JP2005144324A - 膜形成方法、デバイス製造方法および電気光学装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 一様な膜を形成することが可能な、膜形成方法を提供する。
【解決手段】 (a)基板48上に液滴70を吐出する工程と、(b)液滴70の表面の温度差を解消する工程と、(c)液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する工程とを有する。液滴70に含まれる分散媒が低沸点の場合には、液滴70の頂上部より周縁部が高温となり、マランゴニ対流170が発生する。そこで、液滴70の周縁部を冷却して液滴70の表面の温度差を解消することにより、マランゴニ対流170を停止させる。これにより、液滴70がピニングしやすくなり、液滴70の周縁部に乾燥膜75が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】 (a)基板48上に液滴70を吐出する工程と、(b)液滴70の表面の温度差を解消する工程と、(c)液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する工程とを有する。液滴70に含まれる分散媒が低沸点の場合には、液滴70の頂上部より周縁部が高温となり、マランゴニ対流170が発生する。そこで、液滴70の周縁部を冷却して液滴70の表面の温度差を解消することにより、マランゴニ対流170を停止させる。これにより、液滴70がピニングしやすくなり、液滴70の周縁部に乾燥膜75が形成される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、膜形成方法、デバイス製造方法および電気光学装置に関するものである。
インクジェット法を用いたデバイスとして、有機EL装置やカラーフィルタ、金属配線、マイクロレンズアレイ等が挙げられる。これらのデバイスでは、機能性物質を含有する液状体をインクジェット法により基板上に吐出し、吐出された液滴の溶媒を加熱や自然放置等により蒸発させて、機能性膜を形成している(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−54270号公報
最近では、より高機能、高精細な薄膜が望まれている。そのためには、液滴の成膜工程を操作する必要がある。そして、その成膜工程の操作には、吐出された液滴の対流の制御が重要な要素となる。インクジェット法により基板上に吐出された液滴は表面張力によって半球状となり、その液滴の内部には以下に説明するマランゴニ対流が発生する場合もある。
図2(a)はマランゴニ対流の説明図である。液滴70の表面には、溶媒が蒸発する際の気化熱によって温度差が生じる。この温度差にともなって、液滴70の表面に表面張力分布が生じる。そして、この表面張力分布により液滴70の表面に熱毛管流171が生じ(マランゴニ効果)、さらにその熱毛管流171にともなって液滴内部にマランゴニ対流170が発生する。なお、大きい液滴の場合には温度差によるレイリー対流も生じ得るが、インクジェット法により吐出された微小液滴の場合にはマランゴニ対流が支配的となる。
そして、このマランゴニ対流の影響により、乾燥後の薄膜に膜ムラが生じるという問題がある。なお、マランゴニ対流を利用して特異形状の薄膜を得ようとする試みはあるものの、マランゴニ対流の発生を防止するための技術がなかった。マランゴニ対流の発生を防止することができれば、乾燥後には膜ムラのない一様な膜を形成することができる。すなわち、凹凸が少なく比較的平坦な膜を形成することができるのである。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、一様な膜を形成することが可能な、膜形成方法およびデバイス製造方法の提供を目的とする。
また、一様な膜を備えることにより、表示品質に優れた電気光学装置の提供を目的とする。
また、一様な膜を備えることにより、表示品質に優れた電気光学装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の膜形成方法は、液滴の表面の温度差を解消しつつ、前記液滴から乾燥膜を形成することを特徴とする。
この構成によれば、液滴表面の温度差を解消して、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることができる。したがって、マランゴニ対流の影響により乾燥後の薄膜に膜ムラが生じることなく、一様な膜を形成することができる。
この構成によれば、液滴表面の温度差を解消して、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることができる。したがって、マランゴニ対流の影響により乾燥後の薄膜に膜ムラが生じることなく、一様な膜を形成することができる。
また、沸点が150℃未満の溶媒または分散媒を含む前記液滴につき、前記液滴の頂上部を加熱することにより、または前記液滴の周縁部を冷却することにより、前記液滴の表面の温度差を解消することが望ましい。
沸点が150℃未満の低沸点の溶媒または分散媒を含む液滴では、図2(a)に示すように、周縁部が頂上部より高温となる。そこで、液滴の頂上部を加熱することにより、または液滴の周縁部を冷却することにより、液滴の表面の温度差が解消される。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
沸点が150℃未満の低沸点の溶媒または分散媒を含む液滴では、図2(a)に示すように、周縁部が頂上部より高温となる。そこで、液滴の頂上部を加熱することにより、または液滴の周縁部を冷却することにより、液滴の表面の温度差が解消される。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、沸点が150℃以上の溶媒または分散媒を含む前記液滴につき、前記液滴の頂上部を冷却することにより、または前記液滴の周縁部を加熱することにより、前記液滴の表面の温度差を解消することが望ましい。
沸点が150℃以上の高沸点の溶媒または分散媒を含む液滴では、図2(b)に示すように、周縁部が頂上部より低温となる。そこで、液滴の頂上部を冷却することにより、または液滴の周縁部を加熱することにより、液滴の表面の温度差が解消される。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
