JP5283030B2 - らせん状ナノ炭素材料複合体を用いた電子デバイス - Google Patents

らせん状ナノ炭素材料複合体を用いた電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、強度補強材料、電子放出素子材料、電池の電極材料、電磁波吸収材料、触媒材料、或いは、光学材料としての応用が期待されるナノ炭素材料に関し、特に、ダイヤモンド粒子を核に持つ、らせん状ナノ炭素材料複合体及びその製造方法に関する。
さらに、本発明は、強電界によって電子を放出する電界放射型の電子放出素子(フィールドエミッタ)に関する。より詳しくは、光プリンタ,電子顕微鏡,電子ビーム露光装置などの電子発生源や電子銃として、或いは照明ランプの超小型照明源として、さらには、平面ディスプレイを構成するアレイ状のフィールドエミッタアレイの面電子源などとして有用な電子放出素子や、さらには、この電子放出素子を電子源として用い、ディスプレイ、バックライト、照明などに利用される面発光素子などの電子デバイスに関する。
ナノ炭素材料は、炭素のsp2混成軌道で構成された、ナノメーター(nm)サイズの微細形状を有することから、従来の材料を凌駕する特性を有し、また従来の材料にはない特性を有しており、強度補強材料、電子放出素子材料、電池の電極材料、電磁波吸収材料、触媒材料或いは光学材料などの次世代の機能性材料としての応用が期待されている。
カーボンナノチューブ等のナノ炭素材料の合成方法としては、アーク放電法、レーザーアブレーション法、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法等が知られている(非特許文献1,2参照)。これらの方法のうち、アーク放電法、レーザーアブレーション法やプラズマ化学気相成長法は非平衡反応であるため、非晶質成分を生成しやすく、一般的に生成するカーボンナノチューブの収率が低く、また、生成したカーボンナノチューブの直径や種類が一様でないことが知られている。
一方、特許文献1及び2には、触媒を用いて炭化水素ガスを熱分解することによりカーボンナノチューブを製造する熱化学気相成長法が開示されている。熱化学気相成長法は、化学平衡反応を利用するため収率が比較的高いことが知られており、この方法では、超微粒の鉄やニッケルなどの触媒粒子を核として成長した炭素繊維が得られる。得られた炭素繊維は、炭素網層が同心状、中空状に成長したものもある。
しかしながら、この方法においても、触媒となる金属の粒径や化学状態を制御することが困難であり、ナノ炭素材料の構造を制御して合成することができない。このため、実用化の際に要求される、所望の構造の材料を作り分けて得ることはできず、結果的に収率が低下することは避けられなかった。
しかも、従来のナノ炭素材料では、合成したナノ炭素材料を使用形態に加工する際、例えば電池の電極の形状に加工する際には、黒鉛粒子や不定形炭素などのナノ炭素材料以外の炭素不純物を含んだ反応生成物中からナノ炭素材料を精製したり、基板上に成長したカーボンナノチューブを掻き落とすことで、必要な量のカーボンナノチューブを収集することが必要であるが、低コストで大量に、かつ所望の構造を持ったナノ炭素材料を使用した部材を製造することができなかった。
さらに、従来のナノ炭素材料は、個々は結晶性を持ち繊維状の形態をもつ材料は得られているが、例えばグラム単位でみた集合体は無秩序な集まりであって、かつ、密度が低いパウダー状あるいはクラスター状の固体である。このようなナノ炭素材料を実用的な材料として適用するために、ペースト化あるいは樹脂等の他材料と混合しても、無秩序で低密度の集合体であるため、均一な混合が容易ではなかった。
一方、電子ディスプレイデバイスとして陰極線管が広く用いられているが、陰極線管は、電子銃のカソードから熱電子を放出させるためにエネルギー消費量が大きく、また、構造的に大きな容積を必要とするなどの課題があった。このため、熱電子ではなく冷電子を利用できるようにして、全体としてエネルギー消費量を低減させ、しかも、デバイス自体を小形化した平面型のディスプレイが求められ、更に近年では、そのような平面型ディスプレイに高速応答性と高解像度とを実現することも強く求められている。
このような冷電子を利用する平面型ディスプレイの構造としては、高真空の平板セル中に、微小な電子放出素子をアレイ状に配したものが有望視されている。そのために使用する電子放出素子として、電界放射現象を利用した電界放射型の電子放出素子が注目されている。この電界放射型の電子放出素子は、物質に印加する電界の強度を上げると、その強度に応じて物質表面のエネルギー障壁の幅が次第に狭まり、電界強度が107V/cm以上の強電界となると、物質中の電子がトンネル効果によりそのエネルギー障壁を突破できるようになり、そのため物質から電子が放出されるという現象を利用している。この場合、電場がポアッソンの方程式に従うために、電子を放出する部材、即ちエミッタに電界が集中する部分を形成すると、比較的低い引き出し電圧で効率的に冷電子の放出を行うことができる(非特許文献3,4参照)。
