JP2005097748A - 溶融めっき金属帯の製造方法及び製造装置 - Google Patents

溶融めっき金属帯の製造方法及び製造装置 Download PDF

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洋一 宮川
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昭 蒲
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Abstract

【課題】従来よりも高品質の溶融めっき金属帯を製造効率を低下させることなく製造することができる溶融めっき金属帯製造方法を提供する。
【解決手段】
金属帯をめっき金属である溶融金属浴中に引き込む引込工程(4)と、前記金属帯に溶融金属を付着させるとともに、前記溶融金属浴中では方向転換させる以外の力学的作用を及ぼさずに前記金属帯を溶融金属浴外へ引き上げる付着工程(3)と、前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭するワイパによって、溶融金属の付着量を調整する調整工程(6)と、前記ワイパの直前または直後で前記金属帯の形状を非接触で制御する制御工程(7)とを有する溶融めっき金属帯の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融めっき金属帯を製造する製造方法および製造装置に関する。
鋼帯などの金属帯を連続してめっきする方法として、金属帯を亜鉛、アルミニューム等の溶融金属中に浸漬してその金属帯の表面にめっきを施す溶融めっき法が知られている。
図12は、溶融めっき金属帯の製造ラインの構成を示す図である。
前工程である冷間圧延プロセスにおいて圧延され、続く洗浄プロセスにおいて表面が洗浄された金属帯70は、溶融めっき金属帯製造ラインに運搬され、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉71において表面酸化膜が除去され焼鈍処理をされた後、溶融金属の温度とほぼ同程度まで冷却されて溶融金属浴72内に導かれる。
金属帯70は溶融金属中を浸漬しながら通板され、その表面に溶融金属が付着する。そして、溶融金属浴72から引き出された金属帯70は溶融金属浴72後に設置されてあるガスワイパ73から噴出するガスにより、金属帯に付着した過剰の溶融金属が払拭されて金属付着量の調整が行われる。
続くプロセスでは、用途に応じて、例えばその金属帯70が自動車用外板として使用される場合には、合金化炉74を使用して金属帯を再加熱し均質な合金層を作り出す合金化処理を施す場合がある。そして、金属帯70は急冷帯75を通過した後、化成処理76で特殊の防錆、耐食処理が施され、コイルに巻き取られて出荷される。
図13は、従来の溶融金属浴72中の装置の構成を示す配置図である。
金属帯70はスナウト77と呼ばれる非酸化性雰囲気に保たれた筒状部を通って溶融金属浴72中に引き込まれる。溶融金属浴72中では方向変換用のロールであるシンクロール78によって通板方向が変換された後、同じく浴中に配されたコレクトロール79b及びスタビライジングロール79a(以下まとめてサポートロール79ということがある)を経て溶融金属浴72外に引き出され、ガスワイパ73でめっき付着量が調整される。
この溶融めっき方法は、他のめっき方法である電気めっき方法と比較した場合、安価にめっき金属帯を製造することができ、容易に厚めっきの金属帯を製造することができる等の多くの特長を有している。
しかしながら一方では、この溶融めっき方法にも解決すべき課題が存在する。
先ず、溶融めっき法では溶融金属浴72中でドロスと呼ばれる不純物が発生し、それが金属帯70やロール78、79などの浴中機器に付着することで金属帯に欠陥を発生させ、この結果、最悪の場合には著しい歩留まり低下につながることもある。このドロスの発生は溶融めっき金属帯の製造プロセスにおいては避けて通ることのできない現象であるため、ドロスが金属帯70に付着することを防止するあるいは低減する方法が必要とされる。
また、溶融金属浴中72に設置される浴中ロール78、79は、常時高温の過酷な環境にさらされるため回転不良などのトラブルを生じ易く、このトラブルが原因となって金属帯70に欠陥などの品質不良を発生させることもある。このため、従来の溶融めっき金属帯の製造においては、定期的にラインを停止して浴中ロール78、79の手入れや交換を行わなければならず操業効率を大きく低下させている。
一方、めっき金属帯製品に対する品質向上のニーズは年を追って高くなってきており、例えば自動車用外板などの高級品を製造する場合には、所望の品質を確保するため、ドロスの付着が防止できる、例えば低速運転条件の下で操業を行う、あるいは設備メンテナンスの頻度を増すなどの対応を行って製造していた。そしてこの結果、操業効率を向上させることには限界が生じていた。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、従来よりも高品質の溶融めっき金属帯を製造することができ、かつその金属帯を製造効率を低下させることなく製造することができ、更に設備のメンテナンス頻度を減らすことのできる溶融めっき金属帯製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
上記課題を解消する新しい溶融めっき金属帯製造方法を開発するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、その過程において浴中サポートロール79に着目するに至った。
先ず、浴中サポートロール79の目的について考えると、その主な機能としては(1)金属帯幅方向反り矯正機能、(2)金属帯振動抑制機能の2つを挙げることができる。
図14は、金属帯幅方向反り発生機構を説明する図である。
金属帯幅方向の反りは主にシンクロール78において金属帯70が曲げと曲げ戻しを受けることによって発生すると考えられる。
シンクロール78に巻きついて接触している位置Aでは、金属帯70にはシンクロール78と接触している面に引っ張り応力、その反対の面に圧縮応力が作用している。
