JP2008053177A - ナノカーボンエミッタとその製造方法並びに面発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子放出能およびその均一性、安定性に優れたナノカーボンエミッタと、簡便で制御性が高いプロセスで作製可能なナノカーボンエミッタの作製方法と、このナノカーボンエミッタを適用し、高輝度、高均一、高信頼性を有する面発光素子とを提供する。
【解決手段】ナノカーボンエミッタ1は、基体2と、基体2上に設けられた導電層3と、ダイヤモンド微粒子5に直接または金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料6が形成されてなるナノ炭素材料複合体4を導電層3上に設けて構成される。導電層3は、接着性を有する。ダイヤモンド微粒子5は1μmより小さい粒径を有する。ナノ炭素材料6はカーボンナノファイバーであることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、強電界によって電子を放出する電界放射型の電子放出素子(フィールドエミッタ)とその製造方法に関する。より詳しくは、光プリンタ,電子顕微鏡,電子ビーム露光装置などの電子発生源や電子銃として、或いは照明ランプの超小型照明源として、さらには、平面ディスプレイを構成するアレイ状のフィールドエミッタアレイの面電子源などとして有用なナノカーボンエミッタ及びその製造方法に関する。さらに、このナノカーボンエミッタを電子源として用い、ディスプレイ、バックライト、照明などに利用される面発光素子に関する。
従来、電子ディスプレイデバイスとして陰極線管が広く用いられているが、陰極線管は、電子銃のカソードから熱電子を放出させるためにエネルギー消費量が大きく、また、構造的に大きな容積を必要とするなどの課題があった。
このため、熱電子ではなく冷電子を利用できるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減させ、しかも、デバイス自体を小形化した平面型のディスプレイが求められ、更に近年では、そのような平面型ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現することも強く求められている。
このような冷電子を利用する平面型ディスプレイの構造としては、高真空の平板セル中に、微小な電子放出素子をアレイ状に配したものが有望視されている。そのために使用する電子放出素子として、電界放射現象を利用した電界放射型の電子放出素子が注目されている。この電界放射型の電子放出素子は、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が10V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトンネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるようになり、そのため物質から電子が放出されるという現象を利用している。この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材、即ちエミッタに電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電圧で効率的に冷電子の放出を行うことができる。
図8は従来の電界放射型の電子放出素子30の構造を模式的に示す斜視図である。なお手前側は一部切り欠いて断面としている。従来、電界放射型の電子放出素子30は、一般的には、例えば図8に示すように、先端が尖った円錐形の素子を例示することができる。この素子においては、絶縁性基板31上に導電層32、絶縁層33及びゲート電極34が順次積層されており、その絶縁層33及びゲート電極34には、導電層32に達する開口部36が形成されている。そして、その開口部36内の導電層32上には、少なくともゲート電極34に接触しないように、点状突起を有する円錐形状の電子放出部(エミッタ)35が形成されている。
