JP2005101399A - 露光用マスクおよびマスク製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】極短紫外光が斜め入射する反射型の露光用マスクについて、複雑なマスク上図形補正を施すことを要することなく、射影効果の影響により生じるウエハ上転写像の変形を緩和し得るようにする。
【解決手段】マスクブランクス膜と、その上にパターニングされる吸収膜と、これらの間に配されたバッファ膜とを備え、極短紫外光を反射することで前記吸収膜によって形成されるマスクパターンに応じた形状の転写像をウエハ上へ露光転写する露光用マスクにおいて、前記極短紫外光の射影ベクトルと前記マスクパターンの構成辺とのなす角度が異なることによって生じる前記転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量が所望値よりも小さくなるように、前記極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、前記吸収膜および前記バッファ膜の複素屈折率と、前記吸収膜の表面における前記極短紫外光の反射率とを設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置の回路パターンを形成するためのリソグラフィ工程にて用いられる露光用マスク、特にいわゆる極短紫外光に対応した反射型の露光用マスクに関する。さらには、その露光用マスクを製造するためのマスク製造方法に関する。
近年、半導体装置の微細化に伴い、ウエハ上に塗布された光感光材料であるレジストを露光および現像して形成されるレジストパターン、および該レジストパターンをエッチングマスクとしてエッチング加工して得られる回路パターンの線幅は、益々極小化が要求されている。また、線幅のみならず、パターン間ピッチ等についても、更なる極小化が要求されている。このような極小化の要求についてはレジストの露光に用いる光の波長をより短波長にすることで対応が可能となるが、光の波長と解像度との関係は、以下に示すレイリーの式で表わされることが知られている。
w=k1×(λ/NA)・・・(1)
この(1)式において、wは解像される最小のパターン幅、NAは投影光学系のレンズの開口数、λは露光光の波長である。また、k1は、主にレジストの性能および超解像技術の選択等により決定されるプロセス定数であって、最適なレジストおよび超解像技術を用いればk1=0.35程度まで選択できることが知られている。なお、超解像技術とは、マスクを透過若しくは反射し、マスク上遮光パターンで回折された光の±1次回折光を選択的に用いることにより、波長よりも小さなパターンを得ようとするものである。
レイリーの式によれば、例えば157nmの波長を用いた場合に対応が可能な最小のパターン幅は、NA=0.9のレンズを用いるとすれば、w=61nmとなることがわかる。すなわち、61nmよりも小さなパターン幅を得るためには、さらに短い波長の露光光、あるいは液浸レンズを用いなければならない。例えば、157nmの波長を用いて液浸レンズを用いると、NA=1.2のレンズを用いた場合における最小のパターン幅は46nmとなる。
このため、45nmの世代からは、極短紫外光(EUV;Extreme Ultra Violet)と呼ばれる13.5nmを中心とした0.6nm程度の波長帯域を具備する露光光を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。極短紫外光を用いれば、例えばNA=0.25の露光装置においては、レイリーの式からk1≧0.6の条件下で32.4nm以下の線幅を形成することができ、従前には達成できなかったパターン幅やパターンピッチ等の極小化にも対応可能となるからである。
ただし、13.5nmの波長の極短紫外光を用いる場合には、光透過型のマスクおよび光学系ではなく、光を反射する反射型マスクおよび反射型光学系によって、露光用マスクおよび光学系を構成する必要がある。これは、157nmの波長の紫外光までは、例えばCaF2(フッ化カルシウム)やSiO2(二酸化ケイ素)といった光透過性のある材料が存在するため、当該紫外光を透過させる構成のマスクおよび光学系を作製することができるが、13.5nmの波長の極短紫外光については、当該極短紫外光を所望の厚さでもって透過させる材料が存在していないからである。
また、反射型マスクを用いる場合には、マスク面で反射された光が、そのマスクに入射される光と相互に干渉することなく、投影光学系に導かれねばならない。そのため、反射型マスクに入射される光は、必然的にマスク面の法線に対して角度φを持った斜め入射となる。
つまり、極短紫外光を用いて露光する場合には、露光用マスクのマスク面に入射される光が、そのマスク面の法線に対して角度を持った斜め入射となる(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−365785号公報 特開2003−133214号公報
ところで、極短紫外光により露光を行う場合においては、露光用マスクとして反射型マスクを用い、その露光用マスクのマスク面に入射される光が斜め入射となるので、その斜め入射する極短紫外光をマスク面に射影した射影ベクトルとそのマスク面上におけるマスクパターンの構成辺とがなす角度によっては、ウエハ上における転写像が異なったものとなる可能性がある。具体的には、例えば図13に示すラインアンドスペースパターンにおいて、パターンの配置方向が射影ベクトルの方向に対して二通りしかない場合であっても、射影ベクトルの方向とパターン長辺との位置が直交配置関係にあるか、あるいは平行配置関係にあるかによって、パターンコントラストに相違が生じてしまい、ウエハ上における転写像の線幅がそれぞれで異なってしまう。
このような射影ベクトルとパターン構成辺との角度関係による転写像上での相違は、極短紫外光が斜め入射する反射型の露光用マスクが、光近接効果による影響の他に、射影効果による影響をも受けることによって生じるものである。したがって、従来の透過型の露光用マスクであれば、マスク上への入射光の光軸がマスク面に対して垂直であるため、マスク上で光を吸収する遮光膜の光学濃度が2以上になるように適宜設定すれば、所望通りの転写像(パターン形状)が得られたが、極短紫外光が斜め入射する反射型の露光用マスクについては、射影効果による影響を考慮しなければ、所望通りの転写像を得られない。
射影効果には、二つの作用があり、一つ目はパターン位置を入射方向にシフトさせる作用であり、二つ目は射影効果によりウエハ上転写像が変形してしまう作用である。これらのうち、パターン位置を入射方向にシフトさせる作用は、ラインパターンまたはラインアンドスペースパターンを用いたウエハ上転写結果から、ウエハ上におけるパターンシフト量を見積もることができる。したがって、マスクパターン全体をオフセットさせたり、露光時に露光装置にオフセット値を適宜設定してパターン全体をシフトさせることで、そのパターンシフトを補正することができる。