従って、金属帯70がシンクロール78から離れて拘束力がなくなった位置Bでは、金属帯70のシンクロール78と接触していた面で引っ張り応力が開放され元に戻ろうとする力が働き、その反対の面では圧縮応力が開放され元に戻ろうとする力が働く。このため、金属帯70はその応力分布によって両端がシンクロール78側に曲がるような幅方向の反りが発生すると考えられている。
このようにして金属帯70に反りが発生した場合、ガスワイパ73部において、金属帯70とガスワイパ73と間隔が幅方向で一定でなくなる結果、金属帯70幅方向に付着量のムラが生ずることになる。
また、金属帯70に反りが発生している場合は、金属帯70とガスワイパ73との接触を避けるために、金属帯70とガスワイパ73の間隔を狭めることが制限される。この結果、所望の溶融金属払拭能力を確保するためにはワイピングガス圧力を高めなければならず、これが時としてワイピング時に激しく飛び散った溶融金属が金属帯70に付着することにより発生するスプラッシュと呼ばれる欠陥の原因となることが知られている。
そこで、浴中サポートロール79を用いてシンクロール78で発生した反りを矯正する。
図15はサポートロール79の反り矯正機能を説明する図である。
サポートロール79はスタビライジングロール79aとこのロールより所定距離下方に配置され左右方向に移動可能に構成されたコレクトロール79bとの2本のロールで構成されている。シンクロール78によって金属帯70は鉛直方向に方向変換されて通板されるが、スタビライジングロール79aはこの通板ライン上で金属帯70と接する位置に設けられ、コレクトロール79bはこの通板ラインに対して所定量Lだけ金属帯70を押し込む位置に配置される。
前述のように金属帯70はシンクロール78による曲げと曲げ戻しに起因する反りが発生しているが、コレクトロール79bを用いて押し込み量Lを適切に調整することで、金属帯70に逆方向の曲げを加えて反りを矯正するものである。
次に、サポートロール79の振動抑制機能について説明する。
一般に、金属帯70の振動はシンクロール78の回転不良やガタ、その他の外乱によって、ロールの回転周波数成分で金属帯70が揺らされたり、金属帯70自体の固有振動モードが励起されたりすることで発生する。
図12に示す通り、一般的な溶融めっき金属帯製造ラインでは金属帯70は溶融金属浴72に浸漬した後、数十mの距離を何も触れるものがない状態で引き上げられるため、非常に振動し易い状況に置かれている。
そこで、図13に示すようにサポートロール79で金属帯70を挟み込むことによってその振動を抑制するものである。本構成ではサポートロール79が振動の節となるため、溶融金属浴72のはるか上方では振動抑制効果は期待できないが、サポートロール79に近いガスワイパ73の位置では振動の抑制が図れるため、品質上最も重要な付着量むらを低減することが可能となる。
このように浴中サポートロール79は主として金属帯幅方向の反り矯正と、金属帯振動抑制のために、数十年の長きに渡って使用された設備であって、その実績から溶融めっき金属帯製造ラインにとっては必須の設備であると考えられている。
しかしながら、浴中サポートロール79には以下のようないくつかの欠点も存在する。
(1)溶融金属浴72で発生するドロスなどの不純物が付着し、浴中サポートロール79がその不純物を金属帯に押し付けることで疵などの欠陥を発生させる。
(2)金属帯70の幅方向反り矯正のためにコレクトロール79bを押し込むことで金属帯70に生ずる歪が一因となり、「腰折れ」と呼ばれる降伏点伸び欠陥を発生させてしまう。
(3)サポートロール79自体の回転不良やガタなどにより、金属帯70がガスワイパ73部で振れることで金属帯70に縞状の欠陥であるロールマークを発生させてしまう。
(4)サポートロール79の定期的な手入れや交換のために設備停止が必要となり、操業効率を低下させてしまう。また、メンテナンス費用も必要とする。
これらの問題は浴中サポートロール79がなければ発生しないものであるため、本発明者らは溶融めっき金属帯製造プロセスから浴中サポートロール79を外すことの可否について検討を行った。
先ず、前述の機能の代替の検討の前に、浴中サポートロール79を取り外すことによる金属帯品質への悪影響がないかどうかを検証した。これは、製造現場においては、浴中サポートロール79には前述の機能の他に、溶融金属浴中のドロスなどの異物が金属帯70に付着しにくくする異物除去機能があるため、浴中サポートロール79を除去することにより金属帯70の欠陥発生を増加させることになるとの通説があるためである。
この検証は溶融金属浴72を模擬する実験装置を製作し、その中の流れの挙動を観察することで行った。
図16は実験装置の構成を示す図である。
実験装置は、溶融金属の代わりに水を用い、その中にシンクロール78と浴中サポートロール79を模した設備80、81を配置し、さらに金属帯70を模したエンドレスベルト82を配して構成した。
尚、実験装置では溶融金属の代わりに水を用いているが、実際の溶融金属浴中のロール周りとレイノズル数やフルード数が同等になるようにロール径やロール回転数を設定して、流体力学的に溶融金属浴中の挙動を模擬できるようにしている。そして、流れを観察するためのトレーサとしてアルミ粉を添加して実験を行った。
図17は浴中サポートロール付近の流れの様子を示す図である。
ロール81とベルト82の接触部下部においては、圧力上昇による吐き出しの流れが見られ異物を押し出そうとする現象が確認されたが、逆にロール81とベルト82の接触部上部においては圧力低下による吸い込みが発生し、むしろ異物が付着しやすい状況を作り出していた。
また、ロール81にはベルト82に付着した異物を剥がすような作用は観察されず、ロール81は異物を押し付けるだけであった。
以上の結果より、本発明者らは浴中サポートロール79には通説で言われているような異物除去機能はなく、浴中サポートロール79を除去してもそのことによって欠陥の発生が増加することはないものと判断した。
従って、浴中サポートロール79を外すには金属帯70の幅方向の反り矯正機能と振動抑制機能が代替できれば良いことになる。