上記のエミッタに対し近年、エミッタ材料としてナノカーボン材料が注目されている。ナノカーボン材料の中で最も代表的なカーボンナノチューブは、炭素原子が規則的に配列したグラフェンシートを丸めた中空の円筒であり、その外径はnmオーダーで、長さは通常0.5〜数10μmの非常にアスペクト比の高い微小な物質である。そのため、先端部分には電界が集中しやすく高い電子放出能が期待される。また、カーボンナノチューブは、化学的、物理的安定性が高いという特徴を有するため、動作真空中の残留ガスの吸着や反応が生じ難く、イオン衝撃や電子放出に伴う発熱に対して損傷を受け難い特性を有している。
このエミッタ材料として用いられる、カーボンナノチューブ等のナノ炭素材料の合成方法として、アーク放電法、レーザーアブレーション法、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法等が知られている(非特許文献3,4参照)。これらの方法のうち、アーク放電法、レーザーアブレーション法やプラズマ化学気相成長法は非平衡反応であるため、非晶質成分を生成しやすいため、一般的に生成するカーボンナノチューブの収率が低く、また、生成したカーボンナノチューブの直径や種類が一様でないことが知られている。
カーボンナノチューブをエミッタとして利用する場合は、ペースト化し印刷法により基板上に塗布して用いられる場合が多い。例えば、特許文献1では、スクリーン印刷によるエミッタ形成法が開示されている。まず、カソード電極を基板上に所定ピッチでストライプ状に形成し、さらにカーボンナノチューブを含んだペーストをスクリーン印刷によりカソード電極上に四角形や円形などの形状に孤立した形でカソード電極と同じピッチに形成する。次いで、カーボンナノチューブを含んだ樹脂層の間に絶縁層をスクリーン印刷し、その後大気雰囲気中で焼成する。これにより、カーボンナノチューブを含む樹脂層の樹脂成分が分解し、カーボンナノチューブが露出して電子放出部が形成される。最後に、グリッド電極を絶縁層上に形成してエミッタを作製する。
上述のようなエミッタの作製に用いるペーストは、一般的には、カーボンナノチューブに、溶剤、分散剤、接着剤としてのガラスフリット、フィラーなどを加え、これらの分布状態が均一になるように混合・分散を行なう。混合後に濾過を行ない、溶剤と樹脂とからなるビヒクル中に混ぜ込みペースト化する。このペーストをよく混合して分散状態を高めた後に濾過してカーボンナノチューブペーストとして完成する。そして上記プロセスで得られたカーボンナノチューブペーストを基板上に印刷し、乾燥・焼成によりビヒクルを酸化分解させてカーボンナノチューブ膜が得られる。
特開2003−272517号公報 C. A. Spindt : J. Appl. Phys., 39, 3504 (1968) K. Betsui: Tech. Dig. IVMC., (1991) p26 独立行政法人産業技術研究所 ナノカーボン研究センター編「ナノカーボン料」 丸善株式会社 平成16年5月25日発行、p.187−191 独立行政法人産業技術研究所 ナノカーボン研究センター編「ナノカーボン料」 丸善株式会社 平成16年5月25日発行、p.191−192
しかしながら、図8に示す円錐形エミッタや半導体集積回路製造技術を応用したシリコンエミッタでは、いずれもエミッタ材料である金属、シリコンまたはそれらの化合物は表面に酸化物を形成するため、電子放出能が低く、電子放出部であるエミッタ部への電界集中が必要不可欠であった。そのため、それらのエミッタ材料表面から電子を放出させるためには、電子放出部の曲率半径をできるだけ小さくする必要があり、電子放出部となるエミッタに極微細加工を施し、電子放出部の先端形状を円錐形にして、その先端の曲率半径を数nm以下とすることが必要不可欠であった。
さらに、ディスプレイ用等の面電子源として利用するためには、上記のような極微細加工を施して得られる円錐形エミッタを多数作製しアレイ上に配置する必要がある。しかしながら、超精密加工が必要であるため、構造的欠陥が生じやすく、大面積に均一に作製することは容易ではなく、歩留まりが低下するうえ、欠陥検査等も不可欠となり製造コストが高くなるという課題がある。
