JP2005097438A - 硬化性組成物、その硬化物及び積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子と、重合性不飽和基を有する有機化合物とを結合させてなる粒子、
(B)重合性不飽和基を有しないメラミン化合物、及び
(C)重合性不飽和基を2個以上と下記式(1)に示す基を有する化合物
【化1】
[式(1)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】 無し
Description
また、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜の用途においては、上記要請に加えて、高屈折率の硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
例えば、コロイダルシリカの表面をメタクリロキシシランで修飾した粒子とアクリレートとの組成物を、放射線(光)硬化型のコーティング材料として用いる技術が提案されている(特許文献1)。この種の放射線硬化型の組成物は、優れた塗工性を有すること等から、最近多用されるようになって来ている(特許文献2〜7)。
また、多くの場合、組成物を放射線(光)硬化せしめる工程は、空気雰囲気下において行われているが、本来は空気中の酸素が重合反応の阻害要因であるため、嫌気的条件下において硬化反応を行うことが好ましい。しかし、従来の組成物では、窒素雰囲気下等の嫌気的条件下で硬化反応を行った場合に耐擦傷性が低下するとの問題点もあった。
[1](A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子と、重合性不飽和基を有する有機化合物とを結合させてなる粒子、
(B)重合性不飽和基を有しないメラミン化合物、及び
(C)重合性不飽和基を2個以上と下記式(1)に示す基を有する化合物
を含有することを特徴とする硬化性組成物。
(D)q−R1−O−CO−NH−R2−NH−CO−O−R3−(E)r (2)
[式(2)中、R1は、(q+1)価の有機基である。R2は、分子量14から1万の2価の有機基である。R3は、(r+1)価の有機基である。D,Eは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。q、rは、1〜20の整数である。]
せしめて硬化物を形成する工程を有することを特徴とする硬化物の製造方法。
I.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、(A)特定の元素の酸化物粒子(以下、「酸化物粒子(Aa)」という)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(以下、「有機化合物(Ab)」という)とを結合させてなる粒子(以下、「反応性粒子(A)」又は「(A)成分」という)、(B)重合性不飽和基を有しないメラミン化合物、及び(C)重合性不飽和基を有し、を含有することを特徴とするものである。
1.反応性粒子(A)
本発明に用いられる反応性粒子(A)は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子(Aa)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)(好ましくは、前記式(1)に示す基を含む特定有機化合物)とを結合させてなる反応性粒子である。
本発明に用いられる酸化物粒子(Aa)は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物粒子である。
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、分子内に、重合性不飽和基を含む化合物であり、さらに、前記式(1)に示す基[−U−C(=V)−NH−]を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1を含むものであることが好ましい。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
有機化合物に含まれる前記式(1)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(1)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。このようなシラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基を生成する化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
R6は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
R7は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
R8は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
この場合、反応性粒子(A)を構成する酸化物粒子(Aa)の組成物中の含有量は、65〜90重量%であることが好ましい。
尚、反応性粒子(A)の量は、固形分を意味し、反応性粒子(A)が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
本発明に用いられる化合物(B)は、重合性不飽和基を有しないメラミン化合物であり、下記式(5)に示す化合物であることが好ましい。
この化合物(B)は、硬化物としたときの屈折率を高めるとともに、積層体の耐薬品性を向上するために好適に用いられる。
前記式(5)及び式(6)におけるXは、メチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基が好ましい。
前記式(5)におけるXとしては、硬化性に優れることからメチル基であることが好ましい。
前記式(5)におけるYは、メチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、前記式(6)の有機基が好ましい。
より好ましくは40モル%以上がイソブチル基である。
本発明に用いられる成分(C)は、重合性不飽和基を2個以上と下記式(1)に示す基を有する化合物である。成分(C)は、組成物の成膜性を高めると共に本発明の組成物の硬化物の耐擦傷性を改善するために好適に用いられる。
成分(C)が有する上記式(1)に示す基は、前記有機化合物(Ab)が有する式(1)に示す基と同様である。
