JP2005105462A - オフセット印刷用ダブル塗工紙及びそれに用いるアンダーコート用重合体ラテックス - Google Patents

オフセット印刷用ダブル塗工紙及びそれに用いるアンダーコート用重合体ラテックス Download PDF

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Abstract

【課題】 表面強度および耐ブリスター性に優れるオフセット印刷用ダブル塗工紙および該塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックスを提供すること。
【解決手段】 水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られ、得られた重合体のガラス転移温度が25〜100℃である、オフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックス、該ラテックスを有効成分とするオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用組成物、および該アンダーコート用組成物を原紙上に塗工してなるオフセット印刷用ダブル塗工紙。
【選択図】 なし

Description

本発明は、オフセット印刷用ダブル塗工紙及びそれに用いるアンダーコート用重合体ラテックスに関し、さらに詳しくは、従来にも増して、表面強度および耐ブリスター性に優れるオフセット印刷用ダブル塗工紙および該塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックスに関する。
近年、版の作製が簡便で、かつ、その費用が安いことから、オフセット印刷方式による印刷物が増加してきている。なかでも、高速印刷が可能であることから、オフセット輪転印刷方式の伸びが著しい。
オフセット輪転印刷方式の場合、比較的粘度の高いインキを使用し、熱風によりインキの強制加熱乾燥を行なうため、被印刷物として使用される塗工紙には、従来にも増して、表面強度および耐ブリスター性に優れることが求められている。
オフセット輪転印刷用塗工紙の表面強度および耐ブリスター性を向上させるために、通常、該塗工紙用にバインダー成分として使用する重合体ラテックスの組成、ガラス転移温度、ゲル含有量および粒子径などを調節することが行なわれているものの、通常、塗工紙の耐ブリスター性を向上させようとすると、その表面強度は低下する傾向にあり、表面強度と耐ブリスター性とのバランスをより向上させることが求められている。
一方、オフセット輪転印刷用塗工紙として、原紙上にアンダーコート用組成物を塗工した後、トップコート用組成物を塗工して得られるダブル塗工紙を適用する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、通常使用されるアニオン性界面活性剤の存在下に、共役ジエン単量体15〜65重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体25〜84重量%からなる単量体混合物を乳化重合して得られるゲル含有量が75重量%以下の共重合体ラテックスをアンダーコート用組成物に使用し、特定の分子量調整剤を特定量用い、共役ジエン単量体15〜65重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体1〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体25〜84重量%からなる単量体混合物を、乳化重合して得られる共重合体ラテックスをトップコート用組成物に使用することが提案されている。
また、特許文献2には、ゲル含有量10〜65重量%、ガラス転移温度−30〜+5℃のスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体またはそれらの変性物の共重合体ラテックスをアンダーコート用組成物に使用し、ゲル含有量10〜65重量%、ガラス転移温度15〜50℃のスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体またはそれらの変性物の共重合体ラテックスをトップコート用組成物に使用することが提案されている。
さらに、特許文献3には、ゲル含有量75〜90重量%であるスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスをアンダーコート用組成物に使用し、ブタジエン含有量20〜40重量%のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスをトップコート用組成物に使用することが提案されている。
しかしながら、上記で提案されているようなダブル塗工紙は、その表面強度と耐ブリスター性のバランスが幾分か改善されているものの、近年の高速印刷への要求から、さらなる改善が求められている。
特開平7−166496号公報 特開平8−302593号公報 特開平9−324395号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑み、従来にも増して、表面強度および耐ブリスター性に優れるオフセット印刷用ダブル塗工紙および該塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、オフセット印刷用ダブル塗工紙のアンダーコート用重合体ラテックスに着目して鋭意検討した結果、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られ、得られた重合体のガラス転移温度が特定範囲にある重合体ラテックスを、アンダーコート用組成物に用いると、従来にも増して、表面強度および耐ブリスター性に優れるオフセット印刷用ダブル塗工紙が得られることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られ、得られた重合体のガラス転移温度が25〜100℃であるオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックスが提供される。
