JP2004010983A - 非接触通板方向転換装置及びめっき鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼帯製造ラインにおける鋼帯の方向転換を非接触でかつ安定して行うことができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供する。
【解決手段】張力が付与されて走行する鋼帯4の通板方向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置であって、鋼帯の方向転換時における凸面側または両面側に配設され、鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石3と、方向転換すべき鋼帯の通板条件に対応し、その鋼帯に働く力学的作用が釣り合うように、複数の電磁石3各々の吸引力を予め決定し、決定された吸引力を発生するように各電磁石3を制御させる制御手段とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】張力が付与されて走行する鋼帯4の通板方向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置であって、鋼帯の方向転換時における凸面側または両面側に配設され、鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石3と、方向転換すべき鋼帯の通板条件に対応し、その鋼帯に働く力学的作用が釣り合うように、複数の電磁石3各々の吸引力を予め決定し、決定された吸引力を発生するように各電磁石3を制御させる制御手段とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行する鋼帯の通板方向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置及びこれを用いた鋼帯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)、連続電気亜鉛めっきライン(EGL)あるいは連続焼鈍ライン(CAL)等の鋼帯製造ラインにおいては、連続した鋼帯がライン中を通板しつつ各種の処理が施される。そして、これら鋼帯製造ライン中の多くの箇所で鋼帯の通板方向が転換される。従来、通板の方向転換は鋼帯がロールに巻きつけられることで行われている。
【0003】
図8は従来の通板方向転換技術が用いられた連続溶融亜鉛めっきラインを示す構成図である。
【0004】
連続溶融亜鉛めっきラインに運搬された鋼帯91は、巻戻しリール92に装入され、巻戻されて入側ルーパ93を通過した後、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉94において表面酸化膜が除去されて焼鈍処理される。焼鈍された鋼帯91は、溶融亜鉛の温度とほぼ同程度まで冷却されて溶融亜鉛めっき浴95内に導かれる。
【0005】
鋼帯91は溶融亜鉛めっき浴中のシンクロール96によって方向転換され、加熱溶融した亜鉛内を通過する。これにより鋼帯表面に溶融亜鉛が付着され、さらに、続くワイピングノズル97により必要以上に付着した溶融亜鉛が鋼帯表面から除去される。次に鋼帯91は冷却帯を通過して溶融亜鉛を凝固させるが、製造仕様によっては合金化炉98で鋼帯のFeと亜鉛の合金化層を形成させ、凝固させる。さらに、化成処理99で特殊の防錆、耐食処理を施し、コイルに巻き取られて出荷される。
【0006】
このように複数のプロセスが連続してつながったラインにおいては、多数のロールが鋼帯の搬送用に用いられている。これらのプロセスは限られたスペースに設置されているため、多数の通板方向転換用ロールが必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロールを用いて通板方向を変更する場合は鋼帯との接触を伴うため、鋼帯に疵などの欠陥を発生させることがある。例えば方向転換ロールに疵がついている場合には、ロールと鋼帯との接触により疵が鋼帯に転写する。また、ロールに異物が付着している場合には、その異物が鋼帯を疵つけ、鋼帯に異物が付着している場合には、その異物がロールに押されて鋼帯に疵を生じさせる。
【0008】
以上の問題は、大気中における鋼帯の方向転換でも生じるが、溶融亜鉛めっき鋼帯製造ライン等の溶融金属浴中における方向転換においてはより深刻な欠陥発生が起こる。
【0009】
溶融亜鉛めっき鋼帯製造ラインの溶融亜鉛浴中ではドロスと呼ばれる不純物が発生するが、それがシンクロール96やサポートロールなどの浴中機器に付着することでそのロールと接触する鋼帯に欠陥を発生させる。最悪の場合には著しい歩留まり低下につながることもある。
【0010】
あるいは、上記浴中ロールは常時高温の過酷な環境にさらされるため回転不良などのトラブルを生じ易く、鋼帯にスリップ疵などの品質不良を発生させることもある。このスリップ疵対策として、シンクロール表面に数mm〜数十mmの深さと幅を持った溝(グルーブ)あるいは模様を刻印して溶融亜鉛の潤滑路を確保し、鋼帯とシンクロール表面との密着性を上げることがある。しかしながら、このような溝あるいは模様を刻印することによって、鋼帯はシンクロール表面と直接接触する部分と接触しない部分が生じる。鋼帯は溶融亜鉛浴に進入と同時に溶融亜鉛に触れるが、シンクロールによって方向転換されるまでに初期合金化層が形成されている。操業条件(温度、張力、ライン速度など)によっては、この初期合金化層はシンクロールと接触することである程度破壊あるいは変質される。しかし、上記のように溝や模様の刻印によってこの初期合金化層が破壊あるいは変質される部分と全く影響を受けない部分とが生じる。この影響の違いは、製造された溶融亜鉛めっき鋼帯に模様となって現れる。この模様は一般にグルーブマークと呼ばれ、重大な欠陥として知られている。
【0011】
さらに、上記浴中ロールのメンテナンスは操業効率を大きく低下させ、多大な費用を必要とする。
【0012】
ところで、このようなロールと鋼帯との接触によって発生するこれらの問題を解決する装置として、溶融亜鉛浴中にスリットから亜鉛を噴出することによって鋼帯を浮上搬送させつつ亜鉛めっきを施す溶融亜鉛フロータ装置が提案されている(特開平9−41106号公報等)。
【0013】
しかしながら、この装置では亜鉛の噴出により溶融亜鉛浴中に流れが生じ、浴内を攪拌することになる結果、かえってドロスが鋼帯に付着する確率が高くなりドロス欠陥が増えてしまう懸念がある。
【0014】
従って、流体を噴出させて鋼帯を浮上させる鋼帯の方向転換装置は、製品品質を考慮したときには、その適用に制限をうけることが考えられる。
【0015】
本発明は、このような実情を考慮してなされたもので、その第1の目的は、鋼帯製造ラインにおける鋼帯の方向転換を非接触でかつ安定して行うことができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することにある。
【0016】
また、第2の目的は、溶融金属浴中にて溶融金属噴流を用いることなく鋼帯を非接触に方向転換し、高品質な溶融金属めっき鋼帯を製造することができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは電磁石の吸引力に着目し、その力を利用して非接触で鋼帯の進行方向を転換することの可能性について鋭意検討をすすめてきた。本来、電磁石の吸引力はその電磁石に近づくにつれて急激に増加するため、安定な制御が困難であると思われている。しかし、本発明の対象である、張力を有する鋼帯を電磁石で制御する系では事情が異なることを本発明者らは見出した。本発明者らは、特願2001−111494号および特願2001−117062号において、このような系における鋼帯の方向転換について提案している。上記発明では、まず望ましい方向転換のパスラインに沿って複数の電磁石を配設する。そして、個々の電磁石と鋼帯との距離を一定値に保持するように電磁石の電流値を制御する制御フィードバック系を構築し、この系により鋼帯に方向転換させるものである。
【0018】
特願2001−111494号に示される方向転換原理は次の通りである。
【0019】
図6は鋼帯に作用する力を説明する図である。
【0020】
鋼帯70と電磁石80とが距離Dだけ離れて置かれている初期状態において、電磁石80にある一定電流を付加すると鋼帯70には電磁石80に近づく方向の力、即ち吸引力81が働く。ここで、鋼帯70が距離Xだけ変位したとすると、鋼帯70に作用している鋼帯70を搬送しようとする力、即ち張力82によって、鋼帯70には電磁石80から遠ざかる方向の力、即ち復元力83が働く。従って、鋼帯70はこの吸引力81と復元力83とが釣り合う位置に制御されることになる。
【0021】
図7は電磁石による吸引力と鋼帯の復元力との関係を示す図である。
【0022】
本図では、横軸は鋼帯70が初期状態から電磁石に近づいた距離Xを表し、縦軸は鋼帯70に作用する力を表している。そして、曲線85は電磁石による吸引力を示し、直線86は鋼帯の復元力を表している。
【0023】
まず電流一定時の電磁石80の吸引力FMは(1)式で与えられる。ここでA,Bは電磁石の形状やコイル巻き数などで決まる定数である。
【0024】
FM=A/(B−X)2…(1)
一方,鋼帯の復元力FSは(2)式で与えられる。ここでKは定数である。
【0025】
FS=KX …(2)
今、電磁石80に流す電流を適切に選べば、電磁石80の吸引力を示す曲線85と鋼帯70の復元力を示す直線86とは図に示すように2点で交わる。この2点は合力の向きから考えると,片方が安定釣り合い点87で,もう一方が不安定釣り合い点88となる。
