図1は、本発明の第1の実施形態を採用した孔版印刷装置を示している。同図において孔版印刷装置1は、印刷部2、製版部3、給紙部4、排紙部5、画像読取部6、排版部7等を有している。
装置本体8のほぼ中央部に配設された印刷部2は、版胴9とプレスローラ10とを有している。多数の開孔が形成された開孔部及び非開孔部を有する多孔性支持板を外周面に有する版胴9は、図示しない版胴駆動モータによって設定された印刷速度に応じた回転周速度で回転駆動される。多孔性支持板の開孔部上には樹脂あるいは金属の網体からなるメッシュスクリーンが複数層巻装されており、多孔性支持板の非開孔部上にはマスタの先端を挟持するクランパ11が開閉可能に設けられている。版胴9の内部には、版胴9の内周面にインキを供給する、支軸を兼ねたインキ供給パイプ12、インキローラ13、ドクターローラ14等を有するインキ供給手段15が配設されている。版胴9は、その外周面上にA3サイズの用紙に対して印刷を行うことが可能なマスタを巻装可能となるように、その外径及び開孔部の面積が設定されている。
版胴9の下方には、一対の図示しないアーム部材にその支軸両端を回転自在に支持されたプレスローラ10が配設されている。プレスローラ10は、各アーム部材が図示しない揺動手段によって揺動されることにより、その外周面を版胴9の外周面に対して接離自在に構成されている。
印刷部2の右上方には製版部3が配設されている。製版部3は、マスタロール支持部材17、サーマルヘッド18、プラテンローラ19、マスタ切断手段20、マスタ搬送ローラ対21,22、マスタストック手段16等を有している。
マスタロール支持部材17は、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせてなるマスタ23をロール状に巻成したマスタロール23aを回転自在かつ着脱自在に支持している。
サーマルヘッド18は多数の発熱素子を有し、これらが選択的に発熱することによりマスタ23の熱可塑性樹脂フィルムに穿孔製版を行う。サーマルヘッド18にマスタ23を押圧しつつ搬送するプラテンローラ19は図示しないステッピングモータによって回転駆動される。固定刃である下刃と可動刃である上刃とを有するマスタ切断手段20は、固定刃に対して可動刃が上下動あるいは回転移動することによりマスタ23を切断する。
駆動ローラ及びこれに圧接された従動ローラからなるマスタ搬送ローラ対21,22は、プラテンローラ19と共にマスタ23を印刷部2に向けて搬送する。各マスタ搬送ローラ対21,22間に配設されたマスタストック手段16は、製版された約1版分のマスタ23を貯容する。
製版部3の下方には給紙部4が配設されている。給紙部4は、給紙トレイ24、給紙ローラ25、分離ローラ対26、レジストローラ対27等を有している。印刷に使用される用紙Pをその上面に積載する給紙トレイ24は装置本体8に上下動自在に支持されており、図示しない昇降手段によって昇降される。給紙ローラ25及び分離ローラ対26は図示しない駆動力伝達手段によって駆動連結されており、共通の図示しないモータによって互いに同期して回転駆動される。レジストローラ対27は図示しない版胴駆動手段と駆動連結されており、版胴9の回転に同期して回転駆動される。
印刷部2の左下方には排紙部5が配設されている。排紙部5は、剥離爪28、排紙搬送手段29、排紙トレイ30等を有している。
剥離爪28は装置本体8に揺動自在に取り付けられており、図示しない爪揺動手段の作動によりその先端部が版胴9の外周面に近接する位置と離間する位置とを選択的に占める。剥離爪28の下方には排紙搬送手段29が配設されている。排紙搬送手段29は、駆動ローラ31、従動ローラ32、無端ベルト33、吸引ファン34等を有しており、剥離爪28によって版胴9の外周面より剥離された印刷済みの用紙Pを排紙トレイ30に向けて搬送する。排紙搬送手段29の用紙搬送方向下流側には排紙トレイ30が配設されている。その上面に印刷済みの用紙Pを積載する排紙トレイ30は、1対のサイドフェンス35、1個のエンドフェンス36を有している。
装置本体8の上部には画像読取部6が配設されている。画像読取部6は、印刷すべき原稿を載置するコンタクトガラス37、原稿画像を走査して読み取る図示しない走査ユニット、走査された画像を集束する図示しない結像レンズ、集束後の画像を認識する図示しない画像センサ、画像センサより出力された画像をA/D変換する図示しないA/D変換器、複数枚の原稿を連続的に処理する図示しないADFユニット等を有している。
