図1は、本発明の第1の実施形態を採用した孔版印刷装置1の概略正面図である。同図において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排版部5、排紙部6、画像読取部7を有している。
装置本体8の中央に配設された印刷部2は、版胴9とプレスローラ10とを有している。
版胴9は、インキ供給パイプを兼ねた支軸11に回転自在に支持された一対の端板と、各端板の外周面に巻装された多孔性支持板とから主に構成されており、版胴駆動手段100(図6参照)によって図1において時計回り方向に回転駆動される。支軸11の表面には、後述するインキ供給手段14にインキを供給するための多数の小孔が穿設されている。ステンレスの薄板等で形成される多孔性支持板は、多数の開孔が穿設された開孔部と開孔を有さない非開孔部とを有しており、開孔部の長さはA3サイズの用紙に対して印刷を行うことが可能な長さに形成されている。非開孔部には版胴9の一母線と平行な平面を有するステージ部12が設けられており、ステージ部12の上面には後述するマスタ25の先端を係止する開閉自在なクランパ13が設けられている。また、多孔性支持板の外側には、ポリエステルあるいはステンレスの細線等からなる図示しないメッシュスクリーンが1〜3層程度巻装されている。
版胴9の内部であって支軸11の下方に位置する部位には、インキローラ15及びドクターローラ16等を有するインキ供給手段14が配設されている。インキローラ15は、各端板間の支軸11上に固着された図示しない一対の側板間にその支軸を回転自在に支持されており、版胴駆動手段100からの回転力をギヤやベルト等の回転力伝達手段によって伝達されて版胴9と同方向に回転する。ドクターローラ16は、その外周面とインキローラ15の外周面との間に僅かな隙間が生じる位置において前記側板間に回転自在に支持されており、版胴駆動手段100からの回転力を図示しない回転力伝達手段によって伝達されてインキローラ15とは逆方向に回転する。インキローラ15とドクターローラ16との近接部において、支軸11より供給されたインキによって断面楔形状のインキ溜まり17が形成される。
版胴9の下方にはプレスローラ10が配設されている。プレスローラ10はその支軸の両端を一対のプレスローラアーム18の一端間にそれぞれ回転自在に支持されており、プレスローラ揺動手段101(図6参照)によってプレスローラアーム18が揺動されることによりプレスローラ10は版胴9の外周面に対して接離される。
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタロール支持部材19、プラテンローラ20、サーマルヘッド21、切断手段22、マスタ搬送ローラ対23,24等を有している。
マスタロール支持部材19は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせたマスタ25をロール状に巻成したマスタロール25aの芯部25bを回転自在かつ着脱自在に支持する。プラテンローラ20は装置本体8の図示しない側板間に回転自在に支持されており、ステッピングモータ26によって回転駆動される。多数の発熱素子を有するサーマルヘッド21は装置本体8の図示しない側板に取り付けられており、図示しない付勢手段の付勢力によってプラテンローラ20に圧接されている。サーマルヘッド21はマスタ25の熱可塑性樹脂フィルム面に接触しつつ各発熱素子を選択的に発熱させ、マスタ25に対して熱溶融穿孔製版を行う。
切断手段22は固定刃と可動刃とを有する周知の構成であり、固定刃に対して可動刃が上下動あるいは回転移動することによりマスタ25を切断する。マスタ搬送ローラ対23,24は、それぞれ製版駆動手段102(図6参照)によって回転駆動される駆動ローラと、図示しない付勢手段によってそれぞれ対応する駆動ローラに圧接された従動ローラとを有する周知の構成である。マスタ搬送ローラ対23,24間にはガイド板27が、またマスタ搬送ローラ対24よりもマスタ搬送方向下流側にはガイド板28がそれぞれ配設されている。各ガイド板27,28は装置本体8の側板にそれぞれ固着されており、マスタ搬送ローラ対23,24によって搬送されるマスタ25をガイドし、マスタ25の先端を版胴9の外周面へと案内する。
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ29、給紙ローラ30、分離ローラ31、分離ころ32、レジストローラ対33等を有している。
上面に多数の用紙Pを積載する給紙トレイ29は装置本体8に上下動自在に支持されており、昇降手段を含む給紙駆動手段103(図6参照)によって上下動される。給紙トレイ29には、積載された用紙Pのサイズを検出する4個のセンサ34a,34b,34c,34dと、用紙Pをガイドする一対のサイドフェンス35とが設けられている。各センサ34a,34b,34c,34dからの出力信号は後述する制御手段99に送られ、制御手段99は各センサ34a,34b,34c,34dからの出力信号の組み合わせによって用紙Pのサイズを判別する。サイドフェンス35は、用紙Pの搬送方向に直交する用紙幅方向に移動自在な周知の構成である。
給紙トレイ29の上方には、表面にそれぞれ高摩擦抵抗部材を有する給紙ローラ30、分離ローラ31、分離ころ32が配設されている。給紙ローラ30及び分離ローラ31は、給紙トレイ29上の用紙Pと所定の圧力で圧接し、ギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段を介して、共通のステッピングモータ36によってそれぞれ図1における時計回り方向に互いに同期して回転駆動される。分離ころ32は所定の圧接力で分離ローラ31に圧接されており、分離ローラ31と同方向に間欠回転可能に設けられている。