また、従来のナノ炭素材料をエミッタ材料として使用するためには、黒鉛粒子や不定形炭素等のナノ炭素材料以外の炭素不純物を含んだ反応生成物中からナノ炭素材料を精製したり、または基板上に成長したカーボンナノチューブを掻き落とすことで、必要な量のカーボンナノチューブを収集することが必要であるため、低コストで大量に、かつ所望の構造を持ったナノ炭素材料を使用した部材を製造することができない、という課題がある。
しかも、従来のナノ炭素材料は、個々は結晶性を持ち、繊維状の形態をもつ材料は得られているが、例えばグラム単位でみた集合体は無秩序な集まりであり、かつ密度の低いパウダー状あるいはクラスター状の固体である。このようなナノ炭素材料をエミッタ材料として利用する際には、ナノ炭素材料を所望の構造に制御してかつ均一に作製することが困難であるため、ロット間でバラツキの少ないかつ面内均一性の高いエミッタを得ることができない、という課題がある。
上記課題に鑑み、本発明の第一の目的は、電子放出能およびその均一性、安定性に優れたナノカーボンエミッタと、簡便で制御性が高いプロセスで作製可能なナノカーボンエミッタの作製方法を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、上記ナノカーボンエミッタを適用し、高輝度、高均一、高信頼性を有する面発光素子を提供することにある。
上記第一の目的を達成するために、本発明のナノカーボンエミッタは、基体と、基体上に設けられた導電層と、ダイヤモンド微粒子に直接又は金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料が形成されてなるナノ炭素材料複合体とを含み、該ナノ炭素材料複合体が導電層上に設けられ、強電界により電子を放出することを特徴とする。
上記の構成において、ダイヤモンド微粒子は、好ましくは、1μmより小さい粒径を有する。ナノ炭素材料は、好ましくは、カーボンナノファイバーである。導電層は、好ましくは、導電性接着層であるか、又は第一の導電層と接着性を有する第二の導電層とからなる。
本発明の第一の構成によれば、エミッタ材料が、ダイヤモンド微粒子とナノ炭素材料とを一体化した複合体としている。また、ダイヤモンド微粒子を核として、同オーダーの径を有する主に粒状集合体が均一に形成されているため、電子放出特性、すなわち電子放出能ならびに均一性、信頼性が向上する。ここで、ダイヤモンド微粒子は、ナノ炭素材料を束ねる核として機能するが、また、ダイヤモンドは化学的に非常に安定な物質であるため、様々なプロセスにおいても高い耐性を持つことから、実用用途における特性に悪影響を及ぼすことはない。
ダイヤモンド微粒子をナノダイヤモンド粒子で構成することで、ナノ炭素材料と同オーダーの粒径を持つため、ダイヤモンドとナノ炭素材料の結合を形成でき核として十分な機能を果たすと共に、核がナノサイズの微小粒子であるため、物性的にダイヤモンドの影響はなくナノ炭素材料の機能を最大限生かすことができる。
ナノ炭素材料をカーボンナノファイバーとすることにより、最も一般的なナノ炭素材料であるカーボンナノチューブと異なり、中空構造を持たず構造的に密であるため、より高性能かつ高信頼性の電子放出特性を得ることができる。
基体上に接着性のある導電層を設けることで、エミッタとなるナノ炭素材料複合体をペースト化せず、直接導電層上に固定することができる。これにより、ペースト化の際にエミッタとなるナノ炭素材料複合体に有機あるいは無機バインダーが介在や残留することなく、電子放出特性の劣化をまねくことを避けることができる。
また、辞意浮き第二の目的を達成するため、本発明の面発光素子は、本発明のナノカーボンエミッタと蛍光体が形成されたアノード電極とが対向して設けられ、上記ナノカーボンエミッタと上記アノード電極との間隙が真空に保持されてなることを特徴とする。
上記構成によれば、高性能、高歩留まりでかつロット間ならびに面内バラツキのない本発明のエミッタを用いることにより、対向側に蛍光体を配した、簡便な、いわゆる2極管の真空パネルを構成することによっても、輝度が高くかつ面内バラツキのない、高品質の面発光素子を得ることができる。