沸点が150℃以上の高沸点の溶媒または分散媒を含む液滴では、図2(b)に示すように、周縁部が頂上部より低温となる。そこで、液滴の頂上部を冷却することにより、または液滴の周縁部を加熱することにより、液滴の表面の温度差が解消される。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、前記液滴の周縁部の加熱または冷却は、前記液滴が配置された基板を加熱または冷却することによって行うことが望ましい。
この構成によれば、液滴の周縁部を簡単かつ一様に加熱または冷却することが可能になり、液滴表面の温度差を確実に解消することができる。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
この構成によれば、液滴の周縁部を簡単かつ一様に加熱または冷却することが可能になり、液滴表面の温度差を確実に解消することができる。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、沸点が150℃未満の溶媒または分散媒を含む前記液滴の周縁部の冷却は、前記液滴が配置された基板の温度を低下させつづけることによって行うことが望ましい。
沸点が150℃未満の低沸点の溶媒または分散媒を含む液滴は、乾燥速度が速いので、液滴の頂上部における温度低下の進行が速い。そこで、基板の温度を低下させつづけることにより、基板を介して液滴の周縁部の温度低下を進行させて、液滴表面の温度差を確実に解消させることができる。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
沸点が150℃未満の低沸点の溶媒または分散媒を含む液滴は、乾燥速度が速いので、液滴の頂上部における温度低下の進行が速い。そこで、基板の温度を低下させつづけることにより、基板を介して液滴の周縁部の温度低下を進行させて、液滴表面の温度差を確実に解消させることができる。したがって、液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
なお、前記液滴の加熱は、前記液滴に光を照射することによって行ってもよい。
具体的には、液滴の頂上部または周縁部に向かって、液滴の配置された基板と平行に光を照射すればよい。この構成によっても、液滴表面の温度差を解消して液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
具体的には、液滴の頂上部または周縁部に向かって、液滴の配置された基板と平行に光を照射すればよい。この構成によっても、液滴表面の温度差を解消して液滴内部のマランゴニ対流を停止させることが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、前記液滴の表面に、前記液滴の溶媒または分散媒より高粘度であり、かつ前記液滴に対して表面配向性をもつ気液界面吸着剤を吸着させることが望ましい。
この構成によれば、液滴の表面に高粘度の気液界面吸着剤の被膜を形成することができる。この高粘度の気液界面吸着剤の被膜は、プラトー効果(Plateau Effect)により液滴の表面粘弾性として作用し、表面に抵抗を生じ溶媒または分散媒の蒸発に基づく局所的表面張力差に拮抗して変形できなくなる。これにより、マランゴニ対流の発生を防止することが可能になり、一様な膜を形成することができる。
この構成によれば、液滴の表面に高粘度の気液界面吸着剤の被膜を形成することができる。この高粘度の気液界面吸着剤の被膜は、プラトー効果(Plateau Effect)により液滴の表面粘弾性として作用し、表面に抵抗を生じ溶媒または分散媒の蒸発に基づく局所的表面張力差に拮抗して変形できなくなる。これにより、マランゴニ対流の発生を防止することが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、前記気液界面吸着剤は、シリコーンオイルであることが望ましい。
この構成によれば、液滴の表面に高粘度のシリコーンオイルの被膜を形成することができる。これにより、液滴表面に抵抗を生じるので、マランゴニ対流の発生を防止することが可能になり、一様な膜を形成することができる。
この構成によれば、液滴の表面に高粘度のシリコーンオイルの被膜を形成することができる。これにより、液滴表面に抵抗を生じるので、マランゴニ対流の発生を防止することが可能になり、一様な膜を形成することができる。
また、前記液滴を塗布する前に、前記液滴の溶媒または分散媒にあらかじめ前記気液界面吸着剤を混入させておくことが望ましい。
この構成によれば、気液界面吸着剤の被膜を液滴の表面のみに簡単かつ確実に形成することができる。
この構成によれば、気液界面吸着剤の被膜を液滴の表面のみに簡単かつ確実に形成することができる。
一方、本発明のデバイス製造方法は、上述した膜形成方法を使用してデバイスを製造することを特徴とする。
この構成によれば、デバイスの機能性膜を一様に形成することができる。
この構成によれば、デバイスの機能性膜を一様に形成することができる。
一方、本発明の電気光学装置は、上述したデバイス製造方法を使用して製造したことを特徴とする。
この構成によれば、一様な機能性膜を備えることにより、表示品質に優れた電気光学装置を提供することができる。
この構成によれば、一様な機能性膜を備えることにより、表示品質に優れた電気光学装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態の膜形成方法の説明図であり、液滴の側面断面図である。本実施形態の膜形成方法は、図1(a)に示すように、基板48上に液滴70を吐出する工程(液滴吐出工程)と、図1(b)に示すように、液滴70の表面の温度差を解消する工程(温度差解消工程)と、図1(c)に示すように、液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する工程(ピニング工程)とを有するものである。これにより、液滴サイズより微細な膜パターンを形成することができる。上記の各工程について、以下に順次説明する。
図1は、本実施形態の膜形成方法の説明図であり、液滴の側面断面図である。本実施形態の膜形成方法は、図1(a)に示すように、基板48上に液滴70を吐出する工程(液滴吐出工程)と、図1(b)に示すように、液滴70の表面の温度差を解消する工程(温度差解消工程)と、図1(c)に示すように、液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する工程(ピニング工程)とを有するものである。これにより、液滴サイズより微細な膜パターンを形成することができる。上記の各工程について、以下に順次説明する。
[液滴吐出工程]
