JP2005105070A - インクジェット用インク、膜形成方法、電気光学装置の製造方法および電気光学装置 - Google Patents

インクジェット用インク、膜形成方法、電気光学装置の製造方法および電気光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 一様な膜を形成することが可能な、膜形成方法を提供する。
【解決手段】 液滴吐出装置により液状体2を吐出して基板48上に機能性膜を形成する方法であって、吐出前の液状体2にあらかじめシリコーンオイルを混入させておくことにより、吐出された液滴4の表面に、液滴4の溶媒より高粘度のシリコーンオイルを吸着させる。これにより、液滴4の表面にシリコーンオイルの被膜6が形成されるので、液滴4の表面に抵抗を生じさせることが可能になり、液滴4の内部におけるマランゴニ対流の発生を防止することができる。したがって、一様な膜を形成することが可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット用インク、膜形成方法、電気光学装置の製造方法および電気光学装置に関するものである。
インクジェット法を用いたデバイスとして、有機EL装置やカラーフィルタ、金属配線、マイクロレンズアレイ等が挙げられる。これらのデバイスでは、機能性物質を含有する液状体をインクジェット法により基板上に吐出し、吐出された液滴の溶媒を加熱や自然放置等により蒸発させて、機能性膜を形成している(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−54270号公報
最近では、より高機能、高精細な薄膜が望まれている。そのためには、液滴の成膜工程を操作する必要がある。そして、その成膜工程の操作には、吐出された液滴の対流の制御が重要な要素となる。インクジェット法により基板上に吐出された液滴は表面張力によって半球状となり、その液滴の内部には以下に説明するマランゴニ対流が発生する。
図8(a)はマランゴニ対流の説明図である。液滴4の表面には、溶媒が蒸発する際の気化熱によって温度分布が生じる。この温度分布にともなって、液滴4の表面に表面張力分布が生じる。そして、この表面張力分布により液滴4の表面に流れ71が生じ(マランゴニ効果)、さらにその流れによって液滴内部にマランゴニ対流70が発生する。なお、大きい液滴の場合には温度分布によるレイリー対流も生じ得るが、インクジェット法により吐出された微小液滴の場合にはマランゴニ対流が支配的となる。
そして、このマランゴニ対流の影響により、乾燥後の薄膜に膜ムラが生じるという問題がある。なお、マランゴニ対流を利用して特異形状の薄膜を得ようとする試みはあるものの、マランゴニ対流の発生を防止するための技術がなかった。マランゴニ対流の発生を防止することができれば、乾燥後には膜ムラのない一様な膜を形成することができる。すなわち、凹凸が少なく比較的平坦な膜を形成することができるのである。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、一様な膜を形成することが可能な、インクジェット用インク、膜形成方法および電気光学装置の製造方法の提供を目的とする。
また、一様な膜を備えることにより、表示品質に優れた電気光学装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のインクジェット用インクは、インクジェット用インクの溶媒または分散媒より高粘度であり、かつ該溶媒または該分散媒に対して表面配向性を持つ気液界面吸着剤が混入されていることを特徴とする。
この構成によれば、インクに混入された高粘度の気液界面吸着剤が、吐出された液滴の表面に吸着するので、液滴の表面に被膜を形成することができる。この高粘度の気液界面吸着剤の被膜は、プラトー効果(Plateau Effect)により液滴の表面粘弾性として作用し、表面に抵抗を生じ溶媒または分散媒の蒸発に基づく局所的表面張力差に拮抗して変形できなくなる。これにより、マランゴニ効果による流れが生じることはなくなり、マランゴニ対流の発生を防止することができる。したがって、液滴の各部から均等に溶質または分散質を析出させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、前記気液界面吸着剤は、シリコーンオイルであることが望ましい。
この構成によれば、吐出された液滴の表面に、高粘度のシリコーンオイルの被膜を形成することができる。これにより、液滴表面に抵抗を生じ、マランゴニ対流の発生を防止することができる。したがって、一様な膜を形成することができる。
