JP2016191167A - 耐水耐油紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 良好な耐水性と耐油性を保持するとともに、ブロッキングが生じにくく、多色オフセット印刷適性の良好な耐水耐油紙を提供すること。【解決手段】基紙の少なくとも一方の面に、バインダと無機顔料を含む塗工層を設けてなり、前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体50〜75質量%と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%とからなり、かつ、前記無機顔料の平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、前記無機顔料は前記バインダ100質量%に対して固形分換算で120〜150質量%の範囲で用いられることを特徴とする耐水耐油紙。【選択図】図3

Description

本発明は、基紙の一方面または両面に塗工層を有する耐水耐油紙に関する。特に本発明は耐水性が良好で、塗工層と非塗工層、塗工層と塗工層のブロッキングを生じない耐水耐油紙に関するものである。
耐水耐油紙は、冷凍用食品の包装材やワインラベル等の分野で使用されている。このような耐水耐油紙としては結露した場合でも、波打ちやしわが発生しないラミネート紙やフィルム貼合紙及び合成紙が使用されてきたが、これら従前の耐水耐油紙は焼却時の熱量が大きいなどの廃棄時の問題があることから、近年ではアクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙が主流となっている。
このようなアクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙では、塗工層のバリアー性を向上させるため、ガラス転移点の比較的低いアクリル系樹脂が使用されている。これにより、アクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙は、塗工層の粘着性が比較的高く、巻取りや平版で積み重ねた状態で保管する際や運搬する際に、塗工層と非塗工層、若しくは塗工層と塗工層が接着する所謂ブロッキングが生じやすくなる。
上記のブロッキングを改善する構成としては、液体吸収性をコッブ吸水度で50〜20g/m2・2分の範囲にコントロールした基紙にTgが10〜28℃の範囲にあるアクリル系樹脂エマルジョンを固形分で3〜20g/m2塗工し加熱乾燥した耐水耐油紙が提案されている(例えば、特許文献1)。さらに、ガラス転移点が−40℃〜25℃の範囲であるアクリル系合成ゴムを1種類以上含む接着剤成分100重量部に、少なくとも1種類以上の無機顔料を10〜120重量部と、架橋剤を0.1重量部以上配合してなる塗料が、紙基材の少なくとも片面に塗布された耐水耐油紙も提案されている(例えば、特許文献2)。
特開平9−111693号公報 特開2005−82920号公報
しかしながら、特許文献1のようにアクリル樹脂のみからなる塗工層では、強い耐水性は得られるものの、前述の通り塗工層の粘着性が比較的高くなるためにブロッキング性の問題を大きく改善するには至らない。さらに、多色オフセット印刷をした場合、インクの着肉性が悪くなり、良好な印刷面を得ることができないという問題もある。また、特許文献2のようにガラス転移点が低いアクリル系樹脂エマルジョンを主剤とした場合、耐水性と耐油性はえられるものの、ブロッキング性の課題が残ることとなる。
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、良好な耐水性及び耐油性を保持するとともに、ブロッキングが生じにくく、多色オフセット印刷適性の良好な耐水耐油紙を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記の課題解決のため、本発明の耐水耐油紙は、基紙の少なくとも一方の面に、バインダと無機顔料を含む塗工層を設けてなる耐水耐油紙であって、前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体を50〜75質量%と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体を12.5〜37.5質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%とからなり、かつ、前記無機顔料の平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、前記無機顔料は前記バインダに対して固形分換算で120〜150質量%の範囲で用いられることを特徴とする。
このような構成によれば、塗工層に3種のバインダを適切な割合で配合していることにより、冷凍食品用の包装材等として十分な耐水性と耐油性を有しながらも、インク着肉性に優れ、ブロッキングが生じにくい耐水耐油紙を得ることができる。
なおここで、十分な耐水性の目安としては、塗工層面のJIS P−8140の接触時間120秒後におけるコッブ吸水度が3g/m2以下であることが好ましく、十分な耐油性の目安としては、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.41(2000)における、紙及び板紙−はつ油度試験方法−キット法耐油度が12級以上であることが好ましい。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無機顔料は、炭酸カルシウム、酸化チタン、デラミクレーの中から選ばれた1種又は2種以上であってもよい。
このような構成によれば、炭酸カルシウム、酸化チタンは耐水性の向上に寄与するためにこれらを用いれば耐水性をより向上させることができる。また、デラミクレーは平板状の形態を有するため少量の配合でも耐油性の向上に寄与する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層は、基紙片面あたり固形分で10〜18g/m2の範囲で塗工されるものであってもよい。
このような構成によれば、十分な耐水性及び耐油性を有することに加え、ブリスターが発生しにくく外観にも優れた耐水耐油紙が得られる。
また、本願発明は、耐水耐油紙の製造方法に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係る耐水耐油紙の製造方法は、基紙を準備する基紙準備ステップと、バインダと無機顔料を含む塗工液を調整する塗工液調製ステップと、前記基紙に前記塗工液を片面あたり固形分で10〜18g/m2の範囲で塗工する塗工ステップと、を有する。前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体50〜75質量%と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%とを混合してなり、前記無機顔料は、平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、前記バインダ100質量%に対して固形分換算で120〜150質量%の範囲で用いられることを特徴とする。
