JP2005117012A - 半導体膜とその製造方法、およびそれを用いた太陽電池とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜とその製造方法、およびそれを用いた太陽電池とその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の半導体膜は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に、Ia族元素およびVb族元素が添加された組成を有する。これにより、キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜を提供する。また、本発明の太陽電池(1)は、基板(11)と、基板(11)上に光吸収層(13)として設けられた本発明の半導体膜とを有する。これにより、キャリア濃度が効果的に制御された光吸収層を設けて、エネルギー変換効率の高い太陽電池を提供する。
【選択図】 図1


Description

本発明は、半導体膜とその製造方法、およびそれを用いた太陽電池とその製造方法に関する。
Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる化合物半導体(カルコパイライト構造半導体)であるCuInSe2(以下、CISと記述する。)あるいはこれにGaを固溶したCu(In,Ga)Se2(以下、CIGSと記述する。)を光吸収層に用いた太陽電池は、高いエネルギー変換効率を示し、光照射等による効率の劣化がないという利点を有している。
一般的に、太陽電池の高効率化には、キャリア濃度の制御が重要となる。例えば、半導体膜であるCIGS膜を光吸収層に用いた太陽電池では、Ia族元素であるNaがCIGS膜の欠陥低減に作用し、結果的にキャリア濃度を増加させることが知られている。そこで、意図的にNaをドーピングする技術として、Na含有層を形成し、その上にCIGS膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。この方法によれば、Naの添加によりCIGS膜のキャリア濃度が増加し、エネルギー変換効率の高い太陽電池を提供できる。
Naの添加以外でキャリア濃度を増加させる方法としては、イオン注入法によりCIS膜に含まれるVIb族元素のSeを、Vb族元素であるP、SbまたはBiで部分的に置換する方法が提案されている(例えば、非特許文献1)。さらに、Vb族元素である窒素イオンを用いたドーピング法(例えば、特許文献4参照。)や、Vb族元素がドーピングされた半導体薄膜形成用前駆体を用いてCIGS膜を作製する方法(例えば、特許文献5)も提案されている。
特開平8−102546号公報 特開平8−222750号公報 特開平10−512096号公報 特開平5−029361号公報 特開平10−150212号公報 古曳、他3名(S. Kohiki et al)、「ベイランス マニピュレイション アンド ホモジャンクション ダイオード ファブリケイション オブ カルコパイライト ストラクチュア Cu−In−Se シン フィルムズ(Valence Manipulation and Homojunction Diode Fabrication of Chalcopyrite Structure Cu-In-Se Thin Films)」、シン ソリッド フィルムズ(Thin Solid Films)、第226巻、1993年 p.149−155
しかしながら、Na含有層を形成してCIGS膜を形成する方法では、キャリア濃度の十分な増加が得られないため、太陽電池の開放電圧が低くなり、その結果、変換効率が劣化する場合があった。また、Na含有層の膜厚を厚くしてNaのドープ量を増加させると、CIGS膜の結晶成長が阻害されて結晶欠陥が増加する場合があった。このように、Na含有層を形成する方法の場合、キャリア濃度の制御に限界があった。
一方、Vb族元素をドーピングする方法においては、CIGS膜の中でのVb族ドーパントの活性化率が低いため、キャリア濃度を増加させるためには多量にドーピングする必要があった。この場合、ドープ量に比例してキャリア濃度が増加しないという問題があり、やはりキャリア濃度の制御に限界があった。
本発明は、前記課題を解決するために、キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜とその製造方法、およびそれを用いた太陽電池とその製造方法を提供する。
本発明の半導体膜は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に、Ia族元素およびVb族元素が添加された組成を有する。
本発明の太陽電池は、基板と、前記基板上に光吸収層として設けられた前記半導体膜とを有する。
本発明の第1の半導体膜の製造方法は、(i)Ia族元素およびVb族元素を含む第1の薄膜を形成する工程と、(ii)前記第1の薄膜上にIb族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを供給することによって、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する前記半導体膜を形成する工程とを含む。
本発明の第2の半導体膜の製造方法は、(i)Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む第4の薄膜を形成する工程と、(ii)前記第4の薄膜にIa族元素およびVb族元素を供給することによって、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に、前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する前記半導体膜を形成する工程とを含む。
