JP2005098702A - 生物組織試料作製方法および器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】形態学的に細胞が安定に保たれた生物組織薄切試料を作製する方法および器具の提供。
【解決手段】同じ形状の刃をもつ複数の刃物11を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持部材13で保持して成る組み合わせ刃物を用いて、生物組織ブロックを切断する。刃物11はセラミックで構成する。押し出し部材12を刃物11の間に挿入して、切断された生物組織薄片を刃物11の間から押し出す。
【選択図】 図3
【解決手段】同じ形状の刃をもつ複数の刃物11を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持部材13で保持して成る組み合わせ刃物を用いて、生物組織ブロックを切断する。刃物11はセラミックで構成する。押し出し部材12を刃物11の間に挿入して、切断された生物組織薄片を刃物11の間から押し出す。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は生物組織薄切試料を作製する方法およびそのために用いる器具に関するものである。特に、細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるような生物組織薄切試料の作製方法およびそのために用いる器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
生物組織薄切試料を作製するため、同じ直線または曲線形状の刃を持つ、4枚以上の板状刃物を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように固定した組み合わせ刃物を用いて、生物組織ブロックを所定の厚さに切って、生物組織薄片を得、刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの、平行に固定された平板状の押し出し部材を、刃物の間隙にそれぞれ挿入して、刃物の間隙から生物組織薄片を押し出す方法およびそのための器具が、特開平7−号に開示されている。この方法により、氷点付近に保たれた生物組織からその薄切試料を作製することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、刃物として剃刀用の鋼ブレードを用いてこの方法により作製した生物組織薄切試料は、室温で緩衝液中に20分程度置いたとき、切断面から約0.1mmの深さまでの細胞の一部に核濃縮を生じ、さらに培養液中で1時間近く経過すると、この部分の細胞は活性が失う。
【0004】
生物組織の生物活性についての実験を可能にするためには、常温緩衝液中で少なくとも1時間は、細胞死はもとより核濃縮を生ずることなく、少なくとも形態学的に細胞が安定に、すなわち微細構造体および半透性膜構造が正常の状態に、保たれなければならない。
【0005】
細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるような生物組織薄切試料の作製方法の実現が切望されていた。
【0006】
本発明の目的は、細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるような生物組織薄切試料の作製方法の実現にある。本発明の他の目的は、細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるように、生物組織薄切試料を作製するための器具の実現にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、セラミックで構成され同じ直線または曲線形状の刃を持つ、2枚以上の板状の刃物を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持した組み合わせ刃物を用いて、生物組織ブロックを所定の厚さに切って、生物組織薄片を得、刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの押し出し部材を、刃物の間隙にそれぞれ挿入して、刃物の間から生物組織薄片を押し出すことから成る生物組織試料作製方法により、達成された。
【0008】
本発明の上記目的は、また、セラミックで構成され、同じ直線または曲線形状の刃を持つ、2枚以上の板状の刃物と、これらの刃物を互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持する刃物保持部材と、刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの押し出し部材とを具え、刃物保持部材により刃物は、その間に各押し出し部材を挿入できるような所定の間隔で互いに平行に保持(固定を含む)され、押し出し部材は、それぞれ刃物の間に滑らかに挿入できるような所定の間隔で保持され、押し出し部材が刃物の間に各々挿入されるように構成されたことを特徴とする、生物組織薄切試料作製器具により、達成された。