このような構成によれば、十分な耐水性と耐油性を有しながらも、優れたインク着肉性と耐ブロッキング性を兼ね備えた耐水耐油紙を容易に製造することができる。
また、本願発明は、耐水耐油紙の塗工層用塗工液に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係る耐水耐油紙の塗工層用塗工液は、バインダと無機顔料とを含み、前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体50〜75質量%と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%とからなり、前記無機顔料は、平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、前記バインダ100質量%に対して固形分換算で120〜150質量%の範囲であることを特徴とする。
このような構成によれば、適当な基紙に当該塗工層用塗工液を塗工することで、十分な耐水性と耐油性を有しながらも、インク着肉性に優れ、ブロッキングが生じにくい耐水耐油紙を得ることができる。
本発明によれば、優れた耐水性と耐油性を保持すると共に、長時間の保管や運搬の際に塗工面と非塗工面同士、または塗工面と塗工面がブロッキングしない上に、多色オフセット印刷適性のインク着肉性が改善された耐水耐油紙を提供することができる。
実施例におけるバインダの配合を示す図表である。 実施例における無機顔料の配合を示す図表である。 実施例により得られた耐水耐油紙の物性を示す図表である。 比較例におけるバインダの配合を示す図表である。 比較例における無機顔料の配合を示す図表である。 比較例により得られた耐水耐油紙の物性を示す図表である。
以下、本発明について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
先にも述べたように、本発明に係る耐水耐油紙は、基紙の一方の面または両面に耐水性と耐油性を付与した塗工層を有するものである。
(基紙)
本発明の耐水耐油紙に用いる基紙は、パルプを主成分とする。ここで使用するパルプとしては、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)とNBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の木材パルプを主に用いることができる。他のパルプとしては、亜硫酸パルプ(SP)、ソーダパルプなどの化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)などの機械パルプや、古紙、ワラ、バガス、ヨシ、ケナフなどの非木材パルプについても本発明の目的とする効果を損ねない範囲で用いることができる。
本発明の基紙は填料を含有してもよい。填料の種類に制限はないが、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、デラミクレー、酸化チタン、ゼオライト、プラスチックピグメント等の公知の填料を適宜使用することができる。
本発明に用いる基紙には、前記したパルプと填料以外の製紙用添加剤も本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。このような製紙用添加剤としては、ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸等のサイズ剤、カチオン澱粉、両性澱粉、エステル化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤、硫酸バンド、濾水性向上剤、歩留向上剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤等が挙げられる。
基紙の抄造方法としては、特に限定するものでなく、長網抄紙機、円網抄紙機、あるいは長網と円網のコンビネーション、ツインワイヤー抄紙機、オントップツインワイヤー抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイヤーなど公知の抄紙機を用いて抄造することができる。
また、基紙の抄紙方法についても特に限定するものではなく、基紙の抄紙方法は、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙のいずれの方式でも抄紙することができる。基紙の坪量は、耐水耐油紙の用途に応じて定めることができ、例えば、包装用途であれば40〜300g/m2とすることができる。また、ラベル用途であれば70〜180g/m2とすることができる。
また基紙には、必要に応じて、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの接着剤をサイズプレスなどにより塗工してもよく、この際に、必要に応じて表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤、蛍光染料などの助剤を加えて塗工を行ってもよい。
(塗工層)
本発明の耐水耐油紙は、基紙の少なくとも一方の面にバインダと無機顔料とを含有する塗工層を設けたものである。
(バインダ成分)
本発明の塗工層に使用するバインダとしては、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体(以下、バインダ(A)と表すことがある)と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(以下、バインダ(B)と表すことがある)と、及びガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(以下、バインダ(C)と表すことがある)の混合物を使用する。
これら3種のバインダ成分をそれぞれ単独で使用した場合に、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体(バインダ(A))では、ブロッキングの問題は生じないが耐水性と耐油性があまり向上しない傾向にある。また、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(C))では、耐水性と耐油性を大きく向上させるものの、その一方でブロッキングの問題が生じる。
