JP5644141B2 - 金属帯の制振及び位置矯正装置、および該装置を用いた溶融めっき金属帯製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、溶融めっき金属帯の製造ラインにおいては、金属帯が溶融金属中を浸漬されながら通板されることで表面に溶融金属が付着され、溶融金属浴後に設けられたガスワイパから噴出するガスにより、金属帯に付着した過剰の溶融金属が払拭されてめっき付着量の調整が行われる。
そのため、金属帯が振動している場合や反っている場合、あるいはパスラインが表裏どちらかに偏っている場合には、ガスワイパと金属帯との距離が一定でないためワイピングガスの圧力が均一にならず、金属帯の表裏や板幅方向、あるいは通板方向に付着量のムラが発生することになる。
例えば、特許文献1には、帯状の鋼板を移動させるべき走路面を間にして、一対の電磁石を互いに対向するように配置するとともに、その一方の電磁石の近傍に非接触式の位置検出器を配置し、その位置検出器からの信号に応じて制御器により各電磁石の吸引力を相互に切り替えながら作用させることで、鋼板の反りや振動の抑制を図る技術が開示されている。
この技術によれば、巻数の少ない振動抑制用コイルで振動制御を行うとともに、巻数の多い位置矯正用コイルで反り矯正およびパスライン矯正を行うことが可能なため、振動抑制能力と位置矯正能力を両立して制御を行うことができる。
しかしながら、上記の特許文献2に開示された金属帯非接触制御技術では、振動抑制用コイルと位置矯正用コイルの巻数をあらかじめ設計する必要があり、設計通りに製作した後は巻数を変更することができない。そのため、特許文献2の技術では、ある特定の操業条件に合わせてコイルの巻数を設計しなければならず、設計した操業条件以外の場合には制御能力が最適ではない場合がある。
本発明はかかる知見に基づいて、さらなる検討の結果得られたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
前記コイル形成装置は、板厚情報が入力されたときに、金属帯の板厚に応じて予め設定されたコイルの組み合わせを行うことを特徴とするものである。
上記(1)に記載の制振及び位置矯正装置により、前記金属帯の振動と位置を非接触で制御する制御工程を有し、該制御工程は板厚に応じて前記電磁石のコイルの組み合わせを変更することを特徴とするものである。
また、本発明の金属帯の制振及び位置矯正装置を溶融めっき金属帯製造ラインに用いることにより、金属帯の板幅方向およびライン方向のめっき付着量ムラを改善することができ、高品質な溶融めっき金属帯を製造することができる。
本発明の一実施の形態に係る金属帯の制振及び位置矯正装置1は、図3に示すように、上方向に走行する金属帯3の両面側に設置された電磁石5と、電磁石5の近傍に設置されて金属帯3の変位を測定する非接触変位センサ7と、非接触位置センサの情報に基づいて前記電磁石5の磁力を制御してオンライン走行中の前記金属帯3の制振及び位置矯正を行なう制御装置9とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
電磁石5は、図2に示すように、7個のコイル1a〜1gを一つのコア11に巻いた構成である。このような構成のため、7個のコイル1a〜1gの中から1個以上のコイルを任意に選択し、選択したコイルを組み合わせて直列に接続することによって、振動抑制用コイルと位置矯正用コイルの2系統のコイルを形成することができるようになっている。そして、コイルの組み合わせを変更することで振動抑制用コイルと位置矯正用コイルの巻数を変更することが可能である。
なお、7個のコイルはそれぞれ同じ巻数でも良いし、異なる巻数でも良い。
また、本実施の形態ではコイルの数を7個に設定したが、本発明はこれに限られるものではなく、コイルの数は3個以上であれば、技術常識の範囲内で適宜設定することができる。
これに対して、金属帯3の反り矯正およびパスライン矯正は、静的な力で十分なため高い応答性は不要であるが、小さな電流で大きな吸引力を発生できる方が望ましい。したがって、位置矯正用コイルの巻数は多い方が望ましい。
よって、振動抑制用コイルの巻数が少なく、位置矯正用コイルの巻数が多くなるように7個のコイル1a〜1gを組み合わせることで振動抑制と位置矯正の能力を両立して制御を行うことが可能となる。
非接触位置センサは、電磁石5の近傍に設置されて金属帯3の変位を測定する。このような非接触位置センサとしては、例えば渦電流式位置センサを用いることができる。
