JP2005108716A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御部における腐食、ショート等の発生を防止し、信頼性の向上した燃料電池を提供することにある。
【解決手段】燃料電池の筐体12は、第1領域および第2領域と、第1領域と第2領域とを仕切った隔壁42と、を有している。第1領域内に設けられた発電部7は、化学反応により発電を行う起電部52および燃料を収納した燃料タンクを有している。第2領域内には、制御回路基板30を有し発電部の動作を制御する制御部29が配設されている。
【選択図】 図3
【解決手段】燃料電池の筐体12は、第1領域および第2領域と、第1領域と第2領域とを仕切った隔壁42と、を有している。第1領域内に設けられた発電部7は、化学反応により発電を行う起電部52および燃料を収納した燃料タンクを有している。第2領域内には、制御回路基板30を有し発電部の動作を制御する制御部29が配設されている。
【選択図】 図3
Description
本発明は、電子機器等の電源として使用される燃料電池に関する。
現在、携帯可能なノート型のパーソナルコンピュータ、モバイル機器等の電子機器の電源としては、主に、リチウムイオンバッテリなどの二次電池が用いられている。近年、これら電子機器の高機能化に伴う消費電力の増加や更なる長時間使用の要請から、高出力で充電の必要のない小型燃料電池が新たな電源として期待されている。燃料電池には種々の形態があるが、特に、燃料としてメタノール溶液を使用するダイレクトメタノール方式の燃料電池(以下、DMFCと称する)は、水素を燃料とする燃料電池に比べて燃料の取扱いが容易で、システムが簡易であることから、電子機器の電源として注目されている。
通常、DMFCは筐体を備え、この筐体内には、実際に発電を行う発電部および発電部の動作を制御する制御回路部が設けられている。発電部は、高濃度のメタノールが収容された燃料タンク、燃料タンクのメタノールを水によって希釈する混合タンク、混合タンクで希釈されたメタノールを起電部に圧送する送液ポンプ、および起電部に空気を供給する送気ポンプ等を備えている。起電部はアノードおよびカソードを備え、アノード側に希釈されたメタノールを、カソード側に空気を供給することにより、化学反応によって発電を行う。その際、起電部は化学変化の反応熱により加熱され高温となる。
また、制御回路部は、筐体内に配設されたプリント回路基板、およびプリント回路基板上に実装された複数の半導体素子等を備えている。発電により発生した熱は、起電部表面、およびアノード流路、カソード流路から筐体内部に排熱される。また、筐体内部の空気は、筐体の内面部に設けられた冷却ファン、空気ブロワ等により換気される(例えば、特許文献1)。
特開平7−6777号公報
上述した燃料電池では、起電部内での化学反応により発電を行うが、その際、起電部は化学変化の反応熱により高温となる。そのため、燃料に含まれる水、メタノールの他、反応により発生した生成物を含んだ蒸気が発生し、その一部は筐体内部に排気される。この化学物質を含んだ蒸気は酸性であり、この蒸気が制御部に接触すると、制御回路における金属部分の腐食、あるいはショートの原因となる。このような制御回路の腐食あるいはショートが生じた場合、発電部を正常に制御することが困難となり、燃料電池の信頼性が低下する。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、制御部における腐食、ショート等の発生を防止し、信頼性の向上した燃料電池を提供することにある。
上記課題を達成するため、この発明の態様に係る燃料電池は、第1領域および第2領域と、前記第1領域と第2領域とを仕切った隔壁と、を有した筐体と、化学反応により発電を行う起電部および燃料を収納した燃料タンクを有し、前記筐体の第1領域内に配設された発電部と、制御回路基板を有し前記筐体の第2領域内に配設されているとともに前記発電部の動作を制御する制御部と、を備えている。
本発明によれば、制御部における腐食、ショート等の発生を防止し、信頼性の向上した燃料電池を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態に係る燃料電池について詳細に説明する。
