JP2005102639A - 便秘改善用食品およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】摂取しやすく少量で効果を期待できる便秘改善用食品を提供する。
【解決手段】褐藻類、紅藻類および緑藻類を配合した海藻中の細胞間粘質多糖を熱水抽出する。細胞間粘質多糖を熱水抽出した海藻を酵素分解して海藻酵素分解液を得る。酵素分解に使用する複合酵素群は、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼ、カラギナーゼおよびプロテアーゼを含む。海藻酵素分解液に水溶性食物繊維およびオリゴ糖を添加する。粉末、顆粒あるいは錠剤に加工することにより携帯性に優れ、摂取しやすい形態になる。少量摂取でも明らかな便秘症状改善効果がある。海藻はいずれも伝統食品であるため、食品として安全である。
【選択図】図1
【解決手段】褐藻類、紅藻類および緑藻類を配合した海藻中の細胞間粘質多糖を熱水抽出する。細胞間粘質多糖を熱水抽出した海藻を酵素分解して海藻酵素分解液を得る。酵素分解に使用する複合酵素群は、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼ、カラギナーゼおよびプロテアーゼを含む。海藻酵素分解液に水溶性食物繊維およびオリゴ糖を添加する。粉末、顆粒あるいは錠剤に加工することにより携帯性に優れ、摂取しやすい形態になる。少量摂取でも明らかな便秘症状改善効果がある。海藻はいずれも伝統食品であるため、食品として安全である。
【選択図】図1
Description
本発明は、海藻を利用した便秘改善効果を有する便秘改善用食品およびその製造方法に関する。
近年、肉を食することの増加や不規則な生活、ストレスなどの原因によって現代人には便秘者または便秘傾向者が増加している傾向がある。そして、便秘を解消するためには、規則正しい生活習慣や運動、食生活の改善が望まれる。特に、食生活の改善としては、食物繊維が豊富な野菜や豆、キノコ類などを多量に摂取することが有効であるが、生活スタイルや運動、食習慣などの変更は容易ではない。
そこで、この種の便秘改善効果を有する便秘改善用食品としては、様々な食物繊維を含む整腸剤が知られている(例えば、特許文献1および2参照。)。ところが、便秘改善用食品として食物繊維を含ませただけでは、十分な量の便秘改善用食品を摂取をしなければ効果が現れにくい。
一方、日本人の伝統食品である昆布、わかめなどの海藻類は低カロリであり、ミネラルおよびビタミンを豊富に含む食材である。近年、海藻の様々な健康作用が解明されつつ、健康食材としての海藻への関心が大変高くなってきている。特に、海藻に含まれるアルギン酸、カラギーナン、寒天などの粘質多糖類は、食物繊維としての作用があることが注目されている。例えば、褐藻類の成分であるアルギン酸の整腸作用が知られており(例えば、特許文献3参照。)、さらに、カラギーナンが配合された便秘改善剤も知られている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平6−7099号公報(第2−4頁)
特開平9−278664号公報(第2−4頁)
特開昭61−185167号公報(第2−4頁)
特開2000−60487号公報(第2頁)
しかしながら、上記アルギン酸あるいはカラギーナンのみを含有させただけでは、海藻に含まれる様々な有効成分が摂取できない。また、複雑な工程を経て精製されたアルギン酸およびカラギーナンは、通常の形態の食品ではなくなるので、摂取が容易ではない。一方、多くの海藻は淡泊無味であるから、日常生活の中で意識的にかつ継続的に海藻を毎日多量に食べ続けることが容易ではないという問題を有している。
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、摂取しやすく少量で効果を期待できる便秘改善用食品およびその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1記載の便秘改善用食品は、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質を含むものである。
