜を素子の最表面に配置して、表面が親水性を呈するように構成してなる防曇素子が記載されている。そして、光触媒反応物質膜としてTiO膜が記載され、無機酸化膜としてSiO膜が記載されている。
更に、特許文献1においては、SiO膜を多孔質状に成膜するのに、蒸着材としてSiOまたはSiOを用いた酸素ガス中での真空蒸着を、蒸着速度を速くしたり、酸素分圧を高くしたりして行うことが記載されている。
また、特許文献2には、基材と、前記基材の表面に形成された光触媒性半導体からなる層と、さらにその表面に形成された親水性の層からなり、前記親水性の層の表面が、前記光触媒性半導体材料の光励起に応じて、親水化されることを特徴とする複合材が記載されている。そして、光触媒性半導体からなる層として無定型酸化チタン層が記載され、親水性の層としてシリカ層が記載されている。
更に、特許文献2においては、シリカ層を形成するのに、フローコーティング法を用いることが記載されている。
しかしながら、SiO膜を形成させる方法として、特許文献1に記載されている真空蒸着法や、特許文献2に記載されているフローコーティング法を用いるのは、生産効率の点で、好ましくない。
また、上述したガラス基板上にTiO膜とSiO膜とをこの順に有する積層体は、すべてが表面の親水性を有しているのではなく、特定のもののみ親水性を有する。例えば、特許文献1においては、SiO膜を多孔質状に成膜することにより、親水性を呈すると記載されている。
特許第2901550号公報 特許第2865065号公報
そこで、ガラス基板上にTiO膜とSiO膜とをこの順に有する積層体を、親水性ミラー用の基板として用いることができるように、表面に親水性を持たせるように生産する方法であって、生産効率に優れる方法が求められている。
また、親水性ミラー用の基板として用いることができる新規な積層体も求められている。
したがって、本発明は、表面に親水性を有する親水膜付き基板の生産効率に優れる製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、新規な親水膜付き基板を提供することを目的とする。
本発明は、以下の(1)〜(9)を提供する。
(1)表面に光触媒性のTiO膜を有する基板の前記TiO膜上に、モノシランおよびアルコールを含有する原料ガスを用いて、化学蒸着法によりSiO膜を形成させて、基板上にTiO膜およびSiO膜をこの順に有する親水膜付き基板を得る工程を具備する、親水膜付き基板の製造方法。
(2)前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一つである、上記(1)に記載の親水膜付き基板の製造方法。
(3)前記原料ガスにおける前記アルコールと前記モノシランの量比が、モル比で、5〜200である、上記(1)または(2)に記載の親水膜付き基板の製造方法。
(4)更に、前記親水膜付き基板を得る工程の前に、前記基板上に前記TiO膜を化学蒸着法により形成させる工程を具備する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の親水膜付き基板の製造方法。
(5)表面に光触媒性のTiO膜を有する基板と、前記TiO膜上のSiOとTiOとの混合膜とを有する、親水膜付き基板。
(6)前記混合膜が化学蒸着法により製造された混合膜である請求項5に記載の親水膜付き基板。
(7)前記化学蒸着法が、原料ガスとして、モノシランを含有するガスと、テトライソプロポキシチタンを含有するガスとを前記基板上で混合させて用いる、上記(6)に記載の親水膜付き基板。
(8)前記化学蒸着法が、前記表面に光触媒性のTiO膜を有する基板を搬送しつつ行われ、かつ、前記テトライソプロポキシチタンを含有するガスを、前記モノシランを含有するガスよりも上流側から吹き出して行われる、上記(7)に記載の親水膜付き基板。
(9)表面に光触媒性のTiO膜を有する基板の前記TiO膜上に、化学蒸着法によりSiOとTiOとの混合膜を形成させて、基板上にTiO膜および前記混合膜をこの順に有する親水膜付き基板を得る工程を具備する、親水膜付き基板の製造方法。
本発明の親水膜付き基板の製造方法は、表面に親水性を有する親水膜付き基板を効率よく製造することができる。
また、本発明の親水膜付き基板は、表面に親水性を有し、自動車用等の親水性ミラーに好適に用いられる。
以下に、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の第一の態様について説明する。
本発明の第一の態様は、表面に光触媒性のTiO膜を有する基板の前記TiO膜上に、モノシランおよびアルコールを含有する原料ガスを用いて、化学蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によりSiO膜を形成させて、基板上にTiO膜およびSiO膜をこの順に有する親水膜付き基板を得る工程を具備する、親水膜付き基板の製造方法である。