図1ないし図3に示すように、燃料電池10は、メタノールを液体燃料としたDMFCとして構成され、また、電子機器、例えば、パーソナルコンピュータ11の電源として使用可能に構成されている。
図1ないし図3に示すように、燃料電池10は、メタノールを液体燃料としたDMFCとして構成され、また、電子機器、例えば、パーソナルコンピュータ11の電源として使用可能に構成されている。
燃料電池10は筐体12を備えている。この筐体12は、ほぼ角柱状に形成され水平に延びた本体14と、本体から延出した載置部16とを有している。載置部16は、平坦な矩形状に形成され、パーソナルコンピュータ11の後部を載置可能に形成されている。後述するように、筐体12の第1領域を規定した本体14内には、発電部を構成する燃料タンク、起電部、混合タンク等が配置されている。また、筐体12の第2領域を規定した載置部16内には、制御部29、およびパーソナルコンピュータ11を載置部上にロックするロック機構等が配置されている。
図1、図3ないし図6に示すように、本体14は、載置部16の底壁と一体の平坦な底壁18a、この底壁とほぼ平行に対向した天壁18b、底壁と天壁との間に位置した前壁18c、後壁18d、および一対の側壁18e有している。一対の側壁18eは、それぞれ外側に向かって凸となる曲面状に形成されている。前壁18cには多数の通気孔20が形成され、これら通気孔と対向する位置において、後壁18dには多数の通気孔21が形成されている。本体14の一方の側壁18eには多数の通気孔22が形成されている。底壁18の外面には複数の脚24が設けられている。本体14の天壁18bの前端部には、燃料電池10の動作状態を示す複数のインジケータ23が設けられている。
載置部16は、本体14の前壁18c下端部から前方へ延出した平坦な上壁26を備えている。上壁26は、底壁18aの前半部分と隙間を置いて対向しているとともに、本体14側から下方に向かって僅かに傾斜して延びている。上壁26は、パーソナルコンピュータ11が載置される載置面26aを構成している。
載置部16内には、発電部7の動作を制御する制御部29が設けられている。制御部29は、載置部16内に配設され上壁26とほぼ平行に延びた制御回路基板30を備えている。制御回路基板30上には、複数の半導体素子28、コネクタ32を含む複数の電子部品が実装されている。コネクタ32は、載置部16の中央で本体14に隣接して設けられ、上壁26を貫通し載置面26aから突出している。その他、制御部29は、後述するように、発電部を駆動する電源、ドライバ等を備えている。
載置部16内には前後方向に沿って移動可能なロック板34が配設されている。ロック機構を構成するロック板34には、複数、例えば3本のフック38が立設され、それぞれ上壁26を貫通し載置面26aから突出している。更に、載置部16内には、フック38とともにロック板34をロック解除位置へ移動させるイジェクトレバー36が配設されている。載置部16の一側縁部には、イジェクトレバー36を操作するためのイジェクトボタン40が設けられている。載置面26a上には、フック38に隣接して複数の位置決め突起41が形成されている。
図3および図4に示すように、制御部29が設けられている載置部16内部と、発電部7が配置されている本体14内部とは、底壁18a上に立設された隔壁42によって仕切られている。この隔壁42は、筐体12の長手方向全長に渡って延びている。隔壁42には、発電部7と制御部29とを電気的に接続するための複数の配線を通す切欠き43が形成されている。切欠き43の開口面積は、隔壁42全体の面積の約10%以下に形成されていることが望ましい。なお、切欠き43は、1つに限らず複数形成してもよい。ただし、この場合も、全切欠きの開口面積が隔壁42全体の面積の約10%以下に形成されていることが望ましい。