また、本発明によれば、上記のアンダーコート用重合体ラテックスを有効成分とするオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、原紙上に、上記のアンダーコート用組成物を塗工し、次いでトップコート用組成物を塗工してなるオフセット印刷用ダブル塗工紙が提供される。
本発明によれば、従来にも増して、表面強度および耐ブリスター性に優れるオフセット印刷用ダブル塗工紙および該塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックスが提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
(アンダーコート用重合体ラテックス)
本発明のオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックスは、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られ、得られた重合体のガラス転移温度が25〜100℃、好ましくは30〜80℃のものである。このガラス転移温度が低すぎると、塗工紙の耐ブリスター性に劣り、逆に高すぎると塗工紙の表面強度に劣る。
かかる本発明の重合体ラテックスを得るために使用する単量体としては、結果的に上記のガラス転移温度を満足する重合体を形成し得る1種以上の単量体であれば特に制限されないが、例えば、次のような単量体が挙げられる。
共役ジエン単量体として、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。なかでも、1,3−ブタジエンが好ましく使用できる。
芳香族ビニル単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどが挙げられる。なかでも、スチレンが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体として、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリルなどが挙げられる。なかでも、アクリロニトリルが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体及びその無水物;フマル酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体の部分エステル化物;などが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体として、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
上記の単量体以外にも、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンなどを使用することができる。
上記の単量体は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の単量体のうち、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体が好ましく使用できる。
得られた重合体ラテックスの機械的安定性および配合安定性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須成分として使用することが好ましく、その使用量は、重合に使用する単量体全量に対して、0.5〜10重量%である。
重合で得られる重合体のガラス転移温度を上記範囲にするには、常法に基づき、重合で使用する単量体の組成を適宜選択すればよい。
単量体の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、単量体を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、単量体を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体を連続的に反応容器に添加する場合の単量体の添加速度は、特に制限はないが、重合系内の重合転化率が10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上を保つように制御するのが好ましい。この添加速度が速すぎると、重合安定性が低下して、粗大凝集物が発生しやすい傾向があり、逆に遅すぎると、重合系の粘度が上昇して重合反応熱の除去が困難になる傾向がある。
本発明で用いるアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子(以下、「アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物」と略する場合がある。)としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその各種変性物などのビニルアルコール系重合体;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチル澱粉、酸化澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、トラガントゴム、ポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。なかでも、工業的に品質が安定したものを入手しやすい点から、ビニルアルコール系重合体が好ましく使用できる。
前記ビニルアルコール系重合体は、実質的に水溶性であって安定なラテックスが得られるものであれば、その他の条件には制限はなく、カルボン酸ビニルエステル単量体を主体とするエチレン性不飽和単量体を従来公知の方法で重合して得たカルボン酸ビニルエステル重合体(即ち、カルボン酸ビニルエステル単量体の単独重合体、2種以上のカルボン酸ビニルエステル単量体の共重合体、並びにカルボン酸ビニルエステル単量体およびこれと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体の共重合体)を常法によりけん化して得られる。また、分子の主鎖、側鎖又は末端にメルカプト基などの変性基を導入したものを使用することもできる。
