JP2005108721A - 電子放出電極とその製造方法 - Google Patents

電子放出電極とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005108721A
JP2005108721A JP2003342415A JP2003342415A JP2005108721A JP 2005108721 A JP2005108721 A JP 2005108721A JP 2003342415 A JP2003342415 A JP 2003342415A JP 2003342415 A JP2003342415 A JP 2003342415A JP 2005108721 A JP2005108721 A JP 2005108721A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
substrate
electron emission
petal
aggregate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003342415A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4423496B2 (ja
Inventor
Kazuhito Nishimura
一仁 西村
Hidenori Sasaoka
秀紀 笹岡
Minami Ko
南 江
Hirooki O
宏興 王
Hirohisa Hiraki
博久 平木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Kochi Prefecture
Kochi Prefecture Sangyo Shinko Center
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Kochi Prefecture
Kochi Prefecture Sangyo Shinko Center
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd, Kochi Prefecture, Kochi Prefecture Sangyo Shinko Center filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP2003342415A priority Critical patent/JP4423496B2/ja
Publication of JP2005108721A publication Critical patent/JP2005108721A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4423496B2 publication Critical patent/JP4423496B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 電子放出効率が高く製造の容易な電子放出電極を提供する。
【解決手段】 基体12上に粒径が5〜30μmのダイヤモンド粒子を固定して基板11を形成する。DCプラズマCVDにより、炭素を含有するガスと水素ガスとを用いて、基板11の温度を950〜1200℃として、炭素薄片が基板に対してランダムな方向に繋がりあう花弁状炭素薄片集合体14を形成する。各炭素薄片は、高さが1nm〜500nmのグラフェンシートにより構成され、外辺開口部における薄片同士の間隔が3μm以下であり、花弁状炭素薄片集合体14の大きさが5μm〜30μmで、隣接する炭素薄片集合体同士の間隔は薄片集合体の直径をDとした時に1D〜10Dである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子放出特性に優れた炭素薄膜を備えた電子放出電極およびその製造方法に関し、特に非チューブ状の炭素薄膜を備えた電子放出電極に関する。
電界放出型電子源においては、電子が放出される部分は、その先端部付近に電子を引っ張り出す強い電界集中が生じるため、低い印加電圧で電子放出が可能となる。このため、カーボンナノチューブ(以下、CNTという。)が発見されてより、ナノメートルサイズの微細構造を有する炭素物質を電子放出電極に応用する開発が数多くなされてきた。
それら電子放出電極に関する開発例として、電子放出性電極となる金属基板をエッチング処理して一定間隔の凸部を設け、この凸部表面にAl等の導電体層を被膜しこの上に複数のCNTを付着させた後、導電体層を溶解させることによって、CNTが剥離しにくくなり、またCNTは導電体層を介して電極基板に電気的に接続されるので、電極基板とCNTとの導電性が良好となり、電子放出源の全域から均一な電子放出を得ることができることが報告されている(特許文献1)。
特開2003−59391号公報
上記電子放出電極は、線状の複数のCNTを有機溶媒で分散させて電解質を加えた溶液に金属基板を浸漬し、電気泳動によりCNTを付着させているが、CNTはその名のごとくナノメータレベルの直径のため、外的な応力に対する機械的強度が脆弱なので、溶液中に分散させたり、電気泳動することによる液相中の抵抗により破損してしまう恐れがある。このようにCNTを金属基板とは別のところで生成後、電気泳動を行ったり、導電体を溶解させてCNTを固着させねばならず、CNTが生成されてからの工程が煩雑になりCNTのチューブ構造が破壊されやすい要因が増えてしまうといった問題があった。
以上説明したように、従来の電子放出電極は、製造方法及びその電子放出能力においてより改善が求められるものである。当然、これらの電子放出電極を用いた様々な電子装置も製造が困難で動作電圧が高い等の技術的課題を有している。
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、優れた電子放出特性を有する電子放出電極とその製造方法を提供することを利点とする。
