JP2007234361A - 燃料電池装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】起電部を効率良く、かつ、発電能力を損なうことなく冷却し、安定した運転が可能な安定した発電が可能な燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池装置は、アノードおよびカソードを有した単セル34を積層したセルスタック53を有し、化学反応により発電する起電部52と、セルスタックで生成され水分を含む生成物を排出する排出部と、放熱部材46と、を具備している。放熱部材は、セルスタックに熱的に接続された接続部46aと、セルスタックから離間して位置しているとともに排出部から排出された生成物に接触可能に設けられた接触部46bと、を有している。
【選択図】図5
【解決手段】燃料電池装置は、アノードおよびカソードを有した単セル34を積層したセルスタック53を有し、化学反応により発電する起電部52と、セルスタックで生成され水分を含む生成物を排出する排出部と、放熱部材46と、を具備している。放熱部材は、セルスタックに熱的に接続された接続部46aと、セルスタックから離間して位置しているとともに排出部から排出された生成物に接触可能に設けられた接触部46bと、を有している。
【選択図】図5
Description
本発明は、電子機器等の電源として使用される燃料電池装置に関する。
現在、携帯可能なノート型のパーソナルコンピュータ(以下、ノートPCと称する)、モバイル機器等の電子機器の電源としては、主に、リチウムイオンバッテリなどの二次電池が用いられている。近年、これら電子機器の高機能化に伴う消費電力の増加や更なる長時間使用の要請から、高出力で充電の必要のない小型燃料電池が新たな電源として期待されている。燃料電池には種々の形態があるが、特に、燃料としてメタノール溶液を使用するダイレクトメタノール方式の燃料電池(以下、DMFCと称する)は、水素を燃料とする燃料電池に比べて燃料の取扱いが容易で、システムが簡易であることから、電子機器の電源として注目されている。
通常、DMFCは、高濃度のメタノールが収容された燃料タンク、燃料タンクのメタノールを水によって希釈する混合タンク、希釈されたメタノールを起電部に圧送する送液ポンプ、および起電部に空気を供給する送気ポンプ等が設けられている。起電部はそれぞれアノードおよびカソードを有した複数のセルを備え、アノード側に希釈されたメタノールを、カソード側に空気を供給することにより、化学反応によって発電を行う。発電に伴う反応生成物として、起電部のアノード側に炭酸ガスが、カソード側に水が発生する。反応生成物である水は蒸気となって排気される。起電部のカソード側からの排気はカソード流路を通って冷却器に送られ、ここで冷却され水分を凝縮させる。得られた水は回収され、メタノールの希釈に用いられる。
DMFCの安定した運転を行うためには温度管理が重要であり、主な熱源である起電部からの排熱の処理能力が大きく運転制御に影響してくる。このため、スタック自体での放熱、また、燃料である循環液に熱交換させて別ユニットとして搭載しているフィンで放熱を行うなどの冷却方法を取っていることが多い。冷却処理には主に被冷却体と周囲との温度差を利用し、フィンにファンなどで送風する方式が代表的となっている。あるいは、起電部の熱をDMFCの筐体や燃料タンクに逃がすことで、起電部を冷却する方式が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2004−31096号公報
前述したように、DMFCの安定した運転を行うためには温度管理が重要であり、主な熱源である起電部を効率良く、かつ、起電部の発電能力を損なうことなく冷却することが望まれている。
そこで、本発明の目的は、起電部を効率良く、かつ、発電能力を損なうことなく冷却し、安定した運転が可能な安定した発電が可能な燃料電池を提供することにある。
上記課題を達成するため、この発明の態様に係る燃料電池は、アノードおよびカソードを有した単セルを積層したセルスタックを有し、化学反応により発電する起電部と、前記セルスタックで生成され水分を含む生成物を排出する排出部と、前記セルスタックに熱的に接続された接続部と、前記セルスタックから離間して位置しているとともに前記排出部から排出された生成物に接触可能に設けられた接触部と、を有した放熱部材と、を備えている。
