JP2005232568A - 金属帯の制御装置および溶融めっき金属帯の製造方法 - Google Patents

金属帯の制御装置および溶融めっき金属帯の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属帯の表裏両面側に通板される金属帯の最大板幅よりも広い範囲に亘って多数の電磁石を設置することなく、必要最小限の電磁石で確実に金属帯のパスラインや反り等の制御を行うことができる金属帯の制御装置を提供すること。
【解決手段】金属帯1を挟むように対向して設けられた一対の電磁石2a,2bおよび金属帯1の面外方向変位を測定するセンサ3aからなる3組の電磁石ユニット4を有し、これらを金属帯1の最小板幅Wminよりも狭い範囲内の板幅方向に並べ、センサ3aの情報に基づいて3組の電磁石ユニット4の出力を制御して金属帯1の少なくともパスラインを非接触で制御する第1の金属帯制御手段10と、金属帯1の最小板幅Wminよりも広くかつ最大板幅Wmaxよりも狭い範囲内の板幅方向に並べられた複数個の電磁石2c,2dを有し、これら電磁石の出力を制御して金属帯1の少なくとも反りを矯正する第2の金属帯制御手段20とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属帯のパスライン、反り、および振動を非接触で抑制する金属帯の制御装置、およびそのような金属帯の制御装置を用いた溶融めっき金属帯の製造方法に関する。
金属帯を製造するラインにおいて、その金属帯の反りや振動を抑制し、パスラインを安定に保つことは、金属帯の品質を良くするばかりでなく、その製造ラインの能率を向上させることにもつながる重要な要素である。
例えば、溶融めっき金属帯の製造ラインにおいては、前工程である冷間圧延プロセスにおいて圧延され、続く洗浄プロセスにおいて表面が洗浄された金属帯が運搬され、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉において表面酸化膜が除去され焼鈍処理をされた後、溶融金属の温度とほぼ同程度まで冷却されて溶融金属浴内に導かれる。溶融金属中を浸漬されながら通板され、表面に溶融金属が付着された金属帯は、溶融金属浴から引き出され、溶融金属浴後に設置されてあるガスワイパから噴出するガスにより、金属帯に付着した過剰の溶融金属が払拭されて金属付着量の調整が行われる。
このとき、ガスワイパからはワイピングガスが金属帯の表裏に板幅方向に均一に圧力がかかるようにスリット状に噴出されている。したがって、金属帯が反っている場合や振動している場合、あるいはパスラインが表裏どちらかに偏っている場合には、ガスワイパと金属帯との距離が一定でないためワイピングガスの圧力が均一にならず、金属帯の表裏や板幅方向、あるいはライン方向に付着量のムラが発生することになる。
このような問題点を解決する方法として、電磁石を用いて非接触で金属帯の反りや振動を抑制する技術が知られている。
例えば、特許文献1には、帯板状の鋼板を移動させるべき正常な走路面を間にして、一対の電磁石を互いに対向するように配置するとともに、その一方の電磁石の近傍に非接触式の位置検出器を配置し、その位置検出器からの信号に応じて制御器により各電磁石の吸引力を相互に切り替えながら作用させることで、鋼板の反りや振動の抑制を図っている。
一般に金属帯の反りは図9のようなC反りと呼ばれる形状の場合が多く、また金属帯の振動は図10の(a)に示す曲げモード(弦振動)と、(b)に示す捩れモードの組み合わせの場合が多いことから、電磁石は金属帯板幅方向中央部と両エッジ部の3ヵ所に設置することが望まれる。そこで金属帯の板幅に応じて両エッジ部の電磁石位置を適切に移動する機構を有する技術も提案されている(特許文献2)。
ところが、特許文献2のように電磁石位置を移動するには電磁石の駆動機構が必要であり、設備の構造が複雑になる。また、電磁石の移動にはある程度時間がかかり、金属帯の板幅が変化してからしばらくの間は反りや振動を抑制できないため、その部分で品質不良が生じて製品の歩留まりが低下することになる。
この問題を解決するため、金属帯の表裏両面側に通板される金属帯の最大板幅よりも広い範囲に渡って複数の電磁石を並べ、金属帯の板幅に応じて使用する電磁石を電気的に切り換える技術が提案されている。この技術によれば,電磁石を移動する必要がないので設備の構造が簡単になり、また金属帯の板幅変化に対して磁力を発生する範囲を電気的に即座に切り換えることができるため、金属帯の板幅が変化しても、その位置で反りや振動が大きくなるのを防止することができ、品質不良の発生を最小限に抑え得るとしている。