さらに、本発明のナノカーボンエミッタの製造方法は、基体上に導電層を形成する第1工程と、ダイヤモンド微粒子に直接または金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料が形成されてなるナノ炭素材料複合体を、導電層上に配置する第2工程と、を含むことを特徴とする。
以上の構成において、第一工程は、導電層として、導電性接着層を形成するか、第一の導電層上に接着性を有する第二の導電層を形成する。
上記構成によれば、ダイヤモンド微粒子を核とするナノ炭素材料複合体を、基体上の導電層上に配することにより、均一なナノ炭素材料の集合体であるため、プロセス適性が高く、均一に、かつ、ロット間でのバラツキのないまた面内分布のないエミッタの製造が可能となる。また、接着性を有する導電層を設けることにより、ペースト化等を行うことなく、均一にかつ容易にナノ炭素材料複合体を導電層上に形成することができる。
本発明のナノカーボンエミッタによれば、ナノ炭素材料複合体としてダイヤモンド微粒子とナノ炭素材料とが一体化した複合体構造を持つ。この高純度で均一な組成のナノ炭素材料は制御性が高くかつ均一に合成できる材料であり、これをエミッタ材料として適用することにより、高電子放出能でかつロット間でのバラツキならびに面内バラツキのない特性を持つ。また特に、ナノダイヤモンド粒子を核とし、ナノ炭素材料としてカーボンナノファイバーを用い、さらに、導電層上に導電性接着層を設けることでバインダーフリーとして、より高性能、高信頼性のエミッタを得ることができる。
本発明の面発光素子は、本発明のナノカーボンエミッタを搭載しているので、簡便な2極間構造においても、輝度が高く、かつ面内バラツキもない高品質の素子が得られる。
本発明のナノカーボンエミッタの製造方法によれば、導電層上に特に導電性接着層を設ける工程を用いると、ペースト化等を必要とせずに、簡便に直接導電層上にエミッタ材料を形成することができる。
以下、本発明の最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のナノカーボンエミッタ1の構成を模式的に示す断面図である。
本発明のナノカーボンエミッタ1は、例えば0.1〜10(V・μm−1)の強電界により電子を放出する素子であり、基体2と、基体2上に形成された接着性を有する導電層3と、接着性を有する導電層3上に配設されたナノ炭素材料複合体4とからなる。即ち、ナノカーボンエミッタ1は、基体2上に形成された接着性導電層3上に、ナノ炭素材料複合体4を配して構成される。ここで、ナノ炭素材料複合体4は、ダイヤモンド微粒子5を核とし、核の周囲にナノ炭素材料6が形成されてなる。即ち、図1に示すように、核となるダイヤモンド微粒子5に直接ナノ炭素材料6が形成されてもよいし、ダイヤモンド微粒子5に金属または酸化物をはじめとする金属化合物を介してナノ炭素材料6が形成されても良い。
本発明のナノカーボンエミッタ1は、接着性を有する導電層3に電子放出部となるナノ炭素材料複合体4を直接固定していることで、従来のように、ナノ炭素材料複合体4をペースト化して塗布して固定した場合に残留する有機バインダーや介在する無機バインダーがナノカーボンエミッタ1に存在せず、電子放出特性の劣化を避けることができる。
また、導電層3上には、ダイヤモンド微粒子5を核として、同オーダーの径を有する粒状集合体が均一に配置されることで、電子放出特性、即ち、電子放出能及び均一性、信頼性が向上する。ダイヤモンド微粒子5はナノ炭素材料6を束ねる核として機能するが、ダイヤモンドは化学的に非常に安定な物質であるため、実用用途における特性に悪影響を及ぼさない。
ダイヤモンド微粒子5は、粒径が1μmより小さいナノ粒子とすることで、ナノ炭素材料と同オーダーの粒径を持つため、ダイヤモンドとナノ炭素材料との結合を形成し核として十分機能を果たす。また核がナノサイズの微粒子であるため、物性的にもダイヤモンドの影響はなく、ナノ炭素材料の機能を最大限生かすことができる。即ち、粒径が1μmより小さいナノサイズのダイヤモンド微粒子5を用いることで、ナノ炭素材料複合体4の核として、より小さな容積で、効率的に機能することができる。なお、ダイヤモンド微粒子5としては、研磨用の市販されているダイヤモンドパウダーを用いてもよい。