そして、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質を含ませたことにより、少量の摂取で便秘改善効果を期待できるとともに、無臭およびほとんど無味であるので、様々な食品形態に利用できるから、摂取しやすい。
請求項2記載の便秘改善用食品は、請求項1記載の便秘改善用食品において、水溶性食物繊維およびオリゴ糖を含むものである。
そして、水溶性食物繊維およびオリゴ糖を含ませたことにより、これら食物繊維およびオリゴ糖による便秘改善効果や、便秘改善効果以外の健康作用も期待できる。
請求項3記載の便秘改善用食品は、請求項1または2記載の便秘改善用食品において、海藻は、褐藻類、紅藻類および緑藻類のそれぞれが少なくとも1種類以上配合されたものである。
そして、褐藻類、紅藻類および緑藻類のそれぞれを少なくとも1種類以上配合することにより、これら褐藻類、紅藻類および緑藻類のそれぞれが有する海藻成分をバランス良く摂取できる。
請求項4記載の便秘改善用食品は、請求項3記載の便秘改善用食品において、紅藻類は、粘質多糖としてカラギーナンを含むものである。
そして、粘質多糖としてカラギーナンを含む紅藻類とすることにより、このカラギーナンを熱水抽出で効率良く抽出できるから、このカラギーナンによる海藻の酵素分解の妨げを効率良く防止できる。
請求項5記載の便秘改善用食品は、請求項1ないし4いずれか記載の便秘改善用食品において、海藻を熱水抽出してから酵素分解する酵素は、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼ、カラギナーゼおよびプロテアーゼを含むものである。
そして、海藻を熱水抽出してから酵素分解する酵素がセルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼ、カラギナーゼおよびプロテアーゼを含む。このため、セルラーゼおよびベクチナーゼが有する細胞壁分解作用と、アルギン酸リアーゼおよびカラギナーゼが有する分子量を小さくし酵素分解液の粘度を下げる作用と、プロテアーゼが有する海藻崩壊作用とのそれぞれによって、海藻を熱水抽出した後の酵素分解ができるから、この海藻を熱水抽出した後の酵素分化を効率良くできる。
請求項6記載の便秘改善用食品は、請求項1ないし5いずれか記載の便秘改善用食品において、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質は、粘度が5mPa・s以下であり、分子量が10000以下の糖成分が全糖量の50%以上を占めているものである。
そして、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質は、粘度が5mPa・s以下であり、分子量が10000以下の糖成分が全糖量の50%以上を占めている。この結果、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質は粘性が低く分子量が小さいので、汎用性および嗜好性が向上する。
請求項7記載の便秘改善用食品の製造方法は、海藻を熱水抽出してから酵素分解するものである。
そして、海藻を熱水抽出してから酵素分解することにより、少量の摂取で便秘改善効果を期待できるとともに、この物質は無臭およびほとんど無味であるので、様々な食品形態に利用できるから、摂取しやすい。
請求項1記載の便秘改善用食品によれば、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質を含ませたことにより、少量の摂取で便秘改善効果を期待できるとともに、無臭およびほとんど無味であるので、様々な食品形態に利用できるから、摂取しやすい。
請求項2記載の便秘改善用食品によれば、水溶性食物繊維およびオリゴ糖を含ませたことにより、これら食物繊維およびオリゴ糖による便秘改善効果や、便秘改善効果以外の健康作用を期待できる。
請求項3記載の便秘改善用食品によれば、褐藻類、紅藻類および緑藻類のそれぞれが少なくとも1種類以上配合することにより、これら褐藻類、紅藻類および緑藻類のそれぞれが有する海藻成分をバランス良く摂取できる。
請求項4記載の便秘改善用食品によれば、粘質多糖としてカラギーナンを含む紅藻類とすることにより、このカラギーナンを熱水抽出で効率良く抽出できるから、このカラギーナンによる海藻の酵素分解の妨げを効率良く防止できる。
