JP2014185072A - カーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材を繰り返し再利用しても高品質なカーボンナノチューブの生成を安定的に実現することのできる、カーボンナノチューブ生成用再利用基材を短時間で効率よく製造する。
【解決手段】触媒層上に生成されたカーボンナノチューブが剥離された基材において、触媒層が形成された側にマイクロ波を照射して、当該基材上に残留する炭素成分を除去する初期化工程を包含する
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう)は、炭素原子が平面的に六角形状に配置されて構成された炭素シートが円筒状に閉じた構造を有する炭素構造体である。このCNTには、多層のもの及び単層のものがあるが、いずれもその力学的強度、光学特性、電気特性、熱特性、分子吸着機能等の面から、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料等の機能性材料としての展開が期待されている。CNTの中でも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイヤモンドに匹敵する熱伝導度)、光学特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、及び金属触媒担持能などの各種特性に優れている上、半導体と金属との両特性を備えているため、ナノ電子デバイス、ナノ光学素子、及びエネルギー貯蔵体などの材料として注目されている。
これらの用途にCNTを有効利用する場合、複数本のCNTが規則的な方向に配向して集まった束状、膜状、あるいは塊状の集合体を成し、そのCNT集合体が、電気・電子的、及び光学的などの機能性を発揮することが望ましい。CNTは、アスペクト比が極めて高い一次元的な構造を持つ材料であり、その機能も高い方向性を示す。そのため、CNT集合体(構造体)を構成する一本一本のCNTが規則的な方向に配向していると、個々のCNTの機能の方向性を揃えることができ、結果として、高機能なCNT集合体を得ることができる。
すなわち、各CNTが規則的な方向に配向しているCNT配向集合体は、一本一本のCNTの向きが不規則な、つまり無配向なCNT集合体と比較して、配向方向についての伝達特性に高い指向性を示す。この高い指向性により、CNT集合体は、より良好な電気特性(例えばより高い導電性)、より良好な機械的特性(例えばより高い強度)、より良好な熱特性(例えばより高い熱伝導性)を示す。さらには、このようなCNT集合体の配向方向とそれ以外の方向とで異なる特性、つまり異方性は、例えば、熱などを所望の方向に選択的に拡散、排出したい場合などに有効であり、熱伝導材などの用途に好適である。また、CNT集合体は、その高さ、長さ等のサイズがより一層大きいことが望ましい。このようなCNT配向集合体が創製されれば、CNTの応用分野が飛躍的に拡大するものと予測される。
一方、CNTの製造方法の一つに、化学気相成長法(以下、CVD法とも称する)が知られている(特許文献1などを参照されたい)。この方法は、約500℃〜1000℃の高温雰囲気下で炭素化合物を触媒の金属微粒子と接触させることを特徴としており、触媒の種類や配置、あるいは炭素化合物の種類や反応条件といった態様を様々に変化させた中でのCNTの製造が可能であり、CNTの大量生産に適したものとして注目されている。またこのCVD法は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とのいずれも製造可能である上、触媒を担持した基板を用いることで、基板面に垂直に配向した多数のCNTを製造することができる、という利点を備えている。
基材上にCNT配向集合体を形成させるためには、基材上の触媒微粒子の密度及び直径が高度に制御されており、また、CNTを成長させる面全域で触媒微粒子が均一に付着している必要がある。一方で、CNT配向集合体生産の低コスト化のためには基材を再利用する必要がある。同じ基材を繰り返し使用して、同品質のCNT配向集合体を安定して生産するためには、基材上の触媒微粒子が、基材を再利用しても、常に最適で一定の状態でなければならない。
特許文献1には、一度CNT生産に使用した基材及び触媒をそのまま次のCNT生産に使用する方法で、基材を繰り返し使用すること、及び、基材を再利用する際に、前処理として基材を焼成することが記載されている。
特許文献2には、基材上のCNTをガス圧により剥離した後に再利用すること、及び、再利用の前にアッシング(焼成)、酸洗浄等により不純物を除去してもよいことが記載されている。
特許文献3には、生成したCNTを剥離した基材に対して、不織布などで拭き取る方法、水、アルコール等の液体を用いて洗浄する方法、酸素プラズマリアクターやUVオゾンクリーナー等により炭素不純物を燃やして灰化する方法等により、基材上の触媒微粒子に付着した炭素不純物を除去することが記載されている。
特開2006−27948号公報(2006年2月2日公開) 特開2007−91485号公報(2007年4月12日公開) 特開2011−68501号公報(2011年4月7日公開)
しかしながら、CNT生産に使用した基材及び触媒をそのまま次のCNT生産に使用する場合、炭素成分等の不純物が付着することによって触媒の状態が変化し、CNTの成長が阻害され、良好なCNT配向集合体が得られない場合がある。