成分(C)が有する重合性不飽和基も、前記有機化合物(Ab)が有する重合性不飽和基と同様である。
ただし、有機化合物(Ab)と成分(C)が有する式(1)に示す基又は重合性不飽和基が同一の化学形である必要はない。成分(C)においては、重合性不飽和基の数は、2個以上が必要であり、3個以上が成膜性の観点から好ましい。重合性不飽和基が1個であると耐擦傷性が低下する。
(D)q−R1−O−CO−NH−R2−NH−CO−O−R3−(E)r (2)
R2は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
R3は、(r+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
D,Eは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。具体例として、アクリロイル(オキシ)基、メタアクリロイル(オキシ)基、ビニル(オキシ)基、プロペニル(オキシ)基、ブタジエニル(オキシ)基、スチリル(オキシ)基、エチニル(オキシ)基、シンナモイル(オキシ)基、マレエート基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基等を挙げることができる。これらの中でアクリロイル(オキシ)基及びメタアクリロイル(オキシ)基が好ましい。
q、rは、1〜20の整数であり、好ましくは、1〜10の整数、さらに好ましくは、1〜5の整数である。
尚、本発明の組成物中には、化合物(C)の外に、必要に応じて、分子内に重合性不飽和基を有する化合物を含有させてもよい。
本発明の組成物においては、必要に応じて、前記反応性粒子(A)、化合物(B)及び化合物(C)以外の配合成分として、(D)酸発生剤を配合することができる。
このような酸発生剤(D)としては、例えば、熱的にカチオン種を発生させる化合物等及び放射線(光)照射によりカチオン種を発生させる化合物等の、汎用されているものを挙げることができる。
熱的にカチオン種を発生させる化合物としては、例えば、脂肪族スルホン酸、酸脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リン酸エステル、金属塩等の化合物を挙げることができる。
これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
このオニウム塩は、光を受けることによりルイス酸を放出する化合物である。
[R9 aR10 bR11 cR12 dW]+e [MLe+f]−e 式(8)
(式(8)中、カチオンはオニウムイオンであり、Wは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、又はN≡N−であり、R9、R10、R11及びR12は同一又は異なる有機基であり、a、b、c、及びdは、それぞれ0〜3の整数であって、(a+b+c+d)はWの価数に等しい。Mは、ハロゲン化物錯体[MLe+f]の中心原子を構成する金属又はメタロイドであり、例えば、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Lは、例えば、F、Cl、Br等のハロゲン原子であり、eは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷であり、fは、Mの原子価である。)
これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
本発明の組成物においては、必要に応じて、前記反応性粒子(A)、化合物(B)、化合物(C)及び酸発生剤(D)以外の配合成分として、(E)ラジカル重合開始剤を配合することができる。
このようなラジカル重合開始剤(E)としては、例えば、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物等(熱重合開始剤)、及び放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物等(放射線(光)重合開始剤)の、汎用されているものを挙げることができる。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
(F)成分である(C)成分以外の重合性不飽和基を有する化合物は、分子内に2以上の重合性不飽和基を有するものが好ましい。(F)成分を添加することにより、組成物の成膜性を高めることができる。(F)成分としては、メラミンアクリレート類、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類等を挙げることができる。(F)成分の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートやジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を挙げることができる。(F)成分の市販品としては、例えば、日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD DPHA(DPHAは、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの重量比40対60の混合物である。)等を挙げることができる。
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合できる。
本発明の組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
本発明の組成物は、熱及び/又は放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
本発明の組成物の硬化反応は、空気雰囲気下においても窒素等の嫌気的条件下においても行うことができ、嫌気的条件下で硬化せしめた場合においても、その硬化物は優れた耐擦傷性を有する。
本発明の硬化物は、前記硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cm2であり、より好ましくは、0.1〜2J/cm2である。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cm2であり、電子線照射量は1〜10Mradである。
本発明の積層体は、前記硬化性組成物を硬化させてなる高屈折率の硬化膜及び低屈折率の膜をこの順に基材上に積層してなり、反射防止膜として特に好適なものである。
本発明に用いられる基材としては特に制限はないが、反射防止膜として用いる場合には、例えば前述の、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)等を挙げることができる。