駆動ローラと従動ローラとからなるレジストローラ対33は、版胴駆動手段100からの回転駆動力をギヤやカム等の駆動力伝達手段で伝達されることにより駆動ローラが版胴9の回転と同期した所定のタイミングで回転し、この駆動ローラに圧接された従動ローラとによって用紙Pを印刷部2に向けて所定のタイミングで給送する。
印刷部2の左上方には排版装置としての排版部5が配設されている。排版部5は上排版ローラ37、下排版ローラ38、排版ボックス39、圧縮手段としての圧縮板40等を有している。なお、ここで示す上排版ローラ37、下排版ローラ38、排版ボックス39、及び圧縮板40としては、本願出願人と同一出願人による特開平10−226147号公報に開示された排版ローラ対5及び排版装置6と同様の構成であるので、ここでの説明は簡単なものに止める。
上排版ローラ37は装置本体8に揺動自在に支持された図示しないブラケットに回転自在に支持されており、排版駆動手段104(図6参照)によって回転駆動される。上排版ローラ37を支持する図示しないブラケットは図示しない揺動手段により揺動され、上排版ローラ37はその周面を版胴9の外周面より離間させる図1及び図2に実線で示す待機位置と、その周面を版胴9の外周面に接触させる図1及び図2に二点鎖線で示す剥離位置とを選択的に占める。下排版ローラ38は装置本体8に回転自在に支持されており、図示しない付勢手段の付勢力によってその周面を上排版ローラ37の周面に対して所定の圧接力で圧接され、上排版ローラ37の回転時に従動回転する。
排版ボックス39は図2に示すように筒状を呈しており、装置正面側から見てその右上部であって各排版ローラ37,38のニップ部と対応する位置には、その内部に使用済みマスタ41を受け入れるための搬入口39aが形成されている。排版ボックス39のマスタ収納部を構成する内周壁39bは、後述する圧縮板40がほぼ270度回動するときにその先端部が移動する軌跡に沿った形状となるようにその一部が形成されており、内周壁39bの他の部分は箱状となるように形成されている。排版ボックス39の奥側側面には、マスタ収納部内に貯容された使用済みマスタ41を廃棄する際に開閉される蓋42が配設されている。蓋42は、支軸によって排版ボックス39に開閉自在に支持されている。排版ボックス39は装置本体8に設けられたレール部材43に着脱自在に支持され、装置手前側に引き出し可能に構成されている。排版ボックス39の装置手前側に位置する図示しない側板には、排版ボックス39を着脱する際に把持される図示しない取っ手が設けられている。
排版ボックス39の内部には、排版ボックス39内に搬入された使用済みマスタ41を圧縮する圧縮板40が配設されている。圧縮板40は、排版ボックス39の手前側に位置する図示しない側板と奥側に位置するブラケット44とに回転自在に支持された支軸40aにその基部を固着されており、図3に示すピニオン45、大径ギヤ46aと小径ギヤ46bとを有する2段ギヤ46、ギヤの内部にトルクリミッタを有するトルク伝達部材47を介して接続された圧縮板駆動モータ48によって回動される。圧縮板駆動モータ48の作動は後述する制御手段99によって制御される。
圧縮板40の下方に位置する部位には、マスタ収納部内に収納された使用済みマスタ41の搬入口39a側への溢れ出しを防止すると共に、圧縮板40のホームポジションを決定するための仕切板49が配設されている。仕切板49は、排版ボックス39の手前側側板とブラケット44とにその両端を固着されている。
上述の構成より、搬入口39aを介して使用済みマスタ41が圧縮板40の上方に搬入されると、使用済みマスタ41は図4(a)に示すように、インキの粘性により圧縮板40の上面に折り畳まれるように載置される。そして、使用済みマスタ41の排版ボックス39内への搬入が完了すると、圧縮板40が使用済みマスタ41を載置した状態で図の反時計回り方向に約270度の角度で回動され、圧縮板40上に載置された使用済みマスタ41は排版ボックス39の最奥部である箱状部分に収納されてゆく。
圧縮板40は図4(a)に示すように約270度回動し、その位置で所定時間使用済みマスタ41を圧縮した後、二点鎖線で示すホームポジションに復帰する。圧縮板40は使用済みマスタ41が排版ボックス39内に搬入される毎に上述した回動動作を繰り返し、その角度は図4(b)及び図4(c)に示すように、排版ボックス39内に収納された使用済みマスタ41の版数が増えるに連れて徐々に減少する。
排版ボックス39の手前側側板には、図3に示すようにホームポジションセンサ50、満杯検知センサ51、満杯近接センサ52が配設されている。光学的センサである各センサ50,51,52は、圧縮板40に対して所定の角度となるように支軸40aに固着され、圧縮板40と共に回動するフィラ53を検知した際に信号を出力する。ホームポジションセンサ50は圧縮板40が図3に破線で示すホームポジションに位置したときにフィラ53を検知する位置に、満杯検知センサ51は排版ボックス39内に使用済みマスタ41が満杯となり圧縮板40がホームポジションからほぼ90度進んだ図3に二点鎖線で示す位置までしか回動できなくなったときにフィラ53を検知する位置に、満杯近接センサ52は排版ボックス39内に使用済みマスタ41が満杯直前となって圧縮板40がホームポジションからほぼ100度程度進んだ位置までしか回動できなくなったときにフィラ53を検知する位置にそれぞれ配設されている。本実施形態では、満杯近接センサ52が満杯直前検知手段として、満杯検知センサ51が排版満杯検知手段としてそれぞれ機能する。各センサ50,51,52からの出力信号は、それぞれ後述する制御手段99に送られる。