上記構成によれば、放熱部材によりセルスタックの熱を放熱し、セルスタックを冷却するとともに、運転時に起電部で生成された水の内、排液として処理される水分を放熱部材の接触部で蒸発させ、その時に発生する蒸発潜熱により起電部から熱を奪うことで、セルスタックを冷却する。起電部を効率良く、かつ、発電能力を損なうことなく冷却し、安定した運転が可能な安定した発電が可能な燃料電池装置を提供することができる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態に係る燃料電池装置について詳細に説明する。
図1および図2に示すように、燃料電池装置10は、メタノールを液体燃料としたDMFCとして構成され、電子機器、例えば、パーソナルコンピュータ11の電源として使用可能に構成されている。
図1および図2に示すように、燃料電池装置10は、メタノールを液体燃料としたDMFCとして構成され、電子機器、例えば、パーソナルコンピュータ11の電源として使用可能に構成されている。
燃料電池装置10は筐体12を備えている。この筐体12は、ほぼ角柱状に形成され水平に延びた本体14と、本体から延出した載置部16とを有している。載置部16は、平坦な矩形状に形成され、パーソナルコンピュータ11の後部を載置可能に形成されている。後述するように、本体14内には、発電部を構成する燃料タンク、起電部、混合タンク等が配置されている。載置部16には、パーソナルコンピュータ11をロックするロック機構等が配置されている。
載置部16の上面には、パーソナルコンピュータ11と接続するためのコネクタ32が設けられている。パーソナルコンピュータ11の例えば底面後部には、燃料電池装置10側のコネクタ32と接続するための図示しないコネクタが設けられ、コネクタ32と機械的、電気的に接続される。載置部16の三箇所には、ロック機構を構成する位置決め突起41およびフック38が設けられている。これらの位置きめ突起41およびフック38は、パーソナルコンピュータ11の底面後部と係合し、載置部16に対してパーソナルコンピュータ11を位置決め、保持する。また、載置部16には、パーソナルコンピュータ11を燃料電池装置10から取り外す際、ロック機構のロックを解除するイジェクトボタン40が設けられている。載置部16内には、後述する発電部の動作を制御する制御部が設けられている。
図1に示すように、本体14の壁部には多数の通気孔20および後述する排気孔21が形成されている。本体14の前端部には、燃料電池の動作状態を示す複数の図示しないインジケータが設けられている。後述するように、発電部を構成する燃料タンクは脱着自在な燃料カートリッジとして構成されている。本体14の一側部は、燃料タンクの脱着時に取り外し可能なカバー51として形成されている。
次に、発電部の構成について詳細に説明する。図4は、発電部の系統図を示したものであり、特にセルスタックにより構成された起電部52とその周辺に設けられた補機について細部の系統を示している。図3、図4、および図5に示すように、発電部は、本体14内の一側部に設けられた燃料タンク50、本体内の中央部に設けられ化学反応により発電を行う起電部52、燃料タンクと起電部との間に設けられた混合タンク54を備えている。燃料タンク50には、液体燃料として高濃度のメタノールが収容されている。この燃料タンク50は本体14に対して脱着自在なカートリッジとして形成されている。
燃料タンク50は燃料供給路18を介して混合タンク54に接続され、この燃料供給路には、燃料タンクから混合タンクへ燃料を供給する第1送液ポンプ56、電磁弁63が設けられている。燃料タンク50、混合タンク54、第1送液ポンプ56は、起電部52へ燃料を供給する燃料供給部を構成している。
図5に示すように、起電部52はセルスタック37を備えている。セルスタック37は、板状の複数の単セル35と板状の複数のセパレータ36とを交互に積層して構成され、各単セルは2つのセパレータ間に挟持されている。図6に示すように、各単セル35は、アノード(燃料極)58aとカソード(空気極)58bとの間に高分子電解質膜60を挟持して構成されている。セパレータ36には、アノード58aに燃料を供給する燃料流路およびカソード58bに酸化剤としての空気を供給する空気流路が形成されている。図5に示すように、セルスタック37の周囲は、例えば、カーボン層43によって覆われている。更に、セルスタック37の底部を除いて、カーボン層43の周囲は断熱層45によって覆われている。
図3ないし図5に示すように、本体14の内部には、エアバルブ62を介して起電部52のカソード58bに空気を供給する送気ポンプ64が設けられている。送気ポンプ64は酸化剤供給部を構成している。起電部52と混合タンク54との間には燃料供給管66aおよび燃料回収管66bが接続され、起電部のアノード58aと混合タンク54との間で燃料を循環させるアノード流路を形成している。燃料供給管66aには、フィルタ24、混合タンク54から起電部52へ燃料を供給する第2送液ポンプ68、イオンフィルタ25、逆止弁27が接続されている。燃料回収管66bの周囲にはそれぞれ鉛直方向に延びた図示しない多数の放熱フィンが取り付けられ、アノード冷却器70を構成している。本体14の前壁に形成された通気孔20(図1参照)は、アノード冷却器70と対向して設けられている。
