JP2005133259A - 耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物及び耐水耐油紙 - Google Patents

耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物及び耐水耐油紙 Download PDF

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拓也 岡本
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Abstract

【課題】 耐水性、耐油性および耐ブロッキング性に優れ、離解しやすい耐水耐油紙、該耐水耐油紙に好適な耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物および該耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物を主成分として含む耐水耐油紙用塗工組成物を提供する。
【解決手段】 水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下、単量体を重合して得られる重合体(a)を含む重合体ラテックス(A)、および水性媒体中、アニオン性界面活性剤の存在下、単量体を重合して得られる重合体(b)を含む重合体ラテックス(B)からなる耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物及び耐水耐油紙に関し、さらに詳しくは、耐水性、耐油性および耐ブロッキング性に優れ、離解しやすい耐水耐油紙、該耐水耐油紙に好適な耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物、及び該耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物を主成分として含む耐水耐油紙用塗工組成物に関する。
耐水耐油紙は、水分及び油脂の浸透を抑制ないし防止する能力のある紙であり、例えば、揚げたてのフライドポテトやフライドチキンなどの油脂分および若干の水分を含む食品に接するシートや包装体として汎用されている。
紙に耐水性及び耐油性を付与する方法としては、耐水性および耐油性の合成樹脂フィルムを紙表面にラミネートする方法がある。しかしながら、このような耐水耐油紙は、耐水耐油紙の使用後にリサイクルしようとする場合に、離解性が無く、再生原料として回収が困難であるという欠点を有する。
また、紙に耐水性および耐油性を持たせるためにフッ素系高分子を紙に内添させる方法があるが、このような耐水耐油紙を焼却廃棄する際に、フッ素系高分子中のフッ素原子に由来する環境問題が発生する場合がある。
そこで、フッ素系高分子を使用しなくても、離解性があり、資源回収が可能な耐水耐油紙を得る方法が各種提案されている。
例えば、アクリル系エマルジョンにワックス系エマルジョンをブレンドして塗布した、易離解性である再生可能な耐水耐油紙が提案されているが(特許文献1参照)、耐水性が不十分な上に、製品の巻き取り状態または平版の推積状態など、保管または運搬される場合に、紙同士がくっつく、いわゆるブロッキングによる不具合が起きやすく、耐ブロッキング性の改善が求められている。
また、ガラス転移温度が10〜28℃であるアクリル系エマルジョンを塗布した耐水耐油紙が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この耐水耐油紙は、耐水性が不十分であり、製造直後など比較的高温の条件下での耐ブロッキング性については満足いくものではなかった。
さらに、顔料100重量部に対して、アクリル系エマルジョンとスチレン−ブタジエン系エマルジョンの混合物50〜200重量部を配合してなる塗料を原紙に塗布した耐水耐油紙が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この耐水耐油紙は、耐油性に優れ、比較的離解し易いものの、耐ブロッキング性は不十分であった。
特開平9−3795号公報 特開平9−111693号公報 特開2002−13095号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑み、耐水性、耐油性および耐ブロッキング性に優れ、離解しやすい耐水耐油紙、該耐水耐油紙に好適な耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物、及び該耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物を主成分として含む耐水耐油紙用塗工組成物を提供することにある。
本発明者らは、この目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子の存在下に単量体を重合して得られた重合体ラテックスと、水性溶媒中、アニオン性界面活性剤の存在下に単量体を重合して得られた重合体ラテックスとを混合して用いることで、耐水性、耐油性および耐ブロッキング性に優れ、離解しやすい耐水耐油紙が製造できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下、単量体を重合して得られる重合体(a)を含む重合体ラテックス(A)、および水性媒体中、アニオン性界面活性剤の存在下、単量体を重合して得られる重合体(b)を含む重合体ラテックス(B)からなる耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物を主成分として含む耐水耐油紙用塗工組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、原紙上に、前記の耐水耐油紙用塗工組成物を塗工してなる耐水耐油紙が提供される。
本発明によれば、耐水性、耐油性及び耐ブロッキング性に優れ、離解し易く再生可能な耐水耐油紙、該耐水耐油紙に好適な耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物、及び該耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物を主成分として含む耐水耐油紙用塗工組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物は、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下、単量体を重合して得られる重合体(a)を含む重合体ラテックス(A)、および水性媒体中、アニオン性界面活性剤の存在下、単量体を重合して得られる重合体(b)を含む重合体ラテックス(B)からなる。
