JP2003268292A - 共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物 - Google Patents

共重合体ラテックスおよび紙塗工用組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドライピック強度、耐ブリスター性のバラン
スに優れ、しかも白紙面感に優れた塗工紙用塗工組成物
および、塗工紙を製造するための共重合体ラテックスを
提供する。 【解決手段】 トルエン不溶分率、トルエン可溶分のガ
ラス転移温度がそれぞれ特定の範囲内で、且つ、共重合
体ラテックス全体のガラス転移温度とトルエン可溶分の
ガラス転移温度との差が特定範囲であることを特徴とす
る共重合体ラテックス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙塗工における顔
料バインダー、カーペットバッキング剤、接着粘着剤、
繊維結合剤および塗料などに用いられる共役ジエン系共
重合体ラテックスに関する。更に詳しくは、紙塗工にお
ける塗工層の接着強度および耐ブリスター性に優れ、更
には、塗工紙の白紙面感に優れた特性を付与する共重合
体ラテックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】共役ジエン系共重合体ラテックスは紙塗
工における顔料バインダー、カーペットバッキング剤、
各種接着剤および粘着剤、繊維結合剤ならびに塗料など
広範な用途に用いられてきた。これらの用途に用いられ
る共重合体ラテックスには、基材や配合される顔料など
に対する優れた接着力、耐ブリスター性、耐水性などが
要求される。塗工紙は、抄造された紙の表面の平滑性を
高め、光沢や印刷適性を向上させる目的で、原紙にカオ
リンクレー、炭酸カルシウム、サチンホワイト、タル
ク、酸化チタンなどの無機顔料やプラスチック顔料など
の有機顔料を塗布したものであり、これらの顔料のバイ
ンダーとしてジエン系共重合体ラテックスが一般的に用
いられている。顔料バインダーとして用いられる共重合
体ラテックスの性質は紙の表面強度はもとより、塗工紙
の印刷適性にも大きな影響を及ぼすことが知られてい
る。
【0003】近年、カラー印刷された雑誌類やパンフレ
ット、広告等の需要の増大に伴い、印刷速度の高速化が
進んでいる。このため、インクのタックによる紙の表面
の破壊に対する抵抗性(いわゆるドライピック強度)が
重要視されと同時にインクの乾燥条件も厳しくなり、塗
工紙の内部に残存する水分が蒸発する際の蒸気圧によっ
て塗工紙の表面にひぶくれを生じさせるいわゆるブリス
ター発生に対する抵抗性(耐ブリスター性)も従来に以
上に要求されている。ドライピック強度の向上と耐ブリ
スター性の向上は、一般に相反する特性であり、一方が
向上すると他方が低下する関係にあるため、これらの物
性を高レベルでバランスさせることが求められている。
更に印刷物の高級化指向があり、塗工紙の白紙面感を向
上させた、よりビジュアルな印刷物が好まれる。
【0004】従来からドライピック強度、耐ブリスター
性を満足させるために、共重合体ラテックスについて様
々な改良がなされてきた。例えば、特許第319278
8号では、ゲル分率、ゲルの膨潤度がそれぞれ特定の範
囲で、かつテトラヒドロフラン可溶分の分子量を特定範
囲にコントロールすること、また、特許第311424
0号では、特定の共重合組成で、二つのpH領域におけ
るトルエン不溶分率をコントロールすることで改善する
ことが開示されている。しかしながら、これらの発明で
は、ドライピック強度や耐ブリスター性は向上するもの
の不十分であり、しかも、白紙面感は現在の高水準の要
求を満足するものとは言い難い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、共重
合体ラテックスを含む塗工紙用組成物を用いることによ
り、相反する特性であったドライピック強度、耐ブリス
ター性ともに優れ、しかも白紙面感の優れた塗工紙が得
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決するため共重合体ラテックスのガラス転移温度特
に重合時に生成するガラス転移温度が低温である成分に
着目し鋭意研究を重ね、トルエン不溶分率が特定の範囲
内で、且つトルエン可溶分のガラス転移温度が特定の範
囲内で、加えて、共重合体ラテックス全体のガラス転移
温度とトルエン可溶分のガラス転移温度の温度差が25
℃以上ある共重合体ラテックスが前記課題を解決するこ
とを見出し、本発明に至った。