また、特許文献1に記載されているように、焼成により基材を前処理した場合であっても、十分に炭素成分等の付着物を取り除くためには、高温かつ長時間の加熱が必要であり、基材の損傷、処理の長時間化等の問題がある。
さらに、特許文献2に記載のように酸洗浄すると、十分に炭素成分などの付着物が取り除けなかったり、基材が金属基材であるときには、酸に腐食されたりして、CNTの成長に悪影響を及ぼす場合がある。
また、特許文献3に記載の方法で基材上の炭素不純物を除去する場合でも、基材の材質によっては基材を痛めることがある。
そこで、基材を痛めることなく、短時間でより簡易な基材の再利用方法が求められている。
本発明は上記の事情に鑑みて為されたもので、基材を繰り返し再利用しても高品質なカーボンナノチューブの生成を安定に高効率に実現することのできる、カーボンナノチューブ生成用再利用基材を短時間で効率よく製造することが可能な製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、基材上に設けられた触媒層上にカーボンナノチューブが生成されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法であって、生成されたカーボンナノチューブが剥離された基材において、上記触媒層が形成された側にマイクロ波を照射して、当該基材上に残留する炭素成分を除去する初期化工程を包含することを特徴としている。
また、本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、上記初期化工程後の上記基材上を清掃する清掃工程をさらに含むことが好ましい。
さらに、本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、上記初期化工程において、絶縁容器内に収容した上記基材にマイクロ波を照射することが好ましい。
また、本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、上記初期化工程又は上記清掃工程の後に、上記基材上に触媒の下地となる下地層を設ける下地層形成工程と、上記下地層上に触媒層を設ける触媒層形成工程と、をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、生成されたカーボンナノチューブが剥離された基材において、上記触媒層が形成された側にマイクロ波を照射して、当該基材上に残留する炭素成分を除去するので、基材を繰り返し再利用しても高品質なカーボンナノチューブの生成を安定して実現することのできる、カーボンナノチューブ生成用再利用基材を短時間で効率よく製造することが可能である。
本発明の一実施形態により製造されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材の層構成を概略的に示す図である。 本発明の一実施形態により製造されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材の層構成を概略的に示す図である。 CNT配向集合体の剥離後の層構成と、初期化工程後の層構成とを概略的に示すである。 再利用後の基材の層構成を概略的に示す図である。 基材の再利用の工程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態により製造されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材を用いる、カーボンナノチューブ製造装置の構成を模式的に示す図である。
本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、基材上に設けられた触媒層上にカーボンナノチューブが生成されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法であって、生成されたカーボンナノチューブが剥離された基材において、上記触媒層が形成された側にマイクロ波を照射して、当該基材上に残留する炭素成分を除去する初期化工程を包含する。
〔カーボンナノチューブ生成用再利用基材〕
本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法により製造されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材は、CNT及びCNT配向集合体を生成するために用いられる。
(CNT配向集合体)
CNT配向集合体は、基材から成長した多数のCNTが特定の方向に配向した構造体である。CNT配向集合体の好ましい比表面積は、CNTが主として未開口のものにあっては、600m/g以上であり、より好ましくは、800m/g以上である。比表面積が高いほど、金属などの不純物、若しくは炭素不純物を重量の数十パーセント(40%程度)より低く抑えることができるので好ましい。
重量密度は0.002g/cm以上、0.2g/cm以下であることが好ましい。重量密度が0.2g/cm以下であれば、CNT配向集合体を構成するCNT同士の結びつきが弱くなるので、CNT配向集合体を溶媒などに攪拌した際に、均質に分散させることが容易になる。つまり、重量密度が0.2g/cm以下とすることで、均質な分散液を得ることが容易となる。また重量密度が0.002g/cm以上であれば、CNT配向集合体の一体性を向上させ、バラけることを抑制できるため取扱いが容易になる。
特定方向に配向したCNT配向集合体は高い配向度を有していることが好ましい。高い配向度とは、
