JP4050213B2 - ポリ乳酸系多層シートおよびそれからなる成形品 - Google Patents

ポリ乳酸系多層シートおよびそれからなる成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ乳酸系多層シート及びそれからなる成形品に関する。さらに結晶化速度が高く、耐折強さ及び透明性に優れ、更には非石油系資源である植物を原料とする環境循環型のポリ乳酸系多層シート及びそれからなる透明性、耐熱性に優れた成形品に関する。
従来、広く用いられている樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が知られており、各種容器等の成形品やゴミ袋、包装袋等に使用されている。しかしながら、これらの樹脂は石油を原料としているため、使用後廃棄する際、焼却により地球上の二酸化炭素を増大させ、地球温暖化を助長させてしまう。また、焼却せずに埋設処理しても、自然環境下で殆ど分解されないために半永久的に地中に残留する。また投棄されたこれらのプラスチック類により、景観が損なわれ、海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題が起こっている。
近年、植物由来の原料や微生物により得られる熱可塑性樹脂が注目されている。これらの樹脂は、石油を原料としない、環境循環型の素材であり、焼却しても地球上の二酸化炭素を増大させず、また、焼却せずに埋設処理した場合は、微生物により分解されるため、環境破壊を招くことも少ない。このような樹脂としては、ポリ乳酸やポリヒドロキシ酪酸等があり、特にポリ乳酸はガラス転移点(Tg)が約60℃と最も高く、透明であることなどから、将来性のある素材として、各種成形材料への用途開発が進められている。
しかしながら、ポリ乳酸のTgは約60℃であり、ポリエチレンテレフタレートに比べると約15℃低く、このため、ポリ乳酸からなる未延伸シートを夏の倉庫内や日当たりの良い室内など高温となる場所で保管あるいは使用すると、軟化、変形してしまう。
また、ポリ乳酸は脆く、耐衝撃性が低い。このため、ポリ乳酸からなる成形品は割れやすくなり、またJIS−P8115による未延伸シートの耐折強さも非常に低いため、例えばポリ乳酸のシートを裁断したり、折り曲げ加工するときにひび割れを生じたりするなど、加工性にも問題がある。
このため、ポリ乳酸からなる成形品の耐熱性を向上させるため、成形品を熱処理して結晶化させる(特許文献1)、あるいは、延伸配向結晶化させる(特許文献2)方法が提案されているが、ポリ乳酸は結晶化速度が低く、成形品を熱処理すると不透明になってしまうという問題があり、また延伸配向結晶化による方法では、透明で耐熱性のある成形品ができるが、その形状がシート、フィルム等に限定されてしまうばかりか、このシートから熱成形により成形品を製造する際に、配向結晶化されているために成形しにくいという問題がある。
また、特定の結晶核剤をポリ乳酸に添加することで、結晶化速度を高め、加熱結晶化しても透明性を維持する方法が特許文献3、特許文献4に開示されているが、ポリ乳酸のもう一つの欠点である脆さの改善についての記載はない。
ポリ乳酸の脆さの改善については、i)可塑剤の添加、ii)軟質ポリマーのブレンド等の方法が知られている。このi)可塑剤の添加については、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9などに記載されている。しかしながら、可塑剤の添加により、ポリ乳酸樹脂は柔らかくなるが、脆さ、特にJIS−P8115による未延伸シートの耐折強さの増加はわずかであり、折り曲げ加工などを行う際の加工性や、折り曲
げた部分の強度は実用レベルにはほど遠い。
またii)軟質ポリマーの添加の方法では、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13などには、ポリ乳酸にポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルをブレンドすることにより、ポリ乳酸の耐衝撃性を改善することが記載されている。しかしながら、これらの脂肪族ポリエステルとポリ乳酸の相溶性が低いため、透明性が低いものしか得られない。一方脂肪族ポリエステルとしてポリ乳酸と脂肪族ポリエステルの共重合ポリエステルをポリ乳酸にブレンドする方法も特許文献14、特許文献15に記載されている。この方法によれば、透明性を有し、かつ耐衝撃性を向上させることができるが、耐熱性向上についての記載はない。
我々は先に、結晶化速度が速く、かつ耐折強さが大きく、透明性に優れたポリ乳酸樹脂組成物として、ポリ乳酸と脂肪族ポリエステルからなるポリ乳酸系組成物と透明核剤をポリ乳酸にブレンドした樹脂組成物を提案した(特願2002−317450)。これによると、結晶化速度が速く、かつ耐折強さも大きいため、割れにくく、耐熱性のある成形品が得られる。しかしながら透明性については、おおむね良好ではあるものの、クリアケースなどの透明性を要求される用途にはやや不十分であることが判明した。