ところが、射影効果によりウエハ上転写像が変形してしまう作用については、斜め入射光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とがなす角度によって、その変形量が異なってしまう。しかも、疎密のレイアウトパターンが混在するような場合には、その疎密の影響によっても変形量が異なってしまう。したがって、このようなウエハ上転写像の変形については、リソグラフィ工程を経て得られる半導体装置の性能向上を阻害する要因となり得るため、非常に複雑なマスク上図形補正を施して、これを緩和することが必要となってしまう。
そこで、本発明は、極短紫外光が斜め入射する反射型の露光用マスクを用いて露光を行う場合であっても、複雑なマスク上図形補正を施すことを要することなく、射影効果によりウエハ上転写像が変形、すなわち極短紫外光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じる転写像の変形を緩和して、所望通りのウエハ上転写像を得ることのできる露光用マスクおよびマスク製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出された露光用マスクである。すなわち、極短紫外光の反射作用を有するマスクブランクス膜と、当該マスクブランクス膜上にパターニングされて前記極短紫外光を吸収する吸収膜と、前記マスクブランクス膜と前記吸収膜との間に配されたバッファ膜とを備えてなり、前記極短紫外光を反射することで前記吸収膜によって形成されるマスクパターンに応じた形状の転写像をウエハ上へ露光転写する露光用マスクであって、マスク表面へ斜め入射する前記極短紫外光を当該マスク表面に射影した射影ベクトルと前記マスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じる前記転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量が所望値よりも小さくなる関係を満たすように、前記極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、前記吸収膜および前記バッファ膜の複素屈折率と、前記吸収膜の表面における前記極短紫外光の反射率とが設定されていることを特徴とするものである。
また、本発明は、上記目的を達成するために案出されたマスク製造方法である。すなわち、極短紫外光の反射作用を有するマスクブランクス膜と、当該マスクブランクス膜上にパターニングされて前記極短紫外光を吸収する吸収膜と、前記マスクブランクス膜と前記吸収膜との間に配されたバッファ膜とを備えてなり、前記極短紫外光を反射することで前記吸収膜によって形成されるマスクパターンに応じた形状の転写像をウエハ上へ露光転写する露光用マスクを製造するためのマスク製造方法であって、マスク表面へ斜め入射する前記極短紫外光を当該マスク表面に射影した射影ベクトルと前記マスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じる前記転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量と、前記極短紫外光のマスク表面に対する入射角度、前記吸収膜および前記バッファ膜の複素屈折率、並びに、前記吸収膜の表面における前記極短紫外光の反射率との対応関係を特定し、特定した対応関係に基づいて、前記線幅差および前記ずれ量が所望値よりも小さくなる関係を満たすように、前記入射角度、前記複素屈折率および前記反射率の値を設定することを特徴とする。
上記構成の露光用マスクおよび上記手順のマスク製造方法によれば、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率と、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率とが、極短紫外光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じる前記転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量が所望値よりも小さくなるように設定されている。すなわち、設定された複素屈折率となるように吸収膜およびバッファ膜の形成材料が選択され、設定された反射率となるように吸収膜の形成材料および膜厚が選択され、さらには設定された入射角度となるようにマスク使用条件が選択される。ここで、転写像における線幅差とは、射影ベクトルと構成辺との角度の相違によって生じ得る線幅の差、例えば射影ベクトルに対して構成辺が直交するパターンについての線幅と射影ベクトルに対して構成辺が平行なパターンについての線幅との差をいう。また、所望線幅からのずれ量とは、所望線幅の値に対する転写像の線幅の値のずれ量のことをいう。
したがって、設定された入射角度、複素屈折率および反射率の全てを満足する露光用マスクを用いれば、極短紫外光がマスク表面に対して斜め入射し、その極短紫外光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なる場合であっても、転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量が所望値よりも小さくなるので、マスクパターンに対する補正を施さなくても、射影効果によるウエハ上転写像の変形が所望値内、すなわち許容量内に収まることになる。
本発明の露光用マスクおよびマスク製造方法では、転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量が所望値よりも小さくなるように、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率と、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率とが設定されているので、マスク面上に斜めに入射する極短紫外光を用いるべく、反射型の露光用マスクを構成する場合であっても、射影効果によるウエハ上転写像の変形を許容量内に収めることができ、これによりリソグラフィ工程を経て得られる半導体装置の性能向上を図ることができるという顕著な技術的効果が得られる。
以下、図面に基づき本発明に係る露光用マスクおよびマスク製造方法について説明する。なお、当然のことではあるが、本発明は、以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。