また、前記気液界面吸着剤の濃度は、飽和吸着濃度以上、約0.1wt%以下であることが望ましい。飽和吸着濃度は、溶媒への溶解性および分子量によって異なるが、例えば、約1.0×10−7wt%である。
この構成によれば、成膜後に残留する気液界面吸着剤が、膜の性質に及ぼす影響は少ない。
一方、本発明の膜形成方法は、液状体を塗布して膜を形成する膜形成方法であって、塗布された前記液状体の表面に、該液状体の溶媒または分散媒より高粘度であり、かつ該液状体に対して表面配向性を持つ気液界面吸着剤を吸着させることを特徴とする。
この構成によれば、塗布された液状体の表面に、高粘度の気液界面吸着剤の被膜が形成されるので、液状体の表面に抵抗を生じさせることができる。これにより、マランゴニ効果による流れが生じることはなくなり、マランゴニ対流の発生を防止することができる。したがって、液状体の各部から均等に溶質または分散質を析出させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、前記気液界面吸着剤は、シリコーンオイルであることが望ましい。
この構成によれば、塗布された液状体の表面に、高粘度のシリコーンオイルの被膜を形成することができる。これにより、液状体の表面に抵抗を生じさせ、マランゴニ対流の発生を防止することができる。したがって、一様な膜を形成することができる。
また、塗布前の前記液状体に、あらかじめ前記気液界面吸着剤を混入させておくことが望ましい。
この構成によれば、塗布された液状体の表面のみに、前記気液界面吸着剤の被膜を簡単かつ確実に形成することができる。
また、塗布前の前記液状体における前記気液界面吸着剤の濃度は、飽和吸着濃度以上、0.1wt%以下であることが望ましい。飽和吸着濃度は、溶媒への溶解性および分子量によって異なるが、例えば、約1.0×10−7wt%である。
この構成によれば、成膜後に残留する気液界面吸着剤が、膜の性質に及ぼす影響は少ない。
なお、前記液状体が塗布される基板上に、あらかじめ前記気液界面吸着剤を塗布しておいてもよい。また、塗布された前記液状体の表面に、前記気液界面吸着剤を吹き付けてもよい。
これらの構成によっても、塗布された液状体の表面に、高粘度のシリコーンオイルの被膜を形成することができる。これにより、液状体の表面に抵抗を生じさせマランゴニ対流の発生を防止することができる。したがって、一様な膜を形成することができる。
一方、本発明の電気光学装置の製造方法は、上述した膜形成方法を使用して電気光学装置を製造することを特徴とする。
この構成によれば、電気光学装置の機能性膜を一様に形成することができる。
一方、本発明の電気光学装置は、上述した電気光学装置の製造方法を使用して製造したことを特徴とする。
この構成によれば、一様な機能性膜を備えることにより、表示品質に優れた電気光学装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[第1実施形態]
最初に、本発明の第1実施形態につき、図1ないし図3を用いて説明する。第1実施形態では、あらかじめ気液界面吸着剤を混入させた液状体を吐出して、吐出された液滴の表面に気液界面吸着剤の被膜を形成する。
[インクジェット用インク]
液滴吐出装置を用いて機能性膜を形成する場合、機能性膜の形成材料を溶媒に溶解させた液状体(インクジェット用インク)を作製し、その液状体を液滴吐出装置から基板上に吐出して、吐出された液状体を乾燥させることにより、機能性膜を形成する。本実施形態では、あらかじめ気液界面吸着剤を混入させた液状体を作製する。この気液界面吸着剤とは、気体と液体との自由表面に吸着して被膜を形成する物質である。
図1は、インクジェットヘッドのノズル部における側面断面の部分拡大図である。あらかじめ気液界面吸着剤が混入された液状体2を、インクジェットヘッド(以下、単にヘッドと呼ぶ)20から吐出すると、基板48に付着した液滴4の自由表面に、気液界面吸着剤が吸着して被膜6が形成される。
特に本実施形態では、液状体2の溶媒より高粘度の気液界面吸着剤を採用する。この気液界面吸着剤の被膜6を液滴4の表面に形成すれば、液滴4の表面に抵抗を生じさせることが可能になり、後述するマランゴニ対流の発生を防止することができる。例えば、液状体の溶媒の粘度が1〜20cps程度であるのに対して、1000〜2000cps程度の高粘度の気液界面吸着剤を採用することが望ましい。