そこで本発明者らはそれらの機能を代替する技術として、アクティブ振動制御技術を導入することに想到した。アクティブ振動制御技術はセンサで計測した制御対象の振動を打ち消すような外力を何らかのアクチュエータによって制御対象に加えることで振動を抑制する技術であり、近年、コンピュータ能力の目覚しい向上により広く普及してきている。また、アクチュエータが制御対象である金属帯70に加える外力に静的な力も合わせれば、振動制御のみでなく形状制御、即ち反りの矯正も可能となる。この技術は溶融金属めっき技術が開発された時期には存在していなかったものである。
溶融めっき金属帯を対象とする場合は、アクチュエータは非接触式であることが望ましいが、その候補としては電磁石や空力アクチュエータ(エアパッド)などが挙げられる。
上記実験による知見および各種検討を総合し、高品質の溶融めっき金属帯を効率良く製造する新しい手段として、本発明者らは溶融金属浴中に方向変換手段のみを有し、溶融金属浴上における浴中サポートロール79の代替として溶融金属浴上における非接触の金属帯の制振および形状矯正手段を有することを特長とする溶融めっき金属帯製造方法及び装置を想到したものである。
また、このように形状矯正手段を利用して浴中サポートロール79を排除した場合には、溶融金属浴72中のスペースが有効利用できるので、シンクロール78の径や溶融金属浴72中の位置を最適化することが可能となる。
先に金属帯70の幅方向の反り(単にC反りともいう)とシンクロール78との関係について説明したが、このC反り発生メカニズムによればシンクロール78の径が大きいほどC反り量は少なくなることが理解できる。
いま、張力σtが作用する下で、ロールに巻き付けられた金属帯70の最表面に発生する最大引張応力σは(1)式で表される。
σ=t×E×(σy+σt)/(D×σy) ・・・(1)
ここで、tは金属帯70の板厚、Eはヤング率、σyは降伏応力、Dはロールの直径を表している。
そして、この応力σがその金属材料の降伏応力以上になる場合に、金属帯70は塑性変形を起こしてC反りが発生するものと考えられる。従って、ロールの径Dが大きいほうが塑性変形を生じにくく、C反り量を抑制することができる。
図18は、シンクロール78の径と金属帯70の板厚とC反り量との関係を示す図である。
図18は、張力が3Kg/mm2、シンクロール78の直径が500mmφ、750mmφ、900mmφの夫々について金属帯70の板厚とC反り量との関係を示しており、図の(1)は比例限度Ypが8Kg/mm2、図の(2)は比例限度Ypが14Kg/mm2の材料を用いた場合を示している。
本図によれば、シンクロール78の直径が500mmφでは最大C反り量は1m巾当り−53mm程度、750mmφでは最大C反り量は−38mm程度、900mmφでは最大C反り量は−32mm程度であることがわかる。C反り量が−53mmと大きい場合はサポートロールレス下では形状矯正手段(電磁石など)の出力をかなり大きくしないと十分な反りの矯正が困難であることが予想される。
図19は、シンクロール78の径と最大C反り量との関係を示す図である。
同図によればシンクロール78の直径が600mmφ以上であれば、C反り量が−46mm程度以下になるため、一般的な電磁石を用いて反りの低減が可能であることがわかる。また、シンクロール78の直径が850mmφ以上であれば、C反り量が−33mm程度以下とさらに小さくなるため、より少ない電磁石出力で十分なC反り矯正を実現できることがわかる。
次に、サポートロール79を排除した場合の、ポット内でのシンクロール78の高さ方向位置の最適化について説明する。
図20は、ポット内でのシンクロール78の配置を示す図である。
本図に示すポット85は、後述する小分割ポット(以下、「小ポット」という。)86を備え、金属帯70はこの小ポット86内を通板するように構成されている。このような構造のポットをポットインポット構造と呼ぶが、ポットインポット構造は、小ポット86と金属帯70との間に生ずる随伴流によってドロスを小ポット86から排出して、その排出されたドロスをポット85の底部に沈殿させ、金属帯70への付着を防止する作用を有している。
先ず、浴面84とシンクロール78上端との間隔(L1)は50mm以上で400mm以下であることが好ましい。
50mm以上を条件としたのは、シンクロール78の回転により浴面84が乱されることでトップドロスが金属帯70に付着することを防止するためである。また、400mm以下を条件としたのは、もしL1を400mm以上とすると、次の支持点である例えばタッチロール87までの間隔が長くなるため、金属帯70の振動増加、ガスワイパ73部でのC反り量の増加、溶融金属持ち上げ量の増加などに繋がり好ましくないからである。尚、より好ましいL1の範囲は100mm以上で200mm以下である。
一方、ポット85の底部とシンクロール下端との間隔(L2)は、小ポット86が設けられていれば小ポット86によってドロス付着が防止できるため400mm以上であれば良い。しかし、小ポット86がなければ随伴流の影響によってドロスが攪拌されて金属帯70に付着する恐れがあるため、L2は700mm以上であることが好ましい。
この、ポット85の底面とシンクロール下端との間隔(L2)は、小ポット86の有無によらずできるだけ大きいほうが好ましい。なぜならば、L2が大きければポット85底部のドロスの沈殿領域が大きくなって長サイクル化が可能となり、また沈殿しているドロスが随伴流によって舞い上がることが抑制されるからである。
本検討結果に基づいて配置を構成した場合、例えばポット85の深さが1800mmである構成の場合、2本の浴中サポートロール79が存在すれば、浴面84とサポートロール79上端の間隔は50mm、サポートロール79上端とシンクロール78上端の間隔は700mm、シンクロール78径が750mm、シンクロール78下端と小ポット86の間隔が150mm、小ポット86とポット85底面との間隔が150mmとなる。
しかし、浴中サポートロール79を排除することで、同じ深さのポット85において、浴面84とシンクロール78上端の間隔は100mm、シンクロール78の直径が1000mm、シンクロール78の下端と小ポット86との間隔が150mm、小ポット86とポット85の底面との間隔が550mmと最適な配置を実現することができる。