制御装置9は、非接触位置センサの測定値と目標値を入力して、測定値と目標値との偏差信号に比例、微分、積分などの処理(例えばPID制御)を行って、振動抑制用コイル及び位置矯正用コイルの操作量を演算する操作量演算装置13と、操作量演算装置13によって演算された振動抑制用コイル及び位置矯正用コイルの操作量の信号を入力して表裏の電磁石5に分配する表裏分配装置15と、表裏分配装置15の信号に基づいて電流を増幅するアンプ17と、アンプ17の電流を入力すると共にコイル組み合わせ指令に基づいて7個のコイルの中から1個以上のコイルを選択し、選択したコイルを組み合わせて直列に接続することによって、振動抑制用コイルと位置矯正用コイルの2系統のコイルを形成するコイル形成装置19とを備えている。
なお、コイル形成装置19は、金属帯3の表裏に設置されたそれぞれの電磁石5に対応してそれぞれ設けられている。
なお、応答性を良くするために振動抑制用コイルの巻数はできるだけ少ない方が良いが、制御に必要な吸引力を発生できるだけの巻数を確保する必要はある。
このように、板厚に応じて振動抑制用コイルと位置矯正用コイルの巻数の組み合わせを変更することで、板厚が薄い場合には、振動抑制用コイルの巻数をより少なくすることができるため、より応答性のよい振動抑制が可能になる。
金属帯3の板厚に応じて、例えばオペレータがコイル組み合わせ指令をコイル形成装置19に入力する。コイル形成装置19は、指令に基づいて振動抑制用コイルと位置矯正用コイルを形成するように直列に接続する。例えば、コイル1a〜1cを直列に接続して振動抑制用コイルを形成し、コイル1d〜1gを直列に接続して位置矯正用コイルを形成する。
また、電磁石5と非接触位置センサ7との鋼帯通板方法の前後位置はどちらが先に来てもよい。
本実施の形態2は、実施の形態1で示した金属帯の制振及び位置矯正装置1を用いて金属帯3の表面にめっきを行って溶融めっき金属帯を製造する製造方法に関するものである。
図4に基づいて溶融めっき金属帯製造装置の概要を説明する。本実施の形態に係る溶融めっき金属帯製造装置は、溶融金属が貯留されるめっき金属溶融槽21と、めっき金属溶融槽21内に設置されて金属帯3を案内する浸漬ロール23と、金属帯3に付着した過剰の溶融金属を払拭するガスワイパ25と、実施の形態1において説明した金属帯の制振及び位置矯正装置1を備えている。なお、図4においては、金属帯の制振及び位置矯正装置1に関し、金属帯3の片面側に設置された電磁石5と、電磁石5の近傍に設置されて金属帯3の変位を測定する非接触変位センサ7のみを図示し、非接触位置センサの情報に基づいて前記電磁石5の磁力を制御してオンライン走行中の前記金属帯3の制振及び位置矯正を行なう制御装置9は図示を省略している。
3 金属帯
5 電磁石
7 非接触変位センサ
9 制御装置
11 コア
13 操作量演算装置
15 表裏分配装置
17 アンプ
19 コイル形成装置
21 めっき金属溶融槽
23 浸漬ロール
25 ガスワイパ
Claims (2)
- 金属帯の片側又は両側に配置された電磁石と、該電磁石の近傍に設置されて前記金属帯の位置を非接触で検出する非接触位置センサと、該非接触位置センサの情報に基づいて前記電磁石の磁力を制御してオンライン走行中の前記金属帯の制振及び位置矯正を行なう制御装置を備えた金属帯の制振及び位置矯正装置であって、
前記電磁石は3個以上のコイルからなるコイル群を備えてなり、
前記制御装置は、前記コイル群からコイルを選択して組み合わせることによって所定の巻数の振動制御用コイルと、該振動制御用コイルよりも巻数が多い位置矯正用コイルの2系統のコイルを形成するコイル形成装置を備えてなり、
前記コイル形成装置は、板厚情報が入力されたときに、金属帯の板厚に応じて予め設定されたコイルの組み合わせを行うことを特徴とする金属帯の制振及び位置矯正装置。 - 金属帯をめっき金属である溶融金属浴中に引き込む引込工程と、前記金属帯に溶融金属を付着させ、前記金属帯を溶融金属浴外に引き上げる付着工程と、前記金属帯に付着した過剰の溶融金属を払拭するガスワイパによって溶融金属の付着量を調整する付着量調整工程と、を有する溶融めっき金属帯の製造方法において、
請求項1に記載の制振及び位置矯正装置により、前記金属帯の振動と位置を非接触で制御する制御工程を有し、該制御工程は板厚に応じて前記電磁石のコイルの組み合わせを変更することを特徴とする溶融めっき金属帯の製造方法。
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