また、液状体2に対する気液界面吸着剤の混入割合は、飽和吸着濃度、又は、約1.0×10−7wt%以上、約0.1wt%以下とすればよく、特に0.1wt%程度とすることが望ましい。飽和吸着濃度は、溶媒への溶解性および分子量によって異なるが、例えば、約1.0×10−7wt%である。気液界面吸着剤の混入割合が少なすぎると、液滴4の表面に一様な被膜6が形成されにくくなるからである。逆に、気液界面吸着剤の混入割合が多すぎると、成膜後に残留する気液界面吸着剤が多くなって、膜の性質に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。また、高粘度の気液界面吸着剤の混入割合が多すぎると、液状体2の全体が高粘度となってヘッド20による安定吐出が不可能になるからである。
具体的な気液界面吸着剤として、シリコーンオイルを採用する。シリコーンオイルとは、線状で低重合度のシリコーンであり、常温で流動性を示すものをいう。なおシリコーンとは、ケイ素原子および酸素原子によるシロキサン結合の繰り返し構造からなるポリシロキサンのうち、アルキル基やアニール基などの有機基を持つものをいう。また側鎖の官能基を選択的に変更させた、水溶性、非水溶性のシリコーンオイルがある。代表的なシリコーンオイルであるポリジメチルシロキサンは、次の化学式で表される物質である。
Figure 2005105070
なお、シリコーンオイルの粘度は、シロキサン結合の重合度によって異なる。そこで、インク2の溶媒より高粘度となるように重合度を調整したシリコーンオイルを採用する。なお一例を挙げれば、粘度が1000〜2000cps程度のシリコーンオイルを採用する。このシリコーンオイルより低粘度のインク溶媒として、水やエタノール、キシレン等を採用することが可能である。
[液滴吐出装置]
上述した液状体は、液滴吐出装置によって吐出する。図2は、液滴吐出装置の斜視図である。液滴吐出装置10は、ベース12、第1移動手段14、第2移動手段16、重量測定手段である電子天秤(不図示)、ヘッド20、キャッピングユニット22、およびクリーニングユニット24を主として構成されている。第1移動手段14および第2移動手段16を含む液滴吐出装置10の動作は、制御装置23により制御されるようになっている。なお図2において、X方向はベース12の左右方向であり、Y方向は前後方向であり、Z方向は上下方向である。
第1移動手段14は、ガイドレール40,40をY軸方向に一致させて、ベース12の上面に直接設置されている。この第1移動手段14は、ガイドレール40,40に沿って移動可能なスライダ42を有している。このスライダ42の駆動手段として、例えばリニアモータを採用することができる。これにより、スライダ42がY軸方向に沿って移動可能とされ、また任意の位置で位置決め可能とされている。
スライダ42の上面にはモータ44が固定され、モータ44のロータにはテーブル46が固定されている。このテーブル46は、基板48を保持しつつ位置決めするものである。すなわち、図示しない吸着保持手段を作動させることにより、テーブル46の穴46Aを通して基板48が吸着され、基板48をテーブル46上に保持することができる。また、モータ44は、例えばダイレクトドライブモータである。このモータ44に通電することにより、ロータとともにテーブル46がθz方向に回転して、テーブル46をインデックス(回転割り出し)することができるようになっている。なお、テーブル46には、ヘッド20が液状体を捨打ち、或いは試し打ち(予備吐出)するための予備吐出エリアが設けられている。
一方、ベース12の後方には支柱16A、16Aが立設され、その支柱16A,16Aの上端部にコラム16Bが架設されている。そして、そのコラム16Bの前面に第2移動手段16が設けられている。この第2移動手段16は、X軸方向に沿って配置されたガイドレール62A,62Aを有し、またガイドレール62A,62Aに沿って移動可能なスライダ60を有している。このスライダ60の駆動手段として、例えばリニアモータを採用することができる。これにより、スライダ60がX軸方向に沿って移動可能とされ、また任意の位置で位置決め可能とされている。
スライダ60には、ヘッド20が設けられている。ヘッド20は、揺動位置決め手段としてのモータ62,64,66,68に接続されている。モータ62は、ヘッド20をZ軸方向に移動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。モータ64は、ヘッド20をY軸回りのβ方向に揺動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。モータ66は、ヘッド20をX軸回りのγ方向に揺動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。モータ68は、ヘッド20をZ軸回りのα方向に揺動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。