また、本発明は、製造が容易な電子放出電極とその製造方法を提供することを他の利点とする。
上記利点を得るために、この発明の第1の観点にかかる電子放出電極は、
複数の突起物を備える基板と、
前記基板の前記突起物の表面に形成され、複数の炭素薄片で構成された花弁状炭素薄片集合体からなる電子放出膜と、を有する。
花弁状炭素薄片集合体は、その形状からその中央部に電界を集中する機能を有し、これに、炭素薄片自体の形状の効果による電界集中が加わる。さらに、突起物上に形成された花弁状炭素薄片集合体は、基板の平坦部に対して、陽極に向かって突出した位置にあり、電界を集中する機能を有する。従って、突起物上に形成された花弁状炭素薄片集合体の先端部では、二重の電界集中効果が生じ、電子放出が可能となる閾値電圧を引き下げることができる。
炭素薄片は、例えば、グラフェンシートから構成される。炭素薄片をグラフェンシートから構成することにより、ダイヤモンドのような絶縁体やアモルファス状の炭素膜と比して電界集中度が高く、高い電子放出効率を得ることができる。
炭素薄片は、例えば、厚さが1nm〜500nmで、グラフェンシートにより構成され、外辺開口部における薄片同士の間隔が3μm以下である。
例えば、炭素薄片集合体の大きさは5μm〜30μmで、隣接する炭素薄片集合体同士の間隔は薄片集合体の直径をDとした時に1D〜10D程度である。
前記基板は、例えば、基体と該基体上に配置され、上記突起物を構成する粒状物とから構成される。この粒状物は、例えば、粒径が5〜30μmのダイヤモンド、ニッケル、モリブデン、SiC、SiN等の粒子から構成される。粒状物としてダイヤモンド微粒子を使用すれば、炭素膜形成における触媒として知られている鉄族元素などと異なり、成長端を触媒元素で汚染することもなく、また、基板面での炭素膜結晶(グラファイト)の核形成に必要なエネルギーを減少させることができるので、より結晶性のよい炭素薄片が得られる。
前記粒状物は、ダイヤモンドのように不純物濃度が低く、高温でも固相の状態を維持するので仮に不純物を含んでいても不純物を拡散して花弁状炭素薄片集合体の成長に悪影響をもたらすことはない。
上記目的を達成するため、この発明の第2の観点にかかる電子放出電極の製造方法は、
処理容器内に複数の突起物を備える基板を配置する工程と、
前記処理容器内に炭素含有化合物を含む処理ガスを供給し、さらに、直流電圧を印加して前記処理ガスをプラズマ化することにより、前記基板上に基板面に対して起立する複数の炭素薄片を形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
前記処理ガスは、例えば、炭素と水素とを含み、当該原料ガス中の炭素含有化合物の体積比率は1%〜30%の範囲内にあることが望ましい。
基板を950℃以上1200℃以下の温度に制御する工程を配置する事が望ましい。また、前記基板上で結晶成長することによって前記複数の突起物を形成するようにしてもよい。
上記構成によれば、炭素薄片が形成する花弁型の構造による電界集中と、炭素薄片自体の形状効果による電界集中が加わるため、集合体先端部での電界集中が強化され、電子放出特性が向上する。
また前記基板上で結晶成長することによって前記複数の突起物を形成する工程をさらに備えてもよく、このような突起物としてはダイヤモンドが特に好ましい。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態にかかる電子放出電極について説明する。
この実施の形態にかかる電子放出電極10は、図1に断面で示すように、導電性の基体12と導電性基体12上に固着された複数の粒状物13とから構成された基板11と、粒状物13上に形成された花弁状の構造を有する花弁状炭素薄片集合体14と導電性基体12上に形成させた平面状炭素薄片集合膜16と、から構成されている。
基板11を構成する導電性基体12は、ニッケルやシリコン結晶等の約950℃以上の温度に耐えうる導電性材料から構成され、負電圧を印加するための電極が接続されている。
基板11を構成する粒状物13は、グラファイトが成長可能で且つ約950℃以上の温度(製造時の熱処理温度)に耐えうるダイヤモンド、モリブデン、SiC,SiN等の材料の微粒子から構成され、基板11の突出部を形成する。粒状物13は、基板11上の欠陥等のために生成する炭素の異常成長塊(通常、炭素薄片の塊)15のサイズよりも大きい粒径(5μm〜30μm程度)を有し、望ましい粒径は、5μm〜30μm程度である。また、導電性基体12の単位面積あたりの花弁状炭素薄片集合体14の表面積を大きくして電子放出特性を良好にするため、粒状物13は、その表面積が大きい多角的な形状が好ましく、電子を放出しやすいように所々に先端(角部、鋭角的な部分等)があることが好ましい。導電性基体12上の粒状物の配置密度は、放電電流等によるが、例えば、10個/cm〜10個/cm程度である。
図2に平面図で、図3に図2のBB線断面図で模式的に示すように、典型的な花弁状炭素薄片集合体14は、粒状物13の表面を起点として成長し、曲面をなす花弁状の複数の炭素薄片14aが、粒状物13の表面に対して起立しながらも、互いにランダムな方向に繋がりあって構成されている。各炭素薄片14aは、数層のグラフェンシートから構成され、外辺開口部における薄片同士の間隔が3μm以下である。
1つの花弁状炭素薄片集合体14は、基体12の表面又は基体12上に形成された平面状炭素薄片集合膜16に対して粒状物13の高さに相当する5μm〜30μmの高さを有している。このため、陽極に対して基体12表面及び異常成長塊15よりも接近しており、粒状物を内包する花弁状構造による電界集中がおこる。
前記構造をとることにより、各炭素薄片14aの形状による電界集中と、花弁状炭素薄片集合体14の形状による電界集中の相乗効果が発生する。対して粒状物13が形成されていない基板11の場合、粒状物13の表面に相当する位置に花弁状炭素薄片集合体14が形成されず、基体12の平滑な表面に平坦な平面状炭素薄片集合膜16が形成されるだけである。本発明における粒状物13及び花弁状炭素薄片集合体14を備えた電子放出電極10は、粒状物13及び花弁状炭素薄片集合体14のない平面状炭素薄片集合膜16で電子を放出する電子放出電極に比べて凹凸に富み、容易に電子の放出が可能となり、所定値の電界放出電流に達するまでの閾値電圧を引き下げることができる。