起電部52には排出管72が接続され、カソード58bから発電により生じた生成物および空気を排出するカソード流路を形成している。カソード流路は、起電部52から延出した第1流路72aと、第1流路から複数に分岐しているとともにそれぞれ水平方向に対し傾斜して延びた複数の分岐流路72bと、第1流路および各分岐流路の下端に連通し第1流路から排出された水および分岐路で凝縮した水を貯溜する貯溜部(水回収タンク)72cと、貯溜部内に貯溜された水を混合タンク54に導く第1回収流路72dと、分岐流路の上端に連通した第2流路72eと、を有している。本実施形態において、複数の分岐流路72bはそれぞれ鉛直方向に沿って延びている。第1回収流路72dは、アノード冷却器70と混合タンク54との間で燃料回収管66bに連通し、この燃料回収管66bを介して混合タンクに接続されている。
第1回収流路72dには、貯溜部72c内の水を混合タンク54に供給する水回収ポンプ76が設けられている。貯溜部72c内には、この貯溜部内に溜まった水の水位を検出する水位センサ77が設けられている。
複数の分岐流路72bを形成している排出管72の周囲にはそれぞれ水平方向に延びた多数の放熱フィン74が取り付けられカソード冷却器75を構成している。複数の分岐流路72bを含むカソード冷却器75は、アノード冷却器70と隙間を置いて対向配置されている。第2流路72eはほぼ水平に延びているとともに、本体14の排気孔21に向かって開口した排気口78を備えている。本体14の後壁には、カソード冷却器75と対向して図示しない通気孔が設けられている。
第2流路72eにおいて、排気口78の近傍には排気フィルタ80および排気バルブ81が設けられている。排気フィルタ80は、例えば、金属触媒等により構成され、カソード流路を通して排気される空気中に含まれるメタノール等の有害物質を除去する。排気フィルタ80の鉛直方向の下方には、水回収部28が設けられ、第2流路72eに連通している。また、カソード流路は、水回収部28内に回収された水を第1回収流路72dに導く第2回収流路72fを有している。この第2回収流路72fは、水回収ポンプ76と混合タンク54との間で第1回収流路72dに接続されている。
水回収ポンプ76と混合タンク54との間で第1回収流路72dには、混合タンク54から水回収ポンプ76側への水の逆流を規制する逆止弁42が設けられている。この逆止弁42と水回収部28との間で第2回収流路72fには、水回収ポンプ76から水回収部28側への水の逆流を規制する逆止弁44が設けられている。発電部は、混合タンク54内に収容された燃料の濃度を検出する濃度センサ88、この濃度センサに送られる燃料を冷却する濃度センサ冷却器87を備えている。
図3ないし図5に示すように、本体14内において、アノード冷却器70とカソード冷却器75との間には、遠心ファンからなる冷却ファン82が設けられ、アノード冷却器およびカソード冷却器と対向している。冷却ファン82は、羽根の回転軸がほぼ水平に、かつ、アノード冷却器70およびカソード冷却器75と直交するように配置されている。図5から良く分かるように、冷却ファン82は羽根を覆ったケースを有し、このケースには、アノード冷却器70およびカソード冷却器75にそれぞれ対向した吸気口、および羽根の回転方向に対して接線方向に向かって開口した排気口86が形成されている。排気口86は本体14の排気孔21に向かって開口している。なお、排出管72、カソード冷却器75および冷却ファン82は排出部を構成している。
図3ないし図5に示すように、本体14内において、アノード冷却器70とカソード冷却器75との間には、遠心ファンからなる冷却ファン82が設けられ、アノード冷却器およびカソード冷却器と対向している。冷却ファン82は、羽根の回転軸がほぼ水平に、かつ、アノード冷却器70およびカソード冷却器75と直交するように配置されている。図5から良く分かるように、冷却ファン82は羽根を覆ったケースを有し、このケースには、アノード冷却器70およびカソード冷却器75にそれぞれ対向した吸気口、および羽根の回転方向に対して接線方向に向かって開口した排気口86が形成されている。排気口86は本体14の排気孔21に向かって開口している。なお、排出管72、カソード冷却器75および冷却ファン82は排出部を構成している。
