JP2005119062A - ポリ乳酸系多層シートおよびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系多層シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性、透明性に優れ、耐折強さが大きく、かつ表面形状の良好なポリ乳酸シートを提供すること。
【解決手段】乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を重量比で10:90〜90:10の範囲で有する乳酸系ポリエステル組成物または、乳酸系ポリエステル組成物とポリ乳酸からなる層Iと、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を0.1〜5重量%含むポリ乳酸組成物からなる層IIを有し、かつ面配向度(ΔP)が0.0300以下で、さらに示差走査熱量計で0℃から融点まで10℃/分の速度で昇温したときに測定される、樹脂の結晶化に伴う発熱量が15J/g以下であることを特徴とする耐熱ポリ乳酸シート、およびポリ乳酸系多層シートの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリ乳酸系多層シートおよびその製造方法に関する。詳しくは、耐折強さ及び透明性に優れ、かつ耐熱性に優れ、表面形状の良好なポリ乳酸系多層シートおよびその製造方法に関する。
従来、広く用いられている樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が知られており、各種容器等の成形品やゴミ袋、包装袋等に使用されている。しかしながら、これらの樹脂は石油を原料としているため、使用後廃棄する際、焼却により地球上の二酸化炭素を増大させ、地球温暖化を助長させてしまう。また、焼却せずに埋設処理しても、自然環境下で殆ど分解されないために半永久的に地中に残留する。また投棄されたこれらのプラスチック類により、景観が損なわれ、海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こっている。
近年、植物由来の原料や微生物により得られる熱可塑性樹脂が注目されている。これらの樹脂は、石油を原料としない、環境循環型の素材であり、焼却してもで地球上の二酸化炭素を増大させず、また、焼却せずに埋設処理した場合は、微生物により分解されるため、環境破壊を招くことも少ない。このような樹脂としては、ポリ乳酸やポリヒドロキシ酪酸等があり、特にポリ乳酸はガラス転移点(Tg)が60℃と最も高く、透明であることなどから、将来性のある素材として、各種成形材料への用途開発が進められている。
しかしながら、ポリ乳酸は脆く、耐衝撃性が低い。このため、ポリ乳酸からなる成形品は割れやすくなり、またJIS−P8115による未延伸シートの耐折強さも非常に低いため、例えばポリ乳酸のシートを裁断したり、折り曲げ加工するときにひび割れを生じたりするなど、加工性にも問題がある。
さらに、ポリ乳酸のTgは約60℃であり、ポリエチレンテレフタレートに比べると約15℃低く、このため、ポリ乳酸からなる未延伸シートを夏の倉庫内や日当たりの良い室内など高温となる場所で保管あるいは使用すると、軟化、変形してしまう。
ポリ乳酸の脆さの改善については、i)可塑剤の添加、ii)軟質ポリマーのブレンド等の方法が知られている。このi)可塑剤の添加については、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5などに記載されている。しかしながら、可塑剤の添加により、ポリ乳酸樹脂は柔らかくなるが、脆さ、特にJIS−P8115による未延伸シートの耐折強さの増加はわずかであり、折り曲げ加工などを行う際の加工性や、折り曲げた部分の強度は実用レベルにはほど遠い。
またii)軟質ポリマーの添加の方法では、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9などには、ポリ乳酸にポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルをブレンドすることにより、ポリ乳酸の耐衝撃性を改善することが記載されている。しかしながら、これらの脂肪族ポリエステルとポリ乳酸の相溶性が低いため、透明性が低いものしか得られない。一方脂肪族ポリエステルとしてポリ乳酸と脂肪族ポリエステルの共重合ポリエステルをポリ乳酸にブレンドする方法も特許文献10、特許文献11に記載されている。この方法によれば、透明性を有し、かつ耐衝撃性を向上させることができるが、耐熱性向上についての記載はない。
一方、ポリ乳酸からなる成形品の耐熱性を向上させるため、成形品を熱処理して結晶化
させる(特許文献12)、あるいは、延伸配向結晶化させる(特許文献13)方法が提案されているが、ポリ乳酸は結晶化速度が低く、成形品を熱処理すると不透明になってしまうという問題があり、また延伸配向結晶化による方法では、透明で耐熱性のあるシートができるが、十分な耐熱性を発現させるためには、縦方向と横方向に少なくとも2倍以上延伸する必要があり、大がかりで高価な設備が必要であるばかりでなく、350μm以上の厚いシートの製造が難しい。さらに、ポリ乳酸は結晶化速度が遅いため、延伸倍率が高いと、その後ヒートセットを十分に行っても、延伸による歪みが解消されず、Tg以上に加熱すると歪みの開放による変形が生じてしまう。
また、特定の結晶核剤をポリ乳酸に添加することで、結晶化速度を高め、加熱結晶化しても透明性を維持する方法が特許文献14、特許文献15に開示されているが、非晶状態の成形品をTg以上に加熱すると、結晶化が進行する前に変形してしまうため、形状の良好な成形品、特にシート状の成形品を得ることは難しい。
我々は先に、透明性と耐熱性に優れ、表面形状の良好なポリ乳酸シートとして、特定の結晶核剤を特定量含有し、特定の面配向度を有するシートを提案した(特願2002−358058)。しかしながら、耐折強さが十分でなく、特に面配向度が小さい場合や、延伸前のシートが割れやすいという問題があることが判明した。また、我々は、結晶化速度が速く、かつ耐折強さが大きく、透明性に優れたポリ乳酸樹脂組成物として、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルからなるポリ乳酸系組成物と透明核剤をポリ乳酸にブレンドした樹脂組成物を提案している(特願2002−317450)。これによると、結晶化速度が速く、かつ耐折強さも大きいため、割れにくく、耐熱性のあるシートが得られる。しかしながら透明性については、おおむね良好ではあるものの、クリアケースなどの透明性を要求される用途にはやや不十分であることが判明した。
特開平4−335060号公報 特開平10−316846号公報 特開2002−59499号公報 特開2002−60604号公報 特開2002−80703号公報 特開平9−111107号公報 特開平9−272794号公報 特開平11−222528号公報 特開2001−151906号公報 特開平11−124495号公報 特開2001−335623号公報 特開平9−12748号公報 特開平7−308961号公報 特開平9−278991号公報 特開平11−5849号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、透明性に優れ、耐折強さが大きく、かつ表面形状の良好なポリ乳酸シートを提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、特定の乳酸系ポリエステル組成物及びポリ乳酸からなる層と、特定の結晶核剤を特定量ポリ乳酸に添加した層を有し、さらに特定の面配向度と結晶状態のシートが耐折強さが大きく、優れた耐熱性、透明性を有すること、また特定の乳酸系ポリエステル組成物及びポリ乳酸からなる層と、特定の結晶核剤を特定量ポリ乳酸に添加した層を有する未延伸シートを特定の温度で一軸延伸、又は二軸延伸することで耐折強さが大きく、耐熱性、透明性に優れ、かつ形状の良好なポリ乳酸シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を重量比で10:90〜90:10の範囲で有する乳酸系ポリエステル組成物または、乳酸系ポリエステル組成物とポリ乳酸からなる層Iと、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を0.1〜5重量%含むポリ乳酸組成物からなる層IIを有し、かつ面配向度(ΔP)が0.0300以下で、さらに示差走査熱量計で0℃から融点まで10℃/分の速度で昇温したときに測定される、樹脂の結晶化に伴う発熱量が15J/g以下であることを特徴とする耐熱ポリ乳酸シート、および乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を重量比で10:90〜90:10の範囲で有する乳酸系ポリエステル組成物及びポリ乳酸からなる層Iと、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を0.1〜5重量%含むポリ乳酸組成物からなる層IIを有する未延伸シートを80℃以上ポリ乳酸樹脂の融点未満の温度で1.1〜3倍に一軸延伸、又は二軸延伸することを特徴とするポリ乳酸系多層シートの製造方法である。