特開平9−12748号公報 特開平7−308961号公報 特開平9−278991号公報 特開平11−5849号公報 特開平4−335060号公報 特開平10−316846号公報 特開2002−59499号公報 特開2002−60604号公報 特開2002−80703号公報 特開平9−111107号公報 特開平9−272794号公報 特開平11−222528号公報 特開2001−151906号公報 特開平11−124495号公報 特開2001−335623号公報
本発明が解決しようとする課題は、結晶化速度が速く、かつ耐折強さが大きく、透明性に優れたポリ乳酸系シートおよびそれからなる耐熱性に優れた成形品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、特定の乳酸系ポリエステル組成物及びポリ乳酸からなる層と、特定の結晶核剤を特定量ポリ乳酸に添加した層を有する多層シートとすることにより、結晶化速度が速く、かつ耐折強さが大きく、十分な透明性を有するポリ乳酸系シートが得られ、これから耐熱性と透明性に優れた成形品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、L/D比又はD/L比が重量比で100/0〜90/10である乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を重量比で10:90〜90:10の範囲で有する乳酸系ポリエステル組成物または、乳酸系ポリエステル組成物とポリ乳酸からなる透明核剤を含まない層Iと、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を0.1〜5重量%含むポリ乳酸組成物からなる層IIを有し、シート全体に対する層Iと層IIの割合がそれぞれ20〜80%であるポリ乳酸系多層シートと、これよりなる特定の熱的性質を有する成形品である。
本発明の透明性、結晶性(耐熱性)及び耐折強さを有するポリ乳酸系多層シートは、耐折強さが高く割れにくいため、製造時における切断の際のトラブルもなく、生産性が良好であり、かつ透明で割れにくい成形品を得ることができる。さらに成形時に加熱、結晶化させることで透明性、耐熱性が高い成形品を得ることができる。
乳酸成分(I)としては、乳酸、ラクタイド、ポリ乳酸又はポリラクタイドが挙げられる。ラクタイドは、乳酸2分子が環状二量化した化合物で、立体異性体を有するモノマーであり、L−乳酸2分子からなるL−ラクタイド、D−乳酸2分子からなるD−ラクタイド、及びD−乳酸及びL−乳酸からなるmeso−ラクタイドが挙げられる。
L−ラクタイド又はD−ラクタイドのみを含む共重合体は結晶化し、高融点である。従って、用途に応じて3種類のラクタイドを種々の割合で組み合わせることにより、乳酸系ポリエステル組成物の特性を調整することができる。例えば、L/D比又はD/L比を重量比で100/0〜90/10、好ましくは100/0〜95/5、特に好ましくは100/0〜98.5/1.5の範囲とすれば、乳酸系ポリエステルとポリ乳酸との混合により製造されるポリ乳酸系組成物も結晶化しやすくなるため好ましい。
乳酸成分(I)としては、ポリ乳酸が好ましい。原料としてポリ乳酸を用いた場合、得られる乳酸系ポリエステル組成物は、分子量が高く、優れた耐折強さを付与することができる。
ポリエステル成分(II)は、ジカルボン酸及びジオール、あるいはラクトンから得られる。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸の如き脂肪族ジカルボン酸;フマル酸の如き不飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸などの炭素原子数4〜45のジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸は、これらに
限定されるものではない。また、これらのジカルボン酸は2種類以上併用して用いることもできる。
これらのジカルボン酸の中でも、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸又は水添ダイマー酸の如き不飽和結合を有していても良い炭素原子数4〜12のジカルボン酸又は不飽和結合を有していても良い炭素原子数20〜45のジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸として芳香族ジカルボン酸を用いたポリエステルは、ガラス転移点(Tg)が高くなる傾向にあるので、芳香族ジカルボン酸を用いる場合には、耐折強さを損なわない程度の量と材料を選択することが好ましい。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3,3−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、n−ブトキシエチレングリコール、水添ビスフェノールA、ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、キシリレングリコール、フェニルエチレングリコールなどの炭素原子数2〜45の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物などの芳香族ジオールが挙げられる。これらのジオールは、2種類以上併用して使用することもできる。