【0026】
不安定釣り合い点88よりも鋼帯70が電磁石80に近づくと,常に吸引力が復元力より強く作用するため、鋼帯70は電磁石80に吸い付けられてしまうが,不安定釣り合い点88よりも鋼帯70が電磁石80から遠い位置にあれば、鋼帯70は必ず安定釣り合い点87に戻ることになることがわかる。
【0027】
このことから、電磁石80を鋼帯70から適切な距離だけ離れたところに設置し,適切な電流を流して適切な吸引力を発生させれば,鋼帯70は電磁石80に接触することなく安定に静止することがわかる。
【0028】
以上が特願2001−111494号に示される方向転換原理であるが、更に検討を重ねた結果、発明者らは、鋼帯の方向転換を行うための電磁石の制御に、個々の電磁石と鋼帯との距離は必ずしも必要ではないことを見出した。なぜなら、鋼帯の通板条件(板厚・板幅・鋼種・張力・ラインスピード・溶融亜鉛浴の温度等の一部又は全部、あるいは更なる条件を加えたもの)が一定で安定的に鋼帯が方向転換されている場合には、鋼帯のバネ剛性や張力などと釣り合うように、個々の電磁石の吸引力は一定の値しかとらない。このとき個々の電磁石の電流値も、必要な値が磁石により異なることがあるものの、通板条件が一定の時間内では一定の値となる。したがって、鋼帯の通板条件に応じた各電磁石の電流値を事前に求めておけば一々距離測定しなくても十分安定に方向転換することが可能であるとの結論に至った。そして、この電流値は数学モデルとして与えることができる。
【0029】
この数学モデルを与えるものとして、まず、力学シミュレーションが考えられる。例えば、マルチボディダイナミクス分野の様々な手法を用いることができる。その一つとして、柔軟な鋼帯を剛体多リンク系としてモデルを考慮し、仮想仕事の原理を基に非線形連立方程式を立てる方法がある。その結果
F(θ) = 0 …(3)
として定式化することができる。ここで変数θは各リンク間の相対角度ベクトルである。この非線形連立方程式は一般にニュートン・ラフソン法として知られる数値解法により解くことができる。この解法により、ある大きさの吸引力が鋼帯に作用したときの通板形状(鋼帯がある曲率で方向転換する際に形成する長手方向の形状、すなわち電磁石の設置位置に対する鋼帯の通板位置)を得ることができる。こうして通板条件に応じて望ましい通板形状になる吸引力を、数学モデルの計算結果として得ることができる。また、事前にオフラインで計算し、様々な通板条件に応じた吸引力の値をテーブル状の参照データとして記憶しておき、数学モデルの計算結果として得ることもできる。
【0030】
なお、このような力学シミュレーションのモデリング方法および解法は多種多様に考慮することができ、上記の枠組みにとらわれない。
【0031】
数学モデルを与える二つ目として、望ましい通板形状になる吸引力の値を、実操業あるいはオフライン実験で収集し、テーブル状の参照データとして記憶しておき、数学モデルの計算結果として得ることもできる。
【0032】
ところで、以上の考察は吸引力が電磁石に流れる電流値と一対一に対応するものと仮定して行われている。したがって、実際の装置を作るに際しては、電磁石の設計パラメータ(巻き数、ヨーク寸法など)からこの対応を表す関数を作成することになる。あるいは、オフライン実験による実測値をもって吸引力と電流値との参照テーブルを用意してもよい。こうして得られた電磁石に流すべき電流値を、駆動アンプを操作して実際に電磁石に流せばよい。
【0033】
本発明はこのような考察のもとになされたもので、上記の課題を解決するための手段は次のように構成されている。
【0034】
(1)張力が付与されて走行する鋼帯の通板方向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置であって、前記鋼帯の方向転換時における凸面側または両面側に配設され、前記鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石と、方向転換すべき鋼帯の通板条件に対応し、その鋼帯に働く力学的作用が釣り合うように、前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定し、決定された吸引力を発生するように各電磁石を制御させる制御手段とを備えたことを特徴とする非接触通板方向転換装置。
【0035】
(2)前記制御手段は、予め決定された吸引力に基づき、各電磁石をフィードフォワード制御することを特徴とする(1)に記載の非接触通板方向転換装置。
【0036】
(3)前記複数の電磁石各々が方向転換中の鋼帯に作用させている吸引力を測定する吸引力測定手段を備え、前記制御手段は、予め決定された吸引力と、吸引力測定手段により測定された吸引力とに基づき、各電磁石をフィードバック制御することを特徴とする(1)に記載の非接触通板方向転換装置。
【0037】
(4)前記吸引力測定手段が電磁石を保持する支持構造部に設けられた歪みセンサであることを特徴とする(3)に記載の非接触通板方向転換装置。
【0038】
(5)前記制御手段は、前記通板条件に対応して、鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を求める力学シミュレーションを実行し、そのシミュレーション結果に基づいて、前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定することを特徴とする(1)乃至(4)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0039】
(6)前記制御手段は、予め実行された鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を求める力学シミュレーションの結果を保持し、そのシミュレーション結果に基づいて、前記通板条件に対応した前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定することを特徴とする(1)乃至(4)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0040】
(7)前記制御手段は、鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を、オフラインあるいはオンラインで収集したデータに基づく吸引力の参照テーブルとして備え、この吸引力参照テーブルを用いて前記通板条件に対応した吸引力を予め決定することを特徴とする(1)乃至(4)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0041】
(8)溶融金属めっき鋼帯製造設備におけるめっき金属の溶融金属浴内に設けられることを特徴とする(1)乃至(7)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0042】
(9)鋼帯を焼鈍する工程と、焼鈍された鋼帯を、めっき金属の溶融金属浴に浸漬する工程と、前記溶融金属浴に浸漬された鋼帯をロール接触することなく、(8)に記載の非接触通板方向転換装置により方向転換し、溶融金属浴から引き上げる工程とを含むことを特徴とするめっき鋼帯の製造方法。
【0043】
なお、本発明で言う「電磁石の吸引力」とは、電磁石が発生する磁場により、電磁石と鋼板とが互いに吸引し合う力のことを指す。また、本発明で考慮する「鋼帯に働く力学的作用」とは、電磁石による吸引力、鋼帯のバネ剛性、張力、浴中での浮力、鋼帯の随伴流による圧力等の一部又は全部であり、あるいは更なる条件を加えてもよい。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0045】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図である。
【0046】
同図に示す非接触通板方向転換装置は、操業コンピュータ1からの電流値の指示出力に基づいて電磁石駆動アンプ2にて電磁石3を駆動し、電磁石3の吸引力によって鋼帯4を方向転換するものである。また、本装置は、図8に示すような連続溶融亜鉛めっきラインにおいてシンクロール96に代わる方向転換手段として組み込まれており、その鋼帯方向転換工程は溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法における一工程をなしている。
【0047】
ここで、鋼帯4の方向転換場所となる溶融亜鉛浴5は溶融亜鉛保持容器6に保持されている。鋼帯4は、焼鈍炉から供給され、スナウト7と呼ばれる非酸化性雰囲気に保たれた筒状体を通って溶融亜鉛浴5中に引き込まれる。溶融亜鉛浴5中では電磁石3の吸引力によってロール(シンクロール)接触することなく方向転換され、浴中サポートロール8をへて溶融亜鉛浴5から引き出される。溶融亜鉛浴5から引き出された鋼帯4は、ガスワイパ9でめっき付着量が調整され、以降の合金化炉、化成処理等(これらは品種によって適宜実施される)へ提供される。
【0048】
非接触通板方向転換装置の各構成において、まず電磁石3は、鋼帯4がある曲率で方向転換するときの鋼帯凸面(突出面)側に複数設けられている。各々の電磁石3の吸引力は、方向転換する鋼帯の通板条件に基づく数学モデルに従い、鋼帯4が望ましい通板形状に保持されるように設定されている。各電磁石3は、その吸引力を発生させるのに必要な駆動電流を、電磁石駆動アンプ2から与えられる。
【0049】