以上のように、基板48はY方向に移動および位置決め可能とされ、θz方向に揺動および位置決め可能とされている。また、ヘッド20はX,Z方向に移動および位置決め可能とされ、α,β,γ方向に揺動および位置決め可能とされている。したがって、本実施形態の液滴吐出装置10は、ヘッド20のインク吐出面20Pと、テーブル46上の基板48との相対的な位置および姿勢を、正確にコントロールすることができるようになっている。
(インクジェットヘッド)
ここで、ヘッド20の構造例について、図3を参照して説明する。図3は、インクジェットヘッドの側面断面図である。ヘッド20は、液滴吐出方式により液状体2をノズル91から吐出するものである。液滴吐出方式として、圧電体素子としてのピエゾ素子を用いて液状体を吐出させるピエゾ方式や、液状体を加熱して発生した泡(バブル)により液状体を吐出させる方式など、公知の種々の技術を適用することができる。このうちピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないという利点を有する。そこで、図3のヘッド20には、上述したピエゾ方式が採用されている。
ヘッド20のヘッド本体90には、リザーバ95およびリザーバ95から分岐された複数のインク室93が形成されている。リザーバ95は、各インク室93に液状体2を供給するための流路になっている。また、ヘッド本体90の下端面には、インク吐出面を構成するノズルプレートが装着されている。そのノズルプレートには、液状体2を吐出する複数のノズル91が、各インク室93に対応して開口されている。そして、各インク室93から対応するノズル91に向かって、インク流路が形成されている。一方、ヘッド本体90の上端面には、振動板94が装着されている。なお、振動板94は各インク室93の壁面を構成している。その振動板94の外側には、各インク室93に対応して、ピエゾ素子92が設けられている。ピエゾ素子92は、水晶等の圧電材料を一対の電極(不図示)で挟持したものである。その一対の電極は、駆動回路99に接続されている。
そして、駆動回路99からピエゾ素子92に電圧を印加すると、ピエゾ素子92が膨張変形または収縮変形する。ピエゾ素子92が収縮変形すると、インク室93の圧力が低下して、リザーバ95からインク室93に液状体2が流入する。またピエゾ素子92が膨張変形すると、インク室93の圧力が増加して、ノズル91から液状体2が吐出される。なお、印加電圧を変化させることにより、ピエゾ素子92の変形量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子92の変形速度を制御することができる。すなわち、ピエゾ素子92への印加電圧を制御することにより、液状体2の吐出条件を制御しうるようになっている。
一方、図2に示す液滴吐出装置は、キャッピングユニット22およびクリーニングユニット24を備えている。キャッピングユニット22は、ヘッド20におけるインク吐出面20Pの乾燥を防止するため、液滴吐出装置10の待機時にインク吐出面20Pをキャッピングするものである。またクリーニングユニット24は、ヘッド20におけるノズルの目詰まりを取り除くため、ノズルの内部を吸引するものである。なおクリーニングユニット24は、ヘッド20におけるインク吐出面20Pの汚れを取り除くため、インク吐出面20Pのワイピングを行うことも可能である。
[膜形成方法]
次に、上述した液滴吐出装置を用いて液状体を吐出し、基板上に膜を形成する方法について、図1を用いて説明する。
まず、インクジェット用インクとなる液状体2を作製する。その液状体2は、機能性膜の構成材料を溶媒に溶解し、さらに気液界面吸着剤を混入して作製する。その気液界面吸着剤として、上述したシリコーンオイルを採用する。なお重合度を調整することにより、液状体2の溶媒より高粘度のシリコーンオイルを採用する。またシリコーンオイルは、0.1wt%以下の割合で液状体2に混入する。なお後述するように、溶媒には低沸点の溶媒を使用することが可能である。また、低沸点の溶媒の多くは溶質の溶解性が高いことから、高濃度の溶質を含む液状体2を作製することも可能である。