【0007】即ち本発明は、(1)共役ジエン系単量体
とその他共重合可能な単量体を乳化重合して得られる共
重合体ラテックスであって、 a)トルエン不溶分率が30〜90重量%であり b)トルエン可溶分のガラス転移温度が−10℃以下で
あり c)共重合体ラテックス全体のガラス転移温度とトルエ
ン可溶分のガラス転移温度の差が25℃以上であること
を特徴とする共重合体ラテックス。(2)無機顔料10
0重量部に対して前記(1)記載の共重合体ラテックス
3〜30重量部を含む水分散体であって、不揮発性成分
が30〜75重量%の紙塗工用組成物。に係わる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について、以下に具体的に
説明する。本発明における共役ジエン系単量体(イ)は
一般式(1)で示され、共重合体に柔軟性を与え接着
力、衝撃吸収性を与えるために必須の成分であり、使用
される共役ジエン系単量体の好ましい例としては、1,
3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブ
タジエンなどがあげられ、これらは1種または2種以上
が組み合わせて用いられる。
【0009】
【化1】
【0010】R1〜R6は水素または炭素数1〜24の
アルキル基、フェニル基、ハロゲン基から選ばれる1種
以上の基 本発明においては、共重合可能な他の単量体を併用する
ことが好ましい。この共重合可能な単量体を適宜選択す
ることにより、共重合体ラテックスにさまざまな特性を
付与できる。共重合可能な他の単量体の好ましい例とし
ては、(ロ)不飽和カルボン酸単量体、(ハ)シアン化
ビニル単量体、(ニ)その他がある。 (ロ)一般式(2)で示される不飽和カルボン酸単量体
は、共重合体ラテックスに必要な分散安定性を与え、接
着力を高めるための成分であり、好ましい例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、
フマル酸などのエチレン系不飽和カルボン酸などがあげ
られ、これらは1種または2種以上が組み合わせて用い
られる。
【0011】
【化2】
【0012】R7〜R9は水素または炭素数1〜3のア
ルキル基、カルボキシル基、炭素数1〜3のアルキルカ
ルボキシル基から選ばれる1種以上の基 (ハ)一般式(3)で示されるシアン化ビニル単量体
は、耐ベタツキ性および湿潤ピック強度の向上のための
成分であり、好ましい例としては、アクリロニトリル、
メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなど
があげられ、これらは1種または2種以上が組み合わせ
て用いられる。
【0013】
【化3】
【0014】R10〜R12は水素または炭素数1〜3
のアルキル基から選ばれる1種以上の基 (二)には、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量
体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル
酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリ
ル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル類、ア
クリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒド
ロキシエチルなどのヒドロキシアルキルエステル類、ア
クリル酸アミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、アクリル酸ジエチルアミノエチルなどのアミノアル
キルエステル類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリ
ジンなどのピリジン類、アクリル酸グリシジル、メタク
リル酸グリシジルなどのグリシジルエステル類、アクリ
ルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタク
リルアミド、グリシジルメタクリルアミド、N,N−ブ
トキシメチルアクリルアミドなどのアミド類、酢酸ビニ
ルなどのカルボン酸ビニルエステル類、塩化ビニルなど
のハロゲン化ビニル類などがあげられ、これらは1種ま
たは2種以上が組み合わせて用いられる。
【0015】発明の共重合体ラテックスは公知の乳化重
合法で製造されるものであり、その方法については特に
制限はなく、水性媒体中で界面活性剤の存在下、ラジカ
ル開始剤により重合を行なうなど公知の方法を用いるこ