はじめに、露光用マスクの概略構成について簡単に説明する。ここで説明する露光用マスクは、半導体装置の製造方法における一工程であるリソグラフィ工程にて、極短紫外光を反射してウエハ上に所望パターン(例えば回路パターン)を転写するために用いられるものである。なお、ここで言う「極短紫外光」には、例えば波長が13.5nmのものに代表されるように、従前のリソグラフィ工程で用いられていた紫外光よりも短波長(例えば、1nm以上100nm以下)のものが該当する。
このような極短紫外光の反射によりウエハ上に所望パターンの転写像を露光転写すべく、露光用マスクは、極短紫外光の反射作用を有するマスクブランクス膜と、そのマスクブランクス膜上にパターニングされて極短紫外光を吸収する吸収膜と、これらマスクブランクス膜と吸収膜との間に配されたバッファ膜と、を備えて構成されている。
マスクブランクス膜は、例えばSi(ケイ素)層とMo(モリブデン)層とを交互に積層した構造で構成されるが、その積層の繰り返し数が40層以上であるものが一般的である。
吸収膜は、極短紫外光を吸収する材料からなるもので、例えばTaN(タンタルナイトライド)層によって構成される。ただし、吸収膜は、極短紫外光のマスク用材料として用いることのできるものであれば、他の材料からなるものであってもよい。具体的には、TaN以外にTa(タンタル)またはTa化合物、Cr(クロム)またはCr化合物、W(タングステン)またはW化合物等が考えられる。
バッファ膜は、例えばRu(ルテニウム)層やSiO2(二酸化ケイ素)、Cr(クロム)またはCr化合物によって構成されるもので、吸収膜を形成する際のエッチングストッパとして、あるいは吸収膜形成後の欠陥除去時のダメージ回避を目的として、形成されるものである。
以上のような構成の露光用マスクを製造する場合には、マスクブランクス膜上に、バッファ膜を成膜した後、さらに吸収膜を成膜し、周知のリソグラフィ技術を用いて、その吸収膜を所望パターンに対応する形状にパターニングすればよい。これにより、当該所望パターンを露光転写するためのマスクパターンを有した、極短紫外光用の反射型露光用マスクが得られることになる。
ただし、露光用マスクについては、マスクパターンを設計値通りに形成しても、すなわち露光転写すべき所望パターンと同一(相似)に形成しても、光近接効果や射影効果等による影響のため、必ずしも所望通りの転写像が得られるとは限らず、ウエハ上転写像のパターンエッジ位置が所望位置からずれてしまうことが可能性がある。
ウエハ上転写像のパターンエッジ位置が所望位置からずれてシフトしてしまう理由としては、(イ)光近接効果によるウエハ上転写像の変形、(ロ)射影効果によるパターン位置シフト、(ハ)射影効果によるウエハ上転写像の変形、といった三種類の要因が挙げられる。
このうち、(イ)の要因によるウエハ上転写像の変形については、以下のようにして解消することが考えられる。
光近接効果は、マスク上垂直に入射する露光光に対しても、例えば上述した(1)式におけるプロセス定数k1が0.6よりも小さくなると顕著に表れる。すなわち、マスクパターンからの高次回折光が投影レンズ系の瞳面から外れてくる効果、さらには1次回折光の一部が瞳面から外れてくる効果によって、ウエハ上転写像の形状が所望のパターンの形状と異なるものとなるのである。
したがって、光近接効果の影響によって生じるウエハ上転写像の変形については、例えばOPCのように、予めマスクパターンを変形させる光近接効果補正(Optical Proximity effect Correction:以下、単に「OPC」という)を行うことによって、そのウエハ上転写像の変形を解消することが考えられる。なお、その場合におけるOPCの手法については、従来と同様に行えばよいため、ここではその説明を省略する。
また、(ロ)の要因によるウエハ上転写像の変形については、以下のようにして解消することが考えられる。
既に説明したように、射影効果には二つの作用があり、その一つは、パターン位置を入射方向にシフトさせる作用である。すなわち、マスク上に斜めに入射する露光光により、マスクパターンからの回折光が非対称となり、ウエハ上転写像のパターン位置を入射方向にシフトさせてしまうのである。ただし、その位置シフト量は、マスク上パターン形状に依らず、ほぼ一律で定数としてみなせる。
したがって、射影効果によるパターン位置シフトを解消するためには、マスクパターンを一律にずらすか、あるいはウエハ上にパターンを転写する時に露光装置にパターンシフトをさせればよい。つまり、マスクパターン全体をオフセットさせたり、露光装置における露光条件を適宜設定したりすることで、パターンシフト量を補正することができる。この場合における設定や補正等についても、公知技術を利用して実現することが可能であることから、ここではその説明を省略する。
また、射影効果による他の一つの作用、すなわち(ハ)の要因によるウエハ上転写像の変形については、マスク上に斜めに入射する露光光により、マスクパターンからの回折光が非対称となり、かつ、マスクパターンにより反射光の一部が遮蔽され、その結果ウエハ上転写像のパターンコントラストが低下することによって引き起こる。そのため、射影効果によるウエハ上転写像の変形は、特に密集したレイアウトのパターンにおいて、より顕著に発生する。
このようなウエハ上転写像の変形についても、光近接効果による場合と同様に、マスクパターンを変形させる補正を行うことによって、そのウエハ上転写像の変形を解消することが考えられる。ところが、(ハ)の要因によるウエハ上転写像の変形は、斜め入射する極短紫外光をマスク面に射影した射影ベクトルとそのマスク面上におけるマスクパターンの構成辺とがなす角度や、マスクパターンの疎密の影響等によって、その変形量が異なってしまうため、非常に複雑なマスク上図形補正が必要になってしまい、必ずしも当該補正を容易に行えるとは限らない。
その一方で、マスク上に斜めに入射する露光光により、ウエハ上転写像の重心が非対称になることによるパターンエッジの位置のずれについては、線幅の許容ずれ量を予め小さい値に設定しておくことで、補正不要になる程度まで小さくすることが可能であると考えられる。つまり、(ハ)の要因によるウエハ上転写像の変形については、ウエハ上転写像の線幅に対する許容ずれ量を規定しておくことで、その変形をマスク上図形の補正を行うことで緩和することが不要な程度まで、小さく抑えることが可能となる。