【0009】
板状刃物を構成するセラミックとして、ジルコニアセラミック等が適する。例えば、エヌティー株式会社の同種セラミックを用いることができる。
【0010】
板状の刃物(以下、ブレードという)は2枚以上何枚でもよいが、ある程度枚数が多い方が(例えば4枚)均一な厚さの薄片が得られる。ブレードの寸法は、薄切する対象物の寸法に依存し、特に制限はないが、刃幅(刃に垂直の方向)は2ないし15mm、刃の長さは10ないし300mmである。ブレードの厚さは、通常0.05ないし1mmであるが、0.4mm未満とすることが好ましい。ブレードの厚さが大きいと、組織の損傷が大きくなるからである。ブレードの厚さの最小限度は、機械的強度の点より自ずから決まり、通常0.05mmが限度である。複数のブレードの刃の方向(接線)は互いに平行とする。刃は刃物の片面のみに付けてもよく、両面に付してもよい。
【0011】
刃の形は直線状、曲線状(例えば円弧)いずれでもよいが、円弧状とすることが好ましい。さらに、円弧状の刃をもつ刃物がその面に沿って回転するように、刃物をその面に垂直な共通の軸の回りに回転できるように保持することが好ましい。特に、刃物を円周上に刃をもつ円盤状とし、共通の軸の回りに回転させる構造が好ましい。回転運動は往復運動でもよいが、一方向に連続または断続回転してもよく、回転速度は毎分10ないし60回転程度が適当である。
【0012】
各ブレードの刃が、ブレードに垂直な一つの面内に位置するのが好ましいが、刃先がブレード面の方向にずれて(雁行して)もよい。ブレードの間隔は、薄片の望みの厚さにより決まるが、通常0.2ないし5mmである。組織が特に柔かい場合にはブレードの間隔を広くする必要があり、例えば、脳の場合0.8mm以上とするのが好ましい。
【0013】
押し出し部材は各々ブレードの間に容易に挿入され、かつ薄片をなるべく変形しないように押し出すことができなければならない。従って、ブレードの間隔より若干小さい厚みとするが、通常0.15ないし4.9mmである。押し出し部材の幅も、ブレードの刃渡りより若干小さい寸法とするが、通常8ないし250mmである。押し出し部材の長さ(ブレードの刃に垂直の方向)は、薄片を完全に押し出すことができるよう、ブレードの幅より若干大きく、通常5ないし60mmとする。
【0014】
押し出し部材は組織材料により錆を生じたり、腐食されたりしない、また組織の生物的特性や機能に影響を与えない材料で構成されることが望ましい。電導性の低いプラスチック、ガラス、セラミック等を用いることができる。刃物保持部材や押し出し部材保持部材も、組織材料と接触する可能性があるので、同様な材質とすることが好ましい。
【0015】
薄片は、ブレードの刃の方から押し出してもよいし、刃と反対の方から押し出してもよい。刃の方向から試料薄片を押し出す場合、薄片は刃物の間を通過することになる。刃物が円盤状である場合、この方が有利である。刃物を固定し、押し出し部材を動かしてもよいが、特に刃物が円盤状である場合、押し出し部材を固定して、試料固定部材を兼ねさせ、刃物の方を移動させて切断、押し出しを行ってもよい。
【0016】
ブレードにより作製された生物組織薄切片は、押し出し部材によりブレードの間から押し出し、冷水中に浮遊させる。薄切および押し出しの操作は、組み合わせ刃物を冷水中に浸し、器具の周囲を氷、保冷材等で低温に保ちながら行うことが好ましい。
【0017】
本発明の方法及び器具は、切断による影響なく、組織ブロックから生物活性を保った組織薄片を短時間に多数得ることができる。
【0018】
本発明では、セラミックで構成され同じ直線または曲線形状の刃を持つ、2枚以上の板状の刃物を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように固定した組み合わせ刃物を用いる。この組み合わせ刃物を用いて組織ブロックを押し切ると、ブレードの間隔に応じた厚さで、ブレードの数に応じた複数の組織薄片がブロックから一挙に切り取られ、薄片は一旦ブレードの間に位置する。各ブレードの間に挿入できる厚さをもち、互いに平行に固定された押し出し部材は、各ブレードの間に挿入することができる。この押し出し部材をブレードの間に挿入すると、ブレードの間に入っている薄片は押し出される。排出された薄片は、ブレードの間隔にほぼ等しい厚さを有する。すなわち、ブレードの間隔に対応した厚さの組織薄片が得られる。
【0019】
ブレードはセラミックで構成されているので、切断された組織試料の切断面付近の約100ミクロンの層の損傷が少なく、組織薄片は正常に近い生物活性を有する。これは、ブレードがステンレス鋼などの電気良導体で成る場合に、切断面の細胞の正電位が失われるのに対し、ブレードがセラミックで構成される場合には、この電位が保たれるからであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に用いる組み合わせ刃物を示す。