図4は、1つの花弁状炭素薄片集合体14のSEM(高分解能走査型電子顕微鏡)像を、図5はその中心部分の拡大像を示す。図示するように、曲面状の壁(炭素薄片14a)がランダムに繋がりあいながら開口部(空隙部)をおよそ取り囲み、花弁状に全体として1つの円形状の集合体を形成している。
この様な花弁状炭素薄片集合体14は、図6に示すように、花弁状炭素薄片集合体14の直径をDとした時に1D〜10Dの間隔に1つ配置されるように分布して形成されている。
このような構成の電子放出電極においては、各炭素薄片14aは、基板11と接する基部の部分が曲線状で、垂直配向したカーボンナノチューブにおける点状接触と比較して、大面積で基板11に接触しているので、基板との密着強度は点状接触のカーボンナノチューブよりも非常に高い。
粒状物13としてダイヤモンド微粒子を使用すれば、グラフェンシート形成における触媒として知られている鉄族元素などと異なり、成長端を触媒元素で汚染することもなく、また、基板11上での炭素結晶(グラファイト)の核形成に必要なエネルギーを減少させることができる。従って、結晶性のよい花弁状炭素薄片集合体14が得られる。
次に、上記構成を有する電子放出電極10の製造方法を説明する。
まず、基体12をエタノールとアセトンで、それぞれ10分間超音波洗浄する。
続いて、粒径10μm〜30μmの窒化ケイ素等のセラミック粒子、ダイヤモンド、炭化珪素の少なくとも何れかを含む微粒子(砥粒)1gを有機溶剤(エタノール)25mlに加えた懸濁液を作成し、十分に攪拌する。
続いて、洗浄後の基体12を、この混濁液に浸漬させ、43kHzの超音波を10分間印加する。
その後、基体12を取り出し、エタノールとアセトンで、それぞれ10分間超音波洗浄を施す。以上の工程により、基体12表面にダイヤモンドからなる粒状物13が固着した基板11が形成される。この段階での、基板11のSEM像を図7に示す。図7と図6の比較により、花弁状炭素薄片集合体14がダイヤモンド粒状物13を核として形成されることがわかる。
次に、この基板11を、図8に例示する構成のDC(直流)プラズマCVD装置200内のサセプタ202上に設置する。
このDCプラズマCVD装置200は、汎用的な処理装置であり、処理容器(チャンバ)201と、サセプタ(下部電極)202と、上部電極203と、処理ガスシャワーヘッド204と、ガス供給管205,206と、パージガス供給管207と、排気管208と、直流電源209とを備える。
サセプタ202は下部電極を兼ね、被処理体を載置する。上部電極203には、下部電極202よりも低い電圧を印加する。
処理ガス供給管205は、MFC(マスフローコントローラ)やバルブを備え水素ガスをシャワーヘッド204に導く。処理ガス供給管206は、MFC(マスフローコントローラ)やバルブを備え、炭素含有ガス(例えば、メタン、エタン、アセチレンなどの炭化水素化合物、メタノール、エタノールなどの酸素含有炭化水素化合物、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、二酸化炭素及びこれらの混合物等)をシャワーヘッド204に導く。
パージガス供給管207は、パージガスとしての窒素ガスを処理容器201内に導く。排気管208は、排気システム210に接続され、処理容器201内を排気する。直流電源209は、サセプタ202と上部電極203との間に直流電圧を印加する。
基板11のサセプタ202上への載置が完了すると、次に、処理容器11内を1Pa程度に減圧する。続いて、ガス供給源よりガス供給管205,206を介してシャワーヘッド204に水素ガスとメタン等の炭素含有ガスとを導き、サセプタ(下部電極)202と上部電極203間に、直流電源209から500V程度の電圧(上部電極203とサセプタ202の間隔が4cm程度の場合)を印加し、流れる電流を制御することにより、プラズマ状態及び基板11の温度を制御する。基板11の温度を950℃以上1200℃以下に制御することが望ましい。成長温度を950℃以上とする理由は、温度が950℃以下とすると、形成される炭素薄片の結晶の品質が低下し、一部がアモルファスとなるおそれがあるためである。一方、1200℃以下とする理由は、温度が高すぎると、炭素薄片の成長速度が遅くなったり、成長しなくなったり、熱膨張により基板等に反り或いは破損をもたらすためである。成膜処理を40〜180分程度継続する。
成膜処理を一定時間実行すると、サセプタ202と上部電極203間への電圧の印加を停止し、続いて、処理ガスの供給を停止し、パージガス供給管207を介して処理容器201内に窒素ガスを供給して常圧に復帰した後、形成された電子放出電極10を取り出す。
以上の工程により、DC(直流)プラズマCVD法というECRプラズマ装置などと比較して簡易な構成の処理装置を用いて、比較的簡易な工程により、電子放出力に優れた電子放出電極を製造することができる。
なお、この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、花弁状炭素薄片集合体14のサイズや密度は適宜変更可能である。
また、基板11を製造する工程や花弁状炭素薄片集合体14を製造する工程も適宜変更可能である。
例えば、表面に突起を有する基板11を形成する工程は、上述の工程に限定されず、例えば、粒径5〜30μmのダイヤモンドまたは、炭化珪素砥粒で基体12の成膜部分の表面を擦り、基体12の表面に粒子による条痕を形成する。この処理により基体12表面に砥粒(粒状物)が埋め込まれる。この摩擦工程において、平均粒径をDとしたときの平均粒子間距離が1Dから10D、望ましくは3〜5Dとなるように、基体12への垂直応力と摩擦回数を調節する。続いて、余剰の砥粒を除去および基体12を洗浄するために、有機溶剤を用いて超音波洗浄器を用いて数分間洗浄を行う。この手法によっても、基体12に強固に粒状物13が固定され、突起部を備える基板11が得られる。