本発明の第一の態様においては、モノシランおよびアルコールを含有する原料ガスを用いて、CVD法を行う。このように原料ガスにアルコールを含有させることにより、得られる膜付き基板が表面に親水性を有するようになる。
また、SiO膜の形成にCVD法を用いることにより、特許文献2に記載されているフローコーティング法で必須となる、SiO膜の形成後の後加熱を行う必要がなくなる。また、表面にTiO膜を有する基板のTiO膜をCVD法で形成させることにより、一つのラインで一環して成膜することができるようになる。したがって、本発明の親水膜付き基板の製造方法は、従来の方法に比べて、生産効率に優れる。
本発明の第一の態様においては、CVD法によりSiO膜を形成させるための原料ガスとして、モノシラン(SiH)、酸化性ガスおよびアルコールを含有する原料ガスを用いる。
酸化性ガスしては、例えば、酸素ガス、オゾンガス、炭酸ガス、亜酸化窒素ガス、一酸化窒素ガス、これらの混合ガス(例えば、酸素とオゾンとの混合ガス)が挙げられる。
アルコールは、特に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一つであるのが好ましい。
原料ガスは、モノシラン、酸化性ガスおよびアルコール以外に、不活性ガスを含有していてもよい。
不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガスが挙げられる。
原料ガスにおけるアルコールとモノシランの量比は、モル比で、5〜200であるのが好ましく、10〜50であるのがより好ましい。
原料ガスにおける酸化性ガスとモノシランの量比は、モル比で、10〜400であるのが好ましく、50〜200であるのがより好ましい。
原料ガスは、例えば、モノシランを含有するガスとアルコールを含有するガスと酸化性ガスとを混合して得られる。
モノシランを含有するガスとしては、例えば、シランガス(モノシランガス)、ジシランガス、窒素ガスにより希釈されたシランガス、窒素ガスにより希釈されたジシランガスが挙げられる。
アルコールを含有するガスは、例えば、バブラータンク中の液状のアルコールに不活性ガス(アルコールと反応しないガス)、好ましくは窒素ガスを吹き込み、アルコールを気化させて得ることができる。
モノシランを含有するガスとアルコールを含有するガスと酸化性ガスは、混合される。これらのガスは、混合すると気体分子の拡散現象により均一なガスになるが、ガスミキサー等によりかくはんを行ってもよい。
また、各ガスを別々に基板に吹き付けて、基板上で混合させてもよい。
CVD法は、常圧(大気圧)で行うのが好ましい。
CVD法に用いられる装置としては、従来公知の熱CVD成膜装置を用いることができる。
本発明の第一の態様に用いられる基板は、表面に光触媒性のTiO膜を有する。
本発明に用いられる基板自体は、後述するCVD法を行ったときの温度において耐熱性を有する耐熱性基板であれば特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、ガラス基板、金属基板、セラミックス基板が挙げられる。
ガラス基板は、特に限定されない。例えば、酸化物ガラスが用いられる。
酸化物ガラスは、例えば、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスが挙げられる。
ケイ酸塩ガラスは、例えば、ソーダ石灰ガラス(ソーダライムガラス)、ケイ酸ガラス、ケイ酸アルカリガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。
基板は、光触媒性のTiO膜を有する表面と反対側の面に、1層以上の膜(例えば、反射膜)を有していてもよい。
上述した基板に、直接に、または、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等によって1層以上の膜を形成させた後、表面にTiO膜を形成させる。基板にソーダライムガラスを用いる場合には、TiO膜と基板との間に、基板からのアルカリ成分の拡散防止のためのアンダーコート(アルカリバリア層)として、SiO膜等を形成させるのが好ましい。アルカリバリア層の膜厚は、30〜100nmであるのが好ましい。
基板上のTiO膜は、光触媒性を有するものであれば特に限定されないが、一般に、光触媒性を有するには結晶質が必要とされており、アナターゼ型が用いられている。
TiO膜の膜厚は、5〜100nmであるのが好ましく、5〜50nmであるのがより好ましい。