図1Aは平面図、図1Bは正面図、図1Cは切断線X−Xに沿った断面図である。組み合わせ刃物は、各々同じ直線形状の刃を持つ5枚のブレード1と、ブレード1を互いに平行に固定するブレード保持部材3から成る。ブレード1の間には押し出し板2を設け、押し出し板2は押し出し板保持部材4により互いに平行に固定されている。ブレード1は、ブレード保持部材3により一定の間隔で互いに平行に、そして刃も平行になるように固定されている。ブレード保持部材3で連結された5枚のブレード1が組み合わせ刃物を構成する。ブレード1および押し出し板2の間隔は、押し出し板2がブレード1に接しながらその間に挿入されるような間隔にしてある。ブレード1の間隙に挿入された押し出し板2は、図中矢印の方向に移動することができ、図中鎖線で示す位置まで達する。
【0021】
ブレード1は厚さ0.25mmのジルコニアセラミックから成る。押し出し板2は厚さ約1.9mmのプラスチック製である。ブレード保持部材3の厚さ、従ってブレード1の間隙は、約2mmである。
【0022】
ブレード1とブレード固定部材3から成る組み合わせ刃物を用いて生物組織ブロックを押し切ると、ブレード1の間隔に応じた厚さで、ブレード1の数に応じた複数の組織薄片がブロックから一挙に切り取られる。薄片は一旦ブレード1の間隙に位置するが、押し出し板2を挿入し、図中矢印の方向に押し進めると、薄片は組み合わせ刃物の外に押し出される。その厚さは、ブレード1の間隔にほぼ等しい。こうしてブレード1の間隔に対応した厚さの4枚の組織薄片が一挙に得られる。ブロックの残りを同様の操作で切断すれば、多数の組織薄片が短時間で得られる。得られた組織薄片は、表面層を含めて生物活性を保持している。
【0023】
図2、図3、および図4は、本発明の生物組織薄切試料作製器具を示す。
図2A,2B,2Cは立面図、図3は図2Aの状態における平面図、図4は側面図である。組み合わせ刃物は、各々円周上に刃を持つ5枚の円盤状ブレード11と、円盤状ブレード11を互いに平行かつ回転自在に保持するブレード支持軸13とから成る。円盤状ブレード11は、ブレード支持軸13により一定の間隔で互いに平行に固定され、ブレード支持軸13で連結された5枚の円盤状ブレード11が組み合わせ刃物を構成している。
【0024】
切断すべき生物組織試料を固定するための試料搬送台12は、平坦部12a,12c,12eと突起部12b,12dを有し、突起部12b,12d及び平坦部12cには、円盤状ブレード11が通過できる間隔の平行な溝14を設けてある。突起部12bと同12dの間の平坦部12cは組織試料を固定するための凹部を形成し、突起部12b,12d及び平坦部12cの、溝14の間の部分は、円盤状ブレード11の間に僅かな間隙をもって挿入される。試料搬送台12は、円盤状ブレード11が溝14を通過することにより、図中矢印の方向に移動することができる。
【0025】
ブレード11は厚さ0.25mmのジルコニアセラミックから成り、円周上の両面に刃が付けられている。試料搬送台12はプラスチック製である。円盤状ブレード11の間隙は、約2mmである。
【0026】
試料搬送台12の突起部12b、12dと平坦部12cに囲まれた凹部に生物組織ブロックを固定し、ブレード支持軸13で支持された円盤状ブレード11を時計回りに回転させながら、試料搬送台12を一定速度で矢印方向に移動させて、生物組織ブロックを押し切ると、ブレード11の間隔に応じた厚さで、ブレード11の数に応じた複数の組織薄片がブロックから一挙に切り取られる。組織薄片は一旦ブレード11の間隙に位置するが、試料搬送台12が移動(図中矢印の方向)するにつれ、突起部12dによりブレード11の円周外に押し出される。その厚さは円盤状ブレード11の間隔にほぼ等しい。こうしてブレードの間隔に対応した厚さの4枚の組織薄片が一挙に得られる。新たなブロックを同様の操作で切断すれば、表面層を含めて生物活性を保持した多数の組織薄片が短時間で得られる。
【0027】
図5(A,B,C)は、本発明に用いる生物組織薄切試料作製器具を示す。
図5A,5B,5Cはそれぞれ三つの状態における平面図である。組み合わせ刃物の構造は図2のものと同じであるが、円盤状ブレード21は、回転しつつ、試料固定具22に沿って矢印の方向に所定の速度で移動できる。
【0028】
切断すべき生物組織試料を固定するための試料固定台22は、試料搬送台12と同様に、平坦部22a,22c,22e、突起部22b,22d、溝24を有する。突起部22bと22dの間の平坦部22cは組織試料を固定するための凹部を形成する。円盤状ブレード21は、この凹部を囲む突起部22b,22d及び平坦部22cに刻まれた溝24に、僅かな間隙をもって挿入される。
【0029】
