JP2005097018A - 難帯電ガラス基板の製法およびそれによって得られた難帯電ガラス基板 - Google Patents

難帯電ガラス基板の製法およびそれによって得られた難帯電ガラス基板 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス基板自体を帯電し難いものとする、難帯電ガラス基板の製法およびそれによって得られた難帯電ガラス基板を提供する。
【解決手段】高圧電極1と低圧電極2の間で大気圧プラズマを発生させその大気圧プラズマにより被処理体を処理する大気圧プラズマ発生装置内に、ガラス基板Gを配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板Gを難帯電化する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガラス基板をプラズマ処理することにより、そのガラス基板を帯電し難くする難帯電ガラス基板の製法およびそれによって得られた難帯電ガラス基板に関するものである。
ガラス基板は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のディスプレイ用として用いられたり、建築物や家具に用いられたりする等、様々な分野で用いられている。このようなガラス基板は、例えば、製造後、ローラコンベアにより保管場所に移動され、その保管場所では、ガラス基板を保護するために、重なり合うガラス基板の間に紙等の緩衝材を配置して保管される。
ところで、上記ガラス基板は、ローラコンベアによる移動の際に、ローラコンベアのローラとの接離の繰り返しにより、帯電する。また、保管場所からガラス基板を取り出す際に、緩衝材と分離することにより、帯電する。このようにガラス基板が上記液晶ディスプレイ等の製品に組み付けられるまでに帯電すると、その帯電によりガラス基板に塵埃が付着する。一般に、材質の異なる二つの物体が接触すると、これら両物体の一方から他方に電子の移動が起こり、その後分離すると、一方がプラスに帯電し、他方がマイナスに帯電するからである。
そこで、ガラス基板が帯電した場合には、通常、除電装置により除電する。それ以外に、ガラス基板のうねりを制御することにより帯電を抑制し、塵埃の付着を抑制する方法も提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−72922号公報
しかしながら、除電装置による除電は、ガラス基板自体の帯電性を抑制するものではないため、塵埃の付着を充分に抑制することはできない。また、前記の、ガラス基板のうねりを制御する方法は、ガラス基板の製造工程で非常に精密な制御が必要となり実用的ではない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ガラス基板自体を帯電し難いものとする、難帯電ガラス基板の製法およびそれによって得られた難帯電ガラス基板の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、電極の間で大気圧プラズマを発生させその大気圧プラズマにより被処理体を処理する大気圧プラズマ発生装置内に、ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板を難帯電化する難帯電ガラス基板の製法を第1の要旨とし、それによって得られた難帯電ガラス基板を第2の要旨とする。
本発明者らは、ガラス基板を帯電し難いものとすべく、ガラス基板の製法について、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、大気圧プラズマによりガラス基板の表面をプラズマ処理すると、ガラス基板が帯電し難くなることを見出し、本発明に到達した。帯電し難くなる理由は、明らかではないが、上記大気圧プラズマにより、ガラス基板の表面部分が改質して、帯電し難くなるものと推測される。
また、本発明者らは、上記製法によって得られた難帯電ガラス基板が優れた帯電減衰性をも示すことを見出した。すなわち、上記難帯電ガラス基板に強力な電圧を印加することにより、その難帯電ガラス基板を強制的に帯電させても、プラズマ処理していない通常のガラス基板よりも速く放電することを見出した。この理由も明らかではないが、ガラス基板の表面部分の改質により、難帯電ガラス基板が放電し易くなっているからであると推測される。
本発明の難帯電ガラス基板の製法によれば、ガラス基板を大気圧プラズマ処理しているため、ガラス基板を帯電し難いものとすることができ、その難帯電ガラス基板が上記液晶ディスプレイ等の製品に組み付けられるまで、塵埃の付着を抑制することができる。
しかも、上記大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスとして、下記(A)からなるガス、または下記(A)を主成分とし、それに下記(B)が含有されている混合ガスを用いる場合においても、同様にガラス基板を帯電し難いものとすることができる。