図2および図3に示すように、パーソナルコンピュータ11の後端部は、位置決め突起41により位置決めされた状態で載置部16の載置面26a上に載置される。パーソナルコンピュータ11は複数のフック38と係合し、載置位置にロックされる。また、パーソナルコンピュータ11の図示しないコネクタが載置部16のコネクタ32と機械的かつ電気的に接続される。これにより、燃料電池10とパーソナルコンピュータ11とが機械的かつ電気的に接続される。
図3、図5ないし図7に示すように、発電部7は、本体14内の一側部に設けられた燃料タンク50、本体内の中央部に設けられ化学反応により発電を行う起電部52、本体内の他側部に設けられた混合タンク54を備えている。燃料タンク50には、液体燃料として高濃度のメタノールが収容されている。この燃料タンク50は本体14に対して脱着自在なカートリッジとして形成されている。なお、本体14の一側部は、燃料タンク50の脱着時に取り外し可能なカバー51として形成されている。
燃料タンク50は図示しない燃料供給路を介して混合タンク54に接続され、この燃料供給路には、燃料タンクから混合タンクへ燃料を供給する第1送液ポンプ56が設けられている。図8に示すように、起電部52は複数のセルを積層して構成され、各セルは、アノード(燃料極)58aとカソード(空気極)58bとの間に電解質膜60を挟持して構成されている。起電部52の周囲には、多数の冷却フィン61が設けられている。
図3、図5ないし図7に示すように、本体14の内部には、エアバルブ62を介して起電部52のカソード58bに空気を供給する送気ポンプ64が設けられている。送気ポンプ64は空気供給部を構成している。起電部52と混合タンク54との間には燃料供給管66aおよび燃料回収管66bが接続され、互いに平行に延びている。燃料供給管66aおよび燃料回収管66bは、起電部52のアノード58aと混合タンク54との間で燃料を循環させるアノード流路を形成している。燃料供給管66aには、混合タンク54から起電部52へ燃料を供給する第2送液ポンプ68が接続されている。燃料回収管66bには、起電部52から排出された燃料と、化学反応により生成された二酸化炭素とを分離する気液分離器65が設けられている。また、燃料供給管66aおよび燃料回収管66bの周囲にはそれぞれ鉛直方向に延びた多数の放熱フィン69が取り付けられ、第1放熱部70を構成している。なお、本体14の後壁18dに形成された通気孔21は、第1放熱部70と対向して設けられている。
起電部52には排出管72が接続され、カソード58bから発電により生じた生成物および空気を排出するカソード流路を形成している。カソード流路は、起電部52から延出した第1流路72aと、第1流路から複数に分岐しているとともにそれぞれ水平方向に対し傾斜して延びた複数の分岐流路72bと、第1流路および各分岐流路の下端に連通し第1流路から排出された水および分岐路で凝縮した水を貯溜する貯溜部72cと、貯溜部内に貯溜された水を混合タンク54に導く回収流路72dと、分岐流路の上端に連通した第2流路72eを有している。本実施形態において、複数の分岐流路72bはそれぞれ鉛直方向に沿って延びている。
回収流路72dには、貯溜部72c内の水を混合タンク54に供給する回収ポンプ76が設けられている。また、貯溜部72c内には、この貯溜部内に溜まった水の水位を検出する水位検知器77が設けられている。
複数の分岐流路72bを形成している排出管72の周囲にはそれぞれ水平方向に延びた多数の放熱フィン74が取り付けられ、第2放熱部75を構成している。複数の分岐流路72bを含む第2放熱部75は、第1放熱部70と隙間を置いてほぼ平行に対向配置されている。第2流路72eはほぼ水平に延びているとともに、本体14の通気孔22の近傍で、かつ、通気孔22に向かって開口した排気口78を備えている。第2流路72eにおいて、排気口78の近傍には排気バルブ80が設けられている。なお、第2流路72eには、気液分離器65で分離された二酸化炭素を第2流路72eに導くガス排出管81が設けられている。本体14の前壁18cに形成された通気孔20は、第2放熱部75と対向して設けられている。