ウエハ上転写像の線幅に対する許容ずれ量としては、入射光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とがなす角度の相違によって生じ得る転写像の線幅の差、例えば射影ベクトルに対して構成辺が直交するパターンについての線幅CDと射影ベクトルに対して構成辺が平行なパターンについての線幅CD//との差ΔCD=|CD//−CD|についての許容ずれ量ΔCDtoleranceと、転写像の線幅CDの所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCD=|CDdesign−CD|についての許容ずれ量ΔCD⊥toleranceと、が挙げられる。
ウエハ上転写像における線幅のずれ量、すなわち線幅差ΔCDおよび所望線幅からのずれ量ΔCDは、露光光である極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率と、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率との設定次第によって、適宜調整することが可能である。
一般に、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度は、その値が小さくなるほど、転写像の線幅ずれ量を小さく抑えられる傾向にある。ただし、極短紫外光の露光を行う露光装置を構成する上では、マスク表面に対する極短紫外光の入射角度が大きいほうが好ましい。また、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率は、その値が大きくなるほど、転写像の線幅ずれ量を小さく抑えられる傾向にある。また、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率は、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度が小さい(例えば6°程度)ときは、射影効果による影が小さくなるので、反射率の値が小さくなるほど、転写像の線幅ずれ量を小さく抑えられる傾向にあるが、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度が大きいときには、射影効果による影が大きくなるので、反射率の値が大きくなるほど、転写像の線幅ずれ量を小さく抑えられる傾向にある。
このように、入射角度、複素屈折率および反射率といった各パラメータは、転写像の線幅ずれ量との関係において、それぞれが異なった傾向を示す。したがって、各パラメータをそれぞれ個別に設定したのでは、必ずしも転写像の線幅ずれ量を適宜調整することができるとは限らない。入射角度、複素屈折率および反射率といった全パラメータを総合的に勘案して設定することで、転写像の線幅ずれ量を適宜調整することが可能となるのである。
このことから、本実施形態で説明する露光用マスクは、以下に述べるような手順を経て構成されることによって、斜め入射する極短紫外光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じるウエハ上転写像における線幅差ΔCDおよび所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCDが所望値ΔCDtolerance,ΔCD⊥toleranceよりも小さくなる関係を満たすように、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率と、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率とが設定されているのである。
次に、以上のような構成の露光用マスクを製造する際の手順、すなわち本発明に係るマスク製造方法について説明する。図1は、本発明に係るマスク製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。
図例のように、露光用マスクの製造にあたっては、その露光用マスクのマスクパターン形成に先立って、以下のような各工程を行う。
先ず、第1の工程として、所望線幅CDdesignを得るための光学条件の設定を行う(ステップ101、以下ステップを「S」と略す)。このときに設定する光学条件は、比較的疎なピッチのパターンについてのものとする。マスク上入射角度が大きく、かつ、パターンピッチの密なパターンのように、射影効果が顕著に表れる条件で光学条件を求めると、線幅のピッチ依存性のない光学条件を得ることが難しくなるためである。つまり、ここでは、線幅に対してパターンピッチ依存のない光学条件の設定を行う。なお、この光学条件の設定は、主に、使用する露光装置のスペックに基づいて行えばよい。
光学条件の設定後は、続いて、第2の工程として、複素屈折率の消衰係数の異なる吸収膜材料を用いて、吸収膜表面の反射率、マスク上入射角度を適宜変えることにより、その結果得られるウエハ上転写像の線幅CD//,CDを求める。これは、例えばシミュレーションによって行うことが考えられる。
そして、ウエハ上転写像の線幅CD//,CDを求めた後は、第3の工程として、斜め入射する極短紫外光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じるウエハ上転写像における線幅差ΔCDおよび所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCDと、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率、並びに、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率との対応関係を特定する(S102〜S108)。
さらに詳しくは、第3の工程では、所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCDについての許容ずれ量ΔCD⊥toleranceを決定する(S102)。この許容ずれ量ΔCD⊥toleranceは、例えば、所望線幅CDdesignの値に応じて、射影効果によるウエハ上転写像のパターンエッジの位置ずれについての補正が不要になる程度の大きさとすればよい。そして、許容ずれ量ΔCD⊥toleranceを決定したら、第2の工程で得た結果を用いて、直交入射に対する密なピッチパターンにおいて、吸収膜表面の反射率およびマスク入射角に対する所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCD=|CDdesign−CD|を求める(S103)。