本発明の第3の半導体膜の製造方法は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体を形成する際、同時にIa族元素およびVb族元素を供給して、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する前記半導体膜を形成する工程を含む。
本発明の太陽電池の製造方法は、基板を準備し、前記基板上に、光吸収層として前述した半導体膜の製造方法のうちいずれかの方法により半導体膜を設ける。
本発明の半導体膜およびその製造方法によれば、キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜を提供できる。また、本発明の太陽電池およびその製造方法によれば、高いエネルギー変換効率を有する太陽電池を提供できる。
本発明の半導体膜は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に、Ia族元素およびVb族元素が添加された組成を有する。Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体にIa族元素をドーピングすることで、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体の結晶欠陥を低減できるためドナー濃度が低下し、ドナーと相殺していたアクセプタの濃度が増加する。さらにVb族元素もドーピングするので、直接的にアクセプタ濃度を増加させることもできる。これにより、キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜を提供することができる。なお、本明細書における元素の族表示は、IUPAC(1970)の規定に基づいている。IUPAC(1989)の規定に基づけば、上記Ib族は11族に、上記IIIb族は13族に、上記VIb族は16族に、上記Ia族は1族に、上記Vb族は15族に該当する。
本発明の半導体膜においては、前記Ia族元素を0.005〜5原子%の原子含有率で含み、前記Vb族元素を0.001〜1原子%の原子含有率で含んでいてもよい。効果的に半導体膜のキャリア濃度を増加させることができるからである。
本発明の半導体膜においては、前記Ia族元素は、Li、Na、およびKから選ばれる少なくとも一つの元素であってもよく、前記Vb族元素は、NおよびPから選ばれる少なくとも一つの元素であってもよい。
本発明の半導体膜においては、前記Ib族元素はCuであり、前記IIIb族元素はInおよびGaから選ばれる少なくとも一つの元素であり、前記VIb族元素はSeおよびSから選ばれる少なくとも一つの元素であってもよい。
本発明の太陽電池は、基板と、前記基板上に光吸収層として設けられた前記半導体膜とを有する。光吸収層として、キャリア濃度が効果的に制御された前記半導体膜を用いることで、エネルギー変換効率の高い太陽電池を提供できる。
本発明の太陽電池においては、前記光吸収層の上下面のいずれか一方に設けられた電極層を更に備え、前記光吸収層が、前記電極層側に配置された第1の光吸収層と、前記電極層に対して前記第1の光吸収層を挟んで配置された第2の光吸収層とからなり、前記第1の光吸収層におけるIa族元素およびVb族元素の原子含有率が、前記第2の光吸収層におけるIa族元素およびVb族元素の原子含有率の2倍以上であってもよい。前記構成によれば、電極層側に配置された第1の光吸収層のキャリア濃度が第2の光吸収層のキャリア濃度より大きくなるため、電極層側にフェルミ準位の差による電界が形成される。この電界(障壁)によって、光吸収で生成された電極層側へ向かうキャリアが反射され、電極層近傍で再結合しなくなるため、取り出される光電流を増加できるからである。また、本発明の太陽電池においては、前記構成において、前記第1の光吸収層が、10〜300nmであってもよい。より効果的に光電流を取り出すことができるからである。
本発明の第1の半導体膜の製造方法は、(i)Ia族元素およびVb族元素を含む第1の薄膜を形成する工程と、(ii)前記第1の薄膜上にIb族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを供給することによって、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する前記半導体膜を形成する工程とを含む。この方法によれば、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された半導体膜を形成できるので、キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜を提供できる。
本発明の第1の半導体膜の製造方法における前記(ii)の工程は、具体的には次の1)〜3)の何れかであってもよい。
1) 前記第1の薄膜を加熱しながら、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを前記第1の薄膜上に堆積させることによって前記半導体膜を形成する工程を含む。
2) (ii−A)前記第1の薄膜上に、前記Ib族元素および前記IIIb族元素を含む第2の薄膜を形成する工程と、
(ii−B)前記第1の薄膜および前記第2の薄膜を、前記VIb族元素を含む雰囲気中で熱処理することによって前記半導体膜を形成する工程とを含む。
3) (ii−a)前記第1の薄膜上に、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含む第3の薄膜を形成する工程と、
(ii−b)前記第1の薄膜および前記第3の薄膜を熱処理することによって前記半導体膜を形成する工程とを含む。