試料固定台22の突起部22b、22dと平坦部22cに囲まれた凹部に、生物組織ブロックを固定し、ブレード支持軸23で支持された円盤状ブレード21を、時計回りに回転させながら一定速度で矢印方向に移動させて、生物組織ブロックを押し切ると、ブレード21の間隔に応じた厚さで、ブレード21の数に応じた複数の組織薄片が、ブロックから一挙に切り取られる。組織薄片は一旦ブレード21の間隙に位置するが、円盤状ブレード21がさらに移動(図中矢印方向)した後は、試料固定台22の凹部に留まって、ブレード21の円周外に抜け出す。その厚さは円盤状ブレード21の間隔にほぼ等しい。こうしてブレードの間隔に対応した厚さの4枚の組織薄片が一挙に得られる。新たなブロックを同様の操作で切断すれば、表面層を含めて生物活性を保持した多数の組織薄片が短時間で得られる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により本発明の効果を示す。説明の都合上、実施例の記述に先立ち、比較例とその結果を示す。
[比較例]
図1のブレード1として、厚さ0.3mmのステンレス鋼製剃刀を用い、図1の器具を用いてラットの脳の組織の薄片(厚さ2mm)を作製した。薄片を20分間、温度20℃のkrebs−Ringer緩衝液中に置いた後、光学顕微鏡切片を常法により作製し、顕微鏡観察したところ、切断面から0.1mmの深さまでの大部分の細胞で、核濃縮が認められた。緩衝液中で60分経過した後には全ての細胞が死んでいた。
【0031】
[実施例1]
図1のブレード1として、エヌティー株式会社の販売する厚さ0.25mmのジルコニアセラミック製ブレードを用い、図1の器具を用いてラットの脳の組織の薄片(厚さ2mm)を作製した。薄片を20分間、温度20℃のKrebs−Ringer緩衝液中に置いた後、光学顕微鏡切片を常法により作製し、顕微鏡観察したところ、切断面から0.1mmの深さまでの細胞で、核濃縮が認められるものは少数であった。さらに深部の細胞像も異常は認められなかった。
【0032】
緩衝液中で60分経過した薄片を、組織培養液中で125I−NaIのトレーサ量を加えて温度22℃で1時間培養した。薄片の深さ全体にわたって、培養液が浸透していると判断され、細胞の異常は認められなかった。
【0033】
【実施例2】
図2(A,B,C)のブレード11として、半径30mm、厚さ0.25mmのジルコニアセラミック製ブレード(エヌティー株式会社)を用い、図2(A,B,C)の器具を用いてラットの脳の組織の薄片(厚さ2mm)を作製した。薄片を20分間、温度20℃のKrebs−Ringer緩衝液中に置いた後、常法により光学顕微鏡切片を作製し、顕微鏡観察したところ、切断面から0.1mmまでの深さで核濃縮が認められる細胞は実施例1よりさらに少なかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の方法によると、比較的長時間の培養に対してもなお、形態学的に細胞が充分安定に保たれた生物組織薄切試料を、作製することができる。また、本発明の器具により、細胞が形態学的に安定に保たれた生物組織薄切試料を、作製することができる。これは、特開平7−218398号の方法又は器具において、セラミックから成る刃物を用いることにより、組織切断面の細胞の損傷が防止されたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる組み合わせ刃物の平面図(図1A)、正面図(図1B)および断面図(図1C)。
【図2】図2A、図2B、図2Cは本発明の生物組織薄切試料作製器具の立面図。
【図3】本発明の生物組織薄切試料作製器具の平面図。
【図4】本発明の生物組織薄切試料作製器具の側面図。
【図5】図5A、図5B、図5Cは本発明の生物組織薄切試料作製器具の立面図。
【符号の説明】
1 ブレード
2 押し出し板
3 ブレード保持部材
4 押し出し板保持部材
11 円盤状ブレード
12 試料搬送台
12a,12c,12e 平坦部
12b,12d 突起部
13 ブレード支持軸
14 溝
21 円盤状ブレード
22 試料固定台
22a,22c,22e 平坦部
22b,22d 突起部
23 ブレード支持軸
24 溝
【発明の属する技術分野】
本発明は生物組織薄切試料を作製する方法およびそのために用いる器具に関するものである。特に、細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるような生物組織薄切試料の作製方法およびそのために用いる器具に関する。
【0002】
【従来の技術】
生物組織薄切試料を作製するため、同じ直線または曲線形状の刃を持つ、4枚以上の板状刃物を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように固定した組み合わせ刃物を用いて、生物組織ブロックを所定の厚さに切って、生物組織薄片を得、刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの、平行に固定された平板状の押し出し部材を、刃物の間隙にそれぞれ挿入して、刃物の間隙から生物組織薄片を押し出す方法およびそのための器具が、特開平7−号に開示されている。この方法により、氷点付近に保たれた生物組織からその薄切試料を作製することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、刃物として剃刀用の鋼ブレードを用いてこの方法により作製した生物組織薄切試料は、室温で緩衝液中に20分程度置いたとき、切断面から約0.1mmの深さまでの細胞の一部に核濃縮を生じ、さらに培養液中で1時間近く経過すると、この部分の細胞は活性が失う。