ナノ炭素材料6は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノフィラメント、カーボンナノコイル等であってもよい。特に、ナノ炭素材料6がカーボンナノファイバーである場合には、最も一般的なナノ炭素材料であるカーボンナノチューブとは異なり、中空構造を持たず構造的に密であるため、より劣化の少なく、より高性能かつ信頼性の高い電子放出特性を得ることができる。
なお、基体2はどのような材料からなっていても良く、例えば、シリコン基板などの半導体基板、ガラス基板、セラミックス基板などが使用でき、基体2の表面が熱酸化されたシリコン基板や薄膜を積層した基板であってもよい。
導電層3は、電子を放出するナノ炭素材料複合体4に電子を供給するための電極層として作用する。導電層3は、金属などの金属薄膜や銀ペーストなどの厚膜を用いたり、表裏面に接着剤が塗布されたカーボンテープなどを用いることができる。導電層3としてカーボンテープを採用する場合には、導電層4は接着剤により形成された接着層3aとカーボン層3bと接着層3cとからなる。この接着性を有する導電層3は材料の選択の自由度が狭く、カーボンテープの接着剤には高分子材料が多いため抵抗が高いものが多い。
図2は、本発明のナノカーボンエミッタ10の別の構成を模式的に示す断面図である。図1と同一または対応するものには同一の符号を付してある。
導電層3とナノ炭素材料複合体4との間に導電性接着層7を介在させている点で、図1とは異なる。ここで、導電層3が、ナノ炭素材料複合体4に対して電子を供給する電極として作用する点は図1に示す場合と同様であるが、図1に示す場合と異なり、基体2上に形成される導電層3と、この導電層3上に形成される導電性接着層7との二層構造とすることで、次のような利点がある。即ち、導電層3が導電性接着層7より低抵抗のもの、例えば金属で形成されることで、導電層3を低抵抗でかつパターンニング性に自由度をもたらすことができる。導電性接着層7としてはカーボンテープなどを挙げることができる。この場合、導電性接着層7は、接着剤により形成された接着層7aとカーボン層7bと接着層7cとからなる。
図2に示すナノカーボンエミッタ10の構成では、ナノ炭素材料複合体4が導電性接着層7に固着する。よって、図1と同様、有機バインダーや無機バインダーがナノ炭素材料複合体4間に介在したり残留したりしていないので、より良好な電子放出特性を得ることができる。
図3は本発明の面発光素子20を模式的に示す図である。本発明の面発光素子20は、図3に示すように、本発明に係るナノカーボンエミッタ1,10と蛍光体23が形成されたアノード電極21とを対向させ、ナノカーボンエミッタ1,10とアノード電極21との電極間隔を保つためのスペーサー23を介在させ、ナノカーボンエミッタ1,10とアノード電極21とスペーサー23とで囲まれた間隙が真空に保持されてなる。前述したようにナノカーボンエミッタ1,10は基体1上に形成された導電層3又は導電性接着層7上にナノ炭素材料複合体4を固着してなるので、アノード電極21は、ナノ炭素材料複合体4の上方に設けられる。ナノカーボンエミッタ1,10の導電層3とアノード電極21との間に電圧を印加することで、強電界によりナノ炭素材料複合体4のナノ炭素材料から電子が放出され、この放出された電子が蛍光体23に到達することで蛍光を発する。
次に、本発明のナノカーボンエミッタ1,10の製造方法について説明する。
図4は、本発明のナノカーボンエミッタ10の製造方法を示す断面図である。
先ず、図4(a)に示す基体2上に、図4(b)に示すように第一の導電層としての導電層3を成膜する。
導電層3が薄膜の場合には、蒸着、スパッタ、イオンプレーティングなどの方法で基体2上に成膜する。その際、必要に応じてリソグラフィー法などを用いることにより所定形状にパターニングする工程を挿入してもよい。一方、導電層3が厚膜の場合には、印刷法などで基体2上に塗布する。所定のパターン形状となるよう同時に成形してもよい。
次に、この第一の導電層としての導電層3上に接着性を有する第二の導電層としての導電性接着層7を形成する。