また、第3の工程では、所望の転写像の線幅差の許容ずれ量ΔCDtolerance=|CD//−CD|を決定する(S104)。この許容ずれ量ΔCDtoleranceも、例えば、所望線幅CDdesignの値に応じて、射影効果によるウエハ上転写像のパターンエッジの位置ずれについての補正が不要になる程度の大きさとすればよい。許容ずれ量ΔCDtoleranceを決定したら、第2の工程で得た結果を用いて、吸収膜表面の反射率およびマスク入射角に対する転写像の線幅差ΔCD=|CD//−CD|を求める(S105)。そして、線幅差ΔCD≦許容ずれ量ΔCDtoleranceとなるように、マスクパターンにバイアス量CDbiasを付加する(S106)。ただし、このバイアス量CDbiasが大きいと、平行入射におけるマスク上パターンにおいてラインの幅が大きくなる。すなわち、ライン間のスペース幅が小さくなる。スペース幅が小さくなると、例えば密なパターンではマスク上で反射する光の光量が減少する。その結果、ウエハ上におけるパターンのコントラストが小さくなる。したがって、バイアス量CDbiasについては、その許容値CDbias-toleranceを求める(S107)。この許容値CDbias-toleranceは、所望線幅CDdesignの値やそのピッチの大きさ(ライン間のスペース幅)等に応じて決定すればよい。
その後、第3の工程では、(ΔCD≦ΔCD⊥tolerance)∪(CDbias≦CDbias-tolerance)となる極短紫外光のマスク表面に対する入射角度、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率、並びに、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率の範囲を求める(S108)。
このようにして、第3の工程では、ウエハ上転写像における線幅差ΔCDおよび所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCDと、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率、並びに、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率との対応関係を特定するのである。
その後は、特定した対応関係に基づいて、線幅差ΔCDおよび所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCDが所望値ΔCDtolerance,ΔCD⊥toleranceよりも小さくなる関係を満たすように、入射角度、複素屈折率および反射率の値を設定する。そして、その設定した値を用いた露光用マスクで露光を行った場合に、射影効果の影響によるウエハ上転写像の変形が抑えられているか否か、すなわちマスクパターンの構成辺を分割して行うような非常に複雑なマスク上図形補正が不要であるか否かを判断する(S109)。この判断は、例えばシミュレーションの結果を利用して行うことが考えられる。その結果、マスク上図形補正が必要となる場合には、上述した第3の工程に戻って許容ずれ量ΔCD⊥toleranceを緩和するように決定し直し(S102)、再び上述した各ステップを繰り返し行う(S102〜S109)。
また、マスク上図形補正が不要であれば、続いて、設定した反射率の値を、吸収膜の形成材料等から特定される反射率の許容値Rtoleranceと比較し、当該反射率の値が許容値Rtoleranceを満たすか否かを判断する(S110)。その結果、反射率の値が許容値Rtoleranceを満たしていれば、設定した入射角度、複素屈折率および反射率の値により露光マスクを形成して、一連の処理を終了する。
ただし、反射率の値が許容値Rtoleranceを満たしていなければ、マスクパターンの構成辺を分割するマスク上図形補正を行うことで(S111)、射影効果の影響によるウエハ上転写像の変形を抑えるようにする。
このときのマスク上図形補正は、例えば、露光用マスク上のマスクパターンからウエハ上転写像を得た場合における当該転写像のパターンエッジ位置の座標値Xwaferを求める工程と、露光用マスク上のマスクパターンのパターンエッジ位置に所定のずらし量+ΔXpmaskおよび−ΔXnmaskを付加し、当該付加後のマスクパターンから得られる転写像のパターンエッジ位置の座標値Xwafer+ΔXpwaferおよびXwafer−ΔXnwaferから、露光転写時のマスク倍率Mを考慮したマスク誤差因子MEEF(Mask Error Enhancement Factor)={M×(ΔXpwafer−ΔXnwafer)}/(ΔXpmask−ΔXnmask)を求める工程と、ウエハ上における所望の転写像のパターンエッジ位置の座標値Xnowaferに対するマスク上補正値Cを、ウエハ上転写像におけるパターンエッジ位置の座標値Xwaferとマスク誤差因子MEEF=|{M×(ΔXpwafer−ΔXnwafer)}/(ΔXpmask−ΔXnmask)|とに基づいて求める工程と、マスク上補正値Cが露光用マスク上における補正可能グリッドサイズGに対してC≦G×MEEFであるか否かを判定する工程とを含み、当該工程にてC≦G×MEEFでないと判定した場合には、マスク上補正値Cにより露光用マスク上のマスクパターンのパターンエッジ位置を補正した後に再び上記の各工程を行い、C≦G×MEEFとなるまで繰り返すようにして行うことが考えられる。このようにすれば、ウエハ上の転写像におけるパターンエッジ位置のずれが、露光用マスク上における補正可能グリッドサイズGとマスク誤差因子MEEFとから求められる補正誤差の最大値よりも小さくなるように、露光用マスク上のマスクパターンに対するマスク上補正値Cを決定する。そして、そのマスク上補正値Cにより露光用マスク上のマスクパターンのパターンエッジ位置を補正する。したがって、パターンエッジ位置別にマスクパターンの補正が行われることになるので、例えば斜め入射光の射影効果による影響でウエハ上転写像における各パターンエッジのずれ量がそれぞれ異なったり、またこれによりウエハ上転写像の重心位置にずれが生じたりする場合であっても、これらのずれ量を適切に補正し得るようになる。
なお、ここで説明した一連の処理は、コンピュータとしての機能を有する情報処理装置が、所定の情報処理プログラムを実行することによって具現化することが考えられる。この場合、当該情報処理装置には、マスクパターンの形状に関するデータやウエハ上転写像の線幅に関するデータ等が、情報入力装置を介して入力されるものとする。ただし、これらの情報のうちの一部は、外部から入力されるものではなく、情報処理装置が行うシミュレーションによって求めたものであってもよい。また、このような一連の処理を具現化するための情報処理プログラムは、予め情報処理装置にインストールしておくことが考えられるが、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されて提供されるものであっても、または有線若しくは無線による通信手段を介して配信されるものであってもよい。