しかしながら、上記の金属帯非接触制御技術では、金属帯の表裏両面側に多くの電磁石を配置する必要があるため、設備的に大掛かりで高価なものになったり、走行する金属帯の近くに多数配置された電磁石が操業の妨げになったりといった問題があった。
例えば、溶融めっき金属帯製造におけるめっき付着量ムラ改善のために電磁石による金属帯非接触制御装置を設置する場合、金属帯のパスライン制御の観点からは、金属帯を平坦かつ無振動状態にして所望のパスラインに保ちたいガスワイパ部に少しでも近いところに電磁石を設置することが望ましい。ところが、ガスワイパ付近に電磁石が配置されると気流を乱す要因になるので、ワイピングの観点からは望ましくない。このように、必要最小限の電磁石配置で金属帯のパスライン等の制御を実現することが望まれているが未だ実現されていない。
特開平2−62355号公報 実開平5−30148号公報 特開平7−256341号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、従来のように金属帯の表裏両面側に通板される金属帯の最大板幅よりも広い範囲に亘って多数の電磁石を設置することなく、必要最小限の電磁石で確実に金属帯のパスラインや反り等の制御を行うことができる金属帯の制御装置、および、そのような装置を用いて高品質な溶融めっき金属帯を製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する新しい金属帯パスライン制御装置を開発するため、本発明者らは先ず、実際の溶融亜鉛めっき鋼板製造ライン(CGL)を対象に、(1)パスライン制御、(2)制振、(3)反り矯正のそれぞれに要求される電磁石の機能を整理することとした。CGLで製造される鋼板の最小板幅は600〜700mm、最大板幅は1200〜1800mmの場合が大部分であるので、これを前提に検討を行い、以下の結論を得た。
(1)パスライン制御
電磁石は一方向すなわち吸引力しか発生することができないので、金属帯を任意のパスラインに移動させるには,金属帯の表裏両面側に電磁石を設置する必要がある。ただし、最小板幅の600〜700mmを想定した場合、金属帯は板幅方向にある程度の剛性を有しているので、通板される金属帯の最小板幅の中央部および両エッジ部の3ヵ所の表裏面両側に電磁石を設置してパスライン制御を行えば金属帯全体を任意のパスラインに移動させることが可能で、それ以上の電磁石を設置する必要はない。板幅が広くかつ板厚が薄い場合には、金属帯の剛性が低下するため、金属帯全体のパスライン制御に確実を期す観点から上記3ヵ所の他に電磁石を設置することが好ましい場合もあるが、その場合には上記3ヵ所に加えて板幅エッジ部付近で電磁石を作用させればよい。一方で板幅が広い場合でも、板厚がある程度厚ければ最小板幅内の上記3ヵ所の電磁石で十分に金属帯全体のパスライン制御が可能となる。
(2)制振
金属帯の振動は表裏両方向への動きとなるので、パスライン制御同様、金属帯の表裏両面側に電磁石を設置する必要がある。ただし、抑制すべき振動モードは通常、曲げ1次モードおよび捩れ1次モードのみであり、最小板幅の600〜700mmを想定した場合、通板される金属帯の最小板幅の中央部および両エッジ部の3ヵ所の表裏面両側に電磁石を設置して制振を行えば金属帯全体の振動を抑制することが可能であり、それ以上の電磁石を設置する必要はない。一般に、ある振動モードを抑制しようとする際、制振力は等価質量の小さいところ、すなわち振動振幅の大きいところに作用させるのが効率的である。したがって、曲げ1次モードの場合は板幅方向のどの場所でも大差ないが、捩れ1次モードの場合には板幅エッジ部付近に電磁石を設置することが望ましい。つまり金属帯の板幅が広い場合にはその板幅に応じてエッジ部付近で電磁石を作用させるのがよいことになる。しかし、上記最小板幅内の3ヵ所に設置された電磁石でも、最適効率ではないが、曲げ1次モードおよび捩れ1次モードを制振することは可能であり、実用上の問題はほとんどない。
(3)反り矯正
5通常問題となるのはC反りと呼ばれる略C状の反りであり、最小板幅の600〜700mmを想定した場合、金属帯は板幅方向にある程度の剛性を有しているので、通板される金属帯の最小板幅の中央部および両エッジ部の3ヵ所に電磁石を設置して反り矯正を行えば金属帯全体の反りを抑制することが可能で、それ以上の電磁石を設置する必要はない。しかも一般にそのC反りの方向はロール配置などライン仕様で一定方向に決まるので、電磁石を金属帯の表裏両面側に設置する必要はなく、板幅中央部はC反りの凹側、板幅エッジ部はC反りの凸側のみに設置すれば良い。ただし、C反りは板幅エッジ部の矯正が非常に重要となるので、電磁石ができるだけ金属帯のエッジ部付近に位置していることが望まれる。