印刷部2の左上方には排版部7が配設されている。排版部7は、排版部材38、圧縮板39、排版ボックス40A,40B等を有している。
排版部材38は上排版部材41と下排版部材42とを有している。上排版部材41は駆動ローラ43、従動ローラ44、無端ベルト45等を有しており、下排版部材42も上排版部材41と同様に、駆動ローラ47、従動ローラ48、無端ベルト49を有している。各駆動ローラ43,47は同一の図示しない駆動手段によって互いに同期して回転駆動され、各無端ベルト45,49がそれぞれ図1の矢印方向に移動する。また上排版部材41は図示しない移動手段によって移動されることにより、従動ローラ44の周面上に位置する無端ベルト45が版胴9の外周面上に巻装された使用済みマスタ46に接触する位置と離間する位置とを選択的に占める。
下排版部材42の駆動ローラ47近傍の位置には排版センサ75が配設されている。排版センサ75は排版部材38によって使用済みマスタ46が搬送されてきたときにこれを検知し、後述する制御手段76に向けて信号を出力する。排版センサ75からの信号は使用済みマスタ46を検知している間中出力され、これにより予め定められた所定時間よりも排版センサ75からの出力信号が長時間出力されている場合には、制御手段76は排版部材38において使用済みマスタ46の搬送ジャムが発生したと判断する。また、排版動作が開始されてから所定時間が経過しても排版センサ75からの信号が出力されない場合には、制御手段76は排版動作不良が発生したと判断する。
排版部材38の左方には圧縮板39が配設されている。圧縮板39は図示しない昇降手段によって上下動自在に支持されており、排版部材38によって版胴9の外周面上より剥離された使用済みマスタ46が後述する排版ボックス40Aあるいは40Bの内部に収納された後にこの使用済みマスタ46を圧縮する。
圧縮板39の下方には排版ボックス40Aあるいは40Bのうちの何れか一方が選択的に配設される。各排版ボックス40A,40Bは排版部材38によって搬送される使用済みマスタ46を収納可能である位置にそれぞれ配設され、装置本体8に対してそれぞれ着脱自在に設けられている。図2に示す排版ボックス40Aは通常の印刷を行う際に用いられ、図3に示す排版ボックス40Bは機密保持を行う際に設定される、後述する機密保持モード時においてのみ使用される。以下、通常用排版ボックス40A、機密保持用排版ボックス40Bとする。
図3に示すように、機密保持用排版ボックス40Bには、その先端部寄りに溝部50aが形成された固定用のロックピン50が植設されており、装置本体8の各排版ボックス40A,40Bの装着位置におけるロックピン50近傍の位置には後述する離脱禁止機構51が配設されている。また、機密保持用排版ボックス40Bには、各排版ボックス40A,40Bを識別するための検知片52が設けられている。ロックピン50及び検知片52は、通常用排版ボックス40Aには設けられていない。さらに各排版ボックス40A,40Bには、取り扱い時に把持される取っ手40aがそれぞれ一体的に設けられている。各排版ボックス40A,40Bは、図2及び図3中に符号Aで示される方向に向けて装置本体8に挿入されることにより、それぞれ各図に示す装着位置に装着される。
装置本体8の各排版ボックス40A,40B装着位置の近傍には、装置本体8に対して各排版ボックス40A,40Bの何れかが装着されているか否かを検知する装着センサ53が配設されている。装着センサ53は近接センサであり、各排版ボックス40A,40Bの何れかが装置本体8に装着されているときに後述する制御手段76に向けて信号を出力する。装着センサ53の下方には識別手段としての識別センサ54が配設されている。近接センサである識別センサ54は、装置本体8に機密保持用排版ボックス40Bが装着されたときに検知片52を検知し、制御手段76に向けて信号を出力する。
離脱禁止機構51は、図4に示すように、装置本体8に揺動自在に支持されたロック板55、ロック板55の揺動中心をなし装置本体8に固着された支軸56、装置本体8に固着されたガイドピン57、ロック板55を揺動させるキープソレノイド58、引張ばね59、ロック板55の位置を検知するマイクロスイッチ60等を有している。