上排版ローラ37と排版ボックス39との間の位置には、使用済みマスタ41が排版ボックス39の内部に収納されたか否かを検知する排版センサ54が配設されている。光学的センサである排版センサ54は、使用済みマスタ41の通過を検知して後述する制御手段99に向けて信号を出力する。なお排版センサとしては本実施形態で示した光学的センサに代えて、上排版ローラ37を回転駆動する図示しない排版駆動手段の回転を検知するロータリエンコーダを用いてもよい。この場合、上排版ローラ37の回転角に相当するパルス数が使用済みマスタ41の長さ分回転したことにより検知を行う。
排版部5の下方には排紙部6が配設されている。排紙部6は、剥離爪55、排紙搬送部材56、排紙トレイ57等を有している。
版胴9の外周面より印刷済みの用紙Pを剥離する剥離爪55は、支軸によって装置本体8の側板に揺動自在に支持されており、爪揺動手段105(図6参照)によってその先端が版胴9の外周面に近接する位置と、その先端が版胴9の回転に伴って移動するクランパ13等の障害物と干渉しない位置とに選択的に揺動される。
排紙搬送部材56は、駆動ローラ58、従動ローラ59、無端ベルト60、吸引ファン61等を有している。駆動ローラ58は図示しないユニット側板に回転自在に支持されており、排版駆動手段106(図6参照)で回転駆動される。従動ローラ59も同側板に回転自在に支持され、駆動ローラ58と従動ローラ59とには複数の開孔を有する複数の無端ベルト60が掛け渡されている。駆動ローラ58、従動ローラ59、無端ベルト60の下方には吸引ファン61が配設され、排紙搬送部材56は、吸引ファン61の吸引力によって無端ベルト60上に用紙Pを吸引し、駆動ローラ58の回転によって用紙Pを図1の矢印方向に搬送する。
排紙搬送部材56によって搬送される印刷済みの用紙Pをその上面に積載する排紙トレイ57は、用紙幅方向に移動自在な一対のサイドフェンス62と用紙搬送方向に移動自在な1つのエンドフェンス63とを有している。
装置本体8の上部には画像読取部7が配設されている。画像読取部7は、複数の原稿64を積載する原稿受け台65、原稿64を載置するコンタクトガラス66、原稿64を搬送する原稿搬送ローラ対67及び原稿搬送ローラ68、搬送される原稿64をガイドするガイド板69,70、原稿64をコンタクトガラス66に沿って搬送する複数の原稿搬送ベルト71、読み取られた原稿64を積載する原稿トレイ72、コンタクトガラス66を除く上記各部材を支持しコンタクトガラス66に対して接離自在に設けられた圧板73、原稿画像を走査して読み取るための反射ミラー74,75及び蛍光灯76、走査された画像を集束するレンズ77、集束された画像を処理するCCD等の画像センサ78等を有している。これらの構成のうち、原稿受け台65、原稿搬送ローラ対67、原稿搬送ローラ68、各ガイド板69,70、原稿搬送ベルト71、原稿トレイ72によって自動原稿送り装置79が構成されている。また、原稿受け台65の下方には、原稿受け台65上に残存している原稿64を検知する原稿検知センサ80が配設されている。原稿検知センサ80は、原稿受け台65上の原稿64がなくなったときに後述する制御手段99に向けて信号を出力する。画像読取部7は、読取駆動手段107(図6参照)によって駆動される。
図5は、孔版印刷装置1の操作パネルを示している。装置本体8の上部前面に設けられた操作パネル81は、その上面に製版スタートキー82、印刷スタートキー83、試し刷りキー84、連続キー85、クリア/ストップキー86、テンキー87、エンターキー88、プログラムキー89、モードクリアキー90、印刷速度設定キー91、4方向キー92、7セグメントLEDからなる表示装置93、LCDからなる表示装置94、排版満杯表示LED95、排版満杯直前表示LED96、排版モード自動設定キー97、排版高圧縮モード設定キー98等を有している。
製版スタートキー82は孔版印刷装置1に製版動作を行わせる際に押下され、孔版印刷装置1が製版待機状態となり各種製版条件が設定された後に製版スタートキー82が押下されると、排版動作及び画像読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われて孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。印刷スタートキー83は孔版印刷装置1に印刷動作を行わせる際に押下され、孔版印刷装置1が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー83が押下されることにより印刷動作が行われる。試し刷りキー84は孔版印刷装置1に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定された後に試し刷りキー84が押下されることにより1枚だけ印刷が行われる。連続キー85は製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー82の押下前に押下され、連続キー85の押下後、製版条件及び印刷条件が入力された後に製版スタートキー82が押下されると、排版動作、画像読取動作、製版動作、版付け動作に引き続いて印刷動作が行われる。
クリア/ストップキー86は孔版印刷装置1の動作を停止させる際や置数のクリア時に押下され、テンキー87は数値入力に用いられる。エンターキー88は各種設定時に数値等を決定する際に、プログラムキー89はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキー90は各種のモードをクリアして初期状態に戻す際にそれぞれ押下される。印刷速度設定キー91は印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃いめの画像を得たい場合や雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合や雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定する。4方向キー92は、上キー92a、下キー92b、左キー92c、右キー92dを有しており、画像編集時等において画像位置を調整する際や各種設定時に数値や項目等を選択する際に押下される。