本発明の第1の半導体膜の製造方法においては、前記第1の薄膜が、さらにVIb族元素を含んでいてもよい。第1の薄膜が空気等に接触しても安定な構造を保つことができるからである。
本発明の第1の半導体膜の製造方法における前記(i)の工程は、少なくとも前記Ia族元素および前記Vb族元素を含む焼結体をターゲットまたは蒸着源として用い、スパッタリング法または蒸着法により前記第1の薄膜を形成する工程を含んでいてもよい。膜厚の再現性が良好な第1の薄膜を形成できるからである。また、この焼結体には、リン酸リチウムおよびリン酸ナトリウムの少なくとも一方が含まれていてもよい。これらの化合物によれば、Ia族元素およびVb族元素を安定かつ制御性良く供給できるからである。
本発明の第2の半導体膜の製造方法は、(i)Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む第4の薄膜を形成する工程と、(ii)前記第4の薄膜にIa族元素およびVb族元素を供給することによって、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に、前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する前記半導体膜を形成する工程とを含む。この方法によれば、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された半導体膜を形成できるので、キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜を提供できる。
本発明の第2の半導体膜の製造方法における前記(ii)の工程は、具体的には次の1)または2)であってもよい。
1) 前記第4の薄膜を加熱しながら、前記Ia族元素および前記Vb族元素を前記第1の薄膜上に堆積させることによって前記半導体膜を形成する工程を含む。
2) (ii−A)前記第4の薄膜上に、前記Ia族元素および前記Vb族元素を含む第5の薄膜を形成する工程と、
(ii−B)前記第4の薄膜および前記第5の薄膜を熱処理することによって前記半導体膜を形成する工程とを含む。
本発明の第2の半導体膜の製造方法においては、前記第5の薄膜がさらにVIb族元素を含んでいてもよい。第5の薄膜が空気等に接触しても安定な構造を保つことができるからである。
本発明の第2の半導体膜の製造方法においては、前記(ii)の工程が、少なくとも前記Ia族元素および前記Vb族元素を含む焼結体をターゲットまたは蒸着源として用い、スパッタリング法または蒸着法により、前記第4の薄膜に前記Ia族元素および前記Vb族元素を供給する工程を含んでいてもよい。再現性良く所定の量の前記Ia族元素および前記Vb族元素を供給できるからである。また、この焼結体には、リン酸リチウムおよびリン酸ナトリウムの少なくとも一方が含まれていてもよい。これらの化合物によれば、Ia族元素およびVb族元素を安定かつ制御性良く供給できるからである。
本発明の第3の半導体膜の製造方法は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体を形成する際、同時にIa族元素およびVb族元素を供給して、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する前記半導体膜を形成する工程を含む。この方法によれば、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された半導体膜を形成できるので、キャリア濃度が効果的に制御された半導体膜を提供できる。
本発明の太陽電池の製造方法は、基板を準備し、前記基板上に、光吸収層として前述した半導体膜の製造方法のうちいずれかの方法により半導体膜を設ける。これにより、キャリア濃度が効果的に制御された光吸収層を設けることができるため、エネルギー変換効率の高い太陽電池を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はここで説明する形態のみに限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の太陽電池の一実施形態を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態の太陽電池1は、基板11上に、電極層12、光吸収層13、窓層14、および透明電極層15がこの順に積層され、形成されている。
基板11としては、例えばガラス基板、金属基板(ステンレス板やTi板等)、または絶縁膜で被覆された金属基板等が使用できる。
電極層12は、例えばMo等の金属薄膜にて形成される。
窓層14は、例えばZnOやZn1-XMgXO(0<x<1)等のZn系化合物、In23、In23等のIn系化合物、またはGa23、Al23等の酸化物を用いることができる。
透明電極層15には、例えばITO(酸化インジウム錫)、またはZnOにAlやGa等のIII族元素をドーピングしたZnO:AlやZnO:Ga等を使用できる。
光吸収層13は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された組成を有する半導体膜からなる半導体層である。Ib族元素としてはCuを用いることが好ましい。IIIb族元素としては、InおよびGaから選択される少なくとも一つの元素を用いることが好ましい。VIb族元素としては、SeおよびSから選択される少なくとも一つの元素を用いることが好ましい。従って、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体の具体例としては、CIS、CIGS、またはこれらの化合物半導体においてSeの一部をSに置換したものが挙げられる。添加されるIa族元素としては、Li、Na、およびKから選択される少なくとも一つの元素を用いることが好ましい。また、Vb族元素としては、NおよびPから選択される少なくとも一つの元素を用いることが好ましい。