次に、作製した液状体2をヘッド20に充填する。具体的には、作製した液状体2を図示しないタンクに充填し、ポンプ等によりヘッド20に供給する。ヘッド20に供給された液状体2は、図3に示すように、リザーバ95から各インク室93に分配され、さらにノズル91の内部に充填される。
次に、図2に示すヘッド20および/または基板48を所定位置に移動させ、ヘッド20から基板48に対して液状体を吐出する。すると、図1に示すように、吐出された液滴4の自由表面に、気液界面吸着剤であるシリコーンオイルが吸着して、被膜6が形成される。
次に、吐出された液滴4を乾燥させて膜を焼成する。一般に、液滴が乾燥する過程では、液滴の内部にマランゴニ対流が発生する。そこで、マランゴニ対流について以下に説明する。図8はマランゴニ対流の説明図である。吐出された液滴の表面には、溶媒が蒸発する際の気化熱によって温度分布が生じる。また、この温度分布にともなって液滴の表面に表面張力分布が生じる。そして、この表面張力分布により液滴の表面に流れが生じ(マランゴニ効果)、さらにその流れによって液滴内部にマランゴニ対流が発生する。なお、大きい液滴の場合には温度分布によるレイリー対流も生じ得るが、インクジェット法により吐出された微小液滴の場合にはマランゴニ対流が支配的となる。
図8(a)は、低沸点の液滴におけるマランゴニ対流の説明図である。低沸点の溶媒を含む液滴4の場合には、液滴4の頂上部の温度が最も低くなり、表面張力は大きくなる。また、液滴4の裾野部では頂上部よりは温度は高いので、頂上部よりも表面張力は小さい。これにより、液滴4表面の裾野部から頂上部に向かって、マランゴニ効果による流れ71が生じる。これにともなって、液滴4の内部にはマランゴニ対流70が発生することになる。
一方の図8(b)は、高沸点の液滴におけるマランゴニ対流の説明図である。高沸点の溶媒を含む液滴4の場合には、液滴4の裾野部の温度が最も低くなり、表面張力が大きくなる。また、液滴4の頂上部では裾野部よりは温度は高いので、裾野部よりも表面張力は小さい。これにより、液滴4表面の頂上部から裾野部に向かって、マランゴニ効果による流れ81が生じる。これにともなって、液滴4の内部にはマランゴニ対流80が発生することになる。
これに対して本実施形態の膜形成方法では、図1に示すように、液滴4の表面に気液界面吸着剤の被膜6が形成される。この高粘度の気液界面吸着剤の被膜6は、プラトー効果(Plateau Effect)により液滴4の表面粘弾性として作用し、液滴4の表面に抵抗を生じさせる。これにより、マランゴニ効果による流れが生じることはなくなり、マランゴニ対流の発生を防止することができる。なお本実施形態の膜形成方法は、図8(a)のような低沸点の液滴の場合でも、図8(b)のような高沸点の液滴の場合でも、マランゴニ対流の発生を防止することが可能である。
上述したように、本実施形態の膜形成方法では、乾燥工程におけるマランゴニ対流の発生を防止することができる。これにより、液滴4の各部から均等に溶質を析出させることが可能になる。したがって、膜ムラ等の凹凸が少なく、平坦で一様な膜を形成することができる。なお焼成された膜に、シリコーンオイルが残留する場合がある。しかし、インクに対するシリコーンオイルの混入割合は約0.1wt%以下と微量であり、膜の性質に悪影響を及ぼすことはほとんどない。
なお本実施形態の膜形成方法では、あらかじめ高粘度であり、なおかつ溶媒に対して表面配向性を持つような気液界面吸着剤を混入させた液状体を吐出して膜を形成する構成とした。その高粘度の気液界面吸着剤の多くは高沸点であるため、液滴吐出装置におけるノズルの目詰まりを防止することが可能になり、また吐出された液滴の乾燥速度を制御することが可能になる。これにともなって、低沸点の溶媒を用いて液状体を作製することが可能になる。低沸点の溶媒の多くは低粘度であるため、インクを安定吐出することができる。また、低沸点の溶媒の多くは溶質の溶解性が高く、高濃度の溶質を含んだ液状体を作製することができる。これにより、成膜後の膜厚が厚くなるので、液状体の重ね打ちが不要となり、成膜工程のスループットを向上させることができる。
[電気光学装置およびその製造方法]
次に、本実施形態の膜形成方法を使用して製造した電気光学装置の一例である有機EL装置につき、図4を用いて説明する。