なお、亜鉛は非磁性体であるため、鋼帯4に対して電磁石3の吸引力は妨げられない。また、溶融亜鉛の温度は通常460℃程度であるため、鋼帯4が強磁性を失うほどの高温ではない。したがって、電磁石3は、溶融亜鉛浴5においても鋼帯4を吸引可能である。ただし、熱対策として、コイル電線には耐熱性の高いものを用い、さらに磁性に影響を与えない材質の保護カバーで覆われている。また、電磁石3は、鋼帯4の凸面側だけでなく、両面側に設けてもよい。
【0050】
操業コンピュータ1は、プロセスコンピュータ、ワークステーションあるいはパーソナルコンピュータ等の計算機から構成され、CPUやメモリ等のハードウエア手段及びプログラム等のソフトウエア手段からなる機能手段として、力学シミュレーション処理部11と制御出力算出部12とを備える。また、その記憶部13に剛体多リンク系モデル14の情報を記憶している。
【0051】
剛体多リンク系モデル14は、鋼帯4を剛体多リンク系としてモデリングしたものであり、仮想仕事の原理から導いた非線形連立方程式を数値解法の一つであるニュートン・ラフソン法で解けるようにしたものである。なお、数値解法としてはニュートン・ラフソン法以外の方法も適宜適用可能である。
【0052】
力学シミュレーション処理部11は、上位コンピュータからあるいはオペレータにより通板条件の一部又は全部を板情報として入力し、これに基づき数学モデルとしての剛体多リンク系モデル14を解き、各電磁石3で発生すべき吸引力を各々算出する。この各吸引力を制御出力算出部12に入力する。
【0053】
制御出力算出部12は、各電磁石が発生すべき吸引力を目標値とし、電磁石駆動アンプ2が各電磁石3に対して駆動電流として出力すべき電流値を各々算出するものである。本実施形態ではフィードフォワード制御を行うようになっている。具体的には、吸引力と電磁石に流れる電流値とを関係づける関数によって電磁石3に流すべき電流値を決定する。あるいは、吸引力と電磁石に流れる電流値とを関係づける参照テーブルによって電磁石に流すべき電流値を決定する。参照テーブルを用いる場合、内挿あるいは外挿の操作が行われる。
【0054】
電磁石駆動アンプ2は、制御出力算出部12が算出した各電磁石に出力すべき電流値を入力し、これに基づき各電磁石3を駆動する。
【0055】
なお、各実施形態の操業コンピュータ1等における吸引力を決定する部分、及び電流値を出力する部分が、課題を解決するための手段で述べた制御手段に大まかに対応している。ただし、制御手段における各機能は実施形態のように一つの計算機内に設けられる場合に限らず、複数の計算機あるいは記憶装置等に分散してもよい。
【0056】
次に、以上のように構成された本実施形態における非接触通板方向転換装置の動作について説明する。
【0057】
連続溶融亜鉛めっきラインにおいては、連続的に鋼帯4の処理が行われており、図1に示す溶融亜鉛付着工程以外の部分は図8で説明したような処理が施される。図8では説明を省略したが、巻戻りリール92で巻戻される鋼帯は、連続的な処理を実現するため、その先端部が先行する鋼帯に溶接されて接続され、また、後端部は次に巻戻される鋼帯に溶接接続される。
【0058】
したがって、図1に示す非接触方向転換位置においては、所定の期間毎に、すなわち鋼帯4の溶接部分を通過する毎に、異なる鋼帯4が通過することになり、その度に通板条件(板厚・板幅・鋼種・張力・ラインスピード等)が変更される。これは所定のタイミング毎に数学モデルが変更されることを意味している。
【0059】
どのような種類の鋼帯4がどのような順番で処理されていくかは、上位コンピュータ等からの板情報入力により、操業コンピュータ1において把握されている。さらに、溶接による鋼帯接続のタイミングも把握可能であるので、この時点をもとにライン速度等の操業状態をコンピュータ1内で追い続けることで、鋼帯間の溶接部分がいつ溶融亜鉛浴5に到達するかが予測演算できる(機能手段は図示せず)。
【0060】
ここで、操業コンピュータ1においては次に電磁石3の位置に到達する鋼帯4に関し、その板情報が入力され、通板条件に基づいて力学シミュレーション処理部11により予め各電磁石3の吸引力が算出されている。制御出力算出部12には、計算された吸引力が入力されるとともに、上記のように操業コンピュータ1の内部にて算出された次の鋼帯4の到達タイミング(溶接部分の到達時点)も制御出力算出部12に与えられる。
【0061】
これにより、制御出力算出部12からは、次の鋼帯の到達タイミングを考慮した制御出力(電流値)が電磁石駆動アンプ2に対して行われる。そして、この制御出力に基づいて電磁石駆動アンプ2から各電磁石3への駆動電流が変更される。こうして、新たに到達した鋼帯4の通板条件に対応して、この鋼板4を非接触方向転換するのに適した吸引力が各電磁石3から発生する。これが数学モデルに基づく吸引力発生である。
【0062】
一旦、新たな鋼帯4が電磁石3の位置にて方向転換を始めると、その鋼帯4が通過し終わるまでは通板条件が一定であるため、電磁石駆動アンプ2の駆動電流出力、ひいては吸引力は一定値に維持されている。この間に、次の鋼帯4を吸引するための条件が操業コンピュータ1にて演算され、当該次の鋼帯4の到達に合わせて吸引条件が変更制御される。
【0063】
なお、以上の説明では、鋼帯4が通過し終わるまでは通板条件が一定であることを前提とした。しかし、当該鋼帯4を通板中に、張力・ラインスピード等の通板条件は変更される場合もある。そのような場合でも、変更する通板条件に対応した吸引力を算出し、通板条件変更に合わせて吸引条件を変更制御することができる。
【0064】
この繰り返しによって、種々の鋼帯4の溶融亜鉛浴5における非接触方向転換が維持され続けることになる。
【0065】
上述したように、本発明の実施の形態に係る非接触通板方向転換装置によれば、鋼帯の通板条件に対応した数学モデルを考慮し、その鋼帯通過間は当該数学モデルに対応した吸引力を維持して電磁石による鋼帯吸引を行うようにしたので、電磁石〜鋼帯間の距離測定を不要としつつ、ロールレスの非接触方向転換を実現させることができる。これにより、鋼帯製造ラインにおける安定した非接触通板方向転換が実現できる。
【0066】
また、本実施形態の鋼帯の製造方法によれば、非接触通板方向転換装置を用いて鋼帯の非接触方向転換を行うようにしたので、方向転換ロールとの巻き込みで鋼帯にドロスが付着して生じる欠陥やロールによるスリップ疵を防止できる。さらに、方向転換ロールが不要なのでグルーブマークの発生も防止することができる。これらにより、高品質な鋼帯を製造することができる。
【0067】
さらに、溶融亜鉛浴中における方向転換ロールが不要であることから、ロールが常時高温の過酷な環境にさらされて回転不良などを生じさせることもない。したがって、メンテナンスも容易となり、歩留り向上にもつながる。
【0068】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図である。図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0069】
この非接触通板方向転換装置は、操業コンピュータにおいて、力学シミュレーション処理部11に代えて吸引力算出部21aが設けられ、記憶部13に力学シミュレーション計算結果テーブル22が記憶される他、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0070】
力学シミュレーション計算結果テーブル22は、剛体多リンク系モデルを用い、種々の通板条件について予め計算された結果を吸引力参照テーブル群として保存したものである。同テーブル22は、通板条件が決定されると、各電磁石にて各々生じさせる吸引力の参照テーブルを選択できるようになっている。
【0071】
吸引力算出部21aは、板情報を入力するとともに、通板条件に対応した各電磁石3の発生吸引力を算出して制御出力算出部12に出力する点で、力学シミュレーション処理部11と共通する。この吸引力算出部21aでは、力学モデルを解くわけではなく、力学シミュレーション計算結果テーブル22から与えられた通板条件に対応した吸引力参照テーブルを選択し、選択テーブルの内容を吸引力として出力する。なお、吸引力参照テーブルを用いる際に、適宜内挿あるいは外挿の操作を行う。
【0072】
以上のように構成された本実施形態の非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法においては、第1の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0073】
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図である。図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0074】
この非接触通板方向転換装置は、操業コンピュータにおいて、力学シミュレーション処理部11に代えて吸引力算出部21bが設けられ、記憶部13に実験結果参照テーブル23が記憶される他、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0075】
実験結果参照テーブル23は、力学シミュレーションにより数学モデルを得るのではなく、種々の通板条件に対し、事前のオフライン実験あるいはオンラインで通板形状と吸引力との関係を収集し、これを各通板条件に対する吸引力参照テーブル群としたものである。こうして得られた関係も一種の数学モデルである。
【0076】
吸引力算出部21bは、吸引力参照テーブル群として力学シミュレーション計算結果テーブル22に代えて実験結果参照テーブル23を用いる他、吸引力算出部21aと同様に構成されている。