(重合体ラテックス(A))
本発明で用いる重合体ラテックス(A)は、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下、単量体を重合して得られる重合体(a)を含むものである。
単量体としては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限されないが、例えば、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などが挙げられる。
共役ジエン単量体として、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。なかでも、1,3−ブタジエンが好ましく使用できる。
芳香族ビニル単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどが挙げられる。なかでも、スチレンが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体として、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリルなどが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロニトリルが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体及びその無水物;フマル酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体の部分エステル化物;などが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体として、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
これら単量体以外にも、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンなどを使用することができる。
上記の単量体は、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
上記の単量体のうち、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましく使用できる。
得られた重合体ラテックス(A)の機械的安定性および配合安定性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須で使用することが好ましく、その使用量は、重合で使用する単量体全量に対して0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
本発明で用いる水性媒体としては、通常、水が使用でき、メタノール、エタノールなどのアルコール;アセトン、テトラヒドロフランなどの水溶性有機溶媒を含有する水溶液を使用することもできる。
水性媒体の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは90〜900重量部、より好ましくは100〜500重量部である。
本発明で用いるアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子(以下、「アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物」と略する場合がある。)としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその各種変性物などのビニルアルコール系重合体;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチル澱粉、酸化澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、トラガントゴム、ポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。なかでも、工業的に品質が安定したものを入手しやすい点から、ビニルアルコール系重合体が好ましく使用できる。
前記ビニルアルコール系重合体は、実質的に水溶性であって安定なラテックスが得られるものであれば、その他の条件には制限はなく、カルボン酸ビニルエステル単量体を主体とするエチレン性不飽和単量体を従来公知の方法で重合して得たカルボン酸ビニルエステル重合体(即ち、カルボン酸ビニルエステル単量体の単独重合体、2種以上のカルボン酸ビニルエステル単量体の共重合体、並びにカルボン酸ビニルエステル単量体およびこれと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体の共重合体)を常法によりけん化して得られる。また、分子の主鎖、側鎖又は末端にメルカプト基などの変性基を導入したものを使用することもできる。
前記カルボン酸ビニルエステル単量体としては、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、その具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。なかでも工業的に製造され安価な酢酸ビニルが一般的である。
また、カルボン酸ビニルエステル単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を1種以上共存させ、共重合することも可能である。これら共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸モノエチル、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;及び3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム基含有単量体;ビニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