7セグメントLEDからなる表示装置93は、主に印刷枚数等の数字を表示する。LCDからなる表示装置94は、初期状態時において図5に示すように原稿種類設定表示、変倍設定表示、用紙種類設定表示、位置調整設定表示を表示しており、各表示の下方にはそれぞれ対応する選択設定キー94a,94b,94c,94dが配設されている。表示装置94は階層表示構造となっており、図5に示された状態から各選択設定キーキー94a,94b,94c,94dが押下されると、表示装置94の表示が押下された各選択設定キーキー94a,94b,94c,94dに応じてそれぞれ変化する。
排版満杯表示LED95は、排版ボックス39内に使用済みマスタ41が満杯となり、これ以上の収納が不能である場合に点灯する。表示手段として機能する排版満杯直前表示LED96は、排版ボックス39内に使用済みマスタ41が満杯直前まで収納された際に点灯し、オペレータに排版ボックス39からの使用済みマスタ41の廃棄を促す。排版満杯表示LED95は満杯検知センサ51がフィラ53を検知した際に点灯し、排版満杯直前表示LED96は満杯近接センサ52がフィラ53を検知した際に点灯する。
排版モード自動設定キー97は、排版部5における圧縮板40による使用済みマスタ41の圧縮モードを、通常モードから排版ボックス39内により多くの使用済みマスタ41を収納することが可能な高圧縮モードへと自動的に変更させる際に押下される。排版モード自動設定キー97が押下されるとその近傍に設けられたLED97aが点灯し、オペレータに排版モード自動設定キー97が押下されていることが知らされる。
排版高圧縮モード設定キー98は、排版部5における圧縮板40による使用済みマスタ41の圧縮モードを、通常モードから高圧縮モードへと手動で変更させる際に押下される。排版高圧縮モード設定キー98が押下されるとその近傍に設けられたLED98aが点灯し、オペレータに排版高圧縮モード設定キー98が押下されていることが知らされる。各キー97,98は、それぞれ押下される毎にオン−オフ状態が切り換えられ、初期状態時において各キー97,98は共にオフされた状態となっている。
図6は、本実施形態に用いられる制御手段99のブロック図である。装置本体8の内部に配設された周知のマイクロコンピュータである制御手段99は、CPU108、ROM109、RAM110等を有している。ROM109には孔版印刷装置1全体の動作プログラムが記憶されている他、通常モードと高圧縮モードとの各モード時における圧縮板40の動作プログラムが記憶されている。RAM109には図示しないバックアップ機構が設けられており、製版条件あるいは印刷条件等のデータがその都度記憶される。
ROM109に記憶された圧縮板40の動作プログラムは、排版ボックス39内に収納された使用済みマスタ41を圧縮する時間を変化させるものであり、圧縮板40が回動終点(排版ボックス39内に使用済みマスタ41が収納されていないと仮定したときの)まで回動した後の圧縮板駆動モータ48の作動時間を変化させるものである。本実施例における圧縮板駆動モータ48の作動時間は、回動終点到達後、通常モード時において1秒、高圧縮モード時において3秒に設定されている。これにより本実施形態において、排版ボックス39内への使用済みマスタ41の収納量は、通常モード時において52版、高圧縮モード時において58版(共にA3サイズマスタでの一例)と定められている。
上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置1の動作を説明する。先ず、排版自動モード設定キー97が押下されずに手動で圧縮板40の高圧縮モードを使用する場合を説明する。
オペレータは、圧板73を解放してコンタクトガラス66上に原稿64を載置した後、再び圧板73を閉じる。そして、操作パネル81上の各種キーによって製版条件を設定した後に製版スタートキー82を押下する。
製版スタートキー82が押下されると、排版部5では版胴9の外周面上から使用済みマスタ41を剥離する排版動作が行われる。外周面上に使用済みマスタ41を巻装している版胴9は、制御手段99からの動作指令により作動する版胴駆動手段100によって図1において時計回り方向に回転駆動される。そして、使用済みマスタ41の端部が上排版ローラ37と対応する所定の排版位置に版胴9が到達したと制御手段99が判断すると、版胴9の回転が停止されると共に制御手段99から排版駆動回路に動作指令が送られて排版駆動手段104が作動し、上排版ローラ37を回転させると共に上排版ローラ37を剥離位置に移動させる。上排版ローラ37が使用済みマスタ41と接触すると版胴9が再び時計回り方向に回転し、上排版ローラ37によってすくい上げられた使用済みマスタ41は上排版ローラ37及び下排版ローラ38とで挟持されて版胴9の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタ41は上排版ローラ37と下排版ローラ38とで挟持搬送されて排版ボックス39内に廃棄された後、圧縮板40によって圧縮される。このときCPU108はROM109から圧縮板40の動作プログラムとして通常モード時のものを呼び出し、圧縮板40は通常モードで動作して使用済みマスタ41は圧縮板40の回動終点到達後、さらに1秒間圧縮される。その後、圧縮板40はホームポジションに戻される。
