JP6445411B2 - 耐水耐油紙 - Google Patents

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Description

本発明は、基紙の一方面または両面に塗工層を有する耐水耐油紙に関し、特に、耐水性と印刷適性が良好で、塗工層と非塗工層、塗工層と塗工層のブロッキングを生じない耐水耐油紙に関するものである。
耐水耐油紙は、冷凍用食品の包装材やワインラベル等の分野で使用されている。このような耐水耐油紙としては、結露した場合でも波打ちやしわが発生しないラミネート紙やフィルム貼合紙及び合成紙が使用されてきたが、これら従前の耐水耐油紙は焼却時の熱量が大きいなどの廃棄時の問題があることから、近年ではアクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙が主流となっている。
アクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙としては、アクリル系ディスパージョンとスチレン・ブタジエン系ディスパージョンとの混合物からなる塗料を塗工した耐水耐油紙が提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、このようなアクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙では、塗工層のバリアー性を向上させるため、ガラス転移点の比較的低いアクリル系樹脂が使用されていることが多い。このためアクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙は、塗工層の粘着性が比較的高く、巻取りや平版で積み重ねた状態で保管する際や運搬する際に、塗工層と非塗工層、若しくは塗工層と塗工層が接着する所謂ブロッキングが生じやすくなる。特許文献1に示された耐水耐油紙についても、ヒートシール適性を有するものであるため、ブロッキングの問題は解決されていなかった。
上記のブロッキングを改善する構成としては、液体吸収性をコッブ吸水度で50〜20g/m2・2分の範囲にコントロールした基紙にTgが10〜28℃の範囲にあるアクリル系樹脂エマルジョンを固形分で3〜20g/m2塗工し加熱乾燥した耐水耐油紙が提案されている(例えば特許文献2)。さらに、ガラス転移点が−40℃〜25℃の範囲であるアクリル系合成ゴムを1種類以上含む接着剤成分100重量部に、少なくとも1種類以上の無機顔料を10〜120重量部と、架橋剤を0.1重量部以上配合してなる塗料が、紙基材の少なくとも片面に塗布された耐水耐油紙も提案されている(例えば特許文献3)。
特開2002−13095号公報 特開平9−111693号公報 特開2005−82920号公報
しかしながら、特許文献2のようにアクリル樹脂のみからなる塗工層では、高度な耐水性は得られるものの、前述の通り塗工層の粘着性が比較的高くなるために、使用するアクリル樹脂としてブロッキングが生じ難いものを選択したとしても、それのみでブロッキング性の問題を大きく改善するには至らない。さらに、多色オフセット印刷をした場合にはその高度な耐水性により湿し水が塗工層内に吸収されず塗工層表面に残りやすく、表面に残存した湿し水がブランケットからのインク転写を妨げることでインクの着肉性が悪くなり、印刷ムラになりやすく、良好な印刷面を得ることができないという問題もある。また、特許文献3のようにガラス転移点が低いアクリル系樹脂エマルジョンを主剤とした場合であっても、耐水性と耐油性は得られるものの、ブロッキング性については十分でなく、依然として課題が残ることとなる。
本発明は上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、良好な耐水性及び耐油性を保持するとともに、ブロッキングが生じにくく、多色オフセット印刷適性の良好な耐水耐油紙を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記の課題解決のため、本発明の耐水耐油紙は、基紙の少なくとも一方の面に、無機顔料とバインダとアニオン性サイズ剤とを含む塗工層を有する耐水耐油紙であって、前記塗工層は、無機顔料100質量部に対し、固形分換算でバインダを40〜80質量部、アニオン性サイズ剤を3〜5質量部含有し、前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体25〜50質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体25〜75質量%とを含むことを特徴とする。
このような構成によれば、塗工層におけるバインダの使用量が適切であり、なおかつブロッキングの抑制に効果があるガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体と、耐水耐油性に寄与するガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体との配合比率も適切なものであるために耐水性、耐油性、及び耐ブロッキング性のバランスに優れたものとなる。加えて、サイズ剤を添加したことにより更に高い耐水性、耐油性が得られ、耐ブロッキング性もより向上し、良好な耐水性と耐油性とを保持するとともに、インク着肉性に優れ、ブロッキングが生じ難い耐水耐油紙を得ることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無機顔料は、平均粒子径が0.5〜2.0μmである重質炭酸カルシウムを50質量%以上含有することが好ましい。