とができる。使用する乳化剤についても特に制限はな
く、従来公知のアニオン、カチオン、両性および非イオ
ン性の界面活性剤を用いることができる。好ましい界面
活性剤の例としては、脂肪族セッケン、ロジン酸セッケ
ン、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリルスルホン
酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレン
アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリル硫
酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリル
エーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロッ
クコポリマーなどのノニオン性界面活性剤があげられ、
これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられ
る。
【0016】ラジカル開始剤は、熱または還元剤の存在
下でラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるも
のであり、無機系開始剤、有機系開始剤のいずれも使用
することが可能である。好ましい例としてはペルオキソ
ニ硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物などがあり、具体
的にはペルオキソニ硫酸カリウム、ペルオキソニ硫酸ナ
トリウム、ペルオキソニ硫酸アンモニウム、過酸化水
素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイ
ル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロ
パーオキサイドなどがあげられ、これらは単独または2
種以上を組み合わせて用いることができる。また酸性亜
硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビ
ン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤
と組み合わせて用いるいわゆるレドックス重合法を用い
ることもできる。
【0017】本発明の共重合体ラテックスを製造するに
際しては、ラジカル重合において通常用いられる公知の
連鎖移動剤を用いることが可能である。連鎖移動剤の好
ましい例としては核置換α−メチルスチレンのニ量体の
ひとつであるα−メチルスチレンダイマー、n−ブチル
メルカプタン、t−ブチルメルカプタン、t−ドデシル
メルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリ
ルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチ
ウラジウムジスルフィド、テトラエチルチウラジウムジ
スルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素、四臭化
炭素などのハロゲン化誘導体、2−エチルヘキシルチオ
グリコレートなどがあげられ、これらは単独または2種
以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の
添加方法にも特に制限はなく、一括添加、回分添加、連
続添加など公知の添加方法が用いられる。
【0018】重合容器に単量体を仕込む方法としては、
予め単量体の混合物を全量一括で仕込む方法、単量体混
合物の一部を重合した後、残りの単量体混合物を連続的
もしくは間欠的に仕込む方法、あるいは単量体混合物を
重合最初から連続的または間欠的に仕込む方法を採りう
るものであり、これらの重合方法を組み合わせて重合し
てもよい。本発明の共重合体ラテックスには、必要に応
じて公知の各種重合調整剤を用いることができる。これ
らはたとえばpH調整剤、キレート剤などであり、pH
調整剤の好ましい例としては水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、
リン酸水素二ナトリウムなどがあげられ、キレート剤の
好ましい例としてはエチレンジアミン四酢酸ナトリウム
などがあげられる。
【0019】本発明の共重合体ラテックスの固形分につ
いても特に制限はなく、通常固形分は30〜60重量%
の範囲に調製される。本発明の共重合体ラテックスの製
造に際しては、粒子径調整のため公知のシード重合法を