以上に説明したマスク製造方法によって得られる露光用マスクによれば、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率と、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率とが、ウエハ上転写像における線幅差ΔCDおよび所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCDが所望値ΔCDtolerance,ΔCD⊥toleranceよりも小さくなるように設定されている。すなわち、設定された複素屈折率となるように吸収膜およびバッファ膜の形成材料が選択され、設定された反射率となるように吸収膜の形成材料および膜厚が選択され、さらには設定された入射角度となるようにマスク使用条件が選択される。
したがって、設定された入射角度、複素屈折率および反射率の全てを満足する露光用マスクを用いれば、極短紫外光がマスク表面に対して斜め入射し、その極短紫外光の射影ベクトルとマスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なる場合であっても、転写像における線幅差ΔCDおよび所望線幅CDdesignからのずれ量ΔCDが所望値ΔCDtolerance,ΔCD⊥toleranceよりも小さくなるので、マスクパターンに対する複雑なマスク上図形補正を施さなくても、射影効果によるウエハ上転写像の変形が所望値内、すなわち許容量内に収まることになる。
つまり、上述したマスク製造方法を経て得られる露光用マスクでは、マスク面上に斜めに入射する極短紫外光を用いるべく、反射型の露光用マスクを構成する場合であっても、射影効果によるウエハ上転写像の変形を許容量内に収めることができ、これによりリソグラフィ工程を経て得られる半導体装置の性能向上を図ることができるようになる。
次に、以上に説明したマスク製造方法の手順を、具体例を挙げてさらに詳しく説明する。
〔第1の工程〕
先ず、上述した一連の処理のうちの第1の工程について詳しく説明する。
第1の工程では、線幅に対してパターンピッチ依存のない光学条件を求める。線幅に対してパターンピッチ依存のない光学条件は、配線レイヤーの配線パターン形成や、ゲートレイヤーのメモリー素子およびメモリー素子の周辺回路の形成に必要である。ここでは、ウエハ上22nm幅パターンを形成するために、投影レンズの開口数NA=0.3および光源の大きさσ=0.90の条件を用いる。線幅のピッチ依存性のない光学条件は、マスク上入射角度が小さい、すなわち射影効果の小さな条件で求める。射影効果は、マスク上入射角度が大きくかつパターンピッチの密なパターンに対して顕著に表れるため、マスク上入射角度の大きな条件で光学条件を求めると、線幅のピッチ依存性のない光学条件を得ることが難しくなるためである。
図2は、吸収膜として43nm厚のTa膜、バッファ膜として21nm厚のCr膜を備えてなる露光用マスクを用いて、マスク上入射角度4.8°の条件で求めたウエハ上線幅のピッチ依存性の具体例を示す説明図である。直交入射と平行入射において、マスク上パターン幅を等しくすると、ウエハ上において平行入射に対する線幅が直交入射に対する線幅よりも小さくなる。したがって、ウエハ上で平行入射に対する線幅が直交入射に対する線幅と等しくしくなるように、平行入射のほうには、マスク上パターンに正のバイアスが付加されている。図2の例は、投影レンズの開口数NA=0.3および光源の大きさσ=0.90の条件の場合であるが、ラインパターンに対する線幅が、12nmのピッチから48nmのピッチに対応するレイアウトまで、22nm±0.5nmの範囲内で得られていることがわかる。
〔第2の工程〕
続いて、第2の工程について詳しく説明する。
第2の工程では、複素屈折率の消衰係数の異なる吸収膜材料を用いて、吸収膜表面の反射率、マスク上入射角度を適宜変えることにより、ウエハ上転写像の線幅を求める。ある特定の消衰係数を持つ吸収膜表面の反射率は、膜厚を適宜変えることで得ることができる。
図3は、マスク上入射角度が、5.50°、6.61°および7.71°の場合において、吸収膜材料の膜厚に対して、マスク上入射光が直交入射である場合の、ウエハ上における線幅を求めた結果の具体例を示す説明図である。ウエハ上における線幅は、4倍マスク上パターンにおけるラインの線幅が88nm(ウエハ上では22nm)で、かつ、ピッチが176nm(ウエハ上では44nm)におけるパターンに対して求めたものである。また、露光量は、4倍マスク上パターンにおけるラインの線幅が88nmで、かつ、ピッチが352nmのパターンで、ウエハ上における線幅が22nmとなるように設定している。したがって、図3における線幅は、比較的疎な4倍マスク上196nmのピッチのパターンに対してウエハ上で22nmを与える露光量を用いて、密なレイアウトのパターンを露光した場合のものである。
図2から明らかなように、4倍マスク上パターンにおけるラインの線幅が88nm(ウエハ上では22nm)で、かつ、ピッチが352nm(ウエハ上では88nm)におけるパターンの露光量は、ピッチ48nmよりも大きなピッチのレイアウトに対して全て用いることができる。さらには、その露光量を用いて、ピッチが88nm(ウエハ上では22nm)におけるパターンに対し、射影効果の影響が小さく、かつ、所望の線幅からのずれ量を規定値よりも小さい条件を求めていくわけである。
また、図3には、消衰係数の異なる4種類の吸収膜材料の場合を示している。図3から、密なレイアウトにおいて所望の線幅からのずれ量が、吸収層膜厚の増大、入射角度の増大および消衰係数の減少の条件で拡大することがわかる。
さらに、第2の工程では、消衰係数の異なる4種類の吸収膜材料について、各吸収膜の膜厚に対して、吸収膜表面における露光半値幅中心波長である13.5nmにおける反射率を求める。反射率は、吸収膜表面に対して求めている。ここでの反射率は、TE(transverse electric)偏光による反射率とTM(transverse magnetic)偏光による反射率のそれぞれを平均したものである。
反射率の具体例を図4に示す。反射率は、13.5nmの波長の光は吸収膜の中で多重干渉するために、吸収膜の膜厚ともに極小値と極大値を繰り返しながら、膜厚の増大とともに減少する。図4における反射率は、極小値に対して求めたものである。
〔第3の工程〕
続いて、第3の工程について詳しく説明する。