このような構成によれば、耐水性に寄与する重質炭酸カルシウムの配合割合が高いために耐水性が更に向上し、また、重質炭酸カルシウムの中でも平均粒子径が0.5〜2.0μmであるものを用いたことで比表面積が適切なものとなり、ブロッキングを更に抑制することができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無機顔料は重質炭酸カルシウムを含有し、更に酸化チタン又はカオリンを含有することが好ましい。
このような構成によれば、炭酸カルシウム、酸化チタンは耐水性の向上に寄与するためにこれらを用いれば耐水性をより向上させることができ、また、カオリンは平板状の形態を有するため少量の配合でも耐油性の向上に寄与するため、より耐水性及び耐油性に優れた耐水耐油紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記アニオン性サイズ剤は、スチレンアクリル系アニオン性サイズ剤、及び/又はスチレンマレイン系アニオン性サイズ剤であることが好ましい。
このような構成によれば、スチレンアクリル系アニオン性サイズ剤とスチレンマレイン系アニオン性サイズ剤は耐油性とインク着肉性に寄与するため、より耐油性とインク着肉性に優れた耐水耐油紙が得られる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層の塗工量は、固形分で基紙の片面あたり10〜16g/m2であることが好ましい。
このような構成によれば、塗工層の塗工量が適切であるため、十分な耐水性及び耐油性を有する一方で、インク乾燥性にも優れた耐水耐油紙が得られる。
また、本発明は耐水耐油紙の製造方法に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係る耐水耐油紙の製造方法は、無機顔料を水中に添加し、無機顔料分散液を調製する無機顔料分散液調製ステップと、前記無機顔料分散液にバインダとアニオン性サイズ剤とを添加して塗工液を調製する塗工液調製ステップと、前記塗工液を基紙の片面若しくは両面に塗工する塗工ステップと、前記塗工液を乾燥させる乾燥ステップと、を有する。また前記塗工液は、無機顔料100質量部に対し、固形分換算でバインダを40〜80質量部、アニオン性サイズ剤を3〜5質量部含有し、且つ前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体25〜50質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体25〜75質量%とを含むものである。
そして、このような構成によれば、塗工面にムラがなく、耐水性及び耐油性に優れ、ブロッキングが生じにくい耐水耐油紙を製造することができる。
本発明は更に別の面から捉えると、耐水耐油紙の塗工層用塗工液に関する発明としても捉えることができる。
本発明に係る耐水耐油紙の塗工層用塗工液は、無機顔料100質量部に対し、固形分換算でバインダを40〜80質量部、アニオン性サイズ剤を3〜5質量部含有し、且つ前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体25〜50質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体25〜75質量%とを含むものである。
このような塗工層用塗工液を所定の基紙の片面、若しくは両面に塗工することで、ブロッキングが生じにくい耐水耐油紙が得られる。
本発明によれば、優れた耐水性と耐油性を保持すると共に、長時間の保管や運搬の際に塗工面と非塗工面同士、または塗工面と塗工面がブロッキングしない上に、多色オフセット印刷適性のインク着肉性が改善された耐水耐油紙を提供することができる。
実施例における塗工層の組成を示す図表(その1)である。 実施例における塗工層の組成を示す図表(その2)である。 実施例における塗工層の組成を示す図表(その3)である。 実施例における塗工層の組成を示す図表(その4)である。 実施例により得られた耐水耐油紙の物性を示す図表である。 比較例における塗工層の組成を示す図表(その1)である。 比較例における塗工層の組成を示す図表(その2)である。 比較例における塗工層の組成を示す図表(その3)である。 比較例における塗工層の組成を示す図表(その4)である。 比較例により得られた耐水耐油紙の物性を示す図表である。
以下、本発明について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
(基紙)
本発明の耐水耐油紙に用いる基紙は、パルプを主成分とする。ここで使用するパルプとしては、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)及び/又はNBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の木材パルプを主に用いることができる。他のパルプとしては、亜硫酸パルプ(SP)、ソーダパルプなどの化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)などの機械パルプや、古紙、ワラ、バガス、ヨシ、ケナフなどの非木材パルプについても本発明の目的とする効果を損ねない範囲で用いることができる。
本発明の基紙は填料を含有してもよい。填料の種類に制限はないが、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、酸化チタン、ゼオライト、合成樹脂填料等の公知の填料を適宜使用することができる。