用いることも可能であり、シードを作製後同一反応系内
で共重合体ラテックスの重合を行うインターナルシード
法、別途作製したシードを用いるエクスターナルシード
法などの方法を適宜選択して用いることができる。
【0020】本発明の共重合体ラテックスには、必要に
応じて各種添加剤を添加すること、あるいは他のラテッ
クスを混合して用いることが可能であり、例えば分散
剤、消泡剤、老化防止剤、耐水化剤、殺菌剤、印刷適性
剤などを添加すること、アルカリ感応型ラテックス、プ
ラスチック顔料などを混合して用いることもできる。本
発明で使用する共重合体ラテックスは、トルエン不溶分
率が30〜90重量%トルエン可溶分のガラス転移温度
が−10℃以下、共重合ラテックスの全体のガラス転移
温度とトルエン可溶分のガラス転移温度の温度差が25
℃以上、好ましくは、トルエン可溶分率が45〜90重
量%、トルエン可溶分のガラス転移温度が−20℃以
下、共重合体ラテックスの全体のガラス転移温度とトル
エン可溶分のガラス転移温度の温度差が30℃以上、更
に好ましくは、トルエン可溶分率が60〜85重量%、
トルエン可溶分のガラス転移温度が−35℃以下、共重
合体ラテックスの全体のガラス転移温度とトルエン可溶
分のガラス転移温度の温度差が35℃以上である。
【0021】トルエン不溶分率が30重量%未満で、ト
ルエン可溶分のガラス転移温度が−0℃を高温側に超
え、共重合体ラテックス全体のガラス転移温度とトルエ
ン可溶分のガラス転移温度との温度差が25℃未満で
は、ドライピック強度、白紙面感が低下し好ましくな
い。また、トルエン可溶分率が90重量%を高トルエン
不溶分率側に超え、トルエン可溶分のガラス転移温度が
−10℃を高温側に超え、共重合体ラテックス全体のト
ルエン可溶分率とトルエン可溶分のガラス転移温度との
温度差が25℃未満では、耐ブリスター性、白紙面感が
低下し、好ましくない。
【0022】本発明における、共重合体ラテックスの重
合方法としては、例えば、 1. 単量体混合物を多段階で乳化重合する。 2. 乳化重合において、単量体組成を適宜変える。 3. 乳化重合において、連鎖移動剤量、開始剤量の添
加量を適宜変える。 4. 記乳化重合において、重合温度を適宜変える。 などがあり、単独あるいは組み合わせることで、本発明
範囲内の共重合ラテックスを製造することができる。
【0023】本発明の紙塗工用組成物は、本願の共重合
体ラテックスと顔料、水溶性高分子、各種添加剤からな
る不揮発性成分30〜70重量%の水性分散体である。
この際、顔料100重量部に対し、本発明の共重合体ラ
テックスが3〜30重量部、好ましくは4〜20重量部
配合される。顔料としては、カオリンクレー、タルク、
硫酸バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化ア
ルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイトなどの無機顔
料、あるいはポリスチレンラテックスのような有機顔料
が挙げられ、これらは、単独または混合して使用され
る。水溶性高分子としては澱粉、酸化澱粉、エステル化
澱粉等の変性澱粉、大豆蛋白、カゼインなどの天然高分
子、あるいはポリビニルアルコールやアルカリ可溶型共
重合体ラテックスの溶解物などの合成高分子が挙げら
れ、顔料100重量部に対し、2〜10重量部が配合さ
れる。
【0024】本発明の紙塗工用組成物を調整するには、
更にその他の添加剤、例えば分散剤(ピロリン酸ナトリ
ウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナ
トリウムなど)、消泡剤(ポリグリコール、脂肪酸エス
テル、リン酸エステル、シリコンオイルなど)、レベリ
ング剤(ロート油、ジシアンジアミド、尿素など)、防
腐剤、耐水化剤(ホルマリン、ヘキサミン、メラミン樹
脂、尿素樹脂、グリオキサルなど)、離型剤(ステアリ
ン酸カルシウム、フパラフィンエマルジョンなど)、蛍
光染料、カラー保水性向上剤(カルボキシメチルセルロ
ース、アルギン酸ナトリウムなど)などが必要に応じて
顔料100重量部に対し5重量部未満添加される。この
紙塗工用組成物は各種ブレードコーター、ロールコータ
ーなど通常の方法によって原紙に塗工し、表面を乾燥
し、カレンダリングなどにより仕上げて塗工紙を製造す
ることができる。
【0025】塗工形態としては原紙に対し片面、又は表
裏の両面に塗工することができ、また片面当たりの塗工
回数についても1回であるシングル塗工の他、2回の塗
工工程を行ういわゆるダブル塗工に供する事もできる。
この場合、本発明の共重合体ラテックスはその下塗り用