以上の検討結果より、必要最小限の電磁石でパスライン等を制御可能な最適電磁石配置は以下の通りとの結論に到達した。
(a)通板される金属帯の最小板幅内では金属帯の表裏両面側の板幅方向3ヵ所で必要十分である。できればその3ヵ所は最小板幅の中央部および両エッジ部であることが望ましい。
(b)通板される金属帯の最小板幅を超えて最大板幅までの範囲においては、どの板幅に対しても両エッジ部付近に力を作用できるよう、電磁石を金属帯の表裏両面側の板幅方向に隙間なく複数並べることが望ましい。ただし、C反りの方向が一定である場合には、表裏両面側でなく、C反りの凸側のみで十分である。
本発明は、以上のような知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(10)を提供する。
(1)金属帯の製造ラインまたは処理ラインに設置され、ライン内走行中の前記金属帯の少なくともパスラインおよび反りを非接触で制御する金属帯の制御装置であって、
前記金属帯の表裏を挟むように対向して設けられた一対の電磁石および前記金属帯の面外方向変位を測定するセンサからなる3組の電磁石ユニットを有し、これらを前記通板される金属帯の最小板幅よりも狭い範囲内の板幅方向に並べ、前記センサの情報に基づいて前記3組の電磁石ユニットの出力を制御して前記金属帯の少なくともパスラインを非接触で制御する第1の金属帯制御手段と、
通板される金属帯の最小板幅よりも広く、かつ通板される金属帯の最大板幅よりも狭い範囲内の板幅方向に並べられた複数個の電磁石を有し、これら電磁石の出力を制御して前記金属帯の少なくとも反りを矯正する第2の金属帯制御手段と、
を備えたことを特徴とする金属帯の制御装置。
(2)上記(1)において、前記センサは、前記一対の電磁石のいずれか一方の近傍に設けられていることを特徴とする金属帯の制御装置。
(3)上記(1)または(2)において、前記第1の金属帯制御手段は、前記3組の電磁石ユニットが、最小板幅の中央部および両エッジ部に配置されていることを特徴とする金属帯の制御装置。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記第1の金属帯制御手段は、前記センサの情報に基づいて前記3組の電磁石ユニットに制御情報を出力して前記金属帯の少なくともパスラインを非接触で制御する第1の制御部をさらに有することを特徴とする金属帯の制御装置。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記第2の金属帯制御手段の複数個の電磁石が、前記金属帯の表裏何れか片面側のみに配置されていることを特徴とする金属帯の制御装置。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記第1の金属帯制御手段は、通板される金属帯の板幅にかかわらず全ての電磁石ユニットが使用されるようにし、前記第2の金属帯制御手段は、複数の電磁石のうち通板される金属帯の板幅に応じて必要なもののみが選択的に使用されるようにすることを特徴とする金属帯の制御装置。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかにおいて、前記第2の金属帯制御手段は、前記複数個の電磁石に制御情報を出力して金属帯の少なくとも反りを矯正する第2の制御部を有する金属帯の制御装置。
(8)上記(7)において、前記第2の金属制御手段は、前記金属帯の面外方向変位を測定するセンサをさらに有し、前記第2の制御部は、前記センサの情報に基づいて前記電磁石を制御することを特徴とする金属帯の制御装置。
(9)上記(7)において、前記第2の金属制御手段は、前記金属帯をその板幅方向から臨むように配置された反り測定センサをさらに有し、前記第2の制御部は、前記反り測定センサの情報に基づいて前記電磁石を制御して前記金属帯の反りを矯正することを特徴とする金属帯の制御装置。