【0077】
以上のように構成された本実施形態の非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法においては、第1の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0078】
(第4の実施形態)
第1ないし第3の実施形態においては、ある通板条件の鋼帯が方向転換している間は電磁石の吸引条件を変更せず、いわばフィードフォワード制御を行う場合を説明した。本実施形態では、特定の通板条件の鋼帯が方向転換している間も、その通板状態を測定し、フィードバック制御により修正を施す場合を説明する。
【0079】
図4は本発明の第4の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図である。図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。また、本実施形態においても、非接触通板方向転換装置は連続溶融亜鉛めっきラインに適用されている。
【0080】
この非接触通板方向転換装置は、各電磁石3に各々歪みケージ31と、各歪みゲージ31からの出力を信号転換する信号転換器32とが設けられ、さらに操業コンピュータ33の機能が歪みゲージからの信号入力に対応して修正される他、第1〜3の実施形態と同様に構成されている。
【0081】
図5は本実施形態の主要構成部分を詳細に説明する図である。
【0082】
同図に示すように、歪みゲージ31は、電磁石3を保持する支持構造部34に取り付けられている。この歪みゲージ31は、歪みセンサの一種であり、電磁石が発生した吸引力測定手段として機能する。なお、歪ゲージには高温環境下でも使用可能なものを用いる。例えば市販されている800℃程度まで耐え得る歪ゲージを用いるとよい。
【0083】
操業コンピュータ33は、制御出力算出部35の機能構成が変更される他、第1ないし第3の実施形態における操業コンピュータ1と同様に構成されている。なお、図5には第1の実施形態の構成が示されている。
【0084】
制御出力算出部35は、第1ないし第3の実施形態の何れかと同様に、通板条件の変更時点で条件に対応した駆動電流の初期値を与え、さらに、発生吸引力算出部36及びPID制御部37により所定通板条件の鋼帯方向転換中におけるPID制御を実行する。
【0085】
発生吸引力算出部36は、信号転換器32からの歪みゲージ測定値を入力し、これに基づいて電磁石3が発生している吸引力を算出し、測定吸引力としてPID制御部37に入力する。
【0086】
PID制御部37は、力学シミュレーション処理部11からの吸引力を目標値として入力し、発生吸引力算出部36から吸引力の測定値を入力し、両者の差を取ってPID制御演算を行うことで電磁石駆動アンプ2への電流値出力を調整する。なお、本実施形態ではフィードバック制御としてPIDを採用したが、他の自動制御手法を用いることも可能である。
【0087】
次に、以上のように構成された本実施形態における非接触通板方向転換装置の動作について説明する。
【0088】
まず、第1ないし第3の実施形態の何れかと同様に、ある通板条件の鋼帯4についての吸引力ひいては駆動電流が計算される。この鋼帯4の電磁石位置への到達とともに、吸引条件が切り替えられて方向転換制御が開始される。
【0089】
ここで鋼帯4に対して電磁石3が吸引力を及ぼした場合は、電磁石3自身にもその反作用として吸引力が働く。この吸引力は電磁石3を支える支持構造部34に伝えられ、支持構造部34はこの力によって歪を発生する。従って、この歪を歪みゲージ31で測定することで間接的に電磁石3の吸引力を測定していることになる。歪みゲージ31の出力は操業コンピュータ33に入力可能な形式に信号転換され、制御出力算出部35に入力される。
【0090】
制御出力算出部35では、理想的な通板条件に基づく吸引力の目標値と歪みゲージ31からの測定値とが比較され、フィードバック制御による駆動電流調整が行われる。
【0091】
上述したように、本発明の実施の形態に係る非接触通板方向転換装置によれば、歪みゲージ31による吸引力測定により電磁石3をフィードバック制御するようにしたので、第1ないし第3の何れかの実施形態と同様な効果が得られる他、より安定して鋼帯4の方向転換を行うことができる。
【0092】
したがって、この非接触通板方向転換装置を用いた鋼帯の製造方法においても、より安定した鋼帯製造が実現される。
【0093】
なお、本実施形態においては、吸引力測定手段として歪ゲージを用いたが、非接触通板方向転換装置の設置される位置が過酷な環境でなければ、渦流式変位センサやレーザ式変位センサ等の距離測定装置を吸引力測定手段として用いてもよい。この場合、電磁石〜鋼帯間の測定距離及び電磁石への駆動電流に基づいて測定吸引力を算出するものである。
【0094】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0095】
実施形態では、非接触通板方向転換装置を連続溶融亜鉛めっきラインの溶融亜鉛浴中への適用する場合を説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。酸洗ライン、連続焼鈍ライン、電気メッキライン、カラーコーティングライン等、種々の鋼帯製造ラインにおける方向転換、ひいては鋼帯製造に適用可能であり、種々の鋼帯製品についての高品質化に貢献できる。
【0096】
さらに、本発明は、溶融亜鉛めっき鋼帯だけでなく、溶融アルミめっき鋼帯や溶融亜鉛−アルミめっき鋼帯など、種々の溶融金属めっき鋼帯の製造に適用することができる。
【0097】
なお、本発明は大気中で鋼帯が方向転換する場合にも適用可能である。非接触方向転換により、ロール接触による疵発生等を防止することができる。
【0098】
また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0099】
なお、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【0100】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、鋼帯製造ラインにおける鋼帯の方向転換を非接触でかつ安定して行うことができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することができる。
【0101】
また、本発明によれば、溶融金属浴中にて溶融金属噴流を用いることなく鋼帯を非接触に方向転換し、高品質な溶融金属めっき鋼帯を製造することができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図。
【図5】本発明の第4の実施形態の主要構成部分を詳細に説明する図。
【図6】鋼帯に作用する力を説明する図。
【図7】電磁石による吸引力と鋼帯の復元力との関係を示す図。
【図8】従来の通板方向転換技術が用いられた連続溶融亜鉛めっきラインを示す構成図。
【符号の説明】
1…操業コンピュータ
2…電磁石駆動アンプ
3…電磁石
4…鋼帯
5…溶融亜鉛浴
6…溶融亜鉛保持容器
7…スナウト
8…浴中サポートロール
9…ガスワイパ
11…力学シミュレーション処理部
12…制御出力算出部
13…記憶部
14…剛体多リンク系モデル
21a,21b…吸引力算出部
22…力学シミュレーション計算結果テーブル
23…実験結果参照テーブル
31…歪みゲージ
32…信号転換器
33…操業コンピュータ
34…支持構造部
35…制御出力算出部
36…発生吸引力算出部
37…PID制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行する鋼帯の通板方向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置及びこれを用いた鋼帯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続溶融亜鉛めっきライン(CGL)、連続電気亜鉛めっきライン(EGL)あるいは連続焼鈍ライン(CAL)等の鋼帯製造ラインにおいては、連続した鋼帯がライン中を通板しつつ各種の処理が施される。そして、これら鋼帯製造ライン中の多くの箇所で鋼帯の通板方向が転換される。従来、通板の方向転換は鋼帯がロールに巻きつけられることで行われている。
【0003】
図8は従来の通板方向転換技術が用いられた連続溶融亜鉛めっきラインを示す構成図である。
【0004】
連続溶融亜鉛めっきラインに運搬された鋼帯91は、巻戻しリール92に装入され、巻戻されて入側ルーパ93を通過した後、無酸化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉94において表面酸化膜が除去されて焼鈍処理される。焼鈍された鋼帯91は、溶融亜鉛の温度とほぼ同程度まで冷却されて溶融亜鉛めっき浴95内に導かれる。
【0005】
鋼帯91は溶融亜鉛めっき浴中のシンクロール96によって方向転換され、加熱溶融した亜鉛内を通過する。これにより鋼帯表面に溶融亜鉛が付着され、さらに、続くワイピングノズル97により必要以上に付着した溶融亜鉛が鋼帯表面から除去される。次に鋼帯91は冷却帯を通過して溶融亜鉛を凝固させるが、製造仕様によっては合金化炉98で鋼帯のFeと亜鉛の合金化層を形成させ、凝固させる。さらに、化成処理99で特殊の防錆、耐食処理を施し、コイルに巻き取られて出荷される。
【0006】