前記カルボン酸ビニルエステル単量体としては、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、その具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。なかでも工業的に製造され安価な酢酸ビニルが一般的である。
また、カルボン酸ビニルエステル単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を1種以上共存させ、共重合することも可能である。これら共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸モノエチル、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;及び3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム基含有単量体;ビニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
前記カルボン酸ビニルエステル重合体のけん化度は、変性基の有無及びその種類に依存して変るが、得られるビニルアルコール系重合体の水溶性などの観点から、40〜99.99モル%であることが好ましく、50〜99.9モル%がより好ましく、60〜99.5モル%が更に好ましい。けん化度が40モル%未満の場合には重合体粒子の分散安定性が低下する。前記カルボン酸ビニルエステル重合体の粘度平均重合度は、通常、50〜8,000、好ましくは100〜6,000、より好ましくは100〜5,000である。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の使用量は、重合に使用する単量体100重量部当たり、好ましくは0.5〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。この使用量が少なすぎると、重合時の安定性が悪く凝集物が多量に発生したり、得られた重合体ラテックスの機械的安定性及び化学的安定性が低下したりする傾向があり、逆に多すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になったり、得られた重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となったりする傾向がある。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体およびアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法としては、両者を別々に反応容器に添加しても、両者を混合して反応容器に添加してもよい。なかでも、重合安定性に優れる点で、両者を混合して反応容器に添加する方法が好ましく、単量体、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物および水性媒体を混合して得られる単量体乳化物を反応容器に添加する方法がより好ましく採用できる。
本発明の重合においては、乳化重合において通常使用される、ノニオン性、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤などの各種の界面活性剤を使用しないことが特に好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、併用してもよい。
アニオン性界面活性剤の例としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホン酸塩、ポリリン酸塩など、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルフェニルエーテル型又はアルキルエーテル型のものなど、カチオン性界面活性剤の例としては、脂肪族アミン塩及びその4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩など、両性界面活性剤の例としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体などを挙げることができる。これらの界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの界面活性剤を使用する場合の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、通常、2重量部以下、好ましくは0.5重量部以下である。
本発明で用いる水性媒体としては、通常、水が使用でき、メタノール、エタノールなどのアルコール;アセトン、テトラヒドロフランなどの水溶性有機溶媒を含有する水溶液を使用することもできる。
水性媒体の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは90〜900重量部、より好ましくは100〜500重量部である。
本発明における重合は、アルコールの存在下に行なうことが好ましい。アルコールの存在下に重合することにより、粗大凝集物の発生を抑制しながら、安定的に重合反応を行なうことができる。
ここで使用できるアルコールは、格別限定されることはなく、1価及び多価のいずれでもよいが、水溶性のものが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどを挙げることができる。アルコールの使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部である。
アルコールの添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法が好ましく採用できる。