【0004】
生物組織の生物活性についての実験を可能にするためには、常温緩衝液中で少なくとも1時間は、細胞死はもとより核濃縮を生ずることなく、少なくとも形態学的に細胞が安定に、すなわち微細構造体および半透性膜構造が正常の状態に、保たれなければならない。
【0005】
細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるような生物組織薄切試料の作製方法の実現が切望されていた。
【0006】
本発明の目的は、細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるような生物組織薄切試料の作製方法の実現にある。本発明の他の目的は、細胞が少なくとも形態学的に安定に保たれるように、生物組織薄切試料を作製するための器具の実現にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、セラミックで構成され同じ直線または曲線形状の刃を持つ、2枚以上の板状の刃物を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持した組み合わせ刃物を用いて、生物組織ブロックを所定の厚さに切って、生物組織薄片を得、刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの押し出し部材を、刃物の間隙にそれぞれ挿入して、刃物の間から生物組織薄片を押し出すことから成る生物組織試料作製方法により、達成された。
【0008】
本発明の上記目的は、また、セラミックで構成され、同じ直線または曲線形状の刃を持つ、2枚以上の板状の刃物と、これらの刃物を互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持する刃物保持部材と、刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの押し出し部材とを具え、刃物保持部材により刃物は、その間に各押し出し部材を挿入できるような所定の間隔で互いに平行に保持(固定を含む)され、押し出し部材は、それぞれ刃物の間に滑らかに挿入できるような所定の間隔で保持され、押し出し部材が刃物の間に各々挿入されるように構成されたことを特徴とする、生物組織薄切試料作製器具により、達成された。
【0009】
板状刃物を構成するセラミックとして、ジルコニアセラミック等が適する。例えば、エヌティー株式会社の同種セラミックを用いることができる。
【0010】
板状の刃物(以下、ブレードという)は2枚以上何枚でもよいが、ある程度枚数が多い方が(例えば4枚)均一な厚さの薄片が得られる。ブレードの寸法は、薄切する対象物の寸法に依存し、特に制限はないが、刃幅(刃に垂直の方向)は2ないし15mm、刃の長さは10ないし300mmである。ブレードの厚さは、通常0.05ないし1mmであるが、0.4mm未満とすることが好ましい。ブレードの厚さが大きいと、組織の損傷が大きくなるからである。ブレードの厚さの最小限度は、機械的強度の点より自ずから決まり、通常0.05mmが限度である。複数のブレードの刃の方向(接線)は互いに平行とする。刃は刃物の片面のみに付けてもよく、両面に付してもよい。
【0011】
刃の形は直線状、曲線状(例えば円弧)いずれでもよいが、円弧状とすることが好ましい。さらに、円弧状の刃をもつ刃物がその面に沿って回転するように、刃物をその面に垂直な共通の軸の回りに回転できるように保持することが好ましい。特に、刃物を円周上に刃をもつ円盤状とし、共通の軸の回りに回転させる構造が好ましい。回転運動は往復運動でもよいが、一方向に連続または断続回転してもよく、回転速度は毎分10ないし60回転程度が適当である。
【0012】
各ブレードの刃が、ブレードに垂直な一つの面内に位置するのが好ましいが、刃先がブレード面の方向にずれて(雁行して)もよい。ブレードの間隔は、薄片の望みの厚さにより決まるが、通常0.2ないし5mmである。組織が特に柔かい場合にはブレードの間隔を広くする必要があり、例えば、脳の場合0.8mm以上とするのが好ましい。
【0013】
押し出し部材は各々ブレードの間に容易に挿入され、かつ薄片をなるべく変形しないように押し出すことができなければならない。従って、ブレードの間隔より若干小さい厚みとするが、通常0.15ないし4.9mmである。押し出し部材の幅も、ブレードの刃渡りより若干小さい寸法とするが、通常8ないし250mmである。押し出し部材の長さ(ブレードの刃に垂直の方向)は、薄片を完全に押し出すことができるよう、ブレードの幅より若干大きく、通常5ないし60mmとする。
【0014】
押し出し部材は組織材料により錆を生じたり、腐食されたりしない、また組織の生物的特性や機能に影響を与えない材料で構成されることが望ましい。電導性の低いプラスチック、ガラス、セラミック等を用いることができる。刃物保持部材や押し出し部材保持部材も、組織材料と接触する可能性があるので、同様な材質とすることが好ましい。