TiO膜を形成させる方法は、特に限定されず、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等を用いることができるが、中でも、CVD法が好ましい。即ち、本発明は、SiO膜を形成させて親水膜付き基板を得る工程の前に、TiO膜をCVD法により形成させる工程を具備するのが好ましい。
これにより、SiO膜とTiO膜とを、一つのラインで一環して成膜することができるようになり、生産効率がより優れたものとなる。また、CVD法によれば、アナターゼ型のTiO膜が生成しやすく、汚れ分解という光触媒性の高い膜を形成させることができる。
また、表面にTiO膜を有する基板が、TiO膜と基板との間に、1層以上の膜を有する場合には、上記と同様の理由により、その膜もCVD法で形成させるのが好ましい。
基板の形状および大きさは、特に限定されず、例えば、厚みが0.2〜10mmの板状とすることができる。板状の基板は、幅10〜500cmとすることができ、適当な長さに切断されていてもよく、また、切断されていない状態(帯状)であってもよい。
成膜時の基板の温度は、400〜600℃であるのが好ましく、450〜560℃であるのがより好ましい。上記範囲であると、成膜が効率よく行われ、また、基板としてガラス基板を用いた場合に、熱変形がほとんど起こらない。
本発明の第一の態様においては、上述した表面に光触媒性のTiO膜を有する基板のTiO膜上に、上述した原料ガスを用いて、CVD法によりSiO膜を形成させる。
CVD法は、基板を搬送して、原料ガスを吹き付けて行うのが好ましい。基板の搬送速度は、0.1〜15m/minであるのが好ましい。この場合、原料ガスの使用量は、基板幅1mあたり、モノシラン換算で、0.001〜0.75L/minであるのが好ましい。
形成させるSiO膜の膜厚は、特に限定されないが、1〜20nmであるのが好ましく、5〜10nmであるのがより好ましい。上記範囲であると、有機物分解作用および親水性の発現および維持が良好となる。
本発明の第一の態様により得られる、基板上にTiO膜およびSiO膜をこの順に有する親水膜付き基板は、表面に親水性を有する。即ち、有機物等の汚れが付着した場合であっても、紫外線の照射により、光触媒性を有するTiO膜が汚れを分解するため、速やかに親水性が回復する。
本発明の第一の態様により得られる親水膜付き基板が、表面に親水性を有するのは、CVD法の原料ガスにアルコールを含有させたため、Si−O−Siの緻密な構造が乱されてルーズになるからであると考えられる。具体的には、アルコールが燃焼して酸素を消費するので、酸素不足気味になり、また、アルコールに起因するカーボンが残存することなどにより、緻密なSiOにならないということである。
また、一般に、親水性ミラーの製造工程では、ガラス基板の強化のために、成膜後、600〜700℃で後加熱を行うが、この際にも上述したルーズな構造が維持されるので、後加熱をした後においても親水性が維持されると考えられる。
本発明の第一の態様により得られる親水膜付き基板は、表面に汚れが付着しても光触媒性を有するTiO膜が分解するため、表面の親水性を維持できるので、自動車用等の親水性ミラー等に好適に用いられる。
つぎに、本発明の第二の態様について説明する。
本発明の第二の態様は、表面に光触媒性のTiO膜を有する基板と、前記TiO膜上のSiOとTiOとの混合膜とを有する、親水膜付き基板である。
本発明の第二の態様に用いられる表面に光触媒性のTiO膜を有する基板としては、本発明の第一の態様に用いられるのと同じものを用いることができる。また、混合膜を形成させる方法として後述するCVD法を用いない場合は、基板自体として耐熱性基板以外のものを用いることもできる。
本発明の第二の態様の親水膜付き基板は、上述した表面に光触媒性のTiO膜を有する基板の上に、SiOとTiOとの混合膜を有する。これにより、親水性が得られる。
混合膜の膜厚は、1〜50nmであるのが好ましい。
混合膜におけるSiOとTiOの割合は、膜全体の平均で、SiO/TiO=0.25〜4であるのが好ましい。上記範囲であると、表面の親水性が強くなる。
混合膜は、いわゆる傾斜膜であるのが好ましい。具体的には、混合膜中、SiO/TiO混合比が基板側よりもその反対側(表面側)で大きいのが好ましい。上記範囲であると、表面の親水性が強くなる。TiOをSiO膜に混合させることにより、ホールの動く経路が形成され、汚れ分解の効果が発揮されやすくなるので好ましい。
混合膜を形成させる方法は、特に限定されず、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等を用いることができるが、中でも、CVD法が好ましい。
CVD法の原料ガスとしては、モノシランを含有するガスと、テトライソプロポキシチタン(TTIP)を含有するガスと、酸化性ガスとを用いるのが好ましい。