(A)アルゴン,ヘリウム,ネオン,キセノンおよび窒素からなる群から選ばれる少なくとも一つ。
(B)酸素ガスおよび水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも一つ。
また、上記雰囲気ガスが、上記(A)からなるガスまたは上記混合ガスを加湿した加湿ガスである場合においても、同様にガラス基板を帯電し難いものとすることができる。
特に、上記雰囲気ガスにおいて、上記(B)の含有率が20容量%以下である場合には、難帯電性がより向上する。
また、上記製法によって得られた本発明の難帯電ガラス基板によれば、難帯電性を示すだけではなく、帯電したとしても、速く放電し、塵埃の付着を抑制することができる。
つぎに、本発明を図面にもとづいて詳しく説明する。
図1は、本発明の難帯電ガラス基板の製法を示している。この実施の形態では、ガラス基板Gを大気圧プラズマ発生装置内に配置し、その装置内で大気圧プラズマを発生させ、その大気圧プラズマにより、上記ガラス基板Gの表面をプラズマ処理するようにしている。
上記大気圧プラズマ発生装置は、空間をあけて対向する高圧電極1と低圧電極2とを一組とする電極を備えており、その高圧電極1と低圧電極2の間の空間の少なくとも一部に上記ガラス基板Gを配置できるようになっている。また、上記大気圧プラズマ発生装置は、大気圧プラズマに用いるガスを充填する流入口3とそれに用いたガスを排出する流出口4とを備えている。
そして、上記ガラス基板Gは、例えば、つぎのようにしてプラズマ処理することができる。すなわち、まず、1枚のガラス基板Gを取り出し、必要に応じて、そのガラス基板Gの表面にエアーを吹き付ける等して、ガラス基板Gの表面の塵埃等を除去する。ついで、ガラス基板Gを上記大気圧プラズマ発生装置の高圧電極1と低圧電極2の間の空間に配置し(図1では、低圧電極2上に載置しているが、これに限定されるものではなく、高圧電極1と低圧電極2の間に支持部を設けそれで支持させてもよい。)、大気圧プラズマに用いるガスを充填し雰囲気ガスとする。つぎに、上記高圧電極1と低圧電極2の間に電圧を印加し、大気圧プラズマを発生させる。そして、この大気圧プラズマにより、上記ガラス基板Gの表面をプラズマ処理する。このプラズマ処理により、ガラス基板Gの表面部分が改質して、ガラス基板Gが帯電し難いものとなる。
すなわち、得られた難帯電ガラス基板と他の物体とを接触させたとしても、上記プラズマ処理による改質のため、その難帯電ガラス基板は、帯電し難くなっている。
さらに、上記難帯電ガラス基板は、優れた帯電減衰性をも示す。すなわち、上記難帯電ガラス基板に強力な電圧を印加することにより、その難帯電ガラス基板を強制的に帯電させたとしても、プラズマ処理していない通常のガラス基板Gよりも速く放電する。この理由も、上記ガラス基板Gの表面部分の改質により放電し易くなっているからであると推測される。
より詳しく説明すると、上記大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスは、特に限定されないが、下記(A)からなるガス、または下記(A)を主成分とし、それに下記(B)が含有されている混合ガスである。これら下記(A)からなるガスまたは上記混合ガスを加湿した加湿ガスでもよい。より好ましくは、アルゴンガスである。このガスを用いると、理由は明らかではないが、難帯電性がより向上するからである。特に、上記混合ガスを用いる場合、その混合ガスにおける下記(B)の含有率は、20容量%以下(0容量%を含む。0容量%の場合は、下記(A)からなるガスを意味する。)であることが好ましい。下記(B)の含有率が20容量%を上回ると、難帯電性ガラス基板の難帯電性が弱くなる傾向にあるからである。なお、上記加湿ガスとは、バブリング等により下記(A)からなるガスまたは上記混合ガスに水分を含有させたガスのことである。
(A)アルゴン,ヘリウム,ネオン,キセノンおよび窒素からなる群から選ばれる少なくとも一つ。
(B)酸素ガスおよび水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも一つ。
上記大気圧プラズマの発生において、高圧電極1と低圧電極2の間に印加する電圧は、大気圧プラズマが発生すれば、特に限定されるものではないが、通常、1kV〜10kVの範囲である。また、その電源の周波数も、大気圧プラズマが発生すれば、特に限定されるものではなく、通常、1kHz〜20kHzの範囲であるが、13.56MHzのようなMHz帯やそれよりも高いGHz帯であってもよい。
また、大気圧プラズマを発生させる時間(プラズマ処理する時間)は、特に限定されないが、通常、0.1秒〜10分の範囲である。そして、電力量(照射エネルギー)は、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜20000mW・min/cm2 の範囲に設定される。
さらに、上記大気圧プラズマは、ガラス基板Gの難帯電性を向上させるだけでなく、ガラス基板Gの製造過程で表面に付着した有機物等の不純物を除去する洗浄作用も、洗浄時に必要な親水化作用も有している。