請求項5記載の便秘改善用食品によれば、セルラーゼおよびベクチナーゼが有する細胞壁分解作用と、アルギン酸リアーゼおよびカラギナーゼが有する分子量を小さくし酵素分解液の粘度を下げる作用と、プロテアーゼが有する海藻崩壊作用とのそれぞれによって、海藻を熱水抽出した後の酵素分解ができるから、この海藻を熱水抽出した後の酵素分化を効率良くできる。
請求項6記載の便秘改善用食品によれば、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質の粘度が5mPa・s以下で分子量が10000以下の糖成分が全糖量の50%以上を占めているため、汎用性および嗜好性を向上できる。
請求項7記載の便秘改善用食品の製造方法によれば、海藻を熱水抽出してから酵素分解することにより、少量の摂取で便秘改善効果を期待できるとともに、無臭およびほとんど無味であるので、様々な食品形態に利用できるから、摂取しやすい。
次に、本発明の便秘改善用食品の一の実施の形態を説明する。
まず、本発明の便秘改善用食品の主成分となる海藻としては、褐藻類、紅藻類および緑藻類である。そして、この褐藻類としては、コンブ、ワカメ、ヒジキ、モズクあるいはヒバマタなどである。また、紅藻類としては、キリンサイ、ツノマタ、シキンノリ、ギンナンソウ、ムカデノリあるいはスギノリなどカラギーナンを生産する種類である。さらに、緑藻類としては、アオサ、アオノリあるいはヒトエグサなどである。なお、これらの海藻を単独あるいは複数種の混合で用いることができるが、なるべく多くの種類の海藻成分をバランスよく摂取するために、褐藻類、紅藻類および緑藻類のそれぞれを少なくとも1種以上配合することが好ましい。
さらに、原料としての海藻は、低水分の乾燥品を図示しない粉砕機で2.0mm以下に砕いたものが望ましい。ここで、原料としての海藻として塩干品を使用する場合には、予め水洗して表面の塩分を取り除いてから再び乾燥させたものを用いる必要がある。そして、これら海藻には、細胞間粘質多糖が豊富に含まれている。これら細胞間粘質多糖は、細胞壁成分や蛋白質、脂質と複雑に絡んで酵素による分解を妨げる。したがって、海藻を酵素分解する前に、細胞間粘質多糖をなるべく抽出することが望ましい。すなわち、この細胞間粘質多糖を熱水抽出で効率良く抽出させることにより、この細胞間粘質多糖による海藻の酵素分解の妨げを効率良く防止できる。
ここで、海藻中の細胞間粘質多糖の抽出は、通常アルカリ水を用いた抽出が効率良いが、安全性の観点から純水を用いた熱水抽出が好ましい。そして、この熱水抽出は、抽出温度を80℃以上100℃以下とし、抽出時間を30分以上5時間以下、好ましくは3時間とする。すなわち、この海藻の熱水抽出によって後の酵素分解が容易になる。また、比較的穏やかな温度で熱水抽出するため、海藻中の有効成分へのダメージが少ない。
さらに、この熱水抽出方法は、図示しない抽出タンク中の水の温度が所定温度に達した後、この水に対して0.5質量%以上4質量%以下、より好ましくは2質量%以上3質量%以下の海藻粉末を投入し、温度を維持しながら、穏やかに攪拌する。次いで、抽出液の温度を酵素反応に適した温度まで下げ、直ちに酵素分解させる。
そして、この酵素分解に使用する複合酵素群は、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼ、カラギナーゼおよびプロテアーゼを含んでいる。すなわち、セルラーゼおよびペクチナーゼは、細胞壁分解に必要である。また、海藻多糖分解酵素アルギン酸リアーゼおよびカラギナーゼは、褐藻類と紅藻類の多糖の分子量を小さくし、酵素分解した後の液の粘度を下げるために必要である。
すなわち、これら海藻多糖分解酵素アルギン酸リアーゼおよびカラギナーゼが無ければ、酵素分解物の粘度がかなり高くなると予想され、健康作用が期待できる低分子成分、例えばオリゴ糖およびペプチドなどの生成ができなくなる。
ここで、緑藻類の多糖の粘度は作業の妨げにならないため、緑藻類の多糖を分解する酵素は特に必要ない。さらに、蛋白質分解酵素プロテアーゼは、海藻を崩壊させるのに効果的である。