また、これらをあらかじめ混合したガスを用いるのも好ましい。その場合、上述した傾斜膜を得るには、混合比の異なる混合ガスを用いて、2回以上成膜すればよい。
原料ガスは、モノシラン、TTIPおよび酸化性ガス以外に、上記と同様の不活性ガスを含有していてもよい。
原料ガスにおけるモノシランを含有するガスとTTIPを含有するガスの量比は、モル比で、0.25〜4であるのが好ましい。上記範囲であると、有機物分解作用と親水性とを両立することができる。
モノシランを含有するガスとしては、上記と同様のものが挙げられる。
TTIPを含有するガスは、例えば、バブラータンク中の液状のTTIPに不活性ガス(TTIPと反応しないガス)、好ましくは窒素ガスを吹き込み、TTIPを気化させて得ることができる。
酸化性ガスとしては、上記と同様のものが挙げられる。
CVD法は、常圧(大気圧)で行うのが好ましい。
CVD法に用いられる装置としては、従来公知の熱CVD成膜装置を用いることができる。
成膜時の基板の温度は、400〜600℃であるのが好ましく、450〜560℃であるのがより好ましい。上記範囲であると、成膜が効率よく行われ、また、基板としてガラス基板を用いた場合に、熱変形がほとんど起こらない。
本発明の第二の態様においては、上述した表面に光触媒性のTiO膜を有する基板のTiO膜上に、上述した原料ガスを用いて、CVD法により混合膜を形成させる。
CVD法は、基板を搬送して、原料ガスを吹き付けて行うのが好ましい。特に、TTIPを含有するガスを、モノシランを含有するガスよりも上流側から吹き出して行うのが好ましい。これにより、上述した傾斜膜が得られる。
基板の搬送速度は、0.1〜15m/minであるのが好ましい。
本発明の第二の態様の基板上にSiOとTiOとの混合膜とを有する親水膜付き基板は、表面に親水性を有する。即ち、有機物等の汚れが付着した場合であっても、紫外線の照射により、速やかに親水性が回復する。
本発明の第二の態様の親水膜付き基板が、表面に親水性を有するのは、TiOをSiO膜に混合させることにより、ホールの動く経路が形成され、汚れ分解の効果が発揮されやすくなるからであると考えられる。
本発明の第二の態様の親水膜付き基板は、表面に親水性を有するため、自動車用等の親水性ミラー等に好適に用いられる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
1.膜付き基板の製造
(実施例1−1)
ガラス基板の上に、膜厚50nmのSiO膜および膜厚50nmのTiO膜をこの順にそれぞれCVD法で形成させた。その後、TiO膜の上に、膜厚10nmのSiO膜をCVD法で形成させ、膜付き基板を得た。具体的には以下の手順で行った。
まず、ソーダライムガラスからなるガラス基板(30cm×30cm×1.0mm)を十分に洗浄した。ついで、毎分2Lの窒素希釈シランガス(モノシラン濃度5%)と毎分10Lの酸素ガスとを、500℃に加熱したガラス基板に同時に吹き付けて膜厚50nmのSiO膜を形成させ、SiO膜付きガラス基板を得た。
ついで、毎分0.11Lのテトライソプロポキシチタン(TTIP)ガスを500℃に保持したSiO膜付きガラス基板に吹き付けて、SiO膜上に膜厚50nmのTiO膜を形成させ、TiO膜付きガラス基板を得た。なお、TTIPガスは、TTIPを100℃に保持したバブラータンクに入れ、毎分10Lの窒素ガスをバブラータンクに供給してTTIPを気化させて得た。
更に、毎分0.8Lの窒素希釈シランガス(モノシラン濃度5モル%)、毎分4Lの酸素ガスおよび毎分0.8Lのメタノールガスを混合させた後(メタノール/モノシラン=20(モル比))、500℃に保持したTiO膜付きガラス基板に吹き付けて、TiO膜上に膜厚10nmのSiO膜を形成させた。なお、メタノールガスは、メタノールを55℃に保持したバブラータンクに入れ、毎分0.4Lの窒素ガスをバブラータンクに供給してメタノールを気化させて得た。
(実施例1−2)
TiO膜付きガラス基板に吹き付ける前に混合させたメタノールガスの量を毎分4L(メタノール/モノシラン=100(モル比))とした以外は、実施例1−1と同様の方法により、膜付き基板を得た。
(実施例2−1)
ガラス基板の上に、膜厚50nmのSiO膜および膜厚50nmのTiO膜をこの順にそれぞれCVD法で形成させた。その後、TiO膜の上に、膜厚20nmのSiO/TiO混合膜をCVD法で形成させ、膜付き基板を得た。具体的には以下の手順で行った。
まず、実施例1と同様の方法により、TiO膜付きガラス基板を得た。