このように複数のプロセスが連続してつながったラインにおいては、多数のロールが鋼帯の搬送用に用いられている。これらのプロセスは限られたスペースに設置されているため、多数の通板方向転換用ロールが必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ロールを用いて通板方向を変更する場合は鋼帯との接触を伴うため、鋼帯に疵などの欠陥を発生させることがある。例えば方向転換ロールに疵がついている場合には、ロールと鋼帯との接触により疵が鋼帯に転写する。また、ロールに異物が付着している場合には、その異物が鋼帯を疵つけ、鋼帯に異物が付着している場合には、その異物がロールに押されて鋼帯に疵を生じさせる。
【0008】
以上の問題は、大気中における鋼帯の方向転換でも生じるが、溶融亜鉛めっき鋼帯製造ライン等の溶融金属浴中における方向転換においてはより深刻な欠陥発生が起こる。
【0009】
溶融亜鉛めっき鋼帯製造ラインの溶融亜鉛浴中ではドロスと呼ばれる不純物が発生するが、それがシンクロール96やサポートロールなどの浴中機器に付着することでそのロールと接触する鋼帯に欠陥を発生させる。最悪の場合には著しい歩留まり低下につながることもある。
【0010】
あるいは、上記浴中ロールは常時高温の過酷な環境にさらされるため回転不良などのトラブルを生じ易く、鋼帯にスリップ疵などの品質不良を発生させることもある。このスリップ疵対策として、シンクロール表面に数mm〜数十mmの深さと幅を持った溝(グルーブ)あるいは模様を刻印して溶融亜鉛の潤滑路を確保し、鋼帯とシンクロール表面との密着性を上げることがある。しかしながら、このような溝あるいは模様を刻印することによって、鋼帯はシンクロール表面と直接接触する部分と接触しない部分が生じる。鋼帯は溶融亜鉛浴に進入と同時に溶融亜鉛に触れるが、シンクロールによって方向転換されるまでに初期合金化層が形成されている。操業条件(温度、張力、ライン速度など)によっては、この初期合金化層はシンクロールと接触することである程度破壊あるいは変質される。しかし、上記のように溝や模様の刻印によってこの初期合金化層が破壊あるいは変質される部分と全く影響を受けない部分とが生じる。この影響の違いは、製造された溶融亜鉛めっき鋼帯に模様となって現れる。この模様は一般にグルーブマークと呼ばれ、重大な欠陥として知られている。
【0011】
さらに、上記浴中ロールのメンテナンスは操業効率を大きく低下させ、多大な費用を必要とする。
【0012】
ところで、このようなロールと鋼帯との接触によって発生するこれらの問題を解決する装置として、溶融亜鉛浴中にスリットから亜鉛を噴出することによって鋼帯を浮上搬送させつつ亜鉛めっきを施す溶融亜鉛フロータ装置が提案されている(特開平9−41106号公報等)。
【0013】
しかしながら、この装置では亜鉛の噴出により溶融亜鉛浴中に流れが生じ、浴内を攪拌することになる結果、かえってドロスが鋼帯に付着する確率が高くなりドロス欠陥が増えてしまう懸念がある。
【0014】
従って、流体を噴出させて鋼帯を浮上させる鋼帯の方向転換装置は、製品品質を考慮したときには、その適用に制限をうけることが考えられる。
【0015】
本発明は、このような実情を考慮してなされたもので、その第1の目的は、鋼帯製造ラインにおける鋼帯の方向転換を非接触でかつ安定して行うことができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することにある。
【0016】
また、第2の目的は、溶融金属浴中にて溶融金属噴流を用いることなく鋼帯を非接触に方向転換し、高品質な溶融金属めっき鋼帯を製造することができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは電磁石の吸引力に着目し、その力を利用して非接触で鋼帯の進行方向を転換することの可能性について鋭意検討をすすめてきた。本来、電磁石の吸引力はその電磁石に近づくにつれて急激に増加するため、安定な制御が困難であると思われている。しかし、本発明の対象である、張力を有する鋼帯を電磁石で制御する系では事情が異なることを本発明者らは見出した。本発明者らは、特願2001−111494号および特願2001−117062号において、このような系における鋼帯の方向転換について提案している。上記発明では、まず望ましい方向転換のパスラインに沿って複数の電磁石を配設する。そして、個々の電磁石と鋼帯との距離を一定値に保持するように電磁石の電流値を制御する制御フィードバック系を構築し、この系により鋼帯に方向転換させるものである。
【0018】
特願2001−111494号に示される方向転換原理は次の通りである。
【0019】
図6は鋼帯に作用する力を説明する図である。
【0020】
鋼帯70と電磁石80とが距離Dだけ離れて置かれている初期状態において、電磁石80にある一定電流を付加すると鋼帯70には電磁石80に近づく方向の力、即ち吸引力81が働く。ここで、鋼帯70が距離Xだけ変位したとすると、鋼帯70に作用している鋼帯70を搬送しようとする力、即ち張力82によって、鋼帯70には電磁石80から遠ざかる方向の力、即ち復元力83が働く。従って、鋼帯70はこの吸引力81と復元力83とが釣り合う位置に制御されることになる。
【0021】
図7は電磁石による吸引力と鋼帯の復元力との関係を示す図である。
【0022】
本図では、横軸は鋼帯70が初期状態から電磁石に近づいた距離Xを表し、縦軸は鋼帯70に作用する力を表している。そして、曲線85は電磁石による吸引力を示し、直線86は鋼帯の復元力を表している。
【0023】
まず電流一定時の電磁石80の吸引力FMは(1)式で与えられる。ここでA,Bは電磁石の形状やコイル巻き数などで決まる定数である。
【0024】
FM=A/(B−X)2…(1)
一方,鋼帯の復元力FSは(2)式で与えられる。ここでKは定数である。
【0025】
FS=KX …(2)
今、電磁石80に流す電流を適切に選べば、電磁石80の吸引力を示す曲線85と鋼帯70の復元力を示す直線86とは図に示すように2点で交わる。この2点は合力の向きから考えると,片方が安定釣り合い点87で,もう一方が不安定釣り合い点88となる。
【0026】
不安定釣り合い点88よりも鋼帯70が電磁石80に近づくと,常に吸引力が復元力より強く作用するため、鋼帯70は電磁石80に吸い付けられてしまうが,不安定釣り合い点88よりも鋼帯70が電磁石80から遠い位置にあれば、鋼帯70は必ず安定釣り合い点87に戻ることになることがわかる。
【0027】
このことから、電磁石80を鋼帯70から適切な距離だけ離れたところに設置し,適切な電流を流して適切な吸引力を発生させれば,鋼帯70は電磁石80に接触することなく安定に静止することがわかる。
【0028】
以上が特願2001−111494号に示される方向転換原理であるが、更に検討を重ねた結果、発明者らは、鋼帯の方向転換を行うための電磁石の制御に、個々の電磁石と鋼帯との距離は必ずしも必要ではないことを見出した。なぜなら、鋼帯の通板条件(板厚・板幅・鋼種・張力・ラインスピード・溶融亜鉛浴の温度等の一部又は全部、あるいは更なる条件を加えたもの)が一定で安定的に鋼帯が方向転換されている場合には、鋼帯のバネ剛性や張力などと釣り合うように、個々の電磁石の吸引力は一定の値しかとらない。このとき個々の電磁石の電流値も、必要な値が磁石により異なることがあるものの、通板条件が一定の時間内では一定の値となる。したがって、鋼帯の通板条件に応じた各電磁石の電流値を事前に求めておけば一々距離測定しなくても十分安定に方向転換することが可能であるとの結論に至った。そして、この電流値は数学モデルとして与えることができる。
【0029】
この数学モデルを与えるものとして、まず、力学シミュレーションが考えられる。例えば、マルチボディダイナミクス分野の様々な手法を用いることができる。その一つとして、柔軟な鋼帯を剛体多リンク系としてモデルを考慮し、仮想仕事の原理を基に非線形連立方程式を立てる方法がある。その結果
F(θ) = 0 …(3)
として定式化することができる。ここで変数θは各リンク間の相対角度ベクトルである。この非線形連立方程式は一般にニュートン・ラフソン法として知られる数値解法により解くことができる。この解法により、ある大きさの吸引力が鋼帯に作用したときの通板形状(鋼帯がある曲率で方向転換する際に形成する長手方向の形状、すなわち電磁石の設置位置に対する鋼帯の通板位置)を得ることができる。こうして通板条件に応じて望ましい通板形状になる吸引力を、数学モデルの計算結果として得ることができる。また、事前にオフラインで計算し、様々な通板条件に応じた吸引力の値をテーブル状の参照データとして記憶しておき、数学モデルの計算結果として得ることもできる。
【0030】
なお、このような力学シミュレーションのモデリング方法および解法は多種多様に考慮することができ、上記の枠組みにとらわれない。
【0031】
数学モデルを与える二つ目として、望ましい通板形状になる吸引力の値を、実操業あるいはオフライン実験で収集し、テーブル状の参照データとして記憶しておき、数学モデルの計算結果として得ることもできる。
【0032】
ところで、以上の考察は吸引力が電磁石に流れる電流値と一対一に対応するものと仮定して行われている。したがって、実際の装置を作るに際しては、電磁石の設計パラメータ(巻き数、ヨーク寸法など)からこの対応を表す関数を作成することになる。あるいは、オフライン実験による実測値をもって吸引力と電流値との参照テーブルを用意してもよい。こうして得られた電磁石に流すべき電流値を、駆動アンプを操作して実際に電磁石に流せばよい。
【0033】