ガイドピン57はロック板55の下端に形成された長穴55aに摺動自在に係合しており、ロック板55の揺動範囲を一定に保っている。キープソレノイド58はそのプランジャ58aをロック板55に取り付けられており、その作動を後述する制御手段76によって制御される。引張ばね59はその一端をロック板55に他端を装置本体8にそれぞれ取り付けられており、ロック板55に対して図4に矢印で示す向きへの回動付勢力を付与している。
ロック板55の支軸56とガイドピン57との間の部位には、ロックピン50が挿通可能な孔55bが形成されている。孔55bは、プランジャ58aが吸引されているロック板55が初期位置を占めた状態で機密保持用排版ボックス40Bが装置本体8に装着されたときに、ロックピン50が挿通可能である位置に形成されている。この状態において、ロック板55がマイクロスイッチ60の検知片に当接し、マイクロスイッチ60から制御手段76に向けて信号が出力される。溝部50aの幅はロック板55の板厚よりも大きく形成されており、機密保持用排版ボックス40Bが装置本体8に装着されたときに孔55bの周縁部が溝部50aに係合可能となるように構成されている。
上述の構成より、ロック板55が初期位置を占めた状態において機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8への着脱が可能となっている。なお、通常用排版ボックス40Aは、ロック板55の位置に拘わらず装置本体8への着脱が随時可能に構成されている。また、機密保持用排版ボックス40Bが装置本体8に装着され、装着センサ53及び識別センサ54が共に検知信号を出力した状態においてキープソレノイド58の作動が許容され、この状態からプランジャ58aが突出されてロック板55が図4に矢印で示す方向に揺動されて係合位置を占めると、図4の吹き出し部に示すように孔55bの周縁部と溝部50aとが係合して機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8からの離脱が禁止される。
図5は、孔版印刷装置1の操作パネルを示している。同図において装置本体8の上部前面に設けられた操作パネル61は、その上面に製版スタートキー62、印刷スタートキー63、試し刷りキー64、連続キー65、クリア/ストップキー66、テンキー67、エンターキー68、プログラムキー69、モードクリアキー70、印刷速度設定キー71、7セグメントLEDからなる表示装置72、LCDからなる表示装置73等の周知の構成の他、機密保持モードを設定する設定手段としての機密モードキー74を有している。
図6は、孔版印刷装置1の制御手段のブロック図である。同図においてCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータからなる制御手段76は装置本体8の内部に設けられている。制御手段76には操作パネル61からの動作信号及び各種センサからの検知信号等が入力され、制御手段76は各信号に基づいて印刷部2、製版部3、給紙部4、排紙部5、画像読取部6、排版部7の動作をそれぞれ制御する。
制御手段76のROMには孔版印刷装置1の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムとして機密モードキー74が押されていない状態である通常印刷時と、機密モードキー74が押された状態である機密保持モード時とがそれぞれ記憶されている。また制御手段76は排版センサ75からの出力信号をカウントする機能を有しており、各排版ボックス40A,40B内に何版の使用済みマスタ46が収納されたかを判断することが可能に構成されている。このカウント数は各排版ボックス40A,40Bが装置本体8より取り外された際にリセットされ、これを基に各排版ボックス40A,40Bが満杯であるか否かが判断される。各排版ボックス40A,40Bの、満杯に相当する使用済みマスタ46の収納版数である収納許容量は、通常印刷時と機密保持モード時すなわち通常用排版ボックス40Aと機密保持用排版ボックス40Bとで異なっており、本実施形態において通常用排版ボックス40Aの収納許容量は80版、機密保持用排版ボックス40Bの収納許容量は10版に設定されている。