尚、シンクロール78の大径化や位置最適化は、一見溶融金属浴72を保持する溶融金属槽(以下、「ポット」という)を大きくすれば良いかのように思える。しかしながら、ポットを大きくすれば必要な金属量が増えるのみならず、大量の金属を溶融状態で維持するのに大きなエネルギを要することになる。このため、ポット自体は小さいほうが経済的である。
従って、形状矯正手段によって浴中サポートロールレス化を実現することで、多額の設備改造費用、製造コストの増大を招くことなく、更に、シンクロール78の径の増大によるC反り量の低減、並びにポット85、シンクロール78、小ポット86の配置の最適化を実現することができることになる。
以上の検討に基づき、上記課題を解決するための本発明は以下のように構成されている。
本発明は、金属帯をめっき金属である溶融金属浴中に引き込む引込工程と、金属帯に溶融金属を付着させるとともに溶融金属浴中では方向転換させる以外の力学的作用を及ぼさずに金属帯を溶融金属浴外へ引き上げる付着工程と、金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭するワイパによって溶融金属の付着量を調整する調整工程と、ワイパの直前または直後で前記金属帯の形状を非接触で制御する制御工程とを有する溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、制御工程においては、金属帯の振動を制御する溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、調整工程により溶融金属の付着量を調整された金属帯に対し、その表裏に配設された一対又は表のみ若しくは裏のみに配設された振動抑制ロールを押し付けて振動を制御する振動抑制工程を有する溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、振動抑制工程にて振動を抑制された金属帯を加熱して合金化処理を施す合金化工程を有する溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯は、鋼板であり、金属帯の形状制御は、電磁石を用いた非接触形状制御である溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、ワイパは、気体を噴出して過剰の溶融金属を払拭するガスワイパである溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、付着工程においては、方向転換のため以外に、金属帯に対する1本のみのロール接触を行う溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、付着工程に代わる付着工程として、金属帯に溶融金属を付着させ、溶融金属浴中では金属帯を方向転換して引き上げる工程のみを有する溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、付着工程に代わる付着工程として、金属帯に溶融金属を付着させるとともに、溶融金属浴中における金属帯へのロール接触は、金属帯の方向転換のためのみとしつつ、金属帯を溶融金属浴外へ引き上げる工程を有する溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯の方向転換のためのロールは、直径が600mm以上である溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯の方向転換のためのロールは、直径が850mm以上である溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯の方向転換のためのロールは、その上端と溶融金属浴面との距離が50mm以上400mm以下となるように配置される溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯の方向転換のためのロールは、その下端と溶融金属浴底部との距離が400mm以上となるように配置される溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯の方向転換のためのロールは、その下端と溶融金属浴底部との距離が700mm以上となるように配置される溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯の方向転換のためのロールを下側から囲む囲み部材により、溶融金属浴が、金属帯が通板する上部領域と当該上部領域間とで溶融金属の流動が可能な下部領域とに分割されている場合に、ロールの下端と溶融金属浴底部との距離が400mm以上となるように、ロールが配置されている溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、金属帯の方向転換のためのロールを下側から囲む囲み部材により、溶融金属浴が、金属帯が通板する上部領域と当該上部領域間とで溶融金属の流動が可能な下部領域とに分割されている場合に、囲み部材と金属帯との最近接間隔が50mm以上400mm以下となるように、ロールが配置されている溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、上記記載の発明である金属帯の製造方法において、ロールの直径が850mm以上である溶融めっき金属帯の製造方法である。
また本発明は、溶融金属を保持してその溶融金属を金属帯に付着させるとともに、溶融金属浴中にて金属帯に力学的作用を及ぼす手段として金属帯の方向転換装置のみを有する溶融金属浴槽と、金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭してその付着量を調整するワイパと、ワイパの直前または直後で金属帯の形状を非接触で制御する制御装置とを備えた溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、制御装置は、金属帯の振動を制御する溶融めっき金属帯の製造装置。