前記カルボン酸ビニルエステル重合体のけん化度は、変性基の有無及びその種類に依存して変化するが、得られるビニルアルコール系重合体の水溶性などの観点から、40〜99.99モル%であることが好ましく、50〜99.9モル%がより好ましく、60〜99.5モル%が更に好ましい。けん化度が40モル%未満の場合には重合体粒子の分散安定性が低下する。前記カルボン酸ビニルエステル重合体の粘度平均重合度は、通常、50〜8,000、好ましくは100〜6,000、より好ましくは100〜5,000である。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の使用量は、重合に使用する単量体100重量部当たり、好ましくは0.5〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。水溶性高分子化合物をこの範囲で使用して得られた重合体ラテックス(A)を用いると、耐油性および耐ブロッキング性に優れ、より離解しやすい製品を得ることができる。
この使用量が少なすぎると、重合時の安定性が悪く凝集物が多量に発生したり、得られた重合体ラテックスの機械的安定性及び化学的安定性が低下したりする傾向があり、逆に多すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になったり、得られた重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となったりする傾向がある。
重合体ラテックス(A)の製造においては、乳化重合において通常使用される、ノニオン性、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤などの各種の界面活性剤を、本発明の効果を実質的に損なわない範囲で併用してもよいが、使用しないことが特に好ましい。前記界面活性剤を併用する場合、その使用量は、重合に使用する単量体100重量部当たり、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下である。
単量体の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、単量体を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、単量体を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体を連続的に反応容器に添加する場合の単量体の添加速度は、特に制限はないが、重合系内の重合転化率(この重合転化率は、その時点で、既に反応容器に添加された単量体全量に対する重合転化率をいう。)が10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上を保つように制御するのが好ましい。この添加速度が速すぎると、重合安定性が低下して、粗大凝集物が発生しやすい傾向があり、逆に遅すぎると、重合系の粘度が上昇して重合反応熱の除去が困難になる傾向がある。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体およびアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法としては、両者を別々に反応容器に添加しても、両者を混合して反応容器に添加してもよい。なかでも、重合安定性に優れる点で、両者を混合して反応容器に添加する方法が好ましく、単量体、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物および水性媒体を混合して得られる単量体乳化物を反応容器に添加する方法がより好ましく採用できる。
重合体ラテックス(A)の製造においては、単量体の重合をアルコールの存在下で行なうことが好ましい。アルコールの存在下に重合を行なうことにより、粗大凝集物の発生を抑制しながら、安定的に重合反応を行なうことができる。
ここで使用できるアルコールは、格別限定されることはなく、1価及び多価のいずれでもよいが、水溶性のものが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどを挙げることができる。
アルコールの使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部である。
アルコールの添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法が好ましく採用できる。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤であれば特に限定されないが、過酸化物ラジカルを発生するものを使用することが好ましい。
過酸化物ラジカルを発生する重合開始剤の具体例としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの水溶性過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの油溶性過酸化物;過酸化物と重亜硫酸水素ナトリウムなどの各種還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤などを挙げることができる。なかでも水溶性過酸化物が好適であり、過硫酸塩が特に好適である。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。
重合開始剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。
重合に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、連鎖移動が起こるものであれば特に制限はなく、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどのメルカプト基を有する化合物;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンなどのα−メチルスチレンダイマー類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノールなどのフェノール系化合物;アリルアルコール、アクロレイン、メタクロレインなどのアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド、ターピノレン、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタンなどを挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、単量体100重量部に対して、通常、5重量部以下である。連鎖移動剤の添加方法は、特に限定されず、一括添加しても、断続的に又は連続的に重合系に添加してもよい。