また、上記ガラス基板Gは、誘電体であるため、高圧電極1と低圧電極2の間に配置することにより、アーク放電の発生を抑制することができる。このため、高圧電極1および低圧電極2を保護することができ、高圧電極1および低圧電極2の長寿命化を図ることができる。さらに、上記アーク放電発生の抑制により、大気圧プラズマを安定化させることもできる。このため、ガラス基板Gを均一に難帯電化することができる。
なお、上記実施の形態では、大気圧プラズマによる処理は、対向する高圧電極1と低圧電極2の間にガラス基板Gを配置するようにしたが、これに限定されるものではなく、電極間で発生させた大気圧プラズマをガス流や電界配置や磁気の作用により電極間の外側に配置されているガラス基板Gの表面の所定の部分に吹き出す方法(リモートプラズマ)で処理してもよい。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕
上記実施の形態と同様にして、液晶ディスプレイ用のガラス基板(コーニング社製、1737)Gを大気圧プラズマによりプラズマ処理した。上記ガラス基板Gの大きさは、75mm×25mm×0.7mm(厚み)とした。大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスとして、アルゴンのみを用いた。また、高圧電極1および低圧電極2は、板状とし、その大きさは、どちらも320mm×230mmとし、電極間距離を5mmに設定した。そして、電源として、周波数が5kHzの交流電源を用い、高圧電極1と低圧電極2の間に3kVの電圧を印加した。そして、その大気圧プラズマ処理を10秒間行った。電力量(照射エネルギー)は34mW・min/cm2 であった。
〔実施例2〕
上記実施例1において、大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスをアルゴン(99容量%)と水素(1容量%)の混合ガスとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
〔実施例3〕
上記実施例1において、大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスをアルゴン(99容量%)と酸素(1容量%)の混合ガスとした。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
〔比較例1〕
上記実施例1と同様のガラス基板Gを準備し、大気圧プラズマ処理を施さなかった。
〔難帯電性〕
このようにして得られた実施例1〜3の難帯電ガラス基板および比較例1のガラス基板Gに対して、それぞれのガラス基板表面を産業用ワイパー(クレシア社製、キムワイプS−200)で毎秒1往復の速さで20往復させて各ガラス基板を帯電させた。そして、その帯電を止めた直後に静電気測定器(シムコジャパン社製、FMX−002)を用いて帯電量を測定した。その結果、実施例1〜3の難帯電ガラス基板の帯電量は、比較例1のガラス基板に対し、それぞれ28%,54%,25%であった。
この結果から、実施例1〜3の難帯電ガラス基板は、比較例1のガラス基板Gと比較して、帯電し難いことがわかる。
なお、上記各実施例において、アルゴンに代えて、ヘリウム,ネオン,キセノン,窒素をそれぞれ用いても、上記各実施例と同様の傾向を示す結果が得られた。
また、上記各実施例において、アルゴンガスとして、20℃のもとバブリングにより加湿した加湿アルゴンガスを用いても、上記各実施例と同様の傾向を示す結果が得られた。
本発明の難帯電ガラス基板の製法の一実施の形態を示す説明図である。
符号の説明
1 高圧電極
2 低圧電極
G ガラス基板

Claims (5)

  1. 電極の間で大気圧プラズマを発生させその大気圧プラズマにより被処理体を処理する大気圧プラズマ発生装置内に、ガラス基板を配置し、その装置内で発生した大気圧プラズマにより、上記ガラス基板を難帯電化することを特徴とする難帯電ガラス基板の製法。
  2. 上記大気圧プラズマに用いる雰囲気ガスとして、下記(A)からなるガス、または下記(A)を主成分とし、それに下記(B)が含有されている混合ガスを用いる請求項1記載の難帯電ガラス基板の製法。
    (A)アルゴン,ヘリウム,ネオン,キセノンおよび窒素からなる群から選ばれる少なくとも一つ。
    (B)酸素ガスおよび水素ガスからなる群から選ばれる少なくとも一つ。
  3. 上記雰囲気ガスが、上記(A)からなるガスまたは上記混合ガスを加湿した加湿ガスである請求項2記載の難帯電ガラス基板の製法。
  4. 上記雰囲気ガスにおいて、上記(B)の含有率が20容量%以下である請求項2または3記載の難帯電ガラス基板の製法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の難帯電ガラス基板の製法によって得られることを特徴とする難帯電ガラス基板。
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