次いで、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(B))では、おおよそバインダ(A)とバインダ(C)の中間程度の傾向を示し、耐水性と耐油性の向上効果は、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体(バインダ(A))よりは高いが、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(C))よりは低いものとなる。ブロッキングの問題についても同様で、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(C))ほどではないがブロッキングの問題も生じる。
このため本発明では、バインダとしてガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体(バインダ(A))を主剤として、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン共重合体(バインダ(B))とガラス転移点が0〜10℃のスチレン−ブタジエン共重合体(バインダ(C))を所定の割合で混合することで、耐ブロッキング性が良好なことに加え、十分な耐水性と耐油性を有する塗工層を形成できることを見出したものである。
本発明では、バインダとして固形分換算で、ガラス転移点が35〜45℃のアクリル系共重合体(バインダ(A))を50〜75質量%、ガラス転移点が15〜25℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(B))を12.5〜37.5質量%、及びガラス転移点が0〜10℃あるスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(C))を12.5〜37.5質量%の混合物を用いたものである。
主剤であるガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体(バインダ(A))の配合率が50質量%を下回るとブロッキングの問題が生じやすくなり、逆に75質量%を上回ると十分な耐水性と耐油性が得られない。
また、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン共重合体(バインダ(B))の配合率が12.5質量%を下回るとブロッキングの問題が生じやすくなり、逆に37.5質量%を上回ると十分な耐水性と耐油性が得られ難い。
さらに、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(C))の配合率が12.5質量%を下回ると十分な耐水性と耐油性が得られず、逆に37.5質量%を上回るとブロッキングの問題が生じやすくなる。
(無機顔料)
本発明の塗工層に使用する無機顔料は、軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムの炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、デラミカオリン、エンジニアードカオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化チタン、白土、合成非晶質シリカ、ベントナイト等の無機顔料を使用することができる。これらの中でも、炭酸カルシウム、酸化チタンは耐水性を付与しやすい無機顔料である。また、平板状の形態を有するデラミクレーを少量配合すると塗工層の耐油性の向上に効果がある。
本発明において、塗工層に用いる無機顔料の平均一次粒子径は、動的光散乱法による平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、さらに0.3〜1.8μmであることが好ましい。動的光散乱法による平均一次粒子径が0.1μmを下回ると、十分な耐油性を満足できないおそれがある。さらに、塗料を作製する際に塗料粘度が上昇してしまい、実用上塗工機が制限されてしまう。一方、動的光散乱法による平均一次粒子径が2.0μmを上回ると無機顔料の比表面積が小さくなり、バインダが表面により多く析出し耐ブロッキング性が悪くなり、印刷適性のインク着肉性も悪化してしまうことがある。
なお、本発明において無機顔料の平均一次粒子径は、動的光散乱法による測定した。溶液や懸濁液中でブラウン運動している粒子にレーザー光を照射すると、粒子からの散乱光には拡散係数に応じてゆらぎが生じる。大きな粒子は動きが遅いので散乱光のゆらぎは緩やかであり、一方、小さな粒子は動きがはやいので散乱光強度のゆらぎは急速に変化する。動的光散乱法は、この拡散係数による散乱光のゆらぎを検出し、キュムラント法により粒子径を算出するものである。
無機顔料の前記バインダに対する含有量は、固形分で120〜150質量%とする。当該無機顔料の配合率が、バインダに対して120質量%を下回ると、ブロッキングの問題が生じやすくなり、また、インク着肉性が悪化してしまうことがある。一方150質量%を上回ると、十分な耐水性と耐油性が得られないおそれがある。
塗工層の塗工量は、固形分で基紙の片面当り10〜18g/m2とすることが好ましい。塗工層の塗工量が固形分で基紙の片面当り10g/m2を下回ると、耐水性及び耐油性を損ねるおそれがある。逆に塗工量が18g/m2を上回ると印刷時のインク乾燥性を損ねる場合がある。また、耐水耐油紙の透気度が上昇することから、基紙の両面に塗工層を設けた場合には、製造中に塗工層のブリスターが発生しやすく、外観の良い塗工層を得にくくなるおそれがある。
本発明においては、塗工層に、前記した無機顔料と接着剤以外の製紙用添加剤も本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて用いることができる。このような製紙用添加剤としては、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、増粘剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、ワックス、導電防止剤、帯電防止剤、サイズ剤、耐水化剤、可塑剤、着色染料、着色顔料、還元剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤等が挙げられる。
本発明においては、塗工層用の塗工液を基紙に塗工し、乾燥させて塗工層を得る。塗工層を設ける際の塗工方法については、特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができる。例えば、ブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、チャンプフレックスコーター、リップコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、フィルム転写型コーターなどの塗工方式によってオフマシンコーターあるいはオンマシンコーターで、単層あるいは多層塗工することで、本発明の塗工印刷用紙を得ることができる。非塗工に近い風合いをえるためには、塗工量を低くすることが好ましいため、塗料の液性からブレードコーター、エアナイフコーターが好ましい。