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、ワイパにより溶融金属の付着量を調整された前記金属帯に対し、その表裏に配設された一対又は表のみ若しくは裏のみに配設され、かつ押し付けにより振動を制御する振動抑制ロールを有する溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、振動抑制ロールにて振動を抑制された金属帯を加熱して合金化処理を施す合金化炉を備えた溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯は、鋼板であり、制御装置は、電磁石を用いた非接触形状制御装置である溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、ワイパは、気体を噴出して過剰の溶融金属を払拭するガスワイパである溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、溶融金属浴槽は、方向転換のため以外に、金属帯に接触する1本のみのロールを備えた溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、溶融金属浴槽に代わる溶融金属浴槽として、溶融金属を保持してその溶融金属を金属帯に付着させるとともに、溶融金属浴中には金属帯を方向転換して引き上げる方向転換装置のみを有する浴槽を備えた溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、溶融金属浴槽に代わる溶融金属浴槽として、溶融金属を保持してその溶融金属を金属帯に付着させるとともに、溶融金属浴中にて金属帯に接触する手段として金属帯の方向転換ロールのみを有する浴槽を備えた溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯の方向転換のためのロールは、直径が600mm以上である溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯の方向転換のためのロールは、直径が850mm以上である溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯の方向転換のためのロールは、その上端と溶融金属浴面との距離が50mm以上400mm以下となるように配置される溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯の方向転換のためのロールは、その下端と溶融金属浴底部との距離が400mm以上となるように配置される溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯の方向転換のためのロールは、その下端と溶融金属浴底部との距離が700mm以上となるように配置される溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯の方向転換のためのロールを下側から囲む囲み部材により、溶融金属浴が、金属帯が通板する上部領域と当該上部領域間とで溶融金属の流動が可能な下部領域とに分割されている場合に、ロールの下端と溶融金属浴底部との距離が400mm以上となるように、ロールが配置されている溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、金属帯の方向転換のためのロールを下側から囲む囲み部材により、溶融金属浴が、金属帯が通板する上部領域と当該上部領域間とで溶融金属の流動が可能な下部領域とに分割されている場合に、囲み部材と金属帯との最近接間隔が50mm以上400mm以下となるように、ロールが配置されている溶融めっき金属帯の製造装置である。
また本発明は、上記記載の発明である溶融めっき金属帯の製造装置において、ロールの直径が850mm以上である溶融めっき金属帯の製造装置である。
本発明によれば、高品質な溶融めっき金属帯を製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。尚、以下に説明する各実施の形態では金属帯の1具体例として鋼帯を念頭においている。また溶融めっき鋼帯は亜鉛めっき鋼板であり、溶融金属は亜鉛である。
図1は本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図である。
金属帯1はスナウト4と呼ばれる非酸化性雰囲気に保たれた筒状部を通って溶融金属浴2中に引き込まれる。溶融金属浴2中では方向変換用のロールであるシンクロール3によって通板方向が変換され鉛直に引き上げられた後、ガスワイパ6でめっき付着量が調整される。本構成においては、従来の装置で使用されていた浴中サポートロールが存在せず、その代わりにガスワイパ6の直後に非接触金属帯制御装置7を設けた点が特徴である。
ここで直後とは、ガスワイパ6に近ければより良い制御が行えることを意味しているが、実ラインではガスワイパ6から後述する合金炉までの間に設置すれば良い。
図2は、電磁石を用いた非接触金属帯制御装置7の構成を示す図である。
本非接触金属帯制御装置7は、図中上方に移動する金属帯1の表面までの距離を測定する位置センサ10、この位置センサ10からの信号を受けて制御信号を出力する制御器11、制御信号を増幅する増幅器12及び増幅された制御信号によって金属帯に吸引力を及ぼして金属帯の形状を変化させる電磁石13で構成されている。
そして、電磁石13は金属帯1の幅方向に複数台数設けられ、さらに薄板1の表裏に対になって配置されている。電磁石13は薄板1に対しては一方向の吸引力を及ぼすものであるため、薄板1の表裏に配置することで薄板1の吸引方向を選択して制御できるように構成したものである。
通常、金属帯1の幅方向の反り形状は図14で示すように、断面がC形になることが多く、また金属帯1の振動は両エッジが逆位相に振れるようなモードが問題となることが多いため、電磁石13は金属帯幅方向3ヶ所(両エッジ、中央)に配置すれば良い。また、各3ヶ所の位置センサ10相互間、電磁石13相互間での干渉はそれほど大きくないことが多いため、相互の干渉を補償せずに、3ヶ所それぞれ独立の制御系で構成しても良い。
図3は本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の他の構成を示す図である。
本構成では、非接触金属帯制御装置7をガスワイパ6の直後に配置する図1に示す構成に対して、非接触金属帯制御装置7をガスワイパ6の直前に配置したことが特徴である。