1.CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が、第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ第1方向からの反射強度が、第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在すること。
2.CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現すること。
3.ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法又はラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0より大きく1より小さいこと。より好ましくは0.25以上、1以下であること。
以上の1.から3.の少なくともいずれか1つの方法によって評価することができる。また、前述のX線回折法において、単層CNT間のパッキングに起因する(CP)回折ピーク及び(002)ピークの回折強度と、単層CNTを構成する炭素六員環構造に起因する(100)、(110)ピークの平行と垂直との入射方向の回折ピーク強度との度合いが互いに異なるという特徴も有している。
CNT配向集合体が配向性、及び高比表面積を示すためには、CNT配向集合体の高さ(長さ)は10μm以上、10cm以下の範囲にあることが好ましい。高さが10μm以上であると、配向性が向上する。また高さが10cm以下であると、生成を短時間で行なえるため炭素系不純物の付着を抑制でき、比表面積を向上できる。
CNTのG/D比は好ましくは3以上、より好ましくは4以上である。G/D比とはCNTの品質を評価するのに一般的に用いられている指標である。ラマン分光装置によって測定されるCNTのラマンスペクトルには、Gバンド(1600cm−1付近)とDバンド(1350cm−1付近)と呼ばれる振動モードが観測される。GバンドはCNTの円筒面であるグラファイトの六方格子構造由来の振動モードであり、Dバンドは非晶箇所に由来する振動モードである。よって、GバンドとDバンドのピーク強度比(G/D比)が高いものほど、結晶性の高いCNTと評価できる。
(カーボンナノチューブ生成用再利用基材の構成)
本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法により製造されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材は、基材と、基材の表面上に設けられており、触媒の下地となる下地層と、下地層の表面であって、基材とは反対側の表面に設けられており、炭素成分を含まない触媒微粒子を少なくとも1つ備える触媒初期化層と、を備えていてもよい。
なお、本明細書において「カーボンナノチューブ生成用再利用基材」とは、一旦CNTの製造に使用した基材であって、再度CNTの製造に使用可能なカーボンナノチューブ生成用再利用基材である。カーボンナノチューブ生成用再利用基材は、例えば、CNTを剥離した基材を初期化し、その上にさらに下地層及び触媒層をこの順に設けることによって得ることができる。
図1に初期化工程後のカーボンナノチューブ生成用再利用基材の一例を示す。まず、触媒を担持するための基材1−1を有する。基材1−1の主表面上には下地層1−3が設けられている。下地層1−3上には触媒微粒子1−4を少なくとも1つ備える触媒層が設けられている。初期化工程後の触媒層は、炭素成分フリーの触媒微粒子1−4を少なくとも1つ備えている。なお、基材1−1の主表面と下地層1−3との間に浸炭防止層1−2をさらに設けられていることが好ましい。また、基材1−1の主表面の裏面に浸炭防止層1−2がさらに設けられていることが好ましい。
このように、初期化工程後のカーボンナノチューブ生成用再利用基材の表面は、炭素成分などの不純物が除去されているので、再利用してCNTを成長させたとき、高品質なCNTを安定して生成することができる。
図2に、初期化工程の後に、さらに下地層及び触媒層を形成したカーボンナノチューブ生成用再利用基材の一例を示す。図2に示すカーボンナノチューブ生成用再利用基材は、基材1−1の主表面上に、第1の下地層1−3−1が設けられている。第1の下地層1−3−1上には触媒微粒子1−4が存在している。この触媒微粒子1−4は、初期化工程において炭素不純物が除去されており、炭素不純物フリーの触媒微粒子1−4が少なくとも1つ含まれている。触媒微粒子1−4上には第2の下地層1−3−2が設けられている。第2の下地層1−3−2上には触媒層1−5が設けられている。なお、基材1−1の主表面と第1の下地層1−3−1との間、及び、基材1−1の主表面の裏面に、浸炭防止層1−2が設けられていることが好ましい。
このように、初期化したカーボンナノチューブ生成用再利用基材の表面に、さらに下地層及び触媒層を重ねることによって、再利用時に、より高品質なCNTを安定して生成することができる。
<基材>
上記カーボンナノチューブ生成用再利用基材が備える基材はその表面にCNTの触媒を担持することが可能であり、マイクロ波処理に対する耐性を有していればよい。また、基材は、400℃以上の高温でも形状を維持できることが好ましい。例えば、CNTの製造に実績のあるものを、適宜、用いることができる。