最初に、図1(a)に示すように、基板48上に液滴70を吐出する。具体的には、乾燥膜の形成材料の分散液を作製し、その分散液を後述する液滴吐出装置から基板48上に吐出して液滴70を形成する。一例を挙げれば、ポリスチレン微粒子を分散質に採用し、1−ブタノール(沸点118℃程度)を分散媒に採用して分散液を作製する。なお、乾燥膜により電気配線パターンを形成する場合には、Agコロイドインク等の導電性微粒子を分散質に採用し、テトラデカン(沸点254℃程度)等の有機分散媒を分散媒に採用することが可能である。
最初に、図1(a)に示すように、基板48上に液滴70を吐出する。具体的には、乾燥膜の形成材料の分散液を作製し、その分散液を後述する液滴吐出装置から基板48上に吐出して液滴70を形成する。一例を挙げれば、ポリスチレン微粒子を分散質に採用し、1−ブタノール(沸点118℃程度)を分散媒に採用して分散液を作製する。なお、乾燥膜により電気配線パターンを形成する場合には、Agコロイドインク等の導電性微粒子を分散質に採用し、テトラデカン(沸点254℃程度)等の有機分散媒を分散媒に採用することが可能である。
基板48上に液滴70が吐出されると、液滴に含まれる分散媒の蒸発が進行する。その分散媒の蒸発にともなう気化熱により、液滴70の表面には温度差が発生する。
図2は、液滴表面の温度分布および液滴内部のマランゴニ対流の説明図である。液滴の表面には、液滴に含まれる分散媒の沸点により、異なる温度分布が発生する。液滴の分散媒が低沸点の場合には、図2(a)に示すように、液滴70の周縁部より頂上部の方が低温になる。これは、低沸点分散媒は乾燥速度が速いことから、基板からの熱が液滴頂上部まで伝わらないうちに蒸発が進行し続けてしまうからであると考えられる。一方、液滴の分散媒が高沸点の場合には、図2(b)に示すように、液滴の頂上部より周縁部の方が低温になる。これは、高沸点分散媒は乾燥速度が遅いことから、基板からの熱が十分に液滴頂上部まで伝わる余裕がある一方で、液滴頂上部より液滴周縁部の蒸発率が高くなるからであると考えられる。
図2は、液滴表面の温度分布および液滴内部のマランゴニ対流の説明図である。液滴の表面には、液滴に含まれる分散媒の沸点により、異なる温度分布が発生する。液滴の分散媒が低沸点の場合には、図2(a)に示すように、液滴70の周縁部より頂上部の方が低温になる。これは、低沸点分散媒は乾燥速度が速いことから、基板からの熱が液滴頂上部まで伝わらないうちに蒸発が進行し続けてしまうからであると考えられる。一方、液滴の分散媒が高沸点の場合には、図2(b)に示すように、液滴の頂上部より周縁部の方が低温になる。これは、高沸点分散媒は乾燥速度が遅いことから、基板からの熱が十分に液滴頂上部まで伝わる余裕がある一方で、液滴頂上部より液滴周縁部の蒸発率が高くなるからであると考えられる。
この液滴表面の温度差に基づいて、液滴内部にはマランゴニ対流が発生する。そこで、マランゴニ対流について説明する。
一般に、液体層に温度差が生じると、レイリー対流および/またはマランゴニ対流が発生する。レイリー対流とは、温度差に伴う密度差によって誘起される対流であり、液体層の深さが大きいほどレイリー対流が支配的になる。一方、マランゴニ対流とは、温度差に伴う表面張力差によって誘起される対流であり、液体層の深さが小さいほどマランゴニ対流が支配的になる。なお、気液界面に対して垂直方向の温度勾配によって生じる流れは狭義のマランゴニ流と呼ばれ、気液界面に対して平行方向の温度勾配によって生じる流れは熱毛管流と呼ばれている。ところで、液体表面の温度が高くなると表面張力は小さくなり、温度が低くなると表面張力は大きくなる。そして、表面張力が小さい方から大きい方に向かって液体が引っ張られて流れが生じるので、結果的には温度の高い方から低い方に向かって熱毛管流が生じることになる。なお、温度領域の高低にかかわらず、液滴表面に温度勾配さえあれば熱毛管流が発生する。
一般に、液体層に温度差が生じると、レイリー対流および/またはマランゴニ対流が発生する。レイリー対流とは、温度差に伴う密度差によって誘起される対流であり、液体層の深さが大きいほどレイリー対流が支配的になる。一方、マランゴニ対流とは、温度差に伴う表面張力差によって誘起される対流であり、液体層の深さが小さいほどマランゴニ対流が支配的になる。なお、気液界面に対して垂直方向の温度勾配によって生じる流れは狭義のマランゴニ流と呼ばれ、気液界面に対して平行方向の温度勾配によって生じる流れは熱毛管流と呼ばれている。ところで、液体表面の温度が高くなると表面張力は小さくなり、温度が低くなると表面張力は大きくなる。そして、表面張力が小さい方から大きい方に向かって液体が引っ張られて流れが生じるので、結果的には温度の高い方から低い方に向かって熱毛管流が生じることになる。なお、温度領域の高低にかかわらず、液滴表面に温度勾配さえあれば熱毛管流が発生する。
そして、液滴の表面に温度差が生じると、その液滴表面に沿って熱毛管流が発生する。これにともなって、液滴内部にはマランゴニ対流が発生する。液滴の分散媒が低沸点の場合には、図2(a)に示すように、液滴70の周縁部より頂上部の方が低温になるので、液滴の周縁部から頂上部に向かって熱毛管流171が発生し、これにともなって液滴内部にはマランゴニ対流170が発生する。一方、液滴の分散媒が高沸点の場合には、図2(b)に示すように、液滴の頂上部より周縁部の方が低温になるので、液滴の頂上部から周縁部に向かって熱毛管流181が発生し、これにともなって液滴内部にはマランゴニ対流180が発生する。
なお発明者の実験によれば、沸点が150℃を下回る低沸点分散媒を採用した場合には、図2(a)に示すような温度分布およびマランゴニ対流が発生することが確認されている。また、沸点が150℃を上回る高沸点分散媒を採用した場合には、図2(b)に示すような温度分布およびマランゴニ対流が発生することが確認されている。さらに、いくつかの分散媒では液滴表面にほとんど温度差が発生せず、また液滴内部にマランゴニ対流が発生しないことも確認されている。
本実施形態では、分散媒として低沸点の1−ブタノール(沸点118℃程度)を採用した場合を例にして説明する。この場合、基板上に吐出された液滴には、図1(a)に示すような温度分布およびマランゴニ対流が発生している。なお本発明の膜形成方法は、低沸点の分散媒を採用した場合に限られず、高沸点の分散媒を採用した場合に適用することも可能である。
本実施形態では、分散媒として低沸点の1−ブタノール(沸点118℃程度)を採用した場合を例にして説明する。この場合、基板上に吐出された液滴には、図1(a)に示すような温度分布およびマランゴニ対流が発生している。なお本発明の膜形成方法は、低沸点の分散媒を採用した場合に限られず、高沸点の分散媒を採用した場合に適用することも可能である。
[温度差解消工程]