以下に本発明に係る耐水耐油紙を実施例にて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何等限定されるものではない。なお、実施例中の%と部は、特に記載しない限りそれぞれ重量%、重量部を表す。
(基紙)
広葉樹晒クラフトパルプ(300〜400mlCSF)60重量部と、針葉樹晒クラフトパルプ(400〜500mlCSF)40重量部とからなるパルプ分散液に、硫酸バンド1.0重量部、填料として軽質炭酸カルシウムを3.0重量部添加し、ロジンサイズ剤0.2重量部、カチオン澱粉0.7重量部を添加して抄紙した。表面処理剤として、酸化澱粉を塗布量が片面当たり1.6g/m2、表面サイズ剤を塗布量が片面当たり0.8g/m2で、両面に同一の塗布量をサイズプレスにより塗布後乾燥して、水分6%、米坪量100g/m2の基紙を抄紙した。
(実施例1)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部、無機顔料として重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例2)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)30重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)10重量部、無機顔料をデラミクレー(センチュリーHC:平均一次粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例3)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、ガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)10重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が10℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:T−2730P、JSR社製)30重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60、白石カルシウム社製、平均一次粒子径1.8μm)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例4)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が24℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:L−7110、旭化成ケミカルズ社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部と、無機顔料として、酸化チタン(CR−85:平均一次粒子径0.3μm、石原産業社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例5)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)50重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)10重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例6)
バインダ(A)としてガラス転移点が37℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−1310、昭和電工社製)55重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が15℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:DL−620、旭化成ケミカルズ社製)10重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が0℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:0589、JSR製)15重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例7)
バインダとしてガラス転移点が37℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−1310、昭和電工社製)60重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が15℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:DL−620、旭化成ケミカルズ社製)10重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が0℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:0589、JSR製)10重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例8)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)80重量部、酸化チタン(CR−85:平均一次粒子径0.3μm、石原産業社製)20重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例9)
バインダ(A)としてガラス転移点が43℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−3140、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が15℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:DL−620、旭化成ケミカルズ社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部を混合して、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)80重量部、デラミクレー(センチュリーHC:平均一次粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)20質量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例10)