本発明に用いる基紙には、前記したパルプと填料以外の製紙用添加剤も本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。このような製紙用添加剤としては、ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸等のサイズ剤、カチオン澱粉、両性澱粉、エステル化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤、硫酸バンド、濾水性向上剤、歩留向上剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、高分子定着剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料等が挙げられる。
本発明において基紙の抄造方法としては、特に限定するものでなく、長網抄紙機、円網抄紙機、あるいは長網と円網のコンビネーション、ツインワイヤー抄紙機、オントップツインワイヤー抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機など公知の抄紙機を用いて抄造することができる。
また、基紙の抄紙方法についても特に限定するものではなく、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙のいずれの方式でも抄紙することができる。基紙の坪量は、耐水耐油紙の用途に応じて定めることができ、例えば、包装用途であれば40〜300g/m2とすることが好ましく、ラベル用途であれば70〜180g/m2とすることが好ましい。
また、基紙には、必要に応じて、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの接着剤をサイズプレスなどにより塗工してもよく、この際に必要に応じて表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤、蛍光染料などの助剤を加えて塗工を行ってもよい。
(塗工層)
本発明の耐水耐油紙は、基紙の少なくとも一方の面に無機顔料とバインダとアニオン性サイズ剤とを含有する塗工層を設けたものである。
(無機顔料)
本発明の塗工層に使用する無機顔料としては、軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムの炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、デラミクレー、エンジニアードカオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化チタン、白土、合成非晶質シリカ、ベントナイト等の無機顔料を使用することができる。このように塗工層に無機顔料を含有させることで、インキ着肉性を向上させることができる。これらの無機顔料の中でも、耐水性を付与しやすいことから炭酸カルシウム、酸化チタンが好ましい。また、平板状の形態を有するカオリンを少量配合することで、塗工層の耐油性の向上に効果がある。
また、無機顔料としては、平均粒子径が0.5〜2.0μmの重質炭酸カルシウムを50質量%以上含むことが好ましい。より好ましくは80質量%以上である。無機顔料の主成分を平均粒子径が0.5〜2.0μmの重質炭酸カルシウムとすることにより、耐水性と耐油性とを向上させることができる。重質炭酸カルシウムの平均粒子径が0.5μmを下回ると重質炭酸カルシウムの比表面積が広くなるため、耐水性と耐油性の更なる向上効果が得られ難くなることに加え、塗工層用の塗料を作製する際に塗料粘度が上昇しやすくなるため、実用上塗工機が制限されてしまう。一方、重質炭酸カルシウムの平均粒子径が2.0μmを上回ると、無機顔料の比表面積が小さくなるためバインダが塗工層表面に多く析出して耐ブロッキング性を満足できないおそれがあり、印刷適性のインク着肉性も悪化してしまうことがある。また、塗工層用の塗料中で無機顔料が沈降し易くなるため、塗工安定性を損ねるおそれもある。
なお、本発明において、無機顔料の平均粒子径はELSZ−1000(大塚電子社製)を用いて光散乱法により測定した。
(バインダ)
本発明の塗工層に使用するバインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体(以下、バインダ(A)と表すことがある)25〜50質量%と、ガラス転移点が0〜10℃のスチレンブタジエン系共重合体(以下、バインダ(B)と表すことがある)25〜75質量%を含有する。
これら2種のバインダをそれぞれ単独で使用した場合に、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体(バインダ(A))では、ブロッキングの問題は生じないが耐水性と耐油性があまり向上しない傾向にある。一方、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体(バインダ(B))は、耐水性と耐油性を大きく向上させるものの、その反面、塗工層表面が柔らかく粘着性の高いものになりやすく、塗工面同士の接触面積が増えてブロッキングの問題が生じる。そこで本発明では、バインダ(A)とバインダ(B)とを混合してバインダの主成分とすることで、耐水性と耐油性と耐ブロッキング性とをバランス良く向上させる。更にはインク着肉性を向上させることができる。
先にも述べたように、本発明においてはガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体(バインダ(A))は全バインダの25〜50質量%を占めるように配合する。バインダ(A)の配合量が25質量%未満となると、ブロッキングが生じやすくなるばかりかインク着肉性にも劣る塗工層となる。逆にバインダ(A)の配合量が50質量%を超えると、塗工層にひび割れが生じやすくなり、耐水性に劣るものとなる。