この半導体層には、Ia族元素が0.005〜5原子%含まれていることが好ましく、0.05〜0.5原子%含まれていることがより好ましい。また、Vb族元素は、0.001〜1原子%含まれていることが好ましく、0.01〜0.1原子%含まれていることがより好ましい。
この半導体層は、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体にIa族元素がドーピングされているので、結晶欠陥が低減されている。例えば、Se等のVIb族元素の欠陥はn形ドーパントでありドナーとして機能するので、この欠陥が低減するとドナーと相殺していたp形ドーパントであるアクセプタの濃度が増加する。また、この半導体層にはVb族元素もドーピングされているので、アクセプタの濃度が増加している。これは、Vb族元素がカルコパイライト構造の化合物半導体のVIb族元素と置換してアクセプタとなるためである。このように、本実施の形態においては、半導体層にIa族元素とVb族元素とを共にドーピングすることにより、Ia族元素のドーピングによる結晶欠陥の低減とVb族元素のドーピングによるアクセプタ濃度の向上とを同時に実現でき、効果的にキャリア濃度を制御できる。これにより、好適なキャリア濃度を有する光吸収層を備えた太陽電池を実現できる。
次に、太陽電池1の製造方法の一例について説明する。図2A〜Cは、本実施の形態の太陽電池の製造方法における各工程を示す断面図である。
基板11上に、電極層12となる導電膜をスパッタ法または蒸着法にて形成する。さらに、電極層12上に、Ia族元素とVb族元素とを含む第1の薄膜16を形成する(図2A参照)。第1の薄膜16は、例えばリン酸リチウム、硝酸リチウム、リン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、リン酸カリウム、または硝酸カリウム等により形成できる。第1の薄膜16は、例えば、少なくともIa族元素とVb族元素とを含む焼結体を用いてスパッタ法や蒸着法により形成できる。
次に、第1の薄膜16を300〜600℃の温度まで加熱しながら、第1の薄膜16上にスパッタ法や蒸着法を用いてIb族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを堆積させる。この時、第1の薄膜16からIa族元素とVb族元素とがドーピングされるので、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された組成を有する半導体層(光吸収層13)が形成できる(図2B参照)。
また、このような半導体層(光吸収層13)を作製する他の方法としては、スパッタ法を用いて第1の薄膜16上にIb族元素とIIIb族元素とを含む第2の薄膜17(図2C参照)を形成し、次に第1の薄膜16と第2の薄膜17とをVIb族元素雰囲気中で熱処理する方法や、スパッタ法を用いて第1の薄膜16上にIb族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む第3の薄膜18(図2C参照)を形成した後、第1の薄膜16と第3の薄膜18とを熱処理する方法が挙げられる。これらの方法によっても、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された組成を有する半導体層(光吸収層13)を形成できる。なお、スパッタ法や蒸着法の他に、電着法を用いることも可能である。また、ここでの熱処理は、例えば、1〜5%希釈のH2Seガス雰囲気中あるいはSe蒸気中で400〜600℃の範囲で加熱して行う。
以上のように光吸収層13を形成した後、スパッタ法または蒸着法を用いて光吸収層13上に窓層14および透明電極層15を形成することにより、太陽電池1が作製できる。
以上、本発明の実施の形態1に係る太陽電池1について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、前記製造方法において、電極層12上に第1の薄膜16を形成する際、第1の薄膜16の厚みを制御して、図3に示すように、光吸収層13が、電極層12側に配置された第1の光吸収層31と、電極層12に対して第1の光吸収層31を挟んで配置された第2の光吸収層32とからなる太陽電池3としてもよい。なお、第1の光吸収層31におけるIa族元素およびVb族元素の原子含有率は、第2の光吸収層32におけるIa族元素およびVb族元素の原子含有率の2倍以上である。
(実施の形態2)
図4は、本発明の太陽電池の別の一実施形態を示す断面図である。図4に示すように、本実施の形態の太陽電池2は、透明基板21上に、透明電極層22、窓層23、光吸収層24、および電極層25がこの順に積層され、形成されている。
透明基板21としては、例えばガラス基板が使用できる。
透明電極層22には、例えばITO、またはZnOにAlやGa等のIII族元素をドーピングしたZnO:AlやZnO:Ga等を使用できる。
窓層23には、例えばZnOやZn1-XMgXO(0<x<1)等のZn系化合物、In23、In23等のIn系化合物、またはGa23やAl23等の酸化物を用いることができる。
光吸収層24は、実施の形態1で説明した光吸収層13と同様の材料および製造方法により形成される半導体層(半導体膜)である。本実施の形態の太陽電池2においても、実施の形態1と同様に、この半導体層に含まれるIa族元素の原子含有率は0.005〜5原子%であることが好ましく、0.05〜0.5原子%であることがより好ましい。また、Vb族元素の原子含有率は0.001〜1原子%であることが好ましく、0.01〜0.1原子%であることがより好ましい。