ここで、機密保持用排版ボックス40Bの収納許容量について説明する。この機密保持用排版ボックス40Bには機密を要する使用済みマスタ46が収納され、この機密を要する使用済みマスタ46が排版ボックス40Bから直接ゴミ箱に廃棄されると機密が漏洩する虞があり好ましくない。そこで、機密の漏洩を防止するため、排版ボックス40Bから廃棄される使用済みマスタはシュレッダあるいはカッタ等によって切断処理を行う。このとき、使用済みマスタ46の版数が多すぎると圧縮された使用済みマスタ46の強度が高くなりすぎ、シュレッダあるいはカッタ等によって切断処理することができない。本発明者は排版ボックス内において圧縮される版数を変化させ、それぞれの場合においてシュレッダによって切断処理が可能であるか否かを実験した。その結果を表1に示す。
実験はそれぞれ厚みの異なる2種類のマスタ(大きさはそれぞれA3サイズ)を用い、Fellowes製シュレッダ型番PS80C−2を用いて行った。この結果、厚みが50μm以下程度のマスタでは10版以下、40μm程度のマスタでは13版以下で良好な結果が得られた。このことから、機密保持用排版ボックス40Bの収納許容量を10版に設定している。上述のように制御手段76には通常印刷時と機密保持モード時とでそれぞれ異なる2種類の収納許容量が記憶されており、装置本体8に装着された排版ボックスを識別センサ54によって識別し、装着された排版ボックスに対応する収納許容量を制御手段76が自動的に設定することから、制御手段76は収納許容量制御手段として機能する。
上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置1の動作を説明する。先ず、機密モードキー74が押されていない状態である通常印刷時における動作を説明する。この通常印刷時において、装置本体8には通常用排版ボックス40Aが装着されている。制御手段76は、装着センサ53からの信号に基づいて排版ボックスが装置本体8に装着されていることを認識した後、識別センサ54からの信号が送られていないことから装着されている排版ボックスが通常用排版ボックス40Aであることを認識し、製版スタートキー62が押下された際に図示しないROMから通常印刷時用の動作プログラムを読み込む。なお、装置本体8に通常用排版ボックス40Aが装着されておらず、装着センサ53からの信号が入力されない場合には、製版スタートキー62からの入力は無効化される。
オペレータは給紙部4に用紙Pを、画像読取部6に原稿をそれぞれセットした後に製版スタートキー62を押下する。製版スタートキー62が押下されると、図示しない版胴駆動モータが作動して版胴9が低速で回転駆動される。そして版胴9が所定の排版位置に達すると、版胴駆動モータの作動が停止して版胴9が停止される。版胴9の停止後、図示しない駆動手段が作動して駆動ローラ43が図1において時計回り方向に回転駆動されると共に図示しない移動手段が作動して上排版部材41が移動され、版胴9の外周面上に巻装されている使用済みマスタ46の端部が上排版部材41によってすくい上げられる。
上排版部材41により使用済みマスタ46の端部がすくい上げられると、版胴駆動モータ及び各駆動ローラ43,47が作動され、使用済みマスタ46が各排版部材41,42によって挟持搬送される。このとき図示しない移動手段が再び作動され、上排版部材41が図1に示す位置に戻される。各排版部材41,42によって挟持搬送された使用済みマスタ46は、通常用排版ボックス40A内に収納された後に圧縮板39によって圧縮される。使用済みマスタ46が通常用排版ボックス40Aに収納される際に排版センサ75より制御手段76に向けて信号が送られ、この信号を受けた制御手段76は排版数をカウントする。
上述の排版動作と並行して、画像読取部6では原稿画像の読取動作が行われる。コンタクトガラス39上に載置された原稿の画像は図示しない走査ユニットの移動により走査され、図示しない結像レンズを介して図示しない画像センサに入力される。入力された画像データは図示しないA/D変換器を介して製版部3へと送られる。