本発明のポリ乳酸樹脂よりなるシートは、優れた耐熱性及び耐折強さを有し、かつ透明性が高く、表面形状の良好なシートであり、シートが割れにくく、取り扱いが容易で、これまでポリ乳酸シートでは耐熱性が不足するため使用することが難しかった用途に使用できる。
乳酸成分(I)としては、乳酸、ラクタイド、ポリ乳酸又はポリラクタイドが挙げられる。ラクタイドは、乳酸2分子が環状二量化した化合物で、立体異性体を有するモノマーであり、L−乳酸2分子からなるL−ラクタイド、D−乳酸2分子からなるD−ラクタイド、及びD−乳酸及びL−乳酸からなるmeso−ラクタイドが挙げられる。
L−ラクタイド又はD−ラクタイドのみを含む共重合体は結晶化し、高融点である。従って、用途に応じて3種類のラクタイドを種々の割合で組み合わせることにより、乳酸系ポリエステル組成物の特性を調整することができる。
乳酸成分(I)としては、ポリ乳酸が好ましい。原料としてポリ乳酸を用いた場合、得られる乳酸系ポリエステル組成物は、分子量が高く、優れた耐折強さを付与することができる。
ポリエステル成分(II)は、ジカルボン酸及びジオール、あるいはラクトンから得られる。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸;フマル酸の如き不飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸などの炭素原子数4〜45のジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸は、これらに限定されるものではない。また、これらのジカルボン酸は2種類以上併用して用いることもできる。
これらのジカルボン酸の中でも、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸又は水添ダイマー酸の如き不飽和結合を有していても良い炭素原子数4〜12のジカルボン酸又は不飽和結合を有していても良い炭素原子数20〜45のジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸として芳香族ジカルボン酸を用いたポリエステルは、ガラス転移点(Tg)が高くなる傾向にあるので、芳香族ジカルボン酸を用いる場合には、耐折強さを損なわない程度の量と材料を選択することが好ましい。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、キシリレングリコール、フェニルエチレングリコールなどの炭素原子数2〜45の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物などの芳香族ジオールが挙げられる。これらのジオールは、2種類以上併用して使用することもできる。
これらのジオールの中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物が好ましい。
また、ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン等が挙げられる。
これらのジカルボン酸、ジオール、カプロラクトンの組み合わせに制限はないが、脂肪族ポリエステルとなる組み合わせ(脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、またはカプロラクトン、およびこれらの3種の組み合わせ)の割合は30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%である。脂肪族ポリエステルとなる組み合わせの割合が30モル%未満の場合、得られるシートの透明性、耐折強さが低下する。
ポリエステル成分(II)の重量平均分子量には、特に制限がないが、ポリ乳酸とブレンドしてポリ乳酸系樹脂組成物を得るためには、分子量が高い方が樹脂組成物が得やすく、2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることが更に好ましく、10,000〜200,000の範囲にあることがより好ましく、20,000〜150,000の範囲にあることが更に好ましく、20,000〜100,000の範囲にあることが特に好ましい。
ポリエステル成分(II)の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ジカルボン酸とジオールをエステル化させた後、触媒を添加し、高温、減圧下で重合反応を行う方法が挙げられる。また必要に応じて、得られたポリマーを固体状態で、窒素気流下あるいは減圧下で加熱して重合する固相重合を行ってもよい。
分子量100,000以上の高分子量ポリエステル成分(II)は、得られたポリエステルに、さらに、鎖伸長剤として酸無水物あるいはポリイソシアネートを反応させることにより、製造することができる。本発明で使用するポリエステル成分(II)は、このようにポリイソシアネートを鎖伸長剤として用いて得られるポリイソシアネート変性ポリエステルをも包含する。
次に、乳酸系ポリエステルについて説明する。本発明の乳酸系ポリエステルは、乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)とを重量比で(I):(II)=90:10〜10:90、好ましくは60:40〜10:90、より好ましくは50:50〜10:90、特に好ましくは50:50〜15:85から得られる乳酸系ポリエステルである。
乳酸系ポリエステルは、その重量平均分子量が10,000以上のものが好ましい。さらに、ポリ乳酸系多層シートの耐折強さ向上のためには、重量平均分子量が20,000〜200,000の範囲のものが好ましく、30,000〜200,000の範囲のものがより好ましい。一方、分子量の上限は特にないが、一般的に200,000以下であり、使用しやすさから150,000以下である。
本発明の乳酸系ポリエステルの製造方法としては、例えば、(1)ラクタイドとポリエステル成分(II)とを、重合触媒の存在下で反応させる方法、(2)乳酸を重縮合してポリ乳酸を得、該ポリ乳酸をポリエステル成分(II)存在下で更に脱水、重縮合することによって得る方法、(3)乳酸又はラクタイドから得られたポリ乳酸とポリエステル成分(II)とを溶融混練することにより得る方法などが挙げられる。
以上述べた乳酸系ポリエステルとポリ乳酸からなる層I中のポリ乳酸の含有率は高々99重量%、好ましくは30〜97重量%、更に好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜95重量%であるである。ポリ乳酸の含有率が99%を超えると得られるシートの耐折強さが低下する。また、ポリ乳酸を構成するL−乳酸成分とD−乳酸成分の比率は、ポリ乳酸の取り扱い易さや得られるシートの特性等に応じて適宜選択される。結晶核
剤を添加しておらず、かつ配向していないポリ乳酸の場合、熱処理による結晶化で失透しやすいので、L/D比又はD/L比を重量比で98/2〜2/98、好ましくは95/5〜5/95、特に好ましくは10/90〜90/10の範囲とすれば、得られる多層シートの配向度が低い場合、これを延伸、ヒートセットした際、層Iの透明性が低下しないため好ましい
次に透明核剤について説明する。本発明では、ポリ乳酸系シートの結晶化速度を高め、透明性、耐熱性を向上させるために透明核剤を添加した層IIが必要がある。本発明において用いられる透明核剤は、ポリ乳酸との相溶性が良好である必要があり、かつ結晶化速度を高め、かつ、結晶化した時は透明性を維持するものでなければならない。このような透明核剤としては、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルが挙げられる。