第3の工程では、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率、並びに、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率の範囲を求める。このとき、図4に示したように吸収膜材料の膜厚に対する反射率が得られたので、図3における線幅と膜厚の関係を線幅と反射率の関係に置き換える。具体的には、例えば、4倍マスク上パターンにおけるラインの線幅が88nmで、かつ、ピッチが4倍マスク上で176nmにおけるパターンに対して求めたウエハ上における線幅から、所望の線幅である22nmとの差を求め、これを所望の線幅からのずれ量とする。そして、所望の線幅からのずれ量を反射率に対してプロットし、第2の工程で求めたウエハ上転写線幅が許容ずれ量以下になるための、極短紫外光の入射角度と、マスク上吸収膜の複素屈折率と、マスク上吸収膜の反射率との範囲を求めるようにする。
図5は、所望の線幅からのずれ量を反射率に対してプロットした具体例を示す説明図である。所望の線幅からのずれ量は、反射率の減少、入射角度の増大および消衰係数の減少の条件で拡大することがわかる。これは、ある特定の消衰係数を持つ実際の材料においては、反射率の増加により膜厚が増加することで射影効果が大きくなるために、所望の線幅からの乖離が大きくなることを意味する。また、消衰係数が小さくなると、遮光するために必要な吸収膜の膜厚が大きくなるために射影効果が大きくなり、所望の線幅からの乖離が大きくなることを意味する。さらに入射角度の増大は射影効果を増大させる。
所望の線幅からのずれ量を1nm以下に制御する場合を例に取ると、図5から、所望の線幅からのずれ量を1nmになる反射率を各条件に対して求めれば良い。
図6は、所望の線幅からのずれ量が1nmになる反射率をマスク上入射角度に対して求めた具体例を示す説明図である。この図から、マスク上入射角が与えられたときに、ウエハ上22nmの線幅に対して密なパターンの所望の線幅からのずれ量を1nm以下にするための吸収膜表面の反射率が得られる。反射率が得られると吸収膜材料の消衰係数から、必要とされる吸収膜の膜厚を求めることができる。吸収膜の膜厚は、図7に示された値以下に薄くされていれば良い。
あるいは、マスク上吸収膜に必要とされる反射率が与えられた時に、ウエハ上22nmの線幅に対して密なパターンの所望の線幅からのずれ量を1nm以下にするためのマスク上入射角度が得られる。例として、マスク上吸収膜に必要とされる反射率を、多層膜反射率に対して2%、1%および0.5%である場合のマスク上入射角度を図7に示す。マスク入射角度は、図7に示された値以下であれば良い。ここで、マスク上吸収膜に必要とされる反射率を、多層膜反射率に対して2%、1%および0.5%である場合の実際の吸収膜表面における反射率は、多層膜反射率は70%程度であることから、それぞれ1.40%、0.70%および0.35%になる。露光装置において、マスク上入射角度は、NA=0.30の場合、4.30°よりも大きな入射角を持ってマスク上に入射することが必要であり、さらに投影レンズの波面収差を低減するには入射角度はできるだけ大きいことが望ましい。例えば入射角度が6°以上必要とされる場合、マスク上吸収膜に必要とされる反射率を多層膜反射率に対して1%の場合においては、消衰係数は0.031以上である必要がある。一方で、例えば入射角度が6°以上必要とされる場合、消衰係数が0.04の材料を用いた場合は、マスク上吸収膜に必要とされる反射率は多層膜反射率に対して0.68%以上である必要がある。
ところで、吸収膜表面における反射率とマスク上入射角度が決定されると、平行入射における4倍マスク上パターンの線幅に対するバイアス量を得ることができる。本実施例においては、直交入射における4倍マスク上パターン線幅を88nmに固定し、平行入射におけるマスク上パターンに正のバイアス量を付加する。
図8は、平行入射における4倍マスク上パターン線幅に対するバイアス量を、反射率に対して示したものである。例えば平行入射における4倍マスク上におけるバイアス量が10nmの場合は、そのマスク上パターン線幅は98nmになる。また、例えば6.61°のマスク上入射角度において、k=0.025の場合に密なパターンの所望の線幅からのずれ量を1nm以下にするには、図6から吸収膜表面の反射率を2.1%以上にする必要があるため、この場合のバイアス量は図8から13nmであることがわかる。なお、比較的疎なレイアウトのパターンにおいてバイアス量はピッチに依存せず一定値を取ることから、バイアス量は4倍マスク上でピッチ352nmのパターンに対して求め、これを各ピッチにおけるバイアス量に用いている。
マスク上バイアス量が大きいと、平行入射におけるマスク上パターンにおいてラインの幅が大きくなる。すなわち、スペースの幅が小さくなる。スペース幅が小さくなると、例えばピッチ176nmのような密なパターンでは、スペース幅がバイアス量の増加に従って小さくなるため、マスク上で反射する光の考量が減少する。その結果、ウエハ上におけるパターンのコントラストが小さくなる。したがって、平行入射におけるマスク上ラインパターンに対するバイアス量は小さいほうが良い。図8から、バイアス量は反射率の増大、入射角度の減少および消衰係数の増大の条件で小さくなる。
図9は、4倍マスク上におけるバイアス量が8nmを許容値とした場合の反射率とマスク上入射角度の関係の具体例を示す説明図である。図6のウエハ上における所望の線幅からのずれ量1nmの許容値と、図8の4倍マスク上における許容バイアス量8nmから、反射率とマスク上入射角の許容範囲を求めても良い。
〔第1〜第3の工程の適用例〕
具体的には、吸収膜としてのTa膜と、バッファ膜としてのCr膜と、を備えてなる2層構造の露光用マスクについてであれば、図6における関係から、ウエハ上22nmの線幅に対して密なパターンの所望の線幅からのずれ量を1nm以下にするためのマスク上入射角を求める。例えば、以下の構成1〜3の三種類のTa膜とCr層の膜厚が異なる構成について適用することを考える。
構成1:Cr膜厚21nmおよびTa膜厚29nm、Ta膜表面における反射率1.14%
構成2:Cr膜厚21nmおよびTa膜厚36nm、Ta膜表面における反射率0.62%
構成3:Cr膜厚21nmおよびTa膜厚43nm、Ta膜表面における反射率0.35%
CrおよびTaの消衰係数は、いずれも0.04である。ウエハ上22nmの線幅に対して密なパターンの所望の線幅からのずれ量を1nm以下にするためのマスク上入射角は、構成1において6.7°、構成2において6.2°および構成3において5.8°である。
ところで、上述した第1〜第3の工程は、単純なラインパターンのレイアウトに対して行ったものである。