(10)金属帯をめっき金属である溶融金属浴中に引き込む引込工程と、前記金属帯に溶融金属を付着させ、前記金属帯を溶融金属浴外に引き上げる付着工程と、前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭するワイパによって溶融金属の付着量を調整する調整工程とを有する溶融めっき金属帯の製造方法において、前記ワイパの直前または直後に、上記いずれかの金属帯の制御装置により、前記金属帯の少なくともパスラインおよび反りを非接触で制御する制御工程とを有することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
本発明によれば、金属帯のパスライン、振動、反りを必要最小限の電磁石個数で制御する非接触パスライン制御装置を提供することができる。この結果,装置はコンパクトで操業の妨げにならず、かつ安価なものとなる。
また、本装置を溶融めっき金属帯製造ラインに用いることにより、必要最小限のコンパクトな構成で、ワイピングの気流を乱すことなく、金属帯の形状矯正及び制振が達成され、めっき付着量ムラを改善することができるので、高品質な溶融めっき金属帯を製造することができる。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る金属帯の制御装置の構成を示す図である。図中、金属帯1は幅方向の断面で表現されており、紙面と直交方向に走行している。Wminは通板される金属帯1の最小板幅を示し、Wmaxは最大板幅を示している。
この金属帯の制御装置は、第1の金属帯制御手段10と、第2の金属帯制御手段とを有している。
第1の金属帯制御手段10は、最小板幅Wminの範囲内に金属帯1を挟むように対向して配置された一対の電磁石2a,2bと、これら電磁石対の各々のうち、金属帯1の片面側の電磁石2aの近傍に設置された、金属帯1の板厚方向の変位、すなわちパスライン位置を測定する非接触変位センサ3a(例えば渦流式距離計)とからなる3組の電磁石ユニット4を有しており、さらに非接触変位センサ3aの情報に基づいて3組の電磁石ユニット4に指令電流(制御情報)を出力して前記金属帯の少なくともパスラインを非接触で制御する第1の制御部5aを有している。上記3組の電磁石ユニット4は、最小板幅Wminの中央部と両エッジ部の3ヵ所に設けられている。
図2は、電磁石ユニット4を金属帯1の側面方向から見た図である。この図に示すように、上方向に走行する金属帯1を挟むように対向して電磁石2a,2bが設置され、電磁石2aの上方に非接触変位センサ3が配置されている。
第2の金属帯制御手段20は、最小板幅Wminよりも広く、最大板幅Wmaxよりも狭い範囲に、金属帯1を挟むように対向して配置された一対の電磁石2c、2dからなる電磁石対が板幅方向に隙間なく複数組(図1では10組)配置され、さらに金属帯1の片面側の電磁石2cの近傍に設けられた非接触変位センサ3b(例えば渦流式距離計)、および非接触変位センサ3bの情報に基づいて電磁石2c、2dに指令電流(制御情報)を出力して金属帯の少なくとも反りを矯正する第2の制御部5bを有している。なお、非接触変位センサ3bも非接触変位センサ3aと同様、電磁石2cの上方に配置されている。
第1の制御部5aと第2の制御部5bとは制御ユニット5を構成している。第1の制御部5aおよび第2の制御部5bは、いずれも、コントローラ部とアンプ部からなり、コントローラ部では、変位の測定値と目標値(目標パスライン位置)との偏差信号に比例、積分、微分などの処理(例えばPID制御)を実施し、金属帯1のパスライン等を制御するための操作量(指令値)を演算する。そしてその操作量をアンプ部に入力し、アンプ部からは操作量に対応した電流が電磁石2a,2b,2c,2dに流される。ここで電磁石2a,2b,2c,2dの制御は板幅方向の各組ごとに独立して行うのが簡便で一般的であるが、各組間の連成を考慮した制御系を構築してもよい。なお、第1の制御部5aと第2の制御部5bとは明確に区別されている必要はなく、制御ユニット5内に一体的に存在していてもよい。
このように構成された金属帯の制御装置によれば、第1の制御手段10の電磁石ユニット4が、通板される金属帯の最小板幅Wminの中央部と両エッジ部の3ヵ所に設けられているのでパスラインおよび振動の制御が有効になされ、また、第2の金属帯制御手段20は、通板される金属帯の最小板幅を超えて最大板幅までの範囲において、複数対の電磁石2c,2dが隙間なく配置されているので、どの板幅に対しても両エッジ部付近に力を作用させることができ、反りの矯正を有効に実施することができる。なお、電磁石2c,2dをこのように隙間なく配置することにより、反り矯正の効果は大きくなるが、必ずしも隙間なく配置する必要はない。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態の金属帯の制御装置の構成を示す図である。図3に示すように、この実施形態では、第1の金属帯制御手段10は、上記第1の実施形態と全く同様に構成されているが、第2の金属帯制御手段20aは、第1の実施形態の第2の金属帯制御手段20とは異なり、金属帯1の片面のみに電磁石が設けられている。すなわち、最小板幅Wminよりも広く、最大板幅Wmaxよりも狭い範囲に、電磁石2cが複数個(図3では10個)隙間なく配置されており、図1に示す電磁石2dは存在しない。第2の金属帯制御手段20aの他の構成は、第2の金属帯制御手段20と同様である。