図5に示すように、発電部は、起電部52からの熱を放熱し起電部を冷却する放熱部材を備えている。この放熱部材は、アルミニウム、銅等の伝熱性の高い金属で形成された細長い放熱板46を有している。放熱板46は、本体14の底壁上に配設され、起電部52およびカソード冷却器75の下方に位置している。放熱板46の一端部は起電部52のセルスタック53に熱的に接続された接続部46aを構成している。接続部46aとセルスタック53の底部との間には、熱伝導率が高く非導電性を有した伝熱シート47が挟持され、接続部は伝熱シート47を介してセルスタック53に接続されている。
放熱板46の他端部は、本体14の排気孔21および排出管72の排気口78の近傍位置まで延び、排気口と対向している。この他端部は、後述するように、排気口78から排出された水分、つまり、水蒸気に接触可能な接触部46bを構成している。また、接触部46b上には、吸水性の高い多孔質の吸水シート48が取り付けられている。吸水シート48は、排気口78から本体14内に排気された水分を吸収し保持する。吸水シート48として、例えば、スポンジを用いることができる。
図4に示すように、本体14内に配設され発電部を構成している第1および第2送液ポンプ56、68、送気ポンプ64、水回収ポンプ76、エアバルブ62、排気バルブ81、冷却ファン82は制御部30に電気的に接続され、この制御部によって制御される。また、水位センサ77および濃度センサ88は制御部30に接続され、それぞれ検知信号を制御部に出力する。なお、これらの電装部品、センサと制御部30とを接続した図示しない配線は、本体14内から載置部16内へ引き回されている。
上記構成の燃料電池装置10をパーソナルコンピュータ11の電源として用いる場合、まず、パーソナルコンピュータの後端部を燃料電池の載置部16に載置し、所定位置にロックするとともにコネクタ32を介して電気的に接続する。この状態で燃料電池装置10の発電を開始する。この場合、第1送液ポンプ56により燃料タンク50から混合タンク54に高濃度のメタノールが供給され、起電部52から還流する溶媒としての水と混合され所定の濃度に希釈される。混合タンク54内で希釈されたメタノールは、第2送液ポンプ68により、アノード流路を通して起電部52のアノード58aに供給される。一方、起電部52のカソード58bには送気ポンプ64により空気が供給される。図6で示したように、供給されたメタノールおよび酸化剤としての空気は、アノード58aとカソード58bとの間に設けられた電解質膜60で化学反応し、これにより、アノード58aとカソード58bとの間に電力が発生する。起電部52で発生した電力は、制御部30、コネクタ32を介してパーソナルコンピュータ11へ供給される。
発電反応に伴い、起電部52には反応生成物として、アノード58a側に二酸化炭素、カソード58b側に水が生成される。アノード58a側に生じた二酸化炭素および化学反応に供されなかったメタノールはアノード流路へ送られ、アノード冷却器70を通して冷却された後、混合タンク54に還流する。二酸化炭素は混合タンク54内で気化し、カソード冷却器75、排気バルブ81を介して、最終的には排気口78から外部へ排気される。
図5に示すように、カソード58b側に生じた水は、その大部分が水蒸気となり空気とともにカソード流路に排出される。排出された水および水蒸気は、排出管72の第1流路72aを通り、水は貯溜部72cに送られる。また、水蒸気および空気は、分岐流路72bを通り第2流路72eまで上方に向かって流れる。この際、各分岐流路72bを流れる水蒸気はカソード冷却器75によって冷却されて凝縮する。凝縮により生じた水は、重力により分岐流路72b内を下方に流れ、貯溜部72cに回収される。貯溜部72c内に回収された水は、水回収ポンプ76により混合タンク54へ送られ、メタノールと混合された後、再び起電部52へ供給される。
第2流路72eに送られた空気および水蒸気の一部は、水回収部28に送られる。この際、水蒸気は第2流路72e内で結露し、これにより生じた水は水回収部28に回収される。また、空気および空気中に飛沫したメタノールは排気フィルタ80に送られ、ここで、メタノールが排気フィルタによって除去される。水分としての水蒸気を含んだ空気は排気バルブ81を通り、排気口78から本体14内に排気され、更に、本体の排気孔21を通して外部に排気される。なお、起電部52のアノード側から排出された二酸化炭素は、第2流路72eを通り、排気口78から本体14内に排気され、更に、本体の排気孔21を通して外部に排気される。