排版動作と並行して、製版部3において製版動作が開始される。製版部3ではプラテンローラ19及び各マスタ搬送ローラ対21,22が作動され、マスタロール23aよりマスタ23が引き出される。引き出されたマスタ23は、サーマルヘッド18を通過する際に画像データに応じた製版画像を穿孔製版される。製版されたマスタ23の先端がマスタ搬送ローラ対22に挟持されるとマスタ搬送ローラ対22の作動が停止され、製版されたマスタ23はマスタ搬送ローラ対21によって搬送されてマスタストック手段16内に貯容される。そして排版動作が完了して版胴9が所定の給版待機位置に到達するとクランパ11が開放され、その後マスタ搬送ローラ対22が作動されてマスタ23が搬送される。マスタ23の先端がクランパ11と対応する所定位置まで搬送されるとクランパ11が閉じられ、製版されたマスタ23が版胴9の外周面上に保持される。その後、版胴駆動モータが作動して版胴9が製版速度とほぼ同じ周速度で回転駆動され、製版されたマスタ23が版胴9に巻装される。そして、マスタ23が所定長さ搬送されるとマスタ切断手段20が作動してマスタ23が切断され、切断されたマスタ23が版胴9によって巻き取られることにより巻装動作が完了する。
巻装動作完了後、給紙ローラ25及び分離ローラ対26が作動され、給紙トレイ24上より1枚の用紙Pが分離給送されると共に、版胴駆動モータが作動して版胴9が低速で回転駆動される。給送された用紙Pはレジストローラ対27で一時停止された後、版胴9に巻装されたマスタ23の製版画像と対応するタイミングで版胴9とプレスローラ10との接触位置に向けて送られる。そして、プレスローラ10が揺動することにより用紙Pは版胴9上のマスタ23に押圧され、その表面に画像を転写される。この押圧により版胴9の内部から供給されたインキが版胴9の多孔性支持板及びマスタ23に行き渡り、いわゆる版付けが行われる。版付けされた用紙Pは剥離爪28によって版胴9の外周面より剥離された後、排紙搬送手段29によって搬送されて排紙トレイ30上に排出され、版付け動作が完了して孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。
孔版印刷装置1が印刷待機状態となると、続けて印刷動作が行われる。版付け動作完了後、オペレータにより印刷枚数及び印刷速度等の各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー63が押下されると、版胴9が版付け時よりも高速である、印刷速度設定キー71により設定された周速度で回転駆動されると共に給紙部4より用紙Pが連続的に給送される。給送された用紙Pは印刷部2において連続的に印刷された後、排紙部5へと送られて排紙トレイ32上に排出される。そして、設定された印刷枚数が消化されると、版胴9がホームポジションに戻された後に孔版印刷装置1の各部の動作が停止され、孔版印刷装置1は再び印刷待機状態となる。
上述の排版動作時において、排版センサ75より送られた信号を制御手段76がカウントした際に、このカウント数が80版に達すると通常用排版ボックス40Aが満杯であると判断され、通常用排版ボックス40Aから使用済みマスタ46を廃棄するようにとの指示が表示装置73になされる。この表示がなされると、通常用排版ボックス40Aが装置本体8から取り外されるまでは製版スタートキー62からの入力は無効化される。
上述の通常印刷時において、装置本体8に通常用排版ボックス40Aに代えて機密保持用排版ボックス40Bが装着されている場合には、製版スタートキー62の押下時において孔版印刷装置1は上述と同様に動作を行う。
次に、オペレータにより機密モードキー74が押下された機密保持モード時における動作を説明する。この機密保持モード時において、装置本体8には機密保持用排版ボックス40Bが装着されている。制御手段76は、装着センサ53からの信号に基づいて排版ボックスが装置本体8に装着されていることを認識した後、識別センサ54からの信号が送られていることから装着されている排版ボックスが機密保持用排版ボックス40Bであることを認識し、製版スタートキー62が押下された際に図示しないROMから機密保持モード用の動作プログラムを読み込む。なお、装置本体8に排版ボックスが装着されておらず装着センサ53からの信号が入力されない場合、あるいは装置本体8に装着されている排版ボックスが通常用排版ボックス40Aであって識別センサ54からの信号が入力されない場合には、製版スタートキー62からの入力は無効化される。