本発明においては、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体(バインダ(B))は全バインダの25〜75質量%を占めるように配合する。バインダ(B)の配合量が25質量%未満となると、耐水性と耐油性に寄与するバインダ(B)の配合量が少ないために耐水性と耐油性を満足できない。逆にバインダ(B)の配合量が75質量%を超えると、ブロッキングの問題が生じる。
本発明においては、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、バインダ(A)とバインダ(B)と共に、他のバインダを塗工層に含有させることができる。他のバインダとしてはバインダ(A)やバインダ(B)とはガラス転移点の異なるアクリル系バインダやスチレンブタジエン系バインダであってもよく、また、ポリビニルアルコール系樹脂やポリ酢酸ビニル系樹脂等の塗工層用バインダとして慣用されるものを使用することができる。但し、水溶性樹脂は多量に配合すると耐水性を損ねる原因となるので、含有させる場合であっても、比較的少量に留める必要がある。
本発明において塗工層中のバインダの総量は、固形分換算で無機顔料100質量部に対して40〜80質量部とし、50〜70質量部であればより好ましい。塗工層中のバインダの総量が40質量部を下回ると、耐水性と耐油性に寄与するバインダ(B)の配合量も相対的に低下するため、耐水性と耐油性を満足できない。逆に塗工層中のバインダの総量が80質量部を上回ると、バインダ(A)とバインダ(B)の配合割合が適切であっても相対的にバインダ(B)の配合量が増加し、ブロッキングの問題とインク着肉性の悪化を生じる。
(サイズ剤)
本発明においては、塗工層に更にサイズ剤を含有させる。前述したとおり、本発明においてはバインダ(A)とバインダ(B)とを混合してバインダの主成分とすることにより、耐水性と耐油性と耐ブロッキング性とをバランス良く向上させることができるが、更にサイズ剤を特定量含有させることで耐水性と耐油性と耐ブロッキング性を更に向上させることができる。
ここで用いるサイズ剤としては、凝集が起こりにくいという点からアニオン性サイズ剤が好ましいが、バインダと凝集を起こさないものであればカチオン性、ノニオン性のものであっても良い。一部のカチオン性のサイズ剤はバインダと凝集をおこしやすく、凝集が起こると塗工層用塗工液の性状が安定しなくなるため、結果的に耐水性に劣る塗工層となってしまう。
ここで用いるサイズ剤としては、特に限定するものではなく、スチレンアクリル系、スチレンマレイン系、ロジン系、アルケニル無水コハク酸、アルケルケテンダイマー、オレフィン系、パラフィンワックス等を用いることができる。これらの中でも耐油性とインク着肉性が向上しやすいことから、スチレンアクリル系またはスチレンマレイン系のアニオン性サイズ剤が好ましい。
サイズ剤の添加により耐水性が向上することは従前より知られているが、本願発明者等はサイズ剤の添加により耐油性と耐ブロッキング性についても向上することを見出した。作用機序については明らかではないが、油は水よりも表面張力が小さいために塗工層表面の微細な凹凸にも入り込みやすいが、サイズ剤を塗工層に添加するとサイズ剤が塗工層表面の微細な凹凸を埋めて結果的に耐油性の向上に繋がっているのではないかと考えられる。また、ブロッキングは主に塗工層のバインダ部分同士の接触により生じるが、バインダとサイズ剤、サイズ剤とサイズ剤という組み合わせでは生じにくい。このため、サイズ剤を塗工層に添加することでバインダ同士の接触面積が減少し、その結果として耐ブロッキング性が向上したのではないかと考えられる。
サイズ剤の含有量は、塗工層中の無機顔料100質量部に対して3〜5質量部とする。無機顔料に対して3質量部を下回ると、耐水性及び耐油性が劣るだけでなく耐ブロッキング性が悪化してしまう。逆に5質量部を上回るとインク着肉性が悪化するだけでなく、塗工層用の塗料が増粘しやすくなり塗工方法が限定される。また、耐水性と耐油性の向上効果が頭打ちとなり、コスト的に不利となる。
本発明において塗工層の塗工量は、固形分で基紙の片面当り10〜16g/m2とすることが好ましい。塗工層の塗工量が基紙の片面あたり10g/m2を下回ると、耐水性及び耐油性を損ねるおそれがある。逆に16g/m2を上回るとインク乾燥性を損ねるおそれがある。
本発明においては、塗工層に、前記した無機顔料とバインダとアニオン性サイズ剤以外の製紙用添加剤も本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて用いることができる。このような製紙用添加剤としては、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、増粘剤、架橋剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、導電防止剤、帯電防止剤、耐水化剤、可塑剤、着色染料、着色顔料、還元剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤等が挙げられる。
本発明においては、塗工層用塗工液を基紙に塗工し、乾燥させて塗工層を得る。塗工層を設ける際の塗工方法については、特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができる。例えば、ブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、チャンプフレックスコーター、リップコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、フィルム転写型コーターなどの塗工方式によってオフマシンコーターあるいはオンマシンコーターで、単層あるいは多層塗工することで、本発明の耐水耐油紙を得ることができる。