燃料電池装置10の動作中、冷却ファン82が駆動され、本体14に形成された通気孔20およびカソード冷却器に対向して設けられた通気孔を通して外気が本体14内に導入される。通気孔20を通して本体14内に導入された外気および本体14内の空気は、カソード冷却器75の周囲を通りこれを冷却した後、冷却ファン82のファンケース内に吸気される。他方の通気孔を通して本体14内に導入された外気および本体14内の空気は、アノード冷却器70の周囲を通ってこれを冷却した後、冷却ファン82のファンケース内に吸気される。
ファンケース内に吸気された空気は、排気口86から本体14内に排気される。排気口86から排気された空気は、本体14内を通り本体の排気孔21から外部に排気される。その際、排気口86から排気された空気は、カソード流路の排気口78からの排気された空気、水蒸気、二酸化炭素と混ざり合い、一緒に排気孔21から本体外部に排気される。
混合タンク54内におけるメタノールの濃度は濃度センサ88によって検出される。制御部30は、検出された濃度に応じて水回収ポンプ76を作動させ、貯溜部72c内の水を混合タンク54に供給することにより、メタノールの濃度を一定に維持する。また、カソード流路内における水の回収量、つまり、水蒸気の凝縮量は、貯溜部72cに回収された水の水位に応じて、カソード冷却器75の冷却能力を制御することにより調整される。ここでは、水位センサ77により検出された水位に応じて冷却ファン82の駆動電圧を制御することにより、カソード冷却器75の冷却能力を調整し、水の回収量を制御する。
燃料電池装置10の動作中、セルスタック53は燃料と空気との化学反応により発熱し、温度上昇する。セルスタック53の熱は、放熱板46の接続部46aに伝わり放熱板から本体14内に放熱される。この際、排出管72の排気口78から排出された水分は、冷却ファン82によって放熱板46の接触部46bに吹付けられ、この接触部に接触する。接触した水分は、接触部46bにより加熱して蒸発させ、その時に発生する蒸発潜熱により放熱板46を通してセルスタック53から熱を奪う。これにより、セルスタック53を冷却する。放熱板46の接触部46bは、セルスタック53から離間して位置しているため、セルスタックへ水分を直接与えることがない。そのため、水が付着することが原因となるセルスタック53の発電能力の劣化を防ぎ、安定した運転を維持することができる。
セルスタック53自体は導電性の材質で構成され、その導電性部分が外部に曝されている。そのため、発電効率の低下やシステム運転上の安全面を考慮し、セルスタック53と放熱板46の接続部46aとの間に熱伝導率が高く非導電性の伝熱シート47が挟まれている。セルスタック53の熱は伝熱シート47を介して放熱板46に移動する。
放熱板46の接触部46bには吸水シート48が設けられ、排気口78から排出された水分は吸水シート48に吸収され保持される。そのため、接触部46bおよび外気に対する水分の接触面積を大きくして冷却性能を上げることができる。同時に、冷却目的部分以外への液漏れを抑制することが可能となる。
更に、冷却ファン82から排出された空気を吸水シート48および接触部46bに強制的に吹付けることにより、強制対流状態を作り吸水シート中の空気循環を促し、熱交換効率を高めている。また、供給する空気は、熱源、放熱板46を通すことで温度が上昇し、飽和水蒸気量が大きい状態で利用することが望ましい。この方法を取ることで外気との湿度差を最大限に利用して吸水シート48中の水分の蒸発速度を促進させ、冷却性能を向上させることが可能になる。
以上のように構成された燃料電池装置10によれば、放熱板46によりセルスタック53の熱を放熱し、セルスタックを冷却するとともに、運転時に起電部52で生成された水の内、排液として処理される水分を放熱板の接触部で蒸発させ、その時に発生する蒸発潜熱により起電部から熱を奪うことで、セルスタックを冷却することができる。これにより、起電部を効率良く、かつ、発電能力を損なうことなく冷却し、安定した運転が可能な燃料電池装置が得られるを提供することができる。放熱板の形状を変えることや、放熱板上での部品構成を変えることで、冷却性能の向上を図ることが可能であり、放熱部分を設計自由度を上げることも可能となる。
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
セルスタック53の周囲を絶縁構造とした場合、伝熱シート47を省略してもよい。放熱板、伝熱シートおよび吸水シートの材質は、上述した実施形態に限らず、種々変更可能である。本実施形態において、発電部は燃料タンクおよび混合タンクを備えた構成としたが、混合タンクを省略し、燃料タンクで兼用する構成としてもよい。本願において、燃料タンクは、燃料を収納および供給する容器を示すもので、燃料タンクおよび混合タンクの両方あるいはいずれか一方を含むものとして示している。