また、CVD法によりダイヤモンド等を選択的に成長させてもよい(選択的核形成成長法)。この場合、まずシリコン基板からなる基体12上にフォトグラフィ法によりエッチングを行い、表面に縦横2x2μm高さ0.1μm〜0.2μmの凸部を、約5〜100μmの間隔(ピッチ)をおいて複数形成する。凸部は島状にしてマトリクス状にパターニングされていてもよいし、縦又は横方向に連続するストライプ状であってもよい。
次いで、基体12をエタノール、アセトン等の有機溶剤で洗浄後、微小のダイヤモンド核が分散された懸濁液を基体12上に塗布する。塗布回数は懸濁液中の微小ダイヤモンド核の濃度に応じて設定され、薄ければ懸濁液の塗布、乾燥を複数回繰り返せばよい。このようにして微小ダイヤモンド核を凸部の周囲に配置させる。この後基体12面の法線方向に対して60°〜80°の斜め方向からアルゴンビームを数分間〜30分間照射する。すると、被爆したダイヤモンド微小核が破壊され、凸部の立体障害によって被爆を免れたダイヤモンド微小核が残存することになる。
続いて、マイクロ波プラズマCVD法によって残存するダイヤモンド微小核を結晶成長させ粒状物13を形成し、DCプラズマCVD法によって粒状物13の表面及び露出した基体12の表面に花弁状炭素薄片集合体14を成膜する。
このような製法では、凸部の位置及び間隔を予め設定することで任意の位置に任意の径の粒状物13を形成することができるので、粒状物13の配列及び密度の精密制御ができる。
なお、基体12の表面のエッチングはドライエッチでもウェットエッチでもよいが、残渣を残すとダイヤモンド結晶の成長に悪影響を及ぼすので、十分な洗浄が必要となる。また、十分な間隔をおいて凸部を形成するのであれば、メタルマスクで平滑な基体12の表面に導電体または半導体を成膜してもよい。
次に、花弁状炭素薄片集合体14を形成する工程も任意である。例えば、処理装置の構造などは任意に変更可能である。
以下、上記実施の形態の一実施例を説明する。
φ40mmのニッケル基体を用意した。このニッケル基体に、エタノールとアセトンでそれぞれ10分間ずつ超音波洗浄を施した。
次に、洗浄済のニッケル基体を粒径20μmのダイヤモンド微粒子粉末1g/エタノール25mlの溶液中に浸漬させ、その表面にダイヤモンド微粒子を吸着させ、43kHzの超音波を10分間かけ、ダイヤモンド微粒子をニッケル基体に食い込ませて固着し、突起部を有する基板を形成した。このような基板表面のSEM像が前述の図7の像である。
基板を取り出し、エタノールとアセトンで、それぞれ10分間ずつ超音波洗浄を行った。
次に、間隔が40mmのサセプタ(下部電極)とシャワーヘッド(上部電極)間に、700Vの電圧を印加し、電極間に流れる電流を4Aに制御し、さらに、原料ガスとして水素ガスとメタンガスを使用し、その全体圧力を8000Pa(60Torr)、メタンガスの割合を8%(体積比)、基板の温度を1000℃として、基体12及び粒状物13にわたって連続した層となる炭素薄片を60分間成膜した。
図6からわかるように基板の上にほぼ分散して花弁状炭素薄片集合体14が形成されている。各花弁状炭素薄片集合体の平均直径は約10μmである。
図9にこの実施例及び比較例の電子放出電極の電子放出特性を示す。
比較例1は平滑な基体12に粒状物13を設けることなしに花弁状炭素薄片集合体14を成長させた電子放出電極であり、比較例2は基体12に粒状物13を設けた後、花弁状炭素薄片集合体14の代わりに非晶質炭素膜をコーティングしたものである。
閾値電界(10μA/cmの放射電流密度を得るための電極間の電界を閾値電界と定義する)に達するまでの電界強度は、図から明らかなように、実施例の電子放出電極では約1V/μmであり、比較例1では約3.5V/μm、比較例2では約12V/μmとなっており、この実施例の電子放出電極が非常に優れた電子放出特性を示していることが確認された。このことから、単に花弁状炭素薄片集合体14が設けられていても、その下方に粒状物13が設けられていないと、比較例1のように十分な電子放出特性が得られず、単に粒状物13が設けられていても、実施例のように花弁状炭素薄片集合体14が設けられていないと、比較例2のように十分な電子放出特性が得られないことが理解できる。
また、上記実施例の条件で成膜した花弁状炭素薄片集合体14をラマン分光法による構造解析を行った結果を図10に示す。図示するように、実施例の炭素薄片は、1580cm−1付近のグラファイトの炭素−炭素結合の六角格子内での炭素原子の振動に起因するGバンドと1350cm−1付近のDバンドのピーク強度比が鋭敏であり、また他のピークがほとんど見られないことから緻密で純度の高いグラファイトからなる花弁状炭素薄片集合体14が生成されていることが明らかである。
上記実施の形態に示された電子放出電極10では、粒状物13間の導電性基体12上に異常成長塊15や平面状炭素薄片集合膜16が形成されていたが、電界集中による電子放出は主に花弁状炭素薄片集合体14で起こるので異常成長塊15や平面状炭素薄片集合膜16はなくても電極として動作することができる。
本発明の実施の形態にかかる電子放出電極の構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる典型的な花弁状炭素薄片集合体の構成を示す平面図である。 実施の形態にかかる典型的な花弁状炭素薄片集合体の構成を示す断面図である。 花弁状炭素薄片集合体のSEM像である。 花弁状炭素薄片集合体のSEM拡大像である。 基板上の花弁状炭素薄片集合体の分布を示すSEM像である。 製造過程において、ダイヤモンド粒子をコーティングした状態の基板のSEM像である。 直流プラズマ処理装置の構成例を示す図である。 本実施例で製造された花弁状炭素薄片集合体の電子放出性能を説明するための図である。 実施例の炭素薄片のラマンスペクトルを示すグラフである。
符号の説明
11 基板
12 基体
13 突起部(ダイヤモンド粒)
14 花弁状炭素薄片集合体
15 異常成長塊
16 平面状炭素薄片集合体