【0015】
薄片は、ブレードの刃の方から押し出してもよいし、刃と反対の方から押し出してもよい。刃の方向から試料薄片を押し出す場合、薄片は刃物の間を通過することになる。刃物が円盤状である場合、この方が有利である。刃物を固定し、押し出し部材を動かしてもよいが、特に刃物が円盤状である場合、押し出し部材を固定して、試料固定部材を兼ねさせ、刃物の方を移動させて切断、押し出しを行ってもよい。
【0016】
ブレードにより作製された生物組織薄切片は、押し出し部材によりブレードの間から押し出し、冷水中に浮遊させる。薄切および押し出しの操作は、組み合わせ刃物を冷水中に浸し、器具の周囲を氷、保冷材等で低温に保ちながら行うことが好ましい。
【0017】
本発明の方法及び器具は、切断による影響なく、組織ブロックから生物活性を保った組織薄片を短時間に多数得ることができる。
【0018】
本発明では、セラミックで構成され同じ直線または曲線形状の刃を持つ、2枚以上の板状の刃物を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように固定した組み合わせ刃物を用いる。この組み合わせ刃物を用いて組織ブロックを押し切ると、ブレードの間隔に応じた厚さで、ブレードの数に応じた複数の組織薄片がブロックから一挙に切り取られ、薄片は一旦ブレードの間に位置する。各ブレードの間に挿入できる厚さをもち、互いに平行に固定された押し出し部材は、各ブレードの間に挿入することができる。この押し出し部材をブレードの間に挿入すると、ブレードの間に入っている薄片は押し出される。排出された薄片は、ブレードの間隔にほぼ等しい厚さを有する。すなわち、ブレードの間隔に対応した厚さの組織薄片が得られる。
【0019】
ブレードはセラミックで構成されているので、切断された組織試料の切断面付近の約100ミクロンの層の損傷が少なく、組織薄片は正常に近い生物活性を有する。これは、ブレードがステンレス鋼などの電気良導体で成る場合に、切断面の細胞の正電位が失われるのに対し、ブレードがセラミックで構成される場合には、この電位が保たれるからであろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に用いる組み合わせ刃物を示す。
図1Aは平面図、図1Bは正面図、図1Cは切断線X−Xに沿った断面図である。組み合わせ刃物は、各々同じ直線形状の刃を持つ5枚のブレード1と、ブレード1を互いに平行に固定するブレード保持部材3から成る。ブレード1の間には押し出し板2を設け、押し出し板2は押し出し板保持部材4により互いに平行に固定されている。ブレード1は、ブレード保持部材3により一定の間隔で互いに平行に、そして刃も平行になるように固定されている。ブレード保持部材3で連結された5枚のブレード1が組み合わせ刃物を構成する。ブレード1および押し出し板2の間隔は、押し出し板2がブレード1に接しながらその間に挿入されるような間隔にしてある。ブレード1の間隙に挿入された押し出し板2は、図中矢印の方向に移動することができ、図中鎖線で示す位置まで達する。
【0021】
ブレード1は厚さ0.25mmのジルコニアセラミックから成る。押し出し板2は厚さ約1.9mmのプラスチック製である。ブレード保持部材3の厚さ、従ってブレード1の間隙は、約2mmである。
【0022】
ブレード1とブレード固定部材3から成る組み合わせ刃物を用いて生物組織ブロックを押し切ると、ブレード1の間隔に応じた厚さで、ブレード1の数に応じた複数の組織薄片がブロックから一挙に切り取られる。薄片は一旦ブレード1の間隙に位置するが、押し出し板2を挿入し、図中矢印の方向に押し進めると、薄片は組み合わせ刃物の外に押し出される。その厚さは、ブレード1の間隔にほぼ等しい。こうしてブレード1の間隔に対応した厚さの4枚の組織薄片が一挙に得られる。ブロックの残りを同様の操作で切断すれば、多数の組織薄片が短時間で得られる。得られた組織薄片は、表面層を含めて生物活性を保持している。
【0023】
図2、図3、および図4は、本発明の生物組織薄切試料作製器具を示す。
図2A,2B,2Cは立面図、図3は図2Aの状態における平面図、図4は側面図である。組み合わせ刃物は、各々円周上に刃を持つ5枚の円盤状ブレード11と、円盤状ブレード11を互いに平行かつ回転自在に保持するブレード支持軸13とから成る。円盤状ブレード11は、ブレード支持軸13により一定の間隔で互いに平行に固定され、ブレード支持軸13で連結された5枚の円盤状ブレード11が組み合わせ刃物を構成している。
【0024】
切断すべき生物組織試料を固定するための試料搬送台12は、平坦部12a,12c,12eと突起部12b,12dを有し、突起部12b,12d及び平坦部12cには、円盤状ブレード11が通過できる間隔の平行な溝14を設けてある。突起部12bと同12dの間の平坦部12cは組織試料を固定するための凹部を形成し、突起部12b,12d及び平坦部12cの、溝14の間の部分は、円盤状ブレード11の間に僅かな間隙をもって挿入される。試料搬送台12は、円盤状ブレード11が溝14を通過することにより、図中矢印の方向に移動することができる。