第2の実施形態は、金属帯1の反り形状が一定方向のC反りである場合に極めて有効な構成である。一般にC反りの方向は金属帯1に曲げ曲げ戻しを加えるロールの配置によって決まる。図4は、ロール11による曲げ曲げ戻しにより金属帯1にC反りが発生するメカニズムを説明する図である。
ロール11によって金属帯1がロール接触時に曲げられた後、ロール11から離れる際に曲げ戻される応力を受けることで、金属帯1の表裏面にはロール11の曲げと曲げ戻しによって長手方向と幅方向共に引張応力と圧縮応力を受けることになる。
ロール11から離れる直前の位置12では、ロール11と接触している金属帯1の面に引張応力12a,その反対の面に圧縮応力12bが作用している。したがって、金属帯1がロール11から離れて拘束力がなくなった位置13では、ロール11と接触している金属帯1の面で引張応力が解放されて元に戻ろうとする力13aが働き、その反対の面では圧縮応力が解放されて元に戻ろうとする力13bが働くため、その応力分布によって金属帯1の断面が略C状となる反りが発生すると考えられている。
このため、金属帯製造ラインまたは金属帯処理ラインなどで搬送される金属帯1がロールによって曲げと曲げ戻しを受けるプロセスでは、前述のような反りは常に発生する可能性があり、反りの発生メカニズムから考察すると、その反りの方向はロール配置など各々のラインの特性によって定まっていることが多い。
したがって、このような場合には、電磁石を配置する際には、予め定まった反りの形状を矯正するのに適した位置に配置することが可能となる。第2の実施形態はこのような知見と考察に基づいてなされたものである。
このように、第2の実施形態では、最小板幅Wminよりも広く、最大板幅Wmaxよりも狭い範囲において、一方側のみに電磁石を配置すればよいので、設備をより簡略化することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る金属帯の制御装置の構成を示す図である。図5に示すように、この実施形態では、第1の金属帯制御手段10は、上記第1、2の実施形態と全く同様に構成されているが、第2の金属帯制御手段20bは、第1、2の実施形態の第2の金属帯制御手段20、20aとは異なっている。すなわち、第2の金属帯制御手段20bは、電磁石の配置は第2の実施形態の第2の金属帯制御手段20aと全く同じであるが、非接触変位センサ3bの代わりに反りセンサとしてカメラ6が設置されている。
図6は、この第3の実施形態に係る金属帯制御装置を溶融めっき金属帯の製造ラインに適用した場合について示す図であり、(a)は斜視図、(b)はカメラ6の視野を表す図である。図中、符号7は溶融金属浴、8はガスワイパである。
カメラ6は、図5および6に示すように金属帯1をその側面から観測して金属帯1のエッジを抽出することで反り量を測定する。測定された反り量の信号は制御ユニット5の第2の制御部5bに入力される。
すなわち、制御ユニット5では例えば以下のように分担して処理することで、金属帯1のパスライン、振動、反りを制御する。
最小板幅Wminよりも狭い範囲内にある第1の金属帯制御手段10の3組の電磁石2a、2bは、非接触変位センサ3aで測定した金属帯1の変位信号に基づいて制御ユニット5の第1の制御部5aによる例えばPID制御により駆動され、主に金属帯1のパスラインおよび振動を制御する。一方、最小板幅Wminよりも広く、最大板幅Wmaxよりも狭い範囲にある第2の金属帯制御手段20bの電磁石2cは、反りセンサであるカメラ6で測定した反り量に基づいて制御ユニット5の第2の制御部5bにより、反り量を最小にする操作量で駆動され、金属帯1の反りを矯正する。