外周面上より使用済みマスタ41が全て剥離された後も版胴9はさらに回転を継続する。版胴9が図1に示す所定の給版位置に到達すると、制御手段99より図示しない開閉手段へ動作信号が送られてクランパ13が開放され、版胴9が図1に示す給版待機状態となって排版動作が完了する。
排版動作が完了すると、画像読取部7において原稿64の読取動作が行われる。読み取られた画像はレンズ77において集束された後、画像センサ78に入力される。画像センサ78は、入力された画像データを図示しないA/D変換器に送る。
版胴9が給版待機状態となると製版動作が行われる。制御手段99からの指令によりステッピングモータ26が作動してプラテンローラ20が回転駆動されると共に、各マスタ搬送ローラ対23,24が回転駆動されてマスタロール25aよりマスタ25が引き出される。そして、ステッピングモータ26のステップ数より、マスタ25の画像形成領域がサーマルヘッド21の発熱素子と対応する位置に達したと制御手段99が判断すると、画像読取部7より送られた画像データ信号に基づいてサーマルヘッド21の各発熱素子が選択的に発熱し、マスタ25の熱可塑性樹脂フィルム面に製版画像が形成される。
マスタ25は製版画像を形成されつつ、各ガイド板27,28に案内されてクランパ13へと搬送される。ステッピングモータ26のステップ数より、マスタ25の先端がステージ部12とクランパ13との間の所定位置まで到達したと制御手段99が判断すると図示しない開閉手段が作動してクランパ13が閉じられ、ステージ部12とクランパ13とによりマスタ25の先端が挟持される。
その後、制御手段99より版胴駆動手段100に信号が送られ、版胴9がマスタ25の搬送速度と同じ周速度で図1において時計回り方向に回転駆動され、マスタ25の版胴9への巻装動作が行われる。そして、画像読取部7からの画像データ信号が途絶えるとサーマルヘッド21の作動が停止し、その後、ステッピングモータ26のステップ数より1版分のマスタ25が製版搬送されたと制御手段99が判断すると、ステッピングモータ26及び製版駆動手段102に信号が送られ、プラテンローラ20及び各マスタ搬送ローラ対23,24の回転が停止されると共に、切断手段22が作動してマスタ25が切断される。切断されたマスタ25は版胴9の回転によって製版部3より引き出され、版胴9がホームポジションまで回転すると制御手段99から版胴駆動手段100に信号が送られて版胴9の回転が停止し、給版動作が完了する。
給版動作に引き続き版付け動作が行われる。版胴9がホームポジションで停止すると、制御手段99から指令が送られて版胴駆動手段100、ステッピングモータ36、排紙駆動手段106がそれぞれ作動され、版胴9が低速で回転駆動されると共に給紙ローラ30、分離ローラ31、駆動ローラ58、吸引ファン61がそれぞれ駆動される。給紙トレイ29上に積載された多数の用紙Pは、その最上位に位置する1枚だけが引き出され、その先端をレジストローラ対33に挟持される。
レジストローラ対33は、版胴9に巻装されたマスタ25の版胴回転方向における画像領域先端部がプレスローラ10と対応する位置に到達する所定のタイミングで用紙Pを版胴8とプレスローラ10との間に向けて給送する。また、これとほぼ同時にプレスローラ揺動手段101が作動し、プレスローラ10の周面が版胴9の外周面に所定の圧接力で圧接される。
レジストローラ対33により給送された用紙Pはプレスローラ10によって版胴9に巻装されたマスタ25に押圧され、これによりプレスローラ10と用紙Pとマスタ25と版胴9とが圧接し、インキ供給手段14によって版胴9の内周面に供給されたインキが版胴9の開孔部より滲出し、版胴9の外周面とマスタ25の多孔性支持体との空隙部に充填された後にマスタ25の穿孔部を介して用紙Pに転写され、いわゆる版付けが行われる。
インキを転移された用紙Pは、剥離爪55の先端で版胴9の外周面より剥離されて下方へと落下し、吸引ファン61の吸引力によって無端ベルト60の上面に引き付けられつつ左方へと搬送され、排紙トレイ57上に排出される。その後、版胴9が再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作が完了して孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。
孔版印刷装置1が印刷待機状態となった後に試し刷りキー84が押下されると、版付け時と同様に給紙トレイ29上の最上位の用紙Pが1枚だけ引き出されてレジストローラ対33に挟持されると共に、版胴9が版付け時よりも高速で回転駆動される。レジストローラ対33は高速回転している版胴9とプレスローラ10との間に用紙Pを給送し、給送された用紙Pはプレスローラ10によって版胴9に巻装されたマスタ25に圧接されてインキを転写され、上述と同様に排紙トレイ57上に排出される。版胴9は再びホームポジションに戻されて試し刷り動作が完了する。
この試し刷りによって印刷画像の濃度や位置を確認し、これらを操作パネル81上の各種キーで調整して再度試し刷りを行った後、テンキー87で印刷枚数を表示装置93に置数し、印刷速度設定キー91で印刷速度を設定して印刷スタートキー83を押下することにより、給紙部4より用紙Pが連続的に給送されて印刷動作が行われる。設定された印刷枚数が消化されると版胴9は再びホームポジションに戻って停止し、印刷動作が完了して孔版印刷装置1は再び製版待機状態となる。