重合においては、上記したもの以外に、乳化重合において通常使用される、粒子径調整剤、キレート剤、脱酸素剤、分散剤、pH調整剤、無機塩などの重合副資材を適宜用いることができる。
重合温度は、特に制限はないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
以上のようにして重合反応を行い、所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加したり、重合系を冷却したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは92重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。重合反応を停止した後、所望により、未反応単量体を除去し、pHや固形分濃度を調整して重合体(a)を含む重合体ラテックス(A)が得られる。
重合体ラテックス(A)を構成する重合体(a)は、重合に使用した単量体に由来する重合体と、重合に使用したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の一部とが結合したものであることが好ましい。
重合に使用した単量体に由来する重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の量(以下、「グラフト率」という場合がある。)は、重合に使用した単量体に由来する重合体全量に対して、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。
このグラフト率が少なすぎると耐油性の確保が困難になり、逆に多すぎると、ラテックス粘度が上昇して取り扱い難くなったり、表面強度が低下したりする傾向がある。
重合体(a)のガラス転移温度は、好ましくは−20〜50℃、より好ましくは−10〜45℃である。ガラス転移温度が上記範囲にあると、耐油性および耐ブロッキング性のバランスにより優れる耐水耐油紙が得られる。
なお、このガラス転移温度は、常法に従い、前記の単量体の中から適宜その種類と使用量を選択することにより調節できる。
重合体(a)の体積平均粒子径は、好ましくは80〜800nm、より好ましくは100〜600nmである。粒子径が上記範囲にあると、耐水性および耐油性のバランスにより優れる耐水耐油紙が得られる。この粒子径は、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の種類や使用量および重合開始剤の使用量を適宜選択するなどして調節できる。
重合体ラテックス(A)には、所望により、例えば、分散剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を適宜添加することができる。
(重合体ラテックス(B))
本発明に用いる重合体ラテックス(B)は、水性媒体中、アニオン性界面活性剤の存在下、単量体を重合して得られる重合体(b)を含む。
単量体としては、重合体ラテックス(A)において例示したものと同様のものが使用できる。
なかでも、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましく使用できる。
得られた重合体ラテックス(B)の機械的安定性および配合安定性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須で使用することが好ましく、その使用量は、重合で使用する単量体全量に対して0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
水性媒体としては、重合体ラテックス(A)において例示したものと同様のものが使用できる。なかでも、水が好ましく使用できる。
水性媒体の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは90〜300重量部である。
アニオン性界面活性剤としては、乳化重合において通常使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、有機硫酸エステル塩系界面活性剤、有機スルフォン酸塩系界面活性剤、有機カルボン酸塩系界面活性剤などが挙げられる。
有機硫酸エステル塩系界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリウムなどの炭素数12〜20のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸アンモニウムなどの炭素数12〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイド付加数2〜30のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩;などが挙げられる。
有機スルフォン酸塩系界面活性剤としては、例えば、ラウリルスルフォン酸ナトリウム、ラウリルスルフォン酸カリウム、ステアリルスルフォン酸ナトリウムなどの炭素数12〜20のアルキルスルフォン酸塩;ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルフォン酸カリウムなどの炭素数12〜30のアルキルベンゼンスルフォン酸塩;ドデシルナフタレンスルフォン酸ナトリウムなどの炭素数12〜30のアルキルナフタレンスルフォン酸塩;ラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどの炭素数20〜40のジアルキルスルホコハク酸塩;ドデシルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウムなどの炭素数20〜40のアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩;ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩などが挙げられる。
有機カルボン酸塩系界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルチミン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの炭素数10〜20の脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸トリエタノールアミン等の炭素数15〜60を有し、エチレンオキサイド付加数が2〜20であるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などが挙げられる。
上記のアニオン界面活性剤は、1種または2種以上併用して用いることができる。上記アニオン界面活性剤のなかでも、有機硫酸エステル塩系界面活性剤が好ましく、アルキル硫酸エステル塩がより好ましく、ラウリル硫酸ナトリウムが特に好ましく使用できる。
アニオン界面活性剤の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは0.3〜5重量部、より好ましくは0.5〜3重量部である。
また、本発明の効果を実質的に損なわない範囲において、乳化重合に通常使用されるノニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤を併用することができる。しかしながら、耐水性を損なう場合があるので、アニオン界面活性剤以外のものは使用しないことが好ましい。
重合開始剤としては、前記したものと同様のものが使用できる。なかでも、過硫酸塩が好ましく使用できる。その使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜2重量部である。
重合体ラテックス(B)を製造するにあたり、前記した以外は、乳化重合において従来公知の方法を採用すればよい。
重合温度は、特に制限はないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
以上のようにして重合反応を行い、所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加したり、重合系を冷却したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは92重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。重合反応を停止した後、所望により、未反応単量体を除去し、pHや固形分濃度を調整して重合体(b)を含む重合体ラテックス(B)が得られる。
重合体(b)のガラス転移温度は、好ましくは−20〜50℃、より好ましくは−10〜45℃である。ガラス転移温度が上記範囲にあると、耐水性および耐ブロッキング性のバランスにより優れる耐水耐油紙が得られる。
なお、このガラス転移温度は、常法に従い、前記の単量体の中から適宜その種類と使用量を選択することにより調節できる。
重合体(b)の体積平均粒子径は、好ましくは60〜300nm、より好ましくは70〜200nmである。粒子径が上記範囲にあると、耐水性および耐油性のバランスにより優れる耐水耐油紙が得られる。この粒子径は、アニオン性界面活性剤の種類や使用量および重合開始剤の使用量を適宜選択するなどして調節できる。
重合体ラテックス(B)には、所望により、例えば、分散剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を適宜添加することができる。
(耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物)
本発明の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物は、前記の重合体ラテックス(A)および重合体ラテックス(B)からなるものである。重合体ラテックス(A)または重合体ラテックス(B)を単独で用いても本発明の効果が得られない。
重合体ラテックス(A)と重合体ラテックス(B)の固形分換算の混合割合は、重量比で、20/80〜80/20の範囲であることが好ましく、30/70〜70/30の範囲であることがより好ましい。混合割合を上記範囲内にすると、耐油性、耐水性および耐ブロッキング性のバランスにより優れる耐水耐油紙が得られる。
本発明においては、重合体(a)及び重合体(b)のガラス転移温度は、両者共、−20〜50℃の範囲にあることが好ましく、−10〜45℃の範囲にあることがより好ましい。
本発明の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物には、所望により、例えば、分散剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を適宜添加することができる。
(耐水耐油紙用塗工組成物)
本発明の耐水耐油紙用塗工組成物は、前記の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物を主成分として含むものである。
耐水耐油紙用塗工組成物中の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物の含有量は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。勿論、前記の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物のみを耐水耐油紙用塗工組成物として用いることができる。
本発明の耐水耐油紙用塗工組成物には、例えば、顔料、ワックスエマルジョン、水溶性高分子などを配合することができる。
顔料としては、例えば、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、硫酸バリウム、雲母、酸化チタン、サチンホワイト等の無機顔料;プラスチックピグメント等の有機顔料が挙げられる。顔料の配合量は、耐水耐油紙用重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。
ワックスエマルジョンとしては、例えば、パラフィン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、マイクロクリスタリン系ワックスからなるエマルジョンが挙げられる。ワックスエマルジョンの配合量は、耐水耐油紙用重合体ラテックス固形分100重量部に対して、固形分で、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