本発明はこのような考察のもとになされたもので、上記の課題を解決するための手段は次のように構成されている。
【0034】
(1)張力が付与されて走行する鋼帯の通板方向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置であって、前記鋼帯の方向転換時における凸面側または両面側に配設され、前記鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石と、方向転換すべき鋼帯の通板条件に対応し、その鋼帯に働く力学的作用が釣り合うように、前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定し、決定された吸引力を発生するように各電磁石を制御させる制御手段とを備えたことを特徴とする非接触通板方向転換装置。
【0035】
(2)前記制御手段は、予め決定された吸引力に基づき、各電磁石をフィードフォワード制御することを特徴とする(1)に記載の非接触通板方向転換装置。
【0036】
(3)前記複数の電磁石各々が方向転換中の鋼帯に作用させている吸引力を測定する吸引力測定手段を備え、前記制御手段は、予め決定された吸引力と、吸引力測定手段により測定された吸引力とに基づき、各電磁石をフィードバック制御することを特徴とする(1)に記載の非接触通板方向転換装置。
【0037】
(4)前記吸引力測定手段が電磁石を保持する支持構造部に設けられた歪みセンサであることを特徴とする(3)に記載の非接触通板方向転換装置。
【0038】
(5)前記制御手段は、前記通板条件に対応して、鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を求める力学シミュレーションを実行し、そのシミュレーション結果に基づいて、前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定することを特徴とする(1)乃至(4)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0039】
(6)前記制御手段は、予め実行された鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を求める力学シミュレーションの結果を保持し、そのシミュレーション結果に基づいて、前記通板条件に対応した前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定することを特徴とする(1)乃至(4)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0040】
(7)前記制御手段は、鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を、オフラインあるいはオンラインで収集したデータに基づく吸引力の参照テーブルとして備え、この吸引力参照テーブルを用いて前記通板条件に対応した吸引力を予め決定することを特徴とする(1)乃至(4)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0041】
(8)溶融金属めっき鋼帯製造設備におけるめっき金属の溶融金属浴内に設けられることを特徴とする(1)乃至(7)のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
【0042】
(9)鋼帯を焼鈍する工程と、焼鈍された鋼帯を、めっき金属の溶融金属浴に浸漬する工程と、前記溶融金属浴に浸漬された鋼帯をロール接触することなく、(8)に記載の非接触通板方向転換装置により方向転換し、溶融金属浴から引き上げる工程とを含むことを特徴とするめっき鋼帯の製造方法。
【0043】
なお、本発明で言う「電磁石の吸引力」とは、電磁石が発生する磁場により、電磁石と鋼板とが互いに吸引し合う力のことを指す。また、本発明で考慮する「鋼帯に働く力学的作用」とは、電磁石による吸引力、鋼帯のバネ剛性、張力、浴中での浮力、鋼帯の随伴流による圧力等の一部又は全部であり、あるいは更なる条件を加えてもよい。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0045】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図である。
【0046】
同図に示す非接触通板方向転換装置は、操業コンピュータ1からの電流値の指示出力に基づいて電磁石駆動アンプ2にて電磁石3を駆動し、電磁石3の吸引力によって鋼帯4を方向転換するものである。また、本装置は、図8に示すような連続溶融亜鉛めっきラインにおいてシンクロール96に代わる方向転換手段として組み込まれており、その鋼帯方向転換工程は溶融亜鉛めっき鋼帯の製造方法における一工程をなしている。
【0047】
ここで、鋼帯4の方向転換場所となる溶融亜鉛浴5は溶融亜鉛保持容器6に保持されている。鋼帯4は、焼鈍炉から供給され、スナウト7と呼ばれる非酸化性雰囲気に保たれた筒状体を通って溶融亜鉛浴5中に引き込まれる。溶融亜鉛浴5中では電磁石3の吸引力によってロール(シンクロール)接触することなく方向転換され、浴中サポートロール8をへて溶融亜鉛浴5から引き出される。溶融亜鉛浴5から引き出された鋼帯4は、ガスワイパ9でめっき付着量が調整され、以降の合金化炉、化成処理等(これらは品種によって適宜実施される)へ提供される。
【0048】
非接触通板方向転換装置の各構成において、まず電磁石3は、鋼帯4がある曲率で方向転換するときの鋼帯凸面(突出面)側に複数設けられている。各々の電磁石3の吸引力は、方向転換する鋼帯の通板条件に基づく数学モデルに従い、鋼帯4が望ましい通板形状に保持されるように設定されている。各電磁石3は、その吸引力を発生させるのに必要な駆動電流を、電磁石駆動アンプ2から与えられる。
【0049】
なお、亜鉛は非磁性体であるため、鋼帯4に対して電磁石3の吸引力は妨げられない。また、溶融亜鉛の温度は通常460℃程度であるため、鋼帯4が強磁性を失うほどの高温ではない。したがって、電磁石3は、溶融亜鉛浴5においても鋼帯4を吸引可能である。ただし、熱対策として、コイル電線には耐熱性の高いものを用い、さらに磁性に影響を与えない材質の保護カバーで覆われている。また、電磁石3は、鋼帯4の凸面側だけでなく、両面側に設けてもよい。
【0050】
操業コンピュータ1は、プロセスコンピュータ、ワークステーションあるいはパーソナルコンピュータ等の計算機から構成され、CPUやメモリ等のハードウエア手段及びプログラム等のソフトウエア手段からなる機能手段として、力学シミュレーション処理部11と制御出力算出部12とを備える。また、その記憶部13に剛体多リンク系モデル14の情報を記憶している。
【0051】
剛体多リンク系モデル14は、鋼帯4を剛体多リンク系としてモデリングしたものであり、仮想仕事の原理から導いた非線形連立方程式を数値解法の一つであるニュートン・ラフソン法で解けるようにしたものである。なお、数値解法としてはニュートン・ラフソン法以外の方法も適宜適用可能である。
【0052】
力学シミュレーション処理部11は、上位コンピュータからあるいはオペレータにより通板条件の一部又は全部を板情報として入力し、これに基づき数学モデルとしての剛体多リンク系モデル14を解き、各電磁石3で発生すべき吸引力を各々算出する。この各吸引力を制御出力算出部12に入力する。
【0053】
制御出力算出部12は、各電磁石が発生すべき吸引力を目標値とし、電磁石駆動アンプ2が各電磁石3に対して駆動電流として出力すべき電流値を各々算出するものである。本実施形態ではフィードフォワード制御を行うようになっている。具体的には、吸引力と電磁石に流れる電流値とを関係づける関数によって電磁石3に流すべき電流値を決定する。あるいは、吸引力と電磁石に流れる電流値とを関係づける参照テーブルによって電磁石に流すべき電流値を決定する。参照テーブルを用いる場合、内挿あるいは外挿の操作が行われる。
【0054】
電磁石駆動アンプ2は、制御出力算出部12が算出した各電磁石に出力すべき電流値を入力し、これに基づき各電磁石3を駆動する。
【0055】
なお、各実施形態の操業コンピュータ1等における吸引力を決定する部分、及び電流値を出力する部分が、課題を解決するための手段で述べた制御手段に大まかに対応している。ただし、制御手段における各機能は実施形態のように一つの計算機内に設けられる場合に限らず、複数の計算機あるいは記憶装置等に分散してもよい。
【0056】
次に、以上のように構成された本実施形態における非接触通板方向転換装置の動作について説明する。
【0057】
連続溶融亜鉛めっきラインにおいては、連続的に鋼帯4の処理が行われており、図1に示す溶融亜鉛付着工程以外の部分は図8で説明したような処理が施される。図8では説明を省略したが、巻戻りリール92で巻戻される鋼帯は、連続的な処理を実現するため、その先端部が先行する鋼帯に溶接されて接続され、また、後端部は次に巻戻される鋼帯に溶接接続される。
【0058】
したがって、図1に示す非接触方向転換位置においては、所定の期間毎に、すなわち鋼帯4の溶接部分を通過する毎に、異なる鋼帯4が通過することになり、その度に通板条件(板厚・板幅・鋼種・張力・ラインスピード等)が変更される。これは所定のタイミング毎に数学モデルが変更されることを意味している。
【0059】
どのような種類の鋼帯4がどのような順番で処理されていくかは、上位コンピュータ等からの板情報入力により、操業コンピュータ1において把握されている。さらに、溶接による鋼帯接続のタイミングも把握可能であるので、この時点をもとにライン速度等の操業状態をコンピュータ1内で追い続けることで、鋼帯間の溶接部分がいつ溶融亜鉛浴5に到達するかが予測演算できる(機能手段は図示せず)。