第1放熱部70と第2放熱部75との間には、遠心ファンからなる冷却ファン82が設けられ、第1放熱部および第2放熱部と対向している。冷却ファン82は、羽根の回転軸がほぼ水平に、かつ、第1放熱部70および第2放熱部75と直交するように配置されている。冷却ファン82は羽根を覆ったファンケースを有している。ファンケースには、図9に示すように、第1放熱部70に対向した吸気口84、第2放熱部75に対向した他の吸気口84、および羽根の回転方向に対して接線方向に向かって開口した2つの排気口86a、86bが形成されている。一方の排気口86aは本体14の通気孔22に向かって開口し、また、他方の排気口86bは起電部52に向かって開口している。
その他、発電部7は、混合タンク54に接続されたタンクバルブ87、混合タンク54内に収容された燃料の濃度を検出する濃度センサ88、この濃度センサを通して混合タンク内の燃料を循環させる濃度検出ポンプ85を備えている。
図10に示すように、載置部16内に配設された制御部29の制御回路は、CPU90に接続されたドライバ91、ドライバに接続された送気ポンプ電源92および補機用電源94を備えている。コネクタ32はインターフェース95を介してCPU90に接続されているとともに、メイン電源96に接続されている。
図10に示すように、載置部16内に配設された制御部29の制御回路は、CPU90に接続されたドライバ91、ドライバに接続された送気ポンプ電源92および補機用電源94を備えている。コネクタ32はインターフェース95を介してCPU90に接続されているとともに、メイン電源96に接続されている。
本体14内に配設され発電部7を構成している第1および第2送液ポンプ56、68、回収ポンプ76、濃度検出ポンプ85は、それぞれ配線56a、68a、76a、85aにより制御回路基板30に接続され、この制御回路基板を介してドライバ91に電気的に接続されている。送気ポンプ64は、配線64aを介して制御回路基板30に電気的に接続され、この制御回路基板を介して送気ポンプ電源92に接続されている。冷却ファン82は、配線82aを介して制御回路基板30に電気的に接続され、更に、ドライバ91に接続されている。水位検知器77および濃度センサ88は、それぞれ配線77a、88aを介して制御回路基板30に接続され、インターフェース98を介してCPU90にそれぞれ検知信号を制御回路基板に出力する。また、イジェクトレバー36の移動を検知するイジェクトセンサ97がインターフェース98を介してCPU90に接続されている。
起電部52は、配線52aを介してメイン電源96に接続され、発生した電力をメイン電源96およびコネクタ32を介して供給する。エアバルブ63、排気バルブ80、タンクバルブ87はそれぞれ電磁弁で構成され、それぞれ配線63a、80a、87aを介して制御回路基板30に電気的に接続され、ドライバ91に接続されている。
発電部7と制御部29とを接続した上記複数の配線は、隔壁42に形成された切欠き43を通して、本体14内から載置部16内へ引き回されている。
発電部7と制御部29とを接続した上記複数の配線は、隔壁42に形成された切欠き43を通して、本体14内から載置部16内へ引き回されている。
上記構成の燃料電池10をパーソナルコンピュータ11の電源として用いる場合、まず、パーソナルコンピュータの後端部を燃料電池の載置部16に載置し、所定位置にロックするとともにコネクタ32を介して燃料電池と機械的かつ電気的に接続する。この状態で燃料電池10の発電を開始する。この場合、制御部29による制御の下、第1送液ポンプ56により燃料タンク50から混合タンク54にメタノールが供給され、起電部52から還流する溶媒としての水により所定の濃度に希釈される。混合タンク54内で希釈されたメタノールは、第2送液ポンプ68により、アノード流路を通して起電部52のアノード58aに供給される。一方、起電部52のカソード58bには送気ポンプ64により空気が供給される。図8で示したように、供給されたメタノールおよび空気は、アノード58aとカソード58bとの間に設けられた電解質膜60で化学反応し、これにより、アノード58aとカソード58bとの間に電力が発生する。起電部52で発生した電力は、制御回路基板30、メイン電源96、コネクタ32を介してパーソナルコンピュータ11に供給される。
