JP2002302315A - 非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法 - Google Patents

非接触通板方向転換装置及び鋼帯の製造方法

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JP2002302315A
JP2002302315A JP2001111494A JP2001111494A JP2002302315A JP 2002302315 A JP2002302315 A JP 2002302315A JP 2001111494 A JP2001111494 A JP 2001111494A JP 2001111494 A JP2001111494 A JP 2001111494A JP 2002302315 A JP2002302315 A JP 2002302315A
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Kazuhisa Kabeya
和久 壁矢
Tadahira Ishida
匡平 石田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼帯製造ラインにおける方向転換を非接触で
かつ安定して行うことができ、溶融亜鉛めっき鋼帯製造
ライン等における溶融金属浴中における方向転換を非接
触で行うことができ、かつ溶融金属浴の攪拌を極力少な
くすることができる非接触通板方向変換装置及び鋼帯の
製造方法を提供する。 【解決手段】 鋼帯(1)の方向転換時における凸面側
又は両面側に配設され、鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電
磁石(7)と、鋼帯の転換時における通板位置が、鋼帯
に付与された張力と電磁石による吸引力とが安定的に釣
り合う範囲に入るように、複数の電磁石による吸引力を
自動又は手動で調整するための調整手段とを備えた非接
触通板方向転換装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行する鋼帯の通
板方向を非接触で変換する非接触通板方向変換装置とそ
れを用いた鋼帯の製造方法に関する。
【従来の技術】鋼帯の製造ライン、例えばCGL(溶融
亜鉛めっきライン)、EGL(電気亜鉛メッキライ
ン)、CAL(連続焼鈍ライン)等では、数千mにわた
って連続する鋼帯を通板しながら処理するため、そのラ
イン中の多くの個所で通板方向を変換する必要がある。
図7は溶融亜鉛めっき鋼帯製造ラインの構成を示す図で
ある。前工程である冷間圧延プロセスにおいて圧延さ
れ、続く洗浄プロセスにおいて表面が洗浄された鋼帯7
0は、溶融亜鉛めっき鋼帯製造ラインに運搬され、無酸
化性あるいは還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉71にお
いて表面酸化膜が除去され焼鈍処理をされた後、溶融亜
鉛の温度とほぼ同程度まで冷却されて溶融亜鉛浴72内
に導かれる。図8は、溶融亜鉛浴72中の装置の配置を
示す図である。鋼帯70はスナウト77と呼ばれる非酸
化性雰囲気に保たれた筒状部を通って溶融亜鉛浴72中
に引き込まれる。溶融亜鉛浴72中では方向変換用のロ
ールであるシンクロール78によって通板方向が変換さ
れた後、同じく浴中に配されたサポートロール79を経
て溶融亜鉛浴72外に引き出され、ガスワイパ73でめ
っき付着量が調整される。続くプロセスでは、用途に応
じて、例えばその鋼帯70が自動車用外板として使用さ
れる場合には、合金化炉74を使用して鋼帯を再加熱し
均質な合金層を作り出す合金化処理を施す場合がある。
そして、鋼帯70は冷却帯75を経て、化成処理76で
特殊の防錆、耐食処理が施され、コイルに巻き取られて
出荷される。このように、溶融亜鉛めっき鋼帯製造ライ
ンは複数のプロセスが連続してつながったラインのた
め、多数のロールが鋼帯70の搬送用に用いられてい
る。また、これらのプロセスは限られたスペースに設置
されているため、より多数の通板方向変換用ロールが必
要となる。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ロール
を用いて通板方向を変換する場合は鋼帯との接触を伴う
ため、鋼帯に疵等の欠陥を発生させることがある。この
ような欠陥の発生は、大気中における方向転換において