材質としては、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、及びアンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金及び酸化物;シリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイト、及びダイヤモンドなどの非金属;並びにセラミックなどを例示できる。金属はシリコン及びセラミックと比較して、低コストであるから好ましく、特に、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金、Fe−Cr−Ni(鉄−クロム−ニッケル)合金等は好適である。
基材の態様としては、平板状、薄膜状、ブロック状、あるいは粒子状などでが挙げられ、特に体積の割に表面積を大きくとれる平板状および粒子状がCNTを大量に製造する場合において有利である。なお、基材の主表面とは、面積が大きくCNTの成長に有利な表面であり、実際にCNTを成長させる面のことを意味する。
平板状の基材を使用する場合、基材の厚さに特に制限はなく、例えば数μm程度の薄膜から数cm程度までのものを用いることができる。好ましくは、0.05mm以上3mm以下である。基材の厚さが3mm以下であれば、CVD工程で基材を十分に加熱することができCNTの成長不良を抑制することができ、また基材のコストを低減できる。基材の厚さが0.05mm以上であれば、浸炭による基材の変形を抑え、また基材自体のたわみが起こりにくいため基材の搬送や再利用に有利である。なお、本明細書にいう浸炭とは基材に炭素成分が浸透することをいう。
平板状基材の形状、大きさに特に制限はないが、形状としては、長方形もしくは正方形のものを用いることができる。基板の一辺の大きさに特に制限はないが、CNTの量産性の観点から、大きいほど望ましい。
<浸炭防止層>
この基材の表面又は裏面の少なくともいずれか一方には、浸炭防止層を形成してもよい。表面及び裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、CNTの生成工程において、基材が浸炭されて変形してしまうことを防止するための保護層である。
浸炭防止層は、金属又はセラミック材料によって構成されることが好ましく、特に浸炭防止効果の高いセラミック材料であることが好ましい。金属としては、銅、アルミニウム等を例示できる。セラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカアルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の酸化物、窒化アルミニウム、及び、窒化ケイ素等の窒化物を例示でき、なかでも浸炭防止効果が高いことから、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素が好ましい。
浸炭防止層上には、後述するCNT成長のための触媒及び下地層を形成するが、浸炭防止層の材質と触媒又は下地層の材質とが共通する場合、浸炭防止層が触媒又は下地層としての機能を兼ねていてもよい。
浸炭防止層の厚さは、0.01μm以上1.0μm以下が望ましい。層の厚さが0.01μm以上であると浸炭防止効果を充分に得ることができる。層の厚さが1.0μm以下であると、基材の熱伝導性が変化を抑制して、CVD工程で基材を十分に加熱してCNTを良好に成長させることができる。層形成(コーティング)の方法としては、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的方法、CVD、塗布法等の方法を適用することができる。
<下地層及び触媒層>
基材上には、CNT成長のための触媒微粒子を含む触媒層を形成する。触媒としては、例えば、これまでのCNTの製造に実績のあるものを、適宜、用いることができる。具体的には、鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、これらの塩化物、及び、合金等を触媒として例示することができる。またこれらが、さらにアルミナ、チタニア、窒化チタン、酸化シリコンなどのセラミック材料からなる下地層と層状になっていることが好ましい。例えば、アルミナ−鉄薄膜、アルミナ−コバルト薄膜、及びアルミナ−鉄−モリブデン薄膜などを例示することができる。下地層とは、触媒の下地となる層である。
なお、用語「触媒の下地となる下地層」の「触媒」と「触媒層」の「触媒」とは同じ触媒であり、前者の触媒を用いてCNT製造を行なうと、当該触媒が「触媒層」を構成する「触媒微粒子」となる。下地層としては触媒の下地となるものであればさまざまな材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、チタン等の金属を使用してもよいが、セラミック材料の方が、基材を再利用したときにCNT成長が良好であるため好ましい。
例えば、アルミニウム−鉄薄膜、アルミニウム−鉄−モリブデン薄膜などの形態でもCNT成長は可能であるが、本発明による基材の再利用を行なう場合、下地層として使用する材料は、セラミック材料の方が、金属に比べてCVD中に劣化することがなく、2度目以降のCVDでもCNT成長が良好である。下地層の厚みは、CNTの成長が安定して、歩留まりが向上することから、10nm以上であることが好ましく、生産効率の点から、30nm以下であることが好ましい。
触媒の存在量としては、例えば、これまでのCNTの製造に実績のある量を使用することができ、例えば鉄を用いる場合、その厚さは、0.1nm以上100nm以下が好ましく、0.5nm以上5nm以下がさらに好ましく、0.8nm以上2nm以下が特に好ましい。