ただし、実際にマスク上に形成されるマスクパターンは、単純なラインパターンであるとは限らない。図10は、実際のパターンの形状の一つであるT字形状パターンの例を示す説明図である。T字形状パターンは、図中の破線で囲まれたレイアウトが多数回繰り返されているもので、説明上、点線部分を拡大した図でもってパターン寸法を示している。また、平行入射に相当する辺に対して、マスク上パターンにバイアスが付加されている。
このようなT字形状パターンであっても、上述した第1〜第3の工程を適用してライン幅を求めることができる。
図10に示すパターン座標に従いつつ、ラインパターンの線幅をプロットしたのが図11である。図例においても、反射率が小さいほど射影効果が大きくなり、所望の線幅である22nmからのずれ量が大きくなることがわかる。また、入射角度が大きいほど所望の線幅である22nmからのずれ量が大きくなることがわかる。
図12は、図10に示すパターン座標の原点X0における線幅、すなわち所望の線幅である22nmからのずれ量の最大値とマスク上入射角度をプロットした具体例の説明図である。線幅のずれ量が1nm以下になるための最大の入射角度は、構成1において6.5°、構成2において6.0°および構成3において6.0°である。実際のパターンにおいても、第1〜第3の工程で見積もられた線幅のずれ量が1nm以下になるための最大の入射角度と比較して、4.5%以内の誤差で成り立っている。すなわち、これら条件で、射影効果に起因するマスク上図形補正が不要となる。
そして、上記条件でマスクを作製し露光したところ、射影効果に起因するマスク上図形補正を行うことなく、良好に半導体装置を作製できることが確認された。
以上のように、第1〜第3の工程を経て、極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、吸収膜およびバッファ膜の複素屈折率と、吸収膜の表面における極短紫外光の反射率とを、ウエハ上転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量が所望値よりも小さくなるように設定すれば、マスク上図形補正をバイアス補正のみとし、射影効果に起因する複雑な図形補正を不要とすることが可能となり、その結果、リソグラフィ工程を経て得られる半導体装置の性能向上を図ることができるようになるのである。
本発明に係るマスク製造方法の手順の一例を示すフローチャートである。 吸収膜として43nm厚のTa膜、バッファ膜として21nm厚のCr膜を備えてなる露光用マスクを用いて、マスク上入射角度4.8°の条件で求めたウエハ上線幅のピッチ依存性の具体例を示す説明図である。 ウエハ上線幅と膜厚の関係を、吸収膜の消衰係数0.025、0.030、0.035および0.040、および入射角度5.50°、6.61°および7.71°の各条件で示す説明図である。 吸収膜表面の反射率と膜厚の関係を、吸収膜の消衰係数0.025、0.030、0.035および0.040、および入射角度5.50°、6.61°および7.71°の各条件で示す説明図である。 ウエハ上における所望の線幅からのずれ量と吸収膜表面の反射率との関係を、消衰係数0.025、0.030、0.035および0.040、および入射角度5.50°、6.61°および7.71°の各条件で示す説明図である。 ウエハ上における所望の線幅からのずれ量が1nmである場合の、吸収膜表面の反射率とマスク上入射角度の関係を、吸収膜の消衰係数0.025、0.030、0.035および0.040の各条件で示す説明図である。 ウエハ上における所望の線幅からのずれ量が1nmである場合の、マスク上入射角度と吸収膜の消衰係数との関係を示す説明図である。 平行入射のレイアウトに対する4倍マスク上バイアス値と吸収膜表面の反射率との関係を、消衰係数0.025、0.030、0.035および0.040、および入射角度5.50°、6.61°および7.71°の各条件で示す説明図である。 4倍マスク上パターンに対するバイアス量が8nmである場合の、吸収膜表面の反射率とマスク上入射角度の関係を、吸収膜の消衰係数0.025、0.030、0.035および0.040の各条件で示す説明図である。 露光用マスク上のマスクパターン形状の一つであるT字形状パターンの例を示す説明図である。 T字形状パターンの線幅の一具体例を示す説明図である。 T字形状パターンにおける線幅の所望の値からのずれ量とマスク上入射角度との関係の具体例を示す説明図である。 入射光のマスク面上の射影ベクトルとパターンレイアウトとの関係の具体例を示す説明図である。

Claims (2)

  1. 極短紫外光の反射作用を有するマスクブランクス膜と、当該マスクブランクス膜上にパターニングされて前記極短紫外光を吸収する吸収膜と、前記マスクブランクス膜と前記吸収膜との間に配されたバッファ膜とを備えてなり、前記極短紫外光を反射することで前記吸収膜によって形成されるマスクパターンに応じた形状の転写像をウエハ上へ露光転写する露光用マスクであって、
    マスク表面へ斜め入射する前記極短紫外光を当該マスク表面に射影した射影ベクトルと前記マスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じる前記転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量が所望値よりも小さくなる関係を満たすように、前記極短紫外光のマスク表面に対する入射角度と、前記吸収膜および前記バッファ膜の複素屈折率と、前記吸収膜の表面における前記極短紫外光の反射率とが設定されている
    ことを特徴とする露光用マスク。
  2. 極短紫外光の反射作用を有するマスクブランクス膜と、当該マスクブランクス膜上にパターニングされて前記極短紫外光を吸収する吸収膜と、前記マスクブランクス膜と前記吸収膜との間に配されたバッファ膜とを備えてなり、前記極短紫外光を反射することで前記吸収膜によって形成されるマスクパターンに応じた形状の転写像をウエハ上へ露光転写する露光用マスクを製造するためのマスク製造方法であって、
    マスク表面へ斜め入射する前記極短紫外光を当該マスク表面に射影した射影ベクトルと前記マスクパターンの構成辺とのなす角度が当該構成辺別に異なることに起因して生じる前記転写像における線幅差および所望線幅からのずれ量と、前記極短紫外光のマスク表面に対する入射角度、前記吸収膜および前記バッファ膜の複素屈折率、並びに、前記吸収膜の表面における前記極短紫外光の反射率との対応関係を特定し、
    特定した対応関係に基づいて、前記線幅差および前記ずれ量が所望値よりも小さくなる関係を満たすように、前記入射角度、前記複素屈折率および前記反射率の値を設定する
    ことを特徴とするマスク製造方法。
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