Claims (10)

  1. 複数の突起物を備える基板と、
    前記基板の前記突起物の表面に形成され、複数の炭素薄片で構成された花弁状炭素薄片集合体からなる電子放出膜と、を有する電子放出電極。
  2. 炭素薄片はグラフェンシートから構成されることを特徴とする請求項1に記載の電子放出電極。
  3. 炭素薄片は、厚さが1nm〜500nmのグラフェンシートにより構成され、外辺開口部における薄片同士の間隔が3μm以下である花弁状炭素薄片集合体を有する請求項1に記載の電子放出電極。
  4. 炭素薄片集合体の大きさが5μm〜30μmで、隣接する炭素薄片集合体同士の間隔は薄片集合体の直径をDとした時に1D〜10Dである、請求項1又は2に記載の電子放出電極。
  5. 前記基板は、基体と、該基体上に配置された粒状物とから構成される、ことを特徴とする請求項4に記載の電子放出電極。
  6. 前記粒状物は、ダイヤモンドであることを特徴とする請求項5に記載の電子放出電極。
  7. 処理容器内に複数の突起物を備える基板を配置する工程と、
    前記処理容器内に炭素含有化合物を含む処理ガスを供給し、さらに、直流電圧を印加して前記処理ガスをプラズマ化することにより、前記基板上に基板面に対して起立する複数の炭素薄片を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする電子放出電極の製造方法。
  8. 前記処理ガスは、炭素と水素とを含む原料ガスを含み、当該原料ガス中の炭素含有化合物の体積比率は1%〜30%の範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載の電子放出電極の製造方法。
  9. 基板を950℃以上1200℃以下の温度に制御することを特徴とする請求項7又は8に記載の電子放出電極の製造方法。
  10. 前記基板上で結晶成長することによって前記複数の突起物を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載の電子放出電極の製造方法。
JP2003342415A 2003-09-30 2003-09-30 電子放出電極 Expired - Fee Related JP4423496B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003342415A JP4423496B2 (ja) 2003-09-30 2003-09-30 電子放出電極