上記のエミッタに対し、近年、エミッタ材料としてナノ炭素材料が注目されている。ナノ炭素材料の中で最も代表的なカーボンナノチューブは、炭素原子が規則的に配列したグラフェンシートを丸めた中空の円筒で成り、その外径はnmオーダーで、長さは通常0.5〜数10μmの非常にアスペクト比の高い微小な物質である。そのため、先端部分には電界が集中しやすく高い電子放出能が期待される。また、カーボンナノチューブは、化学的、物理的安定性が高いという特徴を有するため、動作真空中の残留ガスの吸着や反応が生じ難く、イオン衝撃や電子放出に伴う発熱に対して損傷を受け難い特性を有している。
カーボンナノチューブをエミッタとして利用する場合は、ペースト化し印刷法により基板上に塗布して用いられる場合が多い。例えば、特許文献3では、スクリーン印刷によるエミッタ形成法が開示されている。先ず、カソード電極を基板上に所定ピッチでストライプ状に形成し、さらにカーボンナノチューブを含んだペーストをスクリーン印刷によりカソード電極上に四角形や円形などの形状に孤立した形でカソード電極と同じピッチに形成する。次いで、カーボンナノチューブを含んだ樹脂層の間に絶縁層をスクリーン印刷し、その後大気雰囲気中で焼成する。これにより、カーボンナノチューブを含む樹脂層の樹脂成分が分解し、カーボンナノチューブが露出して電子放出部が形成される。最後に、グリッド電極を絶縁層上に形成してエミッタを作製する。
上述のようなエミッタの作製に用いるペーストは、一般的には、カーボンナノチューブに、溶剤、分散剤、接着剤としてのガラスフリット、フィラーなどを加え、これらの分布状態が均一になるように混合して分散を行なう。混合後に濾過を行ない、溶剤と樹脂とからなるビヒクル中に混ぜ込みペースト化する。このペーストをよく混合して分散状態を高めた後に濾過してカーボンナノチューブペーストとして完成する。そして上記プロセスで得られたカーボンナノチューブペーストを基板上に印刷し、乾燥及び焼成によりビヒクルを酸化分解させてカーボンナノチューブ膜が得られる。
特開2002−255519号公報 特開2002−285334号公報 特開2003−272517号公報 独立行政法人産業技術総合研究所 ナノカーボン研究センター編、「ナノカーボン材料」、丸善株式会社、平成16年5月25日発行、pp.187−191 独立行政法人産業技術総合研究所 ナノカーボン研究センター編、「ナノカーボン材料」、丸善株式会社、平成16年5月25日発行、pp.191−192 C. A. Spindt : J. Appl. Phys., 39, 3504 (1968) K. Betsui: Tech. Dig. IVMC., (1991) p.26
上述したように、従来のナノ炭素材料では、所望の構造を持ったナノ炭素材料を使用した部材を製造することができないという課題がある。
また、円錐形エミッタや半導体集積回路製造技術を応用したシリコンエミッタでは、いずれもエミッタ材料である金属、シリコンまたはそれらの化合物は表面に酸化物を形成するため、電子放出能が低く、電子放出部であるエミッタ部への電界集中が必要不可欠であった。そのため、それらのエミッタ材料表面から電子を放出させるためには、電子放出部の曲率半径をできるだけ小さくする必要があり、電子放出部となるエミッタに極微細加工を施し、電子放出部の先端形状を円錐形にして、その先端の曲率半径を数nm以下とすることが不可欠であった。
さらに、ディスプレイ用等の面電子源として利用するためには、上記のような極微細加工を施して得られる円錐形エミッタを多数作製しアレイ上に配置する必要がある。しかしながら、超精密加工を要するため、構造的欠陥が生じやすく、大面積に均一に作製することは容易ではなく、歩留まりが低下するうえ、欠陥検査等も不可欠となり製造コストが高くなるという課題がある。
また、従来のナノ炭素材料をエミッタ材料として使用するためには、黒鉛粒子や不定形炭素等のナノ炭素材料以外の炭素不純物を含んだ反応生成物中からナノ炭素材料を精製したり、または基板上に成長したカーボンナノチューブを掻き落とすことで、必要な量のカーボンナノチューブを収集することが必要であるため、低コストで大量に、かつ所望の構造を持ったナノ炭素材料を使用した部材を製造することができない。
しかも、従来のナノ炭素材料は、個々は結晶性を持ち、繊維状の形態をもつ材料は得られているが、例えばグラム単位でみた集合体は無秩序な集まりであり、かつ密度の低いパウダー状あるいはクラスター状の固体である。このようなナノ炭素材料をエミッタ材料として利用する際には、ナノ炭素材料を所望の構造に制御してかつ均一に作製することが困難であるため、ロット間でバラツキの少なく、かつ、面内均一性の高いエミッタを得ることができない。
本発明は上記課題に鑑み、各種の用途に適した構造をもつらせん状ナノ炭素材料複合体を用いた電子デバイス、例えば電子放出能及びその均一性と安定性に優れた電子放出素子やこの電子放出素子を適用し、高輝度、高均一、高信頼性を有する面発光素子を提供することを目的としている