も問題であるが、溶融亜鉛めっき鋼帯製造ライン等の溶
融金属浴中における方向転換では、より深刻な欠陥発生
が生じる。溶融亜鉛めっき鋼帯製造ラインの溶融亜鉛浴
中ではドロスと呼ばれる不純物が発生するが、それが方
向転換ロール78(シンクロールともいう)やサポート
ロール79などの浴中機器に付着することでそのロール
78、79と接触する鋼帯70に欠陥を発生させ、この
結果、最悪の場合には著しい歩留まり低下につながるこ
ともある。特に方向転換ロール78はドロスを巻き込み
やすいので要注意である。また、溶融亜鉛浴中に設置さ
れる浴中ロール78、79は、常時高温の過酷な環境に
さらされるため回転不良などのトラブルを生じ易く、こ
のトラブルが原因となって鋼帯70に欠陥などの品質不
良を発生させることもある。このため、溶融めっき鋼帯
の製造においては、定期的にラインを停止して浴中ロー
ル78、79の手入れや交換を行わなければならず操業
効率を大きく低下させる。さらに、この浴中ロール7
8、79のメンテナンスのため、多大の費用が必要とな
る。ところで、このようなロール78と鋼帯との接触に
よって発生するこれらの問題を解決する装置として、溶
融亜鉛浴中にスリットから亜鉛を噴出することによって
鋼帯を浮上搬送させつつ亜鉛めっきを施す溶融亜鉛フロ
ータ装置が提案されている(特開平9−41106号公
報参照)。しかしながら、この装置では亜鉛の噴出によ
り溶融亜鉛浴中に流れが生じ、浴内を攪拌することにな
る結果、かえってドロスが鋼帯に付着する確率が高くな
りドロス欠陥が増えてしまう懸念がある。従って、流体
を噴出させて鋼帯を浮上させる鋼帯の方向変換装置は、
製品品質を考慮したときには、その適用に制限を受ける
ことが考えられる。一方、溶融金属浴外であれば、電磁
力より非接触で鋼帯の方向転換を行う技術が特許第26
17592号、第2824345号、特開平5−595
11号、特開平6−306559号などに開示されてい
るものの、現実には実施されていない。この理由は、一
般に電磁石の吸引力はその電磁石に近づくにつれて急激
に増加するため、うまく制御が行われない場合には電磁
石に引き寄せられ吸着してしまう恐れがあるためと考え
られる。事実、磁性体を電磁石で空中に静止させるよう
な磁気浮上系は不安定で制御が難しい系として知られて
いる。このような背景もあり、電磁石を用いた鋼帯の非
接触方向変換を、安定的に実施することは実際には行わ
れていない。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであって、その第1の目的は、鋼帯製造ラインにおけ
る方向転換を非接触でかつ安定して行うことができる非
接触通板方向変換装置及び鋼帯の製造方法を提供するこ
とにある。第2の目的は、溶融亜鉛めっき鋼帯製造ライ
ン等における溶融金属浴中における方向転換を非接触で
行うことができ、かつ溶融金属浴の攪拌を極力少なくす
ることができる非接触通板方向変換装置及び鋼帯の製造
方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め,本発明者らは装置周辺の気体または液体などを攪拌
することのない力として電磁石の吸引力に着目し、その
力を利用して非接触で鋼帯の進行方向を変換することの
可能性について鋭意検討をすすめた。上記したように、
電磁石の吸引力はその電磁石に近づくにつれて急激に増
加するため,安定的な制御が困難であり、磁気浮上系が
その代表例である。しかし,改めて検討してみると,本
発明の対象である張力を有する鋼帯と電磁石とで構成さ
れる系を制御する場合は,磁性体を磁気力を制御して浮
上させる系とは条件が異なることがわかった。図9は鋼
帯に作用する力を説明する図である。鋼帯70と電磁石
80とが距離Dだけ離れて置かれている初期状態におい
て、電磁石80にある一定電流を付加すると鋼帯70に
は電磁石80に近づく方向の力、即ち吸引力81が働
く。ここで、鋼帯70が距離Xだけ変位したとすると、
鋼帯70に作用している鋼帯70を搬送しようとする
力、即ち張力82によって、鋼帯70には電磁石80か
ら遠ざかる方向の力、即ち復元力83が働く。従って、
鋼帯70はこの吸引力81と復元力83とが釣り合う位
置に制御されることになる。図10は電磁石による吸引
力と鋼帯の復元力との関係を示す図である。本図では、
横軸は鋼帯70が初期状態から電磁石に近づいた距離X
を表し、縦軸は鋼帯70に作用する力を表している。そ
