JP2008053177A - ナノカーボンエミッタとその製造方法並びに面発光素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ナノカーボンエミッタ1は、基体2と、基体2上に設けられた導電層3と、ダイヤモンド微粒子5に直接または金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料6が形成されてなるナノ炭素材料複合体4を導電層3上に設けて構成される。導電層3は、接着性を有する。ダイヤモンド微粒子5は1μmより小さい粒径を有する。ナノ炭素材料6はカーボンナノファイバーであることが好ましい。
【選択図】図1
Description
このため、熱電子ではなく冷電子を利用できるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減させ、しかも、デバイス自体を小形化した平面型のディスプレイが求められ、更に近年では、そのような平面型ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現することも強く求められている。
また、本発明の第二の目的は、上記ナノカーボンエミッタを適用し、高輝度、高均一、高信頼性を有する面発光素子を提供することにある。
上記の構成において、ダイヤモンド微粒子は、好ましくは、1μmより小さい粒径を有する。ナノ炭素材料は、好ましくは、カーボンナノファイバーである。導電層は、好ましくは、導電性接着層であるか、又は第一の導電層と接着性を有する第二の導電層とからなる。
ダイヤモンド微粒子をナノダイヤモンド粒子で構成することで、ナノ炭素材料と同オーダーの粒径を持つため、ダイヤモンドとナノ炭素材料の結合を形成でき核として十分な機能を果たすと共に、核がナノサイズの微小粒子であるため、物性的にダイヤモンドの影響はなくナノ炭素材料の機能を最大限生かすことができる。
ナノ炭素材料をカーボンナノファイバーとすることにより、最も一般的なナノ炭素材料であるカーボンナノチューブと異なり、中空構造を持たず構造的に密であるため、より高性能かつ高信頼性の電子放出特性を得ることができる。
基体上に接着性のある導電層を設けることで、エミッタとなるナノ炭素材料複合体をペースト化せず、直接導電層上に固定することができる。これにより、ペースト化の際にエミッタとなるナノ炭素材料複合体に有機あるいは無機バインダーが介在や残留することなく、電子放出特性の劣化をまねくことを避けることができる。
以上の構成において、第一工程は、導電層として、導電性接着層を形成するか、第一の導電層上に接着性を有する第二の導電層を形成する。
本発明の面発光素子は、本発明のナノカーボンエミッタを搭載しているので、簡便な2極間構造においても、輝度が高く、かつ面内バラツキもない高品質の素子が得られる。
図1は、本発明のナノカーボンエミッタ1の構成を模式的に示す断面図である。
本発明のナノカーボンエミッタ1は、例えば0.1〜10(V・μm−1)の強電界により電子を放出する素子であり、基体2と、基体2上に形成された接着性を有する導電層3と、接着性を有する導電層3上に配設されたナノ炭素材料複合体4とからなる。即ち、ナノカーボンエミッタ1は、基体2上に形成された接着性導電層3上に、ナノ炭素材料複合体4を配して構成される。ここで、ナノ炭素材料複合体4は、ダイヤモンド微粒子5を核とし、核の周囲にナノ炭素材料6が形成されてなる。即ち、図1に示すように、核となるダイヤモンド微粒子5に直接ナノ炭素材料6が形成されてもよいし、ダイヤモンド微粒子5に金属または酸化物をはじめとする金属化合物を介してナノ炭素材料6が形成されても良い。
ダイヤモンド微粒子5は、粒径が1μmより小さいナノ粒子とすることで、ナノ炭素材料と同オーダーの粒径を持つため、ダイヤモンドとナノ炭素材料との結合を形成し核として十分機能を果たす。また核がナノサイズの微粒子であるため、物性的にもダイヤモンドの影響はなく、ナノ炭素材料の機能を最大限生かすことができる。即ち、粒径が1μmより小さいナノサイズのダイヤモンド微粒子5を用いることで、ナノ炭素材料複合体4の核として、より小さな容積で、効率的に機能することができる。なお、ダイヤモンド微粒子5としては、研磨用の市販されているダイヤモンドパウダーを用いてもよい。
導電層3は、電子を放出するナノ炭素材料複合体4に電子を供給するための電極層として作用する。導電層3は、金属などの金属薄膜や銀ペーストなどの厚膜を用いたり、表裏面に接着剤が塗布されたカーボンテープなどを用いることができる。導電層3としてカーボンテープを採用する場合には、導電層4は接着剤により形成された接着層3aとカーボン層3bと接着層3cとからなる。この接着性を有する導電層3は材料の選択の自由度が狭く、カーボンテープの接着剤には高分子材料が多いため抵抗が高いものが多い。
導電層3とナノ炭素材料複合体4との間に導電性接着層7を介在させている点で、図1とは異なる。ここで、導電層3が、ナノ炭素材料複合体4に対して電子を供給する電極として作用する点は図1に示す場合と同様であるが、図1に示す場合と異なり、基体2上に形成される導電層3と、この導電層3上に形成される導電性接着層7との二層構造とすることで、次のような利点がある。即ち、導電層3が導電性接着層7より低抵抗のもの、例えば金属で形成されることで、導電層3を低抵抗でかつパターンニング性に自由度をもたらすことができる。導電性接着層7としてはカーボンテープなどを挙げることができる。この場合、導電性接着層7は、接着剤により形成された接着層7aとカーボン層7bと接着層7cとからなる。