更に、毎分0.4Lの窒素希釈シランガス(モノシラン濃度5モル%)、毎分2Lの酸素ガスおよび毎分0.01LのTTIPガスを同時に、500℃に保持したTiO膜付きガラス基板に吹き付けて、TiO膜上に膜厚20nmのSiO/TiO混合膜を形成させた。なお、TTIPガスは、TTIPを100℃に保持したバブラータンクに入れ、毎分1Lの窒素ガスをバブラータンクに供給してTTIPを気化させて得た。また、TTIPガスは、窒素希釈シランガスよりも上流側から吹き出した。
(実施例2−2)
TiO膜付きガラス基板に同時に吹き付けるガスとして、毎分0.1Lの窒素希釈シランガス(モノシラン濃度5モル%)、毎分0.05Lの酸素ガスおよび毎分0.06LのTTIPガスを用いた以外は、実施例2−1と同様の方法により、膜付き基板を得た。
(比較例)
ガラス基板の上に、膜厚50nmのSiO膜および膜厚50nmのTiO膜をこの順にそれぞれCVD法で形成させた。その後、TiO膜の上に、膜厚10nmのSiO膜をCVD法で形成させ、膜付き基板を得た。具体的には以下の手順で行った。
まず、実施例1と同様の方法により、TiO膜付きガラス基板を得た。
更に、毎分0.4Lの窒素希釈シランガス(モノシラン濃度5%)および毎分2Lの酸素ガスを同時に、500℃に保持したTiO膜付きガラス基板に吹き付けて、TiO膜上に膜厚10nmのSiO膜を形成させた。
2.膜付き基板の評価
上記で得られた膜付き基板について、以下のようにして、水との接触角により、膜側の表面の親水性を評価した。
まず、膜付き基板をUVオゾン洗浄に供した。洗浄後の膜付き基板の表面の水との接触角を測定したところ、すべての実施例および比較例において5°以下であった。
ついで、洗浄後の膜付き基板の上にスポイトで、約0.2mLのオレイン酸を滴下し、ガーゼで軽く拭き取ることにより、オレイン酸を塗布した。オレイン酸塗布後の膜付き基板の表面の水との接触角を測定したところ、いずれも50〜70°になっていた。
更に、オレイン酸塗布後の膜付き基板に、紫外線を5mW/cmの照射強度で連続的に照射し、表面の水との接触角の経時変化を測定した。
結果を図1に示す。
図1から明らかなように、本発明の親水膜付き基板の製造方法により得られた膜付き基板(実施例1−1および1−2)および本発明の親水膜付き基板(実施例2−1および2−2)は、いずれも紫外線の照射により、水との接触角が小さくなっていた。即ち、有機物が付着した場合であっても、紫外線の照射により、速やかに親水性が回復した。
これに対して、アルコールを含有しない原料ガスを用いてSiO膜を成膜した場合(比較例)は、有機物が付着した場合、紫外線の照射によっても、親水性が回復しなかった。
実施例における膜付き基板の表面の水との接触角の紫外線照射時の経時変化を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 表面に光触媒性のTiO膜を有する基板の前記TiO膜上に、モノシラン、酸化性ガスおよびアルコールを含有する原料ガスを用いて、化学蒸着法によりSiO膜を形成させて、基板上にTiO膜およびSiO膜をこの順に有する親水膜付き基板を得る工程を具備する、親水膜付き基板の製造方法。
  2. 前記アルコールがメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールおよびエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1に記載の親水膜付き基板の製造方法。
  3. 前記原料ガスにおける前記アルコールと前記モノシランの量比が、モル比で、5〜200である、請求項1または2に記載の親水膜付き基板の製造方法。
  4. 更に、前記親水膜付き基板を得る工程の前に、前記基板上に前記TiO膜を化学蒸着法により形成させる工程を具備する、請求項1〜3のいずれかに記載の親水膜付き基板の製造方法。
  5. 表面に光触媒性のTiO膜を有する基板と、前記TiO膜上のSiOとTiOとの混合膜とを有する、親水膜付き基板。
  6. 前記混合膜が化学蒸着法により製造された混合膜である請求項5に記載の親水膜付き基板。
  7. 前記化学蒸着法が、原料ガスとして、モノシランを含有するガスと、テトライソプロポキシチタンを含有するガスと、酸化性ガスとを前記基板上で混合させて用いる、請求項6に記載の親水膜付き基板。
  8. 前記化学蒸着法が、前記表面に光触媒性のTiO膜を有する基板を搬送しつつ行われ、かつ、前記テトライソプロポキシチタンを含有するガスを、前記モノシランを含有するガスよりも上流側から吹き出して行われる、請求項7に記載の親水膜付き基板。
  9. 表面に光触媒性のTiO膜を有する基板の前記TiO膜上に、化学蒸着法によりSiOとTiOとの混合膜を形成させて、基板上にTiO膜および前記混合膜をこの順に有する親水膜付き基板を得る工程を具備する、親水膜付き基板の製造方法。
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