して、曲線85は電磁石による吸引力を示し、曲線86
は鋼帯の復元力を表している。まず電流一定時の電磁石
80の吸引力Fは(1)式で与えられる。ここでA,
Bは電磁石の形状やコイル巻き数などで決まる定数であ
る。 F=A/(B−x) …(1) 一方,鋼帯の復元力Fは(2)式で与えられる。ここ
でKは定数である。 F=KX …(2) 今、電磁石80に流す電流を適切に選べば、電磁石80
の吸引力を示す曲線85と鋼帯70の復元力を示す直線
86とは図に示すように2点で交わる。この2点は合力
の向きから考えると,片方が安定釣り合い点87で,も
う一方が不安定釣り合い点88となる。不安定釣り合い
点88よりも鋼帯70が電磁石80に近づくと,常に吸
引力が復元力より強く作用するため、鋼帯70は電磁石
80に吸い付けられてしまうが,不安定釣り合い点88
よりも鋼帯70が電磁石80から遠い位置にあれば、鋼
帯70は必ず安定釣り合い点87に戻ることになること
がわかる。このことから、電磁石80を鋼帯70から適
切な距離だけ離れたところに設置し,適切な電流を流し
て適切な吸引力を発生させれば,鋼帯70は電磁石80
に接触することなく安定に静止することがわかる。ま
た、本発明のもう一つのポイントは溶融亜鉛めっき鋼帯
製造ラインにおける溶融亜鉛浴中のように一般的な非接
触距離測定に使われるレーザー式変位センサや渦流式変
位センサが使えないような苛酷な環境(高温で光を通さ
ない)においても電磁石と鋼帯との間隔を測定できる方
法を思いついた点にある。その原理は以下の通りであ
る。一般に電磁石80と鋼帯70との間に働く力F(吸
引力)は(3)式で与えられる。 F=(NμSi)/{(l/μ)+2(D−X)} …(3) ここで,N:電磁石コイル巻き数,μ:真空の透磁
率,S:電磁石断面積,i:電流,l:磁路の長さ,μ
:比透磁率,D:電磁石−鋼帯間距離初期値,X:鋼
帯の変位量である。この(3)式の中で,μ,Dは定
数,N,S,l,μは使用する電磁石に固有の定数な
ので,吸引力Fは電磁石を流れる電流iと鋼帯の変位量
Xとの関数になる。換言すれば吸引力Fと電流iが分か
れば,鋼帯の変位量Xを求めることができ、この値から
電磁石−鋼帯間距離(ギャップ)を推定することができ
る。本発明はこのような2つの考察、すなわち安定釣り
合い点の利用および苛酷環境下での電磁石−鋼帯間距離
(ギャップ)推定方法の考察のもとになされたもので、
前述の課題を解決するための手段は次のように構成され
ている。張力が付与されて走行する鋼帯の通板方向を非
接触で転換する非接触通板方向転換装置において、本発
明は、鋼帯の方向転換時における凸面側又は両面側に配
設され、前記鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石と、鋼
帯の転換時における通板位置が、鋼帯に付与された張力
と電磁石による吸引力とが安定的に釣り合う範囲に入る
ように、複数の電磁石による吸引力を自動又は手動で調
整するための調整手段とを備えた非接触通板方向転換装
置である。また本発明は、上記発明である非接触通板方
向転換装置において、鋼帯の凸面側又は両面側に配設さ
れ、鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石と、鋼帯と複数
の電磁石との間隔を測定する複数の間隔測定装置と、間
隔測定装置により測定された測定結果に基づいて、鋼帯
と複数の電磁石との間隔が所定範囲内に入るように、複
数の電磁石による吸引力を自動又は手動で調整するため
の調整手段とを備えた非接触通板方向転換装置である。
また本発明は、上記発明である非接触通板方向転換装置
において、所定範囲は、鋼帯に付与された張力と電磁石
による吸引力とが安定的に釣り合う範囲である非接触通
板方向転換装置である。また本発明は、上記発明である
非接触通板方向転換装置において、間隔測定装置は、電
磁石とその保持構造との間に設けられた歪みセンサの出
力と、当該電磁石への入力とに基づいて、間隔を算出す
る非接触通板方向転換装置である。また本発明は、上記
発明である非接触通板方向転換装置において、鋼帯の方
向転換時における凹面側に、その中心軸が前記鋼帯の幅
方向と平行になるように配設された円筒形状または半円
筒形状の通板用ガイドを備えた非接触通板方向転換装置
である。また本発明は、上記発明である非接触通板方向
転換装置において、溶融めっき鋼板製造設備における溶
融金属槽内に設けられる非接触通板方向転換装置であ