電極層25は、例えばMo等の金属薄膜にて形成される。
以上のような太陽電池2においても、実施の形態1の太陽電池1と同様の効果が得られる。
次に、太陽電池2の製造方法の一例について説明する。図5A〜Cは、本実施の形態の太陽電池2を製造する各工程を示す断面図である。
透明基板21上に、透明電極層22および窓層23を順に形成し、さらに、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる第4の薄膜26を形成する(図5A参照)。第4の薄膜26の形成に用いられるIa族元素、IIIb族元素、およびVIb族元素には、実施の形態1の場合と同様の元素を用いることができる。また、スパッタ法や蒸着法等、実施の形態1の場合と同様の方法が適用できる。
次に、第4の薄膜26上に、少なくともIa族元素とVb族元素とを含む第5の薄膜27を形成する(図5B参照)。第5の薄膜27は、実施の形態1で説明した第1の薄膜16と同様の材料および製造方法にて作製される。その後、第4の薄膜26および第5の薄膜27を熱処理する。ここでの熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、H2SeやSe蒸気等のVIb族元素を含む雰囲気、あるいは空気中や真空中で200〜500℃の範囲で加熱して行う。この熱処理時に、第5の薄膜27からIa族元素およびVb族元素が第4の薄膜26にドーピングされる。これにより、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された組成を有する半導体層(光吸収層24)を形成できる(図5C参照)。また、この半導体層(光吸収層24)を作製する他の方法としては、図5Aに示す第4の薄膜26を200〜500℃の温度まで加熱しながら、スパッタ法や蒸着法を利用してIa族元素とVb族元素とを第4の薄膜26上に堆積させる方法がある。
以上のように光吸収層24を形成した後、スパッタ法または蒸着法を用いて光吸収層24上に電極層25を形成することにより、太陽電池2が作製できる。
(実施の形態3)
本発明の太陽電池の製造方法の別の一実施形態について説明する。本実施の形態の製造方法においては、図1および図4に示す太陽電池1,2の光吸収層13,24の製造工程が、実施の形態1または実施の形態2で説明した製造工程と異なる。本実施の形態の製造方法においては、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素を供給する際に、同時にIa族元素とVb族元素とを供給することにより、光吸収層13,24として機能する半導体層を形成する。
Ib族元素、IIIb族元素、VIb族元素、Ia族元素およびVb族元素としては、例えば実施の形態1で説明した材料を用いることができる。また、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素を供給する方法としては、例えばスパッタ法や蒸着法が使用できる。Ia族元素およびVb族元素を供給する方法としては、例えば、少なくともIa族元素とVb族元素とを含む焼結体を用いて、スパッタ法や蒸着法により供給する方法が使用できる。
以上のような方法によれば、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体にIa族元素およびVb族元素が添加された組成を有する半導体層(光吸収層13,24として機能する。)を形成できる。従って、実施の形態1または2と同様の効果を有する太陽電池を作製できる。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1においては、実施の形態1で説明した太陽電池の製造方法(半導体膜の製造方法)の一例について説明する。
本実施例では、基板11にステンレススチール板(厚み50μm)を用い、電極層12にはMo膜(厚み0.4μm)を用いた。Mo膜は、MoをターゲットとしてArガス雰囲気中でスパッタ法により形成した。
次に、第1の薄膜16として、膜厚10nm〜50nmの範囲内でリン酸ナトリウム膜を形成した。リン酸ナトリウム膜は、リン酸ナトリウムの焼結体をターゲットとして、Arガス雰囲気中で高周波スパッタ法により形成した。この際、ガス圧を0.5Paとし、印加パワーを1kWとした。
次に、リン酸ナトリウム膜上に、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを堆積させ(厚み1.5μm)、半導体膜を形成した。具体的には、真空蒸着法によって、CuとInとGaとSeとを独立した蒸着源から蒸着させた。また、蒸着時の基板温度は550℃とした。
以上の方法により、ステンレススチール板上にMo膜と半導体膜が積層されたサンプルを得た。
図6に、このように作製されたサンプル(リン酸ナトリウムの膜厚は50nmで形成した。)のX線回折パターンが示されている。このX線回折パターンには、カルコパイライト構造のCIGS膜とMo膜とステンレススチールとに関わる回折ピークのみが観測され、他の異相のピークは観測されなかった。この結果から、CuとInとGaとSeとを堆積させて膜を形成する際に、この膜内にリン酸ナトリウム膜に含まれる元素がドーピングされて、カルコパイライト構造の半導体膜が形成されていることが確認された。
次に、リン酸ナトリウム膜の厚みに対するキャリア濃度の変化を測定した。リン酸ナトリウム膜の膜厚を0〜50nmの範囲で変化させた複数のサンプルを用意し、これら各サンプルの半導体膜の表面にAl膜を蒸着してショットキー接合を形成し、容量−電圧特性からキャリア濃度を測定した。結果を図7に示す。リン酸ナトリウムの膜厚を0〜30nmの間で変化させると、キャリア濃度を1015〜1017/cm3の範囲で制御できることが確認できた。なお、膜厚が30nmを超えるとキャリア濃度が低下したが、これはNaのドープ量の増加により結晶欠陥が増加したためであると考えられる。この結果から、リン酸ナトリウム膜の膜厚を変化させることにより、キャリア濃度を制御できることが確認できた。
(実施例2)
実施例2においては、実施の形態2で説明した太陽電池の製造方法(半導体膜の製造方法)の一例について説明する。
本実施例では、透明基板21にガラス基板(厚み3mm)を用い、透明電極層22にはITO膜(厚み600nm)を用いた。ITO膜は、Snを10wt%含有するITO焼結体をターゲットとして、Arガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中でスパッタ法により形成した。
次に、窓層23として、Zn0.9Mg0.1O膜(厚み100nm)を形成した。Zn0.9Mg0.1O膜は、Zn0.9Mg0.1Oの焼結体をターゲットとしてArガス雰囲気中で高周波スパッタ法により形成した。
次に、Zn0.9Mg0.1O膜上に、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む第4の薄膜26(図5A参照)として、CIGS膜(厚み2μm)を形成した。CIGS膜は、真空蒸着法により、CuとInとGaとSeとを独立した蒸着源から蒸発させて形成した。また、蒸着時の基板温度は550℃に保持した。
次に、CIGS膜上にIa族元素とVb族元素とを堆積させた。Ia族元素とVb族元素とを含む蒸着源としてはリン酸リチウムの焼結体を用い、この焼結体を600〜800℃の範囲で加熱し、蒸着法により形成した。また、蒸着時の基板温度を400℃に保持し、LiとPをCIGS膜内に拡散させて半導体膜を形成した。
以上の方法により、ガラス基板上にITO膜、Zn0.9Mg0.1O膜、および半導体膜が形成されたサンプルが得られた。このサンプルのX線回折パターンには、カルコパイライト構造のCIGS膜とZn0.9Mg0.1O膜とITO膜とに関わる回折ピークのみが観測され、他の異相のピークは観測されなかった。この結果から、リン酸リチウムに含まれる元素がCIGS膜に拡散していることが確認できた。
さらに、このサンプルについて、2次イオン質量分析装置(アルバック・ファイ製 ADEPT1010、以下「SIMS」という)を用いて半導体膜の各元素の分布を測定した。この結果によれば、LiはCIGS膜の表面に多く分布していることが確認された。PはCIGS膜表面に多く、Zn0.9Mg0.1O膜界面に近づくに従い減少するように分布していることが確認された。また、このSIMSによる測定結果によっても、CIGS膜内にLiとPとが拡散していることが確認できた。
次に、サンプルのCIGS膜の表面にオーミック接触となるAu膜を蒸着し、ITO/Zn0.9Mg0.1O/CIGSで構成されるpn接合を形成して容量−電圧特性からキャリア濃度を測定した。図8に、リン酸リチウムの蒸着量を膜厚に換算した場合の膜厚に対するキャリア濃度の変化を示す。リン酸リチウムの膜厚が0〜40nmの範囲では、キャリア濃度は膜厚に対しほぼ指数関数的に増加しており、実施例1のリン酸ナトリウムを用いた場合と比較すると膜厚50nmでもキャリア濃度の減少はみられない。これは、Liの原子半径が小さいため、多量にドーピングされてもCIGS膜の欠陥生成が少ないからであると考えられる。
以上の結果より、リン酸リチウムの蒸着量によりCIGS膜のキャリア濃度を制御できることが確認できた。なお、本実施例においてはリン酸リチウムを用いたが、硝酸リチウムを用いた場合でも同様の結果が得られた。
(実施例3)
実施例3においては、実施の形態3で説明した太陽電池の製造方法(半導体膜の製造方法)の一例について説明する。
本実施例では、基板11にステンレススチール板(厚み50μm)を用い、電極層12にはMo膜(厚み0.4μm)を用いた。Mo膜は、MoをターゲットとしてArガス雰囲気中でスパッタ法により形成した。
次に、CuとInとSとを独立した蒸着源から熱蒸着により供給し、同時にリン酸ナトリウムを600℃〜800℃の温度範囲内で蒸発させてNaとPとを供給した。また、この時、基板温度を600℃に保持して、NaとPとがドーピングされた厚み2.5μmのCIS膜(CIS:Na,P膜)を形成した。
以上の方法により、ステンレススチール板上にMo膜と半導体膜(CIS:Na,P膜)が積層されたサンプルを得た。
このサンプルのX線回折パターンには、カルコパイライト構造のCIS膜とMo膜とステンレススチールとに関わる回折ピークのみが観測され、他の異相のピークは観測されなかった。これにより、リン酸ナトリウムがCIS膜内に拡散していることが確認された。
また、このサンプルについて、SIMSを用いて半導体膜の各元素の分布を測定した。この結果によれば、NaとPがCIS膜の深さ方向にほぼ均一に分布していることが確認された。また、この結果からも、半導体膜へのNaおよびPの拡散が確認できた。
次に、このサンプルについて、作製された半導体膜の表面にAl膜を蒸着してショットキー接合を形成し、容量−電圧特性からキャリア濃度を測定した。リン酸ナトリウムの蒸着量に対するキャリア濃度の変化は、実施例1の場合とほぼ同様であった。これにより、リン酸ナトリウムの蒸着量を変化させることで、キャリア濃度を1015〜1017/cm3の範囲で制御できることが確認できた。
(実施例4)
実施例4では、実施の形態1の太陽電池1の一例について説明する。
基板11としては、絶縁層となるAl23膜を被覆したステンレススチール板(厚み50μm)を用いた。電極層12として、Mo膜(厚み0.4μm)を形成した。
光吸収層13は、CIGS膜にNaとPとがドーピングされた厚み2.5μmの半導体膜(CIGS:Na,P膜)により形成した。この半導体膜の具体的な製造方法は実施例1の場合と同様にした。また、本実施例ではリン酸ナトリウム膜の膜厚を20nmとした。