本発明に用いるらせん状ナノ炭素材料複合体は、ダイヤモンド粒子と、このダイヤモンド粒子の表面に直接或いは金属又は金属化合物を介して形成されたらせん構造を有するナノ炭素材料と、からなることを特徴とする。ダイヤモンド粒子とらせん構造を有するナノ炭素材料を一体化した複合体とすることにより、ナノ炭素材料を集合体として扱うことが容易となり、ペースト化や他物質との混合の際、不均一となったり飛散したりすることが無くなり、プロセス適性が向上できる。また、ダイヤモンドは化学的に非常に安定な物質であるため、様々なプロセスにおいても高い耐性を持つことから、実用用途における特性に悪影響を及ぼすことはない。また、らせん構造を有するナノ炭素材料とすることで、最も一般的なナノ炭素材料であるカーボンナノチューブよりも単位体積あたりの表面積が増加すると共に、中空構造をもたず構造が密であるため、実用材料として適用した場合に、特に各種素子等の効率および信頼性の向上を図ることができる。
上記ダイヤモンド粒子の粒径を、1μmより小さいナノダイヤモンド粒子で構成することで、ナノ炭素材料と同オーダーの粒径を持つため、ダイヤモンドとナノ炭素材料の結合を形成でき、核として十分な機能を果たすと共に、核がナノサイズの微小粒子であるため、物性的にダイヤモンドの影響はなくナノ炭素材料の機能を最大限生かすことができる。
上記らせん構造を有するナノ炭素材料の太さは、1nmから100nmであることが好ましい。この場合、材料は適度な強度と表面積を得ることができ、また、らせん構造の成長速度が速くなり、収率も高くなる。
本発明に適したらせん状ナノ炭素材料複合体の製造方法は、表面が酸化されたダイヤモンド粒子の表面に遷移金属触媒を担持してダイヤモンド触媒粒子とし、ダイヤモンド触媒粒子を炭化水素からなる気相中でナノ炭素材料が合成される触媒反応温度に加熱し、ダイヤモンド触媒粒子表面にらせん構造を有するナノ炭素材料を成長させる。
上記構成によれば、熱化学気相成長法を用い、かつ、ダイヤモンド粒子を金属触媒の下地として用い、ダイヤモンド触媒粒子とするので、触媒の径を制御しかつ均一に作製することができ、これによりナノ炭素材料の径の制御が可能となる。
遷移金属触媒を、粒径1nmから100nmとして表面が酸化されたダイヤモンド粒子の表面に分散して担持することで、らせん構造をもつナノ炭素材料をより容易にかつ収率高く成長させることができる。
ダイヤモンド触媒粒子に遷移金属触媒を担持する際、溶媒として水とアセトンの混合溶液を用いれば好ましい。また、溶媒に浸漬後、400℃から500℃の範囲で焼成することが好ましい。これにより、触媒の分散を制御することができ、比較的大きな触媒粒径を得ることができる。
上記製造方法において、好ましくは、遷移金属触媒としてニッケル、コバルト、パラジウムの何れかを用い、炭化水素としてエチレン又はアセチレンを用い、ダイヤモンド触媒粒子の触媒反応温度を、400℃から700℃の範囲に設定すれば好適である。この構成により、らせん状ナノ炭素材料複合体を非常に再現性が高く、かつ、高収率で得ることができる。
上記目的を達成するために、本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体を用いて電子デバイスとし、例えば、電子放出素子として、基体と、基体上に設けられた導電層と、ダイヤモンド粒子の表面パラジウムを介してらせん構造を有するナノ炭素材料が形成されてなるらせん状ナノ炭素材料複合体と、を含み、らせん状ナノ炭素材料複合体が導電層上に設けられ、強電界により電子を放出させるように構成することができる。
上記構成によれば、電子放出素子材料を、ダイヤモンド粒子とらせん状ナノ炭素材料とを一体化した複合体としている。また、ダイヤモンド粒子を核として、粒状集合体が均一に形成されているため、電子放出特性、すなわち電子放出能ならびに均一性、信頼性が向上する。
ここで、ダイヤモンド粒子は、ナノ炭素材料を束ねる核として機能するが、ダイヤモンドは化学的に非常に安定な物質であるため、様々なプロセスにおいても高い耐性を持つことから、実用用途における特性に悪影響を及ぼすことはない。また、らせん構造を有するナノ炭素材料で構成されるため、最も一般的なナノ炭素材料であるカーボンナノチューブと異なり、中空構造を持たず構造的に密であるため、より高性能かつ高信頼性の電子放出特性を得ることができる。
上記構成において、導電層は、好ましくは、導電性接着層であるか又は第一の導電層と接着性を有する第二の導電層とからなる。
らせん構造を有するナノ炭素材料の直径は、好ましくは、1〜100nmである。
ダイヤモンド粒子は、好ましくは、らせん構造を有するナノ炭素材料と同オーダーの粒径を有している。
基体上に接着性のある導電層を設けることで、電子放出素子材料となるナノ炭素材料複合体をペースト化せず、直接導電層上に固定することができる。これにより、ペースト化の際にエミッタとなるナノ炭素材料複合体に有機あるいは無機バインダーが介在又は残留することなく、電子放出特性の劣化をまねくことを避けることができる。つまり、導電層上に導電性接着層を設けることでバインダーフリーとし、より高性能、高信頼性の電子放出素子を得ることができる。