塗工組成物、及び上塗り用塗工組成物のいずれにも用い
る事ができる。本発明の共重合体ラテックスを使用した
紙塗工用組成物は、オフセット枚葉式印刷用紙、オフセ
ット輪転式印刷用紙、グラビア式印刷用紙、凸版式印刷
用紙等の各種印刷用紙及び板紙、ダンボール用紙、包装
紙等に好的に用いられる。更に本発明の共重合体ラテッ
クスは紙のコーティング剤、カーペットバッキング剤、
その他接着剤、各種塗料にも用いる事ができる。
【0026】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳細に説明す
る。 1) 共重合体ラテックスの製造例
【0027】
【実施例1】攪はん装置と温度調節用のジャケットを備
える耐圧反応容器にイオン交換水120重量部、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8重量部、過硫酸
カリウム0.6重量部、イタコン酸2重量部を仕込み窒
素置換により脱酸素を行い、内温が所定の温度に上昇し
た後、表1に示す条件に従い製造した。すなわち、一段
目の単量体と連鎖移動剤であるα−メチルスチレンダイ
ンマーを3.5時間かけて一定速度で、耐圧反応器に添
加した。更に二段目の単量体と、表1に記載されている
場合は、残りの連鎖移動剤を3.5時間かけて添加し、
添加完了後1時間反応温度を保持した後、冷却して反応
生成物を採取した。得られた反応生成物から未反応単量
体を除去し、水酸化ナトリウムでpHを8に調製し、固
形分を50%になるまで濃縮した。以上のようにして得
られた共重合体ラテックスのトルエン不溶分率、共重合
体ラテックス全体のガラス転移温度、トルエン可溶分の
ガラス転移温度を後に記載する方法で測定した。また、
塗工紙サンプルを後述の方法で調製し、物性評価を行い
結果を表2に示した。
【0028】
【実施例2〜4、比較例1〜4】共重合体ラテックスb
〜dおよびe〜hについても表1に示す条件で、実施例
1と同様に重合した。ただし重合の際、重合温度、一段
目および二段目の添加時間はそれぞれ表1に示した条件
によった。塗工紙のサンプルを調製し、実施例1と同様
に、共重合体ラテックスおよび塗工紙の物性評価を行っ
た。その結果を表2に示す。
【0029】
【実施例5〜8、比較例5〜8】2)塗工紙の調製例 表1の共重合体ラテックスa〜hを用いて下記の配合で
紙塗工用の塗工液を調製した。 (塗工液配合処方) カオリンクレー 70 重量部 重質炭酸カルシウム 30 重量部 ポリアクリル酸ナトリウム 0.2重量部 水酸化ナトリウム 0.1重量部 リン酸エステル化でんぷん 2.5重量部 共重合体ラテックス 12 重量部 水(塗工液の全固形分が64重量%となるように添加)
【0030】なお、カオリンクレーとしてはウルトラホ
ワイト90(ENGELHARD社製)、炭酸カルシウ
ムとしてはカービタル90(ECC社製)、ポリアクリ
ル酸ナトリウムとしてはアロンT−40(東亞合成社
製)およびリン酸エステル化でんぷんとしてはMS−4
600(日本食品加工社製)をそれぞれ使用した。得ら
れた塗工液を坪量75g/m2の上質塗工原紙に塗工量
が片面12g/m2となるように両面ブレード塗工し、
23℃、65%RHの恒温恒湿室にて12時間調湿し
た。これをスーパーカレンダー装置により、ロール温度
50℃、線圧147000N/mの条件で片面2回づつ
通紙し、塗工紙のサンプルを得た。共重合体ラテックス
およびこの塗工紙のサンプルについて下記の方法により
物性を評価した結果を表2に示す。
【0031】3) 物性評価方法 (トルエン不溶分率)共重合体ラテックス試料をガラス
板上に約1mmの膜厚になるように塗布し室温で一晩放
置乾燥後、130℃に調節した防爆型熱風循環式乾燥機
中で15分乾燥し、化学天秤で0.3g精秤後、トルエ
ン30mlの入った50mlの容器に入れ3時間常温で
振盪する。 予め重量を精秤した325メッシュの金網
でろ過し、前記条件の防爆型熱風乾燥機で1時間乾燥し
たのち計量し、以下の式でトルエン不溶分率を計算し表
2に示した。 トルエン不溶分率 % =(B−C)*100/A A:ラテックス塗膜重量 B:130℃乾燥後の金網およびろ過残留物重量 C:金網重量
【0032】(ガラス転移温度) 共重合体ラテックス全体のガラス転移温度 共重合体ラテックス試料をガラス板上に約1mmの膜厚
になるように塗布し、室温で一晩放置乾燥後、130℃
に調節した熱風循環式乾燥機中で15分乾燥し、約20
mgをオープン容器に充填し、示差走査熱量計DSC2
20C(セイコー電子工業製)で、15℃/分の昇温速
度でガラス転移温度を測定した。結果を表2の共重合体