次に、図1(b)に示すように、液滴70の表面の温度差を解消して、上述したマランゴニ対流を停止させる。沸点が150℃未満の低沸点分散媒を含む液滴の場合には、液滴の頂上部を加熱することにより、または液滴の周縁部を冷却することにより、液滴の頂上部と周縁部との温度差を解消する。また、沸点が150℃以上の高沸点分散媒を含む液滴の場合には、液滴の頂上部を冷却することにより、または前記液滴の周縁部を加熱することにより、液滴の頂上部と周縁部との温度差を解消する。液滴の周縁部を加熱または冷却する場合には、液滴が配置された基板を加熱または冷却することによって行う。基板の加熱または冷却は、基板をホットプレートまたは冷却板に載置することによって行う。これにより、液滴の周縁部を簡単かつ一様に加熱または冷却することが可能になり、液滴表面の温度差を確実に解消することができる。
次に、図1(b)に示すように、液滴70の表面の温度差を解消して、上述したマランゴニ対流を停止させる。沸点が150℃未満の低沸点分散媒を含む液滴の場合には、液滴の頂上部を加熱することにより、または液滴の周縁部を冷却することにより、液滴の頂上部と周縁部との温度差を解消する。また、沸点が150℃以上の高沸点分散媒を含む液滴の場合には、液滴の頂上部を冷却することにより、または前記液滴の周縁部を加熱することにより、液滴の頂上部と周縁部との温度差を解消する。液滴の周縁部を加熱または冷却する場合には、液滴が配置された基板を加熱または冷却することによって行う。基板の加熱または冷却は、基板をホットプレートまたは冷却板に載置することによって行う。これにより、液滴の周縁部を簡単かつ一様に加熱または冷却することが可能になり、液滴表面の温度差を確実に解消することができる。
すなわち、低沸点分散媒を採用した場合には、液滴70の周縁部が頂上部より高温になっているので、図1(b)に示すように、液滴70を配置した基板48を冷却板50の上に載置する。すると、基板48を介して液滴70の周縁部が冷却され、液滴70の頂上部と周縁部との温度差が解消される。なお温度差の解消には、温度差を完全に0にする場合だけでなく、温度差をほぼ0にする場合も含まれる。これにともなって、液滴内部に発生していたマランゴニ対流170(図2(a)参照)が停止する。
なお、基板48を載置した冷却板50の温度は一定でもよいが、その温度を低下させつづけるようにしてもよい。低沸点分散媒は乾燥速度が速いので、液滴の頂上部における温度低下の進行が速い。そこで、冷却板の温度を低下させつづけることにより、基板48を介して液滴の周縁部の温度低下を進行させることができる。これにより、液滴70の頂上部と周縁部との温度差を確実に解消させることができる。
なお、基板48を載置した冷却板50の温度は一定でもよいが、その温度を低下させつづけるようにしてもよい。低沸点分散媒は乾燥速度が速いので、液滴の頂上部における温度低下の進行が速い。そこで、冷却板の温度を低下させつづけることにより、基板48を介して液滴の周縁部の温度低下を進行させることができる。これにより、液滴70の頂上部と周縁部との温度差を確実に解消させることができる。
また、高沸点分散媒を採用した場合には、液滴の周縁部が頂上部より低温になっているので、液滴を配置した基板をホットプレートの上に載置する。すると、基板を介して液滴の周縁部が加熱され、液滴の頂上部と周縁部との温度差が解消される。これにともなって、液滴内部に発生していたマランゴニ対流が停止する。なお、高沸点分散媒は乾燥速度が遅いので、液滴の周縁部における温度低下は進行しない。したがって、ホットプレートの温度を一定とした場合でも、液滴の頂上部と周縁部との温度差を確実に解消させることができる。
なお液滴の加熱は、液滴にレーザ等の光を照射することによって行うことも可能である。具体的には、液滴の頂上部または周縁部に向かって、液滴の配置された基板と平行にレーザを照射する。レーザ等の指向性の高い光を照射することにより、液滴の頂上部または周縁部を局所的に加熱することが可能である。
[ピニング工程]
次に、図1(c)に示すように、液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する。具体的には、上記のようにマランゴニ対流を停止させた状態で、液滴をピニングさせることにより、液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する。そこで、ピニングについて説明する。
次に、図1(c)に示すように、液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する。具体的には、上記のようにマランゴニ対流を停止させた状態で、液滴をピニングさせることにより、液滴70の周縁部に乾燥膜75を形成する。そこで、ピニングについて説明する。
図3は、代表的な液滴の乾燥過程を模式的に示す図である。液滴の乾燥過程では、液体材料の固形分濃度や、液滴の乾燥速度、固形分が微粒子の場合の粒径等をパラメータとすることにより、液滴の乾燥膜を様々な形状に制御することができる。例えば、図3(a)に示すように中央部に比べて周縁部の膜厚が厚い形状としたり、あるいは図3(b)に示すように着弾後の液滴に比べて収縮した形状としたりすることができる。なお、図3(a)及び(b)に矢印で示す液滴内部の流れは一例であり、実際とは異なる場合がある。
図3(a)は、ピニングの説明図である。液滴の乾燥過程において、液滴の周縁部における固形分濃度が飽和濃度に達すると、その周縁部において固形分が局所的に析出する。すると、その析出した固形分によって液滴の周縁部がピン止めされたような状態となり、それ以降の乾燥に伴う液滴の収縮(外径の収縮)が抑制される。本明細書では、この現象、すなわち、周縁部に析出した固形分によって乾燥に伴う液滴の収縮が抑制される現象を「ピニング」と呼ぶ。
なお図3(b)は、ディピニングの説明図である。液滴の乾燥過程において、液滴全体の固形分濃度が略同時に飽和濃度に達すると、液滴の周縁部での局所的な固形分の析出が生じにくくなる。この場合、上述したピニングが起こらず、乾燥過程において液滴全体が収縮し、液滴の外径が小さくなる。以後、この現象を「ディピニング」と呼ぶ。
なお図3(b)は、ディピニングの説明図である。液滴の乾燥過程において、液滴全体の固形分濃度が略同時に飽和濃度に達すると、液滴の周縁部での局所的な固形分の析出が生じにくくなる。この場合、上述したピニングが起こらず、乾燥過程において液滴全体が収縮し、液滴の外径が小さくなる。以後、この現象を「ディピニング」と呼ぶ。