よって、上記複合酵素群を用いた酵素分解の方法は、海藻の水抽出液中に、まずセルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼおよびカラギナーゼを同時に投入して酵素分解させた後にプロテアーゼを投入してさらに酵素分解させる方法である。ここで、この酵素分解に用いるカラギナーゼとしては、微工研IFO12985株Pseudoalteromonas carrageenovora(McLean M.W.and Williamson F.B.,“κ-Carrageenase from Pseudomonas carrageenovora”,Eur.j.Biochem,93,553−558,1979)の培養液を濃縮精製にて調整したカラギナーゼ粗酵素などである。
すなわち、このカラギナーゼ粗酵素は、菌を接種し、この接種した菌を3日あるいは4日培養して十分に増殖させた後、遠心分離して培養液の上澄みを集め、さらに図示しない限外濾過装置を用いて濃縮した液を粗酵素液としたものである。このときの酵素活性は、37℃下で1分間に1μmolのガラクトースが還元される酵素量を1Unitとして計算した。また、このときの酵素分解の条件は、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼおよびカラギナーゼでは通常40℃以上45℃以下の温度で、反応時間が通常6時間以上30時間以下であり、プロテアーゼでは、55℃以上70℃以下の温度で、反応時間が6時間以上12時間以下である。すなわち、これらセルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼおよびカラギナーゼによる酵素分解は、やや長時間を要して海藻を穏やかに分解させる。また、プロテアーゼによる酵素分解は、やや高温で作用させて海藻を効率的に崩壊させる。
そして、この酵素分解が終了した後、酵素を失活させ、0.1%以上0.3%以下の活性炭を添加して5分以上60分以下攪拌してから珪藻土で濾過し、海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質である海藻酵素分解液を得る。この海藻酵素分解液は、粘度が5mPa・s以下で、薄い茶色を帯び、海藻の独特の臭いがほとんど残っていない。また、この海藻酵素分解液は、ゲル濾過クロマトグラフィにおいて分子量10000以下の糖成分が50%以上を占める。
さらに、この海藻酵素分解液を原液として、あるいはこの原液を必要な倍率まで減圧濃縮して濃縮液としてから、この原液または濃縮液に便秘改善効果のある水溶性食物繊維およびオリゴ糖少なくともいずれか一方を添加し、さらに甘味料および香料などを加えることにより、汎用性および嗜好性に富む便秘改善用食品を製造できる。
ここで、この便秘改善用食品に添加される食物繊維としては、難消化性デキストリン、プルラン、低分子化プルラン、グアーガム、低分子化グアーガム、ジェランガム、アラビアガムあるいはキサンタンガムなどであり、難消化性デキストリンが特に好ましい。これら食物繊維の添加率としては、5質量%以上30質量%以下が好ましい。
また、添加されるオリゴ糖としては、キシロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖あるいはイソマルトオリゴ糖などであり、キシロオリゴ糖およびガラクトオリゴ糖が特に好ましい。これらオリゴ糖の添加率としては、5質量%以上20質量%以下が好ましい。さらに、この便秘改善用食品を粉末、顆粒あるいは錠剤に加工することにより、より携帯性に優れ、摂取しやすい形態の便秘改善用食品にできる。よって、海藻を利用し、少量摂取でも明らかな便秘症状改善効果がある便秘改善用食品を提供できる。
さらに、この便秘改善用食品として利用している海藻は、いずれも伝統食品であるため、食品としては極めて安全である。また、海藻の酵素分解液は、低粘度で無臭でほとんど無味であるため、さまざまな食品形態への利用ができる。さらに、複数の海藻の酵素分解によって生成されたさまざまな海藻多糖オリゴ糖あるいはペプチドなどの低分子成分を含有しているため、便秘改善効果以外の健康作用も期待できる。
また、健康上の配慮から海藻を酵素分解する前および後にpH調整や、いかなる薬品または酸による洗浄などは一切行わない。
次に、本発明の便秘改善用食品の実施例1として海藻酵素分解液の製造について説明する。