この発明に係る燃料電池は、上述したパーソナルコンピュータに限らず、モバイル機器、携帯端末等の他の電子機器の電源としても使用可能である。燃料電池の形式としは、DMFCに限らず、PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)等の他の形式としてもよい。また、冷却ファンは、遠心ファンに限らず、軸流ファンを用いてもよい。
10…燃料電池、 11…パーソナルコンピュータ、 14…本体、 16…載置部、
34…単セル、 46…放熱板、 46a…接続部、 46b…接触部、
47…伝熱シート、 48…吸水シート、50…燃料タンク、 52…起電部、
53…セルスタック、 54…混合タンク、 58a…アノード、
58b…カソード、 70…アノード冷却器、 72…排出管、
75…カソード冷却器、 78…排出口。
34…単セル、 46…放熱板、 46a…接続部、 46b…接触部、
47…伝熱シート、 48…吸水シート、50…燃料タンク、 52…起電部、
53…セルスタック、 54…混合タンク、 58a…アノード、
58b…カソード、 70…アノード冷却器、 72…排出管、
75…カソード冷却器、 78…排出口。
Claims (7)
- アノードおよびカソードを有した単セルを積層したセルスタックを有し、化学反応により発電する起電部と、
前記セルスタックで生成され水分を含む生成物を排出する排出部と、
前記セルスタックに熱的に接続された接続部と、前記セルスタックから離間して位置しているとともに前記排出部から排出された生成物に接触可能に設けられた接触部と、を有した放熱部材と、
を備えた燃料電池装置。 - 前記放熱部材の接続部と前記セルスタックとの間に設けられた非導電性シートを備えている請求項1に記載の燃料電池装置。
- 前記放熱部材の接触部上に設けられ、前記排出された生成物中の水分を吸水する吸水材を備えている請求項1又は2に記載の燃料電池装置。
- 前記吸水材は、前記放熱部材の接触部上に設けられた多孔質吸水シートを含んでいる請求項3に記載の燃料電池装置。
- 前記排出部は、前記セルスタックから排出された生成物を凝縮し、水分を含んだ生成物を排出する凝縮器と、前記凝縮器から排出された生成物および外気を前記放熱部材の接触部に向けて給気するファンと、を備えている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料電池装置。
- 前記放熱部材は金属で形成された放熱板を有し、この放熱板は、前記接続部を構成した端部と、前記接触部を構成しているとともに前記排出部に対向して設けられた他端部と、を有している請求項1に記載の燃料電池装置。
- それぞれアノードおよびカソードを有した複数の単セルを積層して形成されたセルスタックを有し、燃料と酸化剤との化学反応により発電する起電部と、
前記セルスタックに燃料を供給する燃料供給部と、
前記セルスタックに酸化剤を供給する酸化剤供給部と、
前記セルスタックで生成され水分を含む生成物を排出する排出部と、
前記セルスタックに熱的に接続された接続部と、前記排出部から排出された生成物に接触可能に設けられた接触部と、を有し、前記セルスタックからの熱を放熱して前記セルスタックを冷却するとともに、前記接触部に接触した水分を蒸発させ、蒸発潜熱により前記セルスタックから熱を奪う放熱部材と、
を備えた燃料電池装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2009038015A (ja) * | 2007-07-11 | 2009-02-19 | Yamaha Motor Co Ltd | 燃料電池システム |
JP2010015854A (ja) * | 2008-07-04 | 2010-01-21 | Sony Corp | 燃料電池収納構造および電子機器 |
WO2010073849A1 (ja) * | 2008-12-22 | 2010-07-01 | シャープ株式会社 | 吸水部材を加熱する発熱源を含む燃料電池システムおよびそれを備えた電子機器 |
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2006
- 2006-02-28 JP JP2006053693A patent/JP2007234361A/ja not_active Withdrawn
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JP2010146994A (ja) * | 2008-12-22 | 2010-07-01 | Sharp Corp | 燃料電池システムおよびそれを備えた電子機器 |
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