本発明の耐水耐油紙用塗工組成物は、本発明の効果を実質的に損なわない限り、前記の重合体ラテックス(A)および(B)以外の重合体ラテックスを配合したものであってもよい。
本発明の耐水耐油紙用塗工組成物には、所望により、例えば、分散剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を適宜添加することができる。
(耐水耐油紙)
本発明の耐水耐油紙は、前記耐水耐油紙用塗工組成物を原紙に塗工してなる。
原紙としては、板紙、洋紙いずれでもよく、坪量が10〜1500g/m2のものが使用できる。また、原紙としては、予めサイズ剤によって耐水性を付与したものや、顔料を塗工した塗工紙であっても、印刷を施したものであってもよい。
塗工方法は、特に限定されないが、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ショートドウエルコーター等の塗工装置を用いることができる。塗工後、乾燥することにより、耐水耐油紙が得られる。
乾燥温度は通常50℃以上である。
塗工量は、耐水耐油紙用塗工組成物の固形分換算で、片面あたり、好ましくは1〜30g/m2、より好ましくは3〜15g/m2である。
塗工後、さらにスーパーカレンダー、ソフトニップカレンダーなどの仕上げ装置を通して、平滑化処理を行なってもよい。
本発明の耐水耐油紙は、揚げたてのフライドポテト、フライドチキン、てんぷら及びコロッケやパン、スナック菓子、洋菓子等の油脂分を含む食品用シート、皿、カップ、包装紙及び包装箱として好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、%及び部はとくに断らない限りすべて重量基準である。
評価は以下のように行なった。
(重合体ラテックスのガラス転移温度)
得られた重合体ラテックスをガラスモールドに流延し、厚さ0.3mmの乾燥フィルムを作成した。このフィルムについて、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分で、−100〜150℃の測定温度範囲で測定した。
(重合体ラテックスの体積平均粒子径)
光散乱粒子径測定器(コールターLS230:コールター社製)を用いて測定した。
(重合体ラテックス(A)におけるグラフト率)
得られた重合体ラテックス(A)の固形分濃度を10%に調整して、その60gを試料とする。試料を、5℃で、13,000rpm、60分間の条件で遠心分離し、上澄み液を40g回収する。沈降層(20g)に蒸留水40gを添加して均一にした後、同一条件で再度遠心分離して、上澄み液40gを回収し、沈降層について再度同一操作を繰り返す。3回の遠心分離で得られた上澄み液合計120gの固形分を測定し、上澄み液中の固形分量を計算する。これが、重合で生成した重合体に結合しなかったポリビニルアルコールの量(A)である。試料中における仕込みから計算される全ポリビニルアルコールの重量(B)より(A)を減じて、重合で生成した重合体に結合したポリビニルアルコールの量(C)とする。これらの値から、下記式によりグラフト率(重合に使用した単量体に由来する重合体100部に対して、該重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の量(%))を計算する。
グラフト率=〔C/(6−B)〕×100(%)
(耐油性)
TAPPI(Technical Association of Pulp and Paper Industry) UM−557の規定に従い、ひまし油、トルエンおよびn−ヘプタンから成り、それぞれの混合比が異なる試験液を耐水耐油紙の塗工面に1滴滴下し、15秒後にティシュペーパーで滴下した試験液をふき取って、試験後の浸透による汚れ、すなわち油分がしみこんで汚れた部分が生じなくてもはっきりとした黒い点が認められたら不合格とし、合格した最大の液番号を、耐油度として示す。この値が大きいほど、耐油性に優れる。
第1表に試験液の混合比と耐油度を示す。
Figure 2005133259
(耐水性)
TAPPI(Technical Association of Pulp and Paper Industry)スタンダード T441 om−84に準じて、試験時間120秒での、Cobb吸水を測定した。この数値が小さいほど、耐水性に優れている。
(耐ブロッキング性)
耐水耐油紙の塗工面と市販の上質紙を対面させ、それを線圧100kg/cmの条件で、上質紙が加熱ロールに接するように、150℃の加熱ロールと弾性ロールとの間を一度通過させた。処理後の試験片の温度が室温まで戻った後、耐水耐油紙と上質紙を手で剥がし、以下の基準で評価した。一つのサンプルについて、10回試験を行い、単純平均化した点数で示す。
5点:きれいに剥がれる。
4点:10%未満の部分に、上質紙が融着している。
3点:10〜30%の部分に、上質紙が融着している。
2点:30%を超え、50%以下の部分に、上質紙が融着している。
1点:塗工液の50%を超える部分に、上質紙が融着している。
(離解性)
耐水耐油紙を裁断して、3cm×3cmの大きさの試験片を製作する。この試験片を合計10gとなる枚数を(ただし、これらの試験片の重量が10gに満たない場合は、さらに耐水耐油紙を裁断した小片を1枚追加し、合計量を10gとする。)、30℃の水道水500gに投入する。これをミキサーに入れて、10分間攪拌し、離解処理を行なった。得られたスラリーを取り出し20cm×25cmの大きさに手抄きし、120℃のオーブンで20分間乾燥した。得られたシート中の未離解物(塗膜片、紙片など)を目で観察して評価した。
未離解物の最大のものが、2mm四方未満の場合○、2〜5四方未満の場合△、5mm四方を越える場合は×で示し、夫々以下のように判断した。
○:離解性に優れる。
△:離解性がやや劣る。
×:離解性が劣る。
(合成例1)