【0060】
ここで、操業コンピュータ1においては次に電磁石3の位置に到達する鋼帯4に関し、その板情報が入力され、通板条件に基づいて力学シミュレーション処理部11により予め各電磁石3の吸引力が算出されている。制御出力算出部12には、計算された吸引力が入力されるとともに、上記のように操業コンピュータ1の内部にて算出された次の鋼帯4の到達タイミング(溶接部分の到達時点)も制御出力算出部12に与えられる。
【0061】
これにより、制御出力算出部12からは、次の鋼帯の到達タイミングを考慮した制御出力(電流値)が電磁石駆動アンプ2に対して行われる。そして、この制御出力に基づいて電磁石駆動アンプ2から各電磁石3への駆動電流が変更される。こうして、新たに到達した鋼帯4の通板条件に対応して、この鋼板4を非接触方向転換するのに適した吸引力が各電磁石3から発生する。これが数学モデルに基づく吸引力発生である。
【0062】
一旦、新たな鋼帯4が電磁石3の位置にて方向転換を始めると、その鋼帯4が通過し終わるまでは通板条件が一定であるため、電磁石駆動アンプ2の駆動電流出力、ひいては吸引力は一定値に維持されている。この間に、次の鋼帯4を吸引するための条件が操業コンピュータ1にて演算され、当該次の鋼帯4の到達に合わせて吸引条件が変更制御される。
【0063】
なお、以上の説明では、鋼帯4が通過し終わるまでは通板条件が一定であることを前提とした。しかし、当該鋼帯4を通板中に、張力・ラインスピード等の通板条件は変更される場合もある。そのような場合でも、変更する通板条件に対応した吸引力を算出し、通板条件変更に合わせて吸引条件を変更制御することができる。
【0064】
この繰り返しによって、種々の鋼帯4の溶融亜鉛浴5における非接触方向転換が維持され続けることになる。
【0065】
上述したように、本発明の実施の形態に係る非接触通板方向転換装置によれば、鋼帯の通板条件に対応した数学モデルを考慮し、その鋼帯通過間は当該数学モデルに対応した吸引力を維持して電磁石による鋼帯吸引を行うようにしたので、電磁石〜鋼帯間の距離測定を不要としつつ、ロールレスの非接触方向転換を実現させることができる。これにより、鋼帯製造ラインにおける安定した非接触通板方向転換が実現できる。
【0066】
また、本実施形態の鋼帯の製造方法によれば、非接触通板方向転換装置を用いて鋼帯の非接触方向転換を行うようにしたので、方向転換ロールとの巻き込みで鋼帯にドロスが付着して生じる欠陥やロールによるスリップ疵を防止できる。さらに、方向転換ロールが不要なのでグルーブマークの発生も防止することができる。これらにより、高品質な鋼帯を製造することができる。
【0067】
さらに、溶融亜鉛浴中における方向転換ロールが不要であることから、ロールが常時高温の過酷な環境にさらされて回転不良などを生じさせることもない。したがって、メンテナンスも容易となり、歩留り向上にもつながる。
【0068】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図である。図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0069】
この非接触通板方向転換装置は、操業コンピュータにおいて、力学シミュレーション処理部11に代えて吸引力算出部21aが設けられ、記憶部13に力学シミュレーション計算結果テーブル22が記憶される他、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0070】
力学シミュレーション計算結果テーブル22は、剛体多リンク系モデルを用い、種々の通板条件について予め計算された結果を吸引力参照テーブル群として保存したものである。同テーブル22は、通板条件が決定されると、各電磁石にて各々生じさせる吸引力の参照テーブルを選択できるようになっている。
【0071】
吸引力算出部21aは、板情報を入力するとともに、通板条件に対応した各電磁石3の発生吸引力を算出して制御出力算出部12に出力する点で、力学シミュレーション処理部11と共通する。この吸引力算出部21aでは、力学モデルを解くわけではなく、力学シミュレーション計算結果テーブル22から与えられた通板条件に対応した吸引力参照テーブルを選択し、選択テーブルの内容を吸引力として出力する。なお、吸引力参照テーブルを用いる際に、適宜内挿あるいは外挿の操作を行う。
【0072】
以上のように構成された本実施形態の非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法においては、第1の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0073】
(第3の実施形態)
図3は本発明の第3の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図である。図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0074】
この非接触通板方向転換装置は、操業コンピュータにおいて、力学シミュレーション処理部11に代えて吸引力算出部21bが設けられ、記憶部13に実験結果参照テーブル23が記憶される他、第1の実施形態と同様に構成されている。
【0075】
実験結果参照テーブル23は、力学シミュレーションにより数学モデルを得るのではなく、種々の通板条件に対し、事前のオフライン実験あるいはオンラインで通板形状と吸引力との関係を収集し、これを各通板条件に対する吸引力参照テーブル群としたものである。こうして得られた関係も一種の数学モデルである。
【0076】
吸引力算出部21bは、吸引力参照テーブル群として力学シミュレーション計算結果テーブル22に代えて実験結果参照テーブル23を用いる他、吸引力算出部21aと同様に構成されている。
【0077】
以上のように構成された本実施形態の非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法においては、第1の実施形態と同様な作用効果が得られる。
【0078】
(第4の実施形態)
第1ないし第3の実施形態においては、ある通板条件の鋼帯が方向転換している間は電磁石の吸引条件を変更せず、いわばフィードフォワード制御を行う場合を説明した。本実施形態では、特定の通板条件の鋼帯が方向転換している間も、その通板状態を測定し、フィードバック制御により修正を施す場合を説明する。
【0079】
図4は本発明の第4の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図である。図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。また、本実施形態においても、非接触通板方向転換装置は連続溶融亜鉛めっきラインに適用されている。
【0080】
この非接触通板方向転換装置は、各電磁石3に各々歪みケージ31と、各歪みゲージ31からの出力を信号転換する信号転換器32とが設けられ、さらに操業コンピュータ33の機能が歪みゲージからの信号入力に対応して修正される他、第1〜3の実施形態と同様に構成されている。
【0081】
図5は本実施形態の主要構成部分を詳細に説明する図である。
【0082】
同図に示すように、歪みゲージ31は、電磁石3を保持する支持構造部34に取り付けられている。この歪みゲージ31は、歪みセンサの一種であり、電磁石が発生した吸引力測定手段として機能する。なお、歪ゲージには高温環境下でも使用可能なものを用いる。例えば市販されている800℃程度まで耐え得る歪ゲージを用いるとよい。
【0083】
操業コンピュータ33は、制御出力算出部35の機能構成が変更される他、第1ないし第3の実施形態における操業コンピュータ1と同様に構成されている。なお、図5には第1の実施形態の構成が示されている。
【0084】
制御出力算出部35は、第1ないし第3の実施形態の何れかと同様に、通板条件の変更時点で条件に対応した駆動電流の初期値を与え、さらに、発生吸引力算出部36及びPID制御部37により所定通板条件の鋼帯方向転換中におけるPID制御を実行する。
【0085】
発生吸引力算出部36は、信号転換器32からの歪みゲージ測定値を入力し、これに基づいて電磁石3が発生している吸引力を算出し、測定吸引力としてPID制御部37に入力する。
【0086】
PID制御部37は、力学シミュレーション処理部11からの吸引力を目標値として入力し、発生吸引力算出部36から吸引力の測定値を入力し、両者の差を取ってPID制御演算を行うことで電磁石駆動アンプ2への電流値出力を調整する。なお、本実施形態ではフィードバック制御としてPIDを採用したが、他の自動制御手法を用いることも可能である。
【0087】
次に、以上のように構成された本実施形態における非接触通板方向転換装置の動作について説明する。
【0088】
まず、第1ないし第3の実施形態の何れかと同様に、ある通板条件の鋼帯4についての吸引力ひいては駆動電流が計算される。この鋼帯4の電磁石位置への到達とともに、吸引条件が切り替えられて方向転換制御が開始される。
【0089】
ここで鋼帯4に対して電磁石3が吸引力を及ぼした場合は、電磁石3自身にもその反作用として吸引力が働く。この吸引力は電磁石3を支える支持構造部34に伝えられ、支持構造部34はこの力によって歪を発生する。従って、この歪を歪みゲージ31で測定することで間接的に電磁石3の吸引力を測定していることになる。歪みゲージ31の出力は操業コンピュータ33に入力可能な形式に信号転換され、制御出力算出部35に入力される。