ここで直前とは、ガスワイパ6に近ければより良い制御が行えることを意味しているが、実ラインでは溶融金属浴2からガスワイパ6までの間に設置すれば良い。
ガスワイパ6の直前あるいは直後いずれに設置しても金属帯の制御効果は同じであるが、ガスワイパ6の直後にワイピングによる気流を乱し得るものはないほうが望ましいため、非接触金属帯制御装置7を設置できるスペースが確保できるかどうか等の溶融めっき金属帯の製造ラインの条件によっては図3のように配置することが有利な場合がある。
図4は本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の他の構成を示す図である。
本構成では、1セットの非接触金属帯制御装置7をガスワイパ6の直後に配置する図1に示す構成に対して、複数セットの非接触金属帯制御装置7をガスワイパ6の直後に多段に配置したことが特徴である。
図5は本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の他の構成を示す図である。
本構成では、複数セットの非接触金属帯制御装置7をガスワイパ6の直後に多段に配置する図4の構成に対して、複数セットの非接触金属帯制御装置7をガスワイパ6の前後に配置したことが特徴である。
非接触金属帯制御装置7を多段に配置することによって形状矯正あるいは振動抑制能力を効果的に高めることが可能となる。そして、多段配置による構成では、主に形状矯正を行う非接触金属帯制御装置7と主に振動抑制を行う非接触金属帯制御装置7とに役割を分担させて構成しても良い。
一般的に、形状矯正においては、反りなどの形状の変化は緩慢であるため、非接触金属帯制御装置7の制御系には追従性はあまり要求されないのに対して、振動抑制においては、金属帯1の振動の変化は速い現象であるため非接触金属帯制御装置7の制御系には応答性の良いことが求められる。
また、アクチュエータに必要とされる力は、形状矯正では金属帯1の厚みや張力によってはかなり大きな力が求められるのに対して、振動抑制では金属帯1の共振を抑制できる程度の力で十分であることが多いため、例えばアクチュエータが電磁石であった場合には形状矯正用と振動抑制用とではコイルの巻き数、コアの形状など装置の基本仕様が異なる。
従って、非接触金属帯制御装置7の役割を分担して構成することは制御性能を高める上で効果的である。
尚、電磁石により形状矯正のみを行う場合には、必ずしもアクティブ振動制御技術は必要なく、静的な電磁力付加のみで形状矯正することも可能である。
また、電磁石を用いて溶融金属浴2上でC反り形状矯正を行うことは、溶融金属浴2内を不必要にかき乱さない点で有利である。即ち溶融金属浴2中には、大量のドロスが存在し、これはポット底部にも沈殿している。したがって、いわゆるフロータや静圧パッドなどの手段により溶融金属浴2内をかき乱してしまうと、せっかく沈殿しているドロスが攪拌されて金属帯1に付着して欠陥発生の原因となる。またフロータなどの手段がなくても、通常のシンクロール3に金属帯1が巻き付いて通板が行われていることで、シンクロール3とポット底部の間隔が狭い場合にはドロスは舞い上がってしまうのである。
尚、本実施の形態では、金属帯1の非接触制御技術として電磁石と空力アクチュエータを挙げているが、両者を比較すると、本発明を実現する上では電磁石の方が好ましい。その理由は次のとおりである。(1)空力アクチュエータを溶融金属浴2上で使用すると、気流により金属帯1が不必要に冷却され、品質上の問題が生じ得る。(2)空力アクチュエータは電磁石に比べて装置が大きく、ガスワイパ6直上への設置は困難となる。また、設備に付随する配管や送風機を設置するスペースも必要となるため現実の実施が難しい。(3)電磁石と比べると所要電力が大きくランニングコストが高くなる。
図6は本発明の第2の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図である。
本構成では、非接触金属帯制御装置7をガスワイパ6の直後に配置する図1に示す構成に対して、非接触金属帯制御装置7の後段に金属帯1を表裏から押さえるタッチロール8を配置したことが特徴である。
このタッチロール8は、溶融めっき金属帯製造工程においては自動車の外板など高級材の製造の際に用いられる設備で、金属帯1の振動を抑制しパスラインを安定させる目的で金属帯1の表裏を押さえるロールで構成されている。
通常は、ワイピング直後において金属帯1に触れるような設備を配置することは好ましくないが、高級材の製造時には更にこの後段で合金化の処理を行うため、タッチロール8の接触程度の影響は合金化処理によって目に見えない程度に消えてしまうのである。
本第2の実施の形態の発明の構成では、金属帯1の振動はタッチロール8によって抑制し、非接触金属帯制御装置7は主に形状矯正の役割を担っている。この構成によれば、突発的に大きな振動が生じる場合でも、タッチロール8によってこの振動の影響を防止できるため、より安定した操業を行うことができる。
尚、タッチロール8を用いる実施の形態においても非接触金属帯制御装置7について図3から図5に示したような様々なバリエーションがあることはいうまでもない。
本実施の形態においては、タッチロール8を金属帯1の表裏に用いる場合を説明したが、タッチロール8が金属帯1から受ける力の方向を考慮し,タッチロール8を表面又は裏面に1本のみ設けるようにしても良い。このようにタッチロール8が1本であっても正常な操業を行いつつ振動を防止できるのは、次の理由による。即ち、非接触金属帯制御装置7により金属帯1を常に1本だけ設置されたタッチロール8に押付けるような力を加えれば、金属帯1は表裏一対のタッチロール8で押さえ付けられるのと同等の環境条件となる。そうすると金属帯1とこのタッチロール8との接触点が振動の節となるため、この結果、振動を抑制することができる。
図7は本発明の第3の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図である。
本構成では、非接触金属帯制御装置7の後段に金属帯1を表裏から押さえるタッチロール8を配置した図6に示す構成に対して、さらにこのタッチロール8の後段に合金化炉9を備えたことが特徴である。