オペレータにより給紙部4に用紙Pが、画像読取部6に原稿がそれぞれセットされた後に製版スタートキー62が押下されると、制御手段76より指令が送られてキープソレノイド58が作動し、ロック板55が係合位置を占めることにより機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8からの離脱が禁止される。その後、上述と同様に排版動作、読取動作、巻装動作、版付け動作が行われて孔版印刷装置1は印刷待機状態となる。その後、各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー63が押下されると上述と同様に印刷動作が行われ、設定された印刷枚数が消化されると版胴9がホームポジションに戻された後に孔版印刷装置1の各部の動作が停止され、孔版印刷装置1は再び印刷待機状態となる。この機密保持モードでは、機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8からの離脱が禁止されていることから、排版ボックス40B内から使用済みマスタ46が持ち去られることによって機密が漏洩してしまうことを防止することができる。
上述の排版動作時において、排版センサ75より送られた信号を制御手段76がカウントした際に、このカウント数が10版に達すると機密保持用排版ボックス40Bが満杯であると判断され、制御手段76より指令が送られてキープソレノイド58が作動し、ロック板55が初期位置を占めることにより機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8からの離脱が許容されると共に、機密保持用排版ボックス40Bから使用済みマスタ46を廃棄するようにとの指示が表示装置73になされる。この表示がなされると、機密保持用排版ボックス40Bが装置本体8から取り外されるまでは製版スタートキー62からの入力は無効化される。
上述の構成によれば、識別センサ54からの信号に基づいて装置本体8に装着されている排版ボックスを制御手段76が自動的に判断し、制御手段76が装着された排版ボックスに応じた動作プログラムを読み込んで孔版印刷装置1に一連の動作を行わせると共に収納許容量を自動的に設定するので、通常印刷時には収納可能な許容量一杯まで使用済みマスタ46を通常用排版ボックス40Aに収納させることで通常用排版ボックス40Aからの使用済みマスタ46の廃棄作業の頻度を減少させて作業効率を向上でき、機密保持モード時には切断処理を行うことが可能な許容量一杯まで使用済みマスタ46を機密保持用排版ボックス40Bに収納させることで廃棄される使用済みマスタ46を切断処理して機密の漏洩を防止することができる。
上記実施形態では、機密保持モード時に機密保持用排版ボックス40Bが満杯となった際にキープソレノイド58を作動させ、ロック板55を初期位置に移動させて機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8からの離脱を許容する構成としたが、所定の操作を行わないとキープソレノイド58が作動せず、機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8からの離脱が禁止されたままの状態を保つ構成としてもよい。この構成によれば、機密の漏洩をより一層防止することができる。この構成とした場合、所定の操作が行われるまでは製版スタートキー62からの入力は無効化される。
上記実施形態において、機密保持モードの解除は暗証コード入力等の適宜の操作によって行われるが、機密保持モードの解除を、暗証コード入力等の適宜の操作を行った際にキープソレノイド58を作動させて機密保持用排版ボックス40Bの装置本体8からの離脱を許容し、その後、装置本体8に通常用排版ボックス40Aが装着されて装着センサ53からの信号が入力され識別センサ54からの信号がされない状態となったときに行われる構成としてもよい。このような構成とすることにより、意図した排版ボックスとは異なる排版ボックスを装置本体8に装着する誤セットの発生を防止でき、操作性を向上することができる。
図7は、本発明の第2の実施形態を採用した孔版印刷装置を示している。この孔版印刷装置77は、第1の実施形態で示した孔版印刷装置1と比較すると、排版ボックス40A,40Bに代えて排版ボックス78を用いる点、識別センサ54を有していない点、操作パネル61に代えて操作パネル79を用いる点、制御手段76に代えて制御手段80を用いる点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。