なお、基材の表面及び裏面の両面に触媒層が形成されていれば、CNT配向集合体を基材の両面において成長させることができるので、生産効率の点からより望ましい。もちろん、生産コストや生産工程上の都合等に応じて、触媒層を片面とすることは可能である。
基材及び基材表面の浸炭防止層及び触媒層においては、それぞれ、その表面の算術平均粗さRaが3μm以下であることが望ましい。これにより、基材表面への炭素汚れの付着が防止又は低減され、さらに浸炭されにくくなり、高品質のカーボンナノチューブを高効率で生産することが可能となる。
算術平均粗さRaは、「JIS B 0601−2001」に記載の通り、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけ抜き取って、この抜取り部分の平均線方向にX軸、直交する縦倍率の方向にY軸をとったときの表面プロファイルをy=f(x)で表したときに、次式(1)によって求められる。
Figure 2014185072
〔カーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法〕
(剥離工程)
本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法においては、一旦CNTの製造に使用した基材であって、CNTが剥離された基材を用いて、カーボンナノチューブ生成用再利用基材を製造する。したがって、カーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、CNTを基材から剥離する剥離工程を包含していてもよい。
剥離工程において、CNTを基材から剥離する方法としては、物理的、化学的あるいは機械的な剥離方法を例示でき、例えば電場、磁場、遠心力、表面張力等を用いて剥離する方法、機械的に直接基材から剥ぎ取る方法、並びに、圧力又は熱を用いて基材から剥離する方法等が適用可能である。簡単な剥離方法としては、単層CNT配向集合体をピンセットで直接つまんで基材から剥がす方法があるが、鋭利部を備えたプラスチック製のヘラ、又は、カッターブレード等の薄い刃物を使用して、CNTを基材から剥ぎ取ることがより好適である。また、真空ポンプを用いて単層CNT配向集合体を吸引し、基材から剥ぎ取ることも可能である。
(初期化工程)
本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、初期化工程を包含する。初期化工程においては、触媒層上に生成されたCNTが剥離された基材において、触媒層が形成された側にマイクロ波を照射して、当該基材上に残留する炭素不純物を除去する。初期化工程においては、上述した剥離工程後の基材を用いてもよい。
初期化工程の概要について、図3を参照して以下に説明する。図3は、CNT配向集合体の剥離後の層構成と、初期化工程後の層構成とを概略的に示すである。基材1−1上に成長したCNTを剥離したとき、例えばCVDを用いてCNTを成長させた場合には、CVDにて付着したと考えられる炭素不純物1−6が基材1−1上に残存している。また、基材1−1上には、触媒が剥離されずに微粒子状になって触媒微粒子1−4として残存しており、その表面にも炭素不純物1−6が付着している。炭素不純物1−6とは、CNTの剥離時に取りきれずに残ったCNT、グラファイト状又はアモルファス状のナノ粒子、薄片状物質等の炭素化合物であると考えられる。
一旦CNTを形成した後の触媒微粒子を含む触媒層からCNTを剥離し、基材1−1に残存した炭素不純物1−6を除去する工程を触媒の「初期化工程」という。初期化工程の具体的な方法としては、基材1−1上の触媒微粒子1−4を含む触媒層が形成された側にマイクロ波を照射する。マイクロ波が照射された基材1−1は誘電加熱され、残留する炭素不純物1−6が蒸発する、又は、炭素不純物1−6と基材1−1若しくは触媒微粒子1−4との接着力が低下する。これにより、基材1−1上の炭素不純物1−6を除去することができる。
基材の再利用時に、触媒層が炭素成分を含む場合、CNTの成長が不安定になる、又は、生成されるCNTの品質が低下する可能性がある。この炭素成分は、基材又は触媒層に付着している炭素不純物に由来していると考えられる。したがって、基材又は触媒層に付着している炭素不純物を除去することによって、基材の再利用時のCNTの成長を安定化すると共に、高品質なCNTを繰り返し生成することができる。
基材又は触媒層に付着した炭素不純物の除去方法としては、高温で加熱して蒸発させる方法が例として挙げられる。このとき、基材を直接加熱して炭素不純物を蒸発させるためには、高温で長時間基材を加熱する必要がある。そのため、基材の損傷、基材の反り、処理の長時間化等の問題が生じる場合がある。
また、基材を酸洗浄することにより炭素不純物を除去する方法が知られているが、基材が金属基材である場合には、酸に腐食される恐れがあり、再利用時にCNTの成長に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明においては、初期化工程においてマイクロ波を基材表面に照射するので、基材又は触媒層上の炭素不純物を選択的に加熱することが可能である。したがって、基材の損傷及び基材の反りを発生させることなく、容易に炭素不純物を除去することができる。また、基材を長時間加熱する必要がないため、処理時間を短縮することができる。さらに、酸を用いる必要がないため、基材が金属基材であっても腐食されることがなく、基材の選択性が向上する。