前述のようにタッチロール8を用いて振動抑制効果を得ることができる反面、タッチロール8と金属帯1との接触による影響を無害化する必要があり、そのための合金化処理として合金化炉9を備えたものである。
尚、合金化炉9を用いる実施の形態においても非接触金属帯制御装置7について図3から図5に示したような様々なバリエーションがあることはいうまでもない。
図8は本発明の第4の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図である。
本構成では、非接触金属帯制御装置7の後段に金属帯1を表裏から押さえるタッチロール8を配置した図6に示す構成に加えて、さらに浴中に1本のロールからなるサポートロール5を備えたことが特徴である。この1本のサポートロール5を用いる効果について説明する。
図9に示すように、シンクロール3を通板することで金属帯1が塑性変形することにより発生するC反りは、シンクロール3から離れるに従って面外に凸となる量が増加し、ある距離以上になると塑性変形量に応じた一定量となる。従って、溶融金属浴2中にサポートロール5がない場合には、金属帯1がシンクロール3から離れる位置からガスワイパ6までの距離が、サポートロール5がある場合と比較して長くなるため、ガスワイパ6の位置での金属帯1の形状を平坦化するに必要な矯正力を強める必要がある。
しかし、例え1本であってもサポートロール5を設置して金属帯1に押付けることにより、その位置においてC反り(面外変形)を見掛け上解消することができるためガスワイパ6の位置での金属帯1の形状を平坦化するに必要な矯正力(例えば、電磁石の場合には供給電流)を小さくすることができる。
また、サポートロール5がない場合と比較すると、タッチロール8との間の金属帯1の拘束間隔が短くなるため、振動がより抑制されることになる。その結果、付着量の長さ方向の均一化が図れ、更にガスワイパ6を金属帯1に近接して設置することができるためスプラッシュ等をワイピングする効果が増加して外観欠陥の低減も可能となる。
更に、ロールが1本であるため従来法との相違点が少なく、製造方法についても従来の運転条件を大きく変更することなく適用することができる。このため浴中サポートロールをなくした実施形態に移行するための第一ステップの形態であるという特徴を有する。
尚、サポートロール5は図8に示す位置に限られるものでなく、これと反対側即ちシンクロール3と同じ金属帯1の面で接するように配置しても良い。
サポートロール5を備えた実施の形態においても、非接触金属帯制御装置7について図3から図5または図7に示したような様々なバリエーションがあることはいうまでもない。
図10は、本発明の第5の実施形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図である。本形態では、溶融金属浴2中に前述の小ポット21を設けている。
この小ポット21は、シンクロール3を覆うように配設されており、金属帯1の走行方向の断面形状は、底部が円弧状で入側側壁21bと出側側壁21fは上方外側に傾斜状に形成され、また図示しない側面側壁はほぼ垂直に配設されている。
この小ポット21は、ポット底部に堆積したドロスを巻き上げる流れとの縁をきるとともに、ドロスの堆積しないめっき部分を形成することを目的としているため、ポットは、金属帯1にめっきするめっき部分22とドロスを沈降除去するドロス沈降部分23とに機能分離される。
ここで、金属帯1の走行に伴って発生する随伴流によって、めっき部分22のめっき浴は小ポット21の出側側壁21fの上部からドロス沈降部分23に流れ、ドロス沈降部分23でめっき浴中に含まれるドロスが沈降除去される。ドロスが除去されて清浄化されためっき浴は、小ポット21の図示しない側面側壁の上部からめっき部分22に戻る。
このように、めっき部分22では、めっき浴が十分に攪拌されるため、ドロスが沈降して堆積することがない。また、ドロス沈降部分23から戻るめっき浴も清浄であるため、めっき部分22でのドロス濃度は低くなり、またドロスが成長する前にドロス沈降部分23に排出されるためドロス欠陥を抑制することができる。
本実施の形態では、溶融金属浴2中に設置されていたサポートロール5は設置していない。サポートロール5の役割である、金属帯1のC反りを矯正してガスワイパ6で平坦化させる機能は、溶融金属浴2の上方に設置した非接触金属帯制御装置7によって行うものとしているためである。
また、サポートロール5を設置しないことによって、シンクロール3の径を大きく、例えば850mm以上の直径とすることも可能となる。前述のように、シンクロール3の直径を大きくすることによって、シンクロール3に巻き付けられた金属帯1に発生する曲げ応力を小さくすることができ、従ってこの曲げにより発生する塑性変形量を小さくできるため溶融金属浴2から引き上げられる時の金属帯1のC反りを小さくすることができる。
ここで、シンクロール3の最上端と溶融金属浴2の浴面との間隔L3は50mm以上で400mm以下となるように配置する。50mm以下の場合は、シンクロール3の回転により浴面部が攪拌されトップドロスを多く発生させることになり好ましくないからである。また、400mm以上の間隔を取って設置しようとすると、深いめっき浴が必要となり設備改造費用、更なるランニングコストが必要となるためである。
また、シンクロール3は金属帯1と小ポット21との間隔L4が50mm以上で400mm以下となるように配置する。50mm以下の場合は、小ポット21の熱変形による金属帯1との接触の恐れ、小ポット21の設置時の位置決めが大変等の理由による。また、L4を400mm以上とすると金属帯1による随伴流の影響範囲が及ばなくなる領域が発生し、めっき部分22で発生したドロスをドロス沈降部分23に排出できなくなり、めっき部分22にドロスが堆積する恐れがあるためである。
次に、本形態の設備によって溶融めっき金属帯を製造した実施例について説明する。
幅1200mm、厚み1.0mmの金属帯1を速度90mpm、張力2Kg/mm2で通板し、ガスワイパ6から金属帯1の片面当たりのめっき金属付着量を45g/m2となるようにガス圧を調整した。
そして、余剰の金属を払拭するために設けたガスワイパ6の上方の金属帯1の幅方向3箇所でパスラインから20mm離れた位置に電磁石7を設置し、この電磁石7によりガスワイパ6部でのC反り量が無くなるように図示しないレーザ変位計で計測した金属帯1の変形量に応じて電流を制御した。