本発明で用いられる脂肪族カルボン酸アミドとしては、通常アミド結合と呼ばれる結合を有する化合物であり、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸アミドであれば、特に制限されない。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン酸アミドが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。本発明における脂肪族カルボン酸アミドとしては、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類、N−置換尿素類が挙げられる。
脂肪族カルボン酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類;N,N´−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N´−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N´−ジステアリルテレフタル酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類;N−ブチル−N´−ステアリル尿素、N−プロピル−N´−ステアリル尿素、N−ステアリル−N´−ステアリル尿素、N−フェニル−N´−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN−置換尿素類が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でも、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類が好適に用いられ、特に、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸ア
ミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いる脂肪族カルボン酸塩としては、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸塩であれば、特に制限されない。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン塩が液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。本発明で使用する脂肪族カルボン酸塩は下記一般式(1)に示される化合物を包含する。
R−COOM (1)
(Rは、炭素原子数10〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ベリリウム、バリウム、銅、ニッケル、鉛、タリウム、亜鉛及び銀である。)
脂肪族カルボン酸塩の具体例としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀等のミリスチン酸塩;パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミチン酸コバルト等のパルミチン酸塩;オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル等のオレイン酸塩;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム等のステアリン酸塩;イソステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリン酸塩;ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、べヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、べヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩;モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル等のモンタン酸塩等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に、ステアリン酸の塩類やモンタン酸の塩類が好適に用いられ、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウムが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いる脂肪族アルコールとしては、融点が40〜300℃の脂肪族モノアルコール及び脂肪族多価アルコールであり、一般式(2)で示される化合物である。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族アルコールが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。
X−R−OH (2)
(Rは、炭素原子数が6〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐若しくは環状の炭化水素基であり、Xは、水素原子又は水酸基)
脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、脂肪族モノアルコール類、脂肪族多価アルコール類、環状アルコール類が挙げられる。例えば、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の脂肪族モノアルコール類;1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族多価アルコール類;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の環状アルコール類等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に脂肪族モノアルコール類が好適に用いられ、特にステアリルアルコールが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いられる脂肪族カルボン酸エステルには、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸エステルであり、下記一般式(3)で表される脂肪族モノカルボン酸エステル、一般式(4)で表されるエチレングリコールモノエステル及びエチレングリコールジエステル、一般式(5)で表されるグリセリンモノエステル、グリセリンジエステル及びグリセリントリエステルが包含される。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン酸エステルが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。
−COOR (3)
Figure 2005119062
Figure 2005119062
(R、Rは、炭素原子数が10〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、X、X、X、X、Xは水素原子又は炭素原子数1〜40の飽和若しくは不飽和、又は直鎖若しくは分岐のアシル基であり、n、n、n、n、nは、同じであっても異なってもよく、0〜4の整数である。)
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、例えば、ラウリン酸セチルエステル、ラウリン酸フェナシルエステル、ミリスチン酸セチルエステル、ミリスチン酸フェナシルエステル、パルミチン酸イソプロピリデンエステル、パルミチン酸ドデシルエステル、パルミチン酸テトラドデシルエステル、パルミチン酸ペンタデシルエステル、パルミチン酸オ