る。また本発明は、上記発明である非接触通板方向転換
装置において、溶融めっき鋼板は、溶融亜鉛めっき鋼板
である非接触通板方向転換装置である。更に本発明は、
鋼帯に対し、何らかの処理を行う処理工程と、上記発明
である非接触通板方向転換装置により、鋼帯の方向転換
を行う方向転換工程とを有する鋼帯の製造方法である。
また本発明は、上記発明である非接触通板方向転換装置
により、溶融金属浴槽内で非接触方向転換を実現しつ
つ、溶融金属が鋼帯に付着されて溶融めっき鋼板が製造
される鋼帯の製造方法である。
【発明の実施の形態】本発明に係る第1の実施の形態の
非接触通板方向変換装置は電磁石で構成されるものであ
る。図1は本発明の第1の実施の形態の非接触通板方向
変換装置を溶融亜鉛浴中に適用する場合の構成を示す図
である。鋼帯1はスナウト2と呼ばれる非酸化性雰囲気
に保たれた筒状部を通って溶融亜鉛浴3中に引き込まれ
る。溶融亜鉛浴3中では本発明の非接触通板方向変換装
置4によって通板方向が変換された後、浴中サポートロ
ール5を経て溶融亜鉛浴3から引き出され、ガスワイパ
6でめっき付着量が調整される。本構成においては、方
向変換装置として従来用いられていたシンクロールの代
わりに、鋼帯1がある曲率で方向変換するときの凸面
(突出面)側に複数の電磁石7が配置された非接触通板
方向変換装置4を使用している。前述の考察に基づき、
鋼帯1に作用している張力と釣り合い,かつ鋼帯1が鉛
直方向に適切な形状で引き上げられるのに必要な吸引力
を発生するように電磁石7に流す電流を調整手段を用い
て調整することで、鋼帯1の通板形状を所定の形状に保
持して非接触で鋼帯1の通板方向を変換することができ
る。ここで通板形状とは、鋼帯1がある曲率で方向変換
するとき、その走行する鋼帯が形成する走行面の形状の
ことである。尚、亜鉛は非磁性体であるため、鋼帯1に
対して電磁石7の吸引力は妨げられず、また,溶融亜鉛
の温度は通常460℃程度であるため、鋼帯が強磁性を
失うほどの高温ではない。従って、電磁石7は溶融亜鉛
浴中においても鋼帯1に吸引力を作用することができ、
実設備として使用するためには、電磁石7を構成するコ
イル電線を耐熱性の高いものにしたり,あるいは電磁石
7を磁性に影響を与えない保護カバーで覆うなどの熱対
策処理を施せば良い。本発明に係る第2の実施の形態の
非接触通板方向変換装置4は距離測定手段と電磁石7と
で構成されるものである。図2は第2の実施の形態の非
接触通板方向変換装置4を溶融亜鉛浴中に適用する場合
の構成を示す図である。本図では、図1と同一の設備に
は同一の番号を付し、その詳細な説明は省略する。本構
成では、図1に示す構成と比べて鋼帯1と電磁石7間の
距離を計測する距離測定手段(以下、「ギャップセン
サ」という)を備えた点に特徴を有している。このギャ
ップセンサ8により得られたギャップの値が所望の範囲
(図10の安定釣り合い点を含む範囲)に入るように電
磁石7に流す電流を調整することで、電磁石7が適切な
吸引力を発生して非接触で鋼帯1が方向変換するように
安定制御することができる。ところで,溶融亜鉛浴中は
450℃以上の高温で,かつ光を通さない環境であるた
め,通常のギャップ計測に使われる渦流式変位センサや
レーザー式変位センサを使うのは困難である。そこでこ
こでは既述のような別の方法、すなわち電磁石の吸引力
と電流の値からギャップを推定する方法を用いる。この
方法によれば、電磁石7とギャップセンサ8を組み合わ
せて一体とした非接触通板方向変換装置4を構成するこ
とができる。本発明に係る第3の実施の形態の非接触通
板方向変換装置4は距離測定手段を組み込んだ電磁石7
で構成されるものである。この原理に基づくギャップセ
ンサ8、ひいては電磁石7と組み合わせた非接触通板方
向変換装置4の態様は種々考えられるが、以下にその一
具体例を示す。図3は電磁石7とギャップセンサ8とを
組み合わせた一様態を示す構成図である。この非接触通
板方向変換装置4は、電磁石7、電磁石7を設置するた
めの支持構造部15、支持構造部15の歪を測定する歪
センサ16、歪センサ16の歪測定値を信号に変換する
信号変換器17、歪測定値に基づいて電磁石7に流す電
流の制御を行う制御装置18及び制御装置18からの信
号を増幅して電磁石7に供給する増幅器19で構成され
ている。そして、制御装置18は、歪測定値と電磁石7
の電流からギャップ量を演算するギャップ推定部18a
と推定されたギャップに基づいて調節動作を行う制御調