一般に、基板上に配置された液滴は周縁部(エッジ)において乾燥の進行が速く、最初に周縁部において固形分濃度が飽和濃度に達し、その周縁部において固形分が局所的に析出する。そのため、基板上に配置された液滴は、原則としてピニングする。特に本実施形態では、液滴内部のマランゴニ対流を停止させるので、対流によって固形分が運搬されにくくなり、液滴の周縁部において固形分が析出しやすくなる。したがって、液滴を確実にピニングさせることができる。
そして、図2(a)に示すピニングが起きると、液滴の周縁部で蒸発により失われた分の液体を中央部から補う流れ、すなわち中央部から周縁部に向かう液体の流れが形成される。この流れが強く形成されると、液滴に含まれる固形分の多くが周縁部に運ばれる。液滴の周縁部では、固形分の析出に伴う粘度上昇等により液体の流れが滞留しやすく、固形分の高濃度状態が維持される。すなわち、中央部から周縁部に向かう液体の流れに比べて、周縁部から中央部に向かう液体の流れが弱くなる。その結果、液滴の周縁部において固形分が多く析出し、周縁部の膜厚が厚くなる。このように、液滴の中央部から周縁部に向かう流れの強さに応じて、乾燥膜の周縁部の膜厚を厚くすることができる。
そして、液滴の中央部から周縁部に向かう流れの強さは、上記パラメータに応じて変化する。上記パラメータのうち、液体材料の固形分濃度が低いほど、また、乾燥速度が大きいほど、中央部から周縁部に向かう流れが強くなる。したがって、液体材料の固形分濃度を低下させたり、乾燥速度を大きくしたりすることによって、乾燥膜の中央部に対する周縁部の膜厚比を大きくすることができる。また、固形分が微粒子の場合、その粒径が小さいほど、液体の流れに乗せて固形分を周縁部に運びやすいために、乾燥膜の中央部の膜厚が薄くなりやすい。乾燥膜の中央部に対する周縁部の膜厚比が大きくなることで、図1(b)に示すようなリング状の第1乾燥膜(環状の乾燥膜)75が形成される。
ここで、上記パラメータのうち液滴の乾燥速度は、基板上に配置される液滴同士の間隔(液滴間距離)や、複数の液滴の配列または配置のタイミング、基板が搭載されるステージの移動速度、液体材料に対する基板表面の接触角などに応じて変化する。
液滴の乾燥時、液相から気相に出て行く蒸気は、液滴を中心に3次元に拡散して、蒸気拡散層を形成する。基板上に複数の液滴が配置されるとき、一の液滴が他の液滴の蒸気拡散層内に配置されると、その蒸気拡散層の影響により一の液滴の表面における蒸気濃度が高くなって、一の液滴の乾燥速度が低下する。具体的には、液滴間距離が短く、蒸気拡散層の重なりが大きいほど、液滴の蒸発速度(乾燥速度)が低下して、乾燥時間が長くなる。
また、一の液滴に対してある方向のみに他の液滴が配置されている場合には、他の液滴の蒸気拡散層による影響をその方向から受けるので、一の液滴の乾燥速度はその方向についてのみ低下する。したがって、液滴の配列によって乾燥速度は変化する。さらに、他の液滴が配置されてから一の液滴が配置されるまでの時間が長いと、他の液滴の蒸気拡散層による影響が小さくなるので、液滴の乾燥速度が低下し難くなる。したがって、液滴を配置するタイミングによっても乾燥速度は変化する。
なお、基板を搭載したステージが移動すると、液滴近傍の気相の蒸気濃度が低下するなどにより、液滴の乾燥が促進される。したがって、ステージの移動速度が大きいほど、大気に対する液滴の相対的な移動速度が大きくなり、液滴の乾燥速度が速くなる。
また、一の液滴に対してある方向のみに他の液滴が配置されている場合には、他の液滴の蒸気拡散層による影響をその方向から受けるので、一の液滴の乾燥速度はその方向についてのみ低下する。したがって、液滴の配列によって乾燥速度は変化する。さらに、他の液滴が配置されてから一の液滴が配置されるまでの時間が長いと、他の液滴の蒸気拡散層による影響が小さくなるので、液滴の乾燥速度が低下し難くなる。したがって、液滴を配置するタイミングによっても乾燥速度は変化する。
なお、基板を搭載したステージが移動すると、液滴近傍の気相の蒸気濃度が低下するなどにより、液滴の乾燥が促進される。したがって、ステージの移動速度が大きいほど、大気に対する液滴の相対的な移動速度が大きくなり、液滴の乾燥速度が速くなる。
以上を踏まえ、液滴70の中央部から周縁部への流れが強く形成されるように上記パラメータを設定して、液滴70を乾燥させる。これにより、液滴70の周縁部に微細な乾燥膜75が形成される。
なお、乾燥膜75の構成材料である微粒子の表面には、微粒子相互の凝集を防止するための保護層が設けられている。そこで、形成された乾燥膜75を熱処理(アニール)して保護層を分解すれば、微粒子相互を凝集させることができる。なお、液滴70をライン状に形成すれば、直線部分を有する乾燥膜75が形成される。そして、その直線部分を電気配線等に利用する場合には、直線部分のみを熱処理して微粒子を凝集させ、他の部分は分散媒等に再分散させて除去すればよい。
なお、乾燥膜75の構成材料である微粒子の表面には、微粒子相互の凝集を防止するための保護層が設けられている。そこで、形成された乾燥膜75を熱処理(アニール)して保護層を分解すれば、微粒子相互を凝集させることができる。なお、液滴70をライン状に形成すれば、直線部分を有する乾燥膜75が形成される。そして、その直線部分を電気配線等に利用する場合には、直線部分のみを熱処理して微粒子を凝集させ、他の部分は分散媒等に再分散させて除去すればよい。
以上に詳述したように、本実施形態の膜形成方法では、液滴表面の温度差を解消してマランゴニ対流を停止させ、液滴の周縁部をピニングさせて乾燥膜を形成する構成とした。マランゴニ対流を停止させることにより、液滴に含まれる固形分が対流によって運搬されることがなくなるので、固形分が液滴の周縁部に析出しやすくなる。したがって、液滴の周縁部を確実にピニングさせることができる。また、マランゴニ対流の影響を受けることなく固形物を析出させることができるので、乾燥後には膜ムラのない一様な膜を形成することができる。すなわち、凹凸が少なく比較的平坦な膜を形成することができるのである。
また、液滴の周縁部のみに乾燥膜が形成されるので、液滴サイズより微細な乾燥膜を形成することができる。一般に、液適サイズを小さくすれば、微細な乾燥膜を形成することは可能である。しかしながら、液滴吐出装置の構造上の問題等により、吐出可能な最少液量には限界があるので、液滴サイズを小さくするには限界がある。例えば、液滴吐出装置により吐出可能な最少液量は2pl程度であり、この液量に対応する液滴径は20〜30μm程度である。しかしながら、上述したピニングを利用することにより、液滴サイズより微細な乾燥膜を形成することができる。例えば、線幅0.5〜1.0μm程度の微細な乾燥膜を形成することも可能である。
[気液界面吸着剤]