発電反応に伴い、起電部52には反応生成物として、アノード58a側に二酸化炭素、カソード58b側に水が生成される。アノード58a側に生じた二酸化炭素およびメタノールは気液分離器65に送られ、ここで気液分離された後、二酸化炭素はガス排出管81を介してカソード流路へ送られる。また、メタノールはアノード流路を介して混合タンク54へ戻される。
図7および図9に示すように、カソード58b側に生じた水は、その大部分が水蒸気となり空気とともにカソード流路に排出される。排出された水および水蒸気は、第1流路72aを通り、水は貯溜部72cに送られる。また、水蒸気および空気は、分岐流路72bを通り第2流路72eまで上方に向かって流れる。この際、各分岐流路72bを流れる水蒸気は第2放熱部75によって冷却されて凝縮する。凝縮により生じた水は、重力により分岐流路72b内を下方に流れ、貯溜部72cに回収される。貯溜部72c内に回収された水は、回収ポンプ76により混合タンク54へ送られ、メタノールと混合された後、再び起電部52へ供給される。
第2流路72eに送られた空気および水蒸気の一部は、排気バルブ80を通り、排気口78から本体14内に排気され、更に、本体の通気孔22を通して外部に排気される。なお、起電部52のアノード58a側から排出された二酸化炭素は、第2流路72eを通り、排気口78から本体14内に排気され、更に、本体の通気孔22を通して外部に排気される。
また、燃料電池10の動作中、冷却ファン82が駆動され、本体14に形成された通気孔20および通気孔21を通して外気が本体14内に導入される。図7および図9に示すように、通気孔21を通して本体14内に導入された外気および本体14内の空気は、第1放熱部70の周囲を通ってこれを冷却した後、冷却ファン82の吸気口84を通してファンケース内に吸気される。従って、アノード流路を流れるメタノールが冷却され、起電部52の加熱温度が下げられる。通気孔20を通して本体14内に導入された外気および本体14内の空気は、第2放熱部75の周囲を通りこれを冷却した後、冷却ファン82の他方の吸気口を通してファンケース内に吸気される。これにより、カソード流路を流れる空気および反応生成物が冷却される。
ファンケース内に吸気された空気は、排気口86a、86bから本体14内に排気される。排気口86aから排気された空気は、混合タンク54の周囲を通りこれを冷却した後、本体14の通気孔22から外部に排気される。その際、排気口86aから排気された空気は、カソード流路の排気口78からの排気された空気、水蒸気、二酸化炭素と混ざり合い、一緒に通気孔22から本体外部に排気される。また、他方の排気口86aから排気された空気は、起電部52およびその周囲を冷却した後、本体14の外部に排気される。
混合タンク54内におけるメタノールの濃度は濃度センサ88によって検出される。制御部29は、検出された濃度に応じて回収ポンプ76を作動させ、貯溜部72c内の水を混合タンク54に供給することにより、メタノールの濃度を一定に維持する。また、カソード流路内における水の回収量、つまり、水蒸気の凝縮量は、貯溜部72cに回収された水の水位に応じて、第2放熱部75の冷却能力を制御することにより調整される。ここでは、水位検知器77により検出された水位の応じて冷却ファン82の駆動電圧を制御することにより、第2放熱部75の冷却能力を調整し、水の回収量を制御している。また、制御部29は、貯溜部72cに回収された水の水位に応じて回収ポンプ76のポンプ流量を制御し、貯溜部72c内の水量を所定の範囲内に維持する。
以上のように構成された燃料電池10によれば、発電部7が設けられている筐体12の本体14内部と、制御部29が設けられている載置部16内部とは、隔壁42により仕切られている。そのため、蒸発した燃料や水蒸気を含む湿った空気が本体内に排気された場合でも、隔壁42によりこの空気が載置部16内に侵入することが防止される。隔壁42には、配線を挿通するための切欠き43が形成されているが、その開口面積は、隔壁全体の面積に対して約10%以下に形成されている。そのため、切欠き43を通って載置部16内に侵入する空気を最小限に抑えることができる。以上のことから、蒸発した燃料や水蒸気が制御回路基板30や半導体素子等に接触することがなく、制御回路の腐食あるいはショートの発生を防止することができる。これにより、制御部29の誤動作や故障を抑制し、信頼性の高い燃料電池が得られる。