バインダ(A)としてガラス転移点が37℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−1310、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点24℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:L−7110、旭化成ケミカルズ社製)30重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が7℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:ナルスターSR−103、日本エイアンドエル社製)10重量部を混合して、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60、白石カルシウム社製、平均一次粒子径1.8μm)80重量部、デラミクレー(センチュリーHC:平均一次粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)20質量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例11)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)120重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(実施例12)
バインダとしてガラス転移点が43℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−3140、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が15℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:DL−620、旭化成ケミカルズ社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が10℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:T−2730P、JSR社製)20重量部を混合して、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60、白石カルシウム社製、平均一次粒子径1.8μm)120重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本実施例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例1)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)30重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)40重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)10重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例2)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)65重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)5重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)10重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ソフトン#2200:平均一次粒子径1.1μm、備北粉化社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例3)
バインダ(A)としてガラス転移点が30℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:F−433、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が24℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:L−7110、旭化成ケミカルズ社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が7℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:ナルスターSR−103、日本エイアンドエル社製)20重量部を混合して、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60、白石カルシウム社製、平均一次粒子径1.8μm)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例4)
バインダ(A)としてガラス転移点が50℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−3760、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が7℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:ナルスターSR−103、日本エイアンドエル社製)20重量部を混合して、無機顔料として、酸化チタン(CR−85:平均一次粒子径0.3μm、石原産業社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例5)
バインダ(A)としてガラス転移点が43℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−3140、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が10℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:T−2730P、JSR社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が7℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:ナルスターSR−103、日本エイアンドエル社製)20重量部を混合して、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60、白石カルシウム社製、平均一次粒子径 1.8μm)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例6)