また、前記塗工層を形成後に、マシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよい。
本発明において、耐水性の目安としては塗工層面のJIS P−8140の接触時間120秒後におけるコッブ吸水度にて判断を行い、前記コッブ吸水度が3g/m2以下であれば十分な耐水性を有するものと認められる。また、耐油性の目安としては、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.41(2000)における、紙及び板紙−はつ油度試験方法−キット法耐油度にて判断を行い、キット法耐油度が12級以上であれば十分な耐油性を有するものと認められる。
本発明にかかる耐水耐油紙においては、耐水度及び耐油度が上記の目安を満たせば、JIS P 8155:2010に準拠した方法で測定した王研式透気度が10000秒以上となると考えられる。より詳細には、本発明の構成を満たした上で塗工層に欠陥がなく十分に密となっていれば、耐水耐油紙の透気度は10000秒以上となり、十分な耐水耐油性を備えていることとなる。王研式透気度が10000秒を下回ると、紙基材の片面または両面に設けた塗工層に大きな欠陥を生じることから、溶剤及び油に対する耐性が劣る。
以下に本発明に係る耐水耐油紙を実施例にて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに何等限定されるものではない。なお、実施例中の%と部は、特に断らない限り、それぞれ重量%、重量部を表す。
(実施例1)
<基紙の作成>
広葉樹晒クラフトパルプ(300〜400mlCSF)60重量部と、針葉樹晒クラフトパルプ(400〜500mlCSF)40重量部とからなるパルプ分散液に、硫酸バンド1.0重量部、填料として軽質炭酸カルシウムを3.0重量部添加し、ロジンサイズ剤0.2重量部、カチオン澱粉0.7重量部を添加して抄紙した。表面処理剤として、酸化澱粉を塗布量が片面当たり1.6g/m2、表面サイズ剤を塗布量が片面当たり0.8g/m2で、両面に同一の塗布量をサイズプレスにより塗布後乾燥して、水分6%、米坪量100g/m2の基紙を抄紙した。
<塗工液の調製>
重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、平均粒子径1.1μm、備北粉化社製)80部と、カオリン(商品名:センチュリーHC、平均粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)20部と、分散剤(商品名:アロンT−50、40%濃度、東亜合成社製)0.1部とを水中に添加し、カウレス分散機で固形分濃度が65%の無機顔料分散液を調製した。次いで、無機顔料分散液にガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)20部と、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)40部と、アニオン性サイズ剤(ポリマロン1308S、スチレンアクリル系、荒川化学社製)5部と、ロール剥離剤(SNコート243、ステアリン酸カルシウム、サンノプコ社製)2部とを添加して撹拌し、加水して固形分濃度が50%の塗工液を調製した。
<塗工液の塗工>
基紙の片面に、塗工液を、エアナイフコーターで固形分塗工量が14.0g/m2となるように塗工し、乾燥し、最終水分率が6%である耐水耐油紙を作製した。
(実施例2)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を15部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を30部、にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例3)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を40部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を40部、にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例4)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を20部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を60部、にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例5)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を20部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を20部にそれぞれ変更し、更にガラス転移点21℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)20部を添加した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例6)
塗工液の調製において、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)40部を、ガラス転移点0℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:0589、JSR製)40部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例7)