本発明においては、重合開始剤として、過酸化物ラジカルを発生するものを使用することが好ましい。過酸化物ラジカルを発生する重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの水溶性過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの油溶性過酸化物;過酸化物と重亜硫酸水素ナトリウムなどの各種還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤などを挙げることができるが、なかでも水溶性過酸化物が好適であり、過硫酸塩が特に好適である。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。
重合開始剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。
重合に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、連鎖移動が起こるものであれば特に制限はなく、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどのメルカプト基を有する化合物;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンなどのα−メチルスチレンダイマー類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノールなどのフェノール系化合物;アリルアルコール、アクロレイン、メタクロレインなどのアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド、ターピノレン、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタンなどを挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、単量体100重量部に対して、通常、5重量部以下である。連鎖移動剤の添加方法は、特に限定されず、一括添加しても、断続的に又は連続的に重合系に添加してもよい。
重合においては、上記したもの以外に、乳化重合において通常使用される、粒子径調整剤、キレート剤、脱酸素剤、分散剤、pH調整剤、無機塩などの重合副資材を適宜用いることができる。
重合温度は、特に制限はないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
以上のようにして重合反応を行い、所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加したり、重合系を冷却したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは92重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。重合反応を停止した後、所望により、未反応単量体を除去し、pHや固形分濃度を調整して重合体ラテックスが得られる。
本発明のアンダーコート用重合体ラテックスを構成する重合体は、重合に使用した単量体に由来する重合体と重合に使用したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の一部が結合したものであることが好ましい。
重合に使用した単量体に由来する重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の量(以下、「グラフト率」という場合がある。)は、重合に使用した単量体に由来する重合体100重量部に対して、好ましくは0.5〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜20重量部、特に好ましくは1〜15重量部である。この結合量が少なすぎると表面強度が低下する傾向にあり、逆に多すぎると、耐ブリスター性が低下する傾向がある。
本発明のアンダーコート用重合体ラテックスを構成する重合体粒子の体積平均粒子径は、好ましくは60〜800nm、より好ましくは70〜600nmである。体積平均粒子径が小さすぎると、重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎて取り扱い難い傾向があり、逆に大きすぎると表面強度に劣る傾向がある。
本発明のアンダーコート用重合体ラテックスには、所望により、例えば、分散剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤などの添加剤を適宜添加することができる。
(アンダーコート用組成物)
本発明のオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用組成物は、前記のアンダーコート用重合体ラテックスを有効成分とするものである。該アンダーコート用組成物中のアンダーコート用重合体ラテックスの含有量は、好ましくは50重量%、より好ましくは70重量%以上である。勿論、前記のアンダーコート用重合体ラテックスのみをアンダーコート用組成物として用いることができる。
この含有量が少なすぎると、表面強度と耐ブリスター性のバランスが低下する傾向にある。
本発明のアンダーコート用組成物には、前記のアンダーコート用重合体ラテックス以外に、塗工紙の分野で通常使用される顔料を配合することができる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、酸化チタン、サチンホワイト、硫酸バリウム等の無機顔料;プラスチックピグメント等の有機顔料;などが挙げられる。顔料の配合量は、アンダーコート用組成物中のアンダーコート用重合体ラテックスの含有量が前記範囲を満足する量である。
本発明のアンダーコート用組成物には、必要に応じて、さらに水溶性高分子、pH調整剤、分散剤、増粘剤、耐水化剤、消泡剤、染料、防腐剤、抗菌剤、潤滑剤などを配合することができる。