まず、図示しない分解槽に水250kgを注入した後に、7種類の海藻(コンブ10%、ワカメ10%、キリンサイ20%、シキンノリ20%、ツノマタ20%、アオサ10%およびスジアオノリ10%)の粉末5kgを分解槽に投入する。
この後、この分解槽内の水温を80℃に昇温しながら、穏やかに3時間攪拌する。次いで、この分解槽内の水温を45℃に下げてから、この分解槽内の水の質量に対してセルラーゼY−2NC(ヤクルト薬品工業株式会社製)0.05%、セルラーゼオノズカ12S(ヤクルト薬品工業株式会社製)0.02%、ペクチナーゼSS(ヤクルト薬品工業株式会社製)0.02%、およびアルギン酸リアーゼS(ナガセケムテックス株式会社製)0.003%のそれぞれを投入する。この後、分解槽内に粗カラギナーゼを、紅藻類の質量1gに対し500Unitとなるように投入してから、穏やかに攪拌しつつ24時間酵素分解させる。
次いで、分解槽内の水温を60℃に上げ、この分解槽内の水の質量に対してプロテアーゼ(商品名 アルカラーゼ:Novozymes社製)を0.1%投入してから、さらに14時間酵素分解させる。この後、この分解槽内の水温を90℃に上げ、この分解槽内の酵素を20分間で失活させた後、この分解槽内の水の水温を70℃に下げてから、0.2質量%の活性炭を投入し、30分間攪拌させて酵素分解液を得る。さらに、この酵素分解液を珪藻土で濾過して残渣を取り除いて清澄化した海藻酵素分解液を得る。
ここで、この海藻酵素分解液は、糖度(Brix)2.0、塩分0.04%、粘度4.5mPa・sであった。また、この海藻酵素分解液は、官能評価で無臭であり、かすかな甘みを有する薄い茶色であった。さらに、図1に示すように、この海藻酵素分解液をゲル濾過で分析した結果、分子量10000以下の糖成分が全糖量の53%を占めていた。
上述の方法により得られる海藻酵素分解液中の海藻酵素分解物は、様々な海藻の有用成分、例えばミネラル、ビタミン、不飽和脂肪酸あるいは多糖類を保持した上で、健康作用を有する低分子成分、例えば各種多糖のオリゴ糖あるいはペプチドなどが豊富に含まれているから、便秘改善などの健康作用を期待できる便秘改善用食品である。
上記実施例1で製造した海藻酵素分解液を用いて、コップ1杯分、すなわち150gの便秘改善用飲料を調製した。
すなわち、この便秘改善用飲料は、海藻酵素分解液100gに、野菜ジュース25g、蜂蜜10g、レモン果汁8g、発消化性デキストリン5g、ガラクトオリゴ糖2gおよび微量の香料のそれぞれを加えて調製したものである。
上記実施例1で製造した海藻酵素分解液を用いて、386gの便秘改善用食品であるプレーンスコーンを調製した。
すなわち、このプレーンスコーンは、海藻酵素分解液50gに、薄力粉200g、ベーキングパウダ10g、無塩バター60g、グラニュ糖10g、難消化性デキストリン10g、塩1g、牛乳50gのそれぞれを配合して調整したものである。
上記実施例1で製造した海藻酵素分解液を用いて、お椀1杯分、すなわち207.5gの便秘改善用食品である便秘改善用みそ汁を調製した。
すなわち、この便秘改善用みそ汁は、海藻酵素分解液150gに、合わせ味噌10g、だしの素1g、ねぎ5g、豆腐40g、食塩1.5gのそれぞれを加えて調製したものである。
次に、便秘改善用食品である顆粒状整腸組成物の調製について説明する。
まず、図示しない減圧濃縮装置(株式会社井阪製作所製)を用いて、上記海藻酵素分解液200kgを50℃で10倍に濃縮する。この後、この海藻酵素分解液中の固形分に対して、難消化性デキストリン(松谷化学工業株式会社製)25%およびキシロオリゴ糖(サントリー株式会社製)20%を加えるとともに、レモン、オレンジ風味香料および甘味料(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)のそれぞれを微量に加えた。
さらに、図示しない造粒噴霧乾燥装置(大川原化工機株式会社製)にて、海藻酵素分解液中の固形分を加工して、レモンおよびオレンジ風味を備え、かつ爽やかな甘味を有し、粒径約300μm以上500μm以下の淡黄色の便秘改善用食品である顆粒状整腸組成物を4.4kg調製した。
次に、便秘傾向者による便秘改善効果の確認について実験した。
まず、試験飲料としては、上記実施例5にて調整した顆粒状整腸組成物4gを、みそ汁200gに溶解して試験飲料とした。対照飲料としては、香料および甘味料で味を試験飲料と同様のみそ汁を調製した。