基材又は触媒層から炭素成分が除去されて、炭素成分を含まないことは、例えば基材表面のラマンスペクトル測定により評価することが可能である。炭素成分は、1593cm−1付近のグラファイトの振動モードもしくは、1350cm−1付近の結晶性の低いアモルファス炭素化合物の振動モードで検出することが可能である。したがって、初期化工程後の基材において、これらのピークが観測されないことが好ましい。
なお、初期化工程後の基材上に下地層及び触媒層が残存していてもよいし、炭素成分の除去に伴って除去されていてもよい。初期化工程において下地層及び触媒層が除去されていても、後述する下地層形成工程及び触媒層形成工程において、下地層及び触媒層を形成すれば、その後のCNT生成に悪影響を及ぼすことはない。一方で、初期化工程で炭素不純物の除去が不十分であると、その上に下地層及び触媒層を形成したとしても、その後のCNT生成においてCNTの生産量や品質が低下することがある。
初期化工程において、基材にマイクロ波を照射する装置としては、電子レンジ等の従来公知のマイクロ波発生装置を使用することができる。本明細書中において、「マイクロ波」とは、波長100μm以上、1m以下であり、周波数300MHz以上、3THz以下の電波を意味している。
初期化工程において照射するマイクロ波の周波数は、基材を誘電加熱することが可能な周波数であればよく、300MHz以上、300GHz以下であることが好ましい。中でも国際規格で非通信用に割り当てられたISMバンドが好適に用いられ、加熱用として用いられる2.45GHz又は915MHzであってもよい。さらに、初期化工程において照射するマイクロ波の出力は、基材を誘電加熱することが可能な出力であればよく、500W以上、3000W以下であることが好ましい。
初期化工程においては、絶縁容器内に収容した基材にマイクロ波を照射することが好ましい。これにより、基材が金属基材の場合でも、マイクロ波の照射による火花の発生を抑え、安全性を確保することができる。
基材を収容する絶縁容器としては、マイクロ波を照射する空間と基材との間を電気的に絶縁できるものであればよく、ガラス容器、セラミック容器等を用いることができる。また、マイクロ波の照射により基材表面が加熱されるため、絶縁容器は耐熱性を有していることが好ましい。
(清掃工程)
本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、清掃工程をさらに含んでいてもよい。清掃工程においては、初期化工程後の基材上を清掃する。清掃工程においては、例えば、布により基材表面を拭き取る方法、基材表面を水洗する方法等により、基材上を清掃する。マイクロ波が照射された基材表面には、炭素成分が蒸発しきれずに残存している場合があるが、初期化工程後に基材を清掃することによって、残存する炭素成分を取り除くことができる。基材表面に残存する炭素成分と基材又は触媒微粒子との接着力は、マイクロ波の照射により低下しているため、拭き取り、水洗等によって、容易に炭素成分を取り除くことができる。
なお、清掃工程後の基材上に下地層及び触媒層が残存していてもよいし、基材表面の清掃に伴って除去されていてもよい。清掃工程において下地層及び触媒層が除去されていても、後述する下地層形成工程及び触媒層形成工程において、下地層及び触媒層を形成すればため、その後のCNT生成に悪影響を及ぼすことはない。
(下地層形成工程及び触媒層形成工程)
本発明に係るカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法は、下地層形成工程及び触媒層形成工程をさらに含んでいてもよい。下地層形成工程においては、初期化工程後、又は、初期化工程後にさらに清掃工程を行った後に、基材上に触媒の下地となる下地層を設ける。また、触媒層形成工程において、下地層形成工程において形成された下地層上に触媒層を設ける。これにより、一旦CNTの製造に供した基材であっても、より好適に再度CNTの製造に用いることができる。
初期化工程後に、触媒層が最表面にある基材をそのまま用いて、2度目のCNT成長処理を行った場合、CNTの成長が不安定になったり、生成されるCNTの品質が低下したりする場合がある。考えられる原因として、触媒層中の触媒微粒子の密度や直径が、1度目のCNT成長処理と同じ最適な状態に維持されていないことや、初期化工程において触媒層中の触媒微粒子が除去されたこと等が挙げられる。
下地層形成工程及び触媒層形成工程を行うことによって、初期化工程後の基材又は触媒層を覆うように、下地層を積層し、さらにその下地層上に新たに触媒層を積層することによって、基材最表面に新たな触媒層が形成される。これにより、カーボンナノチューブ生成用再利用基材を用いて次のCVDを実施するときに、基材上の触媒層を最適な状態にすることができる。また、触媒層の下層に設けた下地層により、一度CVDで使用した触媒層と、基材再利用時の次のCVDで使用する触媒層とを分離することが可能である。
当業者であれば、CVDに一度使用した触媒は、基材再利用において下地層で覆ってその上に新たな触媒を形成するので、触媒の初期化工程を実施する必要がないと考えるであろう。しかし、本発明者らは、触媒の初期化工程を行わずに下地層及び触媒層を積層して、基材を再利用した場合、CNT配向集合体が生成しない場合があることを見出した。このことから、触媒の初期化工程は基材の再利用にあたり、CNT配向集合体の成長の安定性を向上させる役割、若しくは、CNT配向集合体の成長を促進する役割があることを見出し、本発明に至ったのである。