排版ボックス78は、検知片52を有していない点を除いて排版ボックス40Bと同様に構成されており、装置本体8に対して着脱自在に構成されている。排版ボックス78は、機密保持モードが設定された際に離脱禁止機構51によって保持され、装置本体8からの離脱が禁止される。
図8は、本発明の第2の実施形態に用いられる操作パネルを示している。この操作パネル79は、第1の実施形態で示した操作パネル61と比較すると、収納許容量設定手段としての収納許容量設定キー81を有している点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。収納許容量設定キー81は排版ボックス78内に収納される使用済みマスタ46の収納量を設定するためのものであり、図示の例では10版まで収納が可能な第1段階から80版まで収納が可能な第5段階まで段階的に設定が可能に構成されている。
図9は、本発明の第2の実施形態に用いられる制御手段のブロック図である。同図においてCPU、ROM、RAM等を有する周知のマイクロコンピュータからなる制御手段80は装置本体8の内部に設けられており、この制御手段80は操作パネル79からの動作信号及び各種センサからの検知信号に基づいて印刷部2、製版部3、給紙部4、排紙部5、画像読取部6、排版部7の動作をそれぞれ制御する。
制御手段80のROMには孔版印刷装置77の動作プログラムが記憶されており、この動作プログラムとして機密モードキー74が押されていない状態である通常印刷時と、機密モードキー74が押された状態である機密保持モード時とがそれぞれ記憶されている。また制御手段80は排版センサ75からの出力信号をカウントする機能を有しており、排版ボックス78内に何版の使用済みマスタ46が収納されたかを判断することが可能に構成されている。このカウント数は排版ボックス78が装置本体8より取り外された際にリセットされ、これを基に排版ボックス78が満杯であるか否かが判断される。排版ボックス78の満杯に相当する収納許容量は収納許容量設定キー81の設定によって変化し、本実施形態では第1段階に設定された際には10版、第2段階に設定された際には25版、第3段階に設定された際には40版、第4段階に設定された際には60版、第5段階に設定された際には80版となるように構成されている。
上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置77の動作を説明する。先ず、機密モードキー74が押されていない状態である通常印刷時における動作を説明する。この通常印刷時において、制御手段80は装置本体8に排版ボックス78が装着されていることを装着センサ53からの信号に基づいて認識した後、製版スタートキー62が押下された際に図示しないROMから通常印刷時用の動作プログラムを読み込む。なお、装置本体8に排版ボックス78が装着されておらず、装着センサ53からの信号が入力されない場合には、製版スタートキー62からの入力は無効化される。
オペレータは、給紙部4に用紙Pを画像読取部6に原稿をそれぞれセットし、収納許容量設定キー81により収納許容量を設定した後に製版スタートキー62を押下する。この通常印刷時における収納許容量は、第1段階ないし第5段階の何れにも設定が可能である。製版スタートキー62が押下されると、第1の実施形態と同様に排版動作、読取動作、巻装動作、版付け動作が行われて孔版印刷装置77は印刷待機状態となる。その後、各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー63が押下されると第1の実施形態と同様に印刷動作が行われ、設定された印刷枚数が消化されると版胴9がホームポジションに戻された後に孔版印刷装置77の各部の動作が停止され、孔版印刷装置77は再び印刷待機状態となる。
上述の排版動作時において、排版センサ75より送られた信号を制御手段80がカウントした際に、このカウント数が収納許容量設定キー81によって設定された版数に達すると排版ボックス78が満杯であると判断され、排版ボックス78から使用済みマスタ46を廃棄するようにとの指示が表示装置73になされる。この表示がなされると、排版ボックス78が装置本体8から取り外されるまでは製版スタートキー62からの入力は無効化される。