(オフセット印刷用ダブル塗工紙)
本発明のオフセット印刷用ダブル塗工紙は、原紙上に、前記のアンダーコート用組成物を塗工し、次いでトップコート用組成物を塗工してなるものである。
本発明で用いる原紙としては、特に制限はなく、各種製紙用パルプから得られる上質紙、中質紙、脱墨古紙パルプを含有する原紙、厚紙、ダンボール原紙などが挙げられる。原紙の坪量も特に限定されない。
アンダーコート用組成物の塗工量は、乾燥後の固形分で、原紙の片面あたり、好ましくは0.5〜6g/m2、より好ましくは1〜5g/m2の範囲である。この塗工量が少なすぎると本発明の効果が発現し難くなる傾向があり、逆に多すぎると耐ブリスター性が低下する傾向がある。
アンダーコート用組成物の塗工方法としては、特に限定されず、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ショートドウェルコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、サイズプレス、チャンピオンコーター、シムサイザーなどの塗工装置を用いて塗工する。
原紙上にアンダーコート用組成物を塗工した後、所望により乾燥し、次いで該塗工層上に、トップコート用組成物を塗工する。
トップコート用組成物は、通常、顔料にトップコート用重合体ラテックスを配合してなるものである。
トップコート用組成物に用いる顔料としては、アンダーコート用組成物に使用し得るものが同様に使用できる。
トップコート用重合体ラテックスとしては、特に限定されないが、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびこれらと共重合可能な他の単量体からなる単量体混合物を乳化共重合して得られるものが好ましく使用できる。
共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、それぞれ前記したものと同様のものが例示できる。
共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などが挙げられる。これらの具体例としては、それぞれ前記したものと同様のものが例示できる。
トップコート用重合体ラテックスを製造するための単量体組成は、共役ジエン単量体25〜55重量%、芳香族ビニル単量体20〜50重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体0.5〜10重量%およびこれらと共重合可能な他の単量体15〜54.5重量%であることが好ましい。単量体組成が上記範囲であれば、表面強度と耐ブリスター性のバランスにより優れる塗工紙が得られる。
トップコート用重合体ラテックスを製造する際の重合方法としては、従来公知の乳化重合方法に従えばよい。
トップコート用重合体ラテックスを構成する重合体のテトラヒドロフラン不溶解分含量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは50〜85重量%である。
トップコート用重合体ラテックスを構成する重合体の体積平均粒子径は、好ましくは50〜120nm、より好ましくは60〜110nmである。
テトラヒドロフラン不溶解分含量および体積平均粒子径が上記範囲であれば、表面強度と耐ブリスター性のバランスにより優れる塗工紙が得られる。
トップコート用重合体ラテックスの配合量は、顔料100重量部に対して、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは8〜15重量部である。
トップコート用組成物には、必要に応じて、さらに水溶性高分子、pH調整剤、分散剤、増粘剤、耐水化剤、消泡剤、着色顔料、染料、蛍光増白剤、流動性改良剤、防腐剤、抗菌剤、潤滑剤などを配合することができる。
水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、カゼインなどの蛋白質;酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、エーテル化澱粉、酵素変性澱粉などの澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。
トップコート用組成物の塗工量は、乾燥後の固形分で、原紙の片面あたり、好ましくは3〜30g/m2、より好ましくは5〜15g/m2の範囲である。この塗工量が少なすぎると本発明の効果が発現し難くなる傾向があり、逆に多すぎると耐ブリスター性が低下する傾向がある。
トップコート用組成物の塗工方法としては、特に限定されず、アンダーコート用組成物の塗工に用いる塗工装置と同様のものを用いて、塗工することができる。
トップコート用組成物を塗工した後、乾燥し、所望により、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダーなどの表面平滑化装置を用いて、塗工紙の表面処理を施し、オフセット印刷用ダブル塗工紙が得られる。
本発明のオフセット印刷用ダブル塗工紙は、表面強度および耐ブリスター性に優れるので、多色印刷に適し、かつ高速印刷に好適に使用できるものであり、特にオフセット輪転印刷用の塗工紙として好適である。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「%」及び「部」は特に断りのない限り、重量基準である。
評価は以下に示す方法で行なった。
(重合体ラテックスの体積平均粒子径)
光散乱粒子径測定器(コールターLS230:コールター社製)を用いて測定した。
(重合体ラテックスのガラス転移温度)
重合体ラテックスを枠付きガラス板に流延し、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に48時間放置して、厚さ約0.3mmのフィルムまたは乾燥物を得た。このフィルムまたは乾燥物について、示差走査熱量計(SSC5200:セイコー電子工業(株)社製)を用いて、開始温度−100℃、昇温速度10℃/分の条件で測定して、重合体ラテックスを構成する重合体のガラス転移温度を求めた。