バインダ(A)としてガラス転移点が37℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−1310、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が27℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:ニッポールLX−415A、日本ゼオン社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が10℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:T−2730P、JSR社製)20重量部を混合して、無機顔料として、酸化チタン(CR−85:平均一次粒子径0.3μm、石原産業社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例7)
バインダとしてガラス転移点が43℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−3140、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が24℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:L−7110、旭化成ケミカルズ社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が−6℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−6082、日本エイアンドエル社製)20重量部を混合して、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60、白石カルシウム社製、平均一次粒子径1.8μm)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例8)
バインダ(A)としてガラス転移点が37℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:AP−1310、昭和電工社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が15℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:DL−620、旭化成ケミカルズ社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が12℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−4046、日本エイアンドエル社製)20重量部を混合して、無機顔料として、酸化チタン(CR−85:平均一次粒子径0.3μm、石原産業社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例9)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ60、白石カルシウム社製、平均一次粒子径1.8μm)80重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例10)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部と、無機顔料として、酸化チタン(CR−85:平均一次粒子径0.3μm、石原産業社製)130重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
(比較例11)
バインダ(A)としてガラス転移点が40℃のスチレン−アクリル系共重合体(商品名:EK−81、サイデン化学社製)40重量部、バインダ(B)としてガラス転移点が21℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20重量部、バインダ(C)としてガラス転移点が3℃のスチレン−ブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)20重量部と、無機顔料として、重質炭酸カルシウム(カルライトKT:平均一次粒子径2.4μm、白石工業社製)100重量部を水に分散して混合し、後添加した塗料を、紙基材の片面に14.0g/m2塗工して、本比較例に係る耐水耐油紙を得た。
実施例1乃至12、及び比較例1乃至11で得られた耐水耐油紙について、以下の手順で各物性の測定及び評価を行った。各実施例及び各比較例による耐水耐油紙の塗工層の構成と各物性の測定結果が図1〜6に示されている。
(平均一次粒子径)
無機顔料の平均一次粒子径は、ELSZ−1000(大塚電子社製)を用いて光散乱法により測定し、その実測値を平均一次粒子径として用いる。
(コッブ吸水度)
耐水耐油紙の耐水性は、JIS P8140の吸水度試験方法(コッブ法)に準じ、耐水耐油紙表面の120秒後の吸水量を測定した。
(キット法耐油度)
耐水耐油紙の耐油性は、縦10cm、横10cmの試験片について、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.41(2000)における、紙及び板紙−はつ油度試験方法−キット法に準じて評価を行い評価基準は下記の通りとした。
○:12級以上であり、合格
×:12級未満であり、不合格
(耐ブロッキング性)
耐水耐油紙の耐ブロッキング性は、縦目10cm×横目5cmに裁断した耐水耐油紙を、塗工面と塗工面が接触するように2枚重ねて50kgf/cmの荷重にて室温下で24時間加圧放置した際の接着状況を下記の基準で評価した。
◎:全く接着しない(合格)
○:軽微に接着したが剥離は容易(合格)
△:部分的に接着した(不合格)
×:全面が接着した(不合格)
(インク着肉性)
RI印刷機(明製作所)を用いて市販酸化重合型印刷インキにより印刷し、印刷面の均一性と濃度を以下の基準により4段階評価で目視判定した。
◎:印刷面の均一性と濃度が非常に優れている(合格)
○:印刷面の均一性と濃度が優れている(合格)
△:印刷面にややムラが有る(不合格)
×:印刷面にムラが有る(不合格)
(バインダの配合比率による影響)