さらに、本発明の電子デバイスは、面発光素子として、電子放出素子と蛍光体が形成されたアノード電極との間隙がスペーサを介して対向し、真空に保持されるように配置され、電子放出素子が、基体と、基体上に設けられた導電層と、ダイヤモンド粒子の表面パラジウムを介してらせん構造を有するナノ炭素材料が形成されてなるらせん状ナノ炭素材料複合体と、を含み、らせん状ナノ炭素材料複合体が導電層上に設けられ、強電界により電子を放出して蛍光体から面発光することを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、導電層は導電性接着層であるか又は第一の導電層と接
着性を有する第二の導電層とからなる。
らせん構造を有するナノ炭素材料の直径は、好ましくは、1〜100nmである。
ダイヤモンド粒子は、好ましくは、らせん構造を有するナノ炭素材料と同オーダーの粒径を有している。
本発明の電子デバイスでは、高性能、高歩留まりでかつロット間ならびに面内バラツキのない本発明の電子放出素子を用いることにより、対向側に蛍光体を配した、簡便な、いわゆる二極管の真空パネルを構成することによっても、輝度が高くかつ面内バラツキのない、高品質の面発光素子とすることができる。
本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体は、ダイヤモンド粒子とらせん状ナノ炭素材料が一体化しているため、集合体として扱いやすく、ペースト化したり他の材料と混合したりする際に不均一化や飛散を起こすことがなく、実用化プロセス適性に優れている。また、ダイヤモンドは化学的に安定で、他の材料と反応を起こすことがないため、実用物性に悪影響を及ぼすことがない。さらにらせん構造を有するため、機械的強度が高くかつ表面積が大きい。したがって、本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体を、構造材料、電子放出材料、電気二重層キャパシタ・電池、燃料電池、或いは、一般的な二次電池の電極材料として使用する際に、良好な実用物性ならびにプロセス適性を示し、製造コストの低減化が可能になる。
本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体の製造方法によれば、ダイヤモンド粒子上にらせん構造を有するナノ炭素材料が成長したらせん状ナノ炭素材料複合体を製造できる。このように、熱化学気相成長法で、かつ、ダイヤモンド粒子を金属触媒の下地として用いることで、触媒の径を制御しかつ均一に作製することができ、らせん状ナノ炭素材料の構造制御が可能となる。
本発明の電子デバイスとしての電子放出素子は、らせん状ナノ炭素材料複合体としてダイヤモンド粒子とらせん構造を有するナノ炭素材料とが一体化した複合体構造を持つ。この高純度で均一な組成のナノ炭素材料は制御性が高くかつ均一に合成できる材料であり、これを電子放出素子材料として適用することにより、高電子放出能でかつロット間でのバラツキならびに面内バラツキのない特性を持つ。また、らせん構造を持つため、機械的強度および電子物性的強度が高く、信頼性の高い素子を得ることができる。
本発明の電子デバイスとしての面発光素子は、本発明の電子放出素子を搭載しているので、簡便な二極間構造においても、輝度が高く、かつ面内バラツキがなく、信頼性の高い高品質の素子とすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。
最初に、本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体について説明する。
図1は本発明のナノ炭素材料複合体の構成を示す模式断面図である。図1に示すように、本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体1は、核となるダイヤモンド粒子2と、ダイヤモンド粒子2上に成長したらせん構造を有するナノ炭素材料3とからなるものである。図1では、らせん構造を有するナノ炭素材料3が直接ダイヤモンド粒子2上に存在する場合を示しているが、らせん構造を有するナノ炭素材料3が、金属あるいは酸化物をはじめとする金属化合物を介してダイヤモンド粒子2上に存在する場合もある。
ダイヤモンド粒子2として、粒径が1μmより小さいナノダイヤモンド粒子を用いることで、らせん構造を有するナノ炭素材料3の核として、より小さい容積で効率的に機能することが可能になる。この場合、ダイヤモンド粒子2の粒径が、らせん構造を有するナノ炭素材料3と同オーダーの粒径を持つため、ダイヤモンド粒子2とらせん構造を有するナノ炭素材料3の結合を形成できる。ダイヤモンド粒子2は核として十分な機能を果たすと共に、核がナノサイズの微小粒子であるため、物性的にダイヤモンドの影響を無くして、らせん構造を有するナノ炭素材料3の機能を最大限生かすことができる。