また、燃料電池10によれば、第1および第2放熱部70、75、並びに冷却ファン82により、カソードの排気温度を上げて水の蒸発を低減することよって、水を効率良く回収し、発電反応に再利用することができる。そのため、水不足の問題を解消し、所望濃度の燃料を起電部52に供給することができる。同時に、アノード流路を冷却することにより、起電部52の加熱温度を下げることができ、その結果、カソードの排気温度を一層効率良く下げることができる。従って、長期間に亘り安定した発電が可能な燃料電池が得られる。
更に、本実施形態によれば、冷却ファン82からの排気は、カソード流路からの排気と混合して本体14の外部に排出される。カソード流路からの排出空気は多少湿気を含んでいるため、本体14の通気孔22周辺に水滴を生じる可能性があるが、上記のように冷却ファン82からの排出空気と混合することにより、湿度を低減し水滴の発生を防止することができる。これにより、水滴により生じる不具合の発生を未然に防止し、信頼性の高い燃料電池が得られる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
前述した実施形態によれば、発電部は、燃料タンク50、起電部52、第1放熱部70および第2放熱部75、混合タンク54を順番に並べて配置した構成としたが、これらの配置は必要に応じて種々変更可能である。この発明に係る燃料電池は、上述したパーソナルコンピュータに限らず、モバイル機器、携帯端末等の他の電子機器の電源としても使用可能である。燃料電池の形式としは、DMFCに限らず、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)等の他の形式としてもよい。また、冷却ファンは、遠心ファンに限らず、軸流ファンを用いてもよい。
10…燃料電池、 11…パーソナルコンピュータ、 12…筐体、
14…本体、 16…載置部、 32…コネクタ、42…隔壁、
43…切欠き、 50…燃料タンク、 52…起電部、 54…混合タンク、
66a…燃料供給管、 66b…燃料回収管、 70…第1放熱部、 72…排出管、
82…冷却ファン
14…本体、 16…載置部、 32…コネクタ、42…隔壁、
43…切欠き、 50…燃料タンク、 52…起電部、 54…混合タンク、
66a…燃料供給管、 66b…燃料回収管、 70…第1放熱部、 72…排出管、
82…冷却ファン
Claims (5)
- 第1領域および第2領域と、前記第1領域と第2領域とを仕切った隔壁と、を有した筐体と、
化学反応により発電を行う起電部を有し、前記筐体の第1領域内に配設された発電部と、
前記筐体の第2領域内に配設された制御回路基板を有し、前記発電部の動作を制御する制御部と、を備えた燃料電池。 - 前記発電部と制御部とを接続した配線を備え、前記隔壁は前記配線が挿通された切欠きを有し、前記切欠きの開口面積は、前記隔壁全体の面積の10%以下に形成されている請求項1に記載の燃料電池。
- 前記発電部は、前記燃料タンクから供給された燃料と水とを混合する混合タンクと、前記起電部と混合タンクとの間で燃料を循環させる送液ポンプと、前記起電部に空気を供給する送気ポンプと、冷却ファンと、を備え、前記制御部は、前記制御回路基板上に実装された複数の電子部品および電源を備え、前記配線は、ポンプ用配線、冷却ファン用配線、電源配線を含んでいる請求項2に記載の燃料電池。
- 前記筐体は、前記第1領域を構成した本体と、前記本体から延出し前記第2領域を構成しているとともに電子機器を載置可能な載置部を備えている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料電池。
- 前記制御部は、前記制御回路基板上に実装され前記載置部から外方に突出しているとともに前記電子機器に接続可能なコネクタを備えている請求項4に記載の燃料電池。
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