これらのジオールの中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物が好ましい。
また、ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン等が挙げられる。
これらのジカルボン酸、ジオール、カプロラクトンの組み合わせに制限はないが、脂肪族ポリエステルとなる組み合わせ(脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール、またはカプロラクトン、およびこれらの3種の組み合わせ)の割合は30〜100モル%、好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは70〜100モル%である。脂肪族ポリエステルとなる組み合わせの割合が30モル%未満の場合、得られるシートの透明性、耐折強さが低下する。
ポリエステル成分(II)の重量平均分子量には、特に制限がないが、ポリ乳酸とブレンドしてポリ乳酸系樹脂組成物を得るためには、分子量が高い方が樹脂組成物が得やすく、2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることが更に好ましく、10,000〜200,000の範囲にあることがより好ましく、20,000〜150,
000の範囲にあることが更に好ましく、20,000〜100,000の範囲にあることが特に好ましい。
ポリエステル成分(II)の製造方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、ジカルボン酸とジオールをエステル化させた後、触媒を添加し、高温、減圧下で重合反応を行う方法が挙げられる。また必要に応じて、得られたポリマーを固体状態で、窒素気流下あるいは減圧下で加熱して重合する固相重合を行ってもよい。
分子量100,000以上の高分子量ポリエステル成分(II)は、得られたポリエステルに、さらに、鎖伸長剤として酸無水物あるいはポリイソシアネートを反応させることにより、製造することができる。本発明で使用するポリエステル成分(II)は、このようにポリイソシアネートを鎖伸長剤として用いて得られるポリイソシアネート変性ポリエステルをも包含する。
次に、乳酸系ポリエステルについて説明する。本発明の乳酸系ポリエステルは、乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)とを重量比で(I):(II)=90:10〜10:90、好ましくは60:40〜10:90、より好ましくは50:50〜10:90、特に好ましくは50:50〜15:85から得られる乳酸系ポリエステルである。
乳酸系ポリエステルは、その重量平均分子量が10,000以上のものが好ましい。さらに、ポリ乳酸系多層シートの耐折強さ向上のためには、重量平均分子量が20,000〜200,000の範囲のものが好ましく、30,000〜200,000の範囲のものがより好ましい。一方、分子量の上限は特にないが、一般的に20万以下であり、使用しやすさから150,000以下である。
本発明の乳酸系ポリエステルの製造方法としては、例えば、(1)ラクタイドとポリエステル成分(II)とを、重合触媒の存在下で反応させる方法、(2)乳酸を重縮合してポリ乳酸を得、該ポリ乳酸をポリエステル成分(II)存在下で更に脱水、重縮合することによって得る方法、(3)乳酸又はラクタイドから得られたポリ乳酸とポリエステル成分(II)とを溶融混練することにより得る方法などが挙げられる。
以上述べた乳酸系ポリエステルとポリ乳酸からなる層I中のポリ乳酸の含有率は高々99重量%、好ましくは30重量%〜97重量%、更に好ましくは50重量%〜95重量%、特に好ましくは60重量%〜95重量%である。ポリ乳酸の含有率が99%を超えると得られるシートの耐折強さが低下する。
次に透明核剤について説明する。本発明では、ポリ乳酸系シートの結晶化速度を高め、かつ該シートから透明性、耐熱性に優れた成形品を得るために透明核剤を添加した層IIが必要である。本発明において用いられる透明核剤は、ポリ乳酸との相溶性が良好である必要があり、かつ結晶化速度を高め、かつ、結晶化した時は透明性を維持するものでなければならない。このような透明核剤としては、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルが挙げられる。
本発明で用いられる脂肪族カルボン酸アミドとしては、通常アミド結合と呼ばれる結合を有する化合物であり、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸アミドであれば、特に制限されない。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン酸アミドが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。本発明における脂肪族カルボン酸アミドとしては、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モ
ノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類、N−置換尿素類が挙げられる。
脂肪族カルボン酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類;N,N´−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N´−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N´−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N´−ジステアリルテレフタル酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類;N−ブチル−N´−ステアリル尿素、N−プロピル−N´−ステアリル尿素、N−ステアリル−N´−ステアリル尿素、N−フェニル−N´−ステアリル尿素、キシリレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素のようなN−置換尿素類が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でも、脂肪族モノカルボン酸アミド類、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類、脂肪族ビスカルボン酸アミド類が好適に用いられ、特に、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いる脂肪族カルボン酸塩としては、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸塩であれば、特に制限されない。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン塩が液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。本発明で使用する脂肪族カルボン酸塩は下記一般式(1)に示される化合物を包含する。
R−COOM (1)
(Rは、炭素原子数10〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ベリリウム、バリウム、銅、ニッケル、鉛、タリウム、亜鉛及び銀である。)
脂肪族カルボン酸塩の具体例としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸水素カリウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸銀等のラウリン酸塩;ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナ
トリウム、ミリスチン酸水素カリウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸カルシム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸銀等のミリスチン酸塩;パルミチン酸リチウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸鉛、パルミチン酸タリウム、パルミチン酸コバルト等のパルミチン酸塩;オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸鉛、オレイン酸タリウム、オレイン酸銅、オレイン酸ニッケル等のオレイン酸塩;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸タリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ベリリウム等のステアリン酸塩;イソステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸カリウム、イソステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸カルシウム、イソステアリン酸バリウム、イソステアリン酸アルミニウム、イソステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸ニッケル等のイソステアリン酸塩;ベヘニン酸ナトリウム、ベヘニン酸カリウム、べヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸バリウム、ベヘニン酸アルミニウム、べヘニン酸亜鉛、ベヘニン酸ニッケル等のベヘニン酸塩;モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸バリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸ニッケル等のモンタン酸塩等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に、ステアリン酸の塩類やモンタン酸の塩類が好適に用いられ、特に、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウムが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いる脂肪族アルコールとしては、融点が40〜300℃の脂肪族モノアルコール及び脂肪族多価アルコールであり、一般式(2)で示される化合物である。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに融点が150℃〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族アルコールが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。
X−R−OH (2)
(Rは、炭素原子数が6〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐若しくは環状の炭化水素基であり、Xは、水素原子又は水酸基)
脂肪族アルコールの具体例としては、例えば、脂肪族モノアルコール類、脂肪族多価アルコール類、環状アルコール類が挙げられる。例えば、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等の脂肪族モノアルコール類;1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族多価アルコール類;シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等の環状アルコール類等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。特に脂肪族モノアルコール類が好適に用いられ、特にステアリルアルコールが好適に用いられる。
本発明で透明核剤として用いられる脂肪族カルボン酸エステルには、融点が40〜300℃の脂肪族カルボン酸エステルであり、下記一般式(3)で表される脂肪族モノカルボン酸エステル、一般式(4)で表されるエチレングリコールモノエステル及びエチレングリコールジエステル、一般式(5)で表されるグリセリンモノエステル、グリセリンジエステル及びグリセリントリエステルが包含される。特に融点が200℃未満のものであれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と溶融状態で混合できるため、分散性がよく好ましい。さらに
融点が150℃〜200℃であれば、ポリ乳酸系樹脂組成物と一軸押出機で溶融混合する際、脂肪族カルボン酸エステルが液化することによるポリ乳酸系樹脂組成物のくい込み不良がなく、特に好ましい。
−COOR (3)
Figure 0004050213

Figure 0004050213
(R、Rは、炭素原子数が10〜40の、飽和若しくは不飽和又は直鎖若しくは分岐の炭化水素基であり、X、X、X、X、Xは水素原子又は炭素原子数1〜40の飽和若しくは不飽和、又は直鎖若しくは分岐のアシル基であり,n、n、n、n、nは、同じであっても異なってもよく、0〜4の整数である。)
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、例えば、ラウリン酸セチルエステル、ラウリン酸フェナシルエステル、ミリスチン酸セチルエステル、ミリスチン酸フェナシルエステル、パルミチン酸イソプロピリデンエステル、パルミチン酸ドデシルエステル、パルミチン酸テトラドデシルエステル、パルミチン酸ペンタデシルエステル、パルミチン酸オクタデシルエステル、パルミチン酸セチルエステル、パルミチン酸フェニルエステル、パルミチン酸フェナシルエステル、ステアリン酸セチルエステル、べヘニン酸エチルエステル等の脂肪族モノカルボン酸エステル類;モノラウリン酸グリコール、モノパルミチン酸グリコール、モノステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのモノエステル類;ジラウリン酸グリコール、ジパルミチン酸グリコール、ジステアリン酸グリコール等のエチレングリコールのジエステル類;モノラウリン酸グリセリンエステル、モノミリスチン酸グリセリンエステル、モノパルミチン酸グリセリンエステル、モノステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのモノエステル類;ジラウリン酸グリセリンエステル、ジミリスチン酸グリセリンエステル、ジパルミチン酸グリセリンエステル、ジステアリン酸グリセリンエステル等のグリセリンのジエステル類;トリラウリン酸グリセリンエステル、トリミリスチン酸グリセリンエステル、トリパルミチン酸グリセリンエステル、トリステアリン酸グリセリンエステル、パルミトジオレイン、パルミトジステアリン、オレオジステアリン等のグリセリンのトリエステル類等が挙げられる。これらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。この中でもエチレングリコールのジエステル類が好適であり、特にエチレングリコールジステアレートが好適に用いられる。
これらの透明核剤の添加量は、ポリ乳酸組成物全体に対して、0.1〜5重量%であり、好ましくは、0.3〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.5重量%、最も好ましくは0.8〜1.2重量%である。0.1重量%より小さいと、透明核剤としての効果が不十分となり結晶化速度が低くなるばかりか、結晶化したときの透明性も悪化する。逆に
5重量%より大きくなると、さらなる透明核剤としての効果は得られなくなるばかりか、透明結晶核剤が樹脂に完全に溶解しないため、シートの透明性が悪化する。
またポリ乳酸を構成するL−乳酸成分とD−乳酸成分のL/D比又はD/L比を重量比で100/0〜90/10、好ましくは100/0〜95/5、特に好ましくは100/0〜98.5/1.5の範囲とすれば、結晶化速度が速くなるため好ましい。
本発明のポリ乳酸系多層シート全体に対する上記層Iと層IIの割合はそれぞれ20〜80%であることが必要である。層Iが20%未満の場合(層IIが80%を超える場合)、多層シートの耐折強さが不足し、割れやすくなる。また、層IIが20%未満(層Iが80%を超える場合)では多層シートから耐熱性のある成形品を得ることができない。より好ましい層Iと層IIの割合はそれぞれ30〜70%、特に好ましくは40〜60%である。
また層Iおよび層IIの構成は特に制限はなく、例えば層Iを内層、層IIを表層(上下層)とした三層構造であってもよい。層Iに含まれる乳酸系ポリエステルの中には成分である脂肪族ポリエステルがブリードアウトしやすい場合があるため、乳酸系ポリエステルの含有量が多い場合は、層Iを内層とする方が好ましい。
本発明に係るポリ乳酸系多層シートには、目的(例えば、引張強度、耐熱性、耐候性等の向上)に応じて各種添加剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、無機添加剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、顔料、滑剤等)などを添加することができる。例えば、シートのブロッキング防止やすべり性を改良するために、無機添加剤や滑剤を添加することが推奨される。
無機添加剤としては、シリカ(SiO)、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、カオリナイト、酸化亜鉛等が挙げられ、特にシリカが好適である。又、これ等は一種又は二種以上の混合物として用いることもできる。
無機添加剤の添加量は、一般的には、0.05〜15重量%であり、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%がよい。その添加量は目的とするシート成形時の成形性、得られたシートの耐ブロッキング性、滑り性が良好となる最適量が適宜選択される。
本発明の乳酸系多層シートは、例えば、層Iとして乳酸系ポリエステルとポリ乳酸、および層IIとして透明結晶核剤とポリ乳酸を、場合によっては他の添加剤とともに、高速攪拌機または低速撹拌機などを用いて均一に混合した後、十分な混練能力のある一軸あるいは多軸の押出機でそれぞれ溶融混練し、Tダイより共押し出しすることで製造されるが、特に限定されるものではない。層I、層IIの割合がそれぞれ20%〜80%を満たす限りにおいて、他の層(ポリ乳酸単独層等)が含まれていてもよい。
本発明のポリ乳酸系多層シートのヘイズは、厚さ0.3mmで測定した値で、10%以下であり、好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下である。
本発明のポリ乳酸系多層シートから、耐熱性に優れた成形品が得られる。この成形品は、示差走査熱量計で0℃から融点まで10℃/分で昇温したときに、樹脂の結晶化に伴う発熱ピークが観測される。この発熱量(ΔH)は15J/g以下であり、好ましくは10J/g以下、特に好ましく7J/g以下である。この発熱量が15J/gを超えると耐熱性が低下する。
次に、本発明ポリ乳酸系多層シートから透明性と結晶性を併有する成形体を製造する方法について以下に説明する。本発明では、成形時、又は成形後において、成形体を何らかの方法(例えば、熱処理)で結晶化させる必要がある。具体例としては、該組成物の成形体を熱処理する方法を挙げることができる。この場合、金型の設定温度条件は、該組成物のガラス転移点(Tg)から融点(Tm)までの温度範囲、より好ましくは、(Tg+5℃)から(Tm−20℃)、さらに好ましくは(Tg+10℃)から(Tm−40℃)までの温度範囲がよい。設定温度がTmより高い場合は、短時間で結晶化させても透明性を損ねたり、形状が歪んだりする場合があり、さらに長時間加熱すると融解する場合がある。逆にTgより低い温度では、結晶化速度が著しく小さく、目的とする結晶性の成形体が得られない場合がある。この方法では成形体を熱処理する時間は、組成物により異なるが、成形体が十分に結晶化するに足る時間以上であれば、特に制限されない。
以下に、本発明に係る、成形体に透明性と結晶性を同時に付与することができる成形体の成形方法の態様を説明する。
・真空成形・真空圧空成形