図2に示すナノカーボンエミッタ10の構成では、ナノ炭素材料複合体4が導電性接着層7に固着する。よって、図1と同様、有機バインダーや無機バインダーがナノ炭素材料複合体4間に介在したり残留したりしていないので、より良好な電子放出特性を得ることができる。
図4は、本発明のナノカーボンエミッタ10の製造方法を示す断面図である。
先ず、図4(a)に示す基体2上に、図4(b)に示すように第一の導電層としての導電層3を成膜する。
導電層3が薄膜の場合には、蒸着、スパッタ、イオンプレーティングなどの方法で基体2上に成膜する。その際、必要に応じてリソグラフィー法などを用いることにより所定形状にパターニングする工程を挿入してもよい。一方、導電層3が厚膜の場合には、印刷法などで基体2上に塗布する。所定のパターン形状となるよう同時に成形してもよい。
続いて、図4(b)に示す導電性接着層7上に、エミッタ材料となるナノ炭素材料複合体4を配置する(図4(c)参照)。このナノ炭素材料複合体4は、印刷法または転写法などにより、導電性接着層7上に塗布することができる。このとき、ナノ炭素材料複合体4は均一で分散性が良いため、印刷法や転写法などの方法で、面内均一性よく、導電層3上に塗布することができる。
また、塗布面となる導電性接着層7の上面は、接着性を有する。よって、ナノ炭素材料複合体4をペースト化して塗布する場合と異なり、下地に接着層となる導電性接着層7が存在することで、原料としてのエミッタ材料のみを塗布すればよい。これにより、例えば、ガラスフリットのような無機バインダーが介在せず、またエチルセルロースのような有機バインダーの残留物が全く存在しない電子放出部を形成することができる。
粒径が5〜30nmのダイヤモンド微粒子を担体として、それらに触媒成分としてのニッケルを金属として5wt%含む触媒0.1gを小型の固定床流通系反応管に充填し、触媒層を575℃で一定に保ち、原料ガスとしてメタンを20cm3/分の流速で60分間流して反応を行なった。反応終了後に生成物を回収した。回収した生成物を走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
図7から明らかなように、本実施例のナノカーボンエミッタの電子放出特性では、電界強度が約0.5(V・μm−1)で急に立ち上がっていることが分かる。
ナノカーボンエミッタの第一の導電層と透明電極との間に電圧を印加したところ、蛍光体が50×50mmで均一に発光した。
次に比較例を示す。
ナノ炭素材料として市販されているクラスター状のカーボンナノチューブを用い、ペースト化した。エチルセルロースをカルビトールに溶かし、ガラスフリットを加えて市販のカーボンナノチューブを入れて十分混練してペーストとした。また、ガラス基板上に接着性のない導電層としてクロム層をスパッタ法により100nm厚で成膜し、上記作製したペーストを塗布した後に、空気中で焼成して脱溶剤処理及び脱有機バインダー処理を行い、真空中で焼成してガラスフリットを溶融して、市販のカーボンナノチューブを固着させ、比較例としてのエミッタを作製した。この作製したエミッタの電子放出特性を、実施例と同様に求めた。測定条件などその他の条件は実施例と同様である。
2:基体
3,7:導電層
4:ナノ炭素材料複合体
5:ダイヤモンド微粒子
6:ナノ炭素材料
20:面発光素子
21:アノード電極
22:スペーサー
Claims (7)
- 基体と、該基体上に設けられた導電層と、ダイヤモンド微粒子に直接又は金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料が形成されてなるナノ炭素材料複合体と、を含み、
該ナノ炭素材料複合体が上記導電層上に設けられ、
強電界により電子を放出することを特徴とする、ナノカーボンエミッタ。 - 前記ダイヤモンド微粒子は1μmより小さい粒径を有することを特徴とする、請求項1に記載のナノカーボンエミッタ。
- 前記ナノ炭素材料はカーボンナノファイバーであることを特徴とする、請求項1に記載のナノカーボンエミッタ。
- 前記導電層は導電性接着層であるか又は第一の導電層と接着性を有する第二の導電層とからなることを特徴とする、請求項1に記載のナノカーボンエミッタ。
- 請求項1〜4の何れかに記載のナノカーボンエミッタと蛍光体が形成されたアノード電極とが対向して設けられ、
上記ナノカーボンエミッタと上記アノード電極との間隙が真空に保持されてなることを特徴とする、面発光素子。 - 基体上に導電層を形成する第1工程と、
ダイヤモンド微粒子に直接または金属若しくは金属化合物を介してナノ炭素材料が形成されてなるナノ炭素材料複合体を、上記導電層上に配置する第2工程と、を含むことを特徴とする、ナノカーボンエミッタの製造方法。 - 前記第一工程は、前記導電層として、導電性接着層を形成するか、第一の導電層上に接着性を有する第二の導電層を形成することを特徴とする、請求項6に記載のナノカーボンエミッタの製造方法。
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