シンクロール3の直径は950mmで、溶融金属浴2内に設置した小ポット21と金属帯1との間隔は最小で100mmとし、また小ポット21と溶融金属浴2の底部までの間隔は550mmとして構成した。
このような構成の製造設備によって溶融めっき金属帯を製造し、その300mm角のサンプルの表面を観察したところ、ドロスの付着は見られず、また、幅方向の付着量の偏差は5g/m2であった。
一方、比較のために従来と同様にサポートロール5を設置して、シンクロール3の直径が750mmの設備で、同サイズの金属帯1をライン速度90mpmで製造したところ、300mm角のサンプルの表面のドロスの個数は約5個であり、また、幅方向の付着量の偏差は10g/m2であった。
このように、本実施の形態では、従来の構成の製造と比較して、金属帯1に付着するドロスを抑制し、かつ幅方向の付着量をより均一化することができる。また、大径のシンクロール3を用いたことによって金属帯1のC反り量も小さくなり、C反り矯正に使用した非接触金属帯制御装置7である電磁石の電流値も従来例の約1/2程度に低減していた。したがって、本実施の形態では、従来よりも低電流で金属帯1を矯正することができ、換言すれば従来では矯正が困難であった板厚の厚い金属帯1に対しても形状を平坦化することが可能となる。
図11は、本発明の第6の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図である。
本図では、第5の実施形態において溶融金属浴2中の小ポット21を設けていない点が異なっている。即ち、大径のシンクロール3を用いて金属帯1のC反り量を小さくし、更に、シンクロール3の下端と溶融金属浴2の底部との間隔L5を大きくすることで溶融金属浴2の底部に沈殿しているドロスが巻き上げられて金属帯1に付着することを低減する構成である。
本実施の形態では、シンクロール3の直径が850mm以上で、シンクロール3の下端と溶融金属浴2の底部との間隔L5を700mm以上として構成してる。このように構成することによって、小ポット21を用いなくても金属帯1に付着するドロスを抑制し、かつ幅方向の付着量をより均一化することができる。尚、間隔L5は1000mm以上とすることが望ましい。
ここで、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合せて実施しても良い。
例えば本発明は、ガスワイパ6との組み合わせのみにおいて適用されるものではなく、電磁ワイピング装置など過剰な溶融金属を払拭することができる手段とであれば組み合わせて用いることができる。
このように、各実施形態によれば、従来の溶融めっき金属帯の製造において必要不可欠とされていた浴中サポートロールを用いずに溶融めっき金属帯を製造することができる。
この結果、浴中サポートロールに起因する欠陥のない高品質な溶融めっき金属帯を製造することができる。
また、浴中サポートロールのメンテナンスが不要となるため、溶融めっき金属帯の製造効率を上げることができる。
また、浴中サポートロールのメンテナンスが不要となるため、メンテナンス費用を削減することができる。
また、浴中サポートロールの数を削減して1本のみ用いて、高品質な溶融めっき金属帯を製造することができる。
本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図。 電磁石を用いた非接触金属帯制御装置の構成を示す図。 本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の他の構成を示す図。 本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の他の構成を示す図。 本発明の第1の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の他の構成を示す図。 本発明の第2の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図。 本発明の第3の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図。 本発明の第4の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図。 拘束点からのC反り量を示す図。 本発明の第5の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図。 本発明の第6の実施の形態の溶融めっき金属帯製造装置の構成を示す図。 溶融めっき金属帯の製造ラインの構成を示す図。 従来の溶融金属浴中の装置の構成を示す配置図。 金属帯幅方向反り発生機構を説明する図。 サポートロールの反り矯正機能を説明する図。 実験装置の構成を示す図。 シンクロール付近の流れの様子を示す図。 シンクロールの径と金属帯の板厚とC反り量との関係を示す図。 シンクロールの径と最大C反り量との関係を示す図。 ポット内でのシンクロールの配置を示す図。
符号の説明
1・・・金属帯
2・・・溶融金属浴
3・・・シンクロール
4・・・スナウト
5・・・サポートロール
6・・・ガスワイパ
7・・・非接触金属帯制御装置
8・・・タッチロール
9・・・合金炉
21・・・小ポット
22・・・めっき部分
23・・・ドロス沈降部分

Claims (1)

  1. 金属帯をめっき金属である溶融金属浴中に引き込む引込工程と、
    前記金属帯に溶融金属を付着させるとともに、前記溶融金属浴中では方向転換させる以外の力学的作用を及ぼさずに前記金属帯を溶融金属浴外へ引き上げる付着工程と、
    前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭するワイパによって、溶融金属の付着量を調整する調整工程と、
    前記ワイパの直前または直後で前記金属帯の形状を非接触で制御する制御工
    程と
    を有することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
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