有機EL装置200は、マトリクス状に配置された複数の画素領域R,G,Bを備えている。基板210の表面には各画素領域を駆動する回路部220が形成され、その回路部220の表面には複数の画素電極240がマトリクス状に形成されている。なお各画素電極240の周囲には、電気絶縁性材料からなるバンク245が形成されている。陽極として機能する画素電極240の表面には、正孔注入層250および発光層260が順次形成されている。さらに、発光層260およびバンク245の表面全体に、電子注入層270および共通陰極280が形成されている。なお、基板210の端部に封止基板(不図示)が貼り合わされて、全体が密閉封止されている。
ここで、本実施形態の膜形成方法を用いて発光層を形成する方法について説明する。まず、発光層の構成材料である高分子材料を溶媒に溶解した液状体を作製する。その溶媒として、トルエン、キシレン等の低沸点の無極性溶媒を使用することが可能である。その液状体に、シリコーンオイルを0.1wt%以下の割合で混入させて、インクジェット用インクを作製する。そして、液滴吐出装置により液状体を正孔注入層250の表面に吐出する。さらに吐出された液滴を乾燥させて、発光層260を焼成する。なお、上述したように高濃度の高分子材料を含んだ液状体を作製することができるので、発光層形成工程のスループットを向上させることができる。
本実施形態の膜形成方法を使用することにより、吐出された液滴の内部におけるマランゴニ対流の発生を防止することができる。したがって、一様な発光層を形成することが可能になり、表示品質に優れた有機EL装置を提供することができる。なお発光層260以外の機能層についても、本実施形態の膜形成方法を使用して形成することが可能である。また有機EL装置の機能層以外にも、カラーフィルタや金属配線、マイクロレンズアレイなどのデバイスを、本実施形態の膜形成方法を使用して形成することが可能である。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態につき、図5を用いて説明する。第2実施形態では、あらかじめ基板上に気液界面吸着剤を塗布しておき、その基板上に液状体を吐出して、吐出された液滴の表面に気液界面吸着剤の被膜を形成する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
図5は、第2実施形態の膜形成方法の説明図である。図5(a)に示すように、第2実施形態の膜形成方法では、機能性膜を形成する基板48の表面に、あらかじめ気液界面吸着剤8を塗布しておく。一方で、膜の形成材料を溶媒に溶解して、液状体を作製しておく。
次に、図5(b)に示すように、作製した液状体を液滴吐出装置により基板48上に吐出する。なお、基板48上に塗布された気液界面吸着剤8が乾燥する前に、インクを吐出することが望ましい。すると、基板48上に塗布された気液界面吸着剤8が、基板48上に吐出された液滴4の内部に流入し、その液滴4の表面に吸着して被膜6が形成される。
上述した第2実施形態の膜形成方法によっても、液滴の表面に抵抗を生じさせることができるので、マランゴニ対流の発生を防止することが可能になる。これにより、一様な膜を形成することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態につき、図6を用いて説明する。第3実施形態では、基板48上に吐出された液滴4に気液界面吸着剤を吹き付けて、その液滴4の表面に気液界面吸着剤の被膜6を形成する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
図6は、第3実施形態の膜形成方法の説明図である。第3実施形態の膜形成方法では、まず膜の形成材料を溶媒に溶解して、液状体を作製する。そして、作製した液状体をヘッド20により基板48上に吐出する。
次に、吐出された液滴4の表面に気液界面吸着剤を吹き付ける。これにより、気液界面吸着剤が液滴4の表面に吸着して被膜6が形成される。なお、気液界面吸着剤の吹き付けは、液滴吐出装置に設けられた気液界面吸着剤の噴霧手段130によって行う。この噴霧手段130は、気液界面吸着剤をミスト状にして噴霧しうるように形成することが望ましい。これにより、液滴4の表面に一様な被膜6を形成することができる。
上述した第3実施形態の膜形成方法によっても、液滴の表面に抵抗を生じさせることができるので、マランゴニ対流の発生を防止することが可能になる。これにより、一様な膜を形成することができる。
[電子機器]