クタデシルエステル、パルミチン酸セチルエステル、パルミチン酸フェニルエステル、パルミチン酸フェナシルエステル、ステアリン酸セチルエステル、べヘニン酸エチルエステル等の脂肪族モノカルボン酸エステル類;モノラウリン酸グリコール、モノパルミチン酸グリコール、モノステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのモノエステル類;ジラウリン酸グリコール、ジパルミチン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのジエステル類;モノラウリン酸グリセリンエステル、モノミリスチン酸グリセリンエステル、モノパルミチン酸グリセリンエステル、モノステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのモノエステル類;ジラウリン酸グリセリンエステル、ジミリスチン酸グリセリンエステル、ジパルミチン酸グリセリンエステル、ジステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのジエステル類;トリラウリン酸グリセリンエステル、トリミリスチン酸グリセリンエステル、トリパルミチン酸グリセリンエステル、トリステアリン酸グリセリンエステル、パルミトジオレイン、パルミトジステアリン、オレオジステアリン等のグリセリンのトリエステル類等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもエチレングリコールのジエステル類が好適であり、特にエチレングリコールジステアレートが好適に用いられる。
これらの透明核剤の添加量は、ポリ乳酸組成物全体に対して、0.1〜5重量%であり、好ましくは、0.3〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%、最も好ましくは0.8〜1.2重量%である。0.1重量%より小さいと、透明核剤としての効果が不十分となり結晶化速度が低くなるばかりか、結晶化したときの透明性も悪化する。逆に5重量%より大きくなると、さらなる透明核剤としての効果は得られなくなるばかりか、透明結晶核剤が樹脂に完全に溶解しないため、シートの透明性が悪化する。またポリ乳酸を構成するL−乳酸成分とD−乳酸成分のL/D比又はD/L比を重量比で100/0〜90/10、好ましくは100/0〜95/5、特に好ましくは100/0〜98.5/1.5の範囲とすれば、結晶化速度が速くなるため好ましい。
本発明のポリ乳酸系多層シート全体に対する上記層Iと層IIの割合はそれぞれ20〜80%であることが必要である。層Iが20%未満の場合、多層シートの耐折強さが不足し、割れやすくなる。また、層IIが20%未満では耐熱性のある多層シートとならない。より好ましい層Iと層IIの割合はそれぞれ30〜70%、特に好ましくは40〜60%である。
また層Iおよび層IIの構成は特に制限はなく、例えば層Iを内層、層IIを表層(上下層)とした三層構造であってもよい。層Iに含まれる乳酸系ポリエステルの中には成分である脂肪族ポリエステルがブリードアウトしやすい場合があるため、乳酸系ポリエステルの含有量が多い場合は、層Iを内層とする方が好ましい。
本発明のシートの面配向度(ΔP)は0.0300以下であることが好ましい。ΔPはシートの厚み方向に対する面方向の配向度を表し、通常、直交3軸方向の屈折率を測定し、以下の式で算出される。
ΔP={(γ+β)/2}−α
ここで、γ、βがシート面に平行な直交2軸の屈折率、αはシート厚さ方向の屈折率である。
ΔPが0.0300を超えると、シートの延伸歪みが大きくなり、Tgを超える高温状態で、延伸歪みの開放による変形が生じやすくなり、耐熱性が低下する。ΔPの好ましい範囲は0〜0.0200であり、特に好ましくが0.0001〜0.0100、さらに好ましくは0.0010〜0.0050である。
また、本発明のポリ乳酸シートは、さらに示差走査熱量計で0℃から融点まで10℃/
分の速度で昇温したときに測定される、樹脂の結晶化に伴う発熱量(ΔH)が15J/g以下であるシートである。ΔHが15J/gを超えると、耐熱性があるシートとはならない、ΔHは、好ましくは10J/g以下、特に好ましくは5J/g以下である。さらに好ましくは1J/g以下である。
本発明のシートの透明性は、0.3mmの厚さのもので、ヘイズは20%以下であることが好ましい。さらに好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下である。
本発明に係るポリ乳酸系多層シートには、目的(例えば、引張強度、耐熱性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤等)などを添加することができる。例えば、シートのブロッキング防止やすべり性を改良するために、無機添加剤や滑剤を添加することが推奨される。
無機添加剤としては、シリカ(SiO)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、カオリナイト、酸化亜鉛等が挙げられ、特にシリカが好適である。又、これ等は一種又は二種以上の混合物として用いることもできる。
無機添加剤の添加量は、一般的には、0.05〜15重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%がよい。その添加量は目的とするシート成形時の成形性、得られたシートの耐ブロッキング性、滑り性が良好となる最適量が適宜選択される。
次に、本発明の耐熱ポリ乳酸シートの製造方法について説明する。乳酸成分(I)としては、乳酸、ラクタイド、ポリ乳酸又はポリラクタイドが挙げられる。ラクタイドは、乳酸2分子が環状二量化した化合物で、立体異性体を有するモノマーであり、L−乳酸2分子からなるL−ラクタイド、D−乳酸2分子からなるD−ラクタイド、及びD−乳酸及びL−乳酸からなるmeso−ラクタイドが挙げられる。
L−ラクタイド又はD−ラクタイドのみを含む共重合体は結晶化し、高融点である。従って、用途に応じて3種類のラクタイドを種々の割合で組み合わせることにより、乳酸系ポリエステル組成物の特性を調整することができる。
乳酸成分(I)としては、ポリ乳酸が好ましい。原料としてポリ乳酸を用いた場合、得られる乳酸系ポリエステル組成物は、分子量が高く、優れた耐折強さを付与することができる。
ポリエステル成分(II)は、ジカルボン酸及びジオール、あるいはラクトンから得られる。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸;フマル酸の如き不飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸などの炭素原子数4〜45のジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸は、これらに限定されるものではない。また、これらのジカルボン酸は2種類以上併用して用いることもできる。
これらのジカルボン酸の中でも、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル
酸、ダイマー酸又は水添ダイマー酸の如き不飽和結合を有していても良い炭素原子数4〜12のジカルボン酸又は不飽和結合を有していても良い炭素原子数20〜45のジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸として芳香族ジカルボン酸を用いたポリエステルは、ガラス転移点(Tg)が高くなる傾向にあるので、芳香族ジカルボン酸を用いる場合には、耐折強さを損なわない程度の量と材料を選択することが好ましい。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、キシリレングリコール、フェニルエチレングリコールなどの炭素原子数2〜45の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物などの芳香族ジオールが挙げられる。これらのジオールは、2種類以上併用して使用することもできる。
これらのジオールの中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物が好ましい。
また、ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン等が挙げられる。
これらのジカルボン酸、ジオール、カプロラクトンの組み合わせに制限はないが、脂肪族ポリエステルとなる組み合わせ(脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、またはカプロラクトン、およびこれらの3種の組み合わせ)の割合は30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%である。脂肪族ポリエステルとなる組み合わせの割合が30モル%未満の場合、得られるシートの透明性、耐折強さが低下する。