また、らせん構造を持つナノ炭素材料3の太さが1〜100nmである場合、結晶欠陥を少なくできるため、特に機械的、電子物性的強度の高い材料物性を得ることができる。らせん構造を持つナノ炭素材料3の長さの制限はないが、例えば、1μm〜10μmとすることができる。
次に、本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体21の製造方法について説明する。
図2は、本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体の製造工程を示し、(a)はダイヤモンド粒子22に遷移金属触媒を担持したダイヤモンド触媒粒子24を、(b)は製造されたらせん状ナノ炭素材料複合体21を、模式的に示す図である。
図2(a)に示すように、本発明に用いるダイヤモンド粒子22は工業的に研磨用として市販されているものでよく、高い比表面積を有するもので、望ましくは、10m2/g以上のものを用いることにより、特に良好な反応効率並びに均一性を得ることができる。ダイヤモンド粒子22は、粒径範囲により分別されたものが市販されているので、粒径1μmより小さいナノサイズの粒径範囲を選定すれば、ナノダイヤモンド粒子として利用することができる。
ダイヤモンド粒子22は、一度、350〜450℃において、酸素雰囲気下又は空気中で表面を酸化させた後に触媒担体として用いることが望ましい。
ダイヤモンド粒子22の表面を酸化した触媒担体に担持させる金属触媒としては、遷移金属触媒が挙げられる。この遷移金属触媒としては、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)等を用いることができ、何れも良好な活性を示す。
上記ダイヤモンド粒子22からなる触媒担体に金属触媒を担持する方法について説明する。
触媒担体へ金属触媒を担持するには、所定量の金属塩、例えばパラジウムアセテートなどに所定量のダイヤモンド粒子22を加え、その後で過剰の水を蒸発させ、乾燥後400〜500℃の空気気流中で焼成して金属塩の分解と酸化を起こさせ、金属塩を酸化物に転換する。焼成温度はこれより低いと十分に硝酸塩などの不純物を除去できず、活性を発現しないか又は活性が低下するので好ましくない。焼成温度は550℃程度まで上昇させることもできる。それ以上の高温は、ダイヤモンドの一部が燃焼により消失する恐れがあり望ましくない。
触媒成分の金属としてはパラジウムが比較的優れており、その含有量はダイヤモンド粒子22に対して金属として、0.5から5重量%の間が望ましく、これより担持量が少なくても多くてもらせん構造を有するナノ炭素材料23(図2(b)参照)の収率は低下する。
らせん状ナノ炭素材料複合体21を合成する反応としては、上記のように調製した触媒を担持したダイヤモンド粒子(以下、適宜にダイヤモンド触媒粒子24と称する。)を、所定量反応管に充填し触媒層とする。この反応管に不活性ガスを流し、不活性ガスを流しながら触媒反応温度となる所定温度まで昇温する。この温度は、例えば400〜700℃とすればよい。
次に、原料としての炭化水素気体、例えばエチレン又はアセチレンなどを400〜700℃に保持した触媒層上へ流して反応させる。この場合、炭化水素気体は不活性ガスに混合するか又は不活性ガスと切り替えて流すことができる。不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)などのガスを用いればよい。反応管の形式は特に限定されるものでなく、固定床流通系でも流動床反応器を用いてもよい。
触媒反応温度は、400〜700℃が好ましい。触媒反応温度が400℃以下では反応が進まない。逆に、触媒反応温度が700℃以上では触媒を担持したダイヤモンド触媒粒子24において、ダイヤモンド粒子22と触媒となる金属との反応が生起し、ダイヤモンド粒子22の内部への金属の溶解や、部分的に炭化物(カーバイド)などの化合物が生成することにより触媒活性が失われるので、好ましくない。
ダイヤモンド触媒粒子24に対するガスの流量は、空間速度として500cm3/g触媒・hから20000cm3/g触媒・hの範囲で操作するのが適当である。ここで、hは1時間である。
以下に示す実施例では小型の固定床流通系を用いているために、粉末である微粒子状の単体のダイヤモンド触媒粒子24を用いている。実際に工業化するために超微粒子を用いると固定床反応器内に圧力損失が生じる。これを回避するためには、反応に不活性なバインダーを用いてダイヤモンド触媒粒子24を粒状ないしはペレット状にしてもよい。
本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体21の製造方法によれば、ダイヤモンド粒子22上にらせん構造を有するナノ炭素材料23が成長したナノ炭素材料複合体21を製造することができる。このように、熱化学気相成長法で、かつ、ダイヤモンド粒子22を金属触媒の下地として用いることで、触媒の径を制御しかつ均一に作製することができ、ナノ炭素材料の構造制御が可能になる。