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003342415A JP4423496B2 (ja) 2003-09-30 2003-09-30 電子放出電極

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005108721A true JP2005108721A (ja) 2005-04-21
JP4423496B2 JP4423496B2 (ja) 2010-03-03

Family

ID=34536692

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003342415A Expired - Fee Related JP4423496B2 (ja) 2003-09-30 2003-09-30 電子放出電極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4423496B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007184152A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Dialight Japan Co Ltd 電子エミッタ
JP2007299723A (ja) * 2006-04-07 2007-11-15 Asahi Glass Co Ltd 電界電子放出素子
JP2008053177A (ja) * 2006-08-28 2008-03-06 National Institute For Materials Science ナノカーボンエミッタとその製造方法並びに面発光素子
US7790242B1 (en) 2007-10-09 2010-09-07 University Of Louisville Research Foundation, Inc. Method for electrostatic deposition of graphene on a substrate
JP2011219372A (ja) * 2010-04-05 2011-11-04 Shinshu Univ グラフェン前駆体化合物及びその製造方法、並びにナノグラフェン構造体及びその製造方法
JP5429643B2 (ja) * 2008-07-01 2014-02-26 日本電気株式会社 グラフェン・グラファイト膜を用いる半導体装置及びその製造方法
JP2014181179A (ja) * 2013-03-15 2014-09-29 Honda Motor Co Ltd 垂直方向に向きが揃ったカーボンナノチューブをダイアモンド基板上に成長させる方法
CN114334583A (zh) * 2021-12-16 2022-04-12 金陵科技学院 一种花瓣状石墨烯场发射冷阴极的制备方法
KR20220103346A (ko) * 2021-01-15 2022-07-22 씨비테크 주식회사 덩굴 모양 탄소 구조물이 형성된 에미터를 포함하는 엑스선 튜브