次に、窓層14としてZn1-XMgXO膜を形成し、その上に透明電極層15としてITO膜を形成した。Zn1-XMgXO膜およびITO膜の製造方法と各膜厚は、実施例2の場合と同様にした。
ITO膜を形成した後、N2中250℃で10分間アニールを行い、Zn1-XMgXO膜を形成した時に生じたCIGS膜表面のスパッタダメージを回復させた。以上の方法で本実施例の太陽電池を作製した。
作製した実施例4の太陽電池に含まれる半導体膜(光吸収層13)について、SIMSを用いて各元素の分布を測定した結果を図9に示す。図9において、縦軸はSIMS強度、横軸は半導体膜表面からの深さを表す。図9に示すように、半導体膜中のNa(実線)は、Mo膜(電極層12)との界面付近(図9の横軸の2300〜2500nm)および半導体膜の表面に多く分布していることが確認された。また、P(破線)は、Mo膜との界面付近で多く、半導体膜の表面に近づくに従い減少するように分布していることが確認された。また、Mo膜との界面付近(図9の横軸の2300〜2500nm)の半導体膜は、それ以外の半導体膜よりNa、PともにSIMS強度が2倍以上(原子含有率が2倍以上)高い値を示した。この結果から、実施例4の太陽電池に含まれる半導体膜(光吸収層13)は、Mo膜側に配置された第1の光吸収層31(図3参照)と、Mo膜に対して第1の光吸収層31を挟んで配置された第2の光吸収層32(図3参照)とから構成されていることがわかった。また、Na、P以外の元素は膜内に均一に分布していることが確認された。なお、実施例4の太陽電池に含まれる半導体膜中のNa濃度は0.005〜5原子%の範囲内であり、P濃度は0.001〜1原子%の範囲内であった。
(実施例5)
実施例5では、実施の形態3の太陽電池の一例について説明する。
実施例5の太陽電池は、光吸収層の形成方法以外は、前述した実施例4と同様に作製した。ここで、実施例5の太陽電池の光吸収層13は、CIGS膜にNaとPとがドーピングされた厚み2.5μmの半導体膜(CIGS:Na,P膜)により形成した。この半導体膜は、CuとInとGaとSeを独立した蒸着源から熱蒸着により供給し、同時にリン酸ナトリウムを600〜800℃の温度範囲内で蒸発させてNaとPを供給して形成した。
また、比較例として、リン酸ナトリウム膜に代わりフッ化ナトリウム膜(膜厚20nm)を形成した太陽電池も作製した。すなわち、比較例の太陽電池は、NaのみがCIGS膜にドーピングされるように形成されたものである。なお、比較例の太陽電池について、フッ化ナトリウム膜以外の構成は実施例4の太陽電池と同様に形成した。
実施例4,5の太陽電池および比較例の太陽電池の特性を、ソーラーシミュレータ(ワコム製 WXS-130S-10)を用いて、エア・マス(AM)1.5で100mW/cm2の疑似太陽光にて測定した。比較例の太陽電池では、開放電圧が0.52Vであったが、実施例4,5の太陽電池は、それぞれ開放電圧が0.63V、0.60Vに増加した。これにより、NaとPとをドーピングしたCIGS膜を光吸収層として用いることにより、フッ化ナトリウムでNaのみをドーピングしたCIGS膜を光吸収層として用いる場合と比較して、キャリア濃度が増加し開放電圧が向上することが確認できた。
また、実施例5および比較例の太陽電池では、いずれも短絡電流密度が32mA/cm2であったが、実施例4の太陽電池では、短絡電流密度が34mA/cm2に増加していた。これは、実施例4の太陽電池では、前述したように、第1の光吸収層31のNaおよびPの原子含有率が、第2の光吸収層32のNaおよびPの原子含有率より多いため、キャリアの再結合が低減したことによるものと考えられる。
以上の結果から、光吸収層として用いられるCIGS膜にIa族とVb族元素とをドーピングすることにより、CIGS膜のキャリア濃度が増加して開放電圧が向上し、高いエネルギー変換効率が実現できることがわかった。
本発明の半導体膜およびその製造方法は、キャリア濃度を効果的に制御できるため、高いエネルギー変換効率が必要な太陽電池や、高い発光効率が必要な発光ダイオード等に好適に使用できる。また、本発明の太陽電池およびその製造方法は、高いエネルギー変換効率が必要な太陽電池に適用できる。
本発明の実施の形態1における太陽電池を示す断面図である。 A〜Cは、本発明の実施の形態1における太陽電池の製造方法の各工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における太陽電池の別の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における太陽電池を示す断面図である。 A〜Cは、本発明の実施の形態2における太陽電池の製造方法の各工程を示す断面図である。 本発明の実施例1におけるサンプルのX線回折パターンである。 リン酸ナトリウムの膜厚とキャリア濃度との関係を示す図である。 蒸着量から換算したリン酸リチウムの膜厚とキャリア濃度との関係を示す図である。 本発明の実施例4における半導体膜表面からの深さとSIMS強度との関係を示す図である。
符号の説明
1,2,3 太陽電池
11 基板
12,25 電極層
13,24 光吸収層(半導体膜)
14,23 窓層
15,22 透明電極層
16 第1の薄膜
17 第2の薄膜
18 第3の薄膜
21 透明基板
26 第4の薄膜
27 第5の薄膜
31 第1の光吸収層
32 第2の光吸収層

Claims (23)

  1. Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に、Ia族元素およびVb族元素が添加された組成を有する半導体膜。