基材上への下地層及び触媒層の形成、つまり、本発明にいう下地層形成工程及び触媒形成工程は、ウェットプロセス又はドライプロセスのいずれを適用してもよい。例えば、スパッタリング蒸着法、金属微粒子を適宜な溶媒に分散させた液体の塗布・焼成法などを適用することができる。また周知のフォトリソグラフィー、ナノインプリンティング等を適用したパターニングを併用して触媒層を任意の形状とすることもできる。
基板上に成膜する触媒のパターニングを調整することにより、薄膜状、円柱状、角柱状、及びその他の複雑な形状をしたものなど、単層CNT配向集合体の形状を任意に制御することができる。特に薄膜状の単層CNT配向集合体は、その長さ及び幅寸法に比較して厚さ(高さ)寸法が極端に小さいが、長さ及び幅寸法は、触媒のパターニングによって任意に制御可能であり、厚さ寸法は、単層CNT配向集合体を構成する各単層CNTの成長時間によって任意に制御可能である。
本実施形態において製造されたカーボンナノチューブ生成用再利用基材を用いれば、CNTの剥離工程、初期化工程、清掃工程、下地層形成工程、触媒層形成工程、及び、CNTの成長工程を、図5のフローチャートに示すように、繰り返し行うことができる。図5のフローチャートに示すように基材の再利用を繰り返し行うことによって、図4に示す層構成のカーボンナノチューブ生成用再利用基材が形成される。なお、図4において、触媒微粒子1−4と下地層1−3−1との間には、基材の再利用を繰り返し行うことにより形成された下地層と触媒微粒子を含む層とが、繰り返し処理のサイクル数と同数存在するが、その記載を省略している。
〔カーボンナノチューブ生成装置〕
本発明により製造したカーボンナノチューブ生成用再利用基材を用いた、カーボンナノチューブの生成に使用する生産装置は、触媒を担持した基材を受容する合成炉(反応チャンバ)及び加熱手段を備えることが必須であるが、その他は各部の構造・構成については特に限定されることはなく、例えば、熱CVD炉、熱加熱炉、電気炉、乾燥炉、恒温槽、雰囲気炉、ガス置換炉、マッフル炉、オーブン、真空加熱炉、プラズマ反応炉、マイクロプラズマ反応炉、RFプラズマ反応炉、電磁波加熱反応炉、マイクロ波照射反応炉、赤外線照射加熱炉、紫外線加熱反応炉、MBE反応炉、MOCVD反応炉、レーザ加熱装置等の、公知の生産装置をいずれも使用できる。このような生成装置の例として、図6に示すCVD装置が挙げられる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1に示すように形成されたカーボンナノチューブ生成用再利用基材にCNT配向集合体を成長させたものを用いて実験を行った。
具体的には、基材として、大きさ40mm角、厚さ0.3mmのFe−Ni−Cr合金YEF426(日立金属株式会社製、Ni42%、Cr6%)を使用した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒2.1μmであった。この基材の表裏両面にスパッタリング装置を用いて厚さ100nmの酸化ケイ素膜(浸炭防止層)を製膜した。次いで表面のみにスパッタリング装置を用いて厚さ10nmのアルミナ膜(下地層)と厚さ1.0nmの鉄膜(触媒層)を製膜した。この基材を使用して、CVDを行い、CNT配向集合体を成長させた基材を準備した。
CVDによるCNT配向集合体の生成を、図6に示すCVD装置を用いて行った。このCVD装置は、カーボンナノチューブ生成用再利用基材2−1を受容する石英ガラスからなる管状の反応チャンバ2−2(直径30mm、加熱長360mm)と、反応チャンバ2−2を外囲するように設けられた加熱コイル2−3と、原料ガス2−4並びに雰囲気ガス2−5を供給すべく反応チャンバ2−2の一端に接続された供給管2−6と、反応チャンバ2−2の他端に接続された排気管2−7と、触媒賦活剤2−8を供給すべく供給管2−6の中間部に接続された触媒賦活剤供給管2−9とを備えている。
また、極めて微量の触媒賦活剤を高精度に制御して供給するために、原料ガス2−4及び雰囲気ガス2−5の供給管2−6には、原料ガス2−4及び雰囲気ガス2−5から触媒賦活剤を除去するための純化装置2−10が付設されている。さらに図示していないが、流量制御弁や圧力制御弁などを含む制御装置が適所に付設されている。
カーボンナノチューブ生成用再利用基材2−1を、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02E+5に保持されたCVD装置の反応チャンバ2−2内に設置し、このチャンバ内に、He:100sccm、H:900sccmを6分間導入した。これにより、触媒は還元されて単層CNTの成長に適合した状態の微粒子化が促進され、下地層上にナノメートルサイズの触媒微粒子が多数形成された(フォーメーション工程)。なお、このときの触媒微粒子の密度は、1×1012〜1×1014個/cmに調整した。
次に、炉内温度:750℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持された状態の反応チャンバ2−2内に、He:850sccm、C:59sccm、HO:HO濃度が300ppmとなる量を5分間供給した。これにより、単層CNTが各触媒微粒子から成長した(成長工程)。
成長工程終了後、反応チャンバ2−2内にHe:1000sccmのみを供給し、残余の原料ガスや触媒賦活剤を排除した(フラッシュ工程)。これにより、カーボンナノチューブ配向集合体2−11が得られた。