本発明に用いられる低屈折率の膜としては、例えば、屈折率が1.38〜1.45のフッ化マグネシウム、二酸化ケイ素等の金属酸化物膜、フッ素系コート材硬化膜等を挙げることができる。
尚、高屈折率の硬化膜と低屈折率の膜の間、又は基材と高屈折率の硬化膜の間に他の膜が介在してもよい。例えば、基材と高屈折率の硬化膜の間にはハードコート層や反射防止層等を設けることができる。
このように前記高屈折率の硬化膜と低屈折率の膜とを基材上に積層することによって、基材表面における光の反射を有効に防止することができる。
本発明の積層体は、低反射率を有するとともに耐薬品性に優れるため、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜として特に好適に用いられる。
球状ジルコニア微粉末(住友大阪セメント(株)社製、数平均一次粒子径0.01μm)300部をメチルエチルケトン(MEK)700部に添加し、ガラスビーズにて168時間分散を行い、カラスビーズを除去してメチルエチルケトンジルコニアゾル(Aa)950部を得た。分散ゾルをアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30%であった。また、この固形物の電子顕微鏡観察の結果、短軸平均粒子径15nm、長軸平均粒子径20nm、アスペクト比1.3であった。
攪拌機付きの容器内のメルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部と、ジブチルスズジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート20.6部を、乾燥空気中、50℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、3時間の条件で、さらに攪拌した。
これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を、30℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、3時間の条件で、さらに攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、重合性不飽和基を含む有機化合物における残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1重量%以下であり、各反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、チオウレタン結合、ウレタン結合、アルコキシシリル基、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
この生成物は、前記式(4)で示される化合物である。
製造例2で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)5.2部、製造例1で調製したメチルエチルケトンジルコニアゾル(Aa)(ジルコニア濃度30%)237部、イオン交換水0.1部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.03部の混合液を、60℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.0部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(分散液(A−1))を得た。この分散液(A−1)をアルミ皿に2g秤量後、120℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、31%であった。また、分散液(A−1)を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、93%であった。
化合物(C−1)は、製造例2で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)と同一である。
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチルスズジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、ペンタエリスリトールトリアクリレート81.0部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、重合性不飽和基を含む有機化合物における残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1重量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
この生成物は、前記式(7)で示される化合物である。
(1)水酸基を有する含フッ素重合体1の調製
内容積1.5リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブ内を窒素ガスで十分置換処理した後、酢酸エチル500gと、エチルビニルエーテル34.0gと、ヒドロキシエチルビニルエーテル41.6gと、パーフルオロプロピルビニルエーテル75.4gと、過酸化ラウロイル1.3gと、シリコーン含有高分子アゾ開始剤(和光純薬工業(株)製、商品名:VPS1001)7.5gと、反応性乳化剤(旭電化工業(株)製、商品名:NE−30)1gとを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いで、ヘキサフルオロプロピレン119.0gをさらに仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が70℃に達した時点での圧力は、5.5×105Paを示した。その後、攪拌しながら、70℃、20時間の条件で反応を継続し、圧力が2.3×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマを放出し、オートクレーブを開放し、固形分濃度30重量%のポリマ溶液を得た。得られたポリマ溶液を、メタノールに投入し、ポリマを析出させた後、メタノールによりさらに洗浄し、50℃で真空乾燥を行い、170gの水酸基を有する含フッ素重合体1を得た。
また、かかる含フッ素重合体1について、ガラス転移温度を、示差走査型熱量計(DSC)を用い、昇温速度5℃/分、窒素気流中の条件で測定したところ、31℃であった。