続いて、図4(b)に示す導電性接着層7上に、エミッタ材料となるナノ炭素材料複合体4を配置する(図4(c)参照)。このナノ炭素材料複合体4は、印刷法または転写法などにより、導電性接着層7上に塗布することができる。このとき、ナノ炭素材料複合体4は均一で分散性が良いため、印刷法や転写法などの方法で、面内均一性よく、導電層3上に塗布することができる。
また、塗布面となる導電性接着層7の上面は、接着性を有する。よって、ナノ炭素材料複合体4をペースト化して塗布する場合と異なり、下地に接着層となる導電性接着層7が存在することで、原料としてのエミッタ材料のみを塗布すればよい。これにより、例えば、ガラスフリットのような無機バインダーが介在せず、またエチルセルロースのような有機バインダーの残留物が全く存在しない電子放出部を形成することができる。
なお、図1に示すナノカーボンエミッタ1の製造方法では、基体2上にカーボンテープなどの接着性を有する導電層3を設けることで、この接着性を有する導電層3上にエミッタ材料となるナノ炭素材料複合体4を塗布して固着させる。
このように、本発明のナノカーボンエミッタ1の製造方法では、ナノ炭素材料複合体4をペースト化して導電層3や導電性接着層7上に印刷法などにより塗布していないので、無機バインダーや有機バインダーが残存しない電子放出部を形成することができる。なお、接着性を有する導電層3や導電性接着層7にナノ炭素材料複合体4を塗布することで、ナノ炭素材料複合体4の自重などによりナノ炭素複合体4を導電層3や導電性接着層7に固着させたり、場合によっては圧力を加えて、確実に固着させるようにしてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
粒径が5〜30nmのダイヤモンド微粒子を担体として、それらに触媒成分としてのニッケルを金属として5wt%含む触媒0.1gを小型の固定床流通系反応管に充填し、触媒層を575℃で一定に保ち、原料ガスとしてメタンを20cm/分の流速で60分間流して反応を行なった。反応終了後に生成物を回収した。回収した生成物を走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
次に、ガラス基板上に第一の導電層3としてのクロム層をスパッタ法により100nm厚で成膜し、続いて、接着性を有する第二の導電層7としてのカーボンテープを固着した。このカーボンテープ上に、上記回収した生成物をそのまま固着させた。以上により、ナノカーボンエミッタを作製した。
この作製したナノカーボンエミッタを高真空チャンバー中に設置し、ナノカーボンエミッタに対向するようにアノードとして透明電極(インジュウム・スズ・酸化膜)付きガラス基板を配置し、導電層と透明電極との間に電圧を印加し、その間に流れる電流を測定して、電子放出特性を求めた。なお、素子面積は3mm×3mm、電極間隔(ギャップ)は0.3mmである。
図5は実施例で得た生成物の走査型電子顕微鏡像である。図5から明らかなように、生成物は直径が20〜50nmの繊維状のカーボンナノファイバーであることが判明した。
図6は、実施例で得た生成物の透過型電子顕微鏡像である。図6から明らかなように、生成したカーボンナノファバーは直径20〜50nmの詰まった構造であることが分かる。また、カーボンナノファイバーの先端に付いている黒い塊は使用した触媒金属微粒子である。
図7は、実施例で作製したナノカーボンエミッタの電子放出特性を示す図である。図7の横軸は電界強度(V・μm−1)であり、縦軸は電流密度(A・cm−2)である。プロット付きのラインが実施例の結果である。なお、同図のプロット無しのラインは、後述するように、市販のカーボンナノチューブを用いた従来のエミッタの特性も示してある。
図7から明らかなように、本実施例のナノカーボンエミッタの電子放出特性では、電界強度が約0.5(V・μm−1)で急に立ち上がっていることが分かる。
また、作製したナノカーボンエミッタに対し、スペーサーを介在させ、透明電極上に蛍光体を塗布したアノードを対向させて真空封止することで、パネルを作製した。