次に、本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体を用いた電子デバイスとしての電子放出素子について説明する。
図3は、本発明の電子放出素子31の構成を模式的に示す断面図である。本発明の電子放出素子31は、例えば0.1〜10V/μmの強電界により電子を放出する素子である。電子放出素子31は、基体32と、基体32上に形成された接着性を有する導電層33と、接着性を有する導電層33上に配設されたらせん状ナノ炭素材料複合体34とからなる。即ち、電子放出素子31は、基体32上に形成された接着性導電層33上に、らせん状ナノ炭素材料複合体34を配して構成される。
らせん状ナノ炭素材料複合体34は、ダイヤモンド粒子35を核とし、核の周囲にらせん状ナノ炭素材料36が形成されてなる。即ち、図3に示すように、核となるダイヤモンド粒子35に直接らせん構造を有するナノ炭素材料36が形成されてもよいし、ダイヤモンド粒子35に金属または酸化物をはじめとする金属化合物を介してらせん構造を有するナノ炭素材料36が形成されても良い。
本発明の電子放出素子31は、接着性を有する導電層33に電子放出部となるらせん構造を有するナノ炭素材料複合体34を直接固定していることで、従来のように、らせん状ナノ炭素材料複合体34をペースト化して塗布して固定した場合に残留する有機バインダーや介在する無機バインダーが電子放出素子31に存在せず、電子放出特性の劣化を避けることができる。
また、導電層33上には、ダイヤモンド粒子35を核として、同じオーダーの径を有する粒状集合体が均一に配置されることで、電子放出特性、即ち、電子放出能及び均一性、信頼性が向上する。ダイヤモンド粒子35は、らせん構造を有するナノ炭素材料36を束ねる核として機能するが、ダイヤモンドは化学的に非常に安定な物質であるため、実用用途における特性に悪影響を及ぼさない。
ダイヤモンド粒子35は、粒径が1μmより小さいナノ粒子とすることで、ナノ炭素材料と同じオーダーの粒径を持つため、ダイヤモンドとナノ炭素材料との結合を形成し核として十分機能を果たす。核がナノサイズの粒子であるため、物性的にもダイヤモンドの影響はなく、ナノ炭素材料の機能を最大限生かすことができる。即ち、粒径が1μmより小さいナノサイズのダイヤモンド粒子35を用いることで、らせん構造を有するナノ炭素材料複合体34の核として、より小さな容積で、効率的に機能させることができる。なお、ダイヤモンド粒子5としては、研磨用の市販されているダイヤモンドパウダーを用いてもよい。
らせん構造を有するナノ炭素材料36を用いて電子放出素子31を構成することにより、最も一般的なナノ炭素材料であるカーボンナノチューブとは異なり、中空構造を持たず構造的に密であるため、より劣化が少なく、より高性能かつ信頼性の高い電子放出特性を得ることができる。
基体32はどのような材料からなっていても良い。例えば、シリコン(Si)基板などの半導体基板、ガラス基板、セラミックス基板などが使用できる。基体32は、表面が熱酸化されたシリコン基板や薄膜を積層した基板であってもよい。
導電層33は、電子を放出するナノ炭素材料複合体34に電子を供給するための電極層として作用する。導電層33は、金属などの金属薄膜や銀ペーストなどの厚膜を用いたり、表裏面に接着剤が塗布されたカーボンテープなどを用いることができる。導電層33としてカーボンテープを採用する場合には、導電層33は接着剤により形成された接着層33aとカーボン層33bと接着層33cとからなる。この接着性を有する導電層33は材料の選択の自由度が狭く、カーボンテープの接着剤には高分子材料が多いため抵抗が高いものが多い。
図4は、本発明の電子デバイスとして電子放出素子41の変形例の構成を模式的に示す断面図である。
図4に示す電子放出素子41は、基体42と、基体42上に形成された導電層43と、導電層43上に設けた導電性接着層47と、導電性接着層47上に設けたらせん状ナノ炭素材料複合体44と、から構成されている。らせん状ナノ炭素材料複合体44は、導電性接着層47に固着されている。この電子放出素子41が、図3に示す電子放出素子31と異なるのは、導電層43とらせん状ナノ炭素材料複合体44との間に導電性接着層47を介在させている点である。
ここで、導電層43が、らせん状ナノ炭素材料複合体44に対して電子を供給する電極として作用する点は図3に示す電子放出素子31と同様であるが、図3に示す場合と異なり、基体42上に形成される導電層43と、この導電層43上に形成される導電性接着層47との二層構造とすることで、次のような利点がある。即ち、導電層43が導電性接着層47より低抵抗のもの、例えば金属で形成されることで、導電層43を低抵抗でかつパターンニング性に自由度をもたらすことができる。導電性接着層47としてはカーボンテープなどを挙げることができる。この場合、導電性接着層47は、接着剤により形成された接着層47aとカーボン層47bと接着層47cとからなる。