上記第3の実施形態では、反りセンサであるカメラ6により金属帯1のトータルの反り量を測定して制御するので、非接触変位センサの個数を大幅に削減できるメリットがある。また、図6のような溶融めっき金属帯製造ラインの場合、金属帯1の形状を平坦化したいのはガスワイパ部であるが、渦流式距離計のような非接触変位センサ3をガスワイパの高さに設置するのは物理的に不可能なのに対し、反りセンサとしてのカメラ6はガスワイパ高さの金属帯1の反りを測定できるので、実際に制御したい部位を確実に制御することができるメリットもある。
また、上記第3の実施形態では金属帯1の反りを測定するのにカメラ画像を利用しているが、これがセンサでなく人間の目であっても構わない。すなわち、人間の目で見て、金属帯1の反りが小さくなるように手動で電磁石2に流れる電流を調整してもよい。
なお、以上の第1〜3の全ての実施形態において、最小板幅Wminよりも狭い範囲内にある3組の電磁石2a、2bは常に使用するが,最小板幅Wminよりも広く、最大板幅Wmaxよりも狭い範囲にある電磁石2b、2cは通板される金属帯1の板幅に応じて、例えば最もエッジに近いものなど、必要なものだけを選択して使用すればよい。
次に、本発明の金属帯の制御装置を適用可能な溶融めっき金属帯の製造ラインについて詳細に説明する。
図7は、一般的な溶融めっき金属帯の製造ラインの構成を示す図である。前工程である冷間圧延プロセスにおいて圧延され、続く洗浄プロセスにおいて表面が洗浄された金属帯1は、溶融めっき金属帯製造ラインに運搬され、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉31において表面酸化膜が除去され焼鈍処理をされた後、溶融金属の温度とほぼ同程度まで冷却されて溶融金属浴32内に導かれる。
金属帯1は溶融金属浴32内の溶融金属中を浸漬されながら通板され、その表面に溶融金属が付着する。そして、溶融金属浴32から引き出された金属帯1は溶融金属浴32後に設置されてあるガスワイパ33から噴出するガスにより、金属帯に付着した過剰の溶融金属が払拭されて金属付着量の調整が行われる。
続くプロセスでは、用途に応じて、例えばその金属帯1が自動車用外板として使用される場合には、合金化炉34を使用して金属帯を再加熱し均質な合金層を作り出す合金化処理を施した後、また、合金化が不要な場合にはそのまま、金属帯1が冷却帯35に供給され、その後、化成処理36で特殊の防錆、耐食処理が施され、コイルに巻き取られて出荷される。
この際、図8に示すように、ガスワイパ33からはワイピングガス37が金属帯1の表裏に板幅方向に均一に圧力がかかるようにスリット状に噴出されている。したがって、図8に示すように金属帯1が反っている場合や、振動している場合、あるいはパスラインが表裏どちらかに偏っている場合には、ガスワイパ33と金属帯1との距離が一定でないためワイピングガス37の圧力が均一にならず、金属帯1の表裏や板幅方向、あるいはライン方向に付着量のムラが発生することになる。
このような不都合を解消するために、本発明の金属帯の制御装置は極めて有効である。すなわち、ガスワイパ33の直前または直後に上記いずれかの実施形態の金属帯の制御装置を配置することにより、金属帯のパスラインの変動や振動、および反りを解消することができ、金属帯1の表裏や板幅方向、あるいはライン方向に溶融金属の付着量のムラが発生することを極めて有効に防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。また、上記実施形態に開示された構成を適宜組み合わせることにより種々の発明を抽出することができ、例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題を解決することができ、発明の効果が得られる場合には、その構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
本発明によれば、金属帯のパスライン、振動、反りを必要最小限のコンパクトな構成で有効に制御することができ、溶融めっき金属帯製造ライン等の金属帯制御に広く利用することが可能である。
本発明の第1の実施形態に係る金属帯の制御装置の構成を示す図。 本発明の第1の実施形態に係る金属帯の制御装置の電磁石ユニットを金属帯の側面方向から見た図。 本発明の第2の実施形態に係る金属帯の制御装置の構成を示す図。 金属帯幅方向反りの発生メカニズムを説明する図。 本発明の第3の実施形態に係る金属帯の制御装置の構成を示す図。 本発明の第3の実施形態に係る金属帯の制御装置を溶融めっき金属帯の製造ラインに適用した場合について示す図。 溶融めっき金属帯の製造ラインの構成を示す図。 溶融めっき金属帯の製造ラインに用いられるガスワイパと金属帯の位置関係を示す図。 金属帯の反り形状を説明する図。 金属帯の振動モードを説明する図。