ラテックスの全体ガラス転移温度Aに示した。
【0033】トルエン可溶分のガラス転移温度 トルエン不溶分率の測定時に325メッシュの金網を通
過した、ポリマー含有トルエンを、防爆型熱風循環式乾
燥機中130℃で、恒量になるまで乾燥し、得られた固
形物約20mgをオープン容器に充填し、示差走査熱量
計DSC220C(セイコー電子工業製)で、15℃/
分の昇温速度でガラス転移温度を測定した。結果を表2
のトルエン可溶分のガラス転移温度Bに示した。また、
共重合体ラテックス全体のガラス転移温度Aと、トルエ
ン可溶分のガラス転移温度Bの差を表2のガラス転移温
度の差A−Bに示した。
【0034】(ドライピック強度)RI印刷試験機(明
製作所)を用い、中央部に塗工紙(1.5cm×20c
mを並べて貼った台紙(30cm×25.5cm)に、
印刷インク(東華色素社製、商品名:SDスーパーデラ
ックス50紅B(タック18)0.5mlを25cm×
21cmの印刷面積で台紙ごと塗工紙に重ね刷りした。
ゴムロールに現れたピックの発生状態を別の台紙に転写
して目視評価した。評価は10点法で行いピックの発生
が少ないものほど高得点とし、表2に示した。
【0035】(耐ブリスター性)塗工紙を適当な大きさ
に裁断し、その試験片を所定の温度に調節したシリコン
オイルバスに浸漬し、ブリスターが発生するか否かを観
察した。オイルバスの温度を変化させながら同様に試験
を行い、各塗工紙についてブリスターの発生する温度を
測定した。発生温度が高いものほど耐ブリスター性に優
れ、結果を表2に示した。
【0036】(白紙面感測定)特開平6−222002
に記載された白紙面感測定装置(旭化成製)を用いて、
塗工紙の白紙面感を測定した。測定条件は、測定面積1
0mm×10mm、入射角度25度、測定結果は暗部平
均面積[mm2/個]をとして求め表2に示した。暗部
平均面積が小さいもの程白紙面感が良好である。表2か
ら明らかなように、本発明の共重合体ラテックスa〜d
はドライピック強度と耐ブリスター性のバランスが極め
て優れ、白紙面感も優れている。これに比較して比較例
に示した如く、本発明の範囲外にある共重合体ラテック
スについては、ドライピック強度と耐ブリスタ性のバラ
ンスが悪く、また白紙面感も良くない。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】本発明の共重合体ラテックスを含む塗工
紙用組成物を用いることにより、相反する特性であった
ドライピック強度、耐ブリスター性ともに優れ、しかも
白紙面感の優れた塗工紙が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 KA00 KB13 KB19 NB04 4J038 BA121 BA122 BA131 BA132 BA141 BA142 BA181 BA182 BA191 BA192 CA021 CA022 CA041 CA042 CA051 CA052 CA061 CA062 CA071 CA072 CA081 CA082 CC031 CC032 CE021 CE022 HA216 HA286 HA376 HA526 KA08 MA08 MA10 MA13 NA11 PC10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエン系単量体とその他共重合可能
    な単量体を乳化重合して得られる共重合体ラテックスで
    あって、 a)トルエン不溶分率が30〜90重量%であり b)トルエン可溶分のガラス転移温度が−10℃以下で
    あり c)共重合体ラテックス全体のガラス転移温度とトルエ
    ン可溶分のガラス転移温度の差が25℃以上であること
    を特徴とする共重合体ラテックス。
  2. 【請求項2】 無機顔料100重量部に対して請求項1
    記載の共重合体ラテックス3〜30重量部を含む水分散
    体であって、不揮発性成分が30〜75重量%の紙塗工
    用組成物
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005112878A (ja) * 2003-10-02 2005-04-28 Nippon Shokubai Co Ltd 重合体の水系分散体の製造方法
JP2007100034A (ja) * 2005-10-07 2007-04-19 Asahi Kasei Chemicals Corp インキ用アンカーコート剤

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