JP2019173231A - 耐水耐油紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造から1日程度の比較的短時間のシーズニングで良好な耐水性を保持する耐水耐油紙を提供すること。【解決手段】 基紙の少なくとも一方の面に、無機顔料とバインダとを含有する塗工層を有する耐水耐油紙であって、前記バインダ全量のうち25質量%以上がアクリルシリコン樹脂、25〜45質量%がスチレンブタジエン共重合樹脂であることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、耐水耐油紙に関し、する。特に、生産直後からの耐水性と耐油性が良好な耐水耐油紙に関する。
耐水耐油紙は、冷凍用食品の包装材やワインラベル等の分野で使用されている。このような用途には紙としては、結露した場合でも波打ちやしわが発生しないラミネート紙やフィルム貼合紙及び合成紙を用いた耐水耐油紙が使用されてきたが、これら従前の耐水耐油紙は焼却時の熱量が大きいなどの廃棄時の問題があることから、近年ではアクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙が主流となっている。
アクリル系樹脂等を塗工した耐水耐油紙としては、アクリル系ディスパージョンとスチレン・ブタジエン系ディスパージョンとの混合物からなる塗工液を塗工した耐水耐油紙が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
特開2016−191167号公報 特開2017−048479号公報
上記の特許文献1及び特許文献2に記載の耐水耐油紙は、何れも塗工液を基材に塗工し、乾燥させて塗工層を設けたるものであり、良好な耐水性と耐油性を有するものである。しかしながら、これらの構成では耐油性は製造直後から意図した性能が得られるものの、十分な耐水性を発現させるためには、製造から1週間以上という比較的長時間のシーズニングが必要であった。ここで、シーズニングとは、基材に塗工した塗工液を乾燥させて塗工層を設けた後、塗工層の耐水性が発現するまで時間をとることを意味する。すなわち、特許文献1及び特許文献2の耐水耐油紙の耐水性は、塗工層を乾燥させた直後は十分ではなく経時により向上していくものであるが、乾燥から1週間以上と比較的長時間経過した後でないと良好な耐水性を満足しにくいものであった。
本発明は、このような問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造後から1日程度の比較的短時間のシーズニングで良好な耐水性を保持する耐水耐油紙を提供することにある。
本発明の他の目的並びに作用効果については、以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
上記の課題解決のため、本発明の耐水耐油紙は、基紙の少なくとも一方の面に、無機顔料とバインダとを含有する塗工層を有する耐水耐油紙であって、前記バインダ全量のうち25質量%以上がアクリルシリコン樹脂、25〜45質量%がスチレンブタジエン共重合樹脂であることを特徴とする。
このような構成によれば、アクリルシリコン樹脂の効果により、製造後から1日程度の比較的短時間のシーズニングでも良好な耐水性を示し、耐水性と耐油性に優れた耐水耐油紙とすることができる。加えて、スチレンブタジエン共重合樹脂の効果により、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性にも優れる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記バインダとして、更に、スチレンアクリル系樹脂を前記バインダ全量に対して30〜50質量%の範囲で含有させる。このような構成とすることで、耐ブロッキング性にも優れた耐水耐油紙とすることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無機顔料100質量部に対して前記バインダを50〜100質量部の範囲で含有させる。このような構成とすることで、耐水性と耐油性に優れ、且つ、オフセット印刷適性を有する耐水耐油紙とすることができる。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記無機顔料全量のうち50質量%以上を平均粒子径が0.5〜2.0μmの重質炭酸カルシウムとする。このような構成とすることで、耐水性と耐油性を維持しつつインキ着肉性がより向上する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記塗工層の塗工量は、固形分で基紙の片面当り8〜20g/m2とする。このような構成とすることで、優れた耐水性及び耐油性を有し、インキ乾燥性にも優れた耐水耐油紙とすることができる。
また、本発明は耐水耐油紙の製造方法としても捉えることができる。本発明に係る耐水耐油紙の製造方法は、無機顔料とバインダとを含む原料から塗工液を調製する工程と、前記塗工液を基紙の少なくとも一方の面に塗工する工程と、前記塗工液を乾燥する工程とを有し、前記バインダ全量のうち25質量%以上がアクリルシリコン樹脂、25〜45質量%がスチレンブタジエン共重合樹脂であることを特徴とする。このような構成によれば、製造後から1日程度の比較的短時間のシーズニングで良好な耐水性を保持し、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性にも優れた耐水耐油紙を製造することができる。
また、本発明は耐水耐油紙の塗工層用塗料に関する発明としても捉えることができる。本発明に係る耐水耐油紙の塗工層用塗料は、無機顔料とバインダとを含有し、前記バインダ全量のうち25質量%以上がアクリルシリコン樹脂、25〜45質量%がスチレンブタジエン共重合樹脂であることを特徴とする。このような構成によれば、耐水耐油紙に塗工することで製造後から1日程度の比較的短時間のシーズニングで良好な耐水性を保持し、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性にも優れた耐水耐油紙を製造することができる。
本発明によれば、製造後から比較的短時間のシーズニングで良好な耐水性を保持する耐水耐油紙を提供することができる。更には、耐水性と耐油性に優れ、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性の向上と、耐ブロッキング性にも優れる耐水耐油紙を提供することができる。
実施例及び比較例に係る耐水耐油紙のバインダ構成を示す図表である。 実施例及び比較例により得られた耐水耐油紙の物性を示す図表である。
以下、本発明について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
(基紙)
本発明の耐水耐油紙に用いる基紙は、パルプを主成分とする。ここで使用するパルプとしては、主としてLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)やNBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)等の木材パルプを用いることが好ましく、、亜硫酸パルプ(SP)、ソーダパルプなどの化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)などの機械パルプや、古紙、ワラ、バガス、ヨシ、ケナフなどの非木材パルプについても本発明の目的とする効果を損ねない範囲で用いることができる。
本発明の基紙は填料を含有してもよい。使用する填料の種類に制限はないが、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、酸化チタン、ゼオライト、合成樹脂填料等の公知の填料を適宜使用することができる。
本発明に用いる基紙には、前記したパルプと填料以外の製紙用添加剤も本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。このような製紙用添加剤としては、ロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸等のサイズ剤、カチオン澱粉、両性澱粉、エステル化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン等の紙力増強剤、硫酸バンド、濾水性向上剤、歩留向上剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、高分子定着剤、消泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料等が挙げられる。
本発明において基紙の抄造方法は特に限定するものでなく、長網抄紙機、円網抄紙機、あるいは長網と円網のコンビネーション、ツインワイヤー抄紙機、オントップツインワイヤー抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機など公知の抄紙機を用いて抄造することができる。
また、基紙の抄紙方法についても特に限定するものではなく、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙のいずれの方式でも抄紙することができる。基紙の坪量は、耐水耐油紙の用途に応じて定めることができ、例えば、包装用途であれば40〜300g/m2以下の範囲とすることが好ましく、ラベル用途であれば60〜180g/m2以下の範囲とすることが好ましい。
また、基紙には、必要に応じて、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミドなどの接着剤をサイズプレス等で塗工してもよく、この際に必要に応じて表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤、蛍光染料などの助剤を加えて塗工を行ってもよい。なお、このようなサイズプレス層を設ける場合には、基紙に直接塗工し、その上に塗工層を設ける。
(塗工層)
本発明の耐水耐油紙は、基紙の少なくとも一方の面に無機顔料とバインダとを含有する塗工層を設けたものである。塗工層は、無機顔料とバインダを主剤とする塗工液を基紙に塗工後、乾燥することで形成される。
(無機顔料)
本発明においては塗工層に無機顔料を配合するが、このように塗工層に無機顔料を含有させることで、オフセット印刷時のインキ着肉性を付与することができる。ここで使用できる無機顔料としては、軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムの炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、デラミクレー、エンジニアードカオリン、焼成カオリン、クレー、タルク、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化チタン、白土、合成非晶質シリカ、ベントナイト等の無機顔料から1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。これらの無機顔料の中でも、耐水性を付与しやすいことから炭酸カルシウム、酸化チタンが好ましく、平均粒子径が0.5〜2.0μmである重質炭酸カルシウムがより好ましい。
本発明においては、無機顔料全量中の50質量%以上が平均粒子径が0.5〜2.0μmである重質炭酸カルシウムであればより好ましく、無機顔料全量中の80質量%以上が平均粒子径が0.5〜2.0μmである重質炭酸カルシウムであれば特に好ましい。一般的に塗工層に無機顔料を含有させると、無機顔料により塗工層に隙間が出来やすくなることに加え、無機顔料自体が水や油を吸収しやすいことから耐水性と耐油性に劣るものとなりやすく、バインダーのみからなる塗工層の方が膜が均一になり水や油が入り込む隙間が出来にくい。しかしながら、無機顔料の主成分を平均粒子径が0.5〜2.0μmである重質炭酸カルシウムとすることにより、塗工層に無機顔料を含有させても耐水性と耐油性とを維持させやすくなり、また、オフセット印刷のインキ着肉性の向上が見込める。重質炭酸カルシウムの平均粒子径が0.5μmを下回ると比表面積が広くなるため、耐水性と耐油性を損ねやすくなる。一方、無機顔料の平均粒子径が2.0μmを上回ると、比表面積が小さくなりすぎるため、オフセット印刷時のインキ着肉性の向上が見込めなくなる。なお、本発明において、重質炭酸カルシウムの平均粒子径はELSZ−1000(大塚電子社製)を用いて光散乱法により測定した。
(バインダ)
本発明の塗工層に使用するバインダは、アクリルシリコン樹脂(以下、バインダ(A)と表すことがある)を含有する。ここでアクリルシリコン樹脂とは、アクリルポリマーをシロキサン結合で架橋した樹脂である。構造の一例として、硬いアクリルのコアを、柔らかいアクリルシリコンのシェルが包み、一体となった樹脂を形成しているものがある。高い造膜性能と耐光性を有しており、塗工層のバインダとして使用すると、耐水性と耐油性とを付与することができ、従来より、耐光性が要求される屋根用塗料や外装用塗料に使用されている。バインダ全量のうち25質量%以上をこのようなバインダ(A)とすることで、製造後から比較的短時間のシーズニングで良好な耐水性を保持する耐水耐油紙とすることができる。バインダ(A)の含有量が、バインダ全量に対して25質量%未満となると、短期間での耐水性向上効果が十分に得られず、製造から1日後程度の比較的早期の段階で良好な耐水性が得られない。バインダ(A)の含有量の上限は、特に限定するものではないが、バインダに占めるバインダ(A)の比率が高すぎると塗工層が硬くなりやすく、結果的にオフセット印刷適性を損ねる可能性がある。そのため、オフセット印刷適性を考慮する場合は、バインダ中のバインダ(A)の含有量は、25〜65質量%とすることが好ましく、30〜45質量%とすることがより好ましい。
本発明においては、バインダとして、更に、スチレンブタジエン共重合樹脂(以下、バインダ(B)と表すことがある)をバインダ全量に対して25〜45質量%の範囲で含有させる。バインダ中にスチレンブタジエン共重合樹脂を25〜45質量%含有させることで、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性を更に向上させることができる。前述のバインダ(A)は、それ単体で耐水性と耐油性の向上効果があるが、配合量によってはオフセット印刷時のインキ乾燥性に乏しい塗工層となりやすく、オフセット印刷適性を満足させることができない可能性がある。本発明者らの知見によれば、バインダ(A)とバインダ(B)と併用することで、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性を向上させることが可能となる。バインダ(B)の含有量がバインダ全量の25質量%を下回ると、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性の向上効果に乏しくなる。逆に45質量%を超えると、ブロッキングが生じやすくなるおそれがある。なお、バインダ(B)のガラス転移温度は、限定するものではないが、−50〜50℃の範囲が好ましく、−20〜30℃の範囲がより好ましく、0〜10℃の範囲が最も好ましい。バインダ(B)のガラス転移温度が−50℃を下回るとブロッキングが発生しやすくなるおそれがあり、逆に50℃を上回ると耐水性を損ねるおそれがある。
本発明においては、バインダとして、更に、スチレンアクリル系樹脂(以下、バインダ(C)と表すことがある)をバインダ全量に対して30〜50質量%の範囲で含有させることが好ましい。本発明の耐水耐油紙はブロッキングが生じる可能性があり、特にバインダ(B)をバインダに含有させることでブロッキングが生じやすくなることがある。本発明者等の知見によれば、バインダ中にスチレンアクリル系樹脂を30〜50質量%含有させることで、耐ブロッキング性を向上させることができる。バインダ(C)の含有量がバインダ全量の30質量%を下回ると、耐ブロッキング性の向上効果が十分に得られないおそれがある。逆に、バインダ(C)の含有量が50質量%を超えると、相対的にバインダ(A)の含有量が低下するために耐油性が低下するおそれがある。なお、バインダ(C)のガラス転移温度は、限定するものではないが、−10〜60℃の範囲が好ましく、20〜55℃の範囲がより好ましく、35〜45℃の範囲が最も好ましい。バインダ(C)のガラス転移温度が−10℃を下回るとブロッキングが発生しやすくなるおそれがあり、逆に60℃を上回ると耐水性を損ねるおそれがある。
上述したように、本発明においては、バインダ(A)に加えて、バインダ(B)及び/又はバインダ(C)を使用することができるが、バインダ(A)、バインダ(B)及びバインダ(C)の3種を併用することが好ましい。3種のバインダを併用する場合の塗工液のバインダ配合率を、バインダ(A)25〜45質量%、バインダ(B)25〜45質量%、バインダ(C)30〜50質量%とすることで、シーズニングの時間が短く、耐水性と耐油性とオフセット印刷時におけるインキ乾燥性と耐ブロッキング性とをバランスよく向上させることができる。
本発明において、塗工層中の無機顔料とバインダの配合比率は、特に限定するものではないが、無機顔料100質量部に対してバインダを50〜100質量部とすることが好ましく、60〜80質量部とすることがより好ましい。バインダの配合量が50質量部未満になると、バインダ比率が低すぎるために塗工液を基紙に塗工した際に均一なバリアー層を形成することが困難となり、特に、塗工量が少ない場合には、耐水性と耐油性を損ねるおそれがある。一方、バインダの配合量が100質量部を上回ると、バインダ比率が高すぎるためにバリアー層が強固になりすぎて、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性に劣るおそれがある。
塗工層の塗工量は、固形分で基紙の片面当り8〜20g/m2とすることが好ましく、10〜16g/m2とすることがより好ましい。塗工層の塗工量が基紙の片面あたり8g/m2を下回ると、耐水性及び耐油性を損ねるおそれがある。逆に20g/m2を上回ると耐水性及び耐油性の向上は頭打ちとなり、加えて、オフセット印刷時におけるインキ乾燥性に劣るおそれがある。
本発明においては、塗工層に、前記した無機顔料とバインダ以外の製紙用添加剤も本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて用いることができる。このような製紙用添加剤としては、分散剤、消泡剤、pH調整剤、湿潤剤、保水剤、増粘剤、架橋剤、サイズ剤、離型剤、防腐剤、柔軟剤、導電防止剤、帯電防止剤、耐水化剤、可塑剤、着色染料、着色顔料、還元剤、酸化防止剤、香料、脱臭剤等が挙げられる。
本発明においては、塗工層用塗工液を基紙に塗工し、乾燥させて塗工層を得る。塗工層を設ける際の塗工方法については、特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができる。例えば、ブレードコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、チャンプフレックスコーター、リップコーター、ロッドコーター、ゲートロールコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、フィルム転写型コーターなどの塗工方式によってオフマシンコーターあるいはオンマシンコーターで、単層又は多層塗工することで、本発明の耐水耐油紙を得ることができる。
塗工層の乾燥方式は特に限定されるものではなく、一般的なものを使用することができ、例えば、熱風乾燥、赤外乾燥、常温乾燥、凍結乾燥等が挙げられるが、その乾燥効率から赤外線乾燥、熱風乾燥が好ましい。
また、前記塗工層を形成後に、マシンカレンダー、ソフトカレンダー、スーパーカレンダーなどのカレンダー処理を行ってもよい。
本発明において、耐水耐油紙の耐水性の目安としては塗工層面のJIS P−8140の接触時間120秒後におけるコッブ吸水度にて判断を行い、前記コッブ吸水度が3g/m2以下であれば十分な耐水性を有するものと認められる。また、耐油性の目安としては、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.41(2000)における、紙及び板紙−はつ油度試験方法−キット法耐油度にて判断を行い、キット法耐油度が8級以上であれば十分な耐油性を有するものと認められる。
以下、本発明に係る耐水耐油紙の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、実施例中の「部」及び「%」は特に断らない限り乾燥固形分での「質量部」及び「質量%」を示す。
<基紙の作成>
広葉樹晒クラフトパルプ(300mlCSF以上400mlCSF以下)60質量部と、針葉樹晒クラフトパルプ(400mlCSF以上500mlCSF以下)40質量部とからなるパルプ分散液に、硫酸バンド1.0質量部、填料として軽質炭酸カルシウムを3.0質量部添加し、ロジンサイズ剤0.2質量部、カチオン澱粉0.7質量部を添加して紙料とし、長網式抄紙機にて抄紙した。表面処理剤として、酸化澱粉を塗布量が両面当たり3.2g/m2、表面サイズ剤を塗布量が両面当たり1.6g/m2となるように配合し、サイズプレスにより塗布後乾燥して、水分6%、米坪量100g/m2の基紙を抄紙した。
<塗工液の調製>
顔料として重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン#2200、平均粒子径1.1μm、備北粉化社製)80質量部と、酸化チタン(商品名:CR−85、平均粒子径0.3μm、石原産業社製)20質量部、分散剤(商品名:アロンT−50、40%濃度、東亜合成社製)0.1質量部とを水中に添加し、カウレス分散機で固形分濃度が65質量%の無機顔料分散液を調製した。次いで、無機顔料分散液に増粘剤(商品名:ヨドゾールKA−10、ヘンケルジャパン社製)2.0質量部と、バインダ(A)としてアクリルシリコン樹脂(商品名ヨドゾールGD900、ヘンケルジャパン社製)35質量部と、バインダ(B)としてスチレンブタジエン系樹脂(商品名:P−6X20、ガラス転移温度3℃、日本エイアンドエル社製)25質量部と、ロール剥離剤としてステアリン酸カルシウム(商品名:SNコート243、サンノプコ社製)2質量部を添加して撹拌し、加水して固形分濃度が38質量%の塗工液を調整した。
<塗工液の塗工>
上記で調成した塗工液を基紙の片面にエアナイフコーターで固形分塗工量が、下塗り層が7.0g/m2、上塗り層が7.0g/m2の合計の塗工量が、14.0g/m2になるように塗工し、乾燥し、製品水分率が6質量%である耐水耐油紙を得た。
塗工液の調製において、バインダ(A)の添加量を20質量部、バインダ(B)の添加量を20質量部にそれぞれ変更し、更に、バインダ(C)としてスチレンアクリル系樹脂(商品名:サイビノールEK−81、ガラス転移温度40℃、サイデン化学社製)20質量部を添加した以外は実施例1と同様にして耐水耐油紙を得た。
塗工液の調製において、バインダ(A)の添加量を15質量部、バインダ(C)の添加量を25質量部にそれぞれ変更した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
塗工液の調製において、バインダ(B)の添加量を15質量部、バインダ(C)の添加量を25質量部にそれぞれ変更した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
塗工液の調製において、バインダ(A)の添加量を25質量部に変更した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
塗工液の調製において、バインダ(C)の添加量を35質量部に変更した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
塗工液の調製において、バインダ(A)の添加量を25質量部、バインダ(C)の添加量を15質量部にそれぞれ変更した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例1)
塗工液の調製において、バインダ(A)を添加せず、バインダ(B)の添加量を35質量部、バインダ(C)の添加量を35質量部にそれぞれ変更した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例2)
塗工液の調製において、バインダ(A)の添加量を10質量部、バインダ(C)の添加量を30質量部にそれぞれ変更した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例3)
塗工液の調製において、バインダ(A)を添加せず、バインダ(C)の添加量を40質量部に変更し、更にバインダ(D)としてスチレンブタジエン系樹脂(商品名:PA−3802、ガラス転移温度21℃、日本エイアンドエル社製)20質量部を添加した以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
(比較例4)
塗工液の調製において、バインダ(A)の添加量を60質量部に変更し、バインダ(B)とバインダ(C)を添加しなかった以外は実施例2と同様にして耐水耐油紙を得た。
<耐水耐油紙の物性評価>
実施例1〜8、比較例1〜3で得られた耐水耐油紙について、バインダ構成及び評価結果が図1,2に示されている。なお、各物性の評価は、23℃×50%RHの条件で調湿後、以下の方法により行ったものである。
(1)耐水性:コッブ吸水度
JIS P8140の吸水度試験方法(コッブ法)に準じ、耐水耐油紙の塗工層表面の吸水量について接触時間120秒で測定した。測定は、耐水耐油紙の製造直後、製造から24時間後、製造から168時間後(7日後)のそれぞれについて行った。測定値が3g/m2以下の場合に耐水性が高いといえる。
(2)耐油性:3Mキット法耐油度
TAPPI RC−228(3Mキット法)に準じて、耐水耐油紙の塗工層表面について測定した。測定は、耐水耐油紙の製造から24時間後に行った。耐油度8級以上の場合に耐油性が高いといえる。
(3)耐ブロッキング性
縦目6.5cm×横目5cmに裁断した耐水耐油紙を、塗工層同士が対向するように2枚重ねて50kgf/cmの荷重をし、50℃×50%rhに設定した恒温恒湿機内にポリ袋に入れ6時間加圧放置した。塗工面と塗工面の接着状況を評価した。接着状況の評価は以下の4段階評価とした。
◎:全く接着しない
○:軽微に接着するが剥離は容易
△:部分的に接着する
×:全面が接着する
(4)インキ乾燥性
RI印刷機(明製作所社製)により、フュージョンG墨(DICグラフィックス社製)0.2ccで実施例及び比較例で作成した耐水耐油紙の塗工面に印刷し、印刷から10分後に印刷部を指先で触り、指先へのインキ転移の程度を官能評価した。指先へのインキ転移が少ないものほどインキ乾燥性に優れる。評価は以下の4段階評価とした。
◎:指先へのインキ転写がない。
○:指先へのインキの転写がほとんどない。
△:指先へのインキ転写がやや認められる。
×:指先へのインキ転写がかなり認められる。
図2に示された結果から明らかなように、実施例1〜7により得られた耐水耐油紙は、製造から24時間後のコッブ吸水度が何れも3g/m2以下となり、1日程度という比較的短時間のシーズニングでも良好な耐水性を得られた。また、耐油性についても良好なものであった。これに対して、比較例1〜3により得られた耐水耐油紙は、製造から24時間後のコッブ吸水度が何れも5g/m2以上であり、1日程度という比較的短時間のシーズニングでは良好な耐水性を得られなかった。なお、比較例3により得られた耐水耐油紙は、製造から168時間後(7日後)のコッブ吸水度は2.3g/m2と良好な耐水性を有するものであったが、製造から24時間後のコッブ吸水度は5.5g/m2であり、1日程度のシーズニングでは良好な耐水性を得られていない。
また、比較例4により得られた耐水耐油紙はインキ乾燥性に劣るものであったが、実施例2により得られた耐水耐油紙ではインキ乾燥性の向上が見られた。これよりバインダ(B)を更に添加することにより、インキ乾燥性が向上すると考えられる。また、実施例2〜7により得られた耐水耐油紙の評価結果より、バインダ(A)と、バインダ(B)と、バインダ(C)とを所定量の範囲で併用することにより、シーズニングの時間が短く、耐水性と耐油性とオフセット印刷時におけるインキ乾燥性と耐ブロッキング性とをバランスよく保持できることがわかる。

Claims (7)

  1. 基紙の少なくとも一方の面に、無機顔料とバインダとを含有する塗工層を有する耐水耐油紙であって、前記バインダ全量のうち25質量%以上がアクリルシリコン樹脂、25〜45質量%がスチレンブタジエン共重合樹脂であることを特徴とする耐水耐油紙。
  2. 前記バインダとして、更に、スチレンアクリル系樹脂を前記バインダ全量に対して30〜50質量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載の耐水耐油紙。
  3. 前記無機顔料100質量部に対して前記バインダを50〜100質量部の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐水耐油紙。
  4. 前記無機顔料全量のうち50質量%以上は平均粒子径が0.5〜2.0μmの重質炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐水耐油紙。
  5. 前記塗工層の塗工量は、固形分で基紙の片面当り8〜20g/m2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の耐水耐油紙。
  6. 無機顔料とバインダとを含む原料から塗工液を調製する工程と、
    前記塗工液を基紙の少なくとも一方の面に塗工する工程と、
    前記塗工液を乾燥する工程とを有し、
    前記バインダ全量のうち25質量%以上がアクリルシリコン樹脂、25〜45質量%がスチレンブタジエン共重合樹脂であることを特徴とする耐水耐油紙の製造方法。
  7. 無機顔料とバインダとを含有し、前記バインダ全量のうち25質量%以上がアクリルシリコン樹脂、25〜45質量%がスチレンブタジエン共重合樹脂であることを特徴とする耐水耐油紙の塗工層用塗料。
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