塗工液の調製において、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)40部を、ガラス転移点10℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:T−2730P、JSR製)30部に変更し、更にガラス転移点21℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:PA−3802、日本エイアンドエル社製)10部を添加した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例8)
塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、平均粒子径1.1μm、備北粉化社製)の添加量を100部とし、カオリン(商品名:センチュリーHC、平均粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)を添加せず、更に、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を10部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を30部、にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例9)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を40部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を40部、にそれぞれ変更した以外は実施例8と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例10)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)10部を、ガラス転移点37℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:AP−1310、昭和電工社製)10部に変更した以外は実施例8と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例11)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)10部を、ガラス転移点43℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:AP−1310、昭和電工社製)40部に変更し、更に、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を40部に変更した以外は実施例8と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例12)
塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、平均粒子径1.1μm、備北粉化社製)100部を、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#3200、平均粒子径0.6μm、備北粉化社製)80部に変更し、更に、カオリン(商品名:センチュリーHC、平均粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)20部を添加した以外は実施例8と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例13)
塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、平均粒子径1.1μm、備北粉化社製)100部を、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#800、平均粒子径1.8μm、三共製粉社製)80部に変更し、更に、カオリン(商品名:センチュリーHC、平均粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)20部を添加した以外は実施例9と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例14)
塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、平均粒子径1.1μm、備北粉化社製)100部を、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#3200、平均粒子径0.6μm、備北粉化社製)100部に変更した以外は実施例8と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例15)
塗工液の調製において、重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、平均粒子径1.1μm、備北粉化社製)100部を、重質炭酸カルシウム(商品名:エスカロン#800、平均粒子径1.8μm、三共製粉社製)100部に変更した以外は実施例9と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例16)
塗工液の調製において、カオリン(商品名:センチュリーHC、平均粒子径0.9μm、ブラジルIRCC社製)20部を、酸化チタン(商品名:CR−85、平均粒子径0.3μm、石原産業社製)20部に変更し、更に、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を40部に変更した以外は実施例5と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例17)