なお、マランゴニ対流を効率的に停止させるため、液滴の表面に高粘度の被膜を形成してもよい。液滴の表面に被膜を形成するには、液滴に気液界面吸着剤を混入させる。気液界面吸着剤とは、気体と液体との自由表面に吸着して被膜を形成する物質である。液滴に気液界面吸着剤を混入させるには、あらかじめ気液界面吸着剤が混入された分散液を液滴吐出装置から吐出して液滴を形成すればよい。なお、あらかじめ気液界面吸着剤が塗布された基板の表面に液滴を形成してもよく、形成された液滴に向かって気液界面吸着剤を吹きつけてもよい。
なお、マランゴニ対流を効率的に停止させるため、液滴の表面に高粘度の被膜を形成してもよい。液滴の表面に被膜を形成するには、液滴に気液界面吸着剤を混入させる。気液界面吸着剤とは、気体と液体との自由表面に吸着して被膜を形成する物質である。液滴に気液界面吸着剤を混入させるには、あらかじめ気液界面吸着剤が混入された分散液を液滴吐出装置から吐出して液滴を形成すればよい。なお、あらかじめ気液界面吸着剤が塗布された基板の表面に液滴を形成してもよく、形成された液滴に向かって気液界面吸着剤を吹きつけてもよい。
気液界面吸着剤として、液滴に含まれる分散媒より高粘度のものを採用する。一例を挙げれば、分散媒の粘度が1〜20cps程度の場合に、1000〜2000cps程度の高粘度の気液界面吸着剤を採用することが望ましい。この気液界面吸着剤の被膜を液滴の表面に形成すれば、プラトー効果(Plateau Effect)により液滴の表面粘弾性として作用するので、表面に抵抗を生じ分散媒の蒸発に基づく局所的表面張力差に拮抗して変形できなくなる。したがって、マランゴニ対流の発生を防止することが可能になり、また発生したマランゴニ対流を停止させることが可能になる。
また、液滴に対する気液界面吸着剤の混入割合は、飽和吸着濃度、又は、約1.0×10−7wt%以上、約0.1wt%以下とすればよく、特に0.1wt%程度とすることが望ましい。飽和吸着濃度は、分散媒への溶解性および分子量によって異なるが、例えば、約1.0×10−7wt%である。気液界面吸着剤の混入割合が少なすぎると、液滴の表面に一様な被膜が形成されにくくなるからである。逆に、気液界面吸着剤の混入割合が多すぎると、成膜後に残留する気液界面吸着剤が多くなって、乾燥膜の性質に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。また、高粘度の気液界面吸着剤の混入割合が多すぎると、分散液の全体が高粘度となって、液滴吐出装置による安定吐出が不可能になるからである。
なお、高粘度の気液界面吸着剤の多くは高沸点であり、液滴表面に気液界面吸着剤の被膜を形成すれば、液滴の乾燥速度を低下させることができる。これにより、液滴の頂上部と周縁部との温度差が小さくなるので、液滴表面の温度差の解消を効率的に行うことができる。一方、マランゴニ対流を停止させるため、液滴表面における温度差の解消と気液界面吸着剤の被膜の形成とを併用する場合には、気液界面吸着剤の被膜の形成を単独で利用する場合に比べて、液滴に対する気液界面吸着剤の混入割合は少なくてよい。これにより、形成される乾燥膜の性質に悪影響を及ぼすおそれが少なくなり、また液滴吐出装置による安定吐出も可能になる。このように、液滴表面における温度差の解消と気液界面吸着剤の被膜の形成とを併用する場合には、相乗効果によって効率的にマランゴニ対流を停止させることができるのである。
具体的な気液界面吸着剤として、シリコーンオイルを採用する。シリコーンオイルとは、線状で低重合度のシリコーンであり、常温で流動性を示すものをいう。なおシリコーンとは、ケイ素原子および酸素原子によるシロキサン結合の繰り返し構造からなるポリシロキサンのうち、アルキル基やアニール基などの有機基を持つものをいう。また側鎖の官能基を選択的に変更させた、水溶性、非水溶性のシリコーンオイルがある。代表的なシリコーンオイルであるポリジメチルシロキサンは、次の化学式で表される物質である。
なお、シリコーンオイルの粘度は、シロキサン結合の重合度によって異なる。そこで、液滴に含まれる分散媒より高粘度となるように重合度を調整したシリコーンオイルを採用する。なお一例を挙げれば、粘度が1000〜2000cps程度のシリコーンオイルを採用する。
(液滴吐出装置)
本実施形態では、液滴吐出装置から液状体を吐出して液滴を形成する。そこで、その液滴吐出装置につき、図4を用いて説明する。図4は、液滴吐出装置の斜視図である。液滴吐出装置10は、ベース12、第1移動手段14、第2移動手段16、重量測定手段である電子天秤(不図示)、ヘッド20、キャッピングユニット22、およびクリーニングユニット24を主として構成されている。第1移動手段14および第2移動手段16を含む液滴吐出装置10の動作は、制御装置23により制御されるようになっている。なお図4において、X方向はベース12の左右方向であり、Y方向は前後方向であり、Z方向は上下方向である。
本実施形態では、液滴吐出装置から液状体を吐出して液滴を形成する。そこで、その液滴吐出装置につき、図4を用いて説明する。図4は、液滴吐出装置の斜視図である。液滴吐出装置10は、ベース12、第1移動手段14、第2移動手段16、重量測定手段である電子天秤(不図示)、ヘッド20、キャッピングユニット22、およびクリーニングユニット24を主として構成されている。第1移動手段14および第2移動手段16を含む液滴吐出装置10の動作は、制御装置23により制御されるようになっている。なお図4において、X方向はベース12の左右方向であり、Y方向は前後方向であり、Z方向は上下方向である。
第1移動手段14は、ガイドレール40,40をY軸方向に一致させて、ベース12の上面に直接設置されている。この第1移動手段14は、ガイドレール40,40に沿って移動可能なスライダ42を有している。このスライダ42の駆動手段として、例えばリニアモータを採用することができる。これにより、スライダ42がY軸方向に沿って移動可能とされ、また任意の位置で位置決め可能とされている。
スライダ42の上面にはモータ44が固定され、モータ44のロータにはテーブル46が固定されている。このテーブル46は、基板48を保持しつつ位置決めするものである。すなわち、図示しない吸着保持手段を作動させることにより、テーブル46の穴46Aを通して基板48が吸着され、基板48をテーブル46上に保持することができる。また、モータ44は、例えばダイレクトドライブモータである。このモータ44に通電することにより、ロータとともにテーブル46がθz方向に回転して、テーブル46をインデックス(回転割り出し)することができるようになっている。なお、テーブル46には、ヘッド20が液状体を捨打ち、或いは試し打ち(予備吐出)するための予備吐出エリアが設けられている。