(重合体ラテックスのテトラヒドロフラン不溶解分含量)
重合体ラテックスを、枠付きのガラスモールドに流し、厚さ0.3mmの乾燥フィルムを作成する。このフィルムを2〜3mm角に切り、0.4gを精秤する。その試料を100mlのテトラヒドロフランに浸せきし、30℃の振とう式恒温層で6時間振とうする。その後、100メッシュ金網でろ過し、ろ液の固形分を求め、この固形分量よりテトラヒドロフラン不溶解分含量を算出した。
(重合体ラテックスにおけるグラフト率)
得られた重合体ラテックスの固形分濃度を10%に調整して、その60gを試料とする。試料を、5℃で、13,000rpm、60分間の条件で遠心分離し、上澄み液を40g回収する。沈降層(20g)に蒸留水40gを添加して均一にした後、同一条件で再度遠心分離して、上澄み液40gを回収し、沈降層について再度同一操作を繰り返す。3回の遠心分離で得られた上澄み液合計120gの固形分を測定し、上澄み液中の固形分量を計算する。これが、重合で生成した重合体に結合しなかったポリビニルアルコールの量(A)である。試料中における仕込みから計算される全ポリビニルアルコールの重量(B)より(A)を減じて、重合で生成した重合体に結合したポリビニルアルコールの量(C)とする。これらの値から、下記式によりグラフト率(重合に使用した単量体に由来する重合体100部に対して、該重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の量(部))を計算する。
グラフト率=〔C/(6−B)〕×100(部)
(塗工紙の表面強度)
塗工紙にRIテスターI型(石川島播磨重工業社製)を用いて、印刷インク(タック値18)を4回重ね刷りした後、塗工層面の剥がれ(ピッキング)状態を観察し5点法で評価した。ひとつの塗工紙について、10回評価し、その単純平均値で示す。この点数が高い程、表面強度に優れている。
(塗工紙の耐ブリスター性)
塗工紙を、25℃、相対湿度65%の雰囲気下に、24時間放置し、その水分率を約6%に調湿した後、適当な大きさに裁断する。これを160℃〜240℃の範囲で5℃刻みに温度を設定した複数のシリコンオイルバス中に浸漬し、ブリスターの発生度合いを5点法で判定した。この点数が高い程、耐ブリスター性に優れている。
(実施例1)
耐圧容器に、脱イオン水127部、メタクリル酸メチル69部、アクリル酸ブチル30部、アクリル酸1部、ポリビニルアルコール(PVA−205、クラレ社製:平均重合度=500、けん化度=88.5モル%)4部を混合、撹拌して、単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン62部及びエタノール8部を添加し、80℃に昇温した。80℃を保持しながら、過硫酸アンモニウム0.5部を脱イオン水10部に溶解した水溶液を添加し、引き続き、前記の単量体乳化物を、4時間に亘り、反応器に連続的に添加した。単量体乳化物の連続添加を完了した後、さらに3時間、80℃で重合反応を継続した後、冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は97%であった。
得られた重合体ラテックスから、未反応単量体を除去し、固形分濃度を35%に、pHを7.5に調整して、重合体ラテックスAを得た。この重合体ラテックスAの物性を測定して、その表1に示す。
(実施例2〜4、比較例1および比較例2)
単量体組成およびポリビニルアルコールの種類とその使用量を、表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様に重合して、重合体ラテックスB〜Fを得た。重合体ラテックスB〜Fの物性を測定し、その結果を表1に示す。
なお、ポリビニルアルコールとしては、PVA−205以外に、以下に示すものを使用した。
PVA−117(クラレ社製:平均重合度=1700、けん化度=98.5モル%)
PVA−224E(クラレ社製:平均重合度=2400、けん化度=88モル%)
(比較例3)
耐圧容器に、脱イオン水50部に、1,3−ブタジエン29部、メタクリル酸メチル30部、スチレン35部、イタコン酸4部、アクリルアミド1部、アクリル酸β−ヒドロキシエチル1部、α−メチルスチレンダイマー0.5部、t−ドデシルメルカプタン0.9部及ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を添加し、撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン70部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部および過硫酸カリウム0.7部を添加し、70℃に昇温した。引き続き、前記の単量体乳化物を、4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。単量体乳化物の連続添加を完了した後、80℃に昇温し、さらに3時間重合反応を継続した後、冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は98%であった。
得られた重合体ラテックスから、未反応単量体を除去し、固形分濃度を35%に、pHを7.5に調整して、重合体ラテックスGを得た。この重合体ラテックスGの物性を測定して、その結果を表1に示す。なお、重合体ラテックスGのテトラヒドロフラン不溶解分含量は35%であった。
Figure 2005105462
(実施例5)
(トップコート用組成物)
微粒カオリン(カオファイン90:Thiele社製)20部、1級カオリン(ウルトラホワイト90:Engelhard社製)30部、湿式重質炭酸カルシウム(カービタル90:イメリス社製)50部、リン酸エステル化澱粉(MS−4600:日本食品加工社製)3部、カルボキシル変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを固形分換算で8部、水酸化ナトリウム0.2部及び分散剤(アロンT−40、東亜合成化学社製)0.15部を混合、攪拌して、固形分濃度65%のトップコート用組成物を調製した。