  2. 前記半導体膜は、前記Ia族元素を0.005〜5原子%の原子含有率で含み、前記Vb族元素を0.001〜1原子%の原子含有率で含む請求項1に記載の半導体膜。
  3. 前記Ia族元素は、Li、Na、およびKから選ばれる少なくとも一つの元素である請求項1に記載の半導体膜。
  4. 前記Vb族元素は、NおよびPから選ばれる少なくとも一つの元素である請求項1に記載の半導体膜。
  5. 前記Ib族元素はCuであり、前記IIIb族元素はInおよびGaから選ばれる少なくとも一つの元素であり、前記VIb族元素はSeおよびSから選ばれる少なくとも一つの元素である請求項1に記載の半導体膜。
  6. 基板と、前記基板上に光吸収層として設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体膜とを有する太陽電池。
  7. 前記太陽電池は、前記光吸収層の上下面のいずれか一方に設けられた電極層を更に備え、
    前記光吸収層は、前記電極層側に配置された第1の光吸収層と、前記電極層に対して前記第1の光吸収層を挟んで配置された第2の光吸収層とからなり、
    前記第1の光吸収層におけるIa族元素およびVb族元素の原子含有率は、前記第2の光吸収層におけるIa族元素およびVb族元素の原子含有率の2倍以上である請求項6に記載の太陽電池。
  8. 前記第1の光吸収層は、10〜300nmである請求項7に記載の太陽電池。
  9. (i)Ia族元素およびVb族元素を含む第1の薄膜を形成する工程と、
    (ii)前記第1の薄膜上にIb族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを供給することによって、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する半導体膜を形成する工程とを含む半導体膜の製造方法。
  10. 前記(ii)の工程は、前記第1の薄膜を加熱しながら、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを前記第1の薄膜上に堆積させることによって前記半導体膜を形成する工程を含む請求項9に記載の半導体膜の製造方法。
  11. 前記(ii)の工程は、
    (ii−A)前記第1の薄膜上に、前記Ib族元素および前記IIIb族元素を含む第2の薄膜を形成する工程と、
    (ii−B)前記第1の薄膜および前記第2の薄膜を、前記VIb族元素を含む雰囲気中で熱処理することによって前記半導体膜を形成する工程とを含む請求項9に記載の半導体膜の製造方法。
  12. 前記(ii)の工程は、
    (ii−a)前記第1の薄膜上に、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含む第3の薄膜を形成する工程と、
    (ii−b)前記第1の薄膜および前記第3の薄膜を熱処理することによって、前記半導体膜を形成する工程とを含む請求項9に記載の半導体膜の製造方法。
  13. 前記第1の薄膜は、さらにVIb族元素を含む請求項9に記載の半導体膜の製造方法。
  14. 前記(i)の工程は、少なくとも前記Ia族元素および前記Vb族元素を含む焼結体をターゲットまたは蒸着源として用い、スパッタリング法または蒸着法により前記第1の薄膜を形成する工程を含む請求項9に記載の半導体膜の製造方法。
  15. 前記焼結体は、リン酸リチウムおよびリン酸ナトリウムの少なくとも一方を含む請求項14に記載の半導体膜の製造方法。
  16. (i)Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む第4の薄膜を形成する工程と、
    (ii)前記第4の薄膜上にIa族元素およびVb族元素を供給することによって、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する半導体膜を形成する工程とを含む半導体膜の製造方法。
  17. 前記(ii)の工程は、前記第4の薄膜を加熱しながら、前記Ia族元素および前記Vb族元素を前記第4の薄膜上に堆積させることによって前記半導体膜を形成する工程を含む請求項16に記載の半導体膜の製造方法。
  18. 前記(ii)の工程は、
    (ii−A)前記第4の薄膜上に、前記Ia族元素および前記Vb族元素を含む第5の薄膜を形成する工程と、
    (ii−B)前記第4の薄膜および前記第5の薄膜を熱処理することによって前記半導体膜を形成する工程とを含む請求項16に記載の半導体膜の製造方法。
  19. 前記第5の薄膜は、さらにVIb族元素を含む請求項18に記載の半導体膜の製造方法。
  20. 前記(ii)の工程は、少なくとも前記Ia族元素および前記Vb族元素を含む焼結体をターゲットまたは蒸着源として用い、スパッタリング法または蒸着法により、前記第4の薄膜に前記Ia族元素および前記Vb族元素を供給する請求項16に記載の半導体膜の製造方法。
  21. 前記焼結体は、リン酸リチウムおよびリン酸ナトリウムの少なくとも一方を含む請求項20に記載の半導体膜の製造方法。
  22. Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とを含む化合物半導体を形成する際、同時にIa族元素およびVb族元素を供給して、前記Ib族元素と前記IIIb族元素と前記VIb族元素とを含むカルコパイライト構造の化合物半導体に前記Ia族元素および前記Vb族元素が添加された組成を有する半導体膜を形成する工程を含む半導体膜の製造方法。
  23. 基板を準備し、
    前記基板上に、光吸収層として請求項9〜22のいずれか1項に記載の半導体膜の製造方法により半導体膜を設ける太陽電池の製造方法。

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