ポリエステル成分(II)の重量平均分子量には、特に制限がないが、ポリ乳酸とブレンドしてポリ乳酸系樹脂組成物を得るためには、分子量が高い方が樹脂組成物が得やすく、2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることが更に好ましく、10,000〜200,000の範囲にあることがより好ましく、20,000〜150,000の範囲にあることが更に好ましく、20,000〜100,000の範囲にあることが特に好ましい。
ポリエステル成分(II)の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例
えば、ジカルボン酸とジオールをエステル化させた後、触媒を添加し、高温、減圧下で重合反応を行う方法が挙げられる。また必要に応じて、得られたポリマーを固体状態で、窒素気流下あるいは減圧下で加熱して重合する固相重合を行ってもよい。
分子量100,000以上の高分子量ポリエステル成分(II)は、得られたポリエステルに、さらに、鎖伸長剤として酸無水物あるいはポリイソシアネートを反応させることにより、製造することができる。本発明で使用するポリエステル成分(II)は、このようにポリイソシアネートを鎖伸長剤として用いて得られるポリイソシアネート変性ポリエステルをも包含する。
次に、乳酸系ポリエステルについて説明する。本発明の乳酸系ポリエステルは、乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)とを重量比で(I):(II)=90:10〜10:90、好ましくは60:40〜10:90、より好ましくは50:50〜10:90、特に好ましくは50:50〜15:85から得られる乳酸系ポリエステルである。
乳酸系ポリエステルは、その重量平均分子量が10,000以上のものが好ましい。さらに、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐折強さ向上のためには、重量平均分子量が20,000〜200,000の範囲のものが好ましく、30,000〜200,000の範囲のものがより好ましい。一方、分子量の上限は特にないが、一般的に200,000以下であり、使用しやすさから150,000以下である。
本発明の乳酸系ポリエステルの製造方法としては、例えば、(1)ラクタイドとポリエステル成分(II)とを、重合触媒の存在下で反応させる方法、(2)乳酸を重縮合してポリ乳酸を得、該ポリ乳酸をポリエステル成分(II)存在下で更に脱水、重縮合することによって得る方法、(3)乳酸又はラクタイドから得られたポリ乳酸とポリエステル成分(II)とを溶融混練することにより得る方法などが挙げられる。
以上述べた乳酸系ポリエステルとポリ乳酸からなる層I中のポリ乳酸の含有率は高々99重量%、好ましくは30〜97重量%、更に好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜95重量%であるである。ポリ乳酸の含有率が99%を超えると得られるシートの耐折強さが低下する。また、ポリ乳酸を構成するL−乳酸成分とD−乳酸成分の比率は、ポリ乳酸の取り扱い易さや得られるシートの特性等に応じて適宜選択される。結晶核剤を添加しておらず、かつ配向していないポリ乳酸の場合、熱処理による結晶化で失透しやすいので、L/D比又はD/L比を重量比で98/2〜2/98、好ましくは95/5〜5/95、特に好ましくは10/90〜90/10の範囲とすれば、得られる多層シートの配向度が低い場合、これを延伸、ヒートセットした際、層Iの透明性が低下しないため好ましい
次に透明核剤について説明する。本発明では、ポリ乳酸系シートの結晶化速度を高め、耐熱性を向上させるために透明核剤を添加した層IIが必要である。本発明において用いられる透明核剤は、ポリ乳酸との相溶性が良好である必要があり、かつ結晶化速度を高め、かつ、結晶化した時は透明性を維持するものでなければならない。このような透明核剤としては、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルが挙げられる。
本発明で用いられる脂肪族カルボン酸アミドとしては、通常アミド結合と呼ばれる結合を有する化合物であり、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸アミドであれば、特に制限されない。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン酸アミドが液化す
ることによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。本発明における脂肪族カルボン酸アミドとしては、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類、N−置換尿素類が挙げられる。
脂肪族カルボン酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類;N,N´−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N´−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N´−ジステアリルテレフ夕ル酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類;N−ブチル−N´−ステアリル尿素、N−プロピル−N´−ステアリル尿素、N−ステアリル−N´−ステアリル尿素、N−フェニル−N´−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN−置換尿素類が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でも、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類が好適に用いられ、特に、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いる脂肪族カルボン酸塩としては、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸塩であれば、特に制限されない。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン塩が液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。本発明で使用する脂肪族カルボン酸塩は下記一般式(1)に示される化合物を包含する。
R−COOM (1)
(Rは、炭素原子数10〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ベリリウム、バリウム、銅、ニッケル、鉛、タリウム、亜鉛及び銀である。)
脂肪族カルボン酸塩の具体例としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カ
リウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀等のミリスチン酸塩;パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミチン酸コバルト等のパルミチン酸塩;オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル等のオレイン酸塩;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム等のステアリン酸塩;イソステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリン酸塩;ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、べヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、べヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩;モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル等のモンタン酸塩等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に、ステアリン酸の塩類やモンタン酸の塩類が好適に用いられ、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウムが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いる脂肪族アルコールとしては、融点が40〜300℃の脂肪族モノアルコール及び脂肪族多価アルコールであり、一般式(2)で示される化合物である。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族アルコールが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。