塗工液の調製において、アニオン性サイズ剤(ポリマロン1308S、スチレンアクリル系、荒川化学社製)の添加量を3部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(実施例18)
塗工液の調製において、アニオン性サイズ剤(ポリマロン1308S、スチレンアクリル系、荒川化学社製)5部を、アニオン性サイズ剤(ポリマロン1318、スチレンマレイン系、荒川化学社製)5部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例1)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を10部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を25部、にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例2)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を40部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を50部、にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例3)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を10部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例4)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)の添加量を45部、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を35部、にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例5)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)20部を、ガラス転移点50℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:AP−3760、昭和電工社製)10部に変更し、更に、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)の添加量を30部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例6)
塗工液の調製において、ガラス転移点40℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:サイビノールEK−81、サイデン化学社製)20部を、ガラス転移点30℃のスチレンアクリル系共重合体(商品名:ジョンクリル734、BASF社製)40部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例7)
塗工液の調製において、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)40部を、ガラス転移点が15℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:DL−620、旭化成ケミカルズ社製)20部に変更した以外は実施例5と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例8)
塗工液の調製において、ガラス転移点3℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:P−6X20、日本エイアンドエル社製)40部を、ガラス転移点が−6℃のスチレンブタジエン系共重合体(商品名:PA−6082、日本エイアンドエル社製)40部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例9)
塗工液の調製において、アニオン性サイズ剤(ポリマロン1308S、スチレンアクリル系、荒川化学社製)の添加量を1.5部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例10)
塗工液の調製において、アニオン性サイズ剤(ポリマロン1308S、スチレンアクリル系、荒川化学社製)の添加量を7.0部に変更した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
各実施例及び各比較例にて得られた耐水耐油紙は、以下の項目について評価を行った。また、無機顔料の平均粒子径は、ELSZ−1000(大塚電子社製)を用いて光散乱法により測定した実測値を示す。
[耐ブロッキング性]
耐水耐油紙の耐ブロッキング性は、縦目10cm×横目5cmに裁断した耐水耐油紙を、4枚重ねて50kgf/cmの荷重にて室温下で24時間加圧放置し、塗工面と非塗工面、塗工面と塗工面の接着状況を評価した。接着状況の評価は以下の4段階評価として、○以上を合格レベルと判断した。
◎:全く接着しない
○:軽微に接着するが剥離は容易
△:部分的に接着
×:全面が接着
[耐水性:コッブ吸水度]
耐水耐油紙の耐水性は、JIS P8140の吸水度試験方法(コッブ法)に準じ、耐水耐油紙表面の接触時間120秒での吸水量を測定した。
[耐油性:3Mキット法耐油度]
耐水耐油紙の耐油性は、TAPPI RC−228(3Mキット法)に準じて表1の通り評価した。
[王研式透気度]
耐水耐油紙の透気度は、JIS P 8155:2010に準拠した方法で測定し、以下の基準により2段階評価で判定した。として○以上を合格レベルと判断した。