一方、ベース12の後方には支柱16A、16Aが立設され、その支柱16A,16Aの上端部にコラム16Bが架設されている。そして、そのコラム16Bの前面に第2移動手段16が設けられている。この第2移動手段16は、X軸方向に沿って配置されたガイドレール62A,62Aを有し、またガイドレール62A,62Aに沿って移動可能なスライダ60を有している。このスライダ60の駆動手段として、例えばリニアモータを採用することができる。これにより、スライダ60がX軸方向に沿って移動可能とされ、また任意の位置で位置決め可能とされている。
スライダ60には、ヘッド20が設けられている。ヘッド20は、揺動位置決め手段としてのモータ62,64,66,68に接続されている。モータ62は、ヘッド20をZ軸方向に移動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。モータ64は、ヘッド20をY軸回りのβ方向に揺動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。モータ66は、ヘッド20をX軸回りのγ方向に揺動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。モータ68は、ヘッド20をZ軸回りのα方向に揺動可能とし、また任意の位置で位置決め可能とするものである。
以上のように、基板48はY方向に移動および位置決め可能とされ、θz方向に揺動および位置決め可能とされている。また、ヘッド20はX,Z方向に移動および位置決め可能とされ、α,β,γ方向に揺動および位置決め可能とされている。したがって、本実施形態の液滴吐出装置10は、ヘッド20のインク吐出面20Pと、テーブル46上の基板48との相対的な位置および姿勢を、正確にコントロールすることができるようになっている。
(インクジェットヘッド)
ここで、ヘッド20の構造例につき、図5を用いて説明する。図5は、インクジェットヘッドの側面断面図である。ヘッド20は、液滴吐出方式により液状体2をノズル91から吐出するものである。液滴吐出方式として、圧電体素子としてのピエゾ素子を用いて液状体を吐出させるピエゾ方式や、液状体を加熱して発生した泡(バブル)により液状体を吐出させる方式など、公知の種々の技術を適用することができる。このうちピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないという利点を有する。そこで、図5のヘッド20には、上述したピエゾ方式が採用されている。
ここで、ヘッド20の構造例につき、図5を用いて説明する。図5は、インクジェットヘッドの側面断面図である。ヘッド20は、液滴吐出方式により液状体2をノズル91から吐出するものである。液滴吐出方式として、圧電体素子としてのピエゾ素子を用いて液状体を吐出させるピエゾ方式や、液状体を加熱して発生した泡(バブル)により液状体を吐出させる方式など、公知の種々の技術を適用することができる。このうちピエゾ方式は、液状体に熱を加えないため、材料の組成等に影響を与えないという利点を有する。そこで、図5のヘッド20には、上述したピエゾ方式が採用されている。
ヘッド20のヘッド本体90には、リザーバ95およびリザーバ95から分岐された複数のインク室93が形成されている。リザーバ95は、各インク室93に液状体2を供給するための流路になっている。また、ヘッド本体90の下端面には、インク吐出面を構成するノズルプレートが装着されている。そのノズルプレートには、液状体2を吐出する複数のノズル91が、各インク室93に対応して開口されている。そして、各インク室93から対応するノズル91に向かって、インク流路が形成されている。一方、ヘッド本体90の上端面には、振動板94が装着されている。なお、振動板94は各インク室93の壁面を構成している。その振動板94の外側には、各インク室93に対応して、ピエゾ素子92が設けられている。ピエゾ素子92は、水晶等の圧電材料を一対の電極(不図示)で挟持したものである。その一対の電極は、駆動回路99に接続されている。
そして、駆動回路99からピエゾ素子92に電圧を印加すると、ピエゾ素子92が膨張変形または収縮変形する。ピエゾ素子92が収縮変形すると、インク室93の圧力が低下して、リザーバ95からインク室93に液状体2が流入する。またピエゾ素子92が膨張変形すると、インク室93の圧力が増加して、ノズル91から液状体2が吐出される。なお、印加電圧を変化させることにより、ピエゾ素子92の変形量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子92の変形速度を制御することができる。すなわち、ピエゾ素子92への印加電圧を制御することにより、液状体2の吐出条件を制御しうるようになっている。
一方、図4に示す液滴吐出装置は、キャッピングユニット22およびクリーニングユニット24を備えている。キャッピングユニット22は、ヘッド20におけるインク吐出面20Pの乾燥を防止するため、液滴吐出装置10の待機時にインク吐出面20Pをキャッピングするものである。またクリーニングユニット24は、ヘッド20におけるノズルの目詰まりを取り除くため、ノズルの内部を吸引するものである。なおクリーニングユニット24は、ヘッド20におけるインク吐出面20Pの汚れを取り除くため、インク吐出面20Pのワイピングを行うことも可能である。
[電気光学装置]
次に、本実施形態の膜形成方法を使用して製造した電気光学装置の一例である有機EL装置につき、図6を用いて説明する。図6は、有機EL装置の側面断面図である。
次に、本実施形態の膜形成方法を使用して製造した電気光学装置の一例である有機EL装置につき、図6を用いて説明する。図6は、有機EL装置の側面断面図である。
有機EL装置200は、マトリクス状に配置された複数の画素領域R,G,Bを備えている。基板210の表面には各画素領域を駆動する回路部220が形成され、その回路部220の表面には複数の画素電極240がマトリクス状に形成されている。なお各画素電極240の周囲には、電気絶縁性材料からなるバンク245が形成されている。陽極として機能する画素電極240の表面には、正孔注入層250および発光層260が順次形成されている。さらに、発光層260およびバンク245の表面全体に、電子注入層270および共通陰極280が形成されている。なお、基板210の端部に封止基板(不図示)が貼り合わされて、全体が密閉封止されている。
そして、本実施形態の膜形成方法を使用することにより、上述した有機EL装置200を構成する各機能層を形成することができる。また、回路部220に含まれる各電気配線を形成することができる。そして、一様な機能層および電気配線を備えることにより、表示品質に優れた有機EL装置を提供することができる。