実施例1乃至6の結果と比較例1の結果とを比較すると、バインダの配合比率が本発明の範囲である実施例1乃至6により得られた耐水耐油紙はいずれも耐ブロッキング性と耐水性、耐油性を兼ね備えたものであったのに対して、比較例1ではこれら実施例と使用しているバインダや無機顔料が同じものであるにも関わらず、耐ブロッキング性に劣るものとなった。この結果から、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合物(バインダ(A))の配合量がバインダ全量に対して50質量%を下回ると、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体(バインダ(B))の配合比を過剰にしても、部分的な接着が生じ、耐ブロッキング性に劣る耐水耐油紙となってしまうことがわかる。
一方、実施例1乃至6と比較例2の結果とを比較すると、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体(バインダ(A))の配合量がバインダ全量に対して75質量%を上回ると、十分な耐水性と耐油性が得られないことがわかる。
(バインダのガラス転移点による影響)
実施例1乃至12の結果と比較例3乃至8の結果とを比較すると、実施例1乃至主剤となるバインダ(A)としてガラス転移点が35℃を下回るスチレン−アクリル系共重合体を用いた比較例3、バインダ(B)としてガラス転移点が15℃を下回るスチレン−ブタジエン共重合体を用いた比較例5、及びバインダ(C)としてガラス転移点が0℃を下回るスチレン−ブタジエン共重合体を用いた比較例7のいずれにおいても、塗工面同士の全面が接着してしまい、耐ブロッキング性の評価は×となった。
一方、主剤となるバインダ(A)としてガラス転移点が45℃を上回るスチレン−アクリル系共重合体を用いた比較例4、バインダ(B)としてガラス転移点が25℃を上回るスチレン−ブタジエン共重合体を用いた比較例6、及びバインダ(C)としてガラス転移点が10℃を上回るスチレン−ブタジエン共重合体を用いた比較例8のいずれにおいても耐油性は12級未満で、耐水性は3g/m2を上回り、十分な耐水性と耐油性が得られなかった。
(無機顔料の配合比率による影響)
実施例3の結果と比較例9の結果とを比較すると、無機顔料の配合比率が125質量%対バインダであった実施例3では耐ブロッキング性、インク着肉性のいずれについても好ましい結果となったが、無機顔料の配合比率が100質量%対バインダであった比較例9では、耐ブロッキング性が悪くなり、インク着肉性も劣る結果となった。
また実施例4の結果と比較例10の結果とを比較すると、無機顔料の配合比率が125質量%対バインダであった実施例4では耐水性、耐油性共に目的とする基準を満たすものであったが、無機顔料の配合比率が162.5質量%対バインダであった比較例10では、耐油性は12級未満で、耐水性は3g/m2を上回り、十分な耐水性と耐油性が得られなかった。
(無機顔料の平均一次粒子径の違いによる影響)
実施例1、実施例8及び比較例11の結果を比較すると、平均一次粒子系が1.1μm(実施例1)、1.8μm(実施例3)と0.1〜2.0μmの範囲であった例では耐ブロッキング性、インク着肉性ともに好ましい結果であったが、平均一次粒子径が2.4μmであった比較例11では、耐ブロッキング性が悪くなり、インク着肉性も劣る結果となった。
以上説明したように、本発明によれば、JIS P−81の表面120秒後のコッブ吸水度が3g/m2以下の優れた耐水性を保持し、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.41(2000)における、紙及び板紙−はつ油度試験方法−キット法耐油度が12級以上の優れた耐油性を保持する共に、長時間の静置や運搬の際に塗工面と非塗工面同士または塗工面と塗工面がブロッキングしない上に、多色オフセット印刷適性のインク着肉性が改善された耐水耐油紙を得ることができる。

Claims (7)

  1. 基紙の少なくとも一方の面に、バインダと無機顔料を含む塗工層を設けてなる耐水耐油紙であって、
    前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体50〜75質量%と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%とからなり、かつ、
    前記無機顔料の平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、
    前記無機顔料は前記バインダ100質量%に対して固形分換算で120〜150質量%の範囲で用いられることを特徴とする耐水耐油紙。
  2. 前記無機顔料は、炭酸カルシウム、酸化チタン、デラミクレーの中から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐水耐油紙。
  3. 前記塗工層は、基紙片面あたり固形分で10〜18g/m2の範囲で塗工されることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐水耐油紙。
  4. 基紙を準備する基紙準備ステップと、
    バインダと無機顔料を含む塗工液を調整する塗工液調製ステップと、
    前記基紙に前記塗工液を片面あたり固形分で10〜18g/m2の範囲で塗工する塗工ステップと、を有し、
    前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体50〜75質量%と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%とを混合してなり、
    前記無機顔料は、平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、前記バインダ100質量%に対して固形分換算で120〜150質量%の範囲で用いられることを特徴とする耐水耐油紙の製造方法。
  5. 前記無機顔料は、炭酸カルシウム、酸化チタン、デラミクレーの中から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の耐水耐油紙の製造方法。
  6. 前記塗工層は、基紙片面あたり固形分で10〜18g/m2の範囲で塗工されることを特徴とする請求項4又は5に記載の耐水耐油紙の製造方法。
  7. バインダと無機顔料とを含み、
    前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレン−アクリル系共重合体50〜75質量%と、ガラス転移点が15〜25℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレン−ブタジエン系共重合体12.5〜37.5質量%とからなり、
    前記無機顔料は、平均一次粒子径が0.1〜2.0μmであり、前記バインダ100質量%に対して固形分換算で120〜150質量%の範囲であることを特徴とする耐水耐油紙の塗工層用塗工液。
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