次に、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した電子機器につき、図7を用いて説明する。図7は、携帯電話の斜視図である。図7において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は表示部を示している。この携帯電話1000は、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した表示部1001を備えている。したがって、良好な表示特性を発揮する携帯電話1000を低コストで提供することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、各実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、以上には液滴吐出装置を用いて液状体(インクジェット用インク)を塗布する場合を例にして説明したが、これ以外の方法により液状体を塗布する場合にも本発明を適用することが可能である。また、以上には溶質を溶媒に溶解させた溶液を用いて膜を形成する場合を例にして説明したが、分散質を分散媒に分散させた分散液を用いて膜を形成する場合にも本発明を適用することが可能である。
液状体を基板上に吐出し、液滴の内部におけるマランゴニ対流の発生有無を観察した。
分散媒として1−ブタノールを採用し、ポリスチレン微粒子(粒径1.5μm)を0.1wt%の濃度で分散させた。その分散液につき、シリコーンオイルを添加したものと添加しないものを作製した。なお、シリコーンオイルは0.1wt%の濃度で添加した。
その結果、シリコーンオイルを添加しない液状体ではマランゴニ対流が観察されたが、シリコーンオイルを添加した液状体ではマランゴニ対流が観察されなかった。したがって、シリコーンオイルを添加することにより、マランゴニ対流の発生を防止し得ることが確認された。
第1実施形態の膜形成方法の説明図である。 液滴吐出装置の斜視図である。 インクジェットヘッドの側面断面図である。 有機EL装置の側面断面図である。 第2実施形態の膜形成方法の説明図である。 第3実施形態の膜形成方法の説明図である。 携帯電話の斜視図である。 マランゴニ対流の説明図である。
符号の説明
2液状体 4液滴 6被膜 48基板

Claims (11)

  1. インクジェット用インクの溶媒または分散媒より高粘度であり、かつ該溶媒または該分散媒に対して表面配向性を持つ気液界面吸着剤が混入されていることを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記気液界面吸着剤は、シリコーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記気液界面吸着剤の濃度は、前記インクジェット用インクに対して、約1.0×10−7wt%以上、約0.1wt%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット用インク。
  4. 液状体を塗布して膜を形成する膜形成方法であって、
    塗布された前記液状体の表面に、該液状体の溶媒または分散媒より高粘度であり、かつ該液状体に対して表面配向性をもつ気液界面吸着剤を吸着させることを特徴とする膜形成方法。
  5. 前記気液界面吸着剤は、シリコーンオイルであることを特徴とする請求項4に記載の膜形成方法。
  6. 塗布前の前記液状体に、あらかじめ前記気液界面吸着剤を混入させておくことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の膜形成方法。
  7. 塗布前の前記液状体における前記気液界面吸着剤の濃度は、約1.0×10−7wt%以上、約0.1wt%以下であることを特徴とする請求項6に記載の膜形成方法。
  8. 前記液状体が塗布される基板上に、あらかじめ前記気液界面吸着剤を塗布しておくことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の膜形成方法。
  9. 塗布された前記液状体の表面に、前記気液界面吸着剤を吹き付けることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の膜形成方法。
  10. 請求項4ないし請求項9のいずれかに記載の膜形成方法を使用して電気光学装置を製造することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  11. 請求項10に記載の電気光学装置の製造方法を使用して製造したことを特徴とする電気光学装置。
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