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007184152A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Dialight Japan Co Ltd 電子エミッタ
JP2007299723A (ja) * 2006-04-07 2007-11-15 Asahi Glass Co Ltd 電界電子放出素子
JP2008053177A (ja) * 2006-08-28 2008-03-06 National Institute For Materials Science ナノカーボンエミッタとその製造方法並びに面発光素子
US7790242B1 (en) 2007-10-09 2010-09-07 University Of Louisville Research Foundation, Inc. Method for electrostatic deposition of graphene on a substrate
JP5429643B2 (ja) * 2008-07-01 2014-02-26 日本電気株式会社 グラフェン・グラファイト膜を用いる半導体装置及びその製造方法
JP2011219372A (ja) * 2010-04-05 2011-11-04 Shinshu Univ グラフェン前駆体化合物及びその製造方法、並びにナノグラフェン構造体及びその製造方法
JP2014181179A (ja) * 2013-03-15 2014-09-29 Honda Motor Co Ltd 垂直方向に向きが揃ったカーボンナノチューブをダイアモンド基板上に成長させる方法
KR20220103346A (ko) * 2021-01-15 2022-07-22 씨비테크 주식회사 덩굴 모양 탄소 구조물이 형성된 에미터를 포함하는 엑스선 튜브
KR102581259B1 (ko) * 2021-01-15 2023-09-22 씨비테크 주식회사 덩굴 모양 탄소 구조물이 형성된 에미터를 포함하는 엑스선 튜브
CN114334583A (zh) * 2021-12-16 2022-04-12 金陵科技学院 一种花瓣状石墨烯场发射冷阴极的制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4423496B2 (ja) 2010-03-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20090200912A1 (en) Methods for Growing Carbon Nanotubes on Single Crystal Substrates
JP3851167B2 (ja) 効率的な電子電界放出のためのダイヤモンド/カーボンナノチューブ構造体
JP3804594B2 (ja) 触媒担持基板およびそれを用いたカーボンナノチューブの成長方法ならびにカーボンナノチューブを用いたトランジスタ
JP4436821B2 (ja) 単層カーボンナノチューブ配列の成長装置及び単層カーボンナノチューブ配列の成長方法
JP4988330B2 (ja) 窒素ドーピングされた単層カーボンナノチューブの製造方法
CN1189390C (zh) 利用热化学汽相淀积法在大尺寸基片上大规模合成垂直排列的高纯碳纳米管的方法
JP5763302B2 (ja) グラフェンの製造方法
JP2005075725A (ja) カーボンナノチューブ構造体及びその製造方法とそれを応用した電界放出素子及び表示装置
JP2006114494A (ja) カーボンナノチューブエミッタ及びその製造方法とそれを応用した電界放出素子及びその製造方法
KR20070001281A (ko) 카본나노구조체의 제조방법
JPH10203810A (ja) カーボンナノチューブの製法
WO2004027127A1 (ja) 針状シリコン結晶およびその製造方法
JP4423496B2 (ja) 電子放出電極
JP2005263564A (ja) カーボンナノチューブの製造方法
JP2011068501A (ja) カーボンナノチューブ生成用再利用基材及びカーボンナノチューブ生成用基材並びにその製造方法
TWI406808B (zh) 奈米碳管結構之製備方法
Yu et al. Patterned carbon nanotube field emitter using the regular array of an anodic aluminium oxide template
JP3913583B2 (ja) カーボンナノチューブの製造方法
Cole et al. Engineered carbon nanotube field emission devices
JP2011057544A (ja) ダイヤモンド薄膜の生長装置
JP2004051432A (ja) カーボンナノチューブの製造用基板及びそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法
Yakubu et al. Graphene synthesis by chemical vapour deposition (CVD): A review on growth mechanism and techniques
JP2011060944A (ja) カーボンナノチューブを含む熱伝導体及びその製造方法、並びに該熱伝導体を含む熱処理装置
JP2014185072A (ja) カーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法
JP4829634B2 (ja) 触媒の形成方法およびそれを用いた炭素膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060927

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060927

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070620

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090514

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090526

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090724

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091104

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121218

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131218

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees