JP2019052397A - 紙用撥水組成物 - Google Patents

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涼 仁科
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誉真 西脇
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Abstract

【課題】 撥水性能が保持され、かつ、優れた防滑性を提供する紙用撥水組成物を提供すること。【解決手段】 塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)を含む、紙用撥水組成物であって、塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPAは、8.3〜9.1の範囲内であり、ワックス(B)の軟化点は、40〜95℃の範囲内であり、塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の固形分質量比(A):(B)は、99:1〜85:15の範囲内である、紙用撥水組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、紙用撥水組成物に関する。
段ボール箱包装体は、農産物、水産物、飲料品をはじめとする食料品、各種工業製品等の梱包および輸送に使用されている。一般に段ボール箱包装体は、表面および裏面を構成するライナー紙と、両ライナー紙間に位置する通常波状形状の中芯紙とからなる。このように構成された段ボール箱包装体は、種々の用途に広く用いられているが、水濡れに弱いという問題がある。そのため、例えば、特開2003−96697号公報(特許文献1)に記載されるように、ライナー紙に撥水剤を塗装する等の手法により、撥水性を付与することが行われている。
ライナー紙に撥水剤を塗装する際は、撥水剤を塗装し、強制乾燥を経た後、ロール状に巻き取られ保管されるのが一般的である。しかしながら、保管温度(40〜70℃)および巻圧の影響により、ライナー紙に塗装した撥水剤の一部の剥がれまたは劣化等が生じ、これにより、保管後の撥水性が低下してしまうという問題があった。
また、これらのライナー紙を用いて製造された段ボール箱包装体は、通常は積み重ねて輸送される。このような輸送において、段ボール箱包装体のライナー紙に撥水性が付与されていると、段ボール箱包装体同士が滑りやすくなり、積み重ねられた段ボール箱包装体の荷崩れが発生し易くなる。これは非常に危険であり、大きな問題となっている。
特開2010−222755号公報(特許文献2)には、少なくとも表面層および裏面層から成る基紙を有するライナー紙であって、前記基紙の少なくとも表面層に撥水剤組成物を含有する塗工液を塗布した塗工層を有し、また、前記表面層を剥離し、JIS P 8220に準じて離解した表面層の離解パルプは、JIS P 8211に準じて測定したカッパー価が50〜70であることを特徴とするライナー紙が記載されている(請求項1)。そしてこのライナー紙は、撥水加工が施されていても、経時的にまたは加熱により撥水性が低下することが防止され、さらに、優れた防滑性が維持されていると記載される。しかしながら、特許文献2に記載されるライナー紙においては、上記特性等について、未だ要求される性能に到達していない。
特開2003−96697号公報 特開2010−222755号公報
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、その目的とするところは、撥水性能が保持され、かつ、優れた防滑性を提供する紙用撥水組成物を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は下記態様を提供する。
[1]
塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)を含む、紙用撥水組成物であって、
上記塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPは、8.3〜9.1の範囲内であり、
上記ワックス(B)の軟化点は、40〜95℃の範囲内であり、
上記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の固形分質量比(A):(B)は、99:1〜85:15の範囲内である、
紙用撥水組成物。
[2]
上記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂エマルション、シリコーンアクリル樹脂エマルション、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションからなる群から選択される1種またはそれ以上を含むのが好ましい。
[3]
上記塗膜形成樹脂(A)がアニオン性樹脂エマルションであり、かつ、上記ワックス(B)がアニオン性水分散物であるのが好ましい。
[4]
上記ワックス(B)の溶解性パラメータSPは、8.0〜8.4の範囲内であるのが好ましい。
[5]
上記塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPおよび上記ワックス(B)の溶解性パラメータSPが、下記条件:
SP>SP
SPおよびSPの差△SPが、0.1〜1.0の範囲内
を満たす態様が好ましい。
[6]
上記紙用撥水組成物が、さらに粒状物(C)を含み、
上記粒状物(C)は、無機微粒子および有機微粒子からなる群から選択される1種またはそれ以上であるのが好ましい。
[7]
上記紙用撥水組成物が粒状物(C)を含む場合において、上記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の合計量、および上記粒状物(C)の固形分質量比は、((A)+(B)):(C)=99:1〜70:30の範囲内であるのが好ましい。
[8]
上記粒状物(C)がシリカ微粒子であり、上記シリカ微粒子の平均粒子径が1μm以下であるのが好ましい。
[9]
上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜は、滑り角度が16〜30°の範囲内であるのが好ましい。
[10]
上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜は、撥水度がR8〜R10であるのが好ましい。
[11]
本発明はさらに、上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜を有する段ボール箱包装体を提供する。
本発明の紙用撥水組成物は、上記特定の塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)を、固形分質量比(A):(B)で99:1〜85:15という範囲で含むことを特徴とする。上記紙用撥水組成物は、上記構成によって、良好な撥水性を発揮し、さらに、撥水性能が保持される利点がある。上記紙用撥水組成物はさらに、防滑性も優れるという利点がある。
本発明の紙用撥水組成物は、塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)を含む。上記塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPは、8.3〜9.1の範囲内であり、上記ワックス(B)の軟化点は、40〜95℃であり、上記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の固形分質量比(A):(B)は、99:1〜85:15の範囲内である。
塗膜形成樹脂(A)
上記塗膜形成樹脂(A)は、上記溶解性パラメータの範囲を満たすものであれば、任意のものを用いることができる。樹脂エマルションとして、例えば、アクリル樹脂エマルション、シリコーンアクリル樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、酢酸ビニル樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、塩化ビニル樹脂エマルション、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルション、クロロプレン系エマルション、イソプレン系エマルション、塩化ビニリデン系エマルション、ポリブタジエン系エマルション等を用いることができる。これらの樹脂エマルションは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂エマルションは、公知の重合方法によって調製することができる。
上記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂エマルション、シリコーンアクリル樹脂エマルション、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションからなる群から選択される1種またはそれ以上を含むのが、より好ましい。
また、上記塗膜形成樹脂(A)は、アニオン性樹脂エマルションであるのがさらに好ましい。アニオン性樹脂エマルションとして、例えば、アニオン性アクリル樹脂エマルション、アニオン性スチレン―ブタジエン系樹脂エマルション、アニオン性アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルション、アニオン性(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション等が挙げられる。これらは1種のみを含んでもよく、2種またはそれ以上を含んでもよい。
アクリル樹脂エマルション
アクリル樹脂エマルションは、各種重合性単量体の重合によって調製することができる。上記重合性単量体とは、分子中にビニル基等の不飽和結合を少なくとも1つ有するものをいい、アクリル酸やメタクリル酸の誘導体を含む。上記重合性単量体としては、特に限定されず、例えば、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;
(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のシクロアルキル基含有重合性単量体;
マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体;
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの反応物等のヒドロキシル基含有エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;
(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル単量体;
アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド単量体;
アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のその他のアミド基含有エチレン系不飽和カルボン酸単量体;
アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和脂肪酸グリシジルエステル単量体;
(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル単量体;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体;
等を挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。
なお、本明細書中で(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を指す。
アクリル樹脂エマルションがアニオン性アクリル樹脂エマルションである場合は、例えば、上記単量体のうち、エチレン系不飽和カルボン酸単量体と、エチレン系不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含む単量体混合物を共重合することによって、調製することができる。
アクリル樹脂エマルションがカチオン性アクリル樹脂エマルションである場合は、例えば、上記単量体のうち、エチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル単量体、エチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド単量体からなる群から選択される少なくとも1種と、これと共重合可能な他の単量体とを含む単量体混合物を共重合することによって、調製することができる。
アニオン性アクリル樹脂エマルションおよびカチオン性アクリル樹脂エマルションは、例えば、(1)アクリル樹脂を形成する重合体を、乳化剤および重合開始剤の存在下で、水性溶媒中で乳化重合する方法、(2)アクリル樹脂を形成する重合体を有機溶媒中においてラジカル重合開始剤を用いて溶液重合し、その後、得られた重合体溶液を中和剤によって中和して、水で相転移する方法、等によって調製することができる。
上記乳化重合に用いることができる乳化剤としては、アニオン性アクリル樹脂エマルションの場合は、石鹸、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等のアニオン系乳化剤を挙げることができる。
また、カチオン性アクリル樹脂エマルションの場合は、ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド等のカチオン系乳化剤を挙げることができる。
さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤は、アニオン性アクリル樹脂エマルション、カチオン性アクリル樹脂エマルションのいずれの場合にも用いることができる。
乳化剤として、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有する界面活性剤(以下、反応性乳化剤という)を用いることもできる。反応性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを基本構造として疎水基にラジカル重合性のプロペニル基を導入したノニオン系界面活性剤、四級アンモニウム塩の構造を持つカチオン系界面活性剤、スルホン酸基、スルホネート基、硫酸エステル基、および/またはエチレンオキシ基を含み、ラジカル重合性の炭素−炭素二重結合を有するアニオン系界面活性剤等が挙げられる。
乳化剤として市販品を用いてもよい。市販される乳化剤として、例えば、アクアロンHS−10等のアクアロンHSシリーズ(第一工業製薬社製);アクアロンRNシリーズ(第一工業製薬社製);エレミノールJS−2(三洋化成工業社製);ラテムルS−120、S−180A、PD−104等のラテムルシリーズ(花王社製)、およびエマルゲン109P等のエマルゲンシリーズ(花王社製);ニューコール706、707SN等の、ニューコールシリーズ(日本乳化剤社製);アントックス(Antox)MS−2N(2−ソジウムスルホエチルメタクリレート)等の、アントックスシリーズ(日本乳化剤社製);アデカリアソープNE−10(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン)等の、アデカリアソープシリーズ(ADEKA社製);等を挙げることができる。
乳化剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。乳化剤を用いる場合における使用量は、重合性単量体100質量部に対して固形分量として、0.5〜10質量部であることが好ましい。
アクリル樹脂エマルションの乳化重合による調製において、重合開始剤を用いるのが好ましい。重合開始剤は、熱または還元性物質等によりラジカルを生成して単量体を付加重合させるものであり、水溶性重合開始剤または油溶性重合開始剤を使用することができる。上記水溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩系開始剤、または、過酸化水素等の無機系開始剤等を挙げることができる。上記油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリル等のアゾビス化合物等を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、または2種またはそれ以上を併用してもよい。
重合開始剤の使用量は、重合に用いる単量体の全量に対して、0.01〜10質量%であることが好ましい。乳化重合における重合温度は例えば30〜90℃であり、重合時間は例えば3〜12時間である。重合反応時の単量体濃度は、例えば30〜70質量%である。
上記アクリル樹脂エマルションは、コア部とシェル部とからなる多層構造を有してもよい。多層構造を有するアクリル樹脂エマルションは、例えば、特開2002−12816号公報に記載された公知の製造方法によって調製することができる。
上記アクリル樹脂エマルションはまた、乳化重合の前に、重合性単量体の混合物、乳化剤および水性媒体を混合して、反応前乳化混合物を調製してもよい。反応前乳化混合物を調製する場合は、反応前乳化混合物および重合開始剤を水性媒体中で混合することによって、乳化重合を行うことができる。
溶液重合は、上記重合体を、有機溶媒中においてラジカル重合することによって行われる。上記溶液重合に用いることができるラジカル重合開始剤の具体例は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドを含む。ラジカル重合開始剤は、1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。また、必要に応じて、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いて、樹脂分子量を調節することもできる。
溶液重合によって得られた重合体の中和に用いられる中和剤は、アニオン性アクリル樹脂エマルションの場合は無機塩基および/または有機塩基であり、カチオン性アクリル樹脂エマルションの場合は無機酸および/または有機酸である。無機塩基または有機塩基の具体例は、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを含む。無機酸の具体例は、塩酸、硝酸を含む。有機酸の具体例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等の脂肪族飽和カルボン酸を含む。中和剤は、1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
中和剤の使用量は、共重合体中が有するカルボキシル基またはアミノ基1モルに対して、通常0.2〜1.0モルである(中和率:20〜100%)。このように、アニオン性アクリル樹脂を用いる場合においては、カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーに由来するカルボキシル基を塩基で中和することにより、アクリル樹脂の水分散体の一形態であるアニオン性アクリル樹脂エマルションを得ることができる。また、カチオン性アクリル樹脂を用いる場合においては、アミノ基含有エチレン性不飽和モノマーに由来するアミノ基を酸で中和することにより、アクリル樹脂の水分散体の一形態であるカチオン性アクリル樹脂エマルションを得ることができる。
アニオン性アクリル樹脂エマルションは、酸価が5〜200mgKOH/gであることが好ましく、5〜70mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が上記範囲内であることによって、樹脂エマルションの水中での安定性および塗膜の耐水性のバランスをとることができる。なお、本明細著中において酸価は固形分酸価を表し、JIS K 0070に記載される公知の方法によって測定することができる。
アニオン性アクリル樹脂エマルションは、水酸基価が0〜85mgKOH/gであることが好ましく、0〜40mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価が85mgKOH/g以下であることによって、塗膜の耐水性を確保することができる利点がある。なお、本明細著中において水酸基価は固形分水酸基価を表し、JIS K 0070に記載される公知の方法によって測定することができる。
カチオン性アクリル樹脂エマルションは、アミン価が10〜200mgKOH/gであることが好ましく、20〜70mgKOH/gであることがより好ましい。アミン価が上記範囲内であることによって、樹脂エマルションの水中での安定性および塗膜の耐水性のバランスをとることができる。なお、本明細著中においてアミン価は固形分アミン価を表し、JIS K 7237に記載される公知の方法によって測定することができる。
カチオン性アクリル樹脂エマルションは、水酸基価が0〜85mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価が85mgKOH/g以下であることによって、塗膜の耐水性を確保することができる利点がある。ここでいう水酸基価は固形分水酸基価を表し、JIS K 0070に記載される公知の方法によって測定することができる。
シリコーンアクリル樹脂エマルション
上記シリコーンアクリル樹脂エマルションは、アニオン性樹脂エマルションである。シリコーンアクリル樹脂エマルションは、上記重合性単量体に加えて、アルコキシシリル基含有重合性単量体をさらに含有する単量体組成物の重合によって得られる重合体等を挙げることができる。
上記アルコキシシリル基含有重合性単量体は、炭素数1〜14のアルコキシシリル基を含有する重合性単量体であれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリブトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメトキシメチルシリルプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシジメチルシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等を挙げることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これらのうち、特に、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
シリコーンアクリル樹脂エマルションの調製は、上記アルコキシシリル基含有重合性単量体を追加的に用いること以外は、アニオン性アクリル樹脂エマルションの調製と同様にして調製することができる。
さらに、シリコーンアクリル樹脂エマルションは、アクリル樹脂に有機シリコーン単位を導入してもよい。有機シリコーン単位を導入する方法としては、有機シリコーン化合物およびアクリル重合性単量体の混合物を乳化重合し加水分解、縮合反応およびラジカル重合を行う方法、シリコーン官能基を有する単量体を共重合する方法、アクリル重合体に対して有機シリコーン化合物を反応させることにより、アクリル重合体粒子表面に有機シリコーン化合物を結合させる方法等が挙げられる。上記の2以上の方法を組み合わせるものであってもよい。
上記方法で使用する有機シリコーン化合物としては、特に限定されず、例えば、オルガノシラン、オルガノシランの加水分解物、オルガノシランの縮合物を挙げることができる。
上記オルガノシランは、一般に、下記一般式(1)
Figure 2019052397
[式中、Rは、2個存在するときは同一または異なり、炭素数1〜8の一価の有機基を示す。Rは、同一または異なり、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。nは0〜2の整数である。]
で表される。
上記オルガノシランの加水分解物は、上記一般式(1)で表されるオルガノシランの、OR基が加水分解されている化合物である。上記オルガノシランに2〜4個含まれるOR基のすべてが加水分解されている必要はなく、例えば、1個だけが加水分解されているもの、2個以上が加水分解されているもの、あるいはこれらの混合物であってもよい。
上記オルガノシランの縮合物は、オルガノシランの加水分解物のシラノール基が縮合してSi−O−Si結合を形成したものである。上記有機シリコーン化合物は、シラノール基のすべてが縮合しているものの他、僅かな一部のシラノール基が縮合したもの、縮合の程度が異なっているものの混合物等であってもよい。
一般式(1)において、Rの炭素数1〜8の一価の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基等のアシル基;ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアナート基等のほか、これらの基の置換誘導体等を挙げることができる。
の置換誘導体における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアミノ基、水酸基、メルカプト基、イソシアナート基、グリシドキシ基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アンモニウム塩基等を挙げることができる。ただし、これらの置換誘導体からなるRの炭素数は、置換基中の炭素原子を含めて8以下である。一般式(1)中に、Rが2個存在するときは、相互に同一でも異なってもよい。
また、Rの炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等を挙げることができ、炭素数1〜6のアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、カプロイル基等を挙げることができる。一般式(1)中に複数個存在するRは、相互に同一でも異なってもよい。
上記オルガノシランとしては、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類のほか、メチルトリアセチルオキシシラン、ジメチルジアセチルオキシシラン等を挙げることができる。
これらのうち、好ましく用いられるのは、トリアルコキシシラン類、ジアルコキシシラン類であり、また、トリアルコキシシラン類としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランが好ましく、さらに、ジアルコキシシラン類としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランが好ましい。
ブタジエン系樹脂エマルション
塗膜形成樹脂(A)として用いることができるブタジエン系樹脂エマルションは、少なくとも樹脂成分として脂肪族共役ジエン系単量体およびその他の共重合可能な単量体を共重合して得られる共重合体のエマルションである。ブタジエン系樹脂エマルションとして、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルション等が挙げられる。これらは、ブタジエン共重合ラテックス(スチレン−ブタジエン系合成樹脂ラテックス、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系合成樹脂ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン系合成樹脂ラテックス)とも言われる。
スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション
スチレン−ブタジエン系樹脂エマルションは、脂肪族共役ジエン系単量体およびスチレン系単量体を含む単量体混合物を共重合することによって、調製することができる。スチレン−ブタジエン系樹脂エマルションの調製において、上記脂肪族共役ジエン系単量体およびスチレン系単量体に加えて、必要に応じた他の単量体(例えば、前記の重合性単量体)も併せて用いてもよい。
上記脂肪族共役ジエン系単量体として、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン等が挙げられる。脂肪族共役ジエン系単量体は、1,3−ブタジエンを含むのが好ましい。スチレン−ブタジエン系樹脂エマルションの調製において、単量体に含まれる1,3−ブタジエンの含有量が20〜80質量%の範囲となる量で用いるのがより好ましい。
上記スチレン系単量体として、スチレンおよびその誘導体が挙げられる。スチレン系単量体の具体例として、例えば、スチレン、アルキルスチレン(例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレン等)、ハロゲン化スチレン(例えば、フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン等)、ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、カルボキシルスチレン等が挙げられる。スチレン系単量体として、スチレンを含むのが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション
(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルションは、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を主要成分として含む単量体混合物を共重合することによって調製することができる。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル系単量体として、(メタ)アクリル酸メチルを用いるのがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルションの調製において、単量体に含まれる(メタ)アクリル酸エステル系単量体の含有量が5〜75質量%の範囲となる量で用いるのがより好ましい。
脂肪族共役ジエン系単量体として、上記の脂肪族共役ジエン系単量体(例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン等)が挙げられる。脂肪族共役ジエン系単量体は、1,3−ブタジエンを含むのが好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸系単量体として、エチレン性不飽和ジカルボン酸系単量体(例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等)、および、エチレン性不飽和モノカルボン酸系単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、および上記ジカルボン酸のハーフエステル等)が挙げられる。上記エチレン性不飽和カルボン酸系単量体として、エチレン性不飽和ジカルボン酸系単量体を用いるのがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルションの調製において、単量体に含まれるエチレン性不飽和カルボン酸系単量体の含有量が0.5〜3質量%の範囲となる量で用いるのがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルションの調製において、必要に応じて、上記(メタ)アクリル酸エステル系単量体、脂肪族共役ジエン系単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸系単量体に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体(例えば、前記の重合性単量体)を共重合成分として用いることができる。
アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルション
アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションは、脂肪族共役ジエン系単量体およびエチレン性不飽和ニトリル単量体を主要成分として含む単量体混合物を共重合することによって調製することができる。
脂肪族共役ジエン系単量体として、上記の脂肪族共役ジエン系単量体(例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン等)が挙げられる。脂肪族共役ジエン系単量体は、1,3−ブタジエンを含むのが好ましい。
エチレン性不飽和ニトリル単量体として、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリル等が挙げられる。エチレン性不飽和ニトリル単量体は、アクリロニトリルを含むのが好ましい。
アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションの調製において、単量体に含まれるエチレン性不飽和ニトリル単量体の含有量が5〜75質量%の範囲となる量で用いるのがより好ましい。
アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションの調製において、必要に応じて、上記脂肪族共役ジエン系単量体およびエチレン性不飽和ニトリル単量体に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体(例えば、前記の重合性単量体)を共重合成分として用いることができる。
ブタジエン共重合樹脂エマルションの調製
スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルション等のブタジエン共重合樹脂エマルションは、上記単量体混合物を、例えば、重合開始剤の存在下で乳化重合することによって調製することができる。重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩系開始剤、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素等を挙げることができる。重合開始剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して0.03〜2.5質量部であるのが好ましく、0.05〜1.0質量部であるのがより好ましい。
乳化重合に使用する乳化剤として、例えば、
石鹸、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等のアニオン系乳化剤;および、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系乳化剤;
等が挙げられる。
これらの乳化剤は1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。また、乳化剤として、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤のいずれかを単独で用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
乳化剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して0.2〜5質量部の範囲内であるのが好ましく、0.5〜3質量部の範囲内であるのがより好ましい。
乳化重合において、アニオン系乳化剤を用いることによって、アニオン性スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、アニオン性(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アニオン性アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションを調製することができる。
さらに必要に応じて、乳化重合で通常用いられる還元剤、キレート剤、内部架橋剤、連鎖移動剤、重合停止剤、pH調整剤等を用いることができる。
上記スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションとして、市販品を用いてもよい。市販品として、例えば、
スチレン−ブタジエン系樹脂エマルションとしては、旭化成社製のSBラテックスシリーズ、日本ゼオン社製のNipolシリーズ、JSR社製のS−SBRシリーズ、DIC製のラックスターシリ−ズ、日本A&L社製のナルスターシリ−ズ等が挙げられ;
アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションとしては、日本ゼオン社製のNipolシリ−ズ、日本A&L社製のサイアテックスシリ−ズ、DIC社製のラックスターシリ−ズ等が挙げられ;
(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルションとしては、日本A&L社製のナルスターシリーズ、DIC社製のラックスターシリ−ズ等が挙げられる。
本発明の紙用撥水組成物に含まれる上記塗膜形成樹脂(A)は、溶解性パラメータSPが8.3〜9.1の範囲内であることを条件とする。上記塗膜形成樹脂(A)が、2種またはそれ以上の樹脂成分を含む場合は、各樹脂成分の溶解性パラメータの数値および質量割合に基づいた平均値が上記範囲内であることが必要である。各樹脂成分それぞれの溶解性パラメータが上記範囲内であるのがより好ましい。
溶解性パラメーター(SP値)は、溶解性の尺度となるものであり、次のようにして測定される。(参考文献:SUH,CLARKE〔J.P.S.A−1,5,1671−1681(1967)〕)サンプルとして、樹脂0.5gを100mlビーカーに秤量し、アセトン10mlを、ホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解したものを使用する。このサンプルに対して測定温度20℃で、50mlビュレットを用いて貧溶媒を滴下し、濁りが生じた点を滴下量とする。貧溶媒は、高SP貧溶媒としてイオン交換水を用い、低SP貧溶媒としてn−ヘキサンを使用して、それぞれ濁点測定を行う。樹脂のSP値δは下記計算式によって与えられる。

δ=(Vml 1/2δml + Vmh 1/2δmh)/(Vml 1/2 + Vmh 1/2
=V /(φ + φ
δ =φδ + φδ

Vi:溶媒の分子容(ml/mol)
φi:濁点における各溶媒の体積分率
δi:溶媒のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系
上記塗膜形成樹脂(A)の溶解パラメータの下限は8.3であるのが好ましく、8.5であるのがさらに好ましい。また、上記塗膜形成樹脂(A)の溶解パラメータの上限は8.8であるのが好ましく、8.6であるのがより好ましい。塗膜形成樹脂(A)の溶解パラメータの下限が8.3未満である場合は、塗膜形成樹脂(A)とワックスの親和性が高まり、塗膜形成樹脂(A)を表層に存在させて撥水性を確保することが困難となるおそれがある。塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPが9.1を超える場合は、塗膜形成樹脂(A)とライナー紙との親和性が高くなり、塗膜形成樹脂(A)がライナー紙へ浸透し、撥水性を確保することが難しくなるおそれがある。
上記塗膜形成樹脂(A)の平均粒子径は、30〜500nmであるのが好ましく、50〜300nmであるのがより好ましい。
塗膜形成樹脂(A)の平均粒子径が上記範囲内であることにより、樹脂エマルションの造膜性が良好となり、より良好な撥水性を発揮することができる利点がある。
なお、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法によって決定される平均粒子径であり、具体的には、電気泳動光散乱光度計ELSZシリーズ(大塚電子社製)等を使用して測定することができる。
上記塗膜形成樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、−60℃〜40℃であるのが好ましい。ガラス転移温度(Tg)が上記範囲内であることにより、塗膜の造膜性が良好となり、良好な撥水性を得ることができる。
塗膜形成樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、樹脂を構成する各モノマーの質量分率を、各モノマーから誘導される単独重合体(ホモポリマー)のTg(K:ケルビンで表す。)値で割ることによって得られるそれぞれの商の合計の逆数として計算することができる。
より詳細には、本発明において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、Foxの式(T.G.Fox;Bull.Am.Phys.Soc.,1(3),123(1956))によって算出することができる。
例えば、樹脂が、複数のアクリルモノマーの重合体である場合、下記一般式
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・+wn/Tgn
で表されるTgを微粒子のTgとする。
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wa:モノマーAの質量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wb:モノマーBの質量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)、Wn:モノマーNの質量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
ワックス(B)
上記紙用撥水組成物は、上記塗膜形成樹脂(A)に加えて、ワックス(B)を含む。ここで上記ワックス(B)の軟化点は40〜95℃の範囲内である。紙用撥水組成物が上記特定の塗膜形成樹脂(A)そして上記特定のワックス(B)の両方を含むことによって、紙に対して良好な撥水性能を付与することができ、かつ、優れた防滑性も付与することができる。
上記ワックス(B)の具体例として、例えば、天然ワックスおよびポリオレフィンワックス等が挙げられる。上記ワックス(B)は、天然ワックスおよびポリオレフィンワックスからなる群から選択される1種またはそれ以上のワックスの水分散物であるのが好ましい。
天然ワックスの具体例として、例えば、木ロウ、カルナバワックス、石油系のマイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、鉱物系のモンタンワックス等が挙げられる。ポリオレフィンワックスの具体例として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸化ポリエチレン、酸化ポリプロピレン、塩化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のポリオレフィンワックス等が挙げられる。
上記ワックスの水分散物の調製方法の例として、例えば、上記ワックスを親水性有機溶媒に溶解させ、次いで水性溶媒中に機械的に分散させる方法、界面活性剤または高分子乳化剤等を用いて、上記ワックスを水性溶媒中に分散させる方法、および上記ワックスにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて、カルボキシル基を導入し、次いで、導入したカルボキシル基を有機アミンまたは無機塩基で中和することによって、水性溶媒中に乳化分散させる方法、等が挙げられる。
上記の水分散物の調製方法において、界面活性剤としてアニオン系界面活性剤を用いてワックスを水性溶媒中に分散させることによって、ワックス(B)のアニオン性水分散物を調製することができる。アニオン系界面活性剤として、当分野において通常用いられるアニオン系乳化剤(アニオン系界面活性剤)を適宜選択して用いることができる。また、上記の水分散物の調製方法において、ワックスにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて、カルボキシル基を導入し、次いで、導入したカルボキシル基を有機アミンまたは無機塩基で中和することによっても、ワックス(B)のアニオン性水分散物を調製することができる。上記塗膜形成樹脂(A)がアニオン性樹脂エマルションである場合は、上記ワックス(B)がアニオン性水分散物であるのが特に好ましい。
ワックス(B)として、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等を用いるのが好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがより好ましい。ワックス(B)としては市販品を用いることもできる。市販品としては、三井化学社製のハイワックスシリーズ、BYK−Chemie社製のCERAFLOURシリーズ等が挙げられる。
ワックス(B)の水分散物としては市販品を用いることもできる。市販品として、例えば、中京油脂社製のセロゾールシリーズ、トラソルシリーズ、ハイドリンシリーズ等;ビックケミー社製のAQUACERシリーズ等;三井化学社製のケミパールシリーズ、ユニチカ社製のアローベースシリーズ等が挙げられる。
本発明において、ワックス(B)の軟化点は40〜95℃の範囲内であることを条件とする。ワックス(B)の軟化点は、50〜90℃の範囲内であるのがより好ましい。ワックスの軟化点が40℃未満である場合は、溶融したワックスが塗膜表面に残存しにくく、95℃を超える場合は、ワックスの溶融が起こりにくく塗膜表面に移行しにくいため、いずれも、良好な撥水性が得られないおそれがある。
ワックス(B)の軟化点は、JIS K 2207に準拠した方法により測定することができる。ワックス(B)が水分散物である場合は、水分散前の状態のワックスを用いて、JIS K 2207に準拠した方法により軟化点を測定することができる。ワックス(B)が水分散物である場合における軟化点の測定方法の他の例として、ワックス水性媒体の水分を蒸発させて、ワックスが固形状態となったものを用いることもできる。
上記ワックス(B)は、溶解性パラメータSPが8.0〜8.4の範囲内であるのが好ましい。ワックス(B)の溶解性パラメータは、上記塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータと同様にして測定することができる。
さらに、上記塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPおよびワックス(B)の溶解性パラメータSPは、下記条件:
SP>SP
SPおよびSPの差△SPが、0.1〜1.0の範囲内
を満たす態様がより好ましい。上記溶解性パラメータSPおよび溶解性パラメータSPが上記条件を満たすことによって、塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の良好な相互作用が得られ、より良好な撥水性、撥水性能保持性および防滑性が得られる利点がある。
粒状物(C)
上記紙用撥水組成物は、必要に応じて、粒状物(C)を含んでもよい。粒状物(C)は、上記紙用撥水組成物において、例えば、さらに防滑性を向上させることができる、防滑助剤としての役割を発揮することができる。
粒状物(C)として、無機微粒子および有機微粒子から選択される少なくとも1種を用いることができる。粒状物(C)は、平均粒子径が1μm以下であるのが好ましく、0.01〜1μmであるのがより好ましい。平均粒子径が上記範囲内であることにより、塗膜の撥水性および外観を損なうことなく、撥水組成物から形成される塗膜にさらに優れた防滑性を付与することができる利点がある。
上記無機微粒子としては、上述のように特定の平均粒子径を有し、かつ、塗膜の乾燥温度において溶融しないものであれば、特に限定されることなく用いることができる。無機微粒子として、例えば、シリカ、マイカ、タルク、クレー、グラファイト、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、フェライト、チャイナクレー、カオリン、二酸化チタン、ガラスフレーク、アスベスト、ろう石粉、けい石粉、硫酸バリウム、シェルベン、シャモット等の無機微粒子を挙げることができる。上記無機微粒子は、防滑性の観点から、シリカ微粒子であることが好ましい。
上記有機微粒子としては、上述のように特定の平均粒子径を有し、かつ、塗膜の乾燥温度において溶融しないものであれば、特に限定されることなく用いることができる。有機微粒子として、例えば、アクリル系架橋粒子、スチレン系架橋粒子、アクリル−スチレン系架橋粒子、ポリプロピレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ポリアミド粒子、ポリイミド粒子、ポリカーボネート粒子、エポキシ樹脂粒子またはウレタン樹脂粒子等が挙げられる。
上記粒状物(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
粒状物(C)として、防滑性の点から、シリカ微粒子を好ましく用いることができる。シリカ微粒子は、球状であっても破砕型であってもよい。また、シリカ微粒子は乾式シリカ、湿式シリカおよび有機修飾シリカのいずれであってもよく、これらの2種以上からなる混合物であってもよい。
ある態様では、シリカ微粒子として、シリカ微粒子を含む懸濁液(コロイダルシリカ)を用いることができる。シリカ微粒子を含む懸濁液は、酸性領域または塩基性領域で安定化されたものであってもよい。酸性領域で安定なシリカ微粒子を含む懸濁液としては、シリカ微粒子を含む懸濁液に一般的に含まれるナトリウムを除去したものや、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸で安定化させたものが挙げられる。塩基性領域で安定なシリカ微粒子を含む懸濁液としては、アンモニア、ナトリウム化合物(例えば水酸化ナトリウム等)、カリウム化合物(例えば水酸化カリウム等)、カルシウム化合物(例えば水酸化カルシウム等)、水酸化アルミニウム等の塩基で安定化させたもの等が挙げられる。これらのうち1成分のみ、または複数を組み合わせて使用することができる。
シリカ微粒子として市販品を用いることができる。市販品として、例えば、東ソー・シリカ社製のNipsilシリーズ、富士シリシア化学社製サイリシアシリーズ、サイロホービックシリーズ、サイロスフェアシリーズ、水澤化学工業社製ミズカシルシリーズ等が挙げられる。
また、シリカ微粒子の懸濁液の市販品としては、例えば、日産化学工業社製のスノーテックスシリーズ、ADEKA社製のアデライトシリーズ、日揮触媒化成工業社製のカタロイドシリーズ等が挙げられる。
シリカ微粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
他の成分等
上記紙用撥水組成物は、上記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)以外の他の成分を含んでもよい。他の成分として、例えば、段ボール箱包装体の使用環境に応じた各種の添加剤、例えば、防カビ剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、防錆剤等、さらに、上記塗膜形成樹脂(A)以外のその他の樹脂、消泡剤、レベリング剤、粘度調整剤等が挙げられる。これらの他の成分は、本発明の目的に反しない限度において含まれることを条件とする。
上記紙用撥水組成物は、水性組成物であり、水を主溶媒として含む。一方で、上記紙用撥水組成物は、必要に応じて有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、メトキシプロパノール等のアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類、アセチルアセトン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類、ヘキサン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。ただし、VOC排出規制の観点から、有機溶媒の量は可能な限り少ないことが好ましい。
紙用撥水組成物の調製方法
上記紙用撥水組成物は、特に限定されず、例えば上記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)、そして必要に応じた他の成分を、当業者において通常用いられる混合手段および混合条件で混合することによって、調製することができる。混合手段の具体例として、例えば、ホモミキサー、ホモディスパー等の攪拌機を用いた混合手段が挙げられる。混合条件は、混合手段および製造スケールに応じて適宜選択することができる。混合条件の具体例として、例えば、上記各成分を加えて、10〜45℃で1〜120分間混合する条件等が挙げられる。
上記紙用撥水組成物に含まれる上記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の固形分質量比(A):(B)は、99:1〜85:15の範囲内である。上記固形分質量比(A):(B)は、99:1〜90:10の範囲内であるのが好ましく、98:2〜95:5の範囲内であるのがより好ましい。塗膜形成樹脂(A)の量が上記範囲を超える場合は、撥水性が劣るおそれがある。また、ワックス(B)の量が上記範囲を超える場合は、防滑性能が劣るおそれがある。
また、上記紙用撥水組成物が粒状物(C)を含む場合は、塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の合計量、および上記粒状物(C)の固形分質量比として、((A)+(B)):(C)=99:1〜70:30の範囲内となる量であるのが好ましい。粒状物(C)用いる場合において、上記量範囲で用いることによって、塗膜の撥水性を損なうことなく良好な防滑性能を得ることができる。
紙用撥水組成物を用いた塗膜形成
上記紙用撥水組成物を被塗物に塗装し乾燥させることによって、撥水性能を有する塗膜を形成することができる。上記紙用撥水組成物を塗装する被塗物として、洋紙、ライナー紙、和紙、化学繊維紙、混抄紙、合成紙、樹脂加工紙等の、各種の紙が挙げられる。上記紙用撥水組成物の塗装に好適な被塗物として、特に、ライナー紙が挙げられる。ライナー紙とは、段ボール箱包装体の表面および裏面に用いられる板紙である。ライナー紙は、牛乳パック等の各種液体容器を構成する紙としても一般に用いられている。
段ボール箱包装体は、一般に、表面および裏面を構成するライナー紙と、両ライナー紙間に位置する通常波状形状の中芯紙とからなる。段ボール箱包装体の他の態様として、複両面段ボール箱包装体、および複々両面段ボール箱包装体が挙げられる。これらの段ボール箱包装体においては、表面および裏面に加えて、中央層としてもライナー紙が用いられている。
ライナー紙および中芯紙等の紙は、一般にパルプが用いられる。パルプとして、例えば、
木材を物理的な力で破砕することによってパルプ化された、機械パルプ、例えば、砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナー砕木パルプ(RPM)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等;
チップ化された木材を、化学反応により分解および/または不純物分離することによりパルプ化された、化学パルプ、例えば、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、アルカリパルプ等;
古紙または裁落を原料とする、古紙パルプ;
ケナフ等の非木材繊維原料から得られる非木材パルプ;
ポリオレフィン等の樹脂から構成される多分岐状合成繊維である合成パルプ;
等が挙げられる。
これらのパルプは1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
ライナー紙および中芯紙は、上記パルプに加えてフィラー(填料)を含む。フィラーとして、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、カオリン、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、珪藻土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料;および、尿素−ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料;等が挙げられる。これらのフィラーは1種のみを用いてもよく、2種またはそれ以上を併用してもよい。
ライナー紙および中芯紙は、上記パルプおよびフィラーに加えて、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等の抄紙用内添助剤を、必要に応じて含んでもよい。
内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤等が挙げられる。
また、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。
さらに、染料、pH調整剤、スライムコントロール剤、消泡剤、粘剤等の抄紙用添加助剤も、必要に応じて用いることができる。
ライナー紙および中芯の抄紙条件については特に制限はなく、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機、傾斜式抄紙機、各種コンビネーション抄紙機等の商業規模の抄紙機等から、目的に応じて適宜選択して使用することができる。なお、上記ライナー紙は、単層であってもよく、2層以上の層を有する抄き合せ紙であってもよい。
上記紙用撥水組成物を被塗物に塗装する方法は、当業者において一般的に用いられる塗装方法であってよい。このような塗装方法として、例えば、2本ロールサイズプレスコーター、ゲートロールサイズプレスコーター、フィルムメタリングサイズプレスコーター、ブレードコーター、キャレンダー、チャンプレックスコーター、バーコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、エアーナイフコーター、ダイスロットコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等が挙げられる。
上記塗装により得られた塗膜を、必要に応じて乾燥させてもよく、そのまま放置して乾燥させてもよい。乾燥処理の具体例として、例えば、40〜150℃の乾燥器中で10秒〜300秒間乾燥させる処理方法、エアブロー等を用いた風圧処理によって乾燥させる処理方法等が挙げられる。
上記により、上記紙用撥水組成物の塗膜(乾燥塗膜)を被塗物上に設けることができる。ここで、上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜は、滑り角度が16〜30°の範囲内であるのが好ましく、20〜28°の範囲内であるのがさらに好ましい。上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜の滑り角度が上記範囲内である場合は、例えば上記乾燥塗膜を有するライナー紙を段ボール箱包装体の表面として用いた場合において、積み重ねられた段ボール箱包装体における荷崩れを有効に防止することができる利点がある。
本明細書において、滑り角度とは、JIS P 8147(紙および板紙−静および動摩擦係数の測定方法)に規定される、傾斜法による傾斜角を意味する。滑り角度は、滑り傾斜角測定装置を用いて測定される。具体的には、水平面(固定面)と傾斜板に試験片をそれぞれ固定し、傾斜板を水平状態に維持しつつ、傾斜板上の試験片の上に重りを置き、一定の速度で傾斜板の傾斜角度を上げていき、重りを載せた試験片が滑り始めたときの傾斜角を読み取ることによって測定される。
上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜はさらに、撥水度がR8〜R10であるのが好ましく、R9〜R10であるのがさらに好ましい。上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜の撥水度が上記範囲内であることによって、有効な撥水性能が発揮される利点がある。
本明細書において、撥水性能とは、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.68:2000記載の「紙および板紙−はっ水度試験方法」に従って測定された撥水度を意味する。
上記紙用撥水組成物は、上記特定の塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)を、固形分質量比(A):(B)で99:1〜85:15という範囲で含むことを特徴とする。上記紙用撥水組成物は、上記構成によって、良好な撥水性を発揮し、さらに、撥水性能が保持される利点がある。上記紙用撥水組成物はさらに、防滑性も優れるという利点がある。
このように、撥水性能が持続される作用機構としては、理論に拘束されるものではないが、上記特定の塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)が含まれることによって、塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の相互作用が生じ、その結果、撥水成分として機能するワックス(B)が、塗装時そして塗装後において紙の内部へ移行し沈み込むことを防止することができるためと考えられる。さらに、塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の相互作用により、乾燥塗膜表面におけるワックス(B)のブリードを防ぐことができ、これにより、防滑性が発揮されると考えられる。
上記紙用撥水組成物によって得られる乾燥塗膜は、経時的にまたは加熱により撥水性が低下することが防止されているという特徴がある。上記紙用撥水組成物の乾燥塗膜は、例えば、加工工程で熱処理を伴うライナー紙、特に段ボール箱包装体の製造に用いられるライナー紙に好適に用いることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、質量基準による。
製造例1−1:塗膜形成樹脂(A−1)の製造
反応容器に、脱イオン水165質量部およびアクアロンHS10(第一工業製薬社製;乳化剤)2質量部を入れ、内容物温度を80℃とした。
その中にスチレン22質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル57質量部、メタクリル酸n−ブチル21質量部、アクリル酸2質量部、脱イオン水50質量部およびアクアロンHS10(第一工業製薬社製;反応性乳化剤)2質量部からなるプレ乳化液と、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.3質量部および脱イオン水20質量部からなる重合開始剤水溶液を2時間で滴下した。
滴下終了後反応温度を40℃まで冷却し、25%アンモニア水を添加して、樹脂固形分濃度30%のアニオン性アクリル塗膜形成樹脂(A−1)を得た。
得られた樹脂エマルションの溶解性パラメータ(SP)は8.64、平均粒子径は80nmおよびガラス転移温度は−30℃であった。
製造例1−2〜1−5:塗膜形成樹脂(A−2)〜(A−5)の製造
アクリルモノマー種および量を下記表通りに変更したこと以外は、製造例1−1と同様にして塗膜形成樹脂(A−2)〜(A−5)を製造した。得られた樹脂エマルションの溶解性パラメータ(SP)、平均粒子径およびガラス転移温度は、表に記載の通りであった。
Figure 2019052397
実施例1:紙用撥水組成物1の製造
製造例1−1の塗膜形成樹脂(A−1)を317質量部、ワックス(B−1)の水分散物としてセロゾール866(中京油脂社製;ワックスの水分散物、SP:8.20、融点:60℃、固形分濃度:40%)を10質量部および水道水1,673質量部を混合して、撥水組成物(固形分濃度5%)を得た。
実施例2〜8および比較例1〜6:紙用撥水組成物の製造
塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の種類および量を、下記表に記載の通り変更したこと以外は、実施例1と同様にして、撥水組成物を得た。なお、それぞれの撥水組成物は、その固形分濃度が5%となるよう、水道水で適宜調整した。
各実施例および比較例の製造で用いた、塗膜形成樹脂(A−6)〜(A−9)、ワックス(B−1)〜(B−4)、粒状物(C−1)、(C−2)の詳細は下記の通りである。
・塗膜形成樹脂(A−6):SBラテックスL−7090(旭化成社製、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション)、SP値:8.57、Tg:6℃、樹脂固形分濃度:50%、平均粒子径:290nm
・塗膜形成樹脂(A−7):サイビノールNP−186(サイデン化学社製、シリコーンアクリル樹脂エマルション)、SP値:8.96、Tg:38℃、樹脂固形分:44%、平均粒子径:150nm
・塗膜形成樹脂(A−8):サイビノールNP−5778(サイデン化学社製、アクリル樹脂エマルション)、SP値:9.10、Tg:16℃、樹脂固形分濃度:55%、平均粒子径:680nm
・塗膜形成樹脂(A−9):PVA105(クラレ社製、ポリビニルアルコール)、SP値:12.60、Tg:65℃、樹脂固形分濃度:100%
・ワックス(B−2):AQUACER539(BYK−Chemie社製;ワックスの水分散物)、SP:8.40、融点:90℃、固形分濃度:35%
・ワックス(B−3):ヘキサデカン(純正化学社製;長鎖飽和炭化水素)、SP:8.00、融点:17.5℃(常温で液体)、有効成分濃度:100%
・ワックス(B−4):ポリロンL−788(中京油脂社製;ワックスの水分散物)、SP:8.50、融点:110℃、固形分濃度:31%
・粒状物(C−1):スノーテックス ZL(日産化学工業社製、シリカ粒子)、固形分濃度:40%
・粒状物(C−2):Nipsil E−743(東ソー・シリカ社製、シリカ粒子)、固形分濃度:100%(粉体)
上記実施例および比較例により得られた撥水組成物を用いて、下記評価を行った。
評価試験試料(評価用ライナー紙)の作成
上記撥水組成物を、Kライナー紙上に、バーコーターを用いてWET塗布量20g/mとなるよう塗布し、140℃で10秒間乾燥して評価用ライナー紙を作成した。
なお、評価試験は、JIS P 8111に準拠し、温度23±2℃、湿度50±2%の環境条件で行った。
塗膜外観
上記作成した塗膜の外観を目視で観察し、以下の基準により評価した。
○:塗膜全体が均一で白化が見られない
○△:わずかに白化が見られる
△:部分的に白化が見られる
×:塗膜全体に白化が見られる
撥水性評価(初期および加熱後)
上記作成した評価用ライナー紙の撥水性は、傾斜して設置した紙の表面に滴下した水滴の状態で表される紙の表面の撥水性の程度、Japan TAPPI No.68(紙および板紙−はっ水度試験方法)に準じて測定し、以下の基準で評価した。
撥水組成物を塗装し、140℃で10秒間加熱した後の撥水性(初期撥水性)、および、140℃で1時間加熱した後の撥水性(耐熱撥水性)を測定した。
具体的には、評価用ライナー紙を45°に傾けた状態に固定し、そのライナー紙に対してビュレットから20℃の蒸留水1滴(1滴を約0.1mLになるように調整)を落下させ、ライナー紙の上を300mm流下させた。その流下した水滴の跡を観察し、下記評価基準に従って撥水度を決定した。この試験を、各試験片の各々の方向(縦方向および横方向)について5回行い、その平均値を撥水性とした。R8以上を合格とした。

(評価基準)
R0:連続した跡であって一様な幅を示すもの
R2:連続した跡であって水滴よりわずかに狭い幅を示すもの
R4:連続した跡であるがところどころ切れていて、明らかに水滴より狭い幅を示すもの。
R6:跡の半分がぬれているもの
R7:跡の1/4は、長く伸びた水滴によってぬれているもの
R8:跡の1/4以上は、球形の小滴が散在しているもの
R9:ところどころに、球形の小水滴が散らばるもの
R10:完全に転がり落ちるもの
滑り角度
上記評価用ライナー紙の滑り角度を、JIS P 8147(紙および板紙−静および動摩擦係数の測定方法)記載の傾斜法に準じて測定した。
具体的には、滑り傾斜角測定装置(新東科学社製;静摩擦係数測定器TYPE:10)の固定面に、85mm×250mmの評価用ライナー紙(下側)を固定し、それに重ねるように60mm×120mmの評価用ライナー紙(上側)を傾斜板に設置した。上側ライナー紙の上に1kgの重りを載せ、速度3°/秒で傾斜板の傾斜角度を上げていき、重りを載せた上側ライナー紙が滑り始めた時の傾斜角を滑り角度とした。なお、試験は、下側と上側のライナー紙の撥水組成物を塗布した面が対向する方向に設置した。
この評価試験において、滑り角度が16〜30°を合格とした。
Figure 2019052397
Figure 2019052397
実施例の紙用撥水組成物を用いて調製した評価用ライナー紙は、いずれも、初期および加熱後撥水性が良好であり、防滑性にも優れることが確認できた。
比較例1および2は、塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPが、本発明の範囲から外れる例である。これらの例では、耐熱撥水性が劣ることが確認された。
比較例3および4は、ワックス(B)の軟化点が、本発明の範囲から外れる例である。これらの例でもまた、耐熱撥水性が劣ることが確認された。
比較例5は、ワックス(B)の含有量が本発明の範囲より少ない例である。この例では、初期撥水性および耐熱撥水性が劣ることが確認された。
比較例6は、ワックス(B)の含有量が本発明の範囲を超える例である。この例では、防滑性能が劣ることが確認された。
比較例7は、塗膜形成樹脂(A)として溶解性パラメータ値が高いポリビニルアルコールが含まれるため、塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPが、本発明の範囲から外れる例である。この例では、耐熱撥水性が劣ることが確認された。
上記紙用撥水組成物は、良好な撥水性を発揮し、防滑性も優れ、さらに、撥水性能が保持される利点がある。上記紙用撥水組成物は、例えばライナー紙の撥水加工において好適に用いることができ、特に段ボール箱包装体の撥水加工において好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)を含む、紙用撥水組成物であって、
    前記塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPは、8.3〜9.1の範囲内であり、
    前記ワックス(B)の軟化点は、40〜95℃の範囲内であり、
    前記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の固形分質量比(A):(B)は、99:1〜85:15の範囲内である、
    紙用撥水組成物。
  2. 前記塗膜形成樹脂(A)は、アクリル樹脂エマルション、シリコーンアクリル樹脂エマルション、スチレン−ブタジエン系樹脂エマルション、(メタ)アクリル酸エステル−ブタジエン系樹脂エマルション、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂エマルションからなる群から選択される1種またはそれ以上を含む、請求項1記載の紙用撥水組成物。
  3. 前記塗膜形成樹脂(A)がアニオン性樹脂エマルションであり、かつ、前記ワックス(B)がアニオン性水分散物である、請求項1または2記載の紙用撥水組成物。
  4. 前記ワックス(B)の溶解性パラメータSPは、8.0〜8.4の範囲内である、
    請求項1〜3いずれかに記載の紙用撥水組成物。
  5. 前記塗膜形成樹脂(A)の溶解性パラメータSPおよび前記ワックス(B)の溶解性パラメータSPが、下記条件:
    SP>SP
    SPおよびSPの差△SPが、0.1〜1.0の範囲内
    を満たす、請求項4記載の紙用撥水組成物。
  6. 前記紙用撥水組成物が、さらに粒状物(C)を含み、
    前記粒状物(C)は、無機微粒子および有機微粒子からなる群から選択される1種またはそれ以上である、
    請求項1〜5いずれかに記載の紙用撥水組成物。
  7. 前記塗膜形成樹脂(A)およびワックス(B)の合計量、および前記粒状物(C)の固形分質量比は、((A)+(B)):(C)=99:1〜70:30の範囲内である、請求項6記載の紙用撥水組成物。
  8. 前記粒状物(C)がシリカ微粒子であり、前記シリカ微粒子の平均粒子径が1μm以下である、請求項6または7記載の紙用撥水組成物。
  9. 前記紙用撥水組成物の乾燥塗膜は、滑り角度が16〜30°の範囲内である、請求項1〜8いずれかに記載の紙用撥水組成物。
  10. 前記紙用撥水組成物の乾燥塗膜は、撥水度がR8〜R10である、請求項1〜9いずれかに記載の紙用撥水組成物。
  11. 請求項1〜10いずれかに記載の紙用撥水組成物の乾燥塗膜を有する、段ボール箱包装体。
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