○:10000秒以上
×:10000秒未満
[インク着肉性]
RI印刷機(明製作所)を用いて市販酸化重合型印刷インキにより印刷し、印刷面の均一性と濃度を以下の基準により4段階評価で目視判定し、○以上を合格レベルと判断した。
◎:非常に優れる
○:優れる
△:ややムラ有り
×:ムラ有り
各実施例及び各比較例にて得られた耐水耐油紙について、塗工層の組成が図1〜4、及び図6〜9に、物性が図5及び図10にそれぞれ示されている。
図5から明かなように、実施例1〜18で得られた耐水耐油紙は、耐ブロッキング性、耐水性、耐油性及びインク着肉性に優れるものであった。
これに対して、図10に示されるように比較例1〜10により得られた耐水耐油紙は、何らかの点で問題のあるものであった。比較例1で得られ耐水耐油紙は、無機顔料に対するバインダの配合量が少なすぎるため、塗工層が十分に形成されず、耐水性と耐油性に劣るものとなり、結果的に王研式透気度が10000秒未満であった。また、比較例2で得られた耐水耐油紙は、無機顔料に対するバインダの配合量が多すぎたため、耐ブロッキング性とインク着肉性に劣るものであった。
比較例3で得られた耐水耐油紙は、ガラス転移点が3℃であるスチレンブタジエン系共重合体(バインダ(B))の配合量が多すぎたため、耐ブロッキング性とインク着肉性に劣るものであった。また、比較例4で得られた耐水耐油紙は、ガラス転移点が40℃であるスチレンアクリル系共重合体(バインダ(A))の配合量が多すぎたため、耐水性と耐油性に劣るものであった。
比較例5で得られた耐水耐油紙は、バインダ(A)としてガラス転移点が50℃であるスチレンアクリル系共重合体を用いたため、塗工層が十分に形成されず(結果的に王研式透気度が10000秒未満であった)耐水性と耐油性に劣るものであった。また、比較例6で得られた耐水耐油紙は、バインダ(A)としてガラス転移点が30℃であるスチレンアクリル系共重合体を用いたため、耐ブロッキング性とインク着肉性に劣るものであった。
比較例7で得られた耐水耐油紙は、バインダ(B)としてガラス転移点が15℃であるスチレンブタジエン系共重合体を用いたため、耐水性に劣るものであった。また、比較例8で得られた耐水耐油紙は、バインダ(B)としてガラス転移点が−6℃であるスチレンブタジエン系共重合体を用いたため、耐ブロッキング性とインク着肉性に劣るものであった。
比較例9で得られた耐水耐油紙は、アニオン性サイズ剤の添加量が少なすぎたために、耐油性及び耐水性が劣り、更に耐ブロッキング性とインク着肉性に劣るものであった。また、比較例10で得られた耐水耐油紙は、アニオン性サイズ剤の添加量が多すぎたためにインク着肉性に劣るものであった。
以上述べたように、本発明に係る耐水耐油紙は、耐水耐油性と耐ブロッキング性に優れたものであるため、巻取状態や平版状態などの塗工層同士、若しくは塗工層と非塗工層とが重なり合う状態でもブロッキングが生じにくいものである。

Claims (7)

  1. 基紙の少なくとも一方の面に、無機顔料とバインダとアニオン性サイズ剤とを含む塗工層を有する耐水耐油紙であって、前記塗工層は、無機顔料100質量部に対し、固形分換算でバインダを40〜80質量部、アニオン性サイズ剤を3〜5質量部含有し、前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体25〜50質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体25〜75質量%とを含むことを特徴とする耐水耐油紙。
  2. 前記無機顔料は、平均粒子径が0.5〜2.0μmである重質炭酸カルシウムを50質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の耐水耐油紙。
  3. 前記無機顔料は、重質炭酸カルシウムを含有し、更に酸化チタン及び/又はカオリンを含有することを特徴とする請求項1に記載の耐水耐油紙。
  4. 前記アニオン性サイズ剤は、スチレンアクリル系アニオン性サイズ剤、及び/又はスチレンマレイン系アニオン性サイズ剤であることを特徴とする請求項1に記載の耐水耐油紙。
  5. 前記塗工層の塗工量は、固形分で基紙の片面あたり10〜16g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の耐水耐油紙。
  6. 無機顔料を水中に添加し、無機顔料分散液を調製する無機顔料分散液調製ステップと、
    前記無機顔料分散液にバインダとアニオン性サイズ剤とを添加して塗工液を調製する塗工液調製ステップと、
    前記塗工液を基紙の片面若しくは両面に塗工する塗工ステップと、
    前記塗工液を乾燥させる乾燥ステップと、を有し、
    前記塗工液は、無機顔料100質量部に対し、固形分換算でバインダを40〜80質量部、アニオン性サイズ剤を3〜5質量部含有し、且つ前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体25〜50質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体25〜75質量%とを含む、ことを特徴とする耐水耐油紙の製造方法。
  7. 無機顔料100質量部に対し、固形分換算でバインダを40〜80質量部、アニオン性サイズ剤を3〜5質量部含有し、且つ前記バインダは、ガラス転移点が35〜45℃であるスチレンアクリル系共重合体25〜50質量%と、ガラス転移点が0〜10℃であるスチレンブタジエン系共重合体25〜75質量%とを含む、ことを特徴とする耐水耐油紙の塗工層用塗工液。
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