[電子機器]
次に、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した電子機器につき、図7を用いて説明する。図7は、携帯電話の斜視図である。図7において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は表示部を示している。この携帯電話1000は、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した表示部1001を備えている。したがって、表示品質に優れた携帯電話1000を低コストで提供することができる。
次に、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した電子機器につき、図7を用いて説明する。図7は、携帯電話の斜視図である。図7において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は表示部を示している。この携帯電話1000は、各実施形態の膜形成方法を使用して形成した表示部1001を備えている。したがって、表示品質に優れた携帯電話1000を低コストで提供することができる。
なお、本発明の技術範囲は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、各実施形態で挙げた具体的な材料や構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。例えば、以上には分散質を分散媒に分散させた分散液を用いて膜を形成する場合を例にして説明したが、溶質を溶媒に溶解させた溶液を用いて膜を形成する場合にも本発明を適用することが可能である。また、以上には液滴吐出装置により液状体を吐出して液滴を形成する場合を例にして説明したが、これ以外の方法で液滴を形成する場合にも本発明を適用することが可能である。
低沸点分散媒を含む液滴を基板上に形成し、基板を冷却した場合のマランゴニ対流の状態を観察した。
分散媒として1−ブタノール(沸点118℃程度)を採用し、ポリスチレン微粒子(粒径1.5μm)を0.1wt%の濃度で分散させた。この分散液を、あらかじめF8C2(1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン)で表面処理された基板上に、マイクロピペットにより2μL吐出して、液滴を形成した。すると、図1(a)に示すようなマランゴニ対流が観察された。
次に、基板を冷却板上に載置して冷却した。すると、図1(b)に示すようにマランゴニ対流が停止した。この結果、1−ブタノールのような低沸点分散媒を採用した場合に、液滴の周縁部を冷却することでマランゴニ対流が停止することが確認された。
分散媒として1−ブタノール(沸点118℃程度)を採用し、ポリスチレン微粒子(粒径1.5μm)を0.1wt%の濃度で分散させた。この分散液を、あらかじめF8C2(1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン)で表面処理された基板上に、マイクロピペットにより2μL吐出して、液滴を形成した。すると、図1(a)に示すようなマランゴニ対流が観察された。
次に、基板を冷却板上に載置して冷却した。すると、図1(b)に示すようにマランゴニ対流が停止した。この結果、1−ブタノールのような低沸点分散媒を採用した場合に、液滴の周縁部を冷却することでマランゴニ対流が停止することが確認された。
48基板 70液滴 75乾燥膜 170マランゴニ対流
Claims (11)
- 液滴の表面の温度差を解消しつつ、前記液滴から乾燥膜を形成することを特徴とする膜形成方法。
- 沸点が150℃以上の溶媒または分散媒を含む前記液滴につき、前記液滴の頂上部を冷却することにより、または前記液滴の周縁部を加熱することにより、前記液滴の表面の温度差を解消することを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
- 沸点が150℃未満の溶媒または分散媒を含む前記液滴につき、前記液滴の頂上部を加熱することにより、または前記液滴の周縁部を冷却することにより、前記液滴の表面の温度差を解消することを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
- 前記液滴の周縁部の加熱または冷却は、前記液滴が配置された基板を加熱または冷却することによって行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の膜形成方法。
- 沸点が150℃未満の溶媒または分散媒を含む前記液滴の周縁部の冷却は、前記液滴が配置された基板の温度を低下させつづけることによって行うことを特徴とする請求項4に記載の膜形成方法。
- 前記液滴の加熱は、前記液滴に光を照射することによって行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の膜形成方法。
- 前記液滴の表面に、前記液滴の溶媒または分散媒より高粘度であり、かつ前記液滴に対して表面配向性をもつ気液界面吸着剤を吸着させることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の膜形成方法。
- 前記気液界面吸着剤は、シリコーンオイルであることを特徴とする請求項7に記載の膜形成方法。
- 前記液滴を塗布する前に、前記液滴の溶媒または分散媒にあらかじめ前記気液界面吸着剤を混入させておくことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の膜形成方法。
- 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の膜形成方法を使用してデバイスを製造することを特徴とするデバイス製造方法。
- 請求項10に記載のデバイス製造方法を使用して製造したことを特徴とする電気光学装置。
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JP2017502485A (ja) * | 2013-10-31 | 2017-01-19 | カティーバ, インコーポレイテッド | インクジェット印刷のためのポリチオフェン含有インク組成物 |
-
2003
- 2003-11-14 JP JP2003385125A patent/JP2005144324A/ja not_active Withdrawn
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