X−R−OH (2)
(Rは、炭素原子数が6〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐若しくは環状の炭化水素基であり、Xは、水素原子又は水酸基)
脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、脂肪族モノアルコール類、脂肪族多価アルコール類、環状アルコール類が挙げられる。例えば、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の脂肪族モノアルコール類;1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族多価アルコール類;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の環状アルコール類等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に脂肪族モノアルコール類が好適に用いられ、特にステアリルアルコールが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いられる脂肪族カルボン酸エステルには、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸エステルであり、下記一般式(3)で表される脂肪族モノカルボン酸エステル、一般式(4)で表されるエチレングリコールモノエステル及びエチレングリコールジエステル、一般式(5)で表されるグリセリンモノエステル、グリセリンジエ
ステル及びグリセリントリエステルが包含される。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン酸エステルが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。
−COOR (3)
Figure 2005119062
Figure 2005119062
(R、Rは、炭素原子数が10〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、X、X、X、X、Xは水素原子又は炭素原子数1〜40の飽和若しくは不飽和、又は直鎖若しくは分岐のアシル基であり、n、n、n、n、nは、同じであっても異なってもよく、0〜4の整数である。)
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、例えば、ラウリン酸セチルエステル、ラウリン酸フェナシルエステル、ミリスチン酸セチルエステル、ミリスチン酸フェナシルエステル、パルミチン酸イソプロピリデンエステル、パルミチン酸ドデシルエステル、パルミチン酸テトラドデシルエステル、パルミチン酸ペンタデシルエステル、パルミチン酸オクタデシルエステル、パルミチン酸セチルエステル、パルミチン酸フェニルエステル、パルミチン酸フェナシルエステル、ステアリン酸セチルエステル、べヘニン酸エチルエステル等の脂肪族モノカルボン酸エステル類;モノラウリン酸グリコール、モノパルミチン酸グリコール、モノステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのモノエステル類;ジラウリン酸グリコール、ジパルミチン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのジエステル類;モノラウリン酸グリセリンエステル、モノミリスチン酸グリセリンエステル、モノパルミチン酸グリセリンエステル、モノステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのモノエステル類;ジラウリン酸グリセリンエステル、ジミリスチン酸グリセリンエステル、ジパルミチン酸グリセリンエステル、ジステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのジエステル類;トリラウリン酸グリセリンエステル、トリミリスチン酸グリセリンエステル、トリパルミチン酸グリセリンエステル、トリステアリン酸グリセリンエステル、パルミトジオレイン、パルミトジステアリン、オレオジステアリン等のグリセリンのトリエステル類等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもエチレングリコールのジエステル類が好適であり、特にエチレングリコールジステアレートが好適に用いられる。
これらの透明核剤の添加量は、ポリ乳酸組成物全体に対して、0.1〜5重量%であり、好ましくは、0.3〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%、最も好まし
くは0.8〜1.2重量%である。0.1重量%より小さいと、透明核剤としての効果が不十分となり結晶化速度が低くなるばかりか、結晶化したときの透明性も悪化する。逆に5重量%より大きくなると、さらなる透明核剤としての効果は得られなくなるばかりか、透明結晶核剤が樹脂に完全に溶解しないため、シートの透明性が悪化する。またポリ乳酸を構成するL−乳酸成分とD−乳酸成分のL/D比又はD/L比を重量比で100/0〜90/10、好ましくは100/0〜95/5、特に好ましくは100/0〜98.5/1.5の範囲とすれば、結晶化速度が速くなるため好ましい。
本発明のポリ乳酸系多層シート全体に対する上記層Iと層IIの割合はそれぞれ20〜80%であることが必要である。層Iが20%未満の場合、多層シートの耐折強さが不足し、割れやすくなる。また、層IIが20%未満では耐熱性のある多層シートとならない。より好ましい層Iと層IIの割合はそれぞれ30〜70%、特に好ましくは40〜60%である。
また層Iおよび層IIの構成は特に制限はなく、例えば層Iを内層、層IIを表層(上下層)とした三層構造であってもよい。層Iに含まれる乳酸系ポリエステルの中には成分である脂肪族ポリエステルがブリードアウトしやすい場合があるため、乳酸系ポリエステルの含有量が多い場合は、層Iを内層とする方が好ましい。
本発明に係るポリ乳酸系多層シートには、目的(例えば、引張強度、耐熱性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤等)などを添加することができる。例えば、シートのブロッキング防止やすべり性を改良するために、無機添加剤や滑剤を添加することが推奨される。
無機添加剤としては、シリカ(SiO)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、カオリナイト、酸化亜鉛等が挙げられ、特にシリカが好適である。又、これ等は一種又は二種以上の混合物として用いることもできる。
無機添加剤の添加量は、一般的には、0.05〜15重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%がよい。その添加量は目的とするシート成形時の成形性、得られたシートの耐ブロッキング性、滑り性が良好となる最適量が適宜選択される。
本発明の乳酸系多層シートは、例えば、層Iとして乳酸系ポリエステルとポリ乳酸、および層IIとして透明結晶核剤とポリ乳酸を、場合によっては他の添加剤とともに、高速攪拌機または低速撹拌機などを用いて均一に混合した後、十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機でそれぞれ溶融混練し、Tダイより共押し出しすることで製造されるが、特に限定されるものではない。層I、層IIの割合がそれぞれ20〜80%を満たす限りにおいて、他の層(ポリ乳酸単独層等)が含まれていてもよい。