ポリ乳酸系多層シートを、一般的な真空成形機により、65℃から135℃の範囲内に保持された金型内で真空成形又は真空圧空成形することにより、本発明で目的とする透明性と結晶性を併有する成形体を成形することができる。ここで、圧力空気として、高温[例えば、室温(25℃)以上からTm(163℃)以下の温度]のものを用いると、成形体の結晶化に要する時間を短縮することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例で行った測定は以下の通りである。
(分子量測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置(以下、GPCと省略する。東ソー株式会社製HLC8120、カラム温度40℃、テトラヒドロフラン溶媒)によりポリスチレン標準サンプルとの比較で測定した。
(透明性測定;以下、「ヘイズ」と省略する。)
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製NDH−2000)にて測定した。
(耐折回数)
厚さ約0.3mmのシートを用い、MIT耐揉疲労試験機((株)東洋精機製作所)により、JIS P−8115に基づいて測定した。尚、耐折強さは耐折回数の対数(底10)である。
(昇温結晶化温度(Tc)と発熱量(ΔH))
パーキンエルマー社製示差走査熱量計(DSC−7)に、サンプルを約10mg入れ、0℃から10℃/分で200℃まで昇温したときに観測される発熱ピーク温度である。そして発熱量(ΔH)はこのピークとベースラインとで囲まれる面積から求めた。
(成形品の耐熱性)
60℃の恒温槽に2時間入れたときの成形品の変形を目視にて評価した。
○:変形小
×:変形大
製造例1(乳酸系ポリエステルP−1の製造)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、ダイマー酸1モル当量とプロピレングリコール1.4モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトライソプロポキシド70ppmを添加し、0.1kPaまで減圧して3時間撹拌して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が18,000、重量平均分子量(Mw)が30,000の脂肪族ポリエステルを得た。この脂肪族ポリエステル50重量部とL体とD体の重量比(L/D)が100/0のポリ乳酸50重量部を二軸混練機(日本製鋼所、TEX30α)を用い、230℃で混練して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が25,000、重量平均分子量(Mw)が50,000、ガラス転移点(Tg)が53℃の乳酸系ポリエステル組成物(P−1)を得た。
製造例2〜8(乳酸系ポリエステルP−2〜P−8の合成)
ジカルボン酸、ジオール、ラクタイドの種類、添加量を表1、2のように変えた以外は、製造例1と同様にして、乳酸系ポリエステル(P−2〜P−8)を合成した。
各ポリマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移点(Tg)についても表1、2に示す。
製造例9(乳酸系ポリエステル組成物P−9の作製)
撹拌器、精留器、ガス導入管を付した50L反応槽に、ダイマー酸1モル当量とプロピレングリコール1.4モル当量を仕込み、窒素気流下で150℃から1時間に10℃ずつ昇温させながら加熱撹拌した。生成する水を留去しながら220℃まで昇温し、2時間後、エステル交換触媒としてチタンテトライソプロポキシド70ppmを添加し、0.1kPaまで減圧して3時間撹拌して、GPCを用いたポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)が18,000、重量平均分子量(Mw)が30,000の脂肪族ポリエステルを得た。この脂肪族ポリエステル50重量部及びL−ラクタイド50重量部をセパラブルフラスコに入れ、180℃で溶融した。溶液が均一になってからオクタン酸スズ200ppmを添加し、180℃で3.5時間撹拌した。重合終了後にエチルヘキサン酸ホスフェート500ppmを添加して、乳酸系ポリエステル組成物(P−9)を得た。このポリエステル樹脂組成物の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移点(Tg)を表3に示す。
実施例1
層Iとしてポリ乳酸90重量部、乳酸系ポリエステル(P−1)10重量部、及び層IIとしてポリ乳酸99重量部、透明核剤としてエチレンビスラウリン酸アミド(日本油脂(株)、アルフローAD−212)1重量部をそれぞれ押出機に供給し、Tダイより共押し出しして、層II:層I:層IIが1:2:1、厚さ0.3mmのシートを作製した。ヘイズは5.5%、耐折回数は1200回であった。次いでこのシートを単発熱成形機にて、約85℃に加熱後、120℃の成形型に真空成形した。成形品の昇温結晶化温度(Tc)は85℃、その発熱量(ΔH)は4.4J/gであった。そしてこの成形品を60℃の恒温槽中に2時間入れておいたところ、変形はみられず良好であった。
実施例2〜25、参考例1〜2、比較例1〜7
ポリ乳酸、乳酸系ポリエステル、透明核剤の種類、添加量、層厚み比を表4〜表10のように変えた以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表4〜表10に示す。