【0025】
ブレード11は厚さ0.25mmのジルコニアセラミックから成り、円周上の両面に刃が付けられている。試料搬送台12はプラスチック製である。円盤状ブレード11の間隙は、約2mmである。
【0026】
試料搬送台12の突起部12b、12dと平坦部12cに囲まれた凹部に生物組織ブロックを固定し、ブレード支持軸13で支持された円盤状ブレード11を時計回りに回転させながら、試料搬送台12を一定速度で矢印方向に移動させて、生物組織ブロックを押し切ると、ブレード11の間隔に応じた厚さで、ブレード11の数に応じた複数の組織薄片がブロックから一挙に切り取られる。組織薄片は一旦ブレード11の間隙に位置するが、試料搬送台12が移動(図中矢印の方向)するにつれ、突起部12dによりブレード11の円周外に押し出される。その厚さは円盤状ブレード11の間隔にほぼ等しい。こうしてブレードの間隔に対応した厚さの4枚の組織薄片が一挙に得られる。新たなブロックを同様の操作で切断すれば、表面層を含めて生物活性を保持した多数の組織薄片が短時間で得られる。
【0027】
図5(A,B,C)は、本発明に用いる生物組織薄切試料作製器具を示す。
図5A,5B,5Cはそれぞれ三つの状態における平面図である。組み合わせ刃物の構造は図2のものと同じであるが、円盤状ブレード21は、回転しつつ、試料固定具22に沿って矢印の方向に所定の速度で移動できる。
【0028】
切断すべき生物組織試料を固定するための試料固定台22は、試料搬送台12と同様に、平坦部22a,22c,22e、突起部22b,22d、溝24を有する。突起部22bと22dの間の平坦部22cは組織試料を固定するための凹部を形成する。円盤状ブレード21は、この凹部を囲む突起部22b,22d及び平坦部22cに刻まれた溝24に、僅かな間隙をもって挿入される。
【0029】
試料固定台22の突起部22b、22dと平坦部22cに囲まれた凹部に、生物組織ブロックを固定し、ブレード支持軸23で支持された円盤状ブレード21を、時計回りに回転させながら一定速度で矢印方向に移動させて、生物組織ブロックを押し切ると、ブレード21の間隔に応じた厚さで、ブレード21の数に応じた複数の組織薄片が、ブロックから一挙に切り取られる。組織薄片は一旦ブレード21の間隙に位置するが、円盤状ブレード21がさらに移動(図中矢印方向)した後は、試料固定台22の凹部に留まって、ブレード21の円周外に抜け出す。その厚さは円盤状ブレード21の間隔にほぼ等しい。こうしてブレードの間隔に対応した厚さの4枚の組織薄片が一挙に得られる。新たなブロックを同様の操作で切断すれば、表面層を含めて生物活性を保持した多数の組織薄片が短時間で得られる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により本発明の効果を示す。説明の都合上、実施例の記述に先立ち、比較例とその結果を示す。
[比較例]
図1のブレード1として、厚さ0.3mmのステンレス鋼製剃刀を用い、図1の器具を用いてラットの脳の組織の薄片(厚さ2mm)を作製した。薄片を20分間、温度20℃のkrebs−Ringer緩衝液中に置いた後、光学顕微鏡切片を常法により作製し、顕微鏡観察したところ、切断面から0.1mmの深さまでの大部分の細胞で、核濃縮が認められた。緩衝液中で60分経過した後には全ての細胞が死んでいた。
【0031】
[実施例1]
図1のブレード1として、エヌティー株式会社の販売する厚さ0.25mmのジルコニアセラミック製ブレードを用い、図1の器具を用いてラットの脳の組織の薄片(厚さ2mm)を作製した。薄片を20分間、温度20℃のKrebs−Ringer緩衝液中に置いた後、光学顕微鏡切片を常法により作製し、顕微鏡観察したところ、切断面から0.1mmの深さまでの細胞で、核濃縮が認められるものは少数であった。さらに深部の細胞像も異常は認められなかった。
【0032】
緩衝液中で60分経過した薄片を、組織培養液中で125I−NaIのトレーサ量を加えて温度22℃で1時間培養した。薄片の深さ全体にわたって、培養液が浸透していると判断され、細胞の異常は認められなかった。
【0033】
【実施例2】
図2(A,B,C)のブレード11として、半径30mm、厚さ0.25mmのジルコニアセラミック製ブレード(エヌティー株式会社)を用い、図2(A,B,C)の器具を用いてラットの脳の組織の薄片(厚さ2mm)を作製した。薄片を20分間、温度20℃のKrebs−Ringer緩衝液中に置いた後、常法により光学顕微鏡切片を作製し、顕微鏡観察したところ、切断面から0.1mmまでの深さで核濃縮が認められる細胞は実施例1よりさらに少なかった。
【0034】
【発明の効果】