こうして得られた多層シートを、冷却した後、80℃以上ポリ乳酸樹脂の融点未満の温度に加熱し、1.1〜3.0倍に一軸延伸、又は二軸延伸する。このときのシートの加熱温度は80℃以上ポリ乳酸樹脂の融点以上である必要があり、好ましくは80℃以上140℃以下、特に好ましくは85℃以上100℃以下である。加熱温度が80℃未満の場合、延伸が難しくなるばかりでなく、延伸後のシートの歪みが大きく、該シートをガラス転移点以上に加熱すると、歪みの開放による変形が生じやすく、耐熱性が低くなるばかりでなく、耐熱性を付与するためにさらに加熱する、いわゆるヒートセットにおいても延伸シートの収縮による変形が生じてしまう。また、加熱温度の上限は用いるポリ乳酸の融点未満とすべきであり、特に、85℃以上100℃以下の場合、加熱によりシートが結晶化しやすくなるため特に好ましい。
シートを加熱する時間については、製造するシートの厚みなどによるが、加熱終了後に目的とする延伸温度まで加熱される時間であれば、特に限定されない。但し、加熱時間が長くなりすぎると、シートの結晶化が進んで延伸できなくなるため、装置の構造、性能により異なるが、加熱時間は30秒以内とすべきである。
次に加熱されたシートを1.1〜3.0倍に一軸延伸、又は二軸延伸する。加熱されたシートは未延伸で非晶であるためガラス転移点以上では変形しやすく、延伸倍率が1.1倍未満の場合、加熱されたシートの変形を抑えることができない。また、延伸倍率が3倍を超えると、延伸しにくくなるばかりでなく、厚いシートが得にくくなり、さらには延伸による残留歪みが大きいため、延伸されたシートをガラス転移点以上に加熱すると、歪みの開放による変形が生じやすく、耐熱性が低くなる。
延伸に用いる装置については、特に限定されるものではなく、加熱したシートを速度の異なる2本のローラー間で縦方向に延伸する方法や、次いでテンターにより横方向に延伸する方法が用いられる。本発明では、延伸倍率が低くても高い耐熱性のシートが得られるため、縦延伸のみを行う方が厚いシートを得やすく好ましい。
さらに本発明では、上記の方法で延伸したシートを90℃以上ポリ乳酸樹脂の融点未満の温度で1秒以上加熱することにより、耐熱性をさらに向上させることができる。この場合、加熱する温度の上限はポリ乳酸樹脂の融点である。好ましい加熱温度は90℃以上140℃以下であり、とくに好ましくは100℃以上140℃以下、さらに好ましくは110℃以上130℃以下である。
また、加熱時間はシートの厚みにより異なるが、1秒以上であり、好ましくは5秒以上60秒未満、特に好ましくは10秒以上30秒未満である。そして、延伸されたシートを加熱する装置については特に限定されず、例えばオーブン状の加熱炉が挙げられる。この加熱の際、延伸歪みの開放による変形を防止するため、延伸方向にシートを固定する必要がある。
本発明の多層ポリ乳酸シートは、カレンダー立てや各種クリアケースなどに好適に用いられる。さらには、食品包装用袋、ゴミ袋、かさ、農園芸用フィルム、製品包装用フィルム、オーバーヘッドプロジェクター用フィルム、熱線反射フィルム、液晶ディスプレー用フィルム等に用いることができる。この他、紙や他のポリマー等の他の材質のシートと、接着剤や熱融着によるラミネートや貼り合わせ等により、多層構造の積層体とすることもできる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例で行った測定は以下の通りである。
(分子量測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(以下、GPCと省略する。東ソー株式会社製HLC8120、カラム温度40℃、テトラヒドロフラン溶媒)によりポリスチレン標準サンプルとの比較で測定した。
(透明性測定;以下、「ヘイズ」と省略する。)
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製NDH−2000)にて測定した。
(耐折回数)
厚さ約0.6mmのシートを用い、MIT耐揉疲労試験機((株)東洋精機製作所)により、JIS P−8115に基づいて測定した。尚、耐折強さは耐折回数の対数(底10)である。
(面配向度(ΔP))
アッベ屈折計(測定光として、D線(波長589nm)を使用)によって直交3軸方向の屈折率(α、β、γ)を測定し、次式で算出した。
ΔP={(γ+β)/2}−α
γ:シート面内の最大屈折率(一軸延伸の場合は延伸方向の屈折率)
β:それに直交するシート面内方向の屈折率
α:シート厚さ方向の屈折率
(昇温結晶化温度(Tc)と発熱量(ΔH))
パーキンエルマー社製示差走査熱量計(DSC−7)に、サンプルを約10mg入れ、0℃から10℃/分で200℃まで昇温したときに観測される発熱ピーク温度である。そして発熱量(ΔH)はこのピークとベースラインとで囲まれる面積から求めた。
(シートの耐熱性)
シートを長さ8cm、幅1cmに切り、一端を固定後、長手方向に45°に傾けた状態で60℃の恒温槽に2時間入れたときのシートの変形を目視にて評価した。
◎:変形なし
○:変形小
△:変形中
×:変形大
(シート外観)
シートの外観を目視にて評価した
◎:極めて良好
○:良好
△:やや不良
×:不良
製造例1(乳酸系ポリエステルP−1の製造)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、ダイマー酸1モル当量とプロピレングリコール1.4モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトライソプロポキシド70ppmを添加し、0.1kPaまで減圧して3時間撹拌して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が18,000、重量平均分子量(Mw)が30,000の脂肪族ポリエステルを得た。この脂肪族ポリエステル50重量部とL体とD体の重量比(L/D)が100/0のポリ乳酸50重量部を二軸混練機(日本製鋼所、TEX30α)を用い、230℃で混練して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が25,000、重量平均分子量(Mw)が50,000、ガラス転移点(Tg)が53℃の乳酸系ポリエステル組成物(P−1)を得た。
製造例2〜8(乳酸系ポリエステルP−2〜P−8の合成)
ジカルボン酸、ジオール、ラクタイドの種類、添加量を表1のように変えた以外は、製造例1と同様にして、乳酸系ポリエステル(P−2〜P−8)を合成した。
各ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移点(Tg)についても表1、2に示す。
製造例12(乳酸系ポリエステル組成物P−9の作製)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、ダイマー酸1モル当量とプロピレングリコール1.4モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトライソプロポキシド70ppmを添加し、0.1kPaまで減圧して3時間撹拌して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が18,000、重量平均分子量(Mw)が30,000の脂肪族ポリエステルを得た。この脂肪族ポリエステル50重量部及びL−ラクタイド50重量部をセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ200ppmを添加し、180℃で3.5時間撹拌した。重合終了後にエチルヘキサン酸ホスフェート500ppmを添加して、乳酸系ポリエステル組成物(P−9)を得た。このポリエステル樹脂組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移点(Tg)を表2に示す。
実施例1
層IとしてL体とD体の重量比(L/D)が90/10のポリ乳酸90重量部、乳酸系ポリエステル(P−1)10重量部、及び層IIとしてL体とD体の重量比(L/D)が98/2のポリ乳酸99重量部、透明核剤としてエチレンビスラウリン酸アミド(日本油脂(株)、アルフローAD−212)1重量部をそれぞれ押出機に供給し、Tダイより共押し出しして、層II:層I:層IIが1:2:1、厚さ約0.6mmのシートを作製した。ヘイズは5.5%、耐折回数は1200回であった。次いでこのシートを(株)東洋精機製作所製二軸延伸試験装置で、90℃で20秒間加熱後、延伸速度1m/分で2.0倍に一軸延伸した。このシートの厚みは0.3mmで、面配向度は0.0025、昇温結晶化温度(Tc)が測定されず、その発熱量(ΔH)は0J/g、ヘイズは6.5%であり、外観は極めて良好であった。この延伸シートの耐熱性を評価したところ、変形は少なく良好であった。
実施例2