比較例8
L体とD体の重量比(L/D)が98/2のポリ乳酸89重量部、乳酸系ポリエステル
(P−6)10重量部、透明核剤としてエチレンビスラウリン酸アミド(日本油脂(株)、アルフローAD−212)1重量部を押出機に供給し、Tダイより押し出しして、厚さ0.3mmの単層シートを作製した。ヘイズは18.4%と濁っており、耐折回数は1110回であった。次いでこのシートを単発熱成形機にて、約85℃に加熱後、120℃の成形型に真空成形した。成形品の昇温結晶化温度(Tc)は83℃、その発熱量(ΔH)は1.4J/gであった。そしてこの成形品を60℃の恒温槽中に2時間入れておいたところ、変形はみられず良好であった。評価結果を表11に示す。
Figure 0004050213
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実施例のポリ乳酸系多層シートは、ヘイズ10%以下と透明であり、かつ当該組成物から得られるシートの耐折回数も100回以上と割れにくい。またこのシートから得られる成形品の耐熱性も良好である。
一方、比較例においては、乳酸系ポリエステル及び透明核剤を添加しない場合は耐折回数は0回と堅くて脆く、また耐熱性のある成形品を得るため金型温度を120℃とすると、成形品が金型に融着して成形できない(比較例1)。また、透明核剤を添加し、乳酸系ポリエステルを添加しない場合は、耐熱性のある成形品が得られるが、耐折回数は3回と、樹脂の脆さは改善されていない(比較例2)。さらに、乳酸系ポリエステルを添加し、透明結晶核剤を添加しない場合は、耐折回数は1000回以上と脆さは改善されているが、比較例1と同様に成形品を得ることができない(比較例3)。
さらに、乳酸系ポリエステルにおいて、ポリエステル/ラクタイドの比率が10/90未満の場合は、得られるポリ乳酸系多層シートの耐折回数が低下する(比較例4)。一方、90/10を超える場合は、ポリ乳酸との相溶性が低下するため、ポリ乳酸系樹脂組成物のヘイズが高くなってしまう(比較例5)。
また、透明結晶剤の添加量が0.1重量%未満の場合は、比較例1と同様、成形品を得ることができない(比較例6)。
さらに5重量%を超える場合は、ポリ乳酸系多層シートの透明性が低下する(比較例7)
乳酸系ポリエステルと結晶核剤をポリ乳酸とブレンドした単層シートの場合は、シートのヘイズが高くなってしまう(比較例8)。
本発明の透明性、結晶性(耐熱性)及び耐折強さを有するポリ乳酸系多層シートは、透明かつ割れにくさが要求される食品用トレイや、加えて高温にさらされても変形しない耐熱性が要求されるブリスターパック等にも好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. L/D比又はD/L比が重量比で100/0〜90/10である乳酸成分(I)とポリエステル成分(II)を重量比で10:90〜90:10の範囲で有する乳酸系ポリエステル組成物または、乳酸系ポリエステル組成物とポリ乳酸からなる透明核剤を含まない層Iと、脂肪族カルボン酸アミド、脂肪族カルボン酸塩、脂肪族アルコール及び脂肪族カルボン酸エステルからなる化合物群から選択された少なくとも一種の透明核剤を0.1〜5重量%含むポリ乳酸組成物からなる層IIを有し、シート全体に対する層Iと層IIの割合がそれぞれ20〜80%であるポリ乳酸系多層シート。
  2. 請求項1記載の層Iにおいて、ポリ乳酸の含有率が高々99重量%である、請求項1記載のポリ乳酸系多層シート。
  3. 乳酸系ポリエステル組成物中の乳酸(I)がポリ乳酸であり、ポリエステル成分(II)が脂肪族ポリエステルを主成分とするポリエステルである請求項1〜2いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  4. 透明核剤がパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、べヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸カルシウム、エチレングリコールジステアレート及びステアリルアルコール、からなる群から選択された少なくとも一種である請求項1〜3いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  5. ポリエステル(II)中の脂肪族ポリエステルの割合が30〜100モル%の請求項1〜4いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  6. 厚み0.3mmの場合でのヘイズ値が10%以下であることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のポリ乳酸系多層シート。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリ乳酸系多層シートよりなり、示差走査熱量計で0℃から融点まで10℃/分の速度で昇温したときに観測される、樹脂の結晶化に伴う発熱量が15J/g以下であることを特徴とする成形品。
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