なお、前記のカルボキシル変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスは、1,3−ブタジエン35重量%、メタクリル酸メチル14重量%、スチレン35重量%、アクリロニトリル12重量%、イタコン酸2重量%、アクリル酸1重量%およびアクリルアミド1重量%からなる単量体混合物を乳化共重合して得られた、テトラヒドロフラン不溶解分含量が65%、体積平均粒子径が90nmの共重合体ラテックスである。
(アンダーコート用組成物)
アンダーコート用組成物として、重合体ラテックスAのみを用いた。
(ダブル塗工紙の製造)
坪量65g/m2の上質紙に、乾燥後固形分で、片面あたり2g/m2の塗工量となるように、前記のアンダーコート用組成物を両面に塗工し、乾燥した。
次いで、該アンダーコート層上に、前記のトップコート用組成物を、乾燥後固形分で、片面あたり9g/m2となるように、両面に塗工し、乾燥した。得られた塗工紙を、70℃、線速度20m/分、線圧100kg/cmでスーパーカレンダー処理し、ダブル塗工紙を得た。
このダブル塗工紙の物性を測定し、その結果を表2に示す。
(実施例6および7)
重合体ラテックスAに代えて、重合体ラテックスBおよびCを用いる以外は、実施例5と同様にして、ダブル塗工紙を得た。ダブル塗工紙の物性を測定し、その結果を表2に示す。
(実施例8)
重合体ラテックスD(固形分)80部、2級カオリン(カオブライトHB:Thiele社製)10部、湿式重質炭酸カルシウム(カービタル60:イメリス社製)10部、分散剤(アロンT−40:東亞合成化学社製)0.01部、酸化澱粉(王子エースB:王子コンスターチ社製)1.2部及び水酸化ナトリウム0.02部を混合、攪拌して、固形分濃度35%のアンダーコート用組成物を得た。
重合体ラテックスAに代えて、上記のアンダーコート用組成物を用いる以外は、実施例5と同様にして、ダブル塗工紙を得た。ダブル塗工紙の物性を測定し、その結果を表2に示す。
(比較例4〜6)
重合体ラテックスAに代えて、重合体ラテックスE〜Gを用いる以外は、実施例5と同様にして、ダブル塗工紙を得た。ダブル塗工紙の物性を測定し、その結果を表2に示す。
(比較例7)
重合体ラテックスG(固形分)15部、2級カオリン(カオブライトHB:Thiele社製)50部、湿式重質炭酸カルシウム(カービタル60:イメリス社製)50部、分散剤(アロンT−40:東亞合成化学社製)0.2部、酸化澱粉(王子エースB:王子コンスターチ社製)4部及び水酸化ナトリウム0.02部を混合、攪拌して、固形分濃度35%のアンダーコート用組成物を得た。
重合体ラテックスAに代えて、上記のアンダーコート用組成物を用いる以外は、実施例5と同様にして、ダブル塗工紙を得た。ダブル塗工紙の物性を測定し、その結果を表2に示す。
Figure 2005105462
表1および2から次のようなことがわかる。
ガラス転移温度が本発明で規定する上限を超える比較例1の重合体ラテックスEを用いたダブル塗工紙は、表面強度に劣る(比較例4)。
ガラス転移温度が本発明で規定する下限を下回る比較例2の重合体ラテックスFを用いたダブル塗工紙は、耐ブリスター性に劣る(比較例5)。
乳化重合において通常使用されるアニオン界面活性剤の存在下に重合して得られた比較例3の重合体ラテックスGを用いたダブル塗工紙は、表面強度に劣る(比較例6)。
顔料100部に対して、乳化重合において通常使用されるアニオン界面活性剤の存在下に重合して得られた比較例3の重合体ラテックスG15部配合して得られたアンダーコート用組成物を用いたダブル塗工紙は、表面強度と耐ブリスター性のバランスに劣る(比較例7)。
上記の比較例に対して、本発明のアンダーコート用重合体ラテックスA〜D(実施例1〜4)を用いたダブル塗工紙は、表面強度および耐ブリスター性に優れている(実施例5〜8)。

Claims (7)

  1. 水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られ、得られた重合体のガラス転移温度が25〜100℃である、オフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックス。
  2. アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の使用量が、単量体100重量部に対して、0.5〜100重量部である請求項1記載のオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックス。
  3. 重合体が、重合に使用した単量体に由来する重合体と、重合に使用したアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の一部とが結合したものである請求項1記載のオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックス。
  4. 重合に使用した単量体に由来する重合体100重量部に対して、該重合体に結合したアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の量が0.5〜50重量部である請求項3記載のオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用重合体ラテックス。
  5. 請求項1〜4のいずれか一に記載のアンダーコート用重合体ラテックスを有効成分とするオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用組成物。
  6. アンダーコート用重合体ラテックスの含有量が50重量%以上である請求項5記載のオフセット印刷用ダブル塗工紙に用いるアンダーコート用組成物。
  7. 原紙上に、請求項5または6に記載のアンダーコート用組成物を塗工し、次いでトップコート用組成物を塗工してなるオフセット印刷用ダブル塗工紙。
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