符号の説明
1;金属帯
2a,2b,2c,2d;電磁石
3a,3b;非接触変位センサ
4;電磁石ユニット
5;制御ユニット
5a;第1の制御部
5b;第2の制御部
6;カメラ(反りセンサ)
10;第1の金属帯制御手段
20,20a,20b;第2の金属帯制御手段

Claims (10)

  1. 金属帯の製造ラインまたは処理ラインに設置され、ライン内走行中の前記金属帯の少なくともパスラインおよび反りを非接触で制御する金属帯の制御装置であって、
    前記金属帯の表裏を挟むように対向して設けられた一対の電磁石および前記金属帯の面外方向変位を測定するセンサからなる3組の電磁石ユニットを有し、これらを前記通板される金属帯の最小板幅よりも狭い範囲内の板幅方向に並べ、前記センサの情報に基づいて前記3組の電磁石ユニットの出力を制御して前記金属帯の少なくともパスラインを非接触で制御する第1の金属帯制御手段と、
    通板される金属帯の最小板幅よりも広く、かつ通板される金属帯の最大板幅よりも狭い範囲内の板幅方向に並べられた複数個の電磁石を有し、これら電磁石の出力を制御して前記金属帯の少なくとも反りを矯正する第2の金属帯制御手段と、
    を備えたことを特徴とする金属帯の制御装置。
  2. 前記センサは、前記一対の電磁石のいずれか一方の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の金属帯の制御装置。
  3. 前記第1の金属帯制御手段は、前記3組の電磁石ユニットが、最小板幅の中央部および両エッジ部に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属帯の制御装置。
  4. 前記第1の金属帯制御手段は、前記センサの情報に基づいて前記3組の電磁石ユニットに制御情報を出力して前記金属帯の少なくともパスラインを非接触で制御する第1の制御部をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属帯の制御装置。
  5. 前記第2の金属帯制御手段の複数個の電磁石が、前記金属帯の表裏何れか片面側のみに配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金属帯の制御装置。
  6. 前記第1の金属帯制御手段は、通板される金属帯の板幅にかかわらず全ての電磁石ユニットが使用されるようにし、前記第2の金属帯制御手段は、複数の電磁石のうち通板される金属帯の板幅に応じて必要なもののみが選択的に使用されるようにすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金属帯の制御装置。
  7. 前記第2の金属帯制御手段は、前記複数個の電磁石に制御情報を出力して金属帯の少なくとも反りを矯正する第2の制御部を有する請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の金属帯の制御装置。
  8. 前記第2の金属制御手段は、前記金属帯の面外方向変位を測定するセンサをさらに有し、前記第2の制御部は、前記センサの情報に基づいて前記電磁石を制御することを特徴とする請求項7に記載の金属帯の制御装置。
  9. 前記第2の金属制御手段は、前記金属帯をその板幅方向から臨むように配置された反り測定センサをさらに有し、前記第2の制御部は、前記反り測定センサの情報に基づいて前記電磁石を制御して前記金属帯の反りを矯正することを特徴とする請求項7に記載の金属帯の制御装置。
  10. 金属帯をめっき金属である溶融金属浴中に引き込む引込工程と、前記金属帯に溶融金属を付着させ、前記金属帯を溶融金属浴外に引き上げる付着工程と、前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭するワイパによって溶融金属の付着量を調整する調整工程とを有する溶融めっき金属帯の製造方法において、前記ワイパの直前または直後に、請求項1から請求項9のいずれかに記載の金属帯の制御装置により、前記金属帯の少なくともパスラインおよび反りを非接触で制御する制御工程とを有することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
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