また、かかる含フッ素重合体1について、フッ素含量を、アリザリンコンプレクソン法を用いて測定したところ、51.7%であった。
攪拌機付の容器内に、(1)で得られた水酸基を有する含フッ素共重合体100gと、サイメル303(三井サイテック(株)製)11.1gと、メチルイソブチルケトン(MIBK)3,736gとをそれぞれ添加し、110℃、5時間の条件で攪拌し、水酸基を有する含フッ素共重合体1とサイメル303とを反応させた。
次いで、キャタリスト4040(三井サイテック(株)製、固形分濃度40重量%)11.1gをさらに添加し、10分間攪拌して、粘度1mPa・s(測定温度25℃)の低屈折率膜用硬化性組成物(以下、塗布液L1と称する場合がある。)を得た。
即ち、低屈折率膜用硬化性組成物を、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて、シリコンウエハ(膜厚1μm)上に塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。次いで、熱風乾燥器中において、140℃、1分間の条件で塗膜を加熱硬化させ、0.3μmの膜厚の低屈折率膜を形成した。得られた低屈折率膜におけるNa−D線の屈折率を、測定温度25℃の条件で、分光エリプソメータを用いて測定した。その結果、屈折率は1.40であった。
(1)水酸基を有する含フッ素重合体2の調製
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、溶剤の酢酸エチル500g、パーフロロ(プロピルビニルエーテル)43.2g、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル21.5g、エチルビニルエーテル41.2gと、過酸化ラウロイル1.3gと、シリコーン含有高分子アゾ開始剤(和光純薬工業(株)製、商品名:VPS1001)6.0gと、反応性乳化剤(旭電化工業(株)製、商品名:NE−30)40.5gとを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
(i)メタノール分散コロイダルシリカの調製
固形分が20重量%、pHが2.7、BET法での比表面積が226m2/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度が4.1×10−5モル/g、原子吸光法で求めた溶媒中の金属含量が、Naとして4.6ppm、Caとして0.013ppm、Kとして0.011ppmの水分散コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名:スノーテックス−O)30kgをタンクに入れ、50℃に加熱し、循環流量50リットル/分、圧力1kg/cm2で、限外濾過膜モジュール((株)トライテック製)及びアルミナ製限外濾過膜(日本碍子(株)製、商品名:セラミックUFエレメント、仕様:4mmΦ、19穴、長さ1m、分画分子量=15万、膜面積=0.24m2)を用いて濃縮を行った。0.5時間後、10kgの濾液を排出したところ、固形分は30重量%となった。濃縮開始前の平均透過流速(限外濾過膜の単位面積、単位時間あたりの膜透過重量)は90kg/m2/時間であり、濃縮終了時は55kg/m2/時間であった。動的光散乱法で求めた数平均粒子径は11nmと濃縮前後で変化しなかった。
(i)で調製したメタノール分散コロイダルシリカ20kgに、トリメチルメトキシシラン(東レダウコーニング(株)製)0.6kgを加え、60℃で3時間加熱攪拌した。動的光散乱法で求めた数平均粒子径は11nmであり、処理前と変化は見られなかった。得られたメタノール分散疎水化コロイダルシリカのBET法での比表面積は240m2/g、メチルレッド吸着法により求めたシリカ粒子上のシラノール濃度は2.1×10−5モル/gであった。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3.7部、(ii)で製造したシリカ粒子ゾル93.2部(シリカ粒子として28部)、イオン交換水0.25部の混合液を、60℃、3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル2.9部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性シリカ粒子ゾルを得た。このゾルをアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分を求めたところ、31重量%であった。
上記(2)(iii)で得られた反応性シリカ粒子ゾル4.3g、上記(1)で得られた水酸基を有するフッ素含有重合体2の5.6g、架橋性化合物のメトキシ化メチルメラミン「サイメル303」(三井サイテック株式会社製)1.7gと硬化触媒である、キャタリスト4050(三井サイテック(株)製、芳香族スルホン酸化合物)0.63gを、溶剤のメチルエチルケトン208g中に溶解し、塗布液L2を得た。塗布液L2の固形分濃度を(iii)と同様の方法で求めたところ、4重量%であった。
(1)硬化性組成物の調製
紫外線を遮蔽した容器中において、製造例3で調製した反応性ジルコニア微粉末ゾル(A−1)164.6部(反応性ジルコニア51.0部)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(F−1)とペンタエリスリトールテトラアクリレート(F−2)の混合物(日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD PET−30)12.2部、(C−1)23.6部、メチルイソブチルケトン113.6部を混合したのち、固形分濃度が65.5%になるまでロータリーエバポレータで濃縮した。この濃縮液に、メラミン化合物(B−1)6.2部(三井サイテック(株)製 商品名:サイメル238、混合アルキル化メラミン、前記式(6)においてn=平均1.8、(B−1)の全ての置換基(X及びX以外のY)の40モル%がイソブチル基、60モル%がメチル基)、キャタリスト4050(D−1)(三井サイテック(株)製、イソプロピルアルコール(IPA)溶液、固形分濃度55重量%)4.0部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(E−1)1.9部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1(E−2)1.1部、及びメチルイソブチルケトン51.2部を30℃で2時間攪拌することで均一な溶液の組成物を得た。この組成物を製造例3と同様に固形分含量を測定したところ、50%であった。