【0090】
制御出力算出部35では、理想的な通板条件に基づく吸引力の目標値と歪みゲージ31からの測定値とが比較され、フィードバック制御による駆動電流調整が行われる。
【0091】
上述したように、本発明の実施の形態に係る非接触通板方向転換装置によれば、歪みゲージ31による吸引力測定により電磁石3をフィードバック制御するようにしたので、第1ないし第3の何れかの実施形態と同様な効果が得られる他、より安定して鋼帯4の方向転換を行うことができる。
【0092】
したがって、この非接触通板方向転換装置を用いた鋼帯の製造方法においても、より安定した鋼帯製造が実現される。
【0093】
なお、本実施形態においては、吸引力測定手段として歪ゲージを用いたが、非接触通板方向転換装置の設置される位置が過酷な環境でなければ、渦流式変位センサやレーザ式変位センサ等の距離測定装置を吸引力測定手段として用いてもよい。この場合、電磁石〜鋼帯間の測定距離及び電磁石への駆動電流に基づいて測定吸引力を算出するものである。
【0094】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0095】
実施形態では、非接触通板方向転換装置を連続溶融亜鉛めっきラインの溶融亜鉛浴中への適用する場合を説明したが、本発明の適用はこれに限定されない。酸洗ライン、連続焼鈍ライン、電気メッキライン、カラーコーティングライン等、種々の鋼帯製造ラインにおける方向転換、ひいては鋼帯製造に適用可能であり、種々の鋼帯製品についての高品質化に貢献できる。
【0096】
さらに、本発明は、溶融亜鉛めっき鋼帯だけでなく、溶融アルミめっき鋼帯や溶融亜鉛−アルミめっき鋼帯など、種々の溶融金属めっき鋼帯の製造に適用することができる。
【0097】
なお、本発明は大気中で鋼帯が方向転換する場合にも適用可能である。非接触方向転換により、ロール接触による疵発生等を防止することができる。
【0098】
また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0099】
なお、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラム(ソフトウエア手段)として、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウエア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウエア手段を構築し、このソフトウエア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。
【0100】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、鋼帯製造ラインにおける鋼帯の方向転換を非接触でかつ安定して行うことができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することができる。
【0101】
また、本発明によれば、溶融金属浴中にて溶融金属噴流を用いることなく鋼帯を非接触に方向転換し、高品質な溶融金属めっき鋼帯を製造することができる非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の操業コンピュータの構成例を示すブロック図。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る非接触通板方向転換装置の一例を示す構成図。
【図5】本発明の第4の実施形態の主要構成部分を詳細に説明する図。
【図6】鋼帯に作用する力を説明する図。
【図7】電磁石による吸引力と鋼帯の復元力との関係を示す図。
【図8】従来の通板方向転換技術が用いられた連続溶融亜鉛めっきラインを示す構成図。
【符号の説明】
1…操業コンピュータ
2…電磁石駆動アンプ
3…電磁石
4…鋼帯
5…溶融亜鉛浴
6…溶融亜鉛保持容器
7…スナウト
8…浴中サポートロール
9…ガスワイパ
11…力学シミュレーション処理部
12…制御出力算出部
13…記憶部
14…剛体多リンク系モデル
21a,21b…吸引力算出部
22…力学シミュレーション計算結果テーブル
23…実験結果参照テーブル
31…歪みゲージ
32…信号転換器
33…操業コンピュータ
34…支持構造部
35…制御出力算出部
36…発生吸引力算出部
37…PID制御部
Claims (9)
- 張力が付与されて走行する鋼帯の通板方向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置であって、
前記鋼帯の方向転換時における凸面側または両面側に配設され、前記鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石と、
方向転換すべき鋼帯の通板条件に対応し、その鋼帯に働く力学的作用が釣り合うように、前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定し、決定された吸引力を発生するように各電磁石を制御させる制御手段と
を備えたことを特徴とする非接触通板方向転換装置。 - 前記制御手段は、予め決定された吸引力に基づき、各電磁石をフィードフォワード制御することを特徴とする請求項1に記載の非接触通板方向転換装置。
- 前記複数の電磁石各々が方向転換中の鋼帯に作用させている吸引力を測定する吸引力測定手段を備え、
前記制御手段は、予め決定された吸引力と、吸引力測定手段により測定された吸引力とに基づき、各電磁石をフィードバック制御することを特徴とする請求項1に記載の非接触通板方向転換装置。 - 前記吸引力測定手段が電磁石を保持する支持構造部に設けられた歪みセンサであることを特徴とする請求項3に記載の非接触通板方向転換装置。
- 前記制御手段は、前記通板条件に対応して、鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を求める力学シミュレーションを実行し、そのシミュレーション結果に基づいて、前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定することを特徴とする請求項1乃至4のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
- 前記制御手段は、予め実行された鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を求める力学シミュレーションの結果を保持し、そのシミュレーション結果に基づいて、前記通板条件に対応した前記複数の電磁石各々の吸引力を予め決定することを特徴とする請求項1乃至4のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
- 前記制御手段は、鋼帯に働く力学的作用と鋼帯の通板形状との関係を、オフラインあるいはオンラインで収集したデータに基づく吸引力の参照テーブルとして備え、この吸引力参照テーブルを用いて前記通板条件に対応した吸引力を予め決定することを特徴とする請求項1乃至4のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
- 溶融金属めっき鋼帯製造設備におけるめっき金属の溶融金属浴内に設けられることを特徴とする請求項1乃至7のうち何れかに記載の非接触通板方向転換装置。
- 鋼帯を焼鈍する工程と、
焼鈍された鋼帯を、めっき金属の溶融金属浴に浸漬する工程と、
前記溶融金属浴に浸漬された鋼帯をロール接触することなく、請求項8に記載の非接触通板方向転換装置により方向転換し、溶融金属浴から引き上げる工程と、
を含むことを特徴とするめっき鋼帯の製造方法。
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JP2002167298A JP2004010983A (ja) | 2002-06-07 | 2002-06-07 | 非接触通板方向転換装置及びめっき鋼帯の製造方法 |
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JP2002167298A Pending JP2004010983A (ja) | 2002-06-07 | 2002-06-07 | 非接触通板方向転換装置及びめっき鋼帯の製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008520442A (ja) * | 2005-03-17 | 2008-06-19 | エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト | ストリップのデスケールをするための方法及び装置 |
CN113210446A (zh) * | 2021-06-11 | 2021-08-06 | 甘肃酒钢集团宏兴钢铁股份有限公司 | 一种薄带钢用磁分离除鳞装置、除鳞系统及其除鳞方法 |
CN113210447A (zh) * | 2021-06-11 | 2021-08-06 | 甘肃酒钢集团宏兴钢铁股份有限公司 | 一种研磨除鳞装置、带材表面除鳞系统及其除鳞方法 |
-
2002
- 2002-06-07 JP JP2002167298A patent/JP2004010983A/ja active Pending
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