このようにして準備した基材2−1から、基材上に成長したCNT配向集合体2−11を剥離した。具体的には、鋭利部を備えたプラスチック製のヘラを使用した。ヘラの鋭利部を、CNT配向集合体2−11と基材2−1との境界に当て基材2−1からCNT配向集合体2−11をそぎ取るように、基材面に沿って鋭利部を動かした。これにより、CNT配向集合体2−11を基材2−1から剥ぎ取った。
次に、CNT配向集合体を剥離した基材を、耐熱ガラス容器内に収容して電気的に絶縁した上で、出力可変型の電子レンジ(松下電器産業社製、NE−T150)により、500Wで5分間マイクロ波(周波数2.45GHz)を照射し、誘電加熱処理を施した。誘電加熱処理後の基材表面を布巾で拭き取ったところ、基材上の汚れが容易に除去できたことを目視で確認した。
マイクロ波を照射して初期化した基材の表面に、上記と同様の条件で、スパッタリング装置を用いて厚さ10nmのアルミナ膜(下地層)と、厚さ1.0nmの鉄膜(触媒層)を製膜した。この基材を使用して、CVDによるCNT配向集合体の成長、CNT配向集合体の剥離、基材の初期化、及び、触媒層の形成を、10回繰り返した。
その結果、10回生成したCNT配向集合体はいずれも、G/Dが2〜5、BET比表面積が950〜1,100m/gの範囲であった。このように、CNTを剥離した後にマイクロ波で初期化することによって製造したカーボンナノチューブ生成用再利用基材は、繰り返し使用しても品質に優れるCNTを安定して生成可能であることが確認できた。
〔比較例1〕
マイクロ波による誘電加熱処理に替えて、CNT配向集合体を剥離した基材をスポンジにより水洗浄した以外は、実施例1と同様の処理を行い、CNT配向集合体を生成した。
その結果、初回のCNT生成では、G/Dが4、BET比表面積が1,020m/gのCNTを得ることができたが、2回目はG/Dが2.4、BET比表面積が940m/g、3回目は、G/Dが1.2、BET比表面積が830m/gであり、さらにCNT生成回数を増したところ、G/D及びBET比表面積の大幅な低下が見られた。
〔比較例2〕
マイクロ波による誘電加熱処理に替えて、約800℃及び窒素雰囲気の条件下で、約30分間基材を熱処理した以外は、実施例1と同様の処理を行い、CNT配向集合体を生成した。
その結果、初回のCNT生成では、G/Dが4.2、BET比表面積が1,000m/gのCNTを得ることができたが、2回目はG/Dが2.0、BET比表面積が960m/g、3回目は、G/Dが1.1、BET比表面積が780m/gであり、さらにCNT生成回数を増したところ、G/D及びBET比表面積の大幅な低下が見られた。
本発明は、一つの基材を用いて繰り返し高品質なCNT配向集合体を安定して製造できるので、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料などの分野に好適に利用できる。
1−1 基材
1−2 浸炭防止層
1−3 下地層
1−3−1 第1の下地層
1−3−2 第2の下地層
1−4 触媒微粒子
1−5 触媒層
1−6 炭素不純物
2−1 基材
2−2 反応チャンバ
2−3 加熱コイル
2−4 原料ガス
2−5 雰囲気ガス
2−6 供給管
2−7 排気管
2−8 触媒賦活剤
2−9 触媒賦活剤供給管
2−10 純化装置
2−11 CNT配向集合体

Claims (4)

  1. 基材上に設けられた触媒層上にカーボンナノチューブが生成されるカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法であって、
    生成されたカーボンナノチューブが剥離された基材において、上記触媒層が形成された側にマイクロ波を照射して、当該基材上に残留する炭素成分を除去する初期化工程
    を包含することを特徴とするカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法。
  2. 上記初期化工程後の上記基材上を清掃する清掃工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法。
  3. 上記初期化工程において、絶縁容器内に収容した上記基材にマイクロ波を照射することを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法。
  4. 上記初期化工程又は上記清掃工程の後に、上記基材上に触媒の下地となる下地層を設ける下地層形成工程と、
    上記下地層上に触媒層を設ける触媒層形成工程と、
    をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ生成用再利用基材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017065974A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 日本ゼオン株式会社 繊維状炭素ナノ構造体の製造方法
KR20190125329A (ko) 2017-03-13 2019-11-06 니폰 제온 가부시키가이샤 전기 화학 소자 전극용 도전재 분산액, 전기 화학 소자 전극용 슬러리 조성물 및 그 제조 방법, 전기 화학 소자용 전극, 및 전기 화학 소자

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