ナノカーボンエミッタの第一の導電層と透明電極との間に電圧を印加したところ、蛍光体が50×50mmで均一に発光した。
(比較例)
次に比較例を示す。
ナノ炭素材料として市販されているクラスター状のカーボンナノチューブを用い、ペースト化した。エチルセルロースをカルビトールに溶かし、ガラスフリットを加えて市販のカーボンナノチューブを入れて十分混練してペーストとした。また、ガラス基板上に接着性のない導電層としてクロム層をスパッタ法により100nm厚で成膜し、上記作製したペーストを塗布した後に、空気中で焼成して脱溶剤処理及び脱有機バインダー処理を行い、真空中で焼成してガラスフリットを溶融して、市販のカーボンナノチューブを固着させ、比較例としてのエミッタを作製した。この作製したエミッタの電子放出特性を、実施例と同様に求めた。測定条件などその他の条件は実施例と同様である。
比較例としてのエミッタの電子放出特性は、図7に示すように、電界強度が2.0(V・μm−1)で急に立ち上がっていることが分かる。よって、本実施例のほうが、より低電界で電子を放出することができる。
以上の実施例では、触媒成分としてニッケルを使用したが、コバルトを触媒成分として使用しても同様に、ナノカーボンファイバーを生成でき、同様にナノカーボンエミッタを作製したら、同様の特性を得た。
本発明のナノカーボンエミッタの構成を模式的に示す断面図である。 本発明のナノカーボンエミッタの別の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の面発光素子を模式的に示す断面図である。 本発明のナノカーボンエミッタの製造方法を示す断面図である。 実施例で得た生成物の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 実施例で得た生成物の透過型電子顕微鏡像を示す図である。 実施例で作製したナノカーボンエミッタの電子放出特性を示す図である。 従来の電界放射型の電子放出素子の構造を示す部分断面図である。
符号の説明
1,10:ナノカーボンエミッタ
2:基体
3,7:導電層
4:ナノ炭素材料複合体
5:ダイヤモンド微粒子
6:ナノ炭素材料
20:面発光素子
21:アノード電極
22:スペーサー

Claims (7)

  1. 基体と、該基体上に設けられた導電層と、ダイヤモンド微粒子に直接又は金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料が形成されてなるナノ炭素材料複合体と、を含み、
    該ナノ炭素材料複合体が上記導電層上に設けられ、
    強電界により電子を放出することを特徴とする、ナノカーボンエミッタ。
  2. 前記ダイヤモンド微粒子は1μmより小さい粒径を有することを特徴とする、請求項1に記載のナノカーボンエミッタ。
  3. 前記ナノ炭素材料はカーボンナノファイバーであることを特徴とする、請求項1に記載のナノカーボンエミッタ。
  4. 前記導電層は導電性接着層であるか又は第一の導電層と接着性を有する第二の導電層とからなることを特徴とする、請求項1に記載のナノカーボンエミッタ。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のナノカーボンエミッタと蛍光体が形成されたアノード電極とが対向して設けられ、
    上記ナノカーボンエミッタと上記アノード電極との間隙が真空に保持されてなることを特徴とする、面発光素子。
  6. 基体上に導電層を形成する第1工程と、
    ダイヤモンド微粒子に直接または金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料が形成されてなるナノ炭素材料複合体を、上記導電層上に配置する第2工程と、を含むことを特徴とする、ナノカーボンエミッタの製造方法。
  7. 前記第一工程は、前記導電層として、導電性接着層を形成するか、第一の導電層上に接着性を有する第二の導電層を形成することを特徴とする、請求項6に記載のナノカーボンエミッタの製造方法。
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