次に、オペレータによって機密モードキー74が押下された機密保持モード時における動作を説明する。制御手段80は装置本体8に排版ボックス78が装着されていることを装着センサ53からの信号に基づいて認識した後、製版スタートキー62が押下された際に図示しないROMから機密保持モード時用の動作プログラムを読み込む。なお、装置本体8に排版ボックス78が装着されておらず、装着センサ53からの信号が入力されない場合には、製版スタートキー62からの入力は無効化される。
オペレータは、給紙部4に用紙Pを画像読取部6に原稿をそれぞれセットして製版スタートキー62を押下する。この機密保持モード時における収納許容量は、制御手段80によって第1段階に強制的に設定される。製版スタートキー62が押下されると、第1の実施形態と同様に離脱禁止機構51が作動して排版ボックス78の装置本体8からの離脱が禁止された後、排版動作、読取動作、巻装動作、版付け動作が行われて孔版印刷装置77は印刷待機状態となる。その後、各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー63が押下されると上述と同様に印刷動作が行われ、設定された印刷枚数が消化されると版胴9がホームポジションに戻された後に孔版印刷装置77の各部の動作が停止され、孔版印刷装置77は再び印刷待機状態となる。この第2の実施形態での機密保持モード時においても第1の実施形態の場合と同様に排版ボックス78の装置本体8からの離脱が禁止されていることから、排版ボックス78内から使用済みマスタ46が持ち去られることによって機密が漏洩してしまうことを防止することができる。
上述の排版動作時において、排版センサ75より送られた信号を制御手段80がカウントした際に、このカウント数が10版に達すると排版ボックス78が満杯であると判断され、制御手段80より指令が送られてキープソレノイド58が作動し、ロック板55が初期位置を占めることにより排版ボックス78の装置本体8からの離脱が許容されると共に、排版ボックス78から使用済みマスタ46を廃棄するようにとの指示が表示装置73になされる。この表示がなされると、排版ボックス78が装置本体8から取り外されるまでは製版スタートキー62からの入力は無効化される。
上述の構成によれば、制御手段80が設定された印刷モードに応じた動作プログラムを読み込んで孔版印刷装置1に一連の動作を行わせると共に、機密保持モードが設定された際には収納許容量を通常印刷時よりも小さい値に自動的に設定するので、通常印刷時には設定された許容量まで使用済みマスタ46を排版ボックス78内に収納させることで排版ボックスからの使用済みマスタの廃棄作業の頻度を減少させて作業効率を向上でき、機密保持モード時には切断処理を行うことが可能な許容量一杯まで使用済みマスタ46を排版ボックス78内に収納させることで廃棄される使用済みマスタ46を切断処理して機密の漏洩を防止することができる。
上記実施形態では、機密保持モード時に排版ボックス78が満杯となった際にキープソレノイド58を作動させ、ロック板55を初期位置に移動させて排版ボックス78の装置本体8からの離脱を許容する構成としたが、所定の操作を行わないとキープソレノイド58が作動せず、排版ボックス78の装置本体8からの離脱が禁止されたままの状態を保つ構成としてもよい。この構成によれば、機密の漏洩をより一層防止することができる。この構成とした場合、所定の操作が行われるまでは製版スタートキー62からの入力は無効化される。
上記実施形態では、排版ボックス78内への使用済みマスタ46の収納許容量を収納許容量設定キー81によって段階的に設定する構成としたが、テンキー67を用いて収納許容量を直接的に入力する構成としてもよい。この場合、通常印刷時における収納許容量の上限値を例えば80版とし、機密保持モード時における収納許容量の上限値を例えば10版として、この上限値以内での入力が可能な構成とすれば上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記各実施形態では機密保持モード時における各排版ボックス40B,78の収納許容量を10版としたが、この収納許容量は使用済みマスタ46の厚み及び使用済みマスタ46を切断するシュレッダあるいはカッタ等の能力によって適宜変更される。このことから、機密保持モード時における収納許容量を設定する手段を設ける構成とすることにより、より一層操作性を向上することができる。この収納許容量を設定する手段としては、使用するマスタの種類を入力すると自動的に収納許容量を設定する構成を採用することも可能である。