上述した一連の動作中、排版動作時において排版ボックス39内の使用済みマスタ41が満杯直前となって満杯近接センサ52がフィラ53を検知すると、排版満杯直前表示LED96が点灯してオペレータに排版ボックス39内からの使用済みマスタ41の廃棄を促す。本発明では、他に印刷すべき原稿64が残っている場合には、オペレータは印刷動作完了後に排版ボックス39からの使用済みマスタ41の廃棄を行わずに次の原稿64に対応した製版印刷動作を行ってもよい。排版ボックス39からの使用済みマスタ41の廃棄を行わずに次の製版印刷動作を行う場合、次の原稿64の製版動作開始に先立ちオペレータは排版高圧縮モード設定キー98を押下した後に製版スタートキー82を押下する。
製版スタートキー82が押下されると、排版部5において上述と同様に排版動作が行われるが、このときCPU108はROM109から圧縮板40の動作プログラムとして高圧縮モード時のものを呼び出し、圧縮板40は高圧縮モードで動作して版胴9の外周面上から剥離された使用済みマスタ41は圧縮板40の回動終点到達後、さらに3秒間圧縮される。これにより排版ボックス39内への使用済みマスタ41の収納量が増加し、排版ボックス39からの使用済みマスタ41の廃棄を行うことなく製版印刷動作を継続することが可能となる。本実施形態において、CPU108が切換手段として機能する。なお、排版満杯直前表示LED96の点灯後、排版高圧縮モード設定キー98を押下せずにさらに通常モードで排版動作を行ってもよい。
排版満杯直前表示LED96の点灯後、通常モードあるいは高圧縮モードでさらに排版動作を行い、排版ボックス39内の使用済みマスタ41が満杯となって満杯検知センサ51がフィラ53を検知すると、排版満杯表示LED95が点灯してオペレータに排版ボックス39内からの使用済みマスタ41の廃棄を警告する。排版満杯表示LED95が点灯すると、以後の製版スタートキー82の押下を制御手段99が受け付けなくなり、排版動作、画像読取動作、製版動作、給版動作、版付け動作は行われない。
排版満杯表示LED95が点灯した後、オペレータによって排版ボックス39が装置本体8から取り外され、排版ボックス39内の使用済みマスタ41が廃棄された後に排版ボックス39が再び装置本体8に取り付けられると、制御手段99は圧縮板駆動モータ48を作動させて圧縮板40を1度回動終点まで回動させる。このときに満杯検知センサ51がフィラ53を検知しないこと、すなわち使用済みマスタ41が排版ボックス39内から廃棄されたことが確認されると、制御手段99は圧縮板40をホームポジションに戻すと共に排版満杯表示LED95を消灯させて製版スタートキー82の押下を許容する。
上述した排版満杯直前表示LED96及び排版満杯表示LED95の点灯時において、これらの点灯と同時に例えば「排版ボックスが使用済みマスタで満杯直前となりました。廃棄して下さい。」といった使用済みマスタ41の廃棄を促すコメントや、「排版ボックスが使用済みマスタで満杯となりました。廃棄しないと以後の排版は行えません。」といった警告を表示装置94に表示する構成としてもよい。
次に、排版自動モード設定キー97を押下する場合を説明する。この排版自動モード設定キー97は、複数の原稿64を順次自動的に読み取って印刷を行う場合、すなわち自動原稿送り装置79を使用して印刷を行う場合に用いられる。
オペレータは圧板73を閉じて原稿受け台65上に複数枚の原稿64を載置した後、操作パネル81上のキーによって原稿枚数を入力すると共に排版自動モード設定キー97を押下する。その後、連続キー85を押下し、操作パネル81上の各種キーによって製版条件及び印刷条件を設定した後に製版スタートキー82を押下する。キーによる原稿枚数入力に代えて、自動原稿送り装置79のみを作動させて原稿64を原稿受け台65から原稿トレイ72に送り、このときに原稿64の枚数を自動的に入力する構成としてもよい。この場合、原稿64は枚数をカウントされるだけで画像の読み取りは行われず、オペレータは枚数カウント後の原稿64を再度原稿受け台65上に載置した後に製版スタートキー82を押下する。キーにより入力された原稿枚数及び自動原稿送り装置79によって入力された原稿枚数は、制御手段99内のRAM110に記憶される。
製版スタートキー82が押下されると、上述と同様に排版動作、画像読取動作、製版動作、給版動作、版付け動作が順次行われ、その後に印刷動作が行われる。印刷動作完了後、次の原稿64が自動原稿送り装置79によって送られ、画像読取動作、製版動作、給版動作、版付け動作、印刷動作が順次行われる。以下、この動作が設定された原稿枚数が消化されるまで繰り返される。本発明において、排版動作、画像読取動作、製版動作、給版動作、版付け動作、印刷動作が設定された原稿枚数まで繰り返し行われることを連続したジョブと定義している。
上述した一連の動作中、排版動作時において排版ボックス39内の使用済みマスタ41が満杯直前となって満杯近接センサ52がフィラ53を検知すると、排版満杯直前表示LED96が点灯してオペレータに排版ボックス39内からの使用済みマスタ41の廃棄を促す。このとき、RAM110内に記憶された印刷すべき原稿枚数が全て消化されていない場合には、CPU108はROM109から圧縮板40の動作プログラムとして高圧縮モード時のものを呼び出す。
一連の動作が開始されると排版部5において上述と同様に排版動作が行われるが、このとき圧縮板40は高圧縮モードで動作し、これにより排版ボックス39内への使用済みマスタ41の収納量が増加して排版ボックス39からの使用済みマスタ41の廃棄を行うことなく製版印刷動作を継続することが可能となる。
排版満杯直前表示LED96の点灯後、高圧縮モードでさらに排版動作を行い、排版ボックス39内の使用済みマスタ41が満杯となって満杯検知センサ51がフィラ53を検知すると、排版満杯表示LED95が点灯してオペレータに排版ボックス39内からの使用済みマスタ41の廃棄を警告する。排版満杯表示LED95が点灯すると、印刷動作完了後における残りの原稿64に対する一連の動作は行われない。