次いで、試験対象者としては、週排便回数6回以下の便秘傾向者である被験者12名を対象とした。
さらに、試験期間としては、ダブルブラインド、クロスオーバーの形式で試験した。すなわち、試験対象者を無作為にA群とB群との2群に分け、第1非摂取期間1週間を経てから、前期摂取期間である2週間の間はA群に試験飲料を摂取させ、B群に対照飲料を摂取させる。さらに第2非摂取期1週間を経た後、後期摂取期間である2週間の間はA群に対照飲料を摂取させ、B群に試験飲料を摂取させた。なお、試験対象者には、摂取している飲料が試験飲料であるか対照飲料であるかは一切告知しなかった。また、対象飲料および試験飲料の摂取は毎日午前空腹時1回とした。
また、アンケート調査の項目としては、糞便の性状について、全期間を通して試験対象者が毎日所定のアンケート用紙に当日の便の状況を記録する方式で調査した。調査項目は、排便量、便の形および便の色の3項目とし、排便の直後に記録用紙に記入させた。排便量は、ピンポン玉に見立てた数とした。便の形と色は、便状況を図示したカードを配布し、それを参考に便の形では(1)コロコロ状(1点)、(2)カチカチ状(2点)、(3)バナナ状(3点)、(4)半練り状(4点)、(5)泥状(5点)、(6)水状(6点)の6段階で記入させた。さらに、便の色ではカラーガイド第17版(大日本インキ化学工業株式会社製)記載の色に準じ、(1)薄い黄色(No,126)、(2)黄色(No,166)、(3)黄土色(No,241)、(4)褐色(No,306)、(5)茶色(No,351)、(6)暗い茶褐色(No,311)の6段階で記入させた。
この結果、試験対象者の週排便回数、排便日数および週排便量を表1に示した。
よって、表1に示すように、週排便日数が4.0日から4.7日に増加し、毎週の排便回数が4.2回から5.1回に増加した。また、毎週の排便量がピンポン玉相当の20.6個から25.2個に増加した。したがって、排便回数および排便量への影響については、いずれも明らかな増加傾向が認められた。
次いで、便の形状への影響については、図2に示すように、試験飲料摂取期においてコロコロ状とカチカチ状がやや減少し、泥状と水状がやや増える傾向が見られ、全体ではやや軟便になる傾向がみられた。また、6段階の点数で記入したデータから、非摂取期において平均点数2.8点以下である硬便傾向者、および4.0点以上である軟便傾向者の試験対象者各3名において、経時的変化を分析した結果、図3に示すように、いずれの群においても、摂取期間に伴い便の性状が正常な便の形であるバナナ状に近づく傾向が見られた。
さらに、便の色への影響については、図4に示すように、青汁摂取期間中において正常状態とされる黄土色および褐色の出現率が高くなった。
Claims (7)
- 海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質を含む
ことを特徴とした便秘改善用食品。 - 水溶性食物繊維およびオリゴ糖を含む
ことを特徴とした請求項1記載の便秘改善用食品。 - 海藻は、褐藻類、紅藻類および緑藻類のそれぞれが少なくとも1種類以上配合された
ことを特徴とした請求項1または2記載の便秘改善用食品。 - 紅藻類は、粘質多糖としてカラギーナンを含む
ことを特徴とした請求項3記載の便秘改善用食品。 - 海藻を熱水抽出してから酵素分解する酵素は、セルラーゼ、ペクチナーゼ、アルギン酸リアーゼ、カラギナーゼおよびプロテアーゼを含む
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の便秘改善用食品。 - 海藻を熱水抽出してから酵素分解した物質は、粘度が5mPa・s以下であり、分子量が10000以下の糖成分が全糖量の50%以上を占めている
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか記載の便秘改善用食品。 - 海藻を熱水抽出してから酵素分解する
ことを特徴とする便秘改善用食品の製造方法。
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2003
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