節部18bとで構成されている。次に、本構成に係る非
接触通板方向変換装置4の動作を説明する。鋼帯1に対
して電磁石7が吸引力を及ぼした場合は、電磁石7自身
にもその反作用として吸引力が働く。この吸引力は電磁
石7を支える支持構造部15に伝えられ、支持構造部1
5はこの力によって歪を発生する。従って、この歪を歪
センサ16で測定することで間接的に電磁石7の吸引力
を測定していることになる。このようにして測定された
歪信号は信号変換器17を介して制御装置18に入力さ
れる。制御装置18ではギャップ推定部18aが起動し
て、まず歪信号に基づいて吸引力を算出し、この算出し
た吸引力と電磁石7に流れている電流とから式(3)に
示す関係に基づいてギャップ量を算出する。算出された
ギャップ量は制御調節部18bに伝えられる。制御調節
部18bにはこの電磁石7が設置されている位置におい
て制御すべき鋼帯1とのギャップ量が予め設定されてい
る。従って、制御調節部18bはこのギャップ量の設定
値と測定値の偏差に基づいて、電磁石7の電流を操作す
る制御動作を行うことで鋼帯1は所定位置に制御され
る。ここで、使用する歪ゲージは高温環境下でも使用可
能なもの(例えば、既に市販されている800℃程度ま
で使用可能なもの)を用いて構成すれば、溶融亜鉛浴中
のような環境においても本発明の非接触通板方向変換装
置4を適用することができる。尚、本実施の形態におい
ては歪ゲージを用いて構成したが、非接触通板方向変換
装置4の設置される位置が過酷な環境でなければ、ギャ
ップセンサ8としては通常使用される渦流式変位セン
サ、レーザ式変位センサを用いて構成しても良い。図4
は本発明に係る非接触通板方向変換装置の他の配置を示
す図である。本図において図1と同一の設備には同一の
番号を付し、その詳細の説明は省略する。本構成では、
前述の形態の電磁石7を鋼帯1の凸面側だけでなく、凹
面側(鋼帯1がある曲率で方向変換するときの湾曲面
側)にも配置している。鋼帯1にかかる張力と釣り合い
を取って鋼帯1の通板方向を変換させる働きは主として
凸面側に配置された電磁石で行われる。しかしながら、
この方向変換装置を従来の設備に組み込む際には、方向
変換前後の通板ラインに対してスムーズな乗り移りがで
きるように構成することが必要となる。このため、鋼帯
1の凹面側にも複数の電磁石7を配置し、鋼帯1とのギ
ャップ量を常に所定の値に保つように制御することによ
って鋼帯が所定の通板形状に従って通板されるように構
成したものである。図4では、鋼帯1の凹面側に配され
る電磁石7は、凸面側に配置された複数の電磁石7群の
両端部位置に各一台設けられた構成が示されているが、
本発明はこの構成に限定されるものではなく、凹面側に
も複数の電磁石7を配して所定の通板形状を実現しよう
とするものである。無論,この実施の形態においても図
2のようにギャップセンサ8を導入しても良い。図5は
本発明に係る非接触通板方向変換装置4の他の配置を示
す図である。本図において図1と同一の設備には同一の
番号を付し、その詳細の説明は省略する。本構成では、
鋼帯1の凹面側にロールを半割にした形状の通板ガイド
9を設けた点に特徴がある。このように構成すること
で、製造ラインの立ち上げが容易でかつ、非接触通板方
向変換装置4が故障したときにおいても、製造ラインに
与える影響を少なくすることができる。本発明の非接触
通板方向変換装置4を用いて溶融亜鉛めっきラインを立
ち上げる時の通板方法としては,通板ガイド9に鋼帯1
を沿わせて張力をかけた状態から,電磁石7の吸引力を
徐々に上げていき、通板ガイド9から鋼帯1を浮上させ
るものである。従って、予め通板ガイド9によって通板
形状が設定されるため、立ち上げ作業が確実で効率的に
行えるというメリットがある。また,この通板ガイド9
は立ち上げ時に使用されるだけでなく、故障などで万が
一,電磁石7の吸引力が不十分になってしまった場合に
鋼帯1を押さえるストッパーの機能も果たすものであ
る。従って、非接触通板方向変換装置4が故障時におい
ても、鋼帯1が折れ曲がるあるいは溶融亜鉛を飛散させ
るなどの被害を防止することができる。無論,通板ガイ
ド9は半割形状のロールでなくとも従来のロールをその
まま用いても良く、そのロールは回転するものであって
も良い。通常製造ラインの運転時においては非接触通板
方向変換装置4が動作しているため、そのロールは浴中
に静止しており、また鋼帯1と接触していないため、従
来の操業において問題とされる鋼帯1への疵の転写もな