上述した構成によれば、圧縮板40の動作が通常モードから高圧縮モードに切り換えられることにより排版ボックス39内への使用済みマスタ41の収納量が増加し、排版ボックス39からの使用済みマスタ41の廃棄を行うことなく製版印刷動作を継続することが可能となり、排版ボックス39からの使用済みマスタ41の廃棄作業を低減することができる。
上述した実施形態における、排版自動モード設定キー97を押下して一連の動作を行う場合の変形例を説明する。この変形例では、孔版印刷装置1は排版動作を行う毎に排版センサ54からの信号を入力し、制御手段99が排版センサ54からの入力信号をカウントする。これにより排版ボックス39内に何版分の使用済みマスタ41が収納されているかを検知することができ、さらに排版ボックス39が何版の使用済みマスタ41を収納できるかが定められていることから、あと何版の使用済みマスタ41を排版ボックス39内に収納することができるかを検知することができる。この変形例では排版センサ54が残排版量検知手段として機能し、使用済みマスタ41の廃棄のために排版ボックス39を装置本体8から取り外したときに制御手段99に記憶されている排版センサ54からの信号のカウント、すなわち排版ボックス39内に収納されている使用済みマスタ41の版数がリセットされる。
オペレータは圧板73を閉じて原稿受け台65上に複数枚の原稿64を載置した後、操作パネル81上のキーによって、あるいは自動原稿送り装置79の作動によって原稿枚数を入力した後に製版スタートキー82を押下する。製版スタートキー82が押下されると、孔版印刷装置1は上述と同様に画像読取動作、製版動作、給版動作、版付け動作、印刷動作を順次行い、この動作が設定された原稿64の枚数が消化されるまで繰り返される。
上述した一連の動作中、排版動作時において排版ボックス39内の使用済みマスタ41が満杯直前となって満杯近接センサ52がフィラ53を検知すると、排版満杯直前表示LED96が点灯してオペレータに排版ボックス39内からの使用済みマスタ41の廃棄を促す。このとき制御手段99は、入力された原稿枚数と排版センサ54からの信号のカウント数とから残りの原稿枚数と排版ボックス39内に収納可能な使用済みマスタ41の版数とを比較し、前者が後者よりも小さい場合には圧縮板40の動作を通常モードとしたまま残りの原稿64に対する製版印刷動作を継続する。
前者が後者よりも大きい場合、制御手段99は次に、残りの原稿枚数と圧縮板40の動作を高圧縮モードとしたときの排版ボックス39内に収納可能な使用済みマスタ41の版数とを比較する。ここで、前者が後者よりも小さい場合には、制御手段99は圧縮板40の動作を高圧縮モードに変更して残りの原稿64に対する製版印刷動作を継続する。また、前者が後者よりも大きい場合には、制御手段99は表示装置94に警告を表示させ、以後の製版印刷動作を禁止する。この変形例によっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
次に、さらに他の変形例を説明する。この他の変形例では、排版センサ54からの信号を制御手段99がカウントする点は上述した変形例と同じであるが、原稿枚数が入力された後に製版スタートキー82が押下されたときに、制御手段99は原稿枚数と圧縮板40の動作を通常モードとしたときの排版ボックス39内に収納可能な使用済みマスタ41の版数とを比較する。その結果、前者が後者よりも小さい場合には制御手段99は圧縮板40の動作を通常モードとしたまま原稿64に対する製版印刷動作を開始させ、前者が後者よりも大きい場合には、制御手段99は原稿枚数と圧縮板40の動作を高圧縮モードとしたときの排版ボックス39内に収納可能な使用済みマスタ41の版数とを比較する。そして前者が後者よりも小さい場合には、制御手段99は排版ボックス39内の使用済みマスタ41が満杯直前となった後に圧縮板40の動作を通常モードから高圧縮モードに変更させて原稿64に対する製版印刷動作を開始させ、前者が後者よりも大きい場合には、制御手段99は表示装置94に警告を表示させて製版スタートキー82の入力を無視する。この変形例では、排版センサ54が排版量検知手段として機能し、原稿枚数を入力する操作パネル81上のキーあるいは原稿枚数をカウントする自動原稿送り装置79がジョブ回数設定手段として機能する。
警告が表示された場合、オペレータは装置本体8より排版ボックス39を取り外して内部の使用済みマスタ41を廃棄し、再び排版ボックス39を装置本体8に取り付けた後に製版スタートキー82を再度押下することとなる。これでも警告が表示される場合は、排版ボックス39内に収納可能な使用済みマスタ41の版数よりも印刷しようとする原稿64の枚数が多いので、オペレータは原稿64の枚数を減らした後に再度製版印刷動作を行う。
この他の変形例によれば、複数枚の原稿64を印刷する際に、排版ボックス39内に全ての原稿64に対応した製版済みマスタ41を収納することが可能か否かを孔版印刷装置1の動作開始前に検知することが可能であるので、印刷動作の中断を回避して予定通りの時間で印刷動作を行うことができ、作業効率を格段に向上させることができる。
上述した第1の実施形態及び各変形例では、高圧縮モード時において圧縮板40により使用済みマスタ41を回動終点到達後よりさらに3秒間圧縮する構成としたが、圧縮板40による使用済みマスタ41の圧縮時間はこの限りではない。例えば、排版動作時において圧縮板40を回動終点まで回動させた状態を製版動作時及び印刷動作時にも維持し、次版の排版動作時において圧縮板40を1度ホームポジションまで戻して使用済みマスタ41を排版ボックス39内に収納した後に圧縮板40を再び回動終点まで回動させ、この状態を維持する構成を採用してもよい。この構成とすることにより、排版ボックス39内への使用済みマスタ41の収納量をさらに増加させることができる。