本発明の電子放出素子41の構成によれば、らせん状ナノ炭素材料複合体44が導電性接着層47に固着されている。よって、図3に示した電子放出素子31と同様、有機バインダーや無機バインダーがらせん状ナノ炭素材料複合体44間に介在したり残留したりしていないので、より良好な電子放出特性を得ることができる。
図5は本発明の電子デバイスとしての面発光素子50を模式的に示す図である。図5に示すように、本発明の面発光素子50は、本発明に係る電子放出素子51と蛍光体53が形成されたアノード電極52とを対向させ、電子放出素子51とアノード電極52との電極間隔を保つためのスペーサ54を介在させ、電子放出素子51とアノード電極52とスペーサ54とで囲まれた間隙が真空に保持されてなる。前述したように、電子放出素子51は、基体55上に形成された接着性を有する導電層56上にらせん状ナノ炭素材料複合体57を固着して構成されている。導電層56は、第一の導電層と第二の導電性接着層の二層構造からなる導電層でもよい。このため、アノード電極52は、らせん状ナノ炭素材料複合体57の上方に設けられている。蛍光体53は、アノード電極の真空側の面に被覆されている。
本発明の面発光素子50は、電子放出素子51の導電層56とアノード電極52との間に電圧を印加することで、強電界によりらせん状ナノ炭素材料複合体57のらせん構造を有するナノ炭素材料59から電子が放出され、この放出された電子が蛍光体53に衝突することで発光する。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1のらせん状ナノ炭素材料複合体21を合成した。具体的には、粒径が5〜30nmのナノダイヤモンド粒子22を担体として、それらに触媒成分としてのパラジウムを金属として5重量%含むようにしたダイヤモンド触媒微粒子24を以下のようにして合成した。
最初に、ダイヤモンド粒子22と金属塩としてのパラジウムアセテート(アルドリッチ製、99.9%)とを、水とアセトンからなる溶媒に入れて混合し、80℃で14時間乾燥して過剰の水を蒸発させ、乾燥後400℃の空気気流中で3時間焼成し、パラジウム塩を酸化物としてダイヤモンド触媒微粒子24を得た。
ダイヤモンド触媒微粒子24からなる触媒層0.1gを、小型の固定床流通系反応管に充填し、触媒層を600℃で一定に保ち、原料ガスとしてエチレン及びアルゴンからなる混合ガスを50cm3/分の流速で60分間流して反応を行った。混合ガス中のエチレン分圧は40%以上とした。なお、反応温度は650℃でもよく、反応時間を30分〜5時間とすることで反応生成物が得られた。
反応終了後、回収した生成物を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。図6は、実施例1で得た生成物の走査型電子顕微鏡像を示す図である。図6から明らかなように、生成物は、直径が20〜50nmのらせん構造を有するナノ炭素材料をもつらせん状ナノ炭素材料複合体21であることが分かった。
次に、らせん状ナノ炭素材料複合体21を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。図7は、実施例1で得たらせん状ナノ炭素材料複合体21の透過型電子顕微鏡像を示す図である。図7から明らかなように、生成したらせん状ナノ炭素材料複合体は、直径が80〜100nmの詰まった構造を有していることが分かった。
実施例1で合成したらせん状ナノ炭素材料複合体21を用いて、実施例2の電子放出素子41を作製した。
先ず、ガラス基板上に第一の導電層43としてのクロム層を、スパッタ法により厚さ100nmとなるように成膜し、続いて、接着性を有する第二の導電層47としてのカーボンテープを固着した。このカーボンテープ上に、上記実施例1で回収したらせん状ナノ炭素材料複合体21を直接固着して、電子放出素子41を完成させた。
作製した電子放出素子41を高真空チャンバー中に設置してエミッタ電極とし、このエミッタに対向するようにアノード電極を配置した。アノード電極は、ガラス基板上に設けた透明電極(ITO:インジウム・スズ・酸化膜)からなる。電子放出素子41の第一の導電層43と透明電極との間に電圧を印加し、その間に流れる電流を計測して、電子放出特性を測定した。なお、素子面積は3mm×3mmであり、エミッタ及びアノードとの間隔、つまり、電極間隔(ギャップ)は0.3mmとした。
(比較例)
次に、実施例1及び2に対する比較例を示す。
ナノ炭素材料として市販されているクラスター状のカーボンナノチューブを用い、ペースト化した。具体的には、エチルセルロースをカルビトールに溶かし、ガラスフリットを加え、さらに市販のカーボンナノチューブを入れて十分混練してペーストとした。また、ガラス基板上に接着性のない導電層としてクロム層をスパッタ法により100nm厚で成膜し、上記作製したペーストを塗布した後に、空気中で焼成して脱溶剤処理及び脱有機バインダー処理を行い、真空中で焼成してガラスフリットを溶融して、市販のカーボンナノチューブを固着させ、比較例としてのエミッタを作製した。