実施例1で得られたシートを、延伸方向を固定した状態で、110℃のオーブン中に入れて15秒間熱処理した。このシートの厚みは0.3mmで、面配向度は0.0051、昇温結晶化温度(Tc)が測定されず、その発熱量(ΔH)は0J/g、ヘイズ7.0%であり、外観は極めて良好であった。この延伸シートの耐熱性を評価したところ、変形はなく極めて良好であった。
実施例3〜29 、比較例1〜11
ポリ乳酸、乳酸系ポリエステル、透明核剤の種類、添加量、層厚み比を表4〜表10のように変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表4〜表10に示す。
比較例12
L体とD体の重量比(L/D)が98/2のポリ乳酸89重量部、乳酸系ポリエステル(P−6)10重量部、透明核剤としてエチレンビスラウリン酸アミド(日本油脂(株)、アルフローAD−212)1重量部を押出機に供給し、Tダイより押し出しして。厚さ約0.6mmの単層シートを作製した。ヘイズは20.5%と濁っており、耐折回数は1110回であった。次いでこのシートを(株)東洋精機製作所製二軸延伸試験装置で、90℃で20秒間加熱後、延伸速度1m/分で2.0倍に一軸延伸した。このシートの厚みは0.3mmで、面配向度は0.0022、昇温結晶化温度(Tc)が測定されず、その発熱量(ΔH)は0J/gであったが、ヘイズは25.5%と濁っていた。この延伸シー
トの耐熱性を評価したところ、変形は少なく良好であった。評価結果を表11に示す。
Figure 2005119062
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実施例のポリ乳酸系多層シートは、延伸前のシートのシートの耐折回数も100回以上と割れにくい。そして、延伸後のシートのヘイズは20%以下と透明であり、耐熱性も良好である。
一方、比較例においては、乳酸系ポリエステル及び透明核剤を添加しない場合は、未延伸シートの耐折回数は0回と堅くて脆いため、取り扱いが難しく、さらに、延伸しても耐熱性のあるシートとはならない(比較例1)。また、透明核剤を添加し、乳酸系ポリエステルを添加しない場合は、耐熱性のあるシートとなるが、未延伸シートの耐折回数は3回と、脆さは改善されていない(比較例2)。さらに、乳酸系ポリエステルを添加し、透明結晶核剤を添加しない場合は、未延伸シートの耐折回数は1000回以上と脆さは改善されているが、比較例1と同様に延伸し、更に熱処理しても耐熱性のあるシートとはならない(比較例3)。
さらに、乳酸系ポリエステルにおいて、ポリエステル/ラクタイドの比率が10/90未満の場合は、未延伸シートの耐折回数が低下する(比較例4)。一方、90/10を超える場合は、ポリ乳酸との相溶性が低下するため、シートのヘイズが高くなってしまう(比較例5)。
また、透明結晶剤の添加量が0.1重量%未満の場合は、比較例1と同様、延伸しても耐熱性のあるシートとはならない(比較例6)。
さらに5重量%を超える場合は、ポリ乳酸系多層シートの透明性が低下する(比較例7)。
さらに示差走査熱量計で0℃から融点まで10℃/分の速度で昇温したときに測定される、樹脂の結晶化に伴う発熱量(ΔH)が15J/gを超えると耐熱性のあるシートとはならない(比較例8)。
さらに、延伸を行なわず、面配向度(ΔP)が0となる場合、熱処理を行う際にシートが変形し、良好なシートを得ることができず(比較例9)、また延伸倍率が3倍を超え、面配向度(ΔP)が0.03を超える場合も耐熱性が低くなる(比較例10)。延伸温度が80℃未満では、熱処理時にシートが変形し、良好なシートが得られなかった(比較例11)。
乳酸系ポリエステルと結晶核剤をポリ乳酸とブレンドした単層シートの場合は、シートのヘイズが高くなってしまう(比較例12)。
本発明の透明性、耐熱性及び耐折強さを有するポリ乳酸系多層シートは、耐熱性を要求される、クリアケース、カレンダー立て等の用途に好適である。

Claims (14)

  1. 乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を重量比で10:90〜90:10の範囲で有する乳酸系ポリエステル組成物または、乳酸系ポリエステル組成物とポリ乳酸からなる層Iと、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を0.1〜5重量%含むポリ乳酸組成物からなる層IIを有し、かつ面配向度(ΔP)が0.0300以下で、さらに示差走査熱量計で0℃から融点まで10℃/分の速度で昇温したときに測定される、樹脂の結晶化に伴う発熱量(ΔH)が15J/g以下であることを特徴とするポリ乳酸系多層シート。
  2. 請求項1記載の層Iにおいて、ポリ乳酸の含有率が高々99重量%である、請求項1記載のポリ乳酸系多層シート。
  3. 乳酸系ポリエステル組成物中の乳酸(I)がポリ乳酸であり、ポリエステル成分(II)が脂肪族ポリエステルを主成分とするポリエステルである請求項1〜2いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  4. ポリエステル(II)中の脂肪族ポリエステルの割合が30〜100モル%の請求項1〜3いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  5. 透明核剤がパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、べヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレングリコールジステアレート及びステアリルアルコール、からなる群から選択された少なくとも一種である請求項1〜4いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  6. シート全体に対する層Iと層IIの割合がそれぞれ20〜80%である請求項1〜5いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  7. 厚み0.3mmの場合でのヘイズ値が20%以下であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  8. 乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を重量比で10:90〜90:10の範囲で有する乳酸系ポリエステル組成物及びポリ乳酸からなる層Iと、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を0.1〜5重量%含むポリ乳酸組成物からなる層IIを有する未延伸シートを80℃以上ポリ乳酸樹脂の融点未満の温度で1.1〜3.0倍に一軸延伸、又は二軸延伸することを特徴とするポリ乳酸系多層シートの製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法で得られたシートを90℃以上ポリ乳酸樹脂の融点未満の温度で1秒以上加熱することを特徴とするポリ乳酸系多層シートの製造方法。
  10. 請求項1記載の層Iにおいて、ポリ乳酸の含有率が高々99重量%である、請求項8〜9いずれかに記載のポリ乳酸系多層シートの製造方法。
  11. 乳酸系ポリエステル組成物中の乳酸(I)がポリ乳酸であり、ポリエステル成分(II)が脂肪族ポリエステルを主成分とするポリエステルである請求項8〜10いずれかに記載のポリ乳酸系多層シートの製造方法。
  12. ポリエステル(II)中の脂肪族ポリエステルの割合が30〜100モル%の請求項8〜11いずれかに記載のポリ乳酸系多層シートの製造方法。
  13. 透明核剤がパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、べヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスオレ
    イン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレングリコールジステアレート及びステアリルアルコール、からなる群から選択された少なくとも一種である請求項8〜12のいずれかに記載のポリ乳酸系多層シートの製造方法。
  14. シート全体に対する層Iと層IIの割合がそれぞれ20〜80%である請求項8〜13いずれかに記載のポリ乳酸系多層シートの製造方法。

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