上述した実施形態では、圧縮板40の動作時における通常モードと高圧縮モードとを、圧縮板40の回動終点到達後における使用済みマスタ41の圧縮時間を異ならせることにより差別化したが、通常モードと高圧縮モードとの差別化はこれに限られることはない。以下、通常モードと高圧縮モードとを、圧縮板40による使用済みマスタ41の圧縮力を異ならせることにより差別化する形態を第2の実施形態として説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態を示している。圧縮板駆動モータ48の支軸48aには、同形である2個のギヤ111,112が取り付けられており、圧縮板40の支軸40aには、トルク伝達部材47に代えてそれぞれギヤ113,114を有する2個のトルクリミッタ115,116が取り付けられている。トルクリミッタ115は圧縮板40の動作時における通常モード用のトルクリミッタであり、トルクリミッタ116は圧縮板40の動作時における高圧縮モード用のトルクリミッタである。トルクリミッタ116の許容トルクはトルクリミッタ115の許容トルクの1.2倍に設定されていて、排版ボックス39内への使用済みマスタ41の収納量は、通常モードであるトルクリミッタ115使用時において52版、高圧縮モードであるトルクリミッタ116使用時において58版(共にA3サイズマスタでの一例)と定められている。
圧縮板駆動モータ48と支軸40aとの間にはソレノイド117が配設されている。ソレノイド117には支軸118が接続されており、支軸118にはギヤ119とギヤ120とがそれぞれ回転自在に支持されている。ギヤ119はソレノイド117が通常モード用である第1の位置を占めたときにギヤ112とギヤ113とに噛合する位置に、ギヤ120はソレノイド117が高圧縮モード用である第2の位置を占めたときにギヤ111とギヤ114とに噛合する位置にそれぞれ配設されている。
上述の構成より、この第2の実施形態においては、通常モードと高圧縮モードとの切換を第1の実施形態と同様にCPU108によりROM109から呼び出された動作プログラムに基づいてソレノイド117の作動を切り換えることによって行っている。通常モード時においてはギヤ119がギヤ112とギヤ113とを接続し、トルクリミッタ115に滑りが発生するまで圧縮板40が回動する。高圧縮モード時にはギヤ120がギヤ111とギヤ114とを接続し、トルクリミッタ116に滑りが発生するまで圧縮板40が回動する。この第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の変形例及び他の変形例を適用可能であり、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
上述した各実施形態及び各変形例では、満杯検知センサ51と満杯近接センサ52とを設け、満杯近接センサ52がフィラ53を検知したときに圧縮板40の動作を通常モードから高圧縮モードへの変更を行う構成としたが、満杯近接センサ52を省略して満杯検知センサ51のみを設ける構成としてもよい。この場合、最初に満杯検知センサ51がフィラ53を検知したときに圧縮板40の動作を通常モードから高圧縮モードへと変更させ、モード変更後に再び満杯検知センサ51がフィラ53を検知したときに以後の排版動作を禁止させる構成とする。この構成とした場合には、最初に満杯検知センサ51がフィラ53を検知したときに排版満杯直前表示LED96を点灯させ、再度満杯検知センサ51がフィラ53を検知したときに排版満杯表示LED95を点灯させる。これにより満杯検知センサ51が満杯検知手段として機能し、構成を簡素化することができる。
上述した各実施形態及び各変形例では、排版自動モード設定キー97の押下時において、RAM110に記憶された原稿枚数が消化されたか否かによって連続したジョブが未終了であるか否かを判断する構成としたが、原稿検知センサ80からの出力信号の有無によって連続したジョブが未終了であるか否かを判断する構成としてもよい。この場合は、原稿検知センサ80からの信号が送られた際にはその原稿64に対する印刷動作までを行い、以後の動作を停止する。
また、上記各実施形態及び各変形例では、孔版印刷装置1に設けられた画像読取部7によって原稿64の画像を読み取り、この原稿画像に応じた製版印刷動作を行う構成としたが、孔版印刷装置1が画像読取部7を有しておらず、画像データを出力するパーソナルコンピュータ等のデータ出力手段に孔版印刷装置1が接続された構成としてもよい。この場合における連続したジョブが未終了であるか否かの判断は、制御手段99がデータ出力手段から画像データが送られているか否かを判断することによって判定される。
さらに、上記各実施例及び各変形例及びデータ出力手段が接続された例において、読み取られた画像データを記憶する記憶手段としての画像メモリを有する構成を採用してもよい。この場合における連続したジョブが未終了であるか否かの判断は、制御手段99が画像メモリ内に画像データが存在しているか否かを判断することによって判定され、画像メモリ内に格納可能な画像データ数よりも印刷すべき画像データ数が多い場合には、画像メモリ内に格納された画像データがなくなった後、所定時間以内に新たな画像データが送られてくるか否かによっても判定される。この構成を採用した場合、画像メモリ内に存在する画像データ数によって印刷すべき原稿枚数を判断することもできるので、キー及び自動原稿送り装置79による原稿枚数の入力作業を省略することもできる。