(1)で得られた組成物を、膜厚に応じたワイヤーバーコータ(#6)を装着したコータを用いて、ポリエステルフィルムA4300(東洋紡績(株)製、膜厚188μm、)上に塗工し、オーブン中、80℃、1分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素雰囲気中で、メタルハライドランプを用いて、0.3J/cm2の光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚3μmの高屈折率膜を形成した。
さらに、製造例6で得られた塗布液L1を、高屈折率膜上に、ワイヤーバーコータ(#3)を用いて塗工し、室温で5分間風乾して、塗膜を形成した。この塗膜を、オーブンを用いて140℃、1分の条件で加熱し、膜厚0.1μmの低屈折率膜を形成し、反射防止膜積層体を得た。
(1)硬化性組成物の調製
表1に示す組成に従い、実施例1(1)と同様の方法により、各組成物を得た。尚、比較例1と比較例5の組成物はそれぞれ同一であり、後述の硬化条件においてのみ異なるものである。
(1)で得られた組成物を用いて、実施例1(2)と同様の方法により、反射防止膜積層体を製造した。ただし、比較例5のみについては空気雰囲気中で塗膜を紫外線硬化させて高屈折率膜を形成した。
(1)硬化性組成物の調製
表1に示す組成に従い、実施例1(1)と同様の方法により、各組成物を得た。
(1)で得られた組成物を用いて、実施例1(2)と同様の方法により、反射防止膜積層体を製造した。ただし、塗布液L1の代わりに、製造例7で得られた塗布液L2を用いた。
実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた各反射防止膜積層体における反射率、全光線透過率、濁度(ヘイズ値)、耐擦傷性及び耐薬品性を下記に示す方法により測定又は評価した。
得られた反射防止膜積層体における反射率(測定波長域における最低反射率)を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、JIS K7105(測定法A)に準拠して、波長340〜700nmの範囲で測定した。
即ち、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止膜積層体(反射防止膜)における最低反射率を測定した。得られた結果を表1に示す。
得られた反射防止膜積層体につき、カラーヘイズメータ(スガ試験機(株)製)を用いて、JIS K7105に準拠して全光線透過率及びヘイズ値を測定した。得られた結果を表1に示す。
得られた反射防止膜積層体の表面を#0000スチールウールにより、荷重200g/cm2の条件で10回こすり、反射防止膜積層体の耐擦傷性を以下の基準から目視にて評価した。得られた結果を表1に示す。
評価5:傷の発生が全く観察されなかった。
評価4:1〜5本の傷の発生が観察された。
評価3:6〜50本の傷の発生が観察された。
評価2:51〜100本の傷の発生が観察された。
評価1:塗膜剥離が観察された。
尚、評価2以上の耐擦傷性であれば、実用上許容範囲であり、評価4以上の耐擦傷性であれば実用上の耐久性が優れていることから好ましく、評価5の耐擦傷性であれば、実用上の耐久性が著しく向上することからさらに好ましいといえる。
得られた反射防止膜積層体を60℃の1N NaOH水溶液に1分間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。この積層体の表面を#0000スチールウールにより、荷重200g/cm2の条件で10回こすり、反射防止膜積層体の耐擦傷性を以下の基準から目視にて評価した。得られた結果を表1に示す。
評価5:傷の発生が全く観察されなかった。
評価4:1〜5本の傷の発生が観察された。
評価3:6〜50本の傷の発生が観察された。
評価2:51〜100本の傷の発生が観察された。
評価1:塗膜剥離が観察された。
尚、評価2以上の耐擦傷性であれば、実用上許容範囲であり、評価4以上の耐擦傷性であれば実用上の耐久性が優れていることから好ましく、評価5の耐擦傷性であれば、実用上の耐久性が著しく向上することからさらに好ましいといえる。
表1中の略称の内容を下記に示す。
A−1:製造例3で製造した反応性ジルコニアゾル
B−1:メラミン化合物(三井サイテック(株)製 サイメル238)
C−1:製造例4で製造した化合物C
C−2:製造例5で製造した化合物C
D−1:キャタリスト4050(三井サイテック(株)製)
E−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
E−2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1
F−1:ペンタエリスリトールトリアクリレート
F−2:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
IPA:イソプロピルアルコール
L1:製造例6で製造した塗布液
L2:製造例7で製造した塗布液
Claims (9)
- 前記(A)成分の粒子中における有機化合物が、重合性不飽和基に加えて、前記式(1)に示す基を有するものであり、前記(A)成分の前記式(1)に示す基と、前記(C)成分の前記式(1)に示す基は、同一でも異なっていてもよいことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記(A)成分の粒子中における有機化合物が、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記(C)成分が、下記式(2)に示す化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
(D)q−R1−O−CO−NH−R2−NH−CO−O−R3−(E)r (2)
[式(2)中、R1は、(q+1)価の有機基である。R2は、分子量14から1万の2価の有機基である。R3は、(r+1)価の有機基である。D,Eは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。q、rは、1〜20の整数である。] - さらに、(D)酸発生剤を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物を嫌気的条件下に硬化せしめて硬化物を形成する工程を有することを特徴とする硬化物の製造方法。
- 請求項7に記載の硬化物からなる硬化膜、及び前記硬化膜より低屈折率の膜をこの順に基材上に積層してなることを特徴とする積層体。
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