く、設備のメンテナンスの必要性が少ないため、従来と
比較すると大幅に改善されているからである。尚、この
実施の形態においても図2のようにギャップセンサ8を
導入しても良く、また図4のように鋼帯1の凹面側に電
磁石を配して構成しても良く、さらにこれらを組み合わ
せて構成しても良い。図6は本発明に係る非接触通板方
向変換装置4を用いた溶融亜鉛めっき鋼帯製造装置の他
の構成を示す図である。本図において図1と同一の設備
には同一の番号を付し、その詳細の説明は省略する。本
構成では、従来浴中に配置されていたサポートロール5
がなく、その代替設備としてガスワイパ6の後に非接触
鋼帯制御装置10を設けた点に特徴がある。ここで、非
接触鋼帯制御装置10は電磁石の吸引力あるいは空気圧
などの流体圧を利用して非接触で鋼帯1の形状矯正と振
動抑制を図るための装置である。本実施形態のように、
非接触通板方向変換装置4と非接触鋼帯制御装置10を
組み合わせて用いることにより、シンクロール,浴中サ
ポートロールの存在しない完全な浴中ロールレス化を実
現することができる。尚、このような完全な浴中ロール
レスの構成においても,図2のようにギャップセンサ8
を導入しても良く、図4のように鋼帯1の凹面側にも電
磁石7を配置しても良く、あるいは図5のように通板ガ
イド9を配置しても良く更にこれらを組み合わせて用い
ても良い。各実施形態によれば、これまで鋼帯の製造ラ
インで一般に使われてきたロールを用いた進行方向変換
機能を非接触方式に代替できるため、ロールと鋼帯との
接触に起因する問題を解決できる。特に溶融金属めっき
鋼帯製造ラインにおける溶融亜鉛浴中のシンクロールを
実施形態の非接触通板方向変換装置で代替すれば、従来
必須とされていたシンクロールのない溶融亜鉛めっき鋼
帯製造方法が提供される。そしてこれにより、シンクロ
ールに起因する欠陥がない高品質な溶融亜鉛めっき鋼帯
の製造が可能となり、さらに、シンクロールのメンテナ
ンスに使われてきた費用と時間を削減することもでき
る。また、実施形態の非接触通板方向変換装置は、溶融
亜鉛めっき鋼帯製造ラインの溶融亜鉛浴中への適用につ
いてその実施例を記載したが、本発明はこれに限定され
るものではなく、鋼帯の通板方向を変換する装置であれ
ば広く適用することが可能である。従って、酸洗ライ
ン、連続焼鈍ライン、電気メッキライン、カラーコーテ
ィングラインなど数多くの鋼帯製造ラインでの方向変換
に適用可能なので、様々な鋼帯製品の高品質化に貢献す
ることが期待できる。さらに、溶融金属めっき鋼帯につ
いても、溶融亜鉛めっき鋼帯だけでなく、溶融アルミめ
っき鋼帯や溶融亜鉛−アルミめっき鋼帯など、種々の溶
融金属めっき鋼帯の製造に適用することができる。な
お、本発明は、溶融金属めっき鋼帯の溶融金属槽内に適
用するのが最も効果的であるが、大気中で鋼帯が方向転
換する場合にも適用できる。すなわち方向転換ロールに
疵がついている場合、鋼板との接触で疵が鋼板に転写
し、また、ロールに異物が付着している場合、その異物
が鋼板に疵をつけたり、あるいは鋼板に異物が付着して
いる場合、ロールに押されて鋼板に疵を作ったりという
ことが起こる。これらの問題は、大気中での鋼板の方向
転換でも生じるが、本発明の非接触方向転換を利用すれ
ば解決される。
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
鋼帯製造ラインにおける方向転換を非接触でかつ安定し
て行うことができる非接触通板方向変換装置及び鋼帯の
製造方法を提供することができる。また、本発明によれ
ば、溶融亜鉛めっき鋼帯製造ライン等における溶融金属
浴中における方向転換を非接触で行うことができ、かつ
溶融金属浴の攪拌を極力する少なくすることができる非
接触通板方向変換装置及び鋼帯の製造方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の非接触通板方向変
換装置を溶融亜鉛浴中に適用する場合の構成を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の非接触通板方向変
換装置を溶融亜鉛浴中に適用する場合の構成を示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態の非接触通板方向変
換装置の構成を示す図。
【図4】本発明に係る非接触通板方向変換装置の他の配
置を示す図。
【図5】本発明に係る非接触通板方向変換装置の他の配
置を示す図。
【図6】本発明に係る非接触通板方向変換装置を用いた
溶融亜鉛めっき鋼帯製造装置の他の構成を示す図。
【図7】溶融亜鉛めっき鋼帯製造ラインの構成を示す
図。
【図8】溶融亜鉛浴中の装置の配置を示す図。
【図9】鋼帯に作用する力を説明する図。
【図10】電磁石による吸引力と鋼帯の復元力との関係
を示す図。
【符号の説明】
1…鋼帯 3…溶融亜鉛浴 4…非接触通板方向変換装置 7…電磁石 8…ギャップセンサ 9…通板ガイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3F104 AA05 FA18 GA13 JC03 4K027 AA02 AA05 AA22 AB42 AB43 AB48 AD08 AD11 AD29 AE11 AE13 4K043 AA01 DA05 EA06 GA06 HA04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 張力が付与されて走行する鋼帯の通板方
    向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置におい
    て、 前記鋼帯の方向転換時における凸面側又は両面側に配設
    され、前記鋼帯に吸引力を及ぼす複数の電磁石と、 前記鋼帯の転換時における通板位置が、鋼帯に付与され
    た張力と電磁石による吸引力とが安定的に釣り合う範囲
    に入るように、前記複数の電磁石による吸引力を自動又
    は手動で調整するための調整手段とを備えたことを特徴
    とする非接触通板方向転換装置。
  2. 【請求項2】 張力が付与されて走行する鋼帯の通板方
    向を非接触で転換する非接触通板方向転換装置におい
    て、 前記鋼帯の凸面側又は両面側に配設され、前記鋼帯に吸
    引力を及ぼす複数の電磁石と、 前記鋼帯と前記複数の電磁石との間隔を測定する複数の
    間隔測定装置と、 前記間隔測定装置により測定された測定結果に基づい
    て、前記鋼帯と前記複数の電磁石との間隔が所定範囲内
    に入るように、前記複数の電磁石による吸引力を自動又
    は手動で調整するための調整手段とを備えたことを特徴
    とする非接触通板方向転換装置。
  3. 【請求項3】 前記所定範囲は、鋼帯に付与された張力
    と電磁石による吸引力とが安定的に釣り合う範囲である
    ことを特徴とする請求項2記載の非接触通板方向転換装
    置。
  4. 【請求項4】 前記間隔測定装置は、電磁石とその保持
    構造との間に設けられた歪みセンサの出力と、当該電磁
    石への入力とに基づいて、前記間隔を算出することを特
    徴とする請求項2又は3に記載の非接触通板方向転換装
    置。
  5. 【請求項5】 前記鋼帯の方向転換時における凹面側
    に、その中心軸が前記鋼帯の幅方向と平行になるように
    配設された円筒形状または半円筒形状の通板用ガイドを
    備えたことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか一
    項に記載の非接触通板方向転換装置。
  6. 【請求項6】 溶融めっき鋼帯製造設備における溶融金
    属槽内に設けられることを特徴とする請求項1乃至5の
    うち何れか一項に記載の非接触通板方向転換装置。
  7. 【請求項7】 前記溶融めっき鋼帯は、溶融亜鉛めっき
    鋼帯であることを特徴とする請求項6記載の非接触通板
    方向転換装置。
  8. 【請求項8】 鋼帯に対し、何らかの処理を行う処理工
    程と、 請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の非接触通板方
    向転換装置により、鋼帯の方向転換を行う方向転換工程
    とを有することを特徴とする鋼帯の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項6又は7記載の非接触通板方向転
    換装置により、溶融金属浴槽内で非接触方向転換を実現
    しつつ、溶融金属が鋼帯に付着されて溶融めっき鋼帯が
    製造されることを特徴とする鋼帯の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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