耐圧容器に、脱イオン水130部、スチレン59部、1,3−ブタジエン40部、メタクリル酸1部及びポリビニルアルコール(重合度500、ケン化度88モル%;PVA−205、クラレ社製)15部を仕込み、混合・撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水47部およびエタノール4部を仕込み、80℃に昇温した。80℃を維持しながら、過硫酸カリウム2部を脱イオン水35部に溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物を4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。単量体乳化物の添加を完了した後、さらに3時間反応させ、次いで重合系を冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は96%であった。
得られた重合体ラテックスから、未反応単量体を除去した後、pHを8に、固形分濃度を30%に調整して、重合体ラテックスA1を得た。
重合体ラテックスA1の物性を測定して、その結果を第2表に示す。
(合成例2及び3)
単量体組成およびポリビニルアルコールの使用量を、第2表に示すように変更した以外は、合成例1と同様に重合して、重合体ラテックスA2およびA3を得た。重合体ラテックスA2およびA3物性を測定して、それらの結果を第2表に示す。
(合成例4)
耐圧容器に、脱イオン水50部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、スチレン69部、1,3−ブタジエン30部及びメタクリル酸1部を仕込み、混合・撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水60部及びラウリル硫酸ナトリウム0.6部を仕込み、80℃に昇温した。80℃を維持しながら、過硫酸カリウム0.5部を脱イオン水10部に溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物および過硫酸カリウム0.5部を脱イオン水15部に溶解した水溶液を、4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。これらの添加を完了した後、さらに3時間反応を継続し、次いで、重合系を冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は97%であった。
得られた重合体ラテックスから、未反応単量体を除去し、pHを8に、固形分濃度を40%に調整して、重合体ラテックスB1を得た。
重合体ラテックスB1の体積平均粒子径およびガラス転移温度を測定し、その結果を第2表に示す。
単量体組成を第2表に示すように変更した以外は、合成例4と同様に重合して、重合体ラテックスB2を得た。重合体ラテックスB2の体積平均粒子径およびガラス転移温度を測定し、その結果を第2表に示す。
Figure 2005133259
(実施例1)
重合体ラテックスA1を50部(固形分換算)および重合体ラテックスB1を50部(固形分換算)を混合して、耐水耐油紙用塗工組成物を調製した。
坪量310g/m2のコート白ボール原紙の片面に、前記の耐水耐油紙用塗工組成物を、乾燥固形分量で6g/m2になるように塗工し、100℃の熱風乾燥機で30秒間乾燥した。その後、温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に、1昼夜放置して耐水耐油紙を得た。この耐水耐油紙の耐油度、耐水性、耐ブロッキング性および離解性の評価を行い、その結果を第3表に示す。
(実施例2〜比較例2)
耐水耐油紙用塗工組成物として、第3表に示す組成のものを用いる以外は、実施例1と同様に塗工して、耐水耐油紙を得た。これらの耐水耐油紙の耐油度、耐水性、耐ブロッキング性および離解性の評価を行い、それらの結果を第3表に示す。
Figure 2005133259
第3表から、以下のようなことがわかる。
重合体ラテックスA1のみを用いた耐水耐油紙は、耐水性に劣る(比較例1)。
重合体ラテックスB2のみを用いた耐水耐油紙は、耐油性に劣り、離解し難い(比較例2)。
これらの比較例に対して、本発明の耐水耐油紙は、耐油度、耐水性および耐ブロッキング性に優れ、離解し易く、再利用し易いものである(実施例1〜3)。

Claims (8)

  1. 水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下、単量体を重合して得られる重合体(a)を含む重合体ラテックス(A)、および水性媒体中、アニオン性界面活性剤の存在下、単量体を重合して得られる重合体(b)を含む重合体ラテックス(B)からなる耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物。
  2. 重合体ラテックス(A)と重合体ラテックス(B)の固形分換算の混合割合が、重量比で20/80〜80/20である請求項1記載の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物。
  3. 重合体(a)のガラス転移温度が−20〜50℃であり、かつ重合体(b)のガラス転移温度が−20〜50℃である請求項1または2項に記載の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物。
  4. 重合体ラテックス(A)が、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物0.5〜100重量部の存在下、単量体100重量部を重合して得られる重合体(a)を含むものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物。
  5. 重合体(a)が、重合に使用した単量体に由来する重合体と、重合に使用したアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の一部とが結合したものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物。
  6. 重合に使用した単量体に由来する重合体全量に対する、該重合体に結合したアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の量が0.5〜50重量%である請求項5に記載の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐水耐油紙用重合体ラテックス組成物を主成分として含む耐水耐油紙用塗工組成物。
  8. 原紙上に、請求項7記載の耐水耐油紙用塗工組成物を塗工してなる耐水耐油紙。

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