図8は実施例2及び比較例で作製した電子放出素子の電子放出特性を示す図である。図8において、横軸は電界強度(V/μm)、縦軸は電流密度(A/cm2)である。黒丸印(●)付の線が実施例2の結果であり、印のない線が比較例の結果である。
図8から明らかなように、実施例2のらせん状ナノ炭素材料複合体からなるエミッタの電子放出特性では、電界強度が約1.5V/μmで急に立ち上がっていることが分かる。一方、比較例のエミッタの電子放出特性は、電界強度が2V/μmで急に立ち上がっていることが分かる。
上記結果から、実施例2のエミッタは、比較例よりも低電界から電子放出が生起し、しかも電流密度も大きいことが分かった。
また、実施例2で作製した電子放出素子41を用い、スペーサ54を介在させて透明電極上に蛍光体を塗布したアノードを対向させて真空封止することで、実施例3の面発光素子50を作製した。電極間隔(ギャップ)は300μmとし、蛍光体は酸化亜鉛と亜鉛とからなる(ZnO:Zn)。電子放出素子41の第一の導電層43と透明電極との間に500Vの電圧を印加したところ、蛍光体が50mm×50mmのエリアで均一に発光することを確認した。
上記実施例1〜3では、触媒成分としてパラジウムを使用したが、ニッケル及びコバルトを触媒成分として使用しても同様に、らせん状ナノ炭素材料複合体を生成でき、同様に電子放出素子41を作製し、同様の電子放出特性を得た。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体は、分散性が高くかつ均一性がよいので、構造材料、電気二重層キャパシタ、燃料電池または一般的な二次電池の電極材料として、さらには、特にエミッタ材料として使用することができる。
本発明のらせん状ナノ炭素材料複合体の構成を示す模式断面図である。 本発明のナノ炭素材料複合体の製造方法において、(a)はダイヤモンド粒子を、(b)は製造されたナノ炭素材料複合体を模式的に示す図である。 本発明の電子放出素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の電子放出素子の変形例の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の面発光素子を模式的に示す断面図である。 実施例1で得た生成物の走査型電子顕微鏡像を示す図である。 実施例1で得たらせん状ナノ炭素材料複合体の透過型電子顕微鏡像を示す図である。 実施例2及び比較例で作製した電子放出素子の電子放出特性を示す図である。
符号の説明
1,21,34,44,57:らせん状ナノ炭素材料複合体
2,22,35,45,58:ダイヤモンド粒子
3,23,36,46,59:らせん構造を有したナノ炭素材料
24:ダイヤモンド触媒粒子
31,41,51:電子放出素子
32,42,55:基体
33,43,56:導電層
47:第二の導電層
50:面発光素子
52:アノード電極
53:蛍光体
54:スペーサ

Claims (8)

  1. 基体と、
    上記基体上に設けられた導電層と、
    ダイヤモンド粒子の表面パラジウムを介してらせん構造を有するナノ炭素材料が形成されてなるらせん状ナノ炭素材料複合体と、を含み、
    上記らせん状ナノ炭素材料複合体が上記導電層上に設けられ、強電界により電子を放出することを特徴とする、電子デバイス。
  2. 前記導電層は導電性接着層であるか又は第一の導電層と接着性を有する第二の導電層とからなることを特徴とする、請求項に記載の電子デバイス。
  3. 前記らせん構造を有するナノ炭素材料の直径は、1〜100nmであることを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス。
  4. 前記ダイヤモンド粒子は、前記らせん構造を有するナノ炭素材料と同オーダーの粒径を有していることを特徴とする、請求項1に記載の電子デバイス。
  5. 電子放出素子と蛍光体が形成されたアノード電極との間隙がスペーサを介して対向すると共に真空に保持されるように配置され、
    上記電子放出素子は、基体と、該基体上に設けられた導電層と、ダイヤモンド粒子の表面パラジウムを介してらせん構造を有するナノ炭素材料が形成されてなるらせん状ナノ炭素材料複合体と、を含み、
    上記らせん状ナノ炭素材料複合体が上記導電層上に設けられ、強電界により電子を放出して上記蛍光体から面発光することを特徴とする、電子デバイス。
  6. 前記導電層は導電性接着層であるか又は第一の導電層と接着性を有する第二の導電層とからなることを特徴とする、請求項に記載の電子デバイス。
  7. 前記らせん構造を有するナノ炭素材料の直径は、1〜100nmであることを特徴とする、請求項5に記載の電子デバイス。
  8. 前記ダイヤモンド粒子は、前記らせん構造を有するナノ炭素材料と同オーダーの粒径を有していることを特徴とする、請求項5に記載の電子デバイス。
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