本発明の方法によると、比較的長時間の培養に対してもなお、形態学的に細胞が充分安定に保たれた生物組織薄切試料を、作製することができる。また、本発明の器具により、細胞が形態学的に安定に保たれた生物組織薄切試料を、作製することができる。これは、特開平7−218398号の方法又は器具において、セラミックから成る刃物を用いることにより、組織切断面の細胞の損傷が防止されたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる組み合わせ刃物の平面図(図1A)、正面図(図1B)および断面図(図1C)。
【図2】図2A、図2B、図2Cは本発明の生物組織薄切試料作製器具の立面図。
【図3】本発明の生物組織薄切試料作製器具の平面図。
【図4】本発明の生物組織薄切試料作製器具の側面図。
【図5】図5A、図5B、図5Cは本発明の生物組織薄切試料作製器具の立面図。
【符号の説明】
1 ブレード
2 押し出し板
3 ブレード保持部材
4 押し出し板保持部材
11 円盤状ブレード
12 試料搬送台
12a,12c,12e 平坦部
12b,12d 突起部
13 ブレード支持軸
14 溝
21 円盤状ブレード
22 試料固定台
22a,22c,22e 平坦部
22b,22d 突起部
23 ブレード支持軸
24 溝
Claims (13)
- セラミックで構成され、同じ直線または曲線形状の刃を持つ、2枚以上の板状の刃物を、所定の間隔で互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持した組み合わせ刃物を用いて、生物組織ブロックを所定の厚さに切断して、生物組織薄片を得、
前記刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの押し出し部材を、前記刃物の間にそれぞれ挿入して、前記刃物の間から前記生物組織薄片を押し出すことから成る、生物組織試料作製方法。 - 前記刃の形状が円弧状である、請求項1の生物組織試料作製方法。
- 円弧状の刃をもつ前記刃物を面に沿って、その面に垂直な共通の軸の周りに回転させて前記切断を行う、請求項1の生物組織試料作製方法。
- 前記刃物が円盤状である、請求項3の生物組織試料作製方法。
- 同じ直径の円盤状で、円周上に刃をもち、セラミックで構成された2枚以上の刃物を、所定の間隔で同軸かつ回転可能に保持し、
前記刃物を回転させ、
生物組織ブロックを、回転する前記刃物の刃に押し当てて切断するとともに、前記刃物の間に押し込み、
切断された前記生物組織薄片を前記刃物の間から押し出すことから成る、生物組織試料作製方法。 - セラミックで構成され、同じ直線または曲線形状の刃を持つ、4枚以上の板状の刃物と、
前記刃物を互いに平行に、かつ刃も平行になるように保持する刃物保持部材と、前記刃物の間に各々挿入できる所定の厚さの試料押し出し部材と、
この押し出し部材を互いに平行に保持する押し出し部材保持部材とを具え、
前記刃物保持部材により前記刃物は、各押し出し部材をその間に挿入できるような所定の間隔で互いに平行に保持され、
前記押し出し部材保持部材により前記試料押し出し部材は、それぞれ前記刃物の間に滑らかに挿入できるような所定の間隔で互いに平行に保持され、
前記押し出し部材が各々前記刃物の間に挿入されるように構成されたことを特徴とする、生物組織薄切試料作製器具。 - 前記刃物が0.4mm未満の厚さを有する、請求項6の生物組織薄切試料作製器具。
- 前記刃の形状が円弧状である、請求項6の生物組織薄切試料作製器具。
- 前記刃物保持部材は、前記刃物をその面に垂直な軸のまわりに回転できるように保持し、円弧状の刃をもつ前記刃物がその面に沿って、前記軸の周りに回転できるように構成された、請求項8の生物組織薄切試料作製器具。
- 前記刃物が円盤状である、請求項8の生物組織薄切試料作製器具。
- 同じ直径の円盤状で、円周上に刃を有し、セラミックで構成された2枚以上の刃物と、
前記円盤状の刃物を同軸かつ回転可能に保持する刃物支持軸と、
前記刃物の間に各々挿入できるように保持された、移動可能な試料搬送部材とを具え、
前記刃物支持軸により前記刃物は、その間に各試料固定部材を挿入できるような所定の間隔で互いに平行に保持され、
前記搬送部材が、移動するにつれ前記刃物の間にそれぞれ挿入されるように構成されたことを特徴とする、生物組織薄切試料作製器具。 - 前記試料搬送部材が、切断すべき生物組織試料を前記刃物に向かって送り込み、
前記円盤状刃物が回転して、前記試料搬送部材により送り込まれる前記生物組織試料を円周上の刃で切断し、
前記試料搬送部材が、この切断された前記生物組織試料を前記刃物の間から押し出すように構成された、請求項11の生物組織薄切試料作製器具。 - 同じ直径の円盤状で、円周上に刃を有し、セラミックで構成された2枚以上の刃物と、
前記円盤状の刃物を同軸かつ回転可能に保持する、移動可能な刃物支持軸と、前記刃物の間に各々挿入できるように保持された試料固定部材とを具え、
前記刃物支持軸により前記刃物は、その間に各試料固定部材を挿入できるような所定の間隔で互いに平行に保持され、
前記刃物支持軸の移動とともに前記試料固定部材が前記刃物の間をそれぞれ通過